説明

炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少の予防及び治療

本発明は、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のための11β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のための11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビター又はその製剤学的に認容性の塩の使用に関する。
【0002】
骨の形態形成と再構築は、骨芽細胞による骨基質の合成と、協調した破骨細胞による骨吸収とを必要とする。ヒトにおける全骨量の約10%は毎年、再構築されていると見積もられている。骨芽細胞と破骨細胞は、異なる細胞系統と成熟過程から生じる、つまり骨芽細胞が間葉幹細胞から生じる一方で、破骨細胞は造血単球細胞/貧食細胞前駆体から分化する。破骨細胞活性と骨芽細胞活性との間の不均衡は、広範な様々なホルモン変化又は炎症因子及び成長因子の撹乱により生ずることがあり、これによって骨量の低下(骨粗鬆症)又は増大(骨化石症)を特徴とする骨格異常が引き起こされる。事実、炎症に関連する病理学的状態では、“活性化”細胞(例えば浸潤性白血球、骨膜線維芽細胞及び、特にT細胞)は、骨芽細胞活性と破骨細胞活性との間の均衡を変化させて衰弱性骨侵食及び/又は骨粗鬆症をもたらす他の分子を提供する。
【0003】
破骨細胞活性の増加は、多くの骨減少性疾患、例えば閉経後骨粗鬆症、パジェット病、溶骨性転移又はリウマチ様関節炎において見られ、骨吸収の増大と肢体不自由性骨損傷を引き起こすものである。更に、病気になった歯周組織でのT細胞の特徴は、リウマチ様関節炎でのその特徴に匹敵することがあり、その際、骨吸収がしばしばTh1型T細胞に関与することも裏付けられている。種々の因子、例えばCSF1(MCSF)、IL1、TGFβ、TGFα、TNFα、TNFβ、IL6、1,25−ジヒドロキシビタミンD3といったビタミン、IL11、カルシトニン、PGE2又は副甲状腺ホルモン(PTH)が記載されており、これらは発生の異なる段階で破骨細胞発生に影響を及ぼす。しかしながら、遺伝学的な除去実験により、これらの因子はインビボでの破骨細胞発生には必須ではないことが示された。
【0004】
骨量減少及び肢体不自由が社会福祉に与える多大な社会的かつ経済的な影響と、そして老年に“副作用”なくヒトの寿命を高める調査とのため、破骨細胞発生と骨再構築に関与する必須因子を特定することが最重要であった。近年には、必須分子は、TNF−TNFRスーパーファミリータンパク質のRANKL、RANK及びOPGであると同定されている。TNFファミリー分子であるRNAKL(NFκB活性化受容体リガンド;またオステオプロテゲリンリガンド(RANKL)としても知られている;TNF関連活性化誘発サイトカイン(TRANCE)、破骨細胞分化因子(ODF)及びTNFSF11)及びその受容体であるRANK(TNFRSF11A)は、骨再構築の重要な調節因子であり、かつ破骨細胞の発生と活性化に必須である。RANKLはまた、T細胞/樹状細胞コミニュケーション、樹状細胞生存(7 8)及びリンパ節器官形成をも調節する。更に、活性化T細胞によるRANKLの産生は直接、破骨細胞形成と骨再構築を制御するので、自己免疫疾病、癌、白血病、喘息、慢性ウイルス感染及び歯周病がなぜ全身性と局所性の骨量減少をもたらすかが説明される。
【0005】
特に、RANKLは、関節炎において骨破壊及び軟骨破壊を引き起こす病原性原理であると思われる。RANKLの機能を天然のデコイ受容体であるオステオプロテゲリン(OPG、TNFRSF11B)を介して阻害することで、閉経後骨粗鬆症及び癌転移における骨量減少が防止され、さまざまな齧歯類関節炎モデルにおける骨量減少と肢体不自由が完全に阻止される。興味深いことに、RANKL及びRANKは、妊娠における授乳乳腺の形成に必須の役割を担う。この系によって、骨形態形成、T細胞活性化及びリンパ組織構築並びに哺乳動物種の生存に必要な乳腺形成に結びつく新規の予想されない分子パラダイムが与えられた。
【0006】
小分子による活性化の阻止による炎症性及び/又は免疫媒介性の破骨細胞活性化の阻害は、骨粗鬆症、歯芽欠損又は関節炎における肢体不自由並びに骨侵食もしくは骨量減少に関連する他の炎症過程の根絶に選ばれる将来的な治療となると思われる。その治療は、T細胞活性化並びに炎症性細胞による骨髄浸潤を防止して、T細胞と破骨細胞前駆体との間の、又はそれらのそれぞれの受容体とリガンドRANKとRANKLとの間の接触相互作用を阻害することによって達成することができる。
【0007】
以下の項は、特定の疾病における炎症性破骨細胞活性化の防止についての科学的な基本原理の概要を示している。
【0008】
歯周病:
特定の口内細菌感染に対する宿主の炎症応答及び免疫応答は、歯周病、すなわち歯根膜炎を引き起こすことがある(1)。ヒトの歯根膜炎は病因学的に異質であるが、共通した顕著な特徴は、ヒトにおける歯芽欠損の主要原因の1つである歯槽根破壊である(2,3)。興味深いことに、最近では、ヒトの歯根膜炎は、基礎となる炎症特性のため(9)、所定の全身性疾患、例えば早産出産時低体重、細菌性肺炎、鬱血性心疾患及び卒中発作(4〜8)の危険を高めることに関連しているとされている。約10〜12種の歯肉下の微生物は、歯根膜炎の病原に関連しており、それにはポルフィロモナス・ジンジバリス、プレボテラ・インターメディア、バクテロイデス・フォーサイサス及び混合スピロヘータが含まれる(10)。特に、アクチノバシラス・アクチノマイセテムコミタンス、つまりグラム陰性の通性の好二酸化炭素性の桿菌は、局所的若年性歯周病(LJP)及び幾つかの迅速に進行する重大な形態の歯根膜炎の病因作用因子として同定されている(10)。LJPは、臼歯−切歯型における後生的な歯槽根破壊を特徴とし、これはしばしば歯芽動揺と歯芽欠損をもたらし、機能的と美的な欠陥を引き起こす。A.アクチノマイセテムコミタンスは、歯肉上皮に侵入し(14)、そして数種の病原性因子、例えばサイトトキシン、エンドドキシン及び潜在的なロイコトキシンを放出する(15〜17)。A.アクチノマイセテムコミタンス感染は、通常は、局所性及び全身性の抗原特異的免疫応答を伴う(18〜19)。初期の研究によって、CD4+/CD8+ T細胞比の変更と自己混合リンパ球反応とがLJP患者において実証され(20,21)、そしてTヘルパー細胞が歯周組織に戻る能力がラット及びマウスの歯根膜炎モデルにおいて実証された(22〜24)。更に、以前に、ヒト末梢血リンパ球(HuPBL)を移植したNOD/SCIDマウスにおけるA.アクチノマイセテムコミタンス感染の特徴として、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、CD20+ B細胞及びMac1+貧食細胞が、歯周ポケットに隣接した線維性結合組織中に浸潤することが裏付けられた(24)。これらの結果は、T細胞が最近誘発性の歯周炎及び/又は歯槽根破壊を調節できることを示唆している。歯周免疫と歯槽根破壊を制御する厳密な1種又は複数の機構を調査するために、LJP患者由来のHuPBLをNOD/SCIDマウス(内因性T細胞とB細胞を欠損している)に移植して、HuPBL−NOD/SCIDマウスを作成した(24)。この研究は、これらの“ヒト化”マウスへのA.アクチノマイセテムコミタンスの経口抗原投与(Aa−HuPBL−NOD/SCIDと呼称する)が、歯根膜におけるヒトCD4+ T細胞の機能的活性化をもたらし、そして局所的な歯槽根破壊の引き金となることを示している。これらのマウス由来のCD4+ T細胞をA.アクチノマイセテムコミタンス由来の抗原でインビトロ刺激することで、破骨細胞形成と破骨細胞活性化の重要なメディエータであるオステオプロテゲリンリガンド(OPGL、TRANCE、ODF及びRANKLとしても知られる)の発現がもたらされる。デコイ受容体オステオプロテゲリン(OPG)を介してOPG−Lの阻害は、細菌接種後に、Aa−HuPBL−NOD/SCIDマウスで検出される歯槽根破壊を大きく低下させ、そして局所的な歯根膜炎の部位での破骨細胞の数を減少させる。これらの結果は、歯周病における口内微生物に対して反応性のヒトのCD4+ T細胞に関する重要な役割を初めて同定したものである。更に、A.アクチノマイセテムコミタンスを引き金とするT細胞におけるOPG−L発現の誘導と、OPGLに誘発される破骨細胞活性化と骨量減少とは、局所的な歯根膜感染で観察される歯槽根破壊についての1つの分子的説明を提供することができた。近年には、前記の開発概念は一般的に歯周病につながることが示されている。それというのもその歯周病病理学はT細胞活性化をもたらす炎症過程を伴うからである。
【0009】
歯周病は、米国において心臓病に次いで第二位の最も普及した疾病である。50百万人より多くの人々が中程度ないし重度の程度で患っているのに対して、15〜20%の人々が治療を受けているにすぎない。最近では、年間60億ドルが米国においてその疾病の治療に費やされている。歯周病は、口内組織と骨が、細菌による破壊を受けやすくなり、歯と歯茎との間にポケットを作るので、歯芽欠損の主要な原因となる。治療せずに放置すると、該疾病の影響は口内を遙かに超えて拡大する。幾つかの研究は、歯周病を心臓病、糖尿病及び出産時低体重への潜在的な要因として同定している。U.S. Surgeon General's Report 2000は、更に主要な健康問題として歯周病を取り巻く公共の見通しを高めた。細菌の抗菌治療は、進行中の骨破壊を止めることができない。恐らく、骨髄浸潤を予防する小分子と炎症性細胞及びT細胞活性化との組合せが理想的な治療であり、それに引き続きBM浸潤を遮断する小分子を含む予防的戦略を行うことができる。
【0010】
リウマチ様関節炎:
骨量減少は、リウマチ様関節炎(RA)において未解決の主要な問題である。RAの骨格的合併症は、病巣の骨侵食と活性炎症部位での関節周囲の骨粗鬆症と、骨量の減少を伴う全身の骨量減少からなる。破骨細胞がRAにおける骨量減少の全ての形の主要なメディエータであるということを新たな証拠が指示している。TNFαは炎症において産生される最も効力のある破骨細胞形成性サイトカインの1つであり、それはRAの病因に重要である。腫瘍壊死因子α(TNFα)と他の炎症誘発性サイトカインとがRAで産生されるのは、大部分がCD4+ T細胞に依存しており、そして殆どがインターフェロンγ(IFNγ)分泌の結果である。滑膜T細胞は、IFNγ及びインターロイキン(IL)−17の分泌、並びに貧食細胞及び線維芽細胞との細胞と細胞との接触機構を通じた直接的な相互作用により滑膜炎の原因となる。活性化された滑膜T細胞は、膜結合型と可溶性型の両方のNF−κBの受容体アクチベーター(RANKL)を発現する。リウマチ様滑膜において、線維芽細胞はRANKLの豊富な資源をも提供する。更に、TNFα及びIL−1は間質性骨芽細胞を標的として、IL−6、IL−11及び副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP)の産生とRANKLの発現とを高める。許容濃度のRANKLが存在する場合にのみ、TNFαは直接作用して、貧食細胞と骨髄球系前駆細胞の破骨細胞分化を刺激する。更に、TNFαは、髄膜線維芽細胞と貧食細胞によるIL−1放出を誘導し、そしてIL−1はRANKLと一緒になって、発生期の破骨細胞のための主要な生存シグナルと活性化シグナルである。従って、TNFαとIL−7とは、RANKLと協奏的に作用し、これらはRAにおいて破骨細胞動員、活性化、そして骨破壊を強力に促進しうる。この仮説についての最も説得力のある後ろ盾は、動物モデルのインビボ研究に由来する。オステオプロテゲリン(OPG)で治療した関節炎ラットにおける持続性炎症の存在下での骨保護は、破骨細胞が専ら骨量減少を媒介するという概念を指示し、更にOPGが、破骨細胞形成の調節解除及び破骨細胞アポトーシスの促進によって骨完全性を保護するという証拠を提供している。
【0011】
T細胞活性化、TNFα過剰産生、そしてRANKL/OPG/RANKリガンド受容体系の間の関係は、RAにおける全範囲の骨格的病理についての統一化パラダイムの証拠となる。破骨細胞による骨吸収に向けた戦略は、RA療法の重要な新たな一面である。
【0012】
老年人口における骨粗鬆症:
A. 破骨細胞形成でのエストロゲン欠乏によるサイトカイン変化の影響
自然な又は手術による閉経期後に骨組織の進行性の減少があり、卵巣機能の停止から15〜20年以内に骨折の増加をもたらす(271)。エストロゲン受容体(ER)は、骨組織に属する多くの細胞において検出され(272〜278)、これは閉経期が骨微小環境内に位置する細胞によるサイトカイン分泌に直接的な因果関係を有しうることを示唆している。単球細胞/貧食細胞系統の骨髄細胞は、骨組織中のTNFαとIL−1の分泌における閉経後の増大の主要な原因であると信じられていた(279)。しかしながら過去数年で、活性化されたT細胞も閉経後の骨髄におけるTNFα産生の増加の重要な原因であるという認識が高まっている(195,196,209,280,283)。炎症誘発性サイトカインは、公知の骨吸収の刺激物のうちでも最も強力である。該サイトカインは、直接的に、そして他の局所因子を通じて、骨吸収の速度を、初期の破骨細胞前駆細胞が成熟破骨細胞の吸収能及び寿命になるように増殖かつ分化することから決定する破骨細胞系性における各単独の工程に関与する(9,285〜301)。骨吸収の速度を決定する破骨細胞形成における第一の工程は破骨細胞前駆体の増殖である。事実、エストロゲン欠乏の主要な原因は、骨髄における破骨細胞前駆細胞のプールの拡大である。卵巣機能の損失は、初期の破骨細胞前駆体増殖を直接刺激する主要なサイトカイン、即ちM−CSF、GM−CSF及びIL−6の発現を可能にする(289,301〜307)。これらのサイトカインにおける自発的増加は、更に閉経期と平行したIL−1及びTNFαの増大によって強めることができ、これらはM−CSF、GM−CSF(292,298,308〜311)及びIL−6(64,286,306,312−314)の強力な刺激因子である。まとめると、卵巣摘出術後又は閉経期に見られるエストロゲン欠失が炎症のメディエータの発現増大と関連していることを示すことができる。更に、T細胞欠失は卵巣摘出マウスにおける骨量減少を効果的に抑え(199)、このことは明らかにRANK/RANKL経路が、破骨細胞形成の増大と骨量減少との原因となる腫瘍な機構であることを強調している。もちろん、エストロゲン欠乏は、T細胞、B細胞の活性化とホルモン状態及び骨生理学とを結びつける幾つかの自己免疫疾患の発生率と相関しているようにも見える。前記に強調したように、骨量減少とエストロゲン欠乏とは、エストロゲン依存性調節因子における非常に多くの相互に関連した変化を伴う(377)、しかしながら、一方で他の炎症誘発性状態、例えば炎症性関節炎においては、単独の炎症誘発性サイトカインの欠失は炎症過程を完全に抑えないが(378)、幾つかの単独のサイトカインの欠失はエストロゲン欠失による過剰な骨吸収を完全に遮断するのには十分である。殆どのこれらの破骨細胞形成に関するサイトカインの機能の冗長性は、エストロゲン欠失とは別の状況における前記成分のそれぞれの機能の欠如を代償できる。明らかな例外は、M−CSF及びRANKL/OPG/RANK系の成分であり、その活性は破骨細胞生成に必須である(199,230,317,394〜396)。この証拠は、T細胞と破骨細胞前駆体との相互作用の遮断を、エストロゲン誘発性骨量減少における新規の治療的介入のために最も魅力的な手法とし;その骨量減少は炎症誘発性骨破壊と同様であると考えられる。
【0013】
コルチゾン/コルチゾールシャトル:
薬理学的に活性なコルチゾールと不活性のコルチゾンとの相互変換は、2種の独立した組織特異的発現を示す11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11−β−HSD)3によって達成される(1)。第三の酵素も提唱されているが、その存在はいまだ証明されていない。殆どの無傷な細胞において、11β−HSD1は、たいてい還元酵素として機能し、活性なコルチゾールを不活性なコルチゾンから生成し、それによりグルココルチコイド受容体の活性化を促進する。しかしながら、反応方向が特異的な組織型に高度に依存し、こうしてライディヒ細胞において11−β−HSD−1は脱水素酵素として機能もできるという強力な証拠がある。11−β−HSD−1は組織にわたって広範に分布し、たいていは肝臓系組織、脂肪系組織、性腺系組織及び中枢神経系組織で発現が生ずる。11−β−HSD−1遺伝子を標的として破壊したマウスは、ストレス又は高脂肪食で誘発された高血糖症に対して、それらの野生型対照マウスよりも耐性であり、前受容体代謝によるグルココルチコイドの活性化がインスリン耐性の多くの後遺症の様相に主要となりうるという新たな概念と矛盾しない2)。胎盤及びアルドステロン標的組織、例えば腎臓及び結腸で主に発現される11−β−HSD2は、ほぼ排他的に脱水素酵素として作用し、それにより過剰のコルチゾールによる鉱質コルチコイド受容体感受性遺伝子を抑制する1)。カンゾウの活性成分である18−β−グリシレチン酸は、11−β−HSD1と11−β−HSD2のインヒビターであり、そしてカンゾウの摂取及び18−β−グリシレチン酸又はそのヘミスクシン酸誘導体のカルベノキソロンの投与によって、腎臓における鉱質コルチコイド受容体への活性コルチゾールの到達が高まる故の11−β−HSD2の阻害(3,4)のため、高血圧と代謝性アルカローシスが引き起こされる。11−β−HSD2をコードする遺伝子に突然変異を有する患者は、低カリウム血症及び重度の高血圧を伴う“顕性鉱質コルチコイド過剰”症候群を患う(5)。同様の症状は、細菌では11−β−HSD2ノックアウトマウスについても記載されている(2)。数十年にわたって、合成グルココルチコイドは、種々の疾病、例えばリウマチ様関節炎、アレルギー疾患及び気管支喘息における抗炎症剤として治療用に大きく使用されている(6)。グルココルチコイドの多能性効果と一致して、グルココルチコイド受容体は末梢組織の中に広く分布している。多くの場合において、この受容体の組織分布と11−β−HSD1の組織分布とは重複している(1)。グルココルチコイドはそれらの抗炎症作用について規定されるが、最近では、比較的少数の研究がグルココルチコイド媒介性免疫機能における11−β−HSDの関与に向けられているに過ぎない。そういったケースの1つでは、炎症応答の制御における、11−β−HSD酵素による前受容体代謝の重要性は、皮膚に存在する11−β−HSD活性の薬理学的阻害が接触過敏応答に対する局所適用されたコルチゾールの抗炎症作用の増強に導くという裏付けによって強調されてきた(7)。単独で適用されたインヒビターは何の効果も示さなかった。そこでは、皮膚における11−β−HSD遮断がコルチコイド不活性化を止めることが提案された。最近では、一次炎症性作用細胞、つまり単球細胞/貧食細胞における11−β−HSDの発現が調査された。これらの研究は、単離されたばかりのヒトの循環単球細胞において11−β−HSD1と11−β−HSD2の両者が完全に存在しないことを確認している。しかしながら、11β−還元酵素活性は単球細胞培養の間に、又は抗炎症性サイトカインIL−4及びIL−1での刺激後に誘導され、このことは前記の細胞の免疫機能の調節に重要な役割を担うことを強く示唆している。
【0014】
両方のイソ酵素は骨細胞で発見されたので、更に11−β−HSDの有意な還元酵素活性によるコルチゾンの活性化、例えばコルチゾールへの過度の変換が、リウマチ様関節炎に観察される骨粗鬆症を含むグルココルチコイドにより一般的に誘発される骨量減少の一部であろうと推測された。この証拠から、11−β−HSDの遮断は骨量減少の促進をもたらすことが推測できる。
【0015】
こうして、11−β−HSDの遮断が、局所的なグルココルチコイド濃度の増大により寛容を誘発しうることによって関節炎を改善するだけでなく、この治療が骨破壊を増大させることが考慮されると提唱されている。
【0016】
これがそのケースでないのは驚くべきことである。事実、11−β−HSDの遮断は、炎症を減少させるだけでなく、炎症性細胞による骨髄浸潤を完全に防止する。破骨細胞前駆体が髄膜並びに骨髄単球細胞系統から動員されることが提唱されているので、浸潤の防止が、アジュバント性関節炎における骨侵食と一般的な炎症誘発性骨破壊の防止のための主要な作用因子経路であることを考慮せねばならない。このことは更に、18−β−グリシレチン酸の注入が単独又はペプチドと組み合わせて臨床効果を示すために排出性リンパ節と近位である必要があるという事実によって確証された。
【0017】
従って、11−β−HSD遮断が免疫組織における局所的なグルココルチコイド濃度を高め、それが活性化T細胞と破骨細胞前駆体との間の相互作用及び/又はT細胞活性化自体を妨げることが提唱される。
【0018】
これらの所見から仮定すれば、恐らく、内因性のグルココルチコイドが急性炎症の間の骨量減少の原因であると思われる;これは恐らく生理学的な非炎症性状態下の場合であると思われる。事実、ラットのアジュバント関節炎では、つまりヒトの疾病について確立されたモデルでは、デキサメタゾン、つまり強力な合成グルココルチコイドはCD4+ 欠乏抗体と一緒に、ラットを骨侵食から強力に保護する。更に、デキサメタゾンはまたリウマチ様関節炎についてのラットモデルにおける髄膜炎及び骨侵食の抗TNF誘発性の改善をも促す。このように、局所的なグルココルチコイド濃度の増大は、急性炎症の間の及び/又は骨破壊の免疫媒介性活性化の間の骨及び骨恒常性に有利に作用しうる。本発明の所見は前記の最近の仮説と対照的である。更に、骨芽細胞で発現される11−β−HSDは恐らく前記現象に関与しない。それというのも破骨細胞の活性化は、活性化T細胞との相互作用に依存するが、骨髄中の骨芽細胞との相互作用には依存しないからである(ネイチャー)。この証拠は、更に、炎症性骨破壊における骨芽細胞性11−β−HSDの機能的役割を否定するものである。出願人のインビボでの所見に基づいて、免疫機能に関連する組織における11−β−HSDの遺伝子発現と生物学的活性を調査した。初めて出願人が樹状細胞及びリンパ系細胞(データ非公表)における11−β−HSD活性をヒトと組織の両方において同定した。最も関心があることには、taqman分析は、1種より多くの11−β−HSDについてのmRNAが存在することを示している。この証拠は、11−β−HSDが免疫調節に機能的役割を有するであろうことを示唆している。更に、前記に仮定された3型酵素は確立された2型のホモログであると思われる。早い段階で、胎盤と腎臓で観察される公知の11−β−HSD2酵素内に差異があるかもしれないと提唱されていたのは、それらのcDNAが類似しており、同一ではないことからである。18β−グリシレチン酸は、公知の酵素と同様に推定の第三の酵素をも両者とも遮断するので、近年には、11−β−HSD遮断の有利な効果に最も関わりがある酵素がどれかを明確に規定することができない。サイトカインのような炎症性メディエーターが、還元酵素と脱水素酵素との間の活性の均衡に対して、単独の酵素濃度でイソ酵素間の均衡を変更するか又は反応方向を変更することによって影響を及ぼしうるという事実は、関連の標的物の同定のためにより選択的なインヒビターの開発を必要とする。
【0019】
近年の証拠は、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少を、活性化T細胞と破骨細胞との間の必須の直接的な相互作用として確立している。この決定的な機構は、18−β−グリシレチン酸及びコルチゾール/コルチゾンシャトル;すなわち11−β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素活性及び/又は発現を調節する関連化合物並びに11−β−HSDの調節に有用な選択的インヒビターを使用することによって抑制できる。
【0020】
本発明の対象は、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のための11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビター又はその製剤学的に認容性の塩の使用である。
【0021】
炎症の治療のために慣用の薬剤を使用すると、骨量減少が継続し続けることが観察される。それというのも、破骨細胞活性が残るからである。骨量減少は、本発明の11−β−HSDインヒビターによって効果的に抑制できることが判明した。
【0022】
本発明によれば、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、哺乳動物、より有利にはヒトにおける骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のために使用される。
【0023】
本発明の有利な一実施態様では、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少には、これらに制限されないが、骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、パジェット病、溶骨性転移、関節炎、若年性慢性関節炎、アジュバント関節炎、感染症、癌による骨量減少、HIVによる骨量減少、歯芽欠損、骨髄炎、髄膜炎、軟骨侵食及び/又は骨侵食及び/又はプロテオグリカン損傷を含む。
【0024】
本発明によるより有利な実施態様では、免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少は、変形性関節症、リウマチ様関節炎及び/又は歯周病を含む。
【0025】
有利には、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、以下の式からなる群から選択される:
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】
【表5】

【0031】
もう一つの有利な実施態様では、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、式I
【0032】
【化1】

[式中、
は、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基又はチオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、前記の環式の基は、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C〜C−アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基、チオ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基によって一置換又は多置換されていてよく、
は、水素、C〜C−アルキル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、カルボニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基又はチオ基であり、
は、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基又はチオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、その際、炭素13から14までの化学結合は飽和又は不飽和である]で示される構造又は塩又は個々のエナンチオマー、ジアステレオマー又はそれらの混合物の形の誘導体を有する。
【0033】
式Iの塩、有利には生理学的に認容性の塩は、慣用のように、酸を無機又は有機塩基で中和することによって得ることができる。好適な無機酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸又は臭化水素酸であり、かつ好適な有機酸の例は、カルボン酸又はスルホン酸、例えば酢酸、酒石酸、乳酸、プロピオン酸、グリコール酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、タンニン酸、コハク酸、アルギン酸、安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、シンナミン酸、マンデル酸、クエン酸、リンゴ酸、サリチル酸、3−アミノサリチル酸、アスコルビン酸、エンボン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、シュウ酸、アミノ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸又はナフタレン−2−スルホン酸である。好適な無機塩基の例は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、アンモニアであり、かつ好適な有機塩基は、アミンであるが、有利には第三級アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、キノリン、イソキノリン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キナルジン又はピリミジンである。
【0034】
式Iの化合物の生理学的に認容性の塩は、更に、第三級アミノ基を有する誘導体を自体公知のように第四級化剤により変換して、相応の第四級アンモニウム塩を得ることによって得ることができる。好適な第四級化剤は、アルキルハロゲン化物、例えばヨウ化メチル、臭化メチル及び塩化N−プロピルであるが、またアリールアルキルハロゲン化物、例えば塩化ベンジル又は臭化2−フェニルエチルである。
【0035】
また本発明は、生理学的条件下に変換、例えば加水分解されて、式Iの化合物となる化合物又は生理学的条件下に代謝された式Iの化合物となる化合物であることが好ましい式Iの化合物の誘導体に関する。
【0036】
更に本発明は、式Iの化合物の光学エナンチオマー又はジアステレオマー又は、1つの不斉炭素原子を有する式Iの化合物と、複数の不斉炭素原子の場合にはジアステレオマー形を有する式Iの化合物の混合物に関する。不斉炭素原子を有し、かつ通常ラセミ体として得られる式Iの化合物は、自体公知のように、例えば光学活性酸を用いて光学活性異性体に分割できる。しかしながらまた、最初から光学活性出発物質を使用して、その場合に相応の光学活性化合物又はジアステレオマー化合物を最終生成物として得ることもできる。
【0037】
本発明の有利な一実施態様では、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、以下の式13、14、24及び25からなる群から選択される:
【0038】
【表6】

【0039】
前記の構造が、11−β−HSD、有利には11−β−HSD−1、11−β−HSD−2及び/又は11−β−HSD−1と−2との特異的な阻害に特に効果的であることが判明した。
【0040】
本発明によるもう一つの有利な実施態様では、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、式II:
【0041】
【化2】

[式中、
は、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基又はチオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、前記の環式の基は、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C〜C−アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基、チオ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基によって一置換又は多置換されていてよく、
は、水素又はC〜C−アルキルであり、
及びRは、それぞれ、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基又はチオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、
は、水素、C〜C−アルキル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基又はチオ基であり、その際、炭素8から9までの化学結合は飽和又は不飽和であり、炭素13から14までの化学結合は飽和又は不飽和である]で示される構造又は塩又は個々のエナンチオマー、ジアステレオマー又はそれらの混合物の形の誘導体を有する。
【0042】
また式IIの発明は、前記の生理学的に認容性の塩及び式Iの化合物の誘導体にも関する。有利には式IIの構造は式16である:
【0043】
【化3】

【0044】
本発明の更なる有利な実施態様では、11−β−HSD1型及び/又は2型は式7である:
【0045】
【化4】

【0046】
炎症性及び/又は免疫誘発性の骨量減少の予防及び/又は治療で使用される、本発明による更なる好適な11−β−HSD−1又は−2のインヒビターは、例えば制限されないが、18−β−グリシレチン酸、プロゲステロン、5α−ジヒドロプロゲステロン、5β−ジヒドロプロゲステロン、20α−ジヒドロプロゲステロン、3β5α−テトラヒドロプロゲステロン、17α−OH−プロゲステロン、20α−ジヒドロ−5α−ジヒドロプロゲステロン、20α−ジヒドロプロゲステロン、11α−OH−プロゲステロン、11β−OH−プロゲステロン、コルチコステロイド、11β−OH−アンドロステノイドン、3α,5β−テトラヒドロプロゲステロン、3α,5β−テトラヒドロ−11−デオキシ−コルチコステロン、11−エピコルチゾール、ケノデオキシコール酸、コール酸、グリシレチン酸(3β−ヒドロキシ−11−オキソオレアン−12−エン−30−酸)及びその誘導体、例えばグリシルリチン、グリシルリチン酸及びカルベノキソロン;フロセミド及びその誘導体、フラボノイド及びその誘導体、例えばナリンゲニン、トリテルピノイド(例えばCHAPS)、ケトコナゾール、サイブクート(saibuku-to)、ゴシポール、メチラポン、11−エピプレドニゾロンである。更に適したインヒビターは、ステロイド様の、例えばデキサメタゾン、ブデゾニド、デフラザコート及びスタノゾロールである。更に適したインヒビターは、特許出願WO02/072084号A2、WO03/043999号A1並びにWO03/044000号A1に記載されるインヒビターである。このように、特に適したインヒビターは、式III
【0047】
【化5】

[式中、
R1はH、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アリール、=O、OH、O−アルキル、O−アシル及びO−アリールから選択され、
R2は、H、=O、OH、ヒドロカルビル、オキソヒドロカルビル及びハロゲンから選択され、
R5〜R9は、無関係に、H及びヒドロカルビルから選択され、
R3及びR4は、一緒になって、
(i)式IV
【0048】
【化6】

(式中、
R10は、OH、ヒドロカルビル、N−ヒドロカルビル及びO−ヒドロカルビルから選択され、その際、R1がOHである場合に、R10はヒドロカルビル、N−ヒドロカルビル又はO−ヒドロカルビルであり、
R11及びR12は無関係に、H及びヒドロカルビルから選択される)で示される基又は
(ii)式V
【0049】
【化7】

(式中、
R13はヒドロカルビルであり、かつR14はH又はOHであるか、又はR13とR14は一緒になって=Oを表す)で示される基
を表す]の化合物又はその塩である。
【0050】
更なる適したインヒビターは、式VI
【0051】
【化8】

[式中、
Tは、アリール環又はヘテロアリール環であり、前記環は、場合により無関係に、[R]によって置換されており、その際、nは0〜5の整数であり、かつRは水素、アリール、ヘテロアリール、複素環、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキル、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルスルホニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アリールオキシ、アリールスルホニル、アリールアミノであり、その際、アリール、ヘテロアリール及びアリールオキシ基は及び複素環は、更に場合により1つ以上の位置において互いに無関係にC〜C−アシル、C〜C−アルキルチオ、シアノ、ニトロ、水素、ハロゲン、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキル、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルコキシ、場合により一置換又は二置換されたアミド、(ベンゾイルアミノ)メチル、カルボキシ、2−チエニルメチルアミノ又は({[4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}カルボニル)によって置換されている;又は
Tは、5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル及び1つ以上のベンゼンアミノで置換されたフェニル、ベンジルアミノ、3−ピリジルメチルアミノ及び2−チエニルメチルアミノであり、
は水素又はC〜C−アルキルであり、
XはCH又はCOであり、
YはCH、CO又は単結合であり、
Bは水素、C〜C−アルキル又はジメチルアミノメチルであり、
は、C〜C−アルキル、アジド、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ハロゲン、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルアミノメチル、メチルスルホニルオキシメチル、3−オキソ−4−モルホリノリニルメチレン、C〜C−アルコキシカルボニル、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、
NR(式中、R及びRはそれぞれ無関係に、水素、エチル、イソプロピル、n−プロピル、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ、2−メトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−メチルイミダゾリルスルホニル、C〜C−アシル、シクロヘキシルメチル、シクロプロパンカルボニル、アリール、場合によりハロゲン化されたアリールスルホニル、フリルカルボニル、テトラヒドロ−2−フラニルメチル、N−カルベトキシピペリジル又は1つ以上のアリール、複素環又はヘテロアリールで置換されたC〜C−アルキルから選択されるか、又はNRは、一緒になって複素環系であって、イミダゾール、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン、オキサゼピン、オキサゾール、チオモルホリン、1,1−ジオキシドチオモルホリン、2−(3,4−ジヒドロ−2(1H)イソキノリニル)又は(1S,4S)−2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテ−5−イルであり、これらの複素環系は、場合により、C〜C−アルキル、C〜C−アシル、ヒドロキシ、オキソ、t−ブトキシカルボニルによって置換される)、
OCONR(式中、R及びRはそれぞれ無関係に、水素、C〜C−アルキルから選択されるか、又はこれらが結合されるN原子と一緒になって、モルホリニルを形成する)、
O(式中、Rは、水素、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−アシル、C〜C−アルキルスルホニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、2−カルボメトキシフェニルである)から選択される]で示される化合物又は、その塩、水和物又は溶媒和物であるが、但し、
XがCHであり、YがCHである場合には、Rはメチル、エチル、ジエチルアミノ、1−ピロリジニル及び1−ピペリジニルではなく、
XがCHであり、YがCHであり、Rがモルホリニルである場合には、Tは4−メチルフェニルではなく、
XがCHであり、YがCOである場合には、Rはヒドロキシではなく、
XがCHであり、Yが単結合である場合には、Rはエチル、n−プロピルではなく、
XがCHであり、Yが単結合であり、Rがメチルである場合には、Tは3−クロロ−2−メチルフェニルではなく、
XがCOであり、Yが単結合である場合には、Rはメチルではなく、
XがCOであり、Yが単結合であり、Rがエトキシであり、Bがメチルである場合には、Tは3−クロロ−2−メチルフェニル、1,1′−ビフェニル−4−イル、4−n−プロピルフェニル、2,4−ジクロロ−6−メチルフェニル及び2,4,6−トリクロロフェニルではない。
【0052】
また適した化合物は、式VII:
【0053】
【化9】

[式中、
Tは、アリール環又はヘテロアリール環であって、場合により無関係に[R]によって置換されており、その際、nは0〜5の整数であり、かつRは、水素、アリール、ヘテロアリール、複素環、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキル、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルスルホニル、カルボキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、一置換又は二置換のアミン、場合により一置換又は二置換のアミド、アリールオキシ、アリールスルホニル、アリールアミノであり、その際、アリール、ヘテロアリール及びアリールオキシ残基及び複素環は、更に場合により1つ以上の位置において互いに無関係に、C〜C−アシル、C〜C−アルキルチオ、シアノ、ニトロ、水素、ハロゲン、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキル、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルコキシ、場合より一置換又は二置換のアミド、(ベンゾイルアミノ)メチル、カルボキシ、2−チエニルメチルアミノ又は({[4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1,3−チアゾール−2−イル]アミノ}カルボニル)によって置換されており、
は水素又はC〜C−アルキルであり、
及びAは、窒素原子又はC−Zであるが、A及びAは異なる意味を有し、その際、
・ Zは、アリール環又はヘテロアリール環から選択され、該環は更に場合により1つ以上の位置において互いに無関係に水素、C〜C−アルキル、ハロゲン化されたC〜C−アルキル、ハロゲン、C〜C−アルコキシ、ニトロ、C〜C−アルコキシカルボニル、C〜C−アルキルスルホニル、アセチルアミノ又はアリールオキシによって置換されており、その際、アリールオキシは更に場合により1つ以上の位置において互いに無関係に水素及びハロゲンによって置換されているか、又はZはX−Y−Rであり、その際、
・ XはCH又はCOであり、
・ YはCH、CO又は単結合であり、
・ Rは、C〜C−アルキル、アジド、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、ハロゲン、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルアミノメチル、メチルスルホニルオキシメチル、3−オキソ−4−モルホリノリニルメチレン、C〜C−アルコキシカルボニル、5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、
NR(式中、R及びRは、それぞれ無関係に、水素、C〜C−アルキル、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルコキシ、2−メトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1−メチルイミダゾリルスルホニル、C〜C−アシル、シクロヘキシルメチル、シクロプロパンカルボニル、アリール、場合によりハロゲン化されたアリールスルホニル、フリルカルボニル、テトラヒドロ−2−フラニルメチル、N−カルベトキシピペリジル又は1つ以上のアリールで置換されたC〜C−アルキル、複素環又はヘテロアリールら選択されるか、又はNRは一緒になって複素環系であって、イミダゾール、ピペリジン、ピロリジン、ピペラジン、モルホリン、オキサゼピン、オキサゾール、チオモルホリン、1,1−ジオキシドチオモルホリン、2−(3,4−ジヒドロ−2(1H)イソキノリニル)又は(1S,4S)−2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプテ−5−イルであり、これらの複素環系は、場合によりC〜C−アルキル、C〜C−アシル、ヒドロキシ、オキソ、t−ブトキシカルボニルによって置換されている)、
OCONR(式中、R及びRは、互いに無関係に、水素、C〜C−アルキルから選択されるか、又はこれらが結合されるN原子と一緒になってモルホリニルを形成する)、
O(式中、Rは水素、場合によりハロゲン化されたC〜C−アルキル、アリール、ヘテロアリール、C〜C−アシル、C〜C−アルキルスルホニル、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、2−カルボメトキシフェニルである)
から選択される]で示される化合物又はその塩、水和物又は溶媒和物であるが、但し、
がC−Zであり、かつAが窒素原子である場合には、Tは、フェニル環に最も知覚に窒素原子を有するように窒素含有置換基で4位において置換されているのみのフェニルではなく、2位においてメチルで置換されているのみのフェニルではなく、4位においてメチルで置換されているのみのフェニルではなく、かつ4位においてエチルで置換されているのみのフェニルではなく、
が窒素原子であり、かつAがC−Zである場合には、Zは2−フリル、5−ニトロ−2−フリル、2−チエニル、場合により置換されたフェニル、パラ置換されたベンジルではなく、
が窒素原子であり、かつAがC−Zであり、XがCHであり、Yが単結合である場合には、RはC〜C−アルキル、メトキシ、エトキシ、ベンゾチアゾール−2−イルチオ及びNR(式中、R及びRはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルから選択される)ではなく、
が窒素原子であり、かつAがC−Zであり、XがCHであり、YがCHである場合には、RはC〜C−アルキル及びNR(式中、R及びRはメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルから選択される)ではない。
【0054】
更に有利な構造は以下に示される化合物である:
【0055】
【表7】

【0056】
【表8】

【0057】
【表9】

【0058】
特に有利には、該インヒビターは、3−クロロ−2−メチル−N−{4−[2−(4−メチル−1−ピペラジニル)−2−オキソエチル]−1,3−チアゾール−2−イル}ベンゼンスルホンアミド及び2−(2−{[(3−クロロ−2−メチルフェニル)スルホニル]アミノ}−1,3−チアゾール−4−イル)−N,N−ジエチルアセトアミドから選択される。
【0059】
更に適したインヒビターは、特許出願WO2004/058741号に記載されるこれらのビシクロ[2.2.2]オクト−1−イル−1,2,4−トリアゾール誘導体である。従って、適したインヒビターは、特に、式VIII:
【0060】
【化10】

[式中、
pはそれぞれ無関係に0、1又は2であり、
nはそれぞれ無関係に0、1又は2であり、
Xは、単結合、O、S(O)、NR
【0061】
【化11】

からなる群から選択され、
は、アリールカルボニル、(CH−アリール及び(CH−ヘテロアリールからなる群から選択され、その際に、アリール及びヘテロアリールは非置換であるか、又はRから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されており、
は、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル及び(CH−C〜C−シクロアルキルからなる群から選択され、その際に、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは非置換であるか、又はR及びオキソから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されており、
はそれぞれ無関係に、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C〜C−アルキル及びC〜C−アルコキシからなる群から選択され、
は、水素、C〜C10−アルキル、C〜C10−アルケニル、(CH−C〜C−シクロアルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール及び(CH−ヘテロシクリルからなる群から選択され、その際に、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクリルは非置換であるか、又はRから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されており、かつアルキル、アルケニル及びシクロアルキルは非置換であるか、又はR及びオキソから無関係に選択される1〜5個の基で置換されており、
及びRは互いに無関係に、水素、ホルミル、C〜C−アルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール、(CH−ヘテロシクリル、(CH〜C−シクロアルキル、ハロゲン、OR、(CHN(R、シアノ、(CHCO、NO、(CHNRSO、(CHSON(R、(CHS(O)、(CHSOOR、(CHNRC(O)N(R、(CHC(O)N(R、(CHNRC(O)R、(CHNRCO、O(CHC(O)N(R、CF、CHCF、OCF、OCHCF及びOCHCFからなる群から選択され、その際に、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、及びヘテロシクリルは非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ、C〜C−アルキル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ及びC〜C−アルコキシから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されており、かつRとRにおける任意のメチレン(CH)炭素原子は非置換であるか、又はハロゲン、ヒドロキシ及びC〜C−アルキルから無関係に選択される1〜2個の基で置換されているか、又は2つの置換基は、同じメチレン(CH)炭素原子で、これらに結合される炭素原子とひとまとめに考えてシクロプロピル基を形成し、
はそれぞれ無関係に、C〜C−アルキル、(CH−アリール、(CH−ヘテロアリール及び(CH〜C−シクロアルキルからなる群から選択され、その際に、アルキル及びシクロアルキルは非置換であるか、又はハロゲン、オキソ、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノから無関係に選択される1〜5個の置換基で置換されており、かつアリール及びヘテロアリールは非置換であるか、又はシアノ、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C〜C−アルキル及びC〜C−アルコキシから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されているか、又は
2個のR基は、これらが結合される原子と一緒になって、場合によりO、S及びNC〜C−アルキルから選択される付加的なヘテロ原子を有する5員ないし8員の単環系又は二環系を形成し、かつ
はそれぞれ水素又はRである]で示される化合物又はその製剤学的に認容性の塩である。
【0062】
更なる好適なインヒビターは、特許出願US6,730,690号、US2004/0106664号並びにWO03/104208号に開示されるインヒビターである。従って、好適なインヒビターは、特に式IX:
【0063】
【化12】

[式中、
A及びBは、別々に又は一緒になって、
別々の場合には、
Aはハロゲン、C〜C−アルキル、OC〜C−アルキル又はフェニルを表し、前記アルキル、フェニル及びOC〜C−アルキルのアルキル部は、1〜3個のハロゲン基で場合により置換されており、かつ
BはH、ハロゲン、C〜C−アルキル、−OC〜C−アルキル、−SC〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、フェニル又はナフチルを表し、前記アルキル、アルケニル、フェニル、ナフチル及び−OC〜C−アルキル及び−SC〜C−アルキルのアルキル部は、ハロゲン、OH、CHO、CF及びOCFから選択される1〜3個の基で場合により置換されており、かつ
一緒になる場合には、
A及びBは一緒になって、(a)1〜3個のハロゲン基及び1〜2個のRα基で場合により置換されたC〜C−アルキレン(その際、RαはC〜C−アルキル、OC〜C−アルキル、C〜C10アリールC〜C−アルキレン又は1〜3個のハロゲン基で場合により置換されたフェニルを表す)又は(b)C〜C−アルカンジイルを表し、これらが結合される炭素原子と一緒に3〜6員環を形成し、前記環は場合により1つの二重結合又はO、S及びNから選択される1〜2個のヘテロ原子で中断され、前記3〜6員環は、場合によりC〜C−アルキレン、オキソ、エチレンジオキシ又はプロピレンジオキシで置換されており、かつ更に場合によりハロゲン、C〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルキル、C〜C−アシル、C〜C−アシルオキシ、C〜C−アルコキシ、C〜C−アルキルOC(O)−、C〜C−アルケニル、C〜C−アルキニル、C〜C−アルコキシC〜C−アルキル、C〜C−アルコキシC〜C−アルコキシ、フェニル、CN、OH、D、NH、NHRα及びN(Rαから選択される1〜4個の基で置換されており、その際、Rαは前記に定義したとおりであり、
はそれぞれHを表すか、又は無関係に、OH、ハロゲン、C〜C10−アルキル、C〜C−アルコキシ及びC〜C10−アリールからなる群から選択され、前記C〜C10−アルキル、C〜C10−アリール及びC〜C−アルコキシのアルキル部は、場合により1〜3個のハロゲン、OH、OC〜C−アルキル、フェニル又はナフチル基で置換されており、前記フェニル及びナフチルは、ハロゲン、OCH、OCF、CH、CF及びフェニルから無関係に選択される1〜3個の置換基で場合により置換されており、その際、前記フェニルは場合により1〜3個のハロゲン基で置換されているか、又は
2個のR基は、一緒になって、縮合されたC〜C−アルキル又はアリール環を表し、これらは場合により1〜2個のOH又はRα基で置換されていてよく、その際、Rαは前記に定義したとおりであり、
及びRは、別々に又は一緒になって、
一緒になる場合には、
及びRは(a)C〜C−アルカンジイル(これは、場合により1〜2個の二重結合で中断され、かつ場合により1〜2個のO、S及びNから選択されるヘテロ原子によって中断された縮合された5員ないし10員の非芳香族環を形成する)又は(b)縮合された6員ないし10員の芳香族の単環基又は二環基を表し、前記アルカンジイル及び芳香族の単環基又は二環基は、場合により1〜6個のハロゲン原子及び1〜4個のOH、C〜C−アルキル、OC〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルキル、ハロゲンC〜C−アルコキシ及びフェニルで置換されていてよく、前記フェニルは、ハロゲン、C〜C−アルキル、OC〜C−アルキルから無関係に選択される1〜4個の基で場合により置換されており、かつ前記C〜C−アルキル及びOC〜C−アルキルのC〜C−アルキル部は1〜3個のハロゲン基で場合により置換されており、
別々の場合には、
は、(a)C〜C14−アルキル(これは、場合により、1〜6個のハロゲン基及びOH、OC〜C−アルキル及びフェニルから選択される1〜3個の置換基で置換されており、前記フェニルは、ハロゲン、OCH、OCF、CH及びCFから無関係に選択される1〜4個の基で置換されており、かつ前記OC〜C−アルキルのC〜C−アルキル部は場合により1〜3個のハロゲン基で置換されている)、(b)フェニル又はピリジル(これらは、場合により1〜3個のハロゲン、OH又はRα基で置換されており、その際、Rαは前記に定義したとおりである)、(c)C〜C10−アルケニル(これは、ハロゲン、OH及びOC〜C−アルキルから無関係に選択される1〜3個の置換基で場合により置換されており、前記OC〜C−アルキルのC〜C−アルキル部は、場合により1〜3個のハロゲン基で置換されている)、(d)CHCOH、(e)CHCO〜C−アルキル、(f)CHC(O)NHRα(式中、Rαは前記に定義したとおりである)、(g)NH、NHRα及びN(Rα(式中、Rαは前記に定義したとおりである)からなる群から選択され、かつ
は、C〜C14−アルキル、C〜C10−アルケニル、SC〜C−アルキル、C〜C10−アリール、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群から選択され、前記アルキル、アルケニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール及びSC〜C−アルキルのアルキル部は、(a)R、(b)1〜6個のハロゲン基及び(c)OH、NH、NHC〜C−アルキル、N(C〜C−アルキル)、C〜C−アルキル、OC〜C−アルキル、CN、C〜C−アルキルS(O)−(式中、xは0、1又は2である)、C〜C−アルキルSONH−、HNSO−、C〜C−アルキルNHSO−及び(C〜C−アルキル)NSO−から選択される1〜3個の基(前記C〜C−アルキル及び前記基のC〜C−アルキル部は、フェニル及び1〜3個のハロゲン基で場合により置換されている)で場合により置換されており、
Rは、ヘテロシクリル、ヘテロアリール及びアリールから選択され、前記基は、場合により、ハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルS(O)−(式中、xは前記に定義したとおりである)、C〜C−アルキルSONH−、HNSO−、C〜C−アルキルNHSO−、(C〜C−アルキル)NSO−、CN、OH、OC〜C−アルキルから選択される1〜4個の基で置換されており、かつ前記C〜C−アルキル及び前記基のC〜C−アルキル部は、場合により、1〜5個のハロゲン及び、OH及びOC〜C−アルキルから選択される1個の基で置換されている]で示される化合物又はその製剤学的に認容性の塩又は溶媒和物である。
【0064】
更なる適当な11−β−HSDインヒビターは、特許出願WO03/065983号に記載されるインヒビターである。従って、適当なインヒビターは、特に式X
【0065】
【化13】

[式中、
式Xにおいて、
は、アダマンチルであって、前記基は非置換であるか、又はハロゲン、OCH、OCF、CH、CF及びフェニルから無関係に選択される1〜5個の置換基で置換されており、その際、前記フェニルは非置換であるか、又は1〜3個のハロゲンで置換されており、
Wは、NR及び単結合からなる群から選択され、
Xは、CH及び単結合からなる群から選択され、
Zは、S及び単結合からなる群から選択され、
は、水素及びC〜C−アルキルからなる群から選択され、その際、アルキルは非置換であるか、又は1〜5個のフッ素で置換されており、
は、水素、
〜C10−アルキル(前記基は非置換であるか、又は0〜5個のハロゲン及びヒドロキシ及びC〜C−アルコキシから選択される0又は1個の基から無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されている)、
〜C10−アルケニル(前記基は非置換であるか、又は0〜5個のハロゲン及びヒドロキシ及びC〜C−アルコキシから選択される0又は1個の基から無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されている)、CHCOH、CHCO〜C−アルキル、CHCONHR、(CH0−2〜C−シクロアルキル、(CH0−2〜C12−ビシクロアルキル、(CH0−2アダマンチル及び(CH0−2Rからなる群から選択され、前記C〜C−シクロアルキル及びC〜C12−ビシクロアルキルは、場合により1〜2個の二重結合を有し、かつ前記のC〜C−シクロアルキル、C〜C12−ビシクロアルキル及びアダマンチルは非置換であるか、又は(a)0〜5個のハロゲン、CH、CF、OCH及びOCF、及び(b)0又は1個のフェニルから無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記フェニルは非置換であるか、又はハロゲン、OCH、OCF、CH及びCFから無関係に選択される1〜4個の基で置換されており、
は、水素、
〜C10−アルキル(前記基は非置換であるか、又は0〜5個のハロゲン及びヒドロキシ及びC〜C−アルコキシから選択される0又は1個の基から無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記アルコキシ基は非置換であるか、又は1〜3個のハロゲンで置換されている)、
〜C10−アルケニル(前記基は非置換であるか、又は0〜5個のハロゲン及びヒドロキシ及びC〜C−アルコキシから選択される0又は1個の基から無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記アルコキシ基は非置換であるか、又は1〜3個のハロゲンで置換されている)、YC〜C−シクロアルキル、YC〜C12−ビシクロアルキル、Yアダマンチル及びYRからなる群から選択され、前記のC〜C−シクロアルキル及びC〜C12−ビシクロアルキルは、場合により1〜2個の二重結合を有し、かつ前記C〜C−シクロアルキル、C〜C12−ビシクロアルキル及びアダマンチルは非置換であるか、又は(a)0〜5個のハロゲン、CH、CF、OCH及びOCF、及び(b)0又は1個のフェニルから無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記のフェニルは非置換であるか、又はハロゲン、OCH、OCF、CH及びCHから無関係に選択される1〜4個の基で置換されており、
Rは、ベンゾジオキソラン、フラン、テトラヒドロフラン、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ピリジン、ピペリジン、ベンゾフラン、ジヒドロベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジヒドロベンゾチオフェン、インドール、ジヒドロインドール、インデン、インダン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、フェニル及びナフチルからなる群から選択され、その際、Rは非置換であるか、又はハロゲン、C〜C−アルキルチオ、C〜C−アルキルスルフィニル、C〜C−アルキルスルホニル、C〜C−アルケニルスルホニル、CN、OH、OCH、OCF及びC〜C−アルキルから無関係に選択される1〜4個の基で置換されており、前記のC〜C−アルキルは非置換であるか、又は1〜5個のハロゲン又はOH及びC〜C−アルコキシから選択される1個の置換基で置換されており、かつ
Yは(CH0−2及び(−HC=CH−)から選択されるか、又は
選択的に、R及びRは一緒になって架橋基Rを形成して、構造式Ia:
【0066】
【化14】

(式中、
はC〜C−アルキレン基(前記基は、場合によりO及びNRから選択される1個のヘテロ原子を、前記C〜C−アルキレン基の2つの隣接した炭素原子の間に有し、場合により1〜2個の炭素−炭素二重結合をRがC〜C−アルキレン基である場合に有し、かつ場合により前記のC〜C−アルキレン基の2つの隣接していない炭素原子を連結する炭素−炭素単結合をも有する)、又はC〜C−シクロアルキル基であり、その際、Rは、水素及びC〜C−アルキルからなる群から選択され、前記基は非置換又は、0〜5個のフッ素及び0又は1個のフェニルから無関係に選択される1〜6個の置換基で置換されており、前記のフェニルは非置換であるか、又はハロゲン、CH、CF、OCH及びOCFから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されており、その際、
は非置換であるか、又は1〜5個のR置換基で置換されており、その際、Rはそれぞれ無関係に、ハロゲン、OH、OCH、OCF、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、フェニル、ビフェニル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−アルキルオキシカルボニル、2個の隣接炭素を連結するエポキシ基及びRの1個の炭素においてゲミナルに二置換された1,3−ジオキソラニルから無関係に選択され、その際、C〜C−アルキル及びC〜C−アルケニルはそれぞれ非置換であるか、又は0〜3個のハロゲン及びフェニル、C〜C−アルキルオキシカルボニル、1個の炭素原子においてゲミナルに二置換された1,3−ジオキソラニルから選択される0〜2個の基から無関係に選択される1〜5個の置換基で置換されており、かつその際、フェニル、ビフェニル及びC〜C−シクロアルキルは、それぞれRとして又はR上の置換基として、非置換であるか、又はハロゲン、CH、CF、OCH及びOCFから無関係に選択される1〜3個の基で置換されており、その際、Rは、場合により縮合フェニル環、ベンゾジオキシニル環又はジヒドロベンゾジオキシニル環を有し、前記フェニル環、ベンゾジオキシニル環及びジヒドロベンゾジオキシニル環は非置換であるか、又はハロゲン、CH、CF、OCH及びOCFから無関係に選択される1〜3個の置換基で置換されており、かつその際、Rは、前記の随意の縮後うフェニル環、ベンゾジオキシニル間又はジヒドロベンゾジオキシニル環を含んで、かつR上の全ての置換基及び前記の縮合フェニル環、ベンゾジオキシニル環又はジヒドロベンゾジオキシニル環を含んで、20個より多くの炭素原子を有さない)で示される化合物となる]で示される化合物又はその塩である。
【0067】
他の適したインヒビターは、特許出願WO2004/027042号に記載されるインヒビターである。従って、適当なインヒビターは、特に式XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII及びXVIIIで示される化合物又はそれらの塩である:
【0068】
【化15】

[式中、
は、H又はCHであり、RはH、CH又はCHCHであり、RはH、CH、CHCH又はCHCHCHであり、Rは、H、CH又はCHCHであり、Rは、H、CH又はCHCHであり、Rは、H、CH、CHCH又はCHCHCHであり、RはH又はCHであり、XはOH、SH又はNHであり、X′はO、S又はNHであり、かつYはO、S、NH又はCHである]
【0069】
【化16】

[式中、
は、
【0070】
【化17】

でり、
は、
【0071】
【化18】

であり、その際、RはO又はSであり、かつRはH、OH又はハロゲン又は
【0072】
【化19】

であり、その際、Rは、H、OH又はハロゲンであり、かつRは、H、OH又はハロゲンであり、かつRは、OH、SH又はNHであり、R′はO、S又はNHであり、RはO、S、NH又はCHであり、RはN又はCHであり、かつR′はSO又はCHである]
【0073】
【化20】

[式中、R
【0074】
【化21】

である]
【0075】
【化22】

[式中、R
【0076】
【化23】

であり、
はH、OH又はハロゲンであり、RはOH、SH又はNHであり、R′はO、S又はNHであり、RはO、S、NH又はCHであり、RはN又はCHであり、かつR′はSO又はCHである]
更に適当なインヒビターは、特許出願WO2004/056745号に記載されるアダマンチルアセトアミドである。従って、適したインヒビターは、特に式XIX:
【0077】
【化24】

[式中、
nは0、1又は2の整数を表し、
mは0又は1の整数を表し、
及びRは、互いに無関係に、水素、C〜C−アルキル、NR10、C〜C−アルキルオキシ、Het−O−C〜C−アルキルであるか、又は
及びRは、これらが結合される炭素原子と一緒になって、カルボニル又はC〜C−シクロアルキルを形成し、かつnは2である場合に、R又はRは不飽和結合の形成がなくてよく、
は、水素、Ar、C〜C−アルキル、C〜C12−シクロアルキル又は以下の式
【0078】
【化25】

の1つを有する一価の基を表し、その際、前記のAr、C〜C12−シクロアルキル又は一価の基は、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルオキシ、フェニル、ハロゲン、オキソ、カルボニル、1,3−ジオキソリル又はヒドロキシからなる群から選択される1個の、又は可能であれば2個又は3個の置換基で場合により置換されていよく、特にRは、式a)又はb)を有する一価の基を表し、前記基は、場合により、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルオキシ、フェニル、ハロゲン、オキソ、カルボニル、1,3−ジオキソリル又はヒドロキシからなる群から選択される1個の、又は可能であれば2個又は3個の置換基で置換されていてよく、
は、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルケニルを表し、
Qは、C〜C−シクロアルキル、Het又はArを表し、その際、前記のC〜C−シクロアルキル、Het又はArは、ハロゲン、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、Het、フェニル、フェニルオキシ、C〜C−アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル、NR、C〜C−アルキルオキシ(前記基は、C〜C−アルキル、ヒドロキシカルボニル、Het、C〜C−アルキル又はNRからそれぞれ無関係に選択される1個の、又は可能であれば2個又は3個の置換基で置換されている)、
〜C−アルケニル(前記基は、フェニル−C〜C−アルキル−オキシカルボニル、C〜C−アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル又はHet−カルボニル及びC〜C−アルキルから選択される1個の置換基で置換されており、前記アルキルはハロゲン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、アミン、シアノ、Het、Het−カルボニル、C〜C−アルキルオキシカルボニル又はヒドロキシカルボニルから無関係に選択される1個の、又は可能であれば2個又は3個の置換基で置換されている)から選択される1個の、又は可能であればそれ以上の置換基で場合により置換されており、
及びRは、それぞれ無関係に、水素、C〜C−アルキル、C〜C−アルキルオキシC〜C−アルキル、C〜C−アルキルオキシカルボニル、C〜C−アルキルカルボニル、C〜C−アルキルカルボニルから選択され、前記基は、ハロゲン、C〜C−アルキル及びC〜C−アルキルオキシからそれぞれ無関係に選択される1個の、又は可能であれば2個又は3個の置換基で置換されているか、又はR及びRはそれぞれ無関係にフェニルで置換されたC〜C−アルキルを表し、
及びRは互いに無関係に、水素又はC〜C−アルキルから選択され、
及びR10は、それぞれ無関係に、水素、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルオキシカルボニルから選択され、
Lは、C〜C−アルキルを表し、前記基は場合により、C〜C−アルキル又はフェニルから選択される1個の、又は可能であればそれ以上の置換基で置換されており、
Hetは、ピリジニル、ピペリニジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、フラニル、ベンゾフラニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチオフェニル、チオフェニル、1,8−ナフチリジニル、1,6−ナフチリジニル、キノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、2H−ベンゾピラニル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾピラニル、2H−ベンゾチオピラニル、3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾチオピラニル又は1,3−ベンゾジオキソリルから選択される複素環を表し、
Hetは、ピペリジニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、2H−ピロリル、ピロリル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、ピロリジニル、又はモルホリニルから選択される単環式の複素環を表し、前記Hetは、場合により、ヒドロキシ、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルオキシから無関係にそれぞれ選択される1個の、又は可能であれば2個又は3個の置換基で置換されており、
Hetは、2H−ピラニル、4H−ピラニル、フラニル、テトラヒドロ−2H−ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル又はフラニルから選択される単環式の複素環を表し、
Hetは、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアゾリル、テトラゾリル又はモルホリニルから選択される単環式の複素環を表し、前記Hetは、場合により、ヒドロキシ、カルボニル、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルオキシから無関係にそれぞれ選択される1個の、又は可能であれば2個又はそれ以上の置換基で置換されており、
Hetは、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピペラジニル又はモルホリニルから選択される単環式の複素環を表し、前記Hetは、場合により、ヒドロキシ、カルボニル、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルオキシから無関係にそれぞれ選択される1個の、又は可能であれば2個又はそれ以上の置換基で置換されていてよく、特にピペラジニル又はモルホリニルであり、
Hetは、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピペラジニル又はモルホリニルから選択される単環式の複素環を表し、前記のHetは、場合により、ヒドロキシ、カルボニル、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルオキシから無関係にそれぞれ選択される1個の、又は2個又はそれ以上の置換基で置換されており、
Hetは、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピペラジニル又はモルホリニルから選択される単環式の複素環を表し、前記のHetは、場合により、ヒドロキシ、カルボニル、C〜C−アルキル又はC〜C−アルキルオキシから無関係にそれぞれ選択される1個の、又は可能であれば2個又はそれ以上の置換基で置換されており、特にピペラジニル又はモルホリニルから選択され、
Arは、1個以上の環を有する炭素環式基を表し、フェニル、ビフェニル、インデニル、2,3−ジヒドロインデニル、フルオレニル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル又はナフチルからなる群から選択され、
Arは、1個以上の環を有する炭素環式基を表し、フェニル、ビフェニル、ベンゾシクロブテニル、ベンゾシクロヘプタニル、ベンゾスベレニル、2,3−ジヒドロインデニル、フルオレニル、1,2−ジヒドロナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル又はナフチルからなる群から選択される]で示される化合物、そのN−オキシド形、製剤学的に認容性の付加塩及びそれらの立体化学的な異性体系である。
【0079】
更なる適当なインヒビターは、特許出願WO2004/065351号に記載されるアミド誘導体である。従って、適当なインヒビターは、特に式XXで示される化合物である。
【0080】
本発明は、式
【0081】
【化26】

[式中、
及びRは、無関係に、水素、シアノ、ハロゲン、ニトロ、トリフルオロメチル、場合により置換されたアミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又はヘテロアラルキルであるか、又は
及びRは、これらが結合される炭素原子と一緒に結合されて、場合により置換された5員ないし7員の芳香族環又は複素芳香族環を形成し、
は、場合により置換された低級アルキルであるか、又は
及びRは、Rが結合されたアミド基とR及びアミドが結合される炭素原子と一緒に結合されて、場合により置換された5員ないし7員の炭素環式環又は複素環式環を形成し、
は、場合により置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル又はヘテロアラルキルであるか、又は
及びRは、これらが結合される窒素原子と一緒になって、5員ないし8員の環を形成し、該環は、場合により置換されていてよいか、又は酸素、窒素及び硫黄から選択される別のヘテロ原子を有してよいか、又は
及びRは、これらが結合される窒素原子と一緒になって、8員ないし12員の縮合二環式環を形成し、前記環は、場合により置換されていてよいか、又は酸素、窒素及び硫黄から選択される別のヘテロ原子を有してよく、
Wは、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)NR、−NRC(S)NR、−NRS(O)、−NR、−C(O)NR、−OR又は−OC(O)NRであり、その際、
及びRは、無関係に、水素、場合により置換されたアルキル又はアラルキルであるか、又は
及びRは、場合により置換されたアルキレンであり、前記基は、Rが結合される窒素原子とW及びRが結合される炭素原子と一緒に結合されて、5員又は6員の環を形成し、
は、場合により置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル又はヘテロアラルキルであり、
は、場合により置換されたアルキル、アラルキル又はヘテロアラルキルであり、
は、水素、場合により置換されたアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルカノイル、アロイル又はヘテロアロイルであるか、又は
Wは、アリール又はヘテロアリールであるか、又は
Wは水素であるが、但し、Rは−NRZであり、その際、Zは−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−C(S)NR、−S(O)又は−Rであるか、又は
W及びRは、これらが結合される炭素原子と一緒に結合されて、6員の芳香族環又は複素芳香族環を形成し、前記環は、場合により、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−NRZ、−C(O)NR、−OR又は−OC(O)NRで置換されており、
X及びYは無関係にCH又は窒素であるか、又は
−X=Y−は、−CH−、酸素、硫黄又は−NR10−であり、その際、R10は水素又は低級アルキルである]で示されるアミド誘導体又はその製剤学的に認容性の塩を提供している。
【0082】
更なる適当なインヒビターは、式XXI及びXXII:
【0083】
【化27】

の化合物である。
【0084】
本発明の11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療において、単独で、又は炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療に効果的な少なくとも1種の有効成分と組み合わせて使用することができる。
【0085】
医薬製品は、有効量の本発明の化合物又はその塩に加えて、慣用のアジュバント、キャリヤー及び添加剤を用いることによって製造される。その医薬品の投与量は、投与様式、患者の年齢及び体重、治療すべき疾患の性質及び重度並びに同様の要因に依存して変化しうる。日用量は、一日一回投与される単一用量として決めることができ、又は一日一回以上の用量に分けることもでき、かつ通常は、体重70kgの個体に対して、通常は5〜100mg/kg(体重)、有利には7〜80mg/kg(体重)、より有利には10〜50mg/kg(体重)である。
【0086】
経口、舌下、静脈内、筋内、関節内、動脈内、髄内、鞘内、心室内、眼内、脳内、頭蓋内、吸入、気管内、鼻咽頭、経皮、皮膚内、皮下、腹腔内、鼻内、腸内及び/又は局所の投与及び/又は直腸部を介した、注入を介した及び/又は埋没物を介した投与が本発明によれば適している。本発明による化合物の経口投与が特に好ましい。ガレヌス剤形、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、分散性粉末、顆粒、水溶液、水性物質又は油状物質、シロップ、液剤又は点眼剤が使用される。
【0087】
固体剤形は、不活性成分及び担体、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、デンプン、マンニトール、アルギン酸塩、ゼラチン、ガーガム、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、タルク、コロイダルシリカ、シリコーン油、高分子量脂肪酸(例えばステアリン酸)、寒天又は植物又は動物の脂肪及び油、固形高分子量ポリマー(例えばポリエチレングリコール)を含有してよく、経口投与に適した調剤は、所望であれば、付加的に矯味剤及び/又は甘味料を含有してよい。
【0088】
液状剤形は滅菌されていてよく、かつ/又は、適宜、浸透圧の制御又は緩衝のため及び/又は粘度調節のために賦形剤、例えば保存剤、安定剤、湿潤剤、浸透剤、乳化剤、展着剤、可溶化剤、塩、糖類又は糖アルコールを含有してよい。
【0089】
かかる添加剤の例は、酒石酸緩衝液及びクエン酸緩衝液、エタノール、錯化剤(例えばエチレンジアミン四酢酸及びその非毒性塩)である。粘度制御に適しているのは、高分子量ポリマー、例えば液状ポリエチレンオキシド、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストラン又はゼラチンである。固体担体の例は、デンプン、ラクトース、マンニトール、メチルセルロース、タルク、コロイダルシリカ、高分子量脂肪酸(例えばステアリン酸)、ゼラチン、寒天、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、動物及び植物の脂肪、固形高分子量ポリマー、例えばポリエチレングリコールである。
【0090】
非経口又は局所的な使用のための油状懸濁液は、植物油、合成油又は半合成油、例えばそれぞれの場合において、脂肪酸鎖中に8〜22個の炭素原子を有する液状脂肪酸エステル、例えばパルミチン酸、ラルリン酸、トリデカン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、ペンタデカン酸、リノレン酸、エライジン酸、ブラシジン酸、エルカ酸又はオレイン酸であってよく、これらは1〜6個の炭素原子を有する一価ないし三価のアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール又はそれらの異性体、グリコール又はグリセロールでエステル化されている。かかる脂肪酸エステルの例は、とりわけ市販のミグリオール、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート、PEG6−カプリン酸、飽和脂肪アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル、ポリオキシエチレングリセロールトリオレエート、エチルオレエート、蝋状脂肪酸エステル、例えば人工のカモ尾腺脂、ココナツ脂肪酸、イソプロピルエステル、オレイルオレエート、デシルオレエート、エチルラクテート、ジブチルフタレート、ジイソプロピルアジペート、ポリオール脂肪酸エステルである。また適しているのは、様々な粘度のシリコーン油又は脂肪アルコール、例えばイソトリデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、セチルステアリルアルコール又はオレイルアルコール、脂肪酸、例えばオレイン酸である。また、植物油、例えばひまし油、扁桃油、オリーブ油、ゴマ油、綿実油、落花生油又は大豆油を使用することもできる。
【0091】
好適な溶剤、ゲル形成剤及び可溶化剤は、水又は水混和性溶剤である。好適な例は、アルコール、例えばエタノール又はイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、2−オクチルドデカノール、ポリエチレングリコール、フタレート、アジペート、プロピレングリコール、グリセロール、ジ−又はトリプロピレングリコール、蝋、メチルセロソルブ、セロソルブ、エステル、モルホリン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、シクロヘキサンなどである。
【0092】
使用できる皮膜形成剤は、水と有機溶剤の両方において可溶又は膨潤性であるセルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース又は可溶性デンプンである。
【0093】
ゲル形成剤と皮膜形成剤との組合せた形も可能である。特に、この目的のために、イオン性巨大分子、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸及びそれらの塩、ナトリウムアミロペクチンセミグリコレート、アルギン酸又はプロピレングリコールアルギン酸塩、例えばナトリウム塩、アラビアゴム、キサンタンゴム、ガーゴム又はカラギナンが使用される。
【0094】
使用することができる更なる製剤用助剤は、グリセロール、様々な粘度のパラフィン、トリエタノールアミン、コラーゲン、アラントイン、ノバンチゾール酸(novantisolic acid)である。
【0095】
また、形面活性剤、乳化剤又は湿潤剤、例えばNaラウリルスルフェート、脂肪アルコールエーテルスルフェート、ジ−Na−ラウリル−β−イミノジプロピオネート、ポリエトキシ化ひまし油又はソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート(例えばTween)、セチルアルコール、レシチン、グリセリルものステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、セチルトリメチル塩化アンモニウム又はモノ/ジアルキルポリグリコールエーテルオルトリン酸モノエタノールアミン塩を製剤用に使用する必要があることもある。
【0096】
エマルジョンの安定化のために又は活性物質の分解の抑制のために、安定剤、例えばモンモリロナイト又はコロイダルシリカ、例えば抗酸化剤、例えばトコフェラール又はブチル化ヒドロキシアニソール、又は保存剤、例えばp−ヒドロキシ安息香酸エステルが同様に、所望の製剤の製造のために適宜、必要となることもある。
【0097】
非経口投与のための調剤は、個別の用量単位形、例えばアンプル又はバイアルで存在してよい。有効成分の溶液を使用することが好ましく、有利には水溶液及び、特に等張液が使用されるが、また懸濁液も使用される。これらの注入形は、完成製品として入手することができ、又は有効成分、例えば凍結乾燥物と、適宜、更なる固体担体と一緒に、所望の溶剤又は懸濁剤とを混合することによって使用直前に製造することができる。
【0098】
鼻内調剤は、水溶液又は油状溶液又は水性懸濁液又は油状懸濁液の形であってもよい。また該調剤は凍結乾燥物であってもよく、これらは好適な溶剤又は懸濁剤と一緒に使用前に製造される。
【0099】
これらの製品の製造、瓶詰め及び密封は通常の抗菌条件と無菌条件において行われる。
【0100】
本発明の更なる態様は、有効成分として、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビター又はそれらの塩を含有し、かつ製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有し、その際、前記の11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターは、前記の式1〜31からなる群から選択される医薬品組成物を含む。
【0101】
有利な一実施態様では、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターの医薬品組成物は、前記の式Iの構造を有する。
【0102】
本発明のもう一つの有利な実施態様では、該医薬品組成物は、前記の式13、14、24及び25からなる群から選択される。
【0103】
更なる実施態様では、該医薬品組成物は、有利には、前記の式IIの構造を有する。より有利には、式IIの構造は前記の式16である。
【0104】
本発明のもう一つの実施態様では、該医薬品組成物は前記の式7を有する。
【0105】
本発明によれば、医薬品組成物は、有利には、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療用であり、より有利には、骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、パジェット病、溶骨性転移、関節炎、変形性関節症、リウマチ様関節炎、若年性慢性関節炎、慢性関節炎、アジュバント関節炎、感染症、癌による骨量減少、HIVによる骨量減少、歯芽欠損、骨髄炎、髄膜炎、軟骨侵食及び/又は骨侵食及び/又はプロテオグリカン損傷の予防及び/又は治療用である。
【0106】
本発明の医薬品組成物は、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビター及び製剤学的に認容性の担体又は希釈剤の他に、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療において有効な少なくとも1種の有効成分を含有してよい。
【0107】
該医薬品組成物は、任意の数の経路によって、例えばこれらに制限されないが、経口、舌下、静脈内、筋内、関節内、動脈内、髄内、鞘内、心室内、眼内、脳内、頭蓋内、吸入、気管内、鼻咽頭、経皮、皮膚内、皮下、腹腔内、鼻内、腸内及び/又は局所の投与及び/又は直腸部を介した、注入を介した及び/又は埋没物を介した投与によって投与することができる。前記の投与経路が経口であることが好ましい。
【0108】
用語“製剤学的に認容性の”とは、有効成分の生物学的活性の効果を妨げない非毒性の材料を意味する。かかる調剤は、通常は、製剤学的に認容性の濃度の塩、緩衝剤、保存剤、相溶性担体、補助免疫相乗剤、例えばアジュバント及びサイトカイン及び、場合により他の療法剤、例えば化学療法剤を含有してよい。
【0109】
医薬において使用する場合には、その塩は、製剤学的に認容性であることが望ましいが、製剤学的に認容性でない塩を製剤学的に認容性の塩の製造に慣用に使用することができ、それは本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0110】
医薬品組成物は、好適な緩衝剤、例えば酢酸を塩で、クエン酸を塩で、ホウ酸を塩で、そしてリン酸を塩で含有してよい。
【0111】
医薬品組成物は、場合により好適な保存剤、例えば塩化ベンゾアルコニウム、クロロブタノール、パラベン及びチオメルサールを含有してもよい。
【0112】
医薬品組成物は、慣用には、単位投与形で存在してよく、かつ薬学分野でよく知られた任意の方法によって製造することができる。全ての方法は、活性剤を1種以上の補助成分の構成要素である担体に加える工程を含む。一般に、該組成物は、活性剤を液状担体、微細固体担体又はその両者に均一かつ完全に加えて、必要であれば生成物を成形することによって製造される。
【0113】
経口投与に適した組成物は、個別単位、例えばカプセル、錠剤、ロゼンジとして存在してよく、そのそれぞれは予定された量の有効化合物を含有する。他の化合物は、例えば水性液体又は非水性液体における懸濁液、例えばシロップ、エリキシル又はエマルジョンである。
【0114】
非経口投与に適した組成物は、慣用には、被験者の血液と等張性であることが好ましい滅菌の水性又は非水性の調剤を含む。この調剤は、公知の方法に従って、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて配合することができる。滅菌注射用調剤は、非毒性で非経口的に許容できる希釈剤又は溶剤中の滅菌注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用してよい許容可能なベヒクル及び溶剤は、水、リンガー液及び等張性の塩化ナトリウム溶液である。更に、滅菌不揮発性油は、溶剤又は懸濁媒体として慣用に使用される。このために、任意の無菌の不揮発性油、例えば合成のモノグリセリド又はジグリセリドを使用してよい。更に、脂肪酸、例えばオレイン酸を注射用調剤で使用してよい。
【0115】
経口、皮下、静脈内、筋内などの投与に適した担体製剤は、レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA)に見受けることができる。
【0116】
本発明の有利な一実施態様では、該医薬品組成物は、哺乳動物に、有利にはヒトに、一日当たり5〜100mg/kg(体重)の用量で、より有利には一日当たり7〜80mg/kg(体重)の用量で、殊に有利には一日当たり10〜50mg/kg(体重)の用量で、そして最も有利には一日当たり20mg/kg(体重)の用量で投与される。この用量は、体重70kgの個体に対するものである。
【0117】
本発明のもう一つの有利な実施態様では、該医薬品組成物は破骨細胞活性の阻害用である。それというのも、破骨細胞活性と骨芽細胞活性との間の破骨細胞活性方向への不均衡が、骨量減少及び/又は軟骨量減少を特徴とする骨格異常をもたらすからである。
【0118】
実施例
実施例1
アジュバント誘発性関節炎(AIA)
不完全フロイントアジュバント中の高熱殺菌されたヒト型結核菌(Mycobaterium tuberculosum)により尾の基部に皮内注射することで、罹病性のDA又はLEW近交系ラット系統において14日以内で破壊性関節炎が引き起こされる。AIAも、IFA中の他の細菌型由来の細胞壁により誘発できるが、関節炎誘発性は異なる。腫瘍壊死因子a(TNF−a)、インターロイキン1(IL−1)及びIL−6の合成増加が、アジュバント注射後4日目に早くも検出される。その疾病は、数週間にわたり、臨床的には一相性過程であるように思われるまで迅速に進行する。顆粒球と自己反応性CD41細胞がこの疾病において主要な役割を担う。体液性免疫機構は、この疾病プロセスの原因であるとは見られない。前記の独特なラット疾病モデルは、関節だけでなく、胃腸管及び尿生殖路、皮膚及び目をも含む全身性プロセスを表す。AIAは臨床的かつ組織学的に、ヒトのリウマチ様関節炎に類似性を有する。
【0119】
前記の動物モデルにおいて、印象的には、骨量減少と、部分的に関連の軟骨破壊は実質的にT細胞による破骨細胞活性化に依存することが裏付けられる。従って、この動物モデルは、理想的には、治療効果が改善された新規の治療薬の開発に適している機構と標的とを調査するのにかなっている。事実、関節炎と、免疫媒介性骨量減少に関連した他の状態についての殆どの最近の治療は、炎症を改善するだけであるが、骨量減少及び軟骨量減少を止めるのに役に立たない。
【0120】
図2は、炎症並びに骨量減少及び軟骨量減少に対する、18−β−グリシレチン酸の効果を示している。
【0121】
BX−1初期:疾病誘導時点(0日目)及び2日目、4日目でBX−1を皮内注入
BX−1後期:関節の最初の徴候時点、9日目、11日目、13日目でBX−1を皮内注入
試料は、代表的な試験群当たりに3頭のラットの左後肢と右後肢の両方によるものである。
【0122】
データをSEMとして示す。
【0123】
【表10】

【0124】
組織学
切除したラットの関節をH&Eで染色した。髄膜組織学スコアを、染色片において髄膜炎を特定する半定量的スコア(0〜4)、骨侵食及び軟骨侵食を測定する半定量的スコア(0〜4)、骨髄浸潤を測定する半定量的スコア(0〜4)及び関節外炎症を測定する半定量的スコア(0〜4)を用いて(最大スコア16)決定した。
【0125】
統計学
両側の対応のないスチューデントt検定を用いて、Abレベル、サイトカインレベル、臨床的関節炎スコア及び組織学スコアを、StatView(SAS Institute, Cary, NC)及びMathsoftコンピュータソフト(Mathsoft, Cambridge, MA)を用いて比較した。
【0126】
関節炎ラットからの後肢関節の組織学的結果
ラットの足首滑動部を、5種の基準に従って評価した(DL Boyle他による盲目評価(blind evaluation by DL Boyle et al.)、サンディエゴ在のカリフォルニア大学(J. Immunol., Jan 2002; 168: 51-56)):
1. 関節外の炎症
2. 骨髄浸潤(BM)
3. 髄膜炎
4. 軟骨侵食/骨侵食
5. プロテオグリカン損傷
骨髄の浸潤の完全な不存在は、前記の小分子薬剤での如何なる短期間及び/又は断続的な治療でも観察されなかった。
【0127】
更に前記データは、BX−1(18−β−グリシレチン酸)が関節炎の病状の全腕部と、T細胞及び樹状細胞活性化、全身性炎症及び骨髄浸潤に良い影響を及ぼすことを示している。BX−1のヘミスクシネート、つまりカルベノキソロンによって同様の効果が見られた(示さず)。
【0128】
組織学的所見は、それらの動物が後期治療後に、すなわち疾病の発症後に緩解に向かう理由と、今までに調査されたあらゆるモデル、即ちアジュバント関節炎及びプリスタン誘発性関節炎(示さず)の治療の中断後の疾病の症状再燃の徴候が完全にない理由を説明している。
【0129】
全体にわたって、これらのデータは、BX−1が、リウマチ様関節炎だけでなく、歯周病及び他の炎症性状態でも観察される炎症性及び/又は免疫性の骨破壊を軽減するのに理想的な薬剤となりうることを示唆している。事実、歯周病の病理と、骨破壊をもたらす他の病理とは、リウマチ様関節炎における骨破壊について近年認められた経路と同様の経路に従うように思われ(Annu. Rev. Immunol., Jan 2002; 20: 795-823)、このことは、BX−1と関連薬剤に関する新規の特別な機会を提供する。BX−1は、11−β−HSD1型及び2型の確立されたインヒビターであるので、酵素がこれらをインヒビターで遮断することは、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少に関連した疾病を治療するために最も見込みのある手段である。
【0130】
実施例2
材料
細胞培養試薬は、インビトロジェン社(Carlsbad, CA)から、[1,2,6,7−H]−コルチゾンは、アメリカン・ラジオラベルド・ケミカルズ社(American Radiolabeled Chemicals)(ミズーリ州セントルイス)から、そして[1,2,6,7−H]−コルチゾールは、アマシャム・バイオサイエンス社(General Electrics Healthcare, Piscataway, NJ)から購入した。薄層クロマトグラフィー(TLC)プレート(SIL G-25 UV254)は、Macherey-Nagel社(Oensingen、スイス)から購入した。
【0131】
11β−HSD活性のためのアッセイ
11β−HSD酵素活性の阻害を測定するのに使用したスクリーニングアッセイは、ヒトの11β−HSD1又はヒトの11β−HSD2のいずれかで安定的にトランスフェクションされたHEK−293細胞由来の細胞溶解物における放射性標識されたコルチゾン又はコルチゾールの変換を基礎としている(Schweizer et al. 2003, Frick et al. 2004)。これらの細胞を10cm皿において80%の集密度まで増殖させ、ステロイド不含媒体(HyClone社(Logan, Utah)からのチャコール処理したウシ胎仔血清(FCS))中で16時間インキュベートした。これらの細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1回すすぎ、細胞を引き離し、そして150×gで3分間遠心分離した。上清を除去し、細胞ペレットをドライアイスエタノール浴中で急速凍結させた。その試験日に、細胞ペレットをバッファーTS2(100mMのNaCl、1mMのEGTA、1mMのEDTA、1mMのMgCl、250mMのスクロース、20mMのトリスHCl、pH7.4)中に再懸濁し、超音波処理し、そして直ちに活性測定を行った。コルチゾールからコルチゾンへの変換速度又はその逆反応の変換速度を、96ウェルの光学PCR反応プレート(アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)、Foster City, CA)において最終容量22μlで測定し、そしてそれらのチューブを反応の間は蒸発を避けるために栓をした。
【0132】
酸化酵素活性の測定:
反応は、細胞溶解物10μl及び試験されるべき阻害性化合物、NAD、30nCiの[1,2,6,7−H]−コルチゾール及び未標識のコルチゾールを適当な濃度で含有するTS2バッファー12μlを同時に添加することによって開始した。400μMのNAD及び25nMのコルチゾールの最終濃度を使用した。メタノール又はDMSO中のインヒビターの原液をTS2バッファー中で希釈して、適当な濃度を得て、それにより反応中のメタノール又はDMSOの濃度を0.1%に保った。0.1%の溶剤を用いた又は用いない対照反応を実施した。インキュベートを37℃で10分間振盪しながら行い、反応を、メタノール中に溶解された2mMの未標識のコルチゾールとコルチゾンとを含有する停止液10μlを添加することによって停止させた。標識されたコルチゾールの変換率を、TLC及び9:1(容量/容量)のクロロホルム:メタノールの溶剤系を用いてコルチゾールとコルチゾンとを分離して、シンチレーション計数を引き続き行うことによって測定した。インヒビターの不存在下に、約30%のコルチゾールがコルチゾンに変換された。
【0133】
還元酵素活性の測定:
反応は、細胞溶解物10μl及び試験されるべき阻害性化合物、NADPH、30nCiの[1,2,6,7−H]−コルチゾン及び未標識のコルチゾンを適当な濃度で含有するTS2バッファー12μlを同時に添加することによって開始し、それにより最終濃度は400μMのNADPH及び100nMのコルチゾンであった。活性は、細胞破壊直後に、放射性標識されたコルチゾンからコルチゾールへの変換を10分間測定することによって測定した。
【0134】
酵素動力学は、非線形回帰によって、一次速度動力学を推測するデータ・アナリシス・ツールボックス(Data Analysis Toolbox)(MDL Information Systems Inc.)を用いて分析した。データは、4〜5つの独立試験の平均値±SDを表す。
【0135】
参考文献
Schweizer, R. A., Atanasov, A. G., Frey, B. M., and Odermatt, A. (2003) Mol Cell Endocrinol 212, 41-49
Christoph Frick, Atanas G. Atanasov, Peter Arnold, Juris Ozols, and Alex Odermatt (2004) J Biol Chem, 279, 131-138
実施例3
基質としては、11β−HSD1の阻害は、100nMのコルチゾンで、11β−HSD2の阻害は25nMのコルチゾンで測定した(約30%の見掛けKm濃度)。
【0136】
アッセイは、反応混合物中に20μMの相応の化合物を用い、同時に基質を添加して行った:
【0137】
【表11】

【0138】
実施例4
IC50値は、7種の異なるインヒビター濃度を用いて2倍の間隔で測定した:
【0139】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のための医薬品の製造のための、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビター又はそれらの製剤学的に認容性の塩の使用。
【請求項2】
哺乳動物における炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のための、請求項1記載の使用。
【請求項3】
哺乳動物がヒトである、請求項2記載の使用。
【請求項4】
骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、パジェット病、溶骨性転移、関節炎、若年性慢性関節炎及び/又はアジュバント関節炎、感染症、癌による骨量減少、HIVによる骨量減少、歯芽欠損、骨髄炎、髄膜炎、軟骨侵食及び/又は骨侵食及び/又はプロテオグリカン損傷の予防及び/又は治療のための、請求項1から3までのいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
変形性関節炎及び/又はリウマチ様関節炎からなる群から選択される、歯周炎及び/又は関節炎の予防及び/又は治療のための、請求項4記載の使用。
【請求項6】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、以下の式:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

からなる群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項7】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、式I
【化1】

[式中、
は、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基又はチオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、前記の環式の基は、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C〜C−アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基、チオ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基によって一置換又は多置換されていてよく、
は、水素、C〜C−アルキル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、カルボニル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基又はチオ基であり、
は、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基又はチオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、その際、炭素13から14までの化学結合は飽和又は不飽和である]で示される構造又は塩又は個々のエナンチオマー、ジアステレオマー又はそれらの混合物の形の誘導体を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項8】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、以下の式:
【化2】

からなる群から選択される、請求項7記載の使用。
【請求項9】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが式II
【化3】

[式中、
は、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基、チオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、前記の環式の基は、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、C〜C−アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、C〜C−アルコキシカルボニル基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基、チオ基、C〜C−アルキル基、C〜C−アルケニル基又はC〜C−アルキニル基によって一置換又は多置換されていてよく、
は、水素又はC〜C−アルキルであり、
及びRは、それぞれ、水素、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状のC〜C10−アルキニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アミノアルキル)基、チオ基、飽和又は不飽和の、芳香族又は複素芳香族の単環式又は多環式の基であり、
は、水素、C〜C−アルキル基、カルボニル基、エステル基、アミノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、カルボキシフェノキシ基、C〜C−アルコキシ基、C〜C−アルコキシカルボニル基、C〜C−アルキルアミノ基、ジ(C〜C−アルキル)アミノ基、シアノ基、カルボキシアミド基、カルボキシ(C〜C−アルキル)アミノ基、カルボキシ−ジ(C〜C−アルキル)基、スルホ基、スルフィド(C〜C−アルキル)基、スルホキシド(C〜C−アルキル)基、スルホノ(C〜C−アルキル)基又はチオ基であり、その際、炭素8から9までの化学結合は飽和又は不飽和であり、炭素13から14までの化学結合は飽和又は不飽和である]で示される構造又は塩又は個々のエナンチオマー、ジアステレオマー又はそれらの混合物の形の誘導体を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の使用。
【請求項10】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、
【化4】

である、請求項9記載の使用。
【請求項11】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、
【化5】

である、請求項6記載の使用。
【請求項12】
医薬品が、少なくとも1種の11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターと一緒に、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療に有効な少なくとも1種の有効成分を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の使用。
【請求項13】
医薬品を、一日当たりに5〜100mg/kg(体重)の用量で投与する、請求項1から12までのいずれか1項記載の使用。
【請求項14】
医薬品を、経口、舌下、静脈内、筋内、関節内、動脈内、髄内、鞘内、心室内、眼内、脳内、頭蓋内、吸入、気管内、鼻咽頭、経皮、皮膚内、皮下、腹腔内、鼻内、腸内、局所、直腸部を介して、注入を介して、かつ/又は埋没物を介して投与する、請求項1から13までのいずれか1項記載の使用。
【請求項15】
医薬品を経口で投与する、請求項14記載の使用。
【請求項16】
有効成分として、11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビター又はそれらの塩及び製剤学的に認容性の担体又は希釈剤を含有し、その際、前記の11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、以下の式1〜31:
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

からなる群から選択される医薬品組成物。
【請求項17】
11β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、請求項7記載の式Iの構造を有する医薬品組成物。
【請求項18】
11β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、請求項8記載の式13、14、24及び25からなる群から選択される、請求項17記載の医薬品組成物。
【請求項19】
11−β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、請求項9記載の式IIの構造を有する医薬品組成物。
【請求項20】
11β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、請求項10記載の式16である、請求項19記載の医薬品組成物。
【請求項21】
11β−HSD1型及び/又は2型のインヒビターが、請求項11記載の式7である医薬品組成物。
【請求項22】
炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療のための、請求項16から21までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項23】
骨粗鬆症、閉経後骨粗鬆症、パジェット病、溶骨性転移、関節炎、変形性関節炎、リウマチ様関節炎、若年性慢性関節炎、慢性関節炎、アジュバント関節炎、感染症、癌による骨量減少、HIVによる骨量減少、歯芽欠損、骨髄炎、髄膜炎、軟骨侵食及び/又は骨侵食及び/又はプロテオグリカン損傷の予防及び/又は治療のための、請求項16から22までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項24】
請求項16から23までのいずれか1項記載の医薬品組成物であって、更に、炎症性及び/又は免疫媒介性の骨量減少及び/又は軟骨量減少の予防及び/又は治療に有効な少なくとも1種の有効成分を含有する医薬品組成物。
【請求項25】
経口、舌下、静脈内、筋内、関節内、動脈内、髄内、鞘内、心室内、眼内、脳内、頭蓋内、吸入、気管内、鼻咽頭、経皮、皮膚内、皮下、腹腔内、鼻内、腸内及び/又は局所の投与及び/又は直腸部を介した、注入を介した及び/又は埋没物を介した投与のための、請求項16から24までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項26】
一日当たりに5〜100mg/kg(体重)の用量で投与される、請求項16から25までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項27】
破骨細胞活性の阻害のための、請求項16から26までのいずれか1項記載の医薬品組成物。

【公表番号】特表2007−533625(P2007−533625A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527336(P2006−527336)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/010582
【国際公開番号】WO2005/027882
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(502153444)バイオネットワークス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】