説明

物品段積み装置

【課題】段積み数設定の自由度が大きく、物品を傷めることの少ない物品段積み装置を提供する。
【解決手段】物品段積み装置1は、第1群のバケット11aを第1駆動系統12aで、第2群のバケット11bを第2駆動系統12bで、独立して駆動可能な授受コンベア10を備える。物品搭載装置がバケット11a、11bに物品2を1個ずつ搭載する。第1群と第2群のいずれかのバケットに物品搭載装置が物品2を搭載している間、物品搭載済みの他群のバケットから移載装置40が物品2をピックアップし、段積み用コンベア50の第1群のバケット51aまたは第2群のバケット51bに積み上げる。制御装置は、物品搭載装置による物品2の搭載と、移載装置40による物品2のピックアップが円滑に進行するように第1駆動系統12aと第2駆動系統12bを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品段積み装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場から物品を出荷するにあたり、物品を段積み状態で紙箱に入れるという包装形態がしばしば採用される。物品が薄い焼菓子のようなものである場合にそのような事例が多い。一方で特許文献1には、広く一般に物品の集合と搬送に用いられる装置が開示されている。
【特許文献1】特許第2651555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
段積み数は物品によって変わる。段積み装置は多くの段積み数に適合できるものであることが望ましい。また、物品が欠けやすい焼菓子のようなものである場合、欠けを生じて商品価値を損なうことのないように段積みが行われる必要がある。
【0004】
本発明は上記のような要請に応えるべくなされたものであり、段積み数設定の自由度が大きく、また物品を傷めることの少ない物品段積み装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る物品段積み装置は次の構成を備える。すなわち第1群のバケットを連結した第1駆動系統と、第2群のバケットを連結した第2駆動系統を備え、前記第1駆動系統と第2駆動系統を独立して駆動可能な授受コンベアと、前記授受コンベアの上流域に配置され、その地点に到着した前記第1群のバケットまたは第2群のバケットに物品を1個ずつ搭載する物品搭載装置と、少なくとも一部が前記授受コンベアの下流域に近接配置された段積み用コンベアと、物品搭載状態で前記授受コンベアの下流域に到着した前記第1群または第2群のバケットから物品をピックアップし、所定の積み数を前記段積み用コンベアのバケットに積み上げる移載装置と、前記第1群のバケットまたは第2群のバケットの一方を、前記物品搭載装置から物品搭載を受けるのに適した動作モードで駆動すると同時に、異なる群のバケットを、前記移載装置が物品をピックアップしやすいように駆動する、前記授受コンベアの制御装置である。
【0006】
この構成によると、物品搭載装置で物品を搭載される地点では、授受コンベアの第1群のバケットまたは第2群のバケットは、物品搭載を受けるのに適した動作モードで駆動されるから、その地点での物品の破損を防ぐことができる。他方、物品搭載を受けている群と異なる群のバケットは、移載装置が物品をピックアップしやすいように駆動されるから、ピックアップ地点での物品の破損を防ぐことができる。そして、何個のバケットに物品を搭載してピックアップさせるかにより段積み数を設定できるから、段積み数設定の自由度が大きく、段取り替えも容易である。
【0007】
(2)また本発明は、上記構成の物品段積み装置において、前記物品搭載装置が、前記授受コンベアの上流域における前記第1群のバケットまたは第2群のバケットの動きに同期する物品供給コンベアを含むことを特徴としている。
【0008】
この構成によると、物品供給コンベアとバケットが同期して動いている状態で、すなわちコンベア進行方向の速度に差がない状態で物品の搭載が行われるから、物品がバケットにぶつかって破損するという事態を回避しやすい。
【0009】
(3)また本発明は、上記構成の物品段積み装置において、前記段積み用コンベアは、第1群のバケットを連結した第1駆動系統と、第2群のバケットを連結した第2駆動系統を備え、前記第1駆動系統と第2駆動系統を独立して駆動するものであることを特徴としている。
【0010】
この構成によると、例えば第2群のバケットに物品を段積みしているとき、先に段積み作業を終えた第1群のバケットはそれと無関係に下流の工程に移動させることが可能になり、作業の能率が大いに向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、授受コンベアのバケットは、物品搭載装置で物品を搭載される地点ではその地点での物品の破損を防ぐように動き、移載装置により物品をピックアップされる地点ではその地点での物品の破損を防ぐように動くから、破損しやすい物品を安全に段積みすることができる。そして何個のバケットに物品を搭載してピックアップさせるかにより段積み数を設定できるから、段積み数設定の自由度が大きく、段取り替えも容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図1−3に基づき説明する。図1は物品段積み装置の概略構成図、図2は物品供給コンベアから授受コンベアのバケットに物品を搭載する仕組みを説明する部分平面図、図3は制御ブロック図である。
【0013】
物品段積み装置1は次の構成要素を含む。すなわち授受コンベア10、授受コンベア10に物品2を搭載する物品搭載装置20(図2参照)、物品搭載装置20に物品2を供給する物品供給コンベア30(図2参照)、授受コンベア10から物品2をピックアップする移載装置40、及び移載装置40によって物品2を積み上げられる段積み用コンベア50である。
【0014】
授受コンベア10は、軌道上のバケットをチェーンで移動させるタイプのものである。バケットには第1群のバケットと第2群のバケットがあり、第1群のバケットは第1駆動系統に連結され、第2群のバケットは第2駆動系統に連結されて、互いに独立に移動する。その基本的な仕組みは特許文献3に記載された「物品の集合搬送装置」と同じである。図1、2において、ハッチング無しのバケットが第1群のバケット11aであり、ハッチング有りのバケットが第2群のバケット11bである。また図1では、ハッチング無しの無端チェーンで第1駆動系統12aを象徴させ、ハッチング有りの無端チェーンで第2駆動系統12bを象徴させている。
【0015】
第1群のバケット11aには9個一組のグループが複数存在し、それらが所定間隔で第1駆動系統12aに連結されている。第2群のバケット11bにも9個一組のグループが複数存在し、それらが所定間隔で第2駆動系統12bに連結されている。バケット11a、11bは物品2を無理なく受け入れ、段積みできる寸法を備える。なお、バケット11a、11bを9個一組としたのは、物品2を3段積みしたコラムを3本、計9個の物品2を紙箱に入れるのが包装仕様であるというのがその理由である。物品2を5段積みしたコラムを4本、計20個の物品2を紙箱に入れるという包装仕様であれば、バケット11aあるいは11bを20個ずつ連ねて1グループとすることになる。ただし包装仕様の物品個数よりバケットの数の方が多くても問題はない。その場合は単に使用されないバケットが発生するだけである。
【0016】
物品供給コンベア30は、授受コンベア10の上流域に、授受コンベア10と平行に配置されている。物品供給コンベア30は平ベルトにより構成され、一方の縁はバケット11a、11bに近接する。そのベルト面はバケット11a、11bの底面と同じか、あるいは僅かに高い高さに設定されている。物品供給コンベア30は、バケット11a、11bの9個一組のグループ内における個々のバケットの配列ピッチと同じピッチで物品2を載置して走行する。
【0017】
物品供給コンベア30の傍らには、授受コンベア10の反対側となる側に物品搭載装置20が配置される。物品搭載装置20は、授受コンベア10及び物品供給コンベア30に平行なレール21と、レール21の上を走行するスライダ22と、スライダ22に支持された物品押し出し用のエアシリンダ23を備える。スライダ22はエアシリンダやモータを動力源としてレール21の上を往復動する。エアシリンダ23はスライダ22の進行方向と直角にロッド24を延ばして物品2を押す。9個のエアシリンダ23が並列に配置され、その配置ピッチはバケット11a、11bの9個一組のグループ内における個々のバケットの配列ピッチと同じである。
【0018】
移載装置40の主要な構成要素はロボット41である。図1ではロボットアームの一部をもってロボット41を象徴している。ロボット41はエンドエフェクタとして真空吸着ヘッド42を支持する。真空吸着ヘッド42からは、物品2の段積みコラム数に合わせた3個の真空チャック43が下向きに突出する。3個の真空チャック43は授受コンベア10の進行ラインに平行する形で一直線上に並ぶ。3個の真空チャック43の配列ピッチは第1群のバケット11aあるいは第2群のバケット11bで1グループを形成する9個のバケットの配列ピッチに等しい。ロボット41には軽作業に適する産業用ロボット(例えば直角座標形式、水平多関節形式、パラレルリンク形式など)を用いる。
【0019】
移載装置40によって物品2を積み上げられる段積み用コンベア50も、授受コンベア10と同様、軌道上のバケットをチェーンで移動させるタイプのものである。バケットには第1群のバケットと第2群のバケットがあり、第1群のバケットは第1駆動系統に連結され、第2群のバケットは第2駆動系統に連結されて、互いに独立に移動する。その仕組みは授受コンベア10と同じである。図1において、ハッチング無しのバケットが第1群のバケット51aであり、ハッチング有りのバケットが第2群のバケット51bである。また図1では、ハッチング無しの無端チェーンで第1駆動系統52aを象徴させ、ハッチング有りの無端チェーンで第2駆動系統52bを象徴させている。
【0020】
第1群のバケット51aと第2群のバケット51bは、バケット3個ずつで1グループとする。これは、3段積みのコラムを3本受け入れれば良いからである。しかしながら、1グループ当たりのバケット個数をもっと多くしておき、3本を超える数のコラムを収納する紙箱に対応できるようにしておいてもよい。
【0021】
図3に示す制御装置60が物品段積み装置1の動作を統括制御する。制御装置60には授受コンベア10、物品搭載装置20、物品供給コンベア30、移載装置40、段積み用コンベア50、及び運転指令を入力する操作部61が接続される。この他制御装置60には、物品2の存在や状態を確認する各種センサあるいは視覚認識システム、また制御装置60による制御を必要とする各種構成要素が接続される。なお制御装置60は、授受コンベア10、物品搭載装置20、物品供給コンベア30、移載装置40、段積み用コンベア50などの要素ユニットが個々に制御部を備えている場合には、それらの個別制御部を包含する形で構成されるものである。
【0022】
物品段積み装置1の動作は次の通りである。制御装置60は、授受コンベア10において、第1群のバケット11aと第2群のバケット11bに異なる動きをさせる。今、第1群のバケット11aの中の1グループが移載装置40に近接した位置にあり、第2群のバケット11bの中の1グループが物品搭載装置20に近接した位置にあるものとする。制御装置60は第2駆動系統12bにより第2群のバケット11bを物品供給コンベア30と同速度で連続移動させる。この時バケット11bが物品供給コンベア30上の物品2と1対1で横並びとなるようにする。物品搭載装置20のスライダ22も物品供給コンベア30と同じ速度で追随走行させる。そして9個のエアシリンダ23より一斉にロッド24を突き出させる。これにより、9個の物品2が9個のバケット11bに一挙に押し込まれ、搭載される。搭載完了後、エアシリンダ23にロッド24を引っ込めさせ、スライダ22を追随走行開始前の位置に戻す。
【0023】
物品供給コンベア30からバケット11bへの物品2の搭載は、物品供給コンベア30とバケット11bが同期して動いている状態で、すなわちコンベア進行方向の速度に差がない状態で行われるから、物品2がバケット11bにぶつかって破損するという事態を回避しやすい。
【0024】
第1駆動系統12aにおけるバケット11aのグループ同士の間隔と、第2駆動系統12bにおけるバケット11bのグループ同士の間隔は、物品搭載装置20による物品2の搭載と、移載装置40による物品2のピックアップが同時進行で円滑に行われように設定する。
【0025】
移載装置40は、物品2を1個ずつ搭載して近辺に到着した9個のバケット11aから物品2を3個ずつピックアップする。ピックアップはバケット11aの列のどちらかの端より行われる。ピックアップした3個の物品2は段積みコンベア50のバケットに、図1の状態では第1群のバケット51aに、積み込まれる。9個の物品2がバケット51aに3段ずつに積み上がるまで、制御装置60は移載装置40がピックアップしやすいように第1駆動系統12aを駆動する。この場合の駆動は、バケット11aを低速で移動させるか、あるいは停止させる、ということになる。これにより、ピックアップ地点での物品2の破損を防ぐことができる。
【0026】
段積みコンベア50においても、第1群のバケット51aと第2群のバケット51bは、物品積み込みの順序にあたっているときには、停止させるか、あるいは動きを遅くして、移載装置40が積み込みを容易に行えるようにする。その間、物品2の積み込みを終えた他群のバケットを下流に移動させ、下流の装置に物品2を引き渡すことができる。
【0027】
第1駆動系統52aにおけるバケット51aのグループ同士の間隔と、第2駆動系統52bにおけるバケット51bのグループ同士の間隔は、移載装置40による物品2の積み込みと、下流の装置への物品2の引き渡しが同時進行で円滑に行われように設定する。
【0028】
以上本発明の実施形態につき説明したが、発明の主旨を逸脱しない範囲でさらに種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、物品を紙箱等に収納する前段階で用いられる段積み装置として広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】物品段積み装置の概略構成図
【図2】物品供給コンベアから授受コンベアのバケットに物品を搭載する仕組みを説明する部分平面図
【図3】制御ブロック図
【符号の説明】
【0031】
1 物品段積み装置
10 授受コンベア
11a 第1群のバケット
11b 第2群のバケット
12a 第1駆動系統
12b 第2駆動系統
20 物品搭載装置
30 物品供給コンベア
40 移載装置
50 物品段積みコンベア
51a 第1群のバケット
51b 第2群のバケット
52a 第1駆動系統
52b 第2駆動系統
60 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成を備える物品段積み装置:
(a)第1群のバケットを連結した第1駆動系統と、第2群のバケットを連結した第2駆動系統を備え、前記第1駆動系統と第2駆動系統を独立して駆動可能な授受コンベア
(b)前記授受コンベアの上流域に配置され、その地点に到着した前記第1群のバケットまたは第2群のバケットに対し、1個のバケットにつき物品を1個ずつ搭載する物品搭載装置
(c)少なくとも一部が前記授受コンベアの下流域に近接配置された段積み用コンベア
(d)物品搭載状態で前記授受コンベアの下流域に到着した前記第1群または第2群のバケットから物品をピックアップし、所定の積み数を前記段積み用コンベアのバケットに積み上げる移載装置
(e)前記第1群のバケットまたは第2群のバケットの一方を、前記物品搭載装置から物品搭載を受けるのに適した動作モードで駆動すると同時に、異なる群のバケットを、前記移載装置が物品をピックアップしやすいように駆動する、前記授受コンベアの制御装置。
【請求項2】
前記物品搭載装置が、前記授受コンベアの上流域における前記第1群のバケットまたは第2群のバケットの動きに同期する物品供給コンベアを含むことを特徴とする請求項1に記載の物品段積み装置。
【請求項3】
前記段積み用コンベアは、第1群のバケットを連結した第1駆動系統と、第2群のバケットを連結した第2駆動系統を備え、前記第1駆動系統と第2駆動系統を独立して駆動するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の物品段積み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−120541(P2008−120541A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307496(P2006−307496)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000141886)株式会社京都製作所 (83)
【Fターム(参考)】