説明

物体を測定するための方法

工作物(40)などの物体の寸法が公差に合致しているかどうかを決定するための「go、no−go」法について説明される。この方法は、座標測定機械、工作機械、旋盤などの測定装置に設置されたタッチトリガー、アナログ、または非接触プローブなどの測定プローブを使用する。この方法は、物体の公差に基づいた物体に対する経路の周囲で測定プローブを動かすステップを含む。物体に対する経路は、物体の最大公差に基づいた少なくとも1つの第1経路(46)と、物体の最小公差に基づいた第2経路(44)とを含んでよい。この方法は、測定プローブが経路の周囲で動かされる際、そのプローブによって取得されるあらゆるプローブ測定データを監視するステップと、測定プローブが経路の周囲で動かされる際、取得されるプローブ測定データの状態が変化する場合のみ物体の寸法が公差に合致していないことを示すステップと、をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の寸法が公差に合致しているかどうかを決定するための測定装置の使用に関する。詳細には、本発明は、座標位置決め装置の上に設置された測定プローブを使用して、物体の寸法が公差に合致しているかどうかを決定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物体が公差に合致していることを調べるための従来の方法は、図1に示されるように「go、no go」ゲージブロックの使用を伴う。このような「go、no go」ゲージブロックは、典型的には、プラグ、リング、テーパ、スナップおよびスレッド型で対応され、約0.05mmに至るまでの公差に関して信頼できる。「go」ゲージ26は、図1の場合のように、機械加工された孔30の内側か、または、逆に機械加工された突起上を障害なく滑らかに動くことができなければならない、それが滑らかに動かない場合、その物体は、その最大の材料状態以上である。「no go」ゲージ24は、図1の場合のように、機械加工された孔の内側、または突起上で滑らかに動くことができてはならず、それが可能な場合、物体は、その最小の材料状態以下である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】英国特許第1445977号明細書
【特許文献2】英国特許第1551218号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この方法の短所は、ゲージ自体が、それらもまた製造されるので割り当てられた公差を有さなければならないという事実から生じている。公差の範囲外の(不良)物体が全く容認されないことを保証するために、全てのゲージ公差は、作業公差範囲内にある必要があるが、しかしながら、これは、いくつかの良品が、拒絶されることを意味する。この方法の別の短所は、各ゲージを手動で所定の場所に移動させる必要があるので物体をチェックするのにかかる時間である。不良品が誤って通過しないように、「go」ゲージは、部分の1つのサイズまたは形状の部分のみをチェックするのに使用されるべきであり、「no go」ゲージは、任意の部分の一態様のみをチェックするのに使用されるべきである(すなわち、矩形の長さおよび幅は、別々にチェックされるべきである)。
【0005】
「go、no−go」ゲージブロックは、良否の結果を与える。物体が不良の場合、ゲージブロックは、なぜそれが不良であるかについての情報を与えることはない。例えば、工具が、切断中に切れ味が悪くなり、カッティングエラーが生じた場合、これが起こった正確な地点を知ることは有益ではあるが、しかしながら、この情報を、ゲージブロックから得ることはできない。
【0006】
物体が公差に合致していることをチェックするための他の知られた方法は、工作機械のような座標位置決め装置を使用した物体の検査を伴う。工作機械によって検査される物体は、工作機械によって機械加工された工作物である場合が多い。工作機械は、プローブ(接触式または非接触式)が装着されるスピンドルを有し、そのスピンドルは、機械の可動範囲内の3つの直交方向X、Y、Zに動かすことができる。
【0007】
タッチトリガープローブおよびアナログプローブを含めたコンタクトプローブは、典型的には、筐体に対して可撓性の工作物接触式スタイラスを有する筐体を備える。タッチトリガープローブでは、スタイラスが載置位置から撓むことにより、スタイラスが、工作物の表面に触れたことを示す信号が生じる(例えば、英国特許第1445977号を参照のこと)。アナログプローブでは、プローブの振れは、スタイラスが工作物の表面に沿って移動される間、連続して測定される(例えば、英国特許第1551218号を参照のこと)。当然のことながら、アナログプローブは、デジタル出力を与えるようにデジタルプロセッサに接続することができる。
【0008】
ノンコンタクトプローブは、触れることなく、工作物の表面に接近して配置される。プローブは、例えば、キャパシタンス、インダクタンスまたは光学手段を使用して表面の接近を検知する。
【0009】
各特徴に関して、コンタクトプローブおよびノンコンタクトプローブは、相当量の寸法の測定データを制御装置(コンピュータプログラムを含んでよい)へ中継する。例えば、アナログプローブは、数千の寸法の測定値を中継する。機械の位置情報と共にプローブ測定データにより、制御装置が、工作物の寸法の精密な画像を構築することを可能にする。工作物が、公差内にあるか否かを評価するために、プローブによって取得された寸法測定値が、工作物の所望される測定値と比較されなけらばならない。
【0010】
プローブが外観上で振れた各地点から収集されるデータのために十分遅い速度で、外観が測定されなければならない。工作機械のような座標位置決め装置のいくつかのタイプでは、プローブは電池作動式であり、測定データは、例えば、光学または無線リンクなどのワイヤレスリンクを介してプローブから制御装置に送られる。これらの通信信号は、電池エネルギーを使い果たす。相当数の測定される地点、およびこれにより中継されるデータにより、全体の工程は、多くの電池エネルギーおよび時間を消費する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、測定装置上の測定プローブを使用して、物体(工作物など)の寸法が公差に合致しているかどうかを決定する方法は、
物体の公差に基づいた、物体に対する経路の周囲で測定プローブを動かすステップと、
前記測定プローブが前記経路の周囲で動かされる際にそのプローブによって取得されるあらゆるプローブ測定データを監視するステップと、
前記測定プローブが前記経路の周囲で動かされる際に取得されるプローブ測定データの状態が変化する場合のみ、物体の寸法が公差に合致していないことを示すステップとを含む。
【0012】
この方法は、コンタクトプローブを使用して行うことができる。タッチトリガープローブなど、コンタクトプローブにおいて、測定プローブによって取得されたプローブ測定データの状態の変化は、偏倚されたプローブ状態と偏倚されないプローブ状態の間の変化であり得る。
【0013】
コンタクトプローブはまた、アナログプローブを備えてよい。アナログプローブの場合、プローブ測定データの状態の変化は、例えば、プローブ測定データが、所定の測定範囲からその範囲外に変化するとき、またはプローブ測定データが、所定の測定値閾を超える際に生じ得る。
【0014】
偏倚された状態と偏倚されない状態の間の状態の変化は、アナログプローブでは、プローブ振れ測定値が、所定の振れ測定値閾を超える際に生じる。例えば、偏向された状態は、プローブの振れが、所定の振れ測定値閾より大きい場合に生じ、偏向されない状態は、プローブの振れが、所定の振れ測定値閾より小さい場合に生じる。
【0015】
この方法はまた、非接触プローブを使用して行うことができる。非接触プローブにおいて、プローブ測定データの状態の変化は、例えば、プローブ測定データが、所定の測定範囲内からその範囲外に変化する際、またはプローブ測定データが、所定の測定値閾を超える際に生じる。
【0016】
有利には、所定の測定範囲は、少なくとも1つの物体の公差に依存する。好ましくは、所定の測定値閾は、少なくとも1つの物体の公差に依存する。
【0017】
物体の公差は、許容可能な物体の最大および最小サイズを定義する。例えば、シリンダの場合、最小公差は、より小さい直径の同心のシリンダであり、最大公差は、より大きな直径の同心のシリンダである。測定プローブが周囲を動かされる経路は、物体の公差に基づいており、すなわちプローブは、物体の公差を定義する座標を通って移動される、または、プローブは、物体の公差を定義する座標からずれた座標を通って移動される。
【0018】
本発明の方法は、上記に記載の従来技術の「go、no−go」ゲージより迅速でより汎用性がある。「no−go」ブロックは、不良品が誤って検査に合格するのを防ぐために、一度に部分の一態様しかチェックすることができないが、プローブは、「go」または「no−go」モードで一度にいかなる数の部分も測定することができる。本発明はまた、ゲージブロック自体の公差によって、良品を拒絶する問題を克服する。本発明を使用して、物体が公差テストに不合格になった正確な地点を測定することが可能であり、これは、簡素なゲージブロックの使用では不可能である。
【0019】
有利には、前記測定プローブが前記経路の周囲で動かされる際にそのプローブによって取得されるあらゆるプローブ測定データを監視するステップは、プローブ自体の中で実行される。換言すると、測定プローブは、前記測定プローブが前記経路の周囲で動かされる際にそのプローブによって取得されるプローブ測定データを監視するステップを実行するためのチェックユニットを備えることができる。
【0020】
これは、無線アナログまたは非接触プローブを利用する際、それは、従来のプローブで検査する方法より著しく少ない電池エネルギーを使用し、はるかに速いという利点を有し、これは、テストに不合格のときのみ信号を送る必要があることが理由である。その結果、物体の公差をテストする際、たとえあったにしても、少数の信号のみが送られる。これは、精密な3次元画像を生成するのに必要とされる数千の信号と比較して、データ伝送量を著しく削減し、これにより電池エネルギーを削減する。
【0021】
代替として、測定プローブは、全てのまたは大半のプローブ測定データを関連するチェックユニットに出力し、前記関連するチェックユニットによって、あらゆるプローブ測定データを監視するステップが実行される。インターフェースまたは制御装置は、関連するチェックユニットを備えてよい。この方法は、上記に記載する従来技術の方法より迅速であるという利点を有し、これは、機械位置とプローブ測定データを組み合わせることによって、物体の3D表示を計算する必要がないことが理由である。
【0022】
有利には、測定装置が、工作機械動作を制御するためのメインプロセッサを有する工作機械を備えている場合、物体の寸法が公差に合致していないことを示すステップは、前記指摘を前記メインプロセッサに提供するステップを含む。これにより、メインプロセッサが、次に取るアクションを決定することができる。物体のサイズが大き過ぎる場合、例えば工作機械のメインプロセッサが、物体を再度機械加工するために、機械を操作することができる。
【0023】
有利には、物体の寸法が公差に合致していないことを操作者に示すために、プローブまたは関連するチェックユニット上のいずれかの場所にセンサ出力部が設けられる。センサ出力部は、例えばLEDまたはブザーであってよい。
【0024】
測定プローブは、例えば、タッチトリガープローブまたはアナログプローブなどのコンタクトプローブ、あるいはキャパシタンス、インダクタンスまたは光学プローブなど非接触プローブであってよい。
【0025】
本発明の方法で使用される測定装置は、例えば専用座標測定機械(CMM)などの座標位置決め装置、または旋盤や機械加工センタなどの工作機械を含んでよい。
【0026】
好ましくは、物体に対する経路の周囲で測定プローブを動かすステップは、「迅速」モード、すなわちプローブが、誤った測定データを提供することなく進むことが可能な速さのプローブによって実行される。
【0027】
有利には、物体に対する経路は、第1経路のみを含んでよい。このような例において、測定プローブが、前記第1経路の周囲で動かされる際、プローブ測定データは、公差内にあるべき物体に関して、1つの状態に留まる必要がある。プローブ測定データが1つの状態に留まるために、それは、少なくとも1つの物体の公差に依存する所定の測定データ範囲内に留まる必要がある。プローブ測定データが特定の範囲外に移り、プローブ測定データの状態を変える場合、物体が公差に合致していないことを示す信号が送られる。有利には、このような方法は、アナログプローブなどのコンタクトプローブ、およびキャパシタンス、インダクタンスまたは光学プローブなど非接触プローブと共に使用される。
【0028】
好都合には、物体に対する経路は、第1経路および第2経路を含んでよい。前記第1および第2経路は、最大および最小公差によって認められる物体の寸法に基づいてよい。最大公差によって認められる寸法とは、例えばシリンダの場合、そのシリンダの最大許容可能サイズである。最小公差によって認められる寸法とは、例えばシリンダの場合、そのシリンダの最小許容可能サイズである。測定プローブが第1経路の周囲で動かされる際、プローブ測定データは、第1の特定の状態に留まる必要があり、プローブが、第2経路の周囲で動かされる際、プローブ測定データは、公差内にあるべき物体に対して第2の特定の状態に留まる必要がある。この方法は、タッチトリガープローブまたはアナログプローブなどのコンタクトプローブ、およびキャパシタンス、インダクタンスまたは光学プローブなど非接触プローブと共に使用することができ、タッチトリガープローブに最も適している。
【0029】
この方法は、最初の走査がある領域内の障害を知らせた場合、障害の正確な位置を見つけるために、物体の前記領域内を再走査するさらなるステップを含んでよい。再走査ステップは、物体の不合格が生じた地点をより正確に見つけるために、好ましくは最初の走査より遅い速度で行われる。
【0030】
添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施例を、例示の目的のみで記載する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来技術における「go、no−go」ゲージブロックと、そのゲージによってテストされる外観を有する物体との側面図である。
【図2】工作物上で工作機械内に設置されたプローブを概略的に示す。
【図3】孔を有する工作物の平面図を示す。
【図4a】シリンダの斜視図を示す。
【図4b】シリンダの平面図を示す。
【図5a】孔を有する工作物の平面図を示す。
【図5b】図5aの孔を走査する際の経時的なスタイラスの振れの変化を示す。
【図6a】プローブによって出力された公差外のデータを示す流れ図である。
【図6b】インターフェース、即ち、制御装置によって出力された公差外のデータを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付図面における図2は、工作機械に設置された工作物を示す。測定プローブ6は、機械のスピンドル2の上に設置され、ツールホルダー4によって所定の位置に保持される。これは、工作物14上の外観12を機械加工する際、切断工具が保持されるであろう位置と同様の位置である。プローブは、プローブ本体5と、スタイラス8と、スタイラスチップ10とを含む。工作物14は、工作機械台16上に設置される。
【0033】
この場合において、コンピュータ、インターフェースまたは機械制御装置によって制御されるX、YおよびZ駆動の作用もとで、スピンドル2および測定プローブ6は、X、YおよびZの方向に移動し得るものであり、一方、台は静止したままである。X、YおよびZ目盛(その目盛の出力のためのカウンターを含む)は、測定プローブ6が設置されるスピンドル2の位置の瞬間的な3次元座標を示す。測定プローブ6から送られた測定読取値が、X、YおよびZ目盛からの読取値と合成されることで、スタイラスチップの位置、従って、工作物の表面における位置の計算が可能になる。
【0034】
静止した台が示されるが、工作機械は、Z方向にのみ移動するスピンドルおよび測定プローブを含むことでき、それに対して台は、XおよびYに移動する。工作物に対するプローブの移動において、3つの自由度が結果として生じるいかなる組合せも可能である。
【0035】
工作機械が上述されたが、他の測定装置、例えば、専用CMM、ロボットおよび非デカルト測定機械を使用可能とされる。
【0036】
図3は、機械加工された孔20を備える工作物14の平面図を示す。図2を参照して記載される装置は、孔の公差をチェックするのに使用することができる。
【0037】
孔20を「go」モードでチェックする際、プローブスタイラスは、最初は偏向されず、制御装置によって、孔の最小の許容可能な直径d1を基づく「go」経路22に沿って動かされる。プローブスタイラスが、この経路上の全ての位置で偏向されないままの場合、データ収集装置(例えば、機械制御装置)に信号は全く送られず、工作物は、「go」検査に合格する。スタイラスが、「go」経路に沿ったいずれかの場所で偏向された場合、機械はその地点でラッチし、プローブの振れのXYZ位置を記録し、孔は、最小の許容可能な直径d1より小さい直径を有し、工作物は、「go」公差テストに不合格となる。
【0038】
この場合、「go」検査に合格することは、孔の直径が、公差によって特定された最小の直径より大きいことを意味する。工作物が、「go」検査に不合格となった場合、それはさらに機械加工され、再度チェックされる。
【0039】
孔20を「no go」モードでチェックする際、プローブスタイラスは、最初に孔の表面に対して偏向され、制御装置によって、孔の最大の許容可能な直径d2に基づく「no−go」経路18の周囲で動かされる。「no−go」経路は、スタイラスの再載置位置が、公差の範囲外であるように選択される。スタイラスが、経路上の全ての位置で偏向されたままの場合、信号は送られず、工作物は、「no−go」検査に合格する。スタイラスが再載置する、すなわち、その行程中スタイラスが偏向されない状態になった場合、機械は、その位置でラッチし、スタイラスが再載置するXYZ位置を記録する。工作物は、「no−go」公差テストに不合格となる。
【0040】
この場合、「no−go」検査に合格することは、孔の直径が、公差によって特定された最大の直径より小さいことを意味する。工作物が、「no−go」検査に不合格となった場合、工作物は排除されるべきである。
【0041】
工作物の最大および最小の寸法は、工作物の既知の所望の表面形状に公差を足す、および引くことによって計算することができる。
【0042】
本方法の実施例は、上記に記載のタッチトリガープローブを使用するのが最も好適である。アナログプローブは、方法のこの実施例、すなわち、一方の経路内で、公差内にあるべき工作物のために、プローブが偏向された状態である必要があり、(すなわち、プローブの偏向は、上限より大きい)、他方の経路内で、公差内にあるべき工作物のために、プローブが偏向されない状態である必要がある(すなわち、プローブの振れは、下限より小さくなければならない)、2つの経路の周囲でプローブを動かすことによる実施例に従う際、タッチトリガープローブと同様に使用することができる。
【0043】
本実施例は、また、光学、キャパシタンス、インダクタンスプローブなど非接触プローブと共に使用するのにも好適である。この場合において、工作物のプローブからの距離は、経路に沿った地点で測定される。「go」経路をたどって、距離読取値が定義されたレベルを超えた状態(すなわち、工作物が、公差限界よりさらにプローブから離れる)である場合、工作物は、「go」テストに合格するが、しかしながら、距離読取値が、前記定義されたレベルより下に低下する場合、部品は、「go」テストに不合格となる。「no−go」経路をたどって、距離読取値が、定義されたレベルを下回る状態(すなわち、工作物が、公差限界よりよりプローブに近い)の場合、工作物は、「no−go」テストに合格するが、しかしながら、距離読取値が前記定義されたレベルを超えて上昇した場合、部品は、「no−go」テストに不合格となる。各場合において、定義されたレベルは、プローブの2つの状態状態(例えば、作動、および、非作動)に分かれる。
【0044】
孔から突起へは、「go」および「no−go」経路が逆になる。図4aは、基準直径42のシリンダである工作物40を示す。図4bは、その直径の公差限界を示す、シリンダの平面図である。この場合において、シリンダの最小の許容可能直径d1を記載する経路44は、「no−go」経路を形成し、シリンダの最大の許容可能直径d2を記載する経路46は、「go」経路を形成する。
【0045】
図5を参照すると、本発明の他の方法が示される。図5aは、孔52を有する工作物50を示し、図5bは、工作物を走査する際の経時的なスタイラスの振れの変化を示す。この例において、プローブスタイラスは、それぞれ孔52の最小公差直径d3および最大公差直径d4に対応する最大振れ56および最小振れ54が、対応付けられる。プローブが、経路の周囲で動かされる時、プローブスタイラス振れが、範囲54〜56の中にある場合、工作物は公差内にあり、検査に合格する。プローブスタイラスが、上限56(36で)を超えて偏向される場合、機械はラッチし、機械制御装置に、工作物がさらに機械加工を要することを示す信号を送る。プローブスタイラスが、下限54より下に偏向される場合、機械はラッチし、工作物を排除すべきことを示す信号を送る。
【0046】
シリンダの場合、最小許容可能シリンダ直径が、最小許容可能振れに対応付けられることができ、および、最大許容可能シリンダ直径は、その結果、最大許容可能振れを対応付けられる。この場合もやはり、プローブスタイラスが、上限56を超えて振れる場合、機械はラッチし、機械制御装置に、工作物がさらに機械加工を要することを示す信号を送る。プローブスタイラスが下限54より下に振れる場合、機械は、ラッチし、工作物を排除すべきことを示す信号を送る。
【0047】
この方法は、上述のように、アナログプローブを使用して実行可能とされる。この方法は、また、例えば、光学、インダクタンス、およびキャパシタンスプローブなど非接触プローブに関しても好適である。そのようなプローブは、工作物のプローブからの距離を測定する。上方および下方の距離が、公差によって認められる範囲のプローブ出力を画定するように公差限界に対応して設定される。プローブ出力が、認められた範囲外になった場合のみ、機械が、ラッチし、信号が送られるだろう。
【0048】
工作物の寸法が公差に合致しているかどうかを決定する方法は、工作物の領域を再走査するさらなるステップを含んでよい。最初の走査が、所与の領域に障害があることを知らせた場合、その領域でさらに遅い速度で走査が繰り返されてもよく、工作物の不合格が生じた地点をより精密に決定することが可能になる。
【0049】
本発明を使用して、公差支持のためにチェックされ得る他のタイプの機械加工された概観は、例えば、角、面取り部および直線縁部を含む。
【0050】
図6aは、本発明による方法を示す流れ図であり、プローブ60は、インターフェース即ち、制御装置62に公差外データのみを出力する。図6bは、プローブ60が全ての測定データをインターフェースまたは制御装置62に出力するのを示す流れ図である。
【0051】
図2〜図5に関し上述した例は、図6aの流れ図に示されるように、工作物が公差外にあるときのみ、プローブから制御装置/インターフェースに送られる信号を含む。
代替的に、プローブは、その経路に沿った全ての地点で、制御装置/インターフェース信号を送ることができ、制御装置/インターフェースは、工作物の寸法が公差に合致していない場合、信号を機械制御装置またはインターフェースに送ることができ、これは、図6bの流れ図に示される。この場合において、公差外データのみがインターフェース即ち、制御装置62に出力される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置における測定プローブを使用して物体の寸法が公差に合致しているかどうかを決定する方法であって、
前記物体の公差に基づいた前記物体に対する経路の回りを前記測定プローブを動かすステップと、
前記プローブが前記経路の回りで動かされるとき、該プローブによって取得されるあらゆるプローブ測定データを監視するステップと、
前記測定プローブが前記経路の回りで動かされるとき、取得される前記プローブ測定データの状態状態において変化がある場合のみ、前記物体の寸法が公差に合致していないことをステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記測定装置は、座標位置決め装置である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体に対する前記経路は、少なくとも1つの第1経路と、第2経路とを含み、該第1経路と第2経路とが、それぞれ、前記物体の寸法に許容される最大公差および最小公差に基づくものである請求項1乃至2のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記測定プローブは、タッチトリガープローブである請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記測定プローブによって取得された前記プローブ測定データの状態の変化は、振れたプローブの状態と振れないプローブの状態との間の変化である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記物体に対する前記経路は、第1経路のみを含む請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記測定プローブは、アナログプローブである請求項1乃至請求項3、または、請求項6のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記測定プローブは、ノンコンタクトプローブである請求項1乃至請求項3、または、請求項6のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記プローブ測定データが、所定の測定値の閾値を横切る場合、前記プローブ測定データの状態における変化が、生じる請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の測定値閾値は、少なくとも1つの前記物体の公差に依存する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記プローブ測定データが、所定の測定範囲からその範囲外に変化する場合、前記プローブ測定データの状態における変化が生じる請求項7乃至請求項10のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記所定の測定範囲は、少なくとも1つの前記物体の公差に依存する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定プローブが、前記経路の回りで動かされるとき、前記測定プローブが、該プローブによって取得されるプローブ測定データを監視する前記ステップを実行するためのチェックユニットを含む前記請求項1乃至請求項12のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記測定プローブは、関連するチェックユニットにプローブ測定データを出力し、あらゆるプローブ測定データを監視する前記ステップは、前記関連するチェックユニットによって実行される請求項1乃至請求項12のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
インターフェースおよび制御装置のうちの少なくとも一方は、前記関連するチェックユニットを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定プローブを前記物体に対する経路の周囲で動かす前記ステップは、誤った測定データを与えることのなく出来るだけ速く移動する前記プローブによって実行される請求項1乃至請求項15のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、最初の走査がある領域内の障害を知らせた場合、障害の正確な位置を見つけるために前記物体の前記領域を再走査するさらなるステップを含む前記請求項1乃至請求項16のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記物体の領域を再走査する前記ステップは、前記最初の走査よりも遅い速度で実行される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記物体の寸法が公差に合致していない場合、操作者に示すようにセンサ出力部をもたらすステップを含む請求項1乃至請求項18のうちのいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記測定装置は、工作機械動作を制御するためのメインプロセッサを有する工作機械を含み、
前記物体の寸法が公差に合致していないことを示す前記ステップは、該指示を前記メインプロセッサに供給することを含む請求項1乃至請求項19のうちのいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate


【公表番号】特表2009−540285(P2009−540285A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513753(P2009−513753)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002058
【国際公開番号】WO2007/141509
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】