説明

無線通信システム及び無線通信方法

【課題】被災者の安否を簡単な手順で発信元のユーザに通知することができる無線通信システム及び無線通信方法を提供する。
【解決手段】移動通信センタ4において、着信者のみが書き込み可能なプライベート用の災害伝言板と、何人も書き込みが可能な通常用の災害伝言板とを有する災害伝言板を伝言板必要に応じて起動し、交換機3において、災害伝言板が起動している状態に、着信者が災害伝言板に登録されているか、及び移動通信センタ4に格納された着信者のアドレス帳に発信者が含まれているかどうかを判断し、着信者が災害伝言板に登録されており、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていれば、プライベート用の災害伝言板を確認する旨のメッセージを選択し、着信者が災害伝言板に登録されていないか、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていなければ、通常用の災害伝言板を確認する旨のメッセージを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時に被災者が自分の安否を伝えるための情報を登録できる災害伝言板を提供する無線通信システム及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、災害発生時に被災者が自分の安否を伝えるための情報を登録できる災害伝言板を提供する無線通信システムが提案されている。特許文献1には、輻輳制御システム部および災害用伝言板サービスシステム部に外部インターネットノードと通信する手段を備え、輻輳制御システム部から送信された被規制入呼情報に基づいて災害用伝言板サービスシステム部の伝言板データベースから登録情報を検索し、検索された登録情報を、被規制入呼情報に基づいて発信元電話番号の携帯電話にメール送信する携帯電話網災害対処システムが開示されている。
【特許文献1】特開2006−303599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、先行技術文献1で開示された携帯電話網災害対処システムは、接続規制すべき入呼の発信元電話番号と着信先電話番号とを含む被規制入呼情報を外部インターネットノードに送信し、外部インターネットノードからの検索依頼に対して検索結果を返送し、送信された被規制入呼情報に基づいて伝言板データベースから登録情報を検索し、検索された登録情報を、被規制入呼情報に基づいて発信元電話番号の携帯電話にメール送信するようにしており、発信元のユーザに被災者の安否を知らせるための手順が複雑で面倒である。
【0004】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、被災者の安否を簡単な手順で発信元のユーザに通知することができる無線通信システム及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の無線通信システムは、コメントの登録と参照が可能な非常用サイトの起動中に発信側端末から着信側端末への無線通信要求を受信した際に発信側端末に対して通知を行う無線通信システムであって、必要に応じて非常用サイトを起動する非常用サイト起動手段と、ユーザ毎のアドレス帳を格納するアドレス帳格納手段と、前記非常用サイトの起動中において、前記着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に基づいて前記発信側端末へ通知するメッセージを選択する選択手段と、を具備することを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、必要に応じて起動する非常用サイトの起動中において、着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に発信側端末に対応するユーザが着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断し、その判断結果に基づいて発信側端末へ通知するメッセージを選択する。例えば、発信者が着信者のアドレス帳に含まれている場合は、非常用サイトを確認する旨のメッセージを選択し、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていない場合は、輻輳状態である旨のメッセージを選択する。このように、発信者がアドレス帳に登録されているか否かに応じて、非常用サイトの案内を行い、あるいは輻輳中の案内を行うので、被災者の安否を簡単な手順で発信元のユーザに通知することが可能となる。
【0007】
本発明の無線通信システムにおいては、前記選択手段は、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、発信側端末に対応するユーザが着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていれば、非常用サイトを確認する旨のメッセージが選択されるので、発信者は当該メッセージに従って着信者の伝言を確認することができる。
【0009】
本発明の無線通信システムにおいては、前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録しているかを照合する照合手段を備え、前記選択手段は、前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録していることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することが好ましい。
【0010】
本発明の無線通信システムにおいては、前記選択手段は、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないことを条件として、輻輳状態である旨のメッセージを選択することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、発信側端末に対応するユーザが着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていなければ、輻輳状態である旨のメッセージが選択されるので、発信者は当該メッセージにより輻輳状態にあることを認識できる。
【0012】
本発明の無線通信システムにおいては、前記非常用サイトは、前記着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトと、前記着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイトとを有し、前記選択手段は、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、前記第1サイトを案内するメッセージを選択し、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、前記第2サイト、又は前記第1サイト及び前記第2サイトを案内するメッセージを選択することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトを確認する旨のメッセージを選択するので、発信者は当該メッセージを聞くことで、着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトを見に行くことができる。また、発信側端末に対応するユーザが着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイト、又はこの第2サイト及び第1サイトを確認する旨のメッセージを選択するので、発信者は当該メッセージを聞くことで、着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイト、又はこの第2サイト及び第1サイトを見に行くことができる。
【0014】
本発明の無線通信システムにおいては、前記着信側端末のユーザが前記非常用サイトにコメントを登録したときに、登録された旨を前記着信側端末のユーザのアドレス帳に含まれているユーザに通知することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、着信側端末のユーザのアドレス帳に含まれているユーザは、着信者がサイトに書き込みを行ったことをメールにて知ることができるので、直ぐに着信者の伝言を確認することができる。
【0016】
本発明の無線通信方法は、コメントの登録と参照が可能な非常用サイトの起動中に発信側端末から着信側端末への無線通信要求を受信した際に発信側端末に対して通知を行う無線通信方法であって、必要に応じて非常用サイトを起動する工程と、ユーザ毎のアドレス帳を格納する工程と、前記非常用サイトの起動中において、前記着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断する工程と、前記判断の結果に基づいて前記発信側端末へ通知するメッセージを選択する工程と、を具備することを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、必要に応じて起動する非常用サイトの起動中において、着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に発信側端末に対応するユーザが着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断し、その判断結果に基づいて発信側端末へ通知するメッセージを選択する。例えば、発信者が着信者のアドレス帳に含まれている場合は、非常用サイトを確認する旨のメッセージを選択し、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていない場合は、輻輳状態である旨のメッセージを選択する。このように、発信者がアドレス帳に登録されているか否かに応じて、非常用サイトの案内を行い、あるいは輻輳中の案内を行うので、被災者の安否を簡単な手順で発信元のユーザに通知することが可能となる。
【0018】
本発明の無線通信方法においては、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することが好ましい。
【0019】
この方法によれば、発信側端末に対応するユーザが着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていれば、非常用サイトを確認する旨のメッセージが選択されるので、発信者は当該メッセージに従って着信者の伝言を確認することができる。
【0020】
本発明の無線通信方法においては、前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録しているかを照合する工程を備え、前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録していることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することが好ましい。
【0021】
本発明の無線通信方法においては、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないことを条件として、輻輳状態である旨のメッセージを選択することが好ましい。
【0022】
この方法によれば、発信側端末に対応するユーザが着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていなければ、輻輳状態である旨のメッセージが選択されるので、発信者は当該メッセージにより輻輳状態にあることを認識できる。
【0023】
本発明の無線通信方法においては、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、前記着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトを案内するメッセージを選択し、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、前記着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイト、又は前記第1サイト及び前記第2サイトを案内するメッセージを選択することが好ましい。
【0024】
この方法によれば、発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトを確認する旨のメッセージを選択するので、発信者は当該メッセージを聞くことで、着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトを見に行くことができる。また、発信側端末に対応するユーザが着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイト、又はこの第2サイト及び第1サイトを確認する旨のメッセージを選択するので、発信者は当該メッセージを聞くことで、着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイト、又はこの第2サイト及び第1サイトを見に行くことができる。
【0025】
本発明の無線通信方法においては、前記着信側端末のユーザが前記非常用サイトにコメントを登録したときに、登録された旨を前記着信側端末のユーザのアドレス帳に含まれているユーザに通知することが好ましい。
【0026】
この方法によれば、着信側端末のユーザのアドレス帳に含まれているユーザは、着信者がサイトに書き込みを行ったことをメールにて知ることができるので、直ぐに着信者の伝言を確認することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明による無線通信システム及び無線通信方法は、発信者がアドレス帳に登録されているか否かに応じて、災害伝言板の案内を行い、あるいは輻輳中の案内を行うので、被災者の安否を簡単な手順で発信元のユーザに通知することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの概略構成を示すブロック図である。詳細は後述するが、本実施の形態に係る無線通信システムは、コメントの登録と参照が可能な非常用サイトの起動中に発信側端末から着信側端末への無線通信要求を受信した際に発信側端末に対して通知を行うものであり、必要に応じて非常用サイトを起動し、非常用サイトの起動中において、着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に発信側端末に対応するユーザが着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断し、その判断結果に基づいて発信側端末へ通知するメッセージを選択するものである。
【0029】
図1において、本実施の形態に係る無線通信システムは、複数の携帯端末装置1と、移動通信網2と、移動通信網2内の交換機3と、移動通信網2を介して携帯端末装置1と接続される移動通信センタ4とから主に構成されている。ここで、携帯端末装置1は、図示のように2台に限定されるものではないが、本発明は2台の携帯端末装置で実現できるので、本実施の形態では2台に限定している。また、本実施の形態では、非常時が災害時である場合について説明するが、本発明は災害時以外の非常時に適用することができる。本実施の形態では、携帯端末装置1Bを被災者のものとし、携帯端末装置1Aを災害伝言板の参照を希望する人のものとしている。この場合、前者を着信者で呼び、後者を発信者と呼ぶこととする。
【0030】
携帯端末装置1は、移動通信網2を介して移動通信センタ4との間で情報の送受信を行えることができ、また災害発生時には移動通信センタ4で起動した災害伝言板(非常用サイト)に書き込みを行ったり、参照したりすることができる。携帯端末装置1は、オペレーティングシステム(移動機OS)を有しており、移動機OS上でブラウザ機能、ビューワ機能、JAM(Java(登録商標) Application Manager)その他の機能が動作する。移動通信網2は、携帯端末装置1と移動通信センタ4との間のネットワークである。この移動通信網2には、通常の移動通信網に加えて移動パケット通信網も含まれる。交換機3は、携帯端末装置1に対する回線接続を行う。また、交換機3は、災害が発生して移動通信センタ4で災害伝言板が起動した際に、発信者の携帯端末装置1Aから被災地の着信者の携帯端末装置1Bに着信があると、着信者の情報が災害伝言板に登録されているかを照合し、また発信者が着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に含まれているかどうかを判断し、判断結果に基づいて発信者に通知するメッセージを選択する。
【0031】
図2は、交換機3の概略構成を示すブロック図である。同図において、交換機3は、装置全体を制御する制御部31と、携帯端末装置1からの着信の有無を判定し、また携帯端末装置1Aが携帯端末装置1Bに対して発信した場合には、これらの携帯端末装置1A、1B間の通信を制御する通信制御部32と、着信側端末(携帯端末装置1B)に対応するユーザが災害伝言板にコメントを登録しているかを照合する、例えば災害発生時に移動通信センタ4の災害伝言板に着信者の情報が登録されているかを照合する照合部33と、災害発生時に発信者が着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に含まれているかどうかを判断する判断部34と、判断部34の判断結果に基づいて発信者に通知するメッセージを選択する選択部35とから主に構成されている。
【0032】
選択部35は、発信側端末(携帯端末装置1A)に対応するユーザが着信側端末(携帯端末装置1B)のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていることを条件として、非常用サイト(災害伝言板)を案内するメッセージを選択する。また、選択部35は、発信側端末(携帯端末装置1A)に対応するユーザが着信側端末(携帯端末装置1B)のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないことを条件として、輻輳状態である旨のメッセージを選択する。例えば、着信者の情報が災害伝言板に登録されていて、発信者が着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に含まれているときには、災害伝言板を確認する旨のメッセージを選択し、着信者が災害伝言板に登録されていないか、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていないときには、輻輳状態である旨のメッセージを選択する。さらに、選択部35は、着信側端末(携帯端末装置1B)に対応するユーザが災害伝言板にコメントを登録していることを条件として、災害伝言板を案内するメッセージを選択する。
【0033】
図3は、移動通信センタ4の概略構成を示すブロック図である。同図において、移動通信センタ4は、装置全体を制御する制御部41と、交換機3との間の通信を制御すると共に、交換機3を介して2台の携帯端末装置1間の通信を制御する通信制御部42と、伝言板に被災者の情報を登録する登録部43と、携帯端末装置1のユーザ毎のアドレス帳を格納するアドレス帳格納部44と、伝言板必要に応じて災害伝言板を起動する伝言板起動部45とから主に構成されている。
【0034】
登録部43には、被災者のメッセージ(例えば「安全です」)等の情報が登録される。被災者は、自身の携帯端末装置1Bを使用して情報を移動通信センタ4にアップロードすることで、該情報が登録部43に登録される。アドレス帳格納部44には、例えば図4に示すアドレス帳が格納される。被災者が自身の携帯端末装置1Bのアドレス帳を移動通信センタ4にアップロードすることで、当該アドレス帳がアドレス帳格納部44に格納される。移動通信センタ4にアドレス帳をアップロードするタイミングは災害に遭ったときは勿論のこと、平常時の任意のときでも良い。図4に示すアドレス帳の場合、A、D、E、Fの各メールアドレスが登録されている。
【0035】
伝言板起動部45は、着信側端末のユーザ(着信者)のみが登録(例えば、書き込み)可能なプライベート用の災害伝言板(第1サイト)451と、着信側端末のユーザ(着信者)以外のユーザも登録可能な通常用の災害伝言板(第2サイト)452とを有する。これらの伝言板451、452は災害発生時に同時に起動する。なお、プライベート用の災害伝言板451には被災者である着信者以外も書き込みができるようになっている。これは被災者の親近者による激励メッセージの書き込みを想定している。
【0036】
交換機3の選択部35は、発信側端末(携帯端末装置1A)に対応するユーザが着信側端末(携帯端末装置1B)のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、プライベート用の災害伝言板451を案内するメッセージを選択し、発信側端末(携帯端末装置1A)に対応するユーザが着信側端末(携帯端末装置1B)のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、通常用の災害伝言板452、又はプライベート用災害伝言板451及び通常用災害伝言板452を案内するメッセージを選択する。例えば、着信者が災害伝言板に登録されていて、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていれば、発信者に対してプライベート用の災害伝言板451を確認する旨のメッセージを選択し、着信者が災害伝言板に登録されており、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていないときには、通常用の災害伝言板452、又はプライベート用の災害伝言板451及び通常用の災害伝言板452を確認する旨のメッセージを選択する。すなわち、発信者がアドレス帳に登録されていれば、プライベート用の災害伝言板451に案内し、登録されていなければ、通常用の災害伝言板452、又はプライベート用の災害伝言板451及び通常用の災害伝言板451を案内する。
【0037】
なお、通常用の災害伝言板452には、例えば公的なガイダンスの書き込みを行い、プライベート用の災害伝言板451には、例えばプライベートなガイダンスの書き込みを行う。因みに、図4に示すアドレス帳の場合、A、D、E及びFに対しては、プライベート用の災害伝言板451に案内し、BやCに対しては、通常用の災害伝言板452、又はプライベート用の災害伝言板451及び通常用の災害伝言板451を案内する。
【0038】
移動通信センタ4の制御部41は、メール送信機能を有しており、着信者がプライベート伝言板451又は通常伝言板452に書き込みを行ったときに、アドレス帳のメールアドレス情報を利用して伝言板に情報が書き込まれた旨をアドレス帳に登録された者に通知する。この通知は、例えばメールなどにより行う。メール送信時に制御部41は次のような処理を行う。
【0039】
・圏外通知:メール送信時、送信先の携帯端末装置1Aが圏外の場合、その旨を着信者に通知する。但し、着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に発信者が登録されている場合にのみ圏外の旨を通知する。着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に登録されていない発信者には何も返信しない。
【0040】
・メール送達確認:メールを送信した場合、携帯端末装置1Aにメールが届いた場合、携帯端末装置1Bにメールが届いた旨を通知する。但し、着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に発信者が登録されている場合にのみ送達確認メールを送信する。着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に登録されていない発信者には何も返信しない。
【0041】
・非対応機種通知:デコメール等の機種により機能が限定されるメールを受信した場合(或いは展開できないファイルを受信した場合等)、着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に発信者が登録されている場合のみ当該メールの機能に対応できない旨を通知する。着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に登録されていない発信者には何も返信しない。
【0042】
・メールアドレス変更通知:メールアドレスを変更した場合、ネットワークで旧アドレスを一定期間保存しておき、旧メールアドレスでメール送信された場合、新メールアドレスに変換して送信すると共に、発信者に携帯端末装置1Bのメールアドレスが変更された旨を通知する。但し、着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に発信者が登録されている場合のみ新メールアドレスを通知する。着信者の携帯端末装置1Bのアドレス帳に登録されていない発信者にはメール送信できなかった旨を通知する。
【0043】
なお、上記交換機3において、照合部33は照合手段、判断部34は判断手段、選択部35は選択手段にそれぞれ対応する。また、上記移動通信センタ4において、登録部43は登録手段、アドレス帳格納部44はアドレス帳格納手段、伝言板起動部45は伝言板起動手段にそれぞれ対応する。また、プライベート用の災害伝言板は第1伝言板、通常用の災害伝言板は第2伝言板にそれぞれ対応する。
【0044】
このようなシステムにおいて、移動通信センタ4において、着信者のみが書き込み可能なプライベート用の災害伝言板451と、何人も書き込みが可能な通常用の災害伝言板452とを有する災害伝言板を伝言板必要に応じて起動し、交換機3において、災害伝言板が起動している状態に、着信者が災害伝言板に登録されているかを照合すると共に、移動通信センタ4に格納された着信者のアドレス帳に発信者が含まれているかどうかを判断し、着信者が災害伝言板に登録されており、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていれば、プライベート用の災害伝言板451を確認する旨のメッセージを選択し、着信者が災害伝言板に登録されていないか、発信者が着信者のアドレス帳に含まれていなければ、通常用の災害伝言板452、又はプライベート用の災害伝言板451及び通常用の災害伝言板452を確認する旨のメッセージを選択する。また、着信者が災害伝言板に書き込みをしたときには、書き込みがなされた旨を着信者のアドレス帳に含まれている者にメールにより通知する。
【0045】
次に、本発明の実施の形態に係る無線通信方法について説明する。
図5は、本発明の実施の形態に係る無線通信方法を説明するためのフロー図である。同図に示す無線通信方法は、発信者が携帯端末装置1Aにて音声発信を行った場合である。まず移動通信センタ4において、災害の発生に対して災害伝言板を起動し、交換機3に災害伝言板が起動しことを通知する起動情報を送出する(ステップST10)。その後、被災者から災害伝言板に被災者情報を登録する操作があると(ステップST11)、被災者情報を災害伝言板に登録する(ステップST12)。被災者情報は、主に被災者であるB氏の「氏名」と、B氏の「メッセージ(例えば「安全です」)」と、B氏の携帯端末装置1Bのアドレス帳データからなる。B氏の氏名とメッセージは着信者の情報として移動通信センタ4の災害伝言板に登録される。アドレス帳データは移動通信センタ4の登録部43に登録される。
【0046】
交換機3において、通常の処理を行っている最中に割り込みで着信が有るかどうか判定し(ステップST13)、着信が無ければ通常の処理に戻り、発信者の携帯端末装置1Aから音声発信があれば、災害伝言板が起動したかどうか判定する(ステップST14)。災害伝言板が起動していなければ通常の処理を行い(ステップST15)、災害伝言板が起動した場合は移動通信センタ4に対して着信者の災害伝言板登録の有無を要求する(ステップST16)。この要求に対して、移動通信センタ4において、登録部43における登録有無情報を交換機3に通知する(ステップST17)。
【0047】
交換機3において、移動通信センタ4からの登録有無情報通知を受けると、着信者が災害伝言板に登録されているかどうか判定し(ステップST18)、着信者が災害伝言板に登録されていれば、発信者が着信者のアドレス帳に登録されているかどうか判定する(ステップST19)。発信者が着信者のアドレス帳に登録されていれば、発信者の携帯端末装置1Aにプライベート用の災害伝言板451を見に行く旨の音声通知を行う(ステップST20)。例えば「お掛けになった方は災害伝言板に情報があります。災害伝言板をご確認下さい」という音声通知を行う。この音声通知を終えると、通常の処理に戻る。なお、災害伝言板を見に行く旨の音声通知を行った後、輻輳中トーキを送出して終了しても良い。
【0048】
一方、ステップST18の判定で着信者が災害伝言板に登録されていない場合は、発信者の携帯端末装置1Aに輻輳中トーキを送出する(ステップST21)。すなわち、輻輳状態である旨の音声通知を行う。例えば「現在回線が輻輳中です。暫くしてからもう一度お掛け直し下さい」という音声通知を行う。なお、この場合、通常用の災害伝言板452、又はプライベート用の災害伝言板451及び通常用の災害伝言板452を見に行く旨の音声通知を行うようにしても良い。輻輳中トーキを送出した後、通常の処理に戻る。
【0049】
また、ステップST18の判定で着信者が災害伝言板に登録されてはいるが、ステップST19の判定で発信者が着信者のアドレス帳に登録されていない場合も発信者の携帯端末装置1Aに輻輳中トーキを送出する(ステップST21)。すなわち、輻輳状態である旨の音声通知を行う。なお、この場合も通常用の災害伝言板452、又はプライベート用の災害伝言板451及び通常用の災害伝言板452を見に行く旨の音声通知を行うようにしても良い。
【0050】
次に、発信者が携帯端末装置1Aにてメール発信を行った場合の無線通信方法について、図6に示すフロー図を用いて説明する。図5の音声発信を行った場合と異なる点は、図5のステップST13で音声通話の着信が有るかどうかを判定するのに対し、図6のステップST33でメール有りかどうかを判定する点と、図5のステップST20で災害伝言板を見に行く旨の音声通知を行うのに対し、図6のステップST39で災害伝言板を見に行く旨のメール通知を行う点と、図5のステップST15で着信処理とステップST21で輻輳中トーキを送出するのに対し、図6のステップST40で着信者へのメール送信を行う点とが異なっている。他の処理は図5と図6で共通である。
【0051】
まず移動通信センタ4において、災害の発生に対して災害伝言板を起動し、交換機3に災害伝言板が起動しことを通知する起動情報を送出する(ステップST30)。その後、被災者から災害伝言板に被災者情報を登録する操作があると(ステップST31)、被災者情報を災害伝言板に登録する(ステップST32)。
【0052】
交換機3において、通常の処理を行っている最中にメールが有るかどうか判定し(ステップST33)、メールが無ければ通常の処理に戻り、発信者の携帯端末装置1Aからメール送信があれば、災害伝言板が起動したかどうか判定する(ステップST34)。災害伝言板が起動していなければ、着信者の携帯端末装置1Bへのメール送信処理を行い(ステップST40)、その後、通常の処理に戻る。これに対して、災害伝言板が起動した場合は、移動通信センタ4に対して着信者の災害伝言板登録の有無を要求する(ステップST35)。この要求に対して、移動通信センタ4において、登録部43における登録有無情報を交換機3に通知する(ステップST36)。
【0053】
交換機3において、移動通信センタ4からの登録有無情報通知を受けると、着信者が災害伝言板に登録されているかどうか判定し(ステップST37)、着信者が災害伝言板に登録されていれば、発信者が着信者のアドレス帳に登録されているかどうか判定する(ステップST38)。発信者が着信者のアドレス帳に登録されていれば、発信者の携帯端末装置1Aに災害伝言板を見に行く旨のメール通知を行う(ステップST39)。例えば「お掛けになった方は災害伝言板に情報があります。災害伝言板をご確認下さい」というメール通知を行う。このメール通知を終えると、着信者の携帯端末装置1Bへのメール送信処理を行い(ステップST40)、その後、通常の処理に戻る。
【0054】
一方、ステップST37の判定で着信者が災害伝言板に登録されていない場合と、ステップST38の判定で発信者が着信者のアドレス帳に登録されていない場合は、着信者の携帯端末装置1Bへのメール送信処理を行い(ステップST40)、その後、通常の処理に戻る。
【0055】
このように、本実施の形態に係る無線通信システムでは、発信者がアドレス帳に登録されているか否かに応じて、災害伝言板の案内を行い、あるいは輻輳中の案内を行うので、被災者の安否を簡単な手順で発信元のユーザに通知することが可能となる。
【0056】
また、着信者が災害伝言板に書き込みをしたときに、書き込みがなされた旨を着信者のアドレス帳に含まれている者にメールにより通知するので、着信者のアドレス帳に含まれている者は、直ぐに着信者の伝言を確認することができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、発信者が被災者の携帯端末装置のアドレス帳に登録されていない場合、輻輳中の案内を行うようにしたが、何も行わないようにしても良い。
【0058】
また、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、処理部や処理手順については適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、災害発生時に被災者が自分の安否を伝えるための情報を登録できる災害伝言板を提供するシステムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無線通信システムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すシステムにおける交換機の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す管理部で管理される情報の一例を示す図である。
【図4】図1に示すシステムにおける移動通信センタの概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る無線通信方法(音声発信)を説明するためのフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る無線通信方法(メール発信)を説明するためのフロー図である。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B 携帯端末装置
2 移動通信網
3 交換機
4 移動通信センタ
31,41 制御部
32,42 通信制御部
33 照合部
34 判断部
35 選択部
43 登録部
44 アドレス帳格納部
45 伝言板起動部
451 プライベート用の災害伝言板
452 通常用の災害伝言板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コメントの登録と参照が可能な非常用サイトの起動中に発信側端末から着信側端末への無線通信要求を受信した際に発信側端末に対して通知を行う無線通信システムであって、必要に応じて非常用サイトを起動する非常用サイト起動手段と、ユーザ毎のアドレス帳を格納するアドレス帳格納手段と、前記非常用サイトの起動中において、前記着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断する判断手段と、前記判断手段の判断結果に基づいて前記発信側端末へ通知するメッセージを選択する選択手段と、を具備することを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記選択手段は、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録しているかを照合する照合手段を備え、前記選択手段は、前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録していることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記選択手段は、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないことを条件として、輻輳状態である旨のメッセージを選択することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記非常用サイトは、前記着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトと、前記着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイトとを有し、前記選択手段は、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、前記第1サイトを案内するメッセージを選択し、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、前記第2サイト、又は前記第1サイト及び前記第2サイトを案内するメッセージを選択することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記着信側端末のユーザが前記非常用サイトにコメントを登録したときに、登録された旨を前記着信側端末のユーザのアドレス帳に含まれているユーザに通知することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の無線通信システム。
【請求項7】
コメントの登録と参照が可能な非常用サイトの起動中に発信側端末から着信側端末への無線通信要求を受信した際に発信側端末に対して通知を行う無線通信方法であって、必要に応じて非常用サイトを起動する工程と、ユーザ毎のアドレス帳を格納する工程と、前記非常用サイトの起動中において、前記着信側端末が所定のエリアに在圏している場合に前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末に対応するユーザのアドレス帳に含まれているか否かを判断する工程と、前記判断の結果に基づいて前記発信側端末へ通知するメッセージを選択する工程と、を具備することを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することを特徴とする請求項7記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録しているかを照合する工程を備え、前記着信側端末に対応するユーザが前記非常用サイトにコメントを登録していることを条件として、前記非常用サイトを案内するメッセージを選択することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線通信方法。
【請求項10】
前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないことを条件として、輻輳状態である旨のメッセージを選択することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の無線通信方法。
【請求項11】
前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれていないときに、前記着信側端末のユーザのみが登録可能な第1サイトを案内するメッセージを選択し、前記発信側端末に対応するユーザが前記着信側端末のユーザに対応するユーザのアドレス帳に含まれているときに、前記着信側端末のユーザ以外のユーザも登録可能な第2サイト、又は前記第1サイト及び前記第2サイトを案内するメッセージを選択することを特徴とする請求項7記載の無線通信方法。
【請求項12】
前記着信側端末のユーザが前記非常用サイトにコメントを登録したときに、登録された旨を前記着信側端末のユーザのアドレス帳に含まれているユーザに通知することを特徴とする請求項7から請求項11のいずれかに記載の無線通信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−288991(P2008−288991A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133134(P2007−133134)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】