片寄補正装置、中間転写装置、転写装置および画像形成装置
【課題】無端帯状部材の蛇行を補正するための構造を簡素化すること。
【解決手段】回転軸(Rja)を有し無端帯状部材(B)を支持して回転する回転支持部材(Rj)と、無端帯状部材(B)の幅方向端縁に接触可能な連動体(26)と、軸方向に対して交差する回転中心(27a)と回転軸(Rja)の一端部に接触する回転軸接触部(27e)と連動体(26)に接触する連動体接触部(27f+27g)とを有し、無端帯状部材(B)が回転軸(Rja)の一端側に移動し、連動体接触部(26)が回転軸(Rja)の一端側に押圧された場合に、回転中心(27a)を中心に連動体接触部(27f+27g)および前記回転軸接触部(27e)が回転して、傾斜方向に回転軸接触部(27e)が回転軸(Rja)を傾斜させる軸変位部材(27)とを備えた片寄補正装置(BM)。
【解決手段】回転軸(Rja)を有し無端帯状部材(B)を支持して回転する回転支持部材(Rj)と、無端帯状部材(B)の幅方向端縁に接触可能な連動体(26)と、軸方向に対して交差する回転中心(27a)と回転軸(Rja)の一端部に接触する回転軸接触部(27e)と連動体(26)に接触する連動体接触部(27f+27g)とを有し、無端帯状部材(B)が回転軸(Rja)の一端側に移動し、連動体接触部(26)が回転軸(Rja)の一端側に押圧された場合に、回転中心(27a)を中心に連動体接触部(27f+27g)および前記回転軸接触部(27e)が回転して、傾斜方向に回転軸接触部(27e)が回転軸(Rja)を傾斜させる軸変位部材(27)とを備えた片寄補正装置(BM)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片寄補正装置、中間転写装置、転写装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置において、無端帯状の搬送ベルトにより媒体等を搬送する技術が知られている。前記画像形成装置において、前記搬送ベルト等の無端帯状部材を裏面から張架する各張架部材の平行度が低い場合、すなわち、前記各張架部材どうしの軸方向が平行からずれている場合等により発生する前記無端帯状部材の蛇行を補正するための技術として、以下の特許文献1〜3に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2006−162659号公報記載の技術では、転写ベルト(51)を支持するアイドラローラ(53)の一端部に、前記転写ベルト(51)と一体的に移動するプーリ(57)が支持されると共に、前記アイドラローラ(53)の一端部が、前記アイドラローラ(53)の軸方向に対して傾斜した回転軸(64a)を中心に回転可能且つ前記プーリ(57)と接触する凸部(64c)を有するローラ駆動レバー(64)の楕円孔部(64b)に支持されている。
このため、特許文献1では、前記転写ベルト(51)が片寄って、前記転写ベルト(51)に押された前記プーリ(57)が軸方向に沿って移動した場合に、前記凸部(64c)が前記プーリ(57)により押されて前記ローラ駆動レバー(64)が前記回転軸(64a)を中心に回転し、前記転写ベルト(51)の片寄りを打ち消す方向に前記アイドラローラ(53)が傾き、前記転写ベルト(51)の片寄りが補正される。すなわち、特許文献1には、傾斜した前記回転軸(64a)を中心に回転し、回転軌跡が、いわゆる、ベベル形状となるローラ駆動レバー(64)により、前記転写ベルト(51)の蛇行を補正する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2としての特開2001−80782号公報には、エンドレスベルト(9a)を張架する寄り補正ローラ(9e)の回転軸の両端が、前記寄り補正ローラ(9e)を傾斜可能なリンク(16a,16b)により支持されており、前記エンドレスベルト(9a)が幅方向、すなわち、前記寄り補正ローラ(9e)の軸方向に片寄って移動した場合に、前記寄り補正ローラ(9e)のベルト寄り規制部材(18a,18b)が前記エンドレスベルト(9a)の両端部のリブ(19a,19b)から押圧された押圧力に応じて、前記各リンク(16a,16b)が、前記エンドレスベルト(9a)の片寄りを打ち消す方向に前記寄り補正ローラ(9e)を傾斜させることにより、前記エンドレスベルト(9a)の片寄りを補正する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献3としての特公平6−99055号公報記載の技術では、感光体ベルト(4)を張架する各ローラ(1,2,3)のうちの従動ローラ(2)を他の各ローラ(1,3)の軸方向に対して傾斜配置することにより、前記感光体ベルト(4)が常に一方に片寄る構成とし、且つ、前記各ローラ(1,2,3)のうちの蛇行検出用ローラ部材(3)の蛇行検出部材(11)に、蛇行した前記感光体ベルト(4)が乗り上げて回転トルクが作用した際に、前記蛇行検出部材(11)に一端が連結された紐部材(13)を巻き取って、前記紐部材(13)の張架方向に前記蛇行検出用ローラ部材(3)の一端を引っ張ることにより、前記感光体ベルト(4)の片寄りを打ち消す方向に前記蛇行検出用ローラ部材(3)の軸方向が傾斜され、前記感光体ベルト(4)の片寄りが補正される。
すなわち、特許文献2、3には、ベルトの片寄りの移動量に応じて、張架ローラの回転軸を傾動させる量を制御することにより、前記ベルトの蛇行を補正する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−162659号公報(「0023」〜「0045」、図1〜図13)
【特許文献2】特開2001−80782号公報(要約書、「0040」〜「0062」、図1〜図3)
【特許文献3】特公平6−99055号公報(第3頁左欄14行目〜第4頁左欄18行目、第1図〜第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、無端帯状部材の蛇行を補正するための構造を簡素化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の片寄補正装置は、
無端帯状の無端帯状部材と、
軸方向が前記無端帯状部材の幅方向に沿って延びる回転軸を有し、前記無端帯状部材を支持して回転する回転支持部材と、
前記回転軸の一端部に前記軸方向に沿って移動可能に支持され、且つ、前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に接触可能な連動体と、
前記回転軸からずれた位置に配置され且つ前記軸方向に対して交差する回転中心と、前記回転支持部材の回転軸の一端部に接触する回転軸接触部と、前記連動体に接触し且つ前記回転軸接触部と一体的に移動可能な連動体接触部と、を有し、前記回転軸の一端側に移動した前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に前記連動体が押された場合に、前記回転中心を中心に前記連動体接触部および前記回転軸接触部が回転して、前記無端帯状部材を前記回転軸の他端側に移動させる方向である傾斜方向に前記回転軸接触部が前記回転軸を傾斜させる軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の片寄補正装置において、
前記回転中心から前記回転支持部材側に延びる前記回転軸接触部と、前記回転中心から前記連動体側に延びる前記連動体接触部と、を有する前記軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の片寄補正装置において、
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記無端帯状部材の前記幅方向の直線を幅方向直線とし、前記回転中心から前記連動体接触部と前記連動体とが接触する位置である連動体接触位置までを結んだ前記軸変位部材の線分を軸変位線分とし、前記軸変位線分の長さをLとし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記幅方向直線と前記軸変位線分とのなす角度をθ0とし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記角度θ0の増加角度をθとし、前記無端帯状部材の前記幅方向の移動量をLxとし、前記回転軸の前記傾斜方向の移動量をLyとした場合に、
Lx=L(cos(θ0)−cos(θ0+θ)),
Ly=L(sin(θ0+θ)−sin(θ0))
が成立するように前記連動体との接触面が形成された前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記連動体との接触点の円弧状の軌跡と同径の円弧形状となる前記連動体との接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体に接触する位置である移動前連動体接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体に接触する位置である移動後連動体接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体接触部に接触する位置である移動後接触部接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の片寄補正装置において、
円柱状に形成された前記回転軸と、
前記回転軸の前記軸方向に交差する方向に延びる板状体により構成された前記回転軸接触部であって、前記回転軸の前記軸方向に沿って凸状の弧状面により構成された接触面を有する前記回転軸接触部と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記回転支持部材の回転軸を回転可能に支持する第1の枠体であって、前記回転軸に支持された前記無端帯状部材および前記連動体を支持する前記第1の枠体と、
前記第1の枠体が着脱可能に支持される枠体装着部と、前記軸変位部材の回転中心が回転可能且つ着脱可能に支持される中心装着部と、を有し、前記第1の枠体および前記軸変位部材を支持する第2の枠体と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の片寄補正装置において、
円柱の外表面の一部が切り欠かれた切欠面を有する前記回転中心であって、前記切欠面と円柱の中心を挟んで反対側の円周状の外表面との距離が円柱の直径より狭い切欠距離で形成された前記切欠面を有する前記回転中心と、
前記切欠面を有する円柱状の前記回転中心を回転可能に支持する内周面と、前記内周面の径方向に延び且つ前記内周面と外部とを接続する開口により構成された切出挿入部と、を有する前記中心装着部であって、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置と、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側へ最大で移動後における前記連動体接触部に接触する位置である最大移動後接触部接触位置との間である前記連動体接触部の移動範囲に対応する前記回転中心が回転する回転範囲の範囲外に形成され且つ前記切欠距離よりも大きく前記円柱の直径よりも小さな開口幅を有する前記切出挿入部を有する前記中心装着部と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項10記載の発明の中間転写装置は、
回転方向に沿って、画像を保持する像保持体の対向領域を外表面が通過する無端帯状の無端帯状部材により構成された中間転写体と、
前記無端帯状部材の裏面側、且つ、前記無端帯状部材を介して前記像保持体と対向する中間転写領域に配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端帯状部材の外表面上に転写する中間転写部材と、
前記中間転写体の片寄りを補正する請求項1ないし9のいずれかに記載の片寄補正装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記技術的課題を解決するために、請求項11記載の発明の転写装置は、
画像を保持する像保持体に外表面が対向して配置された無端帯状の中間転写体の外表面上に前記画像が転写される請求項10に記載の中間転写装置と、
前記中間転写体の外表面上に転写された前記画像を最終転写体に転写する最終転写部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項12記載の発明の画像形成装置は、
表面に潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体表面の潜像を可視像としての画像に現像する現像装置と、
前記像保持体表面の画像を媒体に転写する請求項11に記載の転写装置と、
前記媒体表面の画像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、10〜12に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、無端帯状部材の蛇行を補正するための構造を簡素化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、回転軸接触部と連動体接触部とを回転中心から延長させて形成できる。
請求項3に記載の発明によれば、軸変位部材の長さLに応じて、回転軸の移動量Lyを調節することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、連動体と連動体接触部との接触点の履歴、いわゆる、接点プロファイルの円弧状の軌跡と同径の円弧形状で前記接触面を形成できる。
請求項5に記載の発明によれば、前記連動体接触部の接触面が、前記移動前連動体接触位置から前記移動後連動体接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなるように形成されていない場合に比べ、前記無端帯状部材の蛇行が停止する平衡な位置に近付くに連れて、前記回転軸の移動量が小さくなるように設定することができ、前記無端帯状部材の蛇行を収束させ易くすることができる。また、請求項5に記載の発明によれば、前記連動体接触部の接触面が、前記移動前連動体接触位置から前記移動後連動体接触位置まで、曲率が連続的に変化する形状に形成されていない場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音を低減することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、前記連動体の接触面が、前記移動前接触部接触位置から前記移動後接触部接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなるように形成されていない場合に比べ、前記無端帯状部材の蛇行が停止する平衡な位置に近付くに連れて、前記回転軸の移動量が小さくなるように設定することができ、前記無端帯状部材の蛇行を収束させ易くすることができる。また、請求項6に記載の発明によれば、前記連動体の接触面が、前記移動前接触部接触位置から前記移動後接触部接触位置まで、曲率が連続的に変化する形状に形成されていない場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音を低減することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、前記回転軸と前記回転軸接触部とを点接触させることができ、前記回転軸と前記回転軸接触部とが点接触しない構成に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音を低減することができると共に、前記回転軸と前記回転軸接触部との磨耗を低減でき、前記軸変位部材の保守費用を低減することができる。
請求項8に記載の発明によれば、前記回転軸と前記軸変位部材とが同一の枠体に支持されている構成に比べ、前記軸変位部材の前記片寄補正装置への装着作業を容易化し易くできる。
請求項9に記載の発明によれば、前記回転中心が前記中心装着部の内周面から脱落することを防止することができる。また、請求項9に記載の発明によれば、前記切出挿入部の開口を塞ぐ前記回転中心の脱落防止部材を使用する場合に比べ、前記回転中心を簡易に装着することができると共に、前記回転中心を支持する支持部材の部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の着脱体の一例である可視像形成装置の説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールが使用位置に保持されている状態を示す図である。
【図4】図4は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールがメンテナンス作業位置に移動した状態を示す図である。
【図5】図5は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、像保持体と前記ベルトモジュールの転写ロールとの位置関係を示す図である。
【図6】図6は実施例1のベルトモジュールの説明図であり、図6Aはベルトモジュールからベルト支持フレームの前側プレートと媒体搬送ベルトとを取り外した状態のベルトモジュールの斜視図、図6Bは押さえ部材位置調節用長孔の要部拡大図、図6Cはピン押し当て装置の説明図である。
【図7】図7は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが押圧位置に保持された状態を示す図である。
【図8】図8は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが離隔位置に移動した状態を示す図である。
【図9】図9は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、ベルトモジュールから媒体搬送ベルトを取り外した状態を示す図である。
【図10】図10は実施例1のベルト片寄検知部材および軸変位部材の斜視拡大図であり、図10Aは従動ロール前端部から前側軸受までの斜視拡大説明図であり、図10Bは図10AのXB−XB線断面図である。
【図11】図11は実施例1の軸変位部材の拡大説明図であり、図11Aは図10の矢印XIA方向から見たときの拡大説明図であり、図11Bは図11Aの矢印XIB方向から見たときの拡大説明図であり、図11Cは図11Bの矢印XIC方向から見たときの斜視拡大説明図であり、図11Dは図11Cの矢印XID方向から見たときの斜視拡大説明図である。
【図12】図12は図10AのXII−XII線断面図であり、媒体搬送ベルトの前方向への移動と軸変位部材による従動軸の左方向への移動との関係を示す説明図である。
【図13】図13は本発明の実施例2のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図13Aは実施例1の図10Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図13Bは図13Aの矢印XIIIB方向から見たスイングブラケットの説明図である。
【図14】図14は本発明の実施例3のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図14Aは実施例2の図13Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見たベルト片寄検知部材および軸変位部材の要部拡大説明図である。
【図15】図15はベルト片寄検知部材の変更例の要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像が記録される媒体の一例としての記録シートSが収容される給紙容器TR1が下部に収容されており、上面には排紙部TRhが設けられている。また、プリンタUの上部には操作部UIが設けられている。
図1において、実施例1のプリンタUは、画像形成装置本体U1と、画像形成装置本体U1の右側下端部に設けられた回転中心U2aを中心として開閉可能な開閉部U2を有する。前記開閉部U2は、後述するプロセスカートリッジの交換や紙詰まりした記録シートSを除去するために画像形成装置本体U1の内部を開放する図示しない開放位置と、図1に示す画像形成動作が実行される通常時に保持される通常位置との間を移動可能に構成されている。
【0027】
プリンタUは、プリンタUの各種制御を行う制御部Cと、制御部Cにより作動を制御される画像処理部GS、像書込装置駆動回路DL、および電源装置E等を有している。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ローラCRy〜CRk、現像剤保持体の一例としての現像ローラG1y〜G1kおよび転写器の一例としての転写ローラT1y〜T1k等に電圧を印加する。
【0028】
前記画像処理部GSは、外部の画像情報送信装置等から入力された印刷情報を、K:黒,Y:イエロー,M:マゼンタ,C:シアンの4色の画像に対応した潜像形成用の画像情報に変換して、所定のタイミングで像書込装置駆動回路DLに出力する。像書込装置駆動回路DLは、入力された各色の画像情報に応じて駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。前記潜像書込装置ROSは、駆動信号に応じて、各色の画像書き込み用の画像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkを出射する。
図1において、前記潜像書込装置ROSの右方にはY,M,C,Kの各色の可視像の一例としてのトナー像を形成する画像記録部の一例としての可視像形成装置UY,UM,UC,UKが配置されている。
【0029】
図2は本発明の実施例1の着脱体の一例である可視像形成装置の説明図である。
図2において、K:黒の可視像形成装置UKは回転する像保持体の一例としての感光体Pkを有する。前記感光体Pkの周囲には、帯電器の一例としての帯電ロールCRk、感光体表面の静電潜像を可視像に現像する現像装置Gk、感光体Pk表面を除電する除電部材Jk、感光体Pk表面に残留した現像剤を除去する像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLk等が配置されている。また、前記現像装置Gkは、現像剤が収容される現像容器Vと、前記現像容器V内に収容された現像剤を保持して回転する現像剤保持体の一例としての現像ロールG1kを有する。前記現像容器V内には、現像ロールG1kに対向して配置され、現像ロールG1k表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材Skが設けられている。
【0030】
また、前記現像容器Vは、前記現像ロールG1kに供給される現像剤が撹拌しながら搬送される撹拌搬送室V1,V2を有し、前記撹拌搬送室V1,V2内には、現像剤を循環搬送する循環搬送部材R1,R2が配置されている。左側の撹拌搬送室V2には、現像剤を補給する現像剤補給路H1が接続されており、前記現像剤補給路H1には補給用の現像剤が収容される第1の現像剤補給室H2が接続されている。また、前記第1の現像剤補給室H2は、現像剤補給接続路H3を介して、上方に配置された第2の現像剤補給室H4に接続されている。現像剤補給路H1、第1の現像剤補給室H2、現像剤補給接続路H3および第2の現像剤補給室H4には、それぞれ、前記撹拌搬送室V1,V2に向けて現像剤を搬送する補給現像剤搬送部材R3,R4,R5,R6,R7が配置されている。前記符号H1〜H4、R3〜R7を付した部材により、実施例1の現像剤補給容器H1〜H4+R3〜R7が構成されている。
【0031】
前記感光体Pkは、帯電ロールCRkと対向する帯電領域Q1kで帯電ロールCRkにより表面を一様に帯電された後、潜像形成領域Q2kでレーザビームLkにより潜像が書き込まれる。書き込まれた静電潜像は現像装置Gkと対向する現像領域Qgkにおいて静電潜像が可視像化される。
実施例1の黒色の可視像形成装置UKは、感光体Pk、帯電器CRk、現像装置Gk、除電部材Jk、感光体クリーナCLk、現像剤補給容器H1〜H4+R3〜R7等が一体的に着脱可能な着脱体、いわゆるプロセスカートリッジUKにより構成されており、開閉部U2を開放位置に移動した状態で画像形成装置本体U1に対して着脱可能に構成されている。
また、他の色の可視像形成装置UY,UM,UCも、黒色の可視像形成装置UKと同様に、画像形成装置本体U1に対して着脱可能な着脱体、いわゆる、プロセスカートリッジUY,UM,UCにより構成されている。なお、実施例1のプリンタUでは、各プロセスカートリッジUY〜UKは、上下方向に並んで配置されている。
【0032】
図1において、前記感光体Py〜Pkの右方には、片寄補正装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、各プロセスカートリッジUY〜UKに対向して配置された無端帯状部材の一例であり、媒体搬送部材の一例としての無端状の媒体搬送ベルトBを有する。前記媒体搬送ベルトBは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdや、回転支持部材の一例であり、従動部材の一例としての従動ロールRjを含む帯状部材支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd+Rjにより回転可能に支持されている。また、前記ベルトモジュールBMは、媒体搬送ベルトBを挟んで、対向部材の一例としての各感光体Py〜Pkに対向して配置された転写器の一例としての転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kを有する。ここで、無端帯状部材は、上記のように、無端の帯状の部材であり、媒体を表面に保持して搬送するものや、可視像形成装置により形成された可視像を表面に保持して搬送するものである。
【0033】
前記媒体搬送ベルトBの媒体搬送方向下流側、すなわち、上側には、所定の時期に、制御部Cの図示しない画像濃度調整手段により形成される濃度検出用の画像、いわゆるパッチ画像の濃度を検出する画像濃度検出部材の一例としての画像濃度センサSN1が配置されている。なお、前記画像濃度センサSN1で検出された画像濃度に基づいて、制御部Cの画像濃度調整手段は、帯電ロールCRy〜CRkや現像装置Gy〜Gk、転写ロールT1y〜T1kへ印加する電圧の調整、潜像書込光Ly〜Lkの強度の調整を行うことにより、画像濃度の調整や補正、いわゆる、プロセスコントロールを行う。
前記画像濃度センサSN1の媒体搬送ベルトBの媒体搬送方向の下流側には、搬送部材清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置されている。
【0034】
媒体搬送ベルトBの下方に配置された給紙容器TR1の記録シートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離されて、案内部材の一例としてのシートガイドSGにより構成された記録媒体搬送路SHに搬送される。
記録媒体搬送路SHの記録シートSは、繰出部材の一例として、媒体搬送ベルトBへの給紙時期を調整するレジロールRrに送られる。レジロールRrは、所定のタイミングで、従動ロールRjとの対向領域である記録媒体吸着位置Q6に前記記録シートSを繰り出す。前記記録媒体吸着位置Q6に搬送された記録シートSは、前記媒体搬送ベルトBに静電吸着される。なお、実施例1のベルトモジュールBMでは、前記レジロールRrと媒体搬送ベルトBとの間には、記録シートSを案内するための案内部材が省略されている。
【0035】
前記媒体搬送ベルトBに吸着された記録シートSは、前記感光体Py〜Pkと接触する前記転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kを順次通過する。
前記転写領域Q3y〜Q3kにおいて媒体搬送ベルトBの裏面側に配置された転写ロールT1y〜T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定のタイミングでトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される。
多色画像の場合、前記各感光体Py〜Pk上のトナー像は前記転写ロールT1y〜T1kにより媒体搬送ベルトB上の記録シートSに重ねて転写される。また、単色画像、いわゆる、モノクロ画像の場合、感光体Pk上にK:黒のトナー像のみが形成され、このK:黒のトナー像のみが転写器T1kにより記録シートSに転写される。
トナー像転写後の感光体Py〜Pkは、除電領域Qjy〜Qjkで除電部材Jy〜Jkにより除電された後、清掃領域Q4y〜Q4kにおいて感光体クリーナCLy〜CLkにより表面に残留したトナーが回収されて清掃され、再び帯電ロールCRy〜CRkにより帯電される。
【0036】
前記トナー像が転写された記録シートSは、定着装置Fの加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとが圧接して形成される定着領域Q5で定着される。画像が定着された記録シートSは、排出案内部材の一例としてのガイドコロRgkにより案内されて、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから媒体排出部TRhに排出される。
記録シートSが離隔した後の前記媒体搬送ベルトBは、前記ベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0037】
(実施例1のベルトモジュールBMの説明)
図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールが使用位置に保持されている状態を示す図である。
図4は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールがメンテナンス作業位置に移動した状態を示す図である。
図5は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、像保持体と前記ベルトモジュールの転写ロールとの位置関係を示す図である。
図6は実施例1のベルトモジュールの説明図であり、図6Aはベルトモジュールからベルト支持フレームの前側プレートと媒体搬送ベルトとを取り外した状態のベルトモジュールの斜視図、図6Bは押さえ部材位置調節用長孔の要部拡大図、図6Cはピン押し当て装置の説明図である。
図7は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが押圧位置に保持された状態を示す図である。
図8は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが離隔位置に移動した状態を示す図である。
図9は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、ベルトモジュールから媒体搬送ベルトを取り外した状態を示す図である。
図10は実施例1のベルト片寄検知部材および軸変位部材の斜視拡大図であり、図10Aは従動ロール前端部から前側軸受までの斜視拡大説明図であり、図10Bは図10AのXB−XB線断面図である。
【0038】
図3〜図6、図9において、前記ベルトモジュールBMは、第2の枠体の一例であり、帯状部材支持枠体の一例としての前後一対の外枠体Fbを有している。前記外枠体Fbは、前側外枠部材の一例としての前側ベルト支持プレートFb1と、後側外枠部材の一例としての後側ベルト支持プレートFb2とを有する。図5、図9、図10において、前記前側ベルト支持プレートFb1と、後側ベルト支持プレートFb2とは、上側連結枠体の一例としての上側タイバーFb3と、下側連結枠体の一例としての下側タイバーFb4とにより連結されている。図10Bにおいて、実施例1の前記下側タイバーFb4の前端部には、中心装着部の一例としての溝部9が形成されている。実施例1の前記溝部9は、上下方向に延びる円柱の外周面を覆う形状の内周面9aと、前記内周面9aの左方に形成された開口としての切出挿入部9bとを有する。なお、実施例1の前記切出挿入部9bの前後方向の開口幅L1は、前記内周面9aの前後方向の最大幅である内周面9aの内径r1よりも小さくなるように予め設定されている。
【0039】
また、図5、図6において、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の上端部には、駆動ロールRdと一体的に回転する駆動軸Rdaが軸受Br,Brにより回転可能に支持されている。前記駆動軸Rdaの後端部には回転力伝達歯車11が支持されており、図示しない媒体搬送部材駆動源からの回転力が伝達される。
図5、図6において、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の下部には、左右方向に延びる枠体装着部の一例としての長孔12,12が形成されている。
【0040】
前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2において、前記長孔12の下方には、従動ロールRjが回転可能に支持されている。なお、前記従動ロールRjは、軸方向が前記媒体搬送ベルトBの幅方向である前後方向に沿って延びる回転軸の一例としての従動軸Rjaが、図10に示す、回転軸支持体の一例としての従動軸支持部材13により支持されている。実施例1の前記従動軸支持部材13は、前記従動軸Rjaの一端部の一例としての前端部を回転可能に支持する一端側支持部の一例としての前側軸受13aと、前記従動軸Rjaの他端部の一例としての後端部を回転可能に支持する他端側支持部の一例としての後側軸受13bとを有する。
【0041】
図3〜図5、図9において、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の下端部には、凹溝14,14が形成されている。図3、図4において、前記凹溝14,14は、前記画像形成装置本体U1に支持された枠体支持軸17に回転可能に支持されている。前記ベルトモジュールBMは、前記枠体支持軸17回りに、図3に示す通常使用位置と、図4に示す保守作業位置との間で回転移動することができる。
図3において、前記ベルトモジュールBMが通常使用位置に移動した状態では、前記駆動軸Rda両端部を支持する軸受Br、Brが前記画像形成装置本体U1に設けられた図示しない位置決め部に接触して前記ベルトモジュールBMが位置決めされる。
図4において、紙詰まりの解消や可視像形成装置UY〜UKの交換等の保守作業を行う場合、開閉部U2を開放して、ベルトモジュールBMを保守作業位置に移動させることで、内部が開放され、保守作業が可能となる。
【0042】
図5、図6において、前記外枠体Fbの内側には、第1の枠体の一例であり、転写部材支持枠体の一例としての転写フレームFtが配置されている。前記転写フレームFtは、前後一対の前側転写部材支持体および後側転写部材支持体の一例としての前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2を有する。前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2の上端部には、前記駆動軸Rdaの前後両端部が回転可能な状態で貫通している。すなわち、前記転写フレームFtの上端部は、駆動ロールRdの駆動軸Rdaに回転可能に支持されている。
前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2の下部は、転写部材支持体連結部材の一例としてのプレート連結部材Ft3により連結されている。プレート連結部材Ft3は、両端部が、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の前記長孔12,12を貫通して、前記外枠体Fbよりも外側に突出している。したがって、前記プレート連結部材Ft3は、長孔12,12に沿って移動自由な状態で支持される。
【0043】
また、前記プレート連結部材Ft3の前端部には、可動枠体の一例としてのスイングブラケットSBが、前記プレート連結部材Ft3を中心として回転可能に支持されている。
実施例1の前記スイングブラケットSBの上端部には、前記プレート連結部材Ft3に貫通されて支持される貫通孔SB1が形成されている。また、前記貫通孔SB1の下方には、弾性部材支持部の一例として、上下方向に延びる溝状のバネ支持溝SB2が形成されている。また、前記スイングブラケットSBには、前記バネ支持溝SB2に沿って移動可能な張架可動体の一例としてのスライダSB3が支持されており、前記スライダSB3には、前記前側軸受13aが支持されている。また、前記スライダSB3と、前記バネ支持溝SB2の上端部との間には、弾性部材の一例であり、張力付与部材の一例としての張架用バネSPaが装着されている。
よって、前記前側軸受13aは、前記スイングブラケットSBを介して、前記プレート連結部材Ft3と連結されており、且つ、前記スイングブラケットSBと連動して、前記プレート連結部材Ft3を中心として回転可能に支持されている。
【0044】
なお、前記後側転写ロール支持プレートFt2は、前記前側転写ロール支持プレートFt1に比べ、下方に長く延びて形成されている。実施例1の前記後側転写ロール支持プレートFt2の下端部には、前記バネ支持溝SB2と同様のバネ支持溝Ft2aと、前記スライダSB3に対応して、前記後側軸受13bを支持するスライダFt2bとを有する。また、前記スライダFt2bと、前記バネ支持溝Ft2aの上端部との間には、前記スイングブラケットSBと同様に、張架用バネSPaが装着されている。
よって、前記後側軸受13bは、前記スライダFt2bを介して、前記後側転写ロール支持プレートFt2によって上下方向に移動可能に支持されている。
【0045】
また、前記各軸受13a,13bは、前記張架用バネSPa,SPaによって下方に付勢されている。すなわち、前記従動ロールRjは、媒体搬送ベルトBを張架するように、張架方向の下流側の一例としての下方に押された状態で支持されており、媒体搬送ベルトBに張架する張架部材としての機能も有する。
また、前記プレート連結部材Ft3には、一端が前記前側転写ロール支持プレートFt1に支持され、他端が前記スイングブラケットSBに支持された傾斜付勢部材の一例としてのブラケット押さえバネSPbが支持されている。すなわち、実施例1の前記スイングブラケットSBは、前記ブラケット押さえバネSPbにより、右方に配置された前記下側タイバーFb4の前端部側に付勢されている。この結果、実施例1では、前記従動ロールRjの従動軸Rjaの前端部が後端部に対して右方向に傾くように予め設定されている。
なお、実施例1の前記駆動ロールRdの駆動軸Rdaは、前後方向に平行に配置されている。よって、実施例1では、前記媒体搬送ベルトBが、前方向に片寄るように予め設定されている。
【0046】
前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2には、転写ロールT1y〜T1kの位置にそれぞれ対応して、左右方向に伸びる軸位置調整用長孔Fty,Ftm,Ftc,Ftkが形成されている。図6において、前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2には、マゼンタ色用の軸位置調節用長孔Ftmとシアン色用の軸位置調節用長孔Ftcとの間に、像保持体Py〜Pk側、すなわち媒体搬送ベルトBの内側から外側に向けて突出する押さえ部材支持部19が形成されている。図6Bにおいて、前記押さえ部材支持部19には、左右方向に伸びる押さえ部材位置調節用長孔19aが形成されている。前記押さえ部材位置調節用長孔19aには、押さえ部材の一例としてのベルト押さえピン20が貫通し且つ押さえ部材位置調節用長孔19aに沿って移動可能に支持されている。
【0047】
図6Aにおいて、前記ベルト押さえピン20の外端部は、前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2に支持された押さえ部材付勢機構の一例としてのピン押し当て装置21が支持されている。図6Cにおいて、前記ピン押し当て装置21は、ベルト押さえピン20の外端部を回転可能に支持する軸受部材21aを有する。前記軸受部材21aは、押さえ力発生部材の一例としての弾性バネ21bの一端により、媒体搬送ベルトB側に常時押されている。前記弾性バネ21bはバネ支持容器21cにより他端側が支持されている。
また、図5に示すように、実施例1の前後一対のベルト押さえピン20は、ベルトクリーナCLbにより像保持体ベルトB表面が清掃される清掃領域L1の外側に配置されている。なお、実施例1では、前記清掃領域L1は、使用可能な記録シートSの最大幅よりも広く設定されており、感光体Py〜Pkに形成される画像の領域である画像形成領域の最大幅は記録シートSの最大幅よりも狭く設定されている。
【0048】
図5、図6A、図7において、前記転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kの軸22y,22m,22c,22kは軸位置調整用長孔Fty,Ftm,Ftc,Ftkに沿って左右に所定距離移動可能に支持されている。前記各転写ロールT1y〜T1kの軸22y〜22kは、前記ピン押し当て装置21と同様に構成された図示しない軸付勢機構により支持されている。すなわち、図7、図8において、各転写ロールT1y〜T1kは、前記弾性バネ21bに対応する転写軸付勢バネ23y,23m,23c,23kにより模式的に示されているように、媒体搬送ベルトBを外表面側、すなわち感光体Py〜Pk側に押すように付勢されている。
【0049】
なお、実施例1では、前記転写軸付勢バネ23y〜23kにより押す力は、弾性バネ21bが押す力よりも大きな力に設定されている。また、弾性バネ21bが媒体搬送ベルトBを押す力は、媒体搬送ベルトBの張力より少し大きく、ベルト押さえピン20が媒体搬送ベルトBに接触しかつ媒体搬送ベルトBの形状をほとんど変形させない程度に設定されている。
図7、図8において、前記プレート連結部材Ft3には、外枠体Fbの下端部との間に、プレート連結部材Ft3を感光体Py〜Pk側に常時押す力を作用させる支持部材付勢部材の一例としての転写フレーム押しバネSPcが配置されている。前記プレート連結部材Ft3には、転写フレーム押しバネSPcに対向して、画像形成装置本体U1に支持された帯状部材接離部材の一例としての偏心カムHCが配置されている。
【0050】
したがって、前記偏心カムHCが図7に示す帯状部材接触位置に移動すると、転写フレーム押しバネSPcにより、転写フレームFtが感光体Py〜Pk側に押され、媒体搬送ベルトBが全ての感光体Py〜Pkに接触する。よって、この状態で多色画像が形成、転写される。また、偏心カムHCが図8に示す帯状部材離隔位置に移動すると、転写フレーム押しバネSPcの弾性力に抗して転写フレームFtが回転移動し、媒体搬送ベルトBが黒色以外の感光体Py,Pm,Pcから離隔する。よって、この状態で単色画像が形成、転写される。すなわち、実施例1では、黒色の感光体Pkが媒体搬送ベルトBに常時接触し、そのほかの色の感光体Py,Pm,Pcは媒体搬送ベルトBに対して接触、離隔する。
また、図9において、前記外枠体Fbの右側には、記録シートSを搬送する際に前記媒体搬送ベルトBに付着した紙粉や現像剤等を除去するベルトクリーナCLbが内蔵された回収装置KSが支持されている。前記回収装置KSには、前記ベルトモジュールBMを図3に示す通常使用位置から図4に示す保守作業位置に回転させる際に、利用者が把持する把持部KSaが形成されている。
【0051】
(実施例1のベルト片寄検知部材26および軸変位部材27の説明)
図10において、前記従動軸Rjaの前端部には、前記媒体搬送ベルトBの幅方向端縁の一例としての前端縁に接触する連動体の一例であり、移動検知部材の一例としての円板状のベルト片寄検知部材26が軸方向である前後方向に沿って移動可能に支持されている。また、前記ベルト片寄検知部材26と前記前側軸受13aとの間には、傾斜方向の一例としての左方に前記回転軸を傾斜させる軸変位部材27が配置されている。上記連動体は、無端帯状部材の端面の一部が接触して移動し、無端帯状部材の幅方の位置を検知するものである。
【0052】
図11は実施例1の軸変位部材の拡大説明図であり、図11Aは図10の矢印XIA方向から見たときの拡大説明図であり、図11Bは図11Aの矢印XIB方向から見たときの拡大説明図であり、図11Cは図11Bの矢印XIC方向から見たときの斜視拡大説明図であり、図11Dは図11Cの矢印XID方向から見たときの斜視拡大説明図である。
図10、図11において、実施例1の前記軸変位部材27は、前記従動軸Rjaの右方に配置され且つ前記従動軸Rjaと交差する交差方向の一例としての上下方向に沿って延びる回転中心27aを有する。
【0053】
図10B、図11において、実施例1の前記回転中心27aは、円柱の外表面の前後方向両側の一部が切り欠かれた形状に形成されており、切欠面27a1,27a2を有する。すなわち、前記回転中心27aは、図10Bに示すように、円柱の外表面が一部切除された円の左右両端部を切除された形状、いわゆる、両Dカット形状の断面となるように形成されている。なお、実施例1では、前記円柱の直径が、前記溝部9の内周面9aの内径r1に予め設定されている。また、実施例1では、前記切欠面27a1,27a2どうしの距離である切欠距離L2が、前記溝部9の切出挿入部9bの開口幅L1より小さくなるように予め設定されている。
よって、前記回転中心27aは、図10Bに示すように、前記切欠距離L2が前記開口幅L1に嵌まるように前記軸変位部材27の姿勢を合わせた状態で前記下側タイバーFb4の溝部9の左方から、前記切出挿入部9bに挿入可能となっている。そして、挿入された状態では、前記内周面9aに回転可能に支持される。すなわち、前記回転中心27aは、前記溝部9に対して、回転可能且つ着脱可能に支持されている。
【0054】
また、前記回転中心27aの中心軸方向である上下方向の両端部には、前記切欠面27a1,27a2と平行に延びる柱状の延長部27b,27bが形成されている。また、前記延長部27b,27bの前記回転中心27aとは反対側の端部には、上下方向に延びるD形状の断面となる半円柱状の接触部27cが形成されている。実施例1の前記接触部27cには、前記延長部27b,27bの反対側の外端部の上下方向中央に凹状に切り欠かれた開口により構成された凹部27dが形成されている。実施例1の前記凹部27dの内部には、上下方向に延びる凸曲面体により構成されて前記従動軸Rjaに接触する回転軸接触部の一例としての軸接触面27eが形成されている。
また、前記凹部27dの上下両端には、前記凹部27dを挟んだ二股状の上流側接触部の一例としての上側接触部27fと下流側接触部の一例としての下側接触部27gとが形成されている。前記各接触部27f,27gの接触面である左端面27hは、前記従動軸Rjaを挟んだ上下両側で前記ベルト片寄検知部材26に接触する。
前記上側接触部27fと、下側接触部27gとにより、実施例1の連動体接触部(27f+27g)が構成されている。
【0055】
図12は図10AのXII−XII線断面図であり、媒体搬送ベルトの前方向への移動と軸変位部材による従動軸の左方向への移動との関係を示す説明図である。
また、図12において、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)の左端面27hは、前記凹部27d外端部側から前記延長部27b,27b側に進むに連れて曲率が大きくなるように形成されている。具体的には、前記各部材B,26が前記媒体搬送ベルトBの幅方向である前方向に移動して、前記ベルト片寄検知部材26と前記左端面27hとの接触点の履歴、いわゆる、接点プロファイルPFが、円弧状となるように予め設定されている。
外枠体Fb、転写フレームFt、転写フレーム押しバネSPc、偏心カムHC等により、実施例1の帯状部材移動機構の一例としてのベルト移動機構Fb+Ft+SPc+HCが構成されている。また、前記外枠体Fb、ベルト支持ロールRd+Rj、媒体搬送ベルトB、転写フレームFt、転写ロールT1y〜T1kおよび回収装置KS、ベルト片寄検知部材26、軸変位部材27等により、実施例1のベルトモジュールBMが構成されている。
【0056】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置の一例としての前記プリンタUでは、画像形成動作、いわゆる、ジョブが開始されると、前記媒体搬送ベルトB表面に記録シートSが保持されて、前記転写領域Q3y〜Q3kを通過する際に記録シートSに画像が転写され、前記定着装置Fの定着領域Q5で定着される。
ここで、前記媒体搬送ベルトBが蛇行すると、記録シートSの搬送に問題が発生する。実施例1では、図10に示すように、前記従動ロールRjの従動軸Rjaの前端部が、前記各部材SPb,SB,13aを介して、右方の前記下側タイバーFb4側に付勢されている。すなわち、前記従動軸Rjaの前端部が、後端部に対して右方向に傾いており、前後方向に延びる前記駆動ロールRdの駆動軸Rdaに対して傾いている。このため、図12に示すように、前記媒体搬送ベルトBが片寄る場合には、前方向に片寄るように設定されている。前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄ると、前記媒体搬送ベルトBの前端縁が前記ベルト片寄検知部材26に接触し、前記媒体搬送ベルトBと前記ベルト片寄検知部材26とが連動して前方向に移動する。
【0057】
よって、前記ベルト片寄検知部材26が接触する前記連動体接触部(27f+27g)を前方に押圧し、押圧された前記軸変位部材27の連動体接触部(27f+27g)は、前記回転中心27aを中心に回転する。この場合、前記軸変位部材27の軸接触面27eが、前記連動体接触部(27f+27g)と一体的に回転して前記従動軸Rjaを左方向に押圧する。
このため、前記媒体搬送ベルトBが、後方向に移動され、前記従動軸Rjaの前端が後端に対して平行に近付いたり、後方に傾斜したりして、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが停止する平衡な位置である平衡位置で保持される。よって、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが規制され、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが解消される。すなわち、実施例1の前記プリンタUでは、前記各部材B,26の前方向への移動に応じて、前記軸変位部材27が、前後方向としてのX方向と左右方向としてのY方向とを含むXY平面上を回転して、前記従動軸Rjaを左方向に移動させている。
【0058】
したがって、実施例1の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27が、前記各部材B,26の片寄りに応じて前記回転中心27aを中心に回転して前記従動軸Rjaを傾斜させており、ベルト片寄検知部材の押圧力を測定して従動軸を傾斜させる特許文献2に記載の技術や、ベルト片寄検知部材に媒体搬送ベルトの回転トルクを与えて紐部材を巻き取ることで従動軸を傾斜させる特許文献3に記載の技術に比べ、媒体搬送ベルトBの蛇行を補正するための構造が簡素化されている。
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27の回転軌跡が二次元の円形状となっており、軸変位部材の回転軌跡が三次元のベベル形状となる特許文献1に記載の技術に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正するための構造が簡素化されている。
【0059】
なお、実施例1の前記プリンタUでは、図12に示す前記接点プロファイルPFが円弧状となるように、前記左端面27hの曲率が設定されている。すなわち、実施例1では、図12に示すように、前記回転中心27aから、連動体接触部(27f+27g)とベルト片寄検知部材26とが接触する位置である連動体接触位置までを結んだ前記軸変位部材27の線分を軸変位線分r0とし、前記媒体搬送ベルトBの移動前の前記媒体搬送ベルトBの幅方向の直線、すなわち、駆動軸Rdaに対して傾斜した従動軸Rjaに対応する直線を幅方向直線x0とし、前記軸変位線分r0の長さをL[mm]とし、前記軸変位線分r0と前記幅方向直線x0のなす角度をθ0[rad]とし、前記各部材B,26の前方向への片寄りの移動量をLx[mm]とし、前記各部材B,26の移動後の前記角度θ0の増加角度をθ[rad]とし、前記軸変位部材27による前記従動軸Rjaの前端部の左方向への移動量をLy[mm]とした場合に、前記軸変位部材27の回転角度θ0,θと前記各移動量Lx,Lyとの関係は、以下の式(1−1),(1−2)が成立するように予め設定されている。
Lx=L(cos(θ0)−cos(θ0+θ)) …(1−1)
Ly=L(sin(θ0+θ)−sin(θ0)) …(1−2)
【0060】
よって、実施例1の前記プリンタUでは、前記式(1−1),(1−2)に示すように、前記各移動量Lx,Lyどうしの関係を、前記軸変位部材27の角度θ0,θの三角関数に基づいて調節することが可能となっている。
したがって、実施例1の前記プリンタUは、前記各移動量Lx,Lyを前記式(1−1),(1−2)に基づいて調節できない場合に比べ、前記軸変位部材27の回転によって、前記各部材B,26の移動量Lx[mm]を、前記従動軸Rjaの移動量Ly[mm]に効率良く変換することが可能になっている。
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記ベルト片寄検知部材26との接触面である前記左端面27hの曲率に基づいて、前記各部材B,26の移動量Lx[mm]と、前記従動軸Rjaの移動量Ly[mm]との関係を調節することが可能となっている。
【0061】
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記各移動量Lx,Lyを前記式(1−1),(1−2)に基づいて調節できない場合に比べ、前記各部材B,26の移動と、前記軸変位部材27の回転とを滑らかに連動させることが可能になっている。このため、実施例1の前記プリンタUは、例えば、図7に示す多色画像形成動作、いわゆる、フルカラーモードを実行する場合と、図8に示す単色画像形成動作、いわゆる、モノクロモードを実行する場合とで平衡位置が変化した場合でも、前記軸変位部材27による従動軸Rjaの移動を速やかに収束させて前記媒体搬送ベルトBの蛇行を速やかに補正することが可能となっている。また、例えば、普通紙や厚紙を搬送する際に、媒体の種類によって平衡位置が変化した場合にも、前記軸変位部材27による従動軸Rjaの移動を速やかに収束させて前記媒体搬送ベルトBの蛇行を速やかに補正することが可能となっている。
【0062】
また、実施例1の前記プリンタUは、前記左端面27hが滑らかに連続的に曲率が変化しない構成に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音が低減されている。
また、実施例1の前記プリンタUは、前後方向に延びる円柱状に形成された前記従動軸Rjaと、上下方向に延びる凸曲面体により構成された前記軸接触面27eとが点接触するように構成されている。このため、実施例1の前記プリンタUは、前記従動軸Rjaと前記軸接触面27eとが点接触しない構成に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音が低減されると共に、前記従動軸Rjaおよび前記軸接触面27eどうしの磨耗が低減されて、前記軸変位部材27の保守費用を低減することが可能となっている。
【0063】
また、前記構成を備えた実施例1の前記プリンタUでは、図6に示すように、前記従動軸Rjaの各軸受13a,13bが、前記スイングブラケットSBのスライダSB3と、前記後側転写ロール支持プレートFt2の下端部のスライダFt2bとによって支持されている。また、図10に示すように、前記軸変位部材27の回転中心27aが、前記下側タイバーFb4の溝部9の内周面9aに回転可能に支持されている。すなわち、実施例1の前記プリンタUでは、前記従動軸Rjaが、第1の枠体の一例としての前記転写フレームFtに支持されていると共に、前記軸変位部材27が、第2の枠体の一例としての前記外枠体Fbに支持されている。
この結果、実施例1の前記プリンタUは、前記従動軸Rjaと前記軸変位部材27とが同一の枠体に支持されている構成に比べ、前記軸変位部材27を前記ベルトモジュールBMに装着し易く構成することが可能になっている。また、実施例1の前記プリンタUは、前記従動軸Rjaと前記軸変位部材27とが同一の枠体に支持されている構成に比べ、前記軸変位部材27の各部27a〜27eを配置可能な空間等の領域を広く確保することが可能となっており、特に、前記回転中心27aの配置の自由度を高めることが可能になっている。
【0064】
また、前記構成を備えた実施例1の前記プリンタUでは、図10Bに示すように、前記軸変位部材27の回転中心27aは、前記切欠面27a1,27a2によって両Dカット形状の断面となるように形成されている。このため、前記回転中心27aは、前記溝部9の左方から、前記溝部9の切出挿入部9bに嵌まるように姿勢を合わせた状態で、前記切出挿入部9bに挿入することが可能になっている。このとき、実施例1の前記プリンタUは、図12に示すように、前記媒体搬送ベルトBが前方へ片寄る前に連動体接触部(27f+27g)がベルト片寄検知部材26に接触する位置である移動前接触部接触位置P0と、前記媒体搬送ベルトBが前方へ最も片寄った後に連動体接触部(27f+27g)がベルト片寄検知部材26に接触する位置である最大移動後接触部接触位置Pmaxとの間である連動体接触部(27f+27g)の移動範囲AR1を、連動体接触部(27f+27g)が移動するように設定されている。
【0065】
そして、前記移動範囲AR1に対応する回転中心27aの回転範囲AR2の範囲外である左方に前記切出挿入部9bが形成されている。このため、実施例1の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27が、前記回転範囲AR2を回転する回転中心27aの回転中に、前記回転中心27aが前記内周面9aから脱落することが防止されている。また、実施例1の前記プリンタUでは、前記切出挿入部9bが前記回転範囲AR2の範囲内に配置されて切出挿入部9bの開口を塞ぐ回転中心27aの脱落防止部材を使用する場合に比べ、前記回転中心27aを簡易に装着することが可能になっていると共に、前記回転中心27aを支持する支持部材の部品点数を削減することが可能となっている。
【0066】
また、前記構成を備えた実施例1の前記プリンタUでは、前記媒体搬送ベルトBが各張架ロールRd,Rjの張架方向である上下方向に延びている。また、図10Aに示すように、前記軸変位部材27の上側接触部27fと下側接触部27gとが、前記軸変位部材27の凹部27d内で軸接触面27eと接触している前記従動軸Rjaを挟んで配置されている。
なお、実施例1の前記プリンタUでは、図10Aに示すように、前記上側接触部27fの左端面27hが前記ベルト片寄検知部材26に接触する上側接触部接触位置P1と、前記下側接触部27gの左端面27hが前記ベルト片寄検知部材26に接触する下側接触部接触位置P2とを結ぶ線分である接触線分Lsと、前記従動軸Rjaとが交差するように設定されている。すなわち、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)は、前記従動軸Rjaを挟んで、前記ベルト片寄検知部材26の左右方向中央部に接触するように設定されている。
【0067】
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記媒体搬送ベルトBが前記従動ロールRjに巻き付いた角度である巻付角度が、約180°に設定されている。よって、実施例1では、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄る際に、前記媒体搬送ベルトBの前端縁は、前記ベルト片寄検知部材26の右端部、下端部、左端部をU字状に押圧するように設定されている。
よって、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)は、前記媒体搬送ベルトBが押圧するベルト片寄検知部材26の右端部および左端部の中間である左右方向中央部に前記従動軸Rjaを挟んだ2箇所で接触する。このため、前記連動体接触部(27f+27g)が、仮に、前記ベルト片寄検知部材26を1箇所のみ、例えば、前記上側接触部接触位置P1のみで接触する構成とした場合には、前記上側接触部接触位置P1を支点に、前記媒体搬送ベルトBによって押圧された前記ベルト片寄検知部材26が回転して傾く可能性がある。この場合、傾いた前記ベルト片寄検知部材26が軸方向へ移動し難くなり、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを、前記ベルト片寄検知部材26の連動させ難くなる可能性がある。すなわち、片寄りの補正が遅れたり、精度が悪化するおそれがある。
【0068】
しかしながら、実施例1の前記プリンタUでは、前記連動体接触部(27f+27g)の接触位置が従動軸Rjaを挟んで2箇所に配置されているため、前記連動体接触部(27f+27g)の接触位置が1箇所に配置されている場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを、前記ベルト片寄検知部材26の連動や、前記軸変位部材27の回転に効率良く伝達させることが可能となっている。
なお、巻付角度が180°より小さい場合には、前記ベルト片寄検知部材26に前記媒体搬送ベルトBが接触する範囲が一部に集中し易く、前記ベルト片寄検知部材26が傾き易くなる。このため、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)のように、従動軸Rjaを挟んで2箇所で接触することで、前記ベルト片寄検知部材26の傾きを低減する効果が大きくなる。よって、前記媒体搬送ベルトBの片寄りに、前記ベルト片寄検知部材26が連動し易く、前記軸変位部材27による片寄り補正の応答性が向上する。
【0069】
なお、実施例1の前記プリンタUでは、前記媒体搬送ベルトBが前記従動ロールRjに巻き付いた角度である巻付角度が、約180°に設定されている。よって、実施例1では、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄る際に、前記媒体搬送ベルトBの前端縁は、前記ベルト片寄検知部材26の右端部、下端部、左端部をU字状に押圧するように設定されている。
この結果、実施例1の前記プリンタUでは、巻付角度が180°より小さい場合に比べ、前記ベルト片寄検知部材26が前記媒体搬送ベルトBの前端縁に接触する範囲が大きくなり、連動して前方向に移動し易くなっている。すなわち、前記ベルト片寄検知部材26が前記媒体搬送ベルトBの前方向への片寄りを検知し易くなっている。よって、実施例1の前記プリンタUでは、巻付角度が180°より小さい場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを、効率良く前記ベルト片寄検知部材26の連動や、前記軸変位部材27の回転に伝達させることが可能となっている。
【0070】
このため、実施例1の前記プリンタUは、ベルト片寄検知部材26が媒体搬送ベルトBの片寄りに連動して効率良く滑らかに軸方向に移動可能であるため、媒体搬送ベルトBの剛性が低い場合でも、ベルト片寄検知部材26と接触する媒体搬送ベルトBの前端縁にシワが寄ることなく、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正することが可能となっている。この結果、実施例1の前記プリンタUは、前記媒体搬送ベルトBの製作費用を低減することが可能となっている。
【実施例2】
【0071】
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0072】
(実施例2のベルトモジュールBMの説明)
図13は本発明の実施例2のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図13Aは実施例1の図10Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図13Bは図13Aの矢印XIIIB方向から見たスイングブラケットの説明図である。
図13において、実施例2のプリンタUでは、実施例1の前記ベルトモジュールBMの転写フレームFtに替えて、軸支持枠体の一例であって、転写部材支持枠体の一例としての転写フレームFt′を有する。
図13Bにおいて、実施例2の前記転写フレームFt′では、前側転写ロール支持プレートFt1の下端部に、前記前側転写ロール支持プレートFt1の外表面側から内側に凹んだ形状の可動規制部の一例としてのスイング規制部31が形成されている。実施例2の前記スイング規制部31には、前記スイングブラケットSBが収容されている。実施例2の前記スイング規制部31は、前記スイングブラケットSBの後方に配置され、従動軸Rjaと直交する板状の後端壁31aを有する。実施例2の前記後端壁31aには、前記従動軸Rjaと対応する位置に、前記従動軸Rjaを貫通し且つ上下方向および左右方向に案内可能な軸案内長孔31a1が形成されている。
【0073】
また、前記スイング規制部31は、前記後端壁31aの左右両端から前方に延びる板状の左端壁31bと、右端壁31cとが形成されている。前記後端壁31aと前記右端壁31cとの角部31dにより、実施例2の回転規制部31dが構成されている。また、前記右端壁31cの直交方向の一例としての右方には、前記前側転写ロール支持プレートFt1の内表面側から外側に凹んだ凹部形状の中心支持凹部32が形成されている。
実施例2の前記中心支持凹部32は、前記右端壁31cの前端から右方に延びる板状の前端壁32aが形成されている。実施例2の前記前端壁32aの外表面側の右端部には、前方に突起する突起部32bが形成されている。また、実施例2では、実施例1の前記ブラケット押さえバネSPbに替えて、傾斜付勢部材の一例としての従動軸押さえバネSPb′が前記突起部32bと前記従動軸Rjaとの間に接続されている。
【0074】
したがって、実施例2では、前記スイングブラケットSBは、前記従動軸押さえバネSPb′により、従動軸Rjaおよび前側軸受13aを介して、前記右端壁31cに付勢されている。この結果、実施例2では、実施例1と同様に、前記従動軸Rjaの前端部が後端部に対して右方向に傾くように予め設定されている。
また、実施例2では、実施例1と同様に、駆動ロールRdの駆動軸Rdaが前後方向に平行に配置されているため、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄るように予め設定されている。
【0075】
(実施例2の軸変位部材27′の説明)
また、前記前端壁32aの内表面側の左右方向中央部には、上下方向に延びる内壁32cが形成されている。また、実施例2では、実施例1の前記下側タイバーFb4の溝部9に替えて、前記前端壁32aと前記内壁32cの左端部との角部である中心支持部32c1が形成されている。また、実施例2では、実施例1の前記軸変位部材27に替えて、軸変位部材27′が前記中心支持部32c1に支持されている。すなわち、実施例2の前記軸変位部材27′は、回転中心27aの前後方向の位置が前記前側軸受13aの前後方向の位置に対して一部が重複した状態で回転可能に支持されている。
【0076】
ここで、実施例1の前記軸変位部材27では、図12に示す前記軸変位線分r0が回転中心27aから接触部27cの外端部まで延長部27b,27bの延長方向に直線状に延びているのに対し、実施例2の前記軸変位部材27′は、図13Aに示すように、回転中心27aから延長部27b,27bまでを結ぶ第1軸変位線分r1に対して、接触部27cの延長部27b,27bとの接続位置から外端部までを結ぶ線分r2が角度θ1だけ前方に傾いて設定されている。すなわち、実施例2の前記軸変位部材27′は、回転中心27aから接触部27cの外端部に向けて進むに連れて、前方に湾曲して形成されている。
また、実施例2では、図13Aの破線で示すように、前記左端面27hの曲率により、前記ベルト片寄検知部材26の軸方向の移動に伴う、ベルト片寄検知部材26と左端面27hとの接触点の履歴としての接点プロファイルPF′が、実施例1の円弧状の接点プロファイルPFに対して、円弧の中心側に延びるインボリュート曲線状となるように予め設定されている。なお、前記インボリュート曲線とは、固定軸に糸を巻きつけて、前記糸の端を引っ張りながら解く際に、前記糸の先端が描く曲線である。
【0077】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置の一例としての前記プリンタUでは、図13に示すように、前記軸変位部材27′の回転中心27aを支持する前記中心支持凹部32の中心支持部32c1が、前記スイング規制部31の前端部に配置されている。すなわち、前記回転中心27aの前後方向である軸方向の位置が、前記スイング規制部31に収容された前記従動軸Rjaの前側軸受13aの軸方向の位置に対して一部が重複して配置されている。このため、実施例2の前記プリンタUでは、前記回転中心27aが前記前側軸受13aより軸方向内側に配置されている場合に比べ、前記軸変位部材27′の接触部27cを、前記従動軸Rjaの軸方向外側に配置することが可能となっている。よって、実施例2の前記プリンタUは、前記回転中心27aが前記前側軸受13aの軸方向の位置に対して重複して配置されていない場合に比べ、前記軸変位部材27′を配置するために必要な前記従動軸Rjaの幅を狭くすることが可能となっている。
この結果、実施例2の前記プリンタUは、前記従動軸Rja全体の長さを短くすることが可能となっており、前記ベルトモジュールBM全体の小型化や前記プリンタU全体の小型化が可能となっている。
【0078】
ここで、前記従動軸Rjaの後端軸受13bを支点として、前記従動軸Rjaの前端部を持ち上げる場合には、いわゆる、てこの原理により、前記後端軸受13bから可能な限り離れた位置、すなわち、前記前端軸受13aに可能な限り近い位置を力点とする方が少ない力で持ち上げることが可能になる。すなわち、前記力点である前記接触部27cの軸接触面27eが前記前端軸受13aに近い位置に配置されている方が、少ない力で持ち上げることが可能となる。
実施例2では、回転中心27aが前側軸受13aの軸方向の位置に対して重複して配置されており、前記軸接触面27eを可能な限り前記従動軸Rjaの軸方向外側に配置されている。よって、実施例2の前記プリンタUは、回転中心27aが前側軸受13aの軸方向の位置に対して重複して配置されていない場合に比べ、前記軸接触面27eを前記前側軸受13aに近い位置に配置させて前記従動軸Rjaを少ない力で傾斜させることが可能となっている。
【0079】
また、実施例2の前記軸変位部材27′は、図13Aに示すように、前記回転中心27aから接触部27cの外端部に向けて進むに連れて、前方向に湾曲して形成されている。このため、実施例2の前記プリンタUは、実施例1の前記軸変位部材27のように回転中心27aから接触部27cの外端部まで直線状に形成された場合に比べ、前記軸変位部材27′を配置するために必要な前記従動軸Rjaの幅を更に狭くすることが可能となっている。この結果、実施例2の前記プリンタUは、前記従動軸Rja全体の長さを短くすることが可能となっており、前記ベルトモジュールBM全体を更に小型化し、前記プリンタU全体を更に小型化することが可能となっている。
また、実施例2の前記プリンタUは、回転中心27aから接触部27cの外端部まで直線状に形成された場合に比べ、前記軸接触面27eが前記前側軸受13aに近い位置に配置されており前記従動軸Rjaを更に少ない力で傾斜させることが可能となっている。
【0080】
また、実施例2では、前記凹部27d外端部側から前記延長部27b,27b側に進むに連れて前記左端面27hの曲率が大きくなるように形成されており、図13Aに示す前記接点プロファイルPF′がインボリュート曲線状となるように、前記左端面27hの曲率が設定されている。すなわち、実施例2の前記軸変位部材27′は、前記ベルト片寄検知部材26の軸方向である前方への移動に伴って、軸方向外側に進むほど、前記ベルト片寄検知部材26と前記左端面27hとの接点の傾斜方向である左方向への移動が小さくなるように設定されている。
このため、実施例2では、前記媒体搬送ベルトBが片寄って、前記従動軸Rjaの前端部が片寄りを補正する左方向に移動して、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが停止する前記平衡位置に近付くに連れて、前記従動軸Rjaの移動量が小さくなるように設定されている。この結果、実施例2の前記プリンタUは、前記接点プロファイルPF′がインボリュート曲線となるように前記左端面27hの曲率が設定されていない場合に比べ、平衡位置近傍で媒体搬送ベルトBの片寄りを収束させ易くなっている。
【0081】
また、前記構成を備えた実施例2の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27′の左方には、前記スイング規制部31の後端壁31aと右端壁31cとの角部31dが配置されている。このため、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄りを補正する際に前記軸変位部材27′が回転した場合には、前記軸変位部材27′が前記角部31dに接触する位置である最大回転位置で、前記軸変位部材27′の回転が規制される。
したがって、実施例2の前記プリンタUでは、前記角部31dにより、前記軸変位部材27′の回転範囲を規制することが可能となっている。このため、例えば、媒体搬送ベルトBの片寄りを補正する際に、前記軸変位部材27′が、いわゆる、上死点を超えて、媒体搬送ベルトBや従動軸Rjaの戻りに追従して戻れなくなる範囲である機能不全領域まで前記軸変位部材27′を回転させないようにすることが可能となっている。
また、実施例2の前記プリンタUでは、前記角部31dの位置を調節することにより、任意の最大回転位置を設定することが可能となっており、前記軸変位部材27′の過剰な回転を規制することが可能となっている。
その他、実施例2の前記プリンタUは、実施例1の前記プリンタUと同様の作用効果を奏する。
【実施例3】
【0082】
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例2と相違しているが、他の点では前記実施例2と同様に構成されている。
【0083】
(実施例3のベルトモジュールBMの説明)
図14は本発明の実施例3のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図14Aは実施例2の図13Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見たベルト片寄検知部材および軸変位部材の要部拡大説明図である。
図14Aにおいて、実施例3の中心支持凹部32には、前端壁32aの上端から後方に延びる上流側移動規制面の一例としての板状の上端壁32dと、前端壁32aの下端から後方に延びる下流側移動規制面の一例としての板状の下端壁32eとが形成されている。
前記上端壁32dと、前記下端壁32eとにより、実施例3の移動規制部(32d+32e)が構成されている。
【0084】
なお、実施例3では、前記上端壁32dと前記下端壁32eとの間の長さL3、すなわち、前記中心支持凹部32の上下方向の長さL3が、軸変位部材27′の回転中心27aが延びる上下方向の長さL4に比べて、長くなるように予め設定されている。すなわち、前記中心支持凹部32の上下方向の幅が、前記軸変位部材27′の上下方向の幅よりも大きく形成されている。
この結果、実施例3の前端壁32aと内壁32cとの角部である中心支持部32c1′は、実施例2の前記中心支持部32c1に比べ、上下方向の長さが長くなるように設定されている。このため、前記中心支持部32c1′に突き当てられて支持された前記回転中心27aは、図14Bに示すように、前記中心支持部32c1′が延びる上下方向に移動可能に支持されている。
また、実施例3の前記軸変位部材27′は、上側接触部27fと下側接触部27gとの間の間隔d1、すなわち、前記凹部27dの上下方向の間隔d1が、従動軸Rjaの外径と等しくなるように予め設定されている。すなわち、実施例3の前記従動軸Rjaは、上側接触部27fと下側接触部27gとの間に遊び以上の隙間が無い状態で挟み込まれて配置されている。
【0085】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の画像形成装置の一例としての前記プリンタUでは、図14Bに示すように、前記軸変位部材27′の回転中心27aが上下方向に移動可能に支持されている。
ここで、実施例3では、例えば、図7、図8に示す、フルカラーモードを実行する場合とモノクロモードを実行する場合とで前記媒体搬送ベルトBの張力の分布が変化し、前記媒体搬送ベルトBのバタツキや回転ムラ等が発生したりする可能性がある。また、例えば、前記媒体搬送ベルトBが弾性ゴムにより構成されている場合には、温度・湿度等の環境変化や経時的な劣化等により前記媒体搬送ベルトBの周長が伸長・収縮する可能性がある。これらの場合、実施例3では、張架用バネSPa,SPaにより、前記媒体搬送ベルトBを下方向に張架する従動ロールRjが上下方向に移動することがある。
【0086】
よって、回転中心27aが上下方向に移動しない場合には、従動軸Rjaの上下方向の移動により、従動軸Rjaが上側接触部27fまたは下側接触部27gに接触、押圧して、回転中心27aにおける従動軸Rjaの移動方向の反対側が中心支持部(32c1)から浮いてしまい、回転中心27aが傾く可能性がある。このため、前記従動軸Rjaに押圧されて回転中心27aが傾いた状態で支持されている前記軸変位部材27′の回転軌跡が、前記従動軸Rjaの傾斜方向である右方向からずれてしまう。この場合、前記媒体搬送ベルトBが片寄った際に、前記各部材B,26の移動力を、前記軸変位部材27′の回転力として効率良く伝達させることが困難となる。この結果、前記媒体搬送ベルトBの片寄り補正の性能が低下してしまう可能性があった。
【0087】
また、従動軸Rjaに上側接触部27fまたは下側接触部27gが接触しないようにするためには、前記凹部27dの間隔d1を従動軸Rjaの移動量に対して十分に長くする必要があり、軸変位部材27′の上下方向の長さを長くする必要がある。このため、前記間隔d1を長くした場合には、前記ベルト片寄検知部材26と前記連動体接触部(27f+27g)との接触範囲を確保するため、ベルト片寄検知部材26や軸変位部材27′の幅方向を長くする必要があった。
【0088】
しかしながら、実施例3の前記プリンタUでは、回転中心27aが上下方向に移動可能に支持されているため、前記従動軸Rjaの上下方向の移動により、連動体接触部(27f+27g)が接触、押圧されると、軸変位部材27′が従動軸Rjaに連動して上下方向に移動することが可能となっている。
このため、実施例3の前記プリンタUでは、回転中心27aが上下方向に移動しない場合に比べ、前記従動軸Rjaに押圧されて回転中心27aが傾くことが低減されており、前記軸変位部材27′を円滑に回転させることが可能となっている。この結果、実施例3の前記プリンタUは、回転中心27aが上下方向に移動しない場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを補正する性能の低下が少なくなっている。
【0089】
また、実施例3では、前記凹部27dの上下方向の間隔d1が、従動軸Rjaの外径と同等に設定されており、前記従動軸Rjaは、上側接触部27fと下側接触部27gとにより、遊び以上の隙間が無い状態で、挟み込まれている。この結果、実施例3の前記プリンタUでは、前記従動軸Rjaの張架方向の移動に連動して、軸変位部材27′を上下方向に移動させることが可能となっている。
また、前記間隔d1が前記外径と同等に設定されており、前記従動軸Rjaが上下方向に移動しても、前記従動軸Rjaを貫通するベルト片寄検知部材26と、前記従動軸Rjaを挟む前記連動体接触部(27f+27g)との接触範囲を常に前記従動軸Rjaの近傍に確保することが可能となっている。この結果、実施例3の前記プリンタUでは、前記ベルト片寄検知部材26や前記軸変位部材27′の上下方向の長さを短くすることが可能となっており、前記ベルトモジュールBM全体の小型化や前記プリンタU全体の小型化が可能となっている。
【0090】
また、実施例3では、回転中心27aの張架方向の移動が、前記上端壁32dと前記下端壁32eとの間で規制されている。すなわち、実施例3では、前記軸変位部材27′は、上端部が前記上端壁32dに接触する交差方向最上流位置と、下端部が前記下端壁32eに接触する交差方向最下流位置との間を上下方向に移動するように設定されている。
この結果、実施例3の前記プリンタUでは、前記移動規制部(32d+32e)により、前記軸変位部材27′の上下方向の移動を規制することが可能になっており、前記軸変位部材27′が上下方向に移動して前記中心支持凹部32から脱落することを防止することも可能となっている。
その他、実施例3の前記プリンタUは、実施例2の前記プリンタUと同様の作用効果を奏する。
【0091】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H012)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、FAXや複写機あるいはこれらすべてまたは複数の機能を備えた複合機とすることも可能である。また、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、いわゆるインクジェット記録方式の画像形成装置において、媒体搬送部材の部分に実施例記載の構成を適用することも可能である。
(H02)前記実施例において、黒色の感光体Pkが上端に配置する構成を例示したが、この構成に限定されず、配置する位置は構成や設計等に応じて任意に変更可能である。
【0092】
(H03)前記実施例において、偏心カムHCと転写フレーム押しバネSPcの作用で媒体搬送ベルトBの移動を制御したが、これに限定されず、媒体搬送ベルトBを移動可能な任意の構成を採用可能である。例えば、偏心カムHCに替えて、いわゆるソレノイドを使用したり、転写フレーム押しバネSPに替えて転写フレームFtの重心位置を調節することで転写フレームFtの自重を利用することも可能である。
(H04)前記実施例において、Y,M,C,Kの四色の画像形成装置の場合について例示したが、4色に限定されず、3色以下や5色以上の画像形成装置にも適用可能である。
(H05)前記実施例において、無端帯状部材の一例としての媒体搬送ベルトBを例示したが、これに限定されず、例えば、ベルトクリーナや二次転写部材が接触、離隔する中間転写体の一例としての中間転写ベルトや、像保持体の一例としての感光体ベルト等の無端帯状部材にも本発明を適用可能である。すなわち、本発明の片寄補正装置の一例としてのベルトモジュールBMを有する中間転写装置、転写装置、画像記録装置等を構成することも可能である。
【0093】
図15はベルト片寄検知部材の変更例の要部拡大説明図である。
(H06)前記実施例1では、前記左端面27hの曲率を、前記接点プロファイルPFが、円弧状となるように設定し、実施例2の前記接点プロファイルPF′が、実施例1の円弧状の接点プロファイルPFに対して、円弧の中心側に延びるインボリュート曲線状となるように設定して、前記平衡位置近傍で媒体搬送ベルトBの片寄りを収束させ易くしたが、これに限定されず、例えば、前記左端面27hの曲率を、接点プロファイルが、実施例1の円弧状の接点プロファイルPFに対して、円弧の中心側に延びるサイクロイド曲線状となるように設定することにより、前記平衡位置近傍で媒体搬送ベルトBの片寄りを収束させ易くすることも可能である。また、図15に示すように、前記左端面27hの曲率だけでなく、前記ベルト片寄検知部材26の接触面となる右端面26aについても、円板の中心である前記従動軸Rjaから外周側に進むに連れて曲率が大きくなるように形成することにより、前記実施例の構成と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0094】
(H07)前記実施例では、ベルトモジュールBMが縦置きで配置されているため、押さえバネSPb,SPb′で付勢して、スイングブラケットSBを傾けているが、例えば、ベルトモジュールBMを横置きで配置することにより、スイングブラケットSBを自重によって傾け、押さえバネSPb,SPb′を省略することが可能である。
(H08)前記実施例では、媒体搬送ベルトBを前方向にのみ片寄らせるように設定されているため、前記軸変位部材27,27′が前記従動軸Rjaの前端部にのみ配置されているが、これに限定されず、例えば、前記従動軸Rjaの両端部にスイングブラケットSBや軸変位部材27,27′を設け、前記媒体搬送ベルトBの幅方向両側の片寄りに対応可能に構成することも可能である。
(H09)前記実施例では、右方に傾く前記従動ロールRjに対応して、前記軸変位部材27,27′が、前記従動軸Rjaの右向に配置されているが、これに限定されず、例えば、前記従動軸Rjaの一端部が他端部に対して傾くように設定されている場合に、前記軸変位部材27,27′を、前記従動軸Rjaの一端部を他端部に対して設定された傾きの方向とは逆方向に傾けるように設定することも可能である。
【0095】
(H010)前記実施例1において、前記軸変位部材27の回転中心27aは、一対の前記切欠面27a1,27a2によって小判状の断面となるように形成されているが、これに限定されず、例えば、一方の切欠面27a1のみによってD形状の断面、いわゆる、Dカット形状となるように形成しても、前記溝部9の切出挿入部9bに嵌まるように姿勢を合わせた状態で、前記切出挿入部9bに挿入することが可能である。
(H011)前記実施例1において、前記軸変位部材27の回転中心27aを回転範囲AR2の範囲外から、切出挿入部9bに嵌めて、前記軸変位部材27が回転中に、前記溝部9aから脱落することを防止する構成を採用することが好ましいが、これに限定されず、例えば、前記切出挿入部9bを塞ぐ脱落防止部材を使用して、前記軸変位部材27が前記溝部9aから脱落することを防止することも可能であり、また、脱落防止の構成を省略することも可能である。
(H012)前記実施例において、前記左端面27hを、実施例1の接点プロファイルPFの円弧状の軌跡と同径の円弧形状となるように設定することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
θ…増加角度、θ0…幅方向直線と軸変位線分とのなす角度、9…中心装着部、9a…内周面、9b…切出挿入部、開口、12,12…枠体装着部、26…連動体、27…軸変位部材、27a…回転中心、27a1,27a1…切欠面、27e…回転軸接触部、板状体、凸状の弧状面、(27f+27g)…連動体接触部、27h…接触面、AR1…連動体接触部の移動範囲、AR2…回転中心の回転範囲、B…無端帯状部材、BM…片寄補正装置、F…定着装置、Fb…第2の枠体、Ft,Ft′…第1の枠体、Gy〜Gk…現像装置、L…軸変位線分の長さ、L1…開口幅、L2…切欠距離、Lx…無端帯状部材の幅方向の移動量、Ly…回転軸の傾斜方向の移動量、P0…移動前接触部接触位置、Pmax…最大移動後接触部接触位置、Py〜Pk…像保持体、r0…軸変位線分、r1…円柱の直径、Rj…回転支持部材、Rja…回転軸、S…媒体、x0…幅方向直線、U…画像形成装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、片寄補正装置、中間転写装置、転写装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置において、無端帯状の搬送ベルトにより媒体等を搬送する技術が知られている。前記画像形成装置において、前記搬送ベルト等の無端帯状部材を裏面から張架する各張架部材の平行度が低い場合、すなわち、前記各張架部材どうしの軸方向が平行からずれている場合等により発生する前記無端帯状部材の蛇行を補正するための技術として、以下の特許文献1〜3に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2006−162659号公報記載の技術では、転写ベルト(51)を支持するアイドラローラ(53)の一端部に、前記転写ベルト(51)と一体的に移動するプーリ(57)が支持されると共に、前記アイドラローラ(53)の一端部が、前記アイドラローラ(53)の軸方向に対して傾斜した回転軸(64a)を中心に回転可能且つ前記プーリ(57)と接触する凸部(64c)を有するローラ駆動レバー(64)の楕円孔部(64b)に支持されている。
このため、特許文献1では、前記転写ベルト(51)が片寄って、前記転写ベルト(51)に押された前記プーリ(57)が軸方向に沿って移動した場合に、前記凸部(64c)が前記プーリ(57)により押されて前記ローラ駆動レバー(64)が前記回転軸(64a)を中心に回転し、前記転写ベルト(51)の片寄りを打ち消す方向に前記アイドラローラ(53)が傾き、前記転写ベルト(51)の片寄りが補正される。すなわち、特許文献1には、傾斜した前記回転軸(64a)を中心に回転し、回転軌跡が、いわゆる、ベベル形状となるローラ駆動レバー(64)により、前記転写ベルト(51)の蛇行を補正する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2としての特開2001−80782号公報には、エンドレスベルト(9a)を張架する寄り補正ローラ(9e)の回転軸の両端が、前記寄り補正ローラ(9e)を傾斜可能なリンク(16a,16b)により支持されており、前記エンドレスベルト(9a)が幅方向、すなわち、前記寄り補正ローラ(9e)の軸方向に片寄って移動した場合に、前記寄り補正ローラ(9e)のベルト寄り規制部材(18a,18b)が前記エンドレスベルト(9a)の両端部のリブ(19a,19b)から押圧された押圧力に応じて、前記各リンク(16a,16b)が、前記エンドレスベルト(9a)の片寄りを打ち消す方向に前記寄り補正ローラ(9e)を傾斜させることにより、前記エンドレスベルト(9a)の片寄りを補正する技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献3としての特公平6−99055号公報記載の技術では、感光体ベルト(4)を張架する各ローラ(1,2,3)のうちの従動ローラ(2)を他の各ローラ(1,3)の軸方向に対して傾斜配置することにより、前記感光体ベルト(4)が常に一方に片寄る構成とし、且つ、前記各ローラ(1,2,3)のうちの蛇行検出用ローラ部材(3)の蛇行検出部材(11)に、蛇行した前記感光体ベルト(4)が乗り上げて回転トルクが作用した際に、前記蛇行検出部材(11)に一端が連結された紐部材(13)を巻き取って、前記紐部材(13)の張架方向に前記蛇行検出用ローラ部材(3)の一端を引っ張ることにより、前記感光体ベルト(4)の片寄りを打ち消す方向に前記蛇行検出用ローラ部材(3)の軸方向が傾斜され、前記感光体ベルト(4)の片寄りが補正される。
すなわち、特許文献2、3には、ベルトの片寄りの移動量に応じて、張架ローラの回転軸を傾動させる量を制御することにより、前記ベルトの蛇行を補正する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−162659号公報(「0023」〜「0045」、図1〜図13)
【特許文献2】特開2001−80782号公報(要約書、「0040」〜「0062」、図1〜図3)
【特許文献3】特公平6−99055号公報(第3頁左欄14行目〜第4頁左欄18行目、第1図〜第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、無端帯状部材の蛇行を補正するための構造を簡素化することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の片寄補正装置は、
無端帯状の無端帯状部材と、
軸方向が前記無端帯状部材の幅方向に沿って延びる回転軸を有し、前記無端帯状部材を支持して回転する回転支持部材と、
前記回転軸の一端部に前記軸方向に沿って移動可能に支持され、且つ、前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に接触可能な連動体と、
前記回転軸からずれた位置に配置され且つ前記軸方向に対して交差する回転中心と、前記回転支持部材の回転軸の一端部に接触する回転軸接触部と、前記連動体に接触し且つ前記回転軸接触部と一体的に移動可能な連動体接触部と、を有し、前記回転軸の一端側に移動した前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に前記連動体が押された場合に、前記回転中心を中心に前記連動体接触部および前記回転軸接触部が回転して、前記無端帯状部材を前記回転軸の他端側に移動させる方向である傾斜方向に前記回転軸接触部が前記回転軸を傾斜させる軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の片寄補正装置において、
前記回転中心から前記回転支持部材側に延びる前記回転軸接触部と、前記回転中心から前記連動体側に延びる前記連動体接触部と、を有する前記軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の片寄補正装置において、
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記無端帯状部材の前記幅方向の直線を幅方向直線とし、前記回転中心から前記連動体接触部と前記連動体とが接触する位置である連動体接触位置までを結んだ前記軸変位部材の線分を軸変位線分とし、前記軸変位線分の長さをLとし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記幅方向直線と前記軸変位線分とのなす角度をθ0とし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記角度θ0の増加角度をθとし、前記無端帯状部材の前記幅方向の移動量をLxとし、前記回転軸の前記傾斜方向の移動量をLyとした場合に、
Lx=L(cos(θ0)−cos(θ0+θ)),
Ly=L(sin(θ0+θ)−sin(θ0))
が成立するように前記連動体との接触面が形成された前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記連動体との接触点の円弧状の軌跡と同径の円弧形状となる前記連動体との接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体に接触する位置である移動前連動体接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体に接触する位置である移動後連動体接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体接触部に接触する位置である移動後接触部接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の片寄補正装置において、
円柱状に形成された前記回転軸と、
前記回転軸の前記軸方向に交差する方向に延びる板状体により構成された前記回転軸接触部であって、前記回転軸の前記軸方向に沿って凸状の弧状面により構成された接触面を有する前記回転軸接触部と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の片寄補正装置において、
前記回転支持部材の回転軸を回転可能に支持する第1の枠体であって、前記回転軸に支持された前記無端帯状部材および前記連動体を支持する前記第1の枠体と、
前記第1の枠体が着脱可能に支持される枠体装着部と、前記軸変位部材の回転中心が回転可能且つ着脱可能に支持される中心装着部と、を有し、前記第1の枠体および前記軸変位部材を支持する第2の枠体と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の片寄補正装置において、
円柱の外表面の一部が切り欠かれた切欠面を有する前記回転中心であって、前記切欠面と円柱の中心を挟んで反対側の円周状の外表面との距離が円柱の直径より狭い切欠距離で形成された前記切欠面を有する前記回転中心と、
前記切欠面を有する円柱状の前記回転中心を回転可能に支持する内周面と、前記内周面の径方向に延び且つ前記内周面と外部とを接続する開口により構成された切出挿入部と、を有する前記中心装着部であって、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置と、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側へ最大で移動後における前記連動体接触部に接触する位置である最大移動後接触部接触位置との間である前記連動体接触部の移動範囲に対応する前記回転中心が回転する回転範囲の範囲外に形成され且つ前記切欠距離よりも大きく前記円柱の直径よりも小さな開口幅を有する前記切出挿入部を有する前記中心装着部と、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項10記載の発明の中間転写装置は、
回転方向に沿って、画像を保持する像保持体の対向領域を外表面が通過する無端帯状の無端帯状部材により構成された中間転写体と、
前記無端帯状部材の裏面側、且つ、前記無端帯状部材を介して前記像保持体と対向する中間転写領域に配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端帯状部材の外表面上に転写する中間転写部材と、
前記中間転写体の片寄りを補正する請求項1ないし9のいずれかに記載の片寄補正装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
前記技術的課題を解決するために、請求項11記載の発明の転写装置は、
画像を保持する像保持体に外表面が対向して配置された無端帯状の中間転写体の外表面上に前記画像が転写される請求項10に記載の中間転写装置と、
前記中間転写体の外表面上に転写された前記画像を最終転写体に転写する最終転写部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項12記載の発明の画像形成装置は、
表面に潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体表面の潜像を可視像としての画像に現像する現像装置と、
前記像保持体表面の画像を媒体に転写する請求項11に記載の転写装置と、
前記媒体表面の画像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、10〜12に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べ、無端帯状部材の蛇行を補正するための構造を簡素化することができる。
請求項2に記載の発明によれば、回転軸接触部と連動体接触部とを回転中心から延長させて形成できる。
請求項3に記載の発明によれば、軸変位部材の長さLに応じて、回転軸の移動量Lyを調節することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、連動体と連動体接触部との接触点の履歴、いわゆる、接点プロファイルの円弧状の軌跡と同径の円弧形状で前記接触面を形成できる。
請求項5に記載の発明によれば、前記連動体接触部の接触面が、前記移動前連動体接触位置から前記移動後連動体接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなるように形成されていない場合に比べ、前記無端帯状部材の蛇行が停止する平衡な位置に近付くに連れて、前記回転軸の移動量が小さくなるように設定することができ、前記無端帯状部材の蛇行を収束させ易くすることができる。また、請求項5に記載の発明によれば、前記連動体接触部の接触面が、前記移動前連動体接触位置から前記移動後連動体接触位置まで、曲率が連続的に変化する形状に形成されていない場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音を低減することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、前記連動体の接触面が、前記移動前接触部接触位置から前記移動後接触部接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなるように形成されていない場合に比べ、前記無端帯状部材の蛇行が停止する平衡な位置に近付くに連れて、前記回転軸の移動量が小さくなるように設定することができ、前記無端帯状部材の蛇行を収束させ易くすることができる。また、請求項6に記載の発明によれば、前記連動体の接触面が、前記移動前接触部接触位置から前記移動後接触部接触位置まで、曲率が連続的に変化する形状に形成されていない場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音を低減することができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、前記回転軸と前記回転軸接触部とを点接触させることができ、前記回転軸と前記回転軸接触部とが点接触しない構成に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音を低減することができると共に、前記回転軸と前記回転軸接触部との磨耗を低減でき、前記軸変位部材の保守費用を低減することができる。
請求項8に記載の発明によれば、前記回転軸と前記軸変位部材とが同一の枠体に支持されている構成に比べ、前記軸変位部材の前記片寄補正装置への装着作業を容易化し易くできる。
請求項9に記載の発明によれば、前記回転中心が前記中心装着部の内周面から脱落することを防止することができる。また、請求項9に記載の発明によれば、前記切出挿入部の開口を塞ぐ前記回転中心の脱落防止部材を使用する場合に比べ、前記回転中心を簡易に装着することができると共に、前記回転中心を支持する支持部材の部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の実施例1の着脱体の一例である可視像形成装置の説明図である。
【図3】図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールが使用位置に保持されている状態を示す図である。
【図4】図4は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールがメンテナンス作業位置に移動した状態を示す図である。
【図5】図5は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、像保持体と前記ベルトモジュールの転写ロールとの位置関係を示す図である。
【図6】図6は実施例1のベルトモジュールの説明図であり、図6Aはベルトモジュールからベルト支持フレームの前側プレートと媒体搬送ベルトとを取り外した状態のベルトモジュールの斜視図、図6Bは押さえ部材位置調節用長孔の要部拡大図、図6Cはピン押し当て装置の説明図である。
【図7】図7は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが押圧位置に保持された状態を示す図である。
【図8】図8は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが離隔位置に移動した状態を示す図である。
【図9】図9は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、ベルトモジュールから媒体搬送ベルトを取り外した状態を示す図である。
【図10】図10は実施例1のベルト片寄検知部材および軸変位部材の斜視拡大図であり、図10Aは従動ロール前端部から前側軸受までの斜視拡大説明図であり、図10Bは図10AのXB−XB線断面図である。
【図11】図11は実施例1の軸変位部材の拡大説明図であり、図11Aは図10の矢印XIA方向から見たときの拡大説明図であり、図11Bは図11Aの矢印XIB方向から見たときの拡大説明図であり、図11Cは図11Bの矢印XIC方向から見たときの斜視拡大説明図であり、図11Dは図11Cの矢印XID方向から見たときの斜視拡大説明図である。
【図12】図12は図10AのXII−XII線断面図であり、媒体搬送ベルトの前方向への移動と軸変位部材による従動軸の左方向への移動との関係を示す説明図である。
【図13】図13は本発明の実施例2のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図13Aは実施例1の図10Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図13Bは図13Aの矢印XIIIB方向から見たスイングブラケットの説明図である。
【図14】図14は本発明の実施例3のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図14Aは実施例2の図13Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見たベルト片寄検知部材および軸変位部材の要部拡大説明図である。
【図15】図15はベルト片寄検知部材の変更例の要部拡大説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0026】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、画像が記録される媒体の一例としての記録シートSが収容される給紙容器TR1が下部に収容されており、上面には排紙部TRhが設けられている。また、プリンタUの上部には操作部UIが設けられている。
図1において、実施例1のプリンタUは、画像形成装置本体U1と、画像形成装置本体U1の右側下端部に設けられた回転中心U2aを中心として開閉可能な開閉部U2を有する。前記開閉部U2は、後述するプロセスカートリッジの交換や紙詰まりした記録シートSを除去するために画像形成装置本体U1の内部を開放する図示しない開放位置と、図1に示す画像形成動作が実行される通常時に保持される通常位置との間を移動可能に構成されている。
【0027】
プリンタUは、プリンタUの各種制御を行う制御部Cと、制御部Cにより作動を制御される画像処理部GS、像書込装置駆動回路DL、および電源装置E等を有している。電源装置Eは、後述の帯電器の一例としての帯電ローラCRy〜CRk、現像剤保持体の一例としての現像ローラG1y〜G1kおよび転写器の一例としての転写ローラT1y〜T1k等に電圧を印加する。
【0028】
前記画像処理部GSは、外部の画像情報送信装置等から入力された印刷情報を、K:黒,Y:イエロー,M:マゼンタ,C:シアンの4色の画像に対応した潜像形成用の画像情報に変換して、所定のタイミングで像書込装置駆動回路DLに出力する。像書込装置駆動回路DLは、入力された各色の画像情報に応じて駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。前記潜像書込装置ROSは、駆動信号に応じて、各色の画像書き込み用の画像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkを出射する。
図1において、前記潜像書込装置ROSの右方にはY,M,C,Kの各色の可視像の一例としてのトナー像を形成する画像記録部の一例としての可視像形成装置UY,UM,UC,UKが配置されている。
【0029】
図2は本発明の実施例1の着脱体の一例である可視像形成装置の説明図である。
図2において、K:黒の可視像形成装置UKは回転する像保持体の一例としての感光体Pkを有する。前記感光体Pkの周囲には、帯電器の一例としての帯電ロールCRk、感光体表面の静電潜像を可視像に現像する現像装置Gk、感光体Pk表面を除電する除電部材Jk、感光体Pk表面に残留した現像剤を除去する像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLk等が配置されている。また、前記現像装置Gkは、現像剤が収容される現像容器Vと、前記現像容器V内に収容された現像剤を保持して回転する現像剤保持体の一例としての現像ロールG1kを有する。前記現像容器V内には、現像ロールG1kに対向して配置され、現像ロールG1k表面の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材Skが設けられている。
【0030】
また、前記現像容器Vは、前記現像ロールG1kに供給される現像剤が撹拌しながら搬送される撹拌搬送室V1,V2を有し、前記撹拌搬送室V1,V2内には、現像剤を循環搬送する循環搬送部材R1,R2が配置されている。左側の撹拌搬送室V2には、現像剤を補給する現像剤補給路H1が接続されており、前記現像剤補給路H1には補給用の現像剤が収容される第1の現像剤補給室H2が接続されている。また、前記第1の現像剤補給室H2は、現像剤補給接続路H3を介して、上方に配置された第2の現像剤補給室H4に接続されている。現像剤補給路H1、第1の現像剤補給室H2、現像剤補給接続路H3および第2の現像剤補給室H4には、それぞれ、前記撹拌搬送室V1,V2に向けて現像剤を搬送する補給現像剤搬送部材R3,R4,R5,R6,R7が配置されている。前記符号H1〜H4、R3〜R7を付した部材により、実施例1の現像剤補給容器H1〜H4+R3〜R7が構成されている。
【0031】
前記感光体Pkは、帯電ロールCRkと対向する帯電領域Q1kで帯電ロールCRkにより表面を一様に帯電された後、潜像形成領域Q2kでレーザビームLkにより潜像が書き込まれる。書き込まれた静電潜像は現像装置Gkと対向する現像領域Qgkにおいて静電潜像が可視像化される。
実施例1の黒色の可視像形成装置UKは、感光体Pk、帯電器CRk、現像装置Gk、除電部材Jk、感光体クリーナCLk、現像剤補給容器H1〜H4+R3〜R7等が一体的に着脱可能な着脱体、いわゆるプロセスカートリッジUKにより構成されており、開閉部U2を開放位置に移動した状態で画像形成装置本体U1に対して着脱可能に構成されている。
また、他の色の可視像形成装置UY,UM,UCも、黒色の可視像形成装置UKと同様に、画像形成装置本体U1に対して着脱可能な着脱体、いわゆる、プロセスカートリッジUY,UM,UCにより構成されている。なお、実施例1のプリンタUでは、各プロセスカートリッジUY〜UKは、上下方向に並んで配置されている。
【0032】
図1において、前記感光体Py〜Pkの右方には、片寄補正装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、各プロセスカートリッジUY〜UKに対向して配置された無端帯状部材の一例であり、媒体搬送部材の一例としての無端状の媒体搬送ベルトBを有する。前記媒体搬送ベルトBは、駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRdや、回転支持部材の一例であり、従動部材の一例としての従動ロールRjを含む帯状部材支持部材の一例としてのベルト支持ロールRd+Rjにより回転可能に支持されている。また、前記ベルトモジュールBMは、媒体搬送ベルトBを挟んで、対向部材の一例としての各感光体Py〜Pkに対向して配置された転写器の一例としての転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kを有する。ここで、無端帯状部材は、上記のように、無端の帯状の部材であり、媒体を表面に保持して搬送するものや、可視像形成装置により形成された可視像を表面に保持して搬送するものである。
【0033】
前記媒体搬送ベルトBの媒体搬送方向下流側、すなわち、上側には、所定の時期に、制御部Cの図示しない画像濃度調整手段により形成される濃度検出用の画像、いわゆるパッチ画像の濃度を検出する画像濃度検出部材の一例としての画像濃度センサSN1が配置されている。なお、前記画像濃度センサSN1で検出された画像濃度に基づいて、制御部Cの画像濃度調整手段は、帯電ロールCRy〜CRkや現像装置Gy〜Gk、転写ロールT1y〜T1kへ印加する電圧の調整、潜像書込光Ly〜Lkの強度の調整を行うことにより、画像濃度の調整や補正、いわゆる、プロセスコントロールを行う。
前記画像濃度センサSN1の媒体搬送ベルトBの媒体搬送方向の下流側には、搬送部材清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbが配置されている。
【0034】
媒体搬送ベルトBの下方に配置された給紙容器TR1の記録シートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離されて、案内部材の一例としてのシートガイドSGにより構成された記録媒体搬送路SHに搬送される。
記録媒体搬送路SHの記録シートSは、繰出部材の一例として、媒体搬送ベルトBへの給紙時期を調整するレジロールRrに送られる。レジロールRrは、所定のタイミングで、従動ロールRjとの対向領域である記録媒体吸着位置Q6に前記記録シートSを繰り出す。前記記録媒体吸着位置Q6に搬送された記録シートSは、前記媒体搬送ベルトBに静電吸着される。なお、実施例1のベルトモジュールBMでは、前記レジロールRrと媒体搬送ベルトBとの間には、記録シートSを案内するための案内部材が省略されている。
【0035】
前記媒体搬送ベルトBに吸着された記録シートSは、前記感光体Py〜Pkと接触する前記転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kを順次通過する。
前記転写領域Q3y〜Q3kにおいて媒体搬送ベルトBの裏面側に配置された転写ロールT1y〜T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから所定のタイミングでトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される。
多色画像の場合、前記各感光体Py〜Pk上のトナー像は前記転写ロールT1y〜T1kにより媒体搬送ベルトB上の記録シートSに重ねて転写される。また、単色画像、いわゆる、モノクロ画像の場合、感光体Pk上にK:黒のトナー像のみが形成され、このK:黒のトナー像のみが転写器T1kにより記録シートSに転写される。
トナー像転写後の感光体Py〜Pkは、除電領域Qjy〜Qjkで除電部材Jy〜Jkにより除電された後、清掃領域Q4y〜Q4kにおいて感光体クリーナCLy〜CLkにより表面に残留したトナーが回収されて清掃され、再び帯電ロールCRy〜CRkにより帯電される。
【0036】
前記トナー像が転写された記録シートSは、定着装置Fの加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとが圧接して形成される定着領域Q5で定着される。画像が定着された記録シートSは、排出案内部材の一例としてのガイドコロRgkにより案内されて、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから媒体排出部TRhに排出される。
記録シートSが離隔した後の前記媒体搬送ベルトBは、前記ベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0037】
(実施例1のベルトモジュールBMの説明)
図3は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールが使用位置に保持されている状態を示す図である。
図4は実施例1の画像形成装置の要部拡大図であり、ベルトモジュールがメンテナンス作業位置に移動した状態を示す図である。
図5は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、像保持体と前記ベルトモジュールの転写ロールとの位置関係を示す図である。
図6は実施例1のベルトモジュールの説明図であり、図6Aはベルトモジュールからベルト支持フレームの前側プレートと媒体搬送ベルトとを取り外した状態のベルトモジュールの斜視図、図6Bは押さえ部材位置調節用長孔の要部拡大図、図6Cはピン押し当て装置の説明図である。
図7は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが押圧位置に保持された状態を示す図である。
図8は実施例1のベルトモジュールの側面図であり、転写フレームが離隔位置に移動した状態を示す図である。
図9は実施例1のベルトモジュールの斜視図であり、ベルトモジュールから媒体搬送ベルトを取り外した状態を示す図である。
図10は実施例1のベルト片寄検知部材および軸変位部材の斜視拡大図であり、図10Aは従動ロール前端部から前側軸受までの斜視拡大説明図であり、図10Bは図10AのXB−XB線断面図である。
【0038】
図3〜図6、図9において、前記ベルトモジュールBMは、第2の枠体の一例であり、帯状部材支持枠体の一例としての前後一対の外枠体Fbを有している。前記外枠体Fbは、前側外枠部材の一例としての前側ベルト支持プレートFb1と、後側外枠部材の一例としての後側ベルト支持プレートFb2とを有する。図5、図9、図10において、前記前側ベルト支持プレートFb1と、後側ベルト支持プレートFb2とは、上側連結枠体の一例としての上側タイバーFb3と、下側連結枠体の一例としての下側タイバーFb4とにより連結されている。図10Bにおいて、実施例1の前記下側タイバーFb4の前端部には、中心装着部の一例としての溝部9が形成されている。実施例1の前記溝部9は、上下方向に延びる円柱の外周面を覆う形状の内周面9aと、前記内周面9aの左方に形成された開口としての切出挿入部9bとを有する。なお、実施例1の前記切出挿入部9bの前後方向の開口幅L1は、前記内周面9aの前後方向の最大幅である内周面9aの内径r1よりも小さくなるように予め設定されている。
【0039】
また、図5、図6において、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の上端部には、駆動ロールRdと一体的に回転する駆動軸Rdaが軸受Br,Brにより回転可能に支持されている。前記駆動軸Rdaの後端部には回転力伝達歯車11が支持されており、図示しない媒体搬送部材駆動源からの回転力が伝達される。
図5、図6において、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の下部には、左右方向に延びる枠体装着部の一例としての長孔12,12が形成されている。
【0040】
前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2において、前記長孔12の下方には、従動ロールRjが回転可能に支持されている。なお、前記従動ロールRjは、軸方向が前記媒体搬送ベルトBの幅方向である前後方向に沿って延びる回転軸の一例としての従動軸Rjaが、図10に示す、回転軸支持体の一例としての従動軸支持部材13により支持されている。実施例1の前記従動軸支持部材13は、前記従動軸Rjaの一端部の一例としての前端部を回転可能に支持する一端側支持部の一例としての前側軸受13aと、前記従動軸Rjaの他端部の一例としての後端部を回転可能に支持する他端側支持部の一例としての後側軸受13bとを有する。
【0041】
図3〜図5、図9において、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の下端部には、凹溝14,14が形成されている。図3、図4において、前記凹溝14,14は、前記画像形成装置本体U1に支持された枠体支持軸17に回転可能に支持されている。前記ベルトモジュールBMは、前記枠体支持軸17回りに、図3に示す通常使用位置と、図4に示す保守作業位置との間で回転移動することができる。
図3において、前記ベルトモジュールBMが通常使用位置に移動した状態では、前記駆動軸Rda両端部を支持する軸受Br、Brが前記画像形成装置本体U1に設けられた図示しない位置決め部に接触して前記ベルトモジュールBMが位置決めされる。
図4において、紙詰まりの解消や可視像形成装置UY〜UKの交換等の保守作業を行う場合、開閉部U2を開放して、ベルトモジュールBMを保守作業位置に移動させることで、内部が開放され、保守作業が可能となる。
【0042】
図5、図6において、前記外枠体Fbの内側には、第1の枠体の一例であり、転写部材支持枠体の一例としての転写フレームFtが配置されている。前記転写フレームFtは、前後一対の前側転写部材支持体および後側転写部材支持体の一例としての前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2を有する。前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2の上端部には、前記駆動軸Rdaの前後両端部が回転可能な状態で貫通している。すなわち、前記転写フレームFtの上端部は、駆動ロールRdの駆動軸Rdaに回転可能に支持されている。
前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2の下部は、転写部材支持体連結部材の一例としてのプレート連結部材Ft3により連結されている。プレート連結部材Ft3は、両端部が、前記前側ベルト支持プレートFb1および後側ベルト支持プレートFb2の前記長孔12,12を貫通して、前記外枠体Fbよりも外側に突出している。したがって、前記プレート連結部材Ft3は、長孔12,12に沿って移動自由な状態で支持される。
【0043】
また、前記プレート連結部材Ft3の前端部には、可動枠体の一例としてのスイングブラケットSBが、前記プレート連結部材Ft3を中心として回転可能に支持されている。
実施例1の前記スイングブラケットSBの上端部には、前記プレート連結部材Ft3に貫通されて支持される貫通孔SB1が形成されている。また、前記貫通孔SB1の下方には、弾性部材支持部の一例として、上下方向に延びる溝状のバネ支持溝SB2が形成されている。また、前記スイングブラケットSBには、前記バネ支持溝SB2に沿って移動可能な張架可動体の一例としてのスライダSB3が支持されており、前記スライダSB3には、前記前側軸受13aが支持されている。また、前記スライダSB3と、前記バネ支持溝SB2の上端部との間には、弾性部材の一例であり、張力付与部材の一例としての張架用バネSPaが装着されている。
よって、前記前側軸受13aは、前記スイングブラケットSBを介して、前記プレート連結部材Ft3と連結されており、且つ、前記スイングブラケットSBと連動して、前記プレート連結部材Ft3を中心として回転可能に支持されている。
【0044】
なお、前記後側転写ロール支持プレートFt2は、前記前側転写ロール支持プレートFt1に比べ、下方に長く延びて形成されている。実施例1の前記後側転写ロール支持プレートFt2の下端部には、前記バネ支持溝SB2と同様のバネ支持溝Ft2aと、前記スライダSB3に対応して、前記後側軸受13bを支持するスライダFt2bとを有する。また、前記スライダFt2bと、前記バネ支持溝Ft2aの上端部との間には、前記スイングブラケットSBと同様に、張架用バネSPaが装着されている。
よって、前記後側軸受13bは、前記スライダFt2bを介して、前記後側転写ロール支持プレートFt2によって上下方向に移動可能に支持されている。
【0045】
また、前記各軸受13a,13bは、前記張架用バネSPa,SPaによって下方に付勢されている。すなわち、前記従動ロールRjは、媒体搬送ベルトBを張架するように、張架方向の下流側の一例としての下方に押された状態で支持されており、媒体搬送ベルトBに張架する張架部材としての機能も有する。
また、前記プレート連結部材Ft3には、一端が前記前側転写ロール支持プレートFt1に支持され、他端が前記スイングブラケットSBに支持された傾斜付勢部材の一例としてのブラケット押さえバネSPbが支持されている。すなわち、実施例1の前記スイングブラケットSBは、前記ブラケット押さえバネSPbにより、右方に配置された前記下側タイバーFb4の前端部側に付勢されている。この結果、実施例1では、前記従動ロールRjの従動軸Rjaの前端部が後端部に対して右方向に傾くように予め設定されている。
なお、実施例1の前記駆動ロールRdの駆動軸Rdaは、前後方向に平行に配置されている。よって、実施例1では、前記媒体搬送ベルトBが、前方向に片寄るように予め設定されている。
【0046】
前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2には、転写ロールT1y〜T1kの位置にそれぞれ対応して、左右方向に伸びる軸位置調整用長孔Fty,Ftm,Ftc,Ftkが形成されている。図6において、前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2には、マゼンタ色用の軸位置調節用長孔Ftmとシアン色用の軸位置調節用長孔Ftcとの間に、像保持体Py〜Pk側、すなわち媒体搬送ベルトBの内側から外側に向けて突出する押さえ部材支持部19が形成されている。図6Bにおいて、前記押さえ部材支持部19には、左右方向に伸びる押さえ部材位置調節用長孔19aが形成されている。前記押さえ部材位置調節用長孔19aには、押さえ部材の一例としてのベルト押さえピン20が貫通し且つ押さえ部材位置調節用長孔19aに沿って移動可能に支持されている。
【0047】
図6Aにおいて、前記ベルト押さえピン20の外端部は、前記前側転写ロール支持プレートFt1および後側転写ロール支持プレートFt2に支持された押さえ部材付勢機構の一例としてのピン押し当て装置21が支持されている。図6Cにおいて、前記ピン押し当て装置21は、ベルト押さえピン20の外端部を回転可能に支持する軸受部材21aを有する。前記軸受部材21aは、押さえ力発生部材の一例としての弾性バネ21bの一端により、媒体搬送ベルトB側に常時押されている。前記弾性バネ21bはバネ支持容器21cにより他端側が支持されている。
また、図5に示すように、実施例1の前後一対のベルト押さえピン20は、ベルトクリーナCLbにより像保持体ベルトB表面が清掃される清掃領域L1の外側に配置されている。なお、実施例1では、前記清掃領域L1は、使用可能な記録シートSの最大幅よりも広く設定されており、感光体Py〜Pkに形成される画像の領域である画像形成領域の最大幅は記録シートSの最大幅よりも狭く設定されている。
【0048】
図5、図6A、図7において、前記転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kの軸22y,22m,22c,22kは軸位置調整用長孔Fty,Ftm,Ftc,Ftkに沿って左右に所定距離移動可能に支持されている。前記各転写ロールT1y〜T1kの軸22y〜22kは、前記ピン押し当て装置21と同様に構成された図示しない軸付勢機構により支持されている。すなわち、図7、図8において、各転写ロールT1y〜T1kは、前記弾性バネ21bに対応する転写軸付勢バネ23y,23m,23c,23kにより模式的に示されているように、媒体搬送ベルトBを外表面側、すなわち感光体Py〜Pk側に押すように付勢されている。
【0049】
なお、実施例1では、前記転写軸付勢バネ23y〜23kにより押す力は、弾性バネ21bが押す力よりも大きな力に設定されている。また、弾性バネ21bが媒体搬送ベルトBを押す力は、媒体搬送ベルトBの張力より少し大きく、ベルト押さえピン20が媒体搬送ベルトBに接触しかつ媒体搬送ベルトBの形状をほとんど変形させない程度に設定されている。
図7、図8において、前記プレート連結部材Ft3には、外枠体Fbの下端部との間に、プレート連結部材Ft3を感光体Py〜Pk側に常時押す力を作用させる支持部材付勢部材の一例としての転写フレーム押しバネSPcが配置されている。前記プレート連結部材Ft3には、転写フレーム押しバネSPcに対向して、画像形成装置本体U1に支持された帯状部材接離部材の一例としての偏心カムHCが配置されている。
【0050】
したがって、前記偏心カムHCが図7に示す帯状部材接触位置に移動すると、転写フレーム押しバネSPcにより、転写フレームFtが感光体Py〜Pk側に押され、媒体搬送ベルトBが全ての感光体Py〜Pkに接触する。よって、この状態で多色画像が形成、転写される。また、偏心カムHCが図8に示す帯状部材離隔位置に移動すると、転写フレーム押しバネSPcの弾性力に抗して転写フレームFtが回転移動し、媒体搬送ベルトBが黒色以外の感光体Py,Pm,Pcから離隔する。よって、この状態で単色画像が形成、転写される。すなわち、実施例1では、黒色の感光体Pkが媒体搬送ベルトBに常時接触し、そのほかの色の感光体Py,Pm,Pcは媒体搬送ベルトBに対して接触、離隔する。
また、図9において、前記外枠体Fbの右側には、記録シートSを搬送する際に前記媒体搬送ベルトBに付着した紙粉や現像剤等を除去するベルトクリーナCLbが内蔵された回収装置KSが支持されている。前記回収装置KSには、前記ベルトモジュールBMを図3に示す通常使用位置から図4に示す保守作業位置に回転させる際に、利用者が把持する把持部KSaが形成されている。
【0051】
(実施例1のベルト片寄検知部材26および軸変位部材27の説明)
図10において、前記従動軸Rjaの前端部には、前記媒体搬送ベルトBの幅方向端縁の一例としての前端縁に接触する連動体の一例であり、移動検知部材の一例としての円板状のベルト片寄検知部材26が軸方向である前後方向に沿って移動可能に支持されている。また、前記ベルト片寄検知部材26と前記前側軸受13aとの間には、傾斜方向の一例としての左方に前記回転軸を傾斜させる軸変位部材27が配置されている。上記連動体は、無端帯状部材の端面の一部が接触して移動し、無端帯状部材の幅方の位置を検知するものである。
【0052】
図11は実施例1の軸変位部材の拡大説明図であり、図11Aは図10の矢印XIA方向から見たときの拡大説明図であり、図11Bは図11Aの矢印XIB方向から見たときの拡大説明図であり、図11Cは図11Bの矢印XIC方向から見たときの斜視拡大説明図であり、図11Dは図11Cの矢印XID方向から見たときの斜視拡大説明図である。
図10、図11において、実施例1の前記軸変位部材27は、前記従動軸Rjaの右方に配置され且つ前記従動軸Rjaと交差する交差方向の一例としての上下方向に沿って延びる回転中心27aを有する。
【0053】
図10B、図11において、実施例1の前記回転中心27aは、円柱の外表面の前後方向両側の一部が切り欠かれた形状に形成されており、切欠面27a1,27a2を有する。すなわち、前記回転中心27aは、図10Bに示すように、円柱の外表面が一部切除された円の左右両端部を切除された形状、いわゆる、両Dカット形状の断面となるように形成されている。なお、実施例1では、前記円柱の直径が、前記溝部9の内周面9aの内径r1に予め設定されている。また、実施例1では、前記切欠面27a1,27a2どうしの距離である切欠距離L2が、前記溝部9の切出挿入部9bの開口幅L1より小さくなるように予め設定されている。
よって、前記回転中心27aは、図10Bに示すように、前記切欠距離L2が前記開口幅L1に嵌まるように前記軸変位部材27の姿勢を合わせた状態で前記下側タイバーFb4の溝部9の左方から、前記切出挿入部9bに挿入可能となっている。そして、挿入された状態では、前記内周面9aに回転可能に支持される。すなわち、前記回転中心27aは、前記溝部9に対して、回転可能且つ着脱可能に支持されている。
【0054】
また、前記回転中心27aの中心軸方向である上下方向の両端部には、前記切欠面27a1,27a2と平行に延びる柱状の延長部27b,27bが形成されている。また、前記延長部27b,27bの前記回転中心27aとは反対側の端部には、上下方向に延びるD形状の断面となる半円柱状の接触部27cが形成されている。実施例1の前記接触部27cには、前記延長部27b,27bの反対側の外端部の上下方向中央に凹状に切り欠かれた開口により構成された凹部27dが形成されている。実施例1の前記凹部27dの内部には、上下方向に延びる凸曲面体により構成されて前記従動軸Rjaに接触する回転軸接触部の一例としての軸接触面27eが形成されている。
また、前記凹部27dの上下両端には、前記凹部27dを挟んだ二股状の上流側接触部の一例としての上側接触部27fと下流側接触部の一例としての下側接触部27gとが形成されている。前記各接触部27f,27gの接触面である左端面27hは、前記従動軸Rjaを挟んだ上下両側で前記ベルト片寄検知部材26に接触する。
前記上側接触部27fと、下側接触部27gとにより、実施例1の連動体接触部(27f+27g)が構成されている。
【0055】
図12は図10AのXII−XII線断面図であり、媒体搬送ベルトの前方向への移動と軸変位部材による従動軸の左方向への移動との関係を示す説明図である。
また、図12において、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)の左端面27hは、前記凹部27d外端部側から前記延長部27b,27b側に進むに連れて曲率が大きくなるように形成されている。具体的には、前記各部材B,26が前記媒体搬送ベルトBの幅方向である前方向に移動して、前記ベルト片寄検知部材26と前記左端面27hとの接触点の履歴、いわゆる、接点プロファイルPFが、円弧状となるように予め設定されている。
外枠体Fb、転写フレームFt、転写フレーム押しバネSPc、偏心カムHC等により、実施例1の帯状部材移動機構の一例としてのベルト移動機構Fb+Ft+SPc+HCが構成されている。また、前記外枠体Fb、ベルト支持ロールRd+Rj、媒体搬送ベルトB、転写フレームFt、転写ロールT1y〜T1kおよび回収装置KS、ベルト片寄検知部材26、軸変位部材27等により、実施例1のベルトモジュールBMが構成されている。
【0056】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の画像形成装置の一例としての前記プリンタUでは、画像形成動作、いわゆる、ジョブが開始されると、前記媒体搬送ベルトB表面に記録シートSが保持されて、前記転写領域Q3y〜Q3kを通過する際に記録シートSに画像が転写され、前記定着装置Fの定着領域Q5で定着される。
ここで、前記媒体搬送ベルトBが蛇行すると、記録シートSの搬送に問題が発生する。実施例1では、図10に示すように、前記従動ロールRjの従動軸Rjaの前端部が、前記各部材SPb,SB,13aを介して、右方の前記下側タイバーFb4側に付勢されている。すなわち、前記従動軸Rjaの前端部が、後端部に対して右方向に傾いており、前後方向に延びる前記駆動ロールRdの駆動軸Rdaに対して傾いている。このため、図12に示すように、前記媒体搬送ベルトBが片寄る場合には、前方向に片寄るように設定されている。前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄ると、前記媒体搬送ベルトBの前端縁が前記ベルト片寄検知部材26に接触し、前記媒体搬送ベルトBと前記ベルト片寄検知部材26とが連動して前方向に移動する。
【0057】
よって、前記ベルト片寄検知部材26が接触する前記連動体接触部(27f+27g)を前方に押圧し、押圧された前記軸変位部材27の連動体接触部(27f+27g)は、前記回転中心27aを中心に回転する。この場合、前記軸変位部材27の軸接触面27eが、前記連動体接触部(27f+27g)と一体的に回転して前記従動軸Rjaを左方向に押圧する。
このため、前記媒体搬送ベルトBが、後方向に移動され、前記従動軸Rjaの前端が後端に対して平行に近付いたり、後方に傾斜したりして、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが停止する平衡な位置である平衡位置で保持される。よって、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが規制され、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが解消される。すなわち、実施例1の前記プリンタUでは、前記各部材B,26の前方向への移動に応じて、前記軸変位部材27が、前後方向としてのX方向と左右方向としてのY方向とを含むXY平面上を回転して、前記従動軸Rjaを左方向に移動させている。
【0058】
したがって、実施例1の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27が、前記各部材B,26の片寄りに応じて前記回転中心27aを中心に回転して前記従動軸Rjaを傾斜させており、ベルト片寄検知部材の押圧力を測定して従動軸を傾斜させる特許文献2に記載の技術や、ベルト片寄検知部材に媒体搬送ベルトの回転トルクを与えて紐部材を巻き取ることで従動軸を傾斜させる特許文献3に記載の技術に比べ、媒体搬送ベルトBの蛇行を補正するための構造が簡素化されている。
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27の回転軌跡が二次元の円形状となっており、軸変位部材の回転軌跡が三次元のベベル形状となる特許文献1に記載の技術に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正するための構造が簡素化されている。
【0059】
なお、実施例1の前記プリンタUでは、図12に示す前記接点プロファイルPFが円弧状となるように、前記左端面27hの曲率が設定されている。すなわち、実施例1では、図12に示すように、前記回転中心27aから、連動体接触部(27f+27g)とベルト片寄検知部材26とが接触する位置である連動体接触位置までを結んだ前記軸変位部材27の線分を軸変位線分r0とし、前記媒体搬送ベルトBの移動前の前記媒体搬送ベルトBの幅方向の直線、すなわち、駆動軸Rdaに対して傾斜した従動軸Rjaに対応する直線を幅方向直線x0とし、前記軸変位線分r0の長さをL[mm]とし、前記軸変位線分r0と前記幅方向直線x0のなす角度をθ0[rad]とし、前記各部材B,26の前方向への片寄りの移動量をLx[mm]とし、前記各部材B,26の移動後の前記角度θ0の増加角度をθ[rad]とし、前記軸変位部材27による前記従動軸Rjaの前端部の左方向への移動量をLy[mm]とした場合に、前記軸変位部材27の回転角度θ0,θと前記各移動量Lx,Lyとの関係は、以下の式(1−1),(1−2)が成立するように予め設定されている。
Lx=L(cos(θ0)−cos(θ0+θ)) …(1−1)
Ly=L(sin(θ0+θ)−sin(θ0)) …(1−2)
【0060】
よって、実施例1の前記プリンタUでは、前記式(1−1),(1−2)に示すように、前記各移動量Lx,Lyどうしの関係を、前記軸変位部材27の角度θ0,θの三角関数に基づいて調節することが可能となっている。
したがって、実施例1の前記プリンタUは、前記各移動量Lx,Lyを前記式(1−1),(1−2)に基づいて調節できない場合に比べ、前記軸変位部材27の回転によって、前記各部材B,26の移動量Lx[mm]を、前記従動軸Rjaの移動量Ly[mm]に効率良く変換することが可能になっている。
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記ベルト片寄検知部材26との接触面である前記左端面27hの曲率に基づいて、前記各部材B,26の移動量Lx[mm]と、前記従動軸Rjaの移動量Ly[mm]との関係を調節することが可能となっている。
【0061】
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記各移動量Lx,Lyを前記式(1−1),(1−2)に基づいて調節できない場合に比べ、前記各部材B,26の移動と、前記軸変位部材27の回転とを滑らかに連動させることが可能になっている。このため、実施例1の前記プリンタUは、例えば、図7に示す多色画像形成動作、いわゆる、フルカラーモードを実行する場合と、図8に示す単色画像形成動作、いわゆる、モノクロモードを実行する場合とで平衡位置が変化した場合でも、前記軸変位部材27による従動軸Rjaの移動を速やかに収束させて前記媒体搬送ベルトBの蛇行を速やかに補正することが可能となっている。また、例えば、普通紙や厚紙を搬送する際に、媒体の種類によって平衡位置が変化した場合にも、前記軸変位部材27による従動軸Rjaの移動を速やかに収束させて前記媒体搬送ベルトBの蛇行を速やかに補正することが可能となっている。
【0062】
また、実施例1の前記プリンタUは、前記左端面27hが滑らかに連続的に曲率が変化しない構成に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音が低減されている。
また、実施例1の前記プリンタUは、前後方向に延びる円柱状に形成された前記従動軸Rjaと、上下方向に延びる凸曲面体により構成された前記軸接触面27eとが点接触するように構成されている。このため、実施例1の前記プリンタUは、前記従動軸Rjaと前記軸接触面27eとが点接触しない構成に比べ、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正する際の騒音が低減されると共に、前記従動軸Rjaおよび前記軸接触面27eどうしの磨耗が低減されて、前記軸変位部材27の保守費用を低減することが可能となっている。
【0063】
また、前記構成を備えた実施例1の前記プリンタUでは、図6に示すように、前記従動軸Rjaの各軸受13a,13bが、前記スイングブラケットSBのスライダSB3と、前記後側転写ロール支持プレートFt2の下端部のスライダFt2bとによって支持されている。また、図10に示すように、前記軸変位部材27の回転中心27aが、前記下側タイバーFb4の溝部9の内周面9aに回転可能に支持されている。すなわち、実施例1の前記プリンタUでは、前記従動軸Rjaが、第1の枠体の一例としての前記転写フレームFtに支持されていると共に、前記軸変位部材27が、第2の枠体の一例としての前記外枠体Fbに支持されている。
この結果、実施例1の前記プリンタUは、前記従動軸Rjaと前記軸変位部材27とが同一の枠体に支持されている構成に比べ、前記軸変位部材27を前記ベルトモジュールBMに装着し易く構成することが可能になっている。また、実施例1の前記プリンタUは、前記従動軸Rjaと前記軸変位部材27とが同一の枠体に支持されている構成に比べ、前記軸変位部材27の各部27a〜27eを配置可能な空間等の領域を広く確保することが可能となっており、特に、前記回転中心27aの配置の自由度を高めることが可能になっている。
【0064】
また、前記構成を備えた実施例1の前記プリンタUでは、図10Bに示すように、前記軸変位部材27の回転中心27aは、前記切欠面27a1,27a2によって両Dカット形状の断面となるように形成されている。このため、前記回転中心27aは、前記溝部9の左方から、前記溝部9の切出挿入部9bに嵌まるように姿勢を合わせた状態で、前記切出挿入部9bに挿入することが可能になっている。このとき、実施例1の前記プリンタUは、図12に示すように、前記媒体搬送ベルトBが前方へ片寄る前に連動体接触部(27f+27g)がベルト片寄検知部材26に接触する位置である移動前接触部接触位置P0と、前記媒体搬送ベルトBが前方へ最も片寄った後に連動体接触部(27f+27g)がベルト片寄検知部材26に接触する位置である最大移動後接触部接触位置Pmaxとの間である連動体接触部(27f+27g)の移動範囲AR1を、連動体接触部(27f+27g)が移動するように設定されている。
【0065】
そして、前記移動範囲AR1に対応する回転中心27aの回転範囲AR2の範囲外である左方に前記切出挿入部9bが形成されている。このため、実施例1の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27が、前記回転範囲AR2を回転する回転中心27aの回転中に、前記回転中心27aが前記内周面9aから脱落することが防止されている。また、実施例1の前記プリンタUでは、前記切出挿入部9bが前記回転範囲AR2の範囲内に配置されて切出挿入部9bの開口を塞ぐ回転中心27aの脱落防止部材を使用する場合に比べ、前記回転中心27aを簡易に装着することが可能になっていると共に、前記回転中心27aを支持する支持部材の部品点数を削減することが可能となっている。
【0066】
また、前記構成を備えた実施例1の前記プリンタUでは、前記媒体搬送ベルトBが各張架ロールRd,Rjの張架方向である上下方向に延びている。また、図10Aに示すように、前記軸変位部材27の上側接触部27fと下側接触部27gとが、前記軸変位部材27の凹部27d内で軸接触面27eと接触している前記従動軸Rjaを挟んで配置されている。
なお、実施例1の前記プリンタUでは、図10Aに示すように、前記上側接触部27fの左端面27hが前記ベルト片寄検知部材26に接触する上側接触部接触位置P1と、前記下側接触部27gの左端面27hが前記ベルト片寄検知部材26に接触する下側接触部接触位置P2とを結ぶ線分である接触線分Lsと、前記従動軸Rjaとが交差するように設定されている。すなわち、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)は、前記従動軸Rjaを挟んで、前記ベルト片寄検知部材26の左右方向中央部に接触するように設定されている。
【0067】
また、実施例1の前記プリンタUでは、前記媒体搬送ベルトBが前記従動ロールRjに巻き付いた角度である巻付角度が、約180°に設定されている。よって、実施例1では、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄る際に、前記媒体搬送ベルトBの前端縁は、前記ベルト片寄検知部材26の右端部、下端部、左端部をU字状に押圧するように設定されている。
よって、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)は、前記媒体搬送ベルトBが押圧するベルト片寄検知部材26の右端部および左端部の中間である左右方向中央部に前記従動軸Rjaを挟んだ2箇所で接触する。このため、前記連動体接触部(27f+27g)が、仮に、前記ベルト片寄検知部材26を1箇所のみ、例えば、前記上側接触部接触位置P1のみで接触する構成とした場合には、前記上側接触部接触位置P1を支点に、前記媒体搬送ベルトBによって押圧された前記ベルト片寄検知部材26が回転して傾く可能性がある。この場合、傾いた前記ベルト片寄検知部材26が軸方向へ移動し難くなり、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを、前記ベルト片寄検知部材26の連動させ難くなる可能性がある。すなわち、片寄りの補正が遅れたり、精度が悪化するおそれがある。
【0068】
しかしながら、実施例1の前記プリンタUでは、前記連動体接触部(27f+27g)の接触位置が従動軸Rjaを挟んで2箇所に配置されているため、前記連動体接触部(27f+27g)の接触位置が1箇所に配置されている場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを、前記ベルト片寄検知部材26の連動や、前記軸変位部材27の回転に効率良く伝達させることが可能となっている。
なお、巻付角度が180°より小さい場合には、前記ベルト片寄検知部材26に前記媒体搬送ベルトBが接触する範囲が一部に集中し易く、前記ベルト片寄検知部材26が傾き易くなる。このため、実施例1の前記連動体接触部(27f+27g)のように、従動軸Rjaを挟んで2箇所で接触することで、前記ベルト片寄検知部材26の傾きを低減する効果が大きくなる。よって、前記媒体搬送ベルトBの片寄りに、前記ベルト片寄検知部材26が連動し易く、前記軸変位部材27による片寄り補正の応答性が向上する。
【0069】
なお、実施例1の前記プリンタUでは、前記媒体搬送ベルトBが前記従動ロールRjに巻き付いた角度である巻付角度が、約180°に設定されている。よって、実施例1では、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄る際に、前記媒体搬送ベルトBの前端縁は、前記ベルト片寄検知部材26の右端部、下端部、左端部をU字状に押圧するように設定されている。
この結果、実施例1の前記プリンタUでは、巻付角度が180°より小さい場合に比べ、前記ベルト片寄検知部材26が前記媒体搬送ベルトBの前端縁に接触する範囲が大きくなり、連動して前方向に移動し易くなっている。すなわち、前記ベルト片寄検知部材26が前記媒体搬送ベルトBの前方向への片寄りを検知し易くなっている。よって、実施例1の前記プリンタUでは、巻付角度が180°より小さい場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを、効率良く前記ベルト片寄検知部材26の連動や、前記軸変位部材27の回転に伝達させることが可能となっている。
【0070】
このため、実施例1の前記プリンタUは、ベルト片寄検知部材26が媒体搬送ベルトBの片寄りに連動して効率良く滑らかに軸方向に移動可能であるため、媒体搬送ベルトBの剛性が低い場合でも、ベルト片寄検知部材26と接触する媒体搬送ベルトBの前端縁にシワが寄ることなく、前記媒体搬送ベルトBの蛇行を補正することが可能となっている。この結果、実施例1の前記プリンタUは、前記媒体搬送ベルトBの製作費用を低減することが可能となっている。
【実施例2】
【0071】
次に、本発明の実施例2の説明をするが、この実施例2の説明において、前記実施例1の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例2は、下記の点で前記実施例1と相違しているが、他の点では前記実施例1と同様に構成されている。
【0072】
(実施例2のベルトモジュールBMの説明)
図13は本発明の実施例2のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図13Aは実施例1の図10Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図13Bは図13Aの矢印XIIIB方向から見たスイングブラケットの説明図である。
図13において、実施例2のプリンタUでは、実施例1の前記ベルトモジュールBMの転写フレームFtに替えて、軸支持枠体の一例であって、転写部材支持枠体の一例としての転写フレームFt′を有する。
図13Bにおいて、実施例2の前記転写フレームFt′では、前側転写ロール支持プレートFt1の下端部に、前記前側転写ロール支持プレートFt1の外表面側から内側に凹んだ形状の可動規制部の一例としてのスイング規制部31が形成されている。実施例2の前記スイング規制部31には、前記スイングブラケットSBが収容されている。実施例2の前記スイング規制部31は、前記スイングブラケットSBの後方に配置され、従動軸Rjaと直交する板状の後端壁31aを有する。実施例2の前記後端壁31aには、前記従動軸Rjaと対応する位置に、前記従動軸Rjaを貫通し且つ上下方向および左右方向に案内可能な軸案内長孔31a1が形成されている。
【0073】
また、前記スイング規制部31は、前記後端壁31aの左右両端から前方に延びる板状の左端壁31bと、右端壁31cとが形成されている。前記後端壁31aと前記右端壁31cとの角部31dにより、実施例2の回転規制部31dが構成されている。また、前記右端壁31cの直交方向の一例としての右方には、前記前側転写ロール支持プレートFt1の内表面側から外側に凹んだ凹部形状の中心支持凹部32が形成されている。
実施例2の前記中心支持凹部32は、前記右端壁31cの前端から右方に延びる板状の前端壁32aが形成されている。実施例2の前記前端壁32aの外表面側の右端部には、前方に突起する突起部32bが形成されている。また、実施例2では、実施例1の前記ブラケット押さえバネSPbに替えて、傾斜付勢部材の一例としての従動軸押さえバネSPb′が前記突起部32bと前記従動軸Rjaとの間に接続されている。
【0074】
したがって、実施例2では、前記スイングブラケットSBは、前記従動軸押さえバネSPb′により、従動軸Rjaおよび前側軸受13aを介して、前記右端壁31cに付勢されている。この結果、実施例2では、実施例1と同様に、前記従動軸Rjaの前端部が後端部に対して右方向に傾くように予め設定されている。
また、実施例2では、実施例1と同様に、駆動ロールRdの駆動軸Rdaが前後方向に平行に配置されているため、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄るように予め設定されている。
【0075】
(実施例2の軸変位部材27′の説明)
また、前記前端壁32aの内表面側の左右方向中央部には、上下方向に延びる内壁32cが形成されている。また、実施例2では、実施例1の前記下側タイバーFb4の溝部9に替えて、前記前端壁32aと前記内壁32cの左端部との角部である中心支持部32c1が形成されている。また、実施例2では、実施例1の前記軸変位部材27に替えて、軸変位部材27′が前記中心支持部32c1に支持されている。すなわち、実施例2の前記軸変位部材27′は、回転中心27aの前後方向の位置が前記前側軸受13aの前後方向の位置に対して一部が重複した状態で回転可能に支持されている。
【0076】
ここで、実施例1の前記軸変位部材27では、図12に示す前記軸変位線分r0が回転中心27aから接触部27cの外端部まで延長部27b,27bの延長方向に直線状に延びているのに対し、実施例2の前記軸変位部材27′は、図13Aに示すように、回転中心27aから延長部27b,27bまでを結ぶ第1軸変位線分r1に対して、接触部27cの延長部27b,27bとの接続位置から外端部までを結ぶ線分r2が角度θ1だけ前方に傾いて設定されている。すなわち、実施例2の前記軸変位部材27′は、回転中心27aから接触部27cの外端部に向けて進むに連れて、前方に湾曲して形成されている。
また、実施例2では、図13Aの破線で示すように、前記左端面27hの曲率により、前記ベルト片寄検知部材26の軸方向の移動に伴う、ベルト片寄検知部材26と左端面27hとの接触点の履歴としての接点プロファイルPF′が、実施例1の円弧状の接点プロファイルPFに対して、円弧の中心側に延びるインボリュート曲線状となるように予め設定されている。なお、前記インボリュート曲線とは、固定軸に糸を巻きつけて、前記糸の端を引っ張りながら解く際に、前記糸の先端が描く曲線である。
【0077】
(実施例2の作用)
前記構成を備えた実施例2の画像形成装置の一例としての前記プリンタUでは、図13に示すように、前記軸変位部材27′の回転中心27aを支持する前記中心支持凹部32の中心支持部32c1が、前記スイング規制部31の前端部に配置されている。すなわち、前記回転中心27aの前後方向である軸方向の位置が、前記スイング規制部31に収容された前記従動軸Rjaの前側軸受13aの軸方向の位置に対して一部が重複して配置されている。このため、実施例2の前記プリンタUでは、前記回転中心27aが前記前側軸受13aより軸方向内側に配置されている場合に比べ、前記軸変位部材27′の接触部27cを、前記従動軸Rjaの軸方向外側に配置することが可能となっている。よって、実施例2の前記プリンタUは、前記回転中心27aが前記前側軸受13aの軸方向の位置に対して重複して配置されていない場合に比べ、前記軸変位部材27′を配置するために必要な前記従動軸Rjaの幅を狭くすることが可能となっている。
この結果、実施例2の前記プリンタUは、前記従動軸Rja全体の長さを短くすることが可能となっており、前記ベルトモジュールBM全体の小型化や前記プリンタU全体の小型化が可能となっている。
【0078】
ここで、前記従動軸Rjaの後端軸受13bを支点として、前記従動軸Rjaの前端部を持ち上げる場合には、いわゆる、てこの原理により、前記後端軸受13bから可能な限り離れた位置、すなわち、前記前端軸受13aに可能な限り近い位置を力点とする方が少ない力で持ち上げることが可能になる。すなわち、前記力点である前記接触部27cの軸接触面27eが前記前端軸受13aに近い位置に配置されている方が、少ない力で持ち上げることが可能となる。
実施例2では、回転中心27aが前側軸受13aの軸方向の位置に対して重複して配置されており、前記軸接触面27eを可能な限り前記従動軸Rjaの軸方向外側に配置されている。よって、実施例2の前記プリンタUは、回転中心27aが前側軸受13aの軸方向の位置に対して重複して配置されていない場合に比べ、前記軸接触面27eを前記前側軸受13aに近い位置に配置させて前記従動軸Rjaを少ない力で傾斜させることが可能となっている。
【0079】
また、実施例2の前記軸変位部材27′は、図13Aに示すように、前記回転中心27aから接触部27cの外端部に向けて進むに連れて、前方向に湾曲して形成されている。このため、実施例2の前記プリンタUは、実施例1の前記軸変位部材27のように回転中心27aから接触部27cの外端部まで直線状に形成された場合に比べ、前記軸変位部材27′を配置するために必要な前記従動軸Rjaの幅を更に狭くすることが可能となっている。この結果、実施例2の前記プリンタUは、前記従動軸Rja全体の長さを短くすることが可能となっており、前記ベルトモジュールBM全体を更に小型化し、前記プリンタU全体を更に小型化することが可能となっている。
また、実施例2の前記プリンタUは、回転中心27aから接触部27cの外端部まで直線状に形成された場合に比べ、前記軸接触面27eが前記前側軸受13aに近い位置に配置されており前記従動軸Rjaを更に少ない力で傾斜させることが可能となっている。
【0080】
また、実施例2では、前記凹部27d外端部側から前記延長部27b,27b側に進むに連れて前記左端面27hの曲率が大きくなるように形成されており、図13Aに示す前記接点プロファイルPF′がインボリュート曲線状となるように、前記左端面27hの曲率が設定されている。すなわち、実施例2の前記軸変位部材27′は、前記ベルト片寄検知部材26の軸方向である前方への移動に伴って、軸方向外側に進むほど、前記ベルト片寄検知部材26と前記左端面27hとの接点の傾斜方向である左方向への移動が小さくなるように設定されている。
このため、実施例2では、前記媒体搬送ベルトBが片寄って、前記従動軸Rjaの前端部が片寄りを補正する左方向に移動して、前記媒体搬送ベルトBの片寄りが停止する前記平衡位置に近付くに連れて、前記従動軸Rjaの移動量が小さくなるように設定されている。この結果、実施例2の前記プリンタUは、前記接点プロファイルPF′がインボリュート曲線となるように前記左端面27hの曲率が設定されていない場合に比べ、平衡位置近傍で媒体搬送ベルトBの片寄りを収束させ易くなっている。
【0081】
また、前記構成を備えた実施例2の前記プリンタUでは、前記軸変位部材27′の左方には、前記スイング規制部31の後端壁31aと右端壁31cとの角部31dが配置されている。このため、前記媒体搬送ベルトBが前方向に片寄りを補正する際に前記軸変位部材27′が回転した場合には、前記軸変位部材27′が前記角部31dに接触する位置である最大回転位置で、前記軸変位部材27′の回転が規制される。
したがって、実施例2の前記プリンタUでは、前記角部31dにより、前記軸変位部材27′の回転範囲を規制することが可能となっている。このため、例えば、媒体搬送ベルトBの片寄りを補正する際に、前記軸変位部材27′が、いわゆる、上死点を超えて、媒体搬送ベルトBや従動軸Rjaの戻りに追従して戻れなくなる範囲である機能不全領域まで前記軸変位部材27′を回転させないようにすることが可能となっている。
また、実施例2の前記プリンタUでは、前記角部31dの位置を調節することにより、任意の最大回転位置を設定することが可能となっており、前記軸変位部材27′の過剰な回転を規制することが可能となっている。
その他、実施例2の前記プリンタUは、実施例1の前記プリンタUと同様の作用効果を奏する。
【実施例3】
【0082】
次に、本発明の実施例3の説明をするが、この実施例3の説明において、前記実施例2の構成要素に対応する構成要素には同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
この実施例3は、下記の点で前記実施例2と相違しているが、他の点では前記実施例2と同様に構成されている。
【0083】
(実施例3のベルトモジュールBMの説明)
図14は本発明の実施例3のベルト片寄検知部材および軸変位部材の説明図であり、図14Aは実施例2の図13Aに対応する従動ロール前端部から前側軸受までの斜視断面図であり、図14Bは図14Aの矢印XIVB方向から見たベルト片寄検知部材および軸変位部材の要部拡大説明図である。
図14Aにおいて、実施例3の中心支持凹部32には、前端壁32aの上端から後方に延びる上流側移動規制面の一例としての板状の上端壁32dと、前端壁32aの下端から後方に延びる下流側移動規制面の一例としての板状の下端壁32eとが形成されている。
前記上端壁32dと、前記下端壁32eとにより、実施例3の移動規制部(32d+32e)が構成されている。
【0084】
なお、実施例3では、前記上端壁32dと前記下端壁32eとの間の長さL3、すなわち、前記中心支持凹部32の上下方向の長さL3が、軸変位部材27′の回転中心27aが延びる上下方向の長さL4に比べて、長くなるように予め設定されている。すなわち、前記中心支持凹部32の上下方向の幅が、前記軸変位部材27′の上下方向の幅よりも大きく形成されている。
この結果、実施例3の前端壁32aと内壁32cとの角部である中心支持部32c1′は、実施例2の前記中心支持部32c1に比べ、上下方向の長さが長くなるように設定されている。このため、前記中心支持部32c1′に突き当てられて支持された前記回転中心27aは、図14Bに示すように、前記中心支持部32c1′が延びる上下方向に移動可能に支持されている。
また、実施例3の前記軸変位部材27′は、上側接触部27fと下側接触部27gとの間の間隔d1、すなわち、前記凹部27dの上下方向の間隔d1が、従動軸Rjaの外径と等しくなるように予め設定されている。すなわち、実施例3の前記従動軸Rjaは、上側接触部27fと下側接触部27gとの間に遊び以上の隙間が無い状態で挟み込まれて配置されている。
【0085】
(実施例3の作用)
前記構成を備えた実施例3の画像形成装置の一例としての前記プリンタUでは、図14Bに示すように、前記軸変位部材27′の回転中心27aが上下方向に移動可能に支持されている。
ここで、実施例3では、例えば、図7、図8に示す、フルカラーモードを実行する場合とモノクロモードを実行する場合とで前記媒体搬送ベルトBの張力の分布が変化し、前記媒体搬送ベルトBのバタツキや回転ムラ等が発生したりする可能性がある。また、例えば、前記媒体搬送ベルトBが弾性ゴムにより構成されている場合には、温度・湿度等の環境変化や経時的な劣化等により前記媒体搬送ベルトBの周長が伸長・収縮する可能性がある。これらの場合、実施例3では、張架用バネSPa,SPaにより、前記媒体搬送ベルトBを下方向に張架する従動ロールRjが上下方向に移動することがある。
【0086】
よって、回転中心27aが上下方向に移動しない場合には、従動軸Rjaの上下方向の移動により、従動軸Rjaが上側接触部27fまたは下側接触部27gに接触、押圧して、回転中心27aにおける従動軸Rjaの移動方向の反対側が中心支持部(32c1)から浮いてしまい、回転中心27aが傾く可能性がある。このため、前記従動軸Rjaに押圧されて回転中心27aが傾いた状態で支持されている前記軸変位部材27′の回転軌跡が、前記従動軸Rjaの傾斜方向である右方向からずれてしまう。この場合、前記媒体搬送ベルトBが片寄った際に、前記各部材B,26の移動力を、前記軸変位部材27′の回転力として効率良く伝達させることが困難となる。この結果、前記媒体搬送ベルトBの片寄り補正の性能が低下してしまう可能性があった。
【0087】
また、従動軸Rjaに上側接触部27fまたは下側接触部27gが接触しないようにするためには、前記凹部27dの間隔d1を従動軸Rjaの移動量に対して十分に長くする必要があり、軸変位部材27′の上下方向の長さを長くする必要がある。このため、前記間隔d1を長くした場合には、前記ベルト片寄検知部材26と前記連動体接触部(27f+27g)との接触範囲を確保するため、ベルト片寄検知部材26や軸変位部材27′の幅方向を長くする必要があった。
【0088】
しかしながら、実施例3の前記プリンタUでは、回転中心27aが上下方向に移動可能に支持されているため、前記従動軸Rjaの上下方向の移動により、連動体接触部(27f+27g)が接触、押圧されると、軸変位部材27′が従動軸Rjaに連動して上下方向に移動することが可能となっている。
このため、実施例3の前記プリンタUでは、回転中心27aが上下方向に移動しない場合に比べ、前記従動軸Rjaに押圧されて回転中心27aが傾くことが低減されており、前記軸変位部材27′を円滑に回転させることが可能となっている。この結果、実施例3の前記プリンタUは、回転中心27aが上下方向に移動しない場合に比べ、前記媒体搬送ベルトBの片寄りを補正する性能の低下が少なくなっている。
【0089】
また、実施例3では、前記凹部27dの上下方向の間隔d1が、従動軸Rjaの外径と同等に設定されており、前記従動軸Rjaは、上側接触部27fと下側接触部27gとにより、遊び以上の隙間が無い状態で、挟み込まれている。この結果、実施例3の前記プリンタUでは、前記従動軸Rjaの張架方向の移動に連動して、軸変位部材27′を上下方向に移動させることが可能となっている。
また、前記間隔d1が前記外径と同等に設定されており、前記従動軸Rjaが上下方向に移動しても、前記従動軸Rjaを貫通するベルト片寄検知部材26と、前記従動軸Rjaを挟む前記連動体接触部(27f+27g)との接触範囲を常に前記従動軸Rjaの近傍に確保することが可能となっている。この結果、実施例3の前記プリンタUでは、前記ベルト片寄検知部材26や前記軸変位部材27′の上下方向の長さを短くすることが可能となっており、前記ベルトモジュールBM全体の小型化や前記プリンタU全体の小型化が可能となっている。
【0090】
また、実施例3では、回転中心27aの張架方向の移動が、前記上端壁32dと前記下端壁32eとの間で規制されている。すなわち、実施例3では、前記軸変位部材27′は、上端部が前記上端壁32dに接触する交差方向最上流位置と、下端部が前記下端壁32eに接触する交差方向最下流位置との間を上下方向に移動するように設定されている。
この結果、実施例3の前記プリンタUでは、前記移動規制部(32d+32e)により、前記軸変位部材27′の上下方向の移動を規制することが可能になっており、前記軸変位部材27′が上下方向に移動して前記中心支持凹部32から脱落することを防止することも可能となっている。
その他、実施例3の前記プリンタUは、実施例2の前記プリンタUと同様の作用効果を奏する。
【0091】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H012)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置としてのプリンタを例示したが、これに限定されず、FAXや複写機あるいはこれらすべてまたは複数の機能を備えた複合機とすることも可能である。また、電子写真方式の画像形成装置に限定されず、いわゆるインクジェット記録方式の画像形成装置において、媒体搬送部材の部分に実施例記載の構成を適用することも可能である。
(H02)前記実施例において、黒色の感光体Pkが上端に配置する構成を例示したが、この構成に限定されず、配置する位置は構成や設計等に応じて任意に変更可能である。
【0092】
(H03)前記実施例において、偏心カムHCと転写フレーム押しバネSPcの作用で媒体搬送ベルトBの移動を制御したが、これに限定されず、媒体搬送ベルトBを移動可能な任意の構成を採用可能である。例えば、偏心カムHCに替えて、いわゆるソレノイドを使用したり、転写フレーム押しバネSPに替えて転写フレームFtの重心位置を調節することで転写フレームFtの自重を利用することも可能である。
(H04)前記実施例において、Y,M,C,Kの四色の画像形成装置の場合について例示したが、4色に限定されず、3色以下や5色以上の画像形成装置にも適用可能である。
(H05)前記実施例において、無端帯状部材の一例としての媒体搬送ベルトBを例示したが、これに限定されず、例えば、ベルトクリーナや二次転写部材が接触、離隔する中間転写体の一例としての中間転写ベルトや、像保持体の一例としての感光体ベルト等の無端帯状部材にも本発明を適用可能である。すなわち、本発明の片寄補正装置の一例としてのベルトモジュールBMを有する中間転写装置、転写装置、画像記録装置等を構成することも可能である。
【0093】
図15はベルト片寄検知部材の変更例の要部拡大説明図である。
(H06)前記実施例1では、前記左端面27hの曲率を、前記接点プロファイルPFが、円弧状となるように設定し、実施例2の前記接点プロファイルPF′が、実施例1の円弧状の接点プロファイルPFに対して、円弧の中心側に延びるインボリュート曲線状となるように設定して、前記平衡位置近傍で媒体搬送ベルトBの片寄りを収束させ易くしたが、これに限定されず、例えば、前記左端面27hの曲率を、接点プロファイルが、実施例1の円弧状の接点プロファイルPFに対して、円弧の中心側に延びるサイクロイド曲線状となるように設定することにより、前記平衡位置近傍で媒体搬送ベルトBの片寄りを収束させ易くすることも可能である。また、図15に示すように、前記左端面27hの曲率だけでなく、前記ベルト片寄検知部材26の接触面となる右端面26aについても、円板の中心である前記従動軸Rjaから外周側に進むに連れて曲率が大きくなるように形成することにより、前記実施例の構成と同様の作用効果を奏することが可能である。
【0094】
(H07)前記実施例では、ベルトモジュールBMが縦置きで配置されているため、押さえバネSPb,SPb′で付勢して、スイングブラケットSBを傾けているが、例えば、ベルトモジュールBMを横置きで配置することにより、スイングブラケットSBを自重によって傾け、押さえバネSPb,SPb′を省略することが可能である。
(H08)前記実施例では、媒体搬送ベルトBを前方向にのみ片寄らせるように設定されているため、前記軸変位部材27,27′が前記従動軸Rjaの前端部にのみ配置されているが、これに限定されず、例えば、前記従動軸Rjaの両端部にスイングブラケットSBや軸変位部材27,27′を設け、前記媒体搬送ベルトBの幅方向両側の片寄りに対応可能に構成することも可能である。
(H09)前記実施例では、右方に傾く前記従動ロールRjに対応して、前記軸変位部材27,27′が、前記従動軸Rjaの右向に配置されているが、これに限定されず、例えば、前記従動軸Rjaの一端部が他端部に対して傾くように設定されている場合に、前記軸変位部材27,27′を、前記従動軸Rjaの一端部を他端部に対して設定された傾きの方向とは逆方向に傾けるように設定することも可能である。
【0095】
(H010)前記実施例1において、前記軸変位部材27の回転中心27aは、一対の前記切欠面27a1,27a2によって小判状の断面となるように形成されているが、これに限定されず、例えば、一方の切欠面27a1のみによってD形状の断面、いわゆる、Dカット形状となるように形成しても、前記溝部9の切出挿入部9bに嵌まるように姿勢を合わせた状態で、前記切出挿入部9bに挿入することが可能である。
(H011)前記実施例1において、前記軸変位部材27の回転中心27aを回転範囲AR2の範囲外から、切出挿入部9bに嵌めて、前記軸変位部材27が回転中に、前記溝部9aから脱落することを防止する構成を採用することが好ましいが、これに限定されず、例えば、前記切出挿入部9bを塞ぐ脱落防止部材を使用して、前記軸変位部材27が前記溝部9aから脱落することを防止することも可能であり、また、脱落防止の構成を省略することも可能である。
(H012)前記実施例において、前記左端面27hを、実施例1の接点プロファイルPFの円弧状の軌跡と同径の円弧形状となるように設定することも可能である。
【符号の説明】
【0096】
θ…増加角度、θ0…幅方向直線と軸変位線分とのなす角度、9…中心装着部、9a…内周面、9b…切出挿入部、開口、12,12…枠体装着部、26…連動体、27…軸変位部材、27a…回転中心、27a1,27a1…切欠面、27e…回転軸接触部、板状体、凸状の弧状面、(27f+27g)…連動体接触部、27h…接触面、AR1…連動体接触部の移動範囲、AR2…回転中心の回転範囲、B…無端帯状部材、BM…片寄補正装置、F…定着装置、Fb…第2の枠体、Ft,Ft′…第1の枠体、Gy〜Gk…現像装置、L…軸変位線分の長さ、L1…開口幅、L2…切欠距離、Lx…無端帯状部材の幅方向の移動量、Ly…回転軸の傾斜方向の移動量、P0…移動前接触部接触位置、Pmax…最大移動後接触部接触位置、Py〜Pk…像保持体、r0…軸変位線分、r1…円柱の直径、Rj…回転支持部材、Rja…回転軸、S…媒体、x0…幅方向直線、U…画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端帯状の無端帯状部材と、
軸方向が前記無端帯状部材の幅方向に沿って延びる回転軸を有し、前記無端帯状部材を支持して回転する回転支持部材と、
前記回転軸の一端部に前記軸方向に沿って移動可能に支持され、且つ、前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に接触可能な連動体と、
前記回転軸からずれた位置に配置され且つ前記軸方向に対して交差する回転中心と、前記回転支持部材の回転軸の一端部に接触する回転軸接触部と、前記連動体に接触し且つ前記回転軸接触部と一体的に移動可能な連動体接触部と、を有し、前記回転軸の一端側に移動した前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に前記連動体が押された場合に、前記回転中心を中心に前記連動体接触部および前記回転軸接触部が回転して、前記無端帯状部材を前記回転軸の他端側に移動させる方向である傾斜方向に前記回転軸接触部が前記回転軸を傾斜させる軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする片寄補正装置。
【請求項2】
前記回転中心から前記回転支持部材側に延びる前記回転軸接触部と、前記回転中心から前記連動体側に延びる前記連動体接触部と、を有する前記軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の片寄補正装置。
【請求項3】
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記無端帯状部材の前記幅方向の直線を幅方向直線とし、前記回転中心から前記連動体接触部と前記連動体とが接触する位置である連動体接触位置までを結んだ前記軸変位部材の線分を軸変位線分とし、前記軸変位線分の長さをLとし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記幅方向直線と前記軸変位線分とのなす角度をθ0とし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記角度θ0の増加角度をθとし、前記無端帯状部材の前記幅方向の移動量をLxとし、前記回転軸の前記傾斜方向の移動量をLyとした場合に、
Lx=L(cos(θ0)−cos(θ0+θ)),
Ly=L(sin(θ0+θ)−sin(θ0))
が成立するように前記連動体との接触面が形成された前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の片寄補正装置。
【請求項4】
前記連動体との接触点の円弧状の軌跡と同径の円弧形状となる前記連動体との接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項5】
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体に接触する位置である移動前連動体接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体に接触する位置である移動後連動体接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項6】
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体接触部に接触する位置である移動後接触部接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項7】
円柱状に形成された前記回転軸と、
前記回転軸の前記軸方向に交差する方向に延びる板状体により構成された前記回転軸接触部であって、前記回転軸の前記軸方向に沿って凸状の弧状面により構成された接触面を有する前記回転軸接触部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項8】
前記回転支持部材の回転軸を回転可能に支持する第1の枠体であって、前記回転軸に支持された前記無端帯状部材および前記連動体を支持する前記第1の枠体と、
前記第1の枠体が着脱可能に支持される枠体装着部と、前記軸変位部材の回転中心が回転可能且つ着脱可能に支持される中心装着部と、を有し、前記第1の枠体および前記軸変位部材を支持する第2の枠体と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項9】
円柱の外表面の一部が切り欠かれた切欠面を有する前記回転中心であって、前記切欠面と円柱の中心を挟んで反対側の円周状の外表面との距離が円柱の直径より狭い切欠距離で形成された前記切欠面を有する前記回転中心と、
前記切欠面を有する円柱状の前記回転中心を回転可能に支持する内周面と、前記内周面の径方向に延び且つ前記内周面と外部とを接続する開口により構成された切出挿入部と、を有する前記中心装着部であって、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置と、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側へ最大で移動後における前記連動体接触部に接触する位置である最大移動後接触部接触位置との間である前記連動体接触部の移動範囲に対応する前記回転中心が回転する回転範囲の範囲外に形成され且つ前記切欠距離よりも大きく前記円柱の直径よりも小さな開口幅を有する前記切出挿入部を有する前記中心装着部と、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の片寄補正装置。
【請求項10】
回転方向に沿って、画像を保持する像保持体の対向領域を外表面が通過する無端帯状の無端帯状部材により構成された中間転写体と、
前記無端帯状部材の裏面側、且つ、前記無端帯状部材を介して前記像保持体と対向する中間転写領域に配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端帯状部材の外表面上に転写する中間転写部材と、
前記中間転写体の片寄りを補正する請求項1ないし9のいずれかに記載の片寄補正装置と、
を備えたことを特徴とする中間転写装置。
【請求項11】
画像を保持する像保持体に外表面が対向して配置された無端帯状の中間転写体の外表面上に前記画像が転写される請求項10に記載の中間転写装置と、
前記中間転写体の外表面上に転写された前記画像を最終転写体に転写する最終転写部材と、
を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項12】
表面に潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体表面の潜像を可視像としての画像に現像する現像装置と、
前記像保持体表面の画像を媒体に転写する請求項11に記載の転写装置と、
前記媒体表面の画像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
無端帯状の無端帯状部材と、
軸方向が前記無端帯状部材の幅方向に沿って延びる回転軸を有し、前記無端帯状部材を支持して回転する回転支持部材と、
前記回転軸の一端部に前記軸方向に沿って移動可能に支持され、且つ、前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に接触可能な連動体と、
前記回転軸からずれた位置に配置され且つ前記軸方向に対して交差する回転中心と、前記回転支持部材の回転軸の一端部に接触する回転軸接触部と、前記連動体に接触し且つ前記回転軸接触部と一体的に移動可能な連動体接触部と、を有し、前記回転軸の一端側に移動した前記無端帯状部材の前記幅方向端縁に前記連動体が押された場合に、前記回転中心を中心に前記連動体接触部および前記回転軸接触部が回転して、前記無端帯状部材を前記回転軸の他端側に移動させる方向である傾斜方向に前記回転軸接触部が前記回転軸を傾斜させる軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする片寄補正装置。
【請求項2】
前記回転中心から前記回転支持部材側に延びる前記回転軸接触部と、前記回転中心から前記連動体側に延びる前記連動体接触部と、を有する前記軸変位部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の片寄補正装置。
【請求項3】
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記無端帯状部材の前記幅方向の直線を幅方向直線とし、前記回転中心から前記連動体接触部と前記連動体とが接触する位置である連動体接触位置までを結んだ前記軸変位部材の線分を軸変位線分とし、前記軸変位線分の長さをLとし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記幅方向直線と前記軸変位線分とのなす角度をθ0とし、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記角度θ0の増加角度をθとし、前記無端帯状部材の前記幅方向の移動量をLxとし、前記回転軸の前記傾斜方向の移動量をLyとした場合に、
Lx=L(cos(θ0)−cos(θ0+θ)),
Ly=L(sin(θ0+θ)−sin(θ0))
が成立するように前記連動体との接触面が形成された前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の片寄補正装置。
【請求項4】
前記連動体との接触点の円弧状の軌跡と同径の円弧形状となる前記連動体との接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項5】
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体に接触する位置である移動前連動体接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体に接触する位置である移動後連動体接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体接触部、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項6】
前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置から、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動後における前記連動体接触部に接触する位置である移動後接触部接触位置に向けて進むに連れて、曲率が大きくなる接触面を有する前記連動体、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項7】
円柱状に形成された前記回転軸と、
前記回転軸の前記軸方向に交差する方向に延びる板状体により構成された前記回転軸接触部であって、前記回転軸の前記軸方向に沿って凸状の弧状面により構成された接触面を有する前記回転軸接触部と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項8】
前記回転支持部材の回転軸を回転可能に支持する第1の枠体であって、前記回転軸に支持された前記無端帯状部材および前記連動体を支持する前記第1の枠体と、
前記第1の枠体が着脱可能に支持される枠体装着部と、前記軸変位部材の回転中心が回転可能且つ着脱可能に支持される中心装着部と、を有し、前記第1の枠体および前記軸変位部材を支持する第2の枠体と、
を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の片寄補正装置。
【請求項9】
円柱の外表面の一部が切り欠かれた切欠面を有する前記回転中心であって、前記切欠面と円柱の中心を挟んで反対側の円周状の外表面との距離が円柱の直径より狭い切欠距離で形成された前記切欠面を有する前記回転中心と、
前記切欠面を有する円柱状の前記回転中心を回転可能に支持する内周面と、前記内周面の径方向に延び且つ前記内周面と外部とを接続する開口により構成された切出挿入部と、を有する前記中心装着部であって、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側への移動前における前記連動体接触部に接触する位置である移動前接触部接触位置と、前記無端帯状部材の前記回転軸の一端側へ最大で移動後における前記連動体接触部に接触する位置である最大移動後接触部接触位置との間である前記連動体接触部の移動範囲に対応する前記回転中心が回転する回転範囲の範囲外に形成され且つ前記切欠距離よりも大きく前記円柱の直径よりも小さな開口幅を有する前記切出挿入部を有する前記中心装着部と、
を備えたことを特徴とする請求項8に記載の片寄補正装置。
【請求項10】
回転方向に沿って、画像を保持する像保持体の対向領域を外表面が通過する無端帯状の無端帯状部材により構成された中間転写体と、
前記無端帯状部材の裏面側、且つ、前記無端帯状部材を介して前記像保持体と対向する中間転写領域に配置され、前記像保持体に保持された画像を前記無端帯状部材の外表面上に転写する中間転写部材と、
前記中間転写体の片寄りを補正する請求項1ないし9のいずれかに記載の片寄補正装置と、
を備えたことを特徴とする中間転写装置。
【請求項11】
画像を保持する像保持体に外表面が対向して配置された無端帯状の中間転写体の外表面上に前記画像が転写される請求項10に記載の中間転写装置と、
前記中間転写体の外表面上に転写された前記画像を最終転写体に転写する最終転写部材と、
を備えたことを特徴とする転写装置。
【請求項12】
表面に潜像が形成される像保持体と、
前記像保持体表面の潜像を可視像としての画像に現像する現像装置と、
前記像保持体表面の画像を媒体に転写する請求項11に記載の転写装置と、
前記媒体表面の画像を定着させる定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−231110(P2010−231110A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−80667(P2009−80667)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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