説明

燃料電池発電システム

【課題】不純物ガス濃度を計測する機器を使用しなくてもガスパージの時期を低コストで知見することができる燃料電池発電システムを提供する。
【解決手段】電流計150からの信号に基づいて、水素ガス1の流通方向最下流側に位置する燃料電池110の第一のサブスタック111に流れる電流値と、当該サブスタック111が当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との平均電流値を算出して、定格電流値に対する電流値割合Irを算出し、電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、電圧計151からの信号に基づいて、上記サブスタック111の前記最上流側のときの電圧値と前記最下流側のときの電圧値との電圧差値Vdを算出して前記係数Cjとの積から判定電圧差値Vjを算出し、判定電圧差値Vjが規定電圧差値Vs以上でパージバルブ107から水素ガス1を系外へ流出させる制御装置140を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料電池発電システムとしては、例えば、下記特許文献1,2に示されているように、水素ガスや酸素ガス等の原料ガスの流通経路を直列ループ状にするようにサブスタックを複数接続すると共に、これらサブスタック間にバルブを設け、これらサブスタックの前記原料ガスの流通方向に対する位置を時間等の種々の条件に応じて順次切り換えることにより、ブロアやエジェクタ等のガス循環装置がなくても、送給された前記原料ガスをほとんどすべて発電に使用することができるようにしたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−147178号公報
【特許文献2】特開2008−147179号公報
【特許文献3】特開2004−349215号公報
【特許文献4】特開2003−317752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1,2に記載されている燃料電池発電システムにおいて、供給する前記原料ガス中に窒素ガスやアルゴンガス等の不純物ガスがわずかながらも混入していると、発電運転を継続していくにしたがって、上記サブスタック内を流通する前記原料ガス中に前記不純物ガスが濃縮されて、当該原料ガス中の当該不純物ガス濃度が高くなって、当該原料ガスの濃度が低下してしまい、発電効率が次第に低下してしまう可能性がある。
【0005】
このため、例えば、上記特許文献3,4等においては、前記原料ガス中の不純物ガス濃度を計測して、スタック内を流通する当該原料ガス中の前記不純物ガス濃度が基準値以上になったら、当該不純物ガス濃度を低下させるように、当該スタック内を流通する当該原料ガスを系外へパージすることにより、当該スタック内を流通する当該原料ガス中の前記不純物ガスの濃縮を抑えて、発電効率の低下を抑えるようにした燃料電池システムを提案している。
【0006】
しかしながら、前記特許文献3,4等に記載されている燃料電池システムにおいては、スタック内を流通する前記原料ガス中の前記不純物ガス濃度を計測する機器を使用しなければならないため、コストアップを招いてしまうという問題があった。
【0007】
このようなことから、本発明は、不純物ガス濃度を計測する機器を使用しなくてもガスパージの時期を低コストで知見することができる燃料電池発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した課題を解決するための、第一番目の発明に係る燃料電池発電システムは、電解質を燃料極及び酸化極で挟んだセルを複数積層した燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段とを備えている燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池が、前記セルを複数積層したサブスタックを、前記燃料ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数接続したものであり、前記燃料ガス供給手段が、前記燃料電池の各前記サブスタックの燃料ガス受入口にそれぞれ接続されると共に、前記燃料ガス供給手段と前記燃料電池の各前記サブスタックの前記燃料ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する燃料ガス用最上流位置切換手段と、前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記燃料ガスの前記流通経路をそれぞれ切断又は接続する燃料ガス用最下流位置切換手段と、前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記燃料ガスの前記流通経路の前記燃料ガス用最下流位置切換手段よりも当該燃料ガスの流通方向上流側にそれぞれ設けられて当該流通経路を流通するガスの系外への流出を可能にする燃料ガス用ガス流出手段と、前記燃料電池に流れる電流量又は当該燃料電池の前記サブスタックに流れる電流量を計測する電流量計測手段と、前記燃料電池の前記サブスタックの電圧値又は当該サブスタックの前記セルの電圧値を計測する電圧値計測手段と、運転時間、前記燃料ガス供給手段からの前記燃料ガスの送給量、前記燃料電池の前記サブスタックに流れた電流量、前記燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記燃料電池の前記サブスタック内の水分量、前記燃料電池の前記サブスタック内の圧損値、前記燃料電池の前記サブスタックの前記燃料ガスの排出口部分の圧力値、のうちの少なくとも一つを計測する燃料ガス用切換時期確認手段と、前記燃料ガス用切換時期確認手段からの信号に基づいて、前記燃料ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記燃料ガス用最上流位置切換手段を制御すると共に、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記燃料ガス用最下流位置切換手段を制御することと並行して、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックに流れる電流値と、当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との差分の電流差値を算出し、当該電流差値が規定値以内の場合には、当該流通方向最上流側に位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し、予め求められている関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、前記電圧値計測手段からの信号に基づいて、上記サブスタックの上記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値と上記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し、下記式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出して、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、当該サブスタックの上記流通方向下流側に位置する前記燃料ガス用ガス流出手段からガスを系外へ流出させるように当該燃料ガス用ガス流出手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
Vj=Vd×Cj (1)
【0010】
また、前述した課題を解決するための、第二番目の発明に係る燃料電池発電システムは、電解質を燃料極及び酸化極で挟んだセルを複数積層した燃料電池と、前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段とを備えている燃料電池発電システムにおいて、前記燃料電池が、前記セルを複数積層したサブスタックを、前記酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数接続したものであり、前記酸化ガス供給手段が、前記燃料電池の各前記サブスタックの酸化ガス受入口にそれぞれ接続されると共に、前記酸化ガス供給手段と前記燃料電池の各前記サブスタックの前記酸化ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最上流位置切換手段と、前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最下流位置切換手段と、前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路の前記酸化ガス用最下流位置切換手段よりも当該酸化ガスの流通方向上流側にそれぞれ設けられて当該流通経路を流通するガスの系外への流出を可能にする酸化ガス用ガス流出手段と、前記燃料電池に流れる電流量又は当該燃料電池の前記サブスタックに流れる電流量を計測する電流量計測手段と、前記燃料電池の前記サブスタックの電圧値又は当該サブスタックの前記セルの電圧値を計測する電圧値計測手段と、運転時間、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスの送給量、前記燃料電池の前記サブスタックに流れた電流量、前記燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記燃料電池の前記サブスタック内の水分量、前記燃料電池の前記サブスタック内の圧損値、前記燃料電池の前記サブスタックの前記酸化ガスの排出口部分の圧力値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と、前記酸化ガス用切換時期確認手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段を制御すると共に、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御することと並行して、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックに流れる電流値と、当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との差分の電流差値を算出し、当該電流差値が規定値以内の場合には、当該流通方向最上流側に位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し、予め求められている関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、前記電圧値計測手段からの信号に基づいて、上記サブスタックの上記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値と上記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し、下記式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出して、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、当該サブスタックの上記流通方向下流側に位置する前記酸化ガス用ガス流出手段からガスを系外へ流出させるように当該酸化ガス用ガス流出手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
Vj=Vd×Cj (1)
【0012】
第三番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第一番目の発明において、前記燃料電池が、前記サブスタックを、前記酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数接続したものであり、前記酸化ガス供給手段が、前記燃料電池の各前記サブスタックの酸化ガス受入口にそれぞれ接続されると共に、前記酸化ガス供給手段と前記燃料電池の各前記サブスタックの前記酸化ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最上流位置切換手段と、前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最下流位置切換手段と、前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路の前記酸化ガス用最下流位置切換手段よりも当該酸化ガスの流通方向上流側にそれぞれ設けられて当該流通経路を流通するガスの系外への流出を可能にする酸化ガス用ガス流出手段と、運転時間、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスの送給量、前記燃料電池の前記サブスタックに流れた電流量、前記燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記燃料電池の前記サブスタック内の水分量、前記燃料電池の前記サブスタック内の圧損値、前記燃料電池の前記サブスタックの前記酸化ガスの排出口部分の圧力値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段とを備え、前記制御手段が、前記酸化ガス用切換時期確認手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段を制御すると共に、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御することと並行して、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックに流れる電流値と、当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との差分の電流差値を算出し、当該電流差値が規定値以内の場合には、当該流通方向最上流側に位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し、予め求められている関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、前記電圧値計測手段からの信号に基づいて、上記サブスタックの上記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値と上記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し、前記式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出して、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、当該サブスタックの上記流通方向下流側に位置する前記酸化ガス用ガス流出手段からガスを系外へ流出させるように当該酸化ガス用ガス流出手段を制御するものであることを特徴とする。
【0013】
第四番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第一番目から第三番目の発明のいずれかにおいて、前記制御手段は、前記電流差値が規定値を超えている場合には、前記電流差値の規定値超の計測の連続回数を計数し、当該連続回数が規定回数以上である場合には、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記燃料電池に電流が前記定格電流値で所定時間流れるように当該燃料電池に対して電力を要求するものであることを特徴とする。
【0014】
第五番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第一番目、第三番目、第四番目の発明のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該燃料ガスの流通方向最上流側に位置させるように前記燃料ガス用最上流位置切換手段及び前記燃料ガス用最下流位置切換手段を制御するものであることを特徴とする。
【0015】
第六番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第二番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記酸化ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該酸化ガスの流通方向最上流側に位置させるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段及び前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御するものであることを特徴とする。
【0016】
第七番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第一番目、第三番目、第四番目の発明のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記燃料ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該燃料ガスの流通方向最下流側に位置させるように前記燃料ガス用最上流位置切換手段及び前記燃料ガス用最下流位置切換手段を制御するものであることを特徴とする。
【0017】
第八番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第二番目から第四番目の発明のいずれかにおいて、前記制御手段が、前記酸化ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該酸化ガスの流通方向最下流側に位置させるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段及び前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御するものであることを特徴とする。
【0018】
第九番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第一番目、第三〜五番目、第七番目の発明のいずれかにおいて、前記燃料ガス供給手段が、濃度99%以上の水素ガスを供給するものであることを特徴とする。
【0019】
第十番目の発明に係る燃料電池発電システムは、第二〜四番目、第六番目、第八番目の発明のいずれかにおいて、前記酸化ガス供給手段が、濃度99%以上の酸素ガスを供給するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る燃料電池発電システムによれば、ガスの流通方向最下流側に位置しているときのサブスタックの電圧値と、このサブスタックの前記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値とが比較可能な条件になっているかどうかを電流値により判断してから、当該サブスタックの両位置における電圧値を比較することにより、当該ガスのパージ時期を知見できるようにしたことから、前記サブスタック内を流通するガス中の不純物ガス濃度を直接的に計測する各種センサ等を使用する必要がまったくないので、ガス中の不純物ガス濃度を計測しなくてもガスパージの時期を低コストで知見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る燃料電池発電システムの主な実施形態の燃料ガス系統及び電力系統等の主要部の概略構成図である。
【図2】図1の燃料電池発電システムの燃料ガス系統等の主要部の制御ブロック図である。
【図3】図1の燃料電池発電システムの燃料ガス系統の主要部の作動説明図である。
【図4】図1の燃料電池発電システムのパージ制御のフロー図である。
【図5】図4に続くパージ制御のフロー図である。
【図6】電流値割合Irと判定用係数Cjとの関係を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る燃料電池発電システムの実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は図面に基づいて説明する以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0023】
[主な実施形態]
本発明に係る燃料電池発電システムの主な実施形態を図1〜5に基づいて説明する。
【0024】
図1に示すように、固体高分子形の燃料電池110は、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜を導電性及びガス透過性を有する燃料極及び酸化極で挟んだセルと、燃料ガスの流路及び酸化ガスの流路をそれぞれ形成されると共に導電性を有するセパレータとを交互に複数積層して、積層方向両端側を一対のエンドフランジで挟み込んで構成された複数(本実施形態では3つ)の第一〜三のサブスタック111〜113を、燃料ガスの流通経路を直列ループ状にするように接続した構造となっている。
【0025】
各前記サブスタック111〜113のエンドフランジに形成された各燃料ガス受入口には、燃料ガスである濃度99%以上の水素ガス1の供給手段である水素ガスボンベ130が電磁式の二方型のバルブ101〜103を介してそれぞれ接続している。
【0026】
前記第一のサブスタック111のエンドフランジに形成された燃料ガス排出口と前記第二のサブスタック112の前記燃料ガス受入口との間には、燃料ガス用気液分離手段であるドレントラップ121及び電磁式の二方型のバルブ104が介在している。前記第二のサブスタック112のエンドフランジに形成された燃料ガス排出口と前記第三のサブスタック113の前記燃料ガス受入口との間には、燃料ガス用気液分離手段であるドレントラップ122及び電磁式の二方型のバルブ105が介在している。前記第三のサブスタック113のエンドフランジに形成された燃料ガス排出口と前記第一のサブスタック111の前記燃料ガス受入口との間には、燃料ガス用気液分離手段であるドレントラップ123及び電磁式の二方型のバルブ106が介在している。
【0027】
前記第一のサブスタック111の前記燃料ガス排出口と前記ドレントラップ121との間には、電磁式の三方型のパージバルブ107が介在しており、当該パージバルブ107は、残りの口が系外へ連絡している。前記第二のサブスタック112の前記燃料ガス排出口と前記ドレントラップ122との間には、電磁式の三方型のパージバルブ108が介在しており、当該パージバルブ108は、残りの口が系外へ連絡している。前記第三のサブスタック113の前記燃料ガス排出口と前記ドレントラップ123との間には、電磁式の三方型のパージバルブ109が介在しており、当該パージバルブ109は、残りの口が系外へ連絡している。
【0028】
前記ドレントラップ121〜123の下部には、気液分離した生成水2を外部へ排出する電磁式の二方型のドレンバルブ121a〜123aが設けられている。
【0029】
前記サブスタック111〜113の前記燃料ガス受入口の近傍には、当該サブスタック111〜113内の前記水素ガス1の圧力をそれぞれ計測する燃料ガス用ガス圧計測手段であるガス圧センサ141〜143及び温度をそれぞれ計測する燃料ガス用ガス温計測手段であるガス温センサ144〜146が各々設けられている。前記サブスタック111〜113には、当該サブスタック111〜113内を各々流通する温調水の温度をそれぞれ計測する水温計測手段である水温センサ147〜149が各々設けられている。前記サブスタック111〜113には、当該サブスタック111〜113の電圧値をそれぞれ計測する電圧値計測手段である電圧計151〜153が各々設けられている。
【0030】
また、前記サブスタック111〜113は、一つの電池として作動できるように直列に接続され、前記燃料電池110に流れる電流量を計測する電流量計測手段である電流計150及び制御手段であるコントローラ140を介して外部機器190へ電気的に接続している。このコントローラ140には、エネルギ貯蔵手段である二次電池160が接続されており、当該コントローラ140は、前記燃料電池110での発電量と前記外部機器190での消費電量(要求電量)との差分に応じて、当該燃料電池110で発電された電力の一部を前記二次電池160に充電することや、当該二次電池160に充電された電力を前記外部機器190へ給電することができるようになっている。
【0031】
そして、図2に示すように、前記コントローラ140の信号入力部には、前記センサ141〜149及び前記電流計150並びに前記電圧計151〜153がそれぞれ電気的に接続されている。前記コントローラの信号出力部には、前記バルブ101〜109,121a〜123aがそれぞれ電気的に接続しており、当該コントローラ140は、燃料ガス用切換時期確認手段である内蔵された図示しないタイマからの信号(運転時間)と共に前記センサ141〜149及び前記電流計150並びに前記電圧計151〜153からの信号に基づいて、当該バルブ101〜109,121a〜123aの開閉を制御することができるようになっている(詳細は後述する)。
【0032】
このような本実施形態では、前記バルブ101〜103等により燃料ガス用最上流位置切換手段を構成し、前記バルブ104〜106等により燃料ガス用最下流位置切換手段を構成し、前記バルブ107〜109等により燃料ガス用ガス流出手段を構成している。
【0033】
なお、本実施形態においては、図面の煩雑化を避けるため、燃料電池発電システム100の燃料ガス系統及び電力系統等の主要部のみを記載し、酸化ガスである酸素ガスの系統の酸化ガス系統や温調水系統等の記載を省略しているが、上記酸化ガス系統は、上述した燃料ガス系統の場合と同様に、酸化ガス供給手段を始めとして、酸化ガス用最上流位置切換手段、酸化ガス用最下流位置切換手段、酸化ガス用ガス流出手段、酸化ガス用切換時期確認手段等を備えるようにして構成され、温調水系統等は、従来の場合と同様にして構成されている。
【0034】
このような構造をなす本実施形態に係る燃料電池発電システム100の作動を次に説明する。なお、説明の煩雑化を避けるため、図面に示した燃料ガス系統及び電力系統等のみについて以下に説明するが、前記コントローラ140は、以下に説明する燃料ガス系統等と同様にして上記酸化ガス系統等を作動させるように制御して電力系統等もさらに制御する。
【0035】
前記コントローラ140を作動させると、当該コントローラ140は、前記ドレンバルブ121a〜123aを閉鎖すると共に、前記サブスタック111〜113と前記ドレントラップ121〜123との間のみを連通させるように前記バルブ107〜109の開閉を調整し、さらに、前記バルブ102,103,106を閉鎖する一方、前記バルブ101,104,105を開放するように、これらバルブ101〜109を制御する(図3A参照)。
【0036】
これにより、水素ガスボンベ130内の水素ガス1が、前記バルブ101を経由して第一のサブスタック111の燃料ガス受入口へ送給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第一のサブスタック111において、図示しない酸化ガス系統から供給された酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3を使用された残りの約2/3)が、当該電気化学反応に伴って生じた生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ107を経由して前記ドレントラップ121で当該生成水2を分離された後、前記バルブ104を経由して第二のサブスタック112の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第二のサブスタック112において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3をさらに使用された残りの約1/3)が、当該電気化学反応に伴って生じた生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ108を経由してドレントラップ122で当該生成水2を分離された後、前記バルブ105を経由して第三のサブスタック113の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第三のサブスタック113において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させる。
【0037】
続いて、前記コントローラ140は、内蔵されている前記タイマからの信号に基づいて、予め設定された運転時間が経過すると、前記バルブ103,106を開放すると共に、前記バルブ101,105を閉鎖(前記バルブ102は閉鎖状態を維持、前記バルブ104は開放状態を維持)するように、当該バルブ101,103,105,106を制御する(図3B参照)。
【0038】
つまり、前記コントローラ140は、水素ガス1の流通方向最上流側に位置する、言い換えれば、水素ガスボンベ130からの全流量の水素ガス1の送給先を、第一のサブスタック111から第三のサブスタック113に切り換えると共に、第二のサブスタック112を水素ガス1の流通方向最下流側に位置させるように第三のサブスタック113から切り換える。
【0039】
このため、水素ガスボンベ130からの全流量の水素ガス1が、前記バルブ103を経由して第三のサブスタック113の燃料ガス受入口へ送給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第三のサブスタック113において、当該流路内に滞留している生成水2を押し出しながら、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3を使用された残りの約2/3)が、当該電気化学反応に伴って新たに生じた生成水2及び滞留していた上記生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ109を経由してドレントラップ123で当該生成水2を分離された後、前記バルブ106を経由して第一のサブスタック111の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第一のサブスタック111において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3をさらに使用された残りの約1/3)が、当該電気化学反応に伴って生じた生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ107を経由してドレントラップ121で当該生成水2を分離された後、前記バルブ104を経由して第二のサブスタック112の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第二のサブスタック112において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させる。
【0040】
続いて、前記コントローラ140は、内蔵されている前記タイマからの信号に基づいて、予め設定された運転時間がさらに経過すると、前記バルブ102,105を開放すると共に、前記バルブ103,104を閉鎖(前記バルブ101は閉鎖状態を維持、前記バルブ106は開放状態を維持)するように、当該バルブ102〜105を制御する(図3C参照)。
【0041】
つまり、前記コントローラ140は、水素ガス1の流通方向最上流側に位置する、言い換えれば、水素ガスボンベ130からの全流量の水素ガス1の送給先を、第三のサブスタック113から第二のサブスタック112に切り換えると共に、第一のサブスタック111を水素ガス1の流通方向最下流側に位置させるように第二のサブスタック112から切り換える。
【0042】
このため、水素ガスボンベ130からの全流量の水素ガス1が、前記バルブ102を経由して第二のサブスタック112の燃料ガス受入口へ送給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第二のサブスタック112において、当該流路内に滞留している生成水2を押し出しながら、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3を使用された残りの約2/3)が、当該電気化学反応に伴って新たに生じた生成水2及び滞留していた上記生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ108を経由してドレントラップ122で当該生成水2を分離された後、前記バルブ105を経由して第三のサブスタック113の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第三のサブスタック113において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3をさらに使用された残りの約1/3)が、当該電気化学反応に伴って生じた生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ109を経由してドレントラップ123で当該生成水2を分離された後、前記バルブ106を経由して第一のサブスタック111の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第一のサブスタック111において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させる。
【0043】
続いて、前記コントローラ140は、前記タイマからの信号に基づいて、予め設定された運転時間がさらに経過すると、前記バルブ101,104を開放すると共に、前記バルブ102,106を閉鎖(前記バルブ103は閉鎖状態を維持、前記バルブ105は開放状態を維持)するように、当該バルブ101,102,104,106を制御する(図2A参照)。
【0044】
つまり、前記コントローラ140は、水素ガス1の流通方向最上流側に位置する、言い換えれば、水素ガスボンベ130からの全流量の水素ガス1の送給先を、第二のサブスタック112から第一のサブスタック111に切り換えると共に、第三のサブスタック113を水素ガス1の流通方向最下流側に位置させるように第一のサブスタック112から切り換える、すなわち、当初の状態に戻す。
【0045】
このため、水素ガスボンベ130からの全流量の水素ガス1が、前記バルブ101を経由して第一のサブスタック111の燃料ガス受入口へ送給されて、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第一のサブスタック111において、当該流路内に滞留している生成水2を押し出しながら、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3を使用された残りの約2/3)が、当該電気化学反応に伴って新たに生じた生成水2及び滞留していた上記生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ107を経由してドレントラップ121で当該生成水2を分離された後、前記バルブ104を経由して第二のサブスタック112の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第二のサブスタック112において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させると共に、使用済みの水素ガス1(約1/3をさらに使用された残りの約1/3)が、当該電気化学反応に伴って生じた生成水2と共に各上記流路を流通して、燃料ガス排出口から排出され、前記バルブ108を経由してドレントラップ122で当該生成水2を分離された後、前記バルブ105を経由して第三のサブスタック113の燃料ガス受入口へ送給され、各前記セパレータの各前記流路内を流通し、当該第三のサブスタック113において、前記酸化ガス中の酸素と前記セルで電気化学的に反応して電力を発生させる。
【0046】
以下、前記コントローラ140は、上述した前記バルブ101〜106の制御を繰り返す。これにより、燃料電池110は、水素ガス1の流通方向最上流側及び最下流側に位置する前記サブスタック111〜113が運転経過時間に対応して順次切り換えられる、すなわち、水素ガス1の流通方向最下流側に位置する前記サブスタック111〜113を当該流通方向最上流側に位置させるように前記バルブ101〜106が切り換え制御される(より詳細には、前記特許文献1,2等参照)。
【0047】
このような、前記ガス1の流通方向に対する前記サブスタック111〜113の位置を順次切り換えながら発電運転を行うにあたって、前記水素ガスボンベ1中に窒素ガスやアルゴンガス等の不純物ガスがわずかながらも混入していると、発電運転を継続していくにしたがって、前記サブスタック111〜113内を流通する前記水素ガス1中の前記不純物ガスが濃縮されて、当該水素ガス1中の当該不純物ガス濃度が高くなって、当該水素ガス1の濃度が低下してしまい、発電効率が次第に低下してしまう可能性がある。このため、前記コントローラ140は、上述した発電運転と並行して、以下のようなパージ制御を併せて行う。
【0048】
前記コントローラ140は、上述した発電運転と並行して、前記タイマや前記センサ141〜149及び前記電流計150並びに前記電圧計151〜153からの信号に基づいて、前記サブスタック111〜113の位置を切り換える直前の、前記ガス1の流通方向最上流側に位置する当該サブスタック(例えば、第一のサブスタック111)内の当該ガス1の圧力及び温度や温調水の温度等の運転状態及び当該サブスタックの電圧値並びに電流値を記憶すると共に、前記流通方向最下流側に位置する上記サブスタック(例えば、第三のサブスタック113)内の上記ガス1の圧力及び温度や温調水の温度等の運転状態及び当該サブスタックの電圧値並びに電流値を記憶する(図4中、ステップS1)。
【0049】
そして、前記コントローラ140は、前記サブスタック111〜113の位置の切り換えに伴って、引き続き、前記タイマや前記センサ141〜149及び前記電流計150並びに前記電圧計151〜153からの信号に基づいて、前記流通方向最上流側に新たに位置する当該サブスタック(例えば、第二のサブスタック112)の次の位置への切り換え直前の前記運転状態及び当該サブスタックの電圧値並びに電流値を順次記憶していくと共に、前記流通方向最下流側に新たに位置する上記サブスタック(例えば、第一のサブスタック111)の次の位置への切り換え直前の前記運転状態及び当該サブスタックの電圧値並びに電流値を順次記憶していく。
【0050】
続いて、前記コントローラ140は、前記位置の切り換えの直前において、前記流通方向最下流側に位置する前記サブスタック(例えば、第一のサブスタック111)が、当該流通方向最上流側に直近で位置していたときの前記運転状態及び前記電流値を呼び出して(図4中、ステップS2)、呼び出した当該運転状態及び当該電流値と、当該サブスタックの当該流通方向最下流側に位置するときの前記運転状態及び前記電流値との差分の運転状態差及び電流差値を求め(図4中、ステップS3)、当該運転状態差及び当該電流差値が規定値以内であるか否か、すなわち、当該サブスタックが前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとで略同一の状態にあるか否か、言い換えれば、当該サブスタックが前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとで比較可能であるか否か判断する(図4中、ステップS4)。
【0051】
前記位置の切り換え直前において、前記運転状態差及び前記電流差値が規定値以内である場合、すなわち、前記サブスタックが前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとで比較可能である場合には、前記コントローラ140は、当該サブスタックの前記流通方向最上流側に直近で位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して(図4中、ステップS5)、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し(図4中、ステップS6)、予め求められて入力されている図6に示されるグラフで表されるような関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求める(図4中、ステップS7)と共に、当該サブスタックが前記流通方向最上流側に直近で位置していたときの前記電圧値を呼び出し(図4中、ステップS8)、前記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し(図4中、ステップS9)、下記に示す式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出した後(図4中、ステップS10)、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)であるか否か判断する(図4中、ステップS11)。
【0052】
Vj=Vd×Cj (1)
【0053】
前記判定電圧差値Vjが前記規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、前記コントローラ140は、前記サブスタック111〜113内を流通する前記ガス1中の不純物ガス濃度が高くなっていると判断し、内蔵されている前記タイマからの信号に基づいて、前記流通方向最下流側に位置する前記サブスタック(例えば、第一のサブスタック111)の下流側に位置するパージバルブ(例えば、パージバルブ107)から前記ガス1を系外へ規定時間流出させてパージするように当該パージバルブの作動を制御する(図4中、ステップS12)。
【0054】
これにより、前記サブスタック111〜113内を流通する前記ガス1中の前記不純物ガスの濃縮が抑制される。
【0055】
このようにして前記水素ガス1中の前記不純物ガス濃度の低下を図るように前記パージバルブを制御すると、前記コントローラ140は、前記位置の切り換えと共に前記ステップS1に戻る。
【0056】
他方、前記判定電圧差値Vjが前記規定電圧差値Vs未満(Vj<Vs)である場合には、前記コントローラ140は、前記サブスタック111〜113内を流通する前記ガス1中の不純物ガス濃度に問題はないと判断し、前記パージバルブ107〜109を作動制御することなく、すなわち、前記ガス1をパージすることなく前記位置の切り換えと共に前記ステップS1に戻る。
【0057】
また、前記ステップS4において、前記位置の切り換え直前における前記運転状態差及び前記電流差値が規定値を超えている場合には、前記コントローラ140は、前記サブスタックの前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとの比較が不可であると判断し、前記運転状態差及び前記電流差値の規定値超の計測の連続回数、すなわち、前記サブスタックの前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとの比較不可判断の連続回数を計数し(図5中、ステップS13)、当該連続回数が規定回数以上であるか否か判断する(図5中、ステップS14)。
【0058】
前記位置の切り換え直前における前記規定値超の計測の連続回数、すなわち、前記位置の切り換え直前における前記比較不可判断の連続回数が前記規定回数未満である場合(例えば、3回)には、前記コントローラ140は、前記パージバルブ107〜109の作動制御による前記ガス1の系外へのパージの必要性が未だないと判断し、前記ステップ1に戻る。
【0059】
他方、前記位置の切り換え直前における前記規定値超の計測の連続回数、すなわち、前記位置の切り換え直前における前記比較不可判断の連続回数が前記規定回数以上である場合(例えば、3回)には、前記コントローラ140は、内蔵された前記タイマ及び前記電流計からの信号に基づいて、前記燃料電池110に前記定格電流値で電流が所定時間流れるように当該燃料電池110に対して電力を要求する(図5中、ステップS15)。
【0060】
これにより、前記燃料電池110の前記サブスタック111〜113は、前記運転状態及び前記電流値が所定時間強制的に定常となり、前記流通方向最上流側に位置するときと前記流通方向最下流側に位置するときとで所定時間略同一の状態になる、すなわち、前記流通方向最上流側に位置するときと前記流通方向最下流側に位置するときとで所定時間比較可能になる。
【0061】
このとき、前記燃料電池110が、前記外部機器190による消費電量(要求電量)よりも多く発電してしまう場合には、前記コントローラ140は、当該燃料電池110での発電量と当該外部機器190での消費電量(要求電量)との差分の電力を前記二次電池160に給電して充電させる。
【0062】
そして、前記コントローラ140は、前記ステップS1に戻り、上述した各ステップS1〜12を実施する。
【0063】
つまり、本実施形態に係る燃料電池発電システム100においては、前記ガス1の流通方向最下流側に位置しているときの当該位置の切り換え直前における前記サブスタック(例えば、第一のサブスタック111)の電圧値と、当該サブスタック(例えば、第一のサブスタック111)の前記流通方向最上流側に位置していたときの当該位置の切り換え直前における電圧値とが比較可能な条件になっているかどうかを前記運転状態及び前記電流値により判断してから、当該サブスタックの両位置における電圧値を比較することにより、前記ガス1中の前記不純物ガス濃度が高いと、前記位置の切り換え直前のときに、当該ガス1の流通方向最下流側に位置する前記サブスタックに当該ガス1中の前記不純物ガスが最も濃縮され、当該サブスタック内の当該ガス1の濃度が低下して当該サブスタックの電圧値の低下が大きくなるという特性を利用できるようにして、当該ガス1のパージ時期を知見できるようにしたのである。
【0064】
このため、本実施形態に係る燃料電池発電システム100では、前記サブスタック111〜113内を流通する前記ガス1中の前記不純物ガス濃度を直接的に計測する各種センサ等を使用する必要がまったくない。
【0065】
したがって、本実施形態に係る燃料電池発電システム100によれば、前記ガス1中の不純物ガス濃度を計測しなくてもガスパージの時期を低コストで知見することができる。
【0066】
また、前記電圧差値Vdは、前記サブスタック111〜113内を流通する前記ガス1中の不純物ガス濃度が同じであっても、当該サブスタック111〜113の電流値が小さいほど小さくなってしまうことから、前記電流値割合Irを算出して、当該電流値割合Irから前記関係に基づいて前記判定用係数Cjを求め、当該判定用係数Cjと前記電圧差値Vdとの積から判定電圧差値Vjを算出して前記規定電圧差値Vsと比較するようにしたので、前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとで比較を行っている前記サブスタック111〜113の電流値の大きさに左右されることなく、当該サブスタック111〜113内を流通する前記ガス1中の不純物ガス濃度を正確に判断することができる。
【0067】
また、前記ガス1の流通方向最下流側に位置しているときの前記サブスタックの電圧値と、当該サブスタックの前記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値とを比較できない前記運転状態及び前記電流値が続いてしまう場合には、前記燃料電池110に前記定格電流値で電流が所定時間流れるように当該燃料電池110を強制的に作動させて前記運転状態及び前記電流値を所定時間強制的に定常化させることにより、両位置での電圧値を必ず比較できるようにしているので、前記外部機器190による消費電量(要求電量)に左右されることなくガスパージの時期を正確に知見することができる。
【0068】
[他の実施形態]
なお、前述した実施形態においては、前記ガス1の圧力及び温度や温調水の温度等の運転状態及び前記燃料電池110の電流値を、当該ガス1の流通方向最下流側に位置しているときの前記サブスタックと当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときとの比較が可能であるか否かを検討するための条件としたが、前記電流値のみの条件でも前記比較が可能であるか否かを検討することが十分にできる。しかしながら、前述した実施形態のように、前記運転状態及び前記電流値の両方の条件で前記比較が可能であるか否かを検討すると、前記サブスタックが前記流通方向最上流側に直近で位置していたときと前記流通方向最下流側に位置するときとで略同一の状態にあるか否かをより正確に比較することができるので好ましい。
【0069】
また、前述した実施形態においては、燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、運転時間を計測する前記タイマを設け、前記制御装置140が、当該タイマからの情報に基づいて、予め設定された運転時間の経過により、前記バルブ101〜109,121a〜123a等を制御するようにしたが、他の実施形態として、例えば、以下のようにすること等によっても、前述した実施形態の場合と同様な作動を行うことができる。
【0070】
(1)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、燃料ガス供給手段からの燃料ガスの送給量や酸化ガス供給手段からの酸化ガスの送給量を計測するガス流量計測手段(例えば、マスフローメータやオリフィス式ガス流量計等)を設け、制御手段が、当該ガス流量計測手段からの情報に基づいて、燃料ガスや酸化ガスの送給量の積算値により、前記バルブ等を制御するようにする。
【0071】
(2)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記サブスタックに流れる電流量を計測する電流量計測手段(例えば、前記電流計150を流用)を設け、制御手段が、当該電流量計測手段からの情報に基づいて、前記サブスタックに流れた電流量の積算値により、前記バルブ等を制御するようにする。
【0072】
(3)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記セルの電圧を計測するセル電圧計測手段を設け、制御手段が、当該セル電圧計測手段からの情報に基づいて、予め設定されたセル電圧基準値よりも小さくなったときに、前記バルブ等を制御するようにする(例えば、特開2002−151125号公報等に記載されている技術の応用)。なお、このときには、前記電圧計151〜153に代えて、上記セル電圧計測手段を電圧値計測手段として流用することも可能である。
【0073】
(4)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記サブスタックの前記ガス流通方向下流側の水分量を計測するセル水分計測手段を設け、制御手段が、当該セル水分計測手段からの情報に基づいて、前記ガス流通方向最下流側に位置する前記サブスタックの、前記ガス流通方向下流側の水分量が、予め設定された水分量基準値よりも大きくなったときに、前記バルブ等を制御するようにする。
【0074】
(5)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記サブスタック内の圧損値を計測する圧損計測手段を設け、制御手段が、当該圧損計測手段からの情報に基づいて、前記ガス流通方向最下流側に位置する前記サブスタック内の圧損が、予め設定された圧損基準値よりも大きくなったときに(前記流路内の滞留水が多くなると圧力損失が大きくなる)、前記バルブ等を制御するようにする。
【0075】
(6)燃料ガス用切換時期確認手段や酸化ガス用切換時期確認手段として、前記サブスタックの前記ガス排出口部分の圧力を計測する排出口圧力計測手段を設け、制御手段が、当該排出口圧力計測手段からの情報に基づいて、前記ガス流通方向最下流側に位置する前記サブスタックの前記ガス排出口部分の圧力が、予め設定された圧力基準値よりも小さくなったときに(前記流路内の滞留水が多くなると圧力が小さくなる)、前記バルブ等を制御するようにする。
【0076】
また、前述した実施形態においては、燃料ガスの流通経路や酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように3つの前記サブスタック111〜113を接続した燃料電池110の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、他の実施形態として、例えば、燃料ガスの流通経路や酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように2つの前記サブスタックを接続した燃料電池の場合や、燃料ガスの流通経路や酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように4つ以上の前記サブスタックを接続した燃料電池の場合であっても、前述した実施形態の場合と同様にして適用することができ、前述した実施形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0077】
また、前述した実施形態においては、水素ガス1そのものを燃料ガスとして使用すると共に、図示はしないが、酸素ガスそのものを酸化ガスとして使用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、水素ガス1そのものを燃料ガスとして使用する一方、酸素を含有するガス(例えば空気等)を酸化ガスとして使用する場合には、酸化ガス系統を直列ループ状に接続せずに一度の流通だけで系外へ排出できるようにしている従来の場合と同様にして構成し、酸素ガスそのものを酸化ガスとして使用する一方、水素を含有するガス(例えば炭化水素の改質ガス等)を燃料ガスとして使用する場合には、燃料ガス系統を直列ループ状に接続せずに一度の流通だけで系外へ排出できるようにしている従来の場合と同様にして構成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る燃料電池発電システムは、ガス中の不純物ガス濃度を計測しなくてもガスパージの時期を低コストで知見することができるので、各種産業において、極めて有益に利用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 水素ガス
2 生成水
100 燃料電池発電システム
101〜106 バルブ
107〜109 パージバルブ
110 固体高分子形燃料電池
111〜113 サブスタック
121〜123 ドレントラップ
121a〜123a ドレンバルブ
130 水素ガスボンベ
140 制御装置
141〜143 ガス圧センサ
144〜146 ガス温センサ
147〜149 水温センサ
150 電流計
151〜153 電圧計
160 二次電池
190 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質を燃料極及び酸化極で挟んだセルを複数積層した燃料電池と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と
を備えている燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池が、前記セルを複数積層したサブスタックを、前記燃料ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数接続したものであり、
前記燃料ガス供給手段が、前記燃料電池の各前記サブスタックの燃料ガス受入口にそれぞれ接続されると共に、
前記燃料ガス供給手段と前記燃料電池の各前記サブスタックの前記燃料ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する燃料ガス用最上流位置切換手段と、
前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記燃料ガスの前記流通経路をそれぞれ切断又は接続する燃料ガス用最下流位置切換手段と、
前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記燃料ガスの前記流通経路の前記燃料ガス用最下流位置切換手段よりも当該燃料ガスの流通方向上流側にそれぞれ設けられて当該流通経路を流通するガスの系外への流出を可能にする燃料ガス用ガス流出手段と、
前記燃料電池に流れる電流量又は当該燃料電池の前記サブスタックに流れる電流量を計測する電流量計測手段と、
前記燃料電池の前記サブスタックの電圧値又は当該サブスタックの前記セルの電圧値を計測する電圧値計測手段と、
運転時間、前記燃料ガス供給手段からの前記燃料ガスの送給量、前記燃料電池の前記サブスタックに流れた電流量、前記燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記燃料電池の前記サブスタック内の水分量、前記燃料電池の前記サブスタック内の圧損値、前記燃料電池の前記サブスタックの前記燃料ガスの排出口部分の圧力値、のうちの少なくとも一つを計測する燃料ガス用切換時期確認手段と、
前記燃料ガス用切換時期確認手段からの信号に基づいて、前記燃料ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記燃料ガス用最上流位置切換手段を制御すると共に、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記燃料ガス用最下流位置切換手段を制御することと並行して、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックに流れる電流値と、当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との差分の電流差値を算出し、当該電流差値が規定値以内の場合には、当該流通方向最上流側に位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し、予め求められている関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、前記電圧値計測手段からの信号に基づいて、上記サブスタックの上記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値と上記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し、下記式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出して、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、当該サブスタックの上記流通方向下流側に位置する前記燃料ガス用ガス流出手段からガスを系外へ流出させるように当該燃料ガス用ガス流出手段を制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする燃料電池発電システム。
Vj=Vd×Cj (1)
【請求項2】
電解質を燃料極及び酸化極で挟んだセルを複数積層した燃料電池と、
前記燃料電池に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
前記燃料電池に酸化ガスを供給する酸化ガス供給手段と
を備えている燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池が、前記セルを複数積層したサブスタックを、前記酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数接続したものであり、
前記酸化ガス供給手段が、前記燃料電池の各前記サブスタックの酸化ガス受入口にそれぞれ接続されると共に、
前記酸化ガス供給手段と前記燃料電池の各前記サブスタックの前記酸化ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最上流位置切換手段と、
前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最下流位置切換手段と、
前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路の前記酸化ガス用最下流位置切換手段よりも当該酸化ガスの流通方向上流側にそれぞれ設けられて当該流通経路を流通するガスの系外への流出を可能にする酸化ガス用ガス流出手段と、
前記燃料電池に流れる電流量又は当該燃料電池の前記サブスタックに流れるを計測する電流量計測手段と、
前記燃料電池の前記サブスタックの電圧値又は当該サブスタックの前記セルの電圧値を計測する電圧値計測手段と、
運転時間、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスの送給量、前記燃料電池の前記サブスタックに流れた電流量、前記燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記燃料電池の前記サブスタック内の水分量、前記燃料電池の前記サブスタック内の圧損値、前記燃料電池の前記サブスタックの前記酸化ガスの排出口部分の圧力値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と、
前記酸化ガス用切換時期確認手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段を制御すると共に、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御することと並行して、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックに流れる電流値と、当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との差分の電流差値を算出し、当該電流差値が規定値以内の場合には、当該流通方向最上流側に位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し、予め求められている関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、前記電圧値計測手段からの信号に基づいて、上記サブスタックの上記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値と上記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し、下記式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出して、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、当該サブスタックの上記流通方向下流側に位置する前記酸化ガス用ガス流出手段からガスを系外へ流出させるように当該酸化ガス用ガス流出手段を制御する制御手段と
を備えていることを特徴とする燃料電池発電システム。
Vj=Vd×Cj (1)
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料電池が、前記サブスタックを、前記酸化ガスの流通経路を直列ループ状にするように複数接続したものであり、
前記酸化ガス供給手段が、前記燃料電池の各前記サブスタックの酸化ガス受入口にそれぞれ接続されると共に、
前記酸化ガス供給手段と前記燃料電池の各前記サブスタックの前記酸化ガス受入口との間をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最上流位置切換手段と、
前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路をそれぞれ切断又は接続する酸化ガス用最下流位置切換手段と、
前記燃料電池の接続する前記サブスタック同士の間の前記酸化ガスの前記流通経路の前記酸化ガス用最下流位置切換手段よりも当該酸化ガスの流通方向上流側にそれぞれ設けられて当該流通経路を流通するガスの系外への流出を可能にする酸化ガス用ガス流出手段と、
運転時間、前記酸化ガス供給手段からの前記酸化ガスの送給量、前記燃料電池の前記サブスタックに流れた電流量、前記燃料電池の前記サブスタックの前記セルの電圧値、前記燃料電池の前記サブスタック内の水分量、前記燃料電池の前記サブスタック内の圧損値、前記燃料電池の前記サブスタックの前記酸化ガスの排出口部分の圧力値、のうちの少なくとも一つを計測する酸化ガス用切換時期確認手段と
を備え、
前記制御手段が、前記酸化ガス用切換時期確認手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段を制御すると共に、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを切り換えるように前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御することと並行して、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記酸化ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックに流れる電流値と、当該サブスタックが当該流通方向最上流側に位置していたときに流れていた電流値との差分の電流差値を算出し、当該電流差値が規定値以内の場合には、当該流通方向最上流側に位置していたときの前記電流値と前記流通方向最下流側に位置するときの前記電流値との平均電流値を算出して、予め定められている定格電流値に対する当該平均電流値の割合となる電流値割合Irを算出し、予め求められている関係に基づいて、当該電流値割合Irから判定用係数Cjを求めると共に、前記電圧値計測手段からの信号に基づいて、上記サブスタックの上記流通方向最上流側に位置していたときの電圧値と上記流通方向最下流側に位置するときの前記電圧値との差分の電圧差値Vdを算出し、前記式(1)に基づいて、判定電圧差値Vjを算出して、当該判定電圧差値Vjが、予め入力されている規定電圧差値Vs以上(Vj≧Vs)である場合には、当該サブスタックの上記流通方向下流側に位置する前記酸化ガス用ガス流出手段からガスを系外へ流出させるように当該酸化ガス用ガス流出手段を制御するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記制御手段は、前記電流差値が規定値を超えている場合には、前記電流差値の規定値超の計測の連続回数を計数し、当該連続回数が規定回数以上である場合には、前記電流量計測手段からの信号に基づいて、前記燃料電池に電流が前記定格電流値で所定時間流れるように当該燃料電池に対して電力を要求するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項5】
請求項1、請求項3、請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記制御手段が、前記燃料ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該燃料ガスの流通方向最上流側に位置させるように前記燃料ガス用最上流位置切換手段及び前記燃料ガス用最下流位置切換手段を制御するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項6】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記制御手段が、前記酸化ガスの流通方向最下流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該酸化ガスの流通方向最上流側に位置させるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段及び前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項7】
請求項1、請求項3、請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記制御手段が、前記燃料ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該燃料ガスの流通方向最下流側に位置させるように前記燃料ガス用最上流位置切換手段及び前記燃料ガス用最下流位置切換手段を制御するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項8】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記制御手段が、前記酸化ガスの流通方向最上流側に位置する前記燃料電池の前記サブスタックを当該酸化ガスの流通方向最下流側に位置させるように前記酸化ガス用最上流位置切換手段及び前記酸化ガス用最下流位置切換手段を制御するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項9】
請求項1,3〜5,7のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料ガス供給手段が、濃度99%以上の水素ガスを供給するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項10】
請求項2〜4,6,8のいずれか一項に記載の燃料電池発電システムにおいて、
前記酸化ガス供給手段が、濃度99%以上の酸素ガスを供給するものである
ことを特徴とする燃料電池発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−84284(P2012−84284A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228040(P2010−228040)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】