説明

物体表面の欠陥検査装置および方法

【課題】
半導体デバイス等の製造工程中に発生する微小な異物やパターン欠陥を高解像検出するための深紫外光を光源とする装置において、短波長化による光学系へのダメージを検知して、ダメージ部分を退避する手段と、光学系配置の異常を製造時と比較検知して補正する手段とを備え、被検査対象基板上の欠陥を高速・高感度で安定検査できる装置および方法を提供すること。
【解決手段】
光学系の光路内に照明光の強度,収れん状態を検知する手段を設けて、光学系の異常を検知し、異常箇所が光軸と一致しないように退避する手段と、光学系を調整して製造時の光学条件となるように補正するように構成したことにより、検査装置内の光学系の長寿命化と微小欠陥の安定検出を図った。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップや液晶製品を製造する際の薄膜基板,半導体基板やフォトマスク等に存在する異物や回路パターンに生じる欠陥を検出し、前記検出された異物または欠陥を分析して対策を施すデバイス製造工程における異物または欠陥の発生状況を検査する方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体基板(ウェハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。さらに半導体素子の微細化に伴い、より微細な異物がキャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は、搬送装置の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスにより処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなど種々の原因により種々の状態で混入される。
【0003】
同様に液晶表示素子の製造工程においても、上記異物によりパターン欠陥が生じると、表示素子として使えないものになってしまう。また、プリント基板の製造工程においても同様の状況であって、異物の混入はパターンの短絡,不良接続の原因となる。このような背景の下、半導体製造においては、各製造ライン毎に異物検査装置を場合によっては複数配置し、上記異物の早期発見による製造プロセスへのフィードバックにより半導体製造の歩留まり向上を図っている。
【0004】
従来のこの種の半導体基板上の異物を検出する技術の1つとして、特開昭62−89336号公報(従来技術1)に記載されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物及び欠陥検査を可能にするものが開示されている。また、特開昭63−135848号公報(従来技術2)に開示されているように、半導体基板上にレーザ光を照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、この検出した異物をレーザフォトルミネッセンスあるいは2次X線分析(XMR)などの分析技術で分析するものが知られている。
【0005】
また、上記異物を検査する技術として、ウェハにコヒーレント光を照射してウェハ上の繰り返しパターンから射出する光を空間フィルタで除去し、繰り返し性を持たない異物や欠陥を強調して検出する方法が開示されている。また、ウェハ上に形成された回路パターンに対して該回路パターンの主要な直線群に対して45度傾けた方向から照射して主要な直線群からの0次回折光を対物レンズの開口内に入射させないようにした異物検査装置が、特開平1−117024号公報(従来技術3)において知られている。この従来技術3においては、主要な直線群ではない他の直線群を空間フィルタで遮光することについても記載されている。
【0006】
また、異物等の欠陥検査装置およびその方法に関する従来技術としては、特開平1−250847号公報(従来技術4),特開2000−105203号公報(従来技術5)が知られている。特に、従来技術5には、検出光学系を切換えて検出画素サイズを変えることが記載されている。また、異物のサイズ測定技術としては、特開2001−60607号公報(従来技術6)が開示されている。これらの異物検査装置では、高速かつ高感度検査が求められる。このため、ウェハ移動ステージの高速化や検出光学系の高NA,高解像化は検査装置を開発する上で重要となっている。また、検査装置自体からの発塵防止は勿論のこと、検査中の被検査対象への新たな異物の付着もあってはならない。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−89336号公報
【特許文献2】特開昭63−135848号公報
【特許文献3】特開平1−117024号公報
【特許文献4】特開平1−250847号公報
【特許文献5】特開2000−105203号公報
【特許文献6】特開2001−60607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、半導体の高集積化により検出すべき異物や欠陥の寸法は益々微細化しており、検出光学系の高NA化や検査光の短波長化が進められてきている。また、検査装置内のクリーン度を向上させても搬送部などの可動部が存在する以上、異物を完全に除去した雰囲気を作ることは大変コストがかかると共に実質、難しいことである。そして、照明光の短波長化と検査装置内の浮遊塵埃との光化学反応で光学素子表面にこの異物が付着し、これによる光学素子の反射率や、透過率が低下してしまう点については配慮がなされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの特徴は、光学素子を1次元、または2次元的に移動させる移動部を有することにある。
【0010】
本発明の他の特徴は、照明光の照明状態(照明光の光量や形状等)を測定する光検出部、撮像装置を有することにある。
【0011】
本発明のその他の特徴は、前記光検出部、前記撮像装置で測定した照明状態に応じて、前記移動部を用いて前記光学素子を移動することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学素子を移動させることにより、光学素子の長寿命化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
本実施の形態に係る欠陥検査装置は、様々な品種や様々な製造工程におけるウェハ等の被検査基板上における異物,パターン欠陥,マイクロスクラッチ等の様々な欠陥を高感度で、かつ高速で検査し特にウェハ表面に形成された薄膜表面の欠陥を薄膜中の欠陥と分離して安定して検出するものであり、特に装置内を浮遊している汚染物質の光学素子表面への付着による反射率等の低下および光学系の物理的変化により欠陥検出感度が変動しないような装置構成としたことを特徴としている。
【0015】
具体的には、本実施の形態に係る欠陥検査装置は、照明光学系10の光路中にある光学素子320等を移動させる移動部を設けて、照明光を反射させて検出する第2の光検出手段310(TVカメラ等の撮像装置)、および被検査基板1の載置台34に設けられた第3の光検出手段180によって照明状態を検知することにより、照明光学系の異常を検出して、正常な状態に修正する機能を備えた装置構成としたものである。
【0016】
また、本実施の形態に係る欠陥検査装置は、照明光と検査装置内の浮遊塵埃との光化学反応で、光学素子表面に汚染物質が付着することによる光学素子の反射,透過率低下等の機能障害を、光路中に配した検出手段で検知し、異常の場合は前記移動部を用いて光学素子を退避させることで回避できる。
【0017】
つまり、前記光検出部で測定した照明光の照明状態に応じて、前記移動部を用いて前記光学素子は移動されることになる。
【0018】
まず、本発明に係る欠陥検査装置の実施の形態について具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、半導体ウェハ及び該ウェハ上に形成された透明膜上の小/大異物やマイクロスクラッチおよび、透明膜中の異物やパターン欠陥等の欠陥を検査する場合について説明するが、半導体ウェハのような基板の他に、薄膜基板,フォトマスク,TFT,PDP,ハードディスク等の基板の検査にも適用可能である。
【実施例1】
【0019】
図1に、第1の実施例に係る物体表面の欠陥検査装置の構成を示す。本欠陥検査装置は、大きくは、照明光学系10,検出光学系20,搬送系30,信号処理系40及び欠陥検査装置全体を制御する全体制御部50によって構成される。
【0020】
搬送系30は、例えば様々な品種や様々な製造工程から得られるウェハ等の被検査対象基板1を載置台34に載置,移動させるXステージ31−1,Yステージ31−2,Zステージ32,θステージ33と、これらを制御するための駆動回路35とを備えて構成される。
【0021】
照明光学系10は例えば図2の如く、レーザ光源11,シャッタ58,ビーム拡大光学系16,ミラー260〜268,レンズ231〜233,波長板211〜213を備え、レーザ光源11から射出された光を、ビーム拡大光学系16である大きさに拡大後、ミラー,波長板,レンズ等を介して、斜め複数方向からウェハ1表面上に照明するように構成される。
【0022】
検出光学系20は、例えば対物レンズ21,空間フィルタ22,結像レンズ23,光学フィルタ25,ミラー90,TDIイメージセンサ等の光検出器26を備えて構成される。
【0023】
信号処理系40は、例えば光検出器26で検出された画像信号を処理して欠陥,異物を検出する。
【0024】
観察光学系60は、例えば対物レンズ61,ハーフミラー62,チューブレンズ65,照明光源63及び撮像手段64を備え、照明光源63から出射した光をハーフミラー62で反射して光路をウェハ1の方向に曲げ、対物レンズ61で集光させてウェハ1の表面を照明するように構成される。そして、ウェハ1で反射,散乱した光のうち対物レンズ61に入射した光は、ハーフミラー62を透過して撮像手段64の受光面に結像する。観察光学系60はウェハ1を検出光学系20で検査して得られた検査結果に基づいて異物の有無,形状を確認するものである。
【0025】
全体制御部50は、検査条件などを設定し、上記照明光学系10,検出光学系20,搬送系30および信号処理系40の全体を制御する。全体制御部50には、入出力手段51(キーボードやネットワークも含む),表示手段52,記憶部53が設けられている。55は被検査対象基板1の表面に形成されている回路パターンなどの設計データが格納されている記憶手段(サーバ)であり、設計データから空間的な光学像を形成することができる。
【0026】
なお、この欠陥検査装置には、ウェハ1の表面の像を光検出器26の受光面に結像させるように自動焦点制御系(図示せず)を備えており、検査中、光検出器26の配列画素203は線状照明領域201内に含まれるよう制御される。
【0027】
本検査装置では、複数の方向から被検査対象基板1の表面に照明可能な構成になっており、シャッタ58は検査中にレーザ光L0が被検査対象基板1表面への照射の有無で開閉するようになっている。すなわち、レーザ光が被検査対象基板1表面以外に照射される場合は閉じて、後方の光学素子にレーザ光を導かないよう制御される。照明光学系10としては、特開2000−105203号公報に記載されているように、図2(a)に示す如く、レーザ光源11から射出された光L0を、例えば図示しない凹レンズおよび凸レンズ等から構成されるビーム拡大光学系16,スリット状ビームに成形するレンズ14,ミラー255等で構成され、レーザ光源11から出射された光L0をスリット状(線状)ビーム200に成形してウェハ1にスリット状の照明領域201を形成するものである。
【0028】
本実施例による検査装置では、単波長のレーザビームでウェハ1の表面を低角度(低い入射角度)で照明するための構成として、図2(b)に示す如く、スリット状ビーム200(ウェハ1のスリット状の照明領域201に照射する光、以後、この光をスリット状ビームと記載する)を平面的に複数の方向(図2(b)においてはレーザ光L1,L2,L3の照射方向)、及び複数の照明角度(図2(b)におけるα,β,γ)にて、載置台(ウェハチャック)34上に載置されたウェハ1に照射するように構成されている。
【0029】
ここで、照明光をスリット状ビーム200にするのは、照明により発生する異物や欠陥からの散乱光の像を、光検出器26の一列に配置した受光素子の検出面上に結像させて、一括して検出することにより、異物検査の高速化を図るためである。
【0030】
すなわち、ウェハ1上に形成されたチップ202の配列方向がXステージ31−1の走査方向およびYステージ31−2の走査方向に対して平行になるようにθステージ33を駆動して載置テーブル34上に載置されたウェハ1の向きを調整し、この向きを調整したウェハ1上にスリット状ビーム200を照射する。
【0031】
このスリット状ビーム200が照射されるウェハ上のスリット状の照明領域201の形状は、X方向に集光してY方向に平行光となるように構成された光学系により、Xステージ31−1の走査方向Xに直角(ウェハ1上に照射されたスリット状の照明領域201の長手方向がXステージ31−1の走査方向Xに直角)、Yステージ31−2の走査方向Yに平行(ウェハ1上に照射されたスリット状の照明領域201の長手方向がYステージ31−2の走査方向Yに平行)、また光検出器26の画素配列203方向とも平行になるよう光軸が調整されているものである。これは画像信号のチップ間比較を行う際に、チップ間の位置合わせが容易に行える効果を奏する。このスリット状の照明領域201は、図3に示すように光路中に例えば円錐曲面レンズ14を設けるかまたは円筒レンズ232を設けることにより形成することができる。一例として、ここでレンズ231及233は、図3(a)に示すように、長手方向の曲率半径が連続的に変化するような円錐曲面レンズであり、水平方向角度φ方向からYステージ31−2の走査方向に対してウェハ1上に照射されるスリット状ビーム201の長軸方向が平行になるようにしている。
【0032】
すなわちここで、レーザ光L1及びL3による照明では、ウェハのY軸方向に対して左右に角度φ回転し、かつZ軸方向に角度α傾斜した方向(図2(b)では、L3からの照明光がミラー265で反射されてレンズ233を透過してミラー268に到る光路と、ミラー268からウェハ1のスリット状ビーム200の照射領域201までの光路とが重なって表示されている)からそれぞれスリット状に成形されたレーザ光をウェハ1上に照射する。
【0033】
また、レーザ光L2による照明は、例えば図3(b)に示す円筒形レンズ232により、ウェハのY軸に対して、角度γ傾斜した方向から、Yステージ31−2の走査方向と同方向にスリット状ビーム200の照射領域201−2を形成する構成となっている(円筒形レンズ232は、Y軸に対して傾斜して、スリット状ビーム200の照射領域201−2がウェハ1上に集光するように配置されている)。
【0034】
また、全体制御部50からの指令に基づいて、図2(a)に示すように、ミラー255の角度θを図示していないパルスモータ等の駆動手段で変えることにより、照明角α(β,γ)を例えば被検査対象基板1上で検査対象とする異物の種類によって変えられる構成になっている。図2(c)に示すように、いかなる照明角の場合でもスリット状ビーム200の照射領域201は、光検出器26の画素配列203をカバーし、また、レーザ光L1,L2,L3による照明であっても、スリット状ビーム200の照射領域201−1〜201−3はウェハ1上で一致するよう構成されるものである。
【0035】
これにより、Y方向に平行光を有し、かつφ=45度付近の照明を実現することができる。特に、スリット状ビーム200をY方向に平行光にすることによって、主要な直線群がX方向およびY方向を向いた回路パターンから発する回折光が空間フィルタ22によって効率的に遮光されることになる。ここで空間フィルタ22は、図1に示すように、検出光学系20の光路中に、検査中はY方向に退避可能なミラー90と、投影レンズ91、TVカメラ92からなる瞳観察光学系70を用いて、フーリエ変換の結像位置における繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点を撮像し、処理回路95により処理してこの輝点をフーリエ変換の結像位置に設けた矩形状の遮光部を複数有する遮光板で遮光するように調整されるものである。
【0036】
これらの動作は、全体制御部50からの指令に基づいて駆動回路27からの信号により行われるが、例えば、被検査対象基板1上に形成された回路パターンが高密度の場合は高倍率での高感度検査モードとし、回路パターンが低密度の場合は低倍率にして高速検査を行う等、ステージ上に載置される被検査対象基板1の表面情報,製造プロセスにあわせて微小欠陥を多く検出するように照明,検出条件を設定するものである。
【0037】
なお、レーザ光源11としては、例えばYAG第2高調波の波長532nmの高出力レーザや第4高調波の266nmを用いても良く、また、紫外,遠紫外あるいは真空紫外光レーザでも良く、またArレーザや窒素レーザ,He−Cdレーザやエキシマレーザ,半導体レーザ等の光源であっても良い。
【0038】
一般的にレーザ波長を短波長化することにより、検出像の解像度が向上するため、高感度な検査が可能となる。
【0039】
次に本発明における物体表面の欠陥検査の動作の一例について図4により説明する。図4において、500は欠陥検査装置、85はウェハを収納するウェハカセット、80は搬送ロボット、82はウェハをつかんで搬送するための搬送アーム、340はウェハのオリフラ検出部、350はオリフラ検出光学系、300はウェハのエッジ部の欠陥を検出する端面検査装置、345はウェハ表面の欠陥を検出する欠陥検査装置である。被検査対象基板であるウェハ1は、搬送アーム82でウェハカセット85から取り出され、オリフラ検出部340に搬送される。図5はオリフラ検出部340を、図4のY方向から見た断面図である。ウェハ1は、チャック353に真空吸着され、モータ354により回転する。オリフラ検出光学系350は、例えば投光部351と検出部355から成り、投光部351からの照明光352を受光して、検出部355の受光信号が処理回路356を介して全体制御部50に送られる。全体制御部50は、ウェハ1の偏芯量とオリフラ(Vノッチ)位置を算出し、コントローラ357を介してY軸に対するオリフラの補正信号をモータ354に送る。また、偏芯量は搬送ロボットが欠陥検出部345の搬送系30にウェハ1を設置する際に補正値として搬送アーム82の移動値にフィードバックされ、ウェハ1が欠陥検出部345の載置台34の中央に位置合わせされる。一方、ウェハ1が回転している間、端面検査装置300はウェハ1の端面部(エッジ部)の欠陥検査を行う。検出された信号は処理回路301で処理されて欠陥信号が全体制御部50に送られる。欠陥が検出された場合、オリフラの位置を原点位置として、モータ354に連結された図示していないロータリーエンコーダのパルスカウントから回転方向の座標位置が全体制御部50に記憶される。
【0040】
欠陥検査においては、ウェハ1表面の微細な欠陥を高速に検査する必要があり、且つ、欠陥検査部345の載置台34に載置されたウェハ1の表面には色々な欠陥種が存在し、欠陥検査においては、より多くの欠陥種を安定して検出することが要求される。このため、検出する欠陥種に合わせた検査条件を設定する必要がある。本欠陥検査装置では、照明の方向、角度を欠陥種に合わせて変更可能な構成とし、かつ一定の検査条件で検査できるような装置構成としている。すなわち、照明光量モニタおよび照明ビームの形状確認機能を備えて照明条件が最適となるよう設定されるものである。半導体検査では、より微小な欠陥を検出するために、検出光学系の高NA化や照明光の短波長化が進められている。一方、照明光の短波長化においては、透過する硝材が限られてくる中、空気中の浮遊物が光学系に付着し、これに照明光が照射されることによって化学変化が生じ、結果的に光学系の透過や反射率が低下し、安定して欠陥検査が行えないという課題がある。
【0041】
このため本実施例では、欠陥検査装置内で照明ビームの光量,形状測定を行い、光路中に配したミラーやフィルタなどの光学素子の表面が汚れたことによって透過率が低下したと判断された場合、当該ミラー,フィルタなどの光学素子を、1次元または2次元方向に移動させて、照明光が透過率低下部分に照射されない構成としている。
【0042】
照明ビームの光量,形状測定には後述する実施例2の検出器180−1や、180−2等を用いて良いし、ミラー320(シェアプレート)やTVカメラ310等を用いても良い。
【0043】
次に、図6,図7により光学素子を移動させる移動部の例、および移動方法について説明する。表面が汚れ,損傷等により透過または反射率が低下した光学素子は、移動時に光軸がずれないよう光軸L0に対して垂直な平面方向に移動する構成となっている。図6は、ビームスプリッタ(又はミラー)120を移動させる移動部の一例を示すものであり、ホルダ125に支持されたビームスプリッタ(又はミラー)120をモータ122、送りネジ123とリニアガイド124で、同図(b)の如く光軸L0に垂直でもって紙面上下方向に移動し、照明ビーム121の照射位置を移動(点線部)せしめるものである。ここで、モータ122は送りネジ123を駆動するもので、送りネジ123はモータ122の回転によって移動し、光学素子を移動させるもので、リニアガイド124はレールのような部材で光学素子の移動方向を規定するものである。
【0044】
照明ビームの直径が、ビームスプリッタ120の反射面(透過面)に対して十分に小さい場合は、少量の移動量で良く、移動量は、照明ビームの直径に応じて予め設定される。更にXY方向に移動機構を設けてミラー移動後の光軸のシフト補正を行う構成にすることでミラーに対する照明ビームの照射位置を二次元方向に移動させることも可能である。また、図7(c)に示す特性の円形可変NDフィルタ130や偏光子などは図7(a)に示す移動部により回転移動させることが可能である。すなわち、NDフィルタや偏光子が設けられた光学ユニット140をモータ141,送りネジ142とリニアガイド143によって、同図(b)の如くレーザ光L0の光軸に対して垂直方向(紙面左右方向)に移動(点線部)して照明ビームの照射される位置を変えれば良い。なお、光学素子の移動量は、予め照明ビームL0のビーム径121(または131)より算出され、損傷部分と干渉しない程の移動量が全体制御部50からの指令により設定される。なお、移動箇所がなくなった場合は、新規光学素子と交換されることになる。この場合、予備の光学ユニットと交換、あるいは光学ユニットにもう一式同様の光学素子を設置し、モータと送りネジでリニアガイド上を移動させて切換える構成にしてもよい。
【0045】
なお、本実施例の光学素子を移動させる移動部は、光路中の光学素子を移動できるような構成であれば良く、光学素子の汚染が生じる可能性のある様々な検査装置へ適用可能である。1つの例としては、パターン無しウェハ表面検査装置にも適用可能である。例えば、搬送系30は回転移動と直進移動とを行うような構成であっても良いし、検出光学系20はTDIイメージセンサの他に光電子増倍管(PMT)等を用いても良いし、空間フィルタ22は無くても良い。
【実施例2】
【0046】
ところで、高集積の半導体基板上の微細欠陥を高速検出するためには、高輝度の照明ビームをウェハ1上に照射し、欠陥から発生する散乱光を効率よく検出する必要がある。このため、光検出器26の画素配列に対して、スリット状ビーム200の照射領域201がウェハ1上で一致し、且つスリット状ビーム200の輝度分布が、例えばレーザの輝度分布に沿った形状であることが望ましい。検査中は検出光学系20の物体焦点に対して、ウェハ1の表面が一定高さになるように記述していない自動焦点系により制御されるため光検出器26の画素配列に対して、スリット状ビーム200の照射領域201はウェハ1上で一致した状態が保持されるが、光学系の経時変化やレーザ光源11の内部に設けられたUV光変換のための結晶のシフト(結晶表面がレーザ照射で焼付け等の損傷を受け、出力低下の場合にレーザ光源側で自動または手動にて実施される)によって、ウェハ上での照明ビームの照射位置やビーム形状(プロファイル)が変化すると安定な欠陥検査が行えないことになる。
【0047】
そこで、本発明の第2実施例として、照明ビームの形状の異常を検知し、補正する方法について次に説明する。照明ビームの状態を検知するため、本発明では載置台34のウェハ1の近傍に照明ビームの形状測定手段を設けて照明ビームの形状を測定、補正する構成とした。すなわち、図8(a)に示すように、載置台34のレーザ光L1及びL3のウェハ1への照射経路に検出器180−1および180−2を対称的に配置して、照明ビームの形状を測定可能にしている。同図(b)はX方向から見た側面図である。検出器180はホルダ182に設けられてφ方向及びα方向に回転、且つ、Z方向に検出器全体が移動可能な構成になっている。ここで、φ,αは検出器180に入射するレーザ光L1、L2、L3が検出器180の受光面に対して垂直に入射するようにそれぞれ設定される。検出器180は、例えばスリット走査形検出器や二次元的に受光素子が配列したCCDセンサ等であり、プロファイル測定時以外は載置台34に格納されウェハ1の検査面より突起しない構成となっている。
【0048】
次に、ウェハ1上に照射されるレーザ光L1〜L3のプロファイルを求める方法について説明する。図9(a)は検出器180で検出された照明ビームの検出状態を示す模式図である。検出器180の検出信号は全体制御部50に送られ、全体制御部50ではスリット状ビーム200の検出画像から、X−X′方向断面波形184およびY−Y′方向断面波形183を求め、それぞれの波形の最大値に対して、任意の設定値hの位置でのスリット状ビーム200の幅Wと長さLが算出され、予め記憶手段55に格納してあるデータと照合して許容範囲か否かを判定する。許容範囲外の場合は集光レンズ231または233を図示しない駆動手段で光軸方向に移動してスリット状ビーム200の幅Wと長さLが許容範囲内となるように調節される。ここで許容範囲内に収まらない場合は、ビームエキスパンダ16から出射されるレーザ光のコリメーションが良好でないことが考えられる。次に、ビームエキスパンダ16のコリメーションを調節する動作について説明する。本発明では、一例としてビームエキスパンダ16の出射口近傍の光路中に、退避可能に構成されたミラー320を配し、該ミラー320から反射される平面波をTVカメラ310で受光して干渉縞の状態からレーザビームの平行性を測定する構成にした。すなわち、ミラー320は表面,裏面が高精度に研磨されたシェアプレートであり、表面及び裏面反射光がX方向で重なって干渉縞を形成するものである。図10(a)〜(c)はTVカメラ310で検出される干渉縞の模式図を示したものであり、ビームエキスパンダ16から出射されたレーザ光の収れん状態によって干渉縞の方向が変化する状態を示している。TVカメラ310の検出画像311は、全体制御部50に送られる。
【0049】
全体制御部50は、検出画像から干渉縞の回転角を算出するため、A−A断面波形313およびB−B断面波形314を生成し、双方の波形の位相差Δdを算出して、算出結果を基にビームエキスパンダ16のレンズ間隔を調節し、レーザ光が平行光となるように調整される。図11はビームエキスパンダ16の構成概略を示す図である。ビームエキスパンダ16は、例えばレンズ410とレンズ450の2群のレンズで構成され、このうちレンズ450はガイド420に固定されている。レンズ410はモータ431,送りネジ432によってガイド420上をX方向に移動する構成であり、原点センサ436の位置を基準原点として、リミットセンサ437,438の間をX方向に移動してビームエキスパンダ16から出射されるレーザ光の平行性が変化する。全体制御部50は、TVカメラ310から取り込んだ画像311から算出した位相差Δdが最小となるように、コントローラ440を介してモータ431を駆動しながら、レンズ410とレンズ450の間隔を調整し、レーザ光の平行性が設定された許容値以下になった時に、モータ431の駆動を停止し、レンズ410のX方向位置(基準原点からのパルス数)を記憶部53に格納する。
【0050】
本実施例の方法により照明ビームの形状の異常を検知し、補正することができるので、安定した欠陥検査が行えることとなる
【実施例3】
【0051】
次に検出光学系の異常を検知,補正する方法について図12,図13により説明する。
本欠陥検査装置の検出光学系20は、対物レンズ21と結像レンズ23から構成されるテレセントリック光学系である。欠陥検査において、欠陥を安定して検出するためには、検出光学系の性能が製造時と変わらないことが好ましい。このため、本発明では、検出光学系の光路途中と結像位置に検出光学系の結像性能を確認するため手段を設けている。
【0052】
すなわち、図12に示す如く、ミラー267がY方向に退避した状態において、レーザ光源11から出射された平行レーザ光L0を、ビームエキスパンダ16で拡大後、ミラー264,306,307を介して集光レンズ308で検出光学系20の物点位置にレーザスポット(点像)形成し、検出光学系20の結像位置における点像の形状から結像性能をチェックするものである。集光レンズ308を通過したレーザ光は、集光したあと広がって対物レンズ21に入射し、平行光束となって対物レンズ21と結像レンズ23の間に設置されたミラー240で反射してTVカメラ241に到達する光路と、或いはミラー240がY方向に退避した状態で、直進して結像レンズ23に入射する光路をたどる。
【0053】
結像レンズ23に入射した光は、結像レンズ23の上方に配置された検出器26と受光面が同位置になるよう配置され、且つ、X方向に検出器26と切換可能に設置されたTVカメラ105の受光面に結像する。集光レンズ308は、図示しないXYZステージ上に搭載されており、レーザスポット309が対物レンズ21の光軸上でもって且つ焦点位置に一致(TVカメラ105の検出画像の点像337が最小となる位置)するようにZ方向に移動して結像位置が決定される。
【0054】
対物レンズ21と結像レンズ23の間に挿入されるミラー240は、表面240a,裏面240bの両面が高精度に研磨されたシェアプレートである。ミラー240の表裏面で反射された光は重なってTVカメラ241の受光面に干渉縞が投影される。TVカメラ241の出力は画像入力基板242を介して全体制御部50に送られる。全体制御部50は、図10で説明した方法により、干渉縞の傾きが平行となるように集光レンズ308をZ方向に移動して調節する。
【0055】
次に点像309を用いて検出光学系20の視野範囲で結像性能をチェックする方法について説明する。ミラー240がY方向に退避した状態で、検出光学系20の物点位置でレーザスポット309を移動させて結像位置でレーザスポット像337をTVカメラ105で検出する。レーザスポット309は、集光レンズ308及びミラー307を同時に動かすことにより移動させる。すなわち、レーザスポット309をXa〜Xcまで移動する間、同期してTVカメラ105も移動し、レーザスポット像337a〜337cを検出する。TVカメラ105の移動量は、レーザスポット309の移動量と検出光学系20の倍率から求められる。図13は検出光学系20の検出視野Ld内でレーザスポット309のX方向位置がXa,Xb,Xcの時のTVカメラ105の検出画像(336a〜336c)の断面C−Cでのレーザスポット像(337a〜337c)の断面波形(輝度最大値)を示している。各スポット像の断面波形のピークから強度分布334を求める。ここで求められた強度分布334は、検出光学系20の製造時にサーバ55に格納してあるデータとの照合、検出視野Ldでの照明の輝度分布183との相関照合に参照され、例えば、TDIセンサ26の各画素のゲインを調整して検出視野Ld全域で感度補正を行い、欠陥の安定検出に効果を奏する。
【0056】
なお、ミラー267,ミラー240,集光レンズ308,ミラー307等の光学素子、およびTVカメラ105を移動させるのは実施例1に記載のモータ122、送りネジ123とリニアガイド124を用いた機構であっても良いし、エアシリンダであっても良い。
【0057】
次に、欠陥検査装置における欠陥検出信号処理について説明する。図14は、本発明の信号処理系の構成を示すものである。ウェハ1表面からの反射回折光を受光して光検出器26で光電変換された検出画像信号1300は信号処理系40で処理される。信号処理系40は、A/D変換器1301,A/D変換された検出画像信号f(i,j)1410を記憶するデータ記憶部1302,上記検出画像信号に基づいて閾値算出処理をする閾値算出処理部1303,上記データ記憶部1302から得られる検出画像信号1410と、閾値算出処理部1303から得られる閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))1420を基に画素マージ毎に異物検出処理を行うための回路を複数備えた異物検出処理部1304a〜1304n、低角,高角度照明によって検出欠陥から得られた散乱光量や欠陥の大きさ示す検出画素数等の特徴量を算出する特徴量算出回路1309、該特徴量算出回路1309から得られる各マージ毎の特徴量を基に、欠陥,異物のサイズや種類を分類する統合処理部1310から構成されている。
【0058】
異物検出処理部1304a〜1304nの各々は、例えば検出された二次元画像に対して1×1,3×3,5×5,…n×n画素単位で画像処理するためのマージオペレータ1504を備えた画素マージ回路部1305a〜1305n,1306a〜1306nと、異物検出処理回路1307a〜1307nおよび、検査領域処理部1308a〜1308nとで構成されている。
【0059】
A/D変換器1301でデジタル化された検出画像信号f(i,j)1410は、データ記憶部1302と閾値算出処理部1303に送られる。閾値算出処理部1303は、検出画像信号から欠陥,異物を検出するための閾値画像Th(i,j)1420を算出し、画素マージ回路1306に出力する。画素マージ回路1305,1306は、データ記憶部1302および閾値算出処理部1303から出力された画像信号1410,1420に対して、n×n画素の範囲で結合する機能を有し、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路であり、各種マージオペレータ毎に画像処理が行われる。異物検出処理回路1307は、画素マージ回路1305および1306から出力された信号を処理して欠陥,異物を検出する。ここで、画素をマージするのはウェハ1上に存在する大きさの異なる欠陥,異物をそれらのサイズに合った検出画素でS/N良く検出する目的であるが、検出すべき欠陥の形状によっては、必ずしもn×nの必要はなくn×mでも良い。
【0060】
検査領域処理部1308は、異物検出処理回路1307によって検出された欠陥または異物が存在するチップを特定するための処理を行うものであり、欠陥または異物を検出するため、検出閾値Th(H,L)と、検証閾値Th(Hm,Lm)を設けて、異物または欠陥を検出したチップを特定するものである。図16(a)はチップ1701,1702,1703のうち、中央のチップ1702に凸形の欠陥1704が存在する場合の検出画像例と、断面X−Xでの信号波形を示している。また、図17(a)はチップ1801、1802,1803のうち、中央のチップ1802に凹形の欠陥1804が存在する場合の検出画像例を示している。図16(a)において、信号1706は凸欠陥1704の信号を示し、信号1705,信号1707はチップ内に欠陥が存在しない場合を示している。
【0061】
図16(b)は、隣接チップ単位での差分処理結果を示すものであり、差分信号1710,1711はチップ1701,1702,1703で得られた画像信号の差画像1708,1709の断面X′−X′での信号波形を示している。差分信号1710はチップ1702の画像信号「B」とチップ1701の画像信号1「A」との差信号(B−A)であり、差分信号1711はチップ1703の画像信号「C」とチップ1702の画像信号「B」との差分信号(C−B)である。ここで、検出閾値H,検証閾値Hmは凸形の差分信号を検出するための閾値であり、検出閾値L,検証閾値Lmは凹形の差分信号を検出するための閾値である。
【0062】
図16(b)において、差分信号1710(B−A)が正の場合、その値が検出閾値Hまたは検証閾値Hmよりも大きい場合に異物または欠陥として検出し、また、差分信号1711(C−B)が負の場合、その値が検出閾値Lまたは検証閾値Lmよりも小さい場合(差分値,閾値共に負の値のために符号付の値が小さい場合である。絶対値としては閾値よりも差分値の方が大きい)に異物または欠陥として検出される。
【0063】
ところで、ウェハ1の外周検査時には隣接チップが存在しなくなる。この場合、検査領域処理部1308a〜1308nは、全体制御部50から得られる検査座標データを基に上記隣接チップ同士の比較処理{(B−A),(C−B)}から、飛び越えた隣のチップ同士の比較処理{(B−A),(C−A)}に切換えることになる。
【0064】
検査領域処理部1308は、検出された異物信号や閾値画像を検査領域処理部1308により、検出場所による処理を施す。同時に、各種マージオペレータ毎に設けられた異物検出処理部1304a〜1304nの、画素マージ回路1305a〜1305n,1306a〜1306n,異物検出処理回路1307a〜1307n,検査領域処理部1308a〜1308nから得られた信号を基に、特徴量算出回路1309で特徴量(例えば、高角度照明により得られた散乱光量,低角度照明により得られた散乱光量,欠陥の検出画素数等)を算出し、前記異物信号と前記特徴量を統合処理部1310で統合し、統合したデータを全体制御部50へ送信する。
【0065】
以下に詳細を述べる。A/D変換器1301は光検出器26で得られたアナログ信号1300をデジタル信号に8〜12ビットで変換する回路であり、データ記憶部1302は、A/D変換されたデジタル信号を記憶しておくための回路である。画素マージ回路部1305a〜1305n、1306a〜1306nは、図15に示す各々異なるマージオペレータ1504で構成されている。
【0066】
マージオペレータ1504は、データ記憶部1302から得られる検出画像信号f(i,j)1410と、閾値算出処理部1303から得られる検出閾値画像Th(H),検出閾値画像Th(L),検証閾値画像Th(Hm)、および検証閾値画像Th(Lm)からなる差分閾値画像信号1420との各々をn×n画素の範囲で結合する機能であり、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路である。
【0067】
ここで、画素マージ回路部について、1305a,1306aは例えば1×1画素を、1305b,1306bは3×3画素を、1305c,1306cは5×5画素を、…1305n,1306nはn×n画素をマージする奇数画素のマージオペレータで構成される。例えば、1×1画素をマージするマージオペレータは、入力信号1410、1420をそのまま出力することになる。
【0068】
閾値画像信号は、4種の画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))からなるため、各画素マージ回路部1306a〜1306nにおいても上記4種のマージオペレータOpが必要となる。従って、各画素マージ回路部1305a〜1305nからは、検出画像信号が各種マージオペレータ1504でマージ処理してマージ処理検出画像信号431a〜431nとして出力されることになる。他方、各画素マージ回路部1306a〜1306nからは、4つの閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))が各種マージオペレータOp1〜Opnでマージ処理してマージ処理閾値画像信号441a(441a1〜441a4)〜441n(441n1〜441n4)として出力されることになる。なお、各画素マージ回路部1306a〜1306n内のマージオペレータは同じものである。
【0069】
ここで、画素をマージする効果を説明する。異物検査では、微小異物だけでなく、数μmの範囲に広がった薄膜状の大きな異物も見逃すことなく検出する必要がある。しかし、薄膜状異物からの検出画像信号は、必ずしも大きくならないため、1画素単位の検出画像信号ではS/N比が低く、見逃しが生じることがある。このため、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによってSN比を向上させるようにしている。
【0070】
次に、検査領域処理部1308a〜1308nについて説明する。検査領域処理部1308a〜1308nは、異物検出処理回路1307a〜1307nからチップを特定して得られる異物又は欠陥検出信号に対して、検査不要領域(チップ内の領域も含む)のデータ除去や、検出感度を領域(チップ内の領域も含む)毎に変える場合や検査領域を選択する場合に用いる。
【0071】
検査領域処理部1308a〜1308nは、例えば、被検査対象基板1上の領域のうち、検出感度が低くても良い場合には、閾値算出処理部1303から得られる該当領域の閾値を高く設定しても良いし、異物検出処理回路1307a〜1307nから出力される異物のデータから異物の座標を基にして検査したい領域の異物のデータのみを残す方法でも良い。
【0072】
ここで、検出感度を低くする場合は、例えば、被検査対象基板1において回路パターンの低密度の領域であり、回路パターンが高密度領域では、高感度検査によりデバイス製造の歩留りを向上することができる。
【0073】
しかしながら、被検査対象基板1上の全領域を同一感度で検査した場合、重要な異物と重要でない異物が混じるために、重要な異物を容易に抽出することができない。そこで、検査領域処理部1308a〜1308nは、チップ内のCAD情報または閾値マップ情報に基づいて、回路パターンが存在しないような、歩留りにあまり影響しない領域の検出感度を低くすることにより、効率良く重要異物を抽出することができる。ただし、異物の抽出方法は、検出感度を変更する方法だけでなく、後述する異物の分類により、重要異物を抽出しても良いし、異物サイズを基に重要異物を抽出しても良い。
【0074】
次に、特徴量算出回路1309について説明する。この特徴量とは、検出された異物や欠陥の特徴を表す値であり、特徴量算出回路1309は、前記特徴量を算出する処理回路である。特徴量としては、例えば、照明角α,β,γを変えた高角度照明及び低角度照明によって得られた異物又は欠陥からの反射回折光量(散乱光量),検出画素数,異物検出領域の形状や慣性主軸の方向,ウェハ上の異物の検出場所,下地の回路パターン種類,異物検出時の閾値等がある。
【0075】
次に、統合処理部1310について説明する。統合処理部1310では、画素マージ回路1305,1306で並列処理された異物検出結果を統合したり、特徴量算出回路1309で算出した特徴量と異物検出結果(異物欠陥の位置情報)を統合し、全体制御部50に結果を送る機能を有する。この検査結果統合処理は、処理内容を変更し易くするためにPC等で行うのが望ましい。
【0076】
一方、TVカメラ92で撮像した検出光学系20のフーリエ変換像の結像位置におけるウェハ1に形成された繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点の画像信号は、信号処理系95に送られる。信号処理系95には、A/D変換器,画像データ処理部,パターンピッチ演算部があり、繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点の画像信号は、A/D変換された後、画像データ処理部で画像データとして処理され、パターンピッチ演算部で反射回折光像の輝点のピッチが求められる。この求めた輝点のピッチのデータと画像データとは全体制御部50に送られ、空間フィルタ22の遮光板の配列ピッチを制御する信号として空間フィルタ制御部27へ送られる。なお、ミラー240が対物レンズ21と結像レンズ23の間に挿入される際は、空間フィルタは退避することになる。
【実施例4】
【0077】
欠陥検査装置に顕微鏡を付けた実施の形態を図18に示す。この実施形態においては、検査によって検出された異物は、観察光学系60によって確認可能な構成になっている。この観察光学系60は、ステージ31,32を動かすことにより、観察光学系60の顕微鏡視野の位置に、ウェハ1上の検出した異物(虚報も含む)を移動させ、この画像を観察するものである。
【0078】
観察光学系60を備えている利点は、SEMなどのレビュー装置にウェハを移動させなくても、検出した異物を即座に観察できることである。検査装置での検出物を即座に観察することによって、すばやく異物の発生原因を特定することができる。また、観察光学系60のTVカメラ64の画像は、パソコンと共用のカラーモニタ上に検出した異物の画像が映し出され、検出異物の座標を中心として、部分的にレーザ照射とステージ走査による検査ができ、異物の散乱光像と異物位置をマーキングしてモニタ上に写す機能も有している。これにより、実際異物を検出したか否かの確認も可能である。なお、ステージ走査による部分画像は、異物の検出されたダイの隣接ダイの検査画像も取得できるのでその場での比較確認も可能である。
【0079】
観察用光学系60としては、光源には可視光(例えば白色光)でも良いし、紫外光を光源とした顕微鏡でも良い。特に微小な異物を観察するためには、高解像度の顕微鏡、例えば、紫外光を用いた顕微鏡が望ましい。また、可視光の顕微鏡を用いると異物の色情報が得られ、異物の認識を容易に行えるという利点がある
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態における照明光学系の配置関係、低角度照明光学系の概略構成、及び照明領域と検出領域の関係を示す図である。
【図3】照明光学系に用いられている円錐曲面レンズ及び円筒レンズの斜視図である。
【図4】欠陥検査装置の全体動作説明図である。
【図5】オリフラ検出光学系、端面検査装置の配置を示す側面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る光学素子の照明位置移動手段の説明図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る光学素子の照明位置移動手段の説明図である。
【図8】本発明の一実施例の光学系の異常を検知するための検出器の配置図である。
【図9】第2の実施例における照明光束の形状測定を説明するための図である。
【図10】第2の実施例における照明の収束状態を判定するための検出画像である。
【図11】第2の実施例における照明の収束状態を調節するための概略構成を示す図である。
【図12】第3の実施例における透過光による点像測定光学系の概略構成図である。
【図13】第3の実施例における点像の輝度分布を示す図である。
【図14】信号処理系の詳細な構成を示すブロック図である。
【図15】信号処理系の画素マージ回路の説明図である。
【図16】信号処理系で凸欠陥を検出する場合の説明図である。
【図17】信号処理系で凹欠陥を検出する場合の説明図である。
【図18】第4の実施例における観察光学系を付けた欠陥検査装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0081】
1 ウェハ(被検査対象基板)
10 照明光学系
11 レーザ光源
20 検出光学系
25 光学フィルタ
30 搬送系
35 駆動回路
40 信号処理系
50 全体制御部
51 入出力手段
52 表示手段
53 記憶部
60 観察光学系
70 瞳観察光学系
80 搬送ロボット
82 搬送アーム
155 裏面検査装置
180 光検出手段
195 異物除去手段
240,320 光学素子
300 端面検査装置
350 オリフラ検出光学系
1301 A/D変換器
1302 データ記憶部
1303 閾値算出処理部
1307 異物検出処理回路
1308 検査領域処理部
1309 特徴量算出回路
1310 統合処理部
1311 結果表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を載置し、移動する搬送系と、
レーザ光を前記基板に照射する照明光学系と、
前記基板上の欠陥から散乱した光を検出する検出光学系と、
前記レーザ光の光路に配置された光学素子と、
前記光学素子を1次元、または2次元的に移動させる移動部と、を有する光学式検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式検査装置において、
前記移動部は、
前記光学素子が保持された第1のホルダ、または前記光学素子が設けられた第1の光学ユニットと、
モータと、
送りネジと、
リニアガイドと、を有する光学式検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学式検査装置において、
前記光学素子は、
平面形状の光学素子である光学式検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光学式検査装置において、
前記光学素子は、
ビームスプリッタ,ミラー,NDフィルタ、および偏光子の少なくとも1つである光学式検査装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光学式検査装置において、
第2のホルダ、または第2の光学ユニットを有し、
前記モータと前記送りネジによって、
前記リニアガイド上を移動させ、
第1のホルダ、または第1の光学ユニットと、前記第2のホルダ、または前記第2の光学ユニットとを切換える光学式検査装置。
【請求項6】
基板を載置し、移動する搬送系と、
レーザ光を前記基板に照射する照明光学系と、
前記レーザ光の照明状態を測定する光検出部と、
前記基板上の欠陥から散乱した光を検出する検出光学系と、
前記レーザ光の光路に配置された光学素子と、
前記光学素子を1次元、または2次元的に移動させる移動部と、を有し、
前記移動部は、
前記照明状態に応じて前記光学素子を移動させる光学式検査装置。
【請求項7】
基板を載置し、移動する搬送系と、
レーザ光を前記基板に照射する照明光学系と、
前記基板上の欠陥から散乱した光を検出する検出光学系と、
前記レーザ光の形状を検出する光検出部と、を有する光学式検査装置。
【請求項8】
請求項7に記載の光学式検査装置であって、
前記光検出部は、
前記搬送系の前記基板を置く部分に設けられ、
φ方向,α方向、およびz方向に移動可能である光学式検査装置。
【請求項9】
請求項7に記載の光学式検査装置であって、
記憶部と、
制御部と、を有し、
前記記憶部は、
予め前記レーザ光の第1の形状を記憶し、
前記制御部は、
前記第1の形状と、
前記光検出部によって検出された前記レーザ光の第2の形状と、を照合する光学式検査装置。
【請求項10】
請求項7に記載の光学式検査装置であって、
レンズと、
前記レンズを移動する移動部と、を有し、
前記レンズの移動によって前記レーザ光の形状を調整する光学式検査装置。
【請求項11】
基板を載置し、移動する搬送系と、
レーザ光を前記基板に照射する照明光学系と、
前記基板上の欠陥から散乱した光を検出する検出光学系と、
複数のレンズと、
前記複数のレンズより後方の光路に配置された前記レーザの平行性を測定するための第1の光学素子、および撮像装置と、を有する光学式検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の光学式検査装置であって、
前記複数のレンズは、
第1のレンズと、
第2のレンズと、
ガイドと、
モータと、
送りネジと、を有し、
前記第1のレンズはガイドに固定され、
前記第2のレンズは前記モータ、および送りネジによって前記ガイドに沿って移動する光学式検査装置。
【請求項13】
請求項11に記載の光学式検査装置であって、
前記第1の光学素子は、
クサビ形の平面ガラスである光学式検査装置。
【請求項14】
請求項11に記載の光学式検査装置であって、
前記撮像装置はTVカメラである光学式検査装置。
【請求項15】
請求項11に記載の光学式検査装置であって、
制御部を有し、
前記制御部は、
前記撮像装置によって検出された画像から、
前記レーザ光の第1の波形、および第2の波形を算出し、
前記第1の波形と前記第2の波形との位相差を算出し、
前記位相差を用いて、前記複数のレンズの間隔を調整する光学式検査装置。
【請求項16】
照明光学系の照明状態を測定し、
前記照明状態に応じて光学素子を移動させる光学式検査装置内の光学素子の移動方法。
【請求項17】
検出光学系の結像位置における検出したレーザスポットの形状を観察し、
前記レーザスポットの形状に応じて、前記検出光学系の物点側のレンズを移動する検出光学系の補正方法。
【請求項18】
物点位置で集束したレーザ光を移動し、
検出光学系の結像位置で強度分布を求め、
予め保存したデータと比較し、
検出光学系のセンサの感度を補正する検出光学系の補正方法。
【請求項19】
基板を載置し、移動する搬送系と、
レーザ光を前記基板に照射する照明光学系と、
前記基板上の欠陥から散乱した光を検出する検出光学系と、
前記検出光学系の物点に前記レーザ光を集束させる集光レンズと、
前記集光レンズを移動させるステージと、
前記検出光学系の結像位置で移動可能に配置された撮像装置と、を有する光学式検査装置。
【請求項20】
請求項19記載の光学式検査装置において、
前記集光レンズの光路より前に配置されたミラーと、
前記ミラーを移動する移動部と、を有し、
前記集光レンズ、および前記ミラーを、前記撮像装置とともに移動し、強度分布を算出し、
前記強度分布を、予め保存しておいたデータと比較し、
前記検出光学系の感度の補正を行う光学式検査装置。
【請求項21】
基板を載置し、移動する搬送系と、
レーザ光を前記基板に照射する照明光学系と、
前記基板上の欠陥から散乱した光を検出する検出光学系と、
前記検出光学系に配置されたミラーと、
前記ミラーからの反射光を受光する撮像装置と、
前記レーザ光を集束させる集光レンズと、
前記集光レンズを移動させるステージと、を有する光学式検査装置。
【請求項22】
請求項21記載の光学式検査装置において、
前記ミラーは、シェアプレートである光学式検査装置。
【請求項23】
請求項21記載の光学式検査装置において、
制御部を有し、
前記制御部は、
前記シェアプレートから前記撮像装置へ投影された干渉縞に応じて、前記ステージを移動させる光学式検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−85135(P2010−85135A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252119(P2008−252119)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】