説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】装置の小型化を図るとともに、現像剤担持体から回収した回収現像剤が、現像剤担持体に汲み上げられることによって生じる画像濃度ムラを抑制できる現像装置、並びに、これを備えたプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】回収搬送路7と供給搬送路9とを連通する供給開口部91と余剰開口部92とが、現像領域幅α内に設けられているので、両開口部を現像領域幅α外に設けた場合よりも装置が小型化する。また、回収搬送路7の現像剤は、供給開口部91から現像剤が落下することによって供給搬送路9に現像剤が移送される。これにより、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側で現像剤の滞留が生じないので、回収搬送路7が現像剤で過度に満たされることがない。よって、回収現像剤が、回収搬送路7から現像ローラ5に汲み上げられるのを抑制することができるので画像濃度ムラが発生しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に用いられる現像装置に係り、詳しくは、トナーとキャリアとを含む現像剤を用いる現像装置、並びに、これを備えたプロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、連続して画像面積率の高い画像をプリントしても濃度ムラ等が発生しない、画像品質の安定性が要求されている。そのため、従来の横方向に現像剤搬送手段を配置する構成から、図5に示すような縦方向上下に現像剤搬送手段を配置する構成にした現像装置が知られている。
図5の現像装置71においては、現像ドクタ73にて剥層化された現像剤担持体74上の現像剤を感光体ドラム78まで搬送し、感光体ドラム78上の潜像を現像する。また、現像後の現像剤は、現像剤回収手段77にて回収を行い、その回収現像剤を図面手前側に搬送し、現像領域H内の仕切り部材が無い開口部で現像剤攪拌搬送手段76に回収現像剤を移送する。また、その開口部付近の現像剤攪拌搬送手段76上側からトナーの供給がなされる。そして、回収現像剤と供給されたトナーとを、現像剤攪拌搬送手段76により図面奥側に分散させながら搬送する。また、図6に示すように、現像領域H内に現像剤攪拌搬送手段76の現像剤搬送方向最下流付近に現像剤供給手段75との開口部Aを設けており、その開口部Aで現像剤を下から上に持ち上げて、現像剤攪拌手段76から現像剤供給手段75に現像剤を移送させる。移送された現像剤は、現像剤供給手段75によって現像担持体74の上流側から順次供給される。そして、図6に示した、現像領域H内の現像剤供給手段75の現像剤搬送方向最下流付近に設けている、現像剤供給手段75と現像剤撹拌搬送手段76とを連通する開口部Bから現像剤を現像剤撹拌搬送手段76に移送させる。
【0003】
【特許文献1】特開平11−167260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図5に示した現像装置71においては、現像剤回収搬送手段77と現像剤攪拌搬送手段76との間で現像剤の移送を行う開口部付近で現像剤の滞留が起こり、図7に示した現像剤回収搬送手段77の現像剤搬送方向下流において、現像剤が過度に満たされる場合がある。この場合、現像剤の受け渡しが現像領域H内で行われているため、濃度の低い回収現像剤が現像剤担持体74上に汲み上げられてしまい、画像濃度ムラが生じてしまうという第1の問題が生じる。
【0005】
特許文献1に記載の現像装置では、各現像剤搬送手段の現像剤の受け渡しを行う開口部を現像領域幅よりも外側に設けているため、回収現像剤が現像剤担持体上に汲み上げられるのを抑制できる。
しかしながら、特許文献1に記載の現像装置のように、現像剤の受け渡しを現像領域外で行う構成では、各現像剤搬送手段の現像剤搬送方向の長さが、上記開口部を設ける長さ分だけ現像剤担持体よりも長くなり、装置の大型化に繋がってしまうという第2の問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置の小型化を図るとともに、現像剤担持体から回収した回収現像剤が、現像剤担持体に汲み上げられることによって生じる画像濃度ムラを抑制できる現像装置、並びに、これを備えたプロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーとキャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、該現像剤担持体の軸線方向に沿って該現像剤を搬送し、該現像剤担持体に該現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を有する現像剤供給搬送路と、該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送部材と逆方向に搬送する現像剤回収搬送部材を有する現像剤回収搬送路と、該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側と、該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向上流側とを連通する第1の開口部と、該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向上流側と、該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向下流側とを連通する第2の開口部とを備えた現像装置において、該現像剤回収搬送路は該現像担持体の斜め上方に設けられており、且つ、該現像剤供給搬送路は該現像剤回収搬送路の下方に設けられており、また、該第1の開口部及び第2の開口部は、該現像剤担持体が該潜像担持体にトナーを供給する現像領域の該軸線方向の幅である現像領域幅内に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記現像剤担持体上に担持された現像剤の厚さを、所定の厚さに規制する現像剤規制部材を備えており、該現像剤規制部材は、該現像剤担持体の下方に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の現像装置において、上記現像剤回収搬送路に対してトナーの補給を行うトナー補給箇所が、該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向上流側に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の現像装置において、上記トナー補給箇所は、上記第2の開口部よりも上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向上流側に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、現像手段と、潜像担持体、帯電手段及びクリーニング手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、該現像手段として、請求項1、2、3または4の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像剤によって現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、該現像手段として、請求項1、2、3または4の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、現像手段と、潜像担持体、帯電手段及びクリーニング手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、該プロセスカートリッジとして、請求項5のプロセスカートリッジを用いることを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、現像剤回収搬送路と現像剤供給搬送路とを連通する第1の開口部と第2の開口部とが、現像領域幅内に設けられているので、両開口部を現像領域幅外に設けた場合よりも装置が小型化する。また、現像剤回収搬送路の現像剤は、第1の開口部から現像剤が落下することによって現像剤供給搬送路に現像剤が移送される。これにより、現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側で現像剤の滞留が生じないので、現像剤回収搬送路が現像剤で過度に満たされることがない。よって、回収現像剤が、現像剤回収搬送路から現像剤担持体に汲み上げられるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、装置の小型化ができ、且つ、回収現像剤が現像剤担持体に汲み上げられることによって生じる画像濃度ムラを抑制できるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、複数の感光体が並行配設されたタンデム型のカラーレーザー複写機(以下、単に「複写機」という)500の一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態に係る複写機500の概略構成図である。この複写機500はプリンタ部100、これを載せる給紙装置200、プリンタ部100の上に固定されたスキャナ300などを備えている。また、このスキャナ300の上に固定された原稿自動搬送装置400なども備えている。
【0011】
上記プリンタ部100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像を形成するための4組のプロセスカートリッジ18Y,M,C,Kからなる画像形成ユニット20を備えている。各符号の数字の後に付されたY,M,C,Kは、イエロー、シアン、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kの他には、光書込ユニット21、中間転写ユニット17、二次転写装置22、レジストローラ対49、ベルト定着方式の定着装置25などが配設されている。
【0012】
光書込ユニット21は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて後述の感光体の表面にレーザ光を照射する。
【0013】
プロセスカートリッジ18Y,M,C,Kは、ドラム状の感光体1、帯電器、現像装置4、ドラムクリーニング装置、除電器などを有している。
【0014】
以下、イエロー用のプロセスカートリッジ18について説明する。
帯電手段たる帯電器によって、感光体1Yの表面は一様帯電される。帯電処理が施された感光体1Yの表面には、光書込ユニット21によって変調及び偏向されたレーザ光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰する。この減衰により、感光体1Y表面にY用の静電潜像が形成される。形成されたY用の静電潜像は現像手段たる現像装置4Yによって現像されてYトナー像となる。
Y用の感光体1Y上に形成されたYトナー像は、後述の中間転写ベルト110に一次転写される。一次転写後の感光体1Yの表面は、ドラムクリーニング装置によって転写残トナーがクリーニングされる。
Y用のプロセスカートリッジ18Yにおいて、ドラムクリーニング装置によってクリーニングされた感光体1Yは、除電器によって除電される。そして、帯電器によって一様帯電せしめられて、初期状態に戻る。以上のような一連のプロセスは、他のプロセスカートリッジ(18M,C,K)についても同様である。
【0015】
次に、中間転写ユニットについて説明する。
中間転写ユニット17は、中間転写ベルト110やベルトクリーニング装置90などを有している。また、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写バックアップローラ16、4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kなども有している。
中間転写ベルト110は、張架ローラ14を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
4つの一次転写バイアスローラ62Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト110の内周面側に接触するように配設され、図示しない電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト110をその内周面側から感光体1Y,M,C,Kに向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体1と一次転写バイアスローラ62との間に一次転写電界が形成される。
Y用の感光体1Y上に形成された上述のYトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト110上に一次転写される。このYトナー像の上には、M,C,K用の感光体1M,C,K上に形成されたM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト110上には多重トナー像たる4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像は、後述の二次転写ニップで図示しない記録シートたる転写紙に二次転写される。二次転写ニップ通過後の中間転写ベルト110の表面に残留する転写残トナーは、図中左側の駆動ローラ15との間にベルトを挟み込むベルトクリーニング装置90によってクリーニングされる。
【0016】
次に、二次転写装置22について説明する。
中間転写ユニット17の図中下方には、2本の張架ローラ23によって紙搬送ベルト24を張架している二次転写装置22が配設されている。紙搬送ベルト24は、少なくとも何れか一方の張架ローラ23の回転駆動に伴って、図中反時計回りに無端移動せしめられる。2本の張架ローラ23のうち、図中右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット17の二次転写バックアップローラ16との間に、中間転写ベルト110及び紙搬送ベルト24を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ユニット17の中間転写ベルト110と、二次転写装置22の紙搬送ベルト24とが接触する二次転写ニップが形成されている。そして、この一方の張架ローラ23には、トナーと逆極性の二次転写バイアスが図示しない電源によって印加される。この二次転写バイアスの印加により、二次転写ニップには中間転写ユニット17の中間転写ベルト110上の4色トナー像をベルト側からこの一方の張架ローラ23側に向けて静電移動させる二次転写電界が形成される。後述のレジストローラ対49によって中間転写ベルト110上の4色トナー像に同期するように二次転写ニップに送り込まれた転写紙には、この二次転写電界やニップ圧の影響を受けた4色トナー像が二次転写せしめられる。なお、このように一方の張架ローラ23に二次転写バイアスを印加する二次転写方式に代えて、転写紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。
【0017】
複写機500本体の下部に設けられた給紙装置200には、内部に複数の転写紙を紙束の状態で複数枚重ねて収容可能な給紙カセット44が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット44は、紙束の一番上の転写紙に給紙ローラ42を押し当てている。そして、給紙ローラ42を回転させることにより、一番上の転写紙を給紙路46に向けて送り出される。
【0018】
給紙カセット44から送り出された転写紙を受け入れる給紙路46は、複数の搬送ローラ対47と、その路内の末端付近に設けられたレジストローラ対49とを有している。そして、転写紙をレジストローラ対49に向けて搬送する。レジストローラ対49に向けて搬送された転写紙は、レジストローラ対49のローラ間に挟まれる。一方、上記中間転写ユニット17において、中間転写ベルト110上に形成された4色トナー像は、ベルトの無端移動に伴って上記二次転写ニップに進入する。レジストローラ対49は、ローラ間に挟み込んだ転写紙を二次転写ニップにて4色トナー像に密着させ得るタイミングで送り出す。これにより、二次転写ニップでは、中間転写ベルト110上の4色トナー像が転写紙に密着する。そして、転写紙上に二次転写されて、白色の転写紙上でフルカラー画像となる。このようにしてフルカラー画像が形成された転写紙は、紙搬送ベルト24の無端移動に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト24上から定着装置25に送られる。
【0019】
定着装置25は、定着ベルト26を2本のローラによって張架しながら無端移動せしめるベルトユニットと、このベルトユニットの一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ27とを備えている。これら定着ベルト26と加圧ローラ27とは互いに当接して定着ニップを形成しており、紙搬送ベルト24から受け取った転写紙をここに挟み込む。ベルトユニットにおいける2本のローラのうち、加圧ローラ27から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト26を加圧する。加圧された定着ベルト26は、定着ニップに挟み込まれた転写紙を加熱する。この加熱やニップ圧の影響により、フルカラー画像が転写紙に定着せしめられる。
【0020】
定着装置25内で定着処理が施された転写紙は、プリンタ筐体の図中左側板に突設せしめられたスタック部57上にスタックされるか、もう一方の面にもトナー像を形成するために上述の二次転写ニップに戻されるかする。
【0021】
図示しない原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置400の原稿台30上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス32上にセットされる。このセットに先立ち、複写機500本体に対して原稿自動搬送装置400が開かれ、スキャナ300のコンタクトガラス32が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置400によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0022】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押下されると、スキャナ300による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置400にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置400がシート原稿をコンタクトガラス32まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体33と第2走行体34とがともに走行を開始し、第1走行体33に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体34内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ35を通過した後、読取センサ36に入射される。読取センサ36は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0023】
このような原稿読取動作と並行して、各プロセスカートリッジ(18Y,M,C,K)内の各機器や、中間転写ユニット17、二次転写装置22、定着装置25がそれぞれ駆動を開始する。そして、読取センサ36によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット21が駆動制御されて、各感光体(40Y,M,C,K)上に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。これらトナー像は、中間転写ベルト110上に重ね合わせ転写された4色トナー像となる。
【0024】
また、原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙装置200内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ42の1つが選択回転せしめられ、ペーパーバンク43内に多段に収容される給紙カセット44の1つから転写紙が送り出される。送り出された転写紙は、分離ローラ45で1枚ずつ分離されて反転給紙路46に進入した後、搬送ローラ対47によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット44からの給紙に代えて、手差しトレイ51からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙ローラ50が選択回転せしめられて手差しトレイ51上の転写紙を送り出した後、分離ローラ52が転写紙を1枚ずつ分離してプリンタ部100の手差し給紙路53に給紙する。
【0025】
本複写機500は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト110をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体(1Y,M,C,K)を接触させる。これに対し、Kトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト110を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をY,M,C用の感光体1Y,M,Cから離間させる。そして、4つの感光体1Y,M,C,Kのうち、K用の感光体1Kだけを図中反時計回りに回転させて、Kトナー像だけを作像する。この際、Y,M,Cについては、感光体1だけでなく、現像装置4も駆動を停止させて、感光体1や現像剤の不要な消耗を防止する。
【0026】
本複写機500は、複写機500内の下記機器の制御を司るCPU等から構成される図示しない制御部と、液晶ディスプレイや各種キーボタン等などから構成される図示しない操作表示部とを備えている。操作者は、この操作表示部に対するキー入力操作により、制御部に対して命令を送ることで、転写紙の片面だけに画像を形成するモードである片面プリントモードについて、3つのモードの中から1つを選択することができる。この3つの片面プリントモードとは、ダイレクト排出モードと、反転排出モードと、反転デカール排出モードとからなる。
【0027】
図1は、4つプロセスカートリッジ18(Y,M,C,K)のうちの1つが備える現像装置4及び感光体1を示す拡大構成図である。4つのプロセスカートリッジ18(Y,M,C,K)は、それぞれ扱うトナーの色が異なる点の他がほぼ同様の構成になっているので、同図では「4」に付すY,M,C,Kという添字を省略している。
図1に示すように感光体1は図中矢印G方向に回転しながら、その表面を不図示の帯電装置により帯電される。帯電された感光体1の表面は不図示の露光装置より照射されたレーザ光により静電潜像を形成された潜像に現像装置4からトナーを供給され、トナー像を形成する。
【0028】
次に、本実施形態に係る複写機500の特徴部である現像装置4について説明する。
現像装置4は、図1中矢印I方向に表面移動しながら感光体1の表面の潜像にトナーを供給し、現像する現像剤担持体としての現像ローラ5を有している。また、現像ローラ5に現像剤を供給しながら図1の奥方向に現像剤を搬送する現像剤供給搬送部材としての供給スクリュ8を有している。
【0029】
また、現像ローラ5の供給スクリュ8との対向部から表面移動方向下流側には、現像ローラ5に供給された現像剤を現像に適した厚さに規制する現像剤規制部材としてのステンレスからなる現像ドクタ12を備えている。現像ローラ5は、現像ドクタ12によって薄層化された現像剤を感光体1との対抗部である現像領域まで搬送し現像を行う。なお、現像ローラ5の表面はV溝あるいはサンドブラスト処理されており、φ25[mm]のアルミ素管からなり、現像ドクタ12及び感光体1とのギャップは0.3[mm]程度となっている。
【0030】
また、現像ローラ5の感光体1との対向部である現像部から表面移動方向下流側には、現像部を通過した現像済みの現像剤を回収し、回収した回収現像剤を供給スクリュ8と反対方向に搬送する現像剤回収搬送部材としての回収スクリュ6を備えている。なお、供給スクリュ8と回収スクリュ6とは樹脂のスクリュからなっており、各スクリュ径は全てφ18[mm]でスクリュピッチは25[mm]、回転数は約600[rpm]に設定されている。
【0031】
図1に示すように、供給スクリュ8を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路9は、現像ローラ5の斜め下方に、回収スクリュ6を備えた現像剤回収搬送路としての回収搬送路7は、供給搬送路9の上方に設けられている。なお、回収搬送路7と供給搬送路9とは、後述する供給開口部91と余剰開口部92とによって連通している。
【0032】
次に、2つの現像剤搬送路内での現像剤の循環について説明する。
図3は、現像装置4内の現像剤の流れの模式図であり、図中の各矢印は現像剤の移動方向を示している。
図中Hは、現像剤担持体である現像ローラ5が、潜像担持体である感光体1にトナーを供給する現像領域を示している。また、この現像領域Hの現像ローラ5の回転軸の軸線方向の幅が現像領域幅αである。図3に示すように、現像装置4には、供給搬送路9から回収搬送路7に現像剤を移送する箇所である余剰開口部92と、回収搬送路7から供給搬送路9に現像剤を移送する供給開口部91とが、ともに現像領域幅α内に設けられている。
【0033】
供給搬送路9では、供給スクリュウ8によって現像ローラ5に現像剤を供給しながら、現像剤搬送方向下流側に現像剤を搬送している。そして、現像ローラ5に供給されず供給搬送路9の現像剤搬送方向下流端まで搬送された余剰現像剤は、供給スクリュ8によってさらに供給搬送路9の現像剤搬送方向下流側に押し込まれて盛り上がることにより余剰開口部92から回収搬送路7に供給される(図3中矢印D)。なお、供給搬送路9の現像剤搬送方向下流側で現像剤が盛り上がったとしても、供給搬送路9から現像ローラ5に汲み上げられる現像剤の量は、現像ドクタ12によって規制されるため、画像濃度ムラが生じるのを抑制できる。
【0034】
回収搬送路7では、現像ローラ5上から回収した回収現像剤と、供給搬送路9から供給された余剰現像剤とを、回収スクリュ6によって攪拌しながら搬送している。そして、攪拌された現像剤は、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流端まで搬送され、供給開口部91から落下して供給搬送路9に供給される(図3中矢印E)。なお、供給開口部91の現像剤搬送方向下流で現像剤が供給開口部91から落下するので、回収搬送路7に現像剤が過度に満たされることがない。よって、濃度の低い現像剤が現像ローラ5に再汲み上げされるのを抑制することができる。また、回収搬送路7では、後述する必要に応じて補給されるトナーと回収現像剤と余剰現像剤とを一緒に回収スクリュウ6によって攪拌搬送する。なお、回収搬送路7の下方には、不図示のトナー濃度センサが設けられ、センサ出力により不図示のトナー補給制御装置を作動し、不図示のトナー収容部からトナー補給を行っている。
【0035】
図4は、従来の現像装置内の現像剤の流れの模式図である。
従来の現像装置4は図4に示すように供給開口部91と余剰開口部92とを現像領域幅αの外側に設けている。供給開口部91を現像領域幅αの外側に設けているため、供給搬送路9の現像剤搬送方向上流側は現像ローラ5よりも供給搬送路上流側領域β分長くなっている。また、余剰開口部92を現像領域幅αの外側に設けているため、供給搬送路9の現像剤搬送方向下流側は現像ローラ5よりも供給搬送路下流側領域γ分長くなっている。
【0036】
図3と図4とを比較して分かる通り、本実施形態の現像装置4では、余剰開口部92と供給開口部91とがともに現像領域幅α内に設けられているため、供給搬送路9の現像剤搬送方向上流側は従来の現像装置4よりも供給搬送路上流側領域β分短くすることができ、また、供給搬送路9の現像剤搬送方向下流側は従来の現像装置4よりも供給搬送路下流側領域γ分短くすることができる。
このように、本実施形態の現像装置4は供給開口部91と余剰開口部92とを現像領域幅α内に設けているため、開口部を現像領域幅α外に設けた従来の現像装置4に比べて、省スペース化を図ることが出来る。
【0037】
次に、現像装置4の供給搬送路9と回収搬送路7からなる現像剤搬送路へのトナーを補給する位置について説明する。トナーを補給する図示しないトナー補給口を、現像領域幅α内の回収搬送路7の現像剤搬送方向上流側に設けることによって、装置本体の省スペース化を図ることができる。さらに、補給したトナーを回収搬送路7内の現像剤に分散させるための攪拌搬送距離を確保することができる。
また、トナー補給口を、回収搬送路7における余剰開口部92よりも現像剤搬送方向上流側に設けても良い。例えば、余剰開口部92を現像領域幅α内に設けることで空いたスペースにトナー補給口を設けたとしても、従来の現像装置4より大型化することがなく、さらに、トナー補給口が各搬送路の幅よりも外側にあることによってトナー補給を行い易い構成となる。また、補給したトナーと現像剤とを攪拌搬送する距離が長くなるため、補給したトナーと現像剤とを十分に混ぜることができる。
【0038】
以上、本実施形態によれば、トナーとキャリアとを含むる現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体である感光体1と対向する箇所で感光体1の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体である現像ローラ5と、現像ローラ5の軸線方向に沿って現像剤を搬送し、現像ローラ5に現像剤を供給する現像剤供給搬送部材である供給スクリュ8を備えた現像剤供給搬送路である供給搬送路9と、感光体1と対向する箇所を通過後の現像ローラ5から回収された現像剤を現像ローラ5の軸線方向に沿って、且つ、供給スクリュ8と逆方向に搬送する現像剤回収搬送部材である回収スクリュ6を備えた現像剤回収搬送路である回収搬送路7と、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流と、供給搬送路9の現像剤搬送方向上流側とを連通する第1の開口部である供給開口部91と、回収搬送路7の現像剤搬送方向上流と、供給搬送路9の現像剤搬送方向下流とを連通する第2の開口部である余剰開口部92とを備えた現像装置4において、回収搬送路7は現像ローラ5の斜め上方に設けられており、且つ、供給搬送路9は回収搬送路7の下方に設けられており、また、供給開口部91及び余剰開口部92は、現像ローラ5が感光体1にトナーを供給する現像領域Hの現像ローラ軸線方向の幅である現像領域幅α内に設けられている。これにより、供給開口部91と余剰開口部92とを現像領域幅α内に設けているため、両開口部を現像領域幅α外に設けた従来の現像装置に比べて、現像装置4の小型化を図ることが出来る。また、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側の供給開口部91から現像剤が落下することによって供給搬送路9に現像剤が移送されるので、回収搬送路7の現像剤搬送方向下流側で現像剤が滞留することがない。よって、現像剤が回収搬送路7に過度に満たされることがない。したがって、回収搬送路7から濃度の低い回収現像剤が現像ローラ5に汲み上げされるのを抑制することができる。したがって、現像装置4に本実施形態に示した構成を適用することにより、現像装置4の小型化ができ、また、回収現像剤が現像ローラ5に汲み上げられることによって生じる画像濃度ムラを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、現像ローラ5上に担持された現像剤の厚さを所定の厚さに規制する現像剤規制部材である現像ドクタ12を備えており、現像ドクタ12は、現像ローラ5の下方に設けられている。これにより、供給搬送路9で現像剤が過度に満たされることによって、過剰な量の現像剤が供給搬送路9から現像ローラ5に汲み上げられたとしても、現像ドクタ12によって現像ローラ5上に担持された現像剤の量を一定にすることができる。したがって、現像ローラ5に供給搬送路9から過剰な量の現像剤が供給されることによって生じる画像濃度ムラを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、上記回収搬送路7に対してトナーの補給を行うトナー補給箇所が、回収搬送路7の現像剤搬送方向上流側に設けられている。これにより、現像装置4の省スペース化を図ることができ、さらに、補給したトナーを回収搬送路7内の現像剤に分散させるための攪拌搬送距離を確保することができる。
また、本実施形態によれば、上記トナー補給箇所は、上記余剰開口部91よりも上記回収搬送路7の現像剤搬送方向上流側に設けられている。これにより、トナー補給口が各搬送路の幅よりも外側にあることによってトナー補給を行い易い構成となる。また、補給したトナーと現像剤とを攪拌搬送する距離が長くなるため、補給したトナーと現像剤とを十分に混ぜることができる。
また、本実施形態によれば、現像装置4と、感光体1、帯電手段である帯電器及びクリーニング手段であるドラムクリーニング装置より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ18にした場合でも、上述した効果を得ることができ、さらに、プロセスカートリッジ化することによってメンテナンス性が向上する。
また、本実施形態によれば、画像形成装置に本発明の現像装置4を用いることにより、現像装置4で上述した効果が得られるので、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、画像形成装置に本発明の現像装置4を備えた上記プロセスカートリッジ18を用いることにより、現像装置4で上述した効果が得られるため、良好な画像形成が可能となり、さらに、プロセスカートリッジ化されているのでメンテナンス性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の特徴的な部分である現像装置の概略構成図。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図3】現像装置内の現像剤の流れの模式図。
【図4】従来の現像装置内の現像剤の流れの模式図。
【図5】従来の現像装置の概略構成図。
【図6】従来の現像装置の断面説明図。
【図7】従来の現像装置における現像剤の流れを説明する現像装置の斜視断面図。
【符号の説明】
【0040】
1 感光体
5 現像ローラ
6 回収スクリュ
7 回収搬送路
8 供給スクリュ
9 供給搬送路
12 現像ドクタ
73 現像ドクタ
74 現像剤担持体
75 現像剤供給手段
76 現像剤攪拌手段
77 現像剤回収手段
91 供給開口部
92 余剰開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する箇所で該潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
該現像剤担持体の軸線方向に沿って該現像剤を搬送し、該現像剤担持体に該現像剤を供給する現像剤供給搬送部材を有する現像剤供給搬送路と、
該潜像担持体と対向する箇所を通過後の該現像剤担持体上から回収された該現像剤を該現像剤担持体の軸線方向に沿って、且つ、該現像剤供給搬送部材と逆方向に搬送する現像剤回収搬送部材を有する現像剤回収搬送路と、
該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向下流側と、該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向上流側とを連通する第1の開口部と、
該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向上流側と、該現像剤供給搬送路の現像剤搬送方向下流側とを連通する第2の開口部とを備えた現像装置において、
該現像剤回収搬送路は該現像担持体の斜め上方に設けられており、且つ、該現像剤供給搬送路は該現像剤回収搬送路の下方に設けられており、
また、該第1の開口部及び第2の開口部は、該現像剤担持体が該潜像担持体にトナーを供給する現像領域の該軸線方向の幅である現像領域幅内に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記現像剤担持体上に担持された現像剤の厚さを、所定の厚さに規制する現像剤規制部材を備えており、
該現像剤規制部材は、該現像剤担持体の下方に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2の現像装置において、
上記現像剤回収搬送路に対してトナーの補給を行うトナー補給箇所が、該現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向上流側に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の現像装置において、
上記トナー補給箇所は、上記第2の開口部よりも上記現像剤回収搬送路の現像剤搬送方向上流側に設けられていることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
現像手段と、潜像担持体、帯電手段及びクリーニング手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
該現像手段として、請求項1、2、3または4の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像担持体と、
該潜像担持体上の潜像を現像剤によって現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、
該現像手段として、請求項1、2、3または4の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
現像手段と、潜像担持体、帯電手段及びクリーニング手段より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
該プロセスカートリッジとして、請求項5のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−90171(P2008−90171A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273096(P2006−273096)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】