説明

物品搬送設備

【課題】構成の簡素化及びコストの低減を図りながら、搬送能力の低下を防止することができる物品搬送設備の提供。
【解決手段】走行経路として、第1走行経路20と、第1走行経路20の横幅方向の一方側から他方側に第1走行経路20を跨ぐ第2走行経路22とが備えられ、第2走行経路22において第1走行経路20を跨ぐ跨ぎ部位Mでは、第2走行経路22が第1走行経路20に対して上下方向で異なる高さに配設されて、第1走行経路20での物品搬送車3の走行と第2走行経路22での物品搬送車3の走行とが互いに許容自在に構成され、物品搬送車3は、第1走行経路20の横幅方向の一方側から跨ぎ部位Mを経由して第1走行経路20の横幅方向の他方側に連続して第2走行経路22を走行自在に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路を形成する走行レールに沿って走行自在な物品搬送車が備えられている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品搬送設備では、走行経路として、例えば、環状のメイン経路と、複数の物品搬送箇所を経由する状態で配設されてメイン経路に対して物品搬送車が分岐合流自在に接続されたサブ経路とが備えられ、サブ経路は、メイン経路での物品搬送車の走行方向に並ぶ状態でメイン経路の外側においてメイン経路を挟んで一方側と他方側との両側に配設されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このメイン経路及びサブ経路が備えられた設備では、メイン経路を挟んで一方側のサブ経路から他方側のサブ経路まで物品を搬送させる場合がある。この場合には、物品搬送車が、一方側のサブ経路からメイン経路に合流走行したのちメイン経路に沿って走行することになるが、メイン経路を挟んで反対側に配設されているサブ経路の分岐箇所まで環状のメイン経路を走行しなければならず、物品搬送車の走行距離が長くなる。したがって、物品搬送を効率よく行えず、搬送能力の低下を招いていた。また、メイン経路やサブ経路を他の物品搬送車も走行することから、物品搬送車の走行距離が長くなると、その物品搬送車の走行範囲と他の物品搬送車の走行範囲とが互いに干渉することがあり、他の物品搬送車の走行による制限を受けて、物品搬送車をスムーズに走行させることができなくなる。よって、この点からも、物品搬送車の走行距離が長くなると、搬送能力の低下を招く可能性があった。
【0004】
そこで、上記特許文献1に記載の設備では、メイン経路に対して一方側に配設されたサブ経路の物品搬送車とメイン経路に対して他方側に配設されたサブ経路の物品搬送車との間で物品を搬送自在な搬送コンベヤが設けられている。これにより、搬送コンベヤによる物品搬送を行うことで、物品搬送車の走行距離が長くなるのを防止して、メイン経路を挟んで一方側のサブ経路から他方側のサブ経路まで物品を搬送することができる。つまり、一方側のサブ経路の物品搬送車から搬送コンベヤに物品を移載し、搬送コンベヤにてその物品をメイン経路に対して反対側に配設された他方側のサブ経路まで搬送する。そして、他方側のサブ経路に存在する物品搬送車が、搬送コンベヤにて搬送された物品を受け取って、所望の位置まで走行して物品を搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−319154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の設備では、物品搬送車の走行距離が長くなるのを防止するために、メイン経路を挟んで一方側のサブ経路の物品搬送車と他方側のサブ経路の物品搬送車との間で物品を搬送する搬送コンベヤを設けているが、物品を搬送する装置として、物品搬送車の他に、搬送コンベヤを設けなければならず、構成の複雑化及びコストアップを招くものとなっていた。また、メイン経路を挟んで一方側のサブ経路と他方側のサブ経路との間では、搬送コンベヤにて物品を搬送することになるが、その搬送コンベヤでの搬送速度には限界があり、物品搬送車の走行速度等の比較的速い速度まで上げることができなくなる。よって、搬送時間が長くなってしまい、かえって搬送能力の低下を招く虞があった。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、構成の簡素化及びコストの低減を図りながら、搬送能力の低下を防止することができる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る物品搬送設備の第1特徴構成は、走行経路に沿って走行自在な物品搬送車が設けられている物品搬送設備において、
前記走行経路として、第1走行経路と、前記第1走行経路の横幅方向の一方側から他方側に前記第1走行経路を跨ぐ第2走行経路とが備えられ、前記第2走行経路において前記第1走行経路を跨ぐ跨ぎ部位では、前記第2走行経路が前記第1走行経路に対して上下方向で異なる高さに配設されて、前記第1走行経路での前記物品搬送車の走行と前記第2走行経路での前記物品搬送車の走行とが互いに許容自在に構成され、前記物品搬送車は、前記第1走行経路の横幅方向の一方側から前記跨ぎ部位を経由して前記第1走行経路の横幅方向の他方側に連続して前記第2走行経路を走行自在に構成されている点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、第2走行経路における跨ぎ部位では、第2走行経路が第1走行経路に対して上下方向で異なる高さに配設されて、第1走行経路での物品搬送車の走行と第2走行経路での物品搬送車の走行とが互いに許容自在に構成されているので、第1走行経路での物品搬送車の走行と第2走行経路での物品搬送車の走行とがお互いに干渉されることなく独立して行うことができる。
そして、物品搬送車は、第1走行経路の横幅方向の一方側から跨ぎ部位を経由して第1走行経路の横幅方向の他方側に連続して第2走行経路を走行自在に構成されているので、物品搬送車が第2走行経路を走行することで、第1走行経路を跨いで走行することができる。上記特許文献1に記載の如くメイン経路及びサブ経路が備えられた設備では、例えば、メイン経路を第1走行経路とし、そのメイン経路を挟んで一方側のサブ経路と他方側のサブ経路とを連結する走行経路として、メイン経路を跨ぐ第2走行経路を備えることができる。このようにして、第1走行経路と第2走行経路とを備えた設備では、物品搬送車が第2走行経路を走行することにより、第1走行経路としてのメイン経路を走行することなく、一方側のサブ経路と他方側のサブ経路との間で走行することができる。したがって、上記特許文献1に記載の設備の如く、搬送コンベヤを設けなくても、第1走行経路を跨ぐ第2走行経路を備えることで、物品搬送車の走行距離を短くしながら、メイン経路を挟んで一方側のサブ経路から他方側のサブ経路まで物品搬送車により物品を搬送することができる。しかも、メイン経路を挟んで一方側のサブ経路から他方側のサブ経路まで物品搬送車の走行により物品を搬送することができるので、このときの搬送速度を、物品搬送車の走行速度等の比較的速い速度とすることができ、例えば、搬送コンベヤによる搬送速度よりも速い搬送速度にて物品を搬送することができる。
以上のことから、構成の簡素化及びコストの低減を図りながら、物品搬送車の走行距離を短くできるとともに、搬送速度も比較的速い速度とすることができ、搬送能力の低下を防止することができる物品搬送設備を実現することができる。
【0010】
本発明に係る物品搬送設備の第2特徴構成は、前記走行経路として、前記第1走行経路との間で前記物品搬送車が分岐合流自在な第3走行経路が備えられ、前記第3走行経路は、前記第1走行経路の横幅方向において前記第1走行経路を挟んで一方側と他方側との両側に配設され、前記第2走行経路は、その一端部が前記第1走行経路の横幅方向で一方側に配設された前記第3走行経路に接続され、その他端部が前記第1走行経路の横幅方向で他方側に配設された前記第3走行経路に接続されて、前記第1走行経路の横幅方向で一方側に配設された前記第3走行経路と他方側に配設された前記第3走行経路との間で前記物品搬送車を走行自在に構成されている点にある。
【0011】
本特徴構成によれば、第1走行経路を挟んで一方側と他方側との両側に第3走行経路が配設されているような設備において、第2走行経路は、第1走行経路を挟んで一方側に配設された第3走行経路と他方側に配設された第3走行経路との間で物品搬送車を走行自在に構成されているので、第1走行経路を挟んで一方側に配設された第3走行経路と他方側に配設された第3走行経路との間で物品を搬送する場合に、物品搬送車が第2走行経路を走行することで、第1走行経路を跨いで一方側に配設された第3走行経路と他方側に配設された第3走行経路との間で走行することができる。したがって、第1走行経路を挟んで一方側と他方側との両側に第3走行経路が配設されているような設備において、物品搬送車の走行距離が長くなることによる搬送能力の低下を防止することができ、有用な設備を提供することができる。
【0012】
本発明に係る物品搬送設備の第3特徴構成は、前記第1走行経路を形成する第1走行レールと、前記第2走行経路を形成する第2走行レールとが設けられ、前記第2走行レールは、前記第1走行経路の横幅方向の一方側及び他方側において前記第1走行レールと上下方向で同じ高さに配設された第1高さレール部位と、前記跨ぎ部位において前記第1走行レールと上下方向で異なる高さに配設された第2高さレール部位と、前記第1走行経路の横幅方向の一方側及び他方側と前記跨ぎ部位との間において前記第1高さレール部位に連続する第1高さと前記第2高さレール部位に連続する第2高さとに昇降装置により昇降自在な昇降レール部位とを備えている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、昇降装置により昇降レール部位を第1高さに位置させることで、第1高さレール部位から昇降レール部位への物品搬送車の走行による乗り移りが可能となる。そして、昇降レール部位に物品搬送車が乗り移ると、その昇降レール部位を昇降装置により第1高さから第2高さに上昇させることで、第2高さに位置する昇降レール部位から第2高さレール部位への物品搬送車の走行による乗り移りが可能となる。このようにして、昇降レール部位を第1高さと第2高さとの間で昇降させながら、第1高さレール部位と昇降レール部位との間及び昇降レール部位と第2高さレール部位との間で物品搬送車が走行して乗り移ることで、物品搬送車が、第1走行レールにて形成される第1走行経路を跨ぐ状態で、第2走行レールにて形成される第2走行経路を走行することができる。よって、第1走行経路を跨ぐ第2走行経路による物品搬送車の走行を適切に行うことができる。
【0014】
本発明に係る物品搬送設備の第4特徴構成は、前記第1走行レール及び前記第2走行レールは、左右一対備えられ、前記昇降装置は、駆動部の駆動力により前記昇降レール部位を第1高さと第2高さとに昇降自在に構成され、前記駆動部は、前記第1走行経路の横幅方向で前記昇降レール部位よりも前記第1高さレール部位が配設される側において、上下方向で前記昇降レール部位が第1高さと第2高さとの間で昇降される昇降範囲内に収まり且つ前記第2走行経路の横幅方向で左右一対の前記第2走行レールの間の空間に収まる状態で配設されている点にある。
【0015】
上述の如く、昇降レール部位は第1高さと第2高さとに昇降されるのであるが、第1走行経路の横幅方向で昇降レール部位よりも第1高さレール部位が配設される側には、第1高さレール部位の上方側又は下方側に上下方向で昇降レール部位が第1高さと第2高さとの間で昇降される昇降範囲に対応するスペースが形成されることになる。そこで、本特徴構成によれば、昇降装置における駆動部が、第1走行経路の横幅方向で昇降レール部位よりも第1高さレール部位が配設される側において、上下方向で昇降レール部位が第1高さと第2高さとの間で昇降される昇降範囲内に収まるように配設されているので、第1高さレール部位の上方側又は下方側のスペースを駆動部の設置スペースとして有効に活用することができる。しかも、駆動部は、第2走行経路の横幅方向で左右一対の第2走行レールの間の空間に収まるように配設されているので、駆動部が左右一対の第2走行レールの外側に飛び出して設置されることがない。したがって、第1高さレール部位の上方側又は下方側のスペースを有効に活用しながら、小さなスペースに駆動部を効率よく設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】物品搬送設備の全体平面図
【図2】物品搬送設備の一部の側面図
【図3】物品搬送車の走行方向視での物品搬送車の断面図
【図4】図2における一部を拡大した図
【図5】図2における一部を拡大した図
【図6】図2における一部を拡大した図
【図7】サブ間連結経路の断面図
【図8】サブ間連結経路の断面図
【図9】サブ間連結経路の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る物品搬送設備の実施形態について、図面に基づいて説明する。
この物品搬送設備は、図1に示すように、複数の物品処理部1を経由する状態で走行レール2が天井側に設置されて走行経路Sが形成されており、走行経路Sに沿って一方向に移動自在な天井搬送式の物品搬送車3が複数設けられている。この物品搬送設備では、図2に示すように、半導体基板を収納した容器を物品4として、物品搬送車3が複数の物品処理部1の間で物品4を搬送するように構成されている。走行レール2は、吊り下げ支持具30により天井部に固定状態で設置されている。
【0018】
物品搬送車3は、図2に示すように、物品4を吊り下げ状態で把持する把持部6を昇降自在に備えている。把持部6は、物品搬送車3が停止した状態において、ワイヤ7(ワイヤに限らず、例えばベルトを適応することも可能である)を巻き取り又は繰り出すことにより、物品搬送車3に近接させる上昇位置と物品搬送車3よりも下方側に設置された物品移載用のステーション8との間で物品移載を行う下降位置とに昇降自在に設けられている。ちなみに、図2では、把持部6が上昇位置から下降位置に下降する場合を示している。
【0019】
ステーション8は、物品4を載置支持する載置台にて構成されている。そして、ステーション8は、物品処理部1にて所定の処理を行う物品4を物品搬送車3から受け取る又は物品処理部1にて所定の処理を行った物品4を物品搬送車3に受け渡すためのものであり、複数の物品処理部1の夫々に対応して配置されている。
物品搬送車3は、把持部6を上昇位置に位置させた状態で走行レール2に沿って移動し、複数のステーション8のうち、移載対象のステーション8に対応する停止位置に停止した状態で上昇位置と下降位置との間で把持部6を昇降させることにより、ステーション8との間で物品4の授受を行うように構成されている。
【0020】
物品搬送車3は、走行レール2上を走行する走行駆動部9と、走行レール2の下方に位置するように走行駆動部9に吊り下げ支持された物品支持部10とを備えて構成されている。
図3に示すように、走行レール2は、物品搬送車3の横幅方向に間隔を隔てて左右一対設けられており、走行駆動部9には、駆動モータ11にて回転駆動されて左右一対の走行レール2夫々の水平面に沿う上面を転動する走行輪12と、左右一対の走行レール2夫々の対向する上下方向に沿う側面に接当する回転自在な走行案内輪13とが設けられている。そして、走行輪12が駆動モータ11にて物品搬送車3の横幅方向に沿う軸心周りで回転駆動し、上下軸心周りで回転自在な走行案内輪13が左右一対の走行レール2にて当接案内されることにより、物品搬送車3が走行レール2に案内されて走行するように構成されている。
【0021】
ここで、図示は省略するが、走行輪12は、物品搬送車3の横幅方向の両端部に左右一対配設されており、その左右一対の走行輪12が、物品搬送車3の前後方向に間隔を隔てて2つ設けられており、合計4つの走行輪12が設けられている。走行案内輪13は、物品搬送車3の横幅方向の両端部に2つずつ設けられており、それら2つずつの走行案内輪13が、物品搬送車3の前後方向に間隔を隔てて2つ設けられており、合計8つの走行案内輪13が設けられている。
【0022】
図3に戻り、物品支持部10には、ワイヤ7を巻回して昇降用モータ14にて回転駆動される回転ドラム15と、ワイヤ7にて吊り下げ支持された把持部6とが設けられている。把持部6は、物品4を把持する把持姿勢と把持を解除する把持解除姿勢とに把持用モータ16により切換操作自在な把持具17を備えている。そして、昇降用モータ14にて回転ドラム15を回転駆動させることにより、把持部6及びそれにて把持された物品4が昇降移動し、把持用モータ16にて把持具17を切換操作することにより物品4を把持する又は物品4に対する把持を解除するように構成されている。
【0023】
物品搬送車3には、物品搬送車3の前後方向及び横幅方向の中央部に受電コイル18が配設されており、この受電コイル18により給電線19からの駆動用電力の給電を受けるように構成されている。給電線19は、走行レール2に支持される状態で左右一対備えられており、左右一対の給電線19が、物品搬送車3の横幅方向に間隔を隔てた状態で左右一対の走行レール2の間に位置するように配線されている。そして、給電線19に交流電流を通電することで磁界を発生させ、この磁界により駆動用電力を受電コイル18に発生させて、無接触状態で物品搬送車3への駆動用電力の給電を行うように構成されている。給電線19から受電コイル18に駆動用電力を給電することで、物品搬送車3がその駆動用電力により走行駆動部9の走行及び把持部6の昇降等を行うようになっている。
【0024】
この物品搬送設備では、物品搬送車3が走行する走行経路Sは走行レール2にて形成されているが、図1に示すように、走行経路Sとして、環状のメイン経路20(第1走行経路に相当する)と、環状のサブ経路21(第3走行経路に相当する)と、メイン経路20とサブ経路21とを連結して物品搬送車3のメイン経路20からサブ経路21への分岐走行及びサブ経路21からメイン経路20への合流走行を自在とする連結経路とが設けられている。
【0025】
メイン経路20は、対向して配置された一対の直線部分と一対の直線部分の夫々の終端部と始端部とを繋ぐ一対のカーブ部分とを備えた環状の経路として構成されている。サブ経路21は、メイン経路20の外側においてメイン経路20での物品搬送車3の走行方向に並ぶ状態で複数(図1では例えば3つ)設けられており、メイン経路20の外側においてメイン経路20を挟んで一方側と他方側との両側に配設されている。サブ経路21は、メイン経路20に対して一方側に配設されたサブ経路21とメイン経路20に対して他方側に配設されたサブ経路21とがメイン経路20を挟んで対向する位置に配設されている。
【0026】
サブ経路21の夫々は、複数のステーション8を経由する状態でメイン経路20から離れる方向に延びる直線部分とメイン経路20に接近する方向に延びる直線部分とを対向する位置に配置している。そして、サブ経路21の夫々は、一対の直線部分と、一対の直線部分の夫々における終端部と始端部とを繋ぐ一対のカーブ部分とを備えた環状に形成されている。サブ経路21の経路途中には、複数のステーション8の夫々と物品搬送車3との間で物品4を移載するための目標停止位置が設定されており、物品搬送車3は、その目標停止位置に停止した状態で把持部6を昇降させてステーション8との間で物品4を移載している。
【0027】
メイン経路20とサブ経路21とを連結する連結経路は、複数のサブ経路21の夫々に対して設けられており、連結経路は、メイン経路20の直線部分から分岐してメイン経路20から離間する方向に延びるサブ経路21の直線部分に接続された分岐経路と、メイン経路20に接近する方向に延びるサブ経路21の直線部分の終端部からメイン経路20に合流する合流経路とから構成されている。そして、メイン経路20において分岐経路の分岐箇所が合流経路の合流箇所よりも物品搬送車3の走行方向の上流側となっている。物品搬送車3がメイン経路20からサブ経路21に分岐走行するときに、メイン経路20での走行方向のまま引き続いてサブ経路21に沿って走行するようになっている。また、物品搬送車3がサブ経路21からメイン経路20に合流走行するときに、サブ経路21での走行方向のまま引き続いてメイン経路20に沿って走行するようになっている。
【0028】
この物品搬送設備では、物品搬送車3が、メイン経路20を走行することなく、メイン経路20を挟んで一方側に配設されたサブ経路21と他方側に配設されたサブ経路21との間で走行できるように、メイン経路20を挟んで一方側に配設されたサブ経路21と他方側に配設されたサブ経路21とを連結するサブ間連結経路22(第2走行経路に相当する)が連結経路とは別に設けられている。
【0029】
サブ間連結経路22は、その一端部がメイン経路20に対して一方側に配設されたサブ経路21に接続され、その他端部がメイン経路20に対して他方側に配設されたサブ経路21に接続され、その途中部分がメイン経路20の横幅方向(図1中左右方向、サブ間連結経路22における物品搬送車3の走行方向)の一方側から他方側にメイン経路20を跨いでいる。サブ間連結経路22は、メイン経路20を挟んで対向する位置に配設されたサブ経路21同士を連結する直線状の経路にて構成されている。
【0030】
同一のサブ経路21同士を連結するサブ間連結経路22が2つ設けられている。これにより、2つのサブ間連結経路22の1つを、メイン経路20に対して一方側(例えば図1中左側)のサブ経路21から他方側(例えば図1中右側)のサブ経路21に物品搬送車3を走行させるための経路としており、もう1つをメイン経路20に対して他方側(例えば図1中右側)のサブ経路21から一方側(例えば図1中左側)のサブ経路21に物品搬送車3を走行させるための経路としている。同一のサブ経路21同士を連結する2つのサブ間連結経路22の夫々は、始端側が一方側のサブ経路21においてメイン経路20に接近する方向に延びる直線部分の終端部に接続されており、終端側が他方側のサブ経路21においてメイン経路20から離間する方向に延びる直線部分の始端部に接続されている。これにより、図1中矢印にて示すように、サブ間連結経路22に沿って一方側のサブ経路21から他方側のサブ経路21に物品搬送車3が走行するときに、一方側のサブ経路21での走行方向、サブ間連結経路22での走行方向、及び、他方側のサブ経路21での走行方向のすべてが同一方向となっており、サブ間連結経路22に沿って一方側のサブ経路21から他方側のサブ経路21にスムーズに走行することができる。
【0031】
サブ間連結経路22は、メイン経路20の一対の直線部分の夫々と直交する状態でメイン経路20を跨ぐように設けられており、メイン経路20の直線部分を跨ぐ部位が跨ぎ部位Mとなっている。そして、この跨ぎ部位Mでは、メイン経路20にて物品搬送車3が走行する位置とサブ間連結経路22にて物品搬送車3が走行する位置とを上下方向で異ならせており、メイン経路20での物品搬送車3の走行とサブ間連結経路22での物品搬送車3の走行とを互いに干渉することなく行えるようにしている。
【0032】
複数の物品搬送車3の走行については、走行経路Sの全体に亘って複数の移動体3の運行を管理する設備管理用コンピュータが設けられており、物品搬送車3には、設備管理用コンピュータからの運行指令情報に基づいて、物品搬送車3の作動を制御する台車側制御部が設けられている。
【0033】
図示は省略するが、物品搬送車3には、走行レール2の側脇等に設置されて各ステーション8に対応する目標停止位置を示す停止板を検出する停止板検出センサ、走行レール2の側脇等に設置された走行経路Sの基準点からの位置(距離)を示す絶対位置板を検出する絶対位置板検出センサ、物品搬送車3の走行距離を検出する走行距離センサ等の各種センサが設けられている。台車側制御部は、絶対位置板検出センサの検出情報、及び、絶対位置検出板検出センサを検出してからの走行距離センサの検出情報に基づいて、物品搬送車3の現在位置が走行経路S上のどの位置であるかを把握しており、その現在位置情報と複数の物品搬送車3のうちどの物品搬送車であるかを識別可能な台車ナンバー等の台車識別情報とを無線通信等により設備管理用コンピュータに送信している。
【0034】
設備管理用コンピュータは、各台車側制御部からの現在位置情報と台車識別情報とから、複数の物品搬送車3の夫々の現在位置を管理しながら、複数の物品搬送車3の運行を管理している。設備管理用コンピュータは、複数の物品搬送車3のうちから1つの搬送対象の物品搬送車3を選択し、その選択した物品搬送車3に対して、複数のステーション8のうちから搬送元及び搬送先のステーション8を指定した状態で搬送元のステーション8から搬送先のステーション8に物品4を搬送する搬送指令を運行指令情報として指令するように構成されている。また、設備管理用コンピュータは、搬送元から搬送先に物品搬送車3を走行させるに当たり、例えば、複数の経路から走行距離が最も短い最短経路を選択しており、その選択した最短経路にて物品搬送車3を走行させるための運行指令情報を指令するように構成されている。
【0035】
これにより、搬送指令を受けた物品搬送車3の台車側制御部は、各種センサの検出情報に基づいて、指定された搬送元のステーション8まで走行すべく、物品搬送車3の走行を制御し、把持部6の昇降作動や把持部6の切り換え作動を制御することにより、搬送元のステーション8から物品4を受け取る。その後、台車側制御部は、各種センサの検出情報に基づいて、指定された搬送先のステーション8まで走行すべく、物品搬送車3の走行を制御し、搬送先のステーション8に物品4を卸している。
【0036】
図1に示すように、ある経路とある経路とが合流する合流部等が複数設けられており、この合流部等では、物品搬送車3同士の衝突が発生する可能性がある。そこで、上述の如く、走行経路S上における物品搬送車3の運行については、基本的に、設備管理用コンピュータが管理しているが、合流部等では、物品搬送車3同士の衝突を防止しながら、物品搬送車3を走行させるように物品搬送車3の運行を管理する運行管理部が、設備管理用コンピュータとは別に設けられている。
【0037】
例えば、物品搬送車3の台車側制御部は、合流部に進入するときに、その手前で運行管理部に対して進入を許可するか否かの問い合わせを行い、進入を許可されたときのみ合流部に進入するように、物品搬送車3の走行を制御している。一方、運行管理部は、台車側制御部から進入を許可するか否かの問い合わせがあると、合流部においては物品搬送車3の1台のみ進入を許可するように、台車側制御部に対して運行指令情報を指令する。
【0038】
〔サブ間連結経路における跨ぎ部位〕
上述の如く、サブ間連結経路22は、メイン経路20の直線部分を跨ぐ部位が跨ぎ部位Mとなっている。本発明に係る物品搬送設備では、上述の如く、この跨ぎ部位Mにおいて、メイン経路20にて物品搬送車3が走行する位置とサブ間連結経路22にて物品搬送車3が走行する位置とを上下方向に異ならせることで、メイン経路20での物品搬送車3の走行とサブ間連結経路22での物品搬送車3の走行とを互いに干渉することなく行えるようにしている。
【0039】
以下、メイン経路20を第1走行経路とし、サブ間連結経路22を第2走行経路とし、サブ経路21を第3走行経路として、本発明に係る物品搬送設備について、図2及び図4〜図9に基づいて説明を加える。
ここで、図2は、跨ぎ部位Mを含むサブ間連結経路22の概略を示す側面図であり、図4〜図6は、図2の要部を拡大して物品搬送車3の走行過程を示す図であり、図7〜図9は、サブ間連結経路22の要部の断面図である。図7は、図2における物品搬送車3の走行方向Xにて見たときの断面図であり、図8は、図2における物品搬送車3の走行方向Xとは反対側から見たときの断面図である。
【0040】
図2に示すように、第2走行経路としてのサブ間連結経路22は、跨ぎ部位Mにおいて、メイン経路20に対して上方側に高さを異ならせて配設されて、メイン経路20での物品搬送車3の走行とサブ間連結経路22での物品搬送車3の走行とが互いに許容自在に構成されている。ここで、図2において、メイン経路20は、紙面の表裏方向に沿って物品搬送車3を走行させる走行経路として示しており、サブ間連結経路22は、図中下方側から上方側に向けて物品搬送車3を走行させる走行経路として示しており、このサブ間連結経路22での物品搬送車3の走行方向を矢印Xにて示している。
【0041】
説明を加えると、走行レール2として、メイン経路20を形成する第1走行レール201と、サブ間連結経路22を形成する第2走行レール202とが設けられている。第1走行レール201は、物品搬送車3の横幅方向に間隔を隔てて左右一対に設けられており、第2走行レール202も、図7及び図8に示すように、物品搬送車3の横幅方向に間隔を隔てて左右一対に設けられている。
図2に戻り、サブ間連結経路22を形成する第2走行レール202は、メイン経路20を挟んで物品搬送車3の走行方向Xの上流側及び下流側(メイン経路20の横幅方向の一方側及び他方側)において第1走行レール201と上下方向で同じ高さに配設された第1高さレール部位202aと、跨ぎ部位Mにおいて第1走行レール201に対して上方側に高さを異ならせる状態で配設された第2高さレール部位202bと、メイン経路20を挟んで物品搬送車3の走行方向Xの上流側及び下流側と跨ぎ部位Mとの間において第1高さレール部位202aに連続する第1高さ(図4参照)と第2高さレール部位202bに連続する第2高さ(図5参照)とに昇降装置23により昇降自在な昇降レール部位202cとを備えている。
【0042】
ちなみに、図示は省略するが、第1走行経路としてのメイン経路20、及び、第3走行経路としてのサブ経路21は、上下方向で同じ高さとなるように配設されている。また、メイン経路20とサブ経路21とを連結する連結経路についても、メイン経路20及びサブ経路21と上下方向で同じ高さとなるように配設されている。これにより、物品搬送車3は、メイン経路20から連結経路によりサブ経路21に分岐走行する際、及び、サブ経路21から連結経路によりメイン経路20に合流走行する際に、その走行する高さを変更することなく、同じ高さにてスムーズに走行することができる。
【0043】
図2に戻り、サブ間連結経路22における跨ぎ部位Mは、メイン経路20の一対の直線部分の両者を連続して跨ぐように設定されている。この跨ぎ部位Mには、第2高さレール部位202cが配設されている。そして、物品搬送車3の走行方向Xで跨ぎ部位Mを挟む両側で跨ぎ部位Mに隣接する部位が隣接部位Pとして設定されている。この両側の隣接部位Pの夫々は、例えば、物品搬送車3の走行方向Xにおいて跨ぎ部位Mからサブ経路21側に設定距離だけ離れるまでの間の部位として設定されている。ここで、設定距離とは、物品搬送車3の前後幅よりも長い距離に設定されており、この隣接部位Pに物品搬送車3が納まるようになっている。この両側の隣接部位Pの夫々には、昇降レール部位202cが配設されている。また、物品搬送車3の走行方向Xで跨ぎ部位Mを挟む両側において隣接部位Pよりもサブ経路21側に離れた部位を離間部位Qとして設定されている。この両側の離間部位Qの夫々には、第1高さレール部位202aが配設されている。
【0044】
上述の如く、跨ぎ部位Mに配設された第2高さレール部位202bは、第1走行レール201に対して上方側に高さを異ならせる状態で配設されているが、第2高さレール部位202bは、第1走行レール201に対して、第2高さレール部位202bにて走行する物品搬送車3の上下幅よりも長い距離だけ上方側に間隔を空けた高さに配設されている。これにより、第1走行レール201にて走行する物品搬送車3と第2高さレール部位202bにて走行する物品搬送車3とがお互いに干渉することなく、第1走行レール201での物品搬送車3の走行と第2高さレール部位202bでの物品搬送車3の走行とがお互いに許容されている。その結果、第1走行レール201での物品搬送車3の走行と第2高さレール部位202bでの物品搬送車3の走行とを独立して行うことができる。
【0045】
以下、昇降レール部位202cを昇降させる昇降装置23の構成等について説明を加えるが、上述の如く、昇降レール部位202cは、跨ぎ部位Mを挟んで、物品搬送車3の走行方向Xで上流側と下流側との双方に設けられている。物品搬送車3の走行方向Xで上流側の昇降レール部位202cも下流側の昇降レール部位202cも、物品搬送車3の走行方向Xでの設置位置が反対になるだけで、同様の構成であるので、図4〜図9に基づいて、物品搬送車3の走行方向Xで上流側のもののみ説明を加える。
【0046】
図4及び図7に示すように、昇降レール部位202cを第1高さと第2高さとに昇降させる昇降装置23は、昇降レール部位202cを吊り下げ支持する吊り下げベルト24を巻き取り及び繰り出し自在な巻取・繰出装置25と、その巻取・繰出装置25を巻き取り作動及び繰り出し作動させるための電動モータ26(駆動部に相当する)とを備えて構成されている。そして、吊り下げベルト24は、4本備えられており、その一端部が巻取・繰出装置25に接続されており、その途中部位が複数の回転案内体27に巻き掛けられ、他端部が昇降レール部位202cに接続されている。吊り下げベルト24の昇降レール部位202cへの接続については、吊り下げベルト24を、直接昇降レール部位202cに接続しているのではなく、図4及び図9に示すように、連結体28を介して昇降レール部位202cに接続されている。つまり、昇降レール部位202cは、物品搬送車3の横幅方向に間隔を隔てて左右一対備えられており、それら左右一対の昇降レール部位202cが連結体28により連結されている。連結体28は、左右一対の昇降レール部位202cの夫々から上方側に延びるとともに、その延びる上端部同士を連結するコ字状に形成されている。これにより、連結体28に吊り下げベルト24を接続して、吊り下げベルト24を巻き取り及び繰り出すことで、物品搬送車3の横幅方向に間隔を隔てた状態のまま左右一対の昇降レール部位202cを昇降できるようになっている。そして、連結体28は、物品搬送車3の走行駆動部9が通過できる空間を形成しながら、左右一対の昇降レール部位202cを連結している。
【0047】
このようにして、昇降装置23は、電動モータ26の駆動力により巻取・繰出装置25を巻き取り作動又は繰り出し作動させて、4本の吊り下げベルト24を巻き取り又は繰り出して左右一対の昇降レール部位202cを第1高さ(図4参照)と第2高さ(図6参照)とに昇降させるように構成されている。ここで、昇降装置23により昇降レール部位202cを昇降させるのであるが、図4〜図6に示すように、その昇降中での昇降レール部位202cの位置ずれや揺れ等を防止するために、上下方向に延びる棒状の昇降ガイド31が備えられている。この昇降レール部位202cには、昇降レール部位202cと一体的に昇降自在な摺動体32が昇降ガイド31に外嵌された状態で摺動自在に設けられている。これにより、摺動体32が昇降ガイド31に外嵌された状態で摺動することで、昇降レール部位202cが昇降ガイド31にて案内されて昇降される。
【0048】
図5及び図7に示すように、昇降装置23は、枠状に形成された支持体29の上端側部位に支持されている。この支持体29は、吊り下げ支持具30により天井部に吊り下げ支持されており、その下端部に第1高さレール部位202aが固定されている。支持体29は、離間部位Qにおいて、第1高さレール部位202aの上方側に配設されている。そして、昇降装置23における巻取・繰出装置25及び電動モータ26等は、上下方向で昇降レール部位202cが第1高さと第2高さとの間で昇降される昇降範囲内で且つサブ間連結経路22の横幅方向(物品搬送車3の横幅方向)で左右一対の第2走行レール202の間の空間に収まる状態で配設されている。これにより、巻取・繰出装置25及び電動モータ26等の設置スペースとして、離間部位Qにおける昇降レール部位202cよりも上方側の空間を有効に活用しながら、小さなスペースに巻取・繰出装置25及び電動モータ26等を効率よく設置することができる。
【0049】
物品搬送車3がサブ間連結経路22における跨ぎ部位Mを走行するときの動作について説明する。
図2に示すように、サブ間連結経路22には、跨ぎ部位Mを挟んで物品搬送車3の走行方向Xの上流側と下流側との双方に昇降レール部位202cが配設されているが、物品搬送車3が跨ぎ部位Mを走行するときには、初期状態として、上流側の昇降レール部位202cが第1高さレール部位202aに連続する第1高さに位置され且つ下流側の昇降レール部位202cが第2高さレール部位202bに連続する第2高さに位置されている。これにより、図4に示すように、物品搬送車3は、離間部位Qに配設された第1高さレール部位202aを走行し、その第1高さレール部位202aから隣接部位Pに配設された第1高さに位置する昇降レール部位202cに乗り移り、昇降レール部位202cにて停止される。そして、図5に示すように、昇降装置23により物品搬送車3が乗り移った昇降レール部位202cが第1高さから上昇され、図6に示すように、その物品搬送車3が乗り移った昇降レール部位202cが跨ぎ部位Mに配設された第2高さレール部位202bに連続する第2高さまで上昇される。その後、物品搬送車3は、昇降レール部位202cを走行し、その昇降レール部位202cから跨ぎ部位Mに配設された第2高さレール部位202bに乗り移る。そして、上述の如く、第2高さレール部位202bが第1走行レール201に対して上方側に高さを異ならせる状態で配設されていることから、メイン経路20における第1走行レール201での物品搬送車3の走行とは独立して、物品搬送車3が第2高さレール部位202bを走行することができる。
【0050】
このように、物品搬送車3が、物品搬送車3の走行方向Xで跨ぎ部位Mの上流側において、離間部位Qに配設された第1高さレール部位202a、隣接部位Pに配設された昇降レール部位202cを順次走行したのち、跨ぎ部位Mに配設された第2高さレール部位202bを走行すると、物品搬送車3の走行方向Xで跨ぎ部位Mの下流側でも同様に、物品搬送車3が、隣接部位Pに配設された昇降レール部位202c、離間部位Qに配設された第1高さレール部位202aを順次走行する。つまり、図示は省略するが、物品搬送車3は、その跨ぎ部位Mに配設された第2高さレール部位202bから隣接部位Pに配設された第2高さに位置する昇降レール部位202cに乗り移り、昇降装置23にて物品搬送車3が乗り移った昇降レール部位202cを第2位置から第1位置に下降させる。すると、物品搬送車3は、昇降レール部位202cから第1高さレール部位202aに乗り移って走行する。
【0051】
上述のように、物品搬送車3は、メイン経路20の横幅方向の一方側における第1高さレール部位202a及び昇降レール部位202cから跨ぎ部位Mの第2高さレール部位202bを経由してメイン経路20の横幅方向の他方側における昇降レール部位202c及び第1高さレール部位202aに連続してサブ間連結経路22を走行自在に構成されている。そして、第2走行レール202における第1高さレール部位202a、第2高さレール部位202b、及び、昇降レール部位202cの何れにおいても、図7及び図8に示すように、左右一対の走行レール202に支持される状態で給電線19が左右一対備えられており、左右一対の給電線19が、物品搬送車3の受電コイル19に駆動用電力を給電可能な適切な位置に配線されている。これにより、第1高さレール部位202a、第2高さレール部位202b、及び、昇降レール部位202cの何れにおいても、物品搬送車3は、左右一対の給電線19から駆動用電力の給電を受けて適切な走行を行うことができる。昇降レール部位202cについては、第1高さと第2高さとに昇降されるのであるが、ケーブルベアB等を用いて、第1高さに位置しても、第2高さに位置しても、昇降レール部位202cに支持された給電線19にて物品搬送車3に駆動用電力を給電できるようになっている。
【0052】
ちなみに、昇降レール部位202cについては、物品搬送車3が次のレール部位に乗り移ると、昇降装置23にて昇降レール部位202cが昇降されて、物品搬送車3の走行方向で上流側の昇降レール部位202cが第1高さレール部位202aに連続する第1高さに位置され且つ下流側の昇降レール部位202cが第2高さレール部位202bに連続する第2高さに位置される初期状態となっている。
【0053】
そして、昇降レール部位202cが第1高さに位置していない場合に、第1高さレール部位202aから昇降レール部位202c側に物品搬送車3が走行するのを阻止したり、昇降レール部位202cを第1高さと第2高さとの間で昇降させる場合に、物品搬送車3が昇降レール部位202cから飛び出してしまうのを阻止するために、図4〜図6に示すように、物品搬送車3の移動を規制するストッパー33a〜33dが備えられている。
【0054】
ストッパーとして、第1高さレール部位202aから昇降レール部位202c側への物品搬送車3の移動を規制する第1ストッパー33aと、昇降レール部位202cから第1高さレール部位202a側への物品搬送車3の移動を規制する第2ストッパー33bと、昇降レール部位202cから第2高さレール部位202b側への物品搬送車3の移動を規制する第3ストッパー33cと、第2高さレール部位202bから昇降レール部位202c側への物品搬送車3の移動を規制する第4ストッパー33dとが備えられている。
【0055】
これら4つのストッパー33a〜33dは、何れも同様の構成であるので、図6及び図9に基づいて、第3ストッパー33cについてのみ説明を加え、その他のストッパーについては説明を省略する。
第3ストッパー33cは、物品搬送車3の走行輪12に当接する当接位置(図9中点線)と物品搬送車3の走行12から退避した退避位置(図9中実線)とに水平軸心周りで揺動自在な板状体にて構成されている。そして、第3ストッパー33cは、図9において2点鎖線で示すように、当接位置に位置することで、走行輪12に当接して物品搬送車3の移動を規制し、図9において実線で示すように、退避位置に位置することで、走行輪12に当接せずに物品搬送車3の移動を許容している。また、第3ストッパー33cは、付勢手段34(例えばコイルバネや板バネ等の弾性体)により当接位置側に復帰付勢されており、第3ストッパー33cを当接位置から退避位置に位置変更させるために、位置変更操作部35cが備えられている。位置変更操作部35cにて第3ストッパー33cを押圧操作することで、第3ストッパー33cを当接位置から退避位置に位置変更させている。第3ストッパー33cにおける位置変更操作部35cは、昇降装置23を支持する支持体29から下方側に延びるように備えられており、昇降レール部位202cが第2高さに上昇されると、位置変更操作部35cにて第3ストッパー33cを押圧操作するようになっている。ちなみに、図4〜6では、位置変更操作部については、第2、第4ストッパー33b、33dについての位置変更操作部35b、35dのみを図示しており、第1ストッパー33aについての位置変更操作部については図示を省略している。
【0056】
第1〜第4ストッパー33a〜33dの動作について説明すると、図4に示すように、昇降レール部位202cが第1高さに位置するときには、第1、第2ストッパー33a、33bが退避位置に位置しており、第1高さレール部位202aから昇降レール部位202cへの物品搬送車3の移動が許容されている。これにより、第1高さレール部位202aから第1高さに位置する昇降レール部位202cへの物品搬送車3の乗り移りが可能となっている。そして、このときには、第3、第4ストッパー33c、33dが当接位置に位置しており、第2高さレール部位202bから昇降レール部位202c側への物品搬送車3の移動が規制され、誤って物品搬送車3が第2高さレール部位202bから昇降レール部位202c側へ移動されるのを阻止している。
【0057】
図6に示すように、昇降レール部位202cが第2高さに位置するときには、第3、第4ストッパー33c、33dが退避位置に位置しており、昇降レール部位202cから第2高さレール部位202bへの物品搬送車3への移動が許容されている。これにより、第2高さに位置する昇降レール部位202cから第2高さレール部位202bへの物品搬送車3の乗り移りが可能となっている。そして、このときには、第1、第2ストッパー33a、33dが当接位置に位置しており、第2高さレール部位202bから昇降レール部位202c側への物品搬送車3の移動が規制され、誤って物品搬送車3が第1高さレール部位202aから昇降レール部位202c側へ移動されるのを阻止している。
また、図5に示すように、昇降レール部位202cの第1高さと第2高さとの間での昇降中には、第1〜第4ストッパー33a〜33dの全てが当接位置に位置しており、昇降レール部位202cから物品搬送車3が飛び出すことや、誤って昇降レール部位202c側へ物品搬送車3が移動されるのを阻止している。
【0058】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1高さレール部位202aと第2高さレール部位202bとの間で物品搬送車3を走行させるために、第1高さと第2高さとの間で昇降自在な昇降レール部位202cを備えた例を示したが、例えば、昇降レール部位に代えて、第1高さレール部位と第2高さレール部位との間を斜めに傾斜して繋ぐ傾斜レール部位を備えて実施することもできる。この場合には、跨ぎ部位よりも物品搬送車の走行方向の上流側では、物品搬送車が、第1高さレール部位から傾斜レール部位に走行し、傾斜レール部位を下方側から上方側に徐々に上昇するように斜めに走行し、傾斜レール部位から第2高さレール部位に走行する。また、跨ぎ部位よりも物品搬送車の走行方向の下流側では、第2高さレール部位から傾斜レール部位に走行し、傾斜レール部位を上方側から下方側に徐々に下降するように斜めに走行し、傾斜レール部位から第1高さレール部位に走行する。
【0059】
(2)上記実施形態では、跨ぎ部位Mにおいて、第2走行経路であるサブ間連結経路22が第1走行経路であるメイン経路20に対して上方側に高さを異ならせて配設されているが、逆に、第2走行経路であるサブ間連結経路22を、第1走行経路であるメイン経路20に対して下方側に高さを異ならせて配設することもできる。つまり、第1走行経路を形成する第1走行レールよりも上方側にスペースがある場合には、第2走行経路を第1走行経路に対して上方側に高さを異ならせて配設することが効果的であり、第1走行経路を形成する第1走行レールよりも下方側にスペースがある場合には、第2走行経路を第1走行経路に対して下方側に高さを異ならせて配設することが効果的である。
【0060】
(3)上記実施形態では、第3走行経路としてのサブ経路21を第1走行経路としてのメイン経路20を挟んで一方側と他方側の両側に配設した設備において、メイン経路20を挟んで一方側のサブ経路21と他方側のサブ経路21とを連結するサブ間連結経路22を第2走行経路とする例を示したが、第1走行経路に対してその第1走行経路を一方側から他方側に跨ぐ第2走行経路を備える設備であれば、本発明に係る物品搬送設備を適応することができる。
【符号の説明】
【0061】
2 走行レール
3 物品搬送車
20 第1走行経路
21 第3走行経路
22 第2走行経路
23 昇降装置
26 駆動部
201 第1走行レール
202 第2走行レール
202a 第1高さレール部位
202b 第2高さレール部位
202c 昇降レール部位
M 跨ぎ部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行自在な物品搬送車が設けられている物品搬送設備であって、
前記走行経路として、第1走行経路と、前記第1走行経路の横幅方向の一方側から他方側に前記第1走行経路を跨ぐ第2走行経路とが備えられ、前記第2走行経路において前記第1走行経路を跨ぐ跨ぎ部位では、前記第2走行経路が前記第1走行経路に対して上下方向で異なる高さに配設されて、前記第1走行経路での前記物品搬送車の走行と前記第2走行経路での前記物品搬送車の走行とが互いに許容自在に構成され、前記物品搬送車は、前記第1走行経路の横幅方向の一方側から前記跨ぎ部位を経由して前記第1走行経路の横幅方向の他方側に連続して前記第2走行経路を走行自在に構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記走行経路として、前記第1走行経路との間で前記物品搬送車が分岐合流自在な第3走行経路が備えられ、前記第3走行経路は、前記第1走行経路の横幅方向において前記第1走行経路を挟んで一方側と他方側との両側に配設され、前記第2走行経路は、その一端部が前記第1走行経路の横幅方向で一方側に配設された前記第3走行経路に接続され、その他端部が前記第1走行経路の横幅方向で他方側に配設された前記第3走行経路に接続されて、前記第1走行経路の横幅方向で一方側に配設された前記第3走行経路と他方側に配設された前記第3走行経路との間で前記物品搬送車を走行自在に構成されている請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記第1走行経路を形成する第1走行レールと、前記第2走行経路を形成する第2走行レールとが設けられ、前記第2走行レールは、前記第1走行経路の横幅方向の一方側及び他方側において前記第1走行レールと上下方向で同じ高さに配設された第1高さレール部位と、前記跨ぎ部位において前記第1走行レールと上下方向で異なる高さに配設された第2高さレール部位と、前記第1走行経路の横幅方向の一方側及び他方側と前記跨ぎ部位との間において前記第1高さレール部位に連続する第1高さと前記第2高さレール部位に連続する第2高さとに昇降装置により昇降自在な昇降レール部位とを備えている請求項1又は2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第1走行レール及び前記第2走行レールは、左右一対備えられ、前記昇降装置は、駆動部の駆動力により前記昇降レール部位を第1高さと第2高さとに昇降自在に構成され、前記駆動部は、前記第1走行経路の横幅方向で前記昇降レール部位よりも前記第1高さレール部位が配設される側において、上下方向で前記昇降レール部位が第1高さと第2高さとの間で昇降される昇降範囲内に収まり且つ前記第2走行経路の横幅方向で左右一対の前記第2走行レールの間の空間に収まる状態で配設されている請求項3に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−35939(P2012−35939A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175563(P2010−175563)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】