説明

熱硬化型ダイボンドフィルム

【課題】 ダイボンディング後の硬化収縮を抑制し、これにより被着体に対する反りの発生を防止することが可能な熱硬化型ダイボンドフィルム、及びダイシング・ダイボンドフィルムを提供する。
【解決手段】 本発明の熱硬化型ダイボンドフィルムは、被着体上に半導体素子を接着して固定させるための熱硬化型ダイボンドフィルムであって、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂を少なくとも含み、前記熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合が1.5〜6の範囲内である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体チップ等の半導体素子を基板やリードフレーム等の被着体上に固着する際に用いられる熱硬化型ダイボンドフィルムに関する。また本発明は、当該熱硬化型ダイボンドフィルムとダイシングフィルムとが積層されたダイシング・ダイボンドフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造過程に於いては、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、マウント工程に必要なチップ固着用の接着剤層をも付与するダイシング・ダイボンドフィルムが使用されてきた(下記特許文献1参照)。このダイシング・ダイボンドフィルムは、支持基材上に粘着剤層及び接着剤層が順次積層されて構成されたものである。即ち、接着剤層による保持下に半導体ウェハをダイシングした後、支持基材を延伸し、半導体チップをダイボンドフィルムと共にピックアップする。更に、リードフレームのダイパッド上にダイボンドフィルムを介して半導体チップをダイボンドする。
【0003】
しかし、近年、半導体ウェハの大型化・薄型化に伴い、半導体チップも薄型化している。その様な半導体チップを前記ダイボンドフィルムを介して基板等の被着体上に固着させ熱硬化させると(ダイボンディング)、ダイボンドフィルムの熱硬化により硬化収縮する。その結果、被着体が反るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−57342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の問題点に鑑みなされたものであり、ダイボンディング後の硬化収縮を抑制し、これにより被着体に対する反りの発生を防止することが可能な熱硬化型ダイボンドフィルム、及びダイシング・ダイボンドフィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者等は、前記従来の課題を解決すべく、熱硬化型ダイボンドフィルム及びダイシング・ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数とフェノール性水酸基のモル数の割合を制御することで、熱硬化後の硬化収縮を低減できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0007】
即ち、本発明に係る熱硬化型ダイボンドフィルムは、被着体上に半導体素子を接着して固定させるための熱硬化型ダイボンドフィルムであって、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂を少なくとも含み、前記熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合が1.5〜6の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
熱硬化型ダイボンドフィルムを用いて、半導体素子を被着体上にダイボンディングする際には、半導体素子と被着体との接着固定を確実にする観点から、熱硬化型ダイボンドフィルムを十分に熱硬化させるのが好ましい。ここで、熱硬化型ダイボンドフィルムを構成する熱硬化性成分としてエポキシ樹脂を使用し、このエポキシ樹脂に対する硬化剤としてフェノール樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基とフェノール樹脂中に含まれるフェノール性水酸基が同じ当量比であることが好ましい。同じ当量比であると、エポキシ樹脂の熱硬化反応を十分に進行させ、三次元橋架け構造の十分な形成を可能にするからである。しかし、エポキシ樹脂の熱硬化反応を進行させ過ぎると熱硬化型ダイボンドフィルム自身が硬化収縮する場合がある。
【0009】
本願発明においては、前記構成の通り、熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合を1.5〜6の範囲内として、フェノール性水酸基のモル数に対するエポキシ基のモル数を、従来の熱硬化型ダイボンドフィルムよりも高くしている。これにより、熱硬化型ダイボンドフィルム自身の引張弾性率を低下させ、硬化収縮の低減を可能にしている。その結果、前記構成の熱硬化型ダイボンドフィルムを半導体装置の製造に適用した場合には、ダイボンディングの際、被着体に反りが発生するのを抑制することができ、スループットの向上が図れる。
【0010】
前記構成に於いては、熱硬化触媒が、有機成分100重量部に対し0.07〜3.5重量部の範囲内で配合されたことが好ましい。本発明に於いては、フェノール性水酸基に対するエポキシ基の割合が高いため、熱硬化後であっても、フィルム中には未反応のエポキシ基が残存している。しかし、例えば、被着体上にダイボンディングされた半導体素子を封止樹脂により封止し、更に、後硬化工程を行う際には、熱硬化型ダイボンドフィルムを十分に熱硬化させるのが好ましい。本発明に於いては、前記構成の様にフィルム中に熱硬化触媒を配合させることで、被着体上への半導体素子のダイボンディングの際は硬化収縮が発生しない程度に熱硬化させ、前記後硬化工程の際には未反応のエポキシ基同士を重合させてこれを低減させることが可能になる。その結果、被着体上に半導体素子を確実に接着固定させ、半導体素子が被着体から剥離することのない半導体装置の製造が可能になる。
【0011】
前記熱硬化触媒の配合量を、有機成分100重量部に対し、0.07重量部以上にすることで、未反応のエポキシ基を消失させ、前記後硬化工程の後においては熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化を十分に進行させることができる。その一方、前記配合量を3.5重量部以下にすることで、後硬化工程後において熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化反応が進行し過ぎるのを防止し、被着体から半導体素子が剥離したり、ボイドが発生するのを防止することができる。
【0012】
前記構成に於いては、140℃、2時間の熱硬化後におけるガラス転移温度が80℃以下であることが好ましい。熱硬化型ダイボンドフィルムのガラス転移温度を80℃以下にすることで、熱硬化後のフィルムの硬化収縮を一層低減することができる。
【0013】
また、前記構成に於いては、熱硬化前の120℃における溶融粘度が50〜1000Pa・sの範囲内であることが好ましい。熱硬化型ダイボンドフィルムの熱硬化前の溶融粘度を50Pa・s以上にすることで、被着体に対する密着性を良好なものにする。その結果、被着体との接着面に於いて、ボイドの発生を低減することができる。また、前記溶融粘度を1000Pa・s以下にすることで、熱硬化型ダイボンドフィルムから接着剤成分等が滲み出すのを抑制することができる。その結果、被着体やこれに接着固定させる半導体素子の汚染を防止することができる。
【0014】
前記構成に於いて、完全熱硬化後の260℃における貯蔵弾性率が1MPa以上であることが好ましい。これにより、例えば、耐湿半田リフロー試験等においても信頼性が高く、耐湿リフロー性に優れた半導体装置の製造を可能にする。
【0015】
また、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、前記の課題を解決する為に、前記に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、ダイシングフィルム上に積層された構造であることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明に係る半導体装置は、前記の課題を解決する為に、前記に記載のダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造されたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂を少なくとも含み、前記熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合を1.5〜6の範囲内とし、熱硬化後に於いても未反応のエポキシ基を残存させるので、熱硬化型ダイボンドフィルム自身の引張弾性率を低下させ、硬化収縮の低減を可能にする。その結果、前記構成の熱硬化型ダイボンドフィルムを半導体装置の製造に適用した場合には、ダイボンディングの際、被着体に反りが発生するのを抑制することができ、スループットの向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の一形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムを示す断面模式図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係るダイボンドフィルムを介して半導体チップを実装した例を示す断面模式図である。
【図4】前記ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。
【図5】前記ダイボンドフィルムを用いて、2つの半導体チップをスペーサを介して3次元実装した例を示す断面模式図である。
【図6】ソルダーレジスト付き樹脂基板上に熱硬化型ダイボンドフィルムを介してダイボンディングされた半導体チップに於いて、その反り量の測定方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施の形態に係る熱硬化型ダイボンドフィルム(以下、「ダイボンドフィルム」という。)について、図1に示す様に基材1上に粘着剤層2が積層されてなるダイシングフィルム上に積層されたダイシング・ダイボンドフィルムの態様を例にして以下に説明する。
【0020】
前記ダイボンドフィルム3の構成材料としては、熱硬化性成分として、少なくともエポキシ樹脂及びフェノール樹脂を用いたものであれば特に限定されない。
【0021】
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。尚、エポキシ樹脂は、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ない。
【0022】
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうち、下記化学式で表されるビフェニル型フェノールノボラック樹脂や、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
【0023】
【化1】

尚、前記nは0〜10の自然数であることが好ましく、0〜5の自然数であることがより好ましい。前記数値範囲内にすることにより、ダイボンドフィルム3の流動性の確保が図れる。
【0024】
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂は、熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合が1.5〜6の範囲内となるように配合される。また前記割合は、好ましくは1.5〜4より好ましくは2〜3である。前記割合を1.5以上にすることで、熱硬化型ダイボンドフィルム自身の引張弾性率を低下させ、硬化収縮の低減を可能にする。また、前記割合を6以下にすることで、エポキシ樹脂の熱硬化反応が不十分となるのを防止することができる。
【0025】
尚、本実施の形態に係るダイボンドフィルム3は、熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂により形成されるものであれば、他の熱硬化性成分を含んでもよい。その様な他の熱硬化性成分としては、例えば、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、又は熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、脱溶媒化し、シート化、Bステージ化した熱硬化性成分が好適である。これらの樹脂は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。前記他の熱硬化性成分の配合割合は、熱硬化性成分100重量部に対し、0.1〜10重量部の範囲内が好ましく、0.4〜5重量部の範囲内がより好ましい。
【0026】
前記ダイボンドフィルム3の構成材料に於いては、熱可塑性成分を用いるのが好ましい。前記熱可塑性成分としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂が好ましい。更に、前記アクリル樹脂としては、例えば、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体等が挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基等が挙げられる。
【0027】
また、前記重合体を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸等の様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸等の様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレート等の様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等の様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等の様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0028】
ここで、熱可塑性成分としてアクリル樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂との配合割合は、アクリル樹脂100重量部に対し、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の混合量が10〜700重量部の範囲内であることが好ましく、20〜600重量部の範囲内であることがより好ましい。尚、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル樹脂は、イオン性不純物が少なく耐熱性が高いので、半導体素子の信頼性を確保できる。
【0029】
本実施の形態に於いては、ダイボンドフィルム3の構成材料として熱硬化触媒を使用してもよい。その配合割合としては、有機成分100重量部に対し、0.01〜3.5重量部の範囲内が好ましく、0.01〜1重量部の範囲内がより好ましく、0.01〜0.5重量部の範囲内が特に好ましい。配合割合を0.01重量部以上にすることにより、ダイボンディング時においては未反応であったエポキシ基同士を、例えば、後硬化工程までには重合させ、当該未反応のエポキシ基を低減ないは消失させることができる。その結果、被着体(詳細については後述する。)上に半導体素子を確実に接着固定させ剥離のない半導体装置の製造が可能になる。その一方、配合割合を3.5重量部以下にすることにより、硬化阻害の発生を防止することができる。
【0030】
前記熱硬化触媒としては特に限定されず、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、アミン系化合物、トリフェニルボラン系化合物、トリハロゲンボラン系化合物等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
前記イミダゾール系化合物としては、2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ)、2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z)、2−ヘプタデシルイミダゾール(商品名;C17Z)、1,2−ジメチルイミダゾール(商品名;1.2DMZ)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(商品名;2E4MZ)、2−フェニルイミダゾール(商品名;2PZ)、2−フェニル−4−メチルイミダゾール(商品名;2P4MZ)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(商品名;1B2MZ)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(商品名;1B2PZ)、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(商品名;2MZ−CN)、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(商品名;C11Z−CN)、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト(商品名;2PZCNS−PW)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;C11Z−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン(商品名;2E4MZ−A)、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物(商品名;2MA−OK)、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2PHZ−PW)、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(商品名;2P4MHZ−PW)等が挙げられる(いずれも四国化成(株)製)。
【0032】
前記トリフェニルフォスフィン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリフェニルフォスフィン、トリブチルフォスフィン、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン、トリ(ノニルフェニル)フォスフィン、ジフェニルトリルフォスフィン等のトリオルガノフォスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド(商品名;TPP−PB)、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−MC)、メトキシメチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MOC)、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(商品名;TPP−ZC)等が挙げられる(いずれも北興化学社製)。また、前記トリフェニルフォスフィン系化合物としては、エポキシ樹脂に対し実質的に非溶解性を示すものであることが好ましい。エポキシ樹脂に対し非溶解性であると、熱硬化が過度に進行するのを抑制することができる。トリフェニルフォスフィン構造を有し、かつエポキシ樹脂に対し実質的に非溶解性を示す熱硬化触媒としては、例えば、メチルトリフェニルホスホニウム(商品名;TPP−MB)等が例示できる。尚、前記「非溶解性」とは、トリフェニルフォスフィン系化合物からなる熱硬化触媒がエポキシ樹脂からなる溶媒に対し不溶性であることを意味し、より詳細には、温度10〜40℃の範囲において10重量%以上溶解しないことを意味する。
【0033】
前記トリフェニルボラン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリ(p−メチルフェニル)フォスフィン等が挙げられる。また、トリフェニルボラン系化合物としては、更にトリフェニルフォスフィン構造を有するものも含まれる。当該トリフェニルフォスフィン構造及びトリフェニルボラン構造を有する化合物としては特に限定されず、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−K)、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリボレート(商品名;TPP−MK)、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート(商品名;TPP−ZK)、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン(商品名;TPP−S)等が挙げられる(いずれも北興化学社製)。
【0034】
前記アミノ系化合物としては特に限定されず、例えば、モノエタノールアミントリフルオロボレート(ステラケミファ(株)製)、ジシアンジアミド(ナカライテスク(株)製)等が挙げられる。
【0035】
前記トリハロゲンボラン系化合物としては特に限定されず、例えば、トリクロロボラン等が挙げられる。
【0036】
本発明のダイボンドフィルム3を予めある程度架橋をさせておく場合には、作製に際し、重合体の分子鎖末端の官能基等と反応する多官能性化合物を架橋剤として添加させておくのがよい。これにより、高温下での接着特性を向上させ、耐熱性の改善を図ることができる。
【0037】
前記架橋剤としては、従来公知のものを採用することができる。特に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、多価アルコールとジイソシアネートの付加物等のポリイソシアネート化合物がより好ましい。架橋剤の添加量としては、前記の重合体100重量部に対し、通常0.05〜7重量部とするのが好ましい。架橋剤の量が7重量部より多いと、接着力が低下するので好ましくない。その一方、0.05重量部より少ないと、凝集力が不足するので好ましくない。また、この様なポリイソシアネート化合物と共に、必要に応じて、エポキシ樹脂等の他の多官能性化合物を一緒に含ませるようにしてもよい。
【0038】
また、ダイボンドフィルム3には、その用途に応じて無機充填剤を適宜配合することができる。無機充填剤の配合は、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節等を可能とする。前記無機充填剤としては、例えば、シリカ、クレー、石膏、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミナ、酸化ベリリウム、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック類、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田等の金属、又は合金類、その他カーボン等からなる種々の無機粉末が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。なかでも、シリカ、特に溶融シリカが好適に用いられる。また、無機充填剤の平均粒径は、0.1〜80μmの範囲内であることが好ましい。前記無機充填剤の配合量は、有機樹脂成分100重量部に対し0〜80重量部に設定することが好ましい。特に好ましくは0〜70重量部である。
【0039】
尚、ダイボンドフィルム3には、前記無機充填剤以外に、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
【0040】
前記ダイシング・ダイボンドフィルム10、11のダイボンドフィルム3は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルム3を保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、更に、粘着剤層2にダイボンドフィルム3を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイシング・ダイボンドフィルムのダイボンドフィルム3上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0041】
前記ダイボンドフィルム3の熱硬化後のガラス転移温度は80℃以下であることが好ましく、20〜70℃であることがより好ましく、20〜50℃であることが特に好ましい。前記ガラス転移温度が80℃以下にすることにより、ダイボンドフィルム3の硬化収縮を一層低減することができる。尚、前記「熱硬化」とは140℃で2時間の加熱処理により熱硬化させた場合を意味する。また、ガラス転移温度は次の測定方法により測定し算出することができる。即ち、ダイボンドフィルム3を140℃で2時間の加熱処理により熱硬化させ、その後厚さ200μm、長さ400mm(測定長さ)、幅10mmの短冊状にカッターナイフで切り出し、固体粘弾性測定装置(RSAIII、レオメトリックサイエンティフィック(株)製)を用いて、−50〜300℃における貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。測定条件は、周波数1Hz、昇温速度10℃/minとする。更に、tanδ(G”(損失弾性率)/G’(貯蔵弾性率))の値を算出することによりガラス転移温度が得られる。
【0042】
また、前記ダイボンドフィルム3の熱硬化前の120℃における溶融粘度は50〜1000Pa・sであることが好ましく、100〜800Pa・sであることがより好ましく、200〜600Pa・sであることが特に好ましい。前記溶融粘度を50Pa・s以上にすることで、基板等の被着体に対する密着性を良好なものにする。その結果、被着体との接着面に於いて、ボイドの発生を低減することができる。その一方、前記溶融粘度を1000Pa・s以下にすることで、熱硬化型ダイボンドフィルムから接着剤成分等が滲み出すのを抑制することができる。その結果、被着体やこれに接着固定させる半導体素子の汚染を防止することができる。尚、前記溶融粘度は次の測定方法により測定し算出することができる。即ち、レオメーター(HAAKE社製、商品名;RS−1)を用いて、パラレルプレート法により測定することができる。即ち、100℃になる様に加熱しているプレートに、ダイボンドフィルム3から0.1gの試料を仕込み測定を開始する。測定開始から120秒後の値の平均値を溶融粘度とする。尚、プレート間のギャップは0.1mmとする。
【0043】
前記ダイボンドフィルム3の完全熱硬化後の260℃における貯蔵弾性率は1MPa以上であることが好ましく、5〜100MPaであることがより好ましく、10〜100MPaであることが特に好ましい。これにより、例えば、封止工程において半導体素子が傾斜するのを防止し、また、はんだリフロー工程の際にダイボンドフィルムと被着体の間に剥離が生じるのを防止することができる。尚、ここでいうダイボンドフィルム3の完全熱硬化とは、140℃で2時間の熱処理を行った後、更に175℃で1時間の熱処理を行ったときの状態を意味する。また、貯蔵弾性率の測定は、例えば、固体粘弾性測定装置(レオメトリックサイエンティック社製:形式:RSA−III)を用いることにより可能である。即ち、サンプルサイズを長さ400mm×幅10mm×厚さ200μmとし、測定試料をフィルム引っ張り測定用治具にセットし−50〜300℃の温度域での引張貯蔵弾性率及び損失弾性率を、周波数1Hz、昇温速度10℃/minの条件下で測定し、260℃での貯蔵弾性率(E’)を読み取ることにより得られる。
【0044】
ダイボンドフィルム3の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、5〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
【0045】
尚、ダイボンドフィルム3は、例えば接着剤層の単層のみからなる構成とすることができる。また、ガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂、熱硬化温度の異なる熱硬化性樹脂を適宜に組み合わせて、2層以上の多層構造にしてもよい。半導体ウェハのダイシング工程では切削水を使用することから、ダイボンドフィルム3が吸湿して、常態以上の含水率になる場合がある。この様な高含水率のまま、基板等に接着させると、アフターキュアの段階で接着界面に水蒸気が溜まり、浮きが発生する場合がある。従って、ダイボンドフィルム3としては、透湿性の高いコア材料を接着剤層で挟んだ構成とすることにより、アフターキュアの段階では、水蒸気がフィルムを通じて拡散して、かかる問題を回避することが可能となる。かかる観点から、ダイボンドフィルム3はコア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造にしてもよい。
【0046】
前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
【0047】
また、ダイボンドフィルム3は、セパレータ(図示しない)により保護されていることが好ましい。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルムを保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、更に、ダイシングフィルムにダイボンドフィルム3を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイボンドフィルム3上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
【0048】
前記ダイシングフィルムとしては、例えば基材1上に粘着剤層2を積層したものが挙げられる。ダイボンドフィルム3は、粘着剤層2上に積層される。また図2に示すように、半導体ウェハ貼り付け部分にのみダイボンドフィルム3’を形成した構成であってもよい。
【0049】
前記基材1はダイシング・ダイボンドフィルム10、11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、基材1は紫外線に対し透過性を有するものが好ましい。
【0050】
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。
【0051】
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
【0052】
前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材1には、帯電防止能を付与する為、前記の基材1上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材1は単層又は2種以上の複層でもよい。
【0053】
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
【0054】
尚、基材1には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤等)が含まれていてもよい。
【0055】
粘着剤層2の形成に用いる粘着剤は、ダイボンドフィルム3を剥離可能に制御できるものであれば特に制限されない。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性接着剤を用いることができる。前記感圧性接着剤としては、半導体ウエハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性などの点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0056】
前記アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステルを主モノマー成分として用いたものが挙げられる。前記アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。尚、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。
【0057】
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性などの改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリルなどがあげられる。これら共重合可能なのモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。
【0058】
さらに、前記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマーなども、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。このような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。
【0059】
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
【0060】
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤などのいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法があげられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、上記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤などの添加剤を用いてもよい。
【0061】
粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができる。例えば、図2に示す粘着剤層2の部分2aのみに放射線照射することにより、部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
【0062】
また、ダイボンドフィルム3’に合わせて、放射線硬化型粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した部分2aにダイボンドフィルム3’が貼付られるため、部分2aとダイボンドフィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、部分2bを形成する。
【0063】
前述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いて、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bはダイボンドフィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、半導体チップ(半導体チップ等)を基板等の被着体に固着する為のダイボンドフィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2に於いては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。
【0064】
放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化性粘着剤を例示できる。
【0065】
配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなどがあげられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーがあげられ、その重量平均分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
【0066】
また、放射線硬化型粘着剤としては、上記説明した添加型の放射線硬化性粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化性粘着剤があげられる。内在型の放射線硬化性粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤在中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。
【0067】
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。このようなベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーがあげられる。
【0068】
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計が容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基および炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させる方法があげられる。
【0069】
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基などがあげられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、上記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物などを共重合したものが用いられる。
【0070】
前記内在型の放射線硬化性粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0071】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させることが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α´−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物;べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソンなどのチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナートなどがあげられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
【0072】
粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、部分2aの粘着力<部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を放射線照射するのが好ましい。図2のダイシング・ダイボンドフィルムでは、例えば、被着体としてSUS304板(#2000研磨)に対する関係で、部分2aの粘着力<部分2bの粘着力、となるようにする。
【0073】
前記粘着剤層2に前記部分2aを形成する方法としては、基材1に放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後、前記部分2aに部分的に放射線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な放射線照射は、半導体ウェハ貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。放射線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な放射線硬化はセパレータ上に設けた放射線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
【0074】
また、粘着剤層2を放射線硬化型粘着剤により形成する場合には、基材1の少なくとも片面の、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに放射線硬化型の粘着剤層2を形成した後に放射線照射して、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作成することができる。かかる製造方法によれば、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
【0075】
尚、放射線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、放射線硬化型の粘着剤層2の表面よりなんらかの方法で酸素(空気)を遮断するのが望ましい。例えば、前記粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の放射線の照射を行う方法等が挙げられる。
【0076】
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の観点から1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には好ましくは5〜25μmである。
【0077】
尚、粘着剤層2には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤等)が含まれていてもよい。
【0078】
本実施の形態に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、次の通りにして製造することができる。以下では、ダイシング・ダイボンドフィルム10を例にして説明する。先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
【0079】
次に、基材1上に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層2を形成する。塗布方式としては、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、塗布は直接基材1上に行ってもよく、表面に剥離処理を行った剥離紙等に塗布後、基材1に転写してもよい。
【0080】
一方、ダイボンドフィルム3を形成する為の形成材料を剥離紙上に所定厚みとなる様に塗布し、更に所定条件下で乾燥して塗布層を形成する。この塗布層を前記粘着剤層2上に転写することにより、ダイボンドフィルム3を形成する。また、前記粘着剤層2上に形成材料を直接塗布した後、所定条件下で乾燥することによってもダイボンドフィルム3を形成することができる。以上により、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルム10を得ることができる。
【0081】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態に係るダイボンドフィルムを用いた半導体装置の製造方法について説明する。図3はダイボンドフィルムを介して半導体素子を実装した例を示す断面模式図である。
【0082】
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップ(半導体素子)5を被着体6上に、ダイボンドフィルム3のウェハ貼り付け部分3a(以下、ダイボンドフィルム3aという。)を介して固着する固着工程と、ワイヤーボンディングをするワイヤーボンディング工程とを有する。さらに、半導体チップ5を封止樹脂8で封止する樹脂封止工程と、当該封止樹脂8をアフターキュアする後硬化工程とを有する。
【0083】
前記被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。また、前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームやガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を使用することができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子をマウントし、半導体素子と電気的に接続して使用可能な回路基板も含まれる。
【0084】
前記固着工程は、図1に示すように、半導体チップ5を、ダイボンドフィルム3aを介して被着体6にダイボンドする工程である。当該工程は、所定条件下での熱処理を行うことにより、ダイボンドフィルム3aを熱硬化させて半導体チップ5を被着体6上に完全に接着させる。熱処理を行う際の温度は、100〜200℃で行うのが好ましく、120℃〜180℃の範囲内で行うのがより好ましい。また、熱処理時間は0.25〜10時間で行うことが好ましく、0.5〜8時間で行うことがより好ましい。半導体チップ5を被着体6上に固着する方法としては、例えば被着体6上にダイボンドフィルム3aを積層した後、ダイボンドフィルム3a上に、ワイヤーボンド面が上側となる様にして半導体チップ5を順次積層して固着する方法が挙げられる。また、予めダイボンドフィルム3aが固着された半導体チップ5を被着体6に固着して積層してもよい。
【0085】
前記ワイヤーボンディング工程は、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する工程である。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着エネルギーの併用により行われる。
【0086】
前記樹脂封止工程は、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する工程である。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護する為に行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させる。本発明においては、ダイボンド工程において、ダイボンドフィルム3aを熱硬化させる為に熱処理を行う場合にも、封止樹脂工程後において、ダイボンドフィルム3aと被着体6との間のボイドを消失させることができる。
【0087】
前記後硬化工程に於いては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。本工程に於ける加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。また、本工程においては、ダイボンドフィルム3aを完全に熱硬化させることもできる。その場合、ダイボンドフィルム3a中には前記熱硬化触媒が配合されていることが好ましい。これにより、残存する未反応のエポキシ基同士を重合反応し、ダイボンドフィルム3aの熱硬化が一層進行する。その結果、ダイボンドフィルム3aを介して半導体チップ5を被着体に確実に固定することができる。
【0088】
以上の様にして得られた半導体パッケージは、例えば耐湿半田リフロー試験を行った場合にも当該試験に耐え得る高信頼性を有する。耐湿半田リフロー試験は従来公知の方法にて行われる。
【0089】
また、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図4は、ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図4に示す3次元実装の場合、先ず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つのダイボンドフィルム3aを被着体6上に固着した後、ダイボンドフィルム3aを介して半導体チップ15を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にして固着する。次に、ダイボンドフィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて固着する。更に、他の半導体チップ15をダイボンドフィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にして固着する。
【0090】
次に、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15に於けるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
【0091】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。それと共に、ダイボンドフィルム3aにより被着体6と半導体チップ5との間を固着する。また、ダイボンドフィルム13により半導体チップ5と他の半導体チップ15との間も固着させる。尚、封止工程の後、後硬化工程を行ってもよい。
【0092】
半導体チップの3次元実装の場合に於いても、ダイボンドフィルム3a、13の加熱による加熱処理を行わないので、製造工程の簡素化及び歩留まりの向上が図れる。また、被着体6に反りが生じたり、半導体チップ5及び他の半導体チップ15にクラックが発生したりすることもないので、半導体素子の一層の薄型化が可能になる。
【0093】
また、図5に示すように、半導体チップ間にダイボンドフィルムを介してスペーサを積層させた3次元実装としてもよい。図5は、2つの半導体チップをスペーサを介してダイボンドフィルムにより3次元実装した例を示す断面模式図である。
【0094】
図5に示す3次元実装の場合、先ず被着体6上にダイボンドフィルム3a、半導体チップ5及びダイボンドフィルム21を順次積層して仮固着する。更に、ダイボンドフィルム21上に、スペーサ9、ダイボンドフィルム21、ダイボンドフィルム3a及び半導体チップ5を順次積層して固着する。
【0095】
次に、図5に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5に於ける電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
【0096】
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂8を硬化させる。これにより、半導体パッケージが得られる。封止工程は、半導体チップ5側のみを片面封止する一括封止法が好ましい。封止は粘着シート上に貼り付けられた半導体チップ5を保護するために行われ、その方法としては封止樹脂8を用いて金型中で成型されるのが代表的である。その際、複数のキャビティを有する上金型と下金型からなる金型を用いて、同時に封止工程を行うのが一般的である。樹脂封止時の加熱温度は、例えば170〜180℃の範囲内であることが好ましい。封止工程の後に、後硬化工程を行ってもよい。
【0097】
尚、前記スペーサ9としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のシリコンチップ、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、前記スペーサとしてコア材料を用いることができる。コア材料としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体的には、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス基板等を使用できる。
【0098】
次に、プリント配線板上に、前記の半導体パッケージを表面実装する。表面実装の方法としては、例えば、プリント配線板上に予めハンダを供給した後、温風などにより加熱溶融しハンダ付けを行うリフローハンダ付けが挙げられる。加熱方法としては、熱風リフロー、赤外線リフロー等が挙げられる。また、全体加熱、局部加熱の何れの方式でもよい。加熱温度は240〜265℃、加熱時間は1〜20秒の範囲内であることが好ましい。
【0099】
(その他の事項)
前記基板等上に半導体素子を3次元実装する場合、半導体素子の回路が形成される面側には、バッファーコート膜が形成されている。当該バッファーコート膜としては、例えば窒化珪素膜やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなるものが挙げられる。
【0100】
また、半導体素子の3次元実装の際に、各段で使用されるダイボンドフィルムは同一組成からなるものに限定されるものではなく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
【0101】
また、前記実施の形態に於いては、基板等に複数の半導体素子を積層させた後に、一括してワイヤーボンディング工程を行う態様について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体素子を基板等の上に積層する度にワイヤーボンディング工程を行うことも可能である。
【実施例】
【0102】
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、本発明は、以下の実施例に記載されている材料や配合量等において、限定的な記載がない限り、それらに限定されるものではない。また、部とあるのは重量部を意味する。
【0103】
(実施例1)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW−197CM)7.7重量%、エポキシ樹脂A(JER(株)製、エピコート1004)18.6重量%、エポキシ樹脂B(JER(株)製、エピコート827)12.0重量%、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)21.7重量%、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)39.9重量%、熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)0.1重量%(球状シリカを除く有機成分100重量部に対し0.166重量部)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した(但し、前記有機成分からメチルエチルケトンは除く)。尚、(接着剤組成物における熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数)/(接着剤組成物における熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数)は1.5であった。
【0104】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
【0105】
(実施例2)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW−197CM)7.7重量%、エポキシ樹脂A(JER(株)製、エピコート1004)24.0重量%、エポキシ樹脂B(JER(株)製、エピコート827)12.0重量%、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)16.3重量%、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)39.9重量%、熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)0.1重量%(球状シリカを除く有機成分100重量部に対し0.166重量部)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した(但し、前記有機成分からメチルエチルケトンは除く)。尚、(接着剤組成物における熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数)/(接着剤組成物における熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数)は2.3であった。
【0106】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
【0107】
(実施例3)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW−197CM)7.7重量%、エポキシ樹脂A(JER(株)製、エピコート1004)29.4重量%、エポキシ樹脂B(JER(株)製、エピコート827)12.0重量%、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)10.9重量%、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)39.9重量%、熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)0.1重量%(球状シリカを除く有機成分100重量部に対し0.166重量部)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した(但し、前記有機成分からメチルエチルケトンは除く)。尚、(接着剤組成物における熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数)/(接着剤組成物における熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数)は4であった。
【0108】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
【0109】
(比較例1)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW−197CM)7.7重量%、エポキシ樹脂A(JER(株)製、エピコート1004)13.3重量%、エポキシ樹脂B(JER(株)製、エピコート827)12.0重量%、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)27重量%、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)39.9重量%、熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)0.1重量%(球状シリカを除く有機成分100重量部に対し0.166重量部)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した(但し、前記有機成分からメチルエチルケトンは除く)。尚、(接着剤組成物における熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数)/(接着剤組成物における熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数)は1であった。
【0110】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
【0111】
(比較例2)
アクリル酸エチル−メチルメタクリレートを主成分とするアクリル酸エステル系ポリマー(根上工業(株)製、パラクロンW−197CM)7.7重量%、エポキシ樹脂A(JER(株)製、エピコート1004)34.8重量%、エポキシ樹脂B(JER(株)製、エピコート827)12.0重量%、フェノール樹脂(三井化学(株)製、ミレックスXLC−4L)5.5重量%、球状シリカ(アドマテックス(株)製、SO−25R)39.9重量%、熱硬化触媒(四国化成(株)製、C11−Z)0.1重量%(球状シリカを除く有機成分100重量部に対し0.166重量部)をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物を調製した(但し、前記有機成分からメチルエチルケトンは除く)。尚、(接着剤組成物における熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数)/(接着剤組成物における熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数)は9であった。
【0112】
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
【0113】
(溶融粘度の測定)
各実施例及び比較例で作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムについて、それぞれ120℃における溶融粘度を測定した。即ち、レオメーター(HAAKE社製、RS−1)を用いてパラレルプレート法により測定した。各実施例又は比較例で作製した熱硬化型ダイボンドフィルムから0.1gの試料を採取し、予め100℃で熱してあるプレートに仕込んだ。次に、測定開始から120秒後の値を溶融粘度とした。プレート間のギャップは0.1mmとした。結果を下記表1に示す。
【0114】
(耐リフロー性)
各実施例及び比較例で作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムをそれぞれ温度40℃の条件下で、10mm角、厚さ50μmの半導体チップに貼り付けた。更に、各熱硬化型ダイボンドフィルムを介して半導体チップをBGA基板に仮固着した。その際の条件は、温度120℃、圧力0.2MPa、2秒とした。更に、半導体チップが固着されたBGA基板を、乾燥機にて120℃、1時間熱処理し、熱硬化型ダイボンドフィルムを熱硬化させた。
【0115】
次に、封止樹脂(日東電工(株)社製、GE−100)により半導体チップのパッケージングを行った(樹脂封止工程)。その後、温度175℃、5時間の条件下で封止樹脂の熱硬化を行った(後硬化工程)。
【0116】
更に、85℃、60%Rh、168時間の条件下で吸湿を行い、コンベア式リフロー(TAMURA社製、TAP30−407PM)に260℃で、10秒間載置した。続いて、半導体パッケージを超音波映像装置(日立建機(株)製、FineSAT II)で観察し、半導体パッケージ内部のクラックの有無を確認した。クラックが発生していない場合を○、発生している場合を×とした。結果を下記表1に示す。
【0117】
(260℃での貯蔵弾性率)
各実施例及び比較例で作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムを140℃で2時間の加熱処理をした後、更に175℃で1時間の加熱処理を行って熱硬化させた。続いて、熱硬化後の各熱硬化型ダイボンドフィルムを厚さ200μm、長さ400mm、幅10mmの短冊状にカッターナイフで切り出した。更に、これらの試料を固体粘弾性測定装置(RSAIII、レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/minの条件下で、−50〜300℃での引張貯蔵弾性率、及び損失弾性率を測定した。貯蔵弾性率(E’)は、この測定の際の260℃における値を読み取って得た。結果を下記表1に示す。
【0118】
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
各実施例及び比較例で使用した熱硬化型ダイボンドフィルムを140℃、2時間の条件下で熱処理し熱硬化させた。続いて、熱処理後の各熱硬化型ダイボンドフィルムを厚さ200μm、長さ400mm、幅10mmの短冊状にカッターナイフで切り出した。更に、これらの試料を固体粘弾性測定装置(RSAIII、レオメトリックサイエンティフィック社製)を用いて、周波数1Hz、昇温速度10℃/minの条件下で、−50〜300℃での引張貯蔵弾性率、及び損失弾性率を測定した。ガラス転移温度は、この測定の際のtan(δ)のピーク値を読み取って得た。結果を下記表1に示す。
【0119】
(反り量)
各実施例及び比較例で作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムをそれぞれ温度40℃の条件下で、10mm角、厚さ50μmの半導体チップに貼り付けた。更に、各熱硬化型ダイボンドフィルムを介して半導体チップをソルダーレジスト付き樹脂基板(ガラスエポキシ系基板、基板厚さ0.23mm)にマウントした。その際の条件は、温度120℃、圧力0.2MPa、2秒とした。更に、半導体チップがマウントされた前記樹脂基板を、乾燥機にて140℃、2時間熱処理し、熱硬化型ダイボンドフィルムを熱硬化させた。
【0120】
続いて、前記樹脂基板が下側になる様に平板上に載置し、半導体チップの対角線上の凹凸を測定した。これにより、平板上から浮いている半導体チップの高さ、即ち反り量(μm)を測定した。測定に際しては、半導体チップの対角線上における両端部を平衡に補正した(0にした)。また測定は、表面粗さ計(Veeco社製、DEKTAK8)を用いて、測定速度1.5mm/s、加重1gの条件下で行った。測定の結果、反り量が50μm以下のものを○とし、50μmを超えるものを×とした。結果を下記表1に示す。
【0121】
(結果)
下記表1における実施例1〜3の結果から分かる通り、熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合が1.5、2.3、及び4の場合、ソルダーレジスト付き樹脂基板の反り量が何れも50μm以下であり、熱硬化型ダイボンドフィルムの硬化収縮が抑制されていることが確認された。更に、パッケージクラックの発生もなく、耐リフロー性に優れていることが示された。一方、比較例1の様に、前記フェノール性水酸基のモル数に対するエポキシ基のモル数の割合が1であると、熱硬化型ダイボンドフィルムの硬化収縮により反り量が96μmとなった。一方、比較例2の様に、前記フェノール性水酸基のモル数に対するエポキシ基のモル数の割合が9の場合、反り量は0μmであったが、パッケージクラックが発生し耐リフロー性が低下していることが示された。
【0122】
【表1】

【符号の説明】
【0123】
1 基材
2 粘着剤層
3、13、21 ダイボンドフィルム
3a ダイボンドフィルム
3a 部分
3b 部分
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
9 スペーサ
10、11 ダイシング・ダイボンドフィルム
15 半導体チップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体上に半導体素子を接着して固定させるための熱硬化型ダイボンドフィルムであって、
熱硬化性成分としてのエポキシ樹脂及びフェノール樹脂を少なくとも含み、前記熱硬化性成分中のフェノール性水酸基のモル数に対する、前記熱硬化性成分中のエポキシ基のモル数の割合が1.5〜6の範囲内である熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項2】
熱硬化触媒が、有機成分100重量部に対し0.07〜3.5重量部の範囲内で配合された請求項1に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項3】
140℃、2時間の熱硬化後におけるガラス転移温度が80℃以下である請求項1又は2に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項4】
熱硬化前の120℃における溶融粘度が50〜1000Pa・sの範囲内である請求項1〜3の何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項5】
完全熱硬化後の260℃における貯蔵弾性率が1MPa以上である請求項1〜4何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、ダイシングフィルム上に積層された構造であるダイシング・ダイボンドフィルム。
【請求項7】
請求項6に記載のダイシング・ダイボンドフィルムを用いて製造された半導体装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−102383(P2011−102383A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−187461(P2010−187461)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】