無線タグ検出システム
【課題】 送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムを提供する。
【解決手段】 複数の据置式無線タグ通信装置12と携帯式無線タグ通信装置14とが互いに異なるタイミングで送信信号を送信するように制御する送信制御部146を含むことから、時分割で前記送信信号を送信することで、前記複数の据置式無線タグ通信装置12から送信される送信電波と携帯式無線タグ通信装置14から送信される送信電波との干渉が好適に防止される。すなわち、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグ16を好適に検出する無線タグ検出システム10を提供することができる。
【解決手段】 複数の据置式無線タグ通信装置12と携帯式無線タグ通信装置14とが互いに異なるタイミングで送信信号を送信するように制御する送信制御部146を含むことから、時分割で前記送信信号を送信することで、前記複数の据置式無線タグ通信装置12から送信される送信電波と携帯式無線タグ通信装置14から送信される送信電波との干渉が好適に防止される。すなわち、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグ16を好適に検出する無線タグ検出システム10を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置に関し、特に、複数の無線タグ通信装置により所定の空間内における無線タグを検出する無線タグ検出システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かる無線タグ通信装置の一利用形態として、複数の無線タグ通信装置の連携動作により、所定の領域内における無線タグを検出する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された目的地案内システムがそれである。この技術によれば、室内等の空間内に設置された複数の固定端末(据置式無線タグ通信装置)と、利用者による携帯が可能な携帯端末(携帯式無線タグ通信装置)とを用いることで、室内等の狭い範囲における目的地検出や案内を好適に実現できるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−116583号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術では、実際に複数の固定端末を動作させることで、送信電波が干渉を起こして読み取り動作に悪影響を与えるおそれがあった。このため、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムの開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、所定の位置に据え置かれ、所定の無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、その無線タグから返信される返信信号を受信してその無線タグとの間で情報の通信を行う複数の据置式無線タグ通信装置と、前記無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、その無線タグから返信される返信信号を受信して前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域内における前記無線タグを検出する携帯式無線タグ通信装置とを、備えた無線タグ検出システムであって、前記複数の据置式無線タグ通信装置と携帯式無線タグ通信装置とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置と携帯式無線タグ通信装置とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部を含むことから、時分割で前記送信信号を送信することで、前記複数の据置式無線タグ通信装置から送信される送信電波と携帯式無線タグ通信装置から送信される送信電波との干渉が好適に防止される。すなわち、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムを提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域よりも狭小である。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置により検出対象である無線タグの位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置によりその無線タグの位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグを検出できる。
【0010】
また、好適には、前記送信制御部は、前記複数の据置式無線タグ通信装置相互の通信範囲が重なる領域に同時に送信しないようにそれら複数の据置式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングを制御するものである。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置相互間における送信電波の干渉が好適に防止される。
【0011】
また、好適には、複数の前記携帯式無線タグ通信装置を備えたものである。このようにすれば、所定の領域内における複数の無線タグの位置を更に好適に検出できる。
【0012】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、それぞれ識別用の前記無線タグを備えたものである。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置により前記携帯式無線タグ通信装置の位置を検出できる。
【0013】
また、好適には、前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置に備えられた識別用の無線タグと検出対象である無線タグとが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部を含むものである。このようにすれば、前記携帯式無線タグ通信装置と検出対象である無線タグとの相対位置関係を検出できる。
【0014】
また、好適には、前記送信制御部は、前記判定部による判定が肯定された場合にはじめて前記携帯式無線タグ通信装置が前記送信信号を送信するように制御するものである。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置により検出対象である無線タグの位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置によりその無線タグの位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグを検出できる。
【0015】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、所定の入力操作により検出対象である無線タグを指定する入力指定部を含むものである。このようにすれば、使用者は前記携帯式無線タグ通信装置だけを操作することにより所定の領域内における所望の無線タグを好適に検出できる。
【0016】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、検出対象である無線タグの存在する方向を表示させる表示部を含むものである。このようにすれば、検出対象である無線タグの位置を視覚的に確認できる。
【0017】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、前記判定部による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部を含むものである。このようにすれば、検出対象である無線タグに接近したことが前記報知により確認できる。
【0018】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を備え、それら複数のアンテナ素子による指向性を変更するための指向性制御部を含むものである。このようにすれば、実用的な態様で検出対象である無線タグの位置を詳しく検出できる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例である無線タグ検出システム10について説明する図である。この図1に示すように、本実施例の無線タグ検出システム10は、所定の位置に据え置かれた複数(例えば、12台)の据置式無線タグ通信装置12a、12b、12c、・・・、12l(以下、特に区別しない場合には単に据置式無線タグ通信装置12と称する)と、それら複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域内における前記無線タグ16を検出する単数乃至は複数(図1では単数)の携帯式無線タグ通信装置(ハンディリーダ)14と、検出対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ16とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記据置式無線タグ通信装置12は、上記無線タグ16に向けて所定の質問波(送信信号)Fc1、Fc2、Fc3、・・・、Fc12(以下、特に区別しない場合には単に質問波Fcと称する)を送信すると共に、その無線タグ16から返信される応答波(返信信号)Frを受信してその無線タグ16との間で情報の通信を行う。また、上記携帯式無線タグ通信装置14は、上記無線タグ16に向けて所定の質問波Fpを送信すると共に、その無線タグ16から返信される応答波Frを受信してその無線タグ16を検出する。なお、本実施例の無線タグ検出システム10において、好適には、利用者は上記携帯式無線タグ通信装置14を携帯し、その携帯式無線タグ通信装置14の表示部60に表示される画面を参照しながら上記無線タグ16の検出を行う。
【0021】
図2は、上記据置式無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、上記据置式無線タグ通信装置12は、上記質問波Fcの主搬送波を発生させる基準周波数発生部18と、その基準周波数発生部18により発生させられる基準波と制御部46からの制御信号とに基づいて主搬送波の周波数を設定するPLL(Phase Locked Loop)20と、その主搬送波の周波数をPLL20からの制御電圧に応じて制御するVCO(Voltage Controlled Oscillator)22と、そのVCO22により制御された所定の周波数の主搬送波を所定の制御信号TX‐ASKに基づいて振幅変調して送信信号を生成する主搬送波変調部24と、その主搬送波変調部24から出力される送信信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅する送信信号増幅部26と、その送信信号増幅部26から出力される送信信号を質問波Fcとして通信対象である無線タグ16に向けて送信すると共に、その質問波Fcに応じてその無線タグ14から返信される応答波Frを受信する送受信共用のアンテナ28と、そのアンテナ28により受信された受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部30及びQ相信号変換部32と、上記送信信号増幅部26から出力される送信信号を上記アンテナ28に供給すると共に、そのアンテナ28により受信された受信信号を上記I相信号変換部30及びQ相信号変換部32に供給する送受信分離部34と、そのI相信号変換部30から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF(Band Pass Filter)36と、そのI相信号BPF36から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部38と、上記Q相信号変換部32から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF40と、そのQ相信号BPF40から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部42と、上記I相信号増幅部38及びQ相信号増幅部42から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出するRSSI(Recieved Signal Strength Indicator)44と、上記据置式無線タグ通信装置12の動作を制御する制御部46と、その制御部46をLANケーブル50を介して後述するコントローラ52に接続するためのLANインターフェイス48とを、備えて構成されている。ここで、上記送受信分離部34としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
【0022】
上記制御部46は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、後述するコントローラ52からの指令に応じて前記無線タグ16への質問波Fcの送信処理動作及びその質問波Fcに応じてその無線タグ16から返信される応答波Frの受信処理動作等の基本的な制御を行う。検出対象である無線タグ16へ向けて送信される送信信号は、「所定のIDの無線タグ16である場合には応答せよ」という意味を持つ問い合わせコマンドを含む電波であり、斯かる送信信号を受信した無線タグ16において、その問い合わせコマンドにて指定されるIDが自己のIDである場合には、所定の返答を示す返信信号がその無線タグ16から返信される。
【0023】
図3は、前記携帯式無線タグ通信装置14の外観を説明する平面図であり、図4は、図3を矢印IVの方向から見た背面図である。これらの図3及び図4に示すように、前記携帯式無線タグ通信装置14は、本体ユニット54及びその本体ユニット54に着脱可能に設けられたアンテナユニット56から成る。この本体ユニット54は、筐体58と、その筐体58の平面部に設けられた表示部60と、その平面部における表示部60の側方に設けられた操作部62と、ブザー、アラーム、或いはチャイムスピーカ等の音声発生装置64と、上記筐体58の側部に設けられたCCDカメラ66とを、備えて構成されている。また、好適には、上記筐体58に内蔵される、あるいは上記筺体58の裏面に貼り付けられる等の態様で、図6を用いて後述する無線タグ16と同様の構成を有する識別用の無線タグ16’を備えている。
【0024】
上記操作部62は、所定のキー、ボタン、スイッチ、或いはパッド等の入力装置を備えており、それらの入力装置によって上記表示部60の表示や無線タグ16の検出に係わる様々な操作を行い得るようになっている。また、上記CCDカメラ66は、上記筐体58に対して軸心まわりに自転可能に配設された筒状部材68内に設けられている。この筒状部材68には、手動により上記筐体58に対して回転させるための把持部70が一体的に設けられており、この把持部70を操作して上記筒状部材68を筐体58に対して回転させることにより上記CCDカメラ66を回転させることができ、延いてはそのCCDカメラ66による視野をある程度の範囲で上下方向に俯抑動できるようになっている。
【0025】
前記アンテナユニット56は、ユニット基部72と、そのユニット基部72内に設けられ前記無線タグ16へ所定の質問波Fpを送信するための送信アンテナ74と、アンテナ支持アームに支持されることにより上記ユニット基部72から左右に張り出すように設けられ前記無線タグ16からの応答波Frを受信するための複数(例えば、3つ)の受信アンテナ76a、76b、76c(以下、特に区別しない場合には単に受信アンテナ76と称する)と、それら受信アンテナ76を内包するアンテナカバー78とを、備えて構成されている。なお、図3及び図4では、上記受信アンテナ76a及び76cが上記ユニット基部72から左右に張り出すように設けられ、中央の上記受信アンテナ76bはユニット基部72内に設けられている。
【0026】
上記ユニット基部72は、図示しない所定の係止具を備えており、その係止具が前記本体ユニット54の所定部位に設けられた図示しない係止部と係合させられることにより、その本体ユニット54に対して着脱可能とされている。また、上記アンテナ部76a、76cは、上記ユニット基部72に対して長手方向に伸縮自在に設けられており、中央の受信アンテナ76bに対する間隔を調節できるようになっている。また、中央の受信アンテナ76bに対するアンテナ部76a及び76cの間隔は、常に等しくなるように構成されている。
【0027】
図5は、前記携帯式無線タグ通信装置14の構成を説明する図である。この図5に示すように、前記携帯式無線タグ通信装置14は、前記質問波Fpの主搬送波を発生させる基準周波数発生部80と、その基準周波数発生部80により発生させられる主搬送波を所定の制御信号TX‐ASKに基づいて振幅変調して送信信号を生成する主搬送波変調部82と、その主搬送波変調部82から出力される送信信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅して前記送信アンテナ74へ供給する送信信号増幅部84と、前記複数の受信アンテナ素子76による受信指向性を制御するための指向性制御部86と、その指向性制御部86から出力される指向性制御された受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部88及びQ相信号変換部90と、そのI相信号変換部88から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF92と、そのI相信号BPF92から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部94と、そのI相信号増幅部94から出力されるI相信号を検出して制御部106に所定のRXS−I信号を供給するI相リミッタ96と、上記Q相信号変換部90から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF98と、そのQ相信号BPF98から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部100と、そのQ相信号増幅部100から出力されるQ相信号を検出して制御部106に所定のRXS−Q信号を供給するQ相リミッタ102と、上記I相信号増幅部94及びQ相信号増幅部100から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出して制御部106に所定のRSSI信号を供給するRSSI104と、上記携帯式無線タグ通信装置14の動作を制御する制御部106と、その制御部106を無線LAN通信により後述するコントローラ52に接続するための無線LAN通信部108と、上記制御部106からの指令に従って前記表示部60に所定の映像を表示させると共に、前記CCDカメラ66による撮像を制御する画像処理部110とを、備えて構成されている。
【0028】
上記指向性制御部86は、上記制御部106からの指令に従って前記受信アンテナ76a、76b、76cから供給される受信信号それぞれの位相を制御する位相制御部112a、112b、112c(以下、特に区別しない場合には単に位相制御部112と称する)と、それら位相制御部112から出力される位相制御された受信信号それぞれの振幅を制御する振幅制御部114a、114b、114c(以下、特に区別しない場合には単に振幅制御部114と称する)と、それら振幅制御部114から出力される振幅制御された受信信号を加算して上記I相変換部88及びQ相変換部90へ供給する加算器116とから成り、前記複数の受信アンテナ素子76による指向性を変更するための指向性制御部として機能する。斯かる構成を備えていることにより、前記携帯式無線タグ通信装置14は、指向特性を細く絞った所謂ペンシルビームによりピンポイントに前記無線タグ16の検出を行い得る。上述した構成の指向性制御部86は周知のフェイズドアレイアンテナにより構成されており、制御部106からの制御信号により位相制御部112及び振幅制御部114の動作が制御されて受信アンテナ76が所望の方向への指向性を得るように制御されるのである。
【0029】
図6は、前記無線タグ16の構成を説明する図である。この図6に示すように、前記無線タグ16は、前記据置式無線タグ通信装置12や携帯式無線タグ通信装置14との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部118と、そのアンテナ部118により受信された信号を処理するためのIC回路部120とを、備えて構成されている。そのIC回路部120は、上記アンテナ部118により受信された質問波Fc或いはFpを整流する整流部122と、その整流部122により整流された質問波Fc或いはFpのエネルギを蓄積するための電源部124と、上記アンテナ部118により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部132に供給するクロック抽出部126と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部128と、上記アンテナ部118に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部130と、上記整流部122、クロック抽出部126、及び変復調部130等を介して上記無線タグ16の作動を制御するための制御部132とを、機能的に含んでいる。この制御部132は、前記据置式無線タグ通信装置12や携帯式無線タグ通信装置14との間で通信を行うことにより上記メモリ部128に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部118により受信された質問波Fc或いはFpを上記変復調部130において上記メモリ部128に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ部118から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。なお、前述のように、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’もこの図6に示すような構成を有している。
【0030】
図7は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12a乃至12lが所定の室134に配設された様子を説明する図である。本実施例の無線タグ16は、UHF帯を用いるパッシブタイプのタグであるので、質問器である据置式無線タグ通信装置12の通信可能範囲は、通常、3乃至5m程度である。図7は、通信可能範囲が5mである据置式無線タグ通信装置12a乃至12lが14m×21mの室134に配設された例を示しており、各据置式無線タグ通信装置12に備えられたアンテナ28の相互間隔を7mとして室134における3×4の格子点上に設置されている。このように配設された12台の据置式無線タグ通信装置12により、図7に示すように、上記室134の全領域を通信範囲として覆うことができる。
【0031】
図8は、図7の一部を拡大して示す図である。この図8に示すように、本実施例の無線タグ検出システム10では、先ず、前記複数の据置式無線タグ通信装置12により検出対象である無線タグ16の大まかな位置を検出し、次に、前記携帯式無線タグ通信装置14によりその無線タグ16の詳細な位置を検出する。前記携帯式無線タグ通信装置14の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域よりも狭小とされており、前述のように指向特性を細く絞ったペンシルビーム型アンテナにより、通信対象である無線タグ16の位置をピンポイントで検出できる。すなわち、上記室134に設置された図示しない机における所定の引き出し内に前記無線タグ16が入っている、というところまでその無線タグ16の位置を特定することができる。
【0032】
図9は、前記無線タグ検出システム10を制御するためのコントローラ52について説明する図であり、図10は、そのコントローラ52の構成を説明する図である。これら図9及び図10に示すように、前記無線タグ検出システム10には、CPU138、ROM140、RAM142、及びLANインターフェイス144等を含んで構成され、RAM142の一時記憶機能を利用しつつROM140に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うコントローラ52が備えられている。このコントローラ52は、LANケーブル50を介して前記複数の据置式無線タグ通信装置12に接続されており、それら据置式無線タグ通信装置12との間で情報の通信が可能とされている。また、無線LANコンバータ136を介して前記携帯式無線タグ通信装置14との間で無線LAN通信を行うことが可能とされている。以上のような構成により、上記コントローラ52は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14を制御することにより、前記無線タグ検出システム10による前記無線タグ16の検出動作を統合的に制御する。このため、上記コントローラ52は、図9に示すように、前記複数の据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14による送信信号の送信を制御する送信制御部146と、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部148とを機能的に備えている。
【0033】
図11は、前記携帯式無線タグ通信装置14の表示部60に表示される無線タグサーチ画面を例示する図である。前記コントローラ52は、前記室134の地図情報、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の数とグループ分け情報、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’の情報を予め記憶しており、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた画像処理部110を制御することにより、その携帯式無線タグ通信装置14の表示部60に図11に示すような無線タグサーチ画面を表示させる。前記携帯式無線タグ通信装置14では、前記操作部62による入力操作に応じて複数種類の無線タグ16のうちから検出対象である無線タグ16を指定できるようになっており、この指定入力が行われることでその情報が上記コントローラ52に送信され、指定された無線タグ16を対象とする検出動作が開始される。すなわち、前記表示部60は、検出対象である無線タグ16の存在する方向を表示させる表示部として機能する。また、前記操作部62は、所定の入力操作により検出対象である無線タグ16を指定する入力指定部として機能する。
【0034】
斯かる検出動作に際して、前記複数の据置式無線タグ通信装置12は、検出対象である無線タグ16及び携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’の大まかな位置を検出してその情報を前記コントローラ52に供給するようになっており、この情報を受信した前記コントローラ52は、前記携帯式無線タグ通信装置14の画像処理部110を介して前記室134の地図を表示させると共に、その室134内における検出対象である無線タグ16及び携帯式無線タグ通信装置14の相対位置を示す情報を上記無線タグサーチ画面に表示させる。前記携帯式無線タグ通信装置14を携帯する利用者はその無線タグサーチ画面を参照することで、検出対象である無線タグ16の近傍まで誘導される。そして、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16にある程度接近したと判定される場合、すなわち前記判定部148の判定が肯定される場合には、前記コントローラ52は、その携帯式無線タグ通信装置14の音声発生装置64を制御して所定の音声を発生させることで、検出対象である無線タグ16の接近を利用者に報知する。すなわち、前記音声発生部64は、前記判定部148による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部として機能する。また、前記表示部60の無線タグサーチ画面にも検出対象である無線タグ16の接近が表示されるようになっており、その無線タグ16の接近を視覚的に報知する報知部として機能する。
【0035】
図12は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。前記送信制御部146は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12相互の通信範囲が重ならないようにそれら据置式無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信を制御する。具体的には、図12のタイムスロットAに示すタイミングでグループAに属する前記据置式無線タグ通信装置12a、12c、12i、12kから、タイムスロットBに示すタイミングでグループBに属する前記据置式無線タグ通信装置12b、12d、12j、12lから、タイムスロットCに示すタイミングでグループCに属する前記据置式無線タグ通信装置12e、12gから、タイムスロットDに示すタイミングでグループDに属する前記据置式無線タグ通信装置12f、12hから質問波Fcを送信させるようにそれら据置式無線タグ通信装置12を制御する。斯かるタイミングで質問波Fcを送信することで、隣接して設けられた据置式無線タグ通信装置12の送信相互の干渉を好適に防止することができ、混信を避けて効率よく問い合わせを行うことができる。なお、前記複数の据置式無線タグ通信装置12は、検出対象である無線タグ16に向けて送信信号を送信する一方、携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’を検出するために送信信号を送信するものであるため、1回の通信に関して問い合わせコマンドのIDを変えて図12に示すような送信を2回行うことになる。
【0036】
図13は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。前記送信制御部146は、前記判定部148による判定が肯定された場合、すなわち前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在すると判定された場合にはじめてその携帯式無線タグ通信装置14が前記送信信号を送信するように制御する。すなわち、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16に十分接近した段階でその携帯式無線タグ通信装置14から送信信号を送信させるようにする。この携帯式無線タグ通信装置14による送信動作に関して、前記送信制御部146は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12と携帯式無線タグ通信装置14とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するようにそれら据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14からの前記送信信号の送信を制御する。具体的には、上述した前記複数の据置式無線タグ通信装置12からの送信タイミングに加えて、図13のタイムスロットEに示すタイミングで前記携帯式無線タグ通信装置14から質問波Fpを送信させるようにその携帯式無線タグ通信装置14を制御する。以上のように送信信号の送信タイミングを統合的に制御することで、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグ16を好適に検出することができる。
【0037】
図14は、前記コントローラ52のCPU138による無線タグ検出統合制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0038】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記携帯式無線タグ通信装置14(ハンディリーダ)に対して利用者による入力が問い合わされる。次に、S2において、前記無線タグ16の検出動作開始指示があったか否かが判断される。このS2の判断が否定されるうちは、S2の判断が繰り返されることにより待機させられるが、S2の判断が肯定される場合には、S3において、前記携帯式無線タグ通信装置14の操作部62を介して入力された検出対象である無線タグ(目的タグ)16のIDが取得される。次に、図15に示すSAXにおいて、グループXに属する据置式無線タグ通信装置12により前記無線タグ16の大まかな位置検出制御が行われる。すなわち、先ず、SAAにおいて、グループAに属する据置式無線タグ通信装置12a、12c、12i、12kによる検出制御が行われる。次に、SABにおいて、グループBに属する据置式無線タグ通信装置12b、12d、12j、12lによる検出制御が行われる。次に、SACにおいて、グループCに属する据置式無線タグ通信装置12e、12gによる検出制御が行われる。次に、SADにおいて、グループDに属する据置式無線タグ通信装置12f、12hによる検出制御が行われる。続いて、前記判定部148の動作に対応するS4において、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16の近傍に位置しているか否か、すなわち前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在するか否かが判断される。このS4の判断が肯定される場合には、図16に示すSBにおいて、前記携帯式無線タグ通信装置14の音声発生装置64から所定の音声が発生させられて検出対象である無線タグ16の接近が報知されると共に、前記携帯式無線タグ通信装置14により前記無線タグ16の位置検出制御が行われた後、S5以下の処理が実行されるが、S4の判断が否定される場合には、S5において、前記無線タグ16の検出結果が前記携帯式無線タグ通信装置14に送られ、前記画像処理部110を介してその検出結果が表示部60に表示される。次に、S6において、前記携帯式無線タグ通信装置14に対して利用者による入力が問い合わされる。次に、S7において、前記無線タグ16の検出終了指示があったか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合には、SAA以下の処理が再び実行されるが、S7の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SAX及びSBが前記送信制御部146の動作に対応する。
【0039】
図15に示す制御では、先ず、SAX1(このXにはグループの種類であるA、B、C、Dのうち何れかが代入される。以下の説明について同じ)において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12に、検出対象である無線タグ16の位置を検出するように問い合わせコマンドが送られる。次に、SAX2において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12からの返答待ち状態にて待機させられる。次に、SAX3において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12に、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’の位置を検出するように問い合わせコマンドが送られる。次に、SAX4において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12からの返答待ち状態にて待機させられた後、図14に示すメインルーチンS4以下の処理が実行される。
【0040】
図16に示す制御では、先ず、SB1において、前記携帯式無線タグ通信装置14に、検出対象である無線タグ16の位置を検出するように問い合わせコマンドが送られる。次に、SB2において、前記携帯式無線タグ通信装置14からの返答待ち状態にて待機させられた後、図14に示すメインルーチンS5以下の処理が実行される。
【0041】
図17は、前記携帯式無線タグ通信装置14の制御部106による無線タグ検出制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0042】
先ず、SHA1において、所定のデータベースに問い合わせが行われ、検出対象となり得る無線タグ16に対応する品物リスト(品名とそれに貼り付けられた無線タグ16のIDの一覧)が取得される。次に、SHA2において、前記表示部60に図11に示すような無線タグサーチ画面が表示される。次に、SHA3において、前記操作部62に備えられたカーソルボタンが押されたか否かが判断される。このSHA3の判断が肯定される場合には、SHA4において、前記表示部60における品物リストのハイライト表示が更新された後、SHA3以下の処理が再び実行されるが、SHA3の判断が否定される場合には、SHA5において、前記操作部62に備えられた検索実行ボタンが押されたか否かが判断される。このSHA5の判断が肯定される場合には、SHA6において、前記表示部60にその時点で表示されているIDが検索対象である無線タグ16のIDであると決定され、内部情報が「検索要求あり」とされた後、SHA3以下の処理が再び実行されるが、SHA5の判断が否定される場合には、SHA7において、前記操作部62に備えられた検索終了ボタンが押されたか否かが判断される。このSHA7の判断が肯定される場合には、SHA8において、内部情報が「検索要求なし」とされた後、SHA3以下の処理が再び実行されるが、SHA7の判断が否定される場合には、SHA3以下の処理が再び実行される。以上の制御において、SHA2、SHA4、SHA6、及びSHA8が前記表示部60の動作に、SHA3、SHA5、及びSHA7が前記操作部62の動作にそれぞれ対応する。
【0043】
図18は、前記携帯式無線タグ通信装置14の制御部106による前記コントローラ52からのコマンド受取制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0044】
先ず、SHB1において、前記コントローラ52から入力問い合わせコマンドを受け取ったか否かが判断される。このSHB1の判断が否定される場合には、SHB5において、前記コントローラ52から描画コマンドを受け取ったか否かが判断されるが、SHB1の判断が肯定される場合には、SHB2において、内部情報が「検索要求あり」とされているか否かが判断される。このSHB2の判断が肯定される場合には、SHB3において、前記コントローラ52に検出対象である無線タグ16のIDと共に「スキャン開始」が返答された後、本ルーチンが終了させられるが、SHB2の判断が否定される場合には、SHB4において、前記コントローラ52に「要求なし」すなわち「検索終了」が返答された後、本ルーチンが終了させられる。SHB5の判断が肯定される場合、すなわち前記コントローラ52から描画コマンドを受け取ったと判断される場合には、SHB6において、前記コントローラ52から送られてきた情報に基づいて前記表示部60に検出対象である無線タグ16の位置及び携帯式無線タグ通信装置14の位置を含む無線タグサーチ画面が表示された後、本ルーチンが終了させられるが、SHB5の判断が否定される場合、すなわち前記コントローラ52から描画コマンドを受け取っていないと判断される場合には、SHB7において、前記コントローラ52からスキャンコマンドを受け取ったか否かが判断される。このSHB7の判断が肯定される場合には、SHB8において、検出対象である無線タグ16の位置検出処理が行われ、SHB9において、SHB8の検出結果が前記コントローラ52に返答された後、本ルーチンが終了させられるが、SHB7の判断が否定される場合には、SHB10において、その他のコマンド処理が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0045】
このように、本実施例によれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置12と携帯式無線タグ通信装置14とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部146(SAX及びSB)を含むことから、時分割で前記送信信号を送信することで、前記複数の据置式無線タグ通信装置12から送信される送信電波と携帯式無線タグ通信装置14から送信される送信電波との干渉が好適に防止される。すなわち、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグ16を好適に検出する無線タグ検出システム10を提供することができる。これにより、例えば、事務所や図書館等の比較的広い敷地内に多数の物品が置かれる場合に、それらの物品に前記無線タグ16を貼り付けておくことで、それら無線タグ16の位置を検出することで、上記多数の物品を好適に管理することができる。
【0046】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域よりも狭小であるため、それら複数の据置式無線タグ通信装置12により検出対象である無線タグ16の位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置14によりその無線タグ16の位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグ16を検出できる。
【0047】
また、前記送信制御部146は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12相互の通信範囲が重ならないようにそれら据置式無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信を制御するものであるため、前記複数の据置式無線タグ通信装置12相互間における送信電波の干渉が好適に防止される。
【0048】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、それぞれ識別用の前記無線タグ16’を備えたものであるため、前記複数の据置式無線タグ通信装置12により前記携帯式無線タグ通信装置14の位置を検出できる。
【0049】
また、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部148(S4)を含むものであるため、前記携帯式無線タグ通信装置14と検出対象である無線タグ16との相対位置関係を検出できる。
【0050】
また、前記送信制御部146は、前記判定部148による判定が肯定された場合にはじめて前記携帯式無線タグ通信装置14が前記送信信号を送信するように制御するものであるため、前記複数の据置式無線タグ通信装置12により検出対象である無線タグ16の位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置14によりその無線タグ16の位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグ16を検出できる。
【0051】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、所定の入力操作により検出対象である無線タグ16を指定する入力指定部として機能する操作部62(SHA3、SHA5、及びSHA7)を含むものであるため、使用者は前記携帯式無線タグ通信装置14だけを操作することにより所定の領域内における所望の無線タグ16を好適に検出できる。
【0052】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、検出対象である無線タグ16の存在する方向を表示させる表示部60(SHA2、SHA4、SHA6、及びSHA8)を含むものであるため、検出対象である無線タグ16の位置を視覚的に確認できる。
【0053】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、前記判定部148による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部として機能する音声発生装置64(SB)を含むものであるため、検出対象である無線タグ16に接近したことが前記報知により確認できる。
【0054】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、複数の受信アンテナ76を備え、それら複数の受信アンテナ76による指向性を変更するための指向性制御部86を含むものであるため、実用的な態様で検出対象である無線タグ16の位置を詳しく検出できる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0056】
例えば、前述の実施例では、単一の携帯式無線タグ通信装置14により検出対象である無線タグ16を検出する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の携帯式無線タグ通信装置14により前記無線タグ16の検出を行うものであってもよい。このようにすれば、とりわけ利用者が複数人である場合等において、所定の領域内における複数の無線タグ16の位置を更に好適に検出できる。
【0057】
また、前述の実施例では、図7に示すように、前記室134内に前記複数の据置式無線タグ通信装置12が3×4の格子点上に配設された態様を説明したが、例えば、図19に示すように、最近接する据置式無線タグ通信装置12が平面視において三角形を成すように配設されても当然に構わない。このようにすれば、同じ台数でより広い面積を通信範囲内とできることに加え、3スロットの時分割(携帯式無線タグ通信装置14も含めると4スロット)により送信電波の相互干渉を防止できるという利点がある。
【0058】
また、前述の実施例では、前記据置式無線タグ通信装置12とは別体としてコントローラ52が設けられていたが、このコントローラ52の機能は、何れかの据置式無線タグ通信装置12に備えられたものであってもよい。また、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられたものであっても構わない。
【0059】
また、前述の実施例において、前記携帯式無線タグ通信装置14には、前記表示部60とは別個に操作部62が設けられていたが、例えば、所定のタッチ入力操作により検出対象である無線タグを指定できると共に、検出対象である無線タグ16の存在する方向を表示させ得るタッチパネルディスプレイを備えたものであっても構わない。
【0060】
また、前述の実施例において、前記携帯式無線タグ通信装置14の音声発生装置64は、その携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16に接近した場合に所定の報知音を鳴らせるものであったが、例えば、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16から大きく離れてしまった場合に所定の報知音にてそれを報知するものであっても構わない。
【0061】
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記無線タグ16が貼り付けられることで管理される品物リスト用のデータベース機能が前記携帯式無線タグ通信装置14等に備えられたものであっても構わない。
【0062】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例である無線タグ検出システムについて説明する図である。
【図2】図1の無線タグ検出システムに備えられた据置式無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図3】図1の無線タグ検出システムに備えられた携帯式無線タグ通信装置の外観を説明する平面図である。
【図4】図3を矢印IVの方向から見た背面図である。
【図5】図1の無線タグ検出システムに備えられた携帯式無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図6】図1の無線タグ検出システムによる検出対象である無線タグの構成を説明する図である。
【図7】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置が所定の室に配設された様子を説明する図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す図である。
【図9】図1の無線タグ検出システムを制御するためのコントローラについて説明する図である。
【図10】図9のコントローラの構成を説明する図である。
【図11】図5の携帯式無線タグ通信装置の表示部に表示される無線タグサーチ画面を例示する図である。
【図12】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。
【図13】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置及び図5に示す携帯式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。
【図14】図10に示すコントローラのCPUによる無線タグ検出統合制御を説明するフローチャートである。
【図15】図14に示す制御の一部である据置式無線タグ通信装置の送信制御を説明するフローチャートである。
【図16】図14に示す制御の一部である携帯式無線タグ通信装置の送信制御を説明するフローチャートである。
【図17】図5の携帯式無線タグ通信装置の制御部による無線タグ検出制御を説明するフローチャートである。
【図18】図5の携帯式無線タグ通信装置の制御部によるコントローラからのコマンド受取制御を説明するフローチャートである。
【図19】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置が図7とは異なる配列で所定の室に配設された様子を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
10:無線タグ検出システム
12:据置式無線タグ通信装置
14:携帯式無線タグ通信装置
16:無線タグ
16’:識別用の無線タグ
60:表示部
62:操作部(入力指定部)
64:音声発生装置(報知部)
76:受信アンテナ(アンテナ素子)
86:指向性制御部
146:送信制御部
148:判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線にて情報の書き込みや読み出しができる無線タグとの間で通信を行う無線タグ通信装置に関し、特に、複数の無線タグ通信装置により所定の空間内における無線タグを検出する無線タグ検出システムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の情報が記憶された小型の無線タグ(応答器)から所定の無線タグ通信装置(質問器)により非接触にて情報の読み出しを行うRFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。このRFIDシステムは、無線タグが汚れている場合や見えない位置に配置されている場合であっても無線タグ通信装置との通信によりその無線タグに記憶された情報を読み出すことが可能であることから、商品管理や検査工程等の様々な分野において実用が期待されている。
【0003】
斯かる無線タグ通信装置の一利用形態として、複数の無線タグ通信装置の連携動作により、所定の領域内における無線タグを検出する技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された目的地案内システムがそれである。この技術によれば、室内等の空間内に設置された複数の固定端末(据置式無線タグ通信装置)と、利用者による携帯が可能な携帯端末(携帯式無線タグ通信装置)とを用いることで、室内等の狭い範囲における目的地検出や案内を好適に実現できるとされている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−116583号公報
【0005】
しかし、前記従来の技術では、実際に複数の固定端末を動作させることで、送信電波が干渉を起こして読み取り動作に悪影響を与えるおそれがあった。このため、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムの開発が求められていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、所定の位置に据え置かれ、所定の無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、その無線タグから返信される返信信号を受信してその無線タグとの間で情報の通信を行う複数の据置式無線タグ通信装置と、前記無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、その無線タグから返信される返信信号を受信して前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域内における前記無線タグを検出する携帯式無線タグ通信装置とを、備えた無線タグ検出システムであって、前記複数の据置式無線タグ通信装置と携帯式無線タグ通信装置とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置と携帯式無線タグ通信装置とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部を含むことから、時分割で前記送信信号を送信することで、前記複数の据置式無線タグ通信装置から送信される送信電波と携帯式無線タグ通信装置から送信される送信電波との干渉が好適に防止される。すなわち、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグを好適に検出する無線タグ検出システムを提供することができる。
【0009】
ここで、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域よりも狭小である。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置により検出対象である無線タグの位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置によりその無線タグの位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグを検出できる。
【0010】
また、好適には、前記送信制御部は、前記複数の据置式無線タグ通信装置相互の通信範囲が重なる領域に同時に送信しないようにそれら複数の据置式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングを制御するものである。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置相互間における送信電波の干渉が好適に防止される。
【0011】
また、好適には、複数の前記携帯式無線タグ通信装置を備えたものである。このようにすれば、所定の領域内における複数の無線タグの位置を更に好適に検出できる。
【0012】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、それぞれ識別用の前記無線タグを備えたものである。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置により前記携帯式無線タグ通信装置の位置を検出できる。
【0013】
また、好適には、前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置に備えられた識別用の無線タグと検出対象である無線タグとが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部を含むものである。このようにすれば、前記携帯式無線タグ通信装置と検出対象である無線タグとの相対位置関係を検出できる。
【0014】
また、好適には、前記送信制御部は、前記判定部による判定が肯定された場合にはじめて前記携帯式無線タグ通信装置が前記送信信号を送信するように制御するものである。このようにすれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置により検出対象である無線タグの位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置によりその無線タグの位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグを検出できる。
【0015】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、所定の入力操作により検出対象である無線タグを指定する入力指定部を含むものである。このようにすれば、使用者は前記携帯式無線タグ通信装置だけを操作することにより所定の領域内における所望の無線タグを好適に検出できる。
【0016】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、検出対象である無線タグの存在する方向を表示させる表示部を含むものである。このようにすれば、検出対象である無線タグの位置を視覚的に確認できる。
【0017】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、前記判定部による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部を含むものである。このようにすれば、検出対象である無線タグに接近したことが前記報知により確認できる。
【0018】
また、好適には、前記携帯式無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を備え、それら複数のアンテナ素子による指向性を変更するための指向性制御部を含むものである。このようにすれば、実用的な態様で検出対象である無線タグの位置を詳しく検出できる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例である無線タグ検出システム10について説明する図である。この図1に示すように、本実施例の無線タグ検出システム10は、所定の位置に据え置かれた複数(例えば、12台)の据置式無線タグ通信装置12a、12b、12c、・・・、12l(以下、特に区別しない場合には単に据置式無線タグ通信装置12と称する)と、それら複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域内における前記無線タグ16を検出する単数乃至は複数(図1では単数)の携帯式無線タグ通信装置(ハンディリーダ)14と、検出対象である単数乃至は複数(図1では単数)の無線タグ16とから構成される所謂RFID(Radio Frequency Identification)システムであり、上記据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14はそのRFIDシステムの質問器として、上記無線タグ14は応答器としてそれぞれ機能する。すなわち、上記据置式無線タグ通信装置12は、上記無線タグ16に向けて所定の質問波(送信信号)Fc1、Fc2、Fc3、・・・、Fc12(以下、特に区別しない場合には単に質問波Fcと称する)を送信すると共に、その無線タグ16から返信される応答波(返信信号)Frを受信してその無線タグ16との間で情報の通信を行う。また、上記携帯式無線タグ通信装置14は、上記無線タグ16に向けて所定の質問波Fpを送信すると共に、その無線タグ16から返信される応答波Frを受信してその無線タグ16を検出する。なお、本実施例の無線タグ検出システム10において、好適には、利用者は上記携帯式無線タグ通信装置14を携帯し、その携帯式無線タグ通信装置14の表示部60に表示される画面を参照しながら上記無線タグ16の検出を行う。
【0021】
図2は、上記据置式無線タグ通信装置12の構成を説明する図である。この図2に示すように、上記据置式無線タグ通信装置12は、上記質問波Fcの主搬送波を発生させる基準周波数発生部18と、その基準周波数発生部18により発生させられる基準波と制御部46からの制御信号とに基づいて主搬送波の周波数を設定するPLL(Phase Locked Loop)20と、その主搬送波の周波数をPLL20からの制御電圧に応じて制御するVCO(Voltage Controlled Oscillator)22と、そのVCO22により制御された所定の周波数の主搬送波を所定の制御信号TX‐ASKに基づいて振幅変調して送信信号を生成する主搬送波変調部24と、その主搬送波変調部24から出力される送信信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅する送信信号増幅部26と、その送信信号増幅部26から出力される送信信号を質問波Fcとして通信対象である無線タグ16に向けて送信すると共に、その質問波Fcに応じてその無線タグ14から返信される応答波Frを受信する送受信共用のアンテナ28と、そのアンテナ28により受信された受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部30及びQ相信号変換部32と、上記送信信号増幅部26から出力される送信信号を上記アンテナ28に供給すると共に、そのアンテナ28により受信された受信信号を上記I相信号変換部30及びQ相信号変換部32に供給する送受信分離部34と、そのI相信号変換部30から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF(Band Pass Filter)36と、そのI相信号BPF36から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部38と、上記Q相信号変換部32から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF40と、そのQ相信号BPF40から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部42と、上記I相信号増幅部38及びQ相信号増幅部42から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出するRSSI(Recieved Signal Strength Indicator)44と、上記据置式無線タグ通信装置12の動作を制御する制御部46と、その制御部46をLANケーブル50を介して後述するコントローラ52に接続するためのLANインターフェイス48とを、備えて構成されている。ここで、上記送受信分離部34としては、サーキュレータ若しくは方向性結合器等が好適に用いられる。
【0022】
上記制御部46は、CPU、ROM、及びRAM等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行う所謂マイクロコンピュータであり、後述するコントローラ52からの指令に応じて前記無線タグ16への質問波Fcの送信処理動作及びその質問波Fcに応じてその無線タグ16から返信される応答波Frの受信処理動作等の基本的な制御を行う。検出対象である無線タグ16へ向けて送信される送信信号は、「所定のIDの無線タグ16である場合には応答せよ」という意味を持つ問い合わせコマンドを含む電波であり、斯かる送信信号を受信した無線タグ16において、その問い合わせコマンドにて指定されるIDが自己のIDである場合には、所定の返答を示す返信信号がその無線タグ16から返信される。
【0023】
図3は、前記携帯式無線タグ通信装置14の外観を説明する平面図であり、図4は、図3を矢印IVの方向から見た背面図である。これらの図3及び図4に示すように、前記携帯式無線タグ通信装置14は、本体ユニット54及びその本体ユニット54に着脱可能に設けられたアンテナユニット56から成る。この本体ユニット54は、筐体58と、その筐体58の平面部に設けられた表示部60と、その平面部における表示部60の側方に設けられた操作部62と、ブザー、アラーム、或いはチャイムスピーカ等の音声発生装置64と、上記筐体58の側部に設けられたCCDカメラ66とを、備えて構成されている。また、好適には、上記筐体58に内蔵される、あるいは上記筺体58の裏面に貼り付けられる等の態様で、図6を用いて後述する無線タグ16と同様の構成を有する識別用の無線タグ16’を備えている。
【0024】
上記操作部62は、所定のキー、ボタン、スイッチ、或いはパッド等の入力装置を備えており、それらの入力装置によって上記表示部60の表示や無線タグ16の検出に係わる様々な操作を行い得るようになっている。また、上記CCDカメラ66は、上記筐体58に対して軸心まわりに自転可能に配設された筒状部材68内に設けられている。この筒状部材68には、手動により上記筐体58に対して回転させるための把持部70が一体的に設けられており、この把持部70を操作して上記筒状部材68を筐体58に対して回転させることにより上記CCDカメラ66を回転させることができ、延いてはそのCCDカメラ66による視野をある程度の範囲で上下方向に俯抑動できるようになっている。
【0025】
前記アンテナユニット56は、ユニット基部72と、そのユニット基部72内に設けられ前記無線タグ16へ所定の質問波Fpを送信するための送信アンテナ74と、アンテナ支持アームに支持されることにより上記ユニット基部72から左右に張り出すように設けられ前記無線タグ16からの応答波Frを受信するための複数(例えば、3つ)の受信アンテナ76a、76b、76c(以下、特に区別しない場合には単に受信アンテナ76と称する)と、それら受信アンテナ76を内包するアンテナカバー78とを、備えて構成されている。なお、図3及び図4では、上記受信アンテナ76a及び76cが上記ユニット基部72から左右に張り出すように設けられ、中央の上記受信アンテナ76bはユニット基部72内に設けられている。
【0026】
上記ユニット基部72は、図示しない所定の係止具を備えており、その係止具が前記本体ユニット54の所定部位に設けられた図示しない係止部と係合させられることにより、その本体ユニット54に対して着脱可能とされている。また、上記アンテナ部76a、76cは、上記ユニット基部72に対して長手方向に伸縮自在に設けられており、中央の受信アンテナ76bに対する間隔を調節できるようになっている。また、中央の受信アンテナ76bに対するアンテナ部76a及び76cの間隔は、常に等しくなるように構成されている。
【0027】
図5は、前記携帯式無線タグ通信装置14の構成を説明する図である。この図5に示すように、前記携帯式無線タグ通信装置14は、前記質問波Fpの主搬送波を発生させる基準周波数発生部80と、その基準周波数発生部80により発生させられる主搬送波を所定の制御信号TX‐ASKに基づいて振幅変調して送信信号を生成する主搬送波変調部82と、その主搬送波変調部82から出力される送信信号を所定の制御信号TX‐PWRに基づいて増幅して前記送信アンテナ74へ供給する送信信号増幅部84と、前記複数の受信アンテナ素子76による受信指向性を制御するための指向性制御部86と、その指向性制御部86から出力される指向性制御された受信信号を互いに直交するI相信号及びQ相信号に変換するI相信号変換部88及びQ相信号変換部90と、そのI相信号変換部88から出力されるI相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するI相信号BPF92と、そのI相信号BPF92から出力されるI相信号を増幅するI相信号増幅部94と、そのI相信号増幅部94から出力されるI相信号を検出して制御部106に所定のRXS−I信号を供給するI相リミッタ96と、上記Q相信号変換部90から出力されるQ相信号のうち所定の周波数帯域の信号のみを抽出するQ相信号BPF98と、そのQ相信号BPF98から出力されるQ相信号を増幅するQ相信号増幅部100と、そのQ相信号増幅部100から出力されるQ相信号を検出して制御部106に所定のRXS−Q信号を供給するQ相リミッタ102と、上記I相信号増幅部94及びQ相信号増幅部100から出力されるI相信号及びQ相信号の強度を検出して制御部106に所定のRSSI信号を供給するRSSI104と、上記携帯式無線タグ通信装置14の動作を制御する制御部106と、その制御部106を無線LAN通信により後述するコントローラ52に接続するための無線LAN通信部108と、上記制御部106からの指令に従って前記表示部60に所定の映像を表示させると共に、前記CCDカメラ66による撮像を制御する画像処理部110とを、備えて構成されている。
【0028】
上記指向性制御部86は、上記制御部106からの指令に従って前記受信アンテナ76a、76b、76cから供給される受信信号それぞれの位相を制御する位相制御部112a、112b、112c(以下、特に区別しない場合には単に位相制御部112と称する)と、それら位相制御部112から出力される位相制御された受信信号それぞれの振幅を制御する振幅制御部114a、114b、114c(以下、特に区別しない場合には単に振幅制御部114と称する)と、それら振幅制御部114から出力される振幅制御された受信信号を加算して上記I相変換部88及びQ相変換部90へ供給する加算器116とから成り、前記複数の受信アンテナ素子76による指向性を変更するための指向性制御部として機能する。斯かる構成を備えていることにより、前記携帯式無線タグ通信装置14は、指向特性を細く絞った所謂ペンシルビームによりピンポイントに前記無線タグ16の検出を行い得る。上述した構成の指向性制御部86は周知のフェイズドアレイアンテナにより構成されており、制御部106からの制御信号により位相制御部112及び振幅制御部114の動作が制御されて受信アンテナ76が所望の方向への指向性を得るように制御されるのである。
【0029】
図6は、前記無線タグ16の構成を説明する図である。この図6に示すように、前記無線タグ16は、前記据置式無線タグ通信装置12や携帯式無線タグ通信装置14との間で信号の送受信を行うためのアンテナ部118と、そのアンテナ部118により受信された信号を処理するためのIC回路部120とを、備えて構成されている。そのIC回路部120は、上記アンテナ部118により受信された質問波Fc或いはFpを整流する整流部122と、その整流部122により整流された質問波Fc或いはFpのエネルギを蓄積するための電源部124と、上記アンテナ部118により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部132に供給するクロック抽出部126と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部128と、上記アンテナ部118に接続されて信号の変調及び復調を行う変復調部130と、上記整流部122、クロック抽出部126、及び変復調部130等を介して上記無線タグ16の作動を制御するための制御部132とを、機能的に含んでいる。この制御部132は、前記据置式無線タグ通信装置12や携帯式無線タグ通信装置14との間で通信を行うことにより上記メモリ部128に上記所定の情報を記憶する制御や、上記アンテナ部118により受信された質問波Fc或いはFpを上記変復調部130において上記メモリ部128に記憶された情報信号に基づいて変調したうえで応答波Frとして上記アンテナ部118から反射返信する制御等の基本的な制御を実行する。なお、前述のように、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’もこの図6に示すような構成を有している。
【0030】
図7は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12a乃至12lが所定の室134に配設された様子を説明する図である。本実施例の無線タグ16は、UHF帯を用いるパッシブタイプのタグであるので、質問器である据置式無線タグ通信装置12の通信可能範囲は、通常、3乃至5m程度である。図7は、通信可能範囲が5mである据置式無線タグ通信装置12a乃至12lが14m×21mの室134に配設された例を示しており、各据置式無線タグ通信装置12に備えられたアンテナ28の相互間隔を7mとして室134における3×4の格子点上に設置されている。このように配設された12台の据置式無線タグ通信装置12により、図7に示すように、上記室134の全領域を通信範囲として覆うことができる。
【0031】
図8は、図7の一部を拡大して示す図である。この図8に示すように、本実施例の無線タグ検出システム10では、先ず、前記複数の据置式無線タグ通信装置12により検出対象である無線タグ16の大まかな位置を検出し、次に、前記携帯式無線タグ通信装置14によりその無線タグ16の詳細な位置を検出する。前記携帯式無線タグ通信装置14の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域よりも狭小とされており、前述のように指向特性を細く絞ったペンシルビーム型アンテナにより、通信対象である無線タグ16の位置をピンポイントで検出できる。すなわち、上記室134に設置された図示しない机における所定の引き出し内に前記無線タグ16が入っている、というところまでその無線タグ16の位置を特定することができる。
【0032】
図9は、前記無線タグ検出システム10を制御するためのコントローラ52について説明する図であり、図10は、そのコントローラ52の構成を説明する図である。これら図9及び図10に示すように、前記無線タグ検出システム10には、CPU138、ROM140、RAM142、及びLANインターフェイス144等を含んで構成され、RAM142の一時記憶機能を利用しつつROM140に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うコントローラ52が備えられている。このコントローラ52は、LANケーブル50を介して前記複数の据置式無線タグ通信装置12に接続されており、それら据置式無線タグ通信装置12との間で情報の通信が可能とされている。また、無線LANコンバータ136を介して前記携帯式無線タグ通信装置14との間で無線LAN通信を行うことが可能とされている。以上のような構成により、上記コントローラ52は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14を制御することにより、前記無線タグ検出システム10による前記無線タグ16の検出動作を統合的に制御する。このため、上記コントローラ52は、図9に示すように、前記複数の据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14による送信信号の送信を制御する送信制御部146と、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部148とを機能的に備えている。
【0033】
図11は、前記携帯式無線タグ通信装置14の表示部60に表示される無線タグサーチ画面を例示する図である。前記コントローラ52は、前記室134の地図情報、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の数とグループ分け情報、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’の情報を予め記憶しており、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた画像処理部110を制御することにより、その携帯式無線タグ通信装置14の表示部60に図11に示すような無線タグサーチ画面を表示させる。前記携帯式無線タグ通信装置14では、前記操作部62による入力操作に応じて複数種類の無線タグ16のうちから検出対象である無線タグ16を指定できるようになっており、この指定入力が行われることでその情報が上記コントローラ52に送信され、指定された無線タグ16を対象とする検出動作が開始される。すなわち、前記表示部60は、検出対象である無線タグ16の存在する方向を表示させる表示部として機能する。また、前記操作部62は、所定の入力操作により検出対象である無線タグ16を指定する入力指定部として機能する。
【0034】
斯かる検出動作に際して、前記複数の据置式無線タグ通信装置12は、検出対象である無線タグ16及び携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’の大まかな位置を検出してその情報を前記コントローラ52に供給するようになっており、この情報を受信した前記コントローラ52は、前記携帯式無線タグ通信装置14の画像処理部110を介して前記室134の地図を表示させると共に、その室134内における検出対象である無線タグ16及び携帯式無線タグ通信装置14の相対位置を示す情報を上記無線タグサーチ画面に表示させる。前記携帯式無線タグ通信装置14を携帯する利用者はその無線タグサーチ画面を参照することで、検出対象である無線タグ16の近傍まで誘導される。そして、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16にある程度接近したと判定される場合、すなわち前記判定部148の判定が肯定される場合には、前記コントローラ52は、その携帯式無線タグ通信装置14の音声発生装置64を制御して所定の音声を発生させることで、検出対象である無線タグ16の接近を利用者に報知する。すなわち、前記音声発生部64は、前記判定部148による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部として機能する。また、前記表示部60の無線タグサーチ画面にも検出対象である無線タグ16の接近が表示されるようになっており、その無線タグ16の接近を視覚的に報知する報知部として機能する。
【0035】
図12は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。前記送信制御部146は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12相互の通信範囲が重ならないようにそれら据置式無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信を制御する。具体的には、図12のタイムスロットAに示すタイミングでグループAに属する前記据置式無線タグ通信装置12a、12c、12i、12kから、タイムスロットBに示すタイミングでグループBに属する前記据置式無線タグ通信装置12b、12d、12j、12lから、タイムスロットCに示すタイミングでグループCに属する前記据置式無線タグ通信装置12e、12gから、タイムスロットDに示すタイミングでグループDに属する前記据置式無線タグ通信装置12f、12hから質問波Fcを送信させるようにそれら据置式無線タグ通信装置12を制御する。斯かるタイミングで質問波Fcを送信することで、隣接して設けられた据置式無線タグ通信装置12の送信相互の干渉を好適に防止することができ、混信を避けて効率よく問い合わせを行うことができる。なお、前記複数の据置式無線タグ通信装置12は、検出対象である無線タグ16に向けて送信信号を送信する一方、携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’を検出するために送信信号を送信するものであるため、1回の通信に関して問い合わせコマンドのIDを変えて図12に示すような送信を2回行うことになる。
【0036】
図13は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。前記送信制御部146は、前記判定部148による判定が肯定された場合、すなわち前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在すると判定された場合にはじめてその携帯式無線タグ通信装置14が前記送信信号を送信するように制御する。すなわち、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16に十分接近した段階でその携帯式無線タグ通信装置14から送信信号を送信させるようにする。この携帯式無線タグ通信装置14による送信動作に関して、前記送信制御部146は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12と携帯式無線タグ通信装置14とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するようにそれら据置式無線タグ通信装置12及び携帯式無線タグ通信装置14からの前記送信信号の送信を制御する。具体的には、上述した前記複数の据置式無線タグ通信装置12からの送信タイミングに加えて、図13のタイムスロットEに示すタイミングで前記携帯式無線タグ通信装置14から質問波Fpを送信させるようにその携帯式無線タグ通信装置14を制御する。以上のように送信信号の送信タイミングを統合的に制御することで、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグ16を好適に検出することができる。
【0037】
図14は、前記コントローラ52のCPU138による無線タグ検出統合制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0038】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、前記携帯式無線タグ通信装置14(ハンディリーダ)に対して利用者による入力が問い合わされる。次に、S2において、前記無線タグ16の検出動作開始指示があったか否かが判断される。このS2の判断が否定されるうちは、S2の判断が繰り返されることにより待機させられるが、S2の判断が肯定される場合には、S3において、前記携帯式無線タグ通信装置14の操作部62を介して入力された検出対象である無線タグ(目的タグ)16のIDが取得される。次に、図15に示すSAXにおいて、グループXに属する据置式無線タグ通信装置12により前記無線タグ16の大まかな位置検出制御が行われる。すなわち、先ず、SAAにおいて、グループAに属する据置式無線タグ通信装置12a、12c、12i、12kによる検出制御が行われる。次に、SABにおいて、グループBに属する据置式無線タグ通信装置12b、12d、12j、12lによる検出制御が行われる。次に、SACにおいて、グループCに属する据置式無線タグ通信装置12e、12gによる検出制御が行われる。次に、SADにおいて、グループDに属する据置式無線タグ通信装置12f、12hによる検出制御が行われる。続いて、前記判定部148の動作に対応するS4において、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16の近傍に位置しているか否か、すなわち前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在するか否かが判断される。このS4の判断が肯定される場合には、図16に示すSBにおいて、前記携帯式無線タグ通信装置14の音声発生装置64から所定の音声が発生させられて検出対象である無線タグ16の接近が報知されると共に、前記携帯式無線タグ通信装置14により前記無線タグ16の位置検出制御が行われた後、S5以下の処理が実行されるが、S4の判断が否定される場合には、S5において、前記無線タグ16の検出結果が前記携帯式無線タグ通信装置14に送られ、前記画像処理部110を介してその検出結果が表示部60に表示される。次に、S6において、前記携帯式無線タグ通信装置14に対して利用者による入力が問い合わされる。次に、S7において、前記無線タグ16の検出終了指示があったか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合には、SAA以下の処理が再び実行されるが、S7の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、SAX及びSBが前記送信制御部146の動作に対応する。
【0039】
図15に示す制御では、先ず、SAX1(このXにはグループの種類であるA、B、C、Dのうち何れかが代入される。以下の説明について同じ)において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12に、検出対象である無線タグ16の位置を検出するように問い合わせコマンドが送られる。次に、SAX2において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12からの返答待ち状態にて待機させられる。次に、SAX3において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12に、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’の位置を検出するように問い合わせコマンドが送られる。次に、SAX4において、グループXに属する全ての据置式無線タグ通信装置12からの返答待ち状態にて待機させられた後、図14に示すメインルーチンS4以下の処理が実行される。
【0040】
図16に示す制御では、先ず、SB1において、前記携帯式無線タグ通信装置14に、検出対象である無線タグ16の位置を検出するように問い合わせコマンドが送られる。次に、SB2において、前記携帯式無線タグ通信装置14からの返答待ち状態にて待機させられた後、図14に示すメインルーチンS5以下の処理が実行される。
【0041】
図17は、前記携帯式無線タグ通信装置14の制御部106による無線タグ検出制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0042】
先ず、SHA1において、所定のデータベースに問い合わせが行われ、検出対象となり得る無線タグ16に対応する品物リスト(品名とそれに貼り付けられた無線タグ16のIDの一覧)が取得される。次に、SHA2において、前記表示部60に図11に示すような無線タグサーチ画面が表示される。次に、SHA3において、前記操作部62に備えられたカーソルボタンが押されたか否かが判断される。このSHA3の判断が肯定される場合には、SHA4において、前記表示部60における品物リストのハイライト表示が更新された後、SHA3以下の処理が再び実行されるが、SHA3の判断が否定される場合には、SHA5において、前記操作部62に備えられた検索実行ボタンが押されたか否かが判断される。このSHA5の判断が肯定される場合には、SHA6において、前記表示部60にその時点で表示されているIDが検索対象である無線タグ16のIDであると決定され、内部情報が「検索要求あり」とされた後、SHA3以下の処理が再び実行されるが、SHA5の判断が否定される場合には、SHA7において、前記操作部62に備えられた検索終了ボタンが押されたか否かが判断される。このSHA7の判断が肯定される場合には、SHA8において、内部情報が「検索要求なし」とされた後、SHA3以下の処理が再び実行されるが、SHA7の判断が否定される場合には、SHA3以下の処理が再び実行される。以上の制御において、SHA2、SHA4、SHA6、及びSHA8が前記表示部60の動作に、SHA3、SHA5、及びSHA7が前記操作部62の動作にそれぞれ対応する。
【0043】
図18は、前記携帯式無線タグ通信装置14の制御部106による前記コントローラ52からのコマンド受取制御を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0044】
先ず、SHB1において、前記コントローラ52から入力問い合わせコマンドを受け取ったか否かが判断される。このSHB1の判断が否定される場合には、SHB5において、前記コントローラ52から描画コマンドを受け取ったか否かが判断されるが、SHB1の判断が肯定される場合には、SHB2において、内部情報が「検索要求あり」とされているか否かが判断される。このSHB2の判断が肯定される場合には、SHB3において、前記コントローラ52に検出対象である無線タグ16のIDと共に「スキャン開始」が返答された後、本ルーチンが終了させられるが、SHB2の判断が否定される場合には、SHB4において、前記コントローラ52に「要求なし」すなわち「検索終了」が返答された後、本ルーチンが終了させられる。SHB5の判断が肯定される場合、すなわち前記コントローラ52から描画コマンドを受け取ったと判断される場合には、SHB6において、前記コントローラ52から送られてきた情報に基づいて前記表示部60に検出対象である無線タグ16の位置及び携帯式無線タグ通信装置14の位置を含む無線タグサーチ画面が表示された後、本ルーチンが終了させられるが、SHB5の判断が否定される場合、すなわち前記コントローラ52から描画コマンドを受け取っていないと判断される場合には、SHB7において、前記コントローラ52からスキャンコマンドを受け取ったか否かが判断される。このSHB7の判断が肯定される場合には、SHB8において、検出対象である無線タグ16の位置検出処理が行われ、SHB9において、SHB8の検出結果が前記コントローラ52に返答された後、本ルーチンが終了させられるが、SHB7の判断が否定される場合には、SHB10において、その他のコマンド処理が実行された後、本ルーチンが終了させられる。
【0045】
このように、本実施例によれば、前記複数の据置式無線タグ通信装置12と携帯式無線タグ通信装置14とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部146(SAX及びSB)を含むことから、時分割で前記送信信号を送信することで、前記複数の据置式無線タグ通信装置12から送信される送信電波と携帯式無線タグ通信装置14から送信される送信電波との干渉が好適に防止される。すなわち、送信電波の相互干渉を好適に防止しつつ所定の領域内における無線タグ16を好適に検出する無線タグ検出システム10を提供することができる。これにより、例えば、事務所や図書館等の比較的広い敷地内に多数の物品が置かれる場合に、それらの物品に前記無線タグ16を貼り付けておくことで、それら無線タグ16の位置を検出することで、上記多数の物品を好適に管理することができる。
【0046】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域よりも狭小であるため、それら複数の据置式無線タグ通信装置12により検出対象である無線タグ16の位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置14によりその無線タグ16の位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグ16を検出できる。
【0047】
また、前記送信制御部146は、前記複数の据置式無線タグ通信装置12相互の通信範囲が重ならないようにそれら据置式無線タグ通信装置12からの前記送信信号の送信を制御するものであるため、前記複数の据置式無線タグ通信装置12相互間における送信電波の干渉が好適に防止される。
【0048】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、それぞれ識別用の前記無線タグ16’を備えたものであるため、前記複数の据置式無線タグ通信装置12により前記携帯式無線タグ通信装置14の位置を検出できる。
【0049】
また、前記複数の据置式無線タグ通信装置12の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられた識別用の無線タグ16’と検出対象である無線タグ16とが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部148(S4)を含むものであるため、前記携帯式無線タグ通信装置14と検出対象である無線タグ16との相対位置関係を検出できる。
【0050】
また、前記送信制御部146は、前記判定部148による判定が肯定された場合にはじめて前記携帯式無線タグ通信装置14が前記送信信号を送信するように制御するものであるため、前記複数の据置式無線タグ通信装置12により検出対象である無線タグ16の位置を大まかに検出した後、前記携帯式無線タグ通信装置14によりその無線タグ16の位置を詳細に検出することで、可及的速やかに検出対象である無線タグ16を検出できる。
【0051】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、所定の入力操作により検出対象である無線タグ16を指定する入力指定部として機能する操作部62(SHA3、SHA5、及びSHA7)を含むものであるため、使用者は前記携帯式無線タグ通信装置14だけを操作することにより所定の領域内における所望の無線タグ16を好適に検出できる。
【0052】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、検出対象である無線タグ16の存在する方向を表示させる表示部60(SHA2、SHA4、SHA6、及びSHA8)を含むものであるため、検出対象である無線タグ16の位置を視覚的に確認できる。
【0053】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、前記判定部148による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部として機能する音声発生装置64(SB)を含むものであるため、検出対象である無線タグ16に接近したことが前記報知により確認できる。
【0054】
また、前記携帯式無線タグ通信装置14は、複数の受信アンテナ76を備え、それら複数の受信アンテナ76による指向性を変更するための指向性制御部86を含むものであるため、実用的な態様で検出対象である無線タグ16の位置を詳しく検出できる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0056】
例えば、前述の実施例では、単一の携帯式無線タグ通信装置14により検出対象である無線タグ16を検出する態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複数の携帯式無線タグ通信装置14により前記無線タグ16の検出を行うものであってもよい。このようにすれば、とりわけ利用者が複数人である場合等において、所定の領域内における複数の無線タグ16の位置を更に好適に検出できる。
【0057】
また、前述の実施例では、図7に示すように、前記室134内に前記複数の据置式無線タグ通信装置12が3×4の格子点上に配設された態様を説明したが、例えば、図19に示すように、最近接する据置式無線タグ通信装置12が平面視において三角形を成すように配設されても当然に構わない。このようにすれば、同じ台数でより広い面積を通信範囲内とできることに加え、3スロットの時分割(携帯式無線タグ通信装置14も含めると4スロット)により送信電波の相互干渉を防止できるという利点がある。
【0058】
また、前述の実施例では、前記据置式無線タグ通信装置12とは別体としてコントローラ52が設けられていたが、このコントローラ52の機能は、何れかの据置式無線タグ通信装置12に備えられたものであってもよい。また、前記携帯式無線タグ通信装置14に備えられたものであっても構わない。
【0059】
また、前述の実施例において、前記携帯式無線タグ通信装置14には、前記表示部60とは別個に操作部62が設けられていたが、例えば、所定のタッチ入力操作により検出対象である無線タグを指定できると共に、検出対象である無線タグ16の存在する方向を表示させ得るタッチパネルディスプレイを備えたものであっても構わない。
【0060】
また、前述の実施例において、前記携帯式無線タグ通信装置14の音声発生装置64は、その携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16に接近した場合に所定の報知音を鳴らせるものであったが、例えば、前記携帯式無線タグ通信装置14が検出対象である無線タグ16から大きく離れてしまった場合に所定の報知音にてそれを報知するものであっても構わない。
【0061】
また、前述の実施例では特に言及していないが、前記無線タグ16が貼り付けられることで管理される品物リスト用のデータベース機能が前記携帯式無線タグ通信装置14等に備えられたものであっても構わない。
【0062】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例である無線タグ検出システムについて説明する図である。
【図2】図1の無線タグ検出システムに備えられた据置式無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図3】図1の無線タグ検出システムに備えられた携帯式無線タグ通信装置の外観を説明する平面図である。
【図4】図3を矢印IVの方向から見た背面図である。
【図5】図1の無線タグ検出システムに備えられた携帯式無線タグ通信装置の構成を説明する図である。
【図6】図1の無線タグ検出システムによる検出対象である無線タグの構成を説明する図である。
【図7】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置が所定の室に配設された様子を説明する図である。
【図8】図7の一部を拡大して示す図である。
【図9】図1の無線タグ検出システムを制御するためのコントローラについて説明する図である。
【図10】図9のコントローラの構成を説明する図である。
【図11】図5の携帯式無線タグ通信装置の表示部に表示される無線タグサーチ画面を例示する図である。
【図12】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。
【図13】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置及び図5に示す携帯式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングについて説明する図である。
【図14】図10に示すコントローラのCPUによる無線タグ検出統合制御を説明するフローチャートである。
【図15】図14に示す制御の一部である据置式無線タグ通信装置の送信制御を説明するフローチャートである。
【図16】図14に示す制御の一部である携帯式無線タグ通信装置の送信制御を説明するフローチャートである。
【図17】図5の携帯式無線タグ通信装置の制御部による無線タグ検出制御を説明するフローチャートである。
【図18】図5の携帯式無線タグ通信装置の制御部によるコントローラからのコマンド受取制御を説明するフローチャートである。
【図19】図2に示す複数の据置式無線タグ通信装置が図7とは異なる配列で所定の室に配設された様子を説明する図である。
【符号の説明】
【0064】
10:無線タグ検出システム
12:据置式無線タグ通信装置
14:携帯式無線タグ通信装置
16:無線タグ
16’:識別用の無線タグ
60:表示部
62:操作部(入力指定部)
64:音声発生装置(報知部)
76:受信アンテナ(アンテナ素子)
86:指向性制御部
146:送信制御部
148:判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の位置に据え置かれ、所定の無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、該無線タグから返信される返信信号を受信して該無線タグとの間で情報の通信を行う複数の据置式無線タグ通信装置と、
前記無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、該無線タグから返信される返信信号を受信して前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域内における前記無線タグを検出する携帯式無線タグ通信装置と
を、備えた無線タグ検出システムであって、
前記複数の据置式無線タグ通信装置と携帯式無線タグ通信装置とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部を含むことを特徴とする無線タグ検出システム。
【請求項2】
前記携帯式無線タグ通信装置の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域よりも狭小である請求項1の無線タグ検出システム。
【請求項3】
前記送信制御部は、前記複数の据置式無線タグ通信装置相互の通信範囲が重なる領域に同時に送信しないようにそれら複数の据置式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングを制御するものである請求項1又は2の無線タグ検出システム。
【請求項4】
複数の前記携帯式無線タグ通信装置を備えたものである請求項1から3の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項5】
前記携帯式無線タグ通信装置は、それぞれ識別用の前記無線タグを備えたものである請求項1から4の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項6】
前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置に備えられた識別用の無線タグと検出対象である無線タグとが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部を含むものである請求項5の無線タグ検出システム。
【請求項7】
前記送信制御部は、前記判定部による判定が肯定された場合にはじめて前記携帯式無線タグ通信装置が前記送信信号を送信するように制御するものである請求項6の無線タグ検出システム。
【請求項8】
前記携帯式無線タグ通信装置は、所定の入力操作により検出対象である無線タグを指定する入力指定部を含むものである請求項1から7の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項9】
前記携帯式無線タグ通信装置は、検出対象である無線タグの存在する方向を表示させる表示部を含むものである請求項1から8の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項10】
前記携帯式無線タグ通信装置は、前記判定部による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部を含むものである請求項6から9の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項11】
前記携帯式無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を備え、それら複数のアンテナ素子による指向性を変更するための指向性制御部を含むものである請求項1から10の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項1】
所定の位置に据え置かれ、所定の無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、該無線タグから返信される返信信号を受信して該無線タグとの間で情報の通信を行う複数の据置式無線タグ通信装置と、
前記無線タグに向けて送信信号を送信すると共に、該無線タグから返信される返信信号を受信して前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域内における前記無線タグを検出する携帯式無線タグ通信装置と
を、備えた無線タグ検出システムであって、
前記複数の据置式無線タグ通信装置と携帯式無線タグ通信装置とが互いに異なるタイミングで前記送信信号を送信するように制御する送信制御部を含むことを特徴とする無線タグ検出システム。
【請求項2】
前記携帯式無線タグ通信装置の通信領域は、前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域よりも狭小である請求項1の無線タグ検出システム。
【請求項3】
前記送信制御部は、前記複数の据置式無線タグ通信装置相互の通信範囲が重なる領域に同時に送信しないようにそれら複数の据置式無線タグ通信装置からの送信信号の送信タイミングを制御するものである請求項1又は2の無線タグ検出システム。
【請求項4】
複数の前記携帯式無線タグ通信装置を備えたものである請求項1から3の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項5】
前記携帯式無線タグ通信装置は、それぞれ識別用の前記無線タグを備えたものである請求項1から4の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項6】
前記複数の据置式無線タグ通信装置の通信領域に関して、前記携帯式無線タグ通信装置に備えられた識別用の無線タグと検出対象である無線タグとが同一の通信領域に存在するか否かを判定する判定部を含むものである請求項5の無線タグ検出システム。
【請求項7】
前記送信制御部は、前記判定部による判定が肯定された場合にはじめて前記携帯式無線タグ通信装置が前記送信信号を送信するように制御するものである請求項6の無線タグ検出システム。
【請求項8】
前記携帯式無線タグ通信装置は、所定の入力操作により検出対象である無線タグを指定する入力指定部を含むものである請求項1から7の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項9】
前記携帯式無線タグ通信装置は、検出対象である無線タグの存在する方向を表示させる表示部を含むものである請求項1から8の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項10】
前記携帯式無線タグ通信装置は、前記判定部による判定が肯定された場合に所定の報知を実行する報知部を含むものである請求項6から9の何れかの無線タグ検出システム。
【請求項11】
前記携帯式無線タグ通信装置は、複数のアンテナ素子を備え、それら複数のアンテナ素子による指向性を変更するための指向性制御部を含むものである請求項1から10の何れかの無線タグ検出システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図11】
【公開番号】特開2006−94250(P2006−94250A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−278715(P2004−278715)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]