説明

現在位置情報通知システム及び現在位置情報通知方法、並びに、端末装置及び情報センタ装置

【課題】 移動体端末の電力消費量を大幅に低減することができる現在位置情報通知システムを提供する。
【解決手段】 現在位置情報通知システムにおいて、歩行者の位置を位置特定部22によって特定すると、処理部24の制御に従って、特定した歩行者の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出し、当該進入角度に基づいて、当該歩行者が静止しているか否かを判定し、歩行者が静止していると判定した場合に、歩行者の位置情報を車両に搭載された車載装置30に対して送信する通信部21による通信を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の現在位置情報を他の移動体へと通知する現在位置情報通知システム及び現在位置情報通知方法、並びに、これら現在位置情報通知システム及び現在位置情報通知方法に用いられる端末装置及び情報センタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行者が保有する移動体端末から位置情報を所定の情報センタ装置に対して送信させ、当該情報センタ装置によって歩行者の地図上の位置を認識し、その認識した位置情報を無線通信によって他の移動体である車両へと通知するシステムが記載されている(下記、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−288785号公報(特許第3549850号公報)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術は、例えば、歩行者と車両とが離れた位置にあり、両者の接触の可能性が低い場合でも、歩行者の位置情報を定期的に取得して情報センタ装置に対して送信するので、当該移動体端末の電力消費量が大きくなる問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、移動体端末の電力消費量を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を、通信手段によって第1移動体とは異なる第2移動体へと通知するときに、第1移動体の位置を時間的に前後して特定し、当該特定された第1移動体の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度に基づいて、当該第1移動体が静止しているか否かを判定する。そして、第1移動体が静止していると判定された場合には、通信手段による通信を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体が静止していると判断したときに、移動体が有する端末装置による通信を制御することにより、当該端末装置の電力消費量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムの構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムにおける携帯端末装置において、当該携帯端末装置が静止しているか否かを判定する際の一連の手順を示すフローチャートである。
【図3】角度に基づく判定手法について説明するための図である。
【図4】時間的変化にともなう距離の増減傾向に基づく判定手法について説明するための図である。
【図5】平均位置に基づく判定手法について説明するための図である。
【図6】相関係数に基づく判定手法について説明するための図である。
【図7】本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムにおける携帯端末装置において、当該携帯端末装置が静止しているか否かを判定する際の他の一連の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態としての現在位置情報通知システムについて具体的に説明する。
【0010】
[現在位置情報通知システムの構成]
本発明の実施形態として示す現在位置情報通知システムは、図1に示すように、当該現在位置情報通知システムを統括的に管理する情報センタ装置10と、第1移動体である複数の歩行者がそれぞれ有する携帯端末装置20と、第1移動体とは異なる第2移動体である複数の車両にそれぞれ搭載された端末装置である車載装置30とを備えている。なお、図1において現在位置情報通知システムを構成する情報センタ装置10、携帯端末装置20、車載装置30は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図1においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行っている。
【0011】
現在位置情報通知システムは、主に、携帯端末装置20と車載装置30との間で通信を行う。これにより、現在位置情報通知システムは、携帯端末装置20によって取得された歩行者の現在位置情報を車載装置30へと通知することができる。なお、携帯端末装置20と車載装置30との間で行われる通信は、広域通信網を介した無線通信であってもよく、また、直接通信であってもよい。以下の説明では、携帯端末装置20によって取得された歩行者の現在位置情報を、広域通信網を介した無線通信により、情報センタ装置10を経由して車載装置30へと通知するものとする。
【0012】
情報センタ装置10は、当該現在位置情報通知システムを運営する運営者によって管理される情報提供サーバ等から構成される。具体的には、情報センタ装置10は、携帯端末装置20及び車載装置30との間でそれぞれ無線通信を行う通信部11と、各種情報を記憶する情報記憶部12と、当該情報センタ装置10を統括的に制御する制御手段である処理部13とを備える。
【0013】
通信部11は、広域通信網を介した無線通信により、携帯端末装置20から送信された歩行者の現在位置情報を含むメッセージを受信し、処理部13に供給する。また、通信部11は、広域通信網を介した無線通信により、歩行者の現在位置情報を車載装置30に対して送信する。
【0014】
情報記憶部12は、当該情報センタ装置10で実行される各種アプリケーションソフトウェアや処理部13による各種処理において必要となるデータを記憶する。この情報記憶部12に記憶された情報は、処理部13によって読み出される。
【0015】
処理部13は、通信部11を介して歩行者が保有する携帯端末装置20から受信したメッセージに基づいて各種処理を行う。処理部13は、基本的には、情報記憶部12に記憶された情報を用いて、通信部11の制御を行う。例えば、処理部13は、携帯端末装置20との無線通信によって取得した歩行者の現在位置情報を車載装置30に対して無線通信によって通知した際に発生する、実際の携帯端末装置20の現在位置との誤差を予測し、予測した誤差を用いて携帯端末装置20から取得した歩行者の現在位置情報を補正する、等の処理を行う。
【0016】
携帯端末装置20は、第1移動体である歩行者によって保有される例えば通話機能を備えた携帯電話装置やPDA(Personal Data Assistance)等から構成される。具体的には、携帯端末装置20は、情報センタ装置10との間で無線通信を行う通信部21と、当該携帯端末装置20の現在位置を特定する位置特定部22と、各種情報を記憶する情報記憶部23と、当該携帯端末装置20を統括的に制御する制御手段である処理部24とを備える。
【0017】
通信部21は、広域通信網を介した無線通信により、歩行者の現在位置情報を含むメッセージを情報センタ装置10に対して送信する。
【0018】
位置特定部22は、いわゆるGPS(Global Positioning System)受信機から構成され、処理部24の制御に従って、GPS衛星から送信される信号をGPSアンテナを介して受信する。これにより、位置特定部22は、GPS航法による位置計測を行い、当該携帯端末装置20の絶対位置(緯度、経度)情報を歩行者の現在位置情報として取得する。位置特定部22は、取得した歩行者の現在位置情報を処理部24に供給する。
【0019】
情報記憶部23は、当該携帯端末装置20で実行される各種アプリケーションソフトウェアや処理部24による各種処理において必要となるデータを記憶する。例えば、情報記憶部23は、後述する当該携帯端末装置20を有する第1移動体である歩行者の静止判定に必要となる所定の閾値や、現在位置情報及び所定時間幅に属する過去の位置情報等を記憶する。この情報記憶部23に記憶された情報は、処理部24によって読み出される。
【0020】
処理部24は、アプリケーションソフトウェアを実行して実現される機能部として、静止判定部24aと通信制御部24bを有する。処理部24は、位置特定部22によって現在位置情報が取得されたことに応じて、通信制御部24bによって携帯端末装置20の位置情報を含むメッセージを、通信部21によって車載装置30に対して送信させる。このメッセージには、少なくとも当該携帯端末装置20を一意に特定する識別情報と、現在位置情報と、この現在位置情報を取得した時刻とが含まれる。
【0021】
また、処理部24は、位置特定部22によって現在位置情報が取得されたのに応じて、静止判定部24aによって、歩行者が静止しているか否かを判定する。歩行者が静止していると判定した場合には、通信部21を介したメッセージの送信を停止するように、又は、歩行者が静止していることが明らかとなるような通信を行うように制御する。
【0022】
車載装置30は、第2移動体である車両に搭載される。車載装置30は、例えば、当該車両の現在位置を検出し、地図データに基づいて描画された車両の現在位置に対応する地図をユーザである運転者に提示しながら、所望の目的までの経路案内を行うナビゲーション装置等から構成される。具体的には、車載装置30は、情報センタ装置10との間で無線通信を行う通信部31と、車両の現在位置を特定する位置特定部32と、各種情報を記憶する情報記憶部33と、当該車載装置30を統括的に制御する制御手段である処理部34と、各種情報をユーザに提供する情報提供部35とを備える。
【0023】
通信部31は、広域通信網を介した無線通信により、情報センタ装置10から送信された歩行者の現在位置情報を受信し、処理部34に供給する。
【0024】
位置特定部32は、いわゆるGPS受信機から構成される。位置特定部32は、処理部34の制御に従って、GPS衛星から送信される信号をGPSアンテナを介して受信する。そして、位置特定部32は、GPS航法による位置計測を行い、当該車載装置30が搭載された移動体である車両の絶対位置(緯度、経度)情報を算出する。また、位置特定部32は、図示しない距離センサによって検出された走行距離情報や図示しない方位センサによって検出された進行方位情報に基づいて、自律航法による車両の相対位置を算出する。位置特定部32は、上述した絶対位置(緯度、経度)情報と、相対位置情報とに基づいて、当該車載装置30が搭載された車両の地図上における位置を算出する。位置特定部32は、算出した車両の現在位置情報を処理部34に供給する。
【0025】
情報記憶部33は、ナビゲーション装置としての当該車載装置30で実行される各種アプリケーションソフトウェア、情報提供部35に表示させる地図の地図データ、マップマッチングやルートガイダンス等に用いる道路データ等、車両のナビゲーションや処理部34による各種処理に必要となる各種データを記憶する。この情報記憶部33に記憶された情報は、処理部34によって読み出される。
【0026】
処理部34は、位置特定部32によって算出された現在位置情報に基づいて、当該位置に対応する地図データや道路データ等、車両のナビゲーションに必要となる各種情報を、情報記憶部33から読み出す処理、又は、通信部31を介して情報センタ装置10から無線通信によって取得する処理などを行う。また、処理部34は、図示しない操作手段を介して車両のユーザによって入力される目的地と現在位置情報とを用いて、現在位置から目的地までの最適な走行経路を情報提供部35によって提示させ、目的地の近傍領域までの経路案内(ナビゲーション)を行うルートガイダンスを行う。このとき、処理部34は、情報提供部35を制御して、音声によるナビゲーションを実行することもできる。さらに、処理部34は、情報提供部35に表示させる表示画像を生成する。例えば、処理部34は、表示画像としてナビゲーション用の地図を生成し、情報提供部35に表示させる。さらにまた、処理部34は、携帯端末装置20から情報センタ装置10を介して無線通信によって取得した歩行者の現在位置情報に基づく情報を車両のユーザに提示するか否かを判定する。歩行者の現在位置情報に基づく情報を提示すると判定した場合には、処理部34は、歩行者の現在位置情報を付加した表示画像を生成し、情報提供部35に表示させる。
【0027】
情報提供部35は、処理部34によって生成された表示画像を表示する表示手段である。情報提供部35は、車両のインストルメントパネルの略中央付近に設けられた液晶ディスプレイ等から構成される。主に運転者に視認しやすい位置等、ユーザから視認しやすい位置に設置される。また、情報提供部35の表示パネルは、ユーザが操作可能なタッチパネルとして構成されていてもよい。さらに、情報提供部35は、スピーカ等の音声出力手段としても構成される。かかる音声出力手段としての情報提供部35は、例えば車両に搭載されている場合には、主に運転者の左右両側位置等、ユーザから聴取しやすい位置に設置される。
【0028】
[現在位置情報通知システムの動作]
上述した現在位置情報通知システムにおいて、携帯端末装置20は、図2に示すような一連の手順を実行することによって、歩行者が静止しているか否かを判定する。なお、この処理は、定期的に実行されるものであり、ここでは、位置特定部22による位置特定の周期が第n周期目である場合に実行された場合について説明する。
【0029】
まず、携帯端末装置20は、図2に示すように、ステップS1において、位置特定部22によって第1移動体である歩行者の現在位置Pnを特定する。次に、携帯端末装置20は、処理部24の制御に従って、歩行者が静止しているか否かを判定するための指標を求めるフェーズPH1乃至フェーズPH4の処理を行う。
【0030】
これらフェーズPH1乃至フェーズPH4の処理は、互いに独立した処理である。そのため、携帯端末装置20は、処理部24によって、これらフェーズPH1乃至フェーズPH4の処理を個別に実行し、各フェーズにおいて得られる結果に基づいて歩行者が静止しているか否かを判定することができる。また、処理部24は、各フェーズにおいて得られる結果を組み合わせることにより、より正確に歩行者が静止しているか否かの判定を行うこともできる。なお、ここでは、フェーズPH1、フェーズPH2、フェーズPH3、フェーズPH4の順序で処理を行うものとして説明するが、これらフェーズの実行順序は任意であり、また、実行するフェーズの組み合わせも任意である。
【0031】
まず、携帯端末装置20は、フェーズPH1に移行すると、ステップS2において、処理部24の制御に従って、ステップS1にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn-1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、図3に示すように、過去位置Pn−2と過去位置Pn-1とを結ぶ線分と、過去位置Pn−1と過去位置Pnとを結ぶ線分とをそれぞれ求める。そして、これら2つの線分の交差角のうち、小さい方の角の角度Rnを算出する。すなわち、処理部24は、過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出する。
【0032】
ここで、図3(a)に示す歩行者が静止している場合の進入角度Rは、図3(b)に示す歩行者が静止していない場合の進入角度Rに比べて大きくなる。これは、歩行者が静止している場合には、狭い範囲を当該携帯端末装置20が移動するのに起因する。
【0033】
そこで、携帯端末装置20は、ステップS3において、処理部24の制御に従って、ステップS2にて算出された進入角度Rnに基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定する。具体的には、処理部24は、進入角度Rnが、情報記憶部23に記憶されている所定の角度閾値以上である場合には、ステップS10へと処理を移行し、歩行者が静止していると判定し、一連の処理を終了する。一方、処理部24は、進入角度Rnが角度閾値未満である場合には、歩行者が静止していないと判定し、次のフェーズPH2の処理へと移行する。
【0034】
なお、ステップS3における判定は、第n周期目における進入角度Rnのみを角度閾値と比較することによって行われているが、検出した進入角度のうち角度閾値以上である進入角度の割合によって判定を行っても良い。携帯端末装置20は、処理部24の制御に従って、複数周期における進入角度Rを算出してそれぞれ角度閾値と比較する。そして、これら複数周期における進入角度のうち、角度閾値以上である角度の割合が所定の割合以上である場合に、歩行者が静止していると判定し、所定の割合未満である場合に、歩行者が静止していないと判定する。具体的には、処理部24は、第n−2周期目における進入角度Rn−2と、第n−1周期目における進入角度Rn−1と、第n周期目における進入角度Rnとを算出してそれぞれ角度閾値と比較する。これら3つの角度Rn−2,Rn−1,Rnのうち、角度閾値以上である角度の割合が60%以上である場合、すなわち、2つの角度が角度閾値以上である場合に、歩行者が静止していると判定する。携帯端末装置20は、このように所定の時間幅にわたって算出した複数の角度に基づく判定を行うことにより、偶発的な位置の誤特定や一時的な短時間の静止があった場合にも歩行者が静止していると判定してしまうのを回避することができ、静止の判定精度を向上させることができる。
【0035】
続いて、携帯端末装置20は、フェーズPH2に移行すると、ステップS4において、処理部24の制御に従って、ステップS1にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、図4に示すように、過去位置Pn−2と現在位置Pnとの距離Dn−1と、過去位置Pn−1と現在位置Pnとの距離Dnとをそれぞれ算出する。そして、これら2つの距離Dn,Dn−1の時間的変化にともなう増減傾向を特定する。なお、時間的変化にともなう距離Dの増減傾向とは、距離Dnが距離Dn−1以上である場合には増加傾向とし、距離Dnが距離Dn−1未満である場合には減少傾向とするものである。
【0036】
ここで、図4(a)に示す歩行者が静止している場合の距離Dは、狭い範囲を当該携帯端末装置20が移動したり移動を停止しようとしたりするのに起因して、図4(b)に示す歩行者が静止していない場合の距離Dに比べて、時間的に増加しない傾向にある。
【0037】
そこで、携帯端末装置20は、ステップS5において、処理部24の制御に従って、ステップS4にて特定された時間的変化にともなう距離の増減傾向に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定する。具体的には、処理部24は、距離が時間的に増加しない傾向にある場合には、ステップS10へと処理を移行し、歩行者が静止していると判定し、一連の処理を終了する。一方、処理部24は、距離が時間的に増加する傾向にある場合には、歩行者が静止していないと判定し、次のフェーズPH3の処理へと移行する。
【0038】
なお、ステップS5における判定は、2つの距離Dn,Dn−1の時間的変化にともなう増減傾向に基づいて行われているが、時間的変化にともなう距離Dの増減傾向を特定するために用いる位置Pは、時間的に連続する3つ以上の位置であれば、任意の個数であってもよい。例えば、処理部24は、第n周期目にて特定された現在位置Pnと、第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2と、第n−3周期目にて特定された過去位置Pn−3と、第n−4周期目にて特定された過去位置Pn−4とに基づいて、4つの距離Dn,Dn−1,Dn−2,Dn−3の時間的変化にともなう増減傾向を特定し、歩行者が静止しているか否かを判定するようにしてもよい。携帯端末装置20は、このように所定の時間幅にわたって算出した複数の距離に基づく判定を行うことにより、偶発的な位置の誤特定や一時的な短時間の静止があった場合にも歩行者が静止していると判定してしまうのを回避することができ、判定精度を向上させることができる。
【0039】
続いて、携帯端末装置20は、フェーズPH3に移行すると、ステップS6において、処理部24の制御に従って、ステップS1にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、図5に示すように、これら3つの位置Pn,Pn−1,Pn−2の平均位置と、現在位置Pnとの距離を算出する。
【0040】
ここで、図5(a)に示す歩行者が静止している場合の平均位置からの距離は、狭い範囲を当該携帯端末装置20が移動するのに起因して、図5(b)に示す歩行者が静止していない場合の距離に比べて小さくなる。
【0041】
そこで、携帯端末装置20は、ステップS7において、処理部24の制御に従って、ステップS6にて算出された距離に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定する。具体的には、処理部24は、ステップS6にて算出された距離が、情報記憶部23に記憶されている所定の距離閾値未満である場合には、ステップS10へと処理を移行し、歩行者が静止していると判定し、一連の処理を終了する。一方、処理部24は、ステップS6にて算出された距離が距離閾値以上である場合には、歩行者が静止していないと判定し、次のフェーズPH4の処理へと移行する。
【0042】
なお、ステップS7における判定は、3つの位置Pn,Pn−1,Pn−2の平均位置に基づいて行われているが、平均位置から現在位置Pnまでの距離の算出に用いる位置Pは、時間的に連続する2つ以上の位置であれば、任意の個数であってもよい。例えば、処理部24は、第n周期目にて特定された現在位置Pnと、第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2と、第n−3周期目にて特定された過去位置Pn−3と、第n−4周期目にて特定された過去位置Pn−4とに基づいて、5つの位置Pn,Pn−1,Pn−2,Pn−3,Pn−4の平均位置を算出し、歩行者が静止しているか否かを判定するようにしてもよい。携帯端末装置20は、このように所定の時間幅にわたって算出した複数の位置に基づく判定を行うことにより、偶発的な位置の誤った特定や一時的な短時間の静止があった場合にも歩行者が静止していると判定してしまうのを回避することができ、判定精度を向上させることができる。
【0043】
最後に、携帯端末装置20は、フェーズPH4に移行すると、ステップS8において、処理部24の制御に従って、ステップS1にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、位置の相関係数を算出する。
【0044】
この相関係数は、図6に示すように、ステップS1にて特定された現在位置Pnの経度Pnx及び緯度Pnyと、前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1の経度Pn−1x及び緯度Pn−1yと、前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2の経度Pn−2x及び緯度Pn−2yとを用いて、次式(1)によって算出される。
【数1】

【0045】
ここで、図6(a)に示す歩行者が静止している場合の位置の相関係数は、狭い範囲を当該携帯端末装置20が移動するのに起因して、小さくなる。図6(a)に示すような点線が、過去位置Pn−5〜現在位置Pnまでの平均的な位置となる。歩行者が静止している場合には上述したように進入角度が大きくなる傾向があるので、各位置は、平均的な位置に対して離れている。このため、歩行者が静止している時の相関係数は小さくなる。一方、図6(b)に示す歩行者が静止していない場合には、歩行者が移動するために各位置が離れているものの、図中点線で示す過去位置Pn−5〜現在位置Pnまでの平均的な位置に対して、各位置が近接する。このため、歩行者が移動している時の相関係数は大きくなる。
【0046】
そこで、携帯端末装置20は、ステップS9において、処理部24の制御に従って、ステップS8にて算出された相関係数に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定する。具体的には、処理部24は、ステップS8にて算出された位置の相関係数が、情報記憶部23に記憶されている所定の閾値未満である場合には、ステップS10へと処理を移行し、歩行者が静止していると判定し、一連の処理を終了する。一方、処理部24は、ステップS8にて算出された位置の相関係数が閾値以上である場合には、歩行者が静止していないと判定し、一連の処理を終了する。
【0047】
なお、ステップS9における判定は、3つの位置Pn,Pn−1,Pn−2の経度及び緯度に基づいて行われているが、位置の相関係数の算出に用いる位置Pは、時間的に連続する3つ以上の位置であれば、任意の個数であってもよい。例えば、処理部24は、第n周期目にて特定された現在位置Pnと、第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2と、第n−3周期目にて特定された過去位置Pn−3と、第n−4周期目にて特定された過去位置Pn−4とに基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定するようにしてもよい。携帯端末装置20は、このように所定の時間幅にわたって算出した複数の位置に基づく判定を行うことにより、偶発的な位置の誤った特定や一時的な短時間の静止があった場合にも歩行者が静止していると判定してしまうのを回避することができ、判定精度を向上させることができる。
【0048】
携帯端末装置20は、このような一連の手順にしたがって、歩行者が静止しているか否かを判定することができる。
【0049】
なお、携帯端末装置20は、このような一連の手順に代えて、図7に示すような一連の手順にしたがって、歩行者が静止しているか否かを判定することもできる。なお、この処理も、図2に示した処理と同様に、定期的に実行されるものである。以下の説明では、位置特定部22による位置特定の周期が第n周期目である場合に実行された場合について説明する。
【0050】
まず、携帯端末装置20は、図7に示すように、ステップS21において、位置特定部22によって第1移動体である歩行者の現在位置Pnを特定する。次に携帯端末装置20は、歩行者が静止しているか否かを判定するための指標を求めるフェーズPH11乃至フェーズPH14の処理を行う。
【0051】
これらフェーズPH11乃至フェーズPH14の処理は、図2に示したフェーズPH1乃至フェーズPH4の処理と同様に、互いに独立した処理である。そのため、処理部24は、これらフェーズPH11乃至フェーズPH14の処理を個別に実行することにより、各フェーズにおいて得られる結果に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定することができる。また、処理部24は、各フェーズにおいて得られる結果を組み合わせることにより、より正確な判定を行うこともできる。なお、ここでは、フェーズPH11、フェーズPH12、フェーズPH13、フェーズPH14の順序で処理を行うものとして説明するが、これらフェーズの実行順序は任意であり、また、実行するフェーズの組み合わせも任意である。
【0052】
まず、携帯端末装置20は、フェーズPH11に移行すると、ステップS22において、処理部24の制御に従って、ステップS21にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、先に図3に示したように、過去位置Pn−2と過去位置Pn−1とを結ぶ線分と、過去位置Pn−1と現在位置Pnとを結ぶ線分とをそれぞれ求める。これら2つの線分の交差角のうち、小さい方の角を進入角度Rnとして算出する。すなわち、処理部24は、過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出する。
【0053】
そして、携帯端末装置20は、ステップS23において、ステップS22にて算出された進入角度Rnに基づいて、当該携帯端末装置20の移動状態を評価する。具体的には、処理部24は、進入角度Rnが、情報記憶部23に記憶されている所定の角度閾値以上である場合には、歩行者が静止している可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k1を、所定値k1sとする。一方、処理部24は、進入角度Rnが角度閾値未満である場合には、歩行者が静止していない可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k1を、所定値k1mとする。
【0054】
なお、ステップS23における評価は、第n周期目における進入角度Rnのみを角度閾値と比較することによって行われている。しかし、携帯端末装置20は、判定精度を向上させるために、角度閾値以上である角度の割合に基づいて評価を行っても良い。携帯端末装置20は、図2中ステップS3と同様に、複数周期における角度Rを算出してそれぞれ角度閾値と比較し、これら角度のうち、角度閾値以上である角度の割合が所定の割合以上である場合に、歩行者が静止している可能性が高いものとし、移動状態評価値k1を決定する。一方、所定の割合未満である場合には、歩行者が静止していない可能性が高いものとし、移動状態評価値k1を決定する。
【0055】
続いて、携帯端末装置20は、フェーズPH12に移行すると、ステップS24において、ステップS21にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、先に図4に示したように、過去位置Pn−2と現在位置Pnとの距離Dn−1と、過去位置Pn−1と現在位置Pnとの距離Dnとをそれぞれ算出し、これら2つの距離Dn,Dn−1の時間的変化にともなう増減傾向を特定する。
【0056】
そして、携帯端末装置20は、ステップS25において、処理部24の制御に従って、ステップS24にて特定された時間的変化にともなう距離の増減傾向に基づいて、当該携帯端末装置20の移動状態を評価する。具体的には、処理部24は、距離が時間的に増加しない傾向にある場合には、歩行者が静止している可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k2を、所定値k2sとする。一方、処理部24は、距離が時間的に増加する傾向にある場合には、歩行者が静止していない可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k2を、所定値k2mとする。
【0057】
なお、ステップS25における評価は、2つの距離Dn,Dn−1の時間的変化にともなう増減傾向に基づいて行われているが、時間的変化にともなう距離Dの増減傾向を特定するために用いる位置Pは、時間的に連続する3つ以上の位置であれば、任意の個数であってもよい。例えば、処理部24は、第n周期目にて特定された現在位置Pnと、第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2と、第n−3周期目にて特定された過去位置Pn−3と、第n−4周期目にて特定された過去位置Pn−4とに基づいて、4つの距離Dn,Dn−1,Dn−2,Dn−3の時間的変化にともなう増減傾向を特定し、移動状態評価値k2を決定するようにしてもよい。
【0058】
続いて、携帯端末装置20は、フェーズPH13に移行すると、ステップS26において、処理部24の制御に従って、ステップS21にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、先に図5に示したように、これら3つの位置Pn,Pn−1,Pn−2の平均位置と、現在位置Pnとの距離を算出する。
【0059】
そして、携帯端末装置20は、ステップS27において、処理部24の制御に従って、ステップS26にて算出された距離に基づいて、当該携帯端末装置20の移動状態を評価する。具体的には、処理部24は、ステップS26にて算出された距離が、情報記憶部23に記憶されている所定の距離閾値未満である場合には、歩行者が静止している可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k3を、所定値k3sとする。一方、処理部24は、ステップS6にて算出された距離が距離閾値以上である場合には、歩行者が静止していない可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k3を、所定値k3mとする。
【0060】
なお、ステップS27における評価は、3つの位置Pn,Pn−1,Pn−2の平均位置に基づいて行われているが、平均位置から現在位置Pnまでの距離の算出に用いる位置Pは、時間的に連続する2つ以上の位置であれば、任意の個数であってもよい。例えば、処理部24は、第n周期目にて特定された現在位置Pnと、第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2と、第n−3周期目にて特定された過去位置Pn−3と、第n−4周期目にて特定された過去位置Pn−4とに基づいて、5つの位置Pn,Pn−1,Pn−2,Pn−3,Pn−4の平均位置を算出し、移動状態評価値k3を決定するようにしてもよい。
【0061】
最後に、携帯端末装置20は、フェーズPH14に移行すると、ステップS28において、処理部24の制御に従って、ステップS21にて特定された現在位置Pnと、情報記憶部23に記憶されている前回の第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、情報記憶部23に記憶されている前々回の第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2とに基づいて、先に図6に示したように、位置の相関係数を算出する。この位置の相関係数は、上式(1)によって算出される。
【0062】
そして、携帯端末装置20は、ステップS29において、処理部24の制御に従って、ステップS28にて算出された位置の相関係数に基づいて、当該携帯端末装置20の移動状態を評価する。具体的には、処理部24は、ステップS28にて算出された位置の相関係数が、情報記憶部23に記憶されている所定の閾値未満である場合には、歩行者が静止している可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k4を、所定値k4sとする。一方、処理部24は、ステップS28にて算出された位置の相関係数が閾値以上である場合には、歩行者が静止していない可能性が高く、当該携帯端末装置20の移動状態評価値k4を、所定値k4mとする。
【0063】
なお、ステップS29における判定は、3つの位置Pn,Pn−1,Pn−2の経度及び緯度に基づいて行われているが、相関係数の算出に用いる位置Pは、時間的に連続する3つ以上の位置であれば、任意の個数であってもよい。例えば、処理部24は、第n周期目にて特定された現在位置Pnと、第n−1周期目にて特定された過去位置Pn−1と、第n−2周期目にて特定された過去位置Pn−2と、第n−3周期目にて特定された過去位置Pn−3と、第n−4周期目にて特定された過去位置Pn−4とに基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定するようにしてもよい。
【0064】
続いて、携帯端末装置20は、ステップS30において、処理部24の制御に従って、フェーズPH11乃至フェーズPH14のそれぞれにて決定された移動状態評価値k1,k2,k3,k4に基づいて、総合的な移動状態を評価する。具体的には、処理部24は、次式(2)に示すように、各フェーズにて決定された移動状態評価値k1,k2,k3,k4を乗算し、総合的移動状態評価値kを算出する。
【数2】

【0065】
そして、携帯端末装置20は、ステップS31において、処理部24の制御に従って、ステップS30にて算出された総合的移動状態評価値kと、情報記憶部23に記憶されている所定の閾値とを比較し、当該携帯端末装置20の移動状態を判定する。具体的には、処理部24は、ステップS30にて算出された総合的移動状態評価値kが閾値以上である場合には、歩行者が静止していると判定し、閾値未満である場合には、歩行者が静止していないと判定し、一連の処理を終了する。
【0066】
携帯端末装置20は、このような一連の手順にしたがって、処理部24の制御に従って、歩行者が静止しているか否かを判定することができる。
【0067】
そして、携帯端末装置20は、歩行者が静止していると判定した場合には、通信部21を介したメッセージの送信を停止するように、又は、歩行者が静止していることが明らかとなるような通信を行うように制御することにより、通信にともなう電力消費量を大幅に低減することができる。なお、携帯端末装置20は、歩行者が静止していると判定した後であっても、位置特定部22による位置特定処理を行う。そのため、携帯端末装置20は、移動を再開したことが検出された場合には、通信部21を介した通信を迅速に再開することができる。
【0068】
なお、携帯端末装置20が歩行者の静止の有無を判定するものとして説明したが、現在位置情報通知システムにおいては、情報センタ装置10が歩行者の静止の有無を判定するようにしてもよい。すなわち、情報センタ装置10は、携帯端末装置20における処理部24と同様の機能を設け、携帯端末装置20から取得した歩行者の現在位置情報に基づいて、処理部13の制御に従って、先に図2又は図7に示した一連の処理と同様の処理を実行し、歩行者が静止しているか否かを判定し、その判定結果を示す情報を通信部11を介して携帯端末装置20に対して送信する。そして、携帯端末装置20は、受信した判定結果が静止であった場合には、通信部21を介したメッセージの送信を停止するように、又は、歩行者が静止していることが明らかとなるような通信を行うように制御するようにしてもよい。この場合においても、携帯端末装置20は、定期的に通信を行う場合に比べ、通信にともなう電力消費量を大幅に低減することができる。
【0069】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した現在位置情報通知システムにおいては、第1移動体である歩行者の位置を位置特定部22によって特定すると、特定した歩行者の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出し、当該進入角度に基づいて、当該歩行者が静止しているか否かを判定し、歩行者が静止していると判定した場合に、当該歩行者の位置情報を第2移動体である車両に搭載された車載装置30に対して送信する通信部21による通信を制御する。
【0070】
この現在位置情報通知システムにおいては、歩行者が静止している場合には、当該歩行者と車両との接触の可能性が低いと考えられるので、歩行者が保有する携帯端末装置20による通信を制御してもよい。したがって、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止している場合には、歩行者が保有する携帯端末装置20による通信を制御することにより、不要な通信を行う必要がなくなり、当該携帯端末装置20の電力消費量を大幅に低減することができる。また、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度に基づいて、当該歩行者が静止しているか否かを判定するので、歩行者が静止している旨を高精度に判定することができる。
【0071】
また、この現在位置情報通知システムは、位置特定部22によって特定された歩行者の時間的に連続する少なくとも2つの位置情報に基づいて、当該歩行者が静止しているか否かを判定するので、歩行者が静止している旨を高精度に判定することができる。
【0072】
さらに、この現在位置情報通知システムは、位置特定部22によって特定された歩行者の時間的に連続する少なくとも3つの位置のうち、時間的に連続する第1位置と第2位置とを結ぶ第1線分と、第2位置と当該第2位置に時間的に連続する第3位置とを結ぶ第2線分との交差角に基づいて、進入角度を算出する。具体的には、この現在位置情報通知システムは、処理部24の制御に従って、進入角度が所定の閾値以上である場合に、歩行者が静止していると判定する。これにより、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止している旨を高精度に判定することができる。
【0073】
さらにまた、この現在位置情報通知システムは、位置特定部22によって特定された歩行者の複数の過去位置のそれぞれについて進入角度を算出し、算出した複数の進入角度のうち、閾値以上である進入角度の割合が、所定の割合以上である場合に、歩行者が静止していると判定するようにしてもよい。これにより、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止している旨をより高精度に判定することができる。
【0074】
また、この現在位置情報通知システムによれば、処理部24の制御に従って、位置特定部22によって特定された歩行者の過去位置から現在位置までの距離を算出し、当該距離に基づいて、歩行者が静止しているか否かを高精度に判定することもできる。
【0075】
具体的には、この現在位置情報通知システムは、処理部24の制御に従って、位置特定部22によって特定された歩行者の時間的に連続する少なくとも3つの位置について、時間的に前後する位置間の距離を算出し、算出した複数の距離の時間的変化にともなう増減傾向に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定する。特に、この現在位置情報通知システムは、算出した複数の距離が時間的に増加しない傾向にある場合に、歩行者が静止していると判定する。これにより、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止していることを高精度に判定することができる。
【0076】
さらに、この現在位置情報通知システムによれば、位置特定部22によって特定された歩行者の時間的に連続する少なくとも2つの位置の平均位置と現在位置との距離を算出し、当該距離に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定することもできる。具体的には、この現在位置情報通知システムは、処理部24の制御に従って、算出した距離が所定の閾値未満である場合に、前記第1移動体が静止していると判定する。これにより、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止している旨を高精度に判定することができる。
【0077】
さらにまた、この現在位置情報通知システムによれば、位置特定部22によって特定された歩行者の時間的に連続する少なくとも3つの位置の相関に関する情報に基づいて、歩行者が静止しているか否かを高精度に判定することもできる。
【0078】
具体的には、この現在位置情報通知システムは、処理部24の制御に従って、位置特定部22によって特定された歩行者の時間的に連続する少なくとも3つの位置の相関係数を算出し、算出した相関係数に基づいて、歩行者が静止しているか否かを判定する。特に、この現在位置情報通知システムは、処理部24の制御に従って、相関係数が所定の閾値未満である場合に、歩行者が静止していると判定する。これにより、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止している旨を高精度に判定することができる。
【0079】
また、この現在位置情報通知システムによれば、歩行者が静止していると判定された場合に、処理部24の制御に従って、通信部21を介した情報の送信を停止するように、又は、歩行者が静止していることが明らかとなるような通信を行うように制御するので、不要な通信にともなう携帯端末装置20の電力消費量を確実に低減することができる。
【0080】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0081】
10 情報センタ装置
11 通信部
12 情報記憶部
13 処理部
20 携帯端末装置
21 通信部
22 位置特定部
23 情報記憶部
24 処理部
24a 静止判定部
24b 通信制御部
30 車載装置
31 通信部
32 位置特定部
33 情報記憶部
34 処理部
35 情報提供部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を前記第1移動体とは異なる第2移動体へと通知する現在位置情報通知システムにおいて、
前記第1移動体の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の位置情報を、前記第2移動体が有する第2端末装置に対して送信する通信手段と、
前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出し、当該進入角度に基づいて、当該第1移動体が静止しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第1移動体が静止していると判定された場合に、前記通信手段による通信を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする現在位置情報通知システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の時間的に連続する少なくとも2つの位置情報に基づいて、当該第1移動体が静止しているか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項3】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の時間的に連続する少なくとも3つの位置のうち、時間的に連続する第1位置と第2位置とを結ぶ第1線分と、前記第2位置と当該第2位置に時間的に連続する第3の位置とを結ぶ第2線分との交差角に基づいて、前記進入角度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記進入角度が第1閾値以上である場合に、前記第1移動体が静止していると判定することを特徴とする請求項3に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項5】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の複数の過去の位置のそれぞれについて前記進入角度を算出し、算出した複数の進入角度のうち、前記第1閾値以上である進入角度の割合が、所定の割合以上である場合に、前記第1移動体が静止していると判定することを特徴とする請求項3に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項6】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の過去位置から現在位置までの距離を算出し、当該距離及び前記進入角度に基づいて、前記第1移動体が静止しているか否かを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項7】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の時間的に連続する少なくとも3つの位置について、時間的に前後する位置間の距離を算出し、算出した複数の距離の時間的変化にともなう増減傾向に基づいて、前記第1移動体が静止しているか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項8】
前記判定手段は、算出した複数の距離が時間的に増加しない傾向にある場合に、前記第1移動体が静止していると判定することを特徴とする請求項7に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項9】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の時間的に連続する少なくとも2つの位置の平均位置と現在位置との距離を算出し、当該距離に基づいて、前記第1移動体が静止しているか否かを判定することを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項6に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項10】
前記判定手段は、算出した距離が第2閾値未満である場合に、前記第1移動体が静止していると判定することを特徴とする請求項9に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項11】
前記判定手段は、さらに、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の時間的に連続する少なくとも3つの位置の相関に関する情報に基づいて、前記第1移動体が静止しているか否かを判定することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項6、又は請求項9に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項12】
前記判定手段は、前記位置特定手段によって特定された前記第1移動体の時間的に連続する少なくとも3つの位置の相関係数を算出し、算出した相関係数に基づいて、前記第1移動体が静止しているか否かを判定することを特徴とする請求項11に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項13】
前記判定手段は、前記相関係数が第3閾値未満である場合に、前記第1移動体が静止していると判定することを特徴とする請求項12記載の現在位置情報通知システム。
【請求項14】
前記制御手段は、前記判定手段によって前記第1移動体が静止していると判定された場合に、前記通信手段を介した情報の送信を停止するように、又は、前記第1移動体が静止していることが明らかとなるような通信を行うように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか一項に記載の現在位置情報通知システム。
【請求項15】
当該端末装置を有する移動体の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段によって特定された前記移動体の位置情報を、前記移動体とは異なる他の移動体が有する他の端末装置に対して送信する通信手段と、
前記位置特定手段によって特定された前記移動体の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出し、当該進入角度に基づいて、当該移動体が静止しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記移動体が静止していると判定された場合に、前記通信手段による通信を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする端末装置。
【請求項16】
第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を、無線通信によって前記第1移動体とは異なる第2移動体へと通知する現在位置情報通知システムの情報センタ装置において、
前記第1移動体が有する第1端末装置から送信された当該第1移動体の位置情報を取得する位置取得手段と、
前記位置取得手段によって取得された前記第1移動体の位置情報を、前記第2移動体が有する第2端末装置に対して送信する通信手段と、
前記位置取得手段によって取得された前記第1移動体の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度を算出し、当該進入角度に基づいて、当該第1移動体が静止しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記第1移動体が静止していると判定された場合に、前記第1端末装置による通信を制御するように当該第1端末装置に指示する制御手段と
を備えることを特徴とする情報センタ装置。
【請求項17】
第1端末装置を有する第1移動体の現在位置情報を、通信手段によって前記第1移動体とは異なる第2移動体へと通知する現在位置情報通知方法において、
前記第1移動体の位置を時間的に前後して特定し、
当該特定された前記第1移動体の過去位置から現在位置へと移動する際の時間的変化にともなう進入角度に基づいて、当該第1移動体が静止しているか否かを判定し、
前記第1移動体が静止していると判定された場合に、前記通信手段による通信を制御すること
を特徴とする現在位置情報通知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−170432(P2010−170432A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−13607(P2009−13607)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】