説明

熱型赤外線センサ、及び熱型赤外線センサの製造方法

【課題】赤外線吸収層の赤外線吸収率を増加させて、熱型赤外線センサの検出感度を向上させる。
【解決手段】本発明による熱型赤外線センサは、赤外線受光部11と、回路基板1上の空洞部を介して保持され、入射する赤外線を熱変換して得た熱を赤外線受光部11に伝達する赤外線吸収膜とを具備する。赤外吸収膜における赤外線入射面と、入射面の裏面である空洞部側の透過面とに、赤外線吸収膜の膜厚より大きく、膜厚の10倍以下の幅の凸部又は凹部が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱型赤外線センサ、及び熱型赤外線センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱型赤外線センサの感度は主に赤外線吸収率で決まる。従来、赤外線センサは赤外線吸収層として赤外線吸収率が良好な金黒等を用いていた。しかし、金自体が製造プロセス中で汚染源となってしまうため、半導体集積回路としては適合性が悪い。そこで近年、赤外線吸収層の構造を工夫することで、金黒を使用せずに感度を向上させる技術が開発されてきている。
【0003】
例えば、特開2001−215151には、庇状の赤外線吸収層を有した熱型赤外線センサが記載されている(特許文献1参照)。この庇状の赤外線吸収層は、赤外線受光部に対する開口部を避けるよう方向に設けられ、その一部が中空上となるように支持されている。特許文献1では、庇状の赤外線吸収層が開口部を避ける方向に設けられているため、開口率が増加し、赤外線受光部上に設けられた赤外線吸収層における入射赤外線の吸収率が向上する。
【0004】
又、特開2006−226981では、赤外線吸収膜における入射面側の表面に凸凹構造を設けることで赤外線の吸収率を増加させ、感度を向上させる赤外線センサが記載されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−215151
【特許文献2】特開2006−226981
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の熱型赤外線センサでは、開口率を増加させることで、赤外線の検出感度を向上させているが、更に検出感度を向上させるため、庇状の赤外線吸収層における赤外線吸収率を上げることが求められている。
【0007】
従って、本発明の目的は、赤外線吸収層の赤外線吸収率を増加させて、熱型赤外線センサの検出感度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下に述べられる手段を採用する。その手段を構成する技術的事項の記述には、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]の記載との対応関係を明らかにするために、[発明を実施するための形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し、付加された番号・符号は、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲を限定的に解釈するために用いてはならない。
【0009】
本発明による熱型赤外線センサは、赤外線受光部(11)と、回路基板(1)上の空洞部を介して保持され、入射する赤外線を熱変換して得た熱を赤外線受光部(11)に伝達する赤外線吸収膜とを具備する。赤外吸収膜における赤外線入射面と、入射面の裏面である空洞部側の透過面とに、赤外線吸収膜の膜厚より大きく、膜厚の10倍以下の幅の凸部又は凹部が形成されている。
【0010】
本発明では、赤外線吸収膜の入射面のみならず透過面にも凹凸形状が形成されている。このため、赤外線吸収膜の入射面のみならず透過面に対して入射する赤外線の反射が抑制され、赤外線吸収率が増大する。
【0011】
又、本発明による熱型赤外線センサの製造方法は、赤外線受光部(11)を形成するステップと、熱処理によって犠牲層を形成するステップと、犠牲層の表面に凸部又は凹部を形成するステップと、凸部又は凹部を有する犠牲層の表面上に、赤外線受光部(11)に接続された赤外線吸収膜を形成するステップと、犠牲層を除去するステップとを具備する。
【0012】
後に除去される犠牲層の表面に凹凸形状を形成し、その上層に赤外線吸収膜を形成することで、赤外線吸収膜は凹凸形状となる。これにより、赤外線吸収膜の入射面のみならずその裏面の透過面は凹凸形状となり、赤外線吸収率が増大する。
【発明の効果】
【0013】
従って、本発明によれば、赤外線吸収率の増大に伴い、熱型赤外線センサの検出感度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明による熱型赤外線検出素子の構造を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明による庇状赤外線吸収膜の表面構造の一例を示す平面図である。
【図3】図3(a)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の一例を示す図である。図3(b)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の他の一例を示す図である。図3(c)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の更に他の一例を示す図である。
【図4】図4(a)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の一例を示す図である。図4(b)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の他の一例を示す図である。図4(c)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の更に他の一例を示す図である。図4(d)は、本発明による庇状赤外線吸収膜の断面構造の更に他の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明による庇状赤外線吸収膜の表面構造の他の一例を示す平面図である。
【図6】図6は、本発明による庇状赤外線吸収膜の表面構造の更に他の一例を示す平面図である。
【図7A】図7Aは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7B】図7Bは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7C】図7Cは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7D】図7Dは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7E】図7Eは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7F】図7Fは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7G】図7Gは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7H】図7Hは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7I】図7Iは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7J】図7Jは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7K】図7Kは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7L】図7Lは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図7M】図7Mは、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程を示す断面図である。
【図8】図8(a)は、犠牲層上に形成される凹凸パタンの一例である。図8(b)は、犠牲層上に形成される凹凸パタンの他の一例である。
【図9】図9は、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程の他の一例を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明による熱型赤外線検出素子の製造工程の更に他の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図面において同一、又は類似の参照符号は、同一、類似、又は等価な構成要素を示している。本発明による熱型赤外線センサは、入射される赤外線を赤外線吸収体で熱変換し、得られた熱によって感熱抵抗体(赤外線受光部)の抵抗値を変動させて赤外線量(温度)を検出する。以下では、感熱抵抗体(赤外線受光部)としてボロメータを用いた熱型赤外線センサを一例に実施の形態を説明する。
【0016】
(熱型赤外線検出素子100の構造)
図1から図6を参照して、本発明による熱型赤外線検出素子100の構造を説明する。図1は、本発明による熱型赤外線検出素子100の構造を示す断面図である。通常、複数の熱型赤外線検出素子100がアレイ状配列されて1つの熱型赤外線センサとして機能する。図1では、赤外線センサの1画素(熱型赤外線検出素子100)を電流経路に沿った断面構造が示される。
【0017】
図1を参照して、本発明による熱型赤外線検出素子100は、回路基板1内に設けられた読み出し回路2と、読み出し回路2上に設けられた赤外線検出部10を具備する。読み出し回路2は、シリコンウェハなどの半導体ウェハ内部(回路基板1)にCMOSプロセスにより形成される。読み出し回路2は、入射された赤外線によって変動するボロメータの抵抗値を電気信号として検出する。赤外線検出部10は、赤外線反射膜3、保護膜4、赤外線吸収膜5(第1赤外線吸収膜)、ボロメータ層6、赤外線吸収膜7(第2赤外線吸収膜)、配線8、赤外線吸収膜9(第3赤外線吸収膜)、電極部13、コンタクト部14、及び庇状赤外線吸収膜17(第4赤外線吸収膜)を備える。
【0018】
以下、赤外線検出部10の構造を詳細に説明する。赤外線検出部10には、回路基板1上に保護膜4に表面が被覆された赤外線反射膜3が形成され、保護膜4の上部領域に、空洞部12を介して下層側から赤外線吸収膜5、ボロメータ層6、赤外線吸収膜7、赤外線吸収膜9が順に積層されている。ボロメータ層6の上部領域には、赤外線吸収膜9を露出面とした開口面が形成される。ボロメータ層6は、配線8及びコンタクト部14を介して読み出し回路2に接続される。赤外線吸収膜5、赤外線吸収膜7、配線8、赤外線吸収膜9は、ボロメータ層6を中空で支える梁30として機能する。これにより、ボロメータ層6及び赤外線吸収膜5、7、9、17で形成される受光部11が、空洞部12によって回路基板1(赤外反射膜3)から熱的に分離される。
【0019】
赤外線反射膜3は、例えばAl、Ti、W、又はそれらのシリサイド膜などによって形成される。赤外線反射膜3は、上部に形成される赤外線吸収膜5、7、9、17を透過した赤外線を反射して再び、赤外線吸収膜5、7、9、17に入射することができるため、赤外線吸収膜5、7、9、及び後述する庇状赤外線吸収膜17の赤外線吸収効率を向上させることができる。保護膜4は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜で形成されることが好適である。赤外線吸収膜5、7、9及び庇状赤外線吸収膜17は、例えば8〜14μmの波長帯の赤外線を吸収する材料(例示:SiO、SiN、SiC、SiON、SiCN、又はSiCO)で形成されることが好適である。ボロメータ層6は、抵抗温度係数(TCR)が大きい材料であれば良く、酸化バナジウムで形成されることが好適である。その他の例としては、NiMoCo酸化物、Ti金属薄膜、多結晶シリコン薄膜、非晶質シリコン薄膜、非晶質シリコンゲルマニウム薄膜、(La、Sr)MnO3薄膜、YBaCuO薄膜などをボロメータ層6として用いることもできる。配線8は熱伝導率が小さければよくTiによって形成されることが好適であるが、Ti合金やNiCrによって形成されてもよい。又、ボロメータ層6として多結晶シリコンや非晶質シリコンをボロメータを使用する場合、シリコンにボロンや砒素を高濃度に注入・拡散した拡散層を配線8として利用することができる。
【0020】
ボロメータ層6には、赤外線吸収膜9を介して庇状赤外線吸収膜17が接続される。庇状赤外線吸収膜17は、赤外線吸収膜9との接続部分によって支持され、他の部分は中空に延設されている。ここで、庇状赤外線吸収膜17は、受光部11上の開口面を避けるように延設されているため、庇状赤外線吸収膜17によって受光部11の開口率が減少することはない。又、庇状赤外線吸収膜17において空中に支持される庇状の領域の少なくとも一部は、ボロメータ層6と概平行な平面形状であり、その表面及び裏面が凹凸状の凹凸状吸収面15を形成している。凹凸状吸収面15は、受光部11の開口面を避ける方向に延設される。すなわち、凹凸状吸収面15は、梁30を含む領域上に形成される。又、凹凸状吸収面15と、梁30を含む領域及び回路基板1との間は空洞部16が形成され、両者は熱的に分離される。
【0021】
以上のような構成により、8〜14μmの波長帯の大気の窓を通過して入射して通過する赤外線は、赤外線吸収膜5、7、9及び庇状赤外線吸収膜17によって熱変換される。変換された熱は、受光部11に伝達されボロメータ層6を加熱する(又は減熱する)。受光部11の温度変化に伴ってボロメータ層6の抵抗が変化することで、配線8を流れる電流値が変化する。赤外線センサは、読み出し回路2によってこの電流値の変化を検出することで赤外線量(温度)を検出する。
【0022】
本発明による加熱型赤外線検出素子100では、庇構造の庇状赤外線吸収膜17によって、赤外線の吸収率を向上させることができる。庇状赤外線吸収膜17では、凹凸形状によって入射する赤外線が分散され反射が抑制されるため、赤外線の吸収効率が高まる。又、本発明による庇状赤外線吸収膜17では表面のみならず裏面にも凹凸形状を有している。このため、入射する赤外線に対する吸収率のみならず回路基板1側から反射された赤外線に対する吸収率も向上する。当然ながら、庇状赤外線吸収膜17は、その構造上開口面に入射する赤外線を妨げないため、開口率を減少させることはない。
【0023】
図2から図6を参照して、凹凸状吸収面15の構造の詳細を説明する。図2は、本発明による庇状赤外線吸収膜17(凹凸状吸収面15)の表面構造の一例を示す平面図である。図2におけるA−A’断面の一例を図3(a)〜図3(c)、図4(a)〜図4(d)に示す。
【0024】
凹凸状吸収面15の表面及び裏面には凹凸形状が形成されている。図2を参照して、凹凸状吸収面15には、底部の形状が矩形の凸部(山部)及び凹部(谷部)が、X方向及びY方向に複数形成される。凹凸状吸収面15における赤外線の入射面側に凸部が形成されている場合、凹凸状吸収面15は、図3(a)〜図3(c)のような断面構造を示す。この場合、透過面において、入射面に形成された凸部に対応する位置に凹部が形成される。例えば、図2及び図3(a)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面には角柱状の凸部(山部)が形成され、透過面において凸部に対応する領域には角柱状の凹部(谷部)が形成される。あるいは、図2及び図3(b)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面には角錘状の凸部(山部)が形成され、透過面において凸部に対応する領域には角錘状の凹部(谷部)が形成されてもよい。さらに、図2及び図3(c)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面に頭頂領域が水平面をなす錘状の凸部(山部)が形成され、裏側の透過面において凸部に対応する領域には底面領域(凸部の頭頂領域に対応)が水平面をなす錘状の凹部(谷部)が形成されてもよい。
【0025】
一方、凹凸状吸収面15における赤外線の入射面側に凹部が形成されている場合、凹凸吸収面15は、図4(a)〜図4(d)のような断面構造を示す。この場合、入射面の裏側の透過面において、入射面に形成された凹部に対応する位置に凸部が形成される。例えば、図2及び図4(a)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面には角柱状の凹部(谷部)が形成され、透過面において凹部に対応する領域には角柱状の凸部(山部)が形成される。あるいは、図2及び図4(b)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面には角錘状の凹部(谷部)が形成され、透過面において凹部に対応する領域には角錘状の凸部(山部)が形成されてもよい。更に、図2及び図4(c)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面に底面領域が水平面をなす錘状の凹部(谷部)が形成され、裏側の透過面において凹部に対応する領域には頭頂領域(凹部の底面領域に対応)が水平面をなす錘状の凸部(山部)が形成されてもよい。更に、図2及び図4(d)に示すように、凹凸状吸収面15の入射面に底面領域が水平面をなす逆錘状の凹部(谷部)が形成され、裏側の透過面において凹部に対応する領域には頭頂領域(凹部の底面領域に対応)が水平面をなす逆錘状の凸部(山部)が形成されてもよい。
【0026】
又、凹凸吸収面15に形成される凹凸形状は、図5に示すように底面を円形とする凸部又は凹部が形成されても構わない。この場合、図3(a)〜図3(c)及び図4(a)〜図4(d)は、図5に示すA−A’断面を示し、凸部及び凹部は、円柱状、円錐状、又は頭頂領域(底面領域)が水平面をなす円錐状等で形成される。更に、凹凸形状(凸び及び凹部)の密度を高めるため図6に示すように、底面の形状が多角形(例えば六角形)であっても構わない。この場合、図3(a)〜図3(c)及び図4(a)〜図4(d)は、図6に示すA−A’断面を示し、上述の一例と同様に凸部及び凹部が形成される。凸部又は凹部の底面形状は、上述の例に限らず、楕円やその他の形状でも構わない。
【0027】
更に、上述では、凹凸状吸収面15の入射面に凸部又は凹部の一方のみが形成された一例を示したが、凸部と凹部が混在して形成されていても構わない。この場合、入射面の裏面である透過面にも凸部と凹部が混在して形成される。又、凹凸状吸収面15に形成される凹凸パタンの形状は、様々なバリエーションのパタン(例えば角柱と円錐)を混在させても構わない。
【0028】
(熱型赤外線検出素子100の製造方法)
次に、図7A〜図7Mを参照して、本発明による熱型赤外線検出素子100を製造方法について説明する。尚、以下に説明する構造や方法は例示であり、製造条件や膜厚などは適宜変更することができる。
【0029】
図7Aを参照して、シリコンウェハなどの回路基板1内に、従来と同様の手法を用いて信号読み出しのCMOS回路(読み出し回路2)などを形成する。次に、回路基板1(読み出し回路2)上に、各画素の受光部11に入射する赤外線を反射するための赤外線反射膜3を形成すると共に、コンタクト部14を形成する。詳細には、スパッタ法を用いて、回路基板1上にAl、Ti、Wなどの金属、又は、それらのシリサイド膜などを300〜1000nm程度の膜厚で堆積する。そして、フォトリソグラフィ技術を用いて形成したレジストパタンをマスクとして、堆積した金属又はシリサイド膜を部分的にエッチングして赤外線反射膜3を形成すると共に、コンタクト部14を形成する。更に、CVD法を用いて、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜、又はシリコン酸窒化膜などを堆積して、赤外線反射膜3及びコンタクト部14を保護するための保護膜4を形成する。
【0030】
図7Bを参照して、保護膜4上における受光部11となる領域に、犠牲層12aを堆積する。詳細には、保護膜4上に感光性ポリイミド膜などの有機膜を塗布し、露光・現像により受光部11が形成される領域以外の感光性ポリイミド膜を除去した後、400℃程度の温度で焼締めを行う。これにより、マイクロブリッジ構造を形成するための犠牲層12aが形成される。犠牲層12aの膜厚は、1.0〜2.0μm程度の膜厚に設定されることが好ましい。
【0031】
図7Cを参照して、PVD法又はCVD法を用いて、犠牲層12a上に、赤外線吸収膜5を100〜1000nmの膜厚で成膜する。赤外線吸収膜5として、SiCO、SiO、SiN、SiC、SiON、又はSiCNなどが好適に利用される。又、赤外線吸収膜5として、例示した材料以外も利用することができる。ただし、赤外線吸収膜5として利用される材料は、後述する犠牲層12aのエッチングに対して耐性があり、その上に形成されるボロメータ層6を支持できる強度を有していることが好ましい。
【0032】
図7Dを参照して、赤外線吸収膜5の上層にボロメータ層6を形成する。詳細には、先ず、赤外線吸収膜5の上に、酸素雰囲気の反応性スパッタにより酸化バナジウムを堆積する。次に、レジストパタンをマスクとして、F系ガスを用いたプラズマエッチングにより酸化バナジウム薄膜を部分的にエッチングし、ボロメータ層6を形成する。なお、ここではボロメータ層6として酸化バナジウム薄膜を用いているが、上述した抵抗温度係数(TCR)の大きい他の材料を用いることもできる。
【0033】
図7Eを参照して、PVD法又はCVD法を用いて、赤外線吸収膜5及びボロメータ層6の上層に、赤外線吸収膜7を10〜100nmの膜厚で成膜する。赤外線吸収膜7として、SiCO、SiO、SiN、SiC、SiON、又はSiCNなどが好適に利用される。又、赤外線吸収膜7として、例示した材料以外も利用することができる。ただし、赤外線吸収膜7として利用される材料は、後述する犠牲層12aのエッチングに対して耐性があり、ボロメータ層6との密着性がよく相互作用のない材料を選択することが好ましい。赤外線吸収膜7の形成後、レジストパタンをマスクとして、F系エッチングガスを用いてエッチングを行い、コンタクト部14上の赤外線吸収膜5、7を除去するとともに、ボロメータ層6の端部における赤外線吸収膜7を除去して電極部13を形成する。
【0034】
図7Fを参照して、ボロメータ層6(電極部13)とコンタクト部14を電気的に接続する配線8を形成する。詳細には、PVD法により、Ti、Ti合金、又はNiCr等の配線金属を成膜した後、レジストパタンをマスクとして、塩素と三塩化ホウ素の混合ガスを用いたプラズマエッチングにより配線金属を部分的にエッチングして配線8を形成する。配線8は、ボロメータ層6の電極部13と回路基板1のコンタクト部14とを電気的に接続するとともに、受光部11を中空に保持する梁30としての役割を果たす。
【0035】
図7Gを参照して、PVD法又はプラズマCVD法を用いて、回路基板1上の露出面の上層に、赤外線吸収膜9を10〜500nmの膜厚で成膜する。赤外線吸収膜9として、SiCO、SiO、SiN、SiC、SiON、又はSiCNなどが好適に利用される。又、赤外線吸収膜9として、例示した材料以外も利用することができる。ただし、赤外線吸収膜9として利用される材料は、後述する犠牲層12aのエッチングに対して耐性があることが好ましい。
【0036】
赤外線吸収膜9の形成後、レジストパタンをマスクとして、F系エッチングガスを用いてエッチングを行い、赤外線吸収膜5、7、9を貫通するスルーホール(図示なし)を形成する。
【0037】
図7Hを参照して、赤外線吸収膜9の上層に犠牲層16aを堆積する。詳細には、赤外線吸収膜9上に感光性ポリイミド膜などの有機膜を塗布し、露光・現像により電極部13周辺の感光性ポリイミド膜を除去する。この際、犠牲層16aの最上層はボロメータ層6と概平行、又は所定の局率で湾曲した平面が形成される。これにより、犠牲層16aの表面形状は、庇状にパターニングされる。パターニングされた感光性ポリイミド膜を400℃程度の温度で焼締めを行うことで、犠牲層16aが形成される。この際、加熱によるポリイミドの収縮により、電極部13を避ける方向に斜面が形成される。犠牲層16aの厚さは、1〜2μm程度の膜厚に設定されることが好ましい。
【0038】
本発明では、焼締め後の犠牲層16aの表面に、凹凸パタン20を形成する。後の工程において凹凸パタン20上に赤外線吸収膜を形成することで、凹凸吸収面15を有する庇状赤外線吸収膜17を形成することができる。以下では、犠牲層16aの表面に凹凸パタン20を形成する方法の実施例を3つ示す。
【0039】
先ず、凹凸パタン20を形成する方法の第1実施例として、図7I〜図7Lに示すように、凹凸パタンが形成されたマスク層18を犠牲層16a上に形成し、犠牲層16aの表面をエッチングする方法がある。以下、凹凸パタン20を形成する方法の第1実施例の詳細を説明する。
【0040】
図7Iを参照して、回路基板1上の露出面上(犠牲層16a及び電極部13の表面上)にPVD法又はCVD法を用いて、マスク層18を100nm程度以下で堆積する。マスク層18は、SiCO、SiO、SiN、SiC、SiON、又はSiCNが好適に利用される。又、マスク層18は、後の工程で除去されるが、一部が取り残されることがある。このため、取り残されたマスク層18も赤外線吸収膜として機能させるため、マスク層18は赤外線を吸収できる材質であることが好ましい。
【0041】
図7Jを参照して、マスク層18上に所定のパタンのレジスト19を形成し、レジスト19をマスクとしてF系ガスを用いたエッチングによりマスク層18をエッチングする。例えば、ステッパーを用いて0.2〜1.0μm□の短径パタン(凸部の幅、又は凹部の幅)が0.2〜1.0μmの間隔で配置されるレジスト19を、マスク層18上に形成してエッチングを行なう。ただし、凸部又は凹部の幅及び間隔は、後の工程で形成する庇状赤外線吸収膜17の膜厚よりも大きく設定される。
【0042】
次に、図7K及び図7Lを参照して、マスク層18をマスクとして、F系エッチングガスを用いて犠牲層16aの表面をエッチングし、凹凸パタン20を形成する。図7Mを参照して、表面に凹凸パタン20を形成した犠牲層16aの上に庇状赤外線吸収膜17となるSiCO、SiO、SiN、SiC、SiON、又はSiCN膜をPVD法あるいはCVD法を用いて100〜500nm程度堆積する。凹凸パタン20上に赤外線吸収体を塗布することで、凹凸パタン20に応じた形状の凹凸吸収面15を形成することができる。
【0043】
図8(a)を参照して、犠牲層16aに形成される凹凸パタンの一例を示す。図8(a)は、凹凸パタン20の構造の一例を示す断面図である。例えば、犠牲層16aの表面には、凹凸パタン20として角柱状の凸部が複数形成される。この場合、赤外線の吸収効率の観点から、凸部の底面の各辺の幅をW1、高さをh、隣接する凸部との距離(間隔)をdとすると、幅W1に対する高さhの比率h/W1が1以上、凸部の間隔dが高さhよりも小さく(h>d)なるように凹凸パタン20を形成することが好ましい。このような、凹凸パタン20上に赤外線吸収体を塗布することで、図2及び図3(a)に示す形状の凹凸吸収面15を形成することができる。
【0044】
凹凸パタン20は、角柱を配列した形状のみならず、円柱、あるいは、錘状(円錐状や角錐状)の凸部を複数配列した形状でも良い。例えば、図8(b)に示すように頭頂部がボロメータ層6に概水平な面を有する錘状の凸部が複数配置された凹凸パタン20が形成されても良い。この場合も、赤外線の吸収効率の観点から、凸部(錘状体)の底面の幅W1に対する高さhの比率h/W1が1以上、凸部の間隔dが高さhより小さく(h>d)なるように、凹凸パタン20を形成することが好ましい。このような、凹凸パタン20上に赤外線吸収体を塗布することで、図2及び図3(c)に示す形状の凹凸状吸収面15を形成することができる。凹凸パタン20における突起(凸部)の形状はエッチングの条件(マスクパタンやエッチング時間等)を調整することによって、角錐状、円錐状、円柱状、あるいは底面が多角形の柱状又は錘状とすることができる。エッチングによって犠牲層16a上の凹凸パタン20を任意の形状に形成することで、凹凸状吸収面15の形状を上述した一例のように形成することができる。
【0045】
更に、上述の例では、凹凸パタン20として複数の凸部を形成したが、入射赤外線を分散させて反射を抑制するためには表面が平坦でなければよく、凸部に代えて凹部を形成しても良い。
【0046】
例えば、図8(a)を参照して、犠牲層16aの表面には、凹凸パタン20として角柱状の凹部が複数形成される。この場合、赤外線の吸収効率の観点から、凹部の上面の各辺の幅をW2、深さをh、隣接する凹部との距離(間隔)をdとすると、幅W2に対する深さhの比率h/W1が1以上、凸部の間隔dが深さhよりも小さく(h>d)なるように凹凸パタン20を形成することが好ましい。このような、凹凸パタン20上に赤外線吸収体を塗布することで、図2及び図4(a)に示す形状の凹凸状吸収面15を形成することができる。
【0047】
又、凹凸パタン20は、角柱を配列した形状のみならず、円柱、あるいは、錘状(円錐状や角錐状)の凹部を複数配列した形状でも良い。例えば、図8(b)に示すように頭頂部がボロメータ層6に概水平な面を有する錘状の凹部が複数配置された凹凸パタン20が形成されても良い。この場合も、赤外線の吸収効率の観点から、凹部(錘状体)の上面の幅W2に対する深さhの比率h/W2が1以上、凹部の間隔dが深さhより小さく(h>d)なるように、凹凸パタン20を形成することが好ましい。このような、凹凸パタン20上に赤外線吸収体を塗布することで、図2及び図4(c)に示す形状の凹凸状吸収面15を形成することができる。凹凸パタン20における凹部の形状はエッチングの条件(マスクパタンやエッチング時間等)を調整することによって、角錐状、円錐状、円柱状、あるいは底面が多角形の柱状又は錘状とすることができる。エッチングによって犠牲層16a上の凹凸パタン20を任意の形状に形成することで、凹凸状吸収面15の形状を上述した一例のように形成することができる。例えば、凹凸状吸収面15が、図4(c)に示すような、上部の幅が底部の幅よりも大きい順テーパー状となるように側面を傾斜させたり、図4(d)に示すように上部の幅が底部の幅よりも小さい逆テーパー状となるように側面を傾斜させたり、角を丸めた形状にすることもできる。
【0048】
凹凸パタン20における凸部や凹部の形状や間隔は適宜設定することができるが、通常のフォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術で形成可能な範囲で、赤外線の吸収効率を高める形状や寸法が設定されることが好ましい。凹凸パタン20における、凸部や凹部の形状は任意であり、平面構造を任意の多角形や円、楕円などにすることもできる。
【0049】
庇状赤外線吸収膜17の形成後、レジストパタンをマスクとして、F系エッチングガスでプラズマエッチングを行い、庇状赤外線吸収膜17にスリット(図示なし)を形成する。この際、ボロメータ層6の上部に形成された庇状赤外線吸収膜17は除去され、開口部を形成する。続いて、酸素プラズマ等を利用したアッシング装置を用いて犠牲層12a、16aを除去することで、空洞部12、16を形成する。これにより、ボロメータ層6、赤外線吸収膜5、7、9及び庇状赤外線吸収膜17の一部は、回路基板1に対して熱分離される。
【0050】
以上のような工程によって、図1に示す赤外線検出素子100を形成することができる。
【0051】
次に、図9を参照して、凹凸パタン20を形成する方法の他の一例(第2実施例)について説明する。図7Aから図7Hまでの製造工程は上述と同様なので説明は省略する。犠牲層16aを形成後、ステッパーを用いて0.2〜1.0μm□の短径状パタンが0.2〜1.0μmの間隔で配置されたレジストパタン(レジスト21)を犠牲層16a上に形成する。ただし、凸部又は凹部の幅及び間隔は、後の工程で形成する庇状赤外線吸収膜17の膜厚よりも大きく設定される。そして、図9に示すように、レジスト21をマスクとしてF系エッチングガスを用いて犠牲層16aの表面をエッチングし、上述と同様な形状の凹凸パタン20を形成する。
【0052】
その後の工程は、図7Mに示す工程と同様に、表面に凹凸パタン20を形成した犠牲層16aの上に庇状赤外線吸収膜17を堆積する。凹凸パタン20上に赤外線吸収体を塗布することで、凹凸パタン20に応じた形状の凹凸状吸収面15を形成することができる。
【0053】
次に、図10を参照して、凹凸パタン20を形成する方法の更に他の一例(第3実施例)について説明する。図7Aから図7Hまでの製造工程は上述と同様なので説明は省略する。犠牲層16aを形成後、犠牲層16aを形成後、犠牲層16aの最表面層をエッチングすることにより、表面ラフネス22(凹凸形状)を形成する。ここで表面ラフネス22における凹部の底部と凸部の頭頂部の差は、エッチング量(例えばエッチング時間)により適宜設定できる。表面ラフネス22上に赤外線吸収体を堆積することにより、入射面と透過面の両面に凹凸形状を有する凹凸状吸収面15(庇状赤外線吸収膜17)を形成することができる。
【0054】
第2、第3の実施例において、庇状赤外線吸収膜17が形成されると、第1実施例と同様に、庇状赤外線吸収膜17にスリットが形成され、アッシング装置を用いて犠牲層12a、16aが除去される。以上のように、熱型赤外線検出素子100が形成される。
【0055】
以上のように、本発明による熱型赤外線検出素子100では、デバイス製造の最終工程において酸素プラズマによるアッシング等によって除去される犠牲層12a、16aを除去することで、犠牲層12a、16a上に形成された赤外線吸収膜及び受光部11を空中に浮かせた熱分離構造とすることができる。又、本発明ではエッチング等の処理によって焼結後の犠牲層16aの表面に凹凸パタン20を形成し、その上に赤外線吸収膜を塗布している。このため、犠牲層16a上に形成される庇状赤外線吸収膜17の表面(入射面)及び裏面(透過面)には凹凸パタン20に応じた凹凸形状(凹凸吸収面15)が形成される。
【0056】
従来の赤外線検出素子では、赤外線吸収体は平坦な膜のみで形成されていたため、入射する赤外線が赤外線吸収層で反射されやすく、入射する赤外線を効率よく吸収することができないという問題があった。一方、本発明による庇状赤外線吸収膜17では、入射面のみならず透過面にも凹凸形状が形成されているため、入射面側と透過面側の両面において入射光の反射が抑制される。このため、庇状赤外線吸収膜17における赤外線吸収効率は飛躍的に増大する。特許文献2では、赤外線の入射面側のみに凸状パタンが形成されているため、入射光のみの吸収効率を高めているに過ぎない。しかし本発明による赤外線検出素子では、入射面の裏側の透過面にも凹凸パタンが形成されているため、透過光や、赤外線反射膜3(基板側)からの反射光も効率的に吸収して熱変換することができる。
【0057】
又、上述した実施の形態では、庇状赤外線吸収膜17の両面に凹凸形状を形成したが、これに限らず、ボロメータ層6の下層にある赤外線吸収膜5の入射面及び透過面に凹凸形状を形成しても良い。この場合、図7Bに示す犠牲層12aを形成した後、犠牲層12aの表面にエッチング等の処理によって凹凸パタンを形成し、その上に赤外線吸収体を堆積することで、入射面及び透過面に凹凸形状を有する赤外線吸収膜5を形成することができる。赤外線吸収膜5に凹凸形状を形成することで、入射光及び透過光、あるいは赤外線反射膜3(基板側)からの反射光の吸収効率が増大する。
【0058】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。本実施の形態では、熱型赤外線素子として、ボロメータを使用しているが、サーモパイルや焦電センサ等の他の熱型赤外線センサにも適用できる。
【0059】
又、本発明の構造は、熱型赤外線検出素子の受光部を構成する赤外線吸収体に限らず、赤外線を効率よく吸収するための構造全体に適用することができる。例えば、太陽電池の表面に形成する反射抑制材料として利用したり、バンドパスフィルタなどのフィルタ材料として利用したりすることができる。
【符号の説明】
【0060】
1:回路基板
2:読み出し回路
3:赤外線反射膜
4:保護膜
5、7、9:赤外線吸収膜
6:ボロメータ層
8:配線
10:赤外線検出部
11:受光部
12、16:空洞部
12a、16a:犠牲層
13:電極部
14:コンタクト部
15:凹凸状吸収面
17:庇状赤外線吸収膜
18:マスク層
19、21:レジスト
20:凹凸パタン
22:表面ラフネス
30:梁
100:赤外線検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線受光部と、
回路基板上の空洞部を介して保持され、入射する赤外線を熱変換して得た熱を前記赤外線受光部に伝達する赤外線吸収膜と、
を具備し、
前記赤外吸収膜における赤外線入射面と、前記入射面の裏面である前記空洞部側の透過面とに、前記赤外線吸収膜の膜厚より大きく、前記膜厚の10倍以下の幅の凸部又は凹部が形成されている
熱型赤外線センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記入射面に複数の凸部が形成され、前記透過面において前記複数の凸部に対応する位置に複数の凹部が形成されている
熱型赤外線センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記入射面に複数の凹部が形成され、前記透過面において前記複数の凹部に対応する位置に複数の凸部が形成されている
熱型赤外線センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記凸部又は前記凹部の高低差hは、前記凸部又は前記凹部の幅より大きく、隣接する前記凸部又は前記凹部の間隔より大きい
熱型赤外線センサ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記凸部又は前記凹部は、角柱、角錐、円柱、円錐のいずれかから選択される形状である
熱型赤外線センサ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
空洞部を介して前記赤外線受光部の下部に形成された赤外線反射膜を更に備える
熱型赤外線センサ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記赤外線吸収膜は、前記赤外線受光部の下層に形成される
熱型赤外線センサ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記赤外線吸収膜は、前記赤外線受光部の上層に形成され、前記赤外線受光部における開口部を避ける方向に延設される
熱型赤外線センサ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記赤外線受光部は、ボロメータを備える
熱型赤外線センサ。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記赤外線受光部は、サーモパイルを備える
熱型赤外線センサ。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサにおいて、
前記赤外線受光部は、昇電センサを備える
熱型赤外線センサ。
【請求項12】
赤外線受光部を形成するステップと、
熱処理によって犠牲層を形成するステップと、
前記犠牲層の表面に凸部又は凹部を形成するステップと、
前記凸部又は前記凹部を有する前記犠牲層の表面上に、前記赤外線受光部に接続された赤外線吸収膜を形成するステップと、
前記犠牲層を除去するステップと、
を具備する
熱型赤外線センサの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の熱型赤外線センサの製造方法において、
前記犠牲層の表面に凸部又は凹部を形成するステップは、
前記犠牲層の表面に、前記赤外線吸収膜の膜厚より大きく、前記膜厚の10倍以下の幅の凸部又は凹部を形成するステップを備える
熱型赤外線センサの製造方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の熱型赤外線センサの製造方法において、
前記凸部又は前記凹部の高低差hは、前記凸部又は前記凹部の幅より大きく、隣接する前記凸部又は前記凹部の間隔より大きい
熱型赤外線センサの製造方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサの製造方法において、
前記犠牲層の下層に赤外線反射膜を形成するステップを更に具備する
熱型赤外線センサの製造方法。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサの製造方法において、
前記赤外線吸収膜は、前記赤外線受光部の下層に形成される
熱型赤外線センサの製造方法。
【請求項17】
請求項12から15のいずれか1項に記載の熱型赤外線センサの製造方法において、
前記赤外線吸収膜は、前記赤外線受光部の上層に形成され、前記赤外線受光部における開口部を避ける方向に延設される
熱型赤外線センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【図7L】
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【図7M】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−210293(P2010−210293A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54227(P2009−54227)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】