説明

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】経時でトナーのホッピング状態を良好に保ち、トナーのホッピング不良に伴う現像不良を抑制できる現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】複数の電極を有する表面移動可能なトナー担持体と、トナー担持体と潜像担持体との対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側でトナー担持体表面を被覆するトナー担持体表面移動方向に長尺な被覆フィルムをトナー担持体表面に供給する被覆フィルム供給手段と、被覆フィルムで被覆されたトナー担持体上にトナーを供給するトナー供給手段と、被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体上でトナーをホッピングさせる電界を複数の電極の電極間に形成するホッピン電界形成手段と、被覆フィルムで被覆されたトナー担持体表面が、前記対向領域を通過し被覆フィルム供給位置に到達する前にトナー担持体表面から被覆フィルムを離脱させて回収する被覆フィルム回収手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置、その現像装置を備える画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置としては、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の現像装置は、絶縁性の支持基材の周方向に複数の電極が所定の間隔で配設され、支持基材及び電極の表面に絶縁性の表層が積層された筒状のトナー担持体を有している。これら電極は、互いに隣り合う2つの電極からなる電極対が繰り返し配設されたものである。それぞれの電極対における2つの電極間には交番電界が形成される。すると、電極対における一方の電極の上に位置していたトナーが浮上して他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上から浮上して一方の電極の上に着地したりする。そして、このようにしてホッピングを繰り返しながら、トナー担持体の回転駆動に伴う表面移動によってトナーが現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで浮上したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。かかる構成では、現像ローラや磁性キャリアなどに吸着しているトナーではなく、ホッピングによって吸着力を発揮していないトナーを現像に用いる。これにより、従来の1成分現像方式や2成分現像方式では実現が望めなかったほどの低電位現像を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の現像装置においては、経時使用によりトナー担持体の表面にトナーが固着することがある。このようにトナー担持体の表面にトナーが固着してしまうと、その固着したトナーによって上記電極間における電界形成が阻害されてしまい、トナー担持体上でトナーを良好にホッピングさせることができなくなって、現像不良が発生するといった問題が生じる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、経時でトナーのホッピング状態を良好に保ち、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのを抑制できる現像装置、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体に対向して配設された、複数の電極を有する表面移動可能なトナー担持体と、該トナー担持体と該潜像担持体との対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で、トナー担持体表面を被覆するトナー担持体表面移動方向に長尺な被覆フィルムを該トナー担持体表面に供給する被覆フィルム供給手段と、該対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で該被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体上にトナーを供給するトナー供給手段と、該被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体上でトナーをホッピングさせる電界を前記複数の電極の電極間に形成するホッピン電界形成手段と、該被覆フィルムによって被覆された該トナー担持体表面が、前記対向領域を通過し被覆フィルム供給位置に到達する前に該トナー担持体表面から該被覆フィルムを離脱させて回収する被覆フィルム回収手段とを備えることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記被覆フィルム供給手段によって供給される上記被覆フィルムの残量を検知する被覆フィルム残量検知手段を有することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の現像装置において、上記被覆フィルムは上記被覆フィルム供給手段にロール状で保持されており、上記被覆フィルム回収手段は回収した該被覆フィルムをロール状に巻き取って保持しており、上記フィルム残量検知手段によって上記被覆フィルムの残量を検知し、その検知結果に基づいて該被覆フィルムが無くなる前に、該被覆フィルム回収手段から該被覆フィルム供給手段に該被覆フィルムを巻き戻すことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを備える画像形成装置における、少なくとも該潜像担持体及び該現像手段を1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを有するプロセスカートリッジによって該潜像担持体上にトナー像を形成する画像形成装置において、上記プロセスカートリッジとして、請求項5のプロセスカートリッジを用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジを複数設けるとともに、それぞれのプロセスカートリッジの上記潜像担持体上に形成されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写する転写手段を設けたことを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、トナー担持体と潜像担持体との対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で、トナー担持体表面移動方向に長尺なトナー担持体表面を被覆フィルムで被覆し、この被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体上にトナーを供給する。そして、この被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体表面が、前記対向領域を通過し被覆フィルム供給位置に到達する前にトナー担持体表面から被覆フィルムを離脱させて回収する。これにより、前記対向領域を通過しトナーが付着した被覆フィルムがそのまま同一のトナー担持体表面を被覆し続けることがなく、その被覆フィルムが回収されたトナー担持体表面は、被覆フィルム供給手段によって新たに供給された被覆フィルムで被覆される。よって、経時使用によりトナーが固着した被覆フィルムでトナー担持体表面が被覆されることがなく、固着したトナーによって上記電極間における電界形成が阻害されるのを抑えることができる。したがって、トナー担持体上でトナーを良好にホッピングさせる電界を経時にわたって上記電極間に形成することができるので、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、経時でトナーのホッピング状態を良好に保ち、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのを抑制できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の特徴部である現像装置の概略構成図。
【図2】トナー担持体の電極配置を説明するためにトナー担持体を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図。
【図3】被覆フィルムで被覆されたトナー担持体を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図。
【図4】第一電極及び第二電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフ。
【図5】第一電極及び第二電極へ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフ。
【図6】第一電極及び第二電極へ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフ。
【図7】第一電極及び第二電極への給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図。
【図8】第一電極及び第二電極への給電構成を模式的に示す斜視図。
【図9】被覆フィルムに設けられたロールエンド検知部材の設置位置を示す模式図。
【図10】本発明を適用した磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分現像剤を用いた現像装置の概略構成図。
【図11】本発明の現像装置を備えた画像形成装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した現像装置を有する、電子写真方式の画像形成装置の一実施形態について説明する。
なお、本発明に係る実施形態は以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【0011】
図1は、一成分トナーでトナー供給部材であるトナー供給ローラ11から直接、トナー担持体1を覆う被覆フィルム5上へトナーを供給する構成である。
【0012】
まず、被覆フィルム5の供給動作について説明する。被覆フィルム供給ローラ7から供給された被覆フィルム5は、トナー供給ローラ11より上流側でトナー担持体表面に供給される。被覆フィルム5は、トナー担持体1の回転に伴い、被覆フィルム供給装置6から順次送り出される。供給された被覆フィルム5は、トナー供給ローラ11、トナー層規制部材12、現像領域を経て、トナー担持体1から剥離する。剥離したフィルムは、図示しない駆動モータなどによって回転駆動する被覆フィルム回収ローラ8にて巻き取られ回収される。
【0013】
このように常に新しい被覆フィルム5をトナー担持体表面に供給することで、従来のようなトナー担持体表層でのトナー固着が発生や、それに伴う現像不良等が発生しなくなる。さらに、被覆フィルム5がトナー担持体1を保護するので、機械的な摩耗の影響を避けることが出来る。また、トナー担持体1内の電極とトナー担持体1に接触する部材間で放電が起きた際の影響も小さくすることができるため、トナー担持体1の耐久性が飛躍的に良くなる効果もある。つまり、従来のようにトナー担持体1の表面を被覆フィルム5で被覆しない場合には、トナー担持体1の表面が経時にわたって何度も同じ箇所に上記放電によりダメージを受ける。ところが、本実施形態のようにトナー担持体1の表面を被覆フィルム5で被覆した場合には、上記放電が起こったとしても常に新しい被覆フィルム5がトナー担持体1の表面に供給されるため、ダメージは小さくなる。また、後述するように被覆フィルム5を巻き戻して使う構成であっても、蓄積されるダメージは従来の構成に比べれば、はるかに小さくなる。
【0014】
次にトナーの供給方法について説明する。トナー供給ローラ11としてスポンジローラを用い、トナー供給ローラ11をトナー担持体1を覆う被覆フィルム5上へ当接させてトナーを帯電させながら被覆フィルム5上へ供給する。図1ではトナー供給ローラ11はトナー担持体1とトレーリング方向に回転しているが、カウンター方向でもよい。
【0015】
トナー供給ローラ11には図示しない電圧印加手段によって供給バイアスが印加されており、この電圧によってトナー担持体1へ供給するトナーの量を制御することができる。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。
【0016】
次に、本実施形態におけるトナー担持体1の具体的構成について説明する。
図2は、本実施形態におけるトナー担持体1の電極配置を説明するためにトナー担持体1を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、被覆フィルム5や絶縁層4は図示していない。
図3は、本実施形態におけるトナー担持体1を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。
本実施形態のトナー担持体1は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する最内周電極部材又は内周側電極部材としての第一電極2と、最外周側に位置していて第一電極2へ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される最外周電極部材としての櫛歯状の第二電極3とを備えている。また、第一電極2と第二電極3との間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層4が設けられている。すなわち、本実施形態のトナー担持体1は、内周側から順に、第一電極2、絶縁層4、第二電極3の3層構造となっている。
【0017】
第一電極2は、トナー担持体1の基体としても機能しており、SUSやアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、第一電極2の構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0018】
第一電極2の外周面側は絶縁層4に覆われている。本実施形態において、この絶縁層4は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。また、本実施形態において、絶縁層4の厚みは、3[μm]以上50[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さくなると、第一電極2と第二電極3との間の絶縁性が十分に保てなくなり、第一電極2と第二電極3との間でリークが発生してしまう可能性が高くなる。一方、50[μm]よりも大きくなると、第一電極2と第二電極3との間で作られる電界が後述する被覆フィルム5よりも外側に形成されにくくなり、被覆フィルム5の外側に強いフレア用電界(外部電界)を形成することが困難となる。本実施形態では、メラミン樹脂からなる絶縁層4の厚みを20[μm]としている。絶縁層4はスプレー法やディップ法等によって第一電極2上に均一な膜厚で形成することができる。
【0019】
絶縁層4の上には第二電極3が形成される。本実施形態において、この第二電極3は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の第二電極3の形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層4の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層4の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0020】
第二電極3及び絶縁層4の外周面側は、被覆フィルム5により覆われている。トナーは、被覆フィルム5上でホッピングを繰り返す際、この被覆フィルム5との接触摩擦によって帯電する。
【0021】
被覆フィルム5としては、食品用ラップフィルムとして一般に使用されている食材や料理を包む為の軽量で柔軟な膜状素材のフィルムを使用することが出来る。これらのフィルムは耐熱性・耐水性に富み、摂氏マイナス60[℃]からプラス150[℃]前後までの温度に適応できるとされている。
【0022】
被覆フィルム5の材料としては、トナーに正規帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)を与えるために、セロハン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、ナイロン(登録商標)(NY)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルペンテン(PMP)が上げられる。さらに複合材からなるラップフィルムのポリエチレン+ポリプロピレン(PE+PP)、ナイロン+ポリエチレン(NY+PE)なども使用することが可能である。本実施形態ではナイロンを用いている。
【0023】
また、被覆フィルム5は、第二電極3を保護する役割も持ち合わせているので、被覆フィルム5の厚さとしては、3[μm]以上40[μm]以下の範囲内が好ましい。3[μm]よりも小さいと、経時使用による削れ等で第二電極3が露出し、トナー担持体1上に担持されたトナーやトナー担持体1に接触するその他の部材を通じてリークしてしまうおそれがある。一方、40[μm]よりも大きいと、第一電極2と第二電極3との間で作られる電界が被覆フィルム5よりも外側に形成されにくくなり、被覆フィルム5の外側に強いフレア用電界を形成することが困難となる。本実施形態では、被覆フィルム5の厚さは20[μm]としている。
【0024】
また、ある程度の応力に耐えることができ、引っ張られてもフィルム状態を維持できること、ある程度は熱に熔けずにフィルム状態を維持できること、ある程度は水に溶けずにフィルム状態を維持できること、といった特性も求められる。これらの特性を備えているものであれば、本実施形態に使用する被覆フィルム5としては、先に述べた食品用ラップフィルムの例に限らない事は言うまでもない。
【0025】
本実施形態では、第一電極2と第二電極3との間で作られる電界、より詳しくは、第一電極2の第二電極3とは対向していない部分(第二電極3の櫛歯間に位置する第一電極2の部分)と第二電極3の櫛歯部分との間で作られる電界が、被覆フィルム5の外側に形成されることで、被覆フィルム5(トナー担持体1)上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、被覆フィルム5(トナー担持体1)上のトナーは、被覆フィルム5の第一電極2に絶縁層4を介して対向した表面部分と、これに隣接する第二電極3に対向した表面部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0026】
また、本実施形態において、第二電極3の電極幅(各櫛歯部分の幅)は、10[μm]以上120[μm]以下であるのが好ましい。10[μm]よりも小さいと、細すぎて電極が途中で断線してしまうおそれがある。一方、120[μm]より大きいと、第二電極3の被給電部53からの距離が遠い箇所の電圧が低くなり、その箇所でトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。本実施形態の被給電部53は、図2に示すように、トナー担持体1の外周面上における軸方向両端に設けられている。よって、本実施形態では、第二電極3の電極幅が120[μm]より大きいと、トナー担持体1の軸方向中央部におけるフレア用電界が軸方向両端部のフレア用電界よりも相対的に低くなり、軸方向中央部に担持されているトナーを安定かつ有効にホッピングさせることが困難となる。
【0027】
また、本実施形態では、第二電極3の電極ピッチ(櫛歯部分間の距離)は、電極幅と同じか広いのが好ましい。電極幅よりも小さいと、第一電極2からの電気力線の多くが被覆フィルム5の外側に出る前に第二電極3へ収束してしまい、被覆フィルム5の外側に形成されるフレア用電界が弱くなってしまうからである。一方、電極ピッチが大きいと、電極間中央のフレア用電界が弱くなってしまう。本実施形態において、電極ピッチは、電極幅以上であって電極幅の5倍以下の範囲内であるのが好ましい。本実施形態では、電極幅及び電極ピッチをいずれも80[μm]に設定している。
【0028】
また、本実施形態では、第二電極3の電極ピッチを、トナー担持体1の周方向にわたって一定となるように設定されている。電極ピッチを一定とすることで、第一電極2と第二電極3との間で作られるフレア用電界がトナー担持体1上の周方向にわたってほぼ均一となる。よって、現像位置で周方向に均一なトナーのホッピングを実現することが可能となり、均一な現像が可能となる。
【0029】
次に、第一電極2及び第二電極3に印加する電圧について説明する。
トナー担持体1上の第一電極2及び第二電極3には、それぞれパルス電源25A,25Bから第1電圧である内側電圧及び第2電圧である外側電圧が印加される。パルス電源25A,25Bが印加する内側電圧及び外側電圧は、矩形波が最も適している。ただし、これに限らず、例えばサイン波で三角波でもよい。また、本実施形態では、フレア用電極を形成するための電極が第一電極2及び第二電極3の2相構成であり、各電極2,3には互いに位相差πをもった電圧がそれぞれ印加される。
【0030】
図4は、第一電極2及び第二電極3にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧の一例を示すグラフである。
本実施形態において、各電圧は矩形波であり、第一電極2と第二電極3にそれぞれ印加される内側電圧と外側電圧は、互いに位相がπだけズレた同じ大きさ(ピークトゥピーク電圧Vpp)の電圧である。よって、第一電極2と第二電極3との間には、常にVppだけの電位差が生じる。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界のうち被覆フィルム5の外側に形成されるフレア用電界によって被覆フィルム5上をトナーがホッピングする。本実施形態において、Vppは100[V]以上2000[V]以下の範囲内であるのが好ましい。Vppが100[V]より小さいと、十分なフレア用電界を被覆フィルム5上に形成できず、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。一方、Vppが2000[V]より大きいと、経時使用により電極間でリークが発生する可能性が高くなる。本実施形態では、Vppを500[V]に設定している。
また、本実施形態において、内側電圧と外側電圧の中心値V0は、画像部電位(静電潜像部分の電位)と非画像部電位(地肌部分の電位)との間に設定され、現像条件によって適宜変動する。
【0031】
本実施形態において、内側電圧と外側電圧の周波数fは、0.1[kHz]以上10[kHz]以下であるのが好ましい。0.1[kHz]より小さいと、トナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなるおそれがある。一方、10[kHz]より大きいと、トナーの移動が電界の切り替わりに追従できなくなり、トナーを安定してホッピングさせるのが困難となる。本実施形態では、周波数fを0.5[kHz]に設定している。
【0032】
図5は、第一電極2及び第二電極3へ印加する内側電圧と外側電圧の他の例を示すグラフである。
この例では、第一電極2については、図4に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、第二電極3については、直流電圧が印加される。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例によれば、第一電極2と第二電極3との位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0033】
図6は、第一電極2及び第二電極3へ印加する内側電圧と外側電圧の更に他の例を示すグラフである。
この例では、第二電極3については、図4に示したものと同様の内側電圧が印加されるが、第一電極2については、直流電圧が印加される。この場合も、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、この例におけるVppの好適な範囲は、200[V]以上4000[V]以下である。この例も、第一電極2と第二電極3との位相差を考慮する必要がなく、電源コストが安くなる。
【0034】
図7は、本実施形態における第一電極2及び第二電極3への給電構成を、ローラ軸に沿って切断したときの模式図である。図8は、同給電構成を模式的に示す斜視図である。
本実施形態における第一電極2及び第二電極3への給電構成において、第一電極2は、トナー担持体1のローラ軸と一体化されており、そのローラ軸端面が被給電部52となる。ローラ軸端面で構成される被給電部52には、パルス電源25Aに接続された第1給電部材としての給電ブラシ57が当接している。一方、被覆フィルム5によって覆われていないトナー担持体1の外周面両端部分においては、トナー担持体1の外周面における第二電極3の両端部分が露出しており、この露出面が被給電部53となる。その露出面で構成される被給電部53には、パルス電源25Bに接続された第2給電部材としての給電コロ58が当接している。この給電コロ58は、回転自在に支持されており、トナー担持体1の回転に伴い、被給電部53に当接したまま連れ回り回転する。
【0035】
なお、本実施形態では、第二電極3に外側電圧を印加するための第2給電部材である給電コロ58が2つ設けられているが、1つであっても3つ以上であってもよい。第二電極3に外側電圧を印加するための第2給電部材が複数あれば、一部の第2給電部材で接触不良による給電不良が生じても、他の第2給電部材により給電を行うことができるので、安定した給電を行うことが可能となる。
【0036】
なお、本実施形態では、第2給電部材として、被給電部53に連れ回り回転する給電コロ58を用いているが、これに限らず、例えば、導電性ブラシや導電性板バネなどを用いてもよい。なお、導電性ブラシや、導電性板バネなどのように被給電部53に対して摺動する第2給電部材を用いる場合、被給電部53との接点部分の摩耗を抑制するために導電性グリスなど充填するとよい。
また、本実施形態では、第一電極2の被給電部がローラ軸端面である場合について説明したが、これに限らず、例えばローラ軸の周面やローラ本体部の端面を被給電部としてもよい。
【0037】
また、図7などに例示した給電構成以外にも、例えば、トナー担持体1の各ローラ軸を互いに電気的に分割し、第一電極2及び第二電極3をそれぞれいずれかの軸に導通させ、各ローラ軸を通じて第一電極2及び第二電極3それぞれに電圧を印加する構成が考えられる。
【0038】
本実施形態ではトナーの搬送はトナー担持体1の回転に伴う被覆フィルム5の移動によっておこなっている。トナー供給ローラ11からトナー担持体1を覆う被覆フィルム5上へ供給されたトナーはトナー層規制部材12によって、さらに帯電され、トナー量は規制される。トナー層規制部材12によって帯電され規制されたトナーは、さらにホッピングしながらトナー担持体1の回転とそれに伴う被覆フィルム5の移動によって、現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体1と感光体14上の画像部との間の現像電界によって、感光体14上に現像される。現像に寄与しなかったトナーはトナー担持体1の回転や被覆フィルム回収ローラ8の回転などに伴う被覆フィルム5の移動によってさらに搬送され、回収ブレード9まで達する。回収ブレード9は現像に使われずに戻ってきたトナーを被覆フィルム5から掃き取り、現像剤収容部13にトナーを戻す。
【0039】
ここで、被覆フィルム供給装置6は、図1のようにフィルムの残量を検知できる手段を有している。この検知手段としては、被覆フィルム供給ローラ7の軸の回転数やトルクから検知したり、光センサーを用いて検知したり方法は様々あるが、本実施形態では、光センサーを用いたエンド検知方法を挙げる。
【0040】
本実施形態に使用される被覆フィルム5には、被覆フィルム終端から所定距離だけ離れた複数の位置それぞれにロールエンド検知部材15が設けられている。本実施形態では、被覆フィルム終端から被覆フィルム長手方向へ全体の30%の位置と、被覆フィルム終端から被覆フィルム長手方向へ全体の10%の位置と、被覆フィルム終端間際(図9に示す被覆フィルム終端から距離L離れた位置でありL=500[mm]以上が望ましい)とに、それぞれロールエンド検知部材15が設けられている。これらロールエンド検知部材15は光を遮断する性質を有する部材によって構成されており、接着によって被覆フィルムに固着されている。ロールエンド検知部材15としては、例えば薄いゴム板や金属板、紙や不透明の樹脂板等が用いられる。また、ロールエンド検知部材15として、上述の材質により構成される着脱自在なシールを用いてもよい。
【0041】
ロールエンド検知センサ10は、新品のロールあるいは終端間近のロールの何れがセットされている場合であっても、ロールから引き出された被覆フィルム5が接触しないように発光部10aと受光部10bとの間隔が定められており、図示しない側板に固設されている。
【0042】
ロールエンド検知センサ10は、発光部10aから発せられた光が被覆フィルム5を通過して受光部10bによって検知可能となるようにその出力が設定されており、ロールエンド検知部材15が発光部10aと受光部10bとの間に位置したときに、発光部10aからの光がロールエンド検知部材15によって遮断されることで受光部10bに検知されない場合に信号を出力する。ロールエンド検知センサ10からの検知信号は、図示しない制御手段に向けて出力される。
【0043】
被覆フィルム5の残量は、完全巻き取り状態から検知したロールエンド検知部材15の数を記録し、その数でフィルム残量を判断して、画像形成装置本体に設けられた図示しないオペレーションパネルへの表示や警告などの動作を行う。
【0044】
本実施形態では、上述したように、被覆フィルム終端から被覆フィルム長手方向へ全体の30[%]の位置と、被覆フィルム終端から被覆フィルム長手方向へ全体の10[%]の位置と、被覆フィルム終端間際とに、それぞれロールエンド検知部材15が設けられている。
【0045】
ロールエンド検知センサ10によってロールエンド検知部材15の検知をしていない場合には、フィルム残量40[%]〜100[%]の表示をオペレーションパネルに表示する。
【0046】
一つ目のロールエンド検知部材15、つまり、被覆フィルム終端から被覆フィルム長手方向へ全体の30[%]の位置に設けたロールエンド検知部材15をロールエンド検知センサ10によって検知した際には、フィルム残量20[%]〜40[%]の表示や警告をオペレーションパネルに表示する。
【0047】
二つ目のロールエンド検知部材15、つまり、被覆フィルム終端から被覆フィルム長手方向へ全体の10[%]の位置に設けたロールエンド検知部材15をロールエンド検知センサ10によって検知した際には、オペレーションパネルにエンド表示や警告を行い、現在実行中のジョブが終わり次第、画像形成動作を停止する。
【0048】
連続出力などで、二つ目のロールエンド検知部材15の検知後にジョブが終了せず、三つ目のロールエンド検知部材15、つまり、被覆フィルム終端間際に設けられたロールエンド検知部材15がロールエンド検知センサ10によって検知された際には、実行中の画像形成を終え次第、ジョブ中でも紙間で動作を停止する。
【0049】
なお、三つ目のロールエンド検知部材15は、被覆フィルム終端より1画像形成分の長さ以上離れた位置にあるため、画像形成動作中に三つ目のロールエンド検知部材15が検知されても画像形成中に画像形成動作が途中で中断しない。
【0050】
本実施形態では、被覆フィルム5の終端検知を光透過型のロールエンド検知センサ10と光を遮断する性質を有するロールエンド検知部材15との組み合わせによって行う構成としたが、ロールエンド検知センサ10に代えて光反射型のセンサーを設けると共に、ロールエンド検知部材15を光が反射する性質の検知部材に代える構成としてもよい。この場合、光を反射する性質の検知部材としては被覆フィルム5よりも光の反射量が大きいものである必要があり、具体的には金属箔や金属テープ等が用いられる。この構成によっても被覆フィルム5の終端を検知することができる。
【0051】
また、上記フィルム残量検知手段によって被覆フィルム残量を検知し、被覆フィルム5がなくなる前に、被覆フィルム5を巻き戻す機構を備えていても良い。
【0052】
その機構によって被覆フィルム供給ローラ7と被覆フィルム回収ローラ8とが通常とは逆に回転し、被覆フィルム回収ローラ8から被覆フィルム供給ローラ7に被覆フィルム5を巻き戻すことで、ほぼ新品状態の被覆フィルム5を2回もしくは数回使うことができる。この場合、被覆フィルム5の巻き戻し動作が完了後、検知したロールエンド検知部材15の数の記録をリセットし、オペレーションパネルのフィルム残量表示を40[%]〜100[%]に戻す。
【0053】
本実施形態の場合では、二つ目のロールエンド検知部材15または三つ目のロールエンド検知部材15(をロールエンド検知センサ10によって検知した後、画像形成動作を停止した際に、被覆フィルム回収ローラ8から被覆フィルム供給ローラ7に被覆フィルム5を巻き戻す。また、三つ目のロールエンド検知部材15をロールエンド検知センサ10によって検知した後、画像形成動作を停止した際に被覆フィルム5の巻き戻し動作を行った場合には、被覆フィルム5の巻き戻し動作が完了した後、停止したジョブを続行する。
【0054】
本実施形態では、主に一成分現像装置について言及したが、二成分現像にも適用できる。図10における現像装置は、磁性キャリアと非磁性トナーから成る二成分現像剤を用いた例である。トナー担持体1の構成としては、上述した一成分現像装置に用いたものと同様の構成である。
【0055】
図10に示す現像装置の現像剤収容部16内には、磁性キャリアとトナーとから成る二成分現像剤(以下、単に現像剤という)が収容されている。現像剤収容部16は、図示しない駆動手段によって回転駆動される第1搬送スクリュウ19aを内包する第1収容室16aと、図示しない駆動手段によって回転駆動される第2搬送スクリュウ19bを内包する第2収容室16aとを具備している。第1収容室16aと第2収容室16aとは、両者間に存在する仕切り壁20によって仕切られているが、仕切り壁20の図紙面に直交する方向の両端部にはそれぞれ図示しない開口が設けられており、第1収容室16aと第2収容室16aとはこれら開口を介して互いに連通している。
【0056】
第1収容室16a内の第1搬送スクリュウ19aは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、第1収容室16a内の現像剤を図紙面に直交する方向における手前側から奥側へと搬送する。そして、第1収容室16aの同方向における奥側端部にて、仕切り壁20に設けられた図示しない開口を通って第2収容室16aに現像剤が進入する。
【0057】
第2収容室16a内の第2搬送スクリュウ19bは、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられることで、現像剤を同方向における奥側から手前側へと搬送する。このようにして現像剤を搬送する第2搬送スクリュウ19bの図中右側方には、現像剤供給ローラ18が第2搬送スクリュウ19bと平行な姿勢で図中反時計回り方向に回転可能なように配設されている。
【0058】
現像剤供給ローラ18の内部には固定された磁石が配置されており、現像剤供給ローラ18の回転と磁力によって、第2収容室16a内の現像剤は現像剤供給ローラ表面に汲み上げられる。現像剤の汲み上げ位置より現像剤供給ローラ18の回転方向上流において、現像剤供給ローラ18と対向する位置に現像剤層規制部材17が設けられている。汲み上げ位置で汲み上げたれた現像剤は現像剤層規制部材17によって一定量の現像剤層厚に規制される。現像剤層規制部材17を通った現像剤は現像剤供給ローラ18の回転にともなって、トナー担持体1と対向する位置まで搬送される。
【0059】
現像剤供給ローラ18には、図示しない第三電圧印加手段によって供給バイアスが印加されている。この供給バイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。トナー担持体1と対向する位置においては、図示しない第二電圧印加手段、図示しない第三電圧印加手段によって被覆フィルム5と現像剤供給ローラ18との間に電界が生じている。その電界からの静電気力を受け、トナーはキャリアから解離し、被覆フィルム5(トナー担持体1)の表面に移動する。
【0060】
内部電極部材である第一電極2には、図示しない第一電圧印加手段によって電圧が印加されている。第一電圧印加手段が印加する電圧は、矩形波が最も適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0061】
現像剤層規制部材17によって、さらに帯電され、トナー量は規制される。
【0062】
被覆フィルム5内部の第二電極3には、第二電圧印加手段によってバイアスが印加されている。このバイアスは、直流電圧でも交流電圧でもよい。また直流電圧に交流電圧を重畳させたバイアスでもよい。本実施形態では第一電極2と第二電極3に位相差πをもった矩形波電圧を印加し、電極間に電界を生じさせている。第一電極2上では、第一電圧印加手段、第二電圧印加手段によって内部電極部材と被覆フィルム5内部の第二電極3との間に電界が生じている。
【0063】
第一電極2上に達したトナーは、第一電極2と第二電極3間の電界によってホッピングする。本実施形態ではトナーの搬送はトナー担持体1の回転によっておこなっている。トナーはホッピングしながら電極間を往復運動しながら、トナー担持体1の回転によって現像領域まで搬送される。現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持体1と感光体14上の画像部との間の現像電界によって、感光体14上に現像される。
【0064】
次に、本発明の現像装置を備えた画像形成装置の一例について説明する。
図11に示した画像形成装置においては、中間転写ベルト41が複数の張架ローラによって張架されており、図示を省略した回転駆動機構によって図中矢印方向に回転されるようにして備えられている。中間転写ベルト41の図中左側には、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のトナー像を形成する複数の画像形成手段としての作像部70K、70M、70C、70Yが中間転写ベルト41の表面に沿って配列されている。作像部70K、70M、70C、70Yには、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色トナーをそれぞれ収容した現像装置43K、43M、43C、43Yや、感光体14K、14M、14C、14Yを帯電せしめる図示しない帯電装置や、画像情報に従って帯電後の感光体14K、14M、14C、14Yにそれぞれブラック、マゼンタ、シアン、イエローの各色に対応した潜像を書き込む書込装置44K、44M、44C、44Yなどが設けられている。なお、書込装置44としては、ポリゴンを用いた光走査装置やLEDアレイなど、種々のものを使用することができる。
【0065】
また、本実施形態においては、少なくとも現像装置43K、43M、43C、43Yと感光体14K、14M、14C、14Yとはプロセスカートリッジ31K,31M,31C,31Yとして一体で構成されている。そして、図11の図中手前側に設けられた図示しない画像形成装置本体カバーを開けて装置本体からプロセスカートリッジ31K,31M,31C,31Yが着脱可能となっており、ユーザーによるプロセスカートリッジ31K,31M,31C,31Yの交換が可能となっている。
【0066】
作像部70Kの感光体14Kは、帯電装置によって一様に帯電せしめられ、露光手段としての書込装置44Kによりブラックの画像データで変調されたレーザ光で露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置43Kによって現像されてブラックのトナー像となる。
【0067】
他の作像部70M、70C、70Yにおいても、それぞれ感光体14M、14C、14Yが帯電装置によって一様に帯電せしめられ、書込装置44M、44C、44Yによりマゼンタ、シアン、イエローの画像データで変調されたレーザ光で露光されることで静電潜像が形成される。この静電潜像が現像装置43M、43C、43Yによって現像されてマゼンタ、シアン、イエローのトナー像となる。
【0068】
各色の感光体14K、14M、14C、14Y上に形成されたブラック、マゼンタ、シアン、イエローのトナー像は、中間転写ベルト41を介してそれぞれ感光体14K、14M、14C、14Yと1次転写ローラ36K、36M、36C、36Yとによって形成された各色の1次転写ニップで中間転写ベルト41上に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト41上には4色重ね合わせトナー像(以下、フルカラー画像という)が形成される。
【0069】
画像形成装置の下部には、記録用紙等の転写材を格納し、画像形成時に転写材を搬送開始させる給紙装置35が設けられている。この給紙装置35から転写材が給送され、この転写材に画像形成装置に設けられた図示しない電源から転写バイアスが印加される転写手段としての2次転写ローラ32によって中間転写ベルト41上のフルカラー画像が転写される。フルカラー画像が転写された転写材は、画像形成装置の上部に設けられた定着装置33の加熱ローラ33aと加圧ローラ33bとに挟まれつつ加熱されることでフルカラー画像が転写材上に定着された後、外部に排出される。
【0070】
以上、本発明を上述した実施形態に基づいて説明してきたが、本発明を適用できる画像形成装置は被覆フィルムでトナー担持体を被覆できる限り、特に制限はなく、転写ドラム、中間転写ドラムなどを用いたフルカラー画像形成装置、転写材上に感光体上からトナー像を直接転写する直接転写方式を採用したモノクロ画像形成装置などにも適用可能である。
【0071】
以上、本実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体14に対向して配設された、複数の電極を有する表面移動可能なトナー担持体と、トナー担持体1と感光体14との対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で、トナー担持体表面を被覆するトナー担持体表面移動方向に長尺な被覆フィルム5をトナー担持体表面に供給する被覆フィルム供給手段である被覆フィルム供給ローラ7と、上記対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で被覆フィルム5によって被覆されたトナー担持体1上にトナーを供給するトナー供給手段であるトナー供給ローラ11と、被覆フィルム5によって被覆されたトナー担持体1上でトナーをホッピングさせる電界を前記複数の電極の電極間に形成するホッピン電界形成手段と、被覆フィルム5によって被覆されたトナー担持体表面が、前記対向領域を通過し被覆フィルム供給位置に到達する前にトナー担持体表面から被覆フィルム5を離脱させて回収する被覆フィルム回収手段である被覆フィルム回収ローラ8とを備える。本実施形態においては、トナー担持体1と感光体14との対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で、トナー担持体表面移動方向に長尺なトナー担持体表面を被覆フィルム5で被覆し、この被覆フィルム5によって被覆されたトナー担持体1上にトナーを供給する。そして、この被覆フィルム5によって被覆されたトナー担持体表面が、前記対向領域を通過し被覆フィルム供給位置に到達する前にトナー担持体表面から被覆フィルム5を離脱させて回収する。これにより、上記対向領域を通過しトナーが付着した被覆フィルム5がそのまま同一のトナー担持体表面を被覆し続けることがなく、その被覆フィルム5が回収されたトナー担持体表面は、被覆フィルム供給ローラ7によって新たに供給された被覆フィルム5で被覆される。よって、経時使用によりトナーが固着した被覆フィルム5でトナー担持体表面が被覆されることがなく、固着したトナーによって上記電極間における電界形成が阻害されるのを抑えることができる。したがって、トナー担持体1上でトナーを良好にホッピングさせる電界を経時にわたって上記電極間に形成することができるので、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのを抑制できる。
また、本実施形態によれば、被覆フィルム供給ローラ7によって供給される被覆フィルム5の残量を検知する被覆フィルム残量検知手段であるロールエンド検知センサ10などを有することで、被覆フィルム5の残量を検知することができる。
また、本実施形態によれば、被覆フィルム5は被覆フィルム供給ローラ7にロール状で保持されており、被覆フィルム回収ローラ8は回収した被覆フィルム5をロール状に巻き取って保持しており、ロールエンド検知センサ10などによって被覆フィルム5の残量を検知し、その検知結果に基づいて被覆フィルム5が無くなる前に、被覆フィルム回収ローラ8から被覆フィルム供給ローラ7に被覆フィルム5を巻き戻す。これにより、被覆フィルム5を1回の使い切ではなく、2回もしくは数回使うことができるので被覆フィルム5にかかるランニングコストなどを抑えることができる。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体14と、感光体14上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、上記現像手段として、本発明の現像装置43を用いることで、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのが抑えられ、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体14と、感光体14に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを備える画像形成装置における、少なくとも感光体14及び現像手段を1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジ31において、上記現像手段として本発明の現像装置43を用いることで、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのが抑えられ、さらに、現像装置などのメンテナンス性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体14と、潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを有するプロセスカートリッジ31によって感光体14上にトナー像を形成する画像形成装置において、上記プロセスカートリッジ31として本発明の現像装置43を有するものを用いることで、現像装置43などのメンテナンス性を向上させることができ、さらに、トナーのホッピング不良に伴う現像不良が生じるのが抑えられ、良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、本発明の現像装置43を有するプロセスカートリッジ31を複数設けるとともに、それぞれのプロセスカートリッジ31の感光体14上に形成されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写する転写手段を設けたことで、良好なフルカラー画像を形成することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 トナー担持体
2 第一電極
3 第二電極
4 絶縁層
5 被覆フィルム
6 被覆フィルム供給装置
7 被覆フィルム供給ローラ
8 被覆フィルム回収ローラ
9 回収ブレード
10 ロールエンド検知センサ
11 トナー供給ローラ
12 トナー層規制部材
13 現像剤収容部
14 感光体
15 ロールエンド検知部材
16 現像剤収容部
16a 第1収容室
16b 第2収容室
17 現像剤層規制部材
18 現像剤供給ローラ
19a 第1搬送スクリュウ
19b 第2搬送スクリュウ
20 仕切り壁
25A パルス電源
25B パルス電源
31 プロセスカートリッジ
32 2次転写ローラ
33 定着装置
33a 加熱ローラ
33b 加圧ローラ
35 給紙装置
36 1次転写ローラ
41 中間転写ベルト
42 帯電装置
43 現像装置
44 書込装置
52 被給電部
53 被給電部
57 給電ブラシ
58 給電コロ
70 作像部
72 レーザ光
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2007−133388号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像を担持する潜像担持体に対向して配設される、複数の電極を有する表面移動可能なトナー担持体と、
該トナー担持体と該潜像担持体との対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で、トナー担持体表面を被覆するトナー担持体表面移動方向に長尺な被覆フィルムを該トナー担持体表面に供給する被覆フィルム供給手段と、
該対向領域よりもトナー担持体表面移動方向上流側で該被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体上にトナーを供給するトナー供給手段と、
該被覆フィルムによって被覆されたトナー担持体上でトナーをホッピングさせる電界を前記複数の電極の電極間に形成するホッピン電界形成手段と、
該被覆フィルムによって被覆された該トナー担持体表面が、前記対向領域を通過し被覆フィルム供給位置に到達する前に該トナー担持体表面から該被覆フィルムを離脱させて回収する被覆フィルム回収手段とを備えることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記被覆フィルム供給手段によって供給される上記被覆フィルムの残量を検知する被覆フィルム残量検知手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2の現像装置において、
上記被覆フィルムは上記被覆フィルム供給手段にロール状で保持されており、上記被覆フィルム回収手段は回収した該被覆フィルムをロール状に巻き取って保持しており、
上記フィルム残量検知手段によって上記被覆フィルムの残量を検知し、その検知結果に基づいて該被覆フィルムが無くなる前に、該被覆フィルム回収手段から該被覆フィルム供給手段に該被覆フィルムを巻き戻すことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、
上記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを備える画像形成装置における、少なくとも該潜像担持体及び該現像手段を1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、
上記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを有するプロセスカートリッジによって該潜像担持体上にトナー像を形成する画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジとして、請求項5のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジを複数設けるとともに、それぞれのプロセスカートリッジの上記潜像担持体上に形成されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写する転写手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−204240(P2010−204240A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47699(P2009−47699)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】