説明

熱処理システムを抵抗により加熱する装置および方法

アンドープト・セラミック材のマトリックス内に部分的または完全に埋め込まれたドープト・セラミック加熱素子を備えている抵抗ヒーター。セラミックは、炭化珪素でありうるし、かつドーパントは、窒素でありうる。本発明のヒーターの効果の多くは、加熱素子およびそれらの素子を取り囲んでいるマトリックス材を備えている材料が実質的に同じ熱膨張係数を有しているという事実から生じる。一実施形態では、ヒーターは、コンパクト、強力、強靭、および熱式質量が低く、それを電力入力変化に迅速に応答させる、モノリシック・プレートである。抵抗ヒーターは、エピタキシャル薄膜を成膜し、かつ高速熱処理を実行するもののような、集積回路を製作するために用いられる反応器および処理チャンバの多くで用いられうる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
1.(技術分野)
本発明の実施形態は、半導体基板を処理する装置および方法に関する。より特定的には、本発明の実施形態は、熱処理システムを抵抗により加熱する装置および方法に関する。
【0002】
2.(背景技術)
半導体基板における集積回路(IC)の製造は、適用範囲、特性、または目的において広く変化するが、高い温度で実行されるという事実を共通して有しうる多数の処理ステップを含みうる。加熱ステップを含みうるIC製造技術の例は、エピタキシー、誘電体および導電体被膜の両方の薄膜成膜、イオン注入、アニーリング、接合形成、等を含む。熱処理は、ランプ、誘導的に加熱するRF源のような、放射熱源、または基板保持体(サポート)に隣接するヒーター・ブロックまたはサセプターのような抵抗的に加熱された源を有している処理チャンバで実行されうる。
【0003】
熱処理チャンバは、抵抗的に加熱されうる。この種の熱処理装置(サーマル・プロセッサ)は、電源に接続された加熱素子を含みうる。電圧が加熱素子に印加されると、電流の流れに対する素子の抵抗が、電力の損失を結果としてもたらし、処理チャンバに熱流を供給する。
【0004】
処理チャンバを抵抗的に加熱する通常の方法は、炭化珪素(シリコン・カーバイド)の被膜で被覆されたグラファイト・コアを備えている加熱素子を使用する。炭化珪素は、グラファイトが不純物を含みうるのでグラファイト・コアを密封するために用いられる。金属性不純物でありうる、これらの不純物の存在は、処理されている半導体基板への路を見出しかつ装置性能を損なうことができるのでIC製造業者にとって望ましくない。炭化珪素コーティングは、グラファイト・コアを備えているヒーターを、その不純物および汚染物質と共に、反応チャンバに挿入させる、保護被膜を供給する。
【0005】
通常の加熱素子は、いろいろな問題をもたらす。1つの問題は、コアおよびコーティング材が異なる熱膨張係数を有しうるということであり、かつ炭化珪素のレートとは異なるレートで膨張するグラファイト・コアの結果として、ヒーターは、加熱素子が温度を変えるときに形状が曲げられうるかまたは変形されうる。
【0006】
第2の問題は、加熱素子を構成している二つの材料の厚さにおける差の結果として生起されうる。あるシステムでは、炭化珪素コーティングは、たった約0.004インチの厚みでありうる。再度、二つの材料の間の熱膨張係数における差により、炭化珪素コーティングは、加熱素子の加熱および冷却により亀裂が入りうるし、処理チャンバの内部および処理されている基板をグラファイトの不純物にさらされうる。次いで、グラファイトからの不純物は、炭化珪素コーティングにおける亀裂を通して、抵抗加熱素子から反応チャンバに拡散しうるし、汚染をもたらしうる。
【0007】
この問題は、フォトレジストが基板から剥がされているか、または熱酸化処理が高速熱処理(RTP)チャンバで実行されているような場合でありうる、反応チャンバに酸素環境が存在するならば、悪化させられる。更に、酸素は、外部環境からチャンバを隔離するシールを通してチャンバに漏れうる。酸素は、グラファイト・コアと反応するために炭化珪素コーティングの亀裂を通して拡散しうる。グラファイトは、一酸化炭素および二酸化炭素ガスを形成すべく酸素と反応し(この処理は“灰化(ashing)”と呼ばれる)、かつ加熱素子の内部コアは、急速に腐食されうる。灰化が行われるその場所においてヒーターの抵抗が劇的に増大することにより、ホットスポットが結果として生じる。これは、かなり強い反応でありかつ加熱素子の内部コアは、ほんの10秒程で消費されうる。
【0008】
通常の抵抗加熱素子で遭遇しうる第3の問題は、しばしばコア材が特に強力ではないということである。これは、グラファイトについてその通りである。グラファイトのようなコア材の相対的な機械的脆さにより、加熱素子の断面は、その強度の欠落を補うためにしばしば大きい。しかしながら、大きいサイズは、その他の問題を提示しうる。大きなヒーターは、また、パワーにおける変化に対して温度をあまり応答しないようにさせうる、より大きな熱式質量(サーマル・マス)を有しうる。遅れた温度変化は、あまりよくない温度再現性を結果としてもたらしうる。別の結果は、チャンバが所望の処理温度を達成するときに遭遇する遅延による単位時間当たりに処理できる基板の数(“スループット(処理量)”)における減少である。
【0009】
通常の加熱設計は、図1に示すように、エンクロージャ(筐体)内に加熱素子を入れることによってこれらの問題のあるものに対処した。図1において100で一般的に示した抵抗ヒーターは、上部シールド106および下部シールド108を含む筐体内に、(図の平面に巻き入れるかまたはそれから巻き出す同じトレースの一部でありうる)4つの加熱素子101、102、103、および104を備えている。加熱素子の各々は、グラファイト・コア110と炭化珪素コーティング112とを有する。筐体は、グラファイト部分114と炭化珪素コーティング116とを備えている。加熱素子は、保持体(サポート)118により筐体に取り付けられうる。この例では、加熱素子および筐体部分の厚さは、約0.25インチでありかつ炭化珪素コーティングの厚さは、約0.004インチである。窒素、ヘリウム、またはアルゴンのような不活性ガスは、空間122を通って流れうる。
【0010】
再度、SiC−被覆型グラファイトのシェル内に加熱素子を入れることの理由は、加熱素子のSiCコーティングが二つの材料の異なる熱膨張係数(CTE)による亀裂の影響を受けやすいということである。コーティングに亀裂が生じたならば、グラファイト・コアは、特に加熱素子が酸化環境にさらされたならば、灰化を受けやすい。グラファイトの灰化は、ヒーターの即時“オーバーヒート(burn out)”および破壊(loss)、並びにチャンバへの不純物の放出に導きうる。シャル(またはシールド)内に加熱素子を入れることによって、チャンバからこれらの不純物を除去するために素子を取り囲んでいる空間に不活性ガスを流し込むことが可能である。また不活性ガスは、反応チャンバの酸素がグラファイト・コアへのアクセスを得ることを防ぐように機能する。
【0011】
そこで、例示的な通常のヒーターは、3つの部分:1)炭化珪素被覆型グラファイトを備えている加熱素子、2)炭化珪素被覆型グラファイトを備えている筐体シェル、および3)シェルの内側を浄化しないが加熱素子の外側を浄化するために用いられる不活性ガスを有していると考えられうる。また、上部および下部シールド106および108は、個々の素子からの熱流を分散することにより均等な加熱環境を供給するように機能する。より均等な出力を作るためにシールドが素子からの熱を拡散することに成功したとしても、それらがヒーターの熱式質量にもまた加えられてヒーターをパワーにおける変化にあまり応答させなくしうる。また、通常のヒーターのシールディングの使用は、大きくかつかさばるハードウェアを結果としてもたらしうる。それぞれ、サセプタの上および下の、通常のヒーター202および204、および側面ヒーター206を含んでいる例示的な処理チャンバを図2に200で一般的に示す。この図は、通常の抵抗ヒーターを利用している処理チャンバ内を占める大量の空間を示す。
【0012】
望ましいものは、なかんずく、コンパクト、あまり大きくない構成、酸素環境に対する抵抗、汚染または劣化に対する低い可能性、および熱膨張および収縮中の形状に対するより予測可能な変化を供給する:半導体処理の抵抗加熱に対する装置および方法である。
【0013】
(発明の開示)
本発明の形態は、アンドープト・セラミック材にマトリックスに部分的に埋め込まれるかまたは完全に埋め込まれうるドープト・セラミック加熱素子を備えている抵抗ヒーターを含む。例示的実施形態では、セラミックスは、炭化珪素でありうるし、かつドーパントは、窒素でありうる。効果は、加熱素子およびそれらの素子を取り囲んでいるマトリックス材に対して実質的に同じ熱膨張係数を有する材料を用いることによって達成されうる。そこで、電力が抵抗ヒーターに印加されるときに、部品(素子およびマトリックス)の各々は、実質的に一致して膨張および収縮する。加熱することによるプレートの膨張は、予測可能であり、基板保持ピンまたはウェハ・リフティング・ピンのような、その他のハードウェアに関して厳しい許容差を許す。一実施形態では、ヒーターは、コンパクト、実質的に純粋かつ非汚染、酸化または腐食ガスと非反応、強力、強靭、および熱式質量が低い、ノモリシック・プレートであり、それを電力入力変化に迅速に応答させる。抵抗ヒーターは、エピタキシャル薄膜の成膜、化学気相成長法(CVD)薄膜に対するもの、および高速熱処理を実行するような、集積回路を製作するために一般的に用いられる反応器および処理チャンバの多くで用いられうる。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明の形態は、半導体基板を処理する装置および方法を提供する。以下の説明は、当業者が本発明を製作しかつ使用することができるように示される。特定の応用の説明は、例としてだけ提供される。好適な実施形態に対する様々な変更は、当業者に容易に明らかであろうし、かつここに画定した一般的な原理は、本発明の精神および適用範囲から逸脱することなくその他の実施形態および応用に適用することができる。そこで、本発明は、記述または説明された実施形態に制限されることを意図するものではなく、ここに開示した原理および特徴と一致した最も広い適用範囲に調和されるべきである。
【0015】
ある点では、炭化珪素の特性は、抵抗ヒーターの加熱素子に対して大いに望ましい。炭化珪素は、機械的に非常に強靭であり、半導体処理チャンバ内に配置されたときにそれが非汚染であるという意味で純粋である。金属は、炭化珪素薄膜を通して容易に拡散しない。炭化珪素薄膜を通した金属の拡散は、高温でも非常にゆっくりである。その他のセラミックスも同様に望ましい特性を有しうる。
【0016】
その他の点では、炭化珪素は、抵抗加熱素子に対して理想的な材料ではない。炭化珪素は、高い抵抗を有するので、それを駆動するために非常に少ない量の電流における非常に高い電圧が必要とされる。また、その堅さにより、機械加工することが非常に難しい。ヒーターを有用な形状に製作するためには、ダイヤモンド切削工具を必要とするであろう。そこで、炭化珪素は、市販用加熱素子に用いることが実行可能ではないであろう。
【0017】
本発明の実施形態は、ドープト・セラミックから製作されるヒーター素子(ヒーター・トレース)を供給することによって、通常の炭化珪素被覆型グラファイト・ヒーターの問題、および“純粋”な炭化珪素からヒーターを製作することの困難性を回避する。かかるドープト・セラミックの例は、窒素でドープされた炭化珪素である。本発明の例示的実施形態では、加熱トレースは、Performance Materials,Inc.から市販されている窒素ドープト炭化珪素材から製作される。この材料は、Low Resistivity Performance SiCTMと呼ばれている。
【0018】
セラミックの抵抗率を低くするために用いられうるその他の素子が存在する。これらの素子は、ジルコニウム、チタン、および/またはホウ素を含み、かつそれらは、単独または窒素との組合せで用いられうる。代替素子は、それらが高温で安定であり、ドープト・セラミックが高温で安定であり、ドーパントが低抵抗率領域から隣接する高抵抗率レイヤーに拡散しない限り、かつドーパントが、ドープト・セラミックからガスを放出しうる揮発性複合物を生成しない限り用いられうる。代替セラミックスは、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、および窒化珪素を含みうる。低抵抗率材料に対する代替ドーパントは、As(ヒ素)、Sb(アンチモン)、およびP(リン)である。
【0019】
ドープト材料は、ドープト珪素でありうる。この場合には、ドーパントは、またB(ホウ素)、As、Sb、N(窒素)、およびPも含みうる。炭化珪素でありうる、これらの材料は、化学気相成長法(CVD)技法を用いて、セラミックにわたり成膜されうる。エピタキシャル珪素薄膜がSiCで被覆されたサセプタに日常的に成膜されるので、CVD炭化珪素がドープト珪素の薄膜に成膜するということは、よく知られている。
【0020】
ドープト炭化珪素は、CVD方法を用いて製作されうる。CVD成膜材は、前者の方法によって成膜されたその材料がより良い保全性を有しかつ非多孔質である傾向があるという焼結形式に対して利点を提供する。(部品を作るために材料の微粒子を一緒に加圧することによって作られた)焼結材を用いうるが、しかし、粒子を被覆するために用いられるバインダ(結合剤)が製品の一部になるそれらに不純物を有するのであまり望ましくはない。更に、焼結製品は、CVD−成膜変種よりもより多孔質でありかつそれよりもあまり均質ではない傾向がある。
【0021】
アンドープト炭化珪素は、容易に機械研削(機械加工)できないしかつその抵抗が高いので、抵抗ヒーターに対して望ましい材料ではない。しかしながら、本発明の出願人は、所望の特性を達成するためにドープト炭化珪素を抵抗ヒーターに用いうるということを見つけた。ドープト炭化珪素の一例は、窒素ドープト炭化珪素である。例えば窒素で、炭化珪素をドープすることの結果は、材料の電気抵抗がアンドープトまたは“純粋”な材料に対して4から5のオーダー(桁)低減されうるということである。例示的実施形態では、ドープト・セラミックの抵抗率は、アンドープト・セラミックの抵抗率よりも約2から5のオーダー(桁)低いことがありうる。勿論、一つのドーピング素子よりも多くを採用しうるし、かつ各素子は、必ずしも同じ目的を果たす必要はない。ある実施形態では、例えば、第2の素子が機械加工性を向上するために追加されると同時に、第1の素子は、低効率を低減するために用いられうる。例示的ドーピング・レベルは、重さで約150から2000ppm(100万分率)であり、一実施形態では約1400ppmである。
【0022】
ドープト・セラミックスは、広い範囲にわたる望ましい抵抗ヒーター特性を供給することができる。例えば、導電率を増大することは、アンドープト材料よりも適正な電圧/電流状況(レジーム)でドープト材料を駆動させる。例示的実施形態では、窒素ドープトSiCのような、ドープト・セラミックは、アンドープトSiCよりも低いがグラファイトよりも高い低効率を有するヒーター・トレースを生成するために用いられうる。グラファイトのような、低い低効率材料を備えている加熱トレースは、適度に駆動されるべく十分な抵抗を供給するためにかなりの長さで製作されることが要求されうる(“適度に駆動される”ことは、なかんずく、低電圧、高アンペア電源に対する必要性を回避することを意味する)。代替的に、グラファイト素子は、抵抗を増大するために薄く作ることができるが、強度の考慮により部品をどのくらい薄く作ることができるかについて一般的に制限が存在する。ドープト炭化珪素の使用は、適度な電圧および電流状況で動作することを実用的にし、かつある応用においてヒーター・トレースの長さを変化することを実用的にする。
【0023】
加熱素子材料としてのドープト炭化珪素の別の効果は、ドープト炭化珪素が放電加工(EDM)として知られた技法によって容易に機械研削(機械加工)できるということである。これは、機械加工の技法でありそれによって材料のスラブ(厚板)を、ローラーの回りを取り囲みかつマシンの外側を囲むワイヤ・フィードを有するヘッドを有しているデバイスで切断することができる。ローラーは、マシンからワイヤをコンスタントにフィードする。スラブが接地されかつ電位がワイヤに印加される。ワイヤがスラブを通して引き出されるときに材料は、実質的に気化(蒸発)される。切断は、0.001インチの厚さでありうる。EDMによって実行されうる別の種類の切断は、プランジ・カッティング(プランジ切断)であり、電位がグラファイト・マンドレル(心棒)に印加され、穴を貫通すべく材料を通して押される。EDM切断と同様に、高度に正確な穴は、正確な寸法安定性で材料において機械加工されうる。
【0024】
かなりの安価でかつ非常に正確な機械加工を供給することができるEDM技術を用いるいくつかの方法がある。EDM機械加工の効果は、先に製作した部品を容易に作り直すための機能を含みうる。例示的実施形態に従ってドープト炭化珪素を用いて抵抗ヒーター素子を製作することにおいて、ヒーターが製作された後でヒーターの異なる部分の加熱特性を変更することは、比較的容易である。例えば、より多くのパワーがヒーターの一部において必要であるならば、ドープト−SiCの小さい部分を除去し、より小さい断面およびより高い(大きい)抵抗を有している領域を生成し、かつ従ってより多くのパワーをヒーターのその領域から配送させるためにEDM技法を用いうる。対照的に、SiC−被覆型グラファイト部分は、SiCレイヤーがグラファイトに適用された後にかかる変更に容易に適応されない。
【0025】
通常のEDM技法は、この材用がワイヤから機械加工された部品まで電導性経路が存在しないかかる高い誘電定数(高い低効率)を有し、かつワイヤが純粋な炭化珪素を気化することができないので、純粋な炭化珪素を機械加工するために用いられない。純粋な炭化珪素は、ダイヤモンドが先端についている工具による機械加工を必要としうることに対して、ドープト炭化珪素は、純粋な炭化珪素に対するそのより低い(小さい)抵抗率だけでなく、それをEDM技法を用いてマシンすることができるので抵抗ヒーター用の良好な材料である。
【0026】
断面における例示的通常グラファイト素子の寸法は、幅約0.2から0.5インチおよび高さ0.5から1.0インチの範囲にわたる。これらの寸法は、電気的特性並びに機械的強度によって決定される。グラファイトの抵抗率は、概ね0.00076と0.001Ω・cmの間であり、それは低い(小さい)。電源に対する適当な電圧および電流値特性に対する十分な抵抗を有するグラファイトからヒーターを製作するために、ヒーターは、非常に長いものでありうるしまたは非常に小さい断面を有しうる。しかしながら、断面の大きさは、機械的強度により、ある程度制限される。一般的に、ヒーターは、実用的に駆動電圧に対して終端から終端まで(即ち、終端間に)十分な抵抗を供給するために十分に長くなければならない。30ボルトで動作するRTP応用におけるヒーターは、例えば、120アンペアの電流を引き出しうる。これは、特別の電源を必要とするしかつ通常のAC(交流)壁付きコンセントから直接に利用可能ではない。しかしながら、所望の温度均一性を達成するために、加熱素子は、図1および2に示すように互いにかなり近付けてスタックされうる。
【0027】
ドープト炭化珪素の抵抗率は、アンドープト炭化珪素よりも4から5オーダー(桁)低い(小さい)であろうが、その抵抗率は、グラファイトよりもまだ高いであろう。これは、それが、断面において、図3および4に示すように、加熱素子がフラットに置かれるように製作される加熱素子の使用を許容するので、有利である。本発明の例示的実施形態によるドープト炭化珪素加熱素子(トレース)の寸法は、高さが約0.1から約0.3インチ、および幅が焼く0.5インチの範囲にわたる。ドープト・セラミック対グラファイトの電気特性における差は、よりコンパクトな加熱設計を許容し、かつ加熱トレースの配向(方向)は、結果として、より良い温度均一性に導く。
【0028】
本発明の実施形態によりヒーターを製作するために様々な処理フローを用いうる。3つの例示的手順を図3A〜3E、3F〜3H(原文のFは誤り)、および3I〜3Oにそれぞれ示す。
【0029】
図3A〜3Eは、本発明の実施形態による加熱プレートを製造するために用いられうる例示的処理フローを示す。加熱素子は、シート301からスペース(間隙)304をプランジ切断することによってドープト炭化珪素301(以後、“ドープト−SiC”と称する)のストック・シートから機械加工されうる.プランジ切断ステップは、図3Bに示すように、シートの領域304から材料を除去する。このステップは、断面において加熱素子302で示しことができる加熱トレースの分離された素子を生成する。プランジ切断ステップは、例示的実施形態ではグラファイトである、保持ブロック306に取付けられたドープト−SiCのストック・シートで実行されうる。加熱素子302は、図3Bに示された素子の各々が同じトレースの一部であるような連続加熱トレースを備えうるか、またはある一つの特定の加熱素子302がその近隣と同じ電気回路の一部であることを必要としないようないくつかのトレースが存在しうるということが理解されるであろう。
【0030】
例示的製造処理の次のステップにおいて、(そのノーマル電気抵抗を有している)アンドープトSiCのレイヤーは、グラファイト保持ブロック306を、化学気相成長法(CVD)チャンバのような、薄膜を成膜することができるように構成された処理チャンバに配置することによって素子にわたり成膜されうる。成膜が完了した後のアンドープト、ノーマル抵抗SiCレイヤー308を図3Cに示す。この地点において、グラファイト保持ブロック306は、それをマシニング・オフするか、または、グラファイトをアッシュ・アウェイ(ash away)するために、高温で、酸素雰囲気に構造体を配置することのいずれかによって除去されうる。いずれの場合においても、残るものは、複合レイヤー312である。複合材(コンポジット)312を形成している、その中に部分的に埋め込まれる加熱素子302を有している(図3Dにおいて310により示す)アンドープト・セラミック・レイヤー308の厚さは、この例示的実施形態では約0.05インチである。
【0031】
グラファイト・ブロックが図3Dにおける構造体から除去された後の製造処理の段階は、その内部に部分的に入れ子になった加熱素子302を有するアンドープトSiCのプレートを備えている結果として得られた複合材312を有する。ドープト−SiC加熱素子のドーパントの濃度が非常に低いので、結果として得られた複合材312は、機械的に言えば、あたかもそれが本質的に一つの材料であるかのように実質的に機能する、固体ノモリシック・プレートを備えている。それゆえに、この段階においても、プレートは、非常に強力であり、かつ熱膨張の中によく動作する。
【0032】
この段階まで処置された加熱プレートの例を図4に示し、そこではプレートは、それが製作された方法に対して逆方向に用いられている。加熱トレースがレイヤー308に部分的に埋め込まれているだけなので、加熱素子302の露出した面は、この例示的実施形態において面404で流されない(フラッシュ(flush)されない)ということに注目すべきである。電気接続は、トレースと端子402の電源との間でなされうる。
【0033】
図3Dを参照すると、グラファイト基板ブロック306が除去された後で、複合材312の下側は、アンドープトSiC第2のレイヤー314で被覆されうる。この実施形態では、加熱素子302は、(レイヤー308および314による)アンドープトSiCマトリックスの内部にいま完全に封入される。ある実施形態がアンドープトSiCの第2のレイヤー314を使用しない間、プレートは、増大した厚さの結果として機械的に少し強くなる(図3Eにおいて316で示す)。
【0034】
モノリシック・ヒーター・プレートを製作する第2の例示的処理フローを図3F〜3Hに示す。図3Fでは、(SiCでありうる)低抵抗、ドープト・セラミック320のレイヤーは、(再び、SiCでありうる)ノーマル(高い)抵抗、アンドープト・セラミック322のプレートに成膜される。次いで、低抵抗、ドープト・セラミック・レイヤー320が、例えば、図3Gの領域324における材料を除去することによって加熱トレース素子326を形成するために、上述したEDM技法を用いて、機械加工される。加熱素子の完全なカプセル封じ(エンキャプシュレーション)を望むならば、(SiCのような)ノーマル抵抗、アンドープト・セラミックのレイヤー328が図3Hに示すように、構造体に成膜されうる。
【0035】
モノリシック・ヒーター・プレートを製作する第3の例示的処理フローを図3I〜3Oに示す。図3Iでは、ドープト多結晶シリコンのレイヤー330(“ポリシリコン”)は、(SiCのような)ノーマル抵抗セラミックのレイヤー332に成膜される。次に、マスキング・レイヤー334が、ポリシリコン・レイヤー330のトップに成膜され(図3J)、かつパターン化されたマスク336を形成すべくパターン化される(図3K)。例示的実施形態では、マスキング材料は、二酸化珪素でありうるし、かつ二酸化珪素は、成膜の代替としてポリシリコンと酸素の熱反応によって形成されうる。窒化珪素のような、その他のマスキング材料を用いることができるということが理解されるであろう。
【0036】
次いで、パターン化されたマスク336は、パターン化されたマスト(マスク)338(図3L)を形成すべく露出したエリアをエッチングすることによってマスキング・レイヤー334に変換され、かつそのパターンは、パターン化されたマスク340を形成すべくドープト・ポリシリコン・レイヤー330に次いで変換される(図3M)。フォトレジストおよびポリシリコン・マスクが剥がされた後で、素子342を備えている加熱トレースがそれゆえに形成される(図3N)。完全なカプセル封じが望ましいならば、(SiCのような)ノーマル抵抗セラミックのレイヤー344は、加熱素子がレイヤー332および344によって完全に封じ込められるように加熱素子342にわたり成膜されうる。
【0037】
同じ(またはコンパチブルな)セラミックのアンドープト・バージョンのマトリックス内にドープト・セラミック加熱素子を入れ子にすることの更なる効果がある。このコンテキストにおいて、“コンパチブル”は、例えば、実質的に同じCTEs、堅さ、または強度を有するセラミック材料を示す。ドープト・セラミック加熱トレースを取り囲んでいるアンドープト・セラミック材料のマトリックスは、一定の形状にトレースの様々な部分を固める(凝固させる)。再度、図3Aから3Oの加熱素子は、断面が別個の矩形として示されているが、トレース自体は、図面の表面を交叉して入ってゆくかまたはそれから出てくる電導性材料の連続ストリップでありうる。トレースは、様々な形状に構成することができ、かつある実施形態では単一のプレーンにあることもないであろう。ある実施形態ではトレースの形状は、上から見たときに、円形コイル(round coil)、正方形螺旋(square spiral)、メアンダー・スネーク(meandering snake)、迷路(maze)、または所望の加熱特性を提供する様々な構成の形式を取りうる。
【0038】
一つのかかる構成は、図5において平面図で示し、そこでは3つの個別の加熱トレースが単一の平面に配置される。各ストリップの終端は、電源に電気的に接続されうる。外側トレースは、二つの終端502および504を有しかつ互いに隣接して配置される。502で開始して、トレースは、外周の回りを時計方向に回る。外周を完了した後、それは、戻ってより小さい半径で反時計方向に隣接するループの回りを回り、504で終わる。終端508で開始して、中間トレースは、一つの半径でループの回りを時計方向に回り、戻ってかつより短い半径で反時計方向にループし、そして再び戻ってさらに小さい半径で時計方向にループし、終端506で終わる。それゆえに、中間加熱素子は、円の回りを各ターンで方向を交互する一連の同心ループを備えている。内側トレースは、環状領域の間を前後に線形的に曲げて、その路を環状領域の一方の側の終端510から環状領域の他方の側の終端512まで移動することによって平面の中心環状領域を充たす。
【0039】
複数のトレースの使用は、トレースが電源に接続される方法により変化する、異なる温度領域を有すべくヒーターを構築される。例えば、終端502および504は、第1の電源に接続されうるし、終端506および508は、第2の電源に接続されうるし、かつ終端510および512は、第3の電源に取付けられうる。次いで、この例示的ヒーターは、3つの独立した電源投入ゾーンを有する。
【0040】
多重ゾーン・ヒーターの使用は、一定の半導体処理チャンバの設計において遭遇する進行中の問題を解決する。熱は、チャンバの側壁が熱を吸収しているという事実により処理中に基板のエッジで損失されうる。この熱損失は、本発明の例示的実施形態に周辺エッジ・ヒーターを供給することによって補償されうる。複数のトレースを用いているある実施形態では、より高い電力が外側ヒーター・ゾーンに供給される。
【0041】
ヒーターを構成している材料が温度の上昇の結果として膨張するので、電力を加熱素子に印加するときに通常のヒーターではトレースの終端を位置決めすることが難しいかもしれない。それらがヒーターの膨張に対して補償しない一定の構成で電源に接続されうるので、ある例示的実施形態では互いにある一定の離れた距離および方向に終端を維持することが望ましい。コイルの形状のヒーターは、例えば、解放(リリース)したときに解けるコイル型時計ばねのように互いに対して移動する終端を伴って、熱膨張により(巻いたものが)解ける傾向がある。ヒーターおよびその素子の一部分は、リフトされ(持上げられ)、ターンされ(回転され)、バックル(座屈)され、さもなければ他の部分に対してディストートされ(歪められ)うる。実質的に同じ熱膨張係数を有する材料のマトリックスは、一つの場所に素子の終端を固定することによってこの影響をかなり低減する。
【0042】
熱的に膨張または収縮するときに形状を予測可能に変えるモノリシック・ヒーター・プレートは、より厳格な寸法的許容差の更なる利益を有する。これは、プレートがコンパクト・エリアで、及び/又は他の壊れやすいハードウェアの近傍で処理チャンバに取付けられるならば重要でありうる。例えば、半導体処理チャンバは、半導体装填/装填解除処理中に半導体基板を上昇または下降するためにサセプタ、ヒーター・プレート、またはヒーター・ブロックを通り抜けるリフト・ピンを用いうる。これを説明するための簡易図を図6に示す。一般的に600で図示した例示的処理チャンバは、ヒーター・プレート604の上にかつ並行に取付けられサセプタ602を含み、サセプタ602は、次いでリフト・ピン保持プレート606の上に取付けられる。リフト・ピン保持プレートは、シャフト608によって上昇および下降される。半導体基板612は、ロボットの腕(図示省略)によって開口610を通って処理チャンバに導入されかつ処理チャンバそこから取り除かれる。シャフト608は、リフト/保持ピン614が処理されるべき半導体基板に接触するまで上昇され、下から半導体をリフトしかつロボットの腕を引く抜くことができるようにロボットの腕の上でそれを保持する。次いで、シャフトは、基板612を処理のためにサセプタ602に載せるかまたはそれに隣接して載せるべく下降されうる。本発明の実施形態によれば、ヒーター・プレート604は、また、サセプタとしても用いられうるし、基板を保持しかつ加熱すべくハードウェアの二つの個別の部分に対する必要性を削除する。このアプローチの例示的実施形態では、サセプタ602は、リアクタから除去されかつリフト/保持ピン614は、処理のために基板をヒーター・プレート604の上にまたはそれに隣接して配置する。この効果は、図3Cのヒーター及び本発明のその他の実施形態で達成されうる。
【0043】
リフト/保持ピン614は、基板612と接触するためにヒーター604およびサセプタ602を通り抜ける。保持ピンは、ヒーターの貫通穴616を自由に移動することが望ましい。ヒーター・プレートは、電力がプレートに印加されるときに、かつプレートを構成している材料が加熱により熱膨張を行うときに、チャンバのその他のハードウェア部分に対して移動することができる。これらの材料が一般的な半導体処理手順と互換性があるので、リフト/保持ピン614は、石英(クォーツ)または炭化珪素のような材料から作りえるが、しかし一般的な保持ポストの小さいサイズは、リフト・ピンを壊れやすくしうる。
望ましくない条件は、ヒーター・プレートの一部が保持ピンに対して膨張するか、またはさもなければその穴に対するピンのアライメントを変えるならば、生起されるかということが理解され、穴を通るピンの移動を制限してピンおよびヒーター・プレートからの粒子をチャンバの中に解放させる。プレートの穴がピンと位置合わせされないようにプレートが膨張するならば、ピンは、切り落されさえしうる。ある例では、保持ピンとホールのエッジとの間のクリアランスは、0.05インチでありうるし、かつプレートの比較的小さいシフトが問題をもたらしうる。
【0044】
ヒーター・プレート内の加熱素子は、プレートを通る包旋状の経路を取りうるし、基板保持穴の配置の設計を複雑にする。例を図7に示す。図7を参照すると、開口710は、さもなければ素子720の経路であったところに配置されて、径方向730に沿って素子の変位(移動)を必要とする。加熱素子の構成により、同じ素子または異なる素子でありうる740で示した加熱素子の一部もまた影響を及ぼされるということに注目する。通常のヒーターは、二つの材料の熱膨張係数の不一致(ミスマッチ)のような、加熱素子および隣接する素子の異なる特性によって経験された760のような不規則性における増大したストレス・レベルによる、積層剥離、亀裂、またはその他の種類の物理的トラウマの損害を受けうる。これらの問題は、素子720およびマトリックス750材料が実質的に同じ熱膨張係数を有するときに避けられ、それは、本発明のSiCと窒素ドープトSiCとの例示的実施形態による場合である。
【0045】
本発明の例示的実施形態では、加熱素子は、固体の、モノリシック・プレートを形成するために同様な材料内に封じ込められるかまたは埋め込まれうる。これは、熱および機械的効果の両方を供給する。熱的には、膨張および収縮によるプレートの動きは、より予測可能であり、処理チャンバ内の部品の物理的および寸法的関係に関してより効率的かつ複雑な設計を許容する。モノリシック加熱プレートの動きの強化された予測可能性は、基板保持ピンに関する以下の例で理解されうる。
【0046】
加熱プレートは、例えば、図8の軸618に沿って処理チャンバの中心に位置合わせされうる。電力が加熱素子に印加されかつプレートが熱膨張すると、プレートの材料は、位置合わせの中心軸から離れるように、径方向に予測可能に移動する。本発明の実施形態は、保持ピンが通過するためにプレートに楕円形状穴514を含む。穴は、加熱によるプレートの材料の予測可能な外向き、径方向膨張を許容するために楕円形状である。
【0047】
図8を参照すると、ピン802は、ヒーターが冷却されたときに楕円形状ピン穴806における位置804でありうる。電力がヒーターに印加されかつプレートが軸618から径方向に外向きに膨張するときには、ピンは、位置804のまわりから位置808のまわりに、穴806に対して、位置がシフトしうる。ピン穴は、この膨張を許容すべく形作られる。加熱素子およびマトリックス材料が実質的に同じ熱膨張係数を有するので、プレートのこの動きは、非常に予測可能である。従って、プレート保持ピン穴と保持ピン自体との間の関係は、より厳格な許容差で設計されうるし、よりコンパクトな設計およびより信頼性がある性能を許容する。
【0048】
熱特性に関するモノリシック・ヒーター・プレートの更なる効果がある。図1に示したもののような、通常のヒーターの温度プロフィールは、素子に隣接するホット・スポットおよび素子間のコールド領域により不均一である。図1の従来の例において上部シールド106および108を用いるための一つの理由は、より均一なプロフィールに熱を拡散することを助けるためであるということを思い起すべきである。対照的に、マトリックス材料は、素子から素子間の領域への熱の拡散/伝導をより容易に許容すべく素子302と密着される。例えば、炭化珪素の熱伝導率を用いて、サーマル・モデリング結果は、その素子が約1150℃にあるプレートは、あらゆる二つの隣接する素子間でマトリックス材料全体にわたりたった約3℃の温度下降を被るということを示した。従って、本発明の実施形態は、改良された温度均一性をモノリシック・プレートに提供するために用いることができる。
【0049】
モノリシック・ヒーター・プレートの別の効果は、その熱特性のダイナミックスに関する。図1に示した通常のヒーターは、(グラファイトが脆い材料なので適切な機械的強度を達成すべく)そのグラファイト加熱素子の(断面における)大きなサイズだけによるのではなく、加熱素子を取り囲むべく組立てられた更なるシールド(106/108)によってもまた“おおきめ(bulky)”である。それゆえに外側の殻(シェル)は、加熱素子から放出された熱を拡散し、かつ素子の回りにパージ・ガスを流す空間を囲むために用いられる。本発明の例示的モノリシック・プレートは、通常の例における殻(シェル)だけに対する厚さ(図1の120)と比較して、ほんの約0.15から約0.3インチの合計の厚さ(図3Eにおける316)を有する。全体としての通常のヒーター(124)の高さは、例えば、約1.5インチでありうる。それゆえに、モノリシック・プレート・ヒーターは、よりコンパクトな設計を供給するために用いることができる:通常の設計のサイズの1/10程度。ある実施形態では、上述したように、本発明の実施形態によるヒーターは、個別のサセプタを必要としない。
【0050】
モノリシック・プレート・ヒーターの縮小された質量は、通常のヒーターのものと比較して、ヒーターが処理温度に到達しかつ維持するレートに関するインプリケーションを有する。ヒーターの質量が小さい程、温度ランプ・アップ(ramp up)中に加熱すべき材料が少なく、従って、そのヒーターが処理温度により速く到達する。様々な半導体処理ツールは、迅速に処理温度を達成する目標により、かつ半導体基板が装填されかつ装填解除される間でもその温度を維持すべく設計される。チャンバ温における基板は、そのチャンバが処理温度であるかまたは処理温度に近い間に基板がチャンバに装填されるならば、処理チャンバから熱を取り除く。しかしながら、特定の応用に対してチャンバの温度を可能な限り一定に維持することが望ましい。
【0051】
一方、基板がチャンバの中へおよびチャンバから外へサイクルされるときにチャンバが大きな熱変化を経験しないように一定温度を維持すべく処理チャンバを設計することが可能でありうる。小さい熱式質量を有するヒーターは、それを急速に加熱しかつ急速に冷却することもできるので、この点で有利でありうる。
【0052】
他方、迅速な温度変化を必要とする応用が存在する。例えば、その後で実行される成膜よりも50℃高い温度で基板をベークすることは有利でありうる。この例では、温度は、ベークの後で成膜を実行するために50℃だけ下げることができ、ベーク及び成膜処理ステップは、同じチャンバ内で実行される。更に、チャンバへのアクセスが維持のために要求されるときに迅速に冷却する機能が望ましい。
【0053】
遅い応答を有する処理チャンバは、例えば、毎時約40個から約15個の基板に、ある応用に対する処理量を低減しうる。かかる処理量の数は、勿論、処理の特性、基板の大きさ、製作される集積回路の技術、および多くのその他の要因に依存する。本発明の実施形態によるモノリシック・ヒーター・プレートを有している処理チャンバは、部分的に、通常のヒーターに対するモノリシック・プレート・ヒーターの低減された熱式質量により、(加熱および冷却の両方の)かかる温度変化の必要条件に応答すべく構成されうる。
【0054】
モノリシック・プレート・ヒーターの別の利点は、トレースの終端が、チャンバにおける電気的貫通の数を最小化すべく配置されうるように、別個の加熱ゾーンを備えうる、個々の加熱素子をルートする機能に関する。再び、これは、モノリシック加熱プレートのコンパクト性、およびヒーター内の加熱トレースの効率的経路を設計する機能により可能である。
【0055】
図9は、本発明の例示的実施形態によるモノリシック・プレート・ヒーターを含んでいる例示的半導体処理チャンバを示す。チャンバは、一般的に900で示される。チャンバは、上部ヒーター902、下部ヒーター904、及び側面(周辺)ヒーター906を含む。これらのヒーターは、上側ヒーター908および下側ヒーター910のような、複数のゾーンを有しうる。本発明の実施形態によるモノリシック・ヒーターを有しているチャンバのコンパクト特性は、図9を図2と比較することによって理解されるであろう。
【0056】
チャンバ900は、サセプタ912、基板保持体914、基板保持体プレート916、及びチャンバ壁918を更に含む。チャンバは、光高温計のような、基板温度を測定するためのシステム920を含みうる。電気的貫通は、この場合には上側ヒーター908に接続されて922で示される。反応ガスは、位置928から開始してコンジット926を通りかつ基板にわたり流れるべくガス供給ポート924で注入されうる。基板(図示省略)は、面930のサセプタの上部に配置される。ガスは、ポート960を通って排気される。電源システムは、上部、下部、及び側面ヒーターの様々なゾーンを駆動すべく電気的貫通(その一つが922で示される)に接続される。制御システムは、電源システム、ガス供給ポート924、ガス排気960、温度測定システム920、及び基板上昇及び下降プレート916に接続されうる。
【0057】
二つの基板を処理することができるように構成された例示的チャンバの平面図を図10および11に示す。図10は、図9が単一基板チャンバを示すということが理解されるであろうが、図9においてほぼ位置940でチャンバを通る水平面を示す。図11のヒーターは、図9において950でほぼ示された垂直位置で取られた水平面を示す。図10および11は、モノリシック・プレート・ヒーターにおいて加熱トレースが有しうる多くの可能な構成及びパターンの図である。例示的実施形態では図10のヒーター1010のパターンは、上部ヒーターに用いられうるし、かつ図11のヒーター1110のパターンは、下部ヒーターに用いられうる。両図とも、1012で表された、断面のヒーターを示す。
【0058】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明したが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、対照的に、特許請求の範囲の精神および適用範囲内に含まれる非常に多くのその他の変更及び広範な同等の構成を網羅することを意図するということが当業者にとって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、炭化珪素被覆型グラファイト加熱素子およびシールディング部分を備えている通常3部抵抗ヒーターの断面図である。
【図2】図2は、上部および下部通常抵抗ヒーターを有する熱処理チャンバの断面図である。
【図3A】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための例示的処理フローを示す図である。
【図3B】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための例示的処理フローを示す図である。
【図3C】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための例示的処理フローを示す図である。
【図3D】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための例示的処理フローを示す図である。
【図3E】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための例示的処理フローを示す図である。
【図3F】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第2の例示的処理フローを示す図である。
【図3G】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第2の例示的処理フローを示す図である。
【図3H】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第2の例示的処理フローを示す図である。
【図3I】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図3J】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図3K】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図3L】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図3M】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図3N】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図3O】本発明の一実施形態によるヒーターを製造するための第3の例示的処理フローを示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態によるヒーターの断面図である。
【図5】本発明の例示的実施形態によるモノリシック・ヒーター・プレートの平面図である。
【図6】例示的モノリシック・ヒーター・プレートおよび基板リフト/保持ピンを含んでいる処理チャンバの断面図である。
【図7】基板保持ピン・ホールがヒーター・トレースの設計に及ぼす影響を示している概略図である。
【図8】モノリシック加熱プレートが基板リフト/保持ピンに関して膨張する方法を示している概略図である。
【図9】本発明の実施形態によるモノリシック・プレート・ヒーターを有している例示的処理チャンバの側断面図である。
【図10】二つの上部プレート・ヒーターを含んでいる水平面を通した二重基板処理チャンバの平面図である。
【図11】二つの下部プレート・ヒーターを含んでいる水平面を通した二重基板処理チャンバの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温で半導体基板を処理するシステムであって、
半導体基板を処理する処理チャンバと、
気体を前記処理チャンバに注入するように構成された気体供給源と、
処理中に前記半導体基板に熱を供給するように構成され、アンドープト・セラミック材に少なくとも部分的に埋め込まれたドープト・セラミック加熱素子を備えている加熱手段と
を備え、
前記ドープト・セラミック加熱素子の熱膨張係数は、アンドープト・セラミック材の熱膨張係数と実質的に同じであることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記ドープト・セラミック加熱素子および前記アンドープト・セラミック材は、炭化珪素を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ドープト・セラミック加熱素子のドーパントは、窒素を備えていることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ドープト・セラミック加熱素子内の窒素のドーパント・レベルは、約150と2000ppmの間であることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、モノリシック・プレートを形成するために前記アンドープト・セラミック材に少なくとも部分的に埋め込まれることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記プレートは、処理中に前記半導体基板を保持するためのサセプタを備えていることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プレートは、基板保持ピンの通過を許容するためにその中に形成された少なくとも1つの実質的に楕円形状の開口を含み、前記実質的に楕円形状の開口は、前記プレートの半径に実質的に並行な長軸を有しかつ該プレートの熱膨張を許容すべき大きさに作られることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、連続電気経路を形成し、かつ前記アンドープト・セラミック材は、一定の形状に該ドープト・セラミック加熱素子を保持することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記連続電気経路は、方向を交互に変える複数の同心ループを備えていることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、前記アンドープト・セラミック材内に完全に埋め込まれることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記アンドープト・セラミック材は、前記ドープト・セラミック加熱素子の隣接部分間に伝導性熱経路を供給することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ドープト・セラミック加熱素子および前記アンドープト・セラミック材は、酸化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化珪素の少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ドープト・セラミック加熱素子の前記ドーパントは、ホウ素、砒素、アンチモンおよび燐光体の少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、前記アンドープト・セラミック材の電気的抵抗率よりも約2桁から約5桁まで小さい範囲の電気的抵抗率を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
半導体処理チャンバを加熱する抵抗ヒーターであって、
少なくとも1つの連続電気経路を形成するために形作られたドープト・セラミック加熱素子と、
モノリシック・プレートを形成するために前記ドープト・セラミック加熱素子の少なくとも一部を入れるアンドープト・セラミック材と
を備え、
前記ドープト・セラミック加熱素子の熱膨張係数は、前記アンドープト・セラミック材の熱膨張係数と実質的に同じであることを特徴とする抵抗ヒーター。
【請求項16】
前記ドープト・セラミック加熱素子および前記アンドープト・セラミック材は、炭化珪素を備えていることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項17】
前記ドープト・セラミック加熱素子のドーパントは、窒素を備えていることを特徴とする請求項16に記載の抵抗ヒーター。
【請求項18】
前記ドープト・セラミック加熱素子内の窒素のドーパント・レベルは、約150と2000ppmの間であることを特徴とする請求項17に記載の抵抗ヒーター。
【請求項19】
前記プレートは、処理中に前記半導体基板を保持するためのサセプタを備えていることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項20】
前記プレートは、基板保持ピンの通過を許容するためにその中に形成された少なくとも1つの実質的に楕円形状の開口を含み、前記実質的に楕円形状の開口は、前記プレートの半径に実質的に並行な長軸を有しかつ該プレートの熱膨張を許容すべき大きさに作られることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項21】
前記連続電気経路は、方向を交互に変える複数の同心ループを備えていることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項22】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、前記アンドープト・セラミック材内に完全にケースに入れられることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項23】
前記ドープト・セラミック加熱素子および前記アンドープト・セラミック材は、酸化アルミニウム、窒化ホウ素および窒化珪素の少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項24】
前記ドープト・セラミック加熱素子の前記ドーパントは、ホウ素、砒素、アンチモンおよび燐光体の少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項25】
前記抵抗ヒーターの厚みは、約0.1から約0.3インチの範囲であることを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項26】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、前記アンドープト・セラミック材の電気的抵抗率よりも約2桁から約5桁まで小さい範囲の電気的抵抗率を有することを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項27】
前記ドープト・セラミック加熱素子は、少なくとも二つの別々の加熱領域を供給するために少なくとも二つの別々の電気経路を形成することを特徴とする請求項15に記載の抵抗ヒーター。
【請求項28】
高温で集積回路を製造することに用いる抵抗ヒーターを形成する方法であって、
少なくとも1つの連続電導性トレースを形成するためにドープト炭化珪素レイヤーの一部を除去するステップ;および
前記除去するステップの後で、モノリシック・プレートを形成するために前記少なくとも一つのトレースの少なくとも一部にわたりアンドープト炭化珪素のレイヤーを形成するステップ
を具備することを特徴とする方法。
【請求項29】
前記除去するステップは、ドープト炭化珪素レイヤーの一部をプランジ切断することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記除去するステップは、ドープト炭化珪素レイヤーの一部を電気放電研磨することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記除去するステップは、ドープト炭化珪素レイヤーの一部をエッチングすることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
ドープト炭化珪素のレイヤーを形成するためにアンドープト炭化珪素の第1のレイヤーに炭化珪素およびドーパントを成膜することを更に具備することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記ドーパントは、窒素を備えていることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ドープト炭化珪素のレイヤーを形成するためにグラファイト保持体に炭化珪素およびドーパントを成膜するステップ;および
アンドープト炭化珪素のレイヤーを形成した後に前記グラファイト保持体を除去するステップ、
を更に具備することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つのトレースを完全に封じ込めるために前記少なくとも一つのトレースにわたりアンドープト炭化珪素の第2のレイヤーを形成するステップを更に具備することを特徴とする請求項34に記載の方法。

【図9】
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【公表番号】特表2004−514287(P2004−514287A)
【公表日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−543680(P2002−543680)
【出願日】平成13年11月7日(2001.11.7)
【国際出願番号】PCT/US2001/046633
【国際公開番号】WO2002/041370
【国際公開日】平成14年5月23日(2002.5.23)
【出願人】(503176952)マットソン テクノロジイ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】