説明

生体関連物質試験システム及び生体関連物質試験方法

【課題】 複数のサンプルを短時間で効率良くハイブリダイゼーションさせて、正確に全てのサンプルの試験を行うこと。
【解決手段】 特異的結合物質が固相されるシート部材と、液体又は生体関連物質を含む試験サンプルSを導入可能な導入路とを有する試験片2と、試験サンプルSを試験片2に分注するサンプル分注装置3と、特異的結合物質と生体関連物質とを反応させる反応装置4と、試験片2を洗浄して試験サンプルSを取り除く洗浄装置5と、反応状態を撮影する撮影装置6と、試験片2をサンプル分注装置3、反応装置4、洗浄装置5及び撮影装置6の順に搬送する搬送手段7と、液体又は試験サンプルSを導入路内で流動させる液体流動装置8と備え、各装置をそれぞれ処理時間内で作動させると共に、該処理時間の経過後、搬送手段7を作動させて試験片2を次の装置に搬送させるよう制御する制御部9とを備える生体関連物質試験システム1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DNAの解析や免疫学的解析において、各種のサンプルを解析する生体関連
物質試験システム及び生体関連物質試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
約30億bpという巨大なヒトゲノムの全塩基配列を決定し、それらを解析しようというヒトゲノム計画は、システマティックな塩基配列からシステマティックな機能解析へと焦点が移ってきている。遺伝情報の具体的内容は、いかなるタンパクがいかなる条件で合成されるかという点につきるものであるが、前者、即ち、いかなるタンパクが合成されているかという点については、従来から、ウエスタン・ブロット法、ノーザン・ブロット法やサザン・ブロット法等の解析方法が広く用いられている。
しかしながらこれらの方法は、取り出された特定のタンパクやDNA、RNA等がいかなるものであるかという点については解析できても、細胞から抽出されたすべてのタンパクやDNA、RNAを一度に解析するには必ずしも適さなかった。
【0003】
一方、後者、即ち、タンパクがいかなる条件で合成されるかという点に関しては、転写のレベルで制御されているために、従来の解析方法では充分な解析ができなかった。その最大の原因としては、DNAにおける制御配列と、対応する制御内容の双方のデータとが不足していたためであった。
しかしここにきて、DNAチップやDNAマイクロアレイと呼ばれる、1センチ四方程度の担体表面上に、高密度に任意のオリゴヌクレオチドを固定する技術の進歩によって、遺伝子の発現情報の解析が飛躍的に進歩することが期待されている。
【0004】
DNAチップは、シリコンチップをフォトリソグラフィー技術によって多くの区画に分割し、それぞれの区画上に特定の塩基配列を持った一本鎖DNAを直接合成したものである。また、DNAマイクロアレイは、従来メンブレン上にプロットされたスポットサイズが約300μm、或いは、それ以上であったDNAマクロアレイを、スポットサイズを約200μm、或いは、それ以下にしてスライドグラス上にプロットしたものである。
【0005】
DNAチップやDNAマイクロアレイは、信号読取装置とコンピュータシステムとに接続され、チップ上やマイクロアレイ上に配置されたDNAがどのプローブとハイブリダイズしたかを知ることができるようになっている。そして、DNAチップやDNAマイクロアレイ上に配置されるDNAの種類及びその配置しだいで、遺伝子DNAの変異解析、多型解析、塩基配列解析、発現解析等、様々な用途に用いることが可能なものである。
【0006】
しかしながら、このDNAマイクロアレイ等を用いた解析は、上述したように遺伝子の発現情報の解析が飛躍的に進歩することが期待されているが、その反面、マイクロアレイの作製やその検出装置の議論がなされ始めたばかりであり、まだかなりの問題点を抱えているのが現状である。
例えば、ターゲットである生体高分子は、溶液中の3次元空間を、相補的に結合相手のプローブとしての生体高分子を探し求め、自らのブラウン運動のみによって動き回っている。このブラウン運動中に、たまたま相補的結合相手の近傍に到達すると、そのときはじめてハイブリダイゼーションが可能となる。従って、ターゲットがDNAの場合には、ナノオーダーの大きさのターゲットDNAが相対的に粘性の大きな液中を動き回るために、多大な時間がかかってしまう。このため、結果を得るまでに数時間、或いは、半日以上待たなければならないという問題が生じてしまっていた。
【0007】
そこで、上記問題を解決するために、生体高分子に磁性体を貼付し、これに磁気吸引力を作用させ、溶液中のターゲット生体高分子とプローブ生体高分子との相補的結合を高速化することができるハイブリダイゼーション高速化法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この方法によれば、外部より磁力を与えて磁気吸引力を作用させ、溶液中のターゲットDNAとプローブDNAとの相補的結合を強制的に高速化させるので、ハイブリダイゼーションの高速化を容易に実現することができる。
【特許文献1】特開2003―159057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1等に記載されている方法では、以下のような課題が残されていた。
即ち、ハイブリダイゼーション高速化法によれば、ハイブリダイゼーションの時間を短縮することは可能であるが、一度解析が始まると、ハイブリダイゼーションが完了して解析が終了するまで、次の解析を始めることが出来ないという不都合があった。そのため、複数のサンプルを、連続的に短時間で解析することができず、全てのサンプルを解析するのに多大な時間を要するものであった。
【0009】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数のサンプルを短時間で効率良くハイブリダイゼーションさせて、正確に全てのサンプルの試験を行うことができる生体関連物質試験システム及び生体関連物質試験方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に係る発明は、既知の特異的結合物質が固相されるシート部材と、該シート部材に対して液体又は生体関連物質を含む試験サンプルを導入可能な導入路とを有する試験片と、前記試験サンプルを前記試験片に分注するサンプル分注装置と、前記特異的結合物質と前記生体関連物質とを反応させる反応装置と、前記試験片を洗浄し、反応した前記生体関連物質を除く前記試験サンプルを取り除く洗浄装置と、前記生体関連物質と前記特異的結合物質との反応状態を撮影する撮影装置と、前記試験片を、前記サンプル分注装置、前記反応装置、前記洗浄装置及び前記撮影装置の順に搬送する搬送手段と、前記試験片に導入された前記液体又は前記試験サンプルを前記導入路内で流動させる液体流動装置と備え、前記サンプル分注装置、前記反応装置、前記洗浄装置及び前記撮影装置をそれぞれ処理時間内で作動させると共に、該処理時間の経過後、前記搬送手段を作動させて前記試験片を次の装置に搬送させるよう制御する制御部とを備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0011】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、まず、搬送手段が試験片をサンプル分注装置に搬送し、該サンプル分注装置が試験片に所定の処理時間内で試験サンプルを分注する。この際、分注された試験サンプルは、導入路を通って特異的結合物質が固相されたシート部材に導入される。次いで、搬送手段が試験片を反応装置に搬送し、該反応装置がシート部材に固相された既知の特異的結合物質と試験サンプルとを処理時間内で反応させ、特異的結合物質と生体関連物質とを相補的に結合してハイブリダイゼーションさせる。次いで、搬送手段が試験片を洗浄装置に搬送し、該洗浄装置が試験片を処理時間内で洗浄し、反応した生体関連物質を除く余分な試験サンプルを洗い流して取り除く。次いで、搬送手段が試験片を撮影装置に搬送し、該撮影装置が生体関連物質と特異的結合物質との反応状態を処理時間内で撮影する。この撮影画像を確認することで、特異的結合物質に対する試験サンプルの反応を正確に試験することができる。
【0012】
特に、上述した試験を行う際に、各装置(ユニット)が処理時間内で作動するよう制御部がそれぞれを制御していると共に、処理時間の経過後、試験片を順に搬送させるよう搬送手段を制御している。つまり、試験片は、どの装置で所定の処理が行われても確実に同じ処理時間内で処理がなされ、次の装置に搬送される。
よって、最初の試験サンプルの試験が終了する前に、次の試験サンプルの試験を並行して行うことができる。つまり、最初の試験片に試験サンプルが分注され、サンプル分注装置から反応装置に搬送されたと同時に、2番目の試験片をサンプル分注装置に搬送して、2番目の試験サンプルを分注することができる。そして、2番目の試験片が反応装置に搬送されたと同時に、3番目の試験片をサンプル分注装置に搬送して、3番目の試験サンプルを分注することができる。なお、反応装置(反応ユニット)が1つの場合は、最初の試験片は洗浄装置に搬送されている。
【0013】
このように、各装置は処理時間内で作動して各処理を行うので、次々と新たな試験片を搬送手段により搬送して試験を行うことができる。従って、従来のものとは異なり、複数の試験サンプルを、複数の試験片を利用して短時間で効率良くハイブリダイゼーションさせることができ、確実に全ての試験サンプルについて効率の良い試験を行うことが できる。
なお、各装置(ユニット)は所定の処理時間内であれば、それぞれ異なる時間だけ作動して各処理を行っても構わない。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の生体関連物質試験システムにおいて、単体或いは複数の前記試験片を保管する試験片ストッカーから、該試験片を前記搬送手段に移動させる試験片移動装置を備え、前記制御部が、前記試験片移動装置を前記処理時間内で作動させると共に、前記試験片を試験片移動装置から前記サンプル分注装置に搬送するよう前記搬送手段を制御する生体関連物質試験システムを提供する。
【0015】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、試験片移動装置が所定の処理時間内で試験片ストッカーから試験片を取り出して搬送手段に移動させる。その後、搬送手段は、受け取った試験片をサンプル分注装置に搬送する。このように、試験片は、専用の試験片ストッカーに保管され、試験片移動装置により自動的に次々と取り出されるので、人手を介さずに効率良く試験を行うことができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記サンプル分注装置が、単体或いは複数の前記試験サンプルが導入されるサンプル容器を複数保管するサンプルストッカーを備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0017】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、サンプル分注装置が、単体或いは複数の試験サンプルが導入されるサンプル容器を、複数保管するサンプルストッカーを備えているので、搬送されてくる複数の試験片に対して、効率良く試験サンプルを次々と分注することができる。また、サンプル容器内に各種の試験サンプルを混合させた状態で収納することもできるので、より多角的な試験を行うことができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記サンプルストッカーが、前記試験サンプルの温度を所望する温度に調整する温度調整機構を備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0019】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、サンプルストッカーが温度調整機構を備えているので、試験を行っている際、まだ分注されていない試験サンプルを所望する最適な温度に調整した状態で維持することができる。よって、試験サンプルの品質を保つことができ、試験結果の信頼性が向上する。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記反応装置が、前記試験片の温度を所望する温度に制御する温度制御機構を備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0021】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、反応装置が温度制御機構を備えているので、特異的結合物質と試験サンプル内の生体関連物質とを反応させる際、所望する最適な温度条件下で反応を行わせることができる。よって、正確にハイブリダイゼーションさせることができ、試験結果の信頼性をより向上することができる。
【0022】
請求項6に係る発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記導入路が、前記シート部材に対して前記液体又前記試験サンプルを垂直方向に移動させて導入できるよう形成されている生体関連物質試験システムを提供する。
【0023】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、導入路がシート部材に対して液体又は試験サンプルを垂直方向に移動させるので、シート部材に対してより確実に液体又は試験サンプルを供給することができる。
【0024】
請求項7に係る発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記反応装置が、前記液体流動装置を有しており、前記試験サンプルが前記シート部材を繰り返し通過するように、前記導入路で試験サンプルを流動させながら前記反応を行わせる生体関連物質試験システムを提供する。
【0025】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、特異的結合物質と試験サンプルとの反応を行わせる際に、液体流動装置により試験サンプルがシート部材を繰り返し通過するよう該試験サンプルを流動させるので、シート部材に固相された特異的結合物質と試験サンプルとをより積極的に接触させて反応を促すことができる。その結果、反応がより顕著となり、試験結果の信頼性がさらに向上する。
【0026】
請求項8に係る発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記サンプル分注装置の前段に配され、前記液体を前記試験片に分注すると共に、前記液体流動装置によって前記導入路内で流動した液体の流動状況に基づいて、前記シート部材の良否を判断する判断装置とを備え、前記制御部が、前記判断装置を前記処理時間内で作動させると共に、前記試験片を判断装置から前記サンプル分注装置に搬送するよう前記搬送手段を制御する生体関連物質試験システムを提供する。
【0027】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、試験片がサンプル分注装置に搬送される前に、判断装置がまず試験片の導入路に液体を分注する。分注された液体は、液体流動装置によって導入路内で流動される。この際、判断装置は、液体の流動状況、例えば、流動抵抗等に基づいて、特異的結合物質が固相されたシート部材に傷等の損傷があるか否かの良否を判断する。これにより、損傷等がない良質なシート部材に固相された特異的結合物質のみに対して、試験サンプルを反応させることができる。よって、試験結果の信頼性を維持できると共に、試験サンプルの無駄な消費を防ぐことができる。
また、制御部は、判断装置を処理時間内で作動するよう制御し、判断装置で良否判断が終了した試験片をサンプル分注装置に確実に搬送するよう搬送手段を制御している。よって、複数の試験片を一連の流れの中で次々と良否判断することができる。
【0028】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記液体流動装置が、前記液体が前記シート部材を繰り返し通過するように前記導入路で液体を流動させ、前記判断装置が、前記液体が通過する際の圧力変化又は流速変化のうち、少なくともいずれか一方の変化に基づいて、前記シート部材の良否を判断する生体関連物質試験システムを提供する。
【0029】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、シート部材の良否判断を行う際に、液体流動装置がシート部材を繰り返し通過するように導入路内で液体を流動させる。そして、判断装置は、液体がシート部材を通過する際の圧力変化又は流速変化の少なくとも一方の変化に基づいて良否判断を行う。例えば、シート部材に損傷等がある場合には、シート部材を通過する際の圧力変化又は流速変化は、損傷等がないものに比べて変化が小さい。このように、判断装置は圧力変化又は流速変化のうち、少なくとも一方の変化に基づいて良否判断をするので、より高精度な判断を行うことができる。
【0030】
請求項10に係る発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記撮影装置の後段に配され、前記試験片を前記搬送手段から撤去する撤去装置を備え、前記制御部が、前記撤去装置を前記処理時間内で作動させると共に、前記試験片を前記撮影装置から撤去装置に搬送するよう前記搬送手段を制御する生体関連物質試験システムを提供する。
【0031】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、撤去装置が撮像装置による撮影が終了した試験終了後の不要な試験片を搬送手段から自動的に撤去するので、人手を介さずに試験片の片付けを行うことができ、試験が簡便となる。また、制御部は、撤去装置を処理時間内で作動するよう制御し、撮影が終了した試験片を撤去装置に確実に搬送するよう搬送手段を制御している。よって、複数の試験片を一連の流れの中で次々と効率良く撤去することができる。
【0032】
請求項11に係る発明は、請求項3に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記サンプル容器が、自身の情報が入力されたサンプル情報記録素子を有し、前記サンプル分注装置が、前記サンプル情報記録素子から前記情報を読み取る読取手段を備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0033】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、サンプル容器が、自身の情報、即ち、どのような試験サンプルが収納されているかをサンプル情報記録素子に記録している。そして、サンプル分注装置は、読取手段を有しているので、サンプル容器から試験サンプルを試験片に分注する際に、サンプル情報記録素子から情報を読み取って、分注する試験サンプルがどのようなものであるかを把握できる。よって、予め希望する試験サンプルのみを分注したり、希望する順序で試験サンプルを分注したりすることができ、より試験が簡便になる。
【0034】
請求項12に係る発明は、請求項11に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記試験片が、自身の情報が入力された試験片情報記録素子を有し、前記読取手段が、さらに前記試験片記録情報素子から前記情報を読み取りする生体関連物質試験システムを提供する。
【0035】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、試験片が、シリアルナンバー等の自身の情報を試験片情報記録素子に記録している。そして、サンプル分注装置は、試験サンプルを分注する際に、サンプル容器の情報を読み取ると共に試験サンプルの情報も読み取る。よって、試験片と該試験片に分注した試験サンプルとを対応付けて記憶することができ、後に試験結果を確認するときに正確に組み合わせて結果を判断することができる。よって、検査結果の信頼性が向上すると共に使い易くなる。
また、特定の試験片に対して希望する試験サンプルを正確に分注する等、より多角的な試験も行えるので簡便である。
【0036】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記撮影装置が、前記読取手段と同一の第2の読取手段を備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0037】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、撮影装置が、試験片情報記録素子の情報を読み取りできる第2の読取手段を備えているので、撮影した画像と試験片とを対応付けて記憶することができる。その結果、試験片と撮影画像とを正確に組み合わせることができ、使い易く、試験結果の信頼性が向上する。
【0038】
請求項14に係る発明は、請求項1から13のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記撮影装置が撮影した画像を解析する解析装置を備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0039】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、撮影画像を解析装置により、より詳細に解析できるので、特異的結合物質に対する試験サンプルの反応について、より詳細な解析を行うことができる。
【0040】
請求項15に係る発明は、請求項13に記載の生体関連物質試験システムにおいて、前記撮影装置が撮影した画像を解析する解析装置を備え、前記制御部が、前記解析装置による解析結果を、前記読取手段で読み取った前記試験片の情報又は前記サンプル容器の情報のうち、少なくともいずれか一方の情報と対応させる生体関連物質試験システムを提供する。
【0041】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、解析装置による解析結果を、試験片の情報又はサンプル容器の情報のうち少なくとも一方の情報と対応付けできるので、解析結果が少なくともどの試験片又は試験サンプルに対するものなのか一目で判断できる。よって、解析し易く、解析結果の信頼性が向上する。
【0042】
請求項16に係る発明は、請求項1から15のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、各構成品のうち、少なくとも前記サンプル分注装置、前記反応装置、前記洗浄装置及び前記撮影装置をそれぞれ任意の個数備えている生体関連物質試験システムを提供する。
【0043】
この発明に係る生体関連物質試験システムにおいては、少なくともサンプル分注装置、反応装置、洗浄装置及び撮影装置を複数備えているので、必要に応じて適時各処理を複数回行うことができ、設計の自由度が向上する。
【0044】
請求項17に係る発明は、請求項1から16のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムを用いて、複数の前記試験サンプルを、複数の前記試験片を用いて順次試験する生体関連物質試験方法を提供する。
【0045】
この発明に係る生体関連物質試験方法においては、各装置が同じ処理時間内で作動して各処理を行うので、次々と新たな試験片を搬送手段により搬送して試験を行うことができる。従って、複数の試験サンプルを、複数の試験片を用いて短時間で効率良くハイブリダイゼーションさせることができ、正確に全ての試験サンプルについて効率良く試験することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明に係る生体関連物質試験システム及び生体関連物質試験方法によれば、各装置が同じ処理時間内で作動して各処理を行うので、複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて短時間で効率良くハイブリダイゼーションさせることができ、正確に全ての試験サンプルについて効率良く試験することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明に係る生体関連物質試験システム及び生体関連物質試験方法の第1実施形態について、図1から図13を参照して説明する。
本実施形態の生体関連物質試験システム1は、図1及び図2に示すように、既知の特異的結合物質である図示しない核酸プローブが固相されるナイロンフィルタ(シート部材)20と、該ナイロンフィルタ20に対してバッファー(3xSSPE)(液体)B、又は、核酸プローブと相補的に結合する蛍光試料で標識された図示しないオリゴヌクレオチドDNA(生体関連物質)を含む試験サンプルSを導入可能な導入路21とを有する試験片2と、試験サンプルSを試験片2に分注するサンプル分注装置3と、核酸プローブとオリゴヌクレオチドDNAとを反応させる反応装置4と、試験片2を洗浄し、反応したオリゴヌクレオチドDNAを除く試験サンプルSを取り除く洗浄装置5と、オリゴヌクレオチドDNAと核酸プローブとの反応状態を撮影する撮影装置6と、試験片2を、上述したサンプル分注装置3、反応装置4、洗浄装置5及び撮影装置6の順に搬送する環状のターンテーブル(搬送手段)7と、試験片2に導入されたバッファーB又は試験サンプルSを試験片2の導入路21内で流動させる液体流動装置8と、これら各装置を総合的に制御するPC(パーソナルコンピュータ)(制御部)9とを備えている。
【0048】
また、本実施形態の生体関連物質試験システム1は、サンプル分注装置3の前段に配され、バッファーBを試験片2に分注すると共に、液体流動装置8によって導入路21内で流動したバッファーBの流動状況、即ち、バッファーBの圧力変化に基づいて、ナイロンフィルタ20の良否を判断する液体駆動確認装置(判断装置)10と、該液体駆動確認装置10の前段に配され、単体或いは複数の試験片2を保管する試験片ストッカー11から試験片2をターンテーブル7に移動させる試験片移動装置12と、撮影装置6の後段に配され、試験片2をターンテーブル7から撤去する撤去装置13とを備えている。
また、これら各装置は、ターンテーブル7の周囲に略均等配置されている。また、本実施形態において反応装置4は、サンプル分注装置3と洗浄装置5との間に隣接して6つ配置されている。
【0049】
上記試験片2は、図2に示すように、上部試験片ブロック22と、下部試験片ブロック23と、上記ナイロンフィルタ20とが一体的に組み合わさって直方体状に構成されており、ナイロンフィルタ20が上部試験片ブロック22と下部試験片ブロック23との間に接着剤24を介して接着固定されている。これにより、ナイロンフィルタ20の上部と下部との間における水密性が確保されている。また、ナイロンフィルタ20には、両試験片ブロック22、23で挟まれていない所定の位置に、インクジェットプリンターを用いて100種類の核酸プローブが固相されている。
また、上部試験片ブロック22には、開口部22aが形成されており、該開口部22aとナイロンフィルタ20とで囲まれた領域が上部貯液部25となっている。つまり、この上部貯液部25にバッファーBや試験サンプルSを貯液できるようになっている。
【0050】
また、下部試験片ブロック23にも同様に、開口部23aが形成されており、該開口部23aとナイロンフィルタ20とで囲まれた領域が下部貯液部26となっている。また、下部試験片ブロック23には、上面に開口部23bを有する流路23cが形成されており、その一端が下部貯液部26に連通されている。
【0051】
これにより、上部貯液部25に、例えば、バッファーBを貯液した状態で、開口部23bを利用してナイロンフィルタ20を減圧状態にすると、バッファーBはナイロンフィルタ20を通過して下部貯液部26に移動する。逆に、開口部23bを利用してナイロンフィルタ20を加圧状態にすると、バッファーBは再度ナイロンフィルタ20を通過して上部貯液部25に移動するようになっている。即ち、上部貯液部25及び下部貯液部26は、ナイロンフィルタ20に対してバッファーB又は試験サンプルSを導入可能な上記導入路21として機能する。また、この導入路21は、ナイロンフィルタ20に対してバッファーB又は試験サンプルSを垂直方向Zに移動させて導入できるように形成されている。
【0052】
また、試験片2には、ターンテーブル7で移動する時に外側に向かう側、即ち、液体駆動確認装置10やサンプル分注装置3等に対向する側の底面に、自身の情報であるシリアルナンバーが記録されたバーコード(試験片情報記録素子)27が貼付されている。なお、バーコード27は、試験片2の底面に貼付される場合に限られるものではない。但し、後述するバーコードリーダー33によって容易に読み取りを行うことができるので、底面に貼付することが好ましい。
このように構成された試験片2は、図1に示すように、試験片ストッカー11に複数装填され、試験片移動装置12により1個毎取り出されてターンテーブル7に移動されるようになっている。
【0053】
このターンテーブル7は、上面に1個或いは複数個の試験片2を載置した状態で回転軸Xを中心として半時計回りに回転するようになっており、回転速度や回転タイミング等がPC9によって制御されている。これについては、後に詳細に説明する。
【0054】
上記液体流動装置8は、ターンテーブル7の中心に設けられた本体部8aと、該本体部8aから液体流動装置8、6個の反応装置4及び洗浄装置5に向けてそれぞれ伸びたアーム部8bとを備えている。このアーム部8bは、ターンテーブル7の移動によって移動してきた試験片2の開口部23bの真上に接するように設けられている。そして、試験片2が移動してきたときに、開口部23bを利用してナイロンフィルタ20を繰り返し減圧又は加圧状態にして、バッファーB又は試験サンプルSがナイロンフィルタ20を繰り返し通過するように、導入路21内で流動させることができるようになっている。
なお、アーム部8bは、ナイロンフィルタ20を繰り返し通過させる際に、バッファーBの圧力を測定する図示しない測定部を有している。
【0055】
上記液体駆動確認装置10は、試験片移動装置12の後段で液体流動装置8のアーム部8bに対向する位置に配されており、バッファーBを保管する液体保管部10aと、試験片2が移動してきたときに上部貯液部25の上方に位置するアーム部10bとを備えている。そして、液体駆動確認装置10は、アーム部10bを介して液体保管部10aに保管されているバッファーBを上部貯液部25に所定量分注できるようになっている。更に、アーム部10bには、図示しないピペッティングが設けられており、必要時に分注したバッファーBを上部貯液部25から吸引して、図示しない廃液タンクに排出することができるようになっている。
また、この液体駆動確認装置10は、分注したバッファーBが上述した液体流動装置8によってナイロンフィルタ20を繰り返し通過する際に、アーム部8bで測定された測定結果を予め設定された閾値と比較して、ナイロンフィルタ20の良否を判断する判断部10cを備えている。
【0056】
上記判断部10cには、閾値として3つの圧力値が予め入力されている。即ち、破れていない良質なナイロンフィルタ20をバッファーBが通過する時の圧力値と、破れている不良なナイロンフィルタ20を通過する時の圧力値と、目詰まりしている不良なナイロンフィルタ20によりバッファーBが通過しない時の圧力値がそれぞれ入力されている。そして、判断部10cは、測定部10cで測定された圧力値を、これら3つの圧力値と比較することで、ナイロンフィルタ20の良否判断を行い、その良否結果をPC9に出力している。
【0057】
上記サンプル分注装置3は、図1及び図3に示すように、液体駆動確認装置10の後段に配され、単体或いは複数の試験サンプルSが導入されるサンプル容器30を複数保管するサンプルストッカー31と、試験片2が位置したときに、上部貯液部25の上方に位置してサンプル容器30に保管された試験サンプルSを分注するアーム部3aとを備えている。
また、各サンプル容器30には、底面に自身の情報、即ち、試験サンプルSの来歴情報が記録されたバーコード(サンプル情報記録素子)32が貼付されている。また、上記サンプルストッカー31は、複数のサンプル容器30内に保管されている試験サンプルSを、所望する温度に調整する図示しない温度調整機構を有している。本実施形態では、温度調整機構によって試験サンプルSを4℃で保管するよう調整されている。
【0058】
また、サンプルストッカー31は、各サンプル容器30の底面に貼付されたバーコード32から試験サンプルSの来歴情報を読み取るバーコードリーダー(読取手段)33を有している。このバーコードリーダー33は、サンプル容器30の下方を自在に移動できるよう設けられており、サンプル容器30が全てサンプルストッカー31に装填されたときに移動し始め、各バーコード32から全ての試験サンプルSの来歴情報を読み取ると共に、該来歴情報とサンプル容器30の装填位置とを関連付けてPC9に出力するようになっている。
また、このバーコードリーダー33は、試験片2が移動してきたときに、底面に貼付されたバーコード27を読み取って、記録された試験片2のシリアルナンバーも同時にPC9に出力するようになっている。
【0059】
反応装置4は、サンプル分注装置3の後段に連続して6個隣接配置されており、それぞれ液体流動装置8のアーム部8bを有しており、ナイロンフィルタ20の減圧及び加圧を10回、即ち、試験サンプルSがナイロンフィルタ20を繰り返し20回通過するように、導入路21で試験サンプルSを流動させながら反応を行わせている。
また、反応装置4は、反応を行わせているときに、試験片2の温度を所望する温度に制御する図示しない温度制御機構を備えている。本実施形態では、温度制御機構によって試験片2を42℃に維持している。
【0060】
上記洗浄装置5は、反応装置4の後段で液体流動装置8のアーム部8bに対向する位置に配されており、洗浄液として使用するバッファーBを保管する液体保管部5aと、試験片2が移動してきたときに上部貯液部25の上方に位置するアーム部5bとを備えており、該アーム部5bを介して液体保管部5aに保管されているバッファーBを上部貯液部25に所定量分注できるようになっている。更に、アーム部5bには、図示しないピペッティングが設けられており、上部貯液部25に貯液されているバッファーBや試験サンプルSを吸引除去できるようになっている。
この洗浄装置5は、液体流動装置8と連動して作動することで、反応したオリゴヌクレオチドDNAを除く試験サンプルSを取り除く除去を行う。この洗浄方法については、後に詳細に説明する。
【0061】
上記撮影装置6は、上部貯液部25を介してナイロンフィルタ20の表面に励起光を照射すると共に該励起光により励起された蛍光を撮影し、撮影画像をPC9に出力している。また、撮影装置6は、上述したバーコードリーダー33と同一の機能を有するバーコードリーダー(第2の読取手段)6aを備えており、試験片2の底面に貼付されたバーコード27からシリアルナンバーを読み取って、撮影画像に関連付けてPC9に出力している。
【0062】
上記撤去装置13は、撮影装置6の後段に配され、撮影が終了したターンテーブル7上の試験片2を撤去すると共に、ターンテーブル7の外部に設置された試験済み試験片ストッカー34に移動させる。
【0063】
上記PC9は、上述した試験片移動装置12、液体駆動確認装置10、サンプル分注装置3、各反応装置4、洗浄装置5、撮影装置6及び撤去装置13を、それぞれ同じ処理時間内で作動させるように各装置の制御を行っている。
なお、本実施形態では、処理時間を6分間として説明する。また、各装置は同じ処理時間(6分間)内であれば、それぞれ異なる時間だけ作動して各処理を行っても構わない。但し、以下の説明においては、各装置がそれぞれ6分間の間作動するものとして説明する。
【0064】
また、PC9は、処理時間である6分が経過した後、ターンテーブル7を回転させて、試験片2を試験片移動装置12、液体駆動確認装置10、サンプル分注装置3、各反応装置4、洗浄装置5、撮影装置6及び撤去装置13の順に次々搬送するようにターンテーブル7の制御を行っている。
更に、PC9は、撮影装置6が撮影した撮影画像を解析する解析装置35を備えており、解析結果と試験片2のシリアルナンバーとを対応させて記憶するようになっている。
【0065】
このように構成された生体関連物質試験システム1により、複数の試験サンプルSを、複数の試験片2を用いて順次試験する生体由来試験方法について、図4から図13を参照しながら以下に説明する。
まず、試験を行う前の試験準備を行う。即ち、試験片ストッカー11にシリアルナンバーが記録されたバーコード27が貼付された試験片2を複数装填すると共に、サンプルストッカー31に各種の試験サンプルSが収納された複数のサンプル容器30を装填する。この際、サンプルストッカー31には、温度調整機構が設けられているので、試験サンプルSは最適な4℃に調整された状態で保管される。また、全てのサンプル容器30が装填された後に、バーコードリーダー33が動き出し、サンプル容器30の底面に貼付されたバーコード32を読み取って、試験サンプルSの来歴情報をサンプル容器30の位置に関連付けてPC9に出力する。次いで、液体駆動確認装置10及び洗浄装置5の液体保管部10a、5aに、それぞれバッファーBを注入する。
なお、本実施形態では、試験片ストッカー11に14枚の試験片2を、シリアルナンバー「001」から順に取り出せるように装填した場合を例にして説明する。
【0066】
上述した試験準備が終了した後、試験を開始する。まず、PC9には、サンプルストッカー31のバーコードリーダー33から試験サンプルSの来歴情報と、この試験サンプルSを有するサンプル容器30の位置とが送られてきている。作業者は、これらの情報を確認した後、試験サンプルSの試験順番を入力する。そして、試験順番を入力した後、各装置を作動させる。
【0067】
作動開始を受けて、最初の6分間だけ各装置がウーミングアップする。つまり、図4に示すように、全ての試験片2は試験片ストッカー11に装填された状態である。そして、6分経過した後、図5に示すように、試験片移動装置12が試験片ストッカー11よりシリアルナンバー「001」の試験片2を1個取り出してターンテーブル7に移動させる。この際、試験片移動装置12は、図4に示すように、PC9による制御を受けて6分間の処理時間をかけて試験片2の移動を行う。そして、作業開始からの時間が12分を経過した後、ターンテーブル7は、回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を液体駆動確認装置10に搬送する。
【0068】
液体駆動確認装置10は、図6に示すように、試験片2が移動してくると、アーム部10bを利用して液体保管部10aから50μlのバッファーBを、試験片2の上部貯液部25に分注する。分注後、液体流動装置8が、試験片2の開口部23bを利用してナイロンフィルタ20を減圧状態にする。これにより、上部貯液部25に分注されたバッファーBは、ナイロンフィルタ20を通過して下部貯液部26に移動して導入路21内を流動する。液体駆動確認装置10は、この流動時のバッファーBの圧力変化を、測定部を有したアーム部8bで測定する。そして、判断部10cは、測定部を有したアーム部8bによる測定結果と、予め設定された3つの閾値である圧力値とを比較して、ナイロンフィルタ20に破れや目詰まり等があるか否かの良否判断を行う。
【0069】
その結果、破れや目詰まり等がない良質(適正)なナイロンフィルタ20であると判断した場合には、液体流動装置8は開口部23bを利用してナイロンフィルタ20を加圧状態にし、バッファーBを上部貯液部25に移動させる。そして、ピペッティングにより上部貯液部25のバッファーBを吸引すると共に廃液タンクに排出する。
なお、バッファーBを除去せずに、次の工程に移り、適切な濃度になるように試験サンプルSを分注してハイブリダイゼーションを行うことも可能である。
【0070】
一方、破れや目詰まり等がある不良なナイロンフィルタ20であると判断した場合には、該試験片2に対して各装置によるこれ以降の作業を行わせないようにする。つまり、試験片2は、これ以降単にターンテーブル7上に載置されて移動するだけの扱いとされる。これにより、無駄な試験サンプルSの消費を防ぐことができる。
そして、液体駆動確認装置10は、図4に示すように、PC9による制御を受けて、上述したナイロンフィルタ20の良否判断を6分間の処理時間をかけて行う。そして、作業開始からの時間が18分を経過した後、ターンテーブル7は、回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2をサンプル分注装置3に搬送する。
【0071】
サンプル分注装置3は、図7に示すように、試験片2が移動してくると、予めPC9に入力された試験順番にしたがってサンプル容器30を選択する。この際、入力した試験順番にしたがってサンプルストッカー31にサンプル容器30を装填し、順次サンプル容器30を選択する方法と、試験準備のときにバーコード32が読み取った試験サンプルSの情報に基づいて、サンプル容器30を選択する方法とがある。
いずれの選択方法にしても、サンプル分注装置3は、選択したサンプル容器30から50μlの試験サンプルSを試験片2の上部貯液部25に分注する。この際、バーコードリーダー33は、試験片2の底面に貼付されたバーコード27からシリアルナンバー(この場合には「001」)を読み取ると共に、分注したサンプル容器30の来歴情報とサンプル容器30の位置とを読み取り、シリアルナンバーとあわせてPC9に出力する。これにより、PC9は、試験片2と試験サンプルSとを正確に組み合わせることができ、また、この組み合わせの情報を保存する。
【0072】
なお、サンプル分注装置3は、図4に示すように、PC9による制御を受けて、上述した試験サンプルSの分注を6分の処理時間をかけて行う。そして、作業開始からの時間が24分を経過した後、ターンテーブル7は回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を最初の反応装置4に搬送する。
【0073】
反応装置4は、図8に示すように、試験片2が移動してくると、まず、温度制御装置により該試験片2の温度を最適な42℃に維持する。次いで、液体流動装置8が、試験片2の開口部23bを利用してナイロンフィルタ20を減圧及び加圧状態にさせる。これにより、上部貯液部25に貯液された試験サンプルSは、ナイロンフィルタ20を通過して下部貯液部26に移動した後、再度ナイロンフィルタ20を通過して上部貯液部25に移動する。液体流動装置8は、導入路21を利用してこの試験サンプルSの移動作業を10回繰り返し行う。これにより、試験サンプルSはナイロンフィルタ20を20回繰り返し通過する。
このように反応装置4は、ナイロンフィルタ20の通過を複数回行わせながら、試験サンプルSに含まれるオリゴヌクレオチドDNAと、ナイロンフィルタ20に固相された核酸プローブとを相補的に結合させるハイブリダイゼーションを行う。
【0074】
なお、反応装置4は、図4に示すように、PC9による制御を受けて、上述したハイブリダイゼーションを6分間の処理時間をかけて行う。そして、作業開始からの時間が30分を経過した後、ターンテーブル7は回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を2番目の反応装置4に搬送する。
2番目の反応装置4は、上述した最初の反応装置4と同じ動作をしてハイブリダイゼーションを行う。そして、作業開始からの時間が36分経過した後、ターンテーブル7は回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を3番目の反応装置4に搬送する。3番目から6番目の反応装置4も同様に、最初の反応装置4と同じ動作をしてハイブリダイゼーションを行う。
その結果、試験片2は、図9に示すように6番の反応装置4での処理が終了した時点で、減圧、加圧の繰り返しを合計で60回され、試験サンプルSはナイロンフィルタ20を合計120回通過することになる。
【0075】
そして、作業開始からの時間が60分を経過した後、ターンテーブル7は回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を6番目の反応装置4から洗浄装置5に搬送する。
洗浄装置5は、図10に示すように、試験片2が移動してくると、まず、上部貯液部25に貯液されている試験サンプルSをピペッティングにより吸引除去すると共に、アーム部5bを利用して液体保管部5aから50μlのバッファーBを上部貯液部25に分注する。分注後、液体流動装置8が試験片2の開口部23bを利用して、ナイロンフィルタ20を減圧及び加圧状態にさせる。これにより、上部貯液部25に貯液されたバッファーBは、ナイロンフィルタ20を通過して下部貯液部26に移動した後、再度ナイロンフィルタ20を通過して上部貯液部25に移動する。液体流動装置8は、このバッファーBの移動を導入路21を利用して5回繰り返し行う。その後、洗浄装置5は、上部貯液部25に貯液されているバッファーBをピペッティングにより吸引除去する。
その結果、核酸プローブと結合しなかったオリゴヌクレオチドDNAを含む試験サンプルSを、試験片2から除去することができる。
【0076】
なお、洗浄装置5は、図4に示すように、PC9による制御を受けて、上述した試験片2の洗浄を6分間の処理時間をかけて行う。そして、作業開始からの時間が66分を経過した後、ターンテーブル7は回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を撮影装置6に搬送する。
撮影装置6は、図11に示すように、試験片2が送られてくると、上部貯液部25を介してナイロンフィルタ20の表面に励起光を照射する。ここで、ナイロンフィルタ20に固相された核酸プローブに相補的に結合したオリゴヌクレオチドDNAは、蛍光試料で標識されているので、照射された励起光により励起されて蛍光を発する。撮影装置6は、この蛍光を撮影することで、試験結果画像を取得する。また、この際、撮影装置6は、バーコードリーダー6aにより試験片2の底面に貼付されたバーコード27からシリアルナンバー(この場合には「001」)を読み取って、取得した撮影画像と試験片2のシリアルナンバーとを関連付けてPC9に出力する。
【0077】
なお、撮影装置6は、図4に示すように、PC9による制御を受けて、上述した撮影を6分間の処理時間をかけて行う。そして、作業開始からの時間が72分を経過した後、ターンテーブル7は回転軸Xを中心として半時計回りに回転して、試験片2を撤去装置13に搬送する。
撤去装置13は、図12及び図13に示すように、試験片2が移動してくると、ターンテーブル7から試験片2を撤去すると共に、該試験片2を試験済み試験片ストッカー34へ移動する。
なお、撤去装置13は、図4に示すように、PC9による制御を受けて、上述した試験片2の撤去を6分間の処理時間をかけて行う。つまり、試験片2は試験開始から72分後に試験が終了されて試験済み試験片ストッカー34に回収される。
【0078】
ここで、PC9は、撮影装置6から送られてきた撮影画像を解析装置35により解析する。そして、解析結果と試験片2のシリアルナンバーとを対応させて記憶する。また、PC9には、上述したようにサンプル分注装置3から、試験サンプルSの来歴情報とサンプル容器30の位置と試験片2のシリアルナンバーとが関連付けられて送られてきている。その結果、作業者は、試験結果を解析する際に、使用した試験片2と、該試験片2に分注した試験サンプルSと、試験片2に対応した解析結果とを正確に組み合わせることができる。よって、試験サンプルSを高精度に解析することができ、試験結果の信頼性が向上する。
【0079】
特に、本実施形態の生体関連物質試験システム1及び生体関連物質試験方法においては、上述した試験中、各装置が同じ処理時間である6分間だけ作動するようにPC9が制御していると共に、処理時間(6分間)の経過後、試験片2を順に搬送するようにターンテーブル7の制御を行っている。つまり、試験片2は、どの装置で所定の処理が行われても確実に6分間で処理が完了され、その後次の装置に搬送される。
よって、最初の試験サンプルSの試験が終了する前に、次の試験サンプルSの試験を並行して行うことができる。つまり、図4及び図6に示すように、最初の試験片2(シリアルナンバー「001」)が試験片移動装置12から液体駆動確認装置10に搬送されたと同時に、2番目の試験片2(シリアルナンバー「002」)をターンテーブル7に搬送して試験を行うことができる。また、同様に図7に示すように、2番目の試験片2が試験片移動装置12から液体駆動確認装置10に搬送された同時に、3番目の試験片2(シリアルナンバー「003」)をターンテーブル7に搬送して試験を行うことができる。そして、最終的に14番目の試験片2(シリアルナンバー「014」)がターンテーブル7によって搬送されて試験が行われる。
【0080】
このように、各装置は同じ処理時間で作動して各処理を行うので、次々と新たな試験片2を6分毎に搬送して試験を行うことができる。つまり、図4に示すように、最初の試験片2がターンテーブル7に移動してから72分後に該試験片2の試験が終了し、その後6分毎に連続して2個目以降の試験片2の試験を終了することができる。
従って、従来のものとは異なり、複数の試験サンプルSを複数(14個)の試験片2を利用して短時間で効率良くハイブリダイゼーションさせることができ、正確に全ての試験サンプルSについて効率良く試験することができる。
【0081】
また、生体関連物質試験システム1は、試験片移動装置12及び撤去装置13を備えているので、人手を介さずに一連の流れの中で、試験片2をターンテーブル7に次々と載置したり、試験片2をターンテーブル7から撤去したりでき、効率良く試験を行え、試験が簡便になる。
【0082】
また、サンプル分注装置3がサンプルストッカー31を備えているので、次々と搬送されてくる試験片2に対して、効率良く試験サンプルSを分注できる。また、サンプル容器30内に各種の試験サンプルSを混合させた状態で収納することもでき、より多角的な試験を行うことができる。
特に、サンプルストッカー31は、温度調整機構を有しているので、まだ分注されていない試験サンプルSを最適な4℃に維持できる。よって、試験サンプルSの品質を保つことができ、試験結果の信頼性を向上できる。
【0083】
また、反応装置4は、ハイブリダイゼーションを行わせる際に、液体流動装置8により試験サンプルSがナイロンフィルタ20を繰り返し通過するよう試験サンプルSを導入路21内で流動させるので、核酸プローブとオリゴヌクレオチドDNAとをより積極的に接触させて反応を促すことができる。よって、反応がより顕著となり、試験結果の信頼性がさらに向上する。
この際、反応装置4は温度制御機構により、試験片2の温度を最適な42℃に維持でき、この温度条件下で反応を行わせることができる。よって、ハイブリダイゼーションを確実にでき、試験結果の信頼性が向上する。
【0084】
また、試験片2がサンプル分注装置3に搬送される前に、液体駆動確認装置10がバッファーBの流動状況、即ち、ナイロンフィルタ20を通過するときの圧力変化に基づいて、ナイロンフィルタ20の良否を判断するので、不良のナイロンフィルタ20にまで試験サンプルSを分注してしまうことを防止できる。よって、試験サンプルSの無駄な消費を抑えることができると共に、試験結果の信頼性をより向上することができる。また、ナイロンフィルタ20の圧力変化を測定する際に、ナイロンフィルタ20を所定回数通過するようにバッファーBを導入路21内で流動させるので、ナイロンフィルタ20の良否判断を高精度に判断することができる。
【0085】
特に、試験片2の上部貯液部25及び下部貯液部26で形成される導入路21は、バッファーB及び試験サンプルSを垂直方向Zに移動させるよう形成されているので、ナイロンフィルタ20の良否判断時やハイブリダイゼーション時において、バッファーB及び試験サンプルSを流動させ易く、確実にナイロンフィルタ20に導くことができる。このことからも、試験結果の信頼性を向上することができる。
【0086】
また、サンプル容器30及び試験片2には、それぞれ自身の情報が記録されたバーコード27、32が貼付されていると共に、サンプルストッカー31及び撮影装置6は、それぞれバーコード27、32に記録された情報を読み取るバーコードリーダー33、6aを有しているので、PC9が試験結果を解析する際に、使用した試験片2と、該試験片2の分注した試験サンプルSと、その反応結果である撮影画像又は解析結果とを正確に組み合わせることができる。よって、より正確な試験結果を導き出すことができると共に、試験がより簡便になる。
【0087】
次に、本発明に係る生体関連物質試験システムの第2実施形態を、図14を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態の生体関連物質試験システム1では、サンプルストッカー31に装填されたサンプル容器30を予め決められた順番で最後まで試験するものであったのに対し、第2実施形態の生体関連物質試験システム40では、試験を開始した後、途中で幾つかの試験サンプルS’を追加試験できる点である。
【0088】
即ち、本実施形態の生体関連物質試験システム40は、サンプルストッカー31に隣接して追加のサンプル容器30’を装填できる追加サンプルストッカー41を備えている。
そして、作業者は、試験を行っている途中で追加試験を希望する場合には、追加サンプルストッカー41に新たなサンプル容器30’を装填し、装填後、PC9に追加した試験サンプルS’をどのタイミングで試験するのかを入力する。PC9は、この入力された情報に基づいて、サンプル分注装置3を制御し、該サンプル分注装置3は新たに入力された試験順番にしたがって追加されたサンプル容器30’を選択する。
この際、追加されたサンプル容器30’の底面に貼付されたバーコード32、或いは、追加サンプルストッカー41に装填されたサンプル容器30’の位置から、希望するサンプル容器30’を選択する。
【0089】
これにより、試験の途中で新たに追加された試験サンプルS’の試験を適時行うことができる。よって、より多角的な試験を行うことができると共に、使い易くより簡便になる。また、その他は、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0090】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0091】
例えば、上記各実施形態では、核酸プローブをナイロンフィルタに固相した試験片を採用したが、ナイロンフィルタに限られるものではない。例えば、一般的なスライドガラス(シート部材)に核酸プローブを固相した試験片を採用しても構わない。この場合にも、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、各実施形態では、反応装置を6つ設けた構成にしたが、6つに限られるものではない。また、反応装置以外の装置を、複数備えた構成にしても構わない。
【0092】
また、洗浄装置は、洗浄液としてバッファーを用いたが、バッファー以外のものを用いて、例えば、酵素反応によるハイブリダイゼーション結果の増感を行うことも可能である。この場合には、洗浄装置の液体保管部に洗浄液と増感用の酵素溶液を注入すれば良い。
また、試験サンプルの圧力変化を測定することでナイロンフィルタの良否判断を行うよう液体駆動確認装置を構成したが、圧力変化に限定されず、例えば、試験サンプルの流量や流速変化を測定することでナイロンフィルタの良否判断を行うように構成しても構わない。
また、上記各実施形態では、情報記録素子としてバーコードを利用したが、バーコードに限られるものではない。例えば、ICタグ等を用いても構わない。
【0093】
また、各実施形態では、各装置をターンテーブルの周囲に配置し、該ターンテーブルにより試験片2を回転軸X回りに円周移動させて各装置に搬送した構成にしたが、例えば、図15に示すように、一方向Yに試験片2を移動させるコンベア51を搬送手段とし、該コンベア51の移動方向(Y方向)に沿って各装置を順に配置して生体関連物質試験システム50を構成しても構わない。この場合においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る生体関連物質試験システムの第1実施形態の構成図である。
【図2】図1に示す生体関連物質試験システムの試験片の断面図である。
【図3】図1に示す生体関連物質試験システムのサンプル分注装置の試験片ストッカーに装填されたサンプル容器とバーコードリーダーとの関係を示す断面図である。
【図4】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する際の、試験経過時間と試験片の位置関係との関係を示した図である。
【図5】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、試験片移動装置により試験片ストッカーからターンテーブルに試験片を移動させた状態を示す図である。
【図6】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図5に示す状態からターンテーブルを、回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片を液体駆動確認装置に搬送した状態を示す図である。
【図7】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図6に示す状態からターンテーブルを、回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片をサンプル分注装置に搬送した状態を示す図である。
【図8】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図7に示す状態からターンテーブルを、回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片を最初の反応装置に搬送した状態を示す図である。
【図9】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図8に示す状態からターンテーブルを、回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片を最後の反応装置に搬送した状態を示す図である。
【図10】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図9に示す状態からターンテーブルを、回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片を洗浄装置に搬送した状態を示す図である。
【図11】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図10に示す状態からターンテーブルを回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片を撮影装置に搬送した状態を示す図である。
【図12】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図11に示す状態からターンテーブルを回転軸を中心に半時計回りに回転させ、試験片を撤去装置に搬送した状態を示す図である。
【図13】図1に示す生体関連物質試験システムにより複数の試験サンプルを複数の試験片を用いて試験する生体関連物質試験方法の各工程を示す図であって、図12に示す状態から撤去装置により試験片を試験済み試験片ストッカーに搬送した状態を示す図である。
【図14】本発明に係る生体関連物質試験システムの第2実施形態の構成図である。
【図15】図1に示す生体関連物質試験システムの変形例を示す図であって、一方向(S)に試験片を移動させて、各装置に該試験片を搬送する生体関連物質試験システムの構成図である。
【符号の説明】
【0095】
B バッファー(液体)
S 試験サンプル
1、40、50 生体関連物質試験システム
2 試験片
3 サンプル分注装置
4 反応装置
5 洗浄装置
6 撮影装置
6a バーコードリーダー(第2の読取手段)
7 ターンテーブル(搬送手段)
8 液体流動装置
9 PC(制御部)
10 液体駆動確認装置(判断装置)
11 試験片ストッカー
12 試験片移動装置
13 撤去装置
20 ナイロンフィルタ(シート部材)
21 導入路
27 バーコード(試験片情報記録素子)
30 サンプル容器
31、41 サンプルストッカー
32 バーコード(サンプル情報記録素子)
33 バーコードリーダー(読取手段)
34 試験済み試験片ストッカー
35 解析装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知の特異的結合物質が固相されるシート部材と、該シート部材に対して液体又は生体関連物質を含む試験サンプルを導入可能な導入路とを有する試験片と、
前記試験サンプルを前記試験片に分注するサンプル分注装置と、
前記特異的結合物質と前記生体関連物質とを反応させる反応装置と、
前記試験片を洗浄し、反応した前記生体関連物質を除く前記試験サンプルを取り除く洗浄装置と、
前記生体関連物質と前記特異的結合物質との反応状態を撮影する撮影装置と、
前記試験片を、前記サンプル分注装置、前記反応装置、前記洗浄装置及び前記撮影装置の順に搬送する搬送手段と、
前記試験片に導入された前記液体又は前記試験サンプルを前記導入路内で流動させる液体流動装置と備え、
前記サンプル分注装置、前記反応装置、前記洗浄装置及び前記撮影装置をそれぞれ処理時間内で作動させると共に、該処理時間の経過後、前記搬送手段を作動させて前記試験片を次の装置に搬送させるよう制御する制御部とを備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
単体或いは複数の前記試験片を保管する試験片ストッカーから、該試験片を前記搬送手段に移動させる試験片移動装置を備え、
前記制御部は、前記試験片移動装置を前記処理時間内で作動させると共に、前記試験片を試験片移動装置から前記サンプル分注装置に搬送するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記サンプル分注装置は、単体或いは複数の前記試験サンプルが導入されるサンプル容器を複数保管するサンプルストッカーを備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記サンプルストッカーは、前記試験サンプルの温度を所望する温度に調整する温度調整機構を備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記反応装置は、前記試験片の温度を所望する温度に制御する温度制御機構を備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記導入路は、前記シート部材に対して前記液体又前記試験サンプルを垂直方向に移動させて導入できるよう形成されていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記反応装置は、前記液体流動装置を有しており、前記試験サンプルが前記シート部材を繰り返し通過するように、前記導入路で試験サンプルを流動させながら前記反応を行わせることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記サンプル分注装置の前段に配され、前記液体を前記試験片に分注すると共に、前記液体流動装置によって前記導入路内で流動した液体の流動状況に基づいて、前記シート部材の良否を判断する判断装置とを備え、
前記制御部は、前記判断装置を前記処理時間内で作動させると共に、前記試験片を判断装置から前記サンプル分注装置に搬送するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項9】
請求項8に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記液体流動装置は、前記液体が前記シート部材を繰り返し通過するように前記導入路で液体を流動させ、
前記判断装置は、前記液体が通過する際の圧力変化又は流速変化のうち、少なくともいずれか一方の変化に基づいて、前記シート部材の良否を判断することを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記撮影装置の後段に配され、前記試験片を前記搬送手段から撤去する撤去装置を備え、
前記制御部は、前記撤去装置を前記処理時間内で作動させると共に、前記試験片を前記撮影装置から撤去装置に搬送するよう前記搬送手段を制御することを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項11】
請求項3に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記サンプル容器は、自身の情報が入力されたサンプル情報記録素子を有し、
前記サンプル分注装置は、前記サンプル情報記録素子から前記情報を読み取る読取手段を備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項12】
請求項11に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記試験片は、自身の情報が入力された試験片情報記録素子を有し、
前記読取手段は、さらに前記試験片記録情報素子から前記情報を読み取りすることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項13】
請求項12に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記撮影装置は、前記読取手段と同一の第2の読取手段を備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記撮影装置が撮影した画像を解析する解析装置を備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項15】
請求項13に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
前記撮影装置が撮影した画像を解析する解析装置を備え、
前記制御部は、前記解析装置による解析結果を、前記読取手段で読み取った前記試験片の情報又は前記サンプル容器の情報のうち、少なくともいずれか一方の情報と対応させることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムにおいて、
各構成品のうち、少なくとも前記サンプル分注装置、前記反応装置、前記洗浄装置及び前記撮影装置をそれぞれ任意の個数備えていることを特徴とする生体関連物質試験システム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の生体関連物質試験システムを用いて、複数の前記試験サンプルを、複数の前記試験片を用いて順次試験することを特徴とする生体関連物質試験方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−17381(P2007−17381A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201484(P2005−201484)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】