説明

生物学的ベースの1,3−プロパンジオールのモノエステルおよびジエステルを含む組成物

1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物が提供される。エステルを形成するために使用される1,3−プロパンジオールは生物学的に誘導される。エステルは少なくとも3%の生物ベース炭素を有し得る。組成物は、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールをさらに含み得る。1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物を製造するための方法もまた提供される。該方法は、生物学的に産生された1,3−プロパンジオールを提供する工程、1,3−プロパンジオールを有機酸と接触させ、これがエステルを産生する工程、および産生されたエステルを回収する工程を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2006年2月10日に出願された米国仮出願番号60/772,471;2006年2月10日に出願された米国仮出願第60/772,194号;2006年2月10日に出願された米国仮出願第60/772,193号;2006年2月10日に出願された米国仮出願第60/772,111号;2006年2月10日に出願された米国仮出願第60/772,120号;2006年2月10日に出願された米国仮出願第60/772,110号;2006年2月10日に出願された米国仮出願第60/772,112号;2006年9月25日に出願された米国仮出願第60/846,948号;2006年10月24日に出願された米国仮出願第60/853,920号;2006年11月15日に出願された米国仮出願第60/859,264号;2006年12月4日に出願された米国仮出願第60/872,705号;および2007年1月17日に出願された米国仮出願第60/880,824号の利益を主張し、これらの開示は、それらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、1,3−プロパンジオールのエステルの分野に関する。より具体的には、本発明は、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールのエステルに関する。
【背景技術】
【0003】
消費者および製造業者において、すべての製品の環境への影響についての関心がますます増加している。環境への影響の自覚に向けた努力は、政府官庁によって認識されている普遍的な関心である。現在156ヶ国が署名している気候変動に関する国連枠組み条約の京都議定書修正案(UNFCCC)は、コストおよび効率を超えてより安全な、環境に配慮した製造を優先するための全世界的な取り組みの一例である。とりわけ、パーソナルケア、化粧品、治療薬、および薬用化粧品などの商品に適用される場合、消費者は、自らが購入する製品の起源に関してますます選択的になってきている。2004年のCo−operative Bankの年次倫理的消費報告(annual Ethical Consumerism Report)(www.co−operativebank.co.uk)は、2003年から2004年の間に費やす全体の消費者は3.7%のみ上昇したのに対して、同じ期間の間に倫理的小売用製品(環境に安全であり、有機的であり、かつフェアトレードの商品の一般的な分類)に費やす消費者においては30.3%の増加を開示した。
【0004】
消費者にとっての単一の最大の環境への関心の1つは、全世界的な温暖化の影響およびこの影響に寄与する温室ガスである。温室ガスは、日光が大気中に自由に入ることを可能にするガスである。日光が地表に当たるとき、その一部は、赤外放射として空間にむけて反射する。温室ガスは、この赤外放射を吸収し、そして大気中で熱をトラップする。時間が経てば、太陽から地表に送られるエネルギーの量は、空間に戻して放射されるエネルギーの量とほぼ同じであるはずであり、地表の温度をおよそ一定のままにする。しかし、人による産業化が起こる前に存在した量を超えた温室ガスの量の増加は、地表に保持される熱を増加させ、そして過去2世紀の間に観察された全世界的な温暖化をもたらしていると考えられる。
【0005】
二酸化炭素は、大気中の温室ガスの収集物の最大の成分として指摘されている。大気の二酸化炭素のレベルは、最近の200年間に50%増加した。大気中に二酸化炭素がさらに加わると、全世界的な温度の安定化からの温室ガスの影響を、温度上昇の影響にさらにシフトさせると考えられている。消費者および環境保護団体は、同様に、温室効果を引き起こす炭素の供給源として、大気中への炭素の産業的な放出を同定してきた。植物の糖およびデンプンなどの再生可能な供給源からの炭素分子、および究極的には大気中の炭素からなる有機製品のみが、石油燃料または化石燃料ベースである同様の有機分子と比較した場合に、温室効果にさらに寄与しないと考えられている。
【0006】
大気に二酸化炭素を加えることに加えて、プロパンジオールの工業生産の現在の方法は夾雑物および廃棄物を含み、これらには、とりわけ、硫酸、塩酸、フッ化水素酸、リン酸、酒石酸、酢酸、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および重金属が含まれ、これには、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、モリブデン、タングステン、バナジウム、クロム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ルビジウム、および白金が含まれる(米国特許第2,434,110号、同5,034,134号、同5,334,778号、および同5,10,036号)。
【0007】
すべての製造が、環境への影響が減少された製品を提供し、また、特に大気への炭素負荷を考慮することが必要とされている。再生可能な供給源の製品を提供する製造業者には環境的な利点もまた存在する。さらに、環境において現存の二酸化炭素レベルを増加させることなく、またはほとんど増加させずに製造される定評のある溶媒が必要とされている。
【0008】
公開米国特許出願第2005/0069997号は、生物工学的に処理されて糖から1,3−プロパンジオールを合成する培養大腸菌の発酵ブロスから、1,3−プロパンジオールを精製するための方法を開示している。基本的な方法は、濾過、イオン交換、および発酵ブロス生成物ストリームの蒸留を伴い、好ましくは、蒸留手順の間の生成物の化学還元を含む。1,3−プロパンジオールの高度に精製された組成物もまた提供される。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物が提供される。エステルを形成するために使用される1,3−プロパンジオールは生物学的に誘導される。エステルは、少なくとも3%の生物ベース炭素を有し得る。組成物は、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールをさらに含み得る。1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物を産生するための方法もまた提供される。これらの方法は、生物学的に産生された1,3−プロパンジオールを与える工程、1,3−プロパンジオールを有機酸と接触させる工程、および産生されたエステルを回収する工程を含む。
【0010】
生物の寄託
グリセロールデヒドラターゼ酵素をコードするKlebsiellaゲノムの一部を含むコスミドpKP1を含む形質転換大腸菌DH5αは、ブダペスト条約の条項下で1995年4月18日にATCCに寄託され、ATCC番号ATCC 69789によって同定されている。ジオールデヒドラターゼ酵素をコードするKlebsiellaゲノムの一部を含むコスミドpKP4を含む形質転換大腸菌DH5αは、ブダペスト条約の条項下で1995年4月18日にATCCに寄託され、ATCC番号ATCC 69790によって同定されている。本明細書で使用される場合、「ATCC」は、10801 University Boulevard,Manassas,VA,20110 2209,U.S.A.に置かれているアメリカンタイプカルチャーコレクション寄託所(American Type Culture Collection international depository)をいう。「ATCC番号」は、ATCCへの寄託の際の培養物への受託番号である。
【0011】
発明の詳細な説明
出願人らは、本開示におけるすべての引用される参考文献の全内容を具体的に組み込む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、1つの範囲、好ましい範囲、またはより上の好ましい値およびより下の好ましい値のリストとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されるか否かに関わらず、任意のより上の限界または好ましい値、および任意のより下の限界または好ましい値の任意の対から形成されるすべての範囲を具体的に開示することとして理解される。数値の1つの範囲が本明細書に列挙される場合、別途言及しない限り、該範囲は、その終点、ならびにその範囲内のすべての整数および小数部を含むことが意図される。本発明の範囲は、1つの範囲を規定するときに、列挙された特定の値に限定されることは意図されない。
【0012】
二酸化炭素の正味の量を実質的に増加させないやり方で産生される1,3−プロパンジオールの脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、医薬、石鹸、界面活性剤、シャンプー、およびパーソナルケアまたは化粧品製品、ならびにいくつかの産業的適用の調製において有用である。このような製品において、1,3−プロパンジオールの脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、乳化剤、表面活性剤、調整剤、構造剤、増粘剤、保湿剤、温度安定剤、化学安定剤、乳白剤、光沢剤(pearlizing agent)、溶媒、分散剤、湿潤剤、ゲル化剤、混和剤(compatibilizer)、腐食防止剤、潤滑剤、乳化破壊剤、殺生物剤、抗微生物剤、または消泡剤として具体的に使用され得る。
【0013】
生物学的に産生された1,3−プロパンジオールの脂肪酸モノエステルおよびジエステルは、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールのエステル化によって形成される。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、1,3−プロパンジオールを合成することが可能である生物を用いる発酵を経由する、非化石燃料炭素の触媒的転換を通して得ることができる。該方法は、物質の製造、使用、または廃棄の間に大気中へさらなる炭素を導入することなく、1,3−プロパンジオールならびにその共役モノエステルおよびジエステルを提供する。
【0014】
生物学的に産生された1,3−プロパンジオールは、1,3−プロパンジオールの有用なモノエステルのための新たな原料を表す。このようなモノエステルおよびジエステルは、生物供給源のモノマーからは以前には製造されていなかった。このようにして、生物供給源の炭素基質から誘導された1,3−プロパンジオールエステルを含む新たな組成物が提供される。これらの組成物は、生物供給源の炭素含量を基礎として、すべての石油化学的炭素から誘導される同様の組成物から区別され得る。
【0015】
本願において使用される用語は以下の定義が与えられる。
【0016】
「生物−PDOエステル」、「生物ベースのPDOエステル」、「生物学的に誘導されたPDOエステル」、および「生物学的ベースの1,3−プロパンジオールエステル」、および同様の用語は、本明細書で使用される場合、生物学的に産生された1,3−プロパンジオールから産生されるモノエステルおよびジエステルをいう。
【0017】
「生物PDO」、「生物産生PDO」、「生物学的に産生された1,3−プロパンジオール」、「生物誘導された1,3−プロパンジオール」、および「生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール」という用語、および同様の用語は、本明細書で使用される場合、大気起源の炭素から構成され、化石燃料から構成されない、植物由来の糖の微生物代謝から誘導される1,3−プロパンジオールをいう。
【0018】
「実質的に精製された」とは、本発明の方法によって産生される、生物学的に産生された1,3−プロパンジオールを説明するために出願人らによって使用される場合、以下の特徴の少なくとも1つを有する1,3−プロパンジオールを含む組成物を示す:1)220nmにおいて約0.200未満、および250nmにおいて約0.075未満、および275nmにおいて約0.075未満の紫外吸収;または2)約0.15未満のL*a*b*「b*」色値、および270nmにおいて約0.075未満の吸収を有する組成;または3)約10ppm未満のペルオキシド組成;または4)約400ppm未満の全有機不純物の濃度。
【0019】
「b*」値は、CIE L*a*b*測定ASTM D6290によって定義される、分光光度的に決定された「黄色青色測定である。
【0020】
「AMS」という略語は、加速器質量分析をいう。
【0021】
「生物学的に産生された」とは、細菌、酵母、真菌、および他の微生物の特定の株を含む、生体の1以上の種または株によって産生される有機化合物を意味する。「生物産生された」および生物学的に産生された、は、本明細書では同義語として使用される。このような有機化合物は、緑色植物による糖類およびデンプンに転換された大気の二酸化炭素に由来する炭素から構成される。
【0022】
「生物学的ベース」は、有機化合物が生物学的に産生された有機成分から合成されることを意味する。本明細書に開示される合成方法が、1,3−プロパンジオール以外の生物−産生アルコール;特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、−、ジプロピレンジオール、トリプロピレンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、およびビスフェノールAを含むアルコールからの他のモノエステルおよびジエステルを効率的に合成することができることがさらに意図される。「生物−ベース」、および「生物−供給源」;「生物学的に誘導された」;および「生物−誘導された」は、本明細書では同義語として使用される。
【0023】
「発酵」とは、使用される場合、単糖を他の有機化合物に代謝する方法をいう。本明細書で使用される場合、発酵とは、植物由来の糖の代謝を具体的にいい、このような糖は大気起源の炭素から構成される。
【0024】
「大気起源の炭素」とは、本明細書で使用される場合、最近、過去数十年間に地球の大気中で遊離した二酸化炭素分子からの炭素原子をいう。このような炭素の質量は、本明細書に記載される特定の放射性同位元素の存在によって同定可能である。「緑の炭素」、「大気炭素」、「環境に優しい炭素」、「ライフサイクル炭素」、「非化石燃料ベース炭素」、「非石油ベース炭素」、「大気起源の炭素」、および「生物ベース炭素」は、本明細書で同義語として使用される。
【0025】
「化石起源の炭素」は、本明細書で使用される場合、石油化学起源の炭素をいう。このような炭素は、大気の炭素のように紫外線に曝露されてはいないので、化石起源の炭素の大部分は、それらの集団に放射性同位元素をほとんど有さない。化石起源の炭素は、本明細書に記載される手段によって同定可能である。「化石燃料炭素」、「化石炭素」、「汚染炭素」、「石油化学炭素」、「石油−炭素」、および化石起源の炭素は、本明細書で同義語として使用される。
【0026】
「天然に存在する」とは、本明細書で使用される場合、再生可能な供給源から誘導され、および/または生物学的ベースの方法によって産生される物質をいう。
【0027】
「脂肪酸」は、本明細書で使用される場合、長鎖脂肪酸の尾部をしばしば有するカルボン酸をいうが、炭素長4〜40のカルボン酸は、本発明を説明する目的でこの定義に具体的に含まれる。「脂肪酸エステル」は、本明細書で使用される場合、このように定義された脂肪酸から構成されるエステルである。
【0028】
「触媒」とは、本明細書で使用される場合、当該反応の反応物または生成物であることなく、化学反応を促進する物質をいう。
【0029】
頭文字語「NMR」は、核磁気共鳴を意味する。
【0030】
「色」および「色体」という用語は、可視光の範囲で分光光度計を使用して、約400〜800nmの波長を使用して、また、純水との比較によって定量することができる可視色の存在を意味する。反応条件は、色産生の性質に対して重要な効果を有し得る。関連する条件の例には、使用する温度、触媒、および触媒の量が含まれる。理論によって束縛されることを望まないが、本発明者らは、色の前駆体が、オレフィン結合、アセタール、および他のカルボニル化合物、ペルオキシドなどを含む微量の不純物を含むと考えている。これらの不純物の少なくともいくらかが、UV分光法、またはペルオキシド滴定のような方法によって検出され得る。
【0031】
「色指標」とは、物質または化合物の電磁放射−吸収特性の分析尺度をいう。
【0032】
「水素化反応器」とは、文献中で知られている公知の任意の化学反応器をいい、これには、シェーカーチューブ、バッチオートクレーブ、スラリー反応器、上向流充填床、およびトリクルフロー充填床反応器が含まれるがこれらに限定されない。
【0033】
「IRMS」という略語は、高精度安定アイソトープ比率質量分析によるCOの測定をいう。
【0034】
「炭素基質」という用語は、微生物によって代謝され得る任意の炭素源を意味し、ここで、該基質は少なくとも1個の炭素原子を含む。
【0035】
別途言及しない限り、すべてのパーセンテージ、部、比率などは重量による。商標は大文字で示す。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、一定の範囲、好ましい範囲、または上限の好ましい値および下限の好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、これは、範囲が別々に開示されているか否かに関わらず、任意の上限のまたは好ましい範囲、および任意の下限のまたは好ましい範囲の任意の対から、すべての範囲が形成されることを具体的に開示すると理解される。
【0036】
大気中の少量の二酸化炭素は放射活性である。この14C二酸化炭素は、窒素が、中性子を生じる紫外線によって攻撃されるときに作られ、窒素がプロトンを失い、分子量14の炭素を形成することをもたらし、すぐに二酸化炭素に酸化される。この放射活性アイソトープは、大気の炭素の小さいが測定可能な画分を表す。大気の二酸化炭素は緑色植物によって循環して、光合成として知られる方法の間に有機分子を作る。該サイクルは、緑色植物または他の形の生命が有機分子を代謝するときに完了し、二酸化炭素を産生し、これは、大気に再び放出される。地球上の実質的にすべての形の生命は、この緑色植物による有機分子の産生に依存して、成長および再生を促進する化学エネルギーを産生する。それゆえに、大気中に存在する14Cは、すべての生命の形、およびそれらの生物学的生成物の一部分となる。COに生物分解するこれらの再生可能な有機分子は、全世界的な温暖化には寄与していない。なぜなら、大気に放出される二酸化炭素の正味の増加が存在していないからである。対照的に、化石燃料ベース炭素は、大気の二酸化炭素の特徴的な放射性炭素の比率を有さない。
【0037】
物質中の再生可能な炭素の評価は、標準的な試験方法を通して実施することができる。放射性炭素およびアイソトープ比質量分析を使用して、物質の生物ベースの含量を決定することができる。以前には米国材料試験協会(the American Society for Testing and Materials)として知られたASTM Internationalは、材料の生物ベースの内容物を評価するための標準的方法を確立した。ASTMの方法は、ASTM−D6866と称する。
【0038】
「生物ベースの内容物」を誘導するためのASTM−D6866の適用は、放射性炭素年代測定法と同じ概念で構築されているが、年齢方程式の使用を伴わない。該分析は、最新参照標準の量に対する、未知サンプル中の放射性炭素(14C)の量の比率を誘導することによって実施される。比率は、「pMC」(現代炭素レベル)という単位を用いてパーセンテージとして報告される。分析される材料が今日の放射性炭素および化石炭素(放射性炭素を含まない)の混合物であるならば、得られるpMC値は、サンプルに存在するバイオマス材料の量に直接相関する。
【0039】
放射性炭素年代に使用される現代の参照標準は、AD1950年にほぼ等価である、既知の放射性炭素含量を用いるNIST(米国標準技術局、National Institute of Standards and Technology)標準である。AD1950は、これが、各々の爆発に伴って過剰量の放射性炭素を大気に導入した熱核兵器実験(「爆発炭素」と呼ばれる)の前の時点を表すので選択された。AD1950参照は100pMCを表す。
【0040】
大気中の「爆発炭素」は、実験のピーク時で、かつ実験を停止する条約の前に、1963年には正常レベルのほぼ2倍に達した。大気中でのその分布は、その出現がAD1950年以来植物および動物について100pMCよりも大きい値を示すので、概算されてきた。これは、時間の経過とともに次第に減少し、今日の値は107.5pMC近くである。このことは、トウモロコシなどの新鮮なバイオマス材料が、107.5pMC近くの放射性炭素サインを与え得る。
【0041】
化石炭素を現在の炭素と組み合わせて材料にすることは、現在のpMC含量の希釈をもたらす。107.5pMCが現在のバイオマス材料を表し、0pMCが石油誘導体を表すことを仮定することにより、この材料の測定したpMC値は、2つの成分型の割合を反映する。現在のダイズから100%誘導された材料は、107.5pMC近くの放射性炭素サインを与える。この材料が50%石油誘導体で希釈されたならば、54pMC近くの放射性炭素サインを与える。
【0042】
バイオマス含量の結果は、100%を107.5pMCに等しく、および0%を0pMCに等しく割り当てることによって誘導される。この点において、99pMCを測定するサンプルは、93%の等価な生物ベース含量の結果を与える。
【0043】
本明細書に記載される材料の評価は、ASTM−D6866に従って行われる。この報告書において引用される平均値は、末端の成分である放射性炭素サインの変動を説明するために6%(生物ベースの含量値のいずれの側でもプラスマイナス3%)の絶対範囲を包含する。すべての材料が現在のまたはもともと化石であること、および所望の結果は材料中に「存在する」生物ベース成分の量であり、製造方法において「使用される」生物ベース材料の量ではないことを仮定する。
【0044】
本発明に従う組成物は、1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物を含む。エステルは、エステル化において使用される化合物に依って、様々な量の生物ベース炭素を有し得る。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、生物ベース炭素を含む。1,3−プロパンジオール中の3つすべての炭素原子は生物ベース炭素である。共役エステルがすべての生物ベース炭素を含むカルボン酸を使用して形成されるならば、得られるエステルもまた、すべての生物ベース炭素を含む。しかし、カルボン酸が生物ベースでない炭素、すなわち、化石燃料源からの炭素を含むならば、得られるエステルは、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから与えられる3つの炭素と比較して、カルボン酸から与えられる炭素の数に比例する、生物ベース炭素のパーセンテージを含む。
【0045】
例えば、ジステアリン酸プロパンジオールは39個の炭素原子を含むが、18個がステアリン酸の炭素鎖の各々からであり、3個が1,3−プロパンジオールからである。従って、ステアリン酸が生物ベースでない場合、ジステアリン酸プロパンジオールの全体で39個からの36個の炭素は生物ベースでない炭素である。生物学的に誘導されたプロパンジオール、および生物学的に誘導されていないステアリン酸から作られるジステアリン酸プロパンジオールの予測される生物ベース含量は7.7パーセントである。
【0046】
ASTM−D6866を使用して実施される分析において、プロピレングリコールジ安息香酸(BENZOFLEX(登録商標)284,Velsicol Chem.Corp.Rosemont,IL.)は、0%の生物ベース炭素含量を有することが見出された。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを使用して合成されたプロパンジオールジ安息香酸の同様の分析は、19%の生物ベース炭素含量を有した。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから作られたプロパンジオールジ安息香酸の予測される生物ベース炭素含量は17.6%であり、これは、この方法の標準偏差の範囲内である。
【0047】
上記の例におけるステアリン酸が生物ベースである場合、得られるジステアリン酸プロパンジオールは、100%の生物ベース含量を有する。従って、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールの共役エステルは、エステルを形成するために使用される酸の生物ベースの含量に比例した生物ベース含量値を有する。それゆえに、エステルは、少なくとも3%の生物ベース炭素、少なくとも6%の生物ベース炭素、少なくとも10%の生物ベース炭素、少なくとも25%の生物ベース炭素、少なくとも50%の生物ベース炭素、少なくとも75%の生物ベース炭素、および少なくとも100%の生物ベース炭素の生物ベース含量を有し得る。
【0048】
有機酸がステアリン酸またはオレイン酸である場合、回収されるエステルは5%の生物ベース炭素よりも多いことが必要である。有機酸がラウリン酸である場合、回収されるエステルは10%の生物ベース炭素よりも多いことが必要ある。
【0049】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、高精製形態で収集される。このような1,3−プロパンジオールは、以下の特徴の少なくとも1つを有する:1)220nmにおいて約0.200未満、および250nmにおいて約0.075未満、および275nmにおいて約0.075未満の紫外吸収;または2)約0.15未満のL*a*b*「b*」色値、および270nmにおいて約0.075未満の吸収を有する組成;3)約10ppm未満のペルオキシド組成;または4)約400ppm未満の全有機不純物の濃度。「b*」値は、CIE L*a*b*測定ASTM−D6290によって定義される、分光光度的に決定される黄色青色測定である。
【0050】
1,3−プロパンジオール純度のレベルは、多数の異なるやり法で特徴付けすることができる。例えば、夾雑有機不純物の残存レベルを測定することは、1つの有用な尺度である。生物学的に誘導される1,3−プロパンジオールは、約400ppm未満;好ましくは、約300ppm;および最も好ましくは約150ppm未満の全有機夾雑物の純度レベルを有し得る。ppm全有機純度という用語は、ガスクロマトグラフィによって測定される炭素含有化合物(1,3−プロパンジオール以外)の100万分の1のレベルをいう。
【0051】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールはまた、様々な波長における紫外線吸収などの他の多くのパラメータを使用して特徴付けすることができる。220nm、240nm、および270nmの波長は、組成物の純度レベルを決定する際に有用であることが見出された。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、紫外吸収が220nmにおいて約0.200未満、および240nmにおいて約0.075未満、および270nmにおいて約0.075未満である純度レベルを有し得る。
【0052】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、約0.15未満のb*色値(CIE L*a*b*)を有し得る。
【0053】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール組成物の純度もまた、ペルオキシドのレベルを測定することによって、有意義なやり方で評価することができる。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール組成物は、約10ppm未満のペルオキシドの濃度を有し得る。
【0054】
生物学的に誘導され、かつ精製した1,3−プロパンジオールに関する上述の純度レベルパラメータ(米国特許出願第2005/0069997号に開示される方法と類似の方法または比較可能な方法を使用する)は、このような組成物を、石油供給源から誘導される化学精製された1,3−プロパンジオールから調製した1,3−プロパンジオール組成物から区別することが考えられる。
【0055】
発酵を介して生物学的に産生された1,3−プロパンジオールは公知であり、米国特許第5,686,276号、同第6,358,716号、および同第6,136,576号に含まれ、これらは、植物からのグルコースまたは他の糖などの安価な環境に優しい炭素源を使用する発酵の間に1,3−プロパンジオールを合成することができる、組換え操作された細菌を使用する方法を開示する。これらの特許は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、米国特許第5,686,276号に開示されるように、遺伝子操作された大腸菌(E.coli)によって生成した発酵ブロスの使用に基づいて得ることができる。他の単一の生物または生物の組み合わせもまた、当業者に公知である方法に従って遺伝子操作された生物を使用して、1,3−プロパンジオールを生物学的に産生するために使用されてよい。「発酵」とは、生物触媒の使用を通して基質と他の栄養との間の反応を触媒して生成物をもたらす系をいう。生物触媒は、生物全体、単離された酵素、または酵素的に活性であるその任意の組み合わせもしくは成分であり得る。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを産生および精製するために有用な発酵系は、例えば、参照により本明細書に具体的に組み込まれる公開米国特許出願第2005/0069997号に開示される。
【0056】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールの産生のための原料を構成する、植物によって取り込まれた大気からの炭素を含む。このようにして、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、再生可能な炭素のみを含み、化石燃料ベースの炭素、または石油ベースの炭素を含まない。それゆえに、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよびその共役エステルの使用は、環境に対してより少ない影響を有し、1,3−プロパンジオールは、化石燃料の減少を取り除く。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよびその共役エステルの使用もまた、大気への二酸化炭素の正味の付加を行わず、従って、温室ガスの排出に寄与しない。従って、本発明は、より天然であり、かつ石油ベースのグリコールを含む類似の組成物よりもより少ない環境に影響を有し得る。
【0057】
さらに、本明細書に記載される組成物中で利用される生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールの純度が、化学合成されたpdoおよび他のグリコールよりも高くなるにつれて、刺激をもたらし得る不純物を導入する危険性は、その使用によって、プロピレングリコールなどの一般的に使用されるグリコールを超えて、減少される。
【0058】
本発明の一実施形態において、1,3−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物が提供され、1,3−プロパンジオールは、生物学的に誘導される。これらの組成物中の生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、上記のように、ASTM−D6866の適用によって評価される場合、少なくとも85%の生物ベース炭素、少なくとも95%の生物ベース炭素、または100%の生物ベース炭素を有し得る。
【0059】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールのサンプルは、ASTM法D6866−05を使用して分析された。Iowa State Universityから受領した結果は、上記のサンプルが100%の生物ベース含量であることを実証した。別々の分析において、ASTM−D6866法を使用しても実施されたように、化学または石油ベースの1,3−プロパンジオール(SHELLから購入した)は、0%の生物ベース含量を有することが見出された。プロピレングリコール(ALDRICHからのUSPグレード)は、0%の生物ベース含量を有することが見出された。
【0060】
例えば、エチレングリコールまたは1,2−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの他の再生可能または生物学的に誘導されたグリコールは、本発明の組成物において使用できることが本発明で意図される。
【0061】
本発明の組成物が、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよび1つ以上の生物学的に誘導されていないグリコール成分、例えば、化学合成された1,3−プロパンジオールの組み合わせを含み得る特定の例が存在し得る。このような場合において、不可能ではないとしても、グリコール成分の生物ベース炭素含量を計算すること以外によって、グリコール組成物のどのパーセンテージが生物学的に誘導されているかを決定することが困難であり得る。この点に関して、本発明の組成物中で、1,3−プロパンジオールエステルを形成するための1,3−プロパンジオールの使用は、少なくとも約1%の生物ベース炭素含量から、100%の生物ベース炭素含量まで、およびその間の任意のパーセンテージを含み得る。
【0062】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールの共役エステル
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール、「生物PDO」のエステルは、生物PDOを有機酸と接触させることによって合成できる。有機酸は、任意の起源、好ましくは、生物供給源からであってよく、または化石供給源から合成されてよい。最も好ましくは、有機酸は、天然の供給源から誘導され、または化学式R−COOHを有する生物誘導である。置換基Rにおける場合、飽和または不飽和、置換または非置換、脂肪族または芳香族、直鎖状または分枝状の、1〜40個の鎖長の炭化水素、またはそれらの塩またはアルキルエステルであり得る。この炭化水素鎖はまた、1個以上の官能基、例えば、アルケン基、アミド基、アミン基、カルボニル基、カルボン酸基、ハロゲン化物基、ヒドロキシル基などを含み得る。天然に存在する有機酸で産生したエステルはすべて生物ベース炭素を含む。これらの天然に存在する有機酸、とりわけ、生物学的有機体によって産生されたものは、生物産生として分類され、得られるエステルまたはジエステルもまた、それによって、生物産生として分類できる。このような脂肪酸の天然の供給源には、ココナッツオイル、種々の動物獣脂、ラノリン、魚油、蜜ろう、パーム油、ピーナッツ油、オリーブ油、綿実油、ダイズ油、コーン油、ナタネ油が含まれる。常套の分画および/または加水分解技術は、必要な場合、このような材料から脂肪酸を得るために使用することができる。
【0063】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールのエステルを産生するために適切なカルボン酸には、一般的に、以下が含まれる:(1)ギ酸および酢酸を含むモノカルボン酸を含むC−C炭素;(2)脂肪酸、例えば、4つ以上の炭素原子を含む脂肪酸;(3)飽和脂肪酸、例えば、酪酸、カプロン酸、吉草酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、およびベヘン酸;(4)不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、およびユリシック酸(euricic acid);(5)多価不飽和脂肪酸、例えば、αリノレン酸、ステアリドン酸(またはモロクチン酸)、エイコサテトラエン酸、ω−6脂肪酸、アラキドン酸、およびω−3脂肪酸、エイコサペンタエン酸(またはティムノドン酸)、ドコサペンタエン酸(またはクルパノドン酸)、およびドコサヘキサエン酸(またはセルボン酸);(6)ヒドロキシ脂肪酸、例えば、2−ヒドロキシリノール酸およびリシノール酸;フェニルアルカン脂肪酸、例えば、11−フェニルウンデカン酸、13−フェニルトリデカン酸、および15−フェニルトリデカン酸;ならびに(7)シクロヘキシル脂肪酸、例えば、11−シクロヘキシルウンデカン酸および13−シクロヘキシルトリデカン酸。
【0064】
以下の酸およびそれらの塩またはアルキルエステルは特に有用である:酢酸、酪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、アジピン酸、安息香酸、カプリル酸、マレイン酸、パルミチン酸、セバシン酸、アラキドン(archidonic)酸、エルカ酸、パルミトレイン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン(nondecanoic)酸、オクタデクテトラエン酸、エイコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドカサペンタエン酸、テトラコサペンタエン酸、テトラヘキサエン酸、ドコサヘキサエン酸、(α)−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、リノール酸、アラキドン酸、オレイン酸、エルカ酸、ギ酸、プロピオン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、ペラルゴン酸、ベヘン酸、セロチン酸、マルガリン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラッセル酸、セロメシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチックウンデシレン酸、リシノール酸、およびエレオステアリン酸、ならびにこのような酸の混合物。適切な有機酸のより好ましいリストは、酢酸、アジピン酸、安息香酸、マレイン酸、セバシン酸、およびこのような酸の混合物である。本発明において有用である、炭素中に8〜40個の炭素を含む酸と称する適切な「脂肪酸」を一般的に意味するより好ましいリストには、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、セロチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、マルガリン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラッセル酸、セロメシリン酸、ゲダ酸、セロプラスチック酸、およびこのような酸の混合物が含まれる。これらの酸の中で、これらの酸、ならびにそれらの塩およびアルキルエステルは、最も好ましくは、ステアリン酸、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、2−エチルヘキサン酸、および12−ヒドロキシステアリン酸、およびこのような酸の混合物である。
【0065】
記載される有機酸を使用して産生されるエステルには、1,3−プロパンジオールのすべての適切な共役モノエステルおよびジエステルが含まれる。産生されるいくつかのエステルには、特に、以下が含まれる:プロパンジオールジステアレートおよびモノステアレート、プロパンジオールジラウレートおよびモノラウレート、プロパンジオールジオレエートおよびモノオレエート、プロパンジオールジバレレートおよびモノバレレート、プロパンジオールジカプリレートおよびモノカプリレート、プロパンジオールジミリステートおよびモノミリステート、プロパンジオールジパルミテートおよびモノパルミテート、プロパンジオールジベヘネートおよびモノベヘネート、プロパンジオールアジペート、プロパンジオールマレエート、プロパンジオールジベンゾエート、プロパンジオールジアセテート、およびこれらのすべての混合物。
【0066】
特に、産生されるエステルには以下が含まれる:プロパンジオールジステアレートおよびモノステアレート、プロパンジオールジオレエートおよびモノオレエート、プロパンジオールジカプリレートおよびモノカプリレート、プロパンジオールジミリステートおよびモノミリステート、およびこれらのすべての混合物。
【0067】
一般的には、1,3−プロパンジオールを、好ましくは、不活性ガスの存在下で、脂肪酸、または脂肪酸の混合物、または脂肪酸の塩と、1種の触媒または2種以上の触媒の存在下または不在下で、25℃〜400℃の範囲の温度で接触させることができ、反応することができる。
【0068】
接触の間、水が形成し、不活性ガス中でまたは真空下で除去されて、反応の完了を推進することができる。いかなる揮発性副生成物も同様に除去することができる。反応が完了するとき、加熱は停止され、かつ冷却される。
【0069】
触媒は、好ましくは、脱イオン水中で、溶解および除去することによって除去することができる。触媒が脱イオン水中で処理することによって除去できる場合、反応混合物は、酸または塩基の水溶液で処理されて塩を形成し、そして、洗浄または濾過のいずれかによってその塩を除去する。
【0070】
好ましくは、薬学的適用のために、高純度の脂肪酸エステルを得るためのさらなる精製は、より高い温度で容易に、およびより低い温度で最小限に脂肪酸エステルを溶解する溶媒中に溶解することによって、ならびに低温でさらなる溶媒を付加して、または付加しないで再結晶することによって、実行することができる。
【0071】
触媒は、酸、非限定的な例としては、硫酸、またはp−トルエンスルホン酸であり得る。触媒はまた、塩基、非限定的な例としては、水酸化ナトリウムであり得る。触媒は、塩、非限定的な例としては、酢酸カリウムであり得る。触媒はまた、アルコキシド、非限定的な例としては、チタンテトライソプロポキシドであり得る。触媒はまた、不均一触媒、非限定的な例としては、ゼオライト、ヘテロポリ酸、アンバーリスト、またはイオン交換樹脂であり得る。触媒はまた、金属塩、非限定的な例としては、塩化スズまたは塩化銅であり得る。触媒はまた、酵素、例えば、当該分野において公知の酵素であり得る。触媒はまた、有機酸、例えば、非限定的な例としては、ギ酸であり得る。最後に、触媒はまた、有機金属化合物、非限定的な例としては、n−ブチルスズ酸であり得る。
【0072】
この方法は、溶媒の存在または不在下で実行することができる。溶媒が脂肪酸エステルの産生を容易にするために必要でない場合、この方法は、溶媒の不在下で実行されることが好ましい。
【0073】
この方法は、大気圧でまたは真空下または加圧条件下で実行することができる。
反応1(ジエステル)
【0074】
【化1】

【0075】
式中、RおよびRが炭化水素である場合、好ましくは、約1〜約40の炭素鎖長を有する。このような炭化水素は、飽和または不飽和、置換または非置換、直鎖状または分枝状であり得る。
Mは水素、アルカリ金属、またはアルキル基である。
反応2(モノエステル)
【0076】
【化2】

【0077】
式中、Rが炭化水素である場合、好ましくは、約1〜約40の炭素鎖長を有する。このような炭化水素は、飽和または不飽和、置換または非置換、直鎖状または分枝状であり得る。Mは水素、アルカリ金属、またはアルキル基である。
【0078】
本発明に従う組成物は、Rがアルケン、アミド、アミン、カルボニル、カルボン酸、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、エーテル、アルキルエーテル、硫酸エステル、およびエーテル硫酸エステルからなる群より選択される1個以上の官能基を有するエステルを含む。これらのエステルは、式R−C(=O)−O−CH−CH−CH−O−C(=O)−Rを有し得、RおよびRの両方は、約1個から約40個の間の炭素長の直鎖または分枝鎖である。RおよびRは、アルケン、アミド、アミン、カルボニル、カルボン酸、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、エーテル、アルキルエーテル、硫酸エステル、およびエーテル硫酸エステルからなる群より選択される1個以上の官能基を有し得る。加えて、RおよびRは、ジエステルの場合において、同じ炭素鎖であり得る。
【0079】
カルボン酸またはその塩またはそのエステルに対するジオールの任意のモル濃度比を使用できる。カルボン酸に対するジオールの好ましい範囲は、約1:3〜約2:1である。この比率は、モノエステル産生からジエステル産生まで、反応の優先度をシフトするように調節することができる。一般的に、約1:2比率よりもわずかに高いジエステルの産生を優先することが使用される;一方、約1:1比率のモノエステルの産生を優先することが使用される。一般的に、ジエステル生成物がモノエステルを超えて所望される場合、ジカルボン酸に対するジオールの比率は、1.01:2〜1.1:2の範囲であり得;しかし、モノエステルが所望される場合、約1.01:1〜約2:1の比率の範囲が使用される。
【0080】
反応のための触媒含量は、反応混合物の1ppm〜60重量%、好ましくは、反応混合物の10ppmから10重量%、より好ましくは、50ppm〜2重量%であり得る。
【0081】
この生成物は、反応条件に依存して、ジエステル、モノエステル、またはジエステルとモノエステルとの組み合わせ、少ない割合の未反応酸およびジオールを含む可能性がある。未反応のジオールは、脱イオン水で洗浄することによって除去できる。未反応の酸は、脱イオン水もしくは塩基を有する水溶液で洗浄することによって、または再結晶の間に除去することができる。
【0082】
1,3−プロパンジオールの任意のエステルを、本発明に従って作製または使用することができる。1,3−プロパンジオールの短鎖、中鎖、および長鎖のモノエステルおよびジエステルを作製できる。具体的には、アルキル鎖中約1個〜約36個の間の炭素を含む酸を作製できる。より具体的には、以下のモノエステルおよびジエステルを作製できる:プロパンジオールジステアレート(モノステアレートおよび混合物)、プロパンジオールジラウレート(モノラウレートおよび混合物)、プロパンジオールジオレエート(モノオレエートおよび混合物)、プロパンジオールジバレレート(モノバレレートおよび混合物)、プロパンジオールジカプリレート(モノカプリレートおよび混合物)、プロパンジオールジミリステート(モノミリステートおよび混合物)、プロパンジオールジパルミテート(モノパルミテートおよび混合物)、プロパンジオールジベヘネート(モノベヘネートおよび混合物)、プロパンジオールアジペート、プロパンジオールマレエート、プロパンジオールジベンゾエート、プロパンジオールジアセテート。
【0083】
生物学的に誘導される1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物は、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールからの生物ベース炭素を含む。従って、これらのエステルは、どの酸がエステル化方法において使用されるかに依存して、様々な量の生物ベース炭素を有し得る。組成物は、エステルがジエステルまたはモノエステルであるかに関わらず、そして有機酸が生物ベース炭素または化石燃料炭素を含むかに関わらず、エステルを産生するために使用される有機酸の炭素鎖の長さに依存して、少なくとも3%の生物ベース炭素、少なくとも6%の生物ベース炭素、少なくとも10%の生物ベース炭素、少なくとも25%の生物ベース炭素、少なくとも50%の生物ベース炭素、少なくとも75%の生物ベース炭素、または100%の生物ベース炭素を有するエステルを含み得る。
【0084】
1,3−プロパンジオールのエステルを含むこれらの組成物は、生物学的に産生された1,3−プロパンジオールを与える工程;1,3−プロパンジオールを有機酸と接触させる工程であって、エステルを産生する工程;およびエステルを回収する工程によって産生することができる。提供される1,3−プロパンジオールは、少なくとも95%の生物ベース炭素、または100%の生物ベース炭素を有し得る。加えて、該方法のために提供される生物学的に産生された1,3−プロパンジオールは、以下の特徴の少なくとも1つを有し得る:1)220nmにおいて約0.200未満、および250nmにおいて約0.075未満、および275nmにおいて約0.075未満の紫外吸収;2)約0.15未満のL*a*b*「b*」色値、および270nmにおいて約0.075未満の吸収を有する組成;3)約10ppm未満のペルオキシド組成;ならびに4)約400ppm未満の全有機不純物の濃度。
【0085】
エステルはまた、少なくとも90%の生物ベース炭素を有する1,3−プロパンジオールを与える工程;1,3−プロパンジオールを有機酸と接触させ、エステルを形成する工程;およびエステルを回収する工程によって、産生することができる。1,3−プロパンジオールを酸と接触させる工程は、エステル化反応を促進するための触媒の存在下で行うことができ、該触媒は、酸、塩基、塩、アルコキシド、不均一触媒、金属塩、酵素、有機酸、および有機金属化合物の1つ以上のメンバーとして分類することができる。具体的には、該触媒は、硫酸、またはp−トルエンスルホン酸、水酸化ナトリウム、酢酸カリウム、チタンテトライソプロポキシド、ゼオライト、ヘテロポリ酸、アンバーリスト、イオン交換樹脂、塩化スズ、塩化銅、ギ酸、またはn−ブチルスズ酸であり得る。
【0086】
本明細書に記載される1,3−プロパンジオールエステルは、多くの適用において有用である。1,3−プロパンジオールのエステルは、ポリマー製品中の可塑剤として、ならびに抽出過程における、および抽出溶液のための溶媒または希釈剤として、パーソナルケア製品、化粧品、食品製品、界面活性剤、および石鹸製品において有用である。
【0087】
1,3−プロパンジオールの共役エステルは、液体ハンドソープ、シャンプー、およびボディー用界面活性剤などの個人用組成物における使用のために、乳化剤、光沢剤、表面活性剤、ゲル化剤、構造剤、増粘剤、および乳白剤として、非限定的なやり方において適切である。本明細書に記載されるエステルは、液体石鹸、シャンプー、およびボディー用界面活性剤製剤の成分として特に望ましい。これらが意図される機能性を提供し、生物学的に誘導される化合物から産生され得るからである。
【0088】
1,3−プロパンジオールのエステルは、皮膚軟化剤として、パーソナルケア製品および化粧品における活性成分としてもまた有用である。他の適用において、このようなエステルは、パーソナルケア製品および化粧品の送達、適用、または有効性において有用である。該エステルは、製品の送達、適用、または有効性を改善するために使用される場合、添加物またはアジュバントとして作用する。具体的には、非限定的なやり方で、これらのエステルは、化粧品およびパーソナルケア製品のための保湿剤、乳白剤、光沢剤、ゲル化剤、乳化剤、表面活性剤、構造剤、増粘剤、混和剤、または溶媒として使用することができる。
【0089】
1,3−プロパンジオールエステルはまた、種々の目的のための界面活性剤組成物に含めることもできる。これらのエステルは、特定の製剤に依存して、水向剤(hydrotropes)、安定剤、結合剤、乳化剤、調整剤、光沢剤、表面活性剤、ゲル化剤、構造剤、増粘剤、および乳白剤として機能する。
【0090】
界面活性剤および石鹸中で1,3−プロパンジオールとともに使用される他の成分には以下が含まれる:洗浄性能を改善する際に有用であるジアミン;洗浄性能を改善する表面活性剤;物理的および酵素的安定性を高めるグリコール;相安定剤として働く水向剤;泡の体積および持続時間を拡大する泡安定剤;界面活性剤の作用を補助するビルダー;洗浄性能を改善する酵素;pHを調節するために働く緩衝液;界面活性剤作用を支持するアルカリ無機塩;鉄およびマンガンを取り除く香料。
【0091】
いくつかの適切な界面活性剤組成物には、液体石鹸、液体界面活性剤、家庭用洗剤製品、および工業用洗剤製品が含まれる。1,3−プロパンジオールエステルを伴う使用に適切であるいくつかの特定の界面活性剤には、手洗い食器用界面活性剤、機械洗浄用界面活性剤、固形界面活性剤、固形洗濯用界面活性剤、液体洗濯用界面活性剤、軽質液体界面活性剤、重質液体界面活性剤、有機および無機衣類柔軟剤、洗濯用固形石鹸、および洗車用界面活性剤が含まれる。
【0092】
本明細書に提供される1,3−プロパンジオールエステルはまた、種々のポリマー中の可塑剤として有効である。ポリマー組成物を、常套の装置を使用して、成形品目、フォーム、キャストフィルムおよび二軸延伸フィルムの両方を含めたフィルムにすることができる。含まれる工程は典型的には、ポリマーの乾燥ブレンド、ポリマーの溶融ブレンド、ポリマーを押し出してのペレット形成(フレークなどの他の形状を含む)、ペレットの再溶融、ダイを通してのペレットの押し出しであり、約160℃〜約300℃の範囲の温度で行うことができる。
【0093】
ポリビニルクロリド(PVC)は、一般的に可塑化されたポリマーである。高度に可撓性のPVCは、床タイル、シートフローリング、カーペット裏地のような広範囲の適用において、および異なる医療用具において使用されている。可塑剤の90%超がPVC産業で使用されている。可塑剤を含むことなく、PVCはポリマー材料としての非常に限定された適用を有する。
【0094】
1,3−プロパンジオールエステルは、アクリルポリマーを含む他のポリマーにおいて使用することもできる。これらは、大部分は、アクリルエステルポリマーおよびメタクリルエステルポリマーである。高度に可撓性のコーティングが、可塑剤を含むアクリルを用いて産生される。可塑剤のアクリルとの適合性は最大で約10重量%であるが、しかし、低分子量可塑剤については、より高い適合性を達成することができる。論文「Influence of the Glycol Component in Dibenzoate Plasticizers on the Properties of the Plasticized PVC Films」J.Appl.Polym.Sci.,Vol.97,822−824(2005)は、PVC適用における可塑剤としての化学的に産生された1,3−プロパンジオールのエステルジベンゾエートの適用を開示する。これらの結果に従うと、化学的に産生された1,3−プロパンジオールジベンゾエートは、受容可能なまたは中程度の可塑剤特性を示すのに対して、化学的に誘導された1,3−プロパンジオールジベンゾエートを使用する可塑化PVCフィルムサンプルに対する抽出結果は優れた特性を示す。これらのフィルムは、非極性液体(モーターオイルおよびガソリン)に対して、ならびに水およびエタノールに対してもまた優れた耐溶剤性を示した。
【0095】
1,3−プロパンジオールアルギネートは、ビールの添加剤として有用である。1,3−プロパンジオールアルギネートエステルは、泡の性能を改善し、泡の付着能力を増加し、そしてビールの外見を改善する。1,3−プロパンジオールアルギネートエステルは、ビールの泡を消し得るいくらかの成分の影響を弱める。1,3−プロパンジオールアルギネートエステルはまた、泡の寿命を増加し、そして泡をよりより優れたものにする。
【0096】
乳製品業界において、1,3−プロパンジオールアルギネートエステルは、ヨーグルトの質感および味を改善するために使用することができる。これらの特徴は、低含有量の乳固形分を含む製品においてでさえ維持される。1,3−プロパンジオールアルギネートエステルは、製品が粗い表面を形成することを効率的に予防し、滑らかかつ光沢のある外観を提供することができる。1,3−プロパンジオールアルギネートエステルは、他の添加物と完全に混ざることができ、かつ広いpH範囲で使用できる。穏やかな混合は、1,3−プロパンジオールアルギネートエステルを均一に混合し、ヨーグルトとすることができる。1,3−プロパンジオールアルギネートエステルは、加熱過程において安定であり、安定化剤および乳化剤として使用できる。
【0097】
食品製品中の1,3−プロパンジオールアルギネートエステルのいくつかの特定の用途には以下が含まれる。
【0098】
1.最終製品の0.5重量パーセントを超えないレベルの、冷凍乳製品デザート、果物および氷菓子、ならびに糖衣中の安定剤として。
【0099】
2.最終製品の0.5重量パーセントを超えないレベルの、焼き製品中の乳化剤、香料、アジュバント、安定剤、または増粘剤として。
【0100】
3.最終製品の0.9重量パーセントを超えないレベルの、チーズ中の乳化剤、安定剤、または増粘剤として。
【0101】
4.最終製品の1.1重量パーセントを超えないレベルの、脂肪および油中の乳化剤、安定剤、または増粘剤として。
【0102】
5.最終製品の0.6重量パーセントを超えないレベルの、ゼラチンおよびプリン中の乳化剤、安定剤、または増粘剤として。
【0103】
6.最終製品の0.5重量パーセントを超えないレベルの、グレイビーおよびスイートソース中の乳化剤、安定剤、または増粘剤として。
【0104】
7.最終製品の0.4重量パーセントを超えないレベルの、ジャムおよびゼリー中の安定剤として。
【0105】
8.最終製品の0.6重量パーセントを超えないレベルの、香辛料および薬味中の乳化剤、安定剤、または増粘剤として。
【0106】
9.最終製品の1.7重量パーセントを超えないレベルの、調味料および香料中の香味アジュバントまたはアジュバントとして。
【0107】
10.適用可能な場合、最終製品の0.3重量パーセントを超えないレベルの、他の食品中の乳化剤、香味アジュバント、配合補助剤、安定剤もしく増粘剤、または界面活性剤として。
【0108】
以下の表は、1,3−プロパンジオールのアルギネートエステルが使用できる食品の分類、およびこれらの食品組成物中での1,3−プロパンジオールのアルギネートエステルの機能、ならびに食品組成物中の1,3−プロパンジオールのアルギネートエステルの重量による量に対するFDAによって認可されたおよその上限のリストを提供する。
【0109】

【0110】
以下の表は、1,3−プロパンジオールのアルギネートエステル以外が使用できる食品、ならびに食品組成物中の1,3−プロパンジオールのアルギネートエステルの重量による量に対するおよその上限のリストを提供する。
【0111】


【0112】
「食品組成物」は、1種以上の成分からなる食品または食品成分を含む。さらに、食品組成物は、ヒトの食料、食品と接触する物品から食品を移動させる物質、飲料、ペットフード、および動物食料組成物を含む。
【0113】
「成分」は、食品組成物中で使用できる任意の成分を含む。成分は適切な食品グレードであること;食品成分として調製されおよび取り扱われること;ならびに食品に加えられる成分の量が、食品における意図される物理的、栄養的、または他の技術的効果を達成するために合理的に必要とされる量を超えないことが好ましい。
【0114】
本発明の食品組成物は、重量で0.0001%〜20%の1,3−プロパンジオールエステル、およびより好ましくは、約0.1%〜約10%の1,3−プロパンジオールエステルを含み得る。本発明の典型的な食品組成物配合物は、0.5%〜5%の1,3−プロパンジオールエステルを含み得る。
【0115】
本発明の食品組成物において、1,3−プロパンジオールエステルは、生地強化剤、乳化剤、乳化剤塩、香料、香料アジュバント、配合補助剤、加工助剤、溶媒、媒体、安定剤、増粘剤、界面活性剤、質感剤、ゲル化剤、ゼラチン化剤、潤滑剤、結合剤、発泡剤、または消泡剤であり得る。
【0116】
1,3−プロパンジオールエステルを含む本発明の食品組成物の非限定的なリストには以下が含まれる:重量で約10%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むペストリー用フルーツフィリング;重量で約4%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む飲料ホワイトナー;重量で約4%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むシリアルおよびデンプンベースのデザート(例えば、ライスプリン、タピオカプリン);重量で約5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、脂肪エマルジョンに基づく混合および/または香味付け製品を含む主として水中油型の脂肪エマルジョン;重量で約4%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、食品分類05.1、05.3、および05.4以外のハードおよびソフトキャンディ、ヌガーなどを含む菓子;重量で約4%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むチューインガム;重量で約4%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む植物油および脂肪;重量で約4%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むバターおよびマーガリンのブレンド;重量で約3%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むスリム化目的および体重減少のための栄養製剤;重量で約2%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むクリーム類似物;重量で約2%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む特別な医療目的のために意図される栄養食品(食品分類13.1の製品を除外する);重量で約2%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む80%未満の脂肪を含むエマルジョン;重量で約1.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むラード、獣脂、魚油、および他の動物油;重量で約1%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むベーカリー品;重量で約1%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む乳製品ベースの飲料、香味付き飲料および/または発酵飲料(例えば、チョコレートミルク、ココア、エッグノッグ、飲用ヨーグルト、乳清ベースの飲料);重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、「スポーツ」「エネルギー」または「電解質」飲料および特定飲料を含む水ベースの香味付き飲料;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むミルクおよびクリーム粉末類似物;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、フルーツ香味付きの水ベースのデザートを含むフルーツベースのデザート;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、デコレーション(例えば、ファインベーカリーウェア用)、トッピング(フルーツ以外)、およびスイートソース;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む卵ベースのデザート;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むマーガリンおよび類似の製品;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、シャーベットおよびソルベットを含む)可食性氷;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、食品分類04.2.2.5以外の野菜(キノコおよび菌類、根および塊茎、豆類およびマメ科植物、およびアロエベラを含む)、海藻、ならびにナッツおよび種子果肉および再生品(例えば、植物デザートおよびソース、植物キャンディ);重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含むココア混合物(粉末)およびココア塊/ケーキ;重量で約0.5%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む他の糖およびシロップ(例えば、キシロース、メープルシロップ、糖トッピング);重量で約0.1%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、食品分類01.7以外の乳製品ベースのデザート製品を除外した脂肪ベースのデザート;重量で約0.05%までの1,3−プロパンジオールエステルを含む、パルプ、ピューレ、フルーツトッピング、およびココナッツミルクを含むフルーツ調製物。
【0117】
加えて、これらのエステルは、種々の工業的適用において有用である。以下の表は、本発明に記載される1,3−プロパンジオールエステルのための適切な適用が存在するいくつかの市場を列挙する。これらの適用におけるエステルの使用を手短に記載し、エステルについての重量パーセントの適切な範囲を各市場について提供する。以下の表において列挙される適用の各々において、1,3−プロパンジオールのエステルは、所望により、1,3−プロパンジオールとともに使用することができる。
【0118】
1,3−プロパンジオールエステルのための適用


【実施例】
【0119】
略語の意味は以下の通りである:「分(min)」は分を意味し、「秒(sec)」は秒を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモル濃度を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「g」は重力定数を意味し、「rpm」は1分間あたりの回転を意味し、「SEM」は平均の標準誤差を意味し、「体積%」は体積パーセントを意味し、そして「NMR」は核磁気共鳴を意味する。
【0120】
さらに、使用される略語の意味は以下の通りである:「重量%」は重量%を意味し;「qs」は適量を意味し;「EDTA」はエチレンジアミン四酢酸を意味し;「℃」は摂氏温度を意味し;「°F」は華氏温度であり、「生物−PDO」は生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを意味し;「ppm」は100万分の1であり;「AU」は吸収単位であり;「nm」はナノメートルであり;「GC」はガスクロマトグラフであり;「APHA」は米国公衆衛生協会(American Public Health Association)であり;「cps」はセンチポイズであり;「f/t」は凍結/解凍であり;「mPa・s」はミリパスカル秒であり;「D.I.」は脱イオンである。
【0121】
本発明はさらに、以下の実施例にさらに定義される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながら、例示のみにより与えられることが理解されるべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確証することができ、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変更および改変を行い、本発明を種々の用途および条件に適合させることができる。
【0122】
一般的方法
実施例において使用される標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該分野において周知であり、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989,by T.J.Silhavy,M.L.Bennan,and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1984,およびAusubel,F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience,N.Y.,1987によって記載されている。
【0123】
細菌培養物の維持および増殖に適切な材料および方法もまた当該分野において周知である。以下の実施例における使用に適切な技術は、Manual of Methods for General Bacteriology,Phillipp Gerhardt,R.G.E.Murray,Ralph N.Costilow,Eugene W.Nester,Willis A.Wood,Noel R.Krieg and G.Briggs Phillips,eds.,American Society for Microbiology,Washington,D.C.,1994,または Thomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA.,1989において見出され得る。
【0124】
細菌細胞の増殖および維持に使用したすべての試薬、制限酵素、および材料は、別途特定しない限り、Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI),BD Diagnostic Systems(Sparks,MD),Life Technologies(Rockville,MD),または Sigma Chemical Company(St.Louis,Mo.)から入手した。
【0125】
1,3−プロパンジオールの産生に使用されるグリセロールは、J.T.Baker Glycerin USPグレード、ロットJ25608およびG19657から入手した。
【0126】
示差走査熱量計:DSCサーモグラムは、10℃/分の加熱および冷却速度を用いて、定常流の窒素下で、Universal V3 1A TAを使用して記録した。
【0127】
NMR:1H NMRスペクトルは、XWINNMRバージョン3.5ソフトウェアを使用して、Bruker DRX 500で記録した。データは、90度パルス(p1)および30秒リサイクルディレイ(d1)を使用して獲得した。サンプルを重水素置換クロロホルムに溶解し、重水素置換していないクロロホルムを内部標準として使用した。
【0128】
生物−PDOの単離および同定
生物−PDOへのグリセロールの転換は、HPLCによってモニタリングした。分析は、クロマトグラフィの分野における当業者に利用可能な標準的な技術および材料を使用して実施した。1つの適切な方法は、UV(210nm)およびRI検出を使用するWaters Maxima 820 HPLCシステムを利用した。温度を50℃に制御し、0.5mL/分の流速で移動相として0.01N H2SO4を使用して、Shodex SH−1011Pプレカラム(6mm×50mm)を備えたShodex SH−1011カラム(8mm×300mm、Waters,Milford,MAから購入)にサンプルを注入した。定量的分析が所望される場合、サンプルは、外部標準として既知量のトリメチル酢酸をとともに調製した。典型的には、グリセロール(RI検出)、1,3−プロパンジオール(RI検出)、およびトリメチル酢酸(UVおよびRI検出)の保持時間は、それぞれ、20.67分、26.08分、および35.03分であった。
【0129】
生物−PDOの産生はGC/MSによって確認した。分析は、GC/MSの当業者に利用可能な標準的な技術および材料を使用して実施した。1つの適切な方法は、Hewlett Packard 5971シリーズ質量選択検出器(EI)およびHP−INNOWaxカラム(30m長、0.25mm内径、0.25ミクロンフィルム厚)と連結した、Hewlett Packard5890シリーズIIガスクロマトグラフを利用した。グリセロールから生じた1,3−プロパンジオールの保持時間および質量スペクトルを、確かな1,3−プロパンジオールのそれと比較した(m/e:57,58)。
【0130】
生物産生された1,3−プロパンジオールからの生物ベースのモノエステルおよびジエステルの産生
生物産生1,3−プロパンジオールのモノエステルおよびジエステルは、生物PDOを有機酸と合わせることによって産生してよい。該組み合わせは、加熱下での乾燥条件で、および選択した触媒との長い攪拌で前もって形成する。モノエステル対ジエステルの比率は、酸対生物PDOのモル濃度比および触媒の選択に従って変動する。
【0131】
エステルの産生は、H核磁気共鳴を使用して確証した。分析は、H NMRの分野の当業者に利用可能な標準的な技術および材料を使用して実施した。
【0132】
プロトン核磁気共鳴(H NMR)スペクトル測定は、既知の有機化合物の構造の決定において使用される強力な方法である。これは、分子中に存在する異なる型の水素の数、異なる型の水素の電子的環境、および水素が有する「隣接する」水素の数に関連する情報を提供する。
【0133】
電子吸引基に結合した炭素に結合した水素は、一般的なNMR標準、TMS、トリメチルシランからのより高い周波数で共鳴する傾向がある。TMSと比較して、特定の水素原子が共鳴する位置は、その化学シフト(δ)と呼ばれる。脂肪酸の典型的な化学シフトは以下の通りである。
末端のCHについて、
δ=0.88
(−CH−C−CH)、(C−CH−C=O)および(O−CH−C−CH−O)のメチレン基について、それぞれ、
δ=1.26、1.61、および1.97。
エステルに隣接する(adjustcent)メチレン基(C−C=O)について
δ=2.28
エステル(C(=O)−O−C−)について
δ=4.15
プロトンNMRは、末端基(C−OH)(δ=3.7)に対応するプロトンを、中間のエステル基(C−O−C(=O)−)のそれから区別することができ(ジエステルおよびモノエステルについて、それぞれ、δ=4.15および4.24)、従って、エステルを同定することが可能であり、これらの2つのピークの積分面積を比較することによって、反応をモニタリングできる。
【0134】
【数1】

【0135】
実施例1
発酵条件下でのD−グルコースの1,3−プロパンジオールへの転換
K.pneumoniae dhaレギュロンコスミドpKP1またはpKP2、K.pneumoniae pduオペロンpKP4、またはSupercosベクター単独を含む大腸菌株ECL707を、グルコースからの1,3−プロパンジオールの産生のために、5L Applikon発酵槽で増殖させた。
【0136】
使用した培地は、50−100mM リン酸カリウム緩衝剤、pH7.5,40mM(NHSO、0.1%(w/v)酵母抽出物、10μM CoCl、6.5μM CuCl、100μM FeCl、18μM FeSO、5μM HBO、50μM MnCl、0.1μM NaMoO、25μM ZnCl、0.82mM MgSO、0.9mM CaCl、および10〜20g/L グルコースを含む。さらなるグルコースを供給し、残りのグルコースを過剰に維持する。温度を37℃に制御し、pHは5N KOHまたはNaOHで7.5に制御する。適切な抗生物質をプラスミドの維持のために含める。嫌気的発酵のために、0.1vvm窒素を、反応器を通して散布し;dO設定点が5%であった場合、1vvm空気を、反応器を通して散布し、培地にビタミンB12を補充する。
【0137】
1,3−プロパンジオールの力価(g/L)は8.1〜10.9の範囲である。生物−PDOの収率(g/g)は4%〜17%の範囲である。
【0138】
実施例2
生物供給源の1,3−プロパンジオールの精製
公開米国特許出願第2005/0069997号は、糖から1,3−プロパンジオールを合成するためにバイオ操作された培養大腸菌の発酵ブロスから1,3−プロパンジオールを精製するための方法を開示している。基本的な方法は、発酵ブロス生成物流の濾過、イオン交換、および蒸留を伴い、好ましくは、蒸留手順の間に生成物の化学的還元を含む。
【0139】
実施例1において示すように産生された1,3−プロパンジオールは、ブロス清澄化、ロータリーエバポレーション、アニオン交換、および上清の複数回蒸留を含む多段階過程によって精製した。
【0140】
発酵の終わりに、ブロスを、細胞分離のための遠心分離および膜濾過の組み合わせを用いて清澄化し、続いて、1000MV膜を通しての限外濾過を行った。清澄化したブロスは、大型のロータリーエバポレーターで処理した。約46ポンドの供給材料(21,000グラム)を処理して濃縮シロップにした。シロップの一部の60mlを、1”直径の蒸留カラムの蒸留ポットに入れた。蒸留は、25インチ水銀の真空で行った。蒸留の間、約1の還流比率を使用した。いくつかの蒸留カットを取り、その中心にさらなる処理を行った。該材料を等量の水で希釈し、アニオン交換カラム(混合床、80グラムのNM−60樹脂)に入れ、これを水洗した。水を2ml/分の速度でくみ出し、画分を9分毎に収集した。奇数画分を分析し、画分3から9までが3Gを含んでいた。3Gを含む画分を収集し、微量蒸留に供して、数グラムの純粋な1,3−プロパンジオールモノマーを回収した(これを、実施例2〜8に記載の方法に従って、モノエステルおよびジエステルに重合した)。
【0141】
実施例3
触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いたプロパンジオールジステアレートの産生
生物起源1,3−プロパンジオールおよびステアリン酸からプロパンジオールジステアレートを調製するために、生物起源1,3−プロパンジオールを実施例1および2におけるような方法を使用して精製した。2.58g(0.033モル)の生物起源1,3−プロパンジオール、19.45g(0.065モル)のステアリン酸(Aldrich,95%)および0.2125g(0.001モル)のp−トルエンスルホン酸(Aldrich 98.5%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら反応温度を100℃に上昇させ、210分間継続した。
【0142】
反応の完了後、反応混合物を約35℃に冷却し、生成物をビーカーに移した。100mLの水を加え、また45〜60℃で徹底的に攪拌することによって生成物を精製し、15分間でエマルジョンを形成させた。混合物を冷却し、濾過によって固形プロパンジオールジステアレートを分離した。
【0143】
生成物は、図1に示すように、H NMR(核磁気共鳴)スペクトル(CDCl(重水素置換クロロホルム)):δ=0.88(t,C−CH,6H),1.26(t,CH−C−CH,28H),1.61(t,C−CH−C=O,4H),1.97(t,−O−CH−C−CH−O,2H),2.28(t,C−C=O,4H),4.15(t,C(=O)−O−C−4H)およびDSC(Tm=66.4℃およびTc=54.7℃)によって特性決定した。
【0144】
実施例4
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールの純度の特性決定
以下の表1において、生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール(公開米国特許出願第2005/0069997号に記載されるように産生および精製)(「生物−PDO」)を、いくつかの純度の態様において、化学的に製造された1,3−プロパンジオールの商業的に得られた2つの別々の調製物(供給源AおよびB)と比較する。
【0145】
表1

【0146】
公開米国特許出願第2005/0069997号に開示される方法によって精製された生物学的に産生された1,3−プロパンジオールのサンプルについての、純度の態様の典型的なプロフィールを以下の表2に提供する。
【0147】
表2

【0148】
総有機不純物の単位ppmは、炎イオン化検出器を用いてガスクロマトグラフによって測定されるような、1,3−プロパンジオール以外の、最終調製物中の総有機化合物の100万分の1を意味する。結果はピーク面積によって報告する。炎イオン化検出器は水に対して感受性ではなく、従って、総純度は、すべての面積%の合計(1,3−プロパンジオールを含む)で割った、1,3−プロパンジオールではないすべての有機ピーク(面積%)の合計である。「有機材料」という用語は、炭素を含有する夾雑物をいう。
【0149】
表は、開示された精製方法が、化学的に製造された1,3−プロパンジオールの商業的に入手された調製物と比較した場合に、高度に純粋な生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを提供することを示す。
【0150】
実施例5
触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いたプロパンジオールジステアレートの産生
39.61g(0.1333モル)のステアリン酸(Aldrich,95%)、5.05g(0.066モル)の生物起源1,3−プロパンジオール(生物−PDO)、および0.46g(0.0024モル)のp−トルエンスルホン酸を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込みの反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら、反応温度を100℃に上昇させた。反応温度が100℃に到達したときに、窒素流を停止し、低真空を適用して副産物を除去した。反応を2時間継続した。真空を停止し、生成物を窒素流下で冷却した。
【0151】
生成物を実施例3に記載されるように精製し、実施例4に記載されるように再結晶した。
【0152】
生成物を、H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH,6H),1.26(t,CH−CH−CH,28H),1.61(t,CH−CH−C=O,4H),1.97(t,−O−CH−CH−CH−O,2H),2.28(t,CH−C=O,4H),4.15(t,C(=O)−O−CH−4H)によって特性決定した。図4はこれらのデータのグラフを示す。
【0153】
実施例6
触媒として塩化スズを用いたプロパンジオールモノステアレートおよびプロパンジオールジステアレートの産生
72.06g(0.243モル)のステアリン酸(Aldrich,95%)、9.60g(0.126モル)の1,3−プロパンジオール、および0.25gのSnCl2(Aldrich,98%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら反応温度を100℃に上昇させ、240分間継続した。
【0154】
反応の完了後、反応混合物を冷却し、NMRによって分析した。生成物は39モル%のプロパンジオールモノステアレート、19モル%のプロパンジオールジステアレート、および42モル%の1,3−プロパンジオールを含んだ。
【0155】
1H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.82,1.87,および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O,),2.31(t,CH−C=O,),3.69および3.86(t,HO−CH−CH−),4.15および4.21(t,C(=O)−O−CH−)。図5はこれらのデータのグラフを示す。
【0156】
実施例7
触媒としてチタンテトライソプロポキシドを用いたプロパンジオールモノステアレートおよびプロパンジオールジステアレートの産生
35.51g(0.119モル)のステアリン酸(Aldrich,95%)、9.55g(0.125モル)の1,3−プロパンジオール、および0.01gのTi(OC3H7)4(Aldrich,99.99%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら反応温度を170℃に上昇させ、240分間継続した。次いで、反応を真空下でさらに30分間継続した。真空を停止し、生成物を窒素流下で冷却し、そしてNMRによって分析した。
【0157】
生成物は36モル%のプロパンジオールモノステアレート、64モル%のプロパンジオールジステアレートを有した。
【0158】
H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.87および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O,),2.31(t,CH−C=O,),3.70(t,HO−CH−CH−),4.15および4.24(t,C(=O)−O−CH−)。図6はこれらのデータのグラフを示す。
【0159】
実施例8
触媒として酢酸カリウムを用いたプロパンジオールモノステアレートおよびプロパンジオールジステアレートの産生
39.72g(0.133モル)のステアリン酸(Aldrich,95%)、10.12g(0.133モル)の生物起源1,3−プロパンジオール(生物−PDO)、および2.47gの酢酸カリウム(Aldrich,99%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。
【0160】
次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら、反応温度を130℃に上昇させた。反応を窒素流下で4時間継続した。次いで、窒素流を停止し、真空を10分間適用して、その後反応を停止した。得られた生成物を、さらなる精製なしで分析した。
【0161】
NMR分析は、生成物が64.7モル%のプロパンジオールモノステアレート、9.7モル%のプロパンジオールジステアレート、および25.6モル%の1,3−プロパンジオールを含んだことを確認した。
【0162】
H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.82,1.87および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O,),2.31(t,CH−C=O,),3.70および3.86(t,HO−CH−CH−),4.15および4.24(t,C(=O)−O−CH−)。図7はこれらのデータのグラフを示す。
【0163】
実施例9
触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いたプロパンジオールジラウレートの産生
50.2g(0.246モル)のラウリン酸(Aldrich,98%)、9.35g(0.123モル)の生物起源1,3−プロパンジオール(生物−PDO)、および0.6gのp−トルエンスルホン酸(Aldrich,98.5%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。
【0164】
次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら、反応温度を130℃に上昇させた。反応を窒素流下で4時間継続した。反応の完了後、生成物を冷却し、そして90mLの0.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、40〜50℃で10分間攪拌した。次いで、生成物を濾過し、脱イオン水でじっくり洗浄し、そして乾燥させた。
【0165】
NMR分析は、生成物が99.2モル%のプロパンジオールジラウレートを含んだことを確認した。
【0166】
H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.96(t,−O−CH−CH−CH−O,),2.28(t,CH−C=O,),4.15(t,C(=O)−O−CH−)。
【0167】
実施例10
触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いたプロパンジオールジオレエートの産生
51.7g(0.164モル)のオレイン酸(Aldrich,90%)、6.26g(0.082モル)の生物起源1,3−プロパンジオール(生物−PDO)、および0.6gのp−トルエンスルホン酸(Aldrich,98.5%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。
【0168】
次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら、反応温度を130℃に上昇させた。反応を窒素流下で4時間継続した。反応の完了後、生成物を冷却し、そして90mLの0.5重量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、40〜50℃で10分間攪拌した。
【0169】
この反応物を分離漏斗に移し、500mLの脱イオン水を加え、混合物に2つの(tow)分離層を形成させた。水相を除去した。
【0170】
さらに500mLの脱イオン水を加え、溶液を混合し、そして2つの明確な層が形成した後で水層が存在した。この過程をさらに1回繰り返した。
【0171】
NMR分析は、生成物が99.2モル%のプロパンジオールジラウレートを含んだことを確認した。
【0172】
H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH),1.27および1.30(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.96(t,−O−CH−CH−CH−O,),2.28(t,CH−C=O,),4.15(t,C(=O)−O−CH−)、5.35(m CH−CH=CH−CH)。
【0173】
実施例11
触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いたプロパンジオールジステアレートの産生
生物起源1,3−プロパンジオールを、具体的には、実施例1および2に記載したように、本明細書に記載されるように調製した。5.2g(0.068モル)の生物起源1,3−プロパンジオール、38.9g(0.13モル)のステアリン酸(Aldrich,95%)および0.425g(0.002モル)のp−トルエンスルホン酸(Aldrich 98.5%)を、メカニカルスターラを装着したガラス反応器に仕込み、反応器に乾燥窒素ガスを流して、15分間、空気および湿気を除去した。次いで、窒素流下で反応混合物をじっくり攪拌しながら反応温度を130℃に上昇させ、130℃にて195分間継続した。
【0174】
生成物を、実施例3に記載するように精製した。クロロホルムに溶解し、15℃でアセトンを加えることによる再結晶により、生成物をさらに精製した。再結晶した生成物を濾過し、乾燥させた。
【0175】
生成物を、H NMRスペクトル(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH,6H),1.26(t,CH−CH−CH,28H),1.61(t,CH−CH−C=O,4H),1.97(t,−O−CH−CH−CH−O,2H),2.28(t,CH−C=O,4H),4.15(t,C(=O)−O−CH−4H)によって特性決定した。
【0176】
特定の実施形態を参照して、本発明を本明細書に説明しかつ記載しているが、本発明を示される詳細に限定することは意図していない。むしろ、詳細において、特許請求の範囲の等価物の範囲および程度内で、また本発明から逸脱することなく、種々の改変を行うことができる。
【0177】
実施例12
抗微生物洗浄剤組成物
【0178】

【0179】
抗微生物洗浄剤のための組成物は、当業者によって理解されるように、示される範囲内の量で上記の成分を合わせることによって調製する。
【0180】
実施例13
活性成分として環状デプシペプチドを含む殺虫剤
【0181】

【0182】
抗微生物洗浄剤のための組成物は、当業者によって理解されるように、示される範囲内の量で上記の成分を合わせることによって調製する。
【0183】
実施例14
急速食品冷凍のための非凍結液体組成物
農産物、海産物、および加工食品における使用のため。
【0184】

【0185】
実施例15
乳化軽質炭化水素燃料およびその製造方法
【0186】

【0187】
実施例16
無機粉末およびそれからの焼結体の射出成形のための組成物
【0188】

【0189】
実施例17
壁用水溶性コーティング
【0190】

【0191】
*無機中空ビーズ、タルク、珪灰石、および/またはパーライト
**表面活性剤1〜22、湿潤剤0.1〜0.5、レオロジー剤0.05〜0.5、およびセルロース1〜3
【0192】
実施例18
皮膚の加湿および乾燥のためのタオル
【0193】

【0194】
実施例19
食品保存料または結合剤のための天然ワックスおよび食用表面活性剤を含む脂肪および油組成物
【0195】

【0196】
実施例20
【0197】

【0198】
実施例21
板金加工用潤滑剤製剤
【0199】

【0200】
実施例22
水中油型エマルジョンの水ベースの掘削液
【0201】

【0202】
実施例23
ガソリンおよびディーゼル燃料
【0203】

【0204】
実施例24
柔軟剤を含む製紙用湿紙を乾燥することによって製造される、かさ高かつ柔らかい手触りの印刷紙
【0205】

【0206】
実施例25
セルロース繊維懸濁物およびパルプ廃液の凝集のためのポリエチレンオキシドの液体懸濁物
【0207】

【0208】
実施例26
パルプおよび製紙産業における消泡剤組成物
【0209】

【0210】
実施例27
医薬:ビタミンK含有組成物
【0211】

【0212】
実施例28
経皮送達用薬学組成物
【0213】

【0214】
実施例29
食品および他の適用での使用のための1,3−プロパンジオール脂肪酸エステルを含む濃縮抗微生物剤
【0215】

【0216】
実施例30
非毒性1,3−プロパンジオールエステル溶媒
この溶媒は、コーティング、化粧品、インク、界面活性剤、洗浄溶媒、接着剤、トイレタリー製品、医薬、および農芸化学用に適切である。
アルキド樹脂を、20% 1,3−プロパンジオールモノアセテートおよび80% 1,3−プロパンジオールジアセテートを含む溶媒混合物に溶解して、75%溶液を得た。
【0217】
実施例31
酵素感受性油性媒体を含む腸溶性薬学組成物
カプセル(ハードまたはソフト)は、グリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、1,3−プロパンジオール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、および/またはデコグリセリン脂肪酸エステルを含む媒体中に溶解した活性成分を含み得る。従って、ほとんど溶解しない薬物でさえ、容易に吸収され得る。
【0218】
実施例32
活性剤の経皮投与用自己接着デバイス
【0219】

【0220】
実施例33
経皮吸収増強剤としてのアルカンジオールの脂肪酸エステル
【0221】

【0222】
実施例34
生理用品のためのポリオレフィン繊維の親水化剤
【0223】

【0224】
実施例35
脂肪酸エステルおよび増強剤を含む抗微生物組成物でコートした物品
【0225】

【0226】
実施例36
繊維および抗菌繊維に対して高い親和性を有する殺菌剤としての使用のための脂肪酸エステル
【0227】

【0228】
実施例37
液体粉末界面活性剤
本発明を使用して、液体粉末界面活性剤が、生物ベースのプロパンジオールカプリレートを使用して調製できる。表1に列挙した比例量で成分を得る。表1の成分で開始して、イムリンラウリルカルバメートを水に加え、CARBOPOL ULTREZ 10(B.F.Goodrich Company,New York,NY)を分散する。カルボマーが完全に分散し、かつ水和するまで、相A成分の混合物を約10分間ブレンドする。軽い攪拌下で、混合物の温度を約70℃まで上昇させる。
【0229】
別個の清浄な容器中で、生物ベースのプロパンジオールカプリレートを含む、表1、相Bに列挙された成分を、表によって規定された量で合わせ、約75℃に加熱する。成分を完全に合わせ、目的の温度になった後、相B混合物をゆっくりと相A混合物に加える。急速な攪拌を適用し、温度を約70℃から約75℃の間に30分間保持する。30分後、合わせた混合物を55℃に冷却し、連続して攪拌しながら、表によって規定された量で、相Cのコーンスターチをゆっくりと加える。コーンスターチを、相AおよびBの合わせた成分にじっくり混合した後で、相Cの芳香剤および保存剤を加える。所望のように芳香剤および保存剤を調整する。pHを測定し、必要に応じて、トリエタノールアミンを用いて、pHを約5.5から6.0の間に調整する。pHを調整したら、室温に冷却する。
【0230】

【0231】
実施例38
光沢のあるミルクバス
本発明は、生物ベースのプロパンジオールジステアレートを使用して、光沢のあるミルクバスを調製できる。表2のパーセンテージに従って、UCAREポリマーLR−400を十分な量の水と合わせて水和する。次いで、表に列挙したパーセンテージに従って、混合物が均一な粘稠度に達するまで、PLANTOPON 611 L(Fitz Chem Corporation,Itasca,IL)およびLAMWSOFT PO 65(Fitz Chem Corporation,Itasca,IL)中でブレンドする。
【0232】
この時点で、混合物に、表に列挙した量のポリマー溶液を加え、均一な粘稠度が回復されるまで攪拌する。次に、表Xに列挙されたパーセンテージに従って、グリセリン、STANDAMOX CAW(Fitz Chem Corporation,Itasca,IL)、NUTRILAN MILK(Fitz Chem Corporation,Itasca,IL)、生物ベースのプロパンジオールジステアレートを加え、混合物が再度均一な粘稠度になるまで十分に混合する。pHを測定し、必要に応じて、最終的なpHが約6から約7の間に達するように、クエン酸を用いて調整する。最後に、保存剤、色素、芳香剤、および十分な水を加えて、所望の体積に達する。該混合物の最終粘度は、約5,000cPsから約10,000cPsの間である必要がある。
【0233】

【0234】
実施例39
穏やかなベビーシャンプー
本発明は、生物ベースのプロパンジオールオレエートを用いた、穏やかなベビーシャンプーの調製での使用であり得る。表3に列挙した比率の量の成分を得る。表3に従って必要とされる量よりわずかに少ない量の水を約40℃まで加熱する。表に列挙される量および順序で成分を加える。100rpmを超えない穏やかな攪拌で成分を混合する。混合物が均一な粘稠度に達したとき、水を加えて混合物を所望の最終体積にする。混合物を室温まで冷却する。得られたシャンプーを調製し、これは、正確には、透明かつ無色に見えるようにする必要がある。
【0235】

【0236】
実施例40
保湿ボディーウォッシュ
本願は、生物ベースのプロパンジオールステアレートを用いた保湿ボディーウォッシュの調製において使用され得る。このような保湿ボディーウォッシュを調製するために、表に列挙した比例量の成分のリストを得ることによって開始する。ラウレス硫酸ナトリウム、JORDAPON CI(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)、AVANEL S150 CGN(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)、PEG−150ジステアレート、コカミドプロピルベタイン、コカミドMEA、および生物ベースのプロパンジオールステアレートを、所望の量に必要とされる全体の水の約半分で、一緒に混合する。これらの成分をじっくり合わせた後、加熱して混合物の温度を約65℃に上昇させる。すべての成分が溶解し、均一な混合物が得られるまで、約65℃の温度を維持する。この混合物を冷却させながら、LUVIQUAT PQ11(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)を加え、穏やかに攪拌する。
【0237】
別の容器で、CREMOPHOR PS20(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)、ビタミンEアセテート、および芳香剤を、完全にブレンドするまで一緒に混合する。第1の混合物の温度が40℃未満に低下したときに、CREMOPHOR PS20(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)、ビタミンEアセテート、および芳香剤をこの混合物と混合する。次に、D,L−PANTHENOL 50W(BASF Corporation,Mount Olive,NJ)をこの混合物に加え、完全にブレンドするまで穏やかに攪拌する。次に、D,L−Panthenol 50Wをこの混合物に加え、完全にブレンドするまで穏やかに攪拌する。次に、EDTA二ナトリウムを混合物に加え、完全にブレンドするまで穏やかに攪拌する。次に、予測される条件および保存期間に関して適切であるように選択した保存剤を加える。最後に、水を加えて、混合物を所望の体積にして、均一な粘稠度が達成されるまで攪拌する。
【0238】

【0239】
実施例41
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから形成されたエステルを含む界面活性剤
【0240】

【0241】
脂肪酸アルカノールアミドおよびエーテル−サルフェート不含表面活性剤を用いる脂肪酸1,3−プロパンジオールエステルの付加は、1)優れた光沢効果、2)良好な保存能力、および3)低粘度を有する光沢分散物を生じる。この組成物は、良好な流れ特性および低表面活性剤含量を有する光沢分散物を形成する。
【0242】
実施例42
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから形成したエステルを含む液体界面活性剤
【0243】

【0244】
脂肪酸アルカノールアミドおよび非イオン性表面活性剤を用いる脂肪酸1,3−プロパンジオールエステルの付加は、1)優れた真珠光沢効果、2)長い保存期間、3)カチオン性界面活性剤との適合性、4)加水分解に対する抵抗性、5)低粘度、および6)泡立ちの減少を有する光沢分散物を生じる。
【0245】
実施例43
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから形成したエステルを含む液体界面活性剤
【0246】

【0247】
この組成物では、脂肪酸1,3−プロパンジオールエステルは光沢剤として機能し、非イオン性表面活性剤は乳化剤および安定剤として機能し、両性表面活性剤は光沢効果を増強するための共乳化剤として機能し、そしてグリコールは同様に乳化剤として機能する。
【0248】
実施例44
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから形成したエステルを含む液体界面活性剤
【0249】

【0250】
発泡挙動は、重量で10%の水性表面活性剤溶液(21°dH+1%重量皮脂)を調製すること、および標準DIN53902、パート2によって泡体積を決定することによって試験することができる。試験溶液は、A(10.0〜60.0%)およびB(90.0〜40.0%)の重量比を使用して作製することができる。脂肪酸グリコールエステルサルフェートは、以下の有利な特性を示し得る:1)他の表面活性剤のための泡ブースター、2)硬水および/または油の存在下での泡安定性、3)冷水中で乏しい安定性を有する表面活性剤製剤を改善する、4)洗浄性能に寄与する、5)皮膚科学的に安全である、6)容易に生分解可能である、ならびにニトスアミン(nitosamine)を含まない。
【0251】
実施例45
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールから形成したエステルを含む液体界面活性剤
【0252】

【0253】
1,3−プロパンジオールエステルを用いた組成物は真珠光沢を有し、光沢の分散安定性に優れている。
【0254】
手順−すべての成分を合わせ、80℃に加熱し、そして成分を溶解させ、次いで、溶解物を攪拌しながら30℃に冷却する。
【0255】
実施例46
以下の手法に従って、本発明の評価のためのブレッドロールを作製する。
【0256】

【0257】
実施例47
以下の手法に従って、本発明の評価のためのビスケットを作製する。
【0258】

【0259】
実施例48
以下の手法に従って、本発明の評価のための飲料乳化安定剤を作製する。
【0260】

gで与えられた量
【0261】
実施例49
【0262】
以下の手法に従って、本発明の評価のための溶き卵代替物を作製する。

【0263】
実施例50
動物試料用エアロゾル組成物
【0264】

【0265】
実施例51
ケーキミックスで使用してバターの粘ちょう度を改善するための粉末発泡剤は、以下の手法に従って調製する。
【0266】

【0267】
特定の実施形態を参照して、本発明を本明細書に説明しかつ記載しているが、本発明を、示される詳細に限定することを意図していない。むしろ、詳細において、特許請求の範囲の等価物の範囲および程度内で、および本発明から逸脱することなく、種々の改変を行うことができる。
【0268】
比較例1
1,3−プロパンジオール可塑剤および市販の可塑剤を用いて作製したポリ(乳酸)(PLA)の特性を比較した。具体的には、引張係数、引張強度、および破断伸びを、異なる可塑剤を使用して作製したPLAブレンド、およびいかなる可塑剤もなしで作製したブレンドの各々について測定した。
【0269】
使用したマトリックスポリマーは、Cargill,Inc.,Minetonka,MNからのポリ(酪酸)(PLA)4040Dであった。エステルは、生物学的に誘導した1,3−プロパンジオールから合成した。エステルの産生、生成、および特性決定は上記の通りである。使用した市販の可塑剤エステルは、比較のためのプロピレングリコールジベンゾエートであった。
【0270】
ポリマーを形成する際に、PLA樹脂を、真空オーブン中で、80℃にて16時間乾燥させ、次いで、28mm二軸押出機、商用ユニット(Werber−Pfleiderer,Ramsey,NJ)にて、種々の量の可塑剤を用いて溶融押出した。可塑剤は注入ポンプによって移した。室温で固体である可塑剤は、使用前に溶融した。PLAのペレットおよび可塑剤ブレンドは、フィルム押出過程の前に、真空下、80℃で乾燥させた。乾燥ペレットは、標準ダイを通して押し出し、水冷ロールを通過させることによってクエンチし、室温まで冷却し、そして巻き付けた。種々の厚さのフィルムを調製した。4ミリ厚フィルムについての物理的特性を以下の表1に示す。
【0271】
押出フィルムサンプルの物理的特性は、Instron Corp.Tensile Tester,Model no.1125(Instron Corp.,Norwood MA)によって測定した。引張特性は、ASTM D−882−02に従って測定した。各データ点は、少なくとも5の個々の試験サンプルの平均である。
【0272】
表1.異なる可塑剤を用いたPLAブレンドの引張係数

【0273】
表2.異なる可塑剤を用いたPLA対照およびPLAの引張特性

【0274】
表3.PLAブレンドの引張伸びに対する可塑剤の効果

【0275】
一般的に、PLAを含むポリエステルは容易に可塑化されないが、可塑剤は、加工助剤として作用可能である。表1〜3のデータは、1,3−プロパンジオールの脂肪族エステル(プロパンジオール−ジ−エチルヘキサノエート)を用いることにより、市販の可塑剤と比較して、PLAの破断伸びをほぼ100%増加させ得ることを示す。プロパンジオール−ジベンゾエートの性能は、市販のエステル可塑剤と比較可能である。
【0276】
比較例2
1,3−プロパンジオール可塑剤および市販の可塑剤を用いて作製したポリ(ビニルクロリド)(PVC)の特性を比較した。具体的には、ヤング率、破断応力、および破断ひずみを、異なる可塑剤および異なる重量パーセントを用いて作製したPVCブレンド、およびいかなる可塑剤もなしで作製したブレンドの各々を用いて測定した。
【0277】
1,3−プロパンジオールエステルは、本明細書に開示した方法と比較可能な方法で合成した。使用した1,3−プロパンジオールエステルは、プロパンジオールジベンゾエートであり、使用した市販の製品は、Velsicol,Rosemont,ILからBenzoflex 284(登録商標)として入手可能であるプロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)ジベンゾエートであった。
【0278】
ポリ(ビニルクロリド)(PVC)Geon(登録商標)2188GCは、PolyOne,Cleveland,OHから入手した。該ポリマーは、1,3−プロパンジオールエステルおよび市販のエステル材料とともに、工業用ミキサーで、60rpm、15分間混合した。この混合の温度は、170〜175℃の間に保持した。混合後、ポリマーを冷却し、粉砕し、そして窒素ブランケット下、真空中にて80℃で乾燥させた。
【0279】
ポリマーは、220nm×150nmの金型サイズでプレス成形した。試料は幾何学的形状を試験し((5)型バー)、続いてASTM D638要件を試験する。物理的測定を、試験バー(ASTM D638)に対して、Instron Corporation Tensile Tester,Model no.1125(Instron,Corp.,Noewood MA)にて実行した。使用した可塑剤のレベルおよび物理的試験データは表4に組み込まれている。
【0280】
表4.可塑化PVCの機械的特性

【0281】
特定の実施形態を参照して、本発明を本明細書に説明しかつ記載しているが、本発明を示される詳細に限定することを意図していない。むしろ、詳細において、特許請求の範囲の等価物の範囲および程度内で、および本発明から逸脱することなく、種々の改変を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0282】
【図1】図1は、実施例3で得られた生成物の核磁気共鳴スペクトルのダイアグラムである。該図は以下の値をプロットする:(CDCl):δ=0.88(t,CH−CH,6H),1.26(t,CH−CH−CH,28H),1.61(t,CH−CH−C=O,4H),1.97(t,−O−CH−CH−CH−O,2H),2.28(t,CH−C=O,4H),4.15(t,C(=O)−O−CH−4H)。
【図2】図2は、実施例3で得られた生成物のDSC(示差走査熱量測定)曲線である。DSC(Tm=66.4℃およびTc=54.7℃)。
【図3】図3は、実施例4で得られた生成物の核磁気共鳴スペクトルのダイアグラムである。該図は以下の値をプロットする:δ=0.88(t,CH−CH,6H),1.26(t,CH−CH−CH,28H),1.61(t,CH−CH−C=O,4H),1.97(t,−O−CH−CH−CH−O,2H),2.28(t,CH−C=O,4H),4.15(t,C(=O)−O−CH−4H)。
【図4】図4は、実施例5で得られた再結晶生成物の核磁気共鳴スペクトルのダイアグラムである。該図は以下の値をプロットする:δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.60(t,CH−CH−C=O),1.87および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O),2.31(t,CH−C=O),3.70(t,HO−CH−CH−),4.15および4.24(t,C(=O)−O−CH−)。
【図5】図5は、実施例6で得られた生成物の核磁気共鳴スペクトルのダイアグラムである。該図は以下の値をプロットする:δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.82,1.87および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O),2.31(t,CH−C=O),3.69および3.86(t,HO−CH−CH−),4.15および4.21(t,C(=O)−O−CH−)。
【図6】図6は、実施例7で得られた生成物の核磁気共鳴スペクトルのダイアグラムである。該図は以下の値をプロットする:δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.60(t,CH−CH−C=O),1.87および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O),2.31(t,CH−C=O),3.70(t,HO−CH−CH−),4.15および4.24(t,C(=O)−O−CH−)。
【図7】図7は、実施例8で得られた生成物の核磁気共鳴スペクトルのダイアグラムである。該図は以下の値をプロットする:δ=0.88(t,CH−CH),1.27(t,CH−CH−CH),1.63(t,CH−CH−C=O),1.82,1.87および1.96(t,−O−CH−CH−CH−O),2.31(t,CH−C=O),3.70および3.86(t,HO−CH−CH−),4.15および4.24(t,C(=O)−O−CH−)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物であって、該1,3−プロパンジオールは生物学的に誘導されたものである組成物。
【請求項2】
エステルが少なくとも3%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エステルが少なくとも6%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
エステルが少なくとも10%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
エステルが少なくとも25%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
エステルが少なくとも50%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
エステルが少なくとも75%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
エステルが100%の生物ベース炭素を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
エステルが化学式R−C(=O)−O−CH−CH−CH−OHを有し、式中、Rは、約1個から約40個の間の長さの直鎖状または分枝状の炭素鎖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
が、アルケン、アミド、アミン、カルボニル、カルボン酸、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、エーテル、アルキルエーテル、硫酸エステル、およびエーテル硫酸エステルからなる群より選択される1個以上の官能基を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
エステルが化学式R−C(=O)−O−CH−CH−CH−O−C(=O)−Rを有し、式中、RおよびRは、約1個から約40個の間の長さの炭素の直鎖状または分枝状炭素鎖である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
およびRが、アルケン、アミド、アミン、カルボニル、カルボン酸、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、エーテル、アルキルエーテル、硫酸エステル、およびエーテル硫酸エステルからなる群より選択される1個以上の官能基である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
およびRが同じ炭素鎖である、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の組成物であって、エステルが:
i.プロパンジオールジステアレート、モノステアレート、およびその混合物;
ii.プロパンジオールジラウレート、モノラウレート、およびその混合物;
iii.プロパンジオールジオレエート、モノオレエート、およびその混合物;
iv.プロパンジオールジバレレート、モノバレレート、およびその混合物;
v.プロパンジオールジカプリレート、モノカプリレート、およびその混合物;
vi.プロパンジオールジミリステート、モノミリステート、およびその混合物;
vii.プロパンジオールジパルミテート、モノパルミテート、およびその混合物;
viii.プロパンジオールジベヘネート、モノベヘネート、およびその混合物;
ix.プロパンジオールアジペート;
x.プロパンジオールマレエート;
xi.プロパンジオールジベンゾエート;
xii.プロパンジオールジジアセテート;ならびに
xiii.これらの混合物
からなる群より選択される、組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の組成物であって、エステルが:
a.プロパンジオールジステアレート、モノステアレート、およびその混合物;
b.プロパンジオールジオレエート、モノオレエート、およびその混合物;
c.プロパンジオールジカプリレート、モノカプリレート、およびその混合物;
d.プロパンジオールジミリステート、モノミリステート、およびその混合物;
e.これらの混合物
からなる群より選択される、組成物。
【請求項16】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
少なくとも2%の生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも5%の生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも10%の生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも25%の生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
少なくとも50%の生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物を製造するための方法であって、該方法は:
(a)生物学的に産生された1,3−プロパンジオールを与える工程;
(b)1,3−プロパンジオールを有機酸と接触させる工程であって、ここで、エステルを産生する工程;および
(c)エステルを回収する工程
を包含する方法。
【請求項23】
1,3−プロパンジオールが少なくとも95%の生物ベース炭素を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
1,3−プロパンジオールが100%の生物ベース炭素を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
生物学的に産生される1,3−プロパンジオールが以下の特徴:1)220nmにおいて約0.200未満、および250nmにおいて約0.075未満、および275nmにおいて約0.075未満の紫外吸収;2)約0.15未満のL*a*b*「b*」色値、および270nmにおいて約0.075未満の吸収を有する組成;3)約10ppm未満のペルオキシド組成;ならびに4)約400ppm未満の全有機不純物の濃度;の少なくとも1つを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
請求項22に記載の方法において製造されたエステルを含む組成物。
【請求項27】
1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物であって、エステルが、結合剤、表面活性剤、調整剤、構造剤、発泡剤、保湿剤、消泡剤、乳化剤、香料、ゲル化剤、増粘剤、安定剤、界面活性剤、ゼラチン化剤、質感剤(texturizer)、乳白剤(opacificer)、光沢剤(pearlizing agent)、溶媒、分散剤、湿潤剤、混和剤(compatibilizer)、腐食防止剤、潤滑剤、乳化破壊剤、殺生物剤、および抗微生物剤からなる群より選択される成分として機能する、組成物。
【請求項28】
パーソナルケア組成物、洗浄剤組成物、可塑剤組成物、および食品組成物からなる群より選択される、1,3−プロパンジオールのエステルを含む組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−532506(P2009−532506A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509554(P2009−509554)
【出願日】平成19年2月12日(2007.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/003839
【国際公開番号】WO2008/123845
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(507150884)デユポン・テイト・アンド・ライル・バイオ・プロダクツ・カンパニー・エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】