説明

熱伝導シート、その製造方法およびこれを用いた放熱装置

【課題】 高い熱伝導性と高い柔軟性を併せ持つ電気絶縁性の熱伝導シート、およびそのようなシートを生産性・コスト・エネルギー効率の点で有利に、かつ確実に得る製造方法を提供すること、さらに高い放熱能力を持ち、かつ回路近傍でショートが生じるリスクの少ない放熱装置を提供すること。
【解決手段】 (A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物を調製し、その組成物を使用して、シートの厚み方向に対し非球状粒子(A)がその長軸方向で配向しており、シートの表面に露出している非球状粒子(A)の面積が5%以上、60%以下であり、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下であることを特徴とする熱伝導シートを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導シート、その製造方法およびこれを用いた放熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多層配線板および半導体パッケージにおける配線密度や電子部品の搭載密度が高まり、また半導体素子の高集積化が進み、そのような発熱体の単位面積あたりの発熱量は大きくなってきている。そのため、発熱体からの熱放散効率を向上させる技術が望まれている。
【0003】
熱放散の一般的な方法として、半導体パッケージのような発熱体とアルミや銅からなる放熱体との間に熱伝導グリースまたは熱伝導シートを挟み密着させて、外部に熱を伝達する方法が採用されている。放熱装置を組み立てる際の作業性の観点では、熱伝導グリースよりも熱伝導シートの方が優れている。そのため、熱伝導シートに向けた様々な開発が検討されている。
【0004】
例えば、熱伝導性を向上させる目的で、マトリックス材料中に、熱伝導性の無機粒子を配合した様々な熱伝導性複合材料組成物およびその成形加工品が提案されている。熱伝導性の無機粒子として使用される物質は、カーボン、銀および銅等の電気伝導性を有する物質と、アルミナ、シリカ、窒化アルミおよび窒化ホウ素等の電気絶縁性の物質とに大別される。しかし、電気伝導性の物質は、それらを配線の近傍に使用すると回路をショートさせる可能性があるため、多くの場合、電気絶縁性の物質が使用される。
【0005】
そのような電気絶縁性で熱伝導性の無機粒子をマトリックス材料中に配合させた熱伝導性複合材料組成物から構成されるシートとして、例えば、特許文献1では、粒子厚みが1.4μm超で、かつ比表面積が2.6m/g未満の窒化ホウ素粉末をシリコーンゴムに配合した組成物からなる絶縁放熱シートを開示している。
【0006】
また、特許文献2では、窒化ホウ素粉末が充填された高分子組成物からなる熱伝導性シートであって、窒化ホウ素粉末が一定方向に磁場配向した熱伝導性シートを開示している。
【0007】
さらに、特許文献3では、熱可塑性の樹脂からなるバインダ樹脂と無機充填材の粒子との混練物から成形した複数枚の一次シートを積層し、その得られた積層体を積層面に対して垂直な方向にスライシングすることによって得られる熱伝導性シートを開示している。
【0008】
近年、熱伝導シートは様々な放熱装置に適用されており、高い熱伝導性だけでなく、熱伝導シートに凹凸の吸収および応力緩和等の性能を追加する必要性が生じてきている。例えば、ディスプレイパネルのような大面積の発熱体からの放熱に適用する場合、熱伝導シートに発熱体および放熱体の各表面の歪みや凹凸の吸収、熱膨張率の違いによって生じる熱応力を緩和する機能が要求されている。その他、ある程度の厚膜として構成した場合にも伝熱可能な高い熱伝導性、また発熱体および放熱体の各表面に密着可能な高い柔軟性も要求されている。しかし、従来の熱伝導シートでは、柔軟性と熱伝導性とを高いレベルで両立することは困難であるため、さらなる開発が必要とされている。
【0009】
例えば、特許文献1に開示された放熱伝導シートでは、熱伝導性の無機粒子をマトリックス材料中に配合する手段のみで熱伝導率を向上させている。そのため、そのような手段によって高い熱伝導率を達成するためには、熱伝導性の無機粒子の配合量を最密充填に近い量まで多くして、充分な熱伝導パスを形成しなければならない。しかし、無機粒子の配合量を高めるにつれ、熱伝導シートの柔軟性が失われ、その結果、凹凸の吸収、熱応力緩和の機能が損なわれてしまう傾向がある。
【0010】
これに対し、特許文献2に開示された熱伝導性シートでは、上述の手段に加えて、窒化ホウ素粉末を一定方向に磁場配向させる手段を採用しているため、より少ない熱伝導性の無機粒子の配合量で高い熱伝導性を達成できる可能性はある。しかし、高い熱伝導性を確実に達成するために、熱伝導性の無機粒子をシート表面に適度に露出させることについて充分な配慮がないため、より高いレベルで熱伝導性と柔軟性とを両立することは困難である。また、シート製造時の生産性、コスト、エネルギー効率などについても、改善の余地がある。
【0011】
また、特許文献3に開示された熱伝導性シートでは、上述の手段と比較して、熱伝導性の無機粒子が確実にシート表面に露出する点、およびシート製造時の生産性、コスト、エネルギー効率などの点でより優位にあるが、柔軟性および電気絶縁性に関する配慮が必ずしも充分ではない。特に、シート製造時に柔軟なシート積層体をスライスすることに向けた配慮に欠け、可塑剤を後から含浸する等の非効率な生産方法を採用しており、改善の余地がある。
【特許文献1】特許第3209839号公報
【特許文献2】特開2002−080617号公報
【特許文献3】特開2002−026202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述のように、熱伝導シートに向けて様々な検討がなされているが、高い熱伝導性だけでなく、シートに柔軟性および応力緩和などの特性を簡便かつ確実に追加するという観点では、いずれの方法も満足のいくものではない。本発明は、このような状況に鑑みて、高い熱伝導性を維持する一方で、柔軟性等の追加特性を有する電気絶縁性の熱伝導シートを提供することを目的とする。また、そのような熱伝導シートを簡便かつ確実に製造する方法、さらにそのような熱伝導シートを使用して、高い放熱能力を持ち、かつ近傍の回路をショートさせるリスクの少ない放熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の熱伝導シートは、(A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物からなる複数のシートを有し、シートの厚み方向に対し上記非球状粒子(A)がその長軸方向で配向しており、シートの表面に露出している上記非球状粒子(A)の面積が5%以上、60%以下であり、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下であることを特徴とする。
【0014】
ここで、上記有機高分子化合物(B)が、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系高分子化合物であることが好ましい。また、上記組成物が、さらに(C)りん酸エステル系難燃剤を組成物の5〜50体積%の範囲で含有することが好ましい。また、上記非球状粒子が、窒化ホウ素およびアルミナからなる群から選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましい。また、上記シートの厚みが、上記非球状粒子(A)の長径の20倍以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の熱伝導シートの製造方法は、シートの厚み方向に対し非球状粒子がその長軸方向で配向しており、シートの表面に露出している上記非球状粒子の面積が5%以上、60%以下であり、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下である熱伝導シートに向けたものであり、
(A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物を調製する工程と、
上記組成物を用いて複数のシートを形成する工程と、
上記複数のシートを互いに積層して多層構造を有する成形体を形成する工程と、
上記成形体をその主面から出る法線に対して0度〜30度の角度でスライスする工程と
を有することを特徴とする。
【0016】
ここで、上記シートを形成する工程が、圧延、プレス、押出および塗工からなる群から選択される少なくとも1つの成形方法を用いて実施され、上記複数のシートの厚さが上記非球状粒子(A)の長径の20倍以下であることが好ましい。
【0017】
また、上記シートを形成する工程が、少なくとも圧延またはプレスのいずれかの成形方法を用いて実施されることが好ましい。
【0018】
また、上記スライスする工程が、上記有機高分子化合物(B)のTg+30℃〜Tg−40℃の温度範囲で実施されることが好ましい。
【0019】
本発明の放熱装置は、発熱体と放熱体との間に上述の本発明の熱伝導シートを介在させた構造を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の熱伝導シートは、高い熱伝導性と高い柔軟性とを併せ持ち、かつ電気絶縁性であり、必要に応じて難燃性、耐水性等の性能を容易に追加することが可能であるため、それらを例えば電気・電子回路近傍の放熱用途に適用して、発熱部からの効率の良い放熱を実現することが可能となる。また、本発明の熱伝導シートの製造方法によれば、従来法と比較して、生産性、コスト、エネルギー効率、および確実性の点で有利に、高い熱伝導性と高い柔軟性とを併せ持った熱伝導シートを提供することが可能となる。さらに、本発明の放熱装置によれば、回路近傍でショートを起こす可能性が極めて低くなり、完全かつ効率の良い放熱を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の熱伝導シートは、(A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物から構成され、シートの厚み方向に対し非球状粒子(A)がその長軸方向で配向しており、シートの表面に露出している非球状粒子(A)の面積が5%以上、60%以下であり、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下であることを特徴とする。
【0022】
本発明において「シートの厚み方向に対して配向」とは、シート断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて任意の粒子50個について観察した際に、それら粒子の長軸方向のシート表面に対する角度(90度以上となる場合は補角を採用する)の平均値が60度〜90度の範囲となる状態を意味する。また、「シートの表面に露出している粒子の面積」とは、少なくとも3個以上の粒子を画面内で確認できる倍率でシート表面の写真を撮影し、見えている粒子の面積と表示画面の面積との比の平均値を総計30個以上となる枚数の写真から算出した値である。
【0023】
本発明では、非球状粒子(A)が上述のような配向を示さなければ、充分な熱伝導性を得ることができない。また、シート表面に露出している粒子の面積が5%以上にならなければ、充分な熱伝導性を得ることは困難である。但し、シート表面に露出している粒子の面積が60%を超えると、シートの柔軟性や密着性が損なわれる傾向がある。そのため、シート表面に露出している粒子の面積は、シート表面の面積の10%〜50%であることが好ましく、20%〜40%であることがさらに好ましい。
【0024】
また、本発明の熱伝導シートは、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下であることが好ましい。70℃におけるシートのアスカーC硬度が40を超えると、熱源となる半導体パッケージやディスプレイ等の発熱体にシートが充分に密着できなくなる傾向がある。その結果、放熱体への熱の伝達が上手くいかなくなるだけでなく、熱応力の緩和が不充分となる可能性が高い。なお、本発明において「70℃におけるシートのアスカーC硬度」とは、シートを厚み5mm以上になるように積層して得られる成形体を、ホットプレート上にのせ、表面温度計で測定される成形体の温度が70℃になるように加熱し、その際にアスカー硬度計C型で測定した値である。
【0025】
本発明の熱伝導シートを構成する組成物に使用可能な非球状粒子(A)は、10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有するものであり、例えば、鱗片状、板状、楕球状または棒状といった非球状の配向に有利な形状を有する。それら粒子は、シートの厚みに対して粒子の長軸方向で配向する。非球状粒子(A)の具体例としては、アルミナ(10〜1012Ω・m、21〜40W/mK)、酸化マグネシウム(1012〜1013Ω・m、60W/mK)、酸化ベリリウム(>1010Ω・m、130W/mK)、窒化アルミ(1011〜1012Ω・m、70〜200W/mK)、窒化ホウ素(1012〜1014Ω・m、40〜60W/mK)、窒化珪素(1012〜1014Ω・m、25〜155W/mK)等が挙げられる。特に限定するものではないが、本発明では、耐水性の高さ、および人体に対する有害性の低さの観点から、窒化ホウ素およびアルミナからなる群から選択される粒子の少なくとも1種を使用することが好ましい。非球状粒子の配合量は、特に限定されるものではないが、組成物の体積を基準として、30〜70体積%の範囲が好ましい。配合量が30体積%を下回ると、熱伝導性率が低くなる傾向があり、配合量が70体積%を超えると、アスカーC硬度が高くなる傾向があり、密着性が低下する可能性が高い。
【0026】
一方、有機高分子化合物(B)は、10Ω・m以上の体積抵抗率を有し、かつガラス転移温度(Tg)が50℃以下となる有機高分子化合物であれば、特に限定なく使用することが可能である。有機高分子化合物(B)の具体例としては、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等を主要な原料成分としたポリ(メタ)アクリル酸エステル系高分子化合物(いわゆるアクリルゴム、>1013Ω・m)、ポリジメチルシロキサン構造を主構造に有する高分子化合物(いわゆるシリコーン樹脂、1012〜1013Ω・m)、ポリイソプレン構造を主構造に有する高分子化合物(いわゆるイソプレンゴム、天然ゴム、1013〜1015Ω・m)、クロロプレンを主要な原料成分とした高分子化合物(ポリクロロプレン、いわゆるネオプレンゴム1010〜1011Ω・m)、ポリブタジエン構造を主構造に有する高分子化合物(いわゆるブタジエンゴム、>1010Ω・m)等、一般に「ゴム」と総称される柔軟な有機高分子化合物が挙げられる。これらの中では、特に、アクリル酸ブチル、又はアクリル酸2−エチルヘキシル等を主な原料成分としたポリ(メタ)アクリル酸エステル系高分子化合物が、高い柔軟性を得やすく、化学的安定性および加工性に優れ、さらに粘着性をコントロールしやすく、比較的廉価であるため好ましい。
【0027】
ポリ(メタ)アクリル酸エステル系高分子化合物としては、Tgが−30℃以下となるようなアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2エチルヘキシル等から選ばれるモノマーの共重合体(ホモポリマー)に、アクリル酸、アクリロニトリル、ヒドロキシエチルアクリレート等を共重合し、−COOH基、−CN基、−OH基等の極性基を導入した構造を有する共重合体が好ましい。特に限定するものではないが、本発明で好適に使用できる化合物として、例えば、ナガセケムテックス製のアクリル酸エステル共重合樹脂「HTR−280DR(商品名)」(アクリル酸ブチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体、Mw90万、Tg−30.9℃、体積抵抗率>1013Ω・m、15重量%トルエン溶液)、ナガセケムテックス製のアクリル酸エステル共重合樹脂「HTR−280DR(商品名)」(アクリル酸ブチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体、Mw90万、Tg−30.9℃、体積抵抗率>1013Ω・m、固形)が挙げられる。
【0028】
本発明の熱伝導シートを構成する組成物は、上述の非球状粒子(A)と有機高分子化合物(B)とを必須成分とするが、必要に応じて、各種添加剤を追加することも可能である。本発明の好ましい形態では、熱伝導シートの難燃性を向上させる目的で、上述の2成分(A)および(B)に加えて、りん酸エステル系難燃剤(C)を使用することが好ましい。リン酸エステル系難燃剤を含有する組成物から構成されるシートは、難燃性および柔軟性の観点だけでなく、生産性およびコスト面でも有利である。りん酸エステル系難燃剤(C)の含有量は、組成物の5〜50体積%の範囲とすることが好ましく、10〜40体積%の範囲とすることがより好ましい。りん酸エステル系難燃剤(C)の含有量が5体積%未満であると、熱伝導シートにおいて充分な難燃性を得ることが困難であり、50体積%を超えると、シートの強度が低下する傾向がある。
【0029】
その他、本発明の熱伝導シートを構成する組成物には、必要に応じて、ウレタンアクリレート等の靭性改良剤、シランカップリング剤、チタンカップリング剤および酸無水物等の接着力向上剤、ノニオン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤等の濡れ向上剤、シリコーン油等の消泡剤、ならびに無機イオン交換体等のイオントラップ剤といった各種添加剤を添加することも可能である。
【0030】
本発明の熱伝導シートの形状は、先に説明した所望の非球状粒子の配向および露出面積、さらにアスカーC硬度を達成できる範囲内で、熱伝導シートが適用される各種用途に応じた形状に成形することが可能である。特に限定するものではないが、本発明では、熱伝導シートを複数のシートからなる多層構造を有する成形体として形成することが好ましい。熱伝導シートを多層構造の成形体とすることによって、非球状粒子の配向に有利となり、また非球状粒子の密度が向上することによって熱伝導効率を向上させることが可能となる。なお、熱伝導性の観点から、成形体における各々のシートの厚さは、非球状粒子の平均長径の20倍以下とすることが好ましい。各シートの厚さが非球状粒子の平均長径の20倍を超えると、粒子の配向が不充分となり、最終的に得られる熱伝導シートの熱伝導性が低下する傾向がある。
【0031】
上述の組成物から構成されるシートは、その多くが粘着力を有する。そのため、本発明では熱伝導シートの使用に先立ち、粘着面を保護しておくことが好ましい。粘着面の保護は、例えば、上述の組成物を使用してシートを形成する際に、その粘着面に保護フィルムを設けることによって実施される。保護フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルナフタレート、メチルペンテンフィルム等の樹脂、コート紙、コート布、アルミ等の金属が挙げられる。これら保護フィルムは、2種以上のフィルムから構成される多層フィルムであってもよく、フィルムの表面がシリコーン系、シリカ系等の離型剤などで処理されたものが好ましく使用される。
【0032】
本発明の第2の態様は、先の第1の態様で説明した熱伝導シートの製造方法に関する。本発明の熱伝導シートの製造方法は、(A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物を調製する工程と、その組成物を用いて複数のシートを形成する工程と、その複数のシートを互いに積層して多層構造を有する成形体を形成する工程と、その成形体をその主面から出る法線に対して0度〜30度の角度でスライスする工程とを有することを特徴とする。
【0033】
熱伝導シートを構成する組成物の調製は、所定の非球状粒子(A)と所定の有機高分子化合物(B)とを均一に混合することが可能であれば、いかなる方法を用いて実施してもよい。特に限定されるものではないが、例えば、予め有機高分子化合物(B)を溶剤に溶かして溶液を形成し、その溶液に非形状粒子(A)および難燃剤などその他の添加剤を加え、それらを攪拌した後に乾燥する方法、またはロール混練、ニーダー、ブラベンダ、あるいは押出機を使用して各成分を混合する方法に従って組成物を調製することが可能である。
【0034】
シートを形成する工程には、慣用の成膜技術を適用することが可能であるが、圧延、プレス、押出および塗工からなる群から選択される少なくとも1つの成形方法を用いて実施することが好ましい。成形方法として、少なくとも圧延およびプレスのいずれかを選択することによって、非球状粒子をより確実に配向させることが可能となる。また、それらの方法を選択した場合、シート成形時に圧力が加わることによって、非球状粒子同士が接触しやすくなり、高い熱伝導性を実現し易くなる傾向がある。なお、成形される各シートの厚さは、熱伝導性の観点から、非球状粒子(A)の平均長径の20倍以下であることが好ましい。シートの厚みが、非球状粒子(A)の平均長径の20倍を超えると粒子の配向が不充分となり、最終的に得られる熱伝導シートの熱伝導性が悪くなる傾向がある。
【0035】
多層構造を有する成形体を形成する工程は、先の工程で得られた複数のシートを積層することによって実施することが可能である。積層の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、独立した複数のシートを順に重ね合わせる形態に限らず、一枚のシートをその端を切断せずに折り畳む形態であってもよい。
【0036】
また、積層の別の形態として、1枚のシートを捲回させて成形体を形成することも可能である。捲回の形態は成形体の形状が円筒形となるものに限らず、角筒形など他の形状となるものであってもよい。成形体の形状は、後の工程で、主面からでる法線に対し、0度〜30度の角度で成形体をスライスする際に不都合が生じなければ、いかなる形状であってもよい。例えば、各シートの形状を円形に成形し、それらを積層することによって円柱状の成形体を作製し、その後のスライスを「かつら剥き」のような方法で実施することも可能である。
【0037】
積層時の圧力や捲回時の引っ張り力は、後に実施されるスライス工程において、成形体のスライス面が潰れて非球状粒子の露出面積が所定の範囲を下回らない程度に弱く、かつ成形体における各シート同士が適度に接着する程度に強くなるように調整することが望ましい。通常、成形体を形成時の引っ張り力を調整することによって、各シート間の充分な接着を得ることが可能である。しかし、各シート間の接着力が不足する場合、溶剤または接着剤等をシート表面に薄く塗布した後に積層または捲回を実施してもよい。
【0038】
成形体をスライスする工程は、成形体をその主面から出る法線に対して0度〜30度の角度でスライスすることによって実施される。スライス時に使用可能な切断具は、特に限定されるものではないが、鋭利な刃を備えたスライサーおよびカンナ等を使用することが好ましい。鋭利な刃を備えた切断具を使用することによって、スライス後に得られるシートの表面近傍の粒子配向が乱れ難く、かつ厚みの薄いシートを容易に作製することが可能となる。スライス工程は、シートを構成する組成物のガラス転移温度(Tg)よりも30℃高い温度(Tg+30℃)〜Tgよりも40℃低い温度(Tg−40℃)の範囲で実施することが好ましい。スライス時の温度がTg+30℃より高いと、成形体が柔軟になってスライスが実施し難くなるだけでなく、シート内の粒子の配向が乱れる傾向がある。一方、スライス時の温度がTg−40℃よりも低くなると、成形体が固く脆くなり、スライスが実施し難くなるだけでなく、スライス直後にシートが割れ易くなる傾向がある。スライスを実施するより好ましい温度は、Tg+20℃〜Tg−20℃の温度範囲である。
【0039】
本発明の第3の態様は放熱装置に関する。本発明の放熱装置は、発熱体と放熱体との間に本発明の熱伝導シートを介在させた構造を有する。本発明の放熱装置に使用可能な発熱体としては、少なくともその表面温度が200℃を超えないものであり、本発明の熱伝導シートを好適に使用できる温度は−10℃〜120℃の範囲である。発熱体の表面が200℃を超える可能性が高い、例えば、ジェットエンジンのノズル近傍、窯陶釜内部周辺、溶鉱炉内部周辺、原子炉内部周辺、宇宙船外殻等における放熱装置への適用は、シート内の有機高分子化合物が分解してしまう可能性が高い。本発明の放熱装置に好適な発熱体としては、例えば、半導体パッケージ、ディスプレイ、LED、電灯等が挙げられる。
【0040】
一方、本発明の放熱装置に使用可能な放熱体は、特に限定されるものではなく、放熱装置に適用される代表的なものであってよい。例えば、アルミや銅製のフィンまたは板等を利用したヒートシンク、ヒートパイプに接続されているアルミや銅製のブロック、内部に冷却液体をポンプで循環させているアルミや銅製のブロック、ペルチェ素子およびこれを備えたアルミや銅製のブロック等が挙げられる。
【0041】
本発明の放熱装置は、上述の発熱体と放熱体との間に本発明の熱伝導シートを設置し、各々の面を接触させて固定することによって成立する。熱伝導シートの固定は、各接触面を十分に密着させた状態で固定できる方法であれば、特に限定されずに、如何なる方法を用いてもよい。但し、各接触面の十分な密着を持続させる観点から、押し付け力が持続するような方法が好ましい。例えば、ばねを用いてねじ止めする方法、クリップを用いて挟み込む方法が挙げられる。本発明の放熱装置によれば、高い放熱効率を達成することが可能であり、かつ近傍の回路をショートさせるリスクが少ない。
【実施例】
【0042】
以下、実施例により本発明を説明する。なお、各実施例において熱伝導性の指標とした熱伝導率は、以下の方法により求めた。
【0043】
(熱伝導率の測定)
測定する熱伝導フィルムを1cm×1.5cmの大きさにカッターで切断し、その切断片を一方の面がトランジスタ(2SC2233)、他方の面がアルミニウム放熱ブロックに接するように配置し、試験サンプルを作製した。次いで、トランジスタを押し付けながら、試験サンプルに電流を通じ、トランジスタの温度(T1、単位℃)および放熱ブロックの温度(T2、単位℃)を測定し、測定値および印可電力(W、単位W)から、下式に沿って、熱抵抗(X、単位℃/W)を測定した。
【数1】

【0044】
得られた熱抵抗(X)、切断片の膜厚(d、単位μm)、および熱伝導率の既知試料による補正係数Cから、下式に沿って、熱伝導率(Tc、単位W/mK)を見積もった。
【数2】

【0045】
(実施例1)
ナガセケムテックス製のアクリル酸エステル共重合樹脂「HTR−280DR(商品名)」(アクリル酸ブチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体、Mw90万、Tg−30.9℃、体積抵抗率>1013Ω・m、15重量%トルエン溶液)24gに、板状の窒化ホウ素粉末(水島合金鉄製「HP−1CAW(商品名)」、平均粒子径16μm、熱伝導率60W/mK、体積抵抗率1012Ω・m、熱伝導率および体積抵抗率は水島合金鉄(株)の情報による)17.2g、およびクレジル−ジ2,6−キシレニルホスフェート(大八化学製のりん酸エステル系難燃剤「PX−110(商品名)」)4.8gを加え、ステンレス匙で良くかき混ぜた。得られた混合物を、離型処理したPETフィルムにのせ、塗り延ばし、ドラフト中で室温(25℃)下、3時間にわたって風乾させた後、熱風乾燥機を用いて120℃で1時間にわたって乾燥させることによって組成物を調製した。
【0046】
原料の比重から計算される組成物の配合比は、(A)板状の窒化ホウ素粉末50体積%、(B)アクリル酸エステル共重合樹脂22.3体積%、および(C)りん酸エステル系難燃剤27.7体積%であった。
【0047】
先に調製した組成物1gを離型処理したPETフィルムで挟み込み、5cm×10cmのツール面を有するプレスを用いて、ツール圧10MPa、ツール温度170℃の条件下で、20秒間にわたってプレスすることにより、厚さが0.3mmのシートを得た。この操作を繰り返すことによって、多数枚のシートを作製した。
【0048】
得られた各シートを2cm×2cmの寸法にカッターで切り出し、その37枚を積層し、手で軽く押さえて各シートの層間を接着させることにより、厚さ1.1cmの成形体を得た。この成形体をドライアイスで冷却した後、−15℃の温度において、1.1cm×2cmの積層断面をカンナで削り、1.1cm×2cm×0.37mmの熱伝導シートを得た。
【0049】
得られた熱伝導シートをSEMで観察したところ、粒子の平均長径は25μm、粒子の長軸方向のシート表面に対する角度の平均値は85度であり、シートの厚み方向に対する配向が認められた。また、シート表面に露出している粒子の面積は50%であり、70℃におけるアスカーC硬度は36であった。なお、各測定の詳細については、本明細書の詳細な説明における記載を参照されたい。さらに、得られた熱伝導シートの熱伝導率を評価したところ、シートの密着性は良好であり、6.1W/mKと良好な値を示した。
【0050】
(実施例2)
ナガセケムテックス製のアクリル酸エステル共重合樹脂「HTR−280DR(商品名)」(アクリル酸ブチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体、Mw90万、Tg−30.9℃、体積抵抗率>1013Ω・m、固形)を0.9g、板状の窒化アルミ粉末(東洋アルミ製のトーヤルナイトFLX(商品名)、平均粒子径16μm、熱伝導率70−200W/mK、体積抵抗率1012Ω・m、熱伝導率は「13901の化学商品 化学工業日報社」および体積抵抗率は三井鉱山マテリアルHPの情報による)9.15g、およびクレジル−ジ2,6−キシレニルホスフェート(大八化学製のりん酸エステル系難燃剤「PX−110(商品名)」)1.2gをかき混ぜ混合した。これを、離型処理したPETフィルムに塗り延ばし、ドラフト中で室温下、3時間にわたって風乾した後、120℃の熱風乾燥機で1時間にわたって乾燥することによって組成物を調製した。
【0051】
原料の比重から計算される組成物の配合比は、(A)板状の窒化アルミ粉末60体積%、(B)アクリル酸エステル共重合樹脂17.8体積%、(C)りん酸エステル系難燃剤22.1体積%であった。
【0052】
先に調製した組成物1gを離型処理したPETフィルムで挟み込み、5cm×10cmのツール面を有するプレスを用いて、ツール圧10MPa、ツール温度170℃の条件下、20秒間にわたってプレスすることにより、厚さが0.3mmのシートを得た。この操作を繰り返すことによって、多数枚のシートを作製した。
【0053】
得られた各シートを2cm×2cmの寸法にカッターで切り出し、その37枚を積層し、手で軽く押さえて各シートの層間を接着させることにより、厚さ1.1cmの成形体を得た。この成形体をドライアイスで冷却した後、−10℃の温度において、1.1cm×2cmの積層断面をカンナで削り、1.1cm×2cm×0.30mmの熱伝導シートを得た。
【0054】
得られた熱伝導シートをSEMで観察したところ、粒子の平均長径は17μm、粒子の長軸方向のシート表面に対する角度の平均値は80度であり、シートの厚み方向に対する配向が認められた。また、シート表面に露出している粒子の面積は57%であり、70℃におけるアスカーC硬度は39であった。なお、各測定の詳細については、本明細書の詳細な説明における記載を参照されたい。さらに、得られた熱伝導シートの熱伝導率を評価したところ、シートの密着性は良好であり、3.0W/mKと良好な値を示した。
【0055】
(比較例1)
実施例1において2cm×2cmの寸法に切り出したシートそのものを評価した。シートをSEMで観察したところ、粒子の平均長径は25μm、粒子の長軸方向のシート表面に対する角度の平均値は2度であった。すなわち、粒子のシートの厚み方向に対する配向は認められず、粒子はシートの面方向に対して配向していた。また、シート表面に露出している粒子の面積は50%であり、70℃におけるアスカーC硬度は37であった。なお、各測定の詳細については、本明細書の詳細な説明における記載を参照されたい。さらに、シートの熱伝導率を評価したところ、シートの密着性は良好であるものの、0.9W/mKと低い値を示した。
【0056】
(比較例2)
アクリル酸エステル共重合樹脂「HTR−280DR(商品名)0.9gに代えてメタクリル酸メチルポリマー(和光純薬工業(株)製、Tg100℃)2.1gを使用したこと、および難燃剤となるクレジル−ジ2,6−キシレニルホスフェートを配合しなかったことを除き、全て実施例2と同様にして、1.1cm×2cm×0.56mmの熱伝導シートを作製した。シートを構成する組成物について、原料の比重から計算される配合比は、(A)板状の窒化アルミ粉末60体積%、およびメタクリル酸メチルポリマー(Tg100℃)40体積%であった。
【0057】
得られた熱伝導シートをSEMで観察したところ、粒子の平均長径の平均は17μm、粒子の長軸方向のシート表面に対する角度の平均値は82度であり、シートの厚み方向に対する配向が認められた。またシート表面に露出している粒子の面積は58%であり、70℃におけるアスカーC硬度は100以上であった。なお、各測定の詳細については、本明細書の詳細な説明における記載を参照されたい。さらに、得られたシートの熱伝導率を評価したところ、シートの密着性が悪く、測定値が0.1〜1.5W/mKの範囲で不安定となり、事実上、熱伝導性が良いとは言えないものと判断された。
【0058】
(比較例3)
板状の窒化アルミ粉末に代えて球状の窒化アルミ粉末(古河電子製の「Fan−f05」(商品名)、平均粒子径3−7μm、熱伝導率170W/mK、体積抵抗率1012Ω・m、記載した熱伝導率は古河電子(株)情報および体積抵抗率は三井鉱山マテリアルHPの情報による)を使用したことを除き、全て実施例2と同様にして、1.1cm×2cm×0.56mmの熱伝導シートを作製した。
【0059】
シートを構成する組成物について、原料の比重から計算される配合比は、(A)球状の窒化アルミ粉末60体積%、(B)アクリル酸エステル共重合樹脂17.8体積%、および(C)りん酸エステル系難燃剤22.1体積%であった。
【0060】
得られた熱伝導シートをSEMで観察したところ、粒子の平均長径は5μm、粒子の長軸方向のシート表面に対する角度は、粒子の長軸が明確でないため割り出しが困難となり、シートの厚み方向に対する配向は認められなかった。また、シート表面に露出している粒子の面積は55%であり、70℃におけるアスカーC硬度は39であった。なお、各測定の詳細については、本明細書の詳細な説明における記載を参照されたい。さらに、得られた熱伝導シートの熱伝導率を評価したところ、シートの密着性は良好であるものの、1.3W/mKと低い値を示した。
【0061】
(比較例4)
成形体のスライスをドライアイスによる冷却なしに実施したことを除き、全て実施例1と同様にして、熱伝導シートの作製を試みた。具体的には、成形体を30℃でスライスしたが、成形体がカンナに貼り付きスライドが困難であり、成形体が変形してしまい、シート化は困難であった。
【0062】
先に記載した各実施例および各比較例の要点を表1に示す。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物からなる複数のシートを有する熱伝導シートであって、
シートの厚み方向に対し前記非球状粒子(A)がその長軸方向で配向しており、シートの表面に露出している前記非球状粒子(A)の面積が5%以上、60%以下であり、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下であることを特徴とする熱伝導シート。
【請求項2】
前記有機高分子化合物(B)が、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系高分子化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導シート。
【請求項3】
さらに(C)りん酸エステル系難燃剤を組成物の5〜50体積%の範囲で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導シート。
【請求項4】
前記非球状粒子が、窒化ホウ素およびアルミナからなる群から選択される少なくとも1種の粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導シート。
【請求項5】
前記シートの厚みが、前記非球状粒子(A)の長径の20倍以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導シート。
【請求項6】
シートの厚み方向に対し非球状粒子がその長軸方向で配向しており、シートの表面に露出している前記非球状粒子の面積が5%以上、60%以下であり、70℃におけるシートのアスカーC硬度が40以下である熱伝導シートの製造方法であって、
(A)10Ω・m以上の体積抵抗率および20W/mK以上の熱伝導率を有する非球状粒子と、(B)10Ω・m以上の体積抵抗率および50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する有機高分子化合物とを含む組成物を調製する工程と、
前記組成物を用いて複数のシートを形成する工程と、
前記複数のシートを互いに積層して多層構造を有する成形体を形成する工程と、
前記成形体をその主面から出る法線に対して0度〜30度の角度でスライスする工程と
を有することを特徴とする熱伝導シートの製造方法。
【請求項7】
前記シートを形成する工程が、圧延、プレス、押出および塗工からなる群から選択される少なくとも1つの成形方法を用いて実施され、前記複数のシートの厚さが前記非球状粒子(A)の長径の20倍以下であることを特徴とする請求項6に記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項8】
前記シートを形成する工程が、少なくとも圧延またはプレスのいずれかの成形方法を用いて実施されることを特徴とする請求項7に記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項9】
前記スライスする工程が、前記有機高分子化合物(B)のTg+30℃〜Tg−40℃の温度範囲で実施されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の熱伝導シートの製造方法。
【請求項10】
発熱体と放熱体との間に請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導シートを介在させた構造を有することを特徴とする放熱装置。

【公開番号】特開2008−280496(P2008−280496A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176562(P2007−176562)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】