説明

無機表面変性された超微粒子

本発明の対象は、無機表面変性された超微粒子、それらの製造方法及びそれらの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、無機表面変性された超微粒子、それらの製造方法及びそれらの使用である。
【0002】
特に、本発明の対象は、超微細なTiO2粒子、Al23粒子、SiO2粒子、BaSO4粒子、ZnO粒子又はFe23粒子の、特に好ましくは超微細なBaSO4粒子又はTiO2粒子の、極めて特に好ましくは超微細BaSO4粒子の、無機表面変性方法及びそれらの使用である。
【0003】
超微粒子、例えばTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO、Fe23をベースとする超微粒子は、高分子原料、例えば塗料、プラスチック及び複合材料中で、それらの性質を改善するために使用される。
【0004】
その際に、0.1μm未満の粒度を有する超微粒子の特別な1つの性質は、これらが可視光線を散乱させないことである。そのような粒子が透明な塗料又はプラスチック中で使用される場合には、それらの透明度は影響を受けない。しかし、それ以外の系の性質(Systemeigenschaften)、例えば機械的性質は、超微粒子の使用により明らかに改善されることができる。この際に、超微粒子の界面はポリマーに対して決定的な役割を果たす。0.1μm未満の典型的な粒径d50を有する超微粒子は極めて高い比表面積を有するので、粒子とポリマーとの間の相互作用の種類は、全系の性質に強い影響を及ぼす。この理由から、粒子とポリマーとの間の相互作用は意図的に調節できることが望ましく、それゆえ系の性質も制御することができる。幾つかの場合に、粒子とポリマーマトリックスとの間の共有結合も望まれうる。
【0005】
BaSO4は、典型的な顔料及び充填剤の範囲内で特別な場合である。BaSO4は化学的に不活性であり、かつ典型的なポリマーと如何なる反応も示さない。しかしBaSO4はまさしくこの不活性に基づいて、その高い耐熱性に基づいて及びその低いモース硬さのために、高分子原料における使用に特に適しているので、超微細BaSO4の粒子表面の変性は特に重要である。
【0006】
超微粒子の表面の変性は、前記粒子の無機被覆により生じさせることができる。未変性粒子とは異なり、無機表面変性された粒子の場合に、官能基をアルコキシアルキルシランでの変性を用いて表面上へもたらす可能性が存在する。前記官能基は、所望の相互作用が粒子とポリマーとの間で生じるように選択されることができる。マトリックス中への超微粒子の共有結合が望まれる場合には、前記官能基は、これらが高分子原料の官能基と反応できるように選択されるべきである。
【0007】
独国特許(DE-C)第33 47 191号明細書には、表面処理されたBaSO4の製造方法が開示されている。この方法の場合に、Baイオンを過剰量で含有する水性BaSO4スラリーが使用される。このスラリーに、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液0.1〜30質量%が添加されるので、まず最初にケイ酸バリウムが沈殿する。引き続き、鉱酸が添加され、かつpH値は、ケイ酸バリウムを含水二酸化ケイ素に分解するために7又はそれ以下に調節される。前記の処理工程は、好ましくは少なくとも40℃の温度で実施される。
【0008】
独国特許(DE-C)第44 31 735号明細書には、BaSO4からなり、ポリマー用の無機処理された充填剤の製造方法が開示されており、その際にまず最初にH3PO4又は水溶性リン酸塩化合物が水性BaSO4懸濁液に添加される。引き続き、ついで連続して7.5未満のpH値でNa2SiO3が、及び4.5を上回るpH値で水性アルミニウム化合物が、懸濁液に添加される。前記の処理工程は65〜75℃の温度で実施される。
【0009】
独国特許(DE-C)第33 47 191号明細書又は独国特許(DE-C)第44 31 735号明細書に記載された方法が、0.1μm未満のd50の典型的な粒径を有するBaSO4超微粒子の無機後処理のために利用される場合には、60℃の使用される温度で、オストワルド熟成により粒子成長する。こうして変性されたより粗大な粒子は、透明塗料中での使用の際に透明度を低下させる。出発物質(無機変性されていない粒子)を使用する場合には、透明塗料は明らかにより高い透明度を有する。
【0010】
表面変性の際の温度を40℃に低下させる場合に、粒子に加えて後処理化学薬品が沈殿し、かつ粒子表面は変性されない。
【0011】
本発明の課題は、技術水準の欠点を克服することである。
【0012】
本発明のさらなる課題は、粒度が表面処理により変わらない、超微粒子、特に超微細なTiO2粒子、Al23粒子、SiO2粒子、BaSO4粒子、ZnO粒子又はFe23粒子、特に好ましくは超微細なBaSO4粒子又はTiO2粒子、極めて特に好ましくは超微細BaSO4粒子を提供することである。
【0013】
意外なことに、前記課題は本発明による方法により解決される。
【0014】
こうして、意外なことに、超微粒子、特に超微細なTiO2粒子、Al23粒子、SiO2粒子、BaSO4粒子、ZnO粒子又はFe23粒子、特に好ましくは超微細なBaSO4粒子又はTiO2粒子、極めて特に好ましくは超微細BaSO4粒子の本発明による無機表面処理方法の場合に、前記粒子の粒度が、表面処理により本質的に変わらないことが見出された。無機表面変性の際の粒子成長は、そのためには、透過型電子顕微鏡写真を用いて調べた。本発明の範囲内で「本質的に変わらない」は、本発明により表面変性された粒子の粒度が、測定精度の範囲内で、出発粒子の粒度と一致していることを意味する。
【0015】
そのうえ、意外なことに、本発明による方法を用いて、粒子表面が極めて均一に被覆されることが見出された。
【0016】
本発明による方法の場合に、超微粒子の無機表面処理は、水性スラリー中で行われる。反応温度はその際に好ましくは50℃を上回るべきではない。前記懸濁液のpH値は、例えばNaOHを使用して、9を上回る範囲のpH値に調節される。激しく撹拌しながら、ついで後処理化学薬品(無機化合物)、好ましくは水溶性無機化合物、例えばアルミニウム化合物、アンチモン化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、セリウム化合物、塩素化合物、コバルト化合物、鉄化合物、リン化合物、炭素化合物、マンガン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、ケイ素化合物、窒素化合物、ストロンチウム化合物、バナジウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物及び/又はジルコニウム化合物が添加される。例示的に、ケイ酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム及び硫酸アルミニウムを挙げることができる。pH値及び後処理化学薬品の量は、本発明によれば、後者の化学薬品が完全に水中に溶解されて存在するように選択される。前記懸濁液は、好ましくは少なくとも5分にわたって、強力に撹拌されるので、後処理化学薬品が均質に懸濁液中に分配される。その後の工程において、懸濁液のpH値は低下される。その際に、pH値をゆっくりとかつ激しく撹拌しながら低下させることが有利であることが判明している。特に有利には、pH値は10〜90分かけて5〜8の値に低下される。それに引き続いて、本発明によれば、熟成時間、好ましくは約1時間の熟成時間が続く。温度はその際に好ましくは50℃を上回るべきではない。水性懸濁液は、ついで洗浄され、かつ乾燥される。表面変性された超微粒子の乾燥のためには、例えば噴霧乾燥、凍結乾燥及び/又は粉砕乾燥が考えられる。
【0017】
シラン化され、表面変性された超微粒子の製造のため、特にシラン化され、表面変性された超微細なTiO2粒子、Al23粒子、SiO2粒子、BaSO4粒子、ZnO粒子又はFe23粒子の製造のため、特に好ましくはシラン化され、表面変性された超微細なBaSO4粒子又はTiO2粒子の製造のため、極めて特に好ましくはシラン化され、表面変性された超微細BaSO4粒子の製造のために、既に前記のように製造された無機表面変性された粒子の水性懸濁液は、少なくとも1つのシランで付加的に変性される。シランとして好ましくはアルコキシアルキルシランが使用され、特に好ましくは、アルコキシアルキルシランは、オクチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ−シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び/又は加水分解されたシラン、例えばγ−アミノプロピルシルセスキオキサン(GE社)から選択される。そのためには、洗浄の前又は後に、無機表面変性された粒子の懸濁液は、激しく撹拌しながら又は分散させながら、アルコキシアルキルシランと混合される。本発明によれば、熟成時間、好ましくは10〜60分の熟成時間が、好ましくは最大40℃の温度で、続く。引き続き、既に記載されたように、さらに処理される。選択的に、アルコキシアルキルシランは乾燥後にも、無機変性された粒子上へ、混和により施与されることができる。
【0018】
本発明の範囲内で"表面変性された"は、無機化合物が、超微粒子、特に超微細なTiO2粒子、Al23粒子、SiO2粒子、BaSO4粒子、ZnO粒子又はFe23粒子、特に好ましくは超微細なBaSO4粒子又はTiO2粒子、極めて特に好ましくは超微細BaSO4粒子上へ、堆積もしくは沈殿されていることを意味する。
【0019】
本発明により無機表面処理された(表面変性された)及び場合によりシラン化された粒子は、塗料中で、特に透明塗料中で、硬さ、耐引っかき性、耐薬品性、光沢、耐食性、バリアー性及び/又は接着を改善するために使用されることができる。さらにまた、これらは、分散助剤及びレオロジー添加剤(rheologisches Additiv)として利用される。熱硬化性プラスチック、エラストマー及び熱可塑性プラスチックにおいても、本発明により製造される粒子は、機械的性質、例えば硬さ、靭性、強さ、割れの広がり、摩耗速度及び熱的性質を改善するために、使用されることができる。
【0020】
本発明の対象は、個別には次の通りである:
・少なくとも1つの無機化合物で表面変性されており、0.1μm又はそれ以下の一次粒度d50を有する超微粒子であって、超微粒子として好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2が使用され、極めて特に好ましくはBaSO4が使用され、かつ表面変性された粒子の一次粒度が出発粒子の一次粒度に本質的に相当する、超微粒子(以下に表面変性された粒子とも呼ぶ);
・表面変性された粒子であって、無機化合物の質量割合が前記粒子を基準として0.1〜50.0質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である、表面変性された粒子;
・表面変性された粒子であって、無機化合物が、水溶性のアルミニウム化合物、アンチモン化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、セリウム化合物、塩素化合物、コバルト化合物、鉄化合物、リン化合物、炭素化合物、マンガン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、ケイ素化合物、窒素化合物、ストロンチウム化合物、バナジウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物及び/又はジルコニウム化合物から選択されている、表面変性された粒子;
・表面変性された粒子であって、無機化合物の表面変性に加えて、少なくとも1つのシラン又は複数のシランで変性されている、表面変性された粒子;
・表面変性された粒子であって、シランがアルコキシアルキルシランである、表面変性された粒子;
・表面変性された粒子であって、アルコキシアルキルシランが、オクチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ−シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び/又は加水分解されたシラン、例えばγ−アミノプロピルシルセスキオキサン(GE社)から選択されている、表面変性された粒子;
・0.05〜0.005μmの一次粒度d50を有する前記の通りの表面変性された粒子;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、0.1μm又はそれ以下の一次粒度d50を有する、好ましくは0.05〜0.005μmの一次粒度d50を有する超微粒子が水性懸濁液中で最大50℃の温度で無機表面変性され、かつ超微粒子として好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2が使用され、極めて特に好ましくはBaSO4が使用される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、無機表面変性のために、9〜14のpH値で水溶性である化合物が使用され、その際にこれらの化合物は、好ましくはアルミニウム化合物、アンチモン化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、セリウム化合物、塩素化合物、コバルト化合物、鉄化合物、リン化合物、炭素化合物、マンガン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、ケイ素化合物、窒素化合物、ストロンチウム化合物、バナジウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物及び/又はジルコニウム化合物を含有する、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、後処理成分の添加の際に水性懸濁液のpH値が9〜14である、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、pH値が、後処理化学薬品が所望の添加量でこのpH値で完全に溶解されたままであるように選択される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、無機後処理の質量割合は、前記粒子を基準として、0.1〜50.0質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、水性懸濁液が、後処理化学薬品の添加後に少なくとも5分にわたって激しく撹拌しながら均質化される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、後処理化学薬品が、pH値を意図的にゆっくりと、好ましくは10〜90分かけて、5〜8のpH値に調節することにより、沈殿される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、複数の後処理化学薬品が連続して添加される及び/又は沈殿される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、沈殿の後に10〜150分の熟成時間を最大50℃の温度で続ける、超微粒子の無機表面変性方法。
・超微粒子の無機表面変性方法であって、熟成時間の前又は後に1つのアルコキシアルキルシラン又は複数のアルコキシアルキルシランが無機変性された粒子懸濁液に添加される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、懸濁液が洗浄され、かつ乾燥される、超微粒子の無機表面変性方法。
・超微粒子の無機表面変性方法であって、懸濁液が洗浄され、ついで水性ペーストの形でさらに使用される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、乾燥された材料が、乾燥後にアルコキシアルキルシランと混合することにより変性される、超微粒子の無機表面変性方法;
・超微粒子の無機表面変性方法であって、アルコキシアルキルシランとして以下のもの:オクチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び/又は加水分解されたシラン、例えばγ−アミノプロピルシルセスキオキサン(GE社)が使用される、超微粒子の無機表面変性方法;
・本発明による方法により製造可能な、無機表面変性された超微粒子;
・熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック及び/又はエラストマーにおける、本発明により製造可能な粒子の使用;
・コーティングにおける分散助剤としての、本発明により製造可能な粒子の使用;
・コーティングにおけるチキソトロープ剤としての、本発明により製造可能な粒子の使用;
・コーティングにおける、機械的性質の改善のため、好ましくは硬さ、接着、耐摩耗性、耐食性、バリアー性及び/又は耐引っかき性、耐薬品性の改善のため、ガラス転移温度及び/又は光沢の増大のための、本発明により製造可能な粒子の使用;
・熱硬化性プラスチック、エラストマー及び熱可塑性プラスチックにおける、機械的性質、例えば硬さ、靭性、強さ、割れの広がり、摩耗速度及び/又は熱的性質を改善するための、本発明により製造可能な粒子の使用。
【0021】
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】
例1:
18nmの平均一次粒径d50(TEM調査の結果)を有する超微粒子の6.5質量%水性懸濁液3.7kgを、撹拌しながら40℃の温度に加熱する。超微粒子として、好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2を使用し、極めて特に好ましくはBaSO4を使用する。10%カセイソーダ液を用いて、前記懸濁液のpH値を12に調節する。激しく撹拌しながら、同時に、ケイ酸ナトリウム水溶液14.7ml(SiO2 284g/L)、硫酸アルミニウム溶液51.9ml(Al23 75g/Lを有する)及びアルミン酸ナトリウム溶液9.7ml(Al23 275g/L)を、12.0のpH値を維持しながら前記懸濁液に添加する。前記懸濁液を、さらに10分かけて、激しく撹拌しながら均質にする。引き続き、pH値をゆっくりと、好ましくは60分かけて、5%硫酸の添加により、7.5のpH値に調節する。10分の熟成時間を同様に温度40℃で続ける。前記懸濁液をついで洗浄して100μS/cm未満の伝導率にし、引き続き噴霧乾燥する。
【0023】
無機表面変性の際の粒子成長を、透過型電子顕微鏡像を用いて調べた。画像から評価された平均一次粒度(d50値、第1表)は、殆ど相違しなかった(TEM:透過型電子顕微鏡)。それゆえ、例1による無機表面変性の際に粒子成長は起こらなかった。
【0024】
第1表:例1の平均粒度
【表1】

【0025】
例1により製造された粒子を、アクリラート透明塗料中で、透明度への表面変性の影響を試験するために使用した。そのために、次の組成を有する粉砕バッチ(Mahlansatz)を製造する(無機変性された硫酸バリウムの代わりに、選択的に、本発明により製造された無機変性された粒子が使用されることができる):
Macrynal SM 510 n: 42.3質量部
キシレン/MPA 2:1: 42.3質量部
硫酸バリウム: 55.0質量部。
【0026】
この粉砕バッチを、Skandex上で2mmガラスビーズを使用して75分間分散させる。こうして分散された粉砕ペーストの分散の細かさは5μm未満である。粉砕バッチをついで、硬化剤及び助剤溶液を用いて以下のように希釈する:
粉砕ペースト: 39.4質量部
MP:助剤溶液: 18.8質量部
Desmodur N75: 16.5質量部
Macrynal SM 510 n: 25.3質量部。
【0027】
助剤溶液は、以下のように構成されている:
Irgastab DBTL: 0.177質量部
ジメチルエタノールアミン: 0.316質量部
シリコーン油L 050: 0.829質量部
Solvesso 100: 4.642質量部
キシレン: 5.383質量部
メトキシプロピルアセタート: 7.454質量部。
【0028】
50μm、100μm及び150μmの未乾燥塗膜の厚さを有する塗料塗膜(Lackaufzuege)を黒いガラスプレート上に製造し、かつ一晩にわたって乾燥させた。乾燥された塗料層の反射率(Remissionen)Ryを、Y−フィルターを使用してDIN 53140に従い測定した。結果は、第2表にまとめられている。
【0029】
第2表:
【表2】

【0030】
前記データは、超微細BaSO4の無機表面変性が、塗料の透明度への不利な効果を実際に有しないことを示している。
【0031】
例2:
撹拌容器中で、30nmの一次粒度d50を有する超微粒子1500gを脱塩(VE)水6L中に懸濁させる。超微粒子として、好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2を使用し、極めて特に好ましくはBaSO4を使用する。この懸濁液を、バッチビードミルを用いて、1.2mmガラスビーズを使用して35℃の温度及び40Wの入力で30分間分散させる。分散された懸濁液を、激しく撹拌しながら、脱塩水7.5kgで希釈し、かつ40℃に温度調節する。懸濁液のpH値を、5%カセイソーダ液を用いて11のpH値に調節する。このpH値を維持しながら、ついでケイ酸ナトリウム水溶液735ml(SiO2 77g/L)を懸濁液に、激しく撹拌しながら添加する。5%硫酸を用いて、ついでpH値をゆっくりと、好ましくは約30分かけて7.5のpH値に調節する。40℃の温度での10分の熟成時間の後に、懸濁液を洗浄して50μS/cm未満の伝導率にする。洗浄された懸濁液を、脱塩水を用いて20質量%の固体含量に調節し、ディソルバーを用いて15分間分散させる。懸濁液の半分を凍結乾燥する。懸濁液の残りの半分を、ディソルバーで分散させながら、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン15g(Silquest A-1100、GE Silicons社)をゆっくりと添加する。懸濁液を引き続き、さらに20分間、ディソルバーを用いて分散させ、ついで凍結乾燥器中で乾燥される。
【0032】
例2により製造された粒子を、アクリラート透明塗料中で、塗料の機械的性質を改善するために使用する。そのために、次の組成を有する粉砕バッチを製造する(無機変性された硫酸バリウムの代わりに、選択的に、本発明により製造された無機変性された粒子が使用されることができる):
Macrynal SM 510 n: 42.3質量部
キシレン/MPA 2:1: 42.3質量部
硫酸バリウム: 55.0質量部。
【0033】
この粉砕バッチを、Skandex上で2mmガラスビーズを使用して75分間分散させる。こうして分散された粉砕ペーストの分散の細かさは5μm未満である。粉砕バッチをついで、硬化剤及び助剤溶液を用いて以下のように希釈した:
粉砕ペースト: 39.4質量部
助剤溶液: 18.8質量部
Desmodur N75: 16.5質量部
Macrynal SM 510 n: 25.3質量部。
【0034】
助剤溶液は、以下のように構成されている:
Irgastab DBTL: 0.177質量部
ジメチルエタノールアミン: 0.316質量部
シリコーン油L 050: 0.829質量部
Solvesso 100: 4.642質量部
キシレン: 5.383質量部
メトキシプロピルアセタート 7.454質量部。
【0035】
50μm、100μm及び150μmの未乾燥塗膜の厚さを有する塗料塗膜を黒いガラスプレート上に製造し、かつ一晩にわたって乾燥させる。乾燥された塗料層の反射率Ryを、Y−フィルターを使用してDIN 53140に従い測定した。結果は、第3表にまとめられている。
【0036】
第3表:
【表3】

【0037】
透明塗料の振かん硬さ(Pendelhaerte)は、無機変性されたもしくはシラン化された粒子の使用により改善された。結果は、第4表にまとめられている:
第4表:
【表4】

PVK:顔料容積濃度。
【0038】
透明塗料のガラス転移温度TGも、変性された硫酸バリウムの使用により高められることができた。結果は、第5表にまとめられている:
第5表:
【表5】

【0039】
耐薬品性にも、超微粒子の無機変性は有利な影響を及ぼす。結果は、第6表にまとめられている:
第6表:
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1μm又はそれ以下の一次粒度d50を有する超微粒子であって、
前記超微粒子は少なくとも1つの無機化合物で表面変性されており、その際に超微粒子として好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2が使用され、極めて特に好ましくはBaSO4が使用され、かつその際に表面変性された粒子の一次粒度は出発粒子の一次粒度に本質的に相当することを特徴とする、超微粒子。
【請求項2】
無機化合物の質量割合が、前記粒子を基準として0.1〜50.0質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である、請求項1記載の超微粒子。
【請求項3】
無機化合物が、水溶性のアルミニウム化合物、アンチモン化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、セリウム化合物、塩素化合物、コバルト化合物、鉄化合物、リン化合物、炭素化合物、マンガン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、ケイ素化合物、窒素化合物、ストロンチウム化合物、バナジウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物及び/又はジルコニウム化合物から選択されている、請求項1又は2記載の超微粒子。
【請求項4】
無機化合物の表面変性に加えて、少なくとも1つのシラン又は複数のシランで変性されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の超微粒子。
【請求項5】
シランがアルコキシアルキルシランである、請求項4記載の超微粒子。
【請求項6】
アルコキシアルキルシランが、オクチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ−シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び/又は加水分解されたシラン、例えばγ−アミノプロピルシルセスキオキサン(GE社)から選択されている、請求項5記載の超微粒子。
【請求項7】
0.05〜0.005μmの一次粒度d50を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の超微粒子。
【請求項8】
表面変性された超微粒子の製造方法であって、
無機化合物を0.1μm又はそれ以下の一次粒度d50を有する、好ましくは0.05〜0.005μmの一次粒度d50を有する超微粒子の水性懸濁液に添加し、かつ無機化合物を、pH値の調節により超微粒子上へ沈殿させ、かつその際に超微粒子として好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2を使用し、極めて特に好ましくはBaSO4を使用することを特徴とする、
表面変性された超微粒子の製造方法。
【請求項9】
無機化合物として9〜14のpH値で水溶性である無機化合物を選択する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
無機化合物の質量割合が、前記粒子を基準として0.1〜50.0質量%、好ましくは1.0〜10.0質量%である、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
無機化合物が、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、セリウム化合物、塩素化合物、コバルト化合物、鉄化合物、リン化合物、炭素化合物、マンガン化合物、酸素化合物、硫黄化合物、ケイ素化合物、窒素化合物、ストロンチウム化合物、バナジウム化合物、亜鉛化合物、スズ化合物及び/又はジルコニウム化合物から選択されている、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
無機化合物の添加の際の水性懸濁液のpH値が9〜14である、請求項8から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
水性懸濁液を、無機化合物の添加後に、激しく撹拌しながら均質化する、請求項8から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
無機化合物を、5〜8のpH値へのpH値の調節により沈殿させる、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
複数の無機化合物を連続して添加する及び/又は沈殿させる、請求項8から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
無機化合物の沈殿の後に熟成時間を続ける、請求項8から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
無機化合物の沈殿の後に10〜150分の熟成時間を続ける、請求項8から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
無機化合物の沈殿の後に最大50℃の温度での10〜150分の熟成時間を続ける、請求項8から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
熟成時間の前又は後に、1つ又はそれ以上のシラン、好ましくはアルコキシアルキルシランを添加する、請求項8から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
得られた懸濁液を洗浄し、かつ水性ペーストにさらに加工する、請求項8から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
得られた懸濁液を洗浄し、かつ乾燥させる、請求項8から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
乾燥させた材料を、乾燥後に、少なくとも1つのシラン、好ましくは少なくとも1つのアルコキシアルキルシランとの混合により変性する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
アルコキシアルキルシランが、オクチルトリエトキシシラン、γ−メタクリルプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシ−シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノ官能性シラン、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及び/又は加水分解されたシラン、例えばγ−アミノプロピルシルセスキオキサン(GE社)から選択されている、請求項22記載の方法。
【請求項24】
請求項8から23までのいずれか1項記載の方法により製造可能な0.1μm又はそれ以下の一次粒度d50を有する超微粒子であって、超微粒子として、好ましくはTiO2、Al23、SiO2、BaSO4、ZnO又はFe23、特に好ましくはBaSO4又はTiO2が使用され、極めて特に好ましくはBaSO4が使用される、超微粒子。
【請求項25】
熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチック及び/又はエラストマーにおける、請求項1から7までのいずれか1項又は請求項24に記載の、又は請求項8から23までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、表面変性された超微粒子の使用。
【請求項26】
コーティングにおける分散助剤としての、請求項1から7までのいずれか1項又は請求項24に記載の、又は請求項8から23までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、表面変性された超微粒子の使用。
【請求項27】
コーティングにおけるチキソトロープ剤としての、請求項1から7までのいずれか1項又は請求項24に記載の、又は請求項8から23までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、表面変性された超微粒子の使用。
【請求項28】
機械的性質の改善のため、好ましくは硬さ、接着、耐摩耗性、耐食性、バリアー性、耐引っかき性、耐薬品性、ガラス転移温度及び/又は光沢の改善のための、コーティングにおける、請求項1から7までのいずれか1項又は請求項24に記載の、又は請求項8から23までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、表面変性された超微粒子の使用。
【請求項29】
機械的性質の改善のため、好ましくは硬さ、靭性、強さ、割れの広がり、摩耗速度及び/又は熱的性質の改善のための、熱硬化性プラスチック、エラストマー及び熱可塑性プラスチックにおける、請求項1から7までのいずれか1項又は請求項24に記載の、又は請求項8から23までのいずれか1項記載の方法により製造可能な、表面変性された超微粒子の使用。

【公表番号】特表2010−501707(P2010−501707A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526072(P2009−526072)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058891
【国際公開番号】WO2008/023073
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(501082864)ザッハトレーベン ヒェミー ゲゼルシヤフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (16)
【氏名又は名称原語表記】Sachtleben Chemie GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Rudolf−Sachtleben−Strasse 4, 47198 Duisburg, Germany
【Fターム(参考)】