説明

燃料供給装置

【課題】 アクセルペダルの踏み込みが解除される際に、過度のエンジンブレーキに基づくショックが加わる事を防止する。
【解決手段】 燃料供給手段がエンジンに送り込む燃料の量を、次の様に規制する。即ち、車両が所定の速度V[Km/h]未満で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込みが解除される際のこのアクセルペダルの解除速度が所定の速度Astart[%/s]以上である場合に、上記エンジンへ送り込む燃料の量を低減する速度を、通常の速度に比べて遅くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載された無段変速装置に接続するエンジンに燃料を送り込む為の燃料供給装置の改良に関し、アクセルペダルの踏み込みが解除される際(アクセルが閉鎖される方向に操作される際、アクセル開度が0となる方向に操作される際)に、過度のエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が加わる事を防止して、乗員に違和感、不快感を与える事を防止するものである。特に、無段変速装置の利点である、変速ショックを伴わない滑らかな走行を、アクセルペダルの踏み込みが解除される(解除され切る場合を含む)際にも確保する事で、乗り心地性能の向上を図るものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用自動変速機として使用されるトロイダル型無段変速機が、特許文献1、非特許文献1、2等の多くの刊行物に記載され、且つ、一部で実施されていて周知である。この様なトロイダル型無段変速機は、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力側ディスクと出力側ディスクとの間に複数個のパワーローラを挟持して成る。運転時には、この入力側ディスクの回転が、これら各パワーローラを介して上記出力側ディスクに伝達される。これら各パワーローラは、それぞれトラニオン等の支持部材に回転自在に支持されており、これら各支持部材は、それぞれ上記両ディスクの中心軸に対し捩れの位置にある枢軸を中心とする揺動変位を自在に支持されている。上記両ディスク同士の間の変速比を変える場合は、油圧式のアクチュエータにより上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させる。この様なアクチュエータへの圧油の給排は、制御弁により制御すると共に、上記支持部材の動きをこの制御弁にフィードバックする様に構成している。
【0003】
上記アクチュエータへの圧油の給排に基づき上記各支持部材を上記枢軸の軸方向に変位させると、上記各パワーローラの周面と上記入力側、出力側各ディスクの側面との転がり接触部(トラクション部)に作用する、接線方向の力の向きが変化(転がり接触部にサイドスリップが発生)する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各支持部材が上記枢軸を中心に揺動(傾斜)し、上記各パワーローラの周面と上記入力側、出力側各ディスクの側面との接触位置が変化する。上記各パワーローラの周面を、上記入力側ディスクの側面の径方向外寄り部分と、上記出力側ディスクの側面の径方向内寄り部分とに転がり接触させれば、上記両ディスク同士の間の変速比が増速側になる。これに対して、上記各パワーローラの周面を、上記入力側ディスクの側面の径方向内寄り部分と、上記出力側ディスクの側面の径方向外寄り部分とに転がり接触させれば、上記両ディスク同士の間の変速比が減速側になる。
【0004】
又、上述の様なトロイダル型無段変速機を実際の自動車用自動変速機に組み込む場合、遊星歯車機構等の歯車式の差動ユニットと組み合わせて無段変速装置を構成する事が、従来から提案されている。例えば特許文献2には、所謂ギヤードニュートラルと呼ばれ、入力軸を一方向に回転させたまま、出力軸の回転状態を、停止状態を挟んで正転、逆転に切り換えられる無段変速装置が記載されている。この様な無段変速装置の場合、入力軸を回転させた状態のまま出力軸を停止させたり、或は極低速で回転させる状態で、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを適正に規制する必要がある。この様な事情に鑑みて、特許文献3には、入力軸を駆動するエンジンの回転速度を大まかに制御しつつ、この回転速度に合わせてトロイダル型無段変速機の変速比の調節(補正)を行なう事により、上記トロイダル型無段変速機を通過するトルク(通過トルク)を目標値に規制する制御方法が開示されている。
【0005】
又、特許文献4には、前述した様なトロイダル型無段変速機を組み込んだ無段変速装置に於いて、アクセル操作に伴う不快な加減速(車両がギクシャクする事)を防止すべく、アクセル開度(アクセルペダルの踏み込み量)に応じて上記トロイダル型無段変速機の変速比を調節(補正)する発明が記載されている。又、特許文献5には、前述した様なトロイダル型無段変速機やVベルト式変速機等の無段変速機を組み込んだ無段変速装置に於いて、惰性走行からの加速を滑らかに行なうべく、アクセル開度と車両に加わる加速度とに応じて上記無段変速機の変速比を調節(補正)する発明が記載されている。又、特許文献6には、自動変速機とエンジンとの間に設けたトルクコンバータがロックアップする途中で、アクセルペダルの踏み込みを解除(アクセルを閉鎖)した場合に、このロックアップが急激に進行し、車両に振動が生じる事を防止すべく、上記エンジンの負荷に応じて上記ロックアップを制御する発明が記載されている。
【0006】
上述の様な特許文献4〜6に記載された発明の場合、アクセルペダルの踏み込みを解除(アクセルが閉鎖される方向に操作、アクセル開度が0となる方向に操作)する事により惰性走行を行なう場合等、このアクセルペダルの操作が急でない場合には、ショックや振動のない滑らかな走行を実現できると考えられる。但し、上記アクセルペダルの操作が急な場合には、このアクセルペダルが操作される瞬間とトロイダル型無段変速機の変速比が実際に調節(補正)される瞬間、或は、ロックアップが実際に制御される瞬間との間に、タイムラグを生じる可能性がある。この為、例えばアクセルペダルを踏み込んだ状態からこの踏み込みを急に解除(アクセルを閉鎖する方向に急に操作、アクセル開度が0となる方向に急に操作)した場合に、この様なタイムラグとエンジンの急な出力の低下とが相まって、車両に過度のエンジンブレーキが加わる可能性がある。そして、この様なエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)により、乗員に違和感、不快感を与える可能性がある。この様なショックは、車両の慣性力が小さく、しかも無段変速装置の減速比が大きい場合が多い低速走行(例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定されている所定速度未満等の低速での走行)時に顕著になり易く、しかも変速ショックのない滑らかな走行を行なえる無段変速装置を搭載した車両で生じる事は、乗り心地性能を低下させる現象が顕著になり易い為、好ましくない。
【0007】
一方、特許文献7には、車両に搭載された無段変速装置に接続するエンジンに燃料を送り込む為の燃料供給装置に関する発明が記載されている。即ち、この特許文献7には、運転者の選択に応じた所定の変速比を実現する手動変速モードが選択され、当該所定の変速比で走行中にエンジンの回転数が過度に上昇した場合に、このエンジンの出力を徐々に低下させる発明が記載されている。この様な特許文献7に記載された発明によれば、上記エンジンの回転数が過度に上昇した際に、このエンジンの回転数を強制的に低減させる為の燃料遮断(燃料カット)が行なわれる以前に、このエンジンの出力を低下させる事ができ、上記燃料遮断に伴う急激なトルク変動が生じる事を防止できる。但し、この様な特許文献7に記載された発明の場合には、前述した様なアクセルペダルの踏み込みを解除した際に生じる過度のエンジンブレーキに基づくショックを防止する事はできない。
【0008】
【特許文献1】特開2001−317601号公報
【特許文献2】特開2003−307266号公報
【特許文献3】特開2004−225888号公報
【特許文献4】特開平9−203460号公報
【特許文献5】特開平9−112682号公報
【特許文献6】特開平11−37279号公報
【特許文献7】特開2001−301493号公報
【非特許文献1】青山元男著、「別冊ベストカー 赤バッジシリーズ245/クルマの最新メカがわかる本」、株式会社三雄社/株式会社講談社、平成13年12月20日、p.92−93
【非特許文献2】田中裕久著、「トロイダルCVT」、株式会社コロナ社、2000年7月13日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の燃料供給装置は、上述の様な事情に鑑み、無段変速装置が搭載された車両で、走行中にアクセルペダルの踏み込みが解除(アクセルが閉鎖される方向に操作、アクセル開度が0となる方向に操作)される際に、過度のエンジンブレーキに基づくショックが生じる事を防止できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃料供給装置は、車両に搭載された無段変速装置に接続するエンジンに燃料を送り込む(噴射する)為の燃料供給手段と、この燃料供給手段が送り込む燃料の量を、アクセルペダルの踏み込み(アクセル開度)に応じて制御する制御器とを備えている。
特に、本発明の燃料供給装置に於いては、上記制御器は、上記車両が所定の速度未満(例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定される所定速度未満等の低速)で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込み解除速度(アクセル閉鎖速度)が所定の速度以上である場合に、上記エンジンに送り込む燃料の量を低減する速度を、通常の速度よりも遅くする(制限する)機能を備えている。
言い換えれば、上記制御器は、上記車両が所定の速度未満で走行しており、上記解除速度が所定の速度以上である場合に、燃料噴射量が目標燃料噴射量に到達するまでの時間(例えばアクセルペダルの踏み込みが解除され切った場合は、燃料噴射量が0になるまでの時間)を、通常の時間よりも長くする機能を備えている。
【0011】
尚、上記通常の速度(通常の時間)とは、上記アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)とエンジンの回転速度とに応じて決定される、このエンジンに送り込む燃料の量を低減する速度(燃料噴射量が目標燃料噴射量に到達するまでの時間)の標準的なものを言いう。具体的には、上記車両が上記所定の速度以上(例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定されている所定速度以上等の高速)で走行している場合や、上記アクセルペダルの解除速度が所定の速度未満である場合の、このアクセルペダルの踏み込み量とエンジンの回転速度とに応じて決定される上記速度(時間)を言う。
【発明の効果】
【0012】
上述の様な本発明の燃料供給装置によれば、アクセルペダルの踏み込みが解除された際(解除され切った際を含む)に、エンジンに送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を通常の速度よりも遅くする為、このエンジンの出力が急に低下して過度のエンジンブレーキが加わる事を防止できる。しかも、上記エンジンに送り込む燃料の量を直接調節する事によりこのエンジンの出力を調節する為、無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機やベルト式無段変速機等の無段変速機の変速比を調節する場合の様なタイムラグが生じる事もない。この為、上記アクセルペダルの踏み込みが解除された際に、過度のエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が加わる事を防止して、乗員に違和感、不快感を与える事を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、アクセルペダルの踏み込み解除速度(アクセルの閉鎖速度)に応じて、エンジンに送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を補正する(調節する)。この場合に、請求項3に記載した様に、上記アクセルペダルの踏み込み解除速度が速い程、通常の速度よりも遅くする程度を大きくする。逆に言えば、上記アクセルペダルの解除速度が遅い程、通常の速度よりも遅くする程度を小さくする(通常の速度に近づける)。
この様に構成すれば、過度のエンジンブレーキに基づくショックが加わる事を、運転状況に応じて確実に防止できる。即ち、アクセルペダルの解除速度が速い程、エンジンの出力が低下する速度が大きくなり、エンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が大きくなるが、上述の様に通常の速度よりも遅くする程度を大きくする事で、この様なエンジンブレーキに基づくショックを確実に防止できる。又、上記アクセルペダルの解除速度が遅い場合には、上記速度を通常の速度に近づける事により、アクセルレスポンス(アクセルの応答性)を損なう事なく、上記エンジンブレーキに基づくショックを防止できる。この為、運転状況、即ち、アクセルペダルの解除速度に応じて、過度のエンジンブレーキに基づくショックを確実に防止できる。
【0014】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、エンジンに送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする際に、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に、このブレーキペダルの踏み込み力の大きさに応じて、上記通常の速度よりも遅くする程度を補正する。この場合に、請求項5に記載した様に、上記ブレーキペダルの踏み込み力が小さい程、通常の速度よりも遅くする程度を大きくする。逆に言えば、上記ブレーキペダルの踏み込み力が大きい程、通常の速度よりも遅くする程度を小さくする(通常の速度に近づける)。
又、上記請求項4に記載した発明を実施する場合に、請求項6に記載した様に、ブレーキペダルの踏み込みを条件に、エンジンに送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に戻しても良い。
この様に構成すれば、運転者がブレーキを必要とする減速を意図している場合に、過度のエンジンブレーキに基づくショックを生じさせる事なく、必要なエンジンブレーキを発生させ、上記運転者の意図に応じた走行状態を実現できる。即ち、ブレーキペダルの踏み込み力が小さい程、通常の速度よりも遅くする程度を大きくする事で、エンジンの出力の急な低下を抑え、エンジンブレーキに基づくショックを確実に防止できる。又、これと共に、上記ブレーキペダルの踏み込み力が大きい程、上記通常の速度に近づける事で、必要とするエンジンブレーキを発生させる事ができる。この為、運転者の意図に応じた減速状態を実現できる。
【0015】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した様に、無段変速装置を、運転者の選択に応じた所定の変速比を実現する手動変速モードと、運転状況に応じて予め設定された変速比を実現する自動変速モードとを備えたものとする。そして、このうちの自動変速モードで走行していてアクセルペダルを踏み込みを解除した場合に、燃料の送り込み量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を、上記手動変速モードで走行している場合に遅くする程度に比べて大きくする。逆に言えば、上記手動変速モードで走行している場合に通常の速度よりも遅くする程度を、上記自動変速モードで走行している場合に通常の速度よりも遅くする程度に比べて小さくする(通常の速度に近づける)。
この様に構成すれば、それぞれのモードで運転者の意図に応じた走行状態を実現できる。即ち、自動変速モードで走行している場合には、上記通常の速度よりも遅くする程度を大きくする事で、ショックが加わる事なく滑らかに減速させる事ができる。又、これと共に、上記手動変速モードで走行している場合には、上記通常の速度に近づける事で、適度な減速感(エンジンブレーキ)を得られ、必要とされるアクセルレスポンス(アクセルの応答性)を確保できる(キビキビした走行性を確保できる)。
【0016】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項8に記載した様に、無段変速装置を、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力側ディスクと出力側ディスクとの間に複数個のパワーローラを挟持して成るトロイダル型無段変速機を組み込んだものとする。そして、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクが一定のまま維持される様に、通常の速度よりも遅くする程度を補正する。
この場合に、より好ましくは、請求項9に記載した様に、トロイダル型無段変速機を通過するトルクを、パワーローラを回転自在に支持した支持部材を変位させて入力側ディスクと出力側ディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータを構成する1対の油圧室同士の間に生じる差圧により求める。
この様に構成すれば、アクセルペダルの踏み込みが解除された際に、トロイダル型無段変速機を通過するトルクが一定のまま維持される為、過度のエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が加わる事を防止して、乗員に違和感、不快感を与える事を防止できる。
【0017】
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項10に記載した様に、アクセルペダルの踏み込みが解除され切った状態にも拘らず、エンジンに送り込む燃料の量を0(漏れ等により不可避的に送り込まれる微小な量を除く実質0)とせずに、所定の量の燃料(過度のエンジンブレーキを防止できる最低限以上の量の燃料)を、所定の間送り込み続ける。 この様に構成すれば、アクセルペダルの踏み込み解除時に、惰性走行へ滑らかに移行する事ができ、過度のエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が加わる事を防止して、乗員に違和感、不快感を与える事を防止できる。
【実施例1】
【0018】
図1〜4は、請求項1に対応する、本発明の実施例1を示している。先ず、図1のブロック図により、本実施例の燃料供給装置により燃料が送り込まれるエンジンに接続される無段変速装置に就いて説明する。この図1中、太矢印は動力の伝達経路を、実線は油圧回路を、破線は電気回路を、それぞれ示している。上記エンジン1の出力は、ダンパ2を介して、入力軸3に入力される。この入力軸3に伝達された動力は、トロイダル型無段変速機4を構成する油圧式の押圧装置5から入力側ディスク6に伝達され、更にパワーローラ7を介して出力側ディスク8に伝達される。これら両ディスク6、8のうち、入力側ディスク6の回転速度は入力側回転センサ9により、出力側ディスク8の回転速度は出力側回転センサ10により、それぞれ測定して、制御器11に入力し、上記両ディスク6、8間の(トロイダル型無段変速機4の)変速比を算出自在としている。又、上記入力軸3に伝達された動力は、直接又は上記押圧装置5、入力側ディスク6、パワーローラ7、出力側ディスク8を介して、差動ユニットである遊星歯車式変速機12に伝達される。そして、この遊星歯車式変速機12の構成部材の差動成分が、クラッチ装置13を介して出力軸14に取り出される。尚、このクラッチ装置13は、後述する図2に示す低速用クラッチ15及び高速用クラッチ16を表すものである。又、本実施例の場合には、出力軸回転センサ17により上記出力軸14の回転速度を検出自在として、上記入力側回転センサ9及び出力側回転センサ10の故障の有無を判定する為のフェールセーフを可能としている。
【0019】
一方、前記ダンパ2部分から取り出した動力によりオイルポンプ18(図2の18a、18b)を駆動し、このオイルポンプ18から吐出した圧油を、上記押圧装置5と、上記パワーローラ7を支持した支持部材であるトラニオンを枢軸(図示省略)の軸方向に変位させるアクチュエータ19(図2参照)の変位量を制御する為の制御弁装置20とに、送り込み自在としている。尚、この制御弁装置20とは、後述する図2に示す制御弁21と、差圧シリンダ22と、補正用制御弁23a、23bと、高速用切換弁24及び低速用切換弁25とを合わせたものである。このうちの制御弁21は、上記アクチュエータ19への油圧の給排を制御するものである。又、このアクチュエータ19に設けた1対の油圧室26a、26b(図2参照)内の油圧を油圧センサ27(実際には図2に示す様に1対の油圧センサ27a、27b)により検出して、その検出信号を、上記制御器11に入力している。
【0020】
この制御器11は、上記油圧センサ27からの信号に基づいて、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルク(通過トルク)を算出する。そして、この様に算出される通過トルクに応じてトロイダル型無段変速機4の変速比を補正すべく、上記制御弁21の構成部材であるスリーブ28(図2参照)を上記差圧シリンダ22により変位させる。この様な差圧シリンダ22への圧油の給排は、上記補正用制御弁23a、23bにより制御される。又、上記制御弁装置20は、ステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、上記補正用制御弁23a、23bを切り換える為の電磁弁31と、上記高速用切換弁24及び低速用切換弁25を切り換える為のシフト用電磁弁32とにより、その作動状態を切り換えられる。そして、これらステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、電磁弁31と、シフト用電磁弁32とは、何れも上記制御器11からの制御信号に基づいて切り換えられる。
【0021】
又、上記制御器11には、前記各回転センサ9、10、17及び上記油圧センサ27からの信号の他、油温センサ33の検出信号と、ポジションスイッチ34の位置信号と、アクセルセンサ35の検出信号と、ブレーキスイッチ36の信号とを入力している。このうちの油温センサ33は、無段変速装置を納めたケーシング内の潤滑油(トラクションオイル)の温度を検出するものである。又、上記ポジションスイッチ34は、後述する図2に記載した手動油圧切換弁37を切り換える為の、運転席に設けられたシフトレバー(操作レバー)の操作位置(選択位置)を表す信号を発するものである。又、上記アクセルセンサ35は、アクセルペダルの開度を検出する為のものである。更に、上記ブレーキスイッチ36は、ブレーキペダルが踏まれた事、或はパーキングブレーキが操作された事を検出して、その事を表す信号を発するものである。
【0022】
又、上記制御器11は、上記各スイッチ34、36及び各センサ9、10、17、27、33、35からの信号に基づいて、上記ステッピングモータ29と、ライン圧制御用電磁開閉弁30と、電磁弁31と、シフト用電磁弁32とに上記制御信号を送る他、前記エンジン1を制御する為のエンジンコントローラ38に制御信号を送る。そして、前述した特許文献3に記載されている様に、入力軸3と出力軸14との間の速度比を変えたり、或は停止時若しくは極く低速走行時に前記トロイダル型無段変速機4を通過して上記出力軸14に加えられるトルク(通過トルク)を制御する。又、特願2003−105967号に開示されている様に、前記入力側回転センサ9及び前記出力側回転センサ10の検出信号に基づいて、上記出力軸14の回転速度及び回転方向を算出し、上記通過トルクの制御を行なう。
【0023】
図2は、上述の様な無段変速装置を制御する油圧回路を示している。この油圧回路では、油溜39から吸引されてオイルポンプ18a、18bにより吐出された圧油を、調圧弁40a、40bで所定圧に調整自在としている。又、上記両調圧弁40a、40bのうち、手動油圧切換弁37側に送る油圧を調整する為の調圧弁40aによる調整圧を、ライン圧制御用電磁開閉弁30の開閉に基づいて調節自在としている。そして、上記両調圧弁40a、40bにより圧力を調整された圧油を、制御弁21を介してアクチュエータ19に送り込み自在とする他、差圧シリンダ22のストロークを調節する為の補正用制御弁23a、23bに、電磁弁31の開閉に基づいて送り込み自在としている。又、上記圧油を、油圧式の押圧装置5に送り込む様にしている。
【0024】
又、この圧油は、上記手動油圧切換弁37と、高速用切換弁24又は低速用切換弁25とを介して、低速用クラッチ15又は高速用クラッチ16の油圧室内に送り込み自在としている。又、これら低速用、高速用各クラッチ15、16のうちの低速用クラッチ15は、減速比を大きくする(変速比無限大を含む)低速モードを実現する際に接続されると共に、減速比を小さくする高速モードを実現する際に接続を断たれる。これに対して、上記高速用クラッチ16は、上記低速モードを実現する際に接続を断たれると共に高速モードを実現する際に接続される。又、これら低速用、高速用各クラッチ15、16への圧油の給排状態は、前記シフト用電磁弁32の切り換え状態に応じて切り換えられる。
【0025】
更に本実施例の場合には、前記エンジンコントローラ38により制御される、図示しない燃料供給装置により、上記エンジン1に燃料を送り込んでいる。この燃料供給装置は、上述の様な無段変速装置に接続される上記エンジン1に燃料を送り込む(燃料を噴射する)為の、燃料供給手段を備える。そして、この燃料供給手段が送り込む燃料の量(噴射する燃料の量)を、アクセルペダルの踏み込みに応じて、前記制御器11により、上記エンジンコントローラ38を介し、調節(制御)している。更に、本実施例の場合には、上記制御器11に、上記アクセルペダルの踏み込みが解除される際(アクセルが閉鎖される方向に操作される際、アクセル開度が0となる方向に操作される際)のこの踏み込み解除速度(アクセル閉鎖速度)に応じて、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を調節する機能を持たせている。
【0026】
即ち、上記制御器11は、上記車両が所定の速度未満(例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定されている所定速度未満の低速)で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込み解除速度が所定の速度以上である場合に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を、通常の速度よりも遅くする(制限する)機能を備えている。言い換えれば、上記車両が低速で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込みが、滑らかに惰性走行等の減速状態に移行できる解除速度以上の速度で解除された場合に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を、アクセルペダルの踏み込みを解除する速度に比例して設定される、通常の低減する速度よりも遅くする。この為に、例えば、燃料噴射量が目標燃料噴射量に到達するまでの時間(例えばアクセルペダルの踏み込みが解除され切った場合は、燃料噴射量が0になるまでの時間)を、通常の時間よりも長くする。
【0027】
尚、上記通常の速度(通常の時間)とは、上記アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)と上記エンジン1の回転速度とに応じて決定される、このエンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度(燃料噴射量が目標燃料噴射量に到達するまでの時間)の標準的なものを言いう。具体的には、上記車両が上記所定の速度以上(例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定されている所定速度以上の高速)で走行している場合や、上記アクセルペダルの解除速度が所定の速度未満である場合の、上記アクセルペダルの踏み込み量とエンジン1の回転速度とに応じて決定される上記速度(時間)を言う。
【0028】
図3は、上述の様な制御器11の機能に基づいて上記燃料供給装置が行なう、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を調節する(通常の速度よりも遅くする)際の、具体的な制御のフローチャートを示している。この図3に示すフローチャートに示した制御は、自動車のイグニッションスイッチがONされてからOFFされるまでの間、常に繰り返し行なう。
先ず、ステップ1で、車両が走行状態にある(車速が0Km/hよりも大きい)か否かを、スピードメータ表示用の車速信号(又は出力軸回転センサ17の信号)に基づいて判定する。上記車両が走行状態にない(停止している、車速が0Km/hである)と判定した場合には、本実施例の特徴であるエンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を調節する作業は行なわず、終了する。アクセルペダルの踏み込みを急に解除したとしても、エンジンブレーキに基づくショックが加わる事はないし、アイドリング維持の為に、最低限の燃料供給を継続する必要がある為である。これに対して、上記車両が走行状態にあると判定した場合には、次のステップ2に移る。
【0029】
このステップ2では、上記車両が所定の速度VKm/h未満、例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定されている所定速度未満の低速で走行しているか否かを、上記車速信号に基づいて判定する。上記車両が低速(所定の速度VKm/h未満)で走行していない{車両が所定の速度VKm/h以上、例えば30〜40Km/hの範囲で予め設定されている所定速度以上の高速で走行している}と判定した場合には、本実施例の特徴であるエンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を調節する制御は行なわず、終了する。この理由は、上記車両が高速で走行していれば、慣性力が大きく、しかも無段変速装置の減速比が小さい場合が多いので、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を調節しなくても、車両の慣性力に基づきこの車両を滑らかに惰性走行等の減速状態に移行させる事ができる為である。これに対して、上記車速が低速(所定の速度VKm/h未満)で走行していると判定した場合には、次のステップ3に移る。
【0030】
このステップ3では、アクセルペダルの踏み込みが解除されているか否かを、前記アクセルセンサ35の検出信号に基づいて判定する。上記アクセルペダルの踏み込みが解除されていない、即ち、上記アクセルペダルが踏み込まれていると判定した場合には、本実施例の特徴であるエンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を調節する作業は行なわず、終了する。これに対して、上記アクセルペダルの踏み込みが解除されていると判定した場合には、次のステップ4に移る。このステップ4では、上記アクセルペダルの踏み込みが解除される際の、このアクセルペダルの踏み込み解除速度が所定の速度(Astart%/s)以上か否かを、上記アクセルセンサ35の検出信号に基づいて判定する。
【0031】
即ち、上記ステップ4では、アクセルペダルの踏み込みが急に解除されたか否かを判定する。このアクセルペダルの踏み込み解除速度が所定の速度(Astart%/s)未満である、即ち、このアクセルペダルの踏み込みが徐々に解除されたと判定した場合には、本実施例の特徴であるエンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を調節する制御は行なわず、終了する(通常の速度でエンジン1に送り込む燃料の量を低減する。通常の時間で燃料噴射量を目標燃料噴射量に到達させる)。これに対して、上記アクセルペダルの踏み込み解除速度が所定の速度(Astart%/s)以上である、即ち、このアクセルペダルの踏み込みが急に解除されたと判定した場合には、次のステップ5に移る。
【0032】
上述の様にステップ1〜4で、上記車両が所定の速度未満(低速)で走行しており、上記アクセルペダルの解除速度が所定の速度以上である(アクセルペダルの踏み込みが急に解除された)と判定した場合には、上記ステップ5で、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を、上記通常の速度よりも遅くする旨(制限する旨)の指令(信号)を、前記制御器11から前記エンジンコントローラ38を介して、前記燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。例えば、上記ステップ1〜4で、本実施例の特徴である燃料の量を低減する速度を調節する制御は行なわないと判定した場合は、上記エンジン1の回転速度とアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)とに応じて目標燃料噴射量を選択し、上記燃料供給手段に出力する。これに対して、上述の様に燃料の量を低減する速度を遅くする場合には、上記目標燃料噴射量の選択にフィルタを設定する事により、この目標燃料噴射量に到達するまでの時間を遅らせる(制限する)。
【0033】
上述の様な本実施例の燃料供給装置によれば、アクセルペダルの踏み込みが解除される際に、上記エンジン1の出力が急に低下する事に基づき過度のエンジンブレーキが加わる事を防止できる。即ち、上記アクセルペダルの踏み込み(アクセル開度)が、図4(A)に実線イで示す様に急に解除(閉鎖)されると、車両が所定の速度VKm/h以上(高速)で走行している場合等の通常の場合には、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)は、同図(B)の実線ロで示す様に急激に低減する。但し、上記車両が所定の速度VKm/h未満(低速)で走行している場合に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を上記実線ロで示す様に急激に低減させると、車両減速度を表す同図(D)に実線ハで示す様に、過度のエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が加わる。そして、車速を表す同図(C)に実線ニで示す様に、滑らかに車両を減速させる事ができなくなる。これに対して、本実施例では、前述の様に上記車両が速度VKm/h未満(低速)で走行している場合には、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を、同図(B)の破線ホで示す様に、上記実線ロで示す上記通常の速度よりも遅く(燃料噴射量が0になるまでの時間を△T分長く)する。この為、同図(D)に破線ヘで示す様に、上述の様なショックが加わる事なく滑らかに車両を減速させる事ができる。この結果、車速を表す同図(C)に破線トで示す様に、滑らかに惰性走行に移行する事ができ、乗員に違和感、不快感を与える事を防止して、乗り心地性能の向上を図れる。
【実施例2】
【0034】
図5は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合は、アクセルペダルの解除速度に応じて、エンジン1(図1参照)に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を補正する(調節する)。即ち、本実施例の場合は、ステップ1〜3で、車両が所定の速度未満(低速)で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込み解除されたと判定した場合に、ステップ4で、このアクセルペダルの踏み込み解除速度を、アクセルセンサ35(図1参照)の検出信号に基づいて求める。ここ迄は、前述した実施例1の場合と同様である。更に、本実施例の場合は、続くステップ5に示す様に、この求めた解除速度に応じて、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を求める。この場合に、アクセルペダルの解除速度が速い程、通常の速度よりも遅くする(制限する)程度を大きくする。逆に言えば、上記アクセルペダルの解除速度が遅い程、上記通常の速度よりも遅くする程度を小さくする(通常の速度に近づける)。そして、続くステップ6で、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を上記ステップ5で求めた速度にする旨の指令(信号)を、制御器11からエンジンコントローラ38(図1参照)を介して、燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。
【0035】
例えば、アクセルペダルの踏み込み(アクセル開度)が、前述の図4(A)に鎖線チで示す様に、同図(A)の実線イよりも遅く(徐々に)解除(閉鎖)された場合には、同図(B)に鎖線リで示す様に、燃料噴射量を低減する速度が通常の速度に近づく様に、制御器11からエンジンコントローラ38を介して、上記燃料供給装置を構成する燃料供給手段に指令(信号)が送られる。即ち、上記アクセルペダルの踏み込みが、同図(A)に鎖線チで示す様に解除(閉鎖)されると、車両が所定の速度VKm/h以上(高速)で走行している場合等の通常の場合は、上記燃料噴射量は、同図(B)の実線ヌで示す様に低減する。これに対して、上記車両が所定の速度VKm/h未満(低速)で走行している場合には、上記燃料噴射量が、同図(B)の鎖線リで示す様に、上記実線ヌで示す上記通常の速度よりも遅く(燃料噴射量が0になるまでの時間を△t分長く)する。この為、車両減速度を表す同図(D)に鎖線ル、並びに、車速を表す同図(C)に鎖線ヲで、それぞれ示す様に、滑らかに車両を減速させる事ができる。しかも、上述の様に上記アクセルペダルの踏み込みが、同図(A)の実線イよりも遅く解除される場合には、同図(B)の鎖線リで示す様に、上記燃料噴射量が0になるまでの時間を遅くする程度(△t)を、同じく上記実線イに対応する程度(△T)に比べて小さく(△T>△t)する。逆に言えば、上記アクセルペダルの踏み込みが、同図(A)の実線イで示す様に、同図(A)の鎖線チよりも速く解除された場合には、同図(B)に破線ホで示す様に、上記燃料噴射量が0になるまでの時間を遅くする程度(△T)を、上記鎖線チに対応する程度(△t)に比べて大きく(△T>△t)する。尚、この様な燃料噴射量を遅くする程度とアクセルペダルの解除速度との関係は、予め実験やシミュレーション等により求め、上記制御器11のメモリにマップや計算式として記憶させておく。
【0036】
この様な本実施例の場合には、過度のエンジンブレーキに基づくショックが加わる事を、運転状況に応じて確実に防止できる。即ち、上記アクセルペダルの解除速度が速い程、上記エンジン1の出力が低下する速度が大きくなり、エンジンブレーキに基づくショックが大きくなるが、上述の様にエンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする(制限する)程度(△T)を大きくする事で、この様なエンジンブレーキに基づくショックを確実に防止できる。又、上記アクセルペダルの解除速度が遅い場合には、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に近づける事により、アクセルレスポンス(アクセルの応答性)を損なう事なく、上記エンジンブレーキに基づくショックを防止できる。この為、運転状況、即ち、アクセルペダルの解除速度に応じて、過度のエンジンブレーキに基づくショックを確実に防止できる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例2と同様であるから、重複する説明は省略する。
【実施例3】
【0037】
図6は、請求項1〜4、6に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合には、エンジン1(図1参照)に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする(制限する)際に、ブレーキペダルの踏み込みを条件に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に戻す。即ち、本実施例の場合は、ステップ1〜3で、車両が所定の速度未満(低速)で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込みが解除されたと判定した場合に、ステップ4で、このアクセルペダルの踏み込み解除速度を、アクセルセンサ35(図1参照)の検出信号に基づいて求める。そして、続くステップ5に示す様に、この求めた解除速度に応じて、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を求める。ここ迄は、前述した実施例2の場合と同様である。更に、本実施例の場合には、続くステップ6で、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを、ブレーキスイッチ36(図1参照)の検出信号に基づいて判定する。
【0038】
このステップ6で、ブレーキペダルが踏み込まれていないと判定した場合には、ステップ7に示す様に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を上記ステップ5で求めた速度にする旨の指令(信号)を、制御器11からエンジンコントローラ38(図1参照)を介して、燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。この様なステップ7では、上記実施例2のステップ6(図5)と同様に、上記アクセルペダルの解除速度が大きい程、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を大きくする。一方、上記ステップ6で、ブレーキペダルが踏み込まれていると判定した場合には、ステップ8に示す様に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に戻す(燃料低減速度の制限を中止する)。
この様な本実施例の場合には、運転者がブレーキを必要とする減速を意図している場合に、必要なエンジンブレーキを発生させて、上記運転者の意図に応じた走行状態を実現できる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例2と同様であるから、重複する説明は省略する。
【実施例4】
【0039】
図7は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施例4を示している。本実施例の場合には、ブレーキペダルの踏み込み力に応じて、エンジン1(図1参照)に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を補正する(調節する)。即ち、本実施例の場合は、ステップ1〜5で、車両が所定の速度未満(低速)で走行しいると判定され、アクセルペダルの踏み込み解除速度に応じて、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を求めた場合に、続くステップ6で、ブレーキペダルが踏み込まれたか否かを、ブレーキスイッチ36の検出信号に基づいて判定する。ここ迄は、上述した実施例3の場合と同様である。更に、本実施例の場合には、続くステップ7に示す様に、ブレーキペダルの踏み込み力を、例えばブレーキ装置を構成するシリンダ内の油圧を測定する為のブレーキ踏込力センサ42(図1)に基づいて求める。
【0040】
そして、この様に求めた踏み込み力に応じて、続くステップ8で、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度の補正値を求める。具体的には、ブレーキペダルの踏み込み力が小さい程、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする(制限する)程度を大きくする。逆に言えば、ブレーキペダルの踏み込み力が大きい程、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に近づける。そして、続くステップ9で、上記ステップ5で求めた、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度から、上記ステップ8で求めた、上記ブレーキペダルの踏み込み力に応じた補正値を除算する。そして、続くステップ10で、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を上記ステップ9で求めた速度にする旨の指令(信号)を、制御器11からエンジンコントローラ38(図1参照)を介して、燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。尚、上記ブレーキペダルの踏み込み力と上記エンジン1に送り込む燃料の量との関係は、予め実験やシミュレーション等により求め、上記制御器11のメモリにマップや計算式として記憶させておく。
【0041】
この様な本実施例の場合には、運転者がブレーキを必要とする減速を意図している場合に、必要なエンジンブレーキを発生させ、上記運転者の意図に応じた走行状態を実現できる。即ち、ブレーキペダルの踏み込み力が小さい場合には、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする(制限する)程度を大きくする事で、エンジンの出力の急な低下を抑え、エンジンブレーキに基づくショックを防する。これに対して、上記ブレーキペダルの踏み込み力が大きい場合には、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に近づける事で、必要とするエンジンブレーキを発生させる事ができる。この為、運転者の意図に応じた減速状態を実現できる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例3と同様であるから、重複する説明は省略する。
【実施例5】
【0042】
図8は、請求項1〜7に対応する、本発明の実施例5を示している。本実施例の場合には、無段変速装置を、運転者の選択に応じた所定の変速比を実現する手動変速モード(マニュアルモード)と、運転状況に応じて予め設定された変速比を実現する自動変速モード(オートモード)とを備えたものとしている。そして、このうちの自動変速モードを選択して走行した状態でアクセルペダルの踏み込みを解除した場合に、エンジン1(図1参照)に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に比べて遅くする程度を、上記手動変速モードで走行している場合に遅くする程度に比べて大きくする。逆に言えば、上記手動変速モードで走行している場合に、上記エンジン1へ送り込む燃料の量を低減する速度を、上記自動変速モードで走行している場合よりも、通常の速度に近づける。この為に、本実施例の場合は、前述した実施例4と同様に、ステップ1〜9の過程で、アクセルペダルの踏み込み解除速度、並びに、ブレーキペダルの踏み込み力に応じて、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を求める。
【0043】
更に、本実施例の場合には、続くステップ10に示す様に、運転席のシフトレバーに設けられた、運転者が手動変速モードと自動変速モードとの何れかを選択しているかを判定する為のオート/マニュアルスイッチ41(図1参照)の検出信号に基づき、現在選択されているモードを判定する。このステップ10で、現在選択されているモードが自動変速モードであると判定された場合には、続くステップ11で、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を、上記ステップ1〜9の過程で求めた燃料低減速度(アクセルペダルの踏み込み解除速度、並びに、ブレーキペダルの踏み込み力に応じて求めた燃料低減速度)にする旨の指令(信号)を、制御器11からエンジンコントローラ38(図1参照)を介して、燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。
【0044】
一方、上記ステップ10で、現在選択されているモードが手動変速モードであると判定された場合には、ステップ12に示す様に、上記燃料低減速度を通常の速度よりも遅くする程度を、上記自動変速モードで走行している場合に遅くする程度に比べて小さくする(通常の速度に近づける)。例えば、上記ステップ1〜9の過程で求めた低減速度の倍の速さにする{燃料の送り込みを遅くする制限要求値を半分(50%)にする}。そして、続くステップ11で、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を上記ステップ12で求めた速度にする旨の指令(信号)を、上記制御器11から上記エンジンコントローラ38を介して、上記燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。
【0045】
この様な本実施例の場合には、それぞれのモードで運転者の意図に応じた走行状態を実現できる。即ち、上記アクセルペダルの踏み込み(アクセル開度)が、図9(A)に実線イで示す様に解除(閉鎖)された場合に、現在選択されているモードが自動変速モードであると判定された場合は、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を、図9(B)の破線ロで示す様に徐々に低減させる。この為、車両減速度を表す図9(D)に破線ハで、並びに、車速を表す図9(C)に破線ニで示す様に、ショックが加わる事なく滑らかに減速させる事ができる。これに対して、現在選択されているモードが手動変速モードであると判定された場合は、上記図9(B)の鎖線ホで示す様に、上記自動変速モードに対応する上記破線ロよりも、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を通常の速度に近づける(鎖線ホが実線チに近付く様にする)。この為、車両減速度を表す図9(D)に鎖線ヘで、車速を表す図9(C)に鎖線トで、それぞれ示す様に、適度な減速感(エンジンブレーキ)を得られ、手動変速モードで必要とされるアクセルレスポンス(アクセルの応答性)を確保できる(キビキビした走行性を確保できる)。
その他の構成及び作用は、前述した実施例4と同様であるから、重複する説明は省略する。
【実施例6】
【0046】
図10は、請求項1〜9に対応する、本発明の実施例6を示している。前述した各実施例が、アクセルペダルの解除速度に応じて、エンジン1(図1参照)に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を低減する速度を求めるのに対して、本実施例の場合には、ステップ4〜5に示す様に、無段変速装置を構成するトロイダル型無段変速機(バリエータ)4(図1参照)を通過するトルクに基づいて、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を求める。具体的には、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが一定のまま維持される様に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を補正する(調節する)。
【0047】
本実施例の場合には、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクを、パワーローラ7を回転自在に支持したトラニオン等の支持部材を変位させて入力側ディスク6と出力側ディスク8(図1参照)との間の変速比を変える、油圧式のアクチュエータ19を構成する1対の油圧室26a、26b(図2参照)同士の間の差圧により求める。この為に、これら両油圧室26、26bの油圧を測定する為の油圧センサ27a、27bを設け、これら油圧センサ27a、27の検出信号に基づいて上記差圧を算出する。そして、この様にして求めた差圧から、上記トロイダル型無段変速機4を通過するトルクが一定のまま維持される様に、上記エンジン1に送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする程度を補正する。尚、上記トルクとエンジン1に送り込む燃料の量との関係は、予め実験やシミュレーション等により求め、制御器11(図1参照)のメモリにマップや計算式として記憶させておく。
その他の構成及び作用は、前述した実施例5と同様であるから、重複する説明は省略する。
【実施例7】
【0048】
図11は、請求項1、10に対応する、本発明の実施例7を示している。本実施例の場合には、アクセルペダルの踏み込みが解除され切った状態でも、エンジン1(図1参照)に送り込む燃料の量を0(漏れ等により不可避的に送り込まれる微小な量を除く実質0)にせずに、所定の量の燃料(過度のエンジンブレーキを防止できる最低限以上の量の燃料)を、所定の間送り込み続ける。即ち、ステップ1〜4で、車両が所定の速度未満(低速)で走行しており、上記アクセルペダルの解除速度が所定の速度以上である(アクセルペダルの踏み込みが急に解除された)と判定した場合には、ステップ5に示す様に、上記エンジン1に上記所定の量の燃料を送り続ける旨(燃料遮断を保留する旨)の指令(信号)を、制御器11からエンジンコントローラ38(図1参照)を介して、燃料供給装置を構成する燃料供給手段に送る。そして、この様な指令に基づき、燃料噴射量を表す図12(B)に破線イで示す様に、上記アクセルペダルの踏み込みが解除され切った状態でも、上記エンジン1に上記所定の量の燃料を所定の間送り込み続ける。
【0049】
上述の様な本実施例の燃料供給装置によれば、アクセルペダルの踏み込みが解除される際に、上記エンジン1の出力が急に低下する事に基づき過度のエンジンブレーキが加わる事を防止できる。即ち、上記アクセルペダルの踏み込み(アクセル開度)が、図12(A)に実線ロで示す様に解除(閉鎖)された場合に、上記エンジン1に送り込む燃料の量(燃料噴射量)を、図4(B)の実線ハで示す様に低減させた場合には、車両減速度を表す図12(D)に実線ニで示す様に、過度のエンジンブレーキに基づくショック(スパイク的な減速感)が加わる。これに対して、本実施例の場合には、上述の様に、図12(B)に破線イで示す様に、上記エンジン1に上記所定の量の燃料を所定の間送り込み続ける。この為、図12(D)に鎖線ホで示す様に、上述の様なショックが加わる事なく滑らかに減速させる事ができる。この結果、車速を表す図12(C)に鎖線へで示す様に、滑らかに惰性走行に移行する事ができ、乗員に違和感、不快感を与える事を防止しして、乗り心地性能の向上を図れる。
その他の構成及び作用は、前述した実施例1と同様であるから、重複する説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、エンジンに接続する無段変速装置を構成する無段変速機が、トロイダル型無段変速機か、Vベルト式無段変速機か、或は、他の形式の無段変速機かを問わず、実施できる。又、上記トロイダル型無段変速機の種類が、ダブルキャビティ型であるかシングルキャビティ型であるかを問わず、更にはハーフトロイダル型であるかフルトロイダル型であるかを問わず、実施できる。更に、アクセルペダルの急な踏み込み解除に伴う、燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする制御に、上記無段変速装置の変速比による補正を加える事もできる(請求項11)。この場合には、減速比が大きい程、上記低減する速度を遅くする程度を大きくする(請求項12)。尚、上記減速比は、例えば入力側、出力側、両回転センサ9、10の検出信号とクラッチ装置13(図1)の接続状態とに基づいて算出する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例1を示す無段変速装置のブロック図。
【図2】無段変速装置に組み込むトロイダル型無段変速機の変速比を制御する為の油圧回路図。
【図3】実施例1の特徴となる動作を示すフローチャート。
【図4】実施例1でのアクセル開度と燃料噴射量と車速と車両減速度との関係を示す線図。
【図5】本発明の実施例2を示す、図3と同様のフローチャート。
【図6】同実施例3を示す、図3と同様のフローチャート。
【図7】同実施例4を示す、図3と同様のフローチャート。
【図8】同実施例5を示す、図3と同様のフローチャート。
【図9】実施例5でのアクセル開度と燃料噴射量と車速と車両減速度との関係を示す線図。
【図10】本発明の実施例6を示す、図3と同様のフローチャート。
【図11】同実施例7を示す、図3と同様のフローチャート。
【図12】実施例7でのアクセル開度と燃料噴射量と車速と車両減速度との関係を示す線図。
【符号の説明】
【0052】
1 エンジン
2 ダンパ
3 入力軸
4 トロイダル型無段変速機
5 押圧装置
6 入力側ディスク
7 パワーローラ
8 出力側ディスク
9 入力側回転センサ
10 出力側回転センサ
11 制御器
12 遊星歯車式変速機
13 クラッチ装置
14 出力軸
15 低速用クラッチ
16 高速用クラッチ
17 出力軸回転センサ
18、18a、18b オイルポンプ
19 アクチュエータ
20 制御弁装置
21 制御弁
22 差圧シリンダ
23a、23b 補正用制御弁
24 高速用切換弁
25 低速用切換弁
26a、26b 油圧室
27、27a、27b 油圧センサ
28 スリーブ
29 ステッピングモータ
30 ライン圧制御用電磁開閉弁
31 電磁弁
32 シフト用電磁弁
33 油温センサ
34 ポジションスイッチ
35 アクセルセンサ
36 ブレーキスイッチ
37 手動油圧切換弁
38 エンジンコントローラ
39 油溜
40a、40b 調圧弁
41 オート/マニュアルスイッチ
42 ブレーキ踏込力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された無段変速装置に接続するエンジンに燃料を送り込む為の燃料供給手段と、この燃料供給手段が送り込む燃料の量を、アクセルペダルの踏み込みに応じて制御する制御器とを備えた燃料供給装置に於いて、この制御器は、上記車両が所定の速度未満で走行しており、上記アクセルペダルの踏み込み解除速度が所定の速度以上である場合に、上記エンジンに送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする機能を備えている事を特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
アクセルペダルの踏み込み解除速度に応じて、通常の速度よりも遅くする程度を補正する、請求項1に記載した燃料供給装置。
【請求項3】
アクセルペダルの踏み込み解除速度が速い程、通常の速度よりも遅くする程度を大きくする、請求項2に記載した燃料供給装置。
【請求項4】
エンジンに送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度よりも遅くする際に、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に、このブレーキペダルの踏み込み力の大きさに応じて、上記通常の速度よりも遅くする程度を補正する、請求項1〜3の何れかに記載した燃料供給装置。
【請求項5】
ブレーキペダルの踏み込み力が小さい程、通常の速度よりも遅くする程度を大きくする、請求項4に記載した燃料供給装置。
【請求項6】
ブレーキペダルの踏み込みを条件に、エンジンに送り込む燃料の量を低減する速度を通常の速度に戻す、請求項4に記載した燃料供給装置。
【請求項7】
無段変速装置は、運転者の選択に応じた所定の変速比を実現する手動変速モードと、運転状況に応じて予め設定された変速比を実現する自動変速モードとを備えたものであり、このうちの自動変速モードで走行している場合の通常の速度よりも遅くする程度を、上記手動変速モードで走行している場合の通常の速度よりも遅くする程度に比べて大きくする、請求項1〜6の何れかに記載した燃料供給装置。
【請求項8】
無段変速装置は、互いに対向する軸方向側面をトロイド曲面とした入力側ディスクと出力側ディスクとの間に複数個のパワーローラを挟持して成るトロイダル型無段変速機を組み込んだものであり、このトロイダル型無段変速機を通過するトルクが一定のまま維持される様に、通常の速度よりも遅くする程度を補正する、請求項1〜7の何れかに記載した燃料供給装置。
【請求項9】
トロイダル型無段変速機を通過するトルクを、パワーローラを回転自在に支持した支持部材を変位させて入力側ディスクと出力側ディスクとの間の変速比を変える油圧式のアクチュエータを構成する1対の油圧室同士の間に生じる差圧により求める、請求項8に記載した燃料供給装置。
【請求項10】
アクセルペダルの踏み込みが解除され切った状態にも拘らず、エンジンに送り込む燃料の量を0とせずに所定の量の燃料を所定の間送り込み続ける、請求項1〜9の何れかに記載した燃料供給装置。
【請求項11】
無段変速装置の変速比に応じて、通常の速度よりも遅くする程度を補正する、請求項1〜10の何れかに記載した燃料供給装置。
【請求項12】
無段変速装置の減速比が大きい程、通常の速度よりも遅くする程度を大きくする、請求項11に記載した燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−63922(P2006−63922A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248939(P2004−248939)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】