説明

熱界面材料の製造方法

【課題】本発明は、熱界面材料の製造方法に関し、特にカーボンナノチューブを利用した熱界面材料の製造方法に関するものである。
【解決手段】本発明の熱界面材料の製造方法は、基板にカーボンナノチューブアレイを成長させる第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイの一つの表面に少なくとも一種の金属を堆積させる第二ステップと、前記カーボンナノチューブアレイ及び前記少なくとも一種の金属を加熱させて、前記金属を溶かす第三ステップと、を含む。前記第二ステップにおいては、伝送装置を利用して、前記カーボンナノチューブアレイの一側から前記カーボンナノチューブアレイに少なくとも一種の金属を堆積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱界面材料の製造方法に関し、特にカーボンナノチューブを利用した熱界面材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体チップの高集積化に伴って、電気部品の小型化の研究が進んでいるので、小型電気部品の放熱性をさらに高めることが益々注目されている。それに対応して、小型電気部品の表面に放熱ユニットを設置する手段は、この技術領域において広く利用されている。従来の熱伝導材料は、高熱伝導の粒子が基板に分散されてなる複合材料である。ここで、高熱伝導の粒子としては、石墨、ダイヤモンド、酸化亜鉛、アルミナ、銀や他の金属などである。しかし、前記高熱伝導の粒子は不規則的に前記基板に分布されているので、前記熱伝導材料の両面の間に放熱パスが形成されない。従って、前記熱伝導材料の熱伝導係数が最小の1W/K・m程度に達するので、電子部品に対応する高放熱性を満足できないという問題がある。
【0003】
上述の問題を解決するために、金属が熱界面材料として利用されている。しかし、金属の熱膨張係数は半導体より高いので、温度サイクルの過程において、機械的応力が生じ、電子部品に過度に応力を与えて、電子部品の破損を起こすという不都合がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のカーボンナノチューブを利用した熱界面材料の製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明のカーボンナノチューブを利用した熱界面材料の製造設備の模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1を参照すると、本発明の熱界面材料の製造方法は、基板にカーボンナノチューブアレイを成長させる第一ステップと、前記カーボンナノチューブアレイの一つの表面に少なくとも一種の金属を堆積させる第二ステップと、前記カーボンナノチューブアレイ及び前記少なくとも一種の金属を加熱させて、前記金属を溶かす第三ステップと、を含む。
【0016】
前記第一ステップにおいて、前記カーボンナノチューブアレイは超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献2)であることが好ましい。
【0017】
本実施形態において、化学気相堆積(CVD)法により前記カーボンナノチューブアレイを成長させる。まず、基板を提供する。該基板としては、P型又はN型のシリコン基板、又は表面に酸化物が形成されたシリコン基板が利用される。本実施形態においては、厚さが4インチのシリコン基板を提供する。次に、前記基板の表面に触媒層を蒸着させる。該触媒層は、Fe、Co、Ni又はそれらの合金である。次に、前記触媒層が蒸着された前記基板を、700〜900℃、空気雰囲気において30〜90分間アニーリングする。最後に、反応装置内において、保護ガスを導入すると同時に前記基板を500〜700℃に加熱して、5〜30分間カーボンを含むガスを導入する。
【0018】
本実施形態において、前記カーボンを含むガスは、エチレン、メタン、アセチレン、エタン、またはその混合物などの炭化水素であり、保護ガスは窒素やアンモニアなどの不活性ガスである。勿論、前記カーボンナノチューブアレイは、アーク放電法又はレーザー蒸発法でも得られる。前記方法により、前記超配列カーボンナノチューブアレイにアモルファスカーボン又は触媒である金属粒子などの不純物が残らず、純粋なカーボンナノチューブアレイが得られる。
【0019】
図2を参照すると、前記第二ステップにおいて、伝送装置100を利用して、前記カーボンナノチューブアレイ10の一側から前記カーボンナノチューブアレイ10に少なくとも一種の金属104を堆積させる。前記伝送装置100は、伝送板102と、密封部110と、を備えている。伝送板102及び密封部110により、チャンバー(図示せず)を形成する。前記カーボンナノチューブアレイ10は、前記チャンバー内に設置されている。前記伝送板102は中空部106を含む。該中空部106は、前記少なくとも一種の金属104を蓄えるために設けられている。前記中空部106は前記カーボンナノチューブアレイ10に対向するように設置されている。さらに、前記伝送板102に、前記中空部106を外部と接触させるための孔108が設けられている。前記密封部110は、前記伝送板102を支持して、前記伝送板102を前記カーボンナノチューブアレイ10の上方に固定させる。前記密封部110は前記カーボンナノチューブアレイ10より高く設けられ、前記伝送板102及び前記カーボンナノチューブアレイ10の間に隙間112を形成する。
【0020】
前記金属104の融点は265℃以下である。例えば、前記金属104は、銅、インジウム、鉛、アンチモン、金、銀、ビスマス又はそれらの合金である。前記金属104は、単層構造又は多層構造である。単層構造の前記金属104は、スズ鉛合金、インジウムスズ合金、スズ・銀・銅合金、金シリコン合金、金ゲルマニウム合金のいずれか一種である。例えば、多層構造の前記金属104が三層構造である場合、一層のインジウムと、一層のスズ合金と、一層の金シリコン合金と、を含む。多層構造の前記金属104が二層構造である場合、一層のインジウム及び一層のビスマス合金を含む。
【0021】
前記第三ステップにおいて、前記カーボンナノチューブアレイ10及び前記少なくとも一種の金属104を加熱炉114において加熱させる。該加熱温度は、前記金属104の融点より高く設定されている。前記金属104は加熱されて液体になると、液体状の前記金属104は前記中空部106から前記カーボンナノチューブアレイ10へ流出して、前記カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブの間の隙間を充填させる。この後、前記加熱炉114の中を真空化させ、前記カーボンナノチューブアレイ10及び前記金属104における空気を排気する。これにより、前記カーボンナノチューブアレイ10におけるカーボンナノチューブ及び前記金属104を緊密に結合させることができる。前記空気抽出の工程において、空気を前記伝送板102の孔108から抽出させる。前記カーボンナノチューブアレイ10及び前記金属104を結合させた後、前記カーボンナノチューブアレイ10が成長された基板12に、熱界面材料を形成することができる。前記加熱炉114の中を冷却させた後、前記熱界面材料を直接前記基板12から剥離して、自立構造を有する熱界面材料が得られる。この代わり、前記熱界面材料及び前記基板12を一つのユニットとして、ヒートシートとして利用することができる。
【0022】
前記カーボンナノチューブアレイ10及び少なくとも一種の低融点の金属104からなる熱界面材料は、高い熱伝導係数を有する。さらに、前記熱界面材料の熱膨張係数は通常の金属よりも、通常の半導体材料に近い。
【0023】
本実施例の熱界面材料は、電子部品及びヒートシートの間に設置する場合、前記熱界面材料における金属104の融点より高い温度で前記熱界面材料を加熱させると、前記金属104は液体になる。液体の前記金属104は前記電子部品及びヒートシートの間に充填させるので、前記電子部品及びヒートシートの間の抵抗を低くすることができる。前記熱界面材料の前記金属104は高い熱伝導率を有するので、前記熱界面材料は、ポリマー及びカーボンナノチューブアレイからなる複合物と比べて、高い熱伝導率を有する。前記熱界面材料において、金属材料にカーボンナノチューブが分散しているので、温度サイクルの過程において、金属材料に生じる機械的応力は、カーボンナノチューブアレイに起因して低減することができる。さらに、本実施例では、低融点金属を液体に加熱させて熱界面材料を製造するので、製造方法が簡単であり、コストが低いという優れた点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にカーボンナノチューブアレイを成長させる第一ステップと、
前記カーボンナノチューブアレイの一つの表面に少なくとも一種の金属を堆積させる第二ステップと、
前記カーボンナノチューブアレイ及び前記少なくとも一種の金属を加熱させて、前記金属を溶かす第三ステップと、
を含むことを特徴とする熱界面材料の製造方法。
【請求項2】
前記第二ステップにおいて、伝送装置を利用して、前記カーボンナノチューブアレイの一側から前記カーボンナノチューブアレイに前記少なくとも一種の金属を堆積させることを特徴とする、請求項1に記載の熱界面材料の製造方法。
【請求項3】
前記第三ステップにおいて、前記カーボンナノチューブアレイ及び前記少なくとも一種の金属を加熱炉において加熱させることを特徴とする、請求項1に記載の熱界面材料の製造方法。
【請求項4】
前記第三ステップにおいて、前記加熱炉の中を真空化させ、前記カーボンナノチューブアレイ及び前記金属における空気を排出することを特徴とする、請求項1に記載の熱界面材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−267419(P2009−267419A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107889(P2009−107889)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】