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無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法
説明

無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法

【課題】本発明の課題は、夾雑物の発生防止、厚さが均一なシートの作成、シートの表面性向上および見かけ比重の調整等ができる無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法の提供である。
【解決手段】薄膜シートの製造方法において、特定の無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を準備する工程と、所定の配合率で配合した原料に強い剪断応力を作用させて混練する工程と、混練した原料給して、Tダイ方式押出成形でシートを成形する工程と、特定の条件で延伸を行なって所望の見かけ比重に調整する工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法に係わり、低コストで、特に、印刷および加工に対する適性を付与した白色度及び不透明度が高い薄膜シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
鉱物資源のなかでも、石灰石は、ほぼ無尽蔵に近いほど多量に自然界に存在するといわれている。近年、この石灰石の粉末である炭酸カルシウムを高配合して、紙状の薄膜シートに成形したものが、環境に優しい紙として提案され(特許文献1参照。)、実用に供されている。
【0003】
(従来技術の一例)
近年開発された環境に優しい紙の製造法は、56〜80重量%の炭酸カルシウム粉末、43〜18重量%のポリエチレン樹脂および1〜2重量%の添加剤を混合して造ったペレットをインフレーション式押出成形機で成形し、紙状の薄膜シートとする(特許文献1参照。)。
【0004】
上記の技術で製造された薄膜シートは、商品として販売されているが、次のような品質上の問題から一部の用途に限られている。この商品は、シート表面に遊離もしくは軽く付着した炭酸カルシウムなどの原料の粉末が夾雑物としてかなりの量存在すること、いわゆるインフレーション法押出成形機で成形されているため、厚さが均一でないこと、少なくとも市場に出荷される商品は、見かけ比重が1.3程度あり、且つ1種類であるため、重さ感で敬遠されるなどの欠点がある。
【0005】
以上の欠点のうち、夾雑物は、印刷工程でインキの転移に重要な役割を果たすブランケットに付着もしくは損傷を与えるため、印刷作業に障害となる。また、厚さが不均一なことは、印刷インキの転移を不均一にして印刷品質を低下させるほか、厚さにむらがあると、原反の巻取でしわやタルミが発生し、加工の分野で使用することがほとんど不可能となっている。
【0006】
これらの欠点を解決する方法として、薄膜シートの巻取製品については、紙粉除去装置を利用し、また薄膜シートの平判製品については、人手による全数検品の作業で夾雑物が多いシートをほぼ取り除くことも可能だが、大幅なコスト増となる。
【0007】
これらの製品の厚さが不均一なことについては、製造工程のインフレーション法押出成形機において、円形のダイの円周部で回転あるいは温度調節など行なって製品の厚さのむらを減少させるほかないが、これらの対策も設備コストが著しく高くなり、その上生産性低下などあって付加価値が比較的少ない薄膜シートの商品の場合には採用しにくい問題点があった。
【0008】
上記の従来技術を補うために、インフレーション法押出成形機のサーキュラーダイから押出された中空フィルム管を膨張させる際の条件を改めて3〜8倍と数値化し、シートを上に引っ張る力も働くことから、二軸延伸の効果を強く主張する提案がなされた(特許文献2参照。)。しかし、インフレーション成形に二軸延伸の作用があることは周知であり、また、特許文献1に記載された従来技術と比較して、特に機械装置に変更があるとも思えない。その上、実際には、インフレーション法押出成形機で細かな延伸条件を含めて生産を安定化していくことは容易でないので、新たに提案された技術で、これまでの問題点はほとんど解決されていない。
【0009】
(従来技術の他の例)
上記とは全く別に、無機微細粉末5〜40重量%を含有するオレフィン系重合体を縦方向に延伸したフィルムを基材層とし、この基材層の少なくとも片面に、無機微細粉末8〜65重量%を含有するプロピレン系共重合体あるいは高密度ポリエチレンを溶融混練したものをシート状にラミネートし、次にテンターを用いて横方向に延伸してつくられた、表面粗さが0.3〜1.5μmのものを接着して表面もしくは表裏面が接着した複層構造フィルムが提案された。しかし、この提案された複層構造フィルムである合成紙は、表面に数多くの長尺状の亀裂を有しているため、無機微細粉末が脱落しやすく、印刷工程で障害となった。そこで、表面層もしくは表裏面層に接着するシートに存在する無機微細粉末の表面を、プロピレン系共重合体あるいは高密度ポリエチレンで被覆する手段を追加することが提案され(特許文献3参照。)。以上の技術は実用化されて、日本でもその製品が合成紙として広く使用されている。
【0010】
しかし、上記複層構造フィルムの製造方法では、縦方向は4〜7倍、横方向は4〜12倍に延伸する必要があり、実施例でも縦方向を5倍、横方向を7.5倍としたと記されている(特許文献3参照。)。このように延伸倍率が大きいと、表面に長尺状の亀裂が入るなど、紙質にも悪影響が出て、表面層もしくは表裏面層の無機微細粉末表面をフィルム状物質で被覆する操作を必要とする原因になっている(特許文献3参照。)。
【0011】
さらに、この提案された複層構造フィルムである合成紙は、製造工程が複雑で、特殊な樹脂を使うなど、製造方法からみて明らかなように、木材パルプから造られる一般の紙に比べコストが高く、安いという紙の特徴はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−277623号公報
【特許文献2】特開2011−031623号公報
【特許文献3】特開平7−314622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、無機物質粉末を高配合することによる高白色度および高不透明度の薄膜シートの作成において、印刷およびその他の加工分野で使用する際の作業性および得られる印刷物および加工品の品質を、いずれも顧客が満足する程度まで向上させることが可能である、薄膜シートの製造方法を提供することにある。
【0014】
具体的には、夾雑物の発生防止、厚さが均一なシートの作成、製品見かけ比重の制御ならびに汎用樹脂の使用、生産性の向上による製造コストの抑制が課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するため次の手段をとる。夾雑物については、発生の原因である無機物質粉末の粒子径の範囲の選択で、シートの厚さの精度、生産性の向上については、いずれに対しても最良と定評があるTダイ方式の押出成形機の選択で、シートの見かけ比重については延伸機を利用し、延伸条件の所定の適切な管理方法と熱可塑性樹脂の選択により、表面性については無機物質粉末の選択により、必要によっては、カレンダも利用する。粒子径の大きな粒子を含まない無物質粉末を用いること、Tダイ方式の押出成形機でシート化すること、延伸機を用いて所定の縦横の延伸倍率で処理すること等によって解決することを最も主要な特徴とし、これらの解決のため汎用樹脂の使用並びに装置面の工夫によりコスト上昇を抑えることも解決手段に含まれる。
【0016】
上記の課題のうち夾雑物については、従来技術の製造工程では、薄膜シートが通過するロール間でニップ圧がかかっても、なおもシート表面に突出する無機物質粉末が問題であり、その課題を解決するために使用する無機物質粉末の最大粒子径を50μmと規定した。また、使用する無機物質粉末の平均粒子径についても、後に記す理由に基づきその範囲を規定した。
【0017】
本発明の課題を解決するための手段は、無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を所定の配合率で混練し、成形し、延伸して、薄膜シートに仕上げる無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法において;
前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を準備する工程と、ここで、前記無機物質粉末が、0.5〜15μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず;
原料として、前記無機物質粉末を60重量%〜82重量%、前記熱可塑性樹脂を18重量%〜40重量%、補助剤を0.05重量%〜4.0重量%の配合率で、二軸のスクリューを装備した押出成形機に投入することにより、前記原料に対して高い剪断応力を作用させて混練し、混練した原料をダイスをとおしてTダイ方式により押出成形して無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程と;
縦方向、横方向の延伸倍率をいずれも1.1倍〜3.0倍に抑えて、延伸後の薄膜シートが所望の見かけ比重を有するように縦延伸および/もしくは横延伸を行う工程と;
を有する無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法であって;
前記熱可塑性樹脂が、延伸倍率を1.1倍〜3.0倍としたとき前記無機物質粉末高配合薄膜シートの見かけ比重を0.55〜1.40に低下させることができるように選択され、
前記延伸を行う工程において、前記熱可塑性樹脂を上記のように選択することにより、白く、不透明で、0.55〜1.40の範囲の前記所望の見かけ比重に調整する、
ことを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0018】
前記熱可塑性樹脂が、無機物質粉末を高配合した混練溶融物の流動性を改善する。
【0019】
無機物質粉末を高配合した熱可塑性樹脂の混練溶融物は、粘度が高く流動性が不良で、実用的には無機物質粉末を40重量%以上配合してTダイ方式でシートを成形することは難しいといわれてきた。
【0020】
この状態を解決するために、発明者らは、まず機械的な面では、二軸のスクリューで高い剪断応力を作用させて混練することが効果的であると認めた。
【0021】
さらに、無機物質粉末を高配合した熱可塑性樹脂の混練溶融物は、部分的に凝集しやすいことが分り、凝集部分をダイス内部で再分散させる必要があり、そのためには、ダイス内部の流路に小さな障壁を設ければよいと考えた。
【0022】
以上のように対処してもなお流動性が十分でない場合には、ダイス出口から出た溶融物シートを、可及的速やかに50℃以上に、且つ原料に使用する樹脂の融点以下の温度に加温されたロールに接触させ、ロール上にシートを形成させた後、ロール引取工程に送ることで改善可能である。
【0023】
前記の高粘度、流動性不良の状態を解決するには、原料の面で、熱可塑性樹脂の選択も重要である。しかし、押出成形したシートを、次の工程で延伸する場合、無機物質粉末高配合の原料においては、熱可塑性樹脂によって延伸しにくいものがある。
【0024】
そのため、延伸の工程で、延伸倍率を1.1倍〜3.0倍としたとき、前記無機物質粉末高配合薄膜シートの見かけ比重を0.55〜1.40の範囲に低下させることができるような樹脂をまず該無機物質粉末に対応する延伸適応樹脂として選択する。次に、この樹脂のみでは流動性改善が必要な場合には、無機物質粉末高配合による混練溶融物の流動性低下に対し改善の効果がある熱可塑性物質を探索し、この樹脂を該無機物質粉末に対応する混練適応樹脂として選択する。その上で、延伸適応樹脂もしくは延伸適応樹脂と混練適応樹脂とを組み合わせて使用すると、効率よく安定して薄膜シート中間体を成形することが可能となる。
【0025】
無機物質粉末高配合の場合、無機物質粉末に対応する延伸適応樹脂の選択が重要となる。
【0026】
評価のためには、該無機物質粉末に熱可塑性樹脂を比較的混練しやすい濃度、例えば樹脂量が全量の55重量%〜65重量%、で混練し、Tダイ方式押出成形機でシート化して、そのシートの延伸性を評価する。延伸性評価は、JIS K7127:1999の方法により引張試験を行ない、最高の伸び(%)が測定される温度で測定した伸び(%)で評価するのが適切な方法といえる。なお、この測定で、例えば、伸び(%)が10の場合、延伸倍率は1.1倍となる。
【0027】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程が、前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂および補助剤からなるペレットを作成する工程と、前記ペレットを一軸もしくは二軸のTダイ方式押出成形機で押出成形する工程とからなる2つの独立した工程からなることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0028】
本発明の課題を解決するための他の手段は、無機物質粉末、前記熱可塑性樹脂、補助剤を所定の配合率で混練し、押出成形機で成形し、延伸して、表層および/または裏層からなるスキン層と、コア層との3つ若しくは2つの層からなる薄膜シートに仕上げる無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法において、
前記スキン層用の前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を含むスキン層用原料を準備する工程と、
前記スキン層用の無機物質粉末が、0.5〜4μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず、
前記コア層用の前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を含むコア層用原料を準備する工程と、
前記コア層用の前記無機物質粉末が、4〜15μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず;
下記の所定の配合率で前記スキン層用原料を混練する工程と、
下記の所定の配合率で前記コア層用原料を混練する工程と、
前記スキン層用および前記コア層用の前記無機物質粉末の配合率が、60重量%〜82重量%であり、
前記スキン層用および前記コア層用の前記熱可塑性樹脂の配合率が、18重量%〜40重量%であり、
前記スキン層用および前記コア層用の前記補助剤の配合率が、0.05重量%〜4.0重量%であり;
混練した前記スキン層用原料および混練した前記コア層用原料の供給量を、前記スキン層の表裏2層がそれぞれ10〜30部となると共に前記コア層が40〜80部となるように分配して、2種3層Tダイ方式押出成形機で薄膜シート中間体を成形する工程と;
前記薄膜シート中間体に対して逐次延伸もしくは同時二軸延伸を行なって、外観が紙に類似し、不透明で、印刷および加工適性が優れ、且つ顧客が所望する見かけ比重に調整する工程と;
を有し、
記スキン層用および前記コア層用の前記熱可塑性樹脂が、前記延伸時に縦、横方向いずれの延伸倍率も1.1倍〜3.0倍で薄膜シートの見かけ比重を0.6〜0.8に低下させることができる樹脂であることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シート製造方法である。
【0029】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程において、前記ダイスが、前記混練した原料の再凝集部分を再分散させるようにデザインされたダイスである、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0030】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程において、ダイス出口から出た溶融物シートを、50℃以上に、且つ原料に使用する前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度に加温されたロールに可及的速やかに接触させ、前記ロール上にシートを形成させた後、ロール引取工程に送ることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。この場合、効率等の面で有効な手段となる。
【0031】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記無機物質粉末に対し任意の熱可塑性樹脂を比較的混練しやすい配合比率で配合し、混練および成形して得た薄膜シート中間体について、最大の伸び(%)が得られる温度でJIS K7127:1999の方法により引張試験を行ない、伸び(%)の数値から延伸可能な延伸倍率を推定して、期待のものであれば前記無機物質粉末に対する延伸適応樹脂として前記熱可塑性樹脂を選択し、前記熱可塑性樹脂のみでは混練溶融物の流動性をさらに改良する必要がある場合には、無機物質粉末高配合による混練溶融物の流動性低下に対し改善の効果がある熱可塑性樹脂を、配合する熱可塑性樹脂の総量に対し0〜50重量%の範囲で組み合わせて使用することにより、効率よく安定して薄膜シートを成形させることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造法である。
【0032】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記延伸倍率が、縦方向、横方向の延伸倍率のいずれも1.1倍〜2.5倍であることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法であるこの場合、見かけ比重の調整の観点から1.1倍〜2.5倍の範囲であることが望ましい。
【0033】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記所望の見かけ比重が、0.55〜1.25の範囲にある、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である縦延伸および/または横延伸で精密な見かけ比重調整を行うため、特に細かい調整を要求される、見かけ比重が上記範囲の製品を作る場合に効果を発揮する。
【0034】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される一種類以上の樹脂であることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0035】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂であり、前記ポリエチレン樹脂の60重量%以上が、0.02〜1.2g/10分のメルトマスフローレイトを有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0036】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記熱可塑性樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂からなり、前記高密度ポリエチレン樹脂の50重量%〜100重量%が、0.02〜0.5g/10分のメルトマスフローレイトを有し、前記高密度ポリエチレン樹脂の残りが、0.5〜1.2g/10分のメルトマスフローレイトを有することを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0037】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、酸化チタン、タルク、カオリン、水酸化アルミニウムからなる群から選択される一種類以上の無機物質粉末であることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0038】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記無機物質粉末高配合薄膜シートに対し平滑度の向上のためにカレンダー処理を行なうことを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0039】
本発明の課題を解決するための他の手段は、前記調整する工程において、前記延伸後に必要とされる見かけ比重(D)および縦横比(R)から次式によって延伸倍率を求めることを特徴とし、
2=W×10-4/(D×Z×R×T)
X =R×Y
式中、 Dは、生産計画で定められた製品の見かけ比重であり、
Rは、生産計画で定められた縦横比(縦方向と横方向の延伸倍率の比)であり、
Wは、縦延伸をかける前の薄膜シートの1平方メートルあたりの重量(g/m2)であり、
Xは、縦方向の延伸倍率であり、
Yは、横方向の延伸倍率であり、
Zは、縦延伸によるシートの横方向の長さの収縮倍率もしくは伸長倍率で、本装置の操業経験で容易に推定可能である、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【発明の効果】
【0040】
本発明の製造方法によれば、無機物質粉末を高配合して、印刷適性および加工適性が(いずれも作業性、品質ともに)優れ、白色度および不透明度が高く表面状態が良好で厚さムラの小さい薄膜シートを、顧客が必要とする、紙に類似したいくつかの水準の見かけ比重で作成することができ、具体的には、印刷時にブランケットの損傷に悪影響を及ぼさないなど印刷および加工の分野で効率よく作業ができ、高品質の印刷物および加工製品を製造することが可能な薄膜シートを作成することができ、その結果、産業および社会におけるこの製品の需要が高まり、木および水を使わず少ないエネルギー量で製造可能な環境に優しい無機物質高配合のシート普及することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の製造方法の工程の概略を示す。
【図2】図2は、本発明の他の製造方法の工程の概略を示す。
【図3】図3は、本発明のその他の製造方法の工程の概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明が解決しようとする課題は、夾雑物の発生防止、厚さが均一なシートの作成、製品見かけ比重の制御ならびに汎用樹脂の使用、生産性向上による製造コストの抑制である。
【0043】
上記の課題のなかで、厚さの均一性、生産性の向上については、Tダイ方式の押出成形機が最適といわれており、この方式を採用することにした。
【0044】
しかし、Tダイ方式押出成形機で工業的に実施されている無機物質粉末の配合率は、多いもので40%程度であった。
【0045】
そこで、発明者らは、ポリエチレン樹脂20部・炭酸カルシウム80部の比率でつくられた市販のマスターバッチ用のコンパウンドを使用し、インフレーション方式およびTダイ方式の一般的な押出成形機のそれぞれで成形テストを実施した。高密度ポリエチレン樹脂を添加して炭酸カルシウムの配合率を徐々に低下させてテストしたが、70重量%付近で、インフレーション方式では一応薄膜シートを作成できたのに、Tダイ方式の押出成形機では、薄膜シートを作成できなかった。
【0046】
本発明の目的には、白色度ならびに不透明度が高い薄膜シートの製造が前提としてあり、無機物質粉末高配合の条件は必須である。しかし、無機物質粉末と熱可塑性樹脂との混合原料をTダイ方式押出成形機で押出成形する場合、無機物質粉末の濃度が60重量%をこえると、濃度上昇に従って、溶融時粘度が異常に上昇する。
【0047】
発明者らは、熱可塑性樹脂に無機物質粉末を60%以上高配合してTダイ方式押出成形機で薄膜シートをつくる研究を行ない、本発明の課題解決のために次のような製造法を見出した。
【0048】
無機物質粉末と熱可塑性樹脂との混合原料を混練し、Tダイ方式押出成形機で押出成形して、無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する。その際に、
第一の操作として、熱可塑性樹脂および無機物質粉末を混合し、熱可塑性樹脂の融点以上の温度で特に大きな剪断応力を作用させて混練し、無機物質粉末と熱可塑性樹脂を均一に分散させる。この場合、大きな剪断応力を作用させるには、二軸の混練装置を使用すべきである。
【0049】
次に、第二の操作として、均一に分散させた状態を維持させながらダイス出口から押し出して薄膜シートに成形するが、無機物質粉末を高配合した混合原料の場合には、押出成形機のスクリュー部を出た溶融状態の混合原料が凝集する傾向あるので、ダイス内で混合原料の流れの一部に障壁を設けるなどして、再分散させて均一化する必要がある。
【0050】
ダイス内の混合原料の流れに外力を加える手段としては、200〜250μm以上の厚さのシートの押出成形に利用されるチョークバーを操作して、リップから押し出されるシートを均一にするような手段も含まれる。以上の処置は、再分散化に必要な外力の大きさに応じて、設計を工夫することで、さらに十分な効果を発揮させることが可能となる。
【0051】
また、ダイス出口(リップ)から押出された溶融薄膜シートが熱可塑性樹脂の融点に近い場合には非常に破断しやすいので、場合によっては、可及的速やかに冷却ロールに接触させるなどして冷却して、そのまま該ロールに抱かせながら成形する必要がある。その目的のためには、冷却ロールを上下方向に移動可能とするなど、押出成形機に適した設備面の変更も必要となる。
【0052】
以上、機械面から混練および押出成形について必要条件を決めたが、結論として、発明者らは、無機物質高配合の原料の混練には、二軸のスクリューにより強力な剪断力を作用させることが可能な二軸混練機の使用が不可欠と考えた。
【0053】
さらに、無機物質高配合の原料は溶融時でも再凝集的な挙動をとりやすいので、混練と押出成形を連続的に行なうTダイ方式の二軸押出成形機を使用する直接法が適していると考える。
【0054】
以上をまとめると、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造においては、無機物質粉末を60重量%〜82重量%、熱可塑性樹脂を18重量%〜40重量%、補助剤を0.05重量%〜4.0重量%の配合率で、二軸のスクリューを装備した装置で混練し、Tダイ方式の押出成形機で押出成形して、薄膜シート中間体を成形する製造方法となり、設備としては、混練と押出成形を連続的に行なう二軸押出成形機が望ましいと結論付けられる。
【0055】
ここで、無機物質粉末高配合の原料を用いて且つ成形シートを延伸して製品とする場合、使用する熱可塑性樹脂の選択が非常に重要である。
【0056】
可塑性樹脂につい、発明者らは、延伸後のシート構造をできるだけ均一にするため、延伸しやすく結果としてシートの厚さに比べてシートの見かけ比重の方が顕著に減少するような樹脂が適応していることを見出した。
【0057】
上記の考え方で検討した結果、熱可塑性樹脂としては必ず、延伸倍率1.1倍〜3.0倍で延伸したとき、無機物質粉末高配合シートの見かけ比重を0.55〜1.40に低下させることが可能な熱可塑性樹脂を使用することにした。
【0058】
その条件を検討しているうちに、無機物質粉末を高配合した原料では、延伸がむずかしくなり、しかも延伸を容易にする熱可塑性樹脂と、混練溶融物の粘度を下げる方向に働く熱可塑性樹脂とは、必ずしも一致しないことが明らかとなった。
【0059】
熱可塑性樹脂の選択の方法としては、延伸倍率1.1倍〜3.0倍で、前記無機物質粉末高配合薄膜シートの見かけ比重を0.55〜1.40の範囲に低下させることが可能な樹脂をまず該無機物質粉末に対応する延伸適応樹脂として選択する。次に、この樹脂のみでは前記混合原料の溶融混練物の流動性が不良な場合には、無機物質粉末高配合による流動性低下に対し改善の効果がある熱可塑性物質を探索し、この樹脂を該無機物質粉末に対応する混練適応樹脂として選択する。延伸適応樹脂のみを使用するか、もしくは延伸適応樹脂に混練適応樹脂を、熱可塑性樹脂の総量に対し0〜50重量%の範囲で組み合わせて使用するか、決定する。
【0060】
延伸適応樹脂を探索するには、前述のように、候補となる熱可塑性樹脂を、無機物質粉末と比較的混練しやすい配合比率で配合し、混練および押出成形して得たシートについて、最大の伸び(%)が得られる温度で、JIS K7127:1999の方法より引張試験を行ない、伸び(%)が15以上、望ましくは50〜(測定機器のキャパシティにより)測定不能となる樹脂を、該無機物質粉末に対応する延伸適応樹脂として選択する。
【0061】
無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を所定の配合率で混練し、押出成形して得られた無機物質粉末高配合薄膜シート中間体に対して、縦延伸もしくは横延伸を行なうか、もしくは逐次または同時二軸延伸を行なって、外観が紙に類似し、白く、不透明で、印刷および加工適性が優れ、且つ顧客が所望する見かけ比重に調整する。ここで、延伸後の縦および横方向の延伸倍率はいずれも1.1倍〜3.0倍で、薄膜シートの見かけ比重が0.55〜1.40の範囲で所望される見かけ比重となるよう条件を調整する。
【0062】
前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程を、混練の工程のみ実施して無機物質粉末、熱可塑性樹脂および補助剤からなるペレットを作成する工程と、前記ペレットをTダイ方式の押出成形機で押出成形する工程とからなる2つの独立した工程の組み合わせとすることも可能である。
【0063】
本発明の一つは、無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を所定の配合率で混練し、押出成形機で成形し、延伸して、表層および裏層のスキン層と、中心のコア層との3層または2層からなる薄膜シートに仕上げる無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法において、前記スキン層用の無機物質粉末が、0.5〜4μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず、前記コア層用の前記無機物質粉末が、4〜15μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず;下記の所定の配合率で前記スキン層用原料を混練する工程と、下記の所定の配合率で前記コア層用原料を混練する工程と、前記スキン層用および前記コア層用の前記無機物質粉末の配合率が、60重量%〜82重量%であり、前記スキン層用および前記コア層用の前記熱可塑性樹脂の配合率が、18重量%〜40重量%であり、前記スキン層用および前記コア層用の前記補助剤の配合率が、0.05重量%〜4.0重量%であり;混練した前記スキン層用原料および混練した前記コア層用原料の供給量を、前記スキン層の表裏の層がそれぞれ10〜30部となると共に前記コア層が40〜80部となるように分配して、2種3層Tダイ方式押出成形機で薄膜シート中間体を形成する工程と;前記薄膜シート中間体に対して逐次延伸もしくは同時二軸延伸を行なって、外観が紙に類似し、不透明で、印刷および加工適性が優れ、且つ顧客が所望する見かけ比重に調整する工程と;を有し、ここで、前記スキン層用および前記コア層用の前記熱可塑性樹脂が、前記延伸時に縦、横方向いずれの延伸倍率も1.1倍〜3.0倍で薄膜シートの見かけ比重を0.6〜0.8に低下させることが可能な樹脂である、無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法である。
【0064】
前記の方法は、表裏の層と中層のそれぞれの層の無機物質粉末の粒子径を変えて、本発明の効果をさらに高めようとするものである。
【0065】
本発明の製造方法では、単一層の薄膜シートの場合、無機物質粉末については、シート表面の平滑性を向上させ、且つ無機物質粉末がシートから大きな粒子が離脱するのを防ぐために、平均粒子径が15μm以下のものを使用する。この理由は、表面性のほかに、粒子径調整のために使用する分級工程で、平均粒子径が大きくなるほど最大粒子径が大となるためである。
【0066】
一方、粒子が細かくなり過ぎると、熱可塑性樹脂と混練した際に粘度が著しく上昇するため、平均粒子径は0.5μm以上とする。
【0067】
また、表層及び裏層からなるスキン層とコア層とからなる無機物質粉末高配合薄膜シートを製造する場合は、無機物質粉末については、シート表面の白色度および平滑性を向上させために、表層および裏層のスキン層には白色度が高く、粒子径が小さい粉末を使用する。スキン層に使用する無機物質粉末の平均粒子径は、4μm以下とし、粒子が細かくなり過ぎると、熱可塑性樹脂と混練した際に粘度が著しく上昇するため、平均粒子径は0.5μm以上とする。
【0068】
中層すなわちコア層に含まれる無機物質粉末粒子の平均粒子径は、コストの点から大きい方が望ましいので、単一層の場合に比べてやや大きく4乃至15μmとする。
【0069】
なお、本発明では、無機物質粉末の粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した数値で表し、平均粒子径は、積算%の分布曲線から得られる50%粒子径(d50)で示している。また、粒子径の概略値は、同一物質で、産地が近いような場合には、空気透過法など他の測定値からでも、信頼できる換算データを用いて換算値として算出することが可能であり、本明細書では、粒子径として、積算%の分布曲線から得られる50%粒子径および換算値を用いている。
【0070】
本発明の製造方法ではすべて、無機物質粉末の大きさとしては、特定の粒子径より大きい大径の粒子の混在が問題である。
【0071】
本発明の薄膜シートの表面粗さの目標は、木材パルプからつくられる上質紙の表面粗さが上限と考えている。上質紙の表面粗さは、平均値が8〜13μm、最大値が20μm程度である(門屋卓、角祐一郎、吉野勇著、(有)中外産業調査会発行、『新・紙の科学』P400〜401(1989))。シート表面に近い無機物質粉末も粒子の粒子径の1/2に相当する部分はシート内に埋め込まれるとして計算すると、粒子径が50μm以上、望ましくは45μm以上の粒子は、原料から取り除く必要がある。
【0072】
前記のように、従来の技術で製造された薄膜シートは、夾雑物がかなりの量にて存在するが、その原料として提供された炭酸カルシウム粉末のサンプルをマイクロトラック粒度分析計(日機装(株)製)で分析した結果は次のとおりであった。中心粒子径(D50%):8.42μm、粒子径50μm以上の粒子:0.26%、45μm以上の粒子:0.34%。一方、発明者らが夾雑物の懸念がない原料として取り扱っている炭酸カルシウム粉末(有恒鉱業(株)製ミクロカル#150)についてマイクロトラック粒度分析計で測定した結果は次のとおりである。中心粒子径(D50%)5.4μm、粒子径40μm以上の粒子:0%。上記の数値からも粒子径の大きさに関する規定は妥当といえる。
【0073】
本発明の発明者によって、無機物質粉末高配合薄膜シートの既存の商品には、50μm以上の大径の粒子が含まれているので印刷機のブランケットを損傷したことが確認されていることから、原料の無機物質粉末は粒子径が50μm以上の粒子、好ましくは上記の解析を勘案すれば、粒子径が45μm以上の粒子を含まないことが必須要件である。
【0074】
本発明の無機物質粉末の配合率は、配合によるシートの特性発揮の観点から、60重量%以上は必要であるが、熱可塑性樹脂と混練した際の粘度上昇から見て、82重量%が限度である。
【0075】
本発明の無機物質粉末としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウムなどの粉末が使用できる。
【0076】
無機物質粉末は、吸油性は特に必要でなく、選択にあたって吸油性の点で限定の必要はない。
【0077】
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン以外に、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどのほか、再生樹脂なども使用できる。
【0078】
この条件に最もよく合うものとして、ポリエチレン樹脂があり、そのなかでも、無機物質粉末高配合薄膜シートの強度の点から高密度ポリエチレン樹脂が適している。
【0079】
熱可塑性樹脂の配合率は、無機物質粉末の配合率が60重量%の場合、40重量%であり、無機物質粉末の配合率が82重量%の場合、18重量%である。
【0080】
補助剤として、滑剤、流動性改良剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定剤等を配合してもよい。
【0081】
補助剤の配合率は、熱可塑性樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして、0.05重量%〜4.0重量%、好ましくは0.1重量%〜3.0重量%である。
【0082】
熱可塑性樹脂、無機物質粉末および補助剤を混練し、シートに成形する。
【0083】
Tダイ方式押出成形機で成形した薄膜シート中間体は、複数のロールの周速度差を利用する縦延伸装置およびシート端部固定式のテンターにより延伸する。具体的には、両者を連続して利用し逐次延伸を行なうか、それぞれを単独に使用するか、もしくは同時二軸延伸装置で二軸延伸して、薄膜シートに仕上げる
延伸倍率は、縦方向、横方向いずれも1.1倍〜3.0倍、処理温度は、使用する樹脂の融点以下が好ましいが、正確を期するには、前記のJIS K7127:1999の方法を利用するなどして、対象となる薄膜シートについて最大の伸び(%)が得られる温度を推定する。
【0084】
必要な延伸倍率は計算により算出することも可能である。Tダイ方式押出成形機で成形されたシートについて、縦延伸をかける前の薄膜シートの1平方メートルあたりの重量(坪量ともいう。)W(g/m2)を測定し、生産計画で定められた製品の見かけ比重Dおよび縦横比(縦方向と横方向の延伸倍率の比)Rと、横延伸後の製品の厚さの目標値T(cm)を使って、次式により延伸倍率(縦方向X倍、横方向Y倍)を決め、延伸を行う。
【0085】
2=W×10-4/(D×Z×R×T)
X =RY
式中、 D:生産計画で定められた製品の見かけ比重
R:生産計画で定められた縦横比(縦方向と横方向の延伸倍率の比)
W:縦延伸をかける前の薄膜シートの1平方メートルあたりの重量(g)
X:縦方向の延伸倍率
Y:横方向の延伸倍率
Z:縦延伸によるシートの横方向の長さの収縮倍率もしくは伸長倍率で、本装置の操業経験で容易に推定可能である。
【0086】
延伸は、原料樹脂の融点より30℃〜40℃低い温度で行なうと空隙ができやすい。高密度ポリエチレン樹脂を使用する場合は、延伸温度は、95℃〜105℃が好ましい。
【0087】
延伸後、延伸して得られた無機物質粉末高配合薄膜シートをカレンダーで処理して薄膜シートの表面の平滑性を向上させることも可能である。
【実施例】
【0088】
実施例1
高密度ポリエチレン樹脂(ハイゼックス550BR、メルトマスフローレイト=0.27g/10分、(株)プライムポリマー製)と、平均粒子径(d50)が1.6μm(換算値)で、粒子径50μm以上の粒子を含有しない炭酸カルシウム(ソフトン2200、白石カルシウム製)と、カルシウムステアレート(日油(株)製)の各原料を準備した(工程:S1−a)。
【0089】
上記の各原料において、高密度ポリエチレン樹脂が0重量%、炭酸カルシウムが0重量%、カルシウムステアレートが1重量%(高密度ポリエチレン樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして)で配合されるように、小型同方向回転二軸混練機(スクリュー=25mm,L/D=41、パーカーコーポレーション製)を使用してスクリュー回転数500rpm、200℃で混練し、混合ペレット(コンパウンドAを作成した(工程:S2−a)。
【0090】
高密度ポリエチレン樹脂(ハイゼックス550BR、メルトマスフローレイト=0.27g/10分、(株)プライムポリマー製)と平均粒子径(d50)が5.4μmで、粒子径50μm以上の粒子を含有しない炭酸カルシウム(ミクロカル#150、有恒鉱業製)および補助剤としてカルシウムステアレート(日油(株)製)の各原料を準備した(工程:S1−b)。
【0091】
上記の各原料において、高密度ポリエチレン樹脂が0重量%、炭酸カルシウムが0重量%、カルシウムステアレートが1重量%(高密度ポリエチレン樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして)で配合されるように、上記と同じように混練して、混合ペレット(コンパウンドBを作成した(工程:S2−b)。
【0092】
混合ペレットAをスキン層に、混合ペレットBをコア層に使用して、小型Tダイ方式2種3層押出成形機(押出成形機:コア層 スクリュー直径=30mm、L/D=38、 スキン層 スクリュー直径=25mm、L/D=25、ダイス:チョークバー装備、出口300mm、リップ開口500μm、創研製)、で成形を行ない、薄膜シート中間体を得た(工程:S3)。
【0093】
成形した薄膜シート中間体の試料を二軸同時延伸試験装置((株)東洋精機製作所製(形式EX10B1,センターストレッチ方式)で、96℃、予熱5分、延伸速度を縦、横いずれも50mm/分の条件で延伸した(工程:S4)。その結果、縦横それぞれ2.5倍に延伸した薄膜シートの試料で見かけ比重が0.6となり、延伸後の薄膜シートの試料は不透明度も上昇し、外観、一般紙質ともに木材パルプから調製した紙に類似していた。
【0094】
なお、上記の工程:S3では、樹脂圧力が高くなり、シート化が容易でないが、高密度ポリエチレン樹脂(ハイゼックス7000F、メルトマスフローレイト0.04g/10分、(株)プライムポリマー製)をドライブレンドしていき、炭酸カルシウム配合量をコア層は73%、スキン層は70%とすることにより、薄膜シート中間体が得られやすくなった。
【0095】
実施例2
高密度ポリエチレン樹脂(ハイゼックス550BR、メルトマスフローレイト=0.27g/10分、(株)プライムポリマー製)と、平均粒子径(d50)が5.4μmで、粒子径18.5μm以上の粒子を含有しない炭酸カルシウム(ミクロカル#150、有恒鉱業(株)製)と、カルシウムステアレート(日油(株)製)の各原料を準備した。
【0096】
上記の各原料において、高密度ポリエチレン樹脂が28重量%、炭酸カルシウムが72重量%、カルシウムステアレートが1重量%(高密度ポリエチレン樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして)の配合となるように、小型同方向回転式二軸押出成形機(スクリュー直径=25mm、L/D=30、ダイスの出口幅=150mm、(株)東洋精機製作所製)に投入し、温度:混練部220℃〜200℃、ダイス部180℃、スクリュー回転数:24rpm、トルク:200N-m付近、リップの開口幅:0.4mmの条件で混練および押出成形を実施した。この際、ダイスのリップから出た溶融物のシートを、リップから10mm以内に接近させた冷却ロール(温度を65℃に設定)に移し取り、該ロールに接触させて抱かせながらシート化した後次のロールに移行させることで、薄膜シート中間体のシート化が可能となった。押出量は約1.4kg/時、成形した薄膜シート中間体の厚さは120μmであった。
【0097】
ここで使用したポリエチレン樹脂の延伸適応性をみるために、上記の薄膜シート中間体について、JISK7127の方法で、95℃で引張試験を行ない、伸び(%)を測定した結果、360%以上となり、上記の高密度ポリエチレン樹脂が延伸適応樹脂であると判断された。
【0098】
そこで、成形した薄膜シート中間体の試料を二軸延伸試験装置((株)東洋精機製作所製、形式EX10B1、センターストレッチ方式)で、97℃、予熱5分、延伸速度50mm/分の条件で延伸した。その結果、縦、横それぞれ2.1倍に延伸した薄膜シートの試料が得られ、その見かけ比重は0.65となった。
【0099】
延伸前後の薄膜シートの白色度(JIS P8148の方法による)は、延伸前38%、延伸後86%、不透明度(JIS P8149の方法による)は、延伸前95.9%、延伸後100.0%で、延伸により白色度も不透明度も上昇し、外観、一般紙質ともに木材パルプから調製した紙に類似していた。
【0100】
実施例3
高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックHD HY430、メルトマスフローレイト=0.8g/10分、日本ポリエチレン(株)製)、平均粒子径(d50)が4.3μmで、粒子径20.2μm以上の粒子を含有しない炭酸カルシウム(ミクロカル#150、有恒鉱業(株)製)と、マグネシウムステアレート(日油(株)製)の各原料を準備した。
【0101】
上記の各原料において、高密度ポリエチレン樹脂が20重量%、炭酸カルシウムが80重量%、マグネシウムステアレートが1重量%(ポリエチレン樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして)の配合となるように、実施例1で使用した小型同方向回転二軸混練機(パーカーコーポレーション製)に投入し、温度:入口近くのみを190℃としたほかはダイスに至るまで200℃、スクリュー回転数:500rpm、フィード量:7kg/時の条件で混練した。混練時のトルクは26〜31N-mで、概ね安定してペレット化することができた。
【0102】
上記で得られたポリエチレン樹脂と炭酸カルシウムの混合ペレットを、単軸押出成形機(押出成形機:スクリュー直径=20mm、L/D=25、ダイス:チョークバー装備、出口幅:150mm、(株)東洋精機製作所製)に投入し、温度:ペレット投入部170℃から徐々に温度を下げ、ダイス部で160℃に設定、スクリュー回転数:10rpm、リップの開口幅:0.2mmの条件で混練および押出成形を実施した。装置負荷は安定しており、ダイスではリップ間隙の調整のほか、ダイスに設けられた調整弁によって、溶融物の分散を均一化し、ダイスから出た溶融物のシートは実施例2と同様の条件でシート化した。
【0103】
成形シートは、厚み190μmでシート状態は良好で、JIS K7127の方法により95℃で引張試験を行ない、伸び(%)を測定した結果は52%で、1.5倍程度の延伸倍率に相当する。
【0104】
実施例4
メルトマスフローレイトが0.27g/10分の高密度ポリエチレン樹脂(ハイゼックス550BR、(株)プライムポリマー製)およびメルトマスフローレイトが0.8g/10分の高密度ポリエチレン樹脂(ノバテックHD HY430、日本ポリエチレン(株)製)を50:50の比率で混合したものと、平均粒子径(d50)が8μm(換算値)で、粒子径45μm以上の粒子を含有しない炭酸カルシウム(BF100、備北粉化工業(株)製)と、マグネシウムステアレート(日油(株)製)の各原料を準備した。
【0105】
上記の各原料において、高密度ポリエチレン樹脂が27重量%、炭酸カルシウムが73重量%(成形シートについてJIS P8251−525℃燃焼法―による測定で確認)、マグネシウムステアレートが1重量%(高密度ポリエチレン樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして)の配合となるように、同方向回転式二軸押出成形機(スクリュー直径:57mm、L/D:44、ダイス:チョークバー装備、出口幅800mm、日立造船(株)製、HTM型)に投入し、温度:混練部220℃〜200℃、ダイス部190℃、スクリュー回転数:270rpm、リップの開口幅:0.6mmの条件で混練および押出成形を実施した。その結果、厚さ350μmの薄膜シート中間体を作成できた。
【0106】
成形したシートの延伸性を調べるために、JISK7127の方法で、95℃で引張試験を行ない、伸び(%)を測定した結果、170%となり、十分に延伸可能と判断された。
【0107】
上記のように成形した薄膜シート中間体の試料を二軸延伸試験装置((株)東洋精機製作所製)で、96℃、予熱3分、延伸速度 縦、横ともに50mm/分の条件で延伸した。縦、横それぞれ1.6倍に延伸した薄膜シートの試料は、見かけ比重が0.82で、延伸前後の薄膜シートの白色度(JIS P8148の方法による)は、延伸前54%、延伸後78%、不透明度(JIS P8149の方法による)は、延伸前97%、延伸後100%で、延伸により白色度も不透明度も上昇し、外観、一般紙質ともに木材パルプから調製した紙に類似していた。
【0108】
実施例5
高密度ポリエチレン樹脂(ハイゼックス550BR、メルトマスフローレイト=0.27g/10分、(株)プライムポリマー製)と、平均粒子径(d50)が8μm(換算値)で、粒子径45μm以上の粒子を含有しない炭酸カルシウム(BF100,備北粉化工業(株)製)と、マグネシウムステアレート(日油(株)製)の各原料を準備した。
【0109】
上記の各原料において、高密度ポリエチレン樹脂が37重量%、炭酸カルシウムが63重量%(成形シートについてJIS P8251―525℃燃焼法―による測定で確認)、マグネシウムステアレートが1重量%(高密度ポリエチレン樹脂および炭酸カルシウムの合計量:100重量%を基準にして)の配合となるように、実施例4の場合と同じ同方向回転式押出成形機(日立造船(株)製)に投入し、温度:混練部220℃〜200℃、ダイス部180℃、スクリュー回転数:150rpm、リップの開き:0.6mmの条件で混練および押出成形を実施した。その結果、厚さ270μm、見かけ比重1.52の薄膜シート中間体を作成できた。
【0110】
成形したシートの延伸性を調べるために、JISK7127の方法で、95℃で引張試験を行ない、伸び(%)を測定した結果、360%以上となり、十分に延伸可能と判断された。
【0111】
そこで、成形した薄膜シート中間体の試料を実施例4の場合と同じ二軸延伸試験装置((株)東洋精機製作所製)を使用し、96℃、予熱3分、延伸速度 縦、横いずれも50mm/分の条件で延伸した。その結果、縦、横それぞれ1.8倍に延伸した薄膜シートの試料は、見かけ比重が0.77で、延伸前後の薄膜シートの白色度(JIS P8148の方法による)は、延伸前50%、延伸後86%、不透明度(JIS P8149の方法による)は、延伸前97%、延伸後100%で、延伸により白色度も不透明度も上昇し、外観、一般紙質ともに木材パルプから調製した紙に類似していた。
【0112】
実施例6
実施例5で成形した薄膜シート中間体の試料(シートの厚さ270μm)について、ロールの周速差を利用する縦延伸およびシート端部固定式テンターによる横延伸を実施し、縦延伸の効果および縦延伸につづき横延伸を行なった逐次延伸の効果を調べた。
【0113】
縦延伸には、縦延伸装置(有効幅:max.300mm、方式:ロール式・非接触式、市金工業社製)を使用し、前記試料の巻取(幅300mm)を入口速度0.7m/分、延伸部の温度95℃で延伸した。
【0114】
横延伸には、横延伸装置(チャック幅:入口 80〜max.600mm、出口300〜max.1200mm、方式:クリップ式、市金工業社製)を使用し、縦延伸を行なった試料(巻取)を95℃で延伸した。
【0115】
縦延伸および逐次延伸の効果は次のとおりである。
【0116】
【表1】

【0117】
以上の結果から、逐次延伸の条件を変えることにより、シートの見かけ比重を幅広く変更できることが分る。
【0118】
【表2】

【0119】
延伸前の試料の見かけ比重は1.52、白色度は50.0%、不透明度は97%。
【0120】
上表から、延伸により見かけ比重(密度)が低下するにともない、白色度が向上することが明確になった。
【0121】
引張強度についても、JIS P8113の方法により測定しており、上表の縦延伸1.4倍の試料(1.33)では、3.60kN/mとなった。しかし、引張強度については、見かけ比重0.95の試料が2.90kN/mとなり、無機物質粉末高配合のシートの場合、延伸により見かけ比重が低下するに伴いやや低下する傾向がみられた。
【0122】
前記の延伸後の試料について、横型ミニスーパーカレンダー(スチールロールと樹脂ロールの組み合わせ、スチールロールのみ加熱可能、由利ロール機械(株)製)で、荷重3トンで2m/分の速度でカレンダー処理を行なった。
【0123】
【表3】

【0124】
上記の結果から分るように、カレンダー処理により平滑度は顕著に向上した。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の薄膜シートは、従来の石灰石粉末を多量に配合されたシートに比較して、印刷適性(印刷の作業性、印刷物の品質)、加工適性いずれも著しく改善されるので、印刷および紙の加工分野で見直され、需要が高まると期待される。商品が社会的に認知されることで、木や水を使わないという環境面および製造過程エネルギー消費が少ないこと改めて評価されると期待できる。
【0126】
以上のような紙の需要分野での発展のほかに、このシートの最大の特徴である耐水性を活かした用途、例えばラベル、看板材料、建装材、各種の袋でも需要が大きく伸びると予想され、紙の用途のみでなく、新素材として、プラスチックフィルムの一部の用途にも利用されていくものと考えられる

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を所定の配合率で混練し、成形し、延伸して、薄膜シートに仕上げる無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法において;
前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を準備する工程と、ここで、前記無機物質粉末が、0.5〜15μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず;
原料として、前記無機物質粉末を60重量%〜82重量%、前記熱可塑性樹脂を18重量%〜40重量%、補助剤を0.05重量%〜4.0重量%の配合率で、二軸のスクリューを装備した押出成形機に投入することにより、前記原料に対して高い剪断応力を作用させて混練し、混練した原料をダイスをとおしてTダイ方式により押出成形して無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程と;
縦方向、横方向の延伸倍率をいずれも1.1倍〜3.0倍に抑えて、延伸後の薄膜シートが所望の見かけ比重を有するように縦延伸および/もしくは横延伸を行う工程と;
を有する無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法であって;
前記熱可塑性樹脂が、延伸倍率を1.1倍〜3.0倍としたとき前記無機物質粉末高配合薄膜シートの見かけ比重を0.55〜1.40に低下させることができるように選択され、
前記延伸を行う工程において、前記熱可塑性樹脂を上記のように選択することにより、白く、不透明で、0.55〜1.40の範囲の前記所望の見かけ比重に調整する、
ことを特徴とする無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法。
【請求項2】
前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程が、前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂および補助剤からなるペレットを作成する工程と、前記ペレットを一軸もしくは二軸のTダイ方式押出成形機で押出成形する工程とからなる2つの独立した工程からなることを特徴とする、請求項1に記載の無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法。
【請求項3】
無機物質粉末、前記熱可塑性樹脂、補助剤を所定の配合率で混練し、押出成形機で成形し、延伸して、表層および/または裏層からなるスキン層と、コア層との3つ若しくは2つの層からなる薄膜シートに仕上げる無機物質粉末高配合薄膜シートの製造方法において、
前記スキン層用の前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を含むスキン層用原料を準備する工程と、
前記スキン層用の無機物質粉末が、0.5〜4μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず、
前記コア層用の前記無機物質粉末、熱可塑性樹脂、補助剤を含むコア層用原料を準備する工程と、
前記コア層用の前記無機物質粉末が、4〜15μmの平均粒子径を有すると共に粒子径50μm以上の粒子を含有せず;
下記の所定の配合率で前記スキン層用原料を混練する工程と、
下記の所定の配合率で前記コア層用原料を混練する工程と、
前記スキン層用および前記コア層用の前記無機物質粉末の配合率が、60重量%〜82重量%であり、
前記スキン層用および前記コア層用の前記熱可塑性樹脂の配合率が、18重量%〜40重量%であり、
前記スキン層用および前記コア層用の前記補助剤の配合率が、0.05重量%〜4.0重量%であり;
混練した前記スキン層用原料および混練した前記コア層用原料の供給量を、前記スキン層の表裏2層がそれぞれ10〜30部となると共に前記コア層が40〜80部となるように分配して、2種3層Tダイ方式押出成形機で薄膜シート中間体を成形する工程と;
前記薄膜シート中間体に対して逐次延伸もしくは同時二軸延伸を行なって、外観が紙に類似し、不透明で、印刷および加工適性が優れ、且つ顧客が所望する見かけ比重に調整する工程と;
を有し、
記スキン層用および前記コア層用の前記熱可塑性樹脂が、前記延伸時に縦、横方向いずれの延伸倍率も1.1倍〜3.0倍で薄膜シートの見かけ比重を0.6〜0.8に低下させることができる樹脂であることを特徴とする、無機物質粉末高配合薄膜シート製造方法。
【請求項4】
前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程において、前記ダイスが、前記混練した原料の再凝集部分を再分散させるようにデザインされたダイスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載された製造方法。
【請求項5】
前記無機物質粉末高配合薄膜シート中間体を成形する工程において、ダイス出口から出た溶融物シートを、50℃以上に、且つ原料に使用する前記熱可塑性樹脂の融点以下の温度に加温されたロールに可及的速やかに接触させ、前記ロール上にシートを形成させた後、ロール引取工程に送ることを特徴とする、請求項1−4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記無機物質粉末に対し任意の熱可塑性樹脂を比較的混練しやすい配合比率で配合し、混練および成形して得た薄膜シート中間体について、最大の伸び(%)が得られる温度でJIS K7127:1999の方法により引張試験を行ない、伸び(%)の数値から延伸可能な延伸倍率を推定して、期待のものであれば前記無機物質粉末に対する延伸適応樹脂として前記熱可塑性樹脂を選択し、前記熱可塑性樹脂のみでは混練溶融物の流動性をさらに改良する必要がある場合には、無機物質粉末高配合による混練溶融物の流動性低下に対し改善の効果がある熱可塑性樹脂を、配合する熱可塑性樹脂の総量に対し0〜50重量%の範囲で組み合わせて使用することにより、効率よく安定して薄膜シートを成形させることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造法。
【請求項7】
前記延伸倍率が、縦方向、横方向の延伸倍率のいずれも1.1倍〜2.5倍であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法
【請求項8】
前記所望の見かけ比重が、0.55〜1.25の範囲にある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法
【請求項9】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンおよびポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される一種類以上の樹脂であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂であり、前記ポリエチレン樹脂の60重量%以上が、0.02〜1.2g/10分のメルトマスフローレイトを有する高密度ポリエチレン樹脂であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記熱可塑性樹脂が、高密度ポリエチレン樹脂からなり、前記高密度ポリエチレン樹脂の50重量%〜100重量%が、0.02〜0.5g/10分のメルトマスフローレイトを有し、前記高密度ポリエチレン樹脂の残りが、0.5〜1.2g/10分のメルトマスフローレイトを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、酸化チタン、タルク、カオリン、水酸化アルミニウムからなる群から選択される一種類以上の無機物質粉末であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記無機物質粉末高配合薄膜シートに対し平滑度の向上のためにカレンダー処理を行なうことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記延伸を行う工程または前記調整する工程において、前記延伸後に必要とされる見かけ比重(D)および縦横比(R)から次式によって延伸倍率を求めることを特徴とし、
2=W×10-4/(D×Z×R×T)
X =R×Y
式中、 Dは、生産計画で定められた製品の見かけ比重であり、
Rは、生産計画で定められた縦横比(縦方向と横方向の延伸倍率の比)であり、
Wは、縦延伸をかける前の薄膜シートの1平方メートルあたりの重量(g/m2)であり、
Xは、縦方向の延伸倍率であり、
Yは、横方向の延伸倍率であり、
Zは、縦延伸によるシートの横方向の長さの収縮倍率もしくは伸長倍率で、本装置の操業経験で容易に推定可能である、
請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−10931(P2013−10931A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109896(P2012−109896)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(311018921)株式会社TBM (1)
【Fターム(参考)】