説明

無機強化材配合成形用樹脂組成物

【課題】熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に無機強化材を配合した無機強化材配合成形用樹脂組成物について、優れた機械的物性、耐衝撃性を与えることを目的とする。
【解決手段】本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂95〜50重量部(B)無機強化材5〜50重量部(C)ジオール変性オレフィン系ワックス0.01〜10重量部を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機強化材配合成形用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、耐衝撃性、引張特性、曲げ特性等の機械的物性に優れた無機強化材配合成形用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂などの熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂は、融点あるいは軟化点が高く、しかも機械的物性に優れているので、自動車工業分野や電気、電子工業分野等の各種工業分野で広く使用されている。
【0003】
これら熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の剛性、耐熱性を高めるために、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機強化材を配合することが行われている。
しかし、無機強化材を配合すると、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の有する高い耐衝撃性が損なわれるという問題点があった。
【0004】
そこで、この無機強化材の配合による問題点を解消するため、カルボキシル基および/またはその誘導体基を有するオレフィン系ワックスを配合すること(特許文献1、2)、さらに複合ゴム系グラフト共重合体を配合すること(特許文献2)が行われている。しかし、これらの方法では、耐衝撃性は改良されるものの、外観不良が発生したり弾性率が低下するという問題点があった。
【特許文献1】特開平8−188708号公報
【特許文献2】特開平7−238213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に無機強化材を配合した無機強化材配合成形用樹脂組成物について、優れた機械的物性、耐衝撃性を与えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂に無機強化材を配合した熱可塑性樹脂組成物にジオール変性オレフィン系ワックスを配合することにより、引張特性、曲げ特性等の機械的物性、耐衝撃性等の優れた物性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明に係る無機強化材配合成形用樹脂組成物は、以下の(1)〜(6)である。
【0007】
(1)(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と(B)無機強化材との合計量100重量部に対し、(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂95〜50重量部(B)無機強化材5〜50重量部および(C)ジオール変性オレフィン系ワックス0.01〜10重量部を有することを特徴とする無機強化材配合成形用樹脂組成物。
(2)前記(C)ジオール変性オレフィン系ワックスが、下記の(i)〜(vi)で規定さ
れる(D)未変性のオレフィン系ワックスの不飽和基を酸化剤で処理することによって得られることを特徴とする(1)に記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
(i)エチレンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体、または
エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体。
(ii)1分子あたりの不飽和基含有量が0.1〜4.0個。
(iii)密度が870〜980kg/m3
(iv)融点が70〜130℃。
(v)数平均分子量が400〜5,000。
(vi)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下。
(3)前記(D)未変性のオレフィン系ワックスが、(i)エチレンとビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)とを共重合して得られる共重合体、またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとビニルノルボルネンとを共重合して得られる共重合体であることを特徴とする(2)に記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
(4)前記(C)ジオール変性オレフィン系ワックスを0.05〜7重量部有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
(5)前記(A)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
(6)前記(B)無機強化材がガラス繊維、カーボン繊維、フィラー類から選択される少なくとも1種の無機強化材であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂に(B)無機強化材を配合した効果である優れた剛性、耐熱性を維持しつつ、さらに(C)ジオール変性オレフィン系ワックスを配合することにより優れた耐衝撃性、機械的物性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明は、(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂、(B)無機強化材および(C)ジオール変性オレフィン系ワックスを有する無機強化材配合成形用樹脂組成物である。
【0010】
(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂
本発明で用いる(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である。すなわち、これらの(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂はそれぞれ1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
【0011】
これらの(A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂についての定義、製法については、周知であり、たとえば「実用プラスチック事典」(実用プラスチック事典 編集委員会編、株式会社産業調査会発行)等の刊行物に記載されている。
【0012】
以下の樹脂(1)〜(7)は熱可塑性樹脂である。
(1)ポリカーボネート樹脂
典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とホスゲンとを反応することにより得られる樹脂であるが、本発明においては、ジエチレングリコールジアリルカーボ
ネートが好ましい。
【0013】
このようなポリカーボネート樹脂は市販されており、例えば商品名NOVAREX(三菱化学(株))、パンライト(帝人化成(株))、レキサン(日本ジーイープラスチックス(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0014】
(2)熱可塑性ポリエステル樹脂
典型的には、ジカルボン酸とジオールとを重縮合させて得られる樹脂であるが、本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート等が好ましく用いられる。
【0015】
このような熱可塑性ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名ライナイト(デユポン ジャパン リミテッド)等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0016】
(3)ABS樹脂
典型的には、ポリブタジエンにアクリロニトリルおよびスチレンをグラフト重合させて得られる耐衝撃性樹脂であるが、本発明においては、ポリブタジエン成分が5〜40重量%であって、スチレン成分とアクリロニトリル成分の重量比(スチレン/アクリロニトリル)が70/30〜80/20であるものが好ましい。
【0017】
このようなABS樹脂は市販されており、例えば商品名スタイラック(旭化成工業(株))、サイコラック(宇部サイコン(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0018】
(4)ポリアセタール樹脂
典型的には、ホルマリンあるいはトリオキサンを、所望に応じてエチレンオキサイドと共に、カチオン触媒の存在下に開環重合して得られる樹脂であり、ポリオキシメチレン鎖を主骨格とする樹脂であるが、本発明においては、コポリマータイプのものが好ましい。
【0019】
このようなポリアセタール樹脂は市販されており、例えば商品名ユピタール(三菱エンジニヤリングプラスチックス(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0020】
(5)ポリアミド樹脂
典型的には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合、あるいはカプロラクタムの開環重合等により得られる樹脂であるが、本発明においては、脂肪族ジアミンと脂肪族または芳香族ジカルボン酸の重縮合反応物が好ましい。
【0021】
このようなポリアミド樹脂は市販されており、例えば商品名レオナ(旭化成工業(株))、ザイテル(デユポン ジャパン リミテッド)等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0022】
(6)ポリフェニレンオキシド樹脂
典型的には、2,6−ジメチルフェノールを銅触媒の存在下に酸化カップリングさせることにより得られる樹脂であるが、この樹脂に他の樹脂をブレンドする等の手法により変成した変成ポリフェニレンオキシド樹脂も、本発明において用いることができる。
【0023】
本発明においては、スチレン系ポリマーのブレンド変成物が好ましい。
このようなポリフェニレンオキシド樹脂は市販されており、例えば商品名ザイロン(旭化成工業(株))、ユピエース(三菱エンジニヤリングプラスチックス(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0024】
(7)ポリイミド樹脂
典型的には、テトラカルボン酸とジアミンとを重縮合させ、主骨格にイミド結合を生成させて得られる樹脂であるが、本発明においては、無水ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルから形成されるものが好ましい。
【0025】
このようなポリイミド樹脂は市販されており、例えば商品名ベスペル(デユポン ジャパン リミテッド)等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
以下に説明する樹脂(8)〜(10)は熱硬化性樹脂であり、熱硬化前の状態のものにつき説明する。
【0026】
(8)エポキシ樹脂
典型的には、芳香族ジオール(例えばビスフェノールA)とエピクロルヒドリンとをアルカリの存在下に反応させることにより得られる樹脂であるが、本発明においては、エポキシ当量170〜5000のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が好ましい。
【0027】
このようなエポキシ樹脂は市販されており、例えば商品名エポミック(三井石油化学工業(株))、エピクロン(大日本インキ化学工業(株))、スミエポキシ(住友化学工業(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0028】
(9)熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂
典型的には、脂肪族不飽和ジカルボン酸と脂肪族ジオールとをエステル化反応させることにより得られる樹脂であるが、本発明においては、マレイン酸やフマル酸等の不飽和ジカルボン酸と、エチレングリコールやジエチレングリコール等のジオールとをエステル化反応して得られる樹脂が好ましい。
【0029】
このような熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂は市販されており、例えば商品名リゴラック(昭和高分子(株))、スミコン(住友ベークライト(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0030】
(10)フェノール樹脂
本発明では、いわゆるノボラック型およびレゾール型いずれをも包含するが、ヘキサメチレンテトラミンで硬化させるノボラック型やジメチレンエーテル結合を主体とする固形レゾールが好ましい。
【0031】
このようなフェノール樹脂は市販されており、例えば商品名スミコンPM(住友ベークライト(株))、ニッカライン(日本合成化学工業(株))等をあげることができ、本発明において好ましく用いることができる。
【0032】
本発明においては、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂の1種であるポリブチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂との組み合せが好ましい。
【0033】
かかる(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂の含有量は、(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と(B)無機強化材成分と
の合計100重量部当たり、95〜50重量部であり、好ましくは94〜55重量部であり、より好ましくは93〜60重量部である。
【0034】
(B)無機強化材
本発明で用いる(B)無機強化材は、ガラス繊維、カーボン繊維、フィラー類から選択される少なくとも1種をいう。これら(B)無機強化材は1種で用いることもできるし、2種以上を組み合せて用いてもよい。
【0035】
ガラス繊維の種類は特に制限がないが、ロービングガラス、チョップドストランドガラス、ミルドガラスなどを用いることができる。また、これらは1種類でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0036】
ガラス繊維の長さは、押出し機などで樹脂と混合する際に折れることもあり、特に限定はないが、作業性の観点から0.3mm〜10mm、望ましくは2mm〜7mmが好ましい。本発明組成物中のガラス繊維の長さは、2mm〜5mmである。ガラス繊維の太さも特に限定ないが、平均繊維径が1〜25μm、好ましくは5〜17μmである。また、さらにアスペクト比(平均繊維長/繊維直径)については、25以下のものが好ましいが、異なるアスペクト比のガラス繊維を適当な比率で混合して用いることも可能である。ガラス繊維の断面形状についても特に限定はなく、円形、まゆ型、ひょうたん型、だ円型、円筒形などを用いることができる。
【0037】
また、ガラス繊維は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理されていてもよい。ここでいうシランカップリング剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0038】
その他にガラス繊維は、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等で集束処理されていてもよい。この場合、集束処理に用いられるオレフィン系樹脂やウレタン系樹脂は、組成物全体の物性に影響のない範囲で用いられる。
【0039】
さらにガラス繊維は、メッキ法および蒸着法などにより、ニッケル、銅、コバルト、銀、アルミニウム、鉄などおよびこれらの合金などの金属でコーティングされていてもよい。
【0040】
カーボン繊維は、形状、種類に特に制限はなく、形状は、チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状のものがあり、種類は、ピッチ系、ポリアクリロニトリル系のいずれであってもよい。
【0041】
これら原料組成物を紡糸または成形し次いで炭化することにより得られたものの他、気相成長法の如く基本的に紡糸工程を経ないで得られるカーボン繊維を使用することも可能である。
【0042】
かかる気相成長法のカーボン繊維を使用した場合には、繊維径が小さく且つL/Dも大きいため、高剛性と同時に、良好な外観を有する成形品を得ることが可能となる。
更に本発明のカーボン繊維は賦活処理を行うことにより比表面積を大きくしたものを使用することもできる。
【0043】
これらのカーボン繊維は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等で表面処理したものが好ましい。
また集束剤としては、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂等が挙げられるが、エポキシ系樹脂およびウレタン系樹脂が好ましい。
【0044】
また、繊維径については、一般には6〜18μmの範囲のものが使用されるが、本発明では直径が0.5〜15μmのものが好ましく、1〜10μmのものが特に好ましい。
本発明で使用するチョップドストランドのカット長は1〜15mmが好ましく、より好ましくは2〜10mm、最も好ましくは3〜8mmである。また、チョップドストランドは成形途中で破砕される。
【0045】
該樹脂組成物中におけるカーボン繊維の繊維軸方向の長さLと繊維径Dの比であるアスペクト比(L/D)は15〜100の範囲が好ましく、20〜50の範囲が更に好ましい。
【0046】
フィラー類としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化マグネシウムのような無定形フィラー、タルク、マイカ、あるいはガラスフレークなどの板状フィラー、ワラステナイト、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、あるいはホウ酸アルミニウムなどの針状フィラー、金属粉、金属フレーク、カーボンブラックなどの導電性フィラーなどが用いられる。その他ガラスビーズ、ガラス粉などが用いられる。これらフィラーは単体もしくは複数の組み合せで使用してもよいし、その表面に炭素被覆またはシランカップリング処理等を施したものを単体もしくは複数の組み合せとして使用してもよい。
【0047】
本発明においては、無機強化材のうち、ガラス繊維、カーボン繊維、フィラー類の使用が好ましく、ジオール変性オレフィン系ワックスとの親和性の観点から特にガラス繊維、フィラー類が好ましい。
【0048】
かかる(B)無機強化材の含有量は、(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と(B)無機強化材成分との合計100重量部当たり、5〜50重量部であり、好ましくは6〜45重量部であり、より好ましくは7〜40重量部である。5重量部より少なくなると、機械的物性向上の効果を十分得ることができず、50重量部より多くなると、成形時の外観に影響を及ぼす。
【0049】
(C)ジオール変性オレフィン系ワックス
(C)ジオール変性オレフィン系ワックスは、(D)未変性のオレフィン系ワックスを
製造し、それを変性することにより得られる。
【0050】
((D)未変性のオレフィン系ワックス)
本発明の(D)未変性のオレフィン系ワックスは、たとえば後述するようなメタロセ
ン触媒を用いて、オレフィンとジエンとを共重合することにより得ることができる。
【0051】
(D)未変性のオレフィン系ワックスの製造に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび/または炭素原子数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオ
レフィンが挙げられる。炭素原子数3〜12のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-
ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜10のα-オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3〜8のα-オレフィンであり、特に好ましくはプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-
ペンテンである。
【0052】
ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)、ジシクロペンタジエン、2-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエンなどが挙げられる。
【0053】
これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,4-ヘキサジエンまたは2-メチル-1,6-オクタジエンが好ましい。ノルボルネンは、嵩高い骨格を有するために、低密度であってもワックスを硬くでき、ワックス製品のブロッキングを起こしにくいため、特に好ましい。
【0054】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、上記のようなオレフィンとジエンとを共重合して得られるが、(D)未変性のオレフィン系ワックスとしては、エチレンとジエンとの共重合体またはエチレンと炭素原子数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも
1種のα-オレフィンとジエンとの共重合体であることが好ましい。
【0055】
本発明に係る(D)未変性のオレフィン系ワックスは、後述するようなメタロセン触媒を用いオレフィンとジエンとを共重合して得られたものが好ましい。
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、ジエンから導かれる構成単位を通常0.01〜5.0モル%、好ましくは0.01〜4.0モル%、より好ましくは0.1〜3.0モル%の割合で含有することが望ましい。また、(D)未変性のオレフィン系ワックスが炭
素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を含有する場合は、その含有率は0.01〜15モル%、好ましくは0.1〜12モル%が望ましい。
【0056】
本発明で用いる(D)未変性のオレフィン系ワックスが、ジエンから導かれる構成単位
を上記の範囲の割合で含有すると、重合活性も適度に高い。
また、炭素原子数3〜12のα−オレフィンから導かれる構成単位を上記の範囲の割合で含有すると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
【0057】
(D)未変性のオレフィン系ワックスがエチレン系共重合体である場合には、エチレンから導かれる構成単位は通常80〜99モル%、好ましくは86〜99モル%、より好ましくは90〜99モル%の範囲で含有されることが望ましい。(D)未変性のオレフィン系ワックスがエチレン共重合体であり、エチレンから導かれる構成単位が上記範囲内にあると、未変性のオレフィン系ワックスのブロッキングを抑えることができる。
【0058】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、不飽和基含有量が通常、平均で0.1〜4.0個/分子、好ましくは0.1〜3.0個/分子、より好ましくは0.5〜3.0個/分子、最も好ましくは1.0〜2.0個/分子の範囲である。
【0059】
(D)未変性のオレフィン系ワックス中の不飽和基含有量が上記範囲内にあると、(D)未変性のオレフィン系ワックスに多くのエポキシ基を含有させることができるため、少量の(D)未変性のオレフィン系ワックスで本発明の効果を得ることができる。特に、(D)未変性のオレフィン系ワックス中の不飽和基含有量が平均で1.0個/分子以上であれば、ほぼ全ての(D)未変性のオレフィン系ワックスにエポキシ基を含有させることができるため、少量の(D)未変性のオレフィン系ワックスで本発明の効果を得ることができる。
【0060】
なお、(D)未変性のオレフィン系ワックス中の不飽和基含有量は、以下のようにして測定される。
13C-NMRによって、不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積を比較す
ることより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。1分子あたりの
不飽和基含有量は、数平均分子量(Mn)×M/14,000により得ることができる。
1,000炭素あたりの不飽和基数Mは通常、1.4〜140個、好ましくは2.8〜35
個、より好ましくは4〜30個である。
【0061】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、密度勾配管法で測定した密度が870〜980kg/m3、好ましくは870〜950kg/m3、より好ましくは870〜920kg/m3、さらにより好ましくは880〜920kg/m3の範囲にある。(D)未変性のオ
レフィン系ワックスの密度が上記範囲内にあると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
【0062】
本発明で用いる(D)未変性のオレフィン系ワックスは、示差走査熱量計(DSC)で
測定した融点が70℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上、かつ、それぞれの下限に対し、130℃以下、好ましくは125℃以下、より好ましくは120℃以下であることが望ましい。(D)未変性のオレフィン
系ワックスの融点が上記範囲内にあると、表面のタック感が少なく、機械的特性、衝撃性に優れる成形用樹脂組成物を得ることができる。
【0063】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜5,000、好ましくは800〜4
,500、より好ましくは1,000〜3,000、さらにより好ましくは1,500〜2,500の範囲にある。(D)未変性のオレフィン系ワックスのMnが上記範囲内にあると
、表面のタック感が少ない成形用樹脂組成物が得られ、該成形用樹脂組成物中のジオール変成オレフィン系ワックスの分散性に優れる。
【0064】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が通常4.5以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下である。なお、分
子量分布の下限は1.0である
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
【0065】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常0.04〜0.47dl・g-1、好ましくは0.05〜0.47dl・g-1、より好ましくは0.07〜0.20dl・g-1、さらにより好ましくは0.10〜0.18dl・g-1の範囲にある。
【0066】
(D)未変性のオレフィン系ワックスの135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が上記範囲内にあると、表面のタック感が少ない成形用樹脂組成物が得られ、該成形用樹
脂組成物中のジオール変成オレフィン系ワックスの分散性に優れる。
【0067】
(D)未変性のオレフィン系ワックスは、通常、針入度が15dmm以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、さらにより好ましくは1dmm以下である。針入度はJIS K2207に準拠して測定することができる。(D)未変性のオレフィン系ワックスの針入硬度が上記範囲内にあると、成形用樹脂組成物の機械的特性に優れる。
【0068】
本発明に係る(D)未変性のオレフィン系ワックスは、(ii)不飽和基含有量が0.1
〜4.0個/分子であり、(iii)密度が870〜980kg/m3であり、(iv)融点が70〜130℃であり、(v)数平均分子量(Mn)が400〜5,000であり、(vi
)Mw/Mn(Mw:重量平均分子量)が4.0以下であることが望ましい。また、(vii)針入硬度が15dmm以下であることも望ましい。
【0069】
上述したような(D)未変性のオレフィン系ワックスは、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
【0070】
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
1Lx …(1)
【0071】
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M1の原子価、Lは配位子である。M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム
などがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配
位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-またはt-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0072】
上記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0073】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルフォン酸含有基(-SO31)(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)、ハロゲン原子または水素原子などが挙げられ
る。
【0074】
(メタロセン化合物の例-1)
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価xが4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2k3l4m5n1 …(2)
【0075】
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4及びR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有
するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0076】
1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくと
も2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフル
オロメタンスルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0077】
上記の化合物の中で、1,3-位置換シクロペンタジエニル基を1,2-位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4
及びR5の少なくとも2個、例えばR2及びR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(
配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4及びR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0078】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニル
シリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0079】
(メタロセン化合物の例-2)
またメタロセン化合物の例としては、下記一般式(3)で表される特開平4-2683
07号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0080】
【化1】

ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、
ハフニウムが挙げられる。
【0081】
11及びR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、R11及びR12は、塩素原子であることが好ましい。
【0082】
13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;-N(R20)2、-SR20、-OSi(R20)3、-Si(R20)3または-P(R20)2基である。
【0083】
ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13及びR14は、特に水素原子であることが好ましい。
【0084】
15及びR16は、水素原子が含まれないことを除きR13及びR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15及びR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
【0085】
上記一般式(3)において、R17は次の群から選ばれる。
【0086】
【化2】

=BR21、=AlR21、-Ge-、-Sn-、-O-、-S-、=SO、=SO2、=NR21
=CO、=PR21、=P(O)R21など。M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好まし
くはケイ素またはゲルマニウムである。ここで、R21、R22及びR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。また、R17は、=CR2122、=SiR2122、=GeR2122、-O-、-S-、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。R18及びR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。m及びnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0087】
上記一般式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4-268307号公報に記載の方法で製造す
ることができる。
【0088】
(メタロセン化合物の例-3)
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0089】
【化3】

式(4)中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジ
ルコニウム、ハフニウムなどである。R24及びR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R26、R27、R28及びR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。X1
及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1
〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素原子含有基またはイオウ原子含有基を示すYは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR30-、-P(R30)-、-P(O)(R30)-、-BR30-または-AlR30-(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0090】
式(4)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表さ
れるものなどが挙げられる。
【0091】
【化4】

(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
【0092】
(メタロセン化合物の例-4)
メタロセン化合物としては、また下記一般式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0093】
【化5】

式(5)中、M3、R24、R25、R26、R27、R28及びR29は、上記一般式(4)と同
じである。R26、R27、R28及びR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。R26、R27、R28及びR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。またR26、R27、R28及びR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24及びR25と同様のものが挙げられる。X1、X2及びYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0094】
上記一般式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac-ジメ
チルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウム
ジクロリドなど。
【0095】
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0096】
(メタロセン化合物の例-5)
メタロセン化合物として、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0097】
【化6】

式(6)中、M3、R24、X1、X2及びYは、上記一般式(4)と同じである。R24
炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0098】
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac-ジメ
チルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジ
メチルシリレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-
1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-
4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0099】
(メタロセン化合物の例-6)
またメタロセン化合物として、下記一般式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM432 …(7)
【0100】
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0101】
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
【0102】
【化7】

式(8)中、M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。X3は上記一般式(7)で説明したものと同様である。CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有す
る置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。このような式(8)で
表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなど
。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
【0103】
(メタロセン化合物の例-7)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0104】
【化8】

式(9)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジ
ルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基及び芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。R32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
【0105】
【化9】

32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル
、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7-ジアルキル-フルオレニル基
が好適な例として挙げられ、この場合の2,7-ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。R33及びR34は互いに同一でも異なっていてもよく、上記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33及びR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1-フェニル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR35-、-P(R35)-、-P(O)(R35)-、-BR35-または-AlR35-(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらの2価の基のうちでも、-Y-の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0106】
(メタロセン化合物の例-8)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(10)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0107】
【化10】

式(10)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジ
ルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R36はこれらのうち、アル
キル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n-プ
ロピル、i-プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α-ナフチル、β-ナ
フチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、上記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。R38及びR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R38及びR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR40-、-P(R40)-、-P(O)(R40)-、-BR40-または-AlR40-(ただし、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20
の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0108】
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
【0109】
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。
【0110】
【化11】

ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
【0111】
アルミノオキサンは式(OAl(R'))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位
及び式(OAl(R'’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R'及びR'’;はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R'及びR'’;は相異なる基を
表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0112】
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物及びカルボラン化合物を例示することができる。ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロ
メチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニ
ル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフ
ェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0113】
上記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イ
オン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1-プロピル)アンモニ
ウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0114】
上記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0115】
上記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウ
ム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ
(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩
(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0116】
上記カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(9)、1,3-ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-
カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0117】
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物及び/またはイオン化イオン性化合物とともに、以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0118】
(有機アルミニウム化合物)
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl-炭素結合を有する化合物が使用できる、このような化合物としては、例えば下記一
般式(11)で表される有機アルミニウム化合物、
(R6)m Al(OR7)np4q …(11)
(式中、R6及びR7は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X4はハロゲン原子である。mは0<m≦
3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。)及び下記一般式(12)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
(M5)Al(R6) …(12)
(式中、M5はLi、NaまたはKであり、R6は上記一般式(11)のR6と同じであ
る。)
【0119】
(D)未変性のオレフィン系ワックスの製造方法
本発明で用いられる(D)未変性のオレフィン系ワックスは、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンとジエンを通常液相で共重合するか、またはエチレンとジエンおよびα-オレフィンを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用い
られるが、α-オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは
、前述した通りである。
【0120】
重合方法は、(D)未変性のオレフィン系ワックスがヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、(D)未変性のオレフィン系ワックスが溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
【0121】
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
【0122】
有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10,000、好ましくは10〜5,000の量で供給される。
【0123】
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0124】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
重合反応は、通常温度が-20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ま
しくは70〜180℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ
圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の
条件下に行われる。
【0125】
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα-オレフィンは、前記した特
定組成の(D)未変性のオレフィン系ワックスが得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
【0126】
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理すると(D)未変性のオレフィン系ワックスが得られる。
重合反応は、特に(メタロセン化合物の例-6)で示したメタロセン化合物を含む触媒
の使用が好ましい。
【0127】
((C)ジオール変性オレフィン系ワックス)
本発明において用いる(C)ジオール変性オレフィン系ワックスは、重合体中に含まれる不飽和基を酸化してエポキシ基含有体を生成させた後、水またはアルコール類と反応させることなどにより得られる。すなわち、本願のジオール変性体は、2つのOH基が隣接した炭素に結合した構造を少なくとも1つ含むものである。具体的には、(C)未変性のオレフィン系ワックスより得られるエポキシ基含有重合体、あるいはエポキシ基含有重合体から得られるエステル基含有重合体を、水またはアルコール類と反応させることによりジオール変性オレフィン系ワックスを得ることができる。以下に代表的なジオール変性オレフィン系ワックスの製造例を示す。
【0128】
<エポキシ基含有重合体の製造>[工程1]
本発明における[工程1]では、未変性のオレフィン系ワックスを、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸からなる群から選ばれる一種以上のカルボン酸と過酸化水素との存在下に反応させて、エポキシ基含有重合体を得る。
【0129】
カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの脂肪族カルボン酸、および安息香酸、4−メチル安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸からなる群から、一種以上のカルボン酸を選択して用いる。これらのうち、過酸の分解温度と反応温度との関係から、酢酸またはプロピオン酸が好ましく、酢酸が特に好ましい。
【0130】
使用するカルボン酸の量は、原料の未変性のオレフィン系ワックス1モルに対し0.5モル〜10モル、好ましくは0.8モル〜8モル、更に好ましくは1.0モル〜5モルである。
【0131】
使用する過酸化水素は、通常水溶液として用いられ、その濃度は、3質量%〜90質量%、好ましくは5質量%〜70質量%、更に好ましくは10質量%〜50質量%である。過酸化水素の使用量は原料の二重結合含有重合体1モルに対し0.5モル〜10モル、好ましくは0.8モル〜8モル、更に好ましくは1.0モル〜5モルである。
【0132】
本発明における[工程1]では、必要に応じて反応溶媒を使用することもできる。反応溶媒としては、酸化反応に影響を受けない溶媒が使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒を挙げることができる。
【0133】
本発明の[工程1]の一般的な実施形態は、反応器に、溶媒、カルボン酸類、未変性のオレフィン系ワックスを入れて混合し、均一に溶解するまで昇温する。反応温度にした後、過酸化水素水をゆっくり滴下する。反応温度は用いる未変性のオレフィン系ワックスが溶融する温度が好ましいが、反応系中で生成する過酸の分解温度も鑑みて設定する必要がある。また、生成する過酸によっては爆発性を示すため温度設定には注意を要する。反応温度は25℃から150℃、好ましくは50℃〜110℃、更に好ましくは80〜100℃である。100℃以上で反応する場合、過酸化水素の滴下により突沸する恐れがあるため、オートクレーブ等適切な反応装置を選択する。反応に要する時間は、過酸化水素とカルボン酸の比率、反応温度、オレフィン類の溶媒への溶解性や反応性等の反応条件により変わるが、通常数分〜50時間であり、好ましくは0.1〜10時間、より好ましくは0.5〜5時間の範囲である。過酸化水素の滴下速度は、反応速度と反応熱の除去速度にあわせて、徐々に滴下する。
【0134】
本発明の方法では、反応混合物のpHを調整して反応を行ってもよい。pHは、1.0〜5.0の間、好ましくはpH1.5〜4.0の間が好ましい。反応混合物のpHは、使用するカルボン酸種を変更する、あるいは硫酸、燐酸等の酸の水溶液を添加することにより調整できる。
【0135】
エポキシ基含有重合体のエポキシ基含有率は、例えば、FT−IRにおいて確認することができる。例えば、未変性のオレフィン系ワックスをエポキシ化して得られたエポキシ基含有重合体の場合、993cm-1のビニル基由来のピークが消失し、876cm-1付近のピークによってエポキシ基の生成を確認できる。
【0136】
本発明の製造方法では、副生物の生成が少ないため、[工程1]の後、そのまま引き続いて後述する[工程2]を実施することができる。また必要に応じて、分液、晶析、洗浄等の簡単な操作により、カルボン酸、水、反応溶媒を除いて目的とするエポキシ基含有重合体を取り出すこともできる。また所望により得られたエポキシ基含有重合体を更に精製することもできる。
【0137】
<エステル基含有重合体の製造>[工程2]
本発明における[工程2]では、[工程1]で得られるエポキシ基含有重合体に、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸からなる群から選ばれる一種以上のカルボン酸を反応させることにより、エステル基含有重合体を製造することができる。
【0138】
エステル基含有重合体の製造方法において、使用するカルボン酸は、エポキシ基を開環させるのに適度な酸性度を有していれば特に限定されないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの脂肪族カルボン酸、および安息香酸、4−メチル安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸からなる群から、一種以上のカルボン酸を選択して用いる。このうち、重合体のエポキシ基を開環させるのに適度な酸性度を有し、かつ入手が容易な点から、ギ酸または酢酸が好ましく、ギ酸が特に好ましい。
【0139】
エステル基含有重合体の製造において、カルボン酸の使用量はエポキシ基含有重合体1モルに対して0.1モル〜50モル、好ましくは0.5モル〜20モルである。また、反応の温度は0〜200℃、好ましくは10〜150℃である。反応に要する時間は0.1〜30時間、好ましくは0.5〜10時間の範囲である。溶媒を使用する場合は、反応に影響を受けない溶媒が使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒を挙げることができる。
【0140】
また、エポキシ基含有重合体とカルボン酸との反応において、触媒を使用することもできる。触媒としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸などの鉱酸類、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、またはこれらのブロマイド、ヨーダイド、亜硫酸塩または硫酸塩である第4級アンモニウム塩類、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、塩化アルミニウムなどのルイス酸触媒、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのルイス塩基触媒を使用することができる。これらの触媒の使用量は、エポキシ基含有重合体1モルに対して0.001モル〜1モル、好ましくは0.01モル〜0.5モルの範囲である。
【0141】
本発明における[工程2]は、[工程1]の後、そのまま引き続いて1ポットで実施してもよく、また得られたエポキシ基含有重合体を一旦取り出して精製等を行ってから実施しても良い。
【0142】
エステル基含有重合体の生成は、例えば、FT−IRによって確認できる。具体的には
、エチレンのみからなる片末端エポキシ基含有重合体をギ酸で開環したエステル基含有重合体の場合、エステル化が進行した場合には、エポキシ基由来の876cm-1のピークが減少し、1733cm-1のカルボニル基が現れることによって確認できる。
【0143】
<ジオール変性オレフィン系ワックスの製造>[工程3]
本発明における[工程3]では、[工程1]で得られるエポキシ基含有重合体、または[工程2]で得られるエステル基含有重合体を、好ましくは塩基触媒の存在下に、水またはアルコール類と反応させることにより、ジオール変性オレフィン系ワックスを製造することができる。
【0144】
反応に使用するアルコールは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、t−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。反応に用いる水またはアルコールの使用量は、エポキシ基含有重合体、またはエステル基含有重合体1モルに対して1〜100モル、好ましくは2〜50モルである。反応の温度は0〜200℃、好ましくは10〜150℃である。反応に要する時間は0.1〜30時間、好ましくは0.5〜10時間の範囲である。反応溶媒を使用する場合は、反応に影響をおよぼさない溶媒が使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、あるいは反応に使用する水、アルコール類を溶媒として用いることもできる。
【0145】
反応に使用する塩基触媒としては特に限定されないが、LiOH、NaOH、KOH、CsOH等が用いられる。これらの塩基触媒は固体のまま用いても良いし、水、あるいはアルコールの溶液、懸濁液として添加することもできる。塩基触媒の使用量は、エポキシ基含有重合体またはエステル基含有重合体1モルに対して0.001モル〜50モル、好ましくは、0.01モル〜10モルである。
【0146】
ジオール変性オレフィン系ワックスの製造は、エポキシ基含有重合体またはエステル基含有重合体を精製した後に反応を実施してもよいし、1ポットで実施しても良い。
ジオール変性オレフィン系ワックスの生成は、例えば、FT−IRによって確認できる。例えば、エチレンのみからなる片末端エポキシ基含有重合体を、前記ギ酸エステルを経由してジオール化した場合、カルボニル基由来の1733cm-1のピークが低減し、ヒドロキシル基由来のO-Hの伸縮振動3370cm-1および、1122cm-1のC−O伸縮
振動が現れることによって確認できる。
【0147】
かかるジオール変性オレフィン系ワックスの配合量は、(A)熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と(B)無機強化材成分からなる混合物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜7重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。0.01重量部より少ないと、機械的物性、耐衝撃性を十分に得ることができず、10重量部より大分、低分子量体のブリードアウトが顕著となり、成形用樹脂組成物にブロッキングが生じる。
【0148】
<任意成分>
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物には、本発明の目的および効果を損なわない範囲で任意の添加剤、たとえば臭素化ビスフェノール、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、トリフェニルホスフェート、ホスホン酸アミドおよび赤燐等のような難燃剤、三酸化アンチモンおよびアンチモン酸ナトリウム等のような難燃助剤、燐酸エステルおよび亜燐酸エステル等のような熱安定剤、ヒンダードフェノール等のような酸化防止剤、耐熱剤、耐候剤、光安定剤、離型剤、流動改質剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤および発泡剤等を必要に応じてその有効発現量配合してもよい。
【0149】
本発明の(C)ジオール変性オレフィン系ワックスを含む無機強化材配合成形用樹脂組成物は、引張特性、曲げ特性等の機械的物性や耐衝撃性に優れるが、その向上のメカニズムについては以下の様に考えられる。すなわち、ジオール変性オレフィン系ワックスと無機強化材との親和性、あるいはジオール変性オレフィン系ワックスが無機強化材表面を濡らす効果により、成形時にガラス繊維などの強化材にかかる剪断が抑制され、樹脂組成物中の強化材繊維が長い状態で存在する。これにより優れた引張特性、曲げ特性等の機械的物性が発現すると考えられる。また、耐衝撃性の向上については、ジオール変性オレフィン系ワックスが無機強化材の表面を覆っており、衝撃が与えられると、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂と、無機強化材を覆うジオール変性オレフィン系ワックス間に界面剥離が生じて、均一なボイド(空隙)が生じ、衝撃が吸収されると考えられる。
【0150】
<無機強化材配合成形用樹脂組成物の製造方法>
本発明の無機強化材配合成形用樹脂組成物を製造する方法は、任意の方法を用いることができる。例えば熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂、無機強化材、ジオール変性オレフィン系ワックスその他の任意成分を同時にまたは任意の順序で、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機などで混合する方法が適宜用いられる。
【0151】
このようにして得られた樹脂組成物は既知の種々の方法、例えば射出成形、押出成形および圧縮成形などにより成形される。
【実施例】
【0152】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(D)未変性のオレフィンワックスの性状については、以下の方法により測定し、表1に示した。
【0153】
(1)ジエンまたはα−オレフィンから導かれる構成単位の含有量の測定方法
未変性のワックス中のジエンまたはα−オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、13C−NMRによる不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積、または13C−NMRによるα−オレフィン部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積とを比較することにより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。
【0154】
(2)1分子あたりの不飽和基数の測定方法
1分子あたりの不飽和基含有量は、数平均分子量Mnと、上述で求めた1,000炭素あたりの不飽和基数Mを用いて、Mn×M/14,000により算出することができる。
【0155】
(3)密度の測定方法
JISK7112の密度勾配管法で測定した。
(4)融点の測定方法
融点は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを−20℃から200℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブの吸熱ピークを融点として求めた。この昇温測定の前に、一旦、樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、20℃/分で常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。
【0156】
(5)Mn、Mwの測定方法
数平均分子量Mn、および重量平均分子量Mwは、GPC測定から求めた。測定は以下の条件で行った。また、数平均分子量Mn、および重量平均分子量Mwは、市販の単分散
標準ポリスチレンを用いて検量線を作成し、下記の換算法に基づいて求めた。
装置 : ゲル浸透クロマトグラフAlliance GPC2000型(Waters社製)
溶剤 : o−ジクロロベンゼン
カラム: TSKgelカラム(東ソー社製)×4
流速 : 1.0 ml/分
試料 : 0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液
温度 : 140℃
分子量換算 : PE換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、以下に示すMark−Houwink粘度式の係数を用いた。
ポリスチレン(PS)の係数 : KPS=1.38×10-4, aPS=0.70
ポリエチレン(PE)の係数 : KPE=5.06×10-4, aPE=0.70
【0157】
<合成例1>
(オレフィン系ワックスの合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン950mlおよびプロピレン15ml、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)35mlを装入し、水素を0.25MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペ
ンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
【0158】
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基数が8.6個、1,000炭素あたりのプロピレン数が4.1個、不飽和基含有量(平均)=1.1個/分子であり、密度が945kg/m3であり、融点が112℃であり、Mnが1,800であり、Mwが4,
800であり、Mw/Mnが2.6であるオレフィン系ワックス(a−1)を得た。
【0159】
<合成例2>
(オレフィン系ワックスの合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン905mlおよびプロピレン35ml、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)60mlを装入し、水素を0.35MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、ジメチル(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペ
ンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
【0160】
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基数が14個、1,000炭素あたり
のプロピレン数が35個、不飽和基含有量(平均)=1.0個/分子であり、密度が910kg/m3であり、融点が90℃であり、Mnが1,000であり、Mwが2,300
であり、Mw/Mnが2.3であるオレフィン系ワックス(a−2)を得た。
【0161】
[合成例3]
(オレフィン系ワックスの合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 94
0ml、プロピレン25ml、ビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)35mlを装入し、水素を0.25MPa(ゲージ圧)となるまで導
入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少
量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
【0162】
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基数が8.1個、1,000炭素あたりのプロピレン数が17個、不飽和基含有量(平均)=1.0個/分子であり、密度が930kg/m3であり、融点が102℃であり、Mnが1,700であり、Mwが4,4
00であり、Mw/Mnが2.6であるオレフィン系ワックス(a−3)を得た。
【0163】
<調製例1>
オレフィン系ワックス(a−1)300g、トルエン600gを内容積3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた後、酢酸71gを加え、内温を90℃にした後、30%過酸化水素水67gを1時間かけて滴下した後、内温92℃で7時間撹拌した。IRにて993cm-1のピークの消失を確認後、温水を500g加えて静置し、水層を除去した。この操作を5回繰り返した後、
内温92℃でギ酸91gをゆっくり添加して、余剰な過酸化物を分解し、さらにエステル化反応を5時間実施した。IRにて876cm-1のエポキシのピーク消失を確認した後、温度を保ったまま、温水500gを加えて静置し、水層を除去した。これに5%KOHのn−BuOH溶液750gを加えて、温度を105℃で5時間攪拌した。IRにて1733cm-1のピークの消失を確認後、60℃まで冷却し、メタノール500gをゆっくり加えて冷却しながら、生成物を晶析させ、ろ取した固体をメタノールで洗浄した。得られた固体を2hPaの減圧下60℃で乾燥させることにより、ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)の白色固体を得た。
【0164】
<調製例2>
オレフィン系ワックス(a−2)300g、トルエン600gを内容積3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた後、酢酸116gを加え、内温を90℃にした後、30%過酸化水素水109gを1時間かけて滴下した後、内温92℃で7時間撹拌した。IRにて993cm-1のピークの消失を確認後、温水を500g加えて静置し、水層を除去した。この操作を5回繰り返した
後、内温92℃でギ酸148gをゆっくり添加して、余剰な過酸化物を分解し、さらにエステル化反応を5時間実施した。IRにて876cm-1のエポキシのピーク消失を確認した後、温度を保ったまま、温水500gを加えて静置し、水層を除去した。これに5%KOHのn−BuOH溶液1200gを加えて、温度を105℃で5時間攪拌した。IRにて1733cm-1のピークの消失を確認後、60℃まで冷却し、メタノール500gをゆ
っくり加えて冷却しながら、生成物を晶析させ、ろ取した固体をメタノールで洗浄した。得られた固体を2hPaの減圧下60℃で乾燥させることにより、ジオール変性オレフィン系ワックス(b−2)の白色固体を得た。
【0165】
<調製例3>
オレフィン系ワックス(a−3)300g、トルエン600gを内容積3リットルのセパラブルフラスコに仕込み、撹拌しながら30分間加熱還流し、重合物を完全に溶融させた後、酢酸67gを加え、内温を90℃にした後、30%過酸化水素水63gを1時間かけて滴下した後、内温92℃で7時間撹拌した。IRにて993cm-1のピークの消失を確認後、温水を500g加えて静置し、水層を除去した。この操作を5回繰り返した後、
内温92℃でギ酸86gをゆっくり添加して、余剰な過酸化物を分解し、さらにエステル化反応を5時間実施した。IRにて876cm-1のエポキシのピーク消失を確認した後、温度を保ったまま、温水500gを加えて静置し、水層を除去した。これに5%KOHのn−BuOH溶液700gを加えて、温度を105℃で5時間攪拌した。IRにて1733cm-1のピークの消失を確認後、60℃まで冷却し、メタノール500gをゆっくり加えて冷却しながら、生成物を晶析させ、ろ取した固体をメタノールで洗浄した。得られた固体を2hPaの減圧下60℃で乾燥させることにより、ジオール変性オレフィン系ワックス(b−3)の白色固体を得た。
表1に上記合成例で得られた未変性のオレフィン系ワックスの物性を示す。
【0166】
<実施例1>
ポリブチレンテレフタレート(ウインテックポリマー(株):ジュラネックス2002−EF2001)70重量部、ポリブチレンテレフタレート用グラスファイバー(日東紡(株):チョップドストランドCS3PE941S)30重量部およびジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)0.5重量部を二軸押出機(φ25mm同方向回転式:パーカーコーポレーション社製)を用い、シリンダー温度270℃のもと押出してペレット化した無機強化材配合成形用樹脂組成物を得た。
【0167】
このペレットを130℃、4時間乾燥後、射出成形機(EC−100N、東芝機械社製)を用い、シリンダー温度290℃、スクリュー回転数100rpm、射出一次圧力100MPa、二次圧力70MPa、金型温度80℃の条件で射出成形して、各JIS試験に従い、試験片を作成した。下記の方法により機械的物性の評価として、引張試験および曲げ試験を、耐衝撃性の評価として、衝撃試験を行ない、機械的物性と耐衝撃性のバランスに優れる結果を得た。無機強化材配合成形用樹脂組成物の配合を表2に示す。
【0168】
試験方法
(a)引張強度
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7162に基づき、荷重レンジ500kg、試験速度50mm/minの条件で引張強度、引張伸び率を測定した。
【0169】
(b)曲げ強度
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7171に基づき、荷重レンジ25kg、試験速度2mm/min、曲げスパン64mmの条件で曲げ強度と曲げ弾性率を測定した。
【0170】
(c)衝撃強度
射出成形機を用いて試験片を作成し、JIS K−7111に基づき、ハンマー重量2J、ハンマー回転周りのモーメント1.08N・J、ハンマー持ち上げ角度50°、衝撃速度2.9m/S、回転軸から打撃点までの距離0.23mの条件でシャルピー衝撃値を
測定した。
【0171】
<実施例2>
ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)の代わりにジオール変性オレフィン系ワックス(b−2)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ない、機械的物性と耐衝撃性のバランスに優れる結果を得た。
【0172】
<実施例3>
ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)の代わりにジオール変性オレフィン系ワックス(b−3)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ない、機械的物性と耐衝撃性のバランスに優れる結果を得た。
【0173】
<実施例4>
ポリブチレンテレフタレートの代わりにポリアミド(宇部興産(株):UBEナイロン1015B)、ポリブチレンテレフタレート用グラスファイバーの代わりにポリアミド用グラスファイバー(日東紡(株):チョップドストランドCSX 3J−451S)を用いた以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ない、機械的物性と耐衝撃性のバランスに優れる結果を得た。
【0174】
<実施例5>
ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)を3重量部用いた以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ない、機械的物性と耐衝撃性のバランスに優れる結果を得た。
【0175】
<比較例1>
比較のためジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)を添加しないこと以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ったところ、実施例に比較して機械的物性と耐衝撃性の値において良好な結果が得られなかった。
【0176】
<比較例2>
ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)の代りにマレイン酸変性のハイワックス1105A(三井化学(株))を使用する以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ったところ、実施例に比較して機械的物性と耐衝撃性の値において良好な結果が得られなかった。
【0177】
<比較例3>
ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)の代りに未変性のワックスであるハイワックス110P(三井化学(株))を使用する以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ったところ、実施例に比較して機械的物性と耐衝撃性の値において良好な結果が得られなかった。
【0178】
<比較例4>
ジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)を15重量部用いた以外は実施例1と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ったところ、実施例に比較して機械的物性と耐衝撃性の値において良好な結果が得られなかった。
【0179】
<比較例5>
比較のためジオール変性オレフィン系ワックス(b−1)を添加しないこと以外は実施例4と同様にしてペレット化し、ガラス繊維強化材配合熱可塑性樹脂組成物を得、実施例1と同様に射出成形を行って試験片を作成し、同様の引張試験、曲げ試験、衝撃試験を行ったところ、実施例に比較して機械的物性と耐衝撃性の値において良好な結果が得られなかった。
【0180】
【表1】

【0181】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と(B)無機強化材との合計量100重量部に対し、(A)熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂95〜50重量部、(B)無機強化材5〜50重量部および(C)ジオール変性オレフィン系ワックス0.01〜10重量部を有することを特徴とする無機強化材配合成形用樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)ジオール変性オレフィン系ワックスが、下記の(i)〜(vi)で規定される
(D)未変性のオレフィン系ワックスの不飽和基を酸化剤で処理することによって得られることを特徴とする請求項1に記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
(i)エチレンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体、または
エチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体。
(ii)1分子あたりの不飽和基含有量が0.1〜4.0個。
(iii)密度が870〜980kg/m3
(iv)融点が70〜130℃。
(v)数平均分子量が400〜5,000。
(vi)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下。
【請求項3】
前記(D)未変性のオレフィン系ワックスが、(i)エチレンとビニルノルボルネン(5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン)とを共重合して得られる共重合体、またはエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとビニルノルボルネンとを共重合して得られる共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)ジオール変性オレフィン系ワックスを0.05〜7重量部有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、熱硬化性不飽和ポリエステル樹脂およびフェノール樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。
【請求項6】
前記(B)無機強化材がガラス繊維、カーボン繊維、フィラー類から選択される少なくとも1種の無機強化材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の無機強化材配合成形用樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−292910(P2009−292910A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−146925(P2008−146925)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】