説明

現像装置の搬送棒、搬送棒の製造方法、現像装置及び画像形成装置

【課題】 トナーあるいは現像剤の搬送棒と軸受との摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と樹脂部との解体が容易で、信頼性が高く、画像異常のない、リサイクル性の優れた現像装置の搬送棒及びこの現像装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 画像形成装置において画像形成部へ現像剤を搬送・攪拌する現像装置の搬送棒において、螺旋状に形成された回転翼17と軸部4Aとが合成樹脂により一体に形成され、前記軸部4A両端に一体的に装着される回転摺動用カラー16を備えており、この回転摺動用カラー16が金属で形成されており、前記樹脂製軸部4Aの一部を変形させることにより前記摺動用カラー16を前記樹脂製軸部4Aに締結する現像装置の搬送棒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置の搬送棒及びかかる現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真技術を応用した出力記録機器として使用される画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真装置の現像装置やクリーニング装置にはトナーあるいはトナーとキャリアとから構成される現像剤を攪拌し、任意の位置に搬送する現像剤攪拌・搬送手段が設けられており、この現像剤攪拌・搬送手段が軸受によって現像装置の容器に回転自在に取り付けられることは知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、樹脂製の軸部に円形に曲げ加工された金属板の両端合わせ部が凸部と凹部との噛み合わせにより軸線方向に対して曲がった構成である回転摺動用カラーが開示されている。
また、特許文献2には、ステンレス製のカラーを螺旋状に加工されたキャビティ内に固定保持し、ガラス繊維入りABS樹脂/PC樹脂の溶融樹脂を射出、冷却後成形品を取り出しトナー攪拌搬送用スクリュを得るトナー攪拌搬送用スクリュが開示されている。
また、光を感光体の任意の位置に照射して静電潜像を形成させ、その静電潜像に対してトナーを供給・搬送するトナー供給・搬送手段が設けられており、その供給・搬送したトナーに対して過剰なトナーを像担持体上から除去清掃するトナー除去清掃手段を有し、内部にトナーを収容する容器本体と前記容器本体に設けられたトナーを攪拌・搬送する機能を担っている回転翼が形成された搬送棒とを備えている。
これらの供給・搬送手段も軸受によって現像装置の容器に回転自在に取り付けられている。この軸受構造としては、回転軸と当接摺動するブッシングあるいはベヤリングや、回転軸のラジアル方向に当接摺動する弾性当接部材(ゴムシール)等が用いられ、トナーあるいは現像剤をシーリングする等の手法が用いられている。
【0003】
ここで、トナーあるいは現像剤を確実に密封するには、弾性当接部材の材質、当接圧、及び当接部材の形状等はもちろんのこと、相手部材である回転翼が形成された搬送棒軸部の形状、表面状態等が重要になってくるとともに、弾性当接部材と接触する個所は搬送棒が高速回転するため、その個所の摩耗がトナーあるいは現像剤の漏れへと繋がるため、耐摩耗性の材質である必要がある。
そのため、樹脂製の搬送棒においては回転軸を保護する目的で、金属製の回転摺動用カラーを搬送棒に一体化し、高速回転、例えば、500rpmのような回転時にも軸受との摩擦による損耗から守られている。
例えば、上記の特許文献2のトナー攪拌搬送用スクリュのように螺旋状に加工されたキャビティ内の、トナー攪拌・搬送用スクリュの両端の軸受当接部に、長さ16.7mm、外径6mm、厚さ0.8〜1.2mmのステンレス製の金属カラーを配置する。
この場合、カラーを型締めにより固定保持し、キャビティ内にガラス繊維入りPC/ABS樹脂の溶融樹脂を射出、冷却した後で成形品を取り出し、トナー攪拌搬送用スクリュを得てはいるものの、この場合はワンショット毎に射出成形機を止め、金属製カラーをキャビティ内に挿入しなければならず、生産性が損なわれる。
さらに、金属製カラーのキャビティ内への挿入にさいして、誤挿入があるとキャビティを破損することもあり、生産に支障が発生し、大きなトラブルになることも有る。また、このように生産した場合、搬送棒の解体時には金属部と樹脂部との分解が容易でなく、リサイクル性が損なわれる。
この対策としては回転翼と軸部とを一体に成形した後、金属製カラーを接着剤で軸部に接着する等の手法があるものの、接着剤塗布から接着剤乾燥硬化までの生産性の低さ、及び接着剤の糸引き、金属製カラー表面への付着等により軸受との摺動面を変形させる。
その変形部の隙間よりトナーが侵入し、トナーあるいは現像剤が摺擦され、そのエネルギで溶融固着して回転トルクが増加し、回転不良による攪拌・搬送不足で異常画像となったり、最悪の場合は回転がロックされることもあった。
また、溶融したトナーあるいは現像剤の凝集体が現像装置内にて攪拌・搬送されて画像異常となる場合もあった。さらに、近年画像品質の向上を狙ってトナーあるいは現像剤の小粒径化が進んでおり、益々摺動面に起因するこれら不良発生が増えてきている。また、この接着方法による場合も前述のインサート成形同様、金属部と樹脂部との分解が容易でなく、リサイクル性が損なわれる。
さらに、特許文献1の回転摺動用カラーのように、円形に曲げ加工された金属板の両端合わせ部が凸部と凹部との噛み合わせにより軸線方向に対して曲がった構成であると、回転摺動用カラーの内側に突出した半球状の凸部が軸部に平坦部を有する溝に入り込み、軸部に対するカラーの廻り止めと、軸方向上での位置保持機能を同時に得ることができる。
【特許文献1】特開2002−5183公報
【特許文献2】特開平9−54489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、凹凸部の噛み合わせの僅かな隙間よりトナーあるいは現像剤がすり抜けて搬送棒を現像装置の容器に回転自在に取り付けている軸受との摺動面に徐々に侵入し、トナーあるいは現像剤が摺擦される。そのエネルギで溶融固着し回転トルクが増加、回転不良による攪拌・搬送不足で異常画像となったり、最悪は回転がロックされる場合もあった。
また、溶融したトナーあるいは現像剤の凝集体が現像装置内に攪拌・搬送されて画像異常となる場合もあった。さらに、近年画像品質の向上を狙ってトナーあるいは現像剤の小粒径化が進んでおり、益々摺動面に起因するこれら不良発生が増えてきている。
そこで、本発明の目的は、上述した実情を考慮して、トナーあるいは現像剤の搬送棒と軸受との摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と樹脂部との解体が容易で、信頼性が高く、画像異常のない、リサイクル性の優れた現像装置の搬送棒及びこの現像装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、現像剤を収容した現像剤容器と、該現像容器内に回転自在に配置されて現像剤を搬送・攪拌する搬送棒と、を備えた現像装置において、前記搬送棒は、合成樹脂製の軸部に対して合成樹脂製の螺旋状回転翼が一体化されると共に、前記軸部両端に金属製の回転摺動用カラーを一体化した構成を備えており、前記樹脂製軸部の一部を変形させることにより前記摺動用カラーを前記樹脂製軸部に締結することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記軸部の少なくとも一端部に前記金属製カラーを締結し、前記軸部を変形させる個所を、前記金属製カラーの長さ方向に対して30%以下、好ましくは10%以下の大きさとすることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記軸部の少なくとも一端部に前記金属製カラーを締結し、前記軸部を変形させる個所を、前記軸部の円周方向に対して1個所以上とすることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1、2又は3において、前記樹脂製軸部が射出成形で形成された合成樹脂で構成されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4において、前記樹脂製軸部、又は樹脂製螺旋状回転翼が、ガラス、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、ラワストナイト、又は天然鉱物のうちの何れかの補強材を、一つ、又は複数以上含み、これらの補強材を5〜50%、好ましくは15〜35%含んだ合成樹脂より構成されることを特徴とする。
請求項6の発明方法は、現像剤を収容した現像剤容器内に回転自在に配置されて現像剤を搬送・攪拌する搬送棒の製造方法において、樹脂製軸部の外周に樹脂製回転翼を螺旋状に一体形成する工程と、前記軸部両端に回転摺動用の金属製カラーを嵌合して一体化する工程と、前記樹脂製軸部の一部を変形させることにより前記摺動用カラーを前記樹脂製軸部に締結する工程と、から成ることを特徴とする。
請求項7の発明に係る現像装置は、現像剤を収容する現像剤容器と、この現像剤容器と平行対向した感光体上に形成された静電潜像に対してトナーを供給する現像ローラと、前記現像剤容器内で回転することによって前記現像剤を攪拌・搬送する回転翼が形成された搬送棒とを備えており、前記現像ローラと前記搬送棒が前記現像容器内壁面に設けた軸受により回転自在に支持された現像装置において、前記搬送棒が螺旋状回転翼と軸部とを合成樹脂により一体形成しており、前記軸部の少なくとも一端部に金属製カラーを前記軸部の一部を変形させることにより前記軸部の少なくとも片側に締結したことを特徴とする。
請求項8の発明に係る画像形成装置は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の搬送棒、又は請求項7記載の現像装置を備え、像担持体上からトナーを除去清掃するトナー除去清掃手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、回転翼を備えた樹脂製の搬送棒に金属製カラーを搬送棒の軸部の一部を変形させ搬送棒と金属カラーとを一体化することにより、トナーあるいは現像剤の搬送棒と軸受との摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と樹脂部との解体が容易で、リサイクル性の優れた搬送棒が得られることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に関わる画像形成現像ユニットを示す概略断面図である。図2は図1の画像形成現像ユニットを示す平断面図である。図3は本発明による軸受を示す断面図である。
図1ないし図3において、現像ユニット(ハウジング)6は感光体ドラム1に対向して配置され、感光体ドラム1との間でトナーを移送して画像領域を形成している。現像ユニット6は下ハウジング9と上ハウジング10とから構成されている。
ハウジング(現像ユニット)6内には現像剤供給用の磁気ローラ2、現像剤攪拌・搬送用の搬送棒4、5、トナー供給ユニット7等が設けられている。この搬送棒4、5は通常樹脂で作られており、補強部材として金属部材16が一部用いられている。
磁気ローラ2は感光体ドラム1に対して0.1mm〜1mmの間隔をもって配置されており、ベアリング12等によりハウジング(現像ユニット)6に回転自在に取り付けられている。また、磁気ローラ2に対向して現像剤スクラバ3が設けられており、現像剤量を規制して磁気ローラ2上に現像剤の薄層を形成している。
搬送棒4、5はスクリュ形状の回転翼(螺旋羽根)17により現像剤を攪拌・搬送する構成を備え、その両端部を軸受14、21によって現像剤容器であるハウジング(現像ユニット)6に対して回転自在に取り付けられている。なお、これら磁気ローラ2、搬送棒4、5に対しては、それぞれの軸端部に固定された各ギヤ13、18、23を通して駆動力が伝えられる。
この軸受14、21は耐摩耗性、潤滑性に優れた結晶性樹脂であるポリアセタール樹脂等の成形品で作られている。さらに、ハウジング(現像ユニット)6は仕切壁11により搬送棒4を配置した現像剤攪拌・搬送空間と搬送棒5を配置した現像剤攪拌・搬送空間とに隔てられている。
両搬送空間は仕切壁11の長手方向両端の切り欠きによって連通しており、現像剤は両空間を各搬送棒の長手方向へ搬送される。なお、現像剤は搬送棒4、5に夫々形成されたスクリュ形状の回転翼17により図2に示された矢印方向に攪拌・搬送される。
この両空間を攪拌・搬送されている現像剤は二成分現像剤であって、トナーは搬送棒5上に設けられたトナー供給タンク(トナー供給ユニット)7より供給されており、トナーセンサ(図示せず)の信号を受けて自動的に搬送棒5にトナーを供給している。なお、本現像ユニット6はキャリアを含まない一成分現像剤を収容するユニットであってもよい。
搬送棒4により攪拌・搬送された現像剤は、現像剤スクラバ3により磁気ローラ2上に薄層現像穂を形成し、感光体ドラム1上に潜像として現像される。潜像に使われなかった現像剤は再度、搬送棒4に戻され、図2で示された矢印方向に攪拌・搬送される。消費されたトナー相当量がトナー供給タンク7より排出され搬送棒5により攪拌・搬送される。
【0008】
ここで、図3に示すように、この現像剤の循環過程において搬送棒4の回転翼17により発生した現像剤の攪拌・搬送圧力により軸受14内にトナーが侵入しようとしてくる。しかし、弾性当接部材8の弾性密封リップ部24により搬送棒4と嵌合一体化された金属製カラー16と接触し、トナーの軸受内部への侵入を防いでいる。なお、図3では搬送棒4のみ図示しているが、搬送棒5についても同様である。
この弾性当接部材8は、フッ素ゴム、ニトリルゴム、スチレンゴム等の弾性体から成り、且つリング状に成形された弾性密封リップ部24と、軸受14の穴との嵌め合い力を維持する役割のSPCC、SPHC、SUS等の剛体で環状に成形された金属環25と、から一体に構成されている。つまり、弾性当接部材8は、外周に中空筒状の金属環25を備えると共に、金属環25の内側面に弾性密封リップ部24を一体的に備えている。
なお、弾性密封リップ部24の搬送棒4への押し付け力を必要とする場合は弾性密封リップ部24内、或いは外部に硬鋼線、ピアノ線、ステンレス鋼線等で成形されたばねを配設することもある。
ここで、搬送棒4、5は合成樹脂等により成形されており、弾性密封リップ部24との接触部分には金型の合わせ段差部が生じるため、その個所が弾性密封リップ部24との接触圧が低くなったり、僅かな隙間が発生し、トナーのシール効果が損なわれる。
合成樹脂で成形されている搬送棒4、5は、現像剤との非粘着性に優れ、寸法安定性、及び強度に優れたものが使用されている。例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリルニトリルスチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルテレフタレート樹脂、及びこれらのアロイ樹脂等が用いられている。
また、攪拌・搬送機能を安定的に発揮するには強度、耐熱性アップが必須であり、そのため補強材が添加されており、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、タルク繊維、マイカ繊維、ワラストナイト繊維等が用いられ、これら単体あるいは複合化し、添加量としては10〜40重量%が好ましい。
また、これら補強材の形状としてはアスペクト比が5〜50、好ましくは20〜40であり、平均粒径(長径の平均値)が1〜300μm、好ましくは5〜50μmである。
アスペクト比が5未満だと平面性は良好であるが寸法安定性に欠け、アスペクト比が50を超えると成形性が悪くなる。また、平均粒径が1μm未満だと外観は光沢があり良好であるが寸法安定性に欠け、300μmを超えると外観品質に劣り、成形性も悪くなる。
【0009】
また、特開平8−11169号公報(金型、及びスクリュ状射出成形体)で開示されているように、複雑な螺旋形状をした回転翼17は4分割された可動駒を有する成形金型で射出成形され、各可動駒はそれぞれ直角方向に離間可動するように構成された金型構造となっている。
また、回転翼17の螺旋形状は、特開平11−52725号公報(トナー攪拌搬送用スクリュー)に記載されているように、回転翼17部分には軸芯を有しない構成であっても良い。
また、特許文献2(トナー攪拌搬送用スクリュ)に記載されているように、合成樹脂で構成された搬送棒4において、回転翼17の長さに略等しい長さの金属芯を翼内部に同心状に埋設しても良い。
さらに、画像形成現像ユニットが使い込まれるに連れて、弾性当接部材8の弾性密封リップ部24とその接触相手である搬送棒4の軸部が疲労劣化、摩耗し、トナーのシール性が低下してくる。そのため、弾性密封リップ部24との接触部分には筒状の補強金属部材16が取り付けられ、長期にわたって安定したトナーのシール効果を上げている。
まず、搬送棒4と軸受14との接触部分である補強金属部材16表面にグリスを塗布し、搬送棒4に軸受14を組み込む。なお、軸受14には、弾性当接部材8を予め圧入あるいは、接着等で組み込んでおく。
なお、弾性密封リップ部24にもグリスを塗布しておくと弾性密封リップ部24の摩耗防止、搬送棒4との摩擦による異音等の防止になる。但し、この弾性密封リップ部24へグリスを塗布し過ぎると、現像剤中に過剰のグリスが混入し、異常画像の原因となるので注意が必要である。
また、補強金属部材16表面にグリスを塗布する代わりに、補強金属部材16表面を鏡面加工したり、補強金属部材16の表面にテフロン加工を施しても同様の効果が得られる。
【0010】
搬送棒4、5に対する補強部材としての金属部材16の形成方法は特開2002−5183公報(回転摺動用カラー)のように円形に曲げ加工された金属板を用いる。
また、硫黄、及び硫黄複合快削鋼鋼管、機械構造用炭素鋼鋼管あるいは機械構造用ステンレス鋼管を所望の長さに切断し、所望の外径に研削して金属部材16を得る。さらに、アルミニウムあるいはA1050、A3003、A6063等のアルミニウム合金をポートホール法、マンドレル法等により円筒状に加工した後、所望の肉厚、長さ、外径寸法の円筒とし、金属部材16を得る。
なお、これらの金属部材は錆防止として電気メッキあるいは化学メッキ等の表面処理を施してもよい。これらのメッキとしては銅メッキ、亜鉛メッキ、ニッケルメッキ、金メッキ、及びこれらの合金メッキ、無電解ニッケル−リンメッキ、無電解銅メッキ等がある。
また、メッキ前に前処理として脱脂あるいは加工滓洗浄の実施が好ましく、洗浄としては一般にアルカリ溶液による加熱洗浄、電解洗浄、及び有機溶剤洗浄が用いられ、超音波を利用することにより洗浄効果の向上が図れる。
加熱洗浄は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム溶液を用いて行なわれる。界面活性剤を用いることによって洗浄能力を向上することができる。
電解洗浄は水酸化ナトリウム等のアルカリ溶液を用い、50〜60℃、10A/d平方メートルで陰極洗浄後陽極洗浄を行なう方法が用いられている。なお、鉄鋼の酸化物の除去には塩酸または硫酸を用いると効果的に除去できる。また、この他の表面処理として陽極酸化処理を施しても良い。
陽極酸化処理用電解液としては硫酸、蓚酸、燐酸等を使用することができ、これら電解液の処理温度は10〜30℃、電解液濃度は100〜300g/lが好ましく、所望の陽極酸化皮膜の厚みに応じて処理時間が決められる。
【0011】
図4は金属製カラーと搬送棒の左側部分を拡大して示す概略斜視図である。図5は金属製カラーの搬送棒への取り付けを右側面図とともに示す概略図である(搬送棒4にのみ図示しているが、搬送棒5についても同様である)。上述のようにして作製された金属製カラー16を図4の拡大斜視図に示すように搬送棒4の軸部4Aの端部に嵌合する。
金属製カラー16の一端縁に設けた凹状の廻り止め用切り欠き部16aを搬送棒4の外周面に設けた凸状(L状)の廻り止め部4aと嵌合し、図5の模式図に示すように(金属製カラー16は断面図)、金属製カラー16(全長13mm)を廻り止め部4aで止まるまで押し込む。
金属カラー16の横の搬送棒4の軸部4Aに、先端径がφ0.5mmのコテを250℃に加熱し、樹脂製搬送棒4の軸部4A(軸経φ5.4mm)に押し当て、0.3mmの突起部16bを2個所形成して金属製カラー16を搬送棒4の軸部4Aに締結させた。
また、応用例としてポンチ等で機械的に軸部4Aに変形16bを与えてもよい。続いて、金属製カラー16の部分に軸受14の弾性密封リップ部24(図3参照)が当接するように挿入する。
さらに、搬送棒4の軸部に形成したDカット4bに回転駆動用のギヤ19(図4)を取り付け、抜け止め防止のE−リング(図示せず)を装着してトナーあるいは現像剤を攪拌・搬送する機能を担う搬送棒4が得られる。
図6は図5の金属製カラーの変形例を右側面図とともに示す概略図である。図5の実施の形態の変形例として、図6の模式図に示すように凸状の廻り止め部4aに250℃に加熱したコテを押し当て、金属製カラー16を変形融着させ(変形融着部16c)、金属製カラー16を搬送棒4の軸部4Aに締結させた。
【0012】
図7は搬送棒の端部を示す図、及び右側面図であり、図8は金属製カラーを右側面図とともに示す概略図である。図9は金属製カラーを搬送棒の軸部に変形溶着させる例を示す模式図である。
図7及び図8に示すように、また、特開2001−225116公報(バーリング加工法とその金型)で開示されているように、金属製カラー16は順送りプレス加工により作製した例である。
シート状の1枚の金属板材を、一直線上に配置されたそれぞれ形状の異なる雄雌金型上を順次移動させる過程で、金属板材に各々塑性変形が施されて所定寸法の有蓋筒部が形成され、この後蓋の部分を切断してフランジ付き薄肉円筒としての金属製カラー16が製作される。
この金属製カラー16を、図7の模式図に示すように、搬送棒4の軸部4Aにフランジ部分16e側より挿入し、樹脂製搬送棒4と予め一体に形成された樹脂製リブ16cに250℃に加熱したコテを押し当てる。
図9に示すように樹脂製リブ16cを変形させて変形溶着部16ccを形成し、金属製カラーを搬送棒4の軸部4Aに締結させた。なお、加熱したコテの代わりにポンチ等で機械的に変形融着させ(変形融着部16cc)、金属製カラー16を搬送棒4の軸部4Aに締結させてもよい。
図10は図7の変形例の応用例の構成図、及び金属製カラーを嵌合させた状態を示す右側面図である。図11は金属製カラーを右側面図とともに示す概略図である。図12は金属製カラーを搬送棒の軸部に変形溶着させる応用例を右側面図とともに示す概略図である。
図11に示すように、金属製カラー16のフランジ部分16eに締結用穴16dを設け、この締結用穴16dに対応した位置に樹脂製搬送棒4の軸部に樹脂製リブ4dを設け、これらを図12に示すように嵌合し、250℃に加熱したコテをリブ4dに押し当て変形させて変形溶着部16ddを形成し、金属製カラー16を搬送棒4の軸部4Aに締結させた。
なお、加熱したコテの代わりにポンチ等で機械的に変形融着させ(変形融着部16dd)、金属製カラー16を搬送棒4の軸部4Aに締結させてもよい。これら実施の形態で得られた搬送棒4を組み込んだ画像形成ユニットで絵文字の入った画像を出力したが鮮明な画像が得られた。
また、その画像を連続してA4用紙にて100,000枚出力したが、100,000枚後も初期出力画像同様、鮮明な画像出力が得られた。
【0013】
図13は接着剤を塗布して搬送棒の軸部に金属製カラーを嵌合・締結する方法を示す模式図であり、比較例として搬送棒4の軸部4Aに金属製カラー16を嵌合・締結する方法として接着剤20を塗布し、接着・締結している。
この場合、接着剤20の粘性により糸引き、垂れ等が発生する確率が高く、これらが弾性当接部材8の弾性密封リップ部24との金属製カラー16の摺動面表面に付着する。
すると、その個所よりトナーあるいは現像剤が漏れ出し、現像装置の容器に回転自在に取り付けている軸受との摺動面に徐々に侵入し、トナーあるいは現像剤が摺擦され、そのエネルギで溶融固着し回転トルクが増加、回転不良による攪拌、搬送不足で異常画像となったり、最悪の場合には回転がロックされる。
また、溶融したトナーあるいは現像剤の凝集体が現像装置内に攪拌・搬送され異常画像となる場合もある。そのため、接着剤20を塗布、金属製カラー16を装着後、有機溶剤等で金属製カラー16表面を払拭しなければならない。
また、接着剤で軸部に締結されているため、リサイクル時の解体では金属製カラー16と合成樹脂で成形された軸部4Aとの分離が難しく、リサイクル作業を煩雑なものにしてしまう。
軸受14はナイロン、ポリアセタール等の耐摩耗性を特色とする熱可塑性樹脂、あるいはポリカーボネート等の剛性を特色とする熱可塑性樹脂等の材料を使って、射出成形加工法により安価に大量生産可能である。
また、本発明は感光体ドラム1を現像ユニット6に組み込んだ画像形成ユニットであってもよく、さらにトナーあるいは現像剤の攪拌・搬送用の搬送棒だけでなく、トナーあるいは現像剤の回収・排出用の搬送棒であってもよい。
なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、搬送棒4、5、補強金属部材16の形状、材質を変えたりしても効果は維持できる。
【0014】
本発明は画像形成ユニットの軸受14、21と搬送棒4との摺動面へのトナーあるいは現像剤の侵入を確実に防止し、安価で生産性が高く、リサイクル性に優れたものであって、搬送棒4軸部4Aの一部を変形させて金属製カラー16を装着させた構成とするものである。
本発明はこれらに限定されるものではなく、変形をスポット的に複数個所設けて金属製カラーと搬送棒軸部との装着力を高めることも可能である。また、変形個所を複数設けたものであってもよい。
本発明によれば、搬送棒4の軸部4Aを変形させる個所を金属製カラー16の長さ方向に対して30%以下の大きさとすることにより、トナーあるいは現像剤の搬送棒4と軸受14との摺動面エリアを確保し、かつ前記摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と樹脂部との解体が容易で、リサイクル性の優れた搬送棒が得られる。
本発明によれば、搬送棒4の軸部4Aを変形させる個所を軸部4Aの円周方向に対して複数個所以上とすることにより、金属製カラー16の搬送棒4からの脱落防止を確実にし、かつトナーあるいは現像剤の搬送棒4と軸受14との摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と射出成形で形成された樹脂部との解体が容易で、リサイクル性の優れた搬送棒が得られる。
本発明によれば、上述したように、樹脂製軸部の樹脂に、ガラス、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、ラワストナイト、及び天然鉱物から成る補強材を、単独、あるいは複数以上含み、これらの補強材を5〜50%、好ましくは15〜35%含んだ合成樹脂より構成することにより、製造が容易で、生産性が高く、かつトナーあるいは現像剤の攪拌・搬送機能に優れた搬送棒が得られる。
【0015】
本発明によれば、トナーあるいは現像剤を攪拌し、現像容器に回転自在に支持された現像ローラへ搬送する機能を担っている回転翼が形成された搬送棒と軸受との摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と樹脂部との解体が容易で、リサイクル性の優れた搬送棒を備えた現像装置が得られる。
本発明によれば、回転翼17を備えた樹脂製の搬送棒4に金属製カラー16を嵌合して、軸部4Aの一部を変形させ、搬送棒4と金属カラー16とを一体化する。これにより、トナーあるいは現像剤をトナー補給容器に回転自在に支持された攪拌・搬送する機能を担っている回転翼17が形成された搬送棒4と軸受14との摺動面への侵入を確実に防止し、製造が容易で、生産性が高く、かつ金属部と樹脂部との解体が容易で、リサイクル性の優れた搬送棒を備えた画像形成装置が得られる。
上述した本発明の説明において、搬送棒4について主として説明したが、搬送棒4と金属カラー16の説明に関しては、搬送棒5としても同じであるので、説明を省略した。
また、本発明は、現像剤を収容した現像剤容器内に回転自在に配置されて現像剤を搬送・攪拌する搬送棒の製造方法において、樹脂製軸部の外周に樹脂製回転翼を螺旋状に一体形成する工程と、前記軸部両端に回転摺動用の金属製カラーを嵌合して一体化する工程と、前記樹脂製軸部の一部を変形させることにより前記摺動用カラーを前記樹脂製軸部に締結する工程と、から成る搬送棒の製造方法を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に関わる画像形成現像ユニットを示す概略断面図。
【図2】図1の画像形成現像ユニットを示す平断面図。
【図3】本発明による軸受を示す断面図。
【図4】金属製カラーを拡大して示す概略斜視図。
【図5】金属製カラーの搬送棒への取り付けを右側面図とともに示す概略図。
【図6】図5の金属製カラーの変形例を右側面図とともに示す概略図。
【図7】金属製カラーを順送りプレス加工により作製した変形例を右側面図とともに示す模式図。
【図8】金属製カラーを右側面図とともに示す概略図。
【図9】金属製カラーを搬送棒の軸部に変形溶着させる変形例を示す模式図。
【図10】図7の変形例の応用例を右側面図とともに示す概略図。
【図11】金属製カラーを右側面図とともに示す概略図。
【図12】金属製カラーを搬送棒の軸部に変形溶着させる図7の変形例の応用例を右側面図とともに示す概略図。
【図13】接着剤を塗布して搬送棒の軸部に金属製カラーを嵌合・締結する方法を示す模式図。
【符号の説明】
【0017】
1 感光体(感光体ドラム、像担持体)、2 現像ローラ(磁気ローラ)、4 搬送棒、4A 軸部、4a 廻り止め部、5 搬送棒、6 現像剤容器(現像ユニット、ハウジング)、14 軸受、16 回転摺動用カラー(金属製カラー、補強金属部材)、16a 凹状の廻り止め用切り欠き部、17 回転翼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容した現像剤容器と、該現像容器内に回転自在に配置されて現像剤を搬送・攪拌する搬送棒と、を備えた現像装置において、
前記搬送棒は、合成樹脂製の軸部に対して合成樹脂製の螺旋状回転翼が一体化されると共に、前記軸部両端に金属製の回転摺動用カラーを一体化した構成を備えており、前記樹脂製軸部の一部を変形させることにより前記摺動用カラーを前記樹脂製軸部に締結することを特徴とする現像装置の搬送棒。
【請求項2】
前記軸部の少なくとも一端部に前記金属製カラーを締結し、前記軸部を変形させる個所を、前記金属製カラーの長さ方向に対して30%以下、好ましくは10%以下の大きさとすることを特徴とする請求項1記載の現像装置の搬送棒。
【請求項3】
前記軸部の少なくとも一端部に前記金属製カラーを締結し、前記軸部を変形させる個所を、前記軸部の円周方向に対して1個所以上とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置の搬送棒。
【請求項4】
前記樹脂製軸部が射出成形で形成された合成樹脂で構成されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の現像装置の搬送棒。
【請求項5】
前記樹脂製軸部、又は樹脂製螺旋状回転翼が、ガラス、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、ラワストナイト、又は天然鉱物のうちの何れかの補強材を、一つ、又は複数以上含み、これらの補強材を5〜50%、好ましくは15〜35%含んだ合成樹脂より構成されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の現像装置の搬送棒。
【請求項6】
現像剤を収容した現像剤容器内に回転自在に配置されて現像剤を搬送・攪拌する搬送棒の製造方法において、樹脂製軸部の外周に樹脂製回転翼を螺旋状に一体形成する工程と、前記軸部両端に回転摺動用の金属製カラーを嵌合して一体化する工程と、前記樹脂製軸部の一部を変形させることにより前記摺動用カラーを前記樹脂製軸部に締結する工程と、から成ることを特徴とする搬送棒の製造方法。
【請求項7】
現像剤を収容する現像剤容器と、この現像剤容器と平行対向した感光体上に形成された静電潜像に対してトナーを供給する現像ローラと、前記現像剤容器内で回転することによって前記現像剤を攪拌・搬送する回転翼が形成された搬送棒とを備えており、前記現像ローラと前記搬送棒が前記現像容器内壁面に設けた軸受により回転自在に支持された現像装置において、前記搬送棒が螺旋状回転翼と軸部とを合成樹脂により一体形成しており、前記軸部の少なくとも一端部に金属製カラーを前記軸部の一部を変形させることにより前記軸部の少なくとも片側に締結したことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の搬送棒、又は請求項7記載の現像装置を備え、像担持体上からトナーを除去清掃するトナー除去清掃手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−171582(P2006−171582A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366864(P2004−366864)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】