説明

熱交換器

【課題】3種類の流体間の熱交換量を適切に調整可能な熱交換器を提供する。
【解決手段】冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aのうち少なくとも一方のチューブを積層配置して構成されて、冷媒および冷却水のうち少なくとも一方と空気とを熱交換させる熱交換部71、72を備え、冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの隣り合うチューブ16a、43a間に形成される空間に、空気が流通する空気用通路70aを形成し、熱交換部71、72として、空気の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部71、および、空気の流れ方向における上流側熱交換部71の下流側に配置される下流側熱交換部72を設け、上流側熱交換部71を構成するチューブの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合と、下流側熱交換部72を構成するチューブの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合とが異なるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3種類の流体間で熱交換可能に構成された複合型の熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3種類の流体間で熱交換可能に構成された複合型の熱交換器が知られている。例えば、特許文献1に開示された熱交換器では、冷凍サイクルの冷媒と室外空気(外気)との間での熱交換、およびエンジンを冷却する冷却水と外気との間での熱交換が可能に構成された複合型の熱交換器が開示されている。
【0003】
具体的には、この特許文献1の熱交換器は、内部に複数の流体通路を有する複数のチューブと、複数のチューブの両端部に配置されて当該複数のチューブと連通する一対のヘッダタンクを備えている。ヘッダタンクは、内部空間を2つの空間に仕切る仕切板を有しており、2つの空間のうち一方の空間に冷媒が流れ、他方の空間に冷却水が流れるように構成されている。チューブ内の複数の流体流路は、ヘッダタンク内の仕切板によって、冷媒が流通する冷媒流路と、冷却水が流通する冷却水流路とに分割されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4239121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載の熱交換器では、1本のチューブに複数の流体流路が形成されたものを採用し、複数の流体流路のうち、空気流れ上流側に配置される流体流路(冷却水流路)に冷却水を流し、空気流れ下流側に配置される流体流路(冷媒流路)に冷媒を流している。そのため、冷却水流路を流れる冷却水が有する熱を、隣接する冷媒流路に伝熱させることができても、冷媒流路の全域に伝熱させることができない。
【0006】
このような不充分な伝熱は、例えば、チューブの冷媒流路を冷凍サイクルの蒸発器として適用した場合に、冷媒の吸熱作用により生じた霜を溶解させるために冷却水の有する熱を有効活用できないという問題を生じさせる。
【0007】
これに対し、本出願人は、先に特願2010−145011にて、冷媒が流れる冷媒用チューブと外部熱源の冷却水が流れる冷却水用チューブとを互いに交互に積層配置するとともに、隣り合う冷媒用チューブと冷却水用チューブとの間に形成されて外気を流通させる外気通路に、冷媒用チューブと冷却水用チューブとの間の熱移動を可能とするアウターフィンを配置した熱交換器を提案している(以下、先願例という)。これにより、冷媒と送風空気との間の熱交換、冷却水と送風空気との間の熱交換だけでなく、冷媒と冷却水との間の熱交換も実現できる。
【0008】
このため、例えば、冷媒用チューブに付着した霜を取り除く除霜時に、冷却水の有する熱を冷媒用チューブの全域に対して伝熱させることができるので、冷却水の有する熱を有効活用することができる。
【0009】
ところで、先願例には、冷媒用チューブと冷却水用チューブとが互いに交互に積層配置された例が開示されている。しかしながら、冷媒用チューブと冷却水用チューブとを単に交互に配置するだけでは、冷却水の有する熱が、除霜を行うために必要な熱量に対して過剰になってしまうことがある。
【0010】
さらに、冷却水用チューブの本数の増加は、熱交換器全体としての冷媒用チューブの本数の減少を招く。したがって、熱交換器全体として冷媒と送風空気とを熱交換させる領域の縮小を招き、冷媒と送風空気との熱交換量を適切に確保できない要因となる。その結果、必要な吸熱能力を確保するために、熱交換器の大型化を招く原因ともなる。
【0011】
本発明は上記点に鑑みて、3種類の流体間の熱交換量を適切に調整可能な熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、内部に第1流体が流通する第1チューブ(16a)と、内部に第2流体が流通する第2チューブ(43a)と、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)のうち少なくとも一方のチューブ(16a)を積層配置して構成されて、第1流体および第2流体のうち少なくとも一方と第3流体とを熱交換させる熱交換部(71、72)とを備え、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の隣り合うチューブ(16a、43a)間に形成される空間は、第3流体が流通する第3流体用通路(70a)を形成しており、熱交換部(71、72)として、第3流体の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部(71)、および、第3流体の流れ方向における上流側熱交換部(71)の下流側に配置される下流側熱交換部(72)が設けられ、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層配置の順序と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層配置の順序とが異なっていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層配置の順序と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層配置の順序とを異ならせることで、熱交換器(70)全体として3種類の流体間の熱交換量を調整することができる。したがって、3種類の流体間の熱交換量を適切に調整可能な熱交換器を提供できる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明では、内部に第1流体が流通する第1チューブ(16a)と、内部に第2流体が流通する第2チューブ(43a)と、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)のうち少なくとも一方のチューブ(16a)を積層配置して構成されて、第1流体および第2流体のうち少なくとも一方と第3流体とを熱交換させる熱交換部(71、72)とを備え、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の隣り合うチューブ(16a、43a)間に形成される空間は、第3流体が流通する第3流体用通路(70a)を形成しており、熱交換部(71、72)として、第3流体の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部(71)、および、第3流体の流れ方向における上流側熱交換部(71)の下流側に配置される下流側熱交換部(72)が設けられ、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)のうち、第3流体の流れ方向から見たときに同種類のチューブ同士が互いに重合配置された部分と、第3流体の流れ方向から見たときに異なる種類のチューブが互いに重合配置された部分とが存在することを特徴とする。
【0015】
これによれば、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)のうち、第3流体の流れ方向から見たときに同種類のチューブ同士が互いに重合配置された部分と、第3流体の流れ方向から見たときに異なる種類のチューブが互いに重合配置された部分とを存在させることで、熱交換器(70)全体として3種類の流体間の熱交換量を調整することができる。したがって、3種類の流体間の熱交換量を適切に調整可能な熱交換器を提供できる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、内部に第1流体が流通する第1チューブ(16a)と、内部に第2流体が流通する第2チューブ(43a)と、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)のうち少なくとも一方のチューブ(16a)を積層配置して構成されて、第1流体および第2流体のうち少なくとも一方と第3流体とを熱交換させる熱交換部(71、72)とを備え、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の隣り合うチューブ(16a、43a)間に形成される空間は、第3流体が流通する第3流体用通路(70a)を形成しており、熱交換部(71、72)として、第3流体の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部(71)、および、第3流体の流れ方向における上流側熱交換部(71)の下流側に配置される下流側熱交換部(72)が設けられ、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合とが異なっていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合、および、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合を変更することで、熱交換器(70)全体として3種類の流体間の熱交換量を調整することができる。したがって、3種類の流体間の熱交換量を適切に調整可能な熱交換器を提供できる。
【0018】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する前記第2チューブ(43a)の本数割合が、前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する前記第2チューブ(43a)の本数割合よりも多いことを特徴とする。
【0019】
これによれば、上流側熱交換部(71)を構成する第2チューブ(43a)の本数割合を下流側熱交換部(72)を構成する第2チューブ(43a)の本数割合より多くすることで、第2チューブ(43a)の多くを第3流体流れの上流側に配置することができる。このため、第2流体と、他の流体と熱交換する前の第3流体とを熱交換させることができるので、第2流体と第3流体とを効率よく熱交換させることが可能となる。
【0020】
また、請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)は、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方により構成されており、下流側熱交換部(72)は、第1チューブ(16a)により構成されていてもよい。
【0021】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の熱交換器において、第3流体用通路(70a)には、第1流体と第3流体との熱交換および第2流体と第3流体との熱交換を促進するとともに、第1チューブ(16a)を流通する第1流体と第2チューブ(43a)を流通する第2流体との間の熱移動を可能とするアウターフィン(50)が配置されていることを特徴としている。
【0022】
これによれば、第1流体および第3流体については、第1チューブ(16a)およびアウターフィン(50)を介して、適切に熱交換させることができる。第2流体および第3流体については、第2チューブ(43a)およびアウターフィン(50)を介して、適切に熱交換させることができる。さらに、第1流体および第2流体については、アウターフィン(50)を介して、適切に熱交換させることができる。従って、3種類の流体間で適切な熱交換を行うことができる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)は、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方によって構成され、下流側熱交換部(72)は、第1チューブ(16a)によって構成され、さらに、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層方向に延びて、第2チューブ(43a)を流通する第2流体の集合あるいは分配を行う上流側第2流体空間(731)が形成された上流側タンク部(73)と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)の積層方向に延びて、第1チューブ(16a)を流通する第1流体の集合あるいは分配を行う下流側第1流体空間(741)が形成された下流側タンク部(74)とを備え、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)と下流側第1流体空間(741)とを連通させる連通路(76)が設けられていることを特徴としている。
【0024】
これによれば、上流側熱交換部(71)が第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方によって構成され、下流側熱交換部(72)が第1チューブ(16a)によって構成される熱交換器において、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合とが異なる構成を容易かつ確実に実現できる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)は、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方によって構成され、下流側熱交換部(72)は、第1チューブ(16a)によって構成され、さらに、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層方向に延びて、第1チューブ(16a)を流通する第1流体の集合あるいは分配を行う上流側第1流体空間(738)が形成された上流側タンク部(73)と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)の積層方向に延びて、上流側熱交換部(71)を構成する第2チューブ(43a)を流通する第2流体の集合あるいは分配を行う下流側第2流体空間(748)が形成された下流側タンク部(74)と、下流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)と上流側第1流体空間(738)とを連通させる第1の連通路(761)と、上流側熱交換部(71)を構成する第2チューブ(43a)と下流側第2流体空間(748)とを連通させる第2の連通路(762)とを備えることを特徴とする。
【0026】
これによれば、上流側熱交換部(71)が第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方によって構成され、下流側熱交換部(72)が第1チューブ(16a)によって構成される熱交換器において、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)への第1流体の供給量を増加させることができる。
【0027】
また、請求項9に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)は、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方によって構成され、下流側熱交換部(72)は、第1チューブ(16a)によって構成され、さらに、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の積層方向に延びて、第1チューブ(16a)を流通する第1流体の集合あるいは分配を行う上流側第1流体空間(733)および第2チューブ(43a)を流通する第2流体の集合あるいは分配を行う上流側第2流体空間(731)が形成された上流側タンク部(73)と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)の積層方向に延びて、第1チューブ(16a)を流通する第1流体の集合あるいは分配を行う下流側第1流体空間(741)が形成された下流側タンク部(74)とを備え、上流側第1流体空間(733)と下流側第1流体空間(741)とを連通させる連通路(76)が設けられていることを特徴としている。
【0028】
これによれば、上流側熱交換部(71)が第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方によって構成され、下流側熱交換部(72)が第1チューブ(16a)によって構成される熱交換器において、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合と、下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する第1チューブ(16a)の本数割合とが異なる構成を容易かつ確実に実現できる。
【0029】
また、請求項10に記載の発明では、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器において、連通路(76、761、762)は、上流側タンク部(73)および下流側タンク部(74)と一体に構成されていることを特徴とする。これによれば、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器を、容易に構成することができる。
【0030】
また、請求項11に記載の発明では、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器において、連通路(76、761、762)は、上流側タンク部(73)および下流側タンク部(74)と別体として構成されていることを特徴とする。これによれば、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器を、容易に構成することができる。
【0031】
また、請求項12に記載の発明では、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器において、連通路(76、761、762)は、上流側タンク部(73)および下流側タンク部(74)と別体として構成されているとともに、上流側タンク部(73)および下流側タンク部(74)よりも熱交換部(71、72)に近い側に配置されていることを特徴とする。これによれば、請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器を、容易に構成することができる。
【0032】
また、請求項13に記載の発明のように、請求項7ないし12のいずれか1つに記載の熱交換器において、連通路(76)は、上流側熱交換部(71)を構成する第1チューブ(16a)および下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)のうち、第3流体の流れ方向から見たときに、互いに重合配置された第1チューブ(16a)の端部同士を結ぶ方向に延びていてもよい。これにより、熱交換器の構成を大型化させてしまうことを抑制できる。
【0033】
なお、本発明における「互いに重合配置された第1チューブ(16a)の端部同士を結ぶ方向」とは、第3流体の流れ方向成分を含む方向を意味している。
【0034】
また、請求項14に記載の発明では、請求項13に記載の熱交換器において、連通路(76、761)は、第3流体の流れ方向から見たときに互いに重合配置された第1チューブ(16a)に対して第1チューブ(16a)の積層方向に隣り合う他の第1チューブ(16a)と連通するように構成されていることを特徴とする。
【0035】
これによれば、第3流体の流れ方向から見たときに互いに重合配置された第1チューブ(16a)のうち下流側熱交換部(72)を構成する第1チューブ(16a)(以下、下流側第1チューブ(16a)ともいう)と、当該下流側第1チューブ(16a)と第1チューブ(16a)の積層方向に隣り合う他の第1チューブ(16a)(以下、下流側隣接チューブ(16a)ともいう)との、第1流体の流量バランスを良くすることができる。
【0036】
つまり、連通路(76、761)を下流側隣接チューブ(16a)と連通するように構成することで、連通路(76、761)を介して下流側隣接チューブ(16a)に第1流体を流通させることができる。これにより、タンク部(73、74)の内部空間を介して隣接チューブ(16a)に第1流体を流通させる場合と比較して、第1流体の圧力損失が低くなる。このため、結果として、下流側第1チューブ(16a)を流れる第1流体の流量と、下流側隣接チューブ(16a)を流れる第1流体の流量とをより近づけることができる。
【0037】
また、請求項15に記載の発明では、請求項7ないし14のいずれか1つに記載の熱交換器において、第3流体の流れ方向から見たときに互いに重合配置された第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)において、第1チューブ(16a)を流れる第1流体の流れ方向と第2チューブ(43a)を流れる第2流体の流れ方向とが同一となる部分と、第1チューブ(16a)を流れる第1流体の流れ方向と第2チューブ(43a)を流れる第2流体の流れ方向とが逆方向となる部分とが存在することを特徴とする。
【0038】
これによれば、第1チューブ(16a)を流れる第1流体の流れ方向と第2チューブ(43a)を流れる第2流体の流れ方向とが同一となる部分と、第1チューブ(16a)を流れる第1流体の流れ方向と第2チューブ(43a)を流れる第2流体の流れ方向とが逆方向となる部分とを存在させることで、熱交換器(70)全体として3種類の流体間の熱交換量を容易に調整することが可能となる。
【0039】
また、請求項16に記載の発明では、請求項1ないし15のいずれか1つに記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)は、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方により構成されており、下流側熱交換部(72)は、第1チューブ(16a)により構成されており、外部から流入した第1流体が下流側熱交換部(72)側へ分岐することなく、外部から流入した第1流体の全流量が上流側熱交換部(71)を通過するように構成されていることを特徴とする。
【0040】
これによれば、外部から流入した第1流体が下流側熱交換部(72)へ分岐することなく、外部から流入した第1流体の全流量が上流側熱交換部(71)を通過するように構成することで、上流側熱交換部(71)に第1流体が必ず流れる構成にすることができる。このため、上流側熱交換部(71)において、第1流体と第3流体とを確実に熱交換させることが可能となる。
【0041】
また、請求項17に記載の発明では、請求項1ないし15のいずれか1つに記載の熱交換器において、上流側熱交換部(71)は、第1チューブ(16a)および第2チューブ(43a)の双方により構成されており、下流側熱交換部(72)は、第1チューブ(16a)により構成されており、外部から流入した第1流体が、第1チューブ(16a)に流入する前に、上流側熱交換部(71)側と下流側熱交換部(72)側とに分岐するように構成されており、第1チューブ(16a)に流入する前に上流側熱交換部(71)側に分岐した第1流体が、下流側熱交換部(72)側へ分岐することなく、上流側熱交換部(71)側に分岐した第1流体の全流量が上流側熱交換部(71)を通過するように構成されており、第1チューブ(16a)に流入する前に下流側熱交換部(72)側に分岐した第1流体が上流側熱交換部(71)へ分岐することなく、下流側熱交換部(72)側に分岐した第1流体の全流量が下流側熱交換部(72)を通過するように構成されていることを特徴とする。
【0042】
これによれば、上流側熱交換部(71)側に分岐された第1流体が下流側熱交換部(72)側に分岐することなく、上流側熱交換部(71)側に分岐された第1流体の全流量が上流側熱交換部(71)を通過するように構成するとともに、下流側熱交換部(72)側に分岐された第1流体が上流側熱交換部(71)側に分岐することなく、下流側熱交換部(72)に分岐された第1流体の全流量が下流側熱交換部(72)を通過するように構成することで、冷媒流れ最上流部にて上流側熱交換部(71)側と下流側熱交換部(72)側とに分岐された第1流体流れが、熱交換部(71、72)の途中で再合流しない構成にすることができる。このため、冷媒流れ最上流部にて上流側熱交換部(71)側と下流側熱交換部(72)側とに分岐された第1流体流れが熱交換部(71、72)の途中で再合流して熱交換器の性能が低下することを防止できる。
【0043】
また、請求項18に記載の発明では、請求項16または17に記載の熱交換器において、外部から流入した直後の第1流体が第1チューブ(16a)を流れる方向と、外部から流入した直後の第2流体が第2チューブ(43a)を流れる方向とが同じ方向であることを特徴とする。これによれば、熱交換器の性能向上を図ることができる。
【0044】
また、請求項19に記載の発明では、請求項16ないし18のいずれか1つに記載の熱交換器において、外部へ流出する直前の第1流体が第1チューブ(16a)を流れる方向と、外部へ流出する直前の第2流体が第2チューブ(43a)を流れる方向とが同じ方向であることを特徴とする。これによれば、熱交換器の性能向上を図ることができる。
【0045】
また、請求項20に記載の発明では、請求項1ないし19のいずれか1つに記載の熱交換器において、第3流体用通路(70a)には、第1流体と第3流体との熱交換および第2流体と第3流体との熱交換を促進するとともに、第1チューブ(16a)を流通する第1流体と第2チューブ(43a)を流通する第2流体との間の熱移動を可能とするアウターフィン(50)が配置されており、アウターフィン(50)には、アウターフィン(50)の表面の一部を切り起こすことにより形成されたルーバ(500)が設けられており、アウターフィン(50)のうち、上流側熱交換部(71)を構成する2つの隣り合うチューブ(16a、43a)間に配置される部分に形成されるルーバ(500)の形状と、下流側熱交換部(72)を構成する2つの隣り合うチューブ(16a、43a)間に配置される部分に形成されるルーバ(500)の形状とが異なっていることを特徴とする。
【0046】
これによれば、上流側熱交換部(71)を構成する2つの隣り合うチューブ(16a、43a)間に配置される部分に形成されるルーバ(500)の形状と、下流側熱交換部(72)を構成する2つの隣り合うチューブ(16a、43a)間に配置される部分に形成されるルーバ(500)の形状とを異ならせることで、熱交換器(70)全体として3種類の流体間の熱交換量を容易に調整することが可能となる。
【0047】
また、請求項21に記載の発明では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて冷媒を蒸発させる蒸発器として用いられる請求項1ないし20のいずれか1つに記載の熱交換器であって、第1流体は、冷凍サイクルの冷媒であり、第2流体は、外部熱源の有する熱量を吸熱した熱媒体であり、第3流体は、空気であることを特徴としている。
【0048】
これによれば、第1流体である冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させた際に蒸発器(熱交換器)に着霜が生じても、第2流体である熱媒体の有する熱量によって、除霜を行うことができる。
【0049】
また、請求項22に記載の発明では、蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて圧縮機吐出冷媒を放熱させる放熱器として用いられる請求項1ないし20のいずれか1つに記載の熱交換器であって、第1流体は、冷凍サイクルの冷媒であり、第2流体は、外部熱源の有する熱量を吸熱した熱媒体であり、第3流体は、空気であることを特徴とする。
【0050】
これによれば、冷凍サイクルを作動させて圧縮機吐出冷媒の有する熱量によって熱媒体を加熱することができるので、外部熱源の暖機を行うことができる。
【0051】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施形態のヒートポンプサイクルの暖房運転時の冷媒流路等を示す全体構成図である。
【図2】第1実施形態のヒートポンプサイクルの除霜運転時の冷媒流路等を示す全体構成図である。
【図3】第1実施形態のヒートポンプサイクルの冷房運転時の冷媒流路等を示す全体構成図である。
【図4】第1実施形態の熱交換器の外観斜視図である。
【図5】第1実施形態の熱交換器の分解斜視図である。
【図6】第1実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【図7】第1実施形態の熱交換器の冷媒流れ等を示す断面図である。
【図8】第1実施形態の熱交換器の冷却水流れ等を示す断面図である。
【図9】図7のE−E断面図である。
【図10】図7のF−F断面図である。
【図11】第2実施形態の熱交換器の斜視断面図である。
【図12】第3実施形態の熱交換器の斜視断面図である。
【図13】第4実施形態のヒートポンプサイクルの暖房運転時の冷媒流路等を示す全体構成図である。
【図14】第4実施形態のヒートポンプサイクルの暖機運転時の冷媒流路等を示す全体構成図である。
【図15】第4実施形態のヒートポンプサイクルの冷房運転時の冷媒流路等を示す全体構成図である。
【図16】第5実施形態の熱交換器を構成する第1板状部材を示す模式的な平面図である。
【図17】第5実施形態の熱交換器を構成する第2板状部材を示す模式的な平面図である。
【図18】第6実施形態の熱交換器を構成する第1板状部材を示す模式的な平面図である。
【図19】第6実施形態の熱交換器を構成する第2板状部材を示す模式的な平面図である。
【図20】第7実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【図21】第8実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【図22】第9実施形態の熱交換器の熱交換部長手方向の模式的な断面図である。
【図23】第10実施形態における、外気の流れ方向において上流側熱交換部を構成する冷媒用チューブと下流側熱交換部を構成する冷媒用チューブとが重合している部位における断面図である。
【図24】第10実施形態における、外気の流れ方向において上流側熱交換部を構成する冷却水用チューブと下流側熱交換部を構成する冷媒用チューブとが重合している部位における断面図である。
【図25】第10実施形態における第1連通空間形成用プレートを示す斜視図である。
【図26】他の実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【図27】他の実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【図28】他の実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【図29】他の実施形態の熱交換器における冷媒および冷却水の流れを説明する模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0054】
(第1実施形態)
図1〜図10により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、本発明の熱交換器70を、車両用空調装置1において車室内送風空気の温調を行うヒートポンプサイクル10に適用している。図1〜図3は、本第1実施形態の車両用空調装置1の全体構成図である。
【0055】
この車両用空調装置1は、内燃機関(エンジン)および走行用電動モータMGから車両走行用の駆動力を得る、いわゆるハイブリッド車両に適用されている。
【0056】
ハイブリッド車両は、車両の走行負荷等に応じてエンジンを作動あるいは停止させて、エンジンおよび走行用電動モータMGの双方から駆動力を得て走行する走行状態や、エンジンを停止させて走行用電動モータMGのみから駆動力を得て走行する走行状態等を切り替えることができる。これにより、ハイブリッド車両では、車両走行用の駆動力をエンジンのみから得る通常の車両に対して車両燃費を向上させることができる。
【0057】
ヒートポンプサイクル10は、車両用空調装置1において、空調対象空間である車室内へ送風される車室内送風空気を加熱あるいは冷却する機能を果たす蒸気圧縮式の冷凍サイクルである。従って、このヒートポンプサイクル10は、冷媒流路を切り替えて、熱交換対象流体である車室内送風空気を加熱して車室内を暖房する暖房運転(加熱運転)、車室内送風空気を冷却して車室内を冷房する冷房運転(冷却運転)を実行できる。
【0058】
さらに、このヒートポンプサイクル10では、暖房運転時に冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する後述する複合型の熱交換器70の室外熱交換部16に着いた霜を融解させて取り除く除霜運転を実行することもできる。なお、図1〜図3のヒートポンプサイクル10に示す全体構成図では、各運転時における冷媒の流れを実線矢印で示している。
【0059】
また、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
【0060】
まず、圧縮機11は、エンジンルーム内に配置されて、ヒートポンプサイクル10において冷媒を吸入し、圧縮して吐出するもので、吐出容量が固定された固定容量型圧縮機11aを電動モータ11bにて駆動する電動圧縮機である。固定容量型圧縮機11aとしては、具体的に、スクロール型圧縮機構、ベーン型圧縮機構等の各種圧縮機構を採用できる。
【0061】
電動モータ11bは、後述する空調制御装置から出力される制御信号によって、その作動(回転数)が制御されるもので、交流モータ、直流モータのいずれの形式を採用してもよい。そして、この回転数制御によって、圧縮機11の冷媒吐出能力が変更される。従って、本実施形態では、電動モータ11bが圧縮機11の吐出能力変更手段を構成する。
【0062】
圧縮機11の冷媒吐出口には、利用側熱交換器としての室内凝縮器12の冷媒入口側が接続されている。室内凝縮器12は、車両用空調装置1の室内空調ユニット30のケーシング31内に配置されて、その内部を流通する高温高圧冷媒と後述する室内蒸発器20通過後の車室内送風空気とを熱交換させる加熱用熱交換器である。なお、室内空調ユニット30の詳細構成については後述する。
【0063】
室内凝縮器12の冷媒出口側には、暖房運転時に室内凝縮器12から流出した冷媒を減圧膨張させる暖房運転用の減圧手段としての暖房用固定絞り13が接続されている。この暖房用固定絞り13としては、オリフィス、キャピラリチューブ等を採用できる。暖房用固定絞り13の出口側には、複合型の熱交換器70の室外熱交換部16の冷媒入口側が接続されている。
【0064】
さらに、室内凝縮器12の冷媒出口側には、室内凝縮器12から流出した冷媒を、暖房用固定絞り13を迂回させて室外熱交換部16側へ導く固定絞り迂回用通路14が接続されている。この固定絞り迂回用通路14には、固定絞り迂回用通路14を開閉する開閉弁15aが配置されている。開閉弁15aは、空調制御装置から出力される制御電圧によって、その開閉作動が制御される電磁弁である。
【0065】
また、冷媒が開閉弁15aを通過する際に生じる圧力損失は、固定絞り13を通過する際に生じる圧力損失に対して極めて小さい。従って、室内凝縮器12から流出した冷媒は、開閉弁15aが開いている場合には固定絞り迂回用通路14側を介して室外熱交換部16へ流入し、開閉弁15aが閉じている場合には暖房用固定絞り13を介して室外熱交換部16へ流入する。
【0066】
これにより、開閉弁15aは、ヒートポンプサイクル10の冷媒流路を切り替えることができる。従って、本実施形態の開閉弁15aは、冷媒流路切替手段としての機能を果たす。なお、このような冷媒流路切替手段としては、室内凝縮器12出口側と暖房用固定絞り13入口側とを接続する冷媒回路および室内凝縮器12出口側と固定絞り迂回用通路14入口側とを接続する冷媒回路を切り替える電気式の三方弁等を採用してもよい。
【0067】
室外熱交換部16は、熱交換器70において内部を流通する冷媒と送風ファン17から送風された外気とを熱交換させる熱交換部である。この室外熱交換部16は、エンジンルーム内に配置されて、暖房運転時には、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発用熱交換部(蒸発器)として機能し、冷房運転時には、高圧冷媒を放熱させる放熱用熱交換部(放熱器)として機能する。
【0068】
また、送風ファン17は、空調制御装置から出力される制御電圧によって稼働率、すなわち回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
【0069】
さらに、本実施形態の熱交換器70では、上述の室外熱交換部16および走行用電動モータMGを冷却する冷却水と送風ファン17から送風された外気とを熱交換させる後述するラジエータ部43と一体的に構成している。
【0070】
このため、本実施形態の送風ファン17は、室外熱交換部16およびラジエータ部43の双方に向けて外気を送風する室外送風手段を構成している。なお、室外熱交換部16およびラジエータ部43とを一体的に構成した複合型の熱交換器70の詳細構成については後述する。
【0071】
室外熱交換部16の出口側には、電気式の三方弁15bが接続されている。この三方弁15bは、空調制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御されるもので、上述した開閉弁15aとともに、冷媒流路切替手段を構成している。
【0072】
より具体的には、三方弁15bは、暖房運転時には、室外熱交換部16の出口側と後述するアキュムレータ18の入口側とを接続する冷媒流路に切り替え、冷房運転時には、室外熱交換部16の出口側と冷房用固定絞り19の入口側とを接続する冷媒流路に切り替える。
【0073】
冷房用固定絞り19は、冷房運転時に室外熱交換部16から流出した冷媒を減圧膨張させる冷房運転用の減圧手段であり、その基本的構成は、暖房用固定絞り13と同様である。冷房用固定絞り19の出口側には、室内蒸発器20の冷媒入口側が接続されている。
【0074】
室内蒸発器20は、室内空調ユニット30のケーシング31内のうち、室内凝縮器12よりも空気流れの上流側に配置されて、その内部を流通する冷媒と車室内送風空気とを熱交換させ、車室内送風空気を冷却する冷却用熱交換器である。室内蒸発器20の冷媒出口側には、アキュムレータ18の入口側が接続されている。
【0075】
アキュムレータ18は、その内部に流入した冷媒の気液を分離して、サイクル内の余剰冷媒を蓄える低圧側冷媒用の気液分離器である。アキュムレータ18の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入側が接続されている。従って、このアキュムレータ18は、圧縮機11に液相冷媒が吸入されてしまうことを抑制して、圧縮機11の液圧縮を防止する機能を果たす。
【0076】
本実施形態のヒートポンプサイクル10では、冷房運転時に、熱交換器70のラジエータ部43から流出する冷却水の温度が、熱交換器70の室外熱交換部16から流出する冷媒の温度より低くなっている。これにより、室外熱交換部16が高圧冷媒を放熱させる放熱用熱交換部として機能する冷房運転時において、室外熱交換部16から流出する冷媒の過冷却度を上昇させることができるので、サイクル効率を向上できる。
【0077】
一方、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、暖房運転時に、熱交換器70のラジエータ部43内部の冷却水の温度が、熱交換器70の室外熱交換部16から流出する冷媒の温度より高くなっている。これにより、室外熱交換部16が低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発用熱交換部として機能する暖房運転時において、冷却水の有する熱量を吸熱することによって冷媒が加熱されて、冷媒の蒸発が促進される。
【0078】
次に、室内空調ユニット30について説明する。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(インストルメントパネル)の内側に配置されて、その外殻を形成するケーシング31内に送風機32、前述の室内凝縮器12、室内蒸発器20等を収容したものである。
【0079】
ケーシング31は、車室内に送風される車室内送風空気の空気通路を形成しており、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(例えば、ポリプロピレン)にて成形されている。ケーシング31内の車室内送風空気流れ最上流側には、車室内空気(内気)と外気とを切替導入する内外気切替装置33が配置されている。
【0080】
内外気切替装置33には、ケーシング31内に内気を導入させる内気導入口および外気を導入させる外気導入口が形成されている。さらに、内外気切替装置33の内部には、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整して、内気の風量と外気の風量との風量割合を変化させる内外気切替ドアが配置されている。
【0081】
内外気切替装置33の空気流れ下流側には、内外気切替装置33を介して吸入された空気を車室内へ向けて送風する送風機32が配置されている。この送風機32は、遠心多翼ファン(シロッコファン)を電動モータにて駆動する電動送風機であって、空調制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風量)が制御される。
【0082】
送風機32の空気流れ下流側には、室内蒸発器20および室内凝縮器12が、車室内送風空気の流れに対して、この順に配置されている。換言すると、室内蒸発器20は、室内凝縮器12に対して、車室内送風空気の流れ方向上流側に配置されている。
【0083】
さらに、室内蒸発器20の空気流れ下流側であって、かつ、室内凝縮器12の空気流れ上流側には、室内蒸発器20通過後の送風空気のうち、室内凝縮器12を通過させる風量割合を調整するエアミックスドア34が配置されている。また、室内凝縮器12の空気流れ下流側には、室内凝縮器12にて冷媒と熱交換して加熱された送風空気と室内凝縮器12を迂回して加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間35が設けられている。
【0084】
ケーシング31の空気流れ最下流部には、混合空間35にて混合された空調風を、冷却対象空間である車室内へ吹き出す吹出口が配置されている。具体的には、この吹出口としては、車室内の乗員の上半身に向けて空調風を吹き出すフェイス吹出口、乗員の足元に向けて空調風を吹き出すフット吹出口、および、車両前面窓ガラス内側面に向けて空調風を吹き出すデフロスタ吹出口(いずれも図示せず)が設けられている。
【0085】
従って、エアミックスドア34が室内凝縮器12を通過させる風量の割合を調整することによって、混合空間35にて混合された空調風の温度が調整され、各吹出口から吹き出される空調風の温度が調整される。つまり、エアミックスドア34は、車室内へ送風される空調風の温度を調整する温度調整手段を構成している。
【0086】
換言すると、エアミックスドア34は、利用側熱交換器を構成する室内凝縮器12において、圧縮機11吐出冷媒と車室内送風空気との熱交換量を調整する熱交換量調整手段としての機能を果たす。なお、エアミックスドア34は、空調制御装置から出力される制御信号によって作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
【0087】
さらに、フェイス吹出口、フット吹出口、およびデフロスタ吹出口の空気流れ上流側には、それぞれ、フェイス吹出口の開口面積を調整するフェイスドア、フット吹出口の開口面積を調整するフットドア、デフロスタ吹出口の開口面積を調整するデフロスタドア(いずれも図示せず)が配置されている。
【0088】
これらのフェイスドア、フットドア、デフロスタドアは、吹出口モードを切り替える吹出口モード切替手段を構成するものであって、リンク機構等を介して、空調制御装置から出力される制御信号によってその作動が制御される図示しないサーボモータによって駆動される。
【0089】
次に、冷却水循環回路40について説明する。この冷却水循環回路40は、作動時に発熱を伴う車載機器の一つである前述の走行用電動モータMGの内部に形成された冷却水通路に、冷却媒体(熱媒体)としての冷却水(例えば、エチレングリコール水溶液)を循環させて、走行用電動モータMGを冷却する冷却水循環回路である。
【0090】
この冷却水循環回路40には、冷却水ポンプ41、電気式の三方弁42、複合型の熱交換器70のラジエータ部43、このラジエータ部43を迂回させて冷却水を流すバイパス通路44等が配置されている。
【0091】
冷却水ポンプ41は、冷却水循環回路40において冷却水を走行用電動モータMGの内部に形成された冷却水通路へ圧送する電動式のポンプであり、空調制御装置から出力される制御信号によって回転数(流量)が制御される。従って、冷却水ポンプ41は、走行用電動モータMGを冷却する冷却水の流量を変化させて冷却能力を調整する冷却能力調整手段としての機能を果たす。
【0092】
三方弁42は、冷却水ポンプ41の入口側とラジエータ部43の出口側とを接続して冷却水をラジエータ部43へ流入させる冷却水回路、および、冷却水ポンプ41の入口側とバイパス通路44の出口側とを接続して冷却水をラジエータ部43を迂回させて流す冷却水回路を切り替える。この三方弁42は、空調制御装置から出力される制御電圧によって、その作動が制御されるもので、冷却水回路の回路切替手段を構成している。なお、三方弁42は、冷却水回路を切り替えることで、ラジエータ部43への冷却水の流入量を制御する冷却水流入量制御手段としての機能も果たす。
【0093】
つまり、本実施形態の冷却水循環回路40では、図1等の破線矢印に示すように、冷却水ポンプ41→走行用電動モータMG→ラジエータ部43→冷却水ポンプ41の順に冷却水を循環させる冷却水回路と、冷却水ポンプ41→走行用電動モータMG→バイパス通路44→冷却水ポンプ41の順に冷却水を循環させる冷却水回路とを切り替えることができる。
【0094】
従って、走行用電動モータMGの作動中に、三方弁42が、冷却水をラジエータ部43を迂回させて流す冷却水回路に切り替えると、冷却水はラジエータ部43にて放熱することなく、その温度を上昇させる。つまり、三方弁42が、冷却水をラジエータ部43を迂回させて流す冷却水回路に切り替えた際には、走行用電動モータMGの有する熱量(発熱量)が冷却水に蓄熱されることになる。
【0095】
本実施形態の冷却水循環回路40では、熱交換器70のラジエータ部43から流出する冷却水の温度が予め定めた基準温度(本実施形態では65℃)以下となっている。これにより、走行用電動モータMGのインバータを高熱から保護することができる。
【0096】
室外熱交換部16は、エンジンルーム内に配置されて、冷却水と送風ファン17から送風された外気とを熱交換させる放熱用熱交換部として機能する。前述の如く、ラジエータ部43は、室外熱交換部16とともに複合型の熱交換器70を構成している。
【0097】
ここで、図4〜図10を用いて、本実施形態の複合型の熱交換器70の詳細構成について説明する。図4は本第1実施形態の熱交換器70の外観斜視図であり、図5は熱交換器70の分解斜視図である。
【0098】
図6は熱交換器70における冷媒流れおよび冷却水流れを説明するための模式的な斜視図である。なお、図6では、ヒートポンプサイクル10における冷媒の流れを実線で示し、冷却水循環回路40における冷却水の流れを破線矢印で示している。
【0099】
図7(a)および図8(a)は図6のA−A断面図であり、図7(b)および図8(b)は図6のB−B断面図であり、図7(c)および図8(c)は図6のC−C断面図であり、図7(d)および図8(d)は図6のD−D断面図である。なお、図7の破線矢印は冷媒流れを示しており、図8の破線矢印は冷却水流れを示している。また、図9は図7のE−E断面図であり、図10は図7のF−F断面図である。
【0100】
まず、図5、6に示すように、複合型の熱交換器70は、冷媒または冷却水を流通させる複数本のチューブ、この複数本のチューブの両端側に配置されてそれぞれのチューブを流通する冷媒または冷却水の集合あるいは分配を行う一対の集合分配用タンク等を有する、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器構造に構成されている。
【0101】
より具体的には、複合型の熱交換器70は、内部に第1流体としての冷媒が流通する冷媒用チューブ16aと、内部に第2流体としての冷却水が流通する冷却水用チューブ43aとを備えている。
【0102】
また、複合型の熱交換器70は、冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aを交互に積層配置して構成された上流側熱交換部71を備えている。上流側熱交換部71は、冷媒用チューブ16aを流通する冷媒と冷媒用チューブ16aの周囲を流れる第3流体としての空気(送風ファン17から送風された外気)とを熱交換させるとともに、冷却水用チューブ43aを流通する冷却水と冷却水用チューブ43aの周囲を流れる空気(送風ファン17から送風された外気)とを熱交換させる熱交換部である。
【0103】
上流側熱交換部71の外気流れ下流側には、冷媒用チューブ16aを積層配置して構成された下流側熱交換部72が設けられている。下流側熱交換部72は、冷媒用チューブ16aを流通する冷媒と冷媒用チューブ16aの周囲を流れる空気(送風ファン17から送風された外気)とを熱交換させる熱交換部である。
【0104】
冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aとしては、長手方向垂直断面の形状が扁平形状の扁平チューブが採用されている。より具体的には、冷媒用チューブ16aとしては、押出加工により成形された偏平多穴形状の断面形状を有するチューブが採用されている。また、冷却水用チューブ43aとしては、1枚の板材を折り曲げることによって形成された扁平二穴形状の断面形状を有するチューブが採用されている。
【0105】
上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aは、その外表面のうち平坦面同士が互いに平行に、かつ、対向するように所定の間隔を開けて交互に積層配置されている。同様に、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aについても、所定の間隔を開けて積層配置されている。
【0106】
上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aは、冷却水用チューブ43aの間に配置され、冷却水用チューブ43aは、冷媒用チューブ16aの間に配置されている。また、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aと、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aまたは冷却水用チューブ43aとは、送風ファン17によって送風された外気の流れ方向から見たときに、互いに重合配置されている。
【0107】
ここで、上流側熱交換部71においては、冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとが1本ずつ交互に配置されているので、冷媒用チューブ16aの合計本数と冷却水用チューブ43aの合計本数とが同じになっている。このため、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合(以下、上流側本数割合という)は0.5である。
【0108】
一方、下流側熱交換部72は、冷媒用チューブ16aのみで構成されている。このため、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合(以下、下流側本数割合という)は1である。
【0109】
したがって、本実施形態の複合型の熱交換器70では、上流側本数割合が下流側本数割合より小さくなっている。
【0110】
熱交換器70において、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとの間に形成される空間、および下流側熱交換部72を構成する隣り合う冷媒用チューブ16a間に形成される空間は、送風ファン17によって送風された外気が流通する外気通路70a(第3流体用通路)を形成している。
【0111】
そして、この外気通路70aには、冷媒と外気との熱交換および冷却水と外気との熱交換を促進するとともに、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを流通する冷媒と冷却水用チューブ43aを流通する冷却水との間の熱移動、および下流側熱交換部72を構成する隣り合う冷媒用チューブ16aを流通する冷媒同士の熱移動を可能とするアウターフィン50が配置されている。
【0112】
このアウターフィン50としては、伝熱性に優れる金属の薄板を波状に曲げ成形したコルゲートフィンが採用されており、本実施形態では、このアウターフィン50が、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの双方に接合されていることによって、冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとの間の熱移動を可能としている。さらには、アウターフィン50が、下流側熱交換部72を構成する隣り合う冷媒用チューブ16a同士に接合されていることによって、隣り合う冷媒用チューブ16a間の熱移動を可能としている。
【0113】
次に、上流側タンク部73および下流側タンク部74について説明する。積層型の熱交換部70は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの積層方向に延びる上流側タンク部73と、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aの積層方向に延びる下流側タンク部74を備えている。
【0114】
上流側タンク部73には、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aを流通する冷却水の集合あるいは分配を行う上流側冷却水空間731が形成されている。また、下流側タンク部74には、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aの集合あるいは分配を行う下流側冷媒空間741が形成されている。
【0115】
上流側タンク部73および下流側タンク部74は、一体に形成されている。以下、上流側タンク部73と下流側タンク部74が一体化されたものを、ヘッダタンク75という。
【0116】
ヘッダタンク75は、外気の流れ方向に2列に配置された冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの双方が固定されるヘッダプレート751、ヘッダプレート751に固定される中間プレート部材752、並びに、タンク形成部材753を有している。
【0117】
タンク形成部材753は、ヘッダプレート751および中間プレート部材752に固定されることによって、その内部に上述した上流側冷却水空間731および下流側冷媒空間741を形成するものである。具体的には、タンク形成部材753は、平板金属にプレス加工を施すことにより、その長手方向から見たときに、二山状(W字状)に形成されている。
【0118】
そして、タンク形成部材753の二山状の中央部753cが中間プレート部材752に接合されることによって、上流側冷却水空間731および下流側冷媒空間741が区画されている。
【0119】
中間プレート部材752には、図9および図10の断面図に示すように、ヘッダプレート751に固定されることによって、ヘッダプレート751との間に冷却水用チューブ43aに連通する複数の連通用空間76を形成する複数の凹み部752aが形成されている。
【0120】
凹み部752aにおける外気流れ下流側、すなわち下流側タンク部74の下流側冷媒空間741と対応する部位には、その表裏を貫通する第1貫通穴752bが形成されている。これにより、連通用空間76と下流側タンク部74の下流側冷媒空間741とが連通している。
【0121】
このため、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aから連通用空間76に流入した冷媒は、第1貫通穴752bから下流側冷媒空間741に流出する。したがって、この連通用空間76は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側タンク部74の下流側冷媒空間741とを連通させる連通路としての機能を果たす。
【0122】
連通用空間76は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aのうち、外気の流れ方向から見たときに、互いに重合配置された冷媒用チューブ16aの端部同士を結ぶ方向に延びている。より具体的には、連通用空間76は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aの端部において、外気の流れ方向に延びている。
【0123】
また、中間プレート部材752における、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aに対応する部位には、その表裏を貫通する第2貫通穴752cが設けられている。この第2貫通穴752cには、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aが貫通している。これにより、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aが、タンク形成部材753内に形成される上流側冷却水空間731に連通している。
【0124】
さらに、図5に示すように、上流側熱交換部71におけるヘッダタンク75側の端部では、冷却水用チューブ43aが冷媒用チューブ16aよりも、ヘッダタンク75側へ突出している。つまり、冷媒用チューブ16aのヘッダタンク75側の端部と冷却水用チューブ43aのヘッダタンク75側の端部は、不揃いに配置されている。
【0125】
一方、中間プレート部材752における、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aのうち連通用空間76と連通しない冷媒用チューブ16aに対応する部位には、その表裏を貫通する第3貫通穴752dが設けられている。この第3貫通穴752dには、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aのうち連通用空間76と連通しない冷媒用チューブ16aが貫通している。これにより、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aのうち連通用空間76と連通しない冷媒用チューブ16aが、タンク形成部材753内に形成される下流側冷媒空間741に連通している。
【0126】
さらに、図5に示すように、下流側熱交換部72におけるヘッダタンク75側の端部では、連通用空間76と連通しない冷媒用チューブ16aが、連通用空間76と連通する冷媒用チューブ16aよりも、ヘッダタンク75側へ突出している。つまり、隣り合う冷媒用チューブ16aの端部同士は、不揃いに配置されている。
【0127】
ところで、タンク形成部材753の中央部753cは、中間プレート部材752に形成された凹み部752aに適合する形状に形成されており、上流側冷却水空間731と下流側冷媒空間741は、ヘッダプレート751および中間プレート部材752の接合部位から内部の冷却水または冷媒が漏れないように区画されている。
【0128】
また、図4に示すように、冷却水用チューブ43aの長手方向一端側(図の紙面上側)に配置される上流側タンク部73の長手方向一端側(図の紙面左側)には、上流側冷却水空間731へ冷却水を流入させる冷却水流入配管434が接続されている。冷却水用チューブ43aの長手方向一端側に配置される上流側タンク部73の長手方向他端側(図の紙面右側)には、上流側冷却水空間731から冷却水を流出させる冷却水流出配管435が接続されている。冷却水用チューブ43aの長手方向他端側(図の紙面下側)に配置される上流側タンク部73の長手方向両端側は、閉塞部材によって閉塞されている。
【0129】
また、冷媒用チューブ16aの長手方向一端側(図の紙面上側)に配置される下流側タンク部74の長手方向一端側(図の紙面左側)には、下流側冷媒空間741から冷媒を流出させる冷媒流出配管165が接続されている。冷媒用チューブ16aの長手方向一端側に配置される下流側タンク部74の長手方向他端側(図の紙面右側)には、下流側冷媒空間741へ冷媒を流入させる冷媒流入配管164が接続されている。冷媒用チューブ16aの長手方向他端側(図の紙面下側)に配置される下流側タンク部74の長手方向両端側は、閉塞部材によって閉塞されている。
【0130】
また、図7および図8の模式的な断面図に示すように、冷却水用チューブ43aの長手方向一端側(図4の紙面上側)に配置される上流側タンク部73(以下、第1上流側タンク部730aという)には、上流側冷却水空間731を、第1上流側タンク部730aの長手方向に2つに仕切る上流側仕切部材732が配置されている。
【0131】
以下、上流側仕切部材732により仕切られた2つの上流側冷却水空間731のうち、冷却水流入配管434と連通する空間を第1上流側冷却水空間731aといい、冷却水流出配管435と連通する空間を第2上流側冷却水空間731bという。また、冷却水用チューブ43aの長手方向他端側(図4の紙面下側)に配置される上流側タンク部73を、第2上流側タンク部730bという。
【0132】
一方、冷媒用チューブ16aの長手方向一端側(図4の紙面上側)に配置される下流側タンク部74(以下、第1下流側タンク部740aという)には、下流側冷媒空間741を、第1下流側タンク部740aの長手方向に2つに仕切る下流側仕切部材742が配置されている。
【0133】
以下、下流側仕切部材742により仕切られた2つの下流側冷媒空間741のうち、冷媒流入配管164と連通する空間を第1下流側冷媒空間741aといい、冷媒流出配管165と連通する空間を第2下流側冷媒空間741bという。また、冷媒用チューブ16aの長手方向他端側(図4の紙面下側)に配置される下流側タンク部74を、第2下流側タンク部740bという。
【0134】
従って、本実施形態の熱交換器70では、図6の模式的な斜視図および図7の模式的な断面図に示すように、冷媒流入配管164を介して第1下流側タンク部740aの第1下流側冷媒空間741aへ流入した冷媒の一部が、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、当該冷媒用チューブ16a内を図の上側から下側に向かって流れる。また、第1下流側タンク部740aの第1下流側冷媒空間741aへ流入した冷媒の他の一部は、ヘッダプレート751と中間プレート部材752との間に形成された連通用空間76を介して、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、当該冷媒用チューブ16a内を図の上側から下側に向かって流れる。
【0135】
下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、第2下流側タンク部740bの下流側冷媒空間741にて集合する。また、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、ヘッダプレート751と中間プレート部材752との間に形成された連通用空間76を介して、第2下流側タンク部740bの下流側冷媒空間741にて集合する。
【0136】
第2下流側タンク部740bの下流側冷媒空間741にて集合した冷媒は、図の右側から左側に向かって流れる。その後、第2下流側タンク部740bの下流側冷媒空間741にて集合した冷媒の一部は、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、当該冷媒用チューブ16a内を図の下側から上側に向かって流れる。また、第2下流側タンク部740bの下流側冷媒空間741にて集合した冷媒の他の一部は、ヘッダプレート751と中間プレート部材752との間に形成された連通用空間76を介して、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、当該冷媒用チューブ16a内を図の下側から上側に向かって流れる。
【0137】
下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、第1下流側タンク部740aの第2下流側冷媒空間741bにて集合する。また、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、ヘッダプレート751と中間プレート部材752との間に形成された連通用空間76を介して、第1下流側タンク部740aの第2下流側冷媒空間741bにて集合する。
【0138】
第1下流側タンク部740aの第2下流側冷媒空間741bにて集合した冷媒は、図の右側から左側に向かって流れ、冷媒流出配管165から流出していく。
【0139】
一方、本実施形態の熱交換器70では、図6の模式的な斜視図および図8の模式的な断面図に示すように、冷却水流入配管434を介して第1上流側タンク部730aの第1上流側冷却水空間731aへ流入した冷却水が、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aへ流入し、当該冷却水用チューブ43a内を図の上側から下側に向かって流れる。
【0140】
上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aから流出した冷却水は、第2上流側タンク部730bの上流側冷却水空間731にて集合する。そして、 第2上流側タンク部730bの上流側冷却水空間731にて集合した冷却水は、図の左側から右側に向かって流れる。
【0141】
その後、第2上流側タンク部730bの上流側冷却水空間731にて集合した冷却水は、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aへ流入し、当該冷却水用チューブ43a内を図の下側から上側に向かって流れる。上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aから流出した冷却水は、第1上流側タンク部730aの第2上流側冷却水空間731bにて集合する。
【0142】
第1上流側タンク部730aの第2上流側冷却水空間731bにて集合した冷却水は、図の左側から右側に向かって流れ、冷却水流出配管435から流出していく。
【0143】
上述した熱交換器70では、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aの双方により室外熱交換部16が構成されており、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aによりラジエータ部43が構成されている。
【0144】
また、上述した熱交換器70の冷媒用チューブ16a、冷却水用チューブ43a、ヘッダタンク75の各構成部品およびアウターフィン50は、いずれも同一の金属材料(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成されている。そして、中間プレート部材752を挟み込んだ状態でヘッダプレート751とタンク形成部材753がかしめによって固定されている。
【0145】
さらに、かしめ固定された状態の熱交換器70全体を加熱炉内へ投入して加熱し、各構成部品表面に予めクラッドされたろう材を融解させ、さらに、再びろう材が凝固するまで冷却することで、各構成部品が一体にろう付けされる。これにより、室外熱交換部16とラジエータ部43とが一体化されている。
【0146】
なお、上記の説明から明らかなように、本実施形態の冷媒は、特許請求の範囲に記載された第1流体に対応し、冷却水は第2流体に対応し、空気(外気)は第3流体に対応し、冷媒用チューブ16aは第1チューブに対応し、冷却水用チューブ43aは第2チューブに対応している。また、連通用空間76が、特許請求の範囲に記載された連通路に対応している。
【0147】
次に、本実施形態の電気制御部について説明する。空調制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種空調制御機器11、15a、15b、17、41、42等の作動を制御する。
【0148】
また、空調制御装置の入力側には、車室内温度を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、室内蒸発器20の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ、圧縮機11吐出冷媒温度を検出する吐出冷媒温度センサ、室外熱交換部16出口側冷媒温度Teを検出する出口冷媒温度センサ51、走行用電動モータMGへ流入する冷却水温度Twを検出する冷却水温度検出手段としての冷却水温度センサ52等の種々の空調制御用のセンサ群が接続されている。
【0149】
なお、本実施形態では、冷却水温度センサ52によって、冷却水ポンプ41から圧送された冷却水温度Twを検出しているが、もちろん冷却水ポンプ41に吸入される冷却水温度Twを検出してもよい。
【0150】
さらに、空調制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチとしては、車両用空調装置の作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ、運転モードの選択スイッチ等が設けられている。
【0151】
なお、空調制御装置は、圧縮機11の電動モータ11b、開閉弁15a等を制御する制御手段が一体に構成され、これらの作動を制御するものであるが、本実施形態では、空調制御装置のうち、圧縮機11の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が冷媒吐出能力制御手段を構成し、冷媒流路切替手段を構成する各種機器15a、15bの作動を制御する構成が冷媒流路制御手段を構成し、冷却水の回路切替手段を構成する三方弁42の作動を制御する構成が冷却水回路制御手段を構成している。
【0152】
さらに、本実施形態の空調制御装置は、上述した空調制御用のセンサ群の検出信号に基づいて、室外熱交換部16に着霜が生じているか否かを判定する構成(着霜判定手段)を有している。具体的には、本実施形態の着霜判定手段では、車両の車速が予め定めた基準車速(本実施形態では、20km/h)以下であって、かつ、室外熱交換部16出口側冷媒温度Teが0℃以下のときに、室外熱交換部16に着霜が生じていると判定する。
【0153】
次に、上記構成における本実施形態の車両用空調装置1の作動を説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、車室内を暖房する暖房運転、車室内を冷房する冷房運転を実行することができるとともに、暖房運転時に、除霜運転を実行することができる。以下に各運転における作動を説明する。
【0154】
(a)暖房運転
暖房運転は、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって暖房運転モードが選択されると開始される。そして、暖房運転時に、着霜判定手段によって室外熱交換部16の着霜が生じていると判定された際には除霜運転が実行される。
【0155】
まず、通常の暖房運転時には、空調制御装置が、開閉弁15aを閉じるとともに、三方弁15bを室外熱交換部16の出口側とアキュムレータ18の入口側とを接続する冷媒流路に切り替え、さらに、冷却水ポンプ41を予め定めた所定流量の冷却水を圧送するように作動させるとともに、冷却水循環回路40の三方弁42を冷却水がラジエータ部43を迂回して流れる冷却水回路に切り替える。
【0156】
これにより、ヒートポンプサイクル10は、図1の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられ、冷却水循環回路40は、図1の破線矢印に示すように冷却水が流れる冷却水回路に切り替えられる。
【0157】
この冷媒流路および冷却水回路の構成で、空調制御装置が上述の空調制御用のセンサ群の検出信号および操作パネルの操作信号を読み込む。そして、検出信号および操作信号の値に基づいて車室内へ吹き出す空気の目標温度である目標吹出温度TAOを算出する。
【0158】
さらに、算出された目標吹出温度TAOおよびセンサ群の検出信号に基づいて、空調制御装置の出力側に接続された各種空調制御機器の作動状態を決定する。
【0159】
例えば、圧縮機11の冷媒吐出能力、すなわち圧縮機11の電動モータに出力される制御信号については、以下のように決定される。まず、目標吹出温度TAOに基づいて、予め空調制御装置に記憶された制御マップを参照して、室内蒸発器20の目標蒸発器吹出温度TEOを決定する。
【0160】
そして、この目標蒸発器吹出温度TEOと蒸発器温度センサによって検出された室内蒸発器20からの吹出空気温度との偏差に基づいて、フィードバック制御手法を用いて室内蒸発器20からの吹出空気温度が目標蒸発器吹出温度TEOに近づくように、圧縮機11の電動モータに出力される制御信号が決定される。
【0161】
また、エアミックスドア34のサーボモータへ出力される制御信号については、目標吹出温度TAO、室内蒸発器20からの吹出空気温度および吐出冷媒温度センサによって検出された圧縮機11吐出冷媒温度等を用いて、車室内へ吹き出される空気の温度が車室内温度設定スイッチによって設定された乗員の所望の温度となるように決定される。
【0162】
なお、通常の暖房運転時および除霜運転時には、送風機32から送風された車室内送風空気の全風量が、室内凝縮器12を通過するようにエアミックスドア34の開度を制御してもよい。
【0163】
そして、上記の如く決定された制御信号等を各種空調制御機器へ出力する。その後、操作パネルによって車両用空調装置の作動停止が要求されるまで、所定の制御周期毎に、上述の検出信号および操作信号の読み込み→目標吹出温度TAOの算出→各種空調制御機器の作動状態決定→制御電圧および制御信号の出力といった制御ルーチンが繰り返される。
【0164】
なお、このような制御ルーチンの繰り返しは、他の運転時にも基本的に同様に行われる。
【0165】
通常の暖房運転時のヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入する。室内凝縮器12へ流入した冷媒は、送風機32から送風されて室内蒸発器20を通過した車室内送風空気と熱交換して放熱する。これにより、車室内送風空気が加熱される。
【0166】
室内凝縮器12から流出した高圧冷媒は、開閉弁15aが閉じているので、暖房用固定絞り13へ流入して減圧膨張される。そして、暖房用固定絞り13にて減圧膨張された低圧冷媒は、室外熱交換部16へ流入する。室外熱交換部16へ流入した低圧冷媒は、送風ファン17によって送風された外気から吸熱して蒸発する。
【0167】
この際、冷却水循環回路40では、冷却水がラジエータ部43を迂回して流れる冷却水回路に切り替えられているので、冷却水が室外熱交換部16を流通する冷媒に放熱することや、冷却水が室外熱交換部16を流通する冷媒から吸熱することはない。つまり、冷却水が室外熱交換部16を流通する冷媒に対して熱的な影響を及ぼすことはない。
【0168】
室外熱交換部16から流出した冷媒は、三方弁15bが、室外熱交換部16の出口側とアキュムレータ18の入口側とを接続する冷媒流路に切り替えられているので、アキュムレータ18へ流入して気液分離される。そして、アキュムレータ18にて分離された気相冷媒が、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
【0169】
以上の如く、通常の暖房運転時には、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された冷媒の有する熱量によって車室内送風空気が加熱されて、車室内の暖房を行うことができる。
【0170】
(b)除霜運転
次に、除霜運転について説明する。ここで、本実施形態のヒートポンプサイクル10のように、室外熱交換部16にて冷媒と外気とを熱交換させて冷媒を蒸発させる冷凍サイクル装置では、室外熱交換部16における冷媒蒸発温度が着霜温度(具体的には、0℃)以下になってしまうと室外熱交換部16に着霜が生じるおそれがある。
【0171】
このような着霜が生じると、熱交換器70の外気通路70aが霜によって閉塞されてしまうので、室外熱交換部16の熱交換能力が著しく低下してしまう。そこで、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、暖房運転時に、着霜判定手段によって室外熱交換部16の着霜が生じていると判定された際に除霜運転を実行する。
【0172】
この除霜運転では、空調制御装置が圧縮機11の作動を停止させるとともに、送風ファン17の作動を停止させる。従って、除霜運転時には、通常の暖房運転時に対して、室外熱交換部16へ流入する冷媒流量が減少し、外気通路70aへ流入する外気の風量が減少することになる。
【0173】
さらに、空調制御装置が冷却水循環回路40の三方弁42を、図2の破線矢印に示すように、冷却水をラジエータ部43へ流入させる冷却水回路に切り替える。これにより、ヒートポンプサイクル10に冷媒は循環することはなく、冷却水循環回路40は、図2の破線矢印に示すように冷媒が流れる冷却水回路に切り替えられる。
【0174】
従って、ラジエータ部43の冷却水用チューブ43aを流通する冷却水の有する熱量がアウターフィン50を介して、室外熱交換部16に伝熱されて、室外熱交換部16の除霜がなされる。つまり、走行用電動モータMGの廃熱を有効に利用した除霜が実現される。
【0175】
(c)冷房運転
冷房運転は、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)された状態で、選択スイッチによって冷房運転モードが選択されると開始される。この冷房運転時には、空調制御装置が、開閉弁15aを開くとともに、三方弁15bを室外熱交換部16の出口側と冷房用固定絞り19の入口側とを接続する冷媒流路に切り替える。これにより、ヒートポンプサイクル10は、図3の実線矢印に示すように冷媒が流れる冷媒流路に切り替えられる。
【0176】
この際、冷却水循環回路40の三方弁42については、冷却水温度Twが基準温度以上になった際には、冷却水をラジエータ部43へ流入させる冷却水回路に切り替え、冷却水温度Twが予め定めた基準温度未満になった際には、冷却水がラジエータ部43を迂回して流れる冷却水回路に切り替えられる。なお、図3では、冷却水温度Twが基準温度以上になった際の冷却水の流れを破線矢印で示している。
【0177】
冷房運転時のヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が室内凝縮器12へ流入して、送風機32から送風されて室内蒸発器20を通過した車室内送風空気と熱交換して放熱する。室内凝縮器12から流出した高圧冷媒は、開閉弁15aが開いているので、固定絞り迂回用通路14を介して室外熱交換部16へ流入する。室外熱交換部16へ流入した低圧冷媒は、送風ファン17によって送風された外気にさらに放熱する。
【0178】
室外熱交換部16から流出した冷媒は、三方弁15bが、室外熱交換部16の出口側と冷房用固定絞り19の入口側とを接続する冷媒流路に切り替えられているので、冷房用固定絞り19にて減圧膨張される。冷房用固定絞り19から流出した冷媒は、室内蒸発器20へ流入して、送風機32によって送風された車室内送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、車室内送風空気が冷却される。
【0179】
室内蒸発器20から流出した冷媒は、アキュムレータ18へ流入して気液分離される。そして、アキュムレータ18にて分離された気相冷媒が、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。以上の如く、冷房運転時には、室内蒸発器20にて低圧冷媒が車室内送風空気から吸熱して蒸発することによって、車室内送風空気が冷却されて車室内の冷房を行うことができる。
【0180】
本実施形態の車両用空調装置1では、上記の如く、ヒートポンプサイクル10の冷媒流路および冷却水循環回路40の冷却水回路を切り替えることによって、種々の運転を実行することができる。さらに、本実施形態では、上述した特徴的な熱交換器70を採用しているので、冷媒、冷却水、外気の3種類の流体間の熱交換量を適切に調整することができる。
【0181】
より詳細には、本実施形態の熱交換器70では、上流側熱交換部71を構成するチューブの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合である上流側本数割合が、下流側熱交換部72を構成するチューブの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合である下流側本数割合より小さくなっている。
【0182】
具体的には、上流側熱交換部71を、冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとを交互に配置することにより構成している。これにより、除霜運転時に、アウターフィン50を介して冷却水の有する熱量を冷媒用チューブ16aに伝熱することができるので、走行用電動モータMGの廃熱を冷媒用チューブ16aの除霜のために、有効に利用することができる。
【0183】
一方、下流側熱交換部72を、冷媒用チューブ16aのみで構成している。このため、下流側熱交換部72においては、冷媒と外気との熱交換量を充分に確保することができる。したがって、熱交換器70全体として冷媒と外気との熱交換量を適切に確保することができる。
【0184】
このとき、上流側熱交換部71および下流側熱交換部72のうち、冷媒用チューブ16aに霜が付着しやすい上流側熱交換部71のみ、冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとを交互に配置することにより構成することで、冷媒用チューブ16aの除霜を効率よく行いつつ、熱交換器70全体として冷媒と外気との熱交換量を適切に確保することができる。
【0185】
さらに、本実施形態の熱交換器70では、室外熱交換部16の冷媒用チューブ16aとラジエータ部43の冷却水用チューブ43aとの間に形成される外気通路70aにアウターフィン50を配置している。そして、このアウターフィン50により、冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとの間の熱移動を可能としている。
【0186】
これにより、除霜運転時に、アウターフィン50を介して冷却水の有する熱量を冷媒用チューブ16aにより確実に伝熱することができるので、走行用電動モータMGの廃熱を冷媒用チューブ16aの除霜のために、より一層有効に利用することができる。
【0187】
さらに、本実施形態の熱交換器70では、連通用空間76を、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aのうち、外気の流れ方向から見たときに、互いに重合配置された冷媒用チューブ16aの端部同士を結ぶ方向、すなわち外気の流れ方向に延びるように形成しているので、熱交換器70の構成を大型化させてしまうことを抑制できる。
【0188】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図11に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態と比較して、ヘッダタンク75の形状が異なるものである。図11は、本第2実施形態に係る熱交換器70を示す斜視断面図である。
【0189】
図11に示すように、複合型の熱交換器70のヘッダタンク75は、冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの双方が固定されるヘッダプレート751、並びに、ヘッダプレート751に固定されることによって、その内部に後述する上流側冷媒空間733、上流側冷却水空間731および下流側冷媒空間741を形成するタンク形成部材753を有している。
【0190】
上流側タンク部73には、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを流通する冷媒の集合あるいは分配を行う上流側冷媒空間733と、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aを流通する冷却水の集合あるいは分配を行う上流側冷却水空間731が形成されている。また、下流側タンク部74には、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aを流通する冷媒の集合あるいは分配を行う下流側冷媒空間741が形成されている。
【0191】
上流側タンク部73の内部には、当該タンク内の空間を外気の流れ方向に2つに分割する分割部材734が設けられている。これにより、分割部材734の外気流れ上流側に上流側冷却水空間731が形成され、分割部材734の外気流れ下流側に上流側冷媒空間733が形成されている。
【0192】
また、上流側タンク部73の内部には、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを上流側冷媒空間733に連通させる第1連通穴735と、冷却水用チューブ43aを上流側冷却水空間731に連通させる第2連通穴736とが形成された中間部材737が設けられている。
【0193】
このため、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと、上流側冷媒空間733とが、第1連通穴735を介して連通している。また、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aと、上流側冷却水空間731とが、第2連通穴736を介して連通している。
【0194】
本実施形態では、中間部材737は、分割部材734と一体に形成されている。また、中間部材737は、ヘッダプレート751に固定されている。
【0195】
ヘッダタンク75には、上流側冷媒空間733と下流側冷媒空間741とを連通させる連通路としての機能を果たす連通用空間76が設けられている。本実施形態では、連通用空間76は、タンク形成部材753の中央部753cとヘッダプレート751との間に形成されている。
【0196】
これにより、本実施形態の熱交換器70においても、第1実施形態の図6と全く同様に、冷媒および冷却水を流すことができる。その他のヒートポンプサイクル10(車両用空調装置1)の構成および作動は第1実施形態と全く同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1を作動させても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0197】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図12に基づいて説明する。本第3実施形態は、上記第2実施形態と比較して、ヘッダタンク75の形状が異なるものである。図12は、本第3実施形態に係る熱交換器70を示す斜視断面図である。
【0198】
図12に示すように、本実施形態のヘッダタンク75のタンク形成部材753は、押出加工により成形されている。すなわち、タンク形成部材753の内部には、上流側冷却水空間731、上流側冷媒空間733、および下流側冷媒空間741が形成されている。また、タンク形成部材753とヘッダプレート751との間には、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aとを連通させる連通用空間76が形成されている。
【0199】
タンク形成部材753には、上流側冷媒空間733と連通用空間76とを連通させる第1連通穴753aが形成されている。このため、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと上流側冷媒空間733とが、連通用空間76および第1連通穴753aを介して連通している。
【0200】
タンク形成部材753には、上流側冷却水空間731と、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aとを連通させる第2連通穴753bが形成されている。このため、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aと上流側冷却水空間731とが、第2連通穴753bを介して連通している。
【0201】
タンク形成部材753には、下流側冷媒空間741と連通用空間76とを連通させる第3連通穴753dが形成されている。このため、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aと下流側冷媒空間741とが、連通用空間76および第3連通穴753dを介して連通している。
【0202】
上述したように、タンク形成部材753には、上流側冷媒空間733と連通用空間76とを連通させる第1連通穴753a、および、下流側冷媒空間741と連通用空間76とを連通させる第3連通穴753dが形成されている。したがって、上流側冷媒空間733と下流側冷媒空間741とが、連通用空間76を介して連通している。換言すると、連通用空間76は、上流側冷媒空間733と下流側冷媒空間741とを連通させる連通路としての機能を果たしている。
【0203】
これにより、本実施形態の熱交換器70においても、第1実施形態の図6と全く同様に、冷媒および冷却水を流すことができる。その他のヒートポンプサイクル10(車両用空調装置1)の構成および作動は第1実施形態と全く同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1を作動させても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0204】
さらに、本実施形態では、タンク形成部材753の内部に、上流側冷却水空間731、上流側冷媒空間733、および下流側冷媒空間741を形成するとともに、タンク形成部材753とヘッダプレート751との間に、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aとを連通させる連通用空間76を形成する構成を採用している。
【0205】
これにより、上流側冷却水空間731、上流側冷媒空間733、下流側冷媒空間741、および連通用空間76を形成するための中間プレート部材を廃止することができる。したがって、上流側タンク部73および下流側タンク部74を、低コストで容易に形成することができる。
【0206】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図13〜図15に基づいて説明する。本実施形態では、図13〜図15の全体構成図に示すように、第1実施形態に対して、ヒートポンプサイクル10および冷却水循環回路40の構成を変更した例を説明する。なお、図13〜図15では、ヒートポンプサイクル10における冷媒の流れを実線で示し、冷却水循環回路40における冷却水の流れを破線矢印で示している。
【0207】
具体的には、本実施形態の冷却水循環回路40は、作動時に発熱を伴う車載機器の一つであるエンジンEGの内部に形成された冷却水通路に、冷却媒体(熱媒体)としての冷却水を循環させて、エンジンEGを冷却する冷却水循環回路である。すなわち、本実施形態では、第1実施形態の走行用電動モータMGが廃止されており、代わりにエンジンEGを配置している。
【0208】
さらに、本実施形態では、第1実施形態の室内凝縮器12が廃止されており、室内空調ユニット30のケーシング31内に第1実施形態の複合型の熱交換器70を配置している。そして、この熱交換器70のうち、第1実施形態の室外熱交換部16を室内凝縮器12として機能させている。以下、熱交換器70のうち室内凝縮器12として機能する部位を室内凝縮部と表記する。
【0209】
また、熱交換器70のうち、第1実施形態のラジエータ部43を、冷媒の有する熱により冷却水を加熱する熱回収用熱交換部45として機能させている。これにより、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、冷媒の熱により冷却水を加熱してエンジンの暖機を行う暖機運転を実行することもできる。熱回収用熱交換部45は、冷却水循環回路40におけるバイパス通路44に配置されている。
【0210】
一方、室外熱交換部16については、内部を流通する冷媒と送風ファン17から送風された外気とを熱交換させる単一の熱交換器として構成されている。同様に、ラジエータ部43については、内部を流通する冷却水と送風ファン46から送風された外気とを熱交換させる単一の熱交換器として構成されている。
【0211】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。また、本実施形態では、除霜運転に代えて暖機運転が実行されるものの、その他の作動は、第1実施形態と同様である。
【0212】
以下、暖機運転について説明する。ここで、エンジンEGのオーバーヒートを抑制するためには、冷却水の温度は所定の上限温度以下に維持されるとともに、エンジンEGの内部に封入された潤滑用オイルの粘度増加によるフリクションロスを低減するためには、冷却水の温度は所定の下限温度以上に維持されることが望ましい。
【0213】
そこで、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、暖房運転時に、冷却水温度Twが予め定めた基準温度以下になった際に暖機運転が実行される。この暖機運転では、ヒートポンプサイクル10の三方弁15bについては、通常の暖房運転時と同様に作動させ、冷却水循環回路40の三方弁42については、冷却水を図14の破線矢印に示すようにラジエータ43を迂回させる、すなわち熱回収用熱交換部45へ流入させる冷却水回路に切り替える。
【0214】
従って、図14の実線矢印に示すように、圧縮機11から吐出された高圧高温冷媒は、通常の暖房運転時と同様に、室内凝縮部12に流入する。室内凝縮部12へ流入した高温高圧冷媒の有する熱量は、三方弁42が冷却水を熱回収用熱交換部45へ流入させる冷却水回路に切り替えているので、送風機32によって送風された送風空気に伝熱するとともに、アウターフィン50を介して冷却水に伝熱する。その他の作動は、通常の暖房運転時と同様である。
【0215】
以上の如く、暖機運転時には、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された冷媒の有する熱量によって車室内送風空気が加熱されて、車室内の暖房を行うことができる。さらに、室内凝縮器12にて圧縮機11から吐出された冷媒の有する熱量は、アウターフィン50を介して冷却水にも伝熱されるので、冷却水の温度が上昇する。したがって、冷媒の有する熱量を利用して、エンジンEGの暖機を実現できる。
【0216】
もちろん、本実施形態のヒートポンプサイクル10に、第2、第3実施形態に記載した熱交換器70を適用してもよい。
【0217】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図16、図17に基づいて説明する。本第5実施形態は、上記第1実施形態と比較して、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側タンク部74の下流側冷媒空間741とを連通させる連通路(連通用空間)を、上流側タンク部73および下流側タンク部74とは別体として構成した点が異なるものである。
【0218】
本第6実施形態の熱交換器70は、一対の板状部材同士を最中合わせ状に接合することによってチューブおよびこのチューブに連通するタンク部が形成されるプレート部材を、アウターフィン50を介在させながら、複数枚積層配置した、いわゆるドロンカップ型の熱交換器構造に構成されている。この種のドロンカップ型の熱交換器構造では、プレート部材を複数枚積層配置して、プレート部材のタンク部同士を互いに連通させることによって、上述の実施形態における上流側タンク部73および下流側タンク部74に対応する構成を形成することができる。
【0219】
具体的には、図16に示すような一対の第1板状部材81同士を最中合わせに接合することにより、外気の流れ方向から見たときに異なる種類のチューブ(冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43a)が互いに重合配置された部分が構成されている。また、図17に示すような一対の第2板状部材82同士を最中合わせに接合することにより、外気の流れ方向から見たときに同種類のチューブ(冷媒用チューブ16a)同士が互いに重合配置された部分が構成されている。
【0220】
図16に示すように、第1板状部材81には、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aを形成するための冷却水流路用溝811と、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aを形成するための冷媒流路用溝812とが形成されている。冷却水流路用溝811の内部には、内部を流通する冷却水と外気との熱交換を促進する冷却水側インナーフィン813が設けられている。冷媒流路用溝812の内部には、内部を流通する冷媒と外気との熱交換を促進する冷媒側インナーフィン814が設けられている。
【0221】
第1板状部材81における冷却水流路用溝811の長手方向両端部には、上流側タンク部73の上流側冷却水空間731を形成するための冷却水用貫通穴815が形成されている。第1板状部材81における冷媒流路用溝812の長手方向両端部には、下流側タンク部74の下流側冷媒空間741を形成するための冷媒用貫通穴816が形成されている。
【0222】
図17に示すように、第2板状部材82には、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを形成するための上流側冷媒流路用溝821と、下流側熱交換部72を形成する冷媒用チューブ16aを形成するための下流側冷媒流路用溝822とが形成されている。上流側冷媒流路用溝821の内部および下流側冷媒流路用溝822の内部には、それぞれ、内部を流通する冷媒と外気との熱交換を促進する冷媒側インナーフィン814が設けられている。また、第2板状部材82には、第1板状部材81と同様、冷却水用貫通穴815および冷媒用貫通穴816が形成されている。
【0223】
第2板状部材82には、上流側冷媒流路用溝821および下流側冷媒流路用溝822の長手方向一端部(紙面上方側端部)同士を接続する第1連通路用溝823と、上流側冷媒流路用溝821および下流側冷媒流路用溝822の長手方向他端部(紙面下方側端部)同士を接続する第2連通路用溝824が形成されている。第1連通路用溝823および第2連通路用溝824は、それぞれ、冷媒用貫通穴816に接続されている。
【0224】
このため、第2板状部材82同士を最中合わせに接合した際に、第1連通路用溝823同士により形成される空間、および第2連通路824同士により形成される空間は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側タンク部74の下流側冷媒空間741とを連通させる連通路としての機能を果たす。
【0225】
本実施形態では、一対の板状部材81、82同士を最中合わせ状に接合することによって冷媒用チューブ16a、冷却水用チューブ43a、上流側タンク部73および下流側タンク部74が形成される、いわゆるドロンカップ型の熱交換器構造を採用している。
【0226】
これにより、冷媒用チューブ16a、冷却水用チューブ43a、上流側タンク部73、下流側タンク部74および連通用空間76を、他の部材を用いることなく板状部材81、82によって形成することができる。したがって、熱交換器70を、低コストで容易に形成することができる。
【0227】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図18、図19に基づいて説明する。本第6実施形態は、上記第1実施形態と比較して、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側タンク部74の下流側冷媒空間741とを連通させる連通路(連通用空間)を、上流側タンク部73および下流側タンク部74とは別体として構成するとともに、当該連通路をタンク部73、74よりもチューブ16a、24aに近い側に配置した点が異なるものである。
【0228】
本実施形態では、冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aとして、その板面に凹凸部が設けられた一対の板状部材同士を最中合わせ状に接合することによって形成された、いわゆるプレートチューブを採用している。この板状部材83は、伝熱性に優れる金属(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成されている。
【0229】
具体的には、図18に示すような一対の第1板状部材83同士を最中合わせに接合することにより、外気の流れ方向から見たときに異なる種類のチューブ(冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43a)が互いに重合配置された部分が構成されている。また、図19に示すような一対の第2板状部材84同士を最中合わせに接合することにより、外気の流れ方向から見たときに同種類のチューブ(冷媒用チューブ16a)同士が互いに重合配置された部分が構成されている。
【0230】
図18に示すように、第1板状部材83には、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aを形成するための冷却水流路用溝831と、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aを形成するための冷媒流路用溝832とが形成されている。
【0231】
冷却水流路用溝831の長手方向両端部は開口しており、上流側タンク部73の上流側冷却水空間731と連通するように構成されている。また、冷媒流路用溝832の長手方向両端部は開口しており、下流側タンク部74の下流側冷媒空間741と連通するように構成されている。
【0232】
図19に示すように、第2板状部材84には、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを形成するための上流側冷媒流路用溝841と、下流側熱交換部72を形成する冷媒用チューブ16aを形成するための下流側冷媒流路用溝842とが形成されている。
【0233】
上流側冷媒流路用溝841の長手方向両端部は開口しておらず、上流側タンク部73の上流側冷却水空間731と連通しないように構成されている。一方、下流側冷媒流路用溝842の長手方向両端部は開口しており、下流側タンク部74の下流側冷媒空間741と連通するように構成されている。
【0234】
上流側冷媒流路用溝841および下流側冷媒流路用溝842の長手方向両端部近傍には、上流側冷媒流路用溝841と下流側冷媒流路用溝842とを接続する連通路用溝845が形成されている。このため、第2板状部材82同士を最中合わせに接合した際に、連通路用溝845同士により形成される空間は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側タンク部74の下流側冷媒空間741とを連通させる連通路としての機能を果たす。
【0235】
本実施形態では、一対の板状部材83、84同士を最中合わせ状に接合することによって冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aが形成される構造を採用している。これにより、冷媒用チューブ16a、冷却水用チューブ43aおよび連通用空間76を、他の部材を用いることなく板状部材83、84によって形成することができる。したがって、熱交換器70を、低コストで容易に形成することができる。
【0236】
また、本実施形態では、連通用空間76をタンク部73、74とは別体として構成し、連通用空間76をチューブ16a、43a部分に設けている。これにより、連通用空間76をタンク部73、74の内部に構成した場合と比較して、熱交換器70全体として冷媒が流通する流路の長さを短くすることができる。これにより、冷媒の圧力損失を低減し、熱交換器70の性能向上を図ることができる。
【0237】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について図20に基づいて説明する。本第7実施形態は、上記第2実施形態と比較して、熱交換器70内の冷却水流れおよび冷媒流れが異なるものである。
【0238】
図20に示すように、第2上流側タンク部730bには、上流側冷却水空間731および上流側冷媒空間733を、第2上流側タンク部730bの長手方向に2つに仕切る上流側仕切部材732aが配置されている。
【0239】
以下、上流側仕切部材732aにより仕切られた2つの上流側冷却水空間731のうち、第2上流側タンク部730bの長手方向一端側(紙面右側)に配置されるものを第1上流側冷却水空間といい、第2上流側タンク部730bの長手方向他端側(紙面左側)に配置されるものを第2上流側冷却水空間という。
【0240】
また、上流側仕切部材732aにより仕切られた2つの上流側冷媒空間733のうち、第2上流側タンク部730bの長手方向一端側(紙面右側)に配置されるものを第1上流側冷媒空間といい、第2上流側タンク部730bの長手方向他端側(紙面左側)に配置されるものを第2上流側冷媒空間という。
【0241】
また、下流側仕切り部材742aにより仕切られた2つの下流側冷媒空間741のうち、第2下流側タンク部740bの長手方向一端側(紙面右側)に配置されるものを第1下流側冷媒空間といい、第2下流側タンク部740bの長手方向他端側(紙面左側)に配置されるものを第2下流側冷媒空間という。
【0242】
第1上流側冷却水空間は冷却水流入配管434と連通しており、第2上流側冷却水空間は冷却水流出配管435と連通している。第1上流側冷媒空間は、冷媒流入配管164と連通している。第2下流側冷媒空間は、冷媒流出配管165と連通している。
【0243】
冷却水流入配管434、冷却水流出配管435、冷媒流入配管164および冷媒流出配管165は、第2上流側タンク部730bの外気流れ上流側の面に接続されている。
【0244】
したがって、本実施形態の熱交換器70では、図20の模式的な斜視図に示すように、冷媒流入配管164を介して第2上流側タンク部730bの第1上流側冷媒空間へ流入した冷媒の全流量が、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ分岐することなく、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16a内を図の下側から上側に向かって流れる。
【0245】
上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、第1上流側タンク部730aの上流側冷媒空間733にて集合した後、図の右側から左側に向かって流れる。その後、第1上流側タンク部730aの上流側冷媒空間733にて集合した冷媒は、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、当該冷媒用チューブ16a内を図の上側から下側に向かって流れる。
【0246】
その後、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、第2上流側タンク部730bの第2上流側冷媒空間にて集合した後、連通用空間76を介して、第2下流側タンク部740bの第1下流側冷媒空間に流入する。
【0247】
第2下流側タンク部740bの第1下流側冷媒空間に流入した冷媒は、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16a内を図の下側から上側に向かって流れる。下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、第1下流側タンク部740aの下流側冷媒空間741にて集合した後、図の左側から右側に向かって流れる。
【0248】
その後、第1下流側タンク部740aの下流側冷媒空間741にて集合した冷媒は、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、当該冷媒用チューブ16a内を図の上側から下側に向かって流れる。そして、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aから流出した冷媒は、第2下流側タンク部740bの第2下流側冷媒空間にて集合し、冷媒流出配管165から流出していく。
【0249】
一方、本実施形態の熱交換器70では、図20の模式的な斜視図に示すように、冷却水流入配管434を介して第2上流側タンク部730bの第1上流側冷却水空間へ流入した冷却水が、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aへ流入し、当該冷却水用チューブ43a内を図の下側から上側に向かって流れる。
【0250】
上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aから流出した冷却水は、第1上流側タンク部730aの上流側冷却水空間731にて集合する。そして、第1上流側タンク部730aの上流側冷却水空間731にて集合した冷却水は、図の右側から左側に向かって流れる。
【0251】
その後、第1上流側タンク部730aの上流側冷却水空間731にて集合した冷却水は、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aへ流入し、当該冷却水用チューブ43a内を図の上側から下側に向かって流れる。上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aから流出した冷却水は、第2上流側タンク部730bの第2上流側冷却水空間にて集合し、冷却水流出配管435から流出していく。
【0252】
本実施形態では、冷媒流入配管164から流入した冷媒が下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ分岐することなく、冷媒流入配管164から流入した冷媒の全流量が上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを通過する構成を採用している。これにより、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aに冷媒が必ず流れる構成にすることができるので、上流側熱交換部71において、冷媒と外気とを確実に熱交換させることが可能となる。
【0253】
ところで、冷媒流入配管164から流入した冷媒が、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aとに分岐する構成の熱交換器70の場合、冷却水用チューブ43aを流れる冷却水の熱量の影響を受けて、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aと下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aとに分配される冷媒流量が決まる。
【0254】
このため、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを流れる冷媒と外気との熱交換量が小さくなると、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16a内で液化が行われにくくなり、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16a内の冷媒の圧力損失が大きくなる。これにより、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aにばかり冷媒が流れるという状態が発生するおそれがある。
【0255】
これに対し、本実施形態の熱交換器70のように、冷媒流入配管164から流入した冷媒が下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ分岐することなく、冷媒流入配管164から流入した冷媒の全流量が上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aを通過する構成とすることで、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aにばかり冷媒が流れるという状態が発生することを抑制できる。
【0256】
さらに、本実施形態では、冷媒流入配管164を介して熱交換器70の外部から流入した直後の冷媒が冷媒用チューブ16aを流れる方向と、冷却水流入配管434外部から流入した直後の冷却水が冷却水用チューブ43aを流れる方向とを同じ方向にしているので、熱交換器70の性能向上を図ることができる。
【0257】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態について図21に基づいて説明する。本第8実施形態は、上記第7実施形態と比較して、熱交換器70内の冷媒流れが異なるものである。
【0258】
図21に示すように、第1上流側タンク部730aには、上流側冷媒空間733を、第1上流側タンク部730aの長手方向に2つに仕切る第1上流側仕切部材732bが配置されている。
【0259】
第2上流側タンク部730bには、上流側冷媒空間733を、第2上流側タンク部730bの長手方向に3つに仕切るための第2上流側仕切部材732cが2つ配置されている。2つの第2上流側仕切部材732cは、互いに離間して配置されている。また、第2上流側タンク部730bには、上流側冷却水空間731を、第2上流側タンク部730bの長手方向に2つに仕切る第3上流側仕切部材732dが配置されている。
【0260】
第1下流側タンク部740aには、下流側冷媒空間741を、第1下流側タンク部740aの長手方向に2つに仕切る第1下流側仕切部材742bが配置されている。
【0261】
第2下流側タンク部740bには、下流側冷媒空間741を、第2下流側タンク部740bの長手方向に3つに仕切るための第2下流側仕切部材742cが2つ配置されている。2つの第2下流側仕切部材742cは、互いに離間して配置されている。
【0262】
以下、第3上流側仕切部材732dにより仕切られた3つの上流側冷却水空間731のうち、第2上流側タンク部730bの長手方向一端側(紙面左側)に配置されるものを第1上流側冷却水空間といい、第2上流側タンク部730bの長手方向他端側(紙面左側)に配置されるものを第2上流側冷却水空間という。
【0263】
また、第2上流側仕切部材732cにより仕切られた3つの上流側冷媒空間733を、第2上流側タンク部730bの長手方向一端側(紙面左側)から順に、第1上流側冷媒空間、第2上流側冷媒空間、第3上流側冷媒空間という。
【0264】
また、第2下流側仕切部材742cにより仕切られた3つの下流側冷媒空間741を、第2下流側タンク部740bの長手方向一端側(紙面左側)から順に、第1下流側冷媒空間、第2下流側冷媒空間、第3下流側冷媒空間という。
【0265】
第1上流側冷却水空間は冷却水流入配管434と連通しており、第2上流側冷却水空間は冷却水流出配管435と連通している。第1上流側冷媒空間は、冷媒流入配管164と連通している。第3上流側冷媒空間は、冷媒流出配管165と連通している。
【0266】
したがって、本実施形態の熱交換器70では、図21の模式的な斜視図に示すように、冷媒流入配管164を介して第2上流側タンク部730bの第1上流側冷媒空間へ流入した冷媒の一部が、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、上流側熱交換部71内を略M字状に流れて、第2上流側タンク部730bの第3上流側冷媒空間にて集合する。
【0267】
一方、冷媒流入配管164を介して第2上流側タンク部730bの第1上流側冷媒空間へ流入した冷媒の他の一部は、連通用空間76を介して、第2下流側タンク部740bの第1下流側冷媒空間へ流入する。第2下流側タンク部740bの第1下流側冷媒空間へ流入した冷媒は、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aへ流入し、下流側熱交換部72内を略M字状に流れて、第2下流側タンク部740bの第3下流側冷媒空間にて集合する。第2下流側タンク部740bの第3下流側冷媒空間にて集合した冷媒は、連通用空間76を介して、第2上流側タンク部730bの第3上流側冷媒空間へ流入する。
【0268】
そして、第2下流側タンク部740bの第3下流側冷媒空間にて集合した冷媒は、冷媒流出配管165から流出していく。
【0269】
ところで、上流側熱交換部71と下流側熱交換部72との間で熱交換量が異なることで、上流側熱交換部71を流れる冷媒が液リッチな状態となり、下流側熱交換部72を流れる冷媒がガスリッチな状態となる場合がある。このとき、液リッチな冷媒とガスリッチな冷媒とが熱交換部71、72の途中で再合流すると、再合流した部位で両者が均等に混合されないまま再度熱交換部71、72に流入し、熱交換器70の性能が低下してしまう可能性がある。
【0270】
これに対し、本実施形態では、冷媒流入配管164を介して第2上流側タンク部730bの第1上流側冷媒空間へ流入した冷媒は、上流側熱交換部71側の冷媒流れと下流側熱交換部72側の冷媒流れとに2つに分岐する。そして、分岐した2つの冷媒流れは、熱交換部71、72において合流することなく、第2下流側タンク部740bの第3下流側冷媒空間にて合流し、冷媒流出配管165から流出していく構成を採用している。
【0271】
このため、冷媒流れ最上流部にて上流側熱交換部71側と下流側熱交換部72側とに分岐された冷媒流れが、熱交換部71、72の途中で再合流しない構成にすることができる。これにより、冷媒流れ最上流部にて上流側熱交換部71側と下流側熱交換部72側とに分岐された冷媒流れが熱交換部71、72の途中で再合流することで熱交換器70の性能が低下することを防止できる。
【0272】
さらに、本実施形態では、冷媒流出配管165から熱交換器70の外部へ流出する直前の冷媒が冷媒用チューブ16aを流れる方向と、冷却水流出配管435から熱交換器70の外部へ流出する直前の冷却水が冷却水用チューブ43aを流れる方向とを同じ方向にしているので、熱交換器70の性能向上を図ることができる。
【0273】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態について図22に基づいて説明する。本第8実施形態は、上記第1実施形態と比較して、アウターフィンにルーバを形成した点が異なるものである。なお、図22では、図示の明確化のために、冷媒用チューブ16aを点ハッチングで示し、冷却水用チューブ43aを網掛けハッチングで示している。
【0274】
図22に示すように、アウターフィン50の表面には、外気の流れ方向に沿って複数の鎧窓状のルーバ500が切り起こし形成されている。アウターフィン50のうち、上流側熱交換部71を構成する2つの隣り合う冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43a間に配置される部分に形成されるルーバ500(以下、上流側ルーバ501という)の形状と、下流側熱交換部72を構成する2つの隣り合う冷媒用チューブ16a同士の間に配置される部分に形成されるルーバ500(以下、下流側ルーバ502という)の形状とが異なっている。
【0275】
ここで、「ルーバ500の形状が異なっている」とは、上流側ルーバ501と下流側ルーバ502とで、ルーバ500の切り起こし角度や長さ、ルーバピッチ等の諸元が異なっていることをいう。具体的に、本実施形態では、上流側ルーバ501の長さを下流側ルーバ502の長さより短くするとともに、上流側ルーバ501の枚数を下流側ルーバの枚数より少なくしている。
【0276】
本実施形態では、上流側ルーバ501と下流側ルーバ502との形状が異なっているアウターフィン50を採用しているので、熱交換器70全体として、冷媒、冷却水、外気の3種類の流体間の熱交換量を容易に調整することが可能となる。
【0277】
ところで、上流側熱交換部71は、1枚のアウターフィン50に冷媒用チューブ16a、冷却水用チューブ43aの2種類のチューブが接続されている。このため、冷媒用チューブ16aを流れる冷媒と冷却水用チューブ43aを流れる冷却水との温度差により、アウターフィン50に熱歪みが生じて、アウターフィン50が切断されるおそれがある。
【0278】
これに対し、本実施形態の熱交換器70では、上流側ルーバ501の長さを下流側ルーバ502の長さより短くするとともに、上流側ルーバ501の枚数を下流側ルーバの枚数より少なくしているので、アウターフィン50のうち、上流側熱交換部71を構成する2つの隣り合う冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43a間に配置される部分の剛性を高くすることができる。これにより、アウターフィン50が切断されることを抑制できる。
【0279】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態について図23〜図25に基づいて説明する。本第10実施形態では、上記第1実施形態の中間プレート部材752を、複数枚のプレート部材の積層構造としている。
【0280】
図23および図24に示すように、上流側タンク部73には、冷媒用チューブ16aを流通する冷媒の集合あるいは分配を行う上流側冷媒空間738が形成されている。また、下流側タンク部74には、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aを流通する冷却水の集合あるいは分配を行う下流側冷却水空間748が形成されている。
【0281】
中間プレート部材752は、第1連通空間形成用プレート部材851および第2連通空間形成用プレート部材852の2枚のプレート部材が積層されることによって形成されている。
【0282】
図23の断面では、第1連通空間形成用プレート部材851には、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aの両方に連通する貫通孔851aが形成されている。
【0283】
図25に示すように、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851aにおける、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aに対応する部位は、チューブ積層方向に延びており、当該下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aに隣り合う他の冷媒用チューブ16aと連通するように形成されている。つまり、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851aは、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16a、およびチューブ積層方向に隣り合う2本の下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aの合計3本の冷媒用チューブ16aに連通している。
【0284】
また、図23の断面では、第2連通空間形成用部材852のうち上流側冷媒空間738に対応する部位には、その表裏を貫通する貫通孔852aが形成されている。
【0285】
これにより、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aは、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851aおよび第2連通空間形成用プレート部材852の貫通孔852aを介して、上流側冷媒空間738と連通している。すなわち、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851aおよび第2連通空間形成用プレート部材852の貫通孔852aは、冷媒用チューブ16aと上流側冷媒空間738とを連通させる冷媒連通用空間761(本発明の第1の連通路に相当)を形成している。
【0286】
図24の断面では、第1連通空間形成用プレート部材851には、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aに連通する貫通孔851cが形成されている。また、第2連通空間形成用部材852には、その表裏を貫通するとともに、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851cおよび下流側冷却水空間748の両方に連通する貫通孔852cが形成されている。
【0287】
これにより、上流側熱交換部71を構成する冷却水用チューブ43aは、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851cおよび第2連通空間形成用プレート部材852の貫通孔852cを介して、下流側冷却水空間748と連通している。すなわち、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851cおよび第2連通空間形成用プレート部材852の貫通孔852cは、冷却水用チューブ43aと下流側冷却水空間748とを連通させる冷却水連通用空間762(本発明の第2の連通路に相当)を形成している。
【0288】
本実施形態によると、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851a、851cおよび第2連通空間形成用プレート部材852の貫通孔852a、852cは単純な孔加工によって形成することができるので、上述の第1実施形態のように中間プレート部材752に凹み部752aを形成する場合と比較して製造が容易である。
【0289】
さらに、本実施形態では、第1連通空間形成用プレート部材851の貫通孔851aを、外気の流れ方向から見たときに互いに重合配置された冷媒用チューブ16aのうち下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aに対してチューブ積層方向に隣り合う他の冷媒用チューブ(以下、隣接冷媒用チューブ16aともいう)16aと連通するように形成している。これによれば、タンク部73、74の内部空間を介して隣接冷媒用チューブ16aに冷媒を流通させる場合と比較して、冷媒の圧力損失が低くなる。このため、結果として、外気の流れ方向から見たときに互いに重合配置された冷媒用チューブ16aのうち下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aを流れる冷媒の流量と、隣接冷媒用チューブ16aを流れる冷媒の流量とをより近づけることができる。
【0290】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
【0291】
(1)上述の実施形態では、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合である上流側本数割合を、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの下流側本数割合より小さくした例について説明したが、これに限らず、上流側本数割合を下流側本数割合より大きくしてもよい。
【0292】
(2)上述の実施形態では、上流側熱交換部71において、冷媒用チューブ16aと冷却水用チューブ43aとを一本ずつ交互に配置した例について説明したが、冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの配置はこれに限定されない。
【0293】
例えば、上流側熱交換部71において、冷却水用チューブ43aを、冷媒用チューブ16a二本おきに配置してもよい。すなわち、上流側熱交換部71において、隣り合う冷却水用チューブ43aの間に、二本の冷媒用チューブ16aを配置してもよい。
【0294】
これによれば、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aおよび冷却水用チューブ43aの総チューブ本数に対する冷媒用チューブ16aの本数割合である上流側本数割合を増やすことができる。したがって、上流側熱交換部71において、冷媒と外気との熱交換量をより確実に確保することができる。
【0295】
(3)上述の第1実施形態では、第1流体としてヒートポンプサイクル10の冷媒を採用し、第2流体として冷却水循環回路40の冷却水を採用し、さらに、第3流体として送風ファン17によって送風された外気を採用した例を説明したが、第1〜第3流体はこれに限定されない。例えば、第3実施形態のように、第3流体として車室内送風空気を採用してもよい。また、第3流体は、冷却水であってもよい。
【0296】
例えば、第1流体は、ヒートポンプサイクル10の高圧側冷媒であってもよいし、低圧側冷媒であってもよい。
【0297】
例えば、第2流体は、エンジン、走行用電動モータMGに電力を供給するインバータ等の電気機器等を冷却する冷却水を採用してもよい。また、第2流体として、冷却用のオイルを採用し、第2熱交換部をオイルクーラとして機能させてもよいし、第2流体として、蓄熱剤、蓄冷剤等を採用してもよい。
【0298】
さらに、本発明の熱交換器70が適用されたヒートポンプサイクル10を据置型空調装置、冷温保存庫、自動販売機用冷却加熱装置等に適用する場合は、第2流体として、ヒートポンプサイクル10の圧縮機の駆動減としてのエンジン、電動モータおよびその他の電気機器等を冷却する冷却水を採用してもよい。
【0299】
さらに、上述の実施形態では、ヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)に本発明の熱交換器70を適用した例を説明したが、本発明の熱交換器70の適用はこれに限定されない。すなわち、3種類の流体間で熱交換を行う装置等に幅広く適用可能である。
【0300】
例えば、車両用冷却システムに適用される熱交換器として適用することができる。そして、第1流体は、作動時に発熱を伴う第1車載機器の有する熱量を吸熱した熱媒体とし、第2流体は、作動時に発熱を伴う第2車載機器の有する熱量を吸熱した熱媒体とし、第3流体は、室外空気としてもよい。
【0301】
より具体的には、ハイブリッド車両に適用する場合には、第1車載機器をエンジンEGとし、第1流体をエンジンEGの冷却水とし、第2車載機器を走行用電動モータとし、第2流体を走行用電動モータの冷却水としてもよい。
【0302】
これらの車載機器の発熱量は、車両の走行状態(走行負荷)に応じてそれぞれ変化するので、エンジンEGの冷却水の温度および走行用電動モータの冷却水の温度も車両の走行状態によって変化する。従って、この例によれば、発熱量の大きい車載機器にて生じた熱量を、空気のみならず、発熱量の小さい車載機器側へ放熱させることが可能となる。
【0303】
また、第1車載機器または第2車載機器として、排気還流装置(EGR)、過給器、パワーステアリング装置、バッテリ等を採用してもよい。また、熱交換部を、EGRクーラ、インタークーラ、パワーステアリングオイル冷却用のオイルクーラ等として機能させてもよい。
【0304】
(4)上述の実施形態では、冷却水循環回路40の冷却媒体回路を切り替える回路切替手段として、電気式の三方弁42を採用した例を説明したが、回路切替手段はこれに限定されない。例えば、サーモスタット弁を採用してもよい。サーモスタット弁は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却媒体通路を開閉する機械的機構で構成される冷却媒体温度応動弁である。従って、サーモスタット弁を採用することで、冷却水温度センサ52を廃止することもできる。
【0305】
(5)上述の実施形態では、冷媒として通常のフロン系冷媒を採用した例を説明したが、冷媒の種類はこれに限定されない。二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を採用してもよい。さらに、ヒートポンプサイクル10が、圧縮機11吐出冷媒が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。
【0306】
(6)上述の第7実施形態では、冷媒流入配管164を介して熱交換器70の外部から流入した直後の冷媒が冷媒用チューブ16aを流れる方向と、冷却水流入配管434外部から流入した直後の冷却水が冷却水用チューブ43aを流れる方向とを、同じ方向とした例について説明したが、冷媒の流れおよび冷却水の流れはこれに限定されない。
【0307】
例えば、図26に示すように、冷却水流入配管434および冷却水流出配管435を第1上流側タンク部730aに接続し、冷却水が上流側熱交換部71内を略U字状に流れるように構成してもよい。
【0308】
具体的には、第1上流側タンク部730aには、上流側冷却水空間731を、第1上流側タンク部730aの長手方向に2つに仕切る第1上流側仕切部材732eが配置されている。第2上流側タンク部730bには、上流側冷媒空間733を、第2上流側タンク部730bの長手方向に2つに仕切る第2上流側仕切部材732fが配置されている。
【0309】
第1上流側仕切部材732eにより2つに仕切られた上流側冷却水空間731の一方は、冷却水流入配管434と連通している。第1上流側仕切部材732eにより2つに仕切られた上流側冷却水空間731の他方は、冷却水流出配管435と連通している。
【0310】
(7)上述の第7実施形態では、冷媒流入配管164から流入した冷媒の全流量を上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aに流入させた後、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aに流入させた例について説明したが、冷媒の流れはこれに限定されない。
【0311】
例えば、図27に示すように、冷媒流入配管164から流入した冷媒の全流量を、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aのうち、上流側タンク部73の長手方向の一側(紙面右側)領域に配置される冷媒用チューブ16aに流入させた後、下流側熱交換部72を構成する冷媒用チューブ16aに流入させ、その後、上流側熱交換部71を構成する冷媒用チューブ16aのうち、上流側タンク部73の長手方向の他側(紙面左側)領域に配置される冷媒用チューブ16aに流入させるように構成してもよい。
【0312】
具体的には、第2上流側タンク部730bには、上流側冷却水空間731および上流側冷媒空間733を、第2上流側タンク部730bの長手方向に2つに仕切る第1上流側仕切部材732aが配置されている。第1上流側タンク部730aには、上流側冷媒空間733を、第1上流側タンク部730aの長手方向に2つに仕切る第2上流側仕切部材732gが配置されている。第1下流側タンク部740aには、下流側冷媒空間741を、第1下流側タンク部740aの長手方向に2つに仕切る下流側仕切部材742gが配置されている。
【0313】
第1上流側仕切部材732aにより2つに仕切られた上流側冷媒空間733の一方は、冷媒流入配管164と連通している。第1上流側仕切部材732aにより2つに仕切られた上流側冷媒空間733の他方は、冷媒流出配管165と連通している。
【0314】
この図27に示す熱交換器70によれば、冷媒流入配管164を介して熱交換器70の外部から流入した直後の冷媒が冷媒用チューブ16aを流れる方向と、冷却水流入配管434外部から流入した直後の冷却水が冷却水用チューブ43aを流れる方向とを同じ方向とすることができるので、熱交換器70の性能向上を図ることができる。
【0315】
また別の例として、図27に示す熱交換器70に対して、冷却水流れを変更したものを図28に示す。
【0316】
図28に示す熱交換器70は、冷却水流入配管434および冷却水流出配管435を第1上流側タンク部730aに接続し、冷却水が上流側熱交換部71内を略U字状に流れるように構成されている。
【0317】
具体的には、第1上流側タンク部730aには、上流側冷却水空間731および上流側冷媒空間733を、第1上流側タンク部730aの長手方向に2つに仕切る第1上流側仕切部材732hが配置されている。第2上流側タンク部730bには、上流側冷媒空間733を、第2上流側タンク部730bの長手方向に2つに仕切る第2上流側仕切部材732iが配置されている。
【0318】
第1上流側仕切部材732hにより2つに仕切られた上流側冷却水空間731の一方は、冷却水流入配管434と連通している。第1上流側仕切部材732hにより2つに仕切られた上流側冷却水空間731の他方は、冷却水流出配管435と連通している。
【0319】
(8)上述の第8実施形態では、冷媒流出配管165から熱交換器70の外部へ流出する直前の冷媒が冷媒用チューブ16aを流れる方向と、冷却水流出配管435から熱交換器70の外部へ流出する直前の冷却水が冷却水用チューブ43aを流れる方向とを同じ方向にした例について説明したが、冷媒の流れおよび冷却水の流れはこれに限定されない。
【0320】
例えば、図29に示すように、冷却水流入配管434および冷却水流出配管435を第1上流側タンク部730aに接続し、冷却水が上流側熱交換部71内を略U字状に流れるように構成してもよい。
【0321】
具体的には、第1上流側タンク部730aには、上流側冷却水空間731および上流側冷媒空間733を、第1上流側タンク部730aの長手方向に2つに仕切る第1上流側仕切部材732jが配置されている。第1上流側仕切部材732jにより2つに仕切られた上流側冷却水空間731の一方は、冷却水流入配管434と連通している。第1上流側仕切部材732eにより2つに仕切られた上流側冷却水空間731の他方は、冷却水流出配管435と連通している。
【0322】
(9)上述の第10実施形態では、ヘッダプレート751、タンク形成部材753、第1連通空間形成用プレート部材851および第2連通空間形成用プレート部材852を別体として構成した例について説明したが、これに限らず、これらの部材751、753、851、852は一体に成形されていてもよい。
【0323】
(10)
【符号の説明】
【0324】
16a 冷媒用チューブ(第1チューブ)
43a 冷却水用チューブ(第2チューブ)
50 アウターフィン
70a 外気通路(第3流体用通路)
71 上流側熱交換部
72 下流側熱交換部
73 上流側タンク部
731 上流側冷却水空間(上流側第2流体空間)
733 上流側冷媒空間(上流側第1流体空間)
74 下流側タンク部
741 下流側冷媒空間(下流側第1流体空間)
76 連通用空間(連通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に第1流体が流通する第1チューブ(16a)と、
内部に第2流体が流通する第2チューブ(43a)と、
前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)のうち少なくとも一方のチューブ(16a)を積層配置して構成されて、前記第1流体および前記第2流体のうち少なくとも一方と第3流体とを熱交換させる熱交換部(71、72)とを備え、
前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の隣り合うチューブ(16a、43a)間に形成される空間は、前記第3流体が流通する第3流体用通路(70a)を形成しており、
前記熱交換部(71、72)として、前記第3流体の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部(71)、および、前記第3流体の流れ方向における前記上流側熱交換部(71)の下流側に配置される下流側熱交換部(72)が設けられ、
前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の積層配置の順序と、前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の積層配置の順序とが異なっていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
内部に第1流体が流通する第1チューブ(16a)と、
内部に第2流体が流通する第2チューブ(43a)と、
前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)のうち少なくとも一方のチューブ(16a)を積層配置して構成されて、前記第1流体および前記第2流体のうち少なくとも一方と第3流体とを熱交換させる熱交換部(71、72)とを備え、
前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の隣り合うチューブ(16a、43a)間に形成される空間は、前記第3流体が流通する第3流体用通路(70a)を形成しており、
前記熱交換部(71、72)として、前記第3流体の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部(71)、および、前記第3流体の流れ方向における前記上流側熱交換部(71)の下流側に配置される下流側熱交換部(72)が設けられ、
前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)と、前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)のうち、前記第3流体の流れ方向から見たときに同種類のチューブ同士が互いに重合配置された部分と、前記第3流体の流れ方向から見たときに異なる種類のチューブが互いに重合配置された部分とが存在することを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
内部に第1流体が流通する第1チューブ(16a)と、
内部に第2流体が流通する第2チューブ(43a)と、
前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)のうち少なくとも一方のチューブ(16a)を積層配置して構成されて、前記第1流体および前記第2流体のうち少なくとも一方と第3流体とを熱交換させる熱交換部(71、72)とを備え、
前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の隣り合うチューブ(16a、43a)間に形成される空間は、前記第3流体が流通する第3流体用通路(70a)を形成しており、
前記熱交換部(71、72)として、前記第3流体の流れ方向の上流側に配置される上流側熱交換部(71)、および、前記第3流体の流れ方向における前記上流側熱交換部(71)の下流側に配置される下流側熱交換部(72)が設けられ、
前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する前記第1チューブ(16a)の本数割合と、前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する前記第1チューブ(16a)の本数割合とが異なっていることを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する前記第2チューブ(43a)の本数割合が、前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の総チューブ本数に対する前記第2チューブ(43a)の本数割合よりも多いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記上流側熱交換部(71)は、前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の双方により構成されており、
前記下流側熱交換部(72)は、前記第1チューブ(16a)により構成されていることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第3流体用通路(70a)には、前記第1流体と前記第3流体との熱交換および前記第2流体と前記第3流体との熱交換を促進するとともに、前記第1チューブ(16a)を流通する前記第1流体と前記第2チューブ(43a)を流通する前記第2流体との間の熱移動を可能とするアウターフィン(50)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記上流側熱交換部(71)は、前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の双方によって構成され、
前記下流側熱交換部(72)は、前記第1チューブ(16a)によって構成され、
さらに、前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の積層方向に延びて、前記第2チューブ(43a)を流通する前記第2流体の集合あるいは分配を行う上流側第2流体空間(731)が形成された上流側タンク部(73)と、
前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)の積層方向に延びて、前記第1チューブ(16a)を流通する前記第1流体の集合あるいは分配を行う下流側第1流体空間(741)が形成された下流側タンク部(74)と、
前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)と前記下流側第1流体空間(741)とを連通させる連通路(76)とを備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項8】
前記上流側熱交換部(71)は、前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の双方によって構成され、
前記下流側熱交換部(72)は、前記第1チューブ(16a)によって構成され、
さらに、前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の積層方向に延びて、前記第1チューブ(16a)を流通する前記第1流体の集合あるいは分配を行う上流側第1流体空間(738)が形成された上流側タンク部(73)と、
前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)の積層方向に延びて、前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第2チューブ(43a)を流通する前記第2流体の集合あるいは分配を行う下流側第2流体空間(748)が形成された下流側タンク部(74)と、
前記下流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)と前記上流側第1流体空間(738)とを連通させる第1の連通路(761)と、
前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第2チューブ(43a)と前記下流側第2流体空間(748)とを連通させる第2の連通路(762)とを備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項9】
前記上流側熱交換部(71)は、前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の双方によって構成され、
前記下流側熱交換部(72)は、前記第1チューブ(16a)によって構成され、
さらに、前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の積層方向に延びて、前記第1チューブ(16a)を流通する前記第1流体の集合あるいは分配を行う上流側第1流体空間(733)および前記第2チューブ(43a)を流通する前記第2流体の集合あるいは分配を行う上流側第2流体空間(731)が形成された上流側タンク部(73)と、
前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)の積層方向に延びて、前記第1チューブ(16a)を流通する前記第1流体の集合あるいは分配を行う下流側第1流体空間(741)が形成された下流側タンク部(74)と、
前記上流側第1流体空間(733)と前記下流側第1流体空間(741)とを連通させる連通路(76)とを備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項10】
前記連通路(76、761、762)は、前記上流側タンク部(73)および前記下流側タンク部(74)と一体に構成されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項11】
前記連通路(76、761、762)は、前記上流側タンク部(73)および前記下流側タンク部(74)と別体として構成されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項12】
前記連通路(76、761、762)は、前記上流側タンク部(73)および前記下流側タンク部(74)と別体として構成されているとともに、前記上流側タンク部(73)および前記下流側タンク部(74)よりも前記熱交換部(71、72)に近い側に配置されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項13】
前記連通路(76)は、前記上流側熱交換部(71)を構成する前記第1チューブ(16a)および前記下流側熱交換部(72)を構成する前記第1チューブ(16a)のうち、前記第3流体の流れ方向から見たときに、互いに重合配置された前記第1チューブ(16a)の端部同士を結ぶ方向に延びていることを特徴とする請求項7ないし12のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項14】
前記連通路(76、761)は、前記第3流体の流れ方向から見たときに互いに重合配置された前記第1チューブ(16a)に対して前記第1チューブ(16a)の積層方向に隣り合う他の前記第1チューブ(16a)と連通するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の熱交換器。
【請求項15】
前記第3流体の流れ方向から見たときに互いに重合配置された前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)において、前記第1チューブ(16a)を流れる前記第1流体の流れ方向と前記第2チューブ(43a)を流れる前記第2流体の流れ方向とが同一となる部分と、前記第1チューブ(16a)を流れる前記第1流体の流れ方向と前記第2チューブ(43a)を流れる前記第2流体の流れ方向とが逆方向となる部分とが存在することを特徴とする請求項7ないし14のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項16】
前記上流側熱交換部(71)は、前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の双方により構成されており、
前記下流側熱交換部(72)は、前記第1チューブ(16a)により構成されており、
外部から流入した前記第1流体が前記下流側熱交換部(72)側へ分岐することなく、外部から流入した前記第1流体の全流量が前記上流側熱交換部(71)を通過するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項17】
前記上流側熱交換部(71)は、前記第1チューブ(16a)および前記第2チューブ(43a)の双方により構成されており、
前記下流側熱交換部(72)は、前記第1チューブ(16a)により構成されており、
外部から流入した前記第1流体が、前記第1チューブ(16a)に流入する前に、前記上流側熱交換部(71)側と前記下流側熱交換部(72)側とに分岐するように構成されており、
前記第1チューブ(16a)に流入する前に前記上流側熱交換部(71)側に分岐した前記第1流体が、前記下流側熱交換部(72)側へ分岐することなく、前記上流側熱交換部(71)側に分岐した前記第1流体の全流量が前記上流側熱交換部(71)を通過するように構成されており、
前記第1チューブ(16a)に流入する前に前記下流側熱交換部(72)側に分岐した前記第1流体が前記上流側熱交換部(71)へ分岐することなく、前記下流側熱交換部(72)側に分岐した前記第1流体の全流量が前記下流側熱交換部(72)を通過するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項18】
外部から流入した直後の前記第1流体が前記第1チューブ(16a)を流れる方向と、外部から流入した直後の前記第2流体が前記第2チューブ(43a)を流れる方向とが同じ方向であることを特徴とする請求項16または17に記載の熱交換器。
【請求項19】
外部へ流出する直前の前記第1流体が前記第1チューブ(16a)を流れる方向と、外部へ流出する直前の前記第2流体が前記第2チューブ(43a)を流れる方向とが同じ方向であることを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項20】
前記第3流体用通路(70a)には、前記第1流体と前記第3流体との熱交換および前記第2流体と前記第3流体との熱交換を促進するとともに、前記第1チューブ(16a)を流通する前記第1流体と前記第2チューブ(43a)を流通する前記第2流体との間の熱移動を可能とするアウターフィン(50)が配置されており、
前記アウターフィン(50)には、前記アウターフィン(50)の表面の一部を切り起こすことにより形成されたルーバ(500)が設けられており、
前記アウターフィン(50)のうち、前記上流側熱交換部(71)を構成する2つの隣り合う前記チューブ(16a、43a)間に配置される部分に形成される前記ルーバ(500)の形状と、前記下流側熱交換部(72)を構成する2つの隣り合う前記チューブ(16a、43a)間に配置される部分に形成される前記ルーバ(500)の形状とが異なっていることを特徴とする請求項1ないし19のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項21】
蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて冷媒を蒸発させる蒸発器として用いられる熱交換器であって、
前記第1流体は、前記冷凍サイクルの冷媒であり、
前記第2流体は、外部熱源の有する熱量を吸熱した熱媒体であり、
前記第3流体は、空気であることを特徴とする請求項1ないし20のいずれか1つに記載の熱交換器。
【請求項22】
蒸気圧縮式の冷凍サイクルにおいて圧縮機吐出冷媒を放熱させる放熱器として用いられる熱交換器であって、
前記第1流体は、前記冷凍サイクルの冷媒であり、
前記第2流体は、外部熱源の有する熱量を吸熱した熱媒体であり、
前記第3流体は、空気であることを特徴とする請求項1ないし20のいずれか1つに記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−225638(P2012−225638A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−62935(P2012−62935)
【出願日】平成24年3月20日(2012.3.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】