説明

物理量センサ

【課題】 特に、高さ方向(Z軸方向)への検出レンジを広げることができ、さらに安定したセンサ感度を得ることが可能な薄型の物理量センサを提供することを目的としている。
【解決手段】 固定支持されるアンカ部と、高さ方向に変位する可動部2と、弾性変形可能な連結部を介して回動自在に連結された支持部3,4と、可動部2の変位を検知するための検知部36とを有している。支持部には、可動部2が高さ方向に変位したときに可動部2の変位方向に対し逆方向に変位する脚部3b,4bが設けられている。脚部3b,4bが前記可動部と高さ方向にて対向する対向部30の表面30aに当接した状態から撓んで、可動部2が対向部の表面から更に離れる方向に変位可能なように、脚部3b,4bが弾性変形可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン基板から切り出すなどして形成された可動部の変位量を検知し、これにより、外部から作用する加速度などの物理量の測定を可能とした物理量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、物理量センサは、シリコン基板をエッチング処理して、高さ方向に変位可能に支持された可動部を備える。かかる場合、下記の特許文献1等のように、高さ方向に変位する可動部は、可動部の周囲に位置する枠体に変形可能なビーム部を介して揺動自在に支持された構造である。しかしながら、可動部に強い物理量が作用したり、あるいは物理量が長時間、作用すると、ビーム部への負担が大きく、ビーム部が損傷等し、また物理量の作用が無くなっても元の静止状態に復元できなくなる等してセンサ感度が低下しやすく、またセンサ寿命を効果的に延ばすことが出来なかった。
【0003】
一方、特許文献3に記載された発明には、ダイナミックレンジを広げることが可能な加速度センサが開示されている。
【0004】
しかしながら特許文献3に記載された発明では、可動部(重り部)はX軸、Y軸の水平方向に変位可能に支持された構成であり、可動部をZ軸方向(高さ方向)に変位させようとすると例えば特許文献3の図1に示す加速度センサを90度立てた状態に保持しなければならない。よって特許文献3の構成では薄型のZ軸加速度センサを得ることができない。
【0005】
また、特許文献3に記載された発明では、非常に大きな加速度が印加された場合には、可動部(重り部)がストッパ面に衝突することがあり、これにより質量の大きい可動部が損傷を受ける可能性がある。よってセンサ感度が不安定化しやすい問題があった。
【0006】
更に特許文献3に記載された発明では、可動部(重り部)が加速度を受けて変位すると、特許文献3の図1に示す符号32の突起が符号30のストッパに衝突する。このとき前記突起が撓む等しないように高い剛性で形成することが必要になる。そして、さらに大きな加速度が印加されると、可動部を更に変位させるために、前記突起と接触した前記ストッパを撓ませなければならないが、一本の細長い前記ストッパだけで前記突起の付いた可動部を支える構造であるから、前記ストッパが疲弊して例えば元の状態に適切に復元しない等、センサ感度が不安定化しやすいと考えられる。
【0007】
また特許文献4に記載された発明にも、広いダイナミックレンジを得るための半導体ピエゾセンサが開示されている。
【0008】
しかしながら特許文献4に記載された発明では、複数の可動部(第1突起ストッパ部及び第2突起ストッパ部)を直接、対向面に接触させる構成であるため、可動部が損傷を受けやすく、センサ感度が不安定化しやすい問題があった。
【0009】
また特許文献4の第3図、第4図を参照すると、まず符号22の第1起歪部が変形して符号23の第1突起ストッパ部が対向面に接触した後、更に符号24の第2起歪部が変形して符号27の第2突起ストッパ部が一段下がった対向面に接触している。
【0010】
しかしながら特許文献4の構成では、非常に大きい加速度が印加された場合等には、前記第1起歪部と前記第2起歪部が同時に変形する可能性があり、かかる場合、第2突起ストッパ部が一段下がった対向面に接触するタイミングが、第1突起ストッパ部が対向面に接触するタイミングとさほど変わらなくなってしまい、安定してダイナミックレンジを広げることができないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−283393号公報
【特許文献2】国際公開第2005/099125号のパンフレット
【特許文献3】特開平5−340955号公報
【特許文献4】特開平3−112168号公報
【特許文献5】国際公開第2008/026331号のパンフレット
【特許文献6】国際公開第2010/026843号のパンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、特に、高さ方向(Z軸方向)への検出レンジを広げることができ、さらに安定したセンサ感度を得ることが可能な薄型の物理量センサを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における物理量センサは、
固定支持されるアンカ部と、高さ方向に変位する可動部と、前記アンカ部と前記可動部とに弾性変形可能な連結部を介して回動自在に連結された支持部と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを有しており、
前記支持部には、前記支持部が前記連結部の変形により回動して前記可動部が高さ方向に変位したときに前記可動部の変位方向に対し逆方向に変位する脚部が設けられており、
前記脚部が前記可動部と高さ方向にて対向する対向部の表面に当接した状態から撓んで、前記可動部が前記対向部の表面から更に離れる方向に変位可能なように、前記脚部が弾性変形可能に形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明では可動部を高さ方向に平行移動させることができ、このとき可動部の変位方向と逆方向に脚部を突出させる構造とした。
【0015】
可動部の変位は、最初は主に、可動部と支持部の間や、支持部とアンカ部間を連結する連結部の弾性変形によりもたらされる(第1の変位)。そして可動部が連結部の弾性変形により高さ方向に変位すると、可動部の変位方向とは逆方向に脚部が変位し、このとき前記脚部は、対向部の表面に当接する位置まで変位可能となっている(可動部における第1の変位の終わり)。可動部の第1の変位を検知部により検知することが出来る。
【0016】
本発明では、脚部を弾性変形可能に形成した。このため、脚部が対向面の表面に当接した状態から、更に大きい物理量が可動部に印加されると、脚部が撓み、可動部を前記対向面の表面から更に離れる方向に変位させることができる(第2の変位)。可動部の第2の変位を検知部により検知することが出来る。
【0017】
このように、本発明では、連結部の弾性変形による可動部の変位(第1の変位)のみならず、脚部が対向部の表面に接触した後、脚部の弾性変形をも利用して可動部を更に高さ方向に変位させることができ(第2の変位)、したがって可動部の可動範囲を広げることができ、物理量変化に対する検出レンジ(測定レンジ)を広げることが可能である。
【0018】
本発明では、可動部を高さ方向に平行移動させることができるものであり、高精度なセンサ感度を得ることができ、また薄型化を実現できる。更に可動部が高さ方向に変位しても可動部を脚部で支える構造であるため、可動部の可動範囲を中に浮いた状態にて安定して制御でき、質量の大きい可動部に対する損傷を抑制でき、安定したセンサ感度を得ることが出来る。
【0019】
また本発明では、複数の脚部で支える構造とすることで、強い物理量が作用した状態でも複数の脚部に応力を分散でき、長寿命を実現できる。
【0020】
本発明では、前記支持部には、前記アンカ部と前記可動部間を前記連結部を介して連結する第1連結腕と、前記アンカ部から前記第1連結腕とは逆方向に延びる前記脚部とが形成されており、前記支持部が回動したときに前記アンカ部と前記第1連結腕間の前記連結部を中心として前記第1連結腕と前記脚部とが逆方向に変位することが好ましい。これにより、簡単な機構で、可動部を高さ方向に変位させるとともに、可動部の変位方向に対し逆方向に脚部を変位させることが出来る。
【0021】
また本発明では、前記脚部を備える前記支持部は複数設けられ、一方の前記支持部に設けられた前記第1連結腕と、他方の前記支持部に設けられた前記第1連結腕とは、前記アンカ部を介して逆方向に延びており、一方の前記第1支持部に設けられた前記脚部と他方の前記第1支持部に設けられた前記脚部とは前記アンカ部を介して逆方向に延びていることが好ましい。このように複数の支持部を設け、可動部を一方の支持部と他方の支持部とでアンカ部を介して対向する位置にて支持し、また脚部をアンカ部を介して逆方向に延出させることで、可動部を高さ方向へ平行移動させやすく、高精度なセンサ感度を得やすい。
【0022】
また本発明では、前記支持部とは別に、前記アンカ部から前記第1連結腕に対して逆方向に延び、前記アンカ部と前記可動部間を前記連結部を介して連結する第2連結腕が設けられていることが好ましい。これにより、可動部に対する支持機構がより安定した構造となり、可動部を高さ方向により効果的に平行移動させやすく、より高精度なセンサ感度を得ることができる。
【0023】
また本発明では、前記第1連結腕及び前記第2連結腕の前記可動部との連結位置とは逆側に位置する後端部同士が前記連結部を介して連結されていることが好ましい。これにより、第1連結腕と第2連結腕とが回動したときに、第1連結腕と第2連結腕との後端部に高さ方向へのばらつきが生じにくくなり、より安定して可動部を高さ方向に平行移動させることが出来る。
【0024】
また本発明では、前記アンカ部、前記支持部及び前記第2連結腕はいずれも前記可動部の内側に前記可動部と分離して設けられ、
前記アンカ部は、左右方向(Y)に間隔を空けて配置された左側アンカ部と、右側アンカ部とを有して構成され、
前記支持部は、前記左側アンカ部に前記連結部を介して連結され、前記左側アンカ部よりも前方(X1)に前記第1連結腕が延び後方(X2)に前記脚部が延びる第1支持部と、前記右側アンカ部に前記連結部を介して連結され、前記右側アンカ部よりも後方(X2)に前記第1連結腕が延び前方(X1)に前記脚部が延びる第2支持部とを有して構成され、
前記第2連結腕は、前記左側アンカ部と前記可動部の間に位置し、前記第1支持部の前記第1連結腕とは逆方向に延びる左側第2連結腕と、前記右側アンカ部と前記可動部の間に位置し、前記第2支持部の前記第1連結腕とは逆方向に延びる右側第2連結腕とを有して構成されることが好ましい。
【0025】
また本発明では、前記左側アンカ部と前記右側アンカ部の間には中央アンカ部が設けられ、前記第1支持部は前記中央アンカ部及び前記左側アンカ部の双方に前記連結部を介して連結され、前記第2支持部は前記中央アンカ部及び前記右側アンカ部の双方に前記連結部を介して連結されていることが好ましい。このとき、前記中央アンカ部、前記左側アンカ部及び前記右側アンカ部は、前記左右方向(Y)に延びる同一線上に配置されており、前記可動部と高さ方向で対向し、前記対向部が設けられた側と逆側に、各アンカ部を固定支持する固定部が設けられていることが好ましい。
【0026】
本発明では、上記したように、中央アンカ部、左側アンカ部及び右側アンカ部が、左右方向(Y)に延びる同一線上に配置されていることで、前記固定部に熱による歪みや外力による歪みが生じたときでも、可動部が適正に中立位置を保ちやすくなる。
【0027】
また本発明では、前記脚部が前記可動部の変位方向に対して逆方向に変位したときに前記脚部が接近する前記対向部と前記可動部の間に、静電容量式の前記検知部が設けられることが好ましい。これにより簡単な構造の検知部を実現できるとともに、安定したセンサ感度を得ることが出来る。
【発明の効果】
【0028】
本発明の構成によれば、高さ方向(Z軸方向)への検出レンジを広げることができ、さらに安定したセンサ感度を得ることが可能な薄型の物理量センサにできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態における物理量センサの平面図、
【図2】第1実施の形態の物理量センサが静止している状態を示す斜視図、
【図3】第1実施の形態の物理量センサが動作している状態を示す斜視図、
【図4】第1実施の形態の物理量センサが動作している状態を示す斜視図、
【図5】(a)は、図2の物理量センサの側面図、(b)は、図3の物理量センサの側面図、
【図6】(a)は、図4の物理量センサの側面図、(b)は(a)の状態から脚部が撓んで可動部が更に上方に変位した状態を示す物理量センサの側面図、
【図7】図1に示す連結部付近を示す部分拡大斜視図、
【図8】図1に示す一部を拡大して示した部分拡大平面図、
【図9】本発明の第2実施形態における物理量センサの平面図、
【図10】本発明のストッパ構造を示す図であり(a)は部分拡大平面図、(b)は(a)のa−a線の断面図であり、脚部がストッパ面に当接した状態を示す部分断面図、(c)は、可動部がストッパ面に当接した状態を示す部分断面図、
【図11】(a)は本実施形態における物理量センサ(脚部付き)の加速度と静電容量との関係を示すグラフ、(b)は比較例における物理量センサ(脚部無し)の加速度と静電容量との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0030】
各図に示す物理量センサに関しては、Y軸方向が左右方向であり、Y1方向が左方向でY2方向が右方向、X軸方向が前後方向であり、X1方向が前方でX2方向が後方である。また、Y方向とX方向の双方に直交する方向が高さ方向(Z軸方向)である。
【0031】
図1に示す物理量センサ1は、例えば、長方形の平板であるシリコン基板から形成されている。すなわち、シリコン基板に、各部材の形状に対応する平面形状のレジスト層を形成し、レジスト層が存在していない部分で、シリコン基板をディープRIE(ディープ・リアクティブ・イオン・エッチング)などのエッチング工程で切断することで、各部材を分離している。したがって、物理量センサ1を構成する各部材は、シリコン基板の表面と裏面の厚みの範囲内で構成されている。図2に示すように、物理量センサが静止状態のときに、表面全体と裏面全体が夫々、同一面上に位置しており、表面及び裏面から突出する部分がない。
【0032】
物理量センサ1は微小であり、例えば長方形の長辺1a,1bの長さ寸法は1mm以下であり、短辺1c,1dの長さ寸法は0.8mm以下である。さらに、厚み寸法は0.1mm以下である。
【0033】
図1と図2に示すように、物理量センサ1は、長方形の長辺1a,1bおよび短辺1c,1dで囲まれた外枠部分が可動部2である。長辺1a,1bの延びる方向が前後方向であり、短辺1c,1dの延びる方向が左右方向である。
【0034】
図1,図2に示すように可動部2の内側には、2本の支持部3,4が設けられている。支持部3,4の平面形状はクランク状で形成されている。
【0035】
図1に示すように第1支持部3は、前方(X1)に延びる第1連結腕3aと、後方(X2)に延びる脚部3bとが一体に形成されている。なお、ここで、第1連結腕3aは、中央アンカ部5及び左側アンカ部6との連結位置である連結部12a,12bから前方(X1)に位置する側であり、脚部3bは、前記連結部12a,12bから後方(X2)に位置する側と規定する。
【0036】
また図1に示すように第2支持部4は、後方(X2)に延びる第1連結腕4aと、前方(X1)に延びる脚部4bとが一体に形成されている。なお、ここで、第1連結腕4aは、中央アンカ部5及び右側アンカ部7との連結位置である連結部13a,13bから後方(X2)に位置する側であり、脚部4bは、前記連結部13a,13bから前方(X1)に位置する側と規定する。
【0037】
第1連結腕3a,4a及び脚部3b,4bは各アンカ部5〜7から離れる方向であって、前後方向(X1−X2方向)に平行に所定の幅寸法にて延出する形状で形成されている。例えば、図1に示すように、各支持部3,4の第1連結腕3a,4a及び脚部3b,4bの幅寸法(Y1−Y2方向への寸法)はほぼ同じとされている。
【0038】
本実施形態では、脚部3b,4bの幅は、後述する図6(a)の状態から図6(b)に示すように脚部3b,4bが弾性変形可能なように形成されている。
【0039】
図1に示すように第1支持部3と第2支持部4は、点対称で形成されている。よって各アンカ部5〜7から見て、第1支持部3の第1連結腕3aと第2支持部4の第1連結腕4aの延出方向、及び第1支持部3の脚部3bと第2支持部4の脚部4bの延出方向がそれぞれ逆になっている。
【0040】
図1に示すように、可動部2の内側には、中央アンカ部5、左側アンカ部6及び右側アンカ部7が設けられている。図1に示すように物理量センサ1の短辺1cと短辺1dとの中点において左右方向(Y)に延びる線を横中心線Oxとしたときに、中央アンカ部5、左側アンカ部6及び右側アンカ部7の夫々を前後方向に二分する中点が、前記横中心線Ox上に位置している。また中央アンカ部5、左側アンカ部6及び右側アンカ部7の前後方向(X)の幅寸法は略同一である。
【0041】
例えば各アンカ部5〜7は図5(a)に示す固定部(支持基板)10に固定支持される。この固定部10は例えばシリコン基板であり、各アンカ部5〜7と固定部10との間には図示しない酸化絶縁層(SiO2層)が介在している。固定部10、酸化絶縁層、及び図1に示す可動部2、支持部3,4及びアンカ部5〜7等を構成するシリコン基板は、例えばSOI基板である。図5(a)に示す静止状態において可動部2と固定部10との間の間隔T1は、1〜5μm程度である。なお図5(a)においては、可動部2の厚みに対する間隔T1,T2を実際のスケールとは変えて図示している。
【0042】
図1、図2に示すように、可動部2と、各支持部3,4及び各アンカ部5〜7は夫々分離して形成されている。このうち、各アンカ部5〜7と固定部10との間には上記した酸化絶縁層が介在し、各アンカ部5〜7が固定部10に固定支持された状態になっているが、可動部2及び各支持部3,4と、固定部10との間には酸化絶縁層は存在せず、可動部2及び各支持部3,4と固定部10との間は空間となっている(図5(a)参照)。
【0043】
図1に示すように、第1支持部3の第1連結腕3aの先端部と可動部2とが連結部11aにおいて回動自在に連結されており、第2支持部4の第1連結腕4aの先端部と可動部2とが連結部11bにおいて回動自在に連結されている。
【0044】
また図1に示すように、第1支持部3の第1連結腕3aは左側アンカ部6との近接位置で二股に分かれ、左側アンカ部6と中央アンカ部5との間に位置する部分と中央アンカ部5及び左側アンカ部6とが連結部12a,12bにおいて回動自在に連結されている。また図1に示すように、第2支持部4の第1連結腕4aは、右側アンカ部7との近接位置で二股に分かれ、右側アンカ部7と中央アンカ部5との間に位置する部分と中央アンカ部5及び右側アンカ部7とが連結部13a,13bにおいて回動自在に連結されている。
【0045】
また図1に示す実施形態では、左側アンカ部6の後方(X2)に、可動部2及び左側アンカ部6と分離して形成された左側第2連結腕14が設けられ、右側アンカ部7の前方(X1)に、可動部2及び右側アンカ部7と分離して形成された右側第2連結腕15が設けられている。左側第2連結腕14及び右側第2連結腕15は共に可動部2の内側に形成される。左側第2連結腕14と右側第2連結腕15は点対称で形成される。また、左側第2連結腕14及び右側第2連結腕15は、左側アンカ部6や右側アンカ部7から離れる方向であって、前後方向(X1−X2方向)に平行に所定幅にて延出して形成されている。左側第2連結腕14及び右側第2連結腕15の幅寸法(Y1−Y2方向への寸法)は、第1連結腕3a,4aの幅寸法と同じであることが好ましい。
【0046】
そして、図1に示すように左側第2連結腕14の先端部と可動部2とは、連結部16aにおいて、回動自在に連結されている。また、右側第2連結腕15の先端部と可動部2とは、連結部16bにおいて、回動自在に連結されている。また図1に示すように、左側第2連結腕14と左側アンカ部6とは、連結部17aにおいて、回動自在に連結されている。また右側第2連結腕15と右側アンカ部7とは、連結部17bにおいて、回動自在に連結されている。
【0047】
図1に示すように、第1支持部3の第1連結腕3a及び左側第2連結腕14はともに、左側アンカ部6よりも左側(Y1)の位置にて延出する後端部3c,14aを備えており、第1連結腕3aの後端部3cと、左側第2連結腕14の後端部14aとが所定の間隔を空けて対向配置されている。そして、第1連結腕3aの後端部3cと左側第2連結腕14の後端部14aとの間が連結部18aを介して連結されている。また図1に示すように、第2支持部4の第1連結腕4a及び右側第2連結腕15はともに、右側アンカ部7よりも右側(Y2)の位置にて延出する後端部4c,15aを備えており、第1連結腕4aの後端部4cと、右側第2連結腕15の後端部15aとが所定の間隔を空けて対向配置されている。そして、第1連結腕4aの後端部4cと右側第2連結腕15の後端部15aとの間が連結部18bを介して連結されている。
【0048】
ここで、第1支持部3の第1連結腕3aの先端部から後端部3cまでのX1−X2方向への長さ寸法、第2支持部4の第1連結腕4aの先端部から後端部4cまでのX1−X2方向への長さ寸法、左側第2連結腕14の先端部から後端部14aまでのX1−X2方向への長さ寸法、及び、右側第2連結腕15の先端部から後端部15aまでのX1−X2方向への長さ寸法は、それぞれ同一寸法に調整されている。
【0049】
図7は図1に示す連結部16b付近を拡大して示した部分拡大斜視図である。
図7に示すように、連結部16bでは、可動部2に溝19が形成されており、この溝19の内部において、右側第2連結腕15と、可動部2とを繋ぐ弾性変形可能なトーションバー(ばね部)20aが設けられている。このトーションバー20aは、可動部2および右側第2連結腕15と同様にシリコンで形成されている。すなわち、長方形のシリコン基板をエッチングして、可動部2や右側第2連結腕15を分離する際に、可動部2と右側第2連結腕15とを連結するようにシリコン基板の一部を残しシリコンを角柱状に加工して、トーションバー20aが形成されている。すなわちトーションバー20aとなる部分のシリコン基板をエッチングにて幅細に切り出すことで、ばね性を持たせることが出来る。
【0050】
図7に示す構造は、図1に示す各連結部11a,11b,16aにおいても同様である。
【0051】
また図8は、中央アンカ部5と右側アンカ部7、及びその周囲部を拡大して示した部分拡大平面図である。
【0052】
図8に示すように、各連結部12a,13a,13b,17bにおいても溝内に弾性変形可能なトーションバー20b〜20eが設けられて各アンカ部5,7と第1連結腕3a,4a及び右側第2連結腕15がトーションバー20b〜20eを介して連結されている。また図示しなかった左側アンカ部6と第1連結腕3a及び左側第2連結腕14との連結部12b,17aにおいても図7と同様の構造で形成されている。
【0053】
図8に示すように、右側第2連結腕15の後端部15aと第2支持部4の第1連結腕4aの後端部4c間に位置する連結部18bには溝21内に折り曲げ形成されたばね部22が設けられ、ばね部22の一方の端部が右側第2連結腕15の後端部15aに、ばね部22の他方の端部が第2支持部4の第1連結腕4aの後端部4cに接続されている。ばね部22が前後方向(X)に平行に伸びず迂回しているのは、幅細のばね部22の長さ寸法を稼いでばね定数を小さくし、第1連結腕3a、4aと第2連結腕間14、15を強固に結合しないためである。また、連結部18a,18bに設けられたばね部は、左右方向(Y)において同軸上に設けられる。また、連結部18aに設けられたばね部と、連結部18bに設けられたばね部とは点対称で形成される。
【0054】
トーションバー20a〜20e及びばね部22が捻り変形することで、各連結腕を可動部2及び各アンカ部5〜7に対して回動させることが出来る。また、トーションバー20a〜20e及びばね部22を形成しているシリコンが弾性材料であるため、可動部2などに外力が作用していないときは、図1および図2に示すように、トーションバー20a〜20e及びばね部22の弾性復元力により、可動部2の表面と各連結腕及び各脚部の表面とが同一面となるように復元する。
【0055】
図5(a)に示すように、物理量センサ1には、可動部2と高さ方向にて離れた一方に固定部10と他方に対向部30が設けられる。図5(a)の静止状態において、可動部2と対向部30との間の間隔T2は、1〜5μm程度である。
【0056】
また図5(a)には図示しないが、対向部30の表面30aには、固定電極が設けられている。対向部30は例えばシリコン基板であり、固定電極は、対向部30の表面30aに絶縁層を介して導電性金属材料をスパッタしまたはメッキすることで形成されている。
【0057】
また、可動部2の表面(下面)2aには、対向部30に形成された固定電極に対面する可動電極(図示しない)が絶縁層を介してスパッタやメッキ工程で形成されている。あるいは、可動部2が、低抵抗シリコン基板などの導電性材料で形成されている場合には、可動部2それ自体を可動電極として使用することも可能である。
【0058】
この物理量センサ1は、外部から力(加速度等)が作用していないときに、それぞれの連結部に設けられたトーションバーやばね部の弾性復元力により、図2、図5(a)に示すように、全ての部分の表面が同一平面となった状態を維持している。
【0059】
物理量センサ1に外部から例えば加速度が与えられると、加速度は、可動部2及び各アンカ部5〜7に作用する。このとき、可動部2は慣性力によって絶対空間内で留まろうとし、その結果、各アンカ部5〜7に対して可動部2が加速度の作用方向と逆の方向へ相対的に移動する。
【0060】
図3及び図5(b)は、アンカ部5〜7、固定部10及び対向部30に対して下向きの加速度が作用したときの動作を示している。このとき、可動部2は慣性力により図2及び図5(a)の静止状態の位置から上方向へ向けて変位すべく、第1支持部3が連結部12a、12bを中心に高さ方向に回動し、第2支持部4が連結部13a,13bを中心として高さ方向に回動し、左側第2連結腕14が連結部17aを中心として高さ方向に回動し、右側第2連結腕15が連結部17bを中心として高さ方向に回動する。この回動動作時、各連結部11a,11b,12a,12b,13a,13b,16a,16b,17a,17bに設けられたトーションバーは捩れ変形(弾性変形)する。さらに、図1、図3、図5(b)に示すように、左側第2連結腕14の後端部14aと第1支持部3の第1連結腕3aの後端部3cとの間がばね部(連結部18a)により連結され、右側第2連結腕15の後端部15aと第2支持部4の第1連結腕4aの後端部4cとの間がばね部(連結部18b)により連結されている。よって、図3、図5(b)に示すように可動部2が高さ方向へ変位したときに、ばね部の弾性変形により、各第2連結腕14,15の後端部14a,15aと第1連結腕3a,4aの後端部3c,4cの高さ位置がばらつくのを抑制できる。
【0061】
本実施形態の可動部2の支持機構により可動部2を高さ方向に効果的に平行移動させることが出来る。
【0062】
本実施形態では、図3及び図5(b)に示すように、第1支持部3が連結部12a,12bを中心として高さ方向に回動し、第2支持部4が連結部13a,13bを中心として高さ方向に回動したときに、第1連結腕3a,4aの先端部は上方に向けて変位し、一方、脚部3b,4bの先端部は下方に変位する。図3、図5(b)に示すように、脚部3b,4bの先端部31,32がアンカ部5〜7の位置よりも下方に向けて突出する。
【0063】
さらに加速度が加わって可動部2が上方へ変位すると、第1支持部3及び第2支持部4の更なる回動動作により、脚部3b,4bの先端部31,32のアンカ部5〜7からの突出量がさらに大きくなる(図4、図6(a)参照)。このとき可動部2が固定部10の表面10aに当接するよりも先に、図6(a)に示すように脚部3b,4bの先端部31,32が対向部30の表面30aに当接する。すなわち、可動部2は固定部10の表面10aに当接しない。
【0064】
このように本実施形態では、図5(a)の状態から図6(a)の状態に示すように、可動部2と各支持部3,4、及び各支持部3,4と各アンカ部5〜7間を連結する各連結部での弾性変形により、可動部2が高さ方向(Z軸方向)に変位すると、脚部3b,4bは、可動部2の変位とは逆方向に変位し(第1の変位)、作用する加速度が大きくなることで、脚部3b,4bの下方向への突出量が大きくなり、やがて脚部3b,4bが対向部30の表面30aに当接した状態になる(第1の変位の終わり)。可動部2の第1の変位は、可動部2と対向部30の表面30aに設けられた固定電極とからなる検知部36(図5(a)〜図6(a)参照)での静電容量変化に基づいて、検知することが出来る。
【0065】
図11(a)は本実施形態における物理量センサ1を用いて高さ方向(Z軸方向)に加速度を作用させたときの加速度と検知部36にて検出された静電容量との関係を示すグラフである。図11(b)は、比較例における物理量センサを用いて高さ方向(Z軸方向)に加速度を作用させたときの加速度と検知部にて検出された静電容量との関係を示すグラフである。
【0066】
ここで、図11(a)、図11(b)の加速度に対する静電容量変化は一例である。また比較例は、本実施形態と異なって脚部3b,4bのない構成(例えば特許文献1に示すような構成のもの)である。
【0067】
図11(a)に示すように、本実施形態では、加速度が徐々に大きくなると、図5(a)〜図6(a)に示すように可動部2が徐々に固定電極が設けられた対向部30の表面30aから離れていき、静電容量が徐々に小さくなっていく。図11(b)に示すように、比較例においても、ここまでは、加速度に対する静電容量変化が図11(a)の本実施形態と同じ挙動を示している。すなわち、本実施形態においては低下速度範囲では高精度でセンサ感度が高いため、この加速度範囲での加速度検知に必要な性能を有している。
【0068】
しかしながら、比較例の場合、可動部2が一旦、図示しないストッパ面に当接した状態になるとそれ以上、加速度が増加しても可動部2は高さ方向に変位できないため、図11(b)に示すように脚部3b,4bのない比較例では、静電容量変化をもたらす加速度の範囲が非常に狭い、すなわち検出レンジ(測定レンジ)が非常に狭くなっている。
【0069】
これに対して、本実施形態では、図6(a)に示すように脚部3b,4bが、対向部30の表面30aに当接した状態から、更に大きい下向きの加速度が印加されると、可動部2が図示上方に持ち上がろうとするために支持部3,4が更に回動しようとする。このとき、各連結部での弾性変形のみならず、弾性変形可能に形成された脚部3b,4bも図6(b)に示すように撓むことで、支持部3,4が回動し、可動部2を図6(a)の高さ位置(図6(b)の点線に示す位置)から更に上方に変位させることが可能になる(第2の変位)。そして本実施形態では、可動部2の第2の変位を、検知部36での静電容量変化に基づいて、検知することが出来る。
【0070】
このように本実施形態では、可動部2の高さ方向への変位を第1の変位のみならず、脚部3b,4bが対向部30の表面30aに接触した後、脚部3b,4bの弾性変形も利用して可動部2を更に変位させることができ(第2の変位)、したがって可動部2の高さ方向への可動範囲を広げることができ、図11(a)に示すように比較例に比べて、加速度の検出レンジ(測定レンジ)を広げることが出来る。
【0071】
本実施形態では、静電容量変化を検出する制御部(図示しない)には、静電容量変化を受けて、加速度を算出する算出部を備えており、例えば図11(b)に示すように、静電容量変化に基づいて、例えば、第1の加速度範囲Aと、第2の加速度範囲Bとを得ることが出来る。加速度の小さい第1の加速度範囲Aは、図5(b)、図6(a)に示すように、可動部2が上方に変位しながら脚部3b,4bが下方に移動する可動範囲内での静電容量変化で得ることができ、一方、加速度の大きい第2の加速度範囲Bは、図6(b)に示すように、弾性変形脚部3b,4bが撓みながら可動部2が上方に変位する可動範囲内での静電容量変化で得ることが出来る。
【0072】
また本実施形態では、図2〜図4、図5、図6に示すように可動部2を高さ方向(Z)に平行移動させることができるものであり、高精度なセンサ感度を得ることができ、また薄型化を実現できる。
【0073】
更に本実施形態では、図6(a)(b)に示すように可動部2が高さ方向(Z)に変位したときに可動部2を脚部3b,4bで支える構造となっている。よって可動部2を対向部30と固定部10の間の空間に浮いた状態で留めることができ、質量の大きい可動部2に対する損傷を抑制することができ、安定したセンサ感度を得ることが出来る。
【0074】
また図6(a)(b)に示すように、本実施形態では、複数の脚部3b,4bで可動部2を支える構造であるために、大きい加速度が印加された状態でも、複数の脚部3b,4bに応力を分散でき、各脚部3b,4bの損傷を抑制でき、長寿命を実現できる。
【0075】
なお図11(a)に示す静電容量変化のグラフの傾きや検出可能な加速度範囲(検出レンジ)は一例であり、脚部3b,4bの幅や各連結部の弾性力、可動部2と対向部30間の間隔T2等を変更することで、調整できる。
【0076】
図1に示す実施形態では、中央アンカ部5と、左側アンカ部6と、右側アンカ部7とが設けられている。そして、各アンカ部5〜7の中心が左右方向(Y)に延びる横中心線Ox上に配置されている。このため各連結部12a,12b,13a,13b,17a,17bが横中心線Oxから前後方向に大きく離れていない。これにより、例えば、各アンカ部5〜7を固定支持する固定部10に熱による歪みや外力による歪みが生じたときでも、各連結部12a,12b,13a,13b,17a,17bが上下に大きく動くのを抑えることが出来る。そのため、可動部2に加速度等が作用していない中立姿勢から上下方向にずれるのを抑制でき、オフセットノイズ(前記中立姿勢からのずれに基づく出力)を低減することが出来る。
【0077】
また図9に示すようにアンカ部を、左側アンカ部6と右側アンカ部7だけにし、中央アンカ部5を省略してもよい。図9では図1と同じ部分に同じ符号を付している。
【0078】
図10には、本実施形態におけるストッパ機構を示す。図10(a)は例えば脚部4b付近を拡大して示した部分拡大平面図である。図10(b),(c)は、図10(a)をa−a線に沿って切断し矢印方向から見た部分拡大断面図である。なお以下では、脚部4bのみについて説明するが、脚部3b付近についても同様のストッパ機構が設けられている。
【0079】
図10(a)(b)に示すように、対向部30の表面30aには、一定領域に盛り上がる高さ調整用の基台40の表面から突出する2つの突起部41,42が設けられる。そして各突起部41,42の表面41a,42aがストッパ面(以下、ストッパ面41a,42aと称する)となっている。
【0080】
図10(a)に示すようにストッパ面41a,42aの幅寸法は、脚部4bの幅寸法よりも十分に小さく形成されている。図10(a)ではストッパ面41aは略円形状であるが、ストッパ面41aの平面形状は特に限定されるものでない。ストッパ面41aの「幅寸法」とは、左右方向(Y1−Y2)に沿う脚部4bの幅寸法と同方向の寸法である。前記ストッパ面41aが図10のように円形であれば直径を指す。前記ストッパ面41aの幅寸法は、数μm程度で形成できる。
【0081】
基台40及び突起部41,42の形成方法は限定されない。例えばエッチングにて対向部30の表面30aを掘り込んで形成することができる。
【0082】
図10(a)及び図10(b)に示すように、2つあるストッパ面41a,42aのうち一方のストッパ面41aは、脚部4bに対し、先端面32bと下面(対向部30との対向面)32cとが交わる角部32aよりも内側に対向して形成されている。
【0083】
このため図10(b)に示すように、脚部4bが下方向へ変位し、脚部4bがストッパ面41aに当接したとき、脚部4bの下面(対向部30との対向面)32cは、角部32aよりも内側の位置で前記ストッパ面41aに当接する。
【0084】
図10(c)は、可動部2が、もう一方の突起部42のストッパ面42aに当接する場合(可動部2が下方に変位し、脚部3b,4bが上方に変位する)を示しているが、図10(c)においても、適切に可動部2とストッパ面42aとの接触面積を小さくすることが可能である。
【0085】
図10に示す突起状のストッパを対向部30の表面30aではなく、あるいは対向部30の表面30aとともに、脚部3b,4bの下面32cや可動部2の下面に設けることも出来る。
【0086】
図10に示す突起状のストッパを形成するかは任意であるが、突起状のストッパを設けることで、効果的に耐スティッキング性を向上させることが可能である。
【0087】
本実施形態における検知部36は静電容量式であったが、検知部の構成は静電容量式に限定するものではない。例えば、検知部はピエゾ抵抗式とすることが出来る。かかる場合、ピエゾ素子を少なくともいずれか一方の脚部3b,4bの先端付近や、各連結部11a,11b,12a,12b,13a,13b,16a,16b,17a,17b,18a,18bの少なくとも一つに設ける。ただし静電容量式としたことで簡単で且つ高精度な検知部の構成を実現できる。
【0088】
本実施形態は加速度センサのみならず角速度センサ、衝撃センサ等、物理量センサ全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 物理量センサ
2 可動部
3,4 支持部
3a,4a 第1連結腕
3b,4b 脚部
5 中央アンカ部
6 左側アンカ部
7 右側アンカ部
10 固定部
11a,11b,12a,12b,13a,13b,16a,16b,17a,17b,18a,18b 連結部
14、15 第2連結腕
20a〜20e トーションバー(ばね部)
22 ばね部
30 対向部
30a 対向部の表面
31,32 脚部の先端部
36 検知部
41 42 突起部
41a、42a ストッパ面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定支持されるアンカ部と、高さ方向に変位する可動部と、前記アンカ部と前記可動部とに弾性変形可能な連結部を介して回動自在に連結された支持部と、前記可動部の変位を検知するための検知部とを有しており、
前記支持部には、前記支持部が前記連結部の変形により回動して前記可動部が高さ方向に変位したときに前記可動部の変位方向に対し逆方向に変位する脚部が設けられており、
前記脚部が前記可動部と高さ方向にて対向する対向部の表面に当接した状態から撓んで、前記可動部が前記対向部の表面から更に離れる方向に変位可能なように、前記脚部が弾性変形可能に形成されていることを特徴とする物理量センサ。
【請求項2】
前記支持部には、前記アンカ部と前記可動部間を前記連結部を介して連結する第1連結腕と、前記アンカ部から前記第1連結腕とは逆方向に延びる前記脚部とが形成されており、前記支持部が回動したときに前記アンカ部と前記第1連結腕間の前記連結部を中心として前記第1連結腕と前記脚部とが逆方向に変位する請求項1記載の物理量センサ。
【請求項3】
前記脚部を備える前記支持部は複数設けられ、一方の前記支持部に設けられた前記第1連結腕と、他方の前記支持部に設けられた前記第1連結腕とは、前記アンカ部を介して逆方向に延びており、一方の前記第1支持部に設けられた前記脚部と他方の前記第1支持部に設けられた前記脚部とは前記アンカ部を介して逆方向に延びている請求項2記載の物理量センサ。
【請求項4】
前記支持部とは別に、前記アンカ部から前記第1連結腕に対して逆方向に延び、前記アンカ部と前記可動部間を前記連結部を介して連結する第2連結腕が設けられている請求項2又は3に記載の物理量センサ。
【請求項5】
前記第1連結腕及び前記第2連結腕の前記可動部との連結位置とは逆側に位置する後端部同士が前記連結部を介して連結されている請求項4記載の物理量センサ。
【請求項6】
前記アンカ部、前記支持部及び前記第2連結腕はいずれも前記可動部の内側に前記可動部と分離して設けられ、
前記アンカ部は、左右方向(Y)に間隔を空けて配置された左側アンカ部と、右側アンカ部とを有して構成され、
前記支持部は、前記左側アンカ部に前記連結部を介して連結され、前記左側アンカ部よりも前方(X1)に前記第1連結腕が延び後方(X2)に前記脚部が延びる第1支持部と、前記右側アンカ部に前記連結部を介して連結され、前記右側アンカ部よりも後方(X2)に前記第1連結腕が延び前方(X1)に前記脚部が延びる第2支持部とを有して構成され、
前記第2連結腕は、前記左側アンカ部と前記可動部の間に位置し、前記第1支持部の前記第1連結腕とは逆方向に延びる左側第2連結腕と、前記右側アンカ部と前記可動部の間に位置し、前記第2支持部の前記第1連結腕とは逆方向に延びる右側第2連結腕とを有して構成される請求項4又は5に記載の物理量センサ。
【請求項7】
前記左側アンカ部と前記右側アンカ部の間には中央アンカ部が設けられ、前記第1支持部は前記中央アンカ部及び前記左側アンカ部の双方に前記連結部を介して連結され、前記第2支持部は前記中央アンカ部及び前記右側アンカ部の双方に前記連結部を介して連結されている請求項6記載の物理量センサ。
【請求項8】
前記中央アンカ部、前記左側アンカ部及び前記右側アンカ部は、前記左右方向(Y)に延びる同一線上に配置されており、前記可動部と高さ方向で対向し、前記対向部が設けられた側と逆側に、各アンカ部を固定支持する固定部が設けられている請求項7記載の物理量センサ。
【請求項9】
前記脚部が前記可動部の変位方向に対して逆方向に変位したときに前記脚部が接近する前記対向部と前記可動部の間に、静電容量式の前記検知部が設けられる請求項1ないし8のいずれか1項に記載の物理量センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−78121(P2012−78121A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221219(P2010−221219)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】