説明

照射装置用光学ユニット及び照射装置

【課題】幅広の照射エリア内で良好な光量分布の照射光を得ることが可能な照射装置用光学ユニット及び照射装置を提供する。
【解決手段】照射装置用光学ユニットは、複数の光源から入射される光を多数のファイバ素線を束ねた複数のファイババンドルによってそれぞれ導光し出射する光照射装置用光学ユニットであって、各光源から入射される光を各ファイババンドルに導光する複数のカップリングレンズを備え、各ファイババンドルは、基端部においてファイバ素線が結束され各カップリングレンズからの光が入射される光入射面を形成し、先端部においてファイバ素線が矩形状に接合され導光した光を出射する光出射面を形成し、複数のファイババンドルの先端部は光出射面が連続するように一列に並べられて接合されており、各ファイババンドルのファイバ素線は、光出射面の少なくとも隣接する光出射面との接合部近傍において、二次元の正方稠密に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特定の波長の光を被照射物に照射する照射装置用光学ユニット及び照射装置に関連し、特に、矩形状又はライン状の光を照射する照射装置用光学ユニット及び該照射装置用光学ユニットを搭載した照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業製品のコーティングや光学部品の組み立て作業における接着剤として、紫外線硬化樹脂が用いられている。紫外線硬化樹脂は、紫外線(紫外光)によって光重合反応が生じ、モノマー(液体)の状態からポリマー(固体)の状態に変化する樹脂である。そして、この紫外線硬化樹脂を硬化させるための光源として照射装置が開発されている。
【0003】
照射装置としては、従来から高圧水銀ランプや水銀キセノンランプ等を光源とするランプ型照射装置が知られているが、近年、消費電力の削減や装置サイズのコンパクト化の要請から、紫外光を発光可能な発光ダイオード(LED)を光源とする照射装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
LEDは、高圧水銀ランプや水銀キセノンランプと比較して発光強度が低いため、幅広の照射エリアを確保することが困難である。そこで、幅広の照射エリアが要求される場合には、複数のLEDからの光を複数の光ファイババンドルでそれぞれ導光し、各光ファイババンドルの出射端面を並べて配置(接合)する方法等が開発されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−234729号公報
【特許文献2】特開2008−2836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の光ファイババンドルを接合すると、照射エリアを拡大することができ、また、自由な照射パターンを得ることが可能となるが、光ファイババンドルの接合部分での連続性が損なわれると光のムラが生じるという問題がある。
【0007】
特許文献2に記載の構成においては、各光ファイババンドルを構成する光ファイバ素線を2列の俵積み状に配置し、光ファイババンドルの接合部において互い違いに配置された光ファイバ素線を連結することで連結部が連続するように構成されている。しかし、この構成は、光ファイバ素線を積層した場合に、連結部分に光ファイバ素線の存在しない凹状の空所を生じ、この空所に積層された光ファイバ素線を固着させる接着剤が回り込むことから、正確に嵌合して接合させることは困難となり、無理に連結しようとすると光ファイバ素線に応力が加わり折損させることにもなりかねない。
【0008】
この問題を解決するためには、ある程度の隙間を許容して光ファイババンドル同士を接合することも考えられる。特許文献2に記載の構成のように可視光をプラスチックファイババンドルで伝搬させる構成の場合、光ファイバ素線の開口数N.A.を比較的大きくすることができるため(例えば、0.57)、プラスチックファイババンドルからは、ある程度の拡がり角(例えば、35°)をもった光が出射される。従って、光ファイババンドルの接合部にある程度の隙間を設けたとしても、接合部分で各光ファイババンドルから出射される光がオーバーラップされるため、大きな光量の低下とはならない。しかし、紫外光を伝搬させる場合には、石英ガラス製の光ファイバ素線を使わざるを得ず、この場合、光ファイバ素線の開口数N.A.はプラスチックファイバと比較して、著しく小さくなるため(例えば、0.22)、出射端での光の拡がりも大きくない。すなわち、紫外光を石英ガラス製の光ファイバ素線を用いて伝搬させ、光ファイババンドルの接合部に隙間を設けて配置した場合、例えば、照射対象物までの距離が短いと、この接合部分の隙間に起因して、その光量分布に、光量の低い大きな落ち込みを生じることとなる。
【0009】
本発明は、上記の問題及び事情に鑑みてなされたものであり、幅広の照射エリアを有し、且つ、照射エリア内で良好な光量分布の照射光を得ることが可能な照射装置用光学ユニット及び該照射装置用光学ユニットを搭載した照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の照射装置用光学ユニットは、複数の光源から入射される光を多数のファイバ素線を束ねた複数のファイババンドルによってそれぞれ導光し出射する光照射装置用光学ユニットであって、各光源から入射される光を各ファイババンドルに導光する複数のカップリングレンズを備え、各ファイババンドルは、基端部において多数のファイバ素線が結束され、各カップリングレンズからの光が入射される光入射面を形成し、先端部において多数のファイバ素線が矩形状に接合され、導光した光を出射する光出射面を形成し、複数のファイババンドルの先端部は、光出射面が連続するように一列に並べられて接合されており、各ファイババンドルの多数のファイバ素線は、光出射面の少なくとも隣接する光出射面との接合部近傍において、二次元の正方稠密に配置されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成の照射装置用光学ユニットによれば、複数のファイババンドルの光出射面が隙間なく連続して形成されるため、幅広の照射エリアを有し、且つ、照射エリア内で良好な光量分布の照射光を得ることが可能となる。
【0012】
また、複数のカップリングレンズと複数のファイババンドルとを収容するケースと、複数のファイババンドルの先端部を支持しケースに固定する1つ又は複数の支持手段とを備える構成としてもよい。また、この場合において、複数の支持手段のそれぞれは、複数のファイババンドルの先端部のうち少なくとも1つのファイババンドルの先端部を支持し、複数の支持手段のそれぞれが支持する先端部の少なくとも一端部は、該支持手段から光照射面が連続する方向に突出していることが好ましい。このような構成によれば、各支持手段で支持されるファイババンドルをユニット化することが可能となるため、複数のファイババンドルの先端部を容易に且つ正確に接合することが可能となる。
【0013】
また、各カップリングレンズは、各ファイババンドルの光入射面の中心から外周縁部に向かって光入射面に入射される光の入射角度が大きくなるように各光源から入射される光を導光し、各ファイババンドルの基端部の外周縁部に位置するファイバ素線が、先端部の外周縁部に位置するように配置することが好ましい。このような構成によれば、光出射面の外周縁部から出射される光が拡散され、各ファイババンドルの先端部の接合部分において互いに重なり合うこととなるため、接合部分での光量の減少は極力抑えられ、連続する光出射面の範囲内においてより良好な光量分布の光を照射することが可能となる。
【0014】
また、各カップリングレンズと各ファイババンドルの光入射面との間に配置され、各カップリングレンズから入射される光を拡散し各ファイババンドルの光入射面に出射する複数のミキシングロッドをさらに備える構成としてもよい。この場合、各ミキシングロッドの出射面の形状と各ファイババンドルの光入射面の形状とが略同一で構成することが好ましい。このような構成によれば、非常に良好な光量分布の光束がファイババンドルに入射されるため、照射エリア内において、さらに良好な光量分布の照射光を得ることが可能となる。
【0015】
また、多数のファイバ素線は、石英ファイバであることが好ましい。
【0016】
また、各光源から入射される光は、紫外光であってもよい。
【0017】
また、別の観点からは、本発明の照射装置は、上記の照射装置用光学ユニットと、照射装置用光学ユニットに光を出射する複数の光源とを備えたことを特徴とする。このような構成によれば、幅広の照射エリアを有し、且つ、照射エリア内で良好な光量分布の照射光を得ることが可能な照射装置が実現される。
【0018】
また、複数の光源は、発光ダイオードであることが好ましい。このような構成とすることにより、照射装置全体を小型化することが可能となる。
【0019】
また、発光ダイオードは、紫外光を放射するものであってもよい。
【0020】
また、発光ダイオードは、複数の発光素子を有するものであってもよい。このような構成によれば、高い照射光量を得ることができるため、照射エリアをさらに拡げることが可能となる。
【0021】
本発明における「光源」は、ランプ、発光ダイオード等が挙げられ、ランプは、フィラメントを有するもの、一例として白熱電球、ハロゲン電球、電極を有し放電により光を放射するもの、一例として、高圧ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、水銀キセノンランプ、高圧水銀ランプ等を挙げることができる。
【0022】
本発明における「発光ダイオード」は、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子、すなわち発光素子(本明細書においては、LEDダイという)を内包した光源であり、LED(エルイーディー:Light Emitting Diode)とも呼ばれる。この発光ダイオードは、内包するLEDダイのpn接合部の禁制帯幅(バンドギャップ)の相違により紫外線、可視光、赤外線の波長を放射するものが存在し、本発明は、これら多様な波長の発光ダイオードに、何れも適用可能な技術思想である。また、「発光ダイオード」は、1つのパッケージに、1つのLEDダイを内包するもの、2つ以上のLEDダイを内包して高強度化を図るもの、さらに基板上にLEDダイを直接マウントして、このLEDダイに封止体を設けてパッケージを兼ねて小型化を図るもの、この基板上に2つ以上のLEDダイをマウントし同様に封止体を設けたり、LEDダイから効率的に光を取り出す光学デバイスとしての機構も兼ね備えたりして小型にして高強度化を図るもの、その他冷却機構を付加する等様々な形態のものが開発されており、本発明は、これらの多様な形態の発光ダイオードに適用可能である。
【0023】
本発明における「カップリングレンズ」は、ガラス又はプラスチック製の1枚又は複数のレンズで構成されるものである。このカップリングレンズは、光源から入射される光を石英ガラス製の光ファイバ素線で構成された光ファイババンドルに対し導光するものであり、光ファイババンドルの中心部の光ファイバ素線に対しては、約−10〜+10°、より好ましくは約−8〜+8°の入射角で光を入射させ、光ファイババンドルの外周縁部の光ファイバ素線に対しては、約−10〜+13°、より好ましくは約−8〜+10°の入射角度で光を入射させるように構成される。
【0024】
本発明における「光出射面の少なくとも隣接する光出射面との接合部近傍」とは、光出射面の接合部から少なくとも横3列に位置する正方稠密に配列される光ファイバ素線のことを指すものである。
【0025】
本発明における「支持手段」は、矩形状に接合されたファイババンドルの先端部を、光照射面が連続する方向に沿って両側から挟持し固定する、平らな接合面を備える一対の板状の支持部材である。この支持部材は、1つまたは複数のファイババンドルを保持固定する。さらに、一対の支持部材のうち、一方の支持部材は、ケースの内壁面をもって兼用することも可能である。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、複数のファイババンドルの先端部が接合されて構成される光出射面が隙間なく連続して形成されることから、幅広の照射エリアを有し、且つ、照射エリア内で良好な光量分布の照射光を得ることが可能な照射装置用光学ユニット及び該照射装置用光学ユニットを搭載した照射装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る照射装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光学ユニットの正面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施の形態に係る光学ユニットに入射される紫外光の光路を説明する図である。
【図5】図5は、本発明の第1の比較例に係る光ファイババンドルの構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2の比較例に係る光ファイババンドルの構成及び光量分布特性を示す図である。
【図7】図7は、図6の本発明の第2の比較例に係る光ファイババンドルと対比される、本発明の第1の実施形態に係る光ファイババンドルの構成及び光量分布特性を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施形態に係る光ファイババンドルの変形例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施形態のLEDユニットに搭載可能なLEDの構成を示す図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態に係る光学ユニットの上面図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態に係る光学ユニットの正面図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施の形態に係る光学ユニットの変形例を示す上面図である。
【図13】図13は、本発明の第3の実施形態に係る照射装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る照射装置用光学ユニット及びこの照射装置用光学ユニットを搭載した照射装置について説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る照射装置の概略構成を示す図であり、説明の便宜のため、一部分を断面図で示している。第1の実施形態の照射装置1は、光学ユニット10と、LEDユニット20と、LEDコントローラ30とによって構成される。照射装置1は、光学ユニット10から出射される紫外光を被照射物に照射する装置である。
【0030】
光学ユニット10は、天板11a、底板11b、側板11c、11d及び背板11eによって構成されるケース11内に、光ファイババンドル13と、光ファイババンドル13に光を導光するカップリングレンズ16とによって構成される導光モジュールを2組備えている。
【0031】
LEDユニット20は、光学ユニット10及びLEDコントローラ30に対して着脱可能に構成されており、その内部には、LEDダイを有し、発光ダイオードとして紫外光を発光するLED22と、カバーガラス23と、LED22を駆動制御するLED駆動回路(不図示)を備えている。そして、LEDユニット20が光学ユニット10に対して接続された時に、LED22及びカバーガラス23は、光学ユニット10内の各導光モジュール(すなわち、光ファイババンドル13とカップリングレンズ16)の光軸上にそれぞれ配置されるように構成されている。また、LEDユニット20には、LEDコントローラ30と接続するための接続ケーブル25が設けられており、接続ケーブル25を介して、LED22を駆動するための電源の供給及び制御するための制御信号の通信が行われる。なお、第1の実施形態においては、2つのLEDユニット20を光学ユニット10の各導光モジュールのそれぞれに接続する構成として説明するが、この構成に限定されるものではなく、例えば、2つのLED22を備えた1つのLEDユニット20を光学ユニット10に接続する構成としてもよい。
【0032】
LEDコントローラ30は、LEDユニット20内のLED22及びLED駆動回路に電源を供給する電源回路32と、LED駆動回路に制御信号を出力してLED22の輝度を調整するLED制御回路33とを有する。LED制御回路33は、接続ケーブル25を介してLEDユニット20のLED駆動回路を制御することにより、LED22の輝度を調整する。
【0033】
LEDコントローラ30の電源が入れられ、電源回路32からLEDユニット20に電源が供給されると、LED駆動回路からLED22に電流が供給され、LED22は供給される電流量に応じた光量の紫外光を出射する。LED22から出射された紫外光は、カバーガラス23を透過して光学ユニット10内のカップリングレンズ16に入射し、カップリングレンズ16によって光路を折り曲げられて光ファイババンドル13の入射端面13a(図1において不図示)に入射する。そして、光ファイババンドル13に入射した紫外光は、光ファイババンドル13によって導光され、出射端面13bより出射される。出射端面13bより出射される紫外光の光量は、ユーザがLEDコントローラ30上の操作パネル(不図示)を操作することによって変更可能に構成されている。ユーザがLEDコントローラ30上の操作パネルを操作すると、LED制御回路33の輝度設定値が変更され、LEDユニット20のLED駆動回路は、この輝度設定値に応じてLED22に供給する電流量を変更する。
【0034】
次に、第1の実施形態の光学ユニット10について、図2〜図4を参照しながら詳述する。図2は、第1の実施形態の光学ユニット10の分解斜視図である。なお、図2において、図1と共通する構成には同一の符号を付している。
【0035】
光学ユニット10は、ケース11内に、導光モジュール(光ファイババンドル13とカップリングレンズ16)を2組備えている。2組の導光モジュールは、平行して2列に並ぶように配置され、後述するように、光ファイババンドル13の先端部13cで接着剤によって接合される。そして、接着剤によって接合された光ファイババンドル13の先端部13cは、ファイバ支持部材12a及び12bによって支持されケース11に固定される。
【0036】
各カップリングレンズ16は、第1面(紫外光が入射する側の面)が平面、第2面(紫外光が出射する側の面)が凸面で構成される第1レンズ16aと、第1面が凸面、第2面が凹面で構成されるメニスカス形状の第2レンズ16bとで構成され、第1レンズ枠17a及び第2レンズ枠17bと共に、円筒状のレンズ鏡筒18内にそれぞれ収容される。第1レンズ枠17aは、第1レンズ16aと第2レンズ16bとの間に挿入される円筒状のレンズ枠であり、カップリングレンズ16をレンズ鏡筒18内に収容した時に、第1レンズ16aと第2レンズ16b間の位置を規制する。また、第2レンズ枠17bは、第2レンズ16bの第2面側から挿入される円環状のレンズ枠である。第2レンズ枠17bの外周面及びレンズ鏡筒18の内周面は、互いに嵌合するネジ面となっており、第2レンズ枠17bをレンズ鏡筒18内にねじ込むことにより、第2レンズ枠17bが第2レンズ16bの第2面に当接し、カップリングレンズ16がレンズ鏡筒18内の所定の位置に固定される。各カップリングレンズ16を収容したレンズ鏡筒18は、ケース11の背板11eに形成された円筒状の開口部11fに挿入されてケース11にそれぞれ固定される。
【0037】
各光ファイババンドル13は、直径0.23mmの石英ガラス製の光ファイバ素線(開口数N.A.が約0.22)を900本束ねて形成したものである。各光ファイババンドル13の光ファイバ素線は、出射端面13b側から見た時に、横90本、縦10本の長方形状となるように、方眼の升目状(すなわち、二次元の正方稠密)に整列して配置され、接着剤で固定されている。また、各光ファイババンドル13を構成する光ファイバ素線は、先端部13cから基端部(入射端面13a)側に向かうにつれて、徐々に円筒状に変形し(束ねられ)、基端部(入射端面13a)側で結束リング15によって円形に固定される。第1の実施形態においては、結束リング15によって固定された各光ファイババンドル13の直径は、約7mmで、全長は、約150mmである。なお、ホルダ14は、光ファイバ素線の変形部を保護するためのカバーである。なお、第1の実施形態における入射端面13aの形状は、円形であるが、これに限定されず、四角、六角、八角形状等、多角形状とすることも可能である。
【0038】
第1の実施形態の各光ファイババンドル13は、例えば、シート状に並べた光ファイバ素線を積層することによって得られる。具体的には、先ず、90本の光ファイバ素線の先端部13c(例えば、先端から約1cm)を粘着テープ上に並べ、先端部13cのみ接着剤で固定してシート状にする。そして、このシート状に並べられた光ファイバ素線を先端部13cのみ接着しながら1シートずつ積層し、出射端面13bを形成する。詳細は後述するが、出射端面13bにおけるこれらの光ファイバ素線は、仮想の方眼の枠に接する1本の光ファイバ素線が、多数、升目状に、密に接して、いわゆる、二次元の正方稠密に配置される(図3(b))。そして、10シート分積層した光ファイバ素線を徐々に円筒状に束ね、ホルダ14及び結束リング15を取り付けて完成する。このように製作された光ファイババンドル13においては、出射端面13bにおいて外周縁部に配置された光ファイバ素線(すなわち、ファイバ支持部材12a及び12bに当接する光ファイバ素線と側板11c、11dに対向する光ファイバ素線)が、光ファイババンドル13の円筒面に配置されることとなり、光ファイババンドル13の入射端面13aにおいても外周縁部に配置される。
【0039】
図3(a)は、光学ユニット10を光ファイババンドル13の出射端面13b側から見た時の正面図である。また、図3(b)は、図3(a)のA部の拡大図である。図3(a)及び(b)において、図1及び図2と共通する構成には同一の符号を付している。
【0040】
図3(a)及び(b)に示すように、2つの光ファイババンドル13は、出射端面13bが一直線状(図中、左右方向)に連続して並ぶように配置されて接着される。すなわち、光ファイババンドル13を出射端面13b側から見た時に、出射端面13bの短辺同士が当接するように配置され、接着剤によって固定される。そして、接着剤によって固定された2つの光ファイババンドル13の先端部13cは、ファイバ支持部材12a及び12bによって上下方向から支持され、ケース11の前面(背板11eと対向する面)に固定される。このように、第1の実施形態の光学ユニット10に収容される2つの導光モジュールは、先端部13cにおいて接着され、1つの導光ユニットを構成している。そして、2つの光ファイババンドル13の出射端面13bを接合し、ユニット化することにより、紫外光の照射エリアを拡大している。
【0041】
図4は、第1の実施形態の光学ユニット10に入射される紫外光の光路を説明する図である。なお、図4において、図1〜図3と共通する構成には同一の符号を付し、また、図面の見やすさを考慮し、光路は、LED22から光ファイババンドル13の右側に入射する代表的な光路のみ示している。
【0042】
図4に示すように、LEDユニット20が光学ユニット10に対して接続されると、LED22及びカバーガラス23は、その光学中心が光学ユニット10内の導光モジュール(すなわち、光ファイババンドル13とカップリングレンズ16)の光軸上に位置するように配置される。第1の実施形態のLED22は、パッケージ内部に1個のLEDダイを有している。図4に示す光路は、LED22の中央に位置するLEDダイから出射される紫外光の光路の一部を表している。
【0043】
LED22のLEDダイから出射される紫外光は、拡散しながらカバーガラス23を透過し、カップリングレンズ16に入射する。そして、カップリングレンズ16に入射した紫外光は、カップリングレンズ16を構成する第1レンズ16aと第2レンズ16bによって光路を折り曲げられて、光ファイババンドル13の入射端面13aに入射する。なお、第1の実施形態においては、光ファイババンドル13の入射端面13aに入射する紫外光の角度(すなわち、入射角度)は、光ファイババンドル13の外周縁部ほどその分布が広くなるように構成されている。すなわち、カップリングレンズ16は、光ファイババンドル13の外周縁部に位置する光ファイバ素線に入射される紫外光の入射角度が、光ファイババンドル13の中心部に位置する光ファイバ素線に入射される紫外光の入射角度よりも大きくなるように設けられている。より具体的には、第1の実施形態においては、カップリングレンズ16は、中心部の光ファイバ素線に対しては、約−8〜+8°の入射角度で紫外光を入射するのに対し、外周縁部の光ファイバ素線に対しては、約−8〜+10°の入射角度で紫外光を入射するように設けられている。各光ファイバ素線の先端部から出射される紫外光の出射角度は、その基端部に入射される紫外光の入射角度に応じて決定される。そして、上述のように、第1の実施形態においては、各光ファイババンドル13の出射端面13bの外周縁部に配置されている光ファイバ素線が、入射端面13aにおいても外周縁部に配置されている。従って、このような構成により、各光ファイババンドル13の出射端面13bの外周縁部から出射される紫外光は、その中心部から出射される紫外光よりも出射角度の大きな(すなわち、拡散された)ものとなる。
【0044】
上述したように、第1の実施形態の光学ユニット10に収容される2つの光ファイババンドル13は、その出射端面13bが連続するように接着されている。従って、各光ファイババンドル13の出射端面13bの外周縁部から出射される紫外光ほど出射角度が大きくなるように(すなわち、拡散されるように)構成すると、各光ファイババンドル13で導光された紫外光が、出射端面13bの接合部分において拡散されて互いに重なり合う(オーバーラップする)こととなる。従って、光ファイババンドル13の出射端面13b同士が、接合部分への接着剤の塗布によって多少離れて配置されたとしても接合部分での光量の減少は極力抑えられ、連続する出射端面13bの範囲内において良好な光量分布の紫外光を照射することが可能となる。
【0045】
次に、第1の実施形態の構成より導きだされる、別側面の作用効果について、以下比較例を挙げて、説明を行う。
【0046】
図5は、本発明の第1の比較例に係る光ファイババンドル130の構成を示す図である。図5(a)は、光ファイババンドル130の上面図であり、図5(b)は、光ファイババンドル130の正面図であり、図5(c)は、図5(b)のP部の拡大図である。第1の比較例に係る光ファイババンドル130は、光ファイバ素線をランダムミックス配列方式で構成した点で、第1の実施形態に係る光ファイババンドル13と異なる。ランダムミックス配列方式は、入射端面130aにおける個々の光ファイバ素線の位置関係と、出射端面130bにおける個々の光ファイバ素線の位置関係との間に、対応関係がほぼなくなるように個々の光ファイバ素線を光ファイババンドル130の長手方向において、十分に混ぜ合わせ、相互の位置関係をランダム化するものである。すなわち、ランダムミックス配列方式は、意図的に光ファイバ素線の位置関係を変えている点で、第1の実施形態に係る光ファイババンドル13のように、成り行きで光ファイバ素線を単純に束ねた配列方式とは異なるものである。
【0047】
精密なランダムミックス配列方式により組立てられた光ファイババンドル130は、入射端面130aにおいて、個々の光ファイバ素線に入射される光に光量ムラを生じている場合にも、出射端面130bでは、これらの光量ムラを一定の範囲で軽減して、概ね良好な光量分布を実現することができる。しかしながら、他方で、とりわけ剛性の高い石英ガラス製の光ファイバ素線を用いた場合、折損しやすい光ファイバ素線をその長手方向において混ぜ合せることとなるため、可撓性の損なわる部位が生じ易い。そのため、光ファイババンドル130の全長を長くする必要が生じ、多くの工数を要することから、第1の実施形態に係る光ファイババンドル13と比較して、コスト高となる。
【0048】
第1の比較例に係る光ファイババンドル130は、第1の実施形態に係る光ファイババンドル13と同種・同数の光ファイバ素線を用い、精密なランダムミックス配列を採用して、基端部(入射端面130a)においては直径約10mmの円形の結束とし、先端部(出射端面130b)では36mm×2mmのライン状を呈するように組立てられる。そして、この光ファイババンドル130は、第1の実施形態に係る光ファイババンドル13を2本接合した状態と略同一となるように、36mm幅の出射端面を一体として構成しているが、その全長は、折損を考慮し500mmとしている。なお、光ファイババンドル130の入射端面130aの一部分をマスクで覆うと、その部分に位置する光ファイバ素線の入射端面には光が入射せず、その光ファイバ素線の出射端面は暗くなる。光ファイババンドル130の入射端面130aの1/4をマスクで覆った場合、図5(c)に示すとおり、暗くなる光ファイバ素線の出射端面は、局在化せず散在し、ランダムミックス配列とすることによって光量ムラが軽減することが判る。
【0049】
上述したように、第1の実施形態の構成によれば、光ファイババンドル13の全長が約150mmであり、ランダムミックス配列方式を採用した第1の比較例に係る光ファイババンドル130の全長に対し、1/3以下の全長で構成することができる。従って、幅広の照射エリアを有し、且つ、照射エリア内で良好な光量分布の照射光を得ることができるとともに、光ファイババンドル13を収容する筐体を著しく小型化し、低コスト化に寄与する作用を奏するものである。
【0050】
図6は、本発明の第2の比較例に係る光ファイババンドル230の構成及び光量分布特性を示す図である。図6(a)は、光ファイババンドル230の正面(接合部)拡大図であり、図6(b)は、光ファイババンドル230の光量分布特性図である。また、図7は、図6の第2の比較例に係る光ファイババンドル230と対比される、本発明の第1の実施形態に係る光ファイババンドル13の構成及び光量分布特性を示す図である。図7(a)は、光ファイババンドル13の正面(接合部)拡大図であり、図7(b)は、光ファイババンドル13の光量分布特性図である。第2の比較例に係る光ファイババンドル230は、先に掲げた特許文献2に記載の光ファイババンドルのように、出射端面230bにおいて、光ファイバ素線を俵積み状に配置したものである。なお、図6(b)及び図7(b)に示す光量分布特性は、光ファイババンドル230又は光ファイババンドル13をそれぞれ2本接合して、幅広に照射される照射領域の照射強度を、出射端面230b又は13bから2mmの位置に紫外線強度計(UIT150/UVD−S365/ウシオ電機株式会社製)を配置し、幅方向(出射端面230b又は13bの長手方向)に0.5mmピッチで計測し取得したものである。また、この紫外線強度計の測定範囲は、φ約1mmである。なお、第2の比較例は、光ファイババンドル230の構成のみが第1の実施形態に係る光ファイババンドル13の構成と異なるだけであって、これ以外の構成は、第1の実施形態の構成と同一である。
【0051】
図6(b)に示すように、第2の比較例に係る光ファイババンドル230の光量分布は、接合部において顕著に落ち込むことが確認された。この落ち込みの原因は、縦(厚み)方向に光ファイバ素線を10層積層していることから、光ファイバ素線が連続しない部分が生じたためと考えられる。すなわち、接合部において光を発しない部分が存在するため、接合部近傍に供給される光量が減少したものと考えられる。
【0052】
一方、図7(b)に示すように、第1の実施形態に係る光ファイババンドル13の光量分布は、接合部においても落ち込むことがなく一定の強度が維持される。これは、第2の比較例に係る光ファイババンドル230と異なり、接合部において、個々の光ファイバ素線が規則正しく整列されて配置され、さらに、各光ファイババンドル13で導光された紫外光が、出射端面13bの接合部において拡散されて互いに重なり合う(オーバーラップする)ためと考えられる。このように、本発明の第1の実施形態の構成によれば、従来の俵積み状に光ファイバ素線を配置したもの(すなわち、第2の比較例に係る光ファイババンドル230)と比較して、光ファイババンドル13の接合部における光量分布の落ち込みを著しく低減し、極めて良好な光量分布の光照射が実現される。
【0053】
以上が、本発明の第1の実施形態の説明であるが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。例えば、第1の実施形態の光学ユニット10においては、2つの光ファイババンドル13の出射端面13bを一直線状に並ぶように配置する構成としたが、この構成に限定されるものではなく、2つ以上の光ファイババンドル13の出射端面13bを一直線状に並ぶように配置してもよい。
【0054】
また、第1の実施形態においては、カップリングレンズ16が、光ファイババンドル13の中心部の光ファイバ素線に対しては、約−8〜+8°、外周縁部の光ファイバ素線に対しては、約−8〜+10°の入射角度で紫外光を入射するとしたが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、開口数N.A.が約0.22の石英ガラス製の光ファイバ素線を用いる場合、カップリングレンズ16が、光ファイババンドル13の中心部の光ファイバ素線に対しては、約−10〜+10°、外周縁部の光ファイバ素線に対しては、約−10〜+13°の入射角度で紫外光を入射するように構成してもよい。なお、入射角が13°に近づくと、石英ガラス製の光ファイバ素線の最大受光角を超えるため、光ファイババンドル13に入射されない紫外光の割合が増加し、入射効率が低下する。
【0055】
また、第1の実施形態においては、光ファイババンドル13の光ファイバ素線が出射端面13bにおいて二次元の正方稠密に配置される構成としたが、この構成に限定されるものではない。図8は、第1の実施形態の光ファイババンドル13の変形例を示す図である。本変形例の光ファイババンドル13´は、光ファイバ素線が出射端面13b´の一部において二次元の正方稠密に整列して配置されていない点で、第1の実施形態の光ファイババンドル13と異なる。本変形例の光ファイババンドル13´は、直径0.23mmの石英ガラス製の光ファイバ素線(開口数N.A.は約0.22)を約970本束ねて形成したものであり、第1の実施形態と同様、かかる光ファイババンドル13´を2本用意して、出射端面13b´が一直線状に連続して並ぶように配置し接着される。そして、この2本の光ファイババンドル13´を筐体(不図示)に収容して光学ユニット(不図示)を構成している。図8に示すように、光ファイババンドル13´の光ファイバ素線は、出射端面13b´側から見た時に、接合部Xから横3列(本)の部分(図8中、Yで示す領域)は、縦に10本のファイバ素線を二次元の正方稠密に配置され、これ以外の部分(図8中、Zで示す領域)は、単に稠密に配置されて接着剤で固定されている。従って、本変形例の構成によれば、接合部Xにおいて隣接する光ファイババンドル13´の出射端面13´同士が当接するように配置され、光ファイバ素線が正方稠密に配列された領域(Y)が連続するため、少なくとも接合部近傍(Xの近傍)において、ムラの少ない光量分布となる。なお、本変形例においては、稠密に配置される部分(Z)においては、正方稠密に配置される部分(Y)と比較して、密度(充填率)に若干の疎密を伴って光ファイバ素線が配置されるため、この部分(Z)の光量は接合部近傍(Xの近傍)と比して、やや低い強度の領域や、やや高い強度の領域が混在するが、全体としては平均化されてなだらかな光量分布となり、実用に不都合を生じることは少ない。
【0056】
また、第1の実施形態の構成に加え、カップリングレンズ16とファイババンドル13の入射端面13aとの間に、八角柱状のミキシングロッドをさらに設けてもよい。ミキシングロッドは、カップリングレンズ16から入射される紫外光をその内部で散乱させ、ファイババンドル13に出射する光学素子である。この場合、このミキシングロッドの八角形の出射端面形状に合わせて、光ファイババンドル13の入射端面13aの形状をほぼ同じ大きさの八角形として構成することが好ましい。このような構成によれば、ミキシングロッドの出射端面が、光ファイババンドル13の入射端面13aの形状と略同一であるため、ミキシングロッドの内部を紫外光が伝播する過程で光量分布のムラが軽減され、非常に良好な光量分布の光束を光ファイババンドル13に高効率に入射することが可能となる。なお、ミキシングロッドは、八角柱状のものに限定されず、その他の多角柱、円柱、テーパ状のものを適用することも可能である。
【0057】
また、第1の実施形態においては、LEDユニット20に搭載されるLED22は、パッケージ内に1つのLEDダイを内包する発光ダイオードであるとして説明したが、この構成に限定されるものではない。図9は、本発明の第1の実施形態のLEDユニット20に搭載可能なLED22の構成を示す図である。図9(a)は、上述したLED22の構成であり、パッケージ内に1つのLEDダイ22aを内包する発光ダイオードを示している。しかしながら、LEDユニット20に搭載可能なLED22は、この構成に限定されるものではなく、例えば、図9(b)に示すような、パッケージ内に4つのLEDダイ22aを内包する発光ダイオード(LED22´)や、9つLEDダイを内包する発光ダイオード(不図示)を採用することができる。このように、複数のLEDダイ22aを内包する発光ダイオードを用いることにより、1つのLEDダイ22aを内包するものに比べて、高い照射光量を得ることができる。
【0058】
また、LEDユニット20に搭載されるLED22は、LEDダイ22aがケース内にパッケージされた構成に限定されるものではなく、例えば、図9(c)に示すように、基板22b上にLEDダイ22aを直接マウントし、このLEDダイ22aを封止体22cによって封止する構成の発光ダイオード(LED22M)を採用することも可能である。このような構成の発光ダイオードを採用することにより、発光ダイオード自体を小型化することができるうえ、放熱、冷却構造の設計自由度を確保することができる。
【0059】
さらに、例えば、図9(d)に示すように、基板22b´上に複数のLEDダイ22aを直接マウントし、各LEDダイ22aを封止体22cによって封止し、さらに各LEDダイ22a上に凸レンズ等の光学素子22dを配置した構成の発光ダイオード(LED22M´)を採用することも可能である。このような構成の発光ダイオードを採用することにより、小型にして高強度化を図れ、効率的にLEDダイ22aからの光を取り出すことができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施形態について、図10及び図11を参照しながら説明する。図10は、本発明の第2の実施形態に係る光学ユニット100の上面図である。また、図11(a)は、本発明の第2の実施形態に係る光学ユニット100の正面図であり、図11(b)は、図11(a)のB部の拡大図である。第2の実施形態の光学ユニット100は、ケース110内に第1の実施形態に係る導光ユニット(すなわち、2組の導光モジュール)を2組連結(接合)して収納している点で第1の実施形態に係る光学ユニット10と異なる。なお、第2の実施形態においては、4つのLEDユニット20が光学ユニット100に接続され、各LEDユニット20に、発光ダイオードとして内蔵されるLED22の電流がLEDコントローラ30によって制御されることとなるが、LEDユニット20及びLEDコントローラ30の構成は第1の実施形態と同様であるため、図10及び図11においてはこれらを省略している。
【0061】
図10及び図11(a)に示すように、第2の実施形態の光学ユニット100は、2組の導光ユニットに含まれる光ファイババンドル13の出射端面13bが一直線状(図中、左右方向)に連続して並ぶように配置され、各導光ユニットは、図11(a)のB部において光ファイババンドル13の出射端面13b同士が接着されることによって接合される。第2の実施形態においては、各導光ユニットの光ファイババンドル13の出射端面13bを支持するファイバ支持部材120a及び120bの幅は、各導光ユニットの光ファイババンドル13の出射端面13bの幅(図11(a)の左右方向)よりも短くなるように構成されており、図11(a)のB部において、各導光ユニットのファイバ支持部材120a及び120bから出射端面13bが突出するように構成されている(図11(b))。従って、2組の導光ユニットの接合部(B部)において、ファイバ支持部材120a同士及びファイバ支持部材120b同士が互いに干渉(接触)することはなく、導光ユニット同士は確実に接合される。このように、第2の実施形態の光学ユニット100によれば、4つの光ファイババンドル13の出射端面13bが連続して並ぶため、第1の実施の形態に係る光学ユニット10と比較して、紫外光の照射エリアは2倍に拡大されるとともに、光ファイババンドル13の出射端面13b同士が、連続する出射端面13bの範囲内において良好な光量分布の紫外光を照射することが可能となる。なお、第2の実施形態においては、第1の実施形態に係る導光ユニット(すなわち、2組の導光モジュール)を2組用意し、これらを連結(接合)する構成としたため、各光ファイババンドル13の出射端面13bを一直線状に並べることが容易となる。従って、4つの光ファイババンドル13の出射端面13bを順番に接合する構成と比較して組み立て作業性が大幅に向上する。
【0062】
なお、第2の実施形態の光学ユニット100においては、第1の実施形態に係る導光ユニットを2組連結する構成としたが、この構成に限定されるものではなく、3つ以上の導光ユニットを連結させることも可能である。図12は、図11の光学ユニット100の変形例を示す上面図である。本変形例の光学ユニット200は、ケース210内に第1の実施形態に係る導光ユニットを7組連結して収納している。
【0063】
図12に示すように、本変形例の光学ユニット200は、7組の導光ユニットに含まれる光ファイババンドル13の出射端面13bが一直線状(図中、左右方向)に連続して並ぶように配置され、各導光ユニットは、図12のC部において光ファイババンドル13の出射端面13b同士が接着されることによって接合される。本変形例においても、第2の実施の形態と同様、導光ユニットの接合部(C部)において、隣接する各導光ユニットのファイバ支持部材220a同士及びファイバ支持部材120bM同士が互いに干渉することのないように、各導光ユニットのファイバ支持部材220a及びファイバ支持部材220bMから出射端面13bが突出するように構成されている。
【0064】
なお、第2の実施形態及びその変形例の構成についても、第1の実施形態と同様、様々な変形が可能である。例えば、図9(b)に示したような1つのパッケージに4つ(または9つ)のLEDダイ22aを内包した発光ダイオード(LED22´)を採用することが可能である。このような構成の発光ダイオードを採用することにより小型の筐体を維持しつつ、極めて高強度で、かつ幅広で良好な光量分布を実現する光学ユニット200及びこの光学ユニット200を搭載した照射装置1を提供することが可能である。さらに、このような構成によれば、1本の光ファイババンドル13の入射端面13aに入射される紫外光の光量が増加するため、光ファイババンドル13の出射端面13bにおける光ファイバ素線の積層数を減ずることが可能となる。従って、1つの発光ダイオードから、より幅広で良好な光量分布を実現する光学ユニット200及びこの光学ユニット200を搭載した照射装置1を提供することが可能である。
【0065】
次に、本発明の第3の実施形態について、図13を参照して説明する。図13は、本発明の第3の実施形態に係る照射装置1Mの概略構成を示す図である。図13に示すように、第3の実施形態に係る照射装置1Mは、光学ユニット100Mと、ランプユニット50とによって構成される。第3の実施形態に係る照射装置1Mは、第1又は第2の実施形態に係るLEDユニット20とLEDコントローラ30に代えて、ランプユニット50を備えている点で第1又は第2の実施形態に係る照明装置1と異なる。また、第3の実施形態に係る光学ユニット100Mに収容される光ファイババンドル13Mは、ケース110Mから延出しており、その基端部にはカップリングレンズ16Mを収容したレンズ鏡筒18Mが取り付けられている。そして、レンズ鏡筒18Mがランプユニット50に着脱可能に構成されている。なお、第3の実施形態に係る光学ユニット100Mは、第2の実施形態の光学ユニット100と同様、4つの光ファイババンドル13Mを有しており、4台のランプユニット50に接続されるが、各ランプユニット50の構成は同一であるため、図13において3台のランプユニット50の図示を省略している。
【0066】
ランプユニット50は、光源としての放電ランプ51と、反射ミラー52と、電源回路53と、ランプ制御回路54とを有している。放電ランプ51としては、例えば、200W水銀キセノンランプが使用される。
【0067】
電源回路53は、放電ランプ51及びランプ駆動回路54に電源を供給する。また、ランプ制御回路54は、ランプ駆動回路(不図示)に制御信号を出力して放電ランプ51の輝度を調整する。なお、第3の実施形態においては、放電ランプ51とランプ制御回路54が同一の筐体内(ランプユニット50内)に収容されているが、それぞれ別の装置として構成してもよい。
【0068】
ランプユニット50の電源が入れられ、電源回路53から放電ランプ51及びランプ制御回路54に電源が供給されると、ランプ駆動回路から放電ランプ51に電流が供給され、放電ランプ51は供給される電流量に応じた光量の紫外光を出射する。放電ランプ51から出射された紫外光は、パラボラ形状の反射ミラー52によって集光され、放電ランプ51の前面に配置されたレンズ鏡筒18M内のカップリングレンズ16Mに入射する。カップリングレンズ16Mは、第1の実施形態のカップリングレンズ16と同様、第1レンズ16Maと第2レンズ16Mbとによって構成される。カップリングレンズ16Mに入射した紫外光は、カップリングレンズ16によって光路を折り曲げられて光ファイババンドル13Mの入射端面(図13において不図示)に入射する。そして、光ファイババンドル13Mに入射した紫外光は、光ファイババンドル13Mによって導光され、出射端面13Mbより出射される。出射端面13Mbより出射される紫外光の光量は、ユーザがランプユニット50上の操作パネル(不図示)を操作することによって変更可能に構成されている。ユーザがランプユニット50上の操作パネルを操作すると、ランプ制御回路54の輝度設定値が変更され、ランプ駆動回路は、この輝度設定値に応じて放電ランプ51に供給する電流量を変更する。
【0069】
このように、第3の実施形態の構成によれば、第1及び第2の実施形態と同様、光ファイババンドル13Mの出射端面13Mbの接合部での光量の減少は極力抑えられ、連続する出射端面13bの範囲内において良好な光量分布の紫外光を照射することが可能となる。
【符号の説明】
【0070】
1、1M 照射装置
10、100、200、100M 光学ユニット
11、110、210、110M ケース
11a、110a、210a 天板
11b、110b 底板
11c、11d、110c、110d 側板
11e 背板
11f 開口部
12a、12b、120a、120b、220a、220b ファイバ支持部材
13、130、230、13´、13M 光ファイババンドル
13a、130a 入射端面
13b、130b、230b、13b´ 出射端面
14 ホルダ
15 結束リング
16、16M カップリングレンズ
16a、16Ma 第1レンズ
16b、16Mb 第2レンズ
17a 第1レンズ枠
17b 第2レンズ枠
18、18M レンズ鏡筒
20 LEDユニット
22、22´、22M、22M´ LED
22a LEDダイ
22b、22b´ 基板
22c 封止体
22d 光学素子
23 カバーガラス
25 接続ケーブル
30 LEDコントローラ
32、53 電源回路
33 LED制御回路
50 ランプユニット
51 放電ランプ
52 反射ミラー
54 ランプ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源から入射される光を多数のファイバ素線を束ねた複数のファイババンドルによってそれぞれ導光し、出射する光照射装置用光学ユニットであって、
前記各光源から入射される光を前記各ファイババンドルに導光する複数のカップリングレンズを備え、
前記各ファイババンドルは、
基端部において、前記多数のファイバ素線が結束され、前記各カップリングレンズからの光が入射される光入射面を形成し、
先端部において、前記多数のファイバ素線が矩形状に接合され、導光した光を出射する光出射面を形成し、
前記複数のファイババンドルの前記先端部は、前記光出射面が連続するように一列に並べられて接合されており、
前記各ファイババンドルの前記多数のファイバ素線は、前記光出射面の少なくとも隣接する光出射面との接合部近傍において、二次元の正方稠密に配置されている
ことを特徴とする照射装置用光学ユニット。
【請求項2】
前記複数のカップリングレンズと、前記複数のファイババンドルとを収容するケースと、
前記複数のファイババンドルの前記先端部を支持し、前記ケースに固定する1つ又は複数の支持手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項3】
前記複数の支持手段のそれぞれは、前記複数のファイババンドルの前記先端部のうち、少なくとも1つのファイババンドルの前記先端部を支持し、
前記複数の支持手段のそれぞれが支持する前記先端部の少なくとも一端部は、該支持手段から前記光照射面が連続する方向に突出している
ことを特徴とする請求項2に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項4】
前記各カップリングレンズは、前記各ファイババンドルの前記光入射面の中心から外周縁部に向かって前記光入射面に入射される光の入射角度が大きくなるように前記各光源から入射される光を導光し、
前記各ファイババンドルの前記基端部の外周縁部に位置するファイバ素線が、前記先端部の外周縁部に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項5】
前記各カップリングレンズと前記各ファイババンドルの前記光入射面との間に配置され、前記各カップリングレンズから入射される光を拡散し前記各ファイババンドルの前記光入射面に出射する複数のミキシングロッドをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項6】
前記各ミキシングロッドの出射面の形状と前記各ファイババンドルの前記光入射面の形状とが略同一であることを特徴とする請求項5に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項7】
前記多数のファイバ素線は、石英ファイバであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項8】
前記各光源から入射される光は、紫外光であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の照射装置用光学ユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の照射装置用光学ユニットと、
前記照射装置用光学ユニットに光を出射する複数の光源と、
を備えたことを特徴とする照射装置。
【請求項10】
前記複数の光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項9に記載の照射装置。
【請求項11】
前記発光ダイオードは、紫外光を放射することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の照射装置。
【請求項12】
前記発光ダイオードは、複数の発光素子を有することを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−3540(P2013−3540A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137843(P2011−137843)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(592032430)HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社 (44)
【Fターム(参考)】