炊飯器
【課題】スプーン、包丁等の小物検知や鍋無し検知を行う機能を有する炊飯器において、電源電圧が大きく変動しても正しく正確に小物検知を行うようにする。
【解決手段】インバータ回路8により商用電源3を整流して得られる単方向電源4を高周波電力に変換し、スイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段25が検知する電圧値と商用電源3より供給される電流を測定する電流検知手段23が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で炊飯器本体20に所定の内鍋1が入っているか、あるいは入っているのが所定の内鍋1以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを小物検知手段26により判断する。電源電圧を測定する電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段28を有する。
【解決手段】インバータ回路8により商用電源3を整流して得られる単方向電源4を高周波電力に変換し、スイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段25が検知する電圧値と商用電源3より供給される電流を測定する電流検知手段23が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で炊飯器本体20に所定の内鍋1が入っているか、あるいは入っているのが所定の内鍋1以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを小物検知手段26により判断する。電源電圧を測定する電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段28を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプーン、包丁等の小物検知や鍋無し検知を行う機能を有する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内鍋を誘導加熱する炊飯器においては、所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷検知や鍋無し検知を行うといった機能が付加されている(例えば、特許文献1参照)。以下、その構成について図12を参照しながら説明する。
【0003】
図12に示すように、内鍋1は、内部に調理物を入れ加熱コイル2により電磁誘導加熱(以下、IHという)される。商用電源3から交流が供給され、ダイオードブリッジ4によって整流される。平滑コンデンサ5、共振コンデンサ6、トランジスタ7よりなるインバータ回路8により、IHのための高周波電力を発生させる。電力値の制御は電源電流を制御することにより行っている。
【0004】
まず、カレントトランス9の1次側に電源電流Iinが入力される。そしてカレントトランス9の二次側の出力値を抵抗で分圧し、ダイオードブリッジ10によって整流し、コンデンサによって平滑され、マイクロコンピュータ11(以下、マイコンという)の入力端子にアナログ−デジタル変換入力(以下、AD入力という)されて電力値の制御を行う。トランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceは抵抗によって分圧されてトランジスタ12を通してマイコン11にAD入力される。
【0005】
IHの負荷によるVce−Iin特性の違いによって、マイコン11は小物検知処理を行う。炊飯スイッチ13が押されて、炊飯スタートするとマイコン11はすぐにIHをオンし、トランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceと電源電流IinをAD入力し、小物検知を行う。
【0006】
図13は、従来例の炊飯器のマイコン11にAD入力されるトランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceと電源電流Iinの関係を示す特性図である。図13よりわかるように、定格電圧の−15%から+15%の範囲では、直線1を境にして、小物時のVce−Iin特性と鍋有時のVce−Iin特性が分かれており、この特性を利用して小物検知を行う。なお、鍋無し時はアルミ鍋を入れたときより直線1から離れた特性になるので、鍋無し検知も行うことができる。
【特許文献1】特開平2−119810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら日本国内の場合に比べて、電源事情の悪い海外などにおいては、かなり広い範囲で電源電圧が変動する場合があり、その場合は上記従来の構成においては誤検知を行う可能性がある。
【0008】
例えば、図14は従来例の炊飯器のマイコン11にAD入力されるトランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceと電源電流Iinの関係を示す特性図であるが、図14のように電源電圧の大きな変動があると、特性が変化し、アルミ鍋を入れているにもかかわらず、直線1の鍋有り側の領域にVce−Iin特性がなってしまい、誤った検知を行ってしまうといった問題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、電源電圧が大きく変動しても正しく正確に小物検知を行うようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、上面が開口した炊飯器本体内に内鍋を着脱自在に収納し、内鍋を加熱コイルにより誘導加熱し、商用電源を整流して得られる単方向電源と、スイッチング素子、共振コンデンサ、平滑回路などを有するインバータ回路により商用電源を整流して得られる単方向電源を高周波電力に変換し、商用電源より供給される電流を測定する電流検知手段より得られる値を基に電流が所定の電流値になるように電流制御手段により制御し、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段が検知する電圧値と電流検知手段が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で炊飯器本体に所定の内鍋が入っているか、あるいは入っているのが所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを小物検知手段により判断するよう構成し、電源電圧を測定する電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段を有するものである。
【0011】
これにより、電源電圧が大きく変動しても、電圧変動に対応して判断に使用する所定値を変化させることができ、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器は、電源電圧が大きく変動しても正確に小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋を誘導加熱する加熱コイルと、商用電源を整流して得られる単方向電源と、スイッチング素子、共振コンデンサ、平滑回路などを有し前記単方向電源を高周波電力に変換するインバータ回路と、前記スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段と、前記商用電源より供給される電流を測定する電流検知手段と、前記電流検知手段より得られる値を基に電流が所定の電流値になるように制御する電流制御手段と、電源電圧を測定する電源電圧検知手段と、前記コレクタ−エミッタ間電圧検知手段が検知する電圧値と前記電流検知手段が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で前記炊飯器本体に前記所定の内鍋が入っているか、あるいは入っているのが前記所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを判断する小物検知手段とを備え、前記電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって前記小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段を有するものであり、電源電圧が大きく変動しても第1の小物検知変更手段が変動に対応して小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させることにより、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式を変化させる第2の小物検知変更手段を有するものであり、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0015】
第3の発明は、上記第1の発明において、第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させる第3の小物検知変更手段を有するものであり、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを記憶する記憶手段を備えたものであり、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0017】
第5の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを表示する表示手段を備えたものであり、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0018】
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する電圧修正手段を備えたものであり、炊飯器の製造条件の変化などで正確に小物検知を行うためには演算式や判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する必要が生じた場合に容易に変更することができ、条件変化などにも対応して正確に小物検知をすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図であり、図2は同炊飯器の断面図であり、図3は同炊飯器の回路図である。
【0021】
図1および図2に示すように、内鍋1は上方が開口した炊飯器本体20内に着脱自在に収納されており、この内鍋1は加熱コイル2により誘導加熱される。単方向電源4は商用電源3を整流して得られるもので、図3に示すように、ダイオードブリッジで構成している。この単方向電源4を基に平滑回路5、共振コンデンサ6、スイッチング素子7を有するインバータ回路8によりIHのための高周波電力を発生させる。
【0022】
電流検知手段9は商用電源3より供給される電流Iinを測定するもので、カレントトランス9の1次側に電流Iinを入力し、2次側の出力値を抵抗で分圧し、ダイオードブリッジ10によって整流し、コンデンサによって平滑して、電源瀬水魚手段24を構成するマイコン11の入力端子にAD入力している。ここで、マイコン11は、電流制御手段24の他、後述する小物検知手段16と第1の小物検知変更手段28を構成している。
【0023】
電流制御手段24は電流検知手段23より得られる値を基に電流Iinが所定の電流値になるように制御することによって電力値を制御している。コレクタ−エミッタ間電圧検知手段25は、スイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを抵抗によって分圧してトランジスタ12を通して、小物検知手段16を構成するマイコン11にAD入力し、スイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧Vce検知する。
【0024】
小物検知手段26は電流検知手段23により検知した電流Iinとコレクタ−エミッタ検知手段25により検知したスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを用いて演算し、その演算結果と所定値との大小で炊飯器本体20に所定の内鍋1が入っているか、あるいは入っているのが所定の内鍋1以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを判断するようにしている。
【0025】
すなわち、炊飯スイッチ13が押されて、炊飯スタートするとマイコン11はすぐにIHをオンし、電流検知手段23により検知した電流Iinとスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、IHの負荷によるVce−Iin特性の違いによって小物検知を行う。
【0026】
電源電圧検知手段27は電源電圧の測定するもので、電源電圧Vinをは抵抗によって分圧し、トランジスタ31を通して、第1の小物検知変更手段28を構成するマイコン11にAD入力している。この電源電圧検知手段27により検知した電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させるようにしている。なお、図2にて、コンセント29によって商用電源3が供給され、基板30により各種制御を行っている。
【0027】
上記構成において図4を参照しながら動作を説明する。図4は本実施の形態のマイコン11の動作を示すフローチャートである。
【0028】
図4は小物検知のモジュールの動作であり、ステップ33でIHがオンしているかどうかを判断し、IHがオンしていれば小物検知を行う。ステップ34でスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、ステップ35で電流検知手段23により検知した電流IinをAD入力し、ステップ36で電源電圧VinをAD入力する。
【0029】
ステップ37でVceAD値とIinAD値の演算を行い、ステップ38で電源電圧Vinが100Vより低いかを判定し、電源電圧Vinが100V未満ならばステップ39へ進み、電源電圧による判定値をαにし、ステップ38で電源電圧Vinが100V以上ならばステップ40へ進み、VceAD値が大きくなってくるので、電源電圧による判定値をβに変更することによって補正する。
【0030】
ステップ41で演算結果と判定値を比較し、小物あるいは鍋無しならば、ステップ42で液晶表示素子32にエラーコードを表示するといった鍋無し処理を行う。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段28を有するので、電源電圧が大きく変動しても第1の小物検知変更手段28が変動に対応して小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させることにより、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、エラーコードを表示するといった鍋無し処理であるが、負荷をオフする、炊飯を終了するといった処理でもよいことはいうまでもない。
【0033】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0034】
図5に示すように、第2の小物検知手段50は電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26が判断に使用する演算式を変更させるように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
上記構成において図6を参照しながら動作を説明する。図6は本実施の形態のマイコン11の動作を示すフローチャートである。
【0036】
ステップ51でIHがオンしているかどうかを判断し、IHがオンしていれば小物検知を行う。ステップ52でスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、ステップ53で電流検知手段23により検知した電流IinをAD入力し、ステップ54で電源電圧VinをAD入力する。
【0037】
ステップ55で電源電圧による判定値を決定し、ステップ56で電源電圧Vinが100Vより低いかを判定し、電源電圧Vinが100V未満ならばステップ57へ進み、演算式
A=VinAD値−IinAD値
にて演算を行い、電源電圧Vinが100V以上ならばステップ58へ進み、演算式
A=VinAD値−IinAD値×2
にて演算を行う。すなわち、ステップ56で電源電圧Vinが100V以上のときはVceAD値が大きくなってくるので、補正のためにステップ58でIinAD値に2を掛ける演算式に変更する。ステップ59で演算結果と判定値を比較し、小物あるいは鍋無しならば、ステップ60で鍋無し処理を行う。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、上記実施の形態1の第1の小物検知変更手段28に代えて、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26の演算式を変化させる第2の小物検知変更手段50を有するので、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0039】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0040】
図7に示すように、第3の小物検知変更手段は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させるように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
上記構成において図8を参照しながら動作を説明する。図8は本実施の形態のマイコン11の動作を示すフローチャートである。
【0042】
ステップ71でIHがオンしているかどうかを判断し、IHがオンしていれば小物検知を行う。ステップ72でスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、ステップ73で電流検知手段23により検知した電流IinをAD入力し、ステップ74で電源電圧VinをAD入力する。
【0043】
ステップ75で電源電圧Vinが100Vより低いかを判定し、電源電圧Vinが100V未満ならばステップ76へ進み、演算式
A=VinAD値−IinAD値
を決定し、ステップ77で判定値を決定する。ステップ75で電源電圧Vinが100V以上のときはVceAD値が大きくなってくるので、補正のためにステップ78でIinAD値に2を掛ける演算式
A=VinAD値−IinAD値×2
に変更し、ステップ79でさらに判定値を変更する。ステップ80で演算結果と判定値を比較し、小物あるいは鍋無しならば、ステップ81で鍋無し処理を行う。
【0044】
以上のように、本実施の形態においては、上記実施の形態1の第1の小物検知変更手段28に代えて、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させる第3の小物検知変更手段70を有するので、電源電圧が変動してもより広い電源電圧範囲で正確に小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0045】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0046】
図9に示すように、記憶手段90は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
上記構成において動作を説明する。電源電圧検知手段27により検知した電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる。このとき、どの判断値を使用したかを記憶手段90に記憶することにより、鍋無し誤検知などの問題が発生した場合の解析を容易にすることができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶する記憶手段90を備えたので、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、記憶手段90は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶するようにしているが、上記実施の形態2または3と同様に、小物検知手段26が判断に使用するどの演算式を選択したか、またはどの演算式と所定値を選択したかを記憶してもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0051】
図10に示すように、表示手段100は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを表示するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
上記構成において動作を説明する。電源電圧検知手段27により検知した電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる。このとき、どの判断値を使用したかを表示手段100に記憶することにより、鍋無し誤検知などの問題が発生した場合の解析を容易にすることができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28が判断に使用するどの所定値を選択したかを表示する表示手段100を備えたので、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、表示手段100は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶するようにしているが、上記実施の形態2または3と同様に、小物検知手段26が判断に使用するどの演算式を選択したか、またはどの演算式と所定値を選択したかを表示してもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の形態6の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0056】
図11に示すように、電圧修正手段110は、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
上記構成において動作を説明する。電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させるが、その判断値を変化させる電源電圧の所定値を電圧修正手段110で修正する。電圧変更手段110による変更で、市場で鍋無し誤検知などの問題があった場合でも速やかに対応が可能になる。
【0058】
以上のように、本実施の形態においては、第1の小物検知変更手段28が判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する電圧修正手段110を備えたので、炊飯器の製造条件の変化などで正確に小物検知を行うために判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する必要が生じた場合に容易に変更することができ、条件変化などにも対応して正確に小物検知をすることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、電圧修正手段110は、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正するようにしているが、上記実施の形態2または3と同様に、小物検知手段26が判断に使用する演算式を変化させたり、または演算式と所定値の両方を変化させてもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、電源電圧が大きく変動しても正確に小物検知、鍋無し検知を行うことができるので、スプーン、包丁等の小物検知や鍋無し検知を行う機能を有する炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図2】同炊飯器の断面図
【図3】同炊飯器の回路図
【図4】同炊飯器のマイコンの動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図6】同炊飯器のマイコンの動作を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図8】同炊飯器のマイコンの動作を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態4の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態5の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態6の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図12】従来の炊飯器の回路図
【図13】同炊飯器のマイコンにAD入力されるVceとIinの関係特性図
【図14】同炊飯器の電源電圧の変動が大きい時にマイコンにAD入力されるVceとIinの関係特性図
【符号の説明】
【0062】
1 内鍋
2 加熱コイル
3 商用電源
4 単方向電源
5 平滑回路
6 共振コンデンサ
7 スイッチング素子
8 インバータ回路
20 炊飯器本体
23 電流検知手段
24 電流制御手段
25 コレクタ−エミッタ間電圧検知手段
26 小物検知手段
27 電源電圧検知手段
28 第1の小物検知変更手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプーン、包丁等の小物検知や鍋無し検知を行う機能を有する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内鍋を誘導加熱する炊飯器においては、所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷検知や鍋無し検知を行うといった機能が付加されている(例えば、特許文献1参照)。以下、その構成について図12を参照しながら説明する。
【0003】
図12に示すように、内鍋1は、内部に調理物を入れ加熱コイル2により電磁誘導加熱(以下、IHという)される。商用電源3から交流が供給され、ダイオードブリッジ4によって整流される。平滑コンデンサ5、共振コンデンサ6、トランジスタ7よりなるインバータ回路8により、IHのための高周波電力を発生させる。電力値の制御は電源電流を制御することにより行っている。
【0004】
まず、カレントトランス9の1次側に電源電流Iinが入力される。そしてカレントトランス9の二次側の出力値を抵抗で分圧し、ダイオードブリッジ10によって整流し、コンデンサによって平滑され、マイクロコンピュータ11(以下、マイコンという)の入力端子にアナログ−デジタル変換入力(以下、AD入力という)されて電力値の制御を行う。トランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceは抵抗によって分圧されてトランジスタ12を通してマイコン11にAD入力される。
【0005】
IHの負荷によるVce−Iin特性の違いによって、マイコン11は小物検知処理を行う。炊飯スイッチ13が押されて、炊飯スタートするとマイコン11はすぐにIHをオンし、トランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceと電源電流IinをAD入力し、小物検知を行う。
【0006】
図13は、従来例の炊飯器のマイコン11にAD入力されるトランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceと電源電流Iinの関係を示す特性図である。図13よりわかるように、定格電圧の−15%から+15%の範囲では、直線1を境にして、小物時のVce−Iin特性と鍋有時のVce−Iin特性が分かれており、この特性を利用して小物検知を行う。なお、鍋無し時はアルミ鍋を入れたときより直線1から離れた特性になるので、鍋無し検知も行うことができる。
【特許文献1】特開平2−119810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら日本国内の場合に比べて、電源事情の悪い海外などにおいては、かなり広い範囲で電源電圧が変動する場合があり、その場合は上記従来の構成においては誤検知を行う可能性がある。
【0008】
例えば、図14は従来例の炊飯器のマイコン11にAD入力されるトランジスタ7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceと電源電流Iinの関係を示す特性図であるが、図14のように電源電圧の大きな変動があると、特性が変化し、アルミ鍋を入れているにもかかわらず、直線1の鍋有り側の領域にVce−Iin特性がなってしまい、誤った検知を行ってしまうといった問題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、電源電圧が大きく変動しても正しく正確に小物検知を行うようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために、上面が開口した炊飯器本体内に内鍋を着脱自在に収納し、内鍋を加熱コイルにより誘導加熱し、商用電源を整流して得られる単方向電源と、スイッチング素子、共振コンデンサ、平滑回路などを有するインバータ回路により商用電源を整流して得られる単方向電源を高周波電力に変換し、商用電源より供給される電流を測定する電流検知手段より得られる値を基に電流が所定の電流値になるように電流制御手段により制御し、スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段が検知する電圧値と電流検知手段が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で炊飯器本体に所定の内鍋が入っているか、あるいは入っているのが所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを小物検知手段により判断するよう構成し、電源電圧を測定する電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段を有するものである。
【0011】
これにより、電源電圧が大きく変動しても、電圧変動に対応して判断に使用する所定値を変化させることができ、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の炊飯器は、電源電圧が大きく変動しても正確に小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋を誘導加熱する加熱コイルと、商用電源を整流して得られる単方向電源と、スイッチング素子、共振コンデンサ、平滑回路などを有し前記単方向電源を高周波電力に変換するインバータ回路と、前記スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段と、前記商用電源より供給される電流を測定する電流検知手段と、前記電流検知手段より得られる値を基に電流が所定の電流値になるように制御する電流制御手段と、電源電圧を測定する電源電圧検知手段と、前記コレクタ−エミッタ間電圧検知手段が検知する電圧値と前記電流検知手段が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で前記炊飯器本体に前記所定の内鍋が入っているか、あるいは入っているのが前記所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを判断する小物検知手段とを備え、前記電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって前記小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段を有するものであり、電源電圧が大きく変動しても第1の小物検知変更手段が変動に対応して小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させることにより、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0014】
第2の発明は、上記第1の発明において、第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式を変化させる第2の小物検知変更手段を有するものであり、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0015】
第3の発明は、上記第1の発明において、第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させる第3の小物検知変更手段を有するものであり、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0016】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを記憶する記憶手段を備えたものであり、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0017】
第5の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを表示する表示手段を備えたものであり、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0018】
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する電圧修正手段を備えたものであり、炊飯器の製造条件の変化などで正確に小物検知を行うためには演算式や判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する必要が生じた場合に容易に変更することができ、条件変化などにも対応して正確に小物検知をすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図であり、図2は同炊飯器の断面図であり、図3は同炊飯器の回路図である。
【0021】
図1および図2に示すように、内鍋1は上方が開口した炊飯器本体20内に着脱自在に収納されており、この内鍋1は加熱コイル2により誘導加熱される。単方向電源4は商用電源3を整流して得られるもので、図3に示すように、ダイオードブリッジで構成している。この単方向電源4を基に平滑回路5、共振コンデンサ6、スイッチング素子7を有するインバータ回路8によりIHのための高周波電力を発生させる。
【0022】
電流検知手段9は商用電源3より供給される電流Iinを測定するもので、カレントトランス9の1次側に電流Iinを入力し、2次側の出力値を抵抗で分圧し、ダイオードブリッジ10によって整流し、コンデンサによって平滑して、電源瀬水魚手段24を構成するマイコン11の入力端子にAD入力している。ここで、マイコン11は、電流制御手段24の他、後述する小物検知手段16と第1の小物検知変更手段28を構成している。
【0023】
電流制御手段24は電流検知手段23より得られる値を基に電流Iinが所定の電流値になるように制御することによって電力値を制御している。コレクタ−エミッタ間電圧検知手段25は、スイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを抵抗によって分圧してトランジスタ12を通して、小物検知手段16を構成するマイコン11にAD入力し、スイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧Vce検知する。
【0024】
小物検知手段26は電流検知手段23により検知した電流Iinとコレクタ−エミッタ検知手段25により検知したスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧Vceを用いて演算し、その演算結果と所定値との大小で炊飯器本体20に所定の内鍋1が入っているか、あるいは入っているのが所定の内鍋1以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを判断するようにしている。
【0025】
すなわち、炊飯スイッチ13が押されて、炊飯スタートするとマイコン11はすぐにIHをオンし、電流検知手段23により検知した電流Iinとスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、IHの負荷によるVce−Iin特性の違いによって小物検知を行う。
【0026】
電源電圧検知手段27は電源電圧の測定するもので、電源電圧Vinをは抵抗によって分圧し、トランジスタ31を通して、第1の小物検知変更手段28を構成するマイコン11にAD入力している。この電源電圧検知手段27により検知した電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させるようにしている。なお、図2にて、コンセント29によって商用電源3が供給され、基板30により各種制御を行っている。
【0027】
上記構成において図4を参照しながら動作を説明する。図4は本実施の形態のマイコン11の動作を示すフローチャートである。
【0028】
図4は小物検知のモジュールの動作であり、ステップ33でIHがオンしているかどうかを判断し、IHがオンしていれば小物検知を行う。ステップ34でスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、ステップ35で電流検知手段23により検知した電流IinをAD入力し、ステップ36で電源電圧VinをAD入力する。
【0029】
ステップ37でVceAD値とIinAD値の演算を行い、ステップ38で電源電圧Vinが100Vより低いかを判定し、電源電圧Vinが100V未満ならばステップ39へ進み、電源電圧による判定値をαにし、ステップ38で電源電圧Vinが100V以上ならばステップ40へ進み、VceAD値が大きくなってくるので、電源電圧による判定値をβに変更することによって補正する。
【0030】
ステップ41で演算結果と判定値を比較し、小物あるいは鍋無しならば、ステップ42で液晶表示素子32にエラーコードを表示するといった鍋無し処理を行う。
【0031】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段28を有するので、電源電圧が大きく変動しても第1の小物検知変更手段28が変動に対応して小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させることにより、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、エラーコードを表示するといった鍋無し処理であるが、負荷をオフする、炊飯を終了するといった処理でもよいことはいうまでもない。
【0033】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0034】
図5に示すように、第2の小物検知手段50は電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26が判断に使用する演算式を変更させるように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0035】
上記構成において図6を参照しながら動作を説明する。図6は本実施の形態のマイコン11の動作を示すフローチャートである。
【0036】
ステップ51でIHがオンしているかどうかを判断し、IHがオンしていれば小物検知を行う。ステップ52でスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、ステップ53で電流検知手段23により検知した電流IinをAD入力し、ステップ54で電源電圧VinをAD入力する。
【0037】
ステップ55で電源電圧による判定値を決定し、ステップ56で電源電圧Vinが100Vより低いかを判定し、電源電圧Vinが100V未満ならばステップ57へ進み、演算式
A=VinAD値−IinAD値
にて演算を行い、電源電圧Vinが100V以上ならばステップ58へ進み、演算式
A=VinAD値−IinAD値×2
にて演算を行う。すなわち、ステップ56で電源電圧Vinが100V以上のときはVceAD値が大きくなってくるので、補正のためにステップ58でIinAD値に2を掛ける演算式に変更する。ステップ59で演算結果と判定値を比較し、小物あるいは鍋無しならば、ステップ60で鍋無し処理を行う。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、上記実施の形態1の第1の小物検知変更手段28に代えて、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26の演算式を変化させる第2の小物検知変更手段50を有するので、電源電圧が変動しても正確に、小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0039】
(実施の形態3)
図7は、本発明の実施の形態3の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0040】
図7に示すように、第3の小物検知変更手段は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させるように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
上記構成において図8を参照しながら動作を説明する。図8は本実施の形態のマイコン11の動作を示すフローチャートである。
【0042】
ステップ71でIHがオンしているかどうかを判断し、IHがオンしていれば小物検知を行う。ステップ72でスイッチング素子7のコレクタ−エミッタ間電圧VceをAD入力し、ステップ73で電流検知手段23により検知した電流IinをAD入力し、ステップ74で電源電圧VinをAD入力する。
【0043】
ステップ75で電源電圧Vinが100Vより低いかを判定し、電源電圧Vinが100V未満ならばステップ76へ進み、演算式
A=VinAD値−IinAD値
を決定し、ステップ77で判定値を決定する。ステップ75で電源電圧Vinが100V以上のときはVceAD値が大きくなってくるので、補正のためにステップ78でIinAD値に2を掛ける演算式
A=VinAD値−IinAD値×2
に変更し、ステップ79でさらに判定値を変更する。ステップ80で演算結果と判定値を比較し、小物あるいは鍋無しならば、ステップ81で鍋無し処理を行う。
【0044】
以上のように、本実施の形態においては、上記実施の形態1の第1の小物検知変更手段28に代えて、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって小物検知手段26の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させる第3の小物検知変更手段70を有するので、電源電圧が変動してもより広い電源電圧範囲で正確に小物検知、鍋無し検知を行うことができる。
【0045】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0046】
図9に示すように、記憶手段90は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
上記構成において動作を説明する。電源電圧検知手段27により検知した電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる。このとき、どの判断値を使用したかを記憶手段90に記憶することにより、鍋無し誤検知などの問題が発生した場合の解析を容易にすることができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶する記憶手段90を備えたので、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、記憶手段90は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶するようにしているが、上記実施の形態2または3と同様に、小物検知手段26が判断に使用するどの演算式を選択したか、またはどの演算式と所定値を選択したかを記憶してもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0051】
図10に示すように、表示手段100は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを表示するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
上記構成において動作を説明する。電源電圧検知手段27により検知した電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる。このとき、どの判断値を使用したかを表示手段100に記憶することにより、鍋無し誤検知などの問題が発生した場合の解析を容易にすることができる。
【0053】
以上のように、本実施の形態においては、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、第1の小物検知変更手段28が判断に使用するどの所定値を選択したかを表示する表示手段100を備えたので、不良品の解析における分析用データとして有意義に使用することができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、表示手段100は、電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって、小物検知手段26が判断に使用するどの所定値を選択したかを記憶するようにしているが、上記実施の形態2または3と同様に、小物検知手段26が判断に使用するどの演算式を選択したか、またはどの演算式と所定値を選択したかを表示してもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【0055】
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の形態6の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図である。
【0056】
図11に示すように、電圧修正手段110は、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正するように構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
上記構成において動作を説明する。電源電圧検知手段27が検知する電源電圧値によって第1の小物検知変更手段28は小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させるが、その判断値を変化させる電源電圧の所定値を電圧修正手段110で修正する。電圧変更手段110による変更で、市場で鍋無し誤検知などの問題があった場合でも速やかに対応が可能になる。
【0058】
以上のように、本実施の形態においては、第1の小物検知変更手段28が判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する電圧修正手段110を備えたので、炊飯器の製造条件の変化などで正確に小物検知を行うために判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する必要が生じた場合に容易に変更することができ、条件変化などにも対応して正確に小物検知をすることができる。
【0059】
なお、本実施の形態では、電圧修正手段110は、第1の小物検知変更手段28により小物検知手段26が判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正するようにしているが、上記実施の形態2または3と同様に、小物検知手段26が判断に使用する演算式を変化させたり、または演算式と所定値の両方を変化させてもよく、同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、電源電圧が大きく変動しても正確に小物検知、鍋無し検知を行うことができるので、スプーン、包丁等の小物検知や鍋無し検知を行う機能を有する炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図2】同炊飯器の断面図
【図3】同炊飯器の回路図
【図4】同炊飯器のマイコンの動作を示すフローチャート
【図5】本発明の実施の形態2の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図6】同炊飯器のマイコンの動作を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態3の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図8】同炊飯器のマイコンの動作を示すフローチャート
【図9】本発明の実施の形態4の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態5の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態6の炊飯器の制御系の構成を示すブロック図
【図12】従来の炊飯器の回路図
【図13】同炊飯器のマイコンにAD入力されるVceとIinの関係特性図
【図14】同炊飯器の電源電圧の変動が大きい時にマイコンにAD入力されるVceとIinの関係特性図
【符号の説明】
【0062】
1 内鍋
2 加熱コイル
3 商用電源
4 単方向電源
5 平滑回路
6 共振コンデンサ
7 スイッチング素子
8 インバータ回路
20 炊飯器本体
23 電流検知手段
24 電流制御手段
25 コレクタ−エミッタ間電圧検知手段
26 小物検知手段
27 電源電圧検知手段
28 第1の小物検知変更手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋を誘導加熱する加熱コイルと、商用電源を整流して得られる単方向電源と、スイッチング素子、共振コンデンサ、平滑回路などを有し前記単方向電源を高周波電力に変換するインバータ回路と、前記スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段と、前記商用電源より供給される電流を測定する電流検知手段と、前記電流検知手段より得られる値を基に電流が所定の電流値になるように制御する電流制御手段と、電源電圧を測定する電源電圧検知手段と、前記コレクタ−エミッタ間電圧検知手段が検知する電圧値と前記電流検知手段が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で前記炊飯器本体に前記所定の内鍋が入っているか、あるいは入っているのが前記所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを判断する小物検知手段とを備え、前記電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって前記小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段を有する炊飯器。
【請求項2】
第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式を変化させる第2の小物検知変更手段を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させる第3の小物検知変更手段を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを記憶する記憶手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを表示する表示手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する電圧修正手段を備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項1】
上面が開口した炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納される内鍋と、前記内鍋を誘導加熱する加熱コイルと、商用電源を整流して得られる単方向電源と、スイッチング素子、共振コンデンサ、平滑回路などを有し前記単方向電源を高周波電力に変換するインバータ回路と、前記スイッチング素子のコレクタ−エミッタ間の電圧を検知するコレクタ−エミッタ間電圧検知手段と、前記商用電源より供給される電流を測定する電流検知手段と、前記電流検知手段より得られる値を基に電流が所定の電流値になるように制御する電流制御手段と、電源電圧を測定する電源電圧検知手段と、前記コレクタ−エミッタ間電圧検知手段が検知する電圧値と前記電流検知手段が検知する電流値を演算しその演算結果と所定値との大小で前記炊飯器本体に前記所定の内鍋が入っているか、あるいは入っているのが前記所定の内鍋以外のアルミ鍋、スプーン、包丁等の小物負荷か鍋無しであるかを判断する小物検知手段とを備え、前記電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって前記小物検知手段が判断に使用する所定値を変化させる第1の小物検知変更手段を有する炊飯器。
【請求項2】
第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式を変化させる第2の小物検知変更手段を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
第1の小物検知変更手段に代えて、電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって小物検知手段の演算式と判断に使用する所定値の両方を変化させる第3の小物検知変更手段を有する請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを記憶する記憶手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
電源電圧検知手段が検知する電源電圧値によって、第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を選択したかを表示する表示手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
第1〜第3のいずれかの小物検知変更手段がどの演算式や判断に使用する所定値を変化させる電源電圧値を修正する電圧修正手段を備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−66837(P2007−66837A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254785(P2005−254785)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]