説明

燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置

【課題】燃料やオイル中の硫黄濃度を検出する。
【解決手段】排気ガスの流通路内に排気ガス中の硫黄成分を捕獲しうる金属化合物50を配置し、金属化合物50に捕獲された硫黄成分の量の増大に伴ない変化する金属化合物50の物性を計測して計測された物性から排気ガス中に実際に含まれていたSOX量の実積算値が算出される。一方、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると仮定したときに排気ガス中に含まれていたと想定されるSOX量の想定積算値が算出され、これらSOX量の実積算値とSOX量の想定積算値から硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されているか否かが判断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より排気ガス中のSOX濃度を検出するためのSOX濃度センサが公知である。これら公知のSOX濃度センサは通常固体電解質を用いており、SOXが硫酸イオンに変化することにより生ずる起電力を計測して排気ガス中のSOX濃度を検出するようにしている(例えば特許文献1を参照)。ところで燃料やオイル中の硫黄濃度が変化するとそれに伴なって排気ガス中のSOX濃度が変化する。従って上述のSOX濃度センサにより排気ガス中のSOX濃度を検出すれば燃料やオイル中の硫黄濃度を検出することができることになる。
【特許文献1】特開2004−239706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながらこのようなSOX濃度センサを用いた従来の硫黄成分検出装置は高温のもとでしか作動せず、装置が大掛かりとなり、特にSOX濃度が低いときにはSOX濃度を検出しえないという大きな問題がある。このSOX濃度センサのように従来ではSOX濃度を瞬時に検出することばかりに目が向けられており、このようにSOX濃度を瞬時に検出しようとしている限りは上述した如き種々の問題が必然的に生ずる。
【0004】
そこで本発明者は発想を転換し、瞬時のSOX濃度を検出するのではなくて、或る期間に亘って排出されたSOXの積算量を検出することに目を向けたのである。そしてこのように発想の転換を行うと或る期間に亘って排出されたSOXの積算量ではあるが排気ガス中のSOX量を容易に検出することができ、斯くして燃料やオイル中のSOX濃度を容易に検出しうることが判明したのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、本発明によれば、燃料やオイルの燃焼により生成される排気ガスの流通路内に排気ガス中の硫黄成分を捕獲しうる金属又は金属化合物を配置し、この金属又は金属化合物に捕獲された硫黄成分の量の増大に伴ない変化する金属又は金属化合物の物性を計測して計測された物性から金属又は金属化合物に捕獲された硫黄成分の量を検出し、検出された硫黄成分の量から排気ガス中に実際に含まれていたSOX量の実積算値を算出し、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されているとの仮定のもとで機関の運転状態に基づき排気ガス中に含まれていたと想定されるSOX量の想定積算値を算出し、SOX量の実積算値がSOX量の想定積算値に対して予め定められた値以上大きくなったときには予め想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると判断するようにしている。
【発明の効果】
【0006】
燃料やオイル中の硫黄濃度を容易に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内に夫々燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを夫々示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口はエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁9が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置10が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置10内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
【0008】
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口はSOXトラップ触媒11の入口に連結される。また、SOXトラップ触媒11の出口はNOX吸蔵触媒12に連結される。図1に示されるようにSOXトラップ触媒11の下流には排気ガス中に含まれる硫黄成分、即ちSOXを検出するためのSOXセンサ13が配置される。また、排気マニホルド5内には排気ガス中に燃料を添加するための燃料添加弁14が配置される。
【0009】
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路15を介して互いに連結され、EGR通路15内には電子制御式EGR制御弁16が配置される。また、EGR通路15周りにはEGR通路15内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置17が配置される。図1に示される実施例では機関冷却水が冷却装置17内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管18を介してコモンレール19に連結される。このコモンレール19内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ20によって燃料タンク21内の燃料が供給され、コモンレール19内に供給された燃料は各燃料供給管18を介して燃料噴射弁3に供給される。
【0010】
燃料タンク21の燃料補充口22は通常燃料キャップ23により閉鎖されており、この燃料キャップ23は燃料タンク21内に燃料を補充するときに取りはずされる。燃料補充口22には燃料キャップ23が取りはずされたことを検出するためのセンサ24が取付けられている。また、機関本体1には潤滑オイルのオイルレベルを検出するためのレベルセンサ25が取付けられている。オイル交換時には古いオイルは抜き取られ、新しいオイルが供給されるのでこのときオイルレベルが変化する。図1に示される実施例ではオイル交換が行われた否かがレベルセンサ25の検出信号に基づいて判断される。
【0011】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備する。図1に示されるようにアクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、各センサ24,25およびこの負荷センサ41の出力電圧は夫々対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁9の駆動用ステップモータ、燃料添加弁14、EGR制御弁16および燃料ポンプ20に接続される。
【0012】
まず初めに図1に示されるNOX吸蔵触媒12について説明すると、このNOX吸蔵触媒12は排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOXを吸収し、排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸収したNOXを放出する機能を有する。圧縮着火式内燃機関では排気ガスの空燃比がリーンであり、従って通常排気ガス中に含まれているNOXがNOX吸蔵触媒12に吸蔵される。
【0013】
ところがこのようにリーン空燃比のもとでの燃焼が継続して行われるとその間にNOX吸蔵触媒12のNOX吸蔵能力が飽和してしまい、斯くしてNOX吸蔵触媒12によりNOXを吸収できなくなってしまう。そこで図1に示される実施例ではNOX吸蔵触媒12の吸蔵能力が飽和する前に例えば排気行程中に燃焼室2内に燃料を噴射することによって、或いは燃料添加弁14から排気ガス中に燃料を添加することによって排気ガスの空燃比を一時的にリッチにし、それによってNOX吸蔵触媒12からNOXを放出させるようにしている。
【0014】
ところが排気ガス中にはSOX、即ちSO2が含まれており、このSO2がNOX吸蔵触媒12に流入するとこのSO2はNOX吸蔵触媒12に吸蔵される。この場合、吸蔵されたSOXの量が増大するとNOX吸蔵触媒12が吸蔵しうるNOX量が次第に低下していく。そこで図1に示される実施例ではNOX吸蔵触媒12の上流にSOXトラップ触媒11を配置してこのSOXトラップ触媒11により排気ガス中に含まれるSOXを捕獲し、それによってNOX吸蔵触媒12にSOXが流入するのを制御するようにしている。
【0015】
ところでこのように排気ガス中に含まれるSOX量がNOX吸蔵触媒のNOX吸蔵能力に大きな影響を与えるので排気ガス中に含まれるSOX量を監視する必要がある。この場合排気ガス中に含まれるSOX量が増大するとNOX吸蔵触媒12のNOX吸蔵能力が急速に低下するので特に排気ガス中に含まれるSOX量が増大したか否かを検出する必要がある。
【0016】
ところでこのように排気ガス中に含まれるSOX量が増大する典型的な場合は、予め使用することが想定されている燃料やオイルに比べて硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されたときである。そこで本発明では排気ガス中の硫黄成分をSOXセンサ13により検出し、このSOXセンサ13による検出結果に基づいて硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されたか否かを判断するようにしている。次にこの本発明による硫黄成分の検出方法について説明する。
【0017】
図2は本発明による硫黄成分の検出原理を示している。本発明では排気ガスの流通路内に排気ガス中の硫黄成分を捕獲しうる金属又は金属化合物、図1に示される実施例では排気ガス中のSOXを捕獲しうる金属又は金属化合物が配置される。この金属又は金属化合物が図2(A)において符号50で模式的に示されている。図2(A)に示される金属又は金属化合物50は硫黄を含まない金属又は金属化合物からなる。本発明による実施例ではこの金属又は金属化合物50はアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、貴金属又はそれら金属の化合物からなる。
【0018】
次にこの金属又は金属化合物50としてアルカリ土類金属の一つであるバリウムBa又はその化合物を用いた場合を例にとって硫黄成分の検出方法について説明する。
バリウムBaは大気中では酸化バリウムBaOとなっている。この酸化バリウムBaOは排気ガス中に置かれると排気ガス中に含まれるCOやCO2によってただちに炭酸バリウムBaCO3に変化せしめられる。更にこの炭酸バリウムBaCO3は排気ガス中に含まれるNOXによって硝酸バリウムBa(NO32に変化せしめられる。
【0019】
即ち、バリウムBaが用いられた場合には図2(A)に示される金属又は金属化合物50は酸化バリウムBaOか炭酸バリウムBaCO3か又は硝酸バリウムBa(NO32であり、この金属又は金属化合物50が排気ガス中に置かれた場合には硝酸バリウムBa(NO32となる。一般的に表現すると図2(A)に示される金属又は金属化合物50は酸化物か炭酸塩か又は硝酸塩からなり、この金属又は金属化合物50が排気ガス中に置かれた場合には硝酸塩となる。
【0020】
一方、排気ガス中にはCOやHCやNOXに比べれば少量ではあるが硫黄成分、即ちSOXが含まれており、このSOXは金属又は金属化合物50に捕獲されて図2(A)に示されるように硫黄を含む金属化合物51に変化する。バリウムBaが用いられた場合にはこの硫黄を含む金属化合物51は硫酸バリウムBaSO4である。従って金属又は金属化合物50が排気ガス中に置かれている場合には図2(B)に示されるように硝酸バリウムBa(NO32からなる金属化合物50の一部の硝酸バリウムBa(NO32が硫酸バリウムBaSO4に変化する。一般的に表現すると硝酸塩の一部が硫酸塩に変化する。この場合、金属化合物51における硫酸塩の割合は時間が経過するにつれて、即ち捕獲される硫黄成分の量が増大するほど高くなる。
【0021】
一方、図2(C)は金属又は金属化合物50が貴金属又はその化合物からなる場合を示している。この貴金属としてはパラジウムPd、ロジウムRh或いは白金Ptを用いることができ、図2(C)は一例としてパラジウムPdを用いた場合を示している。この場合には硫黄成分が捕獲されると金属酸化物PdOが硫化物PdSに変化する。
【0022】
硝酸塩が硫酸塩に変化すると、或いは金属酸化物が硫化物に変化すると物性が変化し、従ってこの物性の変化から捕獲された硫黄成分の量、即ちガス中の硫黄成分の量を推定することができる。そこで本発明では時間の経過に伴ない硫黄を含まない金属又は金属化合物50が硫黄を含む金属化合物51に変化したときに金属化合物51の物性を計測し、計測された物性からガス中の硫黄成分を検出するようにしている。
【0023】
即ち、本発明では別の言い方をすると、時間の経過に伴ない金属又は金属化合物50に捕獲された硫黄成分の量が増大したときにこの捕獲硫黄成分の量の増大に伴ない変化する金属又は金属化合物50の物性を計測して計測された物性から排気ガス中の硫黄成分を検出するようにしている。
【0024】
次に図3から図6を参照しつつ計測すべき物性と、計測すべき物性に応じた代表的な検出方法について説明する。なお、これら図3から図6については図2(B)に示される如く硝酸塩が硫酸塩に変化する場合を例にとって説明する。
【0025】
図3は計測される物性が電気的物性であり、計測される電気的物性が電気抵抗である場合を示している。
図3(A)は硫黄Sの捕獲量Wと電気抵抗値Rとの関係を示している。図3(A)に示されるように硫黄Sの捕獲量Wが増大するほど、即ち硝酸塩から硫酸塩への変化量が多いほど電気抵抗値Rが増大する。従って電気抵抗値Rから硫黄Sの捕獲量W、即ち排気ガス中のSOX量の積算値を求めることができる。
【0026】
図3(B)は図1に示されるSOXセンサ13の検出部を示している。図3(B)に示されるように排気ガスの流通路内に配置されているSOXセンサ13の検出部には一対の端子52により支持された検出用金属化合物片53と一対の端子54により支持された参照用金属化合物片55とが設けられている。更に、SOXセンサ13の検出部には温度センサ56が配置されている。検出用金属化合物片53は酸化物又は炭酸塩又は硝酸塩から形成されており、参照用金属化合物片55は硝酸塩から形成されている。排気ガスが流通すると参照用金属化合物片55は変化しないが検出用金属化合物片53は硝酸塩でない場合には硝酸塩に変化し、次いで排気ガス中に含まれるSOXにより硝酸塩が少しずつ硫酸塩に変化する。斯くして検出用金属化合物片53の電気抵抗値Rは次第に増大していくことになる。
【0027】
検出用金属化合物片53の電気抵抗値Rは周囲の温度が高くなると高くなる。従ってこのような温度変化が電気抵抗値Rに与える影響を除去するために参照用金属化合物片55が設けられており、例えば図3(C)に示されるようなホイーストンブリッジを用いて検出用金属化合物片53の電気抵抗値と参照用金属化合物片55の電気抵抗値との差から硫黄Sの捕獲量を求めるようにしている。図3(C)に示すようなホイーストンブリッジを用いたときに電圧計57に現われる電圧Vは図3(D)に示されるように硫黄Sの捕獲量Wが増大するにつれて低下する。
【0028】
図4から図6は計測される物性が熱的物性であり、計測される熱的物性が熱容量および熱伝導性である場合を示している。
図4(A)に示されるように硫黄Sの捕獲量Wが増大するほど金属化合物片の熱容量は減少する。従って図4(B)に示されるように金属化合物片の周囲の温度が上昇したときに金属化合物片の中心温度の上昇率は硫黄Sの捕獲量Wが増大するほど高くなる。
【0029】
図5(A)はSOXセンサ13の検出部を示している。図5(A)に示される例では一対のリード線58を有する検出用サーミスタ素子59と、一対のリード線61を有する参照用サーミスタ素子62とが設けられている。更にこの例では検出用サーミスタ素子59の周囲が検出用金属化合物60によって包囲されており、参照用サーミスタ素子62の周囲が参照用金属化合物63によって包囲されている。
【0030】
この例では検出用金属化合物60周りの温度が変化したときの検出用サーミスタ素子59の抵抗値の変化の応答性から検出用金属化合物60の熱容量が推定され、参照用金属化合物63周りの温度が変化したときの参照用サーミスタ素子62の抵抗値の変化の応答性から参照用金属化合物63の熱容量が推定され、これら熱容量の差から硫黄Sの捕獲量Wが求められる。
【0031】
即ち、具体的に言うと図5(B)に示されるようなホイーストンブリッジを用いて検出用サーミスタ素子59の抵抗値と参照用サーミスタ素子62の抵抗値との差が電圧の形で求められる。この場合、この抵抗値の差を現わしている電圧計64の電圧Vは図5(C)に示されるように検出用金属化合物60に捕獲される硫黄Sが増大するほど低下する。また、電圧計65の電圧から検出用金属化合物63の温度が検出される。
【0032】
一方、図6に示される例では検出用金属化合物60と参照用金属化合物63とを夫々加熱するためのヒータ66,67が設けられている。この例ではこれらヒータ66,67を発熱させることによって検出用金属化合物60と参照用金属化合物63の温度を上昇させることができる。
【0033】
次に硫黄捕獲量の時間的変化を図解的に示した図7(A),(B)を参照しつつ燃料やオイル中の硫黄濃度の検出方法について説明する。なお、図7(A),(B)において実線WXは、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると仮定したときのSOXの想定捕獲量を示しており、破線WはSOXセンサ13により検出された実際のSOXの捕獲量を示している。なお、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されている場合には機関の運転状態が定まると機関から排出されるSOX量が定まるので想定捕獲量WXは機関の運転状態に基づいて算出されることになる。
【0034】
さて、燃料の補充時に想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度の燃料が補充されるが、或いはオイル交換時に想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度のオイルが供給されると排気ガス中に含まれるSOX量が急激に増大するために図7(A)において破線で示されるように実際のSOXの捕獲量WはSOXの想定捕獲量WはSOXの想定捕獲量WXに対して急速に増大する。従ってSOXの実捕獲量WがSOXの想定捕獲量WXに対して一定値以上大きくなったときには硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されたと判断することができることになる。
【0035】
一方、図7(B)は例えば排気ガス温が一時的に極度に高くなってSOXトラップ触媒11からSOXが放出された場合を示している。この場合には図7(B)において破線で示すようにSOXトラップ触媒11からSOXが放出されている間、SOXの実捕獲量Wが想定捕獲量WXに対して一時的に増大する。従って図7(A),(B)からわかるように、SOXトラップ触媒11からSOXが放出されているときの想定捕獲量WXに対する実捕獲量Wの増大量よりも大きくかつ高い硫黄濃度の燃料やオイルが使用されたときの想定捕獲量WXに対する実捕獲量Wの増大量よりも小さい値Kを予め定めておくと、SOXの実捕獲量WがSOXの想定捕獲量WXに対してこの値K以上大きくなったときには硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されたと判断することができる。
【0036】
ところで排気ガス中に含まれていたSOX量の積算値はW或いはWXで示されるSOXの捕獲量に比例する。従って本発明では一般的に表現すると、検出された硫黄成分の量から排気ガス中に実際に含まれていたSOX量の実積算値が算出され、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されているとの仮定のもとで機関の運転状態に基づき排気ガス中に含まれていたと想定されるSOX量の想定積算値が算出され、SOX量の実積算値がSOX量の想定積算値に対して予め定められた値K以上大きくなったときには予め想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると判断される。
【0037】
なお、図7(A),(B)に示される実施例ではSOX量の実積算値およびSOX量の想定積算値は予め定められた期間TX内における積算値とされている。また、図7(A),(B)に示される実施例では燃料が補充されたとき又はオイル交換が行われたときにこの予め定められた期間TXの進行が開始される。このようにすると高い硫黄濃度の燃料が使用されたか、或いは高い硫黄濃度のオイルが使用されたかを判断することができる。
【0038】
次に図8および図9を参照しつつSOXの想定捕獲量WXの求め方について説明する。
予め想定されている硫黄濃度の燃料が用いられた場合、機関から排出される硫黄成分の量は燃料噴射量に比例する。燃料噴射量は要求トルクおよび機関回転数の関数であり、従って機関から排出される硫黄成分の量も要求トルクおよび機関回転数の関数となる。本発明による実施例では機関から単位時間当り排出される硫黄成分の量SOXAが要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として図8(A)に示されるようなマップの形で予めROM32内に記憶されている。
【0039】
また、予め想定されている硫黄濃度の潤滑オイルが用いられた場合、燃焼室2内で燃焼せしめられるオイル量、即ち機関から排出される硫黄成分の量も要求トルクおよび機関回転数の関数となる。本発明による実施例ではオイルに含まれていて機関から単位時間当り排出される硫黄成分の量SOXBが要求トルクTQおよび機関回転数Nの関数として図8(B)に示されるようなマップの形で予めROM32内に記憶されており、これら硫黄成分の量SOXAおよびSOXBの和を積算することによって機関から排出された硫黄成分の積算量ΣSOXが算出される。
【0040】
図9は、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると仮定した場合の硫黄成分の想定捕獲量WXを算出するためのルーチンを示している。このルーチンは一定時間毎の割込みによって実行される。
図9を参照するとまず初めにステップ70において図8(A),(B)より機関から単位時間当り排出される硫黄成分の量SOXAおよびSOXBが読み込まれる。次いでステップ71ではこれらSOXAおよびSOXBの和が硫黄成分の量ΣSOXに加算される。一方、検出用金属化合物53,60に捕獲されると考えられる硫黄成分の想定捕獲量WXは機関から排出される硫黄成分の積算量ΣSOXに比例する。従ってステップ72では機関から排出される硫黄成分の積算量ΣSOXに比例定数Cを乗算することによって検出用金属化合物53,60に捕獲されると考えられる硫黄成分の想定捕獲量WXが算出される。
【0041】
図10は、本発明による燃料・オイル中の硫黄濃度を検出するためのルーチンを示している。このルーチンは一定時間毎の割込みによって実行される。
図10を参照するとまず初めにステップ80においてSOXセンサ13の検出値からSOXの実捕獲量Wが算出される。次いでステップ81では前回の割込み時におけるSOXの実捕獲量W0が読込まれる。次いでステップ82では前回の割込みから今回の割込みの間のSOXの実捕獲量の増大量ΔW(=W−W0)が算出される。
【0042】
次いでステップ83では図9に示されるルーチンにおいて算出されている現在のSOXの想定捕獲量WXが読込まれる。次いでステップ84では前回の割込み時におけるSOXの想定捕獲量WX0が読込まれる。次いでステップ85では前回の割込みから今回の割込みの間のSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX(=WX−WX0)が算出される。
【0043】
次いでステップ86ではSOXの実捕獲量の増大量ΔWがSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX0に対して図7(A),(B)に示されている予め定められている値K以上大きくなったか否か、即ちΔW−ΔWX>Kであるか否かが判別される。ΔW−ΔWX>Kのときにはステップ87に進んで硫黄濃度が高い燃料又はオイルが使用されていると判断される。次いでステップ88ではWがW0として記憶され、WXがWX0として記憶される。
【0044】
図11は、燃料・オイル中の硫黄濃度を検出するための別の実施例のルーチンを示している。このルーチンも一定時間毎の割込みよって実行される。
この実施例では図7(A),(B)に示されるように燃料の補充又はオイル交換が行われてから一定期間TXが経過したときにSOXの実捕獲量WがSOXの想定捕獲量WXに対して予め定められた値Kよりも大きくなったときには硫黄濃度の高い燃料又はオイルが使用されたと判断するようにしている。
【0045】
即ち、図11を参照するとまず初めにステップ90においてセンサ24およびレベルセンサ25の検出信号に基づいて燃料の補充又はオイル交換が行われたか否かが判別される。燃料の補充およびオイル交換のいずれも行われていないときにはステップ91に進んで燃料の補充又はオイル交換が行われてから一定期間TXが経過したか否かが判別される。燃料の補充およびオイル交換のいずれも行われていないときには処理サイクルを完了する。
【0046】
一方、ステップ90において燃料の補充又はオイル交換が行われたと判断されたときにはステップ92に進んでSOXセンサ13の検出値からSOXの実捕獲量Wが算出される。次いでステップ93ではこの実捕獲量WがW0として記憶される。
次いでステップ94では図9に示されるルーチンにおいて算出されている現在のSOXの想定捕獲量WXが読込まれる。次いでステップ95ではこの想定捕獲量WXがWX0として記憶される。
【0047】
次の割込み時にはステップ90からステップ91に進み、燃料の補充又はオイル交換が行われてから一定期間TXが経過するとステップ96に進む。ステップ96ではSOXセンサ13の検出値からSOX実捕獲量Wが算出される。次いでステップ81では期間TX間のSOXの実捕獲量の増大量ΔW(=W−W0)が算出される。次いでステップ98では図9に示されるルーチンにおいて算出されている現在のSOXの想定捕獲量WXが読込まれる。次いでステップ99では期間TX間のSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX(=WX−WX0)が算出される。
【0048】
次いでステップ100ではSOXの実捕獲量の増大量ΔWがSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX0に対して図7(A),(B)に示されている予め定められている値K以上大きくなったか否か、即ちΔW−ΔWX>Kであるか否かが判別される。ΔW−ΔWX>Kのときにはステップ101に進んで硫黄濃度が高い燃料又はオイルが使用されていると判断される。
【0049】
図12から図14に本発明による更に別の実施例を示す。
前述したようにSOXの実捕獲量Wは、硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されると増大し、またSOXトラップ触媒11からSOXが放出されても増大する。従ってこの実施例では硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用されることにより実捕獲量Wが増大した場合と、SOXトラップ触媒11からSOXが放出されることにより実捕獲量Wが増大した場合とを区別するためにSOXの実捕獲量Wが増大したときには検出用金属化合物53,60に捕獲された硫黄成分を除去するための再生処理を行い、この再生処理後のSOXの実捕獲量Wの変化から硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用された否かを判断するようにしている。
【0050】
本発明による実施例ではこの再生処理は例えば以下のようにして行われる。即ち、検出用金属化合物53,60は、排気ガスの空燃比がリーンのもとでは硫酸塩が熱分解するほぼ1300℃以上になると硫黄成分を放出し、排気ガスの空燃比がリッチのもとではほぼ600℃以上になると硫黄成分を放出する性質を有する。
【0051】
そこで再生すべきときには、例えば検出用金属化合物53,60の温度を、排気ガスの空燃比がリッチのもとで捕獲した硫黄成分を放出しうる硫黄放出温度まで、即ち600℃以上まで上昇させ、その状態で排気ガスの空燃比をリッチにすることによって再生制御が行われる。或いは検出用金属化合物53,60の温度を、排気ガスの空燃比がリーンのもとで捕獲した硫黄成分を放出しうる硫黄放出温度まで、即ち1300℃以上まで上昇させることによって再生制御が行われる。
【0052】
なお、この場合、SOXセンサ13として図6に示されるヒータ付SOXセンサを用い、検出用金属化合物53,60の温度が硫黄放出温度よりも若干低い温度に達したときにはヒータ66,67を発熱させて検出用金属化合物53,60の温度を硫黄放出温度まで上昇させ、それによって検出用金属化合物53,60を再生することもできる。
【0053】
即ち、この実施例ではSOX量の実積算値がSOX量の想定積算値に対して予め定められた値以上大きくなったときには、具体的に言うと図12(A),(B)に示されるように予め定められた期間TX1内におけるSOXの実捕獲量Wの増大量がSOXの想定捕獲量WXの増大量に対して予め定められた値以上高くなったときには検出用金属化合物53,60の再生処理が行われる。再生処理が行われるとSOXの実捕獲量Wが低下する。
【0054】
硫黄濃度の高い燃料やオイルが使用された場合には図12(A)に示されるように再生処理後におけるSOXの実捕獲量Wの増大率は再生処理前と同様にSOXの想定捕獲量WXの増大率よりも大きい。これに対し、SOXトラップ触媒11から一時的にSOXが放出されていた場合には図12(B)に示されるように再生処理後におけるSOX量の実捕獲量Wの増大率はSOX量の想定捕獲量WXの増大率とほぼ等しくなる。
【0055】
そこでこの実施例では再生処理後においてSOX量の実積算値の増大率がSOX量の想定積算値の増大率よりも大きいと判断されたときに初めて予め想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると判断するようにしている。
【0056】
図13および図14にこの実施例を実行するための燃料・オイル中の硫黄濃度検出ルーチンを示す。このルーチンも一定時間毎の割込みによって実行される。
図13および図14を参照するとまず初めにステップ110において、再生処理後におけるSOXの実捕獲量の増大の原因のチェックが実行中であるか否かが判別される。このチェックの実行中でないときにはステップ111に進む。
【0057】
ステップ111ではSOXセンサ13の検出値からSOXの実捕獲量Wが算出される。次いでステップ112では期間TX1前におけるSOXの実捕獲量W0が読込まれる。次いでステップ113では期間TX1の間におけるSOXの実捕獲量の増大量ΔW(=W−W0)が算出される。
【0058】
次いでステップ114では図9に示されるルーチンにおいて算出されている現在のSOXの想定捕獲量WXが読込まれる。次いでステップ115では期間TX1前におけるSOXの想定捕獲量WX0が読込まれる。次いでステップ116では期間TX1の間におけるSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX(=WX−WX0)が算出される。次いでステップ117ではW,WXが記憶される。
【0059】
次いでステップ118ではSOXの実捕獲量の増大量ΔWがSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX0に対して予め定められている値KK以上大きくなったか否か、即ちΔW−ΔWX>KKであるか否かが判別される。ΔW−ΔWX≦0のときには処理サイクルを完了する。これに対し、ΔW−ΔWX>KKのときにはステップ119に進んで再生処理が行われる。次いでステップ120では再生処理が完了したか否かが判別され、再生処理が完了したときにはステップ121に進む。
【0060】
ステップ121ではSOXセンサ13の検出値からSOXの実捕獲量Wが算出される。次いでステップ122ではこの実捕獲量WがW1として記憶される。次いでステップ123では図9に示されるルーチンにおいて算出されている現在のSOXの想定捕獲量WXが読込まれる。次いでステップ124ではこの想定捕獲量WXがWX1として記憶される。次いでステップ125においてチェックが開始される。
【0061】
チェックが開始されるとステップ110からステップ126に進んで図12(A),(B)に示される期間TX2が経過したか否かが判別される。期間TX2が経過していないときには処理サイクルを完了する。これに対し、期間XT2が経過したときにはステップ127に進んでSOXセンサ13の検出値からSOXの実捕獲量Wが算出される。次いでステップ128では期間TX2の間におけるSOXの実捕獲量の増大量ΔW1(=W−W1)が算出される。
【0062】
次いでステップ129では図9に示されるルーチンにおいて算出されている現在のSOXの想定捕獲量WXが読込まれる。次いでステップ130では期間TX2の間におけるSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX1(=WX−WX1)が算出される。次いでステップ131ではSOXの実捕獲量の増大量ΔW1がSOXの想定捕獲量の増大量ΔWX1に対して予め定められている値KK以上大きくなったか否か、即ちΔW1−ΔWX1>KKであるか否かが判別される。ΔW1−ΔWX1>KKのときにはステップ132に進んで硫黄濃度が高い燃料又はオイルが使用されていると判断される。次いでステップ133においてチェック完了とされる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】圧縮着火式内燃機関を示す図である。
【図2】硫黄成分の検出原理を説明するための図である。
【図3】硫黄成分の検出方法を説明するための図である。
【図4】硫黄成分の検出方法を説明するための図である。
【図5】硫黄成分の検出方法を説明するための図である。
【図6】硫黄成分の検出方法を説明するための図である。
【図7】硫黄成分の捕獲量の変化を示すタイムチャートである。
【図8】機関からのSOX排出量のマップを示す図である。
【図9】SOXの想定捕獲量を算出するためのフローチャートである。
【図10】燃料・オイル中の硫黄濃度を検出するためのフローチャートである。
【図11】燃料・オイル中の硫黄濃度を検出するためのフローチャートである。
【図12】硫黄成分の捕獲量の変化を示すタイムチャートである。
【図13】燃料・オイル中の硫黄濃度を検出するためのフローチャートである。
【図14】燃料・オイル中の硫黄濃度を検出するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
13 SOXセンサ
53 検出用金属化合物片
55 参照用金属化合物片
60 検出用金属化合物
63 参照用金属化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料やオイルの燃焼により生成される排気ガスの流通路内に排気ガス中の硫黄成分を捕獲しうる金属又は金属化合物を配置し、該金属又は金属化合物に捕獲された硫黄成分の量の増大に伴ない変化する該金属又は金属化合物の物性を計測して計測された物性から該金属又は金属化合物に捕獲された硫黄成分の量を検出し、検出された該硫黄成分の量から排気ガス中に実際に含まれていたSOX量の実積算値を算出し、予め想定されている硫黄濃度の燃料やオイルが使用されているとの仮定のもとで機関の運転状態に基づき排気ガス中に含まれていたと想定されるSOX量の想定積算値を算出し、上記SOX量の実積算値が上記SOX量の想定積算値に対して予め定められた値以上大きくなったときには予め想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると判断するようにした燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項2】
上記SOX量の実積算値および上記SOX量の想定積算値や予め定められた期間内における積算値である請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項3】
燃料が補充されたとき又はオイル交換が行われたときに上記予め定められた期間の進行が開始される請求項2に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項4】
上記SOX量の実積算値が上記SOX量の想定積算値に対して予め定められた値以上大きくなったときには上記金属又は金属化合物を再生処理し、該再生処理後において上記SOX量の実積算値の増大率が上記SOX量の想定積算値の増大率よりも大きいときに初めて予め想定されている硫黄濃度よりも高い硫黄濃度の燃料やオイルが使用されていると判断される請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項5】
上記金属化合物は該金属化合物に捕獲された硫黄成分の量の増大に伴ない酸化物又は炭酸塩又は硝酸塩から硫酸塩に変化する請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項6】
上記計測される物性は電気抵抗で代表される電気的物性である請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項7】
上記計測される物性は熱容量および熱伝導性で代表される熱的物性である請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項8】
上記金属化合物が硫黄を捕獲したときに硫酸塩に変化する検出用金属化合物と、硫酸塩からなる参照用金属化合物からなり、計測された検出用金属化合物の物性と計測された参照用金属化合物の物性との差異から排気ガス中の硫黄成分を検出するようにした請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。
【請求項9】
上記金属又は金属化合物はアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、貴金属又はそれら金属の化合物である請求項1に記載の燃料やオイル中の硫黄濃度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−19966(P2009−19966A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−182225(P2007−182225)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】