説明

燃料電池搭載車両

【課題】燃料電池システムの作動性やスペース効率といった総合的な面で効率的な装備配置を実現する技術を提供する。
【解決手段】本発明は、燃料電池搭載車両を提供する。この燃料電池搭載車両は、車両の前後方向に伸びるセンタートンネルが形成されたフロアパネルを有する燃料電池車両と、フロアパネルの下方において少なくとも一部がセンタートンネル内に配置され、車幅方向に流体を分配する流体分配器と、フロアパネルの下方において流体分配器の車幅方向に配置され、流体分配器から流体の供給を受ける少なくとも一つの燃料電池スタックとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池搭載車両の構造と装備配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃料電池搭載車両において、車両客室のスペースを確保しつつ車両客室の床下へ装備する燃料電池システムの装備配置技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−36117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、車幅方向に流体を分配する流体分配器を利用する燃料電池システムに適した構造や装備配置までは考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、燃料電池搭載車両において、燃料電池システムの効率的な装備配置を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は、燃料電池搭載車両を提供する。この燃料電池搭載車両は、
車両の前後方向に伸びるセンタートンネルが形成されたフロアパネルを有する燃料電池車両と、
前記フロアパネルの下方において少なくとも一部が前記センタートンネル内に配置され、前記車幅方向に流体を分配する流体分配器と、
前記フロアパネルの下方において前記流体分配器の前記車幅方向に配置され、前記流体分配器から流体の供給を受ける少なくとも一つの燃料電池スタックと、
を備える。
【0007】
本発明の燃料電池搭載車両では、燃料電池スタックに流体を供給する流体分配器の少なくとも一部がセンタートンネル内に配置されるので、流体の配管が集中する流体分配器からの配管を効率的にセンタートンネル内に配置することが可能となる。この結果、スペース効率を高めることができる。さらに、配管が集中する流体分配器線の少なくとも一部がセンタートンネル内に配置されるので、配管ルートとして効率的にセンタートンネルを利用することも可能である。
【0008】
上記燃料電池搭載車両において、
前記燃料電池搭載車両は、燃料ガス供給管と、アノードオフガス排出管と、酸化剤ガス供給管と、カソードオフガス排出管と、冷却液供給管と、冷却液排出管と、を備え、
前記冷却液排出管は、少なくとも前記センタートンネル内において、前記燃料ガス供給管と、前記アノードオフガス排出管と、前記酸化剤ガス供給管と、前記カソードオフガス排出管と、のうちの少なくとも一つの上方に配置されていても良いし、
あるいは、さらに、
前記冷却液供給管は、少なくとも前記センタートンネル内において、前記燃料ガス供給管と、前記アノードオフガス排出管と、前記酸化剤ガス供給管と、前記カソードオフガス排出管と、のうちの少なくとも一つの上方に配置されていても良い。
【0009】
こうすれば、冷却水排出口や冷却液供給管の下方に必ず一つの配管が配置されることになるので、安全性を向上させることができる。加えて、これにより、冷却水排出口が比較的に高い位置に配置されれば高い位置に浮かび上がろうとする気泡の排出が促進されることになるという利点もある。
【0010】
上記燃料電池搭載車両において、
前記酸化剤ガス供給管および前記カソードオフガス排出管は、管内圧力の上昇に応じて開弁するバルブを備えるようにしても良い。こうすれば、カソード極への外気の流入による腐食を抑制することができる。
【0011】
上記燃料電池搭載車両において、
前記冷却液排出管は、前記冷却液供給管よりも高い位置に配置されていても良い。こうすれば、冷却液供給管から冷却液排出管に向かって気泡を含む冷却水を円滑に流すことができる。
【0012】
上記燃料電池搭載車両において、
前記アノードオフガス排出管は、絞り部と、管内圧力の上昇に応じて前記絞り部による絞り機能を抑制するバルブと、を備えるようにしても良い。こうすれば、アノードオフガスの排出量が少ない通常出力時においては上流側の圧力を維持して逆流を抑制する一方、アノードオフガスの排出量が多い大出力時においては排出抵抗を減らすことができる。
【0013】
上記燃料電池搭載車両において、さらに、
前記車両を駆動する駆動部と、
前記燃料電池スタックから供給される電力を前記駆動部に供給する電力制御部と、
少なくとも一部が前記センタートンネルの内部に配置され、前記電力制御部と前記燃料電池スタックとを電気的に接続する電力配線と、前記電気的な接続を遮断可能な中継器とを有する電力供給回路と、
を備え、
前記中継器は、前記センタートンネルの上方からアクセス可能としても良い。
【0014】
こうすれば、フロアパネルの上部から容易にアクセス可能な中継器が備える遮断機能を利用して整備性を向上させることができるという利点もある。さらに、中継器の経由によって、電力配線の配索がセンタートンネルで行われることになるので、仮に整備手順を間違えて電力配線への不意のアクセスが生じても感電を抑制することができるというフェイルセーフ性を実現することもできる。このように、本構成は、中継器のアクセス容易性と、電力配線へのアクセス困難性と、によって極めて高い安全性と整備性の両立を実現させている。
【0015】
上記燃料電池搭載車両において、
前記燃料電池スタックに電気的に接続された電装部品が、前記燃料電池スタックの上部に配置されていても良い。こうすれば、電装部品を下部からアクセスし難い位置に配置することになるので、電装部品に仮に漏電が発生していても感電を抑制するようなフェイルセーフ性を実現するためである。さらに、車両冠水の際の電装部品の水没の可能性を小さくすることもできる。
【0016】
上記燃料電池搭載車両において、
前記センタートンネルは、前記車両の前方向と後方向の少なくとも一方において前記センタートンネルの外部に開放されていても良い。こうすれば、たとえ流体分配器や配管から水素透過(金属透過や非金属材料の水素透過)によって水素ガスが漏洩しても、センタートンネルの内部における水素ガスの滞留を抑制することができる。
【0017】
上記燃料電池搭載車両において、
前記センタートンネルは、前記流体分配器から前記開放された側の少なくとも一方に近づくほど高く形成されていても良い。こうすれば、たとえば停車時や不作動時に水素透過によって水素ガスが漏洩しても、センタートンネルの傾斜に沿って自然に前方に排出させることができる。
【0018】
上記燃料電池搭載車両において、
前記フロアパネルは、少なくとも前記流体分配器の前記車幅方向において、前記センタートンネルに近づくほど高く形成されていても良い。こうすれば、燃料電池スタックの近傍で、たとえば水素透過等によって仮に水素ガスが漏洩してもセンタートンネルを介して外部に開放し、これにより滞留を抑制することができる。
【0019】
上記燃料電池搭載車両において、
前記燃料電池搭載車両は、前記フロアパネルの下方において前記流体分配器を挟んで前記車幅方向の双方に配置され、前記流体分配器から流体の供給を受ける2つの燃料電池スタックを備えるようにしても良い。こうすれば、いわゆるミッドシップを実現して左右の重量バランス(慣性1次モーメント並びに慣性2次モーメント)を左右均等に近づけることができる。
【0020】
本発明は、さらに、他の燃料電池搭載車両を提供する。この燃料電池搭載車両は、
座席と、前記座席の後方に配置された後方パネルとを有する燃料電池車両と、
前記後方パネルの後方に配置された少なくとも一つの燃料電池スタックと、
を備える。
【0021】
この燃料電池搭載車両では、後方パネルの後方のスペースを有効活用して燃料電池スタックが配置されているので、車両客室を広く取ることができる。
【0022】
上記燃料電池搭載車両において、
前記燃料電池スタックは、前記後方パネルの傾斜の方向とほぼ同一の方向に傾斜されていても良い。こうすれば、後方パネルの後方のスペースを効率的に使用することができ、燃料電池スタックの内部のマニホルドにおける流体の滞留を抑制することもできる。
【0023】
上記燃料電池搭載車両において、
前記燃料電池スタックは、前記車両の前後方向や車幅方向よりも上下方向に近い方向に積層されていても良い。こうすれば、燃料電池スタック内部で積層方向に形成されるマニホルドが車両の傾斜に拘わらず水平とならないので、生成水が滞留しにくいという利点がある。
【0024】
上記燃料電池搭載車両において、
前記燃料電池スタックは、前記車両の下方側の端部に酸化剤ガスのオフガスを排出するカソードオフガス排出管が装備されていても良い。こうすれば、カソード極側で生成される生成水を燃料電池スタックの下方側の端部で円滑に排出することができる。
【0025】
本発明は、さらに、他の燃料電池搭載車両を提供する。この燃料電池搭載車両は、
前記車両の車幅方向中央部において前後方向に伸びるセンタートンネルが形成されたフロアパネルを有する車両客室と、
少なくとも一つの燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックに水素ガスを供給する水素ガス供給部と、を有し、少なくとも一部が前記センタートンネルの下方に配置された燃料電池システムと、
を備え、
前記センタートンネルは、前記車両の前方向と後方向の少なくとも一方において前記センタートンネルの外部に開放されているとともに、前記開放された側の少なくとも一方に近づくほど高くなるように連続的な傾斜を有する。
【0026】
本発明の燃料電池搭載車両では、車両の前方向と後方向の少なくとも一方においてセンタートンネルの外部に開放されているとともに、この開放された側の少なくとも一方に近づくほど高くなるように連続的な傾斜を有するので、たとえば非作動時や長期保管時において水素ガスの水素透過で水素ガスが漏洩してもセンタートンネル内へのガスの滞留を抑制することができる。
【0027】
上記燃料電池搭載車両において、
前記センタートンネルは、前記車両の前方向において前記センタートンネルの外部に開放されており、
前記燃料電池搭載車両は、前記開放位置よりも高い位置において前記車両の外部に開放する開口部が形成されたボンネットを有し、前記開放位置から前記開口部まで連続的な傾斜を有するようにしても良い。こうすれば、たとえば非作動時や長期保管時においてもセンタートンネルから車両外部へ水素ガスを円滑に排出することができる。
【0028】
上記燃料電池搭載車両において、
前記フロアパネルは、少なくとも前記燃料電池スタックの装備位置の前記車幅方向において、前記センタートンネルに近づくほど高く形成されていても良い。こうすれば、たとえば非作動時や長期保管時におけるセンタートンネルの外部からセンタートンネルを経由して円滑に水素ガスを排出することができる。
【0029】
なお、本発明は、燃料電池搭載方法、燃料電池搭載用車両構造その他の種々の態様で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.本発明の第1実施例における燃料電池システムの装備配置:
A-1.第1実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置:
A-2.第1実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置:
A-3.第1実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置:
B.本発明の第2実施例における燃料電池システムの装備配置:
B-1.第2実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置:
B-2.第2実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置:
B-3.第2実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置:
C.その他の変形例:
【0031】
A.本発明の第1実施例における燃料電池システムの装備配置:
図1は、本発明の第1実施例における燃料電池搭載車両の車台10を示す説明図である。車台10は、フレーム200と、フロアパネル210と、パワーコントロールユニット110と、2個の水素タンク170と、2次電池160と、高電圧中継ボックスケース120と、マフラ180と、流体分配器140と、2個の燃料電池スタック150L、150Rと、2個の高電圧部品129L、129Rと、を備えている。
【0032】
2個の水素タンク170から供給される燃料ガス(水素ガス)は、水素供給管171とレギュレータ172とを介して流体分配器140に供給される。流体分配器140は、流体分配器140の左右に接続された2個の燃料電池スタック150L、150Rの各々の図示しないアノード極に燃料ガスを供給する。2個の燃料電池スタック150L、150Rから排出されるアノードオフガスは、アノードオフガス排出管181とマフラ180とを介して車外に排出される。
【0033】
図2は、燃料電池搭載車両20の矢視AAを示す説明図である。矢視AAは、フロアパネル210の車幅方向(図1の左右方向)の中央部に形成されたセンタートンネル210CTの断面と、流体分配器140と、流体分配器140の左側に装着された燃料電池スタック150Lと、この燃料電池スタック150Lの上部に装備された高電圧部品129Lと、を備えている。高電圧部品129Lは、燃料電池スタック150Lの近傍に装備され、その内部電極(図示せず)の各電位(一部は高電位)をモニタするセルモニタ(図示せず)を備えている。
【0034】
高電圧部品129L、129Rが燃料電池スタック150L、150Rの上部に装備されている。このような位置に装備されているのは、高電圧部品129L、129Rを下部からアクセスし難い位置に配置することによって、仮に高電圧部品129L、129Rに漏電が発生し、かつ、整備手順を誤ったような場合にも感電を抑制するようなフェイルセーフ性を実現するためである。さらに、車両冠水の際の高電圧部品129L、129Rの水没の可能性を小さくすることができるという利点もある。
【0035】
高電圧部品129L、129Rは、遮断機能を有する高電圧中継ボックス123を介してパワーコントロールユニット110(図1)に電気的に接続されている。具体的には、パワーコントロールユニット110と高電圧中継ボックス123との間の接続は、高電圧ケーブル121F(図1、図2)で接続されており、また、2つの高電圧部品129R、129Lと高電圧中継ボックス123との間の接続は、それぞれ高電圧ケーブル121B1と、高電圧ケーブル121B2とで接続されている。なお、2つの高電圧部品129R、129Lとの接続は、たとえば高電圧中継ボックスケース120の内部で一本にまとめて、高電圧ケーブル121Fと接続するようにしても良い。
【0036】
高電圧中継ボックス123を介して接続されているのは、パワーコントロールユニット110側の配線(高電圧ケーブル121F)と、燃料電池スタック150L、150R側の配線(高電圧ケーブル121B1、B2)とを分離可能として配索を容易にして作業性を向上させるためである。本実施例の装備配置では、パワーコントロールユニット110と、2つの高電圧部品129L、129Rと、の間の距離が大きいので長い高電圧ケーブル(図示せず)を接続して一体として装備することは極めて困難であるが、本実施例では、高電圧中継ボックス123で分断されているので、このような作業性の悪化を回避させることができる。
【0037】
加えて、高電圧中継ボックス123を利用すれば、フロアパネル210の上部からアクセス可能な高電圧中継ボックス123が備える遮断機能を利用して整備性を向上させることができるという利点もある。さらに、高電圧中継ボックス123の経由によって、高電圧ケーブル121F、121B1、121B2の配索がセンタートンネル210CTの上部で行われることになるので、仮に整備手順を間違えて漏電が疑われる高電圧ケーブル121F、121B1、121B2への不意のアクセスが生じても電力の遮断によって感電を抑制することができるというフェイルセーフ性を実現することもできる。
【0038】
高電圧中継ボックス123は、センタートンネル210CTに設けられた高電圧中継ボックスケース120に格納されている。高電圧中継ボックスケース120は、センタートンネル210CTに結合されて水密性(あるいは防水性)が与えられている。これにより、仮に車台10が高電圧中継ボックスケース120の位置まで水没しても高電圧中継ボックス123は浸水しないように車台10を構成することも可能である。一方、高電圧中継ボックスケース120は、高電圧中継ボックスカバー120cを取り外すと、フロアパネル210の上部からの容易なアクセスが可能である。
【0039】
このように、本実施例の高電圧中継ボックス123の装備方法は、高電圧中継ボックス123のアクセス容易性と、高電圧ケーブル121F、121B1、121B2へのアクセス困難性と、によって極めて高い安全性と整備性の両立を実現させている。
【0040】
一方、センタートンネル210CTは、流体分配器140の上方から前方に向かって連続的に傾斜しているとともに前方でセンタートンネル210CTの外部に開放されている。このような傾斜は、車台10の作動時だけでなく停止時においても漏洩した水素ガスが滞留し難くなるように形成されたものである。これにより、たとえ水素透過によって水素ガスが漏洩してもセンタートンネル210CTの傾斜に沿って自然に前方に排出されるような簡易な構成として実現されている。
【0041】
センタートンネル210CTの傾斜に沿って前方に誘導され開放された水素ガスは、この開放位置よりも高い位置のボンネット800の内部に到達する。ボンネット800の内部に到達した水素ガスは、連続的な傾斜に沿ってボンネット800の開口部810に流れて燃料電池搭載車両20の外部に開放されることになる。このように、第1実施例の装備配置では、仮に燃料電池搭載車両20の停止時において水素ガスが漏洩しても車両20の外部に円滑に誘導することができるという利点をも有している。
【0042】
なお、センタートンネル210CTやボンネット800の傾斜は、本発明の必須の要素ではなく、水素ガスの排出ルートの設定や排出装置の装備といった他の方法で水素ガスの滞留を抑制するようにしても良い。さらに、このような傾斜は、流体分配器140を使用する場合に限られず、流体分配器140を使用しない場合においても燃料電池スタック150L、150Rや、水素供給管171、レギュレータ172といった水素ガスを供給する系統から漏洩した水素ガスを円滑に誘導して滞留を抑制することもできる。
【0043】
図3は、車台10の矢視BB(図2)であって、燃料電池スタック150L、150Rとその周辺を前方から見た図である。流体分配器140は、車台10の前方において上方から順に、冷却水排出口141outと、冷却水供給口141inと、酸化剤ガス供給口142inと、を備えている。他の配管よりも高温となる冷却水排出口141outが冷却水供給口141inや酸化剤ガス供給口142inよりも上方に配置されているのは、安全性の向上と燃料電池スタック150L、150R内からの気泡の排出促進のためである。
【0044】
安全性の向上は、以下のようにして実現される。すなわち、冷却水排出口141outが冷却水供給口141inや酸化剤ガス供給口142inよりも上方に配置されるとともに、少なくともセンタートンネルCT内において冷却水排出口141outに接続される配管を冷却水供給口141inや酸化剤ガス供給口142inに接続される配管(図示せず)よりも高い位置に配置可能なので、このような配置によって冷却水供給口141inや酸化剤ガス供給口142inを取り外さなければ冷却水排出口141outに触れ難い位置に配置されていることになるからである。
【0045】
ただし、このような安全性の向上や気泡の排出促進は、冷却水排出口141outが酸化剤ガス供給口142in、カソードオフガス排出口142out、水素ガス供給口143in、アノードオフガス143outのうちの少なくとも一つの上方に配置されていれば実現可能である。なお、冷却水供給口141inについては、冷却水排出口141outほどの高温とはなりにくいが、冷却水排出口141out以外の配管よりも高温となる可能性があるので、冷却水供給口141inについても冷却水排出口141outに準ずる扱いをすることが好ましい。
【0046】
燃料電池スタック150L、150R内からの気泡の排出促進は、以下のようにして実現される。すなわち、冷却水排出口141outが比較的に高い位置に配置されることになるので、高い位置に浮かび上がろうとする気泡の排出が促進されることになるからである。なお、詳細については後述する。
【0047】
さらに、フロアパネル210は、図3から分かるように、左右端からセンタートンネル210CTに近づくほど高くなるように形成されている。この傾斜は、2個の燃料電池スタック150L、150Rの近傍で、たとえば水素透過等によって仮に水素ガスが漏洩してもセンタートンネル210CTに流れるようにして滞留を抑制するためである。センタートンネル210CTに流れ込んだ水素ガスは、センタートンネル210CTの傾斜に沿って前方に流れ、センタートンネル210CTの外部に開放されることになる。
【0048】
図4は、車台10の矢視DD(図3)であって、流体分配器140、燃料電池スタック150L、および高電圧部品129Lを車台10の左側(図1)から見た図である。燃料電池スタック150Lには、その内部に形成された冷却水排出マニホルド141Moutが形成されている。冷却水排出マニホルド141Moutは、燃料電池スタック150Lにおいて比較的に高い位置(上下方向すなわち重力方向)に配置されているので、燃料電池スタック150Lの内部で気泡が発生しても円滑に冷却水排出マニホルド141Moutに導かれることになる。
【0049】
さらに、冷却水排出口141outは、冷却水排出マニホルド141Moutよりも高い位置に配置されるので、流体分配器140において燃料電池スタック150Lの内部で発生した気泡が円滑に冷却水排出口141outに導かれるような流路を設定することができる。加えて、流体分配器140の上方から前方に向かって連続的に傾斜するセンタートンネル210CTに沿って、冷却水排出口141outからラジエータ(図示せず)への配管流路(図示せず)を設定することができるので、かかる配管流路においても円滑な気泡の排出を実現することができる。これにより、気泡の発生による冷却性能の低下を抑制することができる。このような装備配置は、車台10が仮に傾斜しても上下関係に変化が生じにくいので、特に車台10の傾斜に対して耐性を有するという特徴を有している。
【0050】
図5は、車台10の矢視CC(図2)であって、燃料電池スタック150L、150Rとその周辺を後方から見た図である。図6は、車台10の矢視EE(図5)であって、流体分配器140、燃料電池スタック150L、および高電圧部品129Lを車台10の上方(図1)から見た図である。図3ないし図6から分かるように、流体分配器140は、外部配管(図示せず)との接続に脱着容易な6個のクイックコネクタ141QCin、141QCout、142QCin、142QCout、143QCin、143QCoutを使用している。
【0051】
流体分配器140の前方に装備されたクイックコネクタ141QCout、141QCin(図3、図4)は、冷却系の給排用の配管(図示せず)に接続されている。
【0052】
流体分配器140の前方と後方にそれぞれ装備されたクイックコネクタ142QCinと、142QCout(図3、図4)は、酸化剤ガス系(空気系)の給排用の配管(図示せず)に接続されている。2個のクイックコネクタ142QCin、142QCoutは、いずれも遮断機能を備え、作動時に酸化剤ガスの圧力が加わったときのみ開弁するように構成されている。かかる遮断機能は、燃料電池スタック150L、150Rの停止時における外気の進入による腐食を防止するために設けられたものである。
【0053】
流体分配器140の後方に装備されたクイックコネクタ143QCinと、143QCout(図5、図6)は、燃料ガス系(水素ガス系)の給排用の配管(図示せず)に接続されている。アノードオフガスを排出する側のクイックコネクタ143QCoutは、オリフィス143orと、オリフィス143orをバイパスさせて絞り機能を抑制させるバルブ143bvとを備えている。オリフィス143orによる絞り機能は、アノードオフガスの排出量が少ない通常出力時においてクイックコネクタ143QCoutの上流側の圧力を維持して逆流を抑制するために設けられている。バルブ143bvによる開弁機能は、アノードオフガスの排出量が多い大出力時においてクイックコネクタ143QCoutから排出抵抗を減らすために上流側の圧力が一定以上となった場合に開弁して絞り機能を抑制(あるいは停止)するために設けられている。
【0054】
このように、第1実施例では、冷却水の空気抜き性能の向上や水素排出、高電圧配線の装着性や整備性といった総合的な観点から燃料電池系統の装備配置が実現されている。さらに、比較的に重量の大きな燃料電池スタック150L、150Rが車台10の中心に配置されることになるので、いわゆるミッドシップを実現して燃料電池搭載車両の操縦性を向上させることも可能となる。加えて、燃料電池スタック150L、150Rが流体分配器140の左右に対称的に配置されるので、左右の重量バランス(慣性1次モーメント並びに慣性2次モーメント)も左右均等となる。
【0055】
ただし、流体分配器140の左右に二つの燃料電池スタック150L、150Rが対称的に配置されることは必須ではなく、たとえば一方に燃料電池スタック150Lが配置され、他方に燃料電池スタック150Lの補機類(図示せず)を配置しても良い。このようにしても、いわゆるミッドシップを実現することも、左右の重量バランス(慣性1次モーメント並びに慣性2次モーメント)を左右均等に近づけることも可能である。
【0056】
A-1.第1実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置:
図7および図8は、第1実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図であり、第1実施例の図3および図4に相当する。この第1変形例では、高電圧部品129L、129Rの装備位置が第1実施例と相違する。具体的には、第1実施例では、高電圧部品129L、129Rが燃料電池スタック150L、150Rの上方に装備されているのに対して、この第1変形例では、高電圧部品129La、129Raが形状を変えて燃料電池スタック150L、150Rの前方に装備されている。
【0057】
このような装備配置は、燃料電池スタック150L、150Rと高電圧部品129La、129Raの装備に必要とされる床下の高さhsを小さくできるという利点を有している。
【0058】
A-2.第1実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置:
図9は、第1実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図であり、第1実施例の図3に相当する。この第2変形例では、燃料電池スタック150La、150Raが傾斜して装備されている点で第1実施例と相違する。具体的には、第2変形例の流体分配器140aに接続される側が低くなるように装備されている。第2変形例の流体分配器140aは、このような角度の装備に対応するように楔形のような形状を有している。
【0059】
このような装備配置は、車台10の車幅方向に積層された燃料電池スタック150La、150Raの内部のマニホルド(図示せず)を流れる流体が円滑に流体分配器140aに戻って来やすいという利点を有している。なお、第2変形例は、燃料電池スタック150La、150Raの傾斜によって、必要とする床下の高さが大きくなる傾向があるので、床下の高さhsを小さくできる第1変形例と組み合わせて相殺させることが好ましい。
【0060】
A-3.第1実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置:
図10は、第1実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図であり、第1実施例の図4に相当する。この第3変形例では、燃料電池スタック150La、150Raが装備される角度が第1実施例と相違する。具体的には、燃料電池スタック150L、150Rの積層方向を軸にして回転し、燃料電池スタック150La、150Raが斜めとなった状態で装備されている。
【0061】
第1実施例は、このような第3変形例の装備配置にも適用可能である。すなわち、第1実施例は、第1〜第3の変形例のいずれの組み合わせにも適用することができる。
【0062】
B.本発明の第2実施例における燃料電池システムの装備配置:
図11および図12は、本発明の第2実施例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図である。第2実施例は、座席500の後方に配置された後方パネル230の後方において、2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbの積層方向が車台10の車幅方向とされるとともに、積層方向を軸として後方パネル230の傾斜に沿って傾斜させて装備している点で第1実施例と相違する。2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbは、後方パネル230の後方において傾斜して装備された流体分配器140bの両側に接続されている。これにより、燃料電池スタック150Lb、150Rbが流体分配器140bの左右に対称的に配置されるので、第1実施例と同様に左右の重量バランスも左右均等となるという利点を有している。
【0063】
第2実施例の装備配置では、流体分配器140bの上方に冷却水排出口141outが装備され、その下方に冷却水排出マニホルド141Mbout(燃料電池スタック150Rb側)が配置されている。一方、冷却水排出マニホルド141Mboutは、燃料電池スタック150Rbにおいて比較的に高い位置(上下方向すなわち重力方向)に配置されているので、第1実施例と同様に燃料電池スタック150Rbの内部で気泡が発生しても円滑に冷却水排出マニホルド141Mboutに導かれることになる。なお、この点は、燃料電池スタック150Lbについても同様である。このような装備配置は、車台10が仮に傾斜しても上下関係に変化が生じにくいので、特に車台10の傾斜に対して耐性を有するという特徴を有している点は第1実施例と同様である。
【0064】
第2実施例の装備配置では、さらに、高電圧部品129Lb、129Rbが燃料電池スタック150Lb、150Rbの上方に配置されているので、仮に車台10が冠水しても高電圧部品129Lb、129Rbの水没を回避することができるという利点を有している。一方、水素タンク170aや水素供給管171a、レギュレータ172といった燃料ガス供給系統が1箇所にまとめられているので、水素供給管171の短縮化が図れるとともに水素ガスの滞留を抑制することもできる。加えて、水素検知器610を単一の場所に配置するだけで、燃料ガス供給系統からの水素ガスの漏洩の有無を監視することも可能となる。
【0065】
なお、このような利点は、2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbを後方パネル230の後方へ配置すれば得ることができるので上述の傾斜は必須の要素ではない。ただし、このような傾斜は、スペースの効率化と、2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbの内部のマニホルド(図示せず)における流体の滞留の抑制という利点をもたらすものである。また、この装備配置では、2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbや2次電池700がフロアパネル210aの上方に配置されているので、車台10が冠水しても2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbや2次電池700の水没を抑制することができるという利点もある。
【0066】
B-1.第2実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置:
図13は、第2実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図である。この第1変形例は、2個の燃料電池スタック150Lb、150Rbの代わりに単一の燃料電池スタック150bが車幅方向の中央に装備されている点で第2実施例と相違する。この第1変形例は、流体分配器140bが使用されておらず、燃料電池スタック150bの積層方向の端部(一方あるいは両方)から燃料ガスや酸化剤ガスといった流体が供給されることになる。このように、第2実施例における後方パネル230の後方への配置は、流体分配器140bの双方に複数の燃料電池スタックが配置されるような装備配置に限られず、単一の燃料電池スタックの装備にも適用可能である。
【0067】
B-2.第2実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置:
図14および図15は、第2実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図である。この第2変形例は、後方パネル230の後方において、燃料電池スタック150cが後方パネル230の傾斜に沿って傾斜させて装備されている点で第2実施例(第1変形例を含む)と共通するが、単一の燃料電池スタック150cの積層方向が車台10の左右方向よりも上下方向に近づくように装備されている点で第2実施例と相違する。
【0068】
第2実施例の第1変形例の装備配置では、冷却水供給口141in、冷却水排出口141out、酸化剤ガス供給口142in、カソードオフガス排出口142out、水素ガス供給口143in、アノードオフガス143outが燃料電池スタック150cの下方の積層端に集中的に配置されている。一方、燃料電池スタック150cの上方の積層端には、高電圧部品129cが配置されているので、仮に車台10が冠水しても高電圧部品129cの水没を回避することができるという利点を有している点は第1実施例と同様である。
【0069】
第1変形例の装備配置では、さらに、燃料電池スタック150cの積層数を増減させることによって燃料電池スタック150cの出力容量を維持しつつ燃料電池スタック150cの厚さWsを調整することも可能なので、この設計自由度を利用して後方パネル230の後方のスペースに応じた燃料電池スタック150cの設計が容易となるという利点がある。さらに、後方パネル230の後方には、上下方向に大きな空間が得られるので、厚さWsを小さくして客室を広くすることも可能である。
【0070】
さらに、この変形例では、燃料電池スタック150cが車台10の前後方向や車幅方向よりも上下方向に近い方向に積層されているので、燃料電池スタック150cの内部で積層方向に形成されるマニホルド(図示せず)が車両の傾斜に拘わらず水平とならないので、生成水が滞留しにくいという利点がある。加えて、燃料電池スタック150cの下方側の端部にカソードオフガス排出口142outが装備されているので、カソード極側(図示せず)で生成される生成水を燃料電池スタックの下方側の端部で円滑に排出することができるという利点もある。
【0071】
B-3.第2実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置:
図16は、第2実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図である。この第3変形例は、後方パネル230の後方において、燃料電池スタック150dの積層方向が車台10の左右方向よりも上下方向に近づくように装備されているとともに、後方パネル230の傾斜に沿って傾斜して装備されている点で第2変形例と共通するが、燃料電池スタック150dの右側に2次電池700aが装備されている点で第2変形例と相違する。
【0072】
このように、燃料電池スタック150eと、2次電池700aとを左右に対称的に配置して左右の重量バランスを左右均等とするように構成しても良い。なお、この構成では、水素タンクを後席下に配置することも可能である。また、2次電池700aは、キャパシタその他の蓄電装置であればよく、この点は、他の2次電池160、700についても同様である。
【0073】
C.その他の変形例:
以上、本発明のいくつかの実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。特に、上記各実施例における構成要素中の独立請求項に記載された要素以外の要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施例における燃料電池搭載車両の車台10を示す説明図。
【図2】車台10の矢視AAを示す説明図。
【図3】車台10の矢視BBであって燃料電池スタックとその周辺を前方から見た図。
【図4】車台10の矢視DDであって流体分配器、燃料電池スタックおよび高電圧部品を車台10の左側から見た図。
【図5】車台10の矢視CCであって燃料電池スタック、とその周辺を後方から見た図。
【図6】車台10の矢視EEであって流体分配器、燃料電池スタックおよび高電圧部品を車台10の上方から見た図。
【図7】車台10の矢視EEであって流体分配器、燃料電池スタックおよび高電圧部品を車台10の上方から見た図。
【図8】第1実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図9】第1実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図10】第1実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図11】本発明の第2実施例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図12】本発明の第2実施例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図13】第2実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図14】第2実施例の第1変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図15】第2実施例の第2変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【図16】第2実施例の第3変形例における燃料電池システムの装備配置を示す説明図。
【符号の説明】
【0075】
10…車台
110…パワーコントロールユニット
120…高電圧中継ボックスケース
120c…高電圧中継ボックスカバー
121F…高電圧ケーブル
121B1…高電圧ケーブル
121B2…高電圧ケーブル
123…高電圧中継ボックス
129L、129R、129c、129La、129Lb…高電圧部品
140、140a、140b…流体分配器
141in…冷却水供給口
141out…冷却水排出口
142in…酸化剤ガス供給口
142out…カソードオフガス排出口
143in…水素ガス供給口
143out…アノードオフガス
141Mout、141Mbout…冷却水排出マニホルド
141QCin…クイックコネクタ(冷却水供給口)
141QCout…クイックコネクタ(冷却水排出口)
142QCin…クイックコネクタ(酸化剤ガス供給口)
142QCout…クイックコネクタ(カソードオフガス排出口)
143QCin…クイックコネクタ(水素ガス供給口)
143QCout…クイックコネクタ(アノードオフガス排出口)
150Rb側…燃料電池スタック
150L、150R、150La、150Ra、150Lb、150Rb、150b、150c、150d、150e…燃料電池スタック
170、170a…水素タンク
171、171a…水素供給管
172…レギュレータ
180…マフラー
181…アノードオフガス排出管
200…フレーム
210…フロアパネル
210CT…センタートンネル
230…後方パネル
500…座席
610…水素検知器
700、700a…2次電池
610…

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に伸びるセンタートンネルが形成されたフロアパネルを有する燃料電池車両と、
前記フロアパネルの下方において少なくとも一部が前記センタートンネル内に配置され、前記車幅方向に流体を分配する流体分配器と、
前記フロアパネルの下方において前記流体分配器の前記車幅方向に配置され、前記流体分配器から流体の供給を受ける少なくとも一つの燃料電池スタックと、
を備える燃料電池搭載車両。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池搭載車両であって、
前記燃料電池搭載車両は、燃料ガス供給管と、アノードオフガス排出管と、酸化剤ガス供給管と、カソードオフガス排出管と、冷却液供給管と、冷却液排出管と、を備え、
前記冷却液排出管は、少なくとも前記センタートンネル内において、前記燃料ガス供給管と、前記アノードオフガス排出管と、前記酸化剤ガス供給管と、前記カソードオフガス排出管と、のうちの少なくとも一つの上方に配置されている燃料電池搭載車両。
【請求項3】
請求項2記載の燃料電池搭載車両であって、
前記冷却液供給管は、少なくとも前記センタートンネル内において、前記燃料ガス供給管と、前記アノードオフガス排出管と、前記酸化剤ガス供給管と、前記カソードオフガス排出管と、のうちの少なくとも一つの上方に配置されている燃料電池搭載車両。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、
前記酸化剤ガス供給管および前記カソードオフガス排出管は、管内圧力の上昇に応じて開弁するバルブを備える燃料電池搭載車両。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、
前記冷却液排出管は、前記冷却液供給管よりも高い位置に配置されている燃料電池搭載車両。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、
前記アノードオフガス排出管は、絞り部と、管内圧力の上昇に応じて前記絞り部による絞り機能を抑制するバルブと、を備える燃料電池搭載車両。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、さらに、
前記車両を駆動する駆動部と、
前記燃料電池スタックから供給される電力を前記駆動部に供給する電力制御部と、
少なくとも一部が前記センタートンネルの内部に配置され、前記電力制御部と前記燃料電池スタックとを電気的に接続する電力配線と、前記電気的な接続を遮断可能な中継器とを有する電力供給回路と、
を備え、
前記中継器は、前記センタートンネルの上方からアクセス可能である燃料電池搭載車両。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、
前記燃料電池スタックに電気的に接続された電装部品が、前記燃料電池スタックの上部に配置されている燃料電池搭載車両。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、
前記センタートンネルは、前記車両の前方向と後方向の少なくとも一方において前記センタートンネルの外部に開放されている燃料電池搭載車両。
【請求項10】
請求項9記載の燃料電池搭載車両であって、
前記センタートンネルは、前記流体分配器から前記開放された側の少なくとも一方に近づくほど高く形成されている燃料電池搭載車両。
【請求項11】
請求項10記載の燃料電池搭載車両であって、
前記フロアパネルは、少なくとも前記流体分配器の前記車幅方向において、前記センタートンネルに近づくほど高く形成されている燃料電池搭載車両。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の燃料電池搭載車両であって、
前記燃料電池搭載車両は、前記フロアパネルの下方において前記流体分配器を挟んで前記車幅方向の双方に配置され、前記流体分配器から流体の供給を受ける2つの燃料電池スタックを備える燃料電池搭載車両。
【請求項13】
座席と、前記座席の後方に配置された後方パネルとを有する燃料電池車両と、
前記後方パネルの後方に配置された少なくとも一つの燃料電池スタックと、
を備える燃料電池搭載車両。
【請求項14】
請求項13記載の燃料電池搭載車両であって、
前記燃料電池スタックは、前記後方パネルの傾斜の方向とほぼ同一の方向に傾斜されている燃料電池搭載車両。
【請求項15】
請求項13または14に記載の燃料電池搭載車両であって、
前記燃料電池スタックは、前記車両の前後方向や車幅方向よりも上下方向に近い方向に積層されている燃料電池搭載車両。
【請求項16】
請求項15に記載の燃料電池搭載車両であって、
前記燃料電池スタックは、前記車両の下方側の端部に酸化剤ガスのオフガスを排出するカソードオフガス排出管が装備されている燃料電池搭載車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−279954(P2008−279954A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127194(P2007−127194)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】