説明

生理学的徴候を着装携行式にモニタするモニタ装置、システムおよび記録媒体

【課題】誘導プレチスモグラフの従来技術には、肺および心臓のパラメータを非侵襲的、着装携行式にモニタする実際的で有効な装置を教示しているものはない。
【解決手段】モニタ対象である個体が着用する改良型モニタ用上着に取付けられた生理学的モニタ装置を含む。この上着は、肺機能を反映するパラメータ、心臓機能を反映するパラメータ、または他の器官系機能を反映するパラメータをモニタするセンサを装着しており、好ましくは、1本または複数本のECGリード、および個体に密着して配置される導電性ループを具備する1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ・センサを含む。このモニタ装置はまた、センサからデータを受信し、そのデータをコンピュータ可読媒体内に格納するユニットを含む。また、複数の生理学的モニタ装置が生成するデータを受信、格納し、格納したデータを個体および医療関係者に利用できるようにする中央データ・リポジトリを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個体の生理学的パラメータを着装携行式かつ非侵襲的にモニタする分野に関する。特に、本発明は、モニタ対象である個体が着用する改良型上着に取付けるモニタ装置に関し、この上着は、肺機能を反映するパラメータ、心臓機能を反映するパラメータ、または他の器官系機能を反映するパラメータをモニタするセンサを装着している。本発明はまた、生理学的パラメータ・データを受信、格納および処理し、それをその個体および医療関係者に利用できるようにするシステムも含む。
【背景技術】
【0002】
以下において、「プレチスモグラフ(plethysmography)」(およびその派生語)の語は、胸部または腹部の断面積などの身体の断面や、頸部または腕の断面積などの身体の一部に対する測定法をいう(これは、医療業界の標準よりやや狭義である)。さらに、本明細書でいう「誘導プレチスモグラフ(inductive plethysmography)」とは、インダクタンスの決定により左右されるプレチスモグラフ測定法をいう。
【0003】
誘導プレチスモグラフによる心肺生理学的パラメータの測定は周知である。例えば、数多くの測定方法および装置が以下の米国特許に開示されている。これらの開示内容全体を参照により本明細書内に引用したものとする。
【0004】
(1)特許文献1には、患者の胸部断面積における変量、または胸部および腹部断面積における変量を測定することにより呼吸量をモニタする方法および装置が開示されている。各領域の測定は、身体周囲に密着させて巻いた伸縮自在な導体のインダクタンスを決定して行い、好ましくは患者に例えば坐位および仰臥位という少なくとも2種類の身体位置を取らせて、息を数回させ、その対応容積を直接測定しながら、その息による領域変量を測定することにより、その測定値を較正する。
【0005】
(2)特許文献2には、腹部および胸部の断面積を表す重み付け信号により呼吸量を決定する方法および装置が開示されている。この方法では、重み付けしていない胸部および腹部信号を利用する別の測定器で呼吸量を測定する手順で重み係数を決定し、腹部および胸部の第1の相対的寄与率に基づく第1の一連の息と、腹部および胸部の第2の相対的寄与率に基づく第2の一連の息とについて測定を行う。
【0006】
(3)特許文献3には、誘導プレチスモグラフにより頸部の断面積を測定して心肺事象をモニタする方法が開示されており、さらに、誘導プレチスモグラフにより、口腔を横切って延在する平面で頭部断面積を測定することにより口腔容積をモニタする方法が開示されている。
【0007】
(4)特許文献4には、頸部周囲に密着する伸長性導体であって、まず、導体のインダクタンスから頸部容積を決定できるように、断面積に対して較正され、次に、導体のインダクタンスから胸腔内圧も決定できるように、また、測定した頸部容積から胸腔内圧も得られるように、非侵襲的に測定した胸腔内圧に対して較正される導体を提供することにより、被検者頸部容積を測定するプレチスモグラフ方法が開示されている。
【0008】
(5)特許文献5には、好ましくは表面誘導プレチスモグラフ変換器による、頭蓋骨(胸腔内圧の機能として呼吸と共に動くことがわかっている)と、好ましくは鼻用カニューレ、サーミスタ、熱電対またはCO2センサによる、鼻の換気との相対移動を同時にモニタすることにより、乳幼児における無呼吸の存在および発生を検出する方法が開示されている。この方法の場合、頭蓋骨の動きと鼻における呼吸空気流との双方が変化しなければ中枢性無呼吸が起きていることを示し、頭蓋骨は動くが鼻における空気流がなければ閉塞性無呼吸であることを示している。
【0009】
(6)特許文献6には、無呼吸症状の出現における異なる型を識別する装置および方法が開示されている。この方法は、新たな指数である部位の全変位量/一回換気量(TCD/VT)(total compartmental displacement/tidal volume)を測定するステップと、全呼吸量に対する腹部寄与率と肋骨郭部寄与率との間の位相関係を測定するステップとを含み、その症状出現は、TCD/VT値および位相関係を基に、中枢性、閉塞性またはこれらの混合型に分けられる。
【0010】
(7)特許文献7には、ヒトの胴部または他の立体的対象の周囲に配置する導体を組み入れており、誘導プレチスモグラフによる呼吸モニタと併用することを特に目的とした改良型で低コストの伸縮性ベルトと、大量生産技術に適する、そのベルトの製造方法と、ベルトが呼吸モニタ装置内に組み入れられると、ベルトの導体に剥離自在に接続される回路を収容する改良型包囲部とが開示されている。
【0011】
(8)特許文献8には、呼吸時における患者の胸部断面積変化、または好ましくは腹部および胸部双方の断面積変化を誘導プレチスモグラフにより測定して呼吸量をモニタする方法および装置と、好ましくは患者に少なくとも2種類の身体位置、例えば坐位および仰臥位を取らせながら、数回の息についてその量を直接測定しつつ、対応する断面積変化を測定することによりこの装置を較正する方法が開示されている。
【0012】
(9)特許文献9には、好ましくは被検者頭部上で少なくとも2つの隣接する頭蓋骨間に固定した表面型誘導プレチスモグラフ変換器を用いて、隣接する頭蓋骨間の相対移動を検出することにより乳幼児被検者の胸腔内圧を測定することと、一時的に手動で被検者の鼻や、挿管治療中であれば気管内挿入管を塞いで、この閉塞時に被検者が吸気しようとしたときの気道圧を測定し、その測定圧力値を測定信号と比較することにより、この測定装置を較正する方法とが開示されている。
【0013】
(10)特許文献10には、呼吸周期中、較正されていない肋骨郭部および腹部信号の各息に対する相対的振幅を示す複数のパラメータ値を合計し、肋骨郭部および腹部信号の一方の値の合計平均値の平均変数を、もう一方の信号値の合計平均値の平均変数で割ることにより、呼吸量を決定するための信号重み係数を表す商を導き出して、呼吸量の誘導プレチスモグラフ測定値を較正する改良型方法が開示されている。
【0014】
(11)特許文献11には、中心静脈圧(CVP)およびCVPの変化を測定する方法および装置と乳幼児のCVPを測定する改良型変換器(50)とが開示されている。この場合、プレチスモグラフ変換器は、被検者の頸部(または乳幼児の場合は頭部)に配置され、この変換器からの信号を処理すると心臓成分を得られ、変換器から基準線までの鉛直距離を、信号が静脈用配置と動脈用配置または混合型静脈−動脈用配置との間で変化する位置が定まるまで調節する。その鉛直距離によりCVPを概算する。
【0015】
(12)特許文献12には、中心静脈圧(CVP)およびCVPの変化を測定する改良型方法および装置と乳幼児のCVPを測定する改良型変換器とが開示されている。
【0016】
(13)特許文献13には、変換器をモニタ対象である肺の上方に当たる胴部分上に配置することにより、その変換器に、その下に接触している胴部分の動きに対応する、言い換えると、その下に位置する肺の容積変化に対応する信号を生成させて、個体の肺機能をプレチスモグラフによりモニタする非侵襲的方法および装置と、また、下に位置する肺の一部のみを包囲するように胴部表面に配置された変換器を用いて局部的肺容積変化をモニタする方法および装置とが開示されている。
【0017】
(14)特許文献14には、第1の移動検出変換器を、胴部表面で、心臓または大血管の2つの正反対に位置する辺縁部分上にかかるように配置するステップと、少なくとも部分的心室容積波形または部分的大動脈圧脈波形を含む心臓成分を含む、変換器により範囲を定められた胴部分の移動を示す信号を生成するステップと、その心室容積波形または大動脈圧脈波形における変化をモニタすることにより、心臓機能を査定するステップとを含む、動物やヒト被検者の心臓機能をモニタする方法およびそのための装置が開示されている。
【0018】
(15)特許文献15には、ヒトの胴部または他の立体的対象周囲に配置する導体を組み入れており、プレチスモグラフによる呼吸モニタ装置との併用を特に目的とした、改良型で低コストの伸縮性ベルトが開示されている。
【0019】
(16)特許文献16には、誘導プレチスモグラフの設計を変更することと、その関連電気回路の設計を改良することとの双方により、関連電気回路を変換器上ではなく遠隔に配置できるようにして、誘導プレチスモグラフが生成するインダクタンス「信号」の検出を改善するための装置および方法が開示されている。
その改善点は、誘導プレチスモグラフの一次側巻線のインダクタンスが反射インダクタンスの約10倍を超える大きさになるように、誘導プレチスモグラフを発振器に結合するインピーダンス整合変圧器、および、誘導プレチスモグラフを変圧器に結合するケーブル、または誘導プレチスモグラフの導体を中に具備して身体部分周囲に複数回巻き付けるケーブルを選択すること、または、中心導体の直径に対するスクリーン直径の比率が、ユニット長さ当たりのインダクタンスを低下させるために最小限になるよう、変圧器に誘導プレチスモグラフを接続するケーブルを選択することを含む。
【0020】
(17)特許文献17には、脈波形それぞれの収縮期昇脚時間が所定範囲内かどうかにより、光電プレチスモグラフで決定される、動脈内酸素飽和度を容認できる有効な脈波形と、飽和度を容認できないアーティファクト脈波形との間を区別するための、パルス・オキシメトリ内で用いる方法および装置が開示されている。有効脈波形に対する収縮期昇脚時間は、患者間でもわずかに変化するだけの一定で狭い範囲内であり、経験的に各被験者について規定できる、またはすべての被検者に適用可能なデフォルト設定により固定できることがわかっている。
【0021】
(18)特許文献18には、誘導プレチスモグラフに基づくデバイスなどの体外呼吸測定デバイスにより測定される肋骨郭部運動および腹部運動から導き出される呼吸波形を利用して最大呼気流量および最大吸気加速度を決定することにより、機械的換気装置により吸息を開始するのに有用な呼吸動力を測定し、持続陽圧呼吸(CPAP)デバイスを制御するために波形形状を表す指数を決定する方法が開示されている。
【0022】
(19)特許文献19には、好適実施形態ではシャツである、心電図電極と、接着剤を備えたその衣服に縫付け、刺繍、埋め込みまたは他の方法で取付けられた様々な誘導プレチスモグラフ・センサとを具備した衣服を含み、センサに生成された信号が記録/警報デバイスに伝送されて、そこでログされ、有害な状態または他の事前プログラムされている状態についてモニタする、非侵襲的生理学的徴候モニタデバイスが開示されている。有害な状態または他の事前プログラムされている状態が発生したら、音声メッセージまたは表示によりメッセージが患者に送られる。この記録/警報ユニットはまた、医療専門家または他の機械がモニタできるように、遠隔受信ユニットに接続可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許第4,308,872号、1982年1月5日発行、名称「呼吸をモニタするための方法および装置(Method and Apparatus for Monitoring Respiratory)」
【0024】
【特許文献2】米国特許第4,373,534号、1983年2月15日発行、名称「呼吸モニタシステムを較正する方法および装置(Method and Apparatus for Calibrating Respiration Monitoring System)」
【0025】
【特許文献3】米国特許第4,452,252号、1984年6月5日発行、名称「心肺パラメータをモニタする非侵襲的方法(Non−invasive Method for Monitoring Cardiopulmonary Parameters)」
【0026】
【特許文献4】米国特許第4,456,015号、1984年6月26日発行、名称「頸部容積変化を半定量測定する非侵襲的方法(Non−invasive Method for Semiquantitative Measurement of Neck Volume Changes)」
【0027】
【特許文献5】米国特許第4,648,407号、1987年3月10日発行、名称「乳幼児の中枢性無呼吸と閉塞性無呼吸とを検出および区別する方法(Method for Detecting and Differentiating Central and Obstructive Apneas in Newborns)」
【0028】
【特許文献6】米国特許第4,777,962号、1998年10月18日発行、名称「呼吸時の肋骨郭部および腹部往復運動を測定する体外モニタ装置により中枢性、閉塞性、混合型無呼吸を区別する方法および装置(Method and Apparatus for Distinguishing Central Obstructive and Mixed Apneas by External Monitoring Devices Which Measure Rib Cage and Abdominal Compartmental Excursions During Respiration)」
【0029】
【特許文献7】米国特許第4,807,640号、1989年2月28日発行、名称「呼吸モニタ装置に特に適した伸張性ベルト型変換器(Stretchable Band−type Transducer Particularly Suited for Respiration Monitoring Apparatus)」
【0030】
【特許文献8】米国特許第4,815,473号、1989年3月28日発行、名称「呼吸をモニタする方法および装置(Method and Apparatus for Monitoring Respiration)」
【0031】
【特許文献9】米国特許第4,860,766号1989年8月29日発行、名称「乳幼児の胸腔内圧を測定およびモニタする非侵襲的方法(Noninvasive Method for Measuring and Monitoring Intrapleural Pressure in Newborns)」
【0032】
【特許文献10】米国特許第4,834,109号、1989年5月30日発行、名称「単一点における非侵襲的較正技術(Single Position Non−invasive Calibration Technique)」
【0033】
【特許文献11】米国特許第4,986,277号、1991年1月22日発行、名称「中心静脈圧を非侵襲的にモニタする方法および装置(Method and Apparatus for Non−invasive Monitoring of Central Venous Pressure)」
【0034】
【特許文献12】米国特許第5,040,540号、1991年8月20日発行、名称「中心静脈圧を非侵襲的にモニタする方法および装置とそのための改良型変換器(Method and Apparatus for Non−invasive Monitoring of Central Venous Pressure,and Improved Transducer Therefor)」
【0035】
【特許文献13】米国特許第5,159,935号、1992年11月3日発行、名称「個体の肺機能に対する非侵襲的推定(Non−invasive Estimation of Individual Lung Function)」
【0036】
【特許文献14】米国特許第5,178,151号、1993年1月12日発行、名称「心臓容積および大動脈波の変化を非侵襲的に検出するシステム(System for Non−invasive Detection of Changes of Cardiac Volumes and Aortic Pulses)」
【0037】
【特許文献15】米国特許第5,301,678号、1994年4月12日発行、名称「呼吸モニタ装置との併用に特に適した伸張性ベルト型変換器(Stretchable Band−Type Transducer Particularly Suited for Use with Monitoring Apparatus)」
【0038】
【特許文献16】米国特許第5,331,968号、1994年7月26日発行、名称「誘導プレチスモグラフ変換器およびそのための電子回路(Inductive Plethysmographic Transducers and Electronic Circuitry Therefor)」
【0039】
【特許文献17】米国特許第5,588,425号、1996年12月31日発行、名称「パルス・オキシメトリにおける有効脈波形とアーティファクト脈波形との間を区別する方法および装置(Method and Apparatus for Discriminating Between Valid and Artifactual Pulse Waveforms in Pulse Oximetry)」
【0040】
【特許文献18】米国特許第6,015,388号、2000年1月18日発行、名称「呼吸波形をその神経筋呼吸含意として解析する方法(Method for Analyzing Breath Waveforms as to Their Neuromuscular Respiratory Implications)」
【0041】
【特許文献19】米国特許第6,047,203号、2000年4月4日発行、名称「生理学的徴候フィードバックシステム(Physiologic Signs Feedback System)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
しかしながら、誘導プレチスモグラフの従来技術には、肺および心臓のパラメータを非侵襲的、着装携行式にモニタする実際的で有効な装置を教示しているものはない。このような実際的で有効な装置があれば、医療を、熟練した医療関係者が管理するこれまでの病院拠点から、可能であれば患者が普通に日常生活を送りながら各患者が自己管理する自宅拠点へと移しやすくなるため、大変役立つ。
医療をこのように移動させると、医療費用が削減でき、治療計画に対する患者の関わり方および参加の仕方が深くなる可能性があるため、社会的に望ましいことがわかっている。非侵襲的かつ着装携行式モニタ装置は、血管カテーテルなどの身体内に配置される侵襲性センサに付随し、病院外でかなり高まる危険性がなくなるため、こうした移行を補助できるものである。
【0043】
この節内の上述の特許を含めた引例、または本明細書のすべての節内における引例の対する言及または確認も、こうした引用内容が従来技術として本発明に利用可能であると認めるものとして解釈されるものではない。
【0044】
本発明の目的は、重要な心肺パラメータを非侵襲的かつ着装携行式にモニタする実際的で有効な装置、および、医療結果を改善し、医療費を削減するように監視データを解釈して利用するために使用可能なシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0045】
好適実施形態において、好適装置は、誘導プレチスモグラフおよび他の生理学的センサを具備していながら、日常生活で活動している大半の間、着用していられるほど十分に快適で邪魔にならない衣服である。
【0046】
より詳細には、第1の実施形態において、本発明は、個体の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ装置を含む。このモニタ装置は、モニタする個体の胴部用シャツを含むモニタ用衣服と、胴部周囲に密着して配置され、その胴部の断面積に応答するインダクタンスを有する少なくとも1本の導電性ループを具備するインダクタンス・センサをそれぞれ含む、1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサと、心室収縮の発生に応答して信号を生成する心周期センサと、そのセンサからの信号を伝送する信号ケーブルと、信号ケーブルからの信号を受信し、受信したすべての信号から得られるデジタル・データを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ・ユニットとを含む。
【0047】
第1の実施形態の第1の態様において、心周期センサは、モニタ対象の個体に装着される少なくとも1つの心電図(ECG)電極を含む。この心周期センサは、頸部断面積が心室の収縮により発生する頸動脈の脈動に応答し、IPセンサのインダクタンスが、その頸部断面積に応答することから、心室の収縮に応答するIPセンサのインダクタンス信号を送信する、モニタ対象の個体の頸部周囲に密着する少なくとも1つのIPセンサを含む。コンピュータ可読媒体は、磁気ディスクを含み、フラッシュ・メモリ・モジュール(64MB以上)を含む。
【0048】
第1の実施形態の第2の態様において、モニタ用衣服はさらに、モニタ対象の個体頸部用ベルトを含み、IPセンサは、頸動脈波、頸動脈波、呼吸に関係する肋膜内圧変化、頸部筋肉の収縮、嚥下運動による偏位に応答する信号を発生するように作動的に配置された頸部誘導プレチスモグラフ・センサを含み、信号ケーブルはさらに、頸部IPセンサの導電性ループに対する装着部分を含む。IPセンサは、患者の呼吸パターンを測定するように作動的に配置された、1本またはそれ以上の導電性ループを具備する少なくとも1つの腹部IPセンサと、1本またはそれ以上の導電性ループを具備する少なくとも1つの肋骨郭部IPセンサとを含む。IPセンサは、心室拍出量を測定するように作動的に配置された2本以上の導電性ループを具備する少なくとも1つの胸部IPセンサを含む。IPセンサは、下腹部内収縮および拡張を測定するように作動的に配置された少なくとも1つの下腹部IPセンサを含む。IPセンサは、患者の呼吸と、半胸部と半胸部との間の奇異運動とを測定するように作動的に配置された少なくとも1つの半胸部IPセンサを含む。
【0049】
第3の態様において、第1の実施形態はさらに、信号ケーブルに装着されるセンサであって、個体の姿勢を示す身体位置センサ、動脈血酸素飽和度を示すパルス・オキシメータ、および発声といびきを示す喉当てマイクロフォンからなる群から選択される1つまたは複数の別のセンサ、または、衣服に取付けられる第1の身体位置センサと個体の大腿に取付けられる第2の身体位置センサとを含む少なくとも2つの身体位置センサを含む。また、誘導プレチスモグラフIPセンサは、誘導プレチスモグラフ・センサの衣服に対する縫付け、刺繍、埋込み、織込み、および印刷の1つからなる装着方法により衣服の一構成部分として衣服に装着される。マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、モニタ対象の個体に音声指示を出力する音声デバイスを含む。マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、モニタ対象の個体に、目に見えるメッセージを表示するディスプレイ装置を含む。
マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、モニタ対象の個体がマイクロプロセッサ・ユニットへの情報やコマンドを入力できる入力装置を含む。
【0050】
第1の実施形態の第4の態様において、マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、マイクロプロセッサにアクセス可能な記憶装置を含む。この記憶装置は、マイクロプロセッサに、入力データを読み取らせ、その入力情報から得られた出力データを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に書き込ませるための符号化されたソフトウェア命令を含む。この記憶装置はさらに、マイクロプロセッサに、モニタ対象の個体内の重要な生理学的事象を決定させ、決定された重要事象を個体に音声で通知させるための符号化されたソフトウェア命令を含む。マイクロプロセッサ・ユニットは、決定された事象を無線で伝送する構成要素を含み、記憶装置はさらに、マイクロプロセッサに、モニタ対象の個体内で進行している重要な一時的生理学的傾向を決定させ、決定された重要な傾向を個体に音声で通知させるための符号化されたソフトウェア命令をさらに含む。マイクロプロセッサ・ユニットは、決定された重要な傾向を無線で伝送する構成要素を含む。記憶装置はさらに、マイクロプロセッサに、取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体に書き込む前にデータを圧縮させるための符号化されたソフトウェア命令を含む。
【0051】
第1の実施形態の第5の態様において、マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、信号ケーブルから受信した非デジタル・データからデジタル・データを導き出すための回路を含む。モニタ装置はさらに、各IPセンサから可変周波数信号を生成する回路を含む。生成される周波数は、IPセンサが具備する導電性ループのインダクタンスに応答するものである。マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、生成された可変周波数信号から、信号の可変周波数を100ppm以下の誤差で符号化することを含むデジタル・データを導き出す回路を含む。
【0052】
第2の実施形態において、本発明は、個体の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ装置を含む。この装置は、モニタ対象の個体の胴部用シャツを含むモニタ用衣服と、(i)胴部周囲に密着させるために衣服に装着された弾性材料による細長いベルト、(ii)その細長いベルトに取付けられ、巻き付けられた胴の断面積に応答するインダクタンスを有する少なくとも1本の可撓性の導電性ループを含むインダクタンス・センサ、および(iii)胴部に沿ってIPセンサが長手方向に移動することを実質的に防止するようにIPセンサの周方向の締め具合を調節する締め具をそれぞれ含む、1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサと、IPセンサからの信号を受信し、受信したすべての信号から得られるデジタル・データを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ・ユニットとを含む。
【0053】
第2の実施形態の第1の態様において、センサが具備する導電性ループのインダクタンスが示す生理学的パラメータに測定可能な変化がなければ、各IPセンサの長手方向の移動は実質的に防止されていることになる。モニタ用衣服は、IPセンサを実質的に長手方向に移動させるほどにIPセンサに大きな力をかけずに胴部を長手方向に伸張できるように設けた余分な布帛を含む。モニタ用衣服を個体が着用している間に、センサが具備する導電性ループのインダクタンスが示す生理学的パラメータが変化すれば、各IPセンサの長手方向の移動はかなり大きいことになる。モニタ用衣服は、実質的に長手方向に移動させるほど大きな力をIPセンサにかけずに胴部を長手方向に伸張できるように長手方向の弾性が十分である布帛を含む。
【0054】
第2の実施形態の第2の態様において、締め具は、シンチ・ベルトと、余分なシンチ・ベルトを剥離自在に把持する、絞り紐を含む把持具とを含む。
【0055】
第3の態様において、第2の実施形態は、心室の収縮に応答して信号を生成する心臓タイミング・センサを含み、マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、心臓タイミング・センサから受信した信号から導き出されるデジタル・データを記憶する、または、そのセンサからの信号をマイクロプロセッサ・ユニットに伝送する信号ケーブルを含む。
【0056】
第3の実施形態において、本発明は、個体の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ装置を含む。この装置は、モニタ対象の個体の胴部用シャツおよびそのシャツを開閉する長手方向ファスナを含むモニタ用衣服と、胴部周囲に密着して配置され、その胴部の断面積に応答するインダクタンスを有する少なくとも1本の可撓性の導電性ループを具備するインダクタンス・センサをそれぞれ含む、1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサと、心室収縮の発生に応答して信号を生成する心臓タイミング・センサと、両端部がモジュールから取外し自在なIPセンサの導電性ループに接続されると電気的に導電性ループを完成させることができ、IPセンサに応答して信号を生成する回路を含む少なくとも1つのモジュールを含み、そのセンサからの信号を伝送する信号ケーブルと、信号ケーブルからの信号を受信し、受信したすべての信号から得られるデジタル・データを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ・ユニットとを含む。
【0057】
第3の実施形態の第1の態様において、少なくとも1つのIPセンサはさらに、胴部に沿ってIPセンサが長手方向に移動することを実質的に防止するようにIPセンサの周方向の締め具合を調節する締め具を含み、この締め具は、シャツのファスナを開けられるように配置可能である。IPセンサの導電性ループおよびモジュールはさらに、導電性ルーフとモジュールとの間の接続および取外しを可能にするため、嵌合接続部分をさらに含む。各IPセンサに応答してモジュールが生成する信号は、IPセンサが具備する導電性ループのインダクタンスに応答する発振器の周波数を、100(または10)ppm以下の誤差で符号化するデジタル・データを含む。
【0058】
第3の実施形態の第2の態様において、各IPセンサに応答してモジュールが生成する信号は、IPセンサが具備する導電性ループのインダクタンスに応答する可変周波数の信号を含む。マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、各IPセンサが生成する可変周波数信号から、100ppm以下の誤差で信号の可変周波数を符号化することを含むデジタル・データを導き出す回路を含む。マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、1つの誘導回路に、複数の可変周波数信号からデジタル・データを導き出させることのできる多重回路を含む。
【0059】
第4の実施形態において、本発明は、個体の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ装置を含む。この装置は、モニタ対象の個体の胴部用シャツを含むモニタ用衣服と、胴部周囲に密着して配置され、その胴部の断面積に応答するインダクタンスを有する少なくとも1本の可撓性の導電性ループを具備するインダクタンス・センサをそれぞれ含む、1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサと、心室収縮の発生に応答して信号を生成する心臓タイミング・センサと、IPセンサの導電性ループから直接信号を伝送し、センサから信号を伝送する信号ケーブルと、(i)IPセンサすべてが具備する導電性ループを、導電性ループのインダクタンスに応答する振動周波数を有する発振器に接続する多重化スイッチ、および(ii)発振器に作動的に接続されて、その振動周波数に応答するデジタル・データを出力する復調器を含む電子回路と、信号ケーブルから信号を受信し、電子回路からデジタル・データを受信し、受信入力からのデジタル・データを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に記憶するマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ・ユニットとを含む。
【0060】
第4の実施形態の第1の態様において、振動周波数に応答するデジタル・データの誤差は100(または10)ppm以下であり、電子回路はマイクロプロセッサ・ユニット内に収容されており、IPセンサが具備する導電性ループから発振器までのデータ信号ケーブルおよび多重化スイッチの抵抗は1Ω未満であり、多重化スイッチは、サンプリング周期(1ミリ秒以下)中、発振器が各IPセンサの導電性ループに周期的に接続されるように、制御されている。
【0061】
第4の実施形態の第2の態様において、復調器が出力するデジタル・データは、1サンプリング周期内に発生する発振器のサイクル数のカウントを符号化するデジタル・データと、カウントする発振器サイクル内に発生するクロックの周期数のカウントを符号化するデジタル・データとを含む。マイクロプロセッサ・ユニットはさらに、マイクロプロセッサにアクセス可能な記憶装置を含む。記憶装置は、マイクロプロセッサに、発振器サイクルのカウント数をクロック周期のカウント数で割ることにより実際の発振器周波数を決定させるための符号化されたソフトウェア命令を含む。記憶装置はさらに、マイクロプロセッサに、複数のサンプリング周期のカウント数を組み合わせることにより、より正確な周波数を決定させるためのソフトウェア命令を含む。
【0062】
第5の実施形態において、本発明は、個体の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ装置を含む。この装置は、モニタ対象の個体の胴部用シャツを含むモニタ用衣服と、胴部周囲に密着して配置され、その胴部の断面積に応答するインダクタンスを有する少なくとも1本の可撓性の導電性ループを具備するインダクタンス・センサをそれぞれ含む、1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサであって、少なくとも1つのセンサが、センサにより生成された信号を生理学的モニタ装置周辺内に無線で伝送するための送信器を含むセンサと、(i)センサから無線で伝送された信号を受信する受信器、および(ii)受信信号を受け付け、受信信号から導き出されるデジタル・データを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に記録するマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ・ユニットとを含む。
【0063】
第5の実施形態の第1の態様において、少なくとも1つのセンサはデジタル形式で出力信号を生成し、送信器は生成されたデジタル信号を伝送し、この送信器と受信器とはブルートゥース標準に準拠している。少なくとも1つのセンサが、可変周波数アナログ出力信号を生成し、送信器出力は、生成された可変周波数アナログ信号により変調される。すべてのセンサが、センサによる生成信号を生理学的モニタ装置周辺内に無線伝送する送信器を含む。
【0064】
第2の態様において、第5の実施形態はさらに信号ケーブルを含み、この信号ケーブルにより、少なくとも1つのセンサからの出力がマイクロプロセッサ・ユニットに伝送され、信号ケーブルにより伝送された信号から導き出されるデジタル・データをマイクロプロセッサが記録する。センサはさらに、心室収縮の発生に応答して信号を生成する心臓タイミング・センサを含む。
【0065】
第6の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの個体の生理学的パラメータを非侵襲的かつ生理学的にモニタするシステムを含む。このシステムは、モニタ対象の個体の胴部に着用されるモニタ用衣服を含み、(i)モニタ用衣服に柔軟に装着されている1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサ、および(ii)心室の収縮に応答して信号を生成する心臓タイミング・センサを含むセンサから生成されるデータを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内にデジタル形式で格納する少なくとも1つの生理学的モニタ装置と、生理学的モニタ装置から遠隔に位置して、取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体からのデータを読み取り、読み取ったデータをデータ・アーカイブに格納するデータ・リポジトリとを含む。
【0066】
第6の実施形態の第1の態様において、生理学的モニタ装置はさらに、データを無線で伝送し、データ・リポジトリはさらに、生理学的モニタ装置から伝送されたデータを無線で受信した後、そのデータを格納する。生理学的モニタ装置はさらに、生理学的事象および警報を決定するために、生成されたデータを処理するためのマイクロプロセッサを含み、無線で伝送されるデータは、その決定された生理学的事象および警報を含む。
【0067】
第2の態様において、第6の実施形態はさらに、生理学的モニタ装置と同じ場所に配置されており、生理学的モニタ装置により無線で伝送されたデータを受信し、受信したデータをローカル・データ・アーカイブ内に格納し、格納したデータをローカルの医療関係者が利用できるようにするための表示用端末装置を含むローカル・データ・リポジトリを含む。ローカル・データ・リポジトリはさらに、医療関係者およびこのシステム操作をモニタしているユーザに格納したデータを利用できるようにする表示用端末装置を含む。
【0068】
第3の態様において、第6の実施形態はさらに、それぞれが別々の個体をモニタする複数の生理学的モニタ装置を含み、データ・リポジトリが、複数の生理学的モニタ装置により記憶されたデータを、取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体から読み取る。
【0069】
第7の実施形態において、本発明はさらに、少なくとも1つの誘導プレチスモグラフ・センサが具備する少なくとも1本の導電性ループに接続された発振器の周波数に100ppm以下の誤差で応答するデータを含む、デジタル形式で記憶されているデータを含むコンピュータ可読媒体と、マイクロプロセッサ、データ・リポジトリなどに、上述の処理を実行させるための符号化ソフトウェアとを含む。
【発明の効果】
【0070】
以上、詳述したように、本発明によれば、重要な心肺パラメータを非侵襲的かつ着装携行式にモニタする実際的で有効な装置、および、医療結果を改善し、医療費を削減するように監視データを解釈して利用するために使用可能なシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明により製作した好適モニタ装置を示す正面図である。
【図2】本発明により製作した別の代表的モニタ用衣服を示す正面図である。
【図3】図2のモニタ用衣服を示す、部分断面背面図である。
【図4】モニタ用衣服に対する別の代表的実施形態を示す正面図である。
【図5】図1のモニタ用衣服を示すもう1つの図である。
【図6】図6Aは、誘導プレチスモグラフ信号処理に関する機能上の一配置を示す図であり、図6Bは、誘導プレチスモグラフ信号処理に関する機能上の別配置を示す図であり、図6Cは、誘導プレチスモグラフ信号処理に関する機能上の別配置を示す図である。
【図7】復調器の処理を示す図である。
【図8】図8Aは、個体のモニタ装置内における無線伝送の一方法を示す図であり、図8Bは、個体のモニタ装置内における無線伝送の別法を示す図である。
【図9】本発明によるモニタ装置の具体的な実施形態を示す図である。
【図10】本発明によるシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な生理学的徴候を着装携行式にモニタするモニタ装置及びシステムの実施の形態について詳細に説明する。
【0073】
本発明は、本発明の好適実施形態に関する以下の説明、本発明の具体的な実施形態の説明に役立つ例、および添付の図面を参照すると、より完全に理解できるであろう。
【0074】
この節の始めに、誘導プレチスモグラフ、その生理学的適用例、およびその測定要件について説明する。その後、好適実施形態において、誘導プレチスモグラフ・センサを組み入れた様々な衣服である、肺および心臓のパラメータを非侵襲的、着装携行式にモニタする、本発明の実際的で有効な装置について詳述する。
【0075】
〔誘導性プレチスモグラフ〕
本明細書でいう「誘導プレチスモグラフ」は、測定対象である領域の周囲に密着させた可撓性導体の自己インダクタンスを決定することにより、身体の断面積を測定する方法をいう。実質的に平面状である導電性ループのインダクタンスは、とりわけループの断面積と共に変化することでよく知られているため、インダクタンス測定値を、プレチスモグラフ領域の定量値に変換することができる。ループをインダクタンスとして可変周波数LC発振器に接続した後、発振器の周波数をループ・インダクタンスの断面積と共に変化させることなどの従来技術で周知の技法により、変化するループ・インダクタンスを測定することができる。発振器の周波数をデジタル値に変換し、これをさらに処理して、対象の生理学的パラメータを得る。
【0076】
具体的にいえば、身体の断面積を測定する可撓性導体を身体領域の周囲に密着させ、これにより、インダクタンスと、測定対象断面積を通過する磁束の測定結果から得られるその変化とを測定する。したがって、インダクタンスは、測定する断面積により直接変化するものであり、測定対象断面積を変化させる要因の結果として変化する領域により間接的に変化するものではない。
【0077】
医療上および研究上重要な様々な生理学的パラメータを、身体の様々な断面積に対する反復測定により抽出することができる。例えば、呼吸量、呼吸速度、無呼吸およびその型などの肺機能パラメータを、少なくとも胸部を横切る断面、好ましくは腹部を横切る断面も含めた領域(および任意に他の断面積)を測定することにより、特定することができる。上記特許文献1および8などを参照されたい。また、上記特許文献2、3,4,6,10,13および18なども参照されたい。これらには、呼吸関連の誘導プレチスモグラフ信号に対する様々な較正および処理技術、ならびに肋膜内圧力および個体肺機能を測定する派生技術およびそれに続く説明が記載されている。
【0078】
中心静脈圧、左心室および右心室容積波形、および大動脈および頸動脈脈圧力波形などの心臓パラメータを、頸部、および心臓を通過する胸部を横切る断面積に対する反復測定から抽出することができる。上記特許文献11、12,14などの特許を参照されたい。少なくとも、剣状突起位置周辺における平面の断面を測定する。これらの断面積における変数から心臓データを容易に抽出するために、心臓タイミング、特に左心室収縮の開始について並行測定値を得られると有用である。タイミング測定値は、並行ECG測定により得ることが好ましく、頸部の頸動脈パルス信号による測定値ではあまり好ましくない。注:より詳細には、心臓内のより深いところを横切る断面積を測定すると、左心室波形をより明確に示す値が得られ、心臓のより表面に近いところを横切る領域を測定すると、右心室波形をより明確に示す値が得られる。肺信号との相関によって、これらの心臓信号をより確かに識別することができる。左心室波形は通常、吸息時より呼息時により大きな拍出量を有し、右心室波形は通常、この反対のパターンを有する。
【0079】
さらに、関連パラメータを上記およびその他の信号から抽出することができる。心臓関連の信号からは、いずれのECG変化とも別に、虚血の徴候が得られる可能性がある。心室壁虚血は、心室収縮時における壁部の奇異運動によるものとして周知である(通常は内側に収縮するが、虚血部が奇異に外側に「膨らむ」)。こうした壁部奇異運動とそれによる心臓虚血の徴候とを、胸部を横切る断面積の測定値から抽出することができる。奇異運動が左心室波形か右心室波形かに主に見られる場合、左心室または右心室の虚血を区別することができる。別の例として、左心室および右心室の収縮開始が別個に見られる場合、これを両室心臓ペーシング・デバイスへのフィードバックに活用することができる。別の例として、動脈血酸素飽和度測定法では、ヘモグロビンの飽和度を、赤外線に対する指の光学的性質変化を測定することにより決定する。この信号を明確にして肺のデータと組み合わせると、肺機能に関する情報の正確度が高まる。例えば特許文献17を参照されたい。
【0080】
他の断面積を測定することによる他の生理学的パラメータの決定を、以下に説明する。
【0081】
生理学的パラメータを有用かつ有効に決定するには一般に、十分な度合いで十分に正確なインダクタンス測定が必要である。第1に、費用が妥当であるという理由によるエレクトロニクスを利用することにより起こる干渉を避けるため、それ以外にはあまり使用されていないか、少なくとも大半の着装携行設定では衝突することが少ないかのいずれかである周波数にてループ・インダクタンスを測定することが好ましい。好適周波数は約200kHz〜約400kHzであり、これは、航空および航行標識に割り当てられている周波数で、標準AM放送用周波数帯を下回る範囲である。
【0082】
次に、必要となる測定正確度を、周知の電子回路の法則と、モニタする生理学的事象から得られる身体偏位量とを組み合わせることにより決定することができる。測定正確度を、具体的な測定機器構成を見てから単純に決定することもできる。いずれの手法を用いても、呼吸活動により一般に、500〜1000ppm(単位:百万分の1)の周波数変化を得ることを決定しておく。心臓が活動すると一般に、周波数は50〜100ppm変化する。したがって、呼吸および心臓双方の活動をモニタする場合、最も好適な周波数測定は、1〜2ppm未満の正確度を有するものであり、好適には5ppm未満であり、10ppm未満(および少なくとも100ppm未満)ではあまり好適ではない。
【0083】
呼吸および心臓活動に対する十分な測定速度は一般に、従来技術で周知であり、観察結果により確認および精緻化されてきている。一般に、呼吸活動は、好ましくはおよそ50Hz以上で測定され、心臓活動(断面積およびそれに伴うすべてのECGを含めて)は、好ましくはおよそ200Hz以上で測定され、血管活動(動脈または静脈の脈動など)は、好ましくは100Hz以上で測定される。
【0084】
無論、具体的なモニタリングによって、これより高い正確度および速度が必要な場合、または正確度や速度を下げてもよい場合がある。当業者がそのモニタ作業を見れば、適した正確度および速度を容易に決定できるであろう。
【0085】
〔好ましい装置〕
以下に、本発明の具体的な態様を様々に組み合わせて説明する。説明する組み合わせは代表例として挙げるものであり、何ら限定するものではない。当業者であれば、例示の有無にかかわらず、これらの具体的な態様を、異なるモニタ作業に対応させられるように異なる組み合わせで利用可能であることが明白であろう。簡単な例を挙げると、心臓(肺)パラメータの場合には、肺(または心臓)用センサをモニタ装置から除去することができる。一方、例示する実施形態に、必要であれば追加センサを付加することもできる。
【0086】
1.モニタ用衣服およびセンサ
図9は、モニタ対象の個体への負担を最小限にしながら、経済的な方法で、日常活動に対して着装携行式に基本的な肺および心臓のパラメータをモニタするための、本発明によるモニタ装置の一実施形態を示す。この装置は、モニタ用衣服1と、センサ撚り合わせケーブル2と、マイクロプロセッサ・ユニット3とを含む。
【0087】
これらの構成要素について、次に詳しく説明する。まず図1を見ると、モニタ用衣服1(図1)は概して、体格のよい男性に適した袖なしシャツの形態である。これより華奢な男性、または様々な体型の女性にも適するようにこの衣服を変形することは、当業者であれば容易に理解できよう。別法として、この衣服の形状および材料を、本発明に説明する要件を満たしつつ、一定範囲の体型の個体に適し、かつ性別に関係なく着用可能であるようにすることができる。さらに別の方法として、この衣服を弾性材料で製造し、これにより、1種類の形状および寸法で様々な個体に合わせられるようにしてもよい。
【0088】
基本的な肺のパラメータを測定するには、衣服1に、胸部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト4および腹部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト6を取付ける。ベルト4を、好ましくは脇のすぐ下に配置し、ベルト5を、好ましくは臍上1〜2cmのところに配置する。基本的な心臓パラメータを測定するには、衣服1に、胸部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト5と、衣服1とは別個になっている任意の頸部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト7とを用意する。
ベルト5を、好ましくは剣状突起と同じ高さに配置し、ベルト7を、好ましくは頸部基部上1〜2cmのところに配置する。この衣服に、ECG電極と、ECGリード10(右腕信号付近)および11(左腕信号付近)および12(左脚シート信号付近)とを具備する切抜き部分12を設けることが好ましい。別の実施形態において、センサ・ベルト4および6またはセンサ・ベルト5をなくすことができる。または任意のセンサ・ベルト7の省略、または追加センサ・ベルトの装着なども可能である。
【0089】
この実施形態では、すべてのECG信号を含めて、衣服に取付けたセンサすべてからの信号は、信号ケーブル2を介して外部マイクロプロセッサ・ユニット3に導かれる。信号ケーブル2は、任意の頸部ベルト7からの信号を導くために、任意の信号ケーブル13により延長されている。信号ケーブル2と様々なセンサとの間の接続部分は、開口可能なフラップ18の下に配置される。このフラップが、接続部分、およびセンサと密接に関係する電子装置モジュールのすべてを分断や破損から保護すると同時に、外観をより美しく見せている。別の実施形態において、いくつかのスナップなどを配置して、これにより信号ケーブルを衣服に装着し、関係する電子装置モジュールを衣服のポケット内に携帯させ、接続部分を機械的手段により固定箇所にしっかり保持することも可能である。信号ケーブルを保護しながら固定する方法は、これ以外でも当業者であれば明白であり、それらも本発明の範囲内とする。
【0090】
フラップの下に、好ましくは衣服と同じ長さの、ジッパーを設けて、衣服を着脱し易くする。別法として、あまり好ましくはないが、衣服をワンピースにして、頭から着脱するようにすることもできる。この場合、ジッパーや他の留め具は不要である。他の同様の衣服用留め具も利用可能であり、その例として、複数個のボタンやボタン穴、またははとめ内を通す複数本のループ、複数本の紐、または、複数の歯を用いずに右半分と左半分とが連続的に互いに嵌合する、ジッパーに似た器具が挙げられる。
【0091】
誘導プレチスモグラフ(IP)センサ・ベルト4、5、6および7と衣服1自体とは、良好な信号特性を得るのに有利ないくつかの条件を満たすように、好ましくはいくつかの機能上または構造上の構成要素を有する。第一に、センサ・ベルトに、センサ自体を具備する。このセンサは、断面積が測定対象となる実質的に身体を横切る平面の周囲に巻き付ける導体ループである。活動時に変化する断面積を正確に感知するために、ベルトを、(モニタ対象である個体の身体の)胴部上で周方向に密着した状態に保持しなくてはならないため、この導体を長手方向に可撓性にして、通常の生理学的な動きに適合させる必要がある。さらに、十分な測定正確度および速度を得るため、導体ループを含むLC回路に十分に高いQファクタを持たせなければならない。一般に、好適周波数において、導体の抵抗は、好ましくはおよそ1Ω(オーム)未満である。可撓性で抵抗の低い導体であればいずれも利用可能である。好適実施形態において、この導体は、断面積のインダクタンスとの関係を妨げず、膨脹および収縮に対応するように正弦曲線状に配置された金属製ワイヤである。例えば、「振幅」を1〜2cm、「波長」を、予想される活動に適合できるだけの十分な長手方向可撓性を得るのに適したものとして、ワイヤをこの正弦曲線状に配置することができる。
【0092】
呼吸信号を得るための胸部センサ・ベルト4および腹部センサ・ベルト6に対して、一般に1本の導体ループを身体に巻き付けることで、十分な信号特性が得られる。胸部センサ・ベルト5および頸部センサ・ベルト7については、一般に、2〜4本の複数本のループがあると十分な信号特性が得られる。
【0093】
次に、センサ・ベルトを身体上で周方向に密着させておくため、センサ・ベルトも、ベルトを身体に固定できる十分な長手方向弾性が得られる弾性材料を含むことが好ましい。例えば、このベルトに、従来技術で周知の弾性包帯ストリップに類似した弾性材料の長手方向に配置されたストリップを含めることができる。
センサ導体を、複数の別個の接続部分によりこれに取付けることができる。これを、糸で縫いつけたループにすることができる。より好ましくは、ベルトは、織り込みまたは編み込み処理時に、正弦曲線状に配置された銅製ワイヤを中に一体化させた、織り弾性材料または編み込み弾性材料を含む。2001年1月31日に提出され、本願の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/774,333号を参照されたい(その内容全体を本明細書内に引用したものとする)。センサ導体を、膠を利用するなど、従来技術で周知の他の方法で、下に位置する材料に装着させることもできる。
【0094】
ベルトを身体上で周方向に単に密着させておくだけでなく、ベルトを、身体胴部表面上で上方または下方に(総称して「長手方向」とする)移動させてはならない。言いかえれば、通常の日常活動の間、長手方向に安定にしておかなければならない。安定させておくと、各ベルトからの信号が1つの所期断面積に対してのみ応答するため、有利である。活動量の少ない、十分に痩せた男性であれば、ベルトを周方向に密着させておく弾性があれば十分に長手方向の安定度を得やすい。しかし、一般に、また特に、ジョギングや他の運動活動などの普通以上の活動をする場合、または大柄な個体の場合、周方向の弾性だけでは長手方向の安定が十分ではない可能性がある。
【0095】
したがって、図1に示した実施形態では、各ベルトには、個体締め具8も装備している。これにより、個体が必要に応じて各ベルトの締め具合を調節することができる。締め具8として概略を示したこうした締付け手段の1つは、金属製またはプラスチック製の歯または対リングが余分な材料部分8を把持する、ベルトに取付けられた把持具である。把持具に余分な材料部分を張力下で保持させるようにその材料を引張ると、ベルトが締まり、この把持具の機構(リングまたは歯など)を解放すると、ベルトがゆるみ、衣服を脱ぐことができる。このように、モニタ用衣服着用後、最初にこの衣服を利用してみて十分であるとわかった締付けレベルに、ベルトをそれぞれ調節することができる。衣服を脱ぐ準備として、ベルトをゆるめる、または解放することができる。「余分な」材料が、誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト・アセンブリの一部として含められる、患者を包囲するベルト材料の一部であるという点で、この「余分な」材料および把持具がシンチ(ガースとしても周知)を形成することが好ましい。別の締付け手段の例として、余分な材料に設けた複数穴の1つ内に突出させる歯を有する、ベルトのバックルに似た構成、絞り紐の場合に使用するようにはとめに対して余分な材料を把持する摺動自在なバネ搭載具、靴紐のように使用される単純なリボンタイプの結び目、または他の把持手段が挙げられる。いずれのシンチまたはガース材料も無論弾性でなければならないが、好ましくは、既存のセンサ・ベルト材料より硬質(弾性が低い)である。
【0096】
長手方向安定度の一態様は、活動時に衣服材料自体がベルトに食い込んで、ベルト・センサを所期より長い長手方向領域まで機械的に連結し、同時に、隣接する別個のベルト・センサ同士も機械的に連結させてしまうことである。このように連結すると、可能性として、信号の特異性が減少し、連結されているセンサからの信号が一緒に混ざり合うことで、生理学的パラメータ決定の正確さが損なわれる、または特定パラメータの決定ができなくなる場合さえあり得る。したがって、センサ・ベルトとベルトとの間の衣服材料をきつく締め過ぎず、むしろ、予想されるあらゆる活発な動きに伴う長手方向の伸張および他の動作に適合できるだけの十分な余分を持たせる方が有利となり得る(例えば、こうした余分な材料を、図1の衣服1では領域19に配分することができる)。別法として、衣服材料を長手方向に十分に伸張性にして、ベルトを十分弾性にして周方向のゆるみをなくす、またはベルトを同調させて、十分締付けさせることができる。こうすることにより、胴部に対する長手方向のベルトの移動がほとんどまたは全くないまま、主に衣服が伸張することで長手方向の動きが適合される。これらの設計を組み合わせることができ、こうして、ベルト間の衣服に弾性材料の余分をいくらか持たせる。特に、一定範囲の身体特徴に適合させるように衣服を弾性材料で製造する場合、衣服の寸法および形状に対して身体の方が大きい個体の場合に特に、長手方向の機械的連結を起こさないように気を付けなければならない。
【0097】
衣服をジッパーまたは他の同様の方法で留める場合、誘導プレチスモグラフ(IP)センサ・ベルトの少なくとも数本が必然的に分断されてしまう。しかし、センサ・ベルトの弾性が衣服の区切りでやむを得ず分断されていても、衣服を留めればベルトが周方向に弾性となるように、衣服のファスナを配置しなくてはならない。ジッパーの場合、ジッパー式ファスナが本来実質的に連続しているため、これは簡単に実現できる。さらに、ベルト締め具は、いずれであっても衣服のファスナと協働するものでなければならない。把持具により保持されるシンチ(またはガース)の場合、余分なシンチ部分を衣服の区切りを横切って延在させることにより、これは簡単に実現できる。最後に、導電性ループも衣服の区切りで分断されるため、ループの両端部にプラグとコネクタとからなる嵌合対を設けることにより、この区切りを渡らせることができる。別法として、導体ベルトの一方またはおよび両方の端部を、信号ケーブルが具備するコネクタ内に差し込んでもよい(以下参照)。当業者であれば容易に、IPセンサ・ベルトを同様に構成して、別の種類の衣服ファスナと協働させられるであろう。
【0098】
上述したセンサの他に、追加センサを、本発明のモニタ装置に組み入れることができる。着装携行式にモニタしている間に得られる生理学的パラメータを正確に解釈するには、患者の姿勢を決定できる情報を有すると有利である。少なくとも、モニタ対象の個体が横たわっているかどうか、座っているかどうか、立っているかどうか、また、立っている場合には、静止しているかどうか、歩いているかどうか、または走っているかどうかを決定できると有用である。一好適実施形態では、この情報を、重力に対する方向を測定する加速度計から得る。図1に示す装置は、任意に、ベルト・センサの1つに関連する電子装置モジュール内に一体化されて、衣服1に装着された加速度計を好ましくは含む。このような単一センサからは、胴部の方向のみがわかる。任意の加速度計を大腿の一方または両方に設ければ、別の情報も得られる。追加された加速度計からの信号は、コネクタ15で信号ケーブルに装着された二次的ケーブル14によりケーブル2に伝達される。
【0099】
さらに、図示のモニタ装置に、あらゆる種類の経皮的センサも組み入れられる。このようなセンサの例として、指のヘモグロビン飽和度を測定するパルス・オキシメータ、様々な種類の血圧センサ、および、例えば血糖センサや汗の電解質センサなどの血液化学を示す経皮的センサが挙げられる。これらのセンサからの信号を、信号ケーブル16によりマイクロプロセッサ・モジュールに到達させることができる。これらのセンサに、RS−232やさらに最新式のシリアル・インターフェースなどの、マイクロプロセッサ・モジュールに対する標準インターフェースを具備することが好ましい。さらに、従来技術で周知の方法で配置された7または12本のリードから信号を受信するなどにより、より完全なECG情報を得ると有利になる可能性がある。別の追加センサを、睡眠時のいびきおよび覚醒時の発声を検出するのに有用な喉当てマイクロフォンにすることができる。
睡眠時のいびきの検出は、睡眠時無呼吸症の研究に有用な、初期または真性上気道閉塞を示す価値あることである。このような実施形態では、マイクロプロセッサ・モジュールが、標準化された方法および標準化されたフォーマットで、経皮的に測定可能な大量の生理学的パラメータを反映する情報を蓄積できる。
【0100】
2.マイクロプロセッサ・ユニットおよびケーブル
上述したように、本発明のモニタ装置に、主要信号ケーブルと二次的信号ケーブルとを具備することができる。図1は、主なセンサ・ベルト4、5および6からの信号を伝送する主要信号ケーブル2と、二次的センサ・ベルト7とを示す。
このケーブルはまた、リード10および11などの端部に設けられたECG信号を伝送する装備と、コネクタ15で受信するその他のセンサからの信号用装備とを有する。さらに、二次的信号ケーブル16により、任意に、身体上に配置された複数の他のセンサから信号を伝送することができる。
【0101】
モニタ装置が収集する信号は、マイクロプロセッサ・ユニット3で受信される。ユニット3は、少なくとも、基本的なデータ入力および記憶機能を実施し、任意に、警報機能、通信機能および電力管理機能を行う。このユニットを、既存の携帯情報端末(personal digital assistance)(PDA)、携帯電話、携帯電話/PDAの組み合わせ、双方向ポケットベル、特にEメール交換に使用されるもの、および他の同様のハンドヘルド・デバイスに対するアドオンとして構築することができる。また、このユニットは、少なくともマイクロプロセッサおよびその関連構成要素、任意に信号処理回路を含む注文設計でもよい。ユニット3は、モニタ対象である個体によるデータ入力用に指感応式表示スクリーン17を有することが好ましい。音声コマンド認識、音声または可聴警報出力、装着型キーボードなど、他のユーザ・インターフェースの機能を設けることができる。このユニットは、任意に無線通信回路を含むことができる。また、図1はユニット3をできればハンドヘルド型として示しているが、これをベルトなど、個体の通常の衣類上で支持する、または衣服1に設けたポケット内に配置してもよい。
【0102】
第1のデータ入力機能は、モニタされている個体が入力する情報を受信および記憶することである。例えば、モニタされている個体は、その日の主な活動を、気づいた症状があればその症状と共に入力することができる。
【0103】
第2のデータ入力および記憶機能は、本発明によるモニタ装置のセンサが生成するデジタル信号を受信および記憶することであり、実行可能な通信機能と密接に連係されている。本発明は、有利なことにまた好ましくは、要約形態としてのみ医療担当者が使用するしないにかかわらず、すべての未加工信号データを格納することにより、「標準事象記録」(standard event recording)に対する周知の標準に準拠することが好ましい。中央のリポジトリに未加工データを格納することは、監督機関に推奨されており、本発明によるモニタの品質制御に重要である。さらに、医療担当者がその時々に、モニタ対象である個体に発生している生理学的事象を示す未加工データを検討したい場合がでてくる可能性があり、その場合には、この中央リポジトリにアクセスすればよい。
【0104】
しかし、この未加工データは、基本的モニタ用衣服に対してでさえ膨大となる可能性がある。表1は、図1の装置により生成されるデータ速度を示すものであり、動作は、各センサに対する好適サンプル正確度およびデータ速度で実施されている。
【0105】
【表1】

したがって、本発明は、利用可能なバッテリ電力およびアクセス可能な無線設備により主に変わる、記憶装置または未加工データ用の様々なトレードオフを含む。例えば、64kbits/秒以上などの高帯域幅無線データ伝送が、個体の日常活動全体を通して利用可能であれば、目下(本願の出願日現在)のところあまりあり得ないが、未加工データすべての無線伝送には、デューティー・サイクルが2%以下の送信器が必要となる。これであれば、利用可能なデバイスのバッテリ電力および無線アクセス費用の点から見て許容範囲内となり得る。一方、現在利用可能な無線アクセスは、最高14.4kbits/秒のデータ伝送速度をサポートしている。この速度では、送信器のデューティー・サイクルは事実上100%となってしまい、許容範囲外の電力および無線アクセス費用となりがちである。
【0106】
別法として、データをマイクロプロセッサ・ユニット3に局部的に格納し、まとめて大量データとしてのみ周期的に伝送することができる。例えば、一般に利用可能な64MBフラッシュ・メモリ・モジュールでは、12時間以上、未加工データを容易に記憶することができる。これが128MBモジュールであれば24時間のデータ保持が可能である。一杯になったフラッシュ・メモリ・モジュールを交換して、翌日配達サービスにより中央リポジトリに送付することができる。別法として、データを、高速配線式デジタル接続(インターネットに対するDSLまたはケーブル・モデムなど)により直接中央リポジトリに送付してもよい。マイクロハードドライブ(micro−hard−drive)やマイクロジップドライブ(micro ZIP drive)(登録商標)などの、他の取外し可能記憶技術も利用可能である。この実施形態では、ユニット3は、警報と認識されるほどに目立つ生理学的事象または重要な生理学的事象のみを無線で通信することができる。これにより、大半の記憶場所で現在容易に伝送できるだけの、大幅に縮小されたデータ量となる。
【0107】
したがって、利用可能な無線データ速度およびアクセス費用、利用可能な装置のバッテリ電力および利用可能な取外し記憶容量に応じて、本発明は、中央リポジトリに全未加工データを無線伝送するものから、全未加工データを局部的に記憶して周期的伝送を行うものまで変化するマイクロプロセッサ・ユニット設計を含む。後者の実施形態が、大半の記憶場所で目下好適である。
【0108】
別のデータ記憶の実施形態は、モニタ用衣服のマイクロプロセッサ・ユニットから、モニタ対象の個体から短距離、おそらく10〜1000フィート内にある局所受信器に、データをローカルに専用無線により伝送することを含む。データをPCコンピュータなどの局所コンピュータ・システムに格納することができ、その局所受信器から、医療関係者がアクセスできるように中央リポジトリに周期的に伝送する。周期的な伝送は、上述したように、取外し可能な媒体により毎日数回行う、または、標準または高速アクセス(DSLまたはケーブル・モデム)によりおそらく1時間毎に行うことができる。別法として、中央リポジトリを、医療関係者がアクセスするローカル・サーバであるPCコンピュータにしてもよい。局所無線伝送では、送信器のデューティー・サイクルは変化しないが、公共無線設備へのアクセス費用がかからず、速度もより速くなる場合があるため、未加工データの無線伝送はより魅力的なトレードオフである。この実施形態は、個体が歩行してもそれが住居や医療施設、または比較的狭い職場内に留まる場合に適当である。この実施形態は、普通の日常生活を送る個体には適当でない場合もある。
【0109】
別の実施形態において、マイクロプロセッサは、格納するより前に信号データを圧縮することができる。この圧縮は、適当な周知の圧縮技術を符号化するソフトウェアで実行可能である。代表的技術の1つは、各頻発データから基本的な搬送周波数を引いて、記憶されている周波数データを、平均周波数が実質的にゼロであるオフセットにするものである。さらに、各オフセット周波数データを、1つまたはそれ以上前のオフセット周波数データに対する差として記録することができる。周期的に、現搬送周波数およびオフセット周波数データを記録して、解凍ソフトウェアを同期させる。
【0110】
次に、マイクロプロセッサ・ユニット3は、任意に、警報状態を認識し、警報信号を生成することができる。この信号はいずれの場合も可聴であるが、目に見える情報をスクリーン表示することを含めてもよい。平均機能を備えるマイクロプロセッサ・ユニットが認識できる警報状態には、基本的に2種類ある。第1のタイプは、不連続な一時的事象である。例えば、心拍が危険レベルまでに急激に上昇する、心壁に奇異運動が見られる、または呼吸が危険なまでに遅いまたは停止するといったことである。警報状態の第2のタイプは、1時間から数時間にわたり進行している事態の傾向である。例えば、うっ血性心不全の患者の呼吸速度が、おそらく心拍数の変化も続いた状態で、2時間以上速くなっていれば、肺水腫発症の前兆である可能性がある。高い海抜高度にいる個体にこれと同じような変化があればそれを警報して、危険な高山病の前兆を知らせることができる。これ以外にも、当業者に周知の不連続な事象または傾向を警報することができる。
別法として、ニューラル・ネットワークやルール・ベース・システムなどの人工技術を用いて、より強力なマイクロプロセッサ・ユニットに、より複雑な警報状態を認識させることができる。
【0111】
最後に、電力管理は、重要な任意機能であり、これをマイクロプロセッサ・ユニット内で行うことができる。本発明によるモニタ装置内に含まれる様々な電子モジュールおよびセンサに、モジュールやセンサが使用中でなくとも電力消費量を削減する電力管理機能を含めることが好ましい。例えば、マイクロプロセッサ・ユニットが生成する制御信号で、電力消費量の削減を指令することができる。
さらに、バッテリ電力を物理的にユニット3の一部とすることができる。別法として、例えば衣服1のポケット内に、別個のバッテリ・ユニットを配置することもできる。
【0112】
3.他のモニタ用衣服実施形態
次に、図2および図3を参照すると、非侵襲的生理学的モニタ用衣服30の別の実施形態は、誘導プレチスモグラフ・センサ20〜25を含む。これらのセンサは、モニタ対象である個体にその胴部上で着用される衣服31に、刺繍、縫付け、埋込み、織込み、印刷により施されている、または他の方法で固定または保持されている。図2および図3に示すように、この衣服は、骨盤領域および上大腿をカバーする部分を備えた、タートルネック型長袖衣服31を含むことができる。別の実施形態では、長袖衣服31ではなく、この衣服は、センサ25を具備していない、図4に示す袖なしシャツ31aを含むことができる。さらに、この衣服を、図2に示した脚部分を設けずに製作することができる。モニタ用衣服30はさらに、衣服31の後身ごろ内側に縫付ける、埋め込む、または接着剤などで固定できる心電図記録用電極センサ26を含むことができる。別法として、心電図記録用電極センサ26を、モニタ対象の個体に直接固定してもよい。衣服31を、ベルクロ(商標登録)ストリップまたは紐16(図2および図3参照)などの固定具32を用いて、身体周囲にぴたりと固定することができる。別法として、衣服は、図4に示すように固定具のないシャツを含むことができる。この実施形態では、センサ20〜25は、それ自体を個体胴部上に固定するための弾性材料部分を含むことができる。
【0113】
マイクロプロセッサ・ユニット33は、一実施形態において、誘導プレチスモグラフ・センサ20〜25用発振器−復調器(以下参照)ユニットを含み、様々なセンサ20〜25間の混信をなくすため、多重通信機能を有するか、それぞれ異なる周波数に合わせた別個の発振器モジュールのような形態をとるかのいずれかである。発振器モジュール20a〜24aを、各誘導プレチスモグラフ・センサ20〜24(図4参照)に直接装着してもよい。別法として、発振器モジュールを、マイクロプロセッサ・ユニット33内に直接配置してもよい。マイクロプロセッサ・ユニットを、図示では、モニタ対象である個体の腰の位置で衣服側部に装着しているが、別法として、快適であれば、個体の身体上や身体周囲のいずれの位置または場所に装着または保持させてもよい。上述したように、マイクロプロセッサ・ユニット33は、センサ20〜26からモニタ信号を収集する記録/警報ユニットを含む。さらに、マイクロプロセッサ・ユニット33は、特に、警報状態を決定し、データ・ロギング機能を提供するための処理装置を含む。マイクロプロセッサ・ユニット33はまた、一好適領域内において、個体および/または医療関係者に警報および行動勧告を提供するために、任意に表示装置を具備する音声システムなどの出力装置45を含むことができる。一実施形態において、音声システムから、はっきりした可聴命令文としてこれらの警報や行動勧告が得られる。
【0114】
可聴メッセージを再生する音声システムに加えて、出力装置45を、メッセージを表示するモニタ・スクリーンなどのディスプレイ装置とすることができる。
この別法は、例えば、モニタ対象の個体が蝋または難聴である場合、または、メッセージに大量の情報が含まれており、単に可聴メッセージを聞いただけでは把握または理解できない可能性がある場合に利用できる。こうした変形案ではまた、新たなメッセージが提示される場合、個体がマイクロプロセッサ・ユニット33のモニタ・スクリーンに対する視野方向内にいない可能性があるため、モニタ対象の個体に向けられる追加信号が必要である。このため、マイクロプロセッサ・ユニット33は、新たなメッセージがあることをモニタ対象の個体に知らせるための照明可能ランプなどの信号方式デバイスを有する、または作動させることができる。マイクロプロセッサ・ユニット33がモニタ用衣服30に取付けられているため、この信号方式デバイスはまた、作動されると、モニタ対象の個体が感じるようにマイクロプロセッサ・ユニット33を振動させるものであってもよい。
【0115】
マイクロプロセッサ・ユニット33を、HandSpring(登録商標)やPalm Pilot(登録商標)、または無線通信ができるあらゆるモバイル・デバイスなどの携帯情報端末(PDA)を含むように構築することができる。
一好適実施形態において、電極20〜26は、マイクロプロセッサ・ユニット33に接続することのできる電子モジュールに配線されている。このモジュールは、マイクロプロセッサ・ユニットの処理装置を用いて、モニタ、警報およびデータのロギング機能を実行する。さらに、デフォルト値とモニタ信号とを比較して、それらが共に許容範囲内であることを確認することができる。モニタ信号が許容範囲値を超えている、または下回っている場合、警報機能が個体にそれを警報する。
【0116】
個体が症状、活動、これまでの投薬、気分などの情報を入力できるように、マイクロプロセッサ・ユニットにさらに入力機能を含めることができる。この入力機能は、個体がリストから単に選択するだけのメニュー方式であってもよい。別法として、個体が自身の症状を、キーボードで打って入力する、またはタッチ・センシティブ・スクリーン上に書き込むようにしてもよい。
【0117】
また、モニタ用衣服30から受信したデータとそれに関連する警報および/またはメッセージとを受信ユニット34に伝送することにより、遠隔位置にいる医療関係者がそのデータを見て解析することができるように、マイクロプロセッサ・ユニット33を、別の場所または遠隔位置に配置され、医療関係者が看視している受信ユニット34に接続する、または連係させることができる。さらに、個体はその入力機能を利用して、医療専門家にその症状、活動、服薬および気分について知らせることができる。遠隔位置への伝送は、モデム、インターネット接続、衛星接続、ケーブル、または標準の無線電話網などの他のあらゆる通信システムや構造により、実行可能である。また、マイクロプロセッサ・ユニット33と受信ユニット34との間が接続されていることにより、遠隔位置にいる医療関係者は、マイクロプロセッサ33に情報を返送することができる。例えば、医療関係者がモニタ対象である個体に特定の指示を出すことができる。さらに、PDAは、個体の状態を追跡し、他の個体と比較するように、モニタ用衣服30から受信したデータを局所または遠隔データベースにログすることができる。これにより、モジュールやマイクロプロセッサ・ユニット33内の診断用アルゴリズムおよび受信ユニット34からマイクロプロセッサ・ユニット33への行動勧告の伝送を常に修正および精緻することができる。
【0118】
モニタ用衣服30または30aがデータを受信ユニットに伝送する速度はおよそ1〜1000ポイント/秒でよい(利用可能なセンサにより変わる)。任意に、データから1分間の傾向数値を抜く処理をした波形を、5〜10分毎に伝送する。この場合、マイクロプロセッサ・ユニット33に電力供給するバッテリをモニタ用衣服に保存するために、有害な事象あるいは予めプログラムしておいた事象が発生した場合のみ、モニタ用衣服はおよそ1〜1000ポイント/秒でデータを伝送することができる。
【0119】
各センサ20〜26の構造および操作上の機能について、次に詳述する。頸部用誘導プレチスモグラフ・センサ24を、例えば衣服31または31aの領域に、縫付ける、刺繍する、または埋め込む。センサ24は、静脈波、頸動脈波、呼吸に関連する胸腔内圧の変動、頸部筋肉の収縮および嚥下運動による偏位をモニタする。センサ24から収集したデータを基に中心動脈圧を推定すると、その値は、血管内カテーテルを用いて同時に記録した値に匹敵する。頸動脈波は、心電図でいう「P」波動である、心房収縮に関係する「a」波動を示すため、センサ24からのデータが、不整脈および心室内変行伝導を伴う上室性頻拍を心室性頻拍から区別するのに役立つ可能性がある。動脈波を心電図記録と共に記録することにより、収縮期間隔を算出できるようになり、これを左心室の機械的機能の推定に利用することができる。センサ24はまた、嚥下による偏位を、遅くなる呼吸のズレおよび血管脈の上に重ねられた、急峻で一時的な波形として記録することができる。
【0120】
腹部プレチスモグラフ・センサ20および肋膜郭部プレチスモグラフ・センサ21を、例えば衣服31または31aの腹部および肋膜郭部分に、縫付ける、刺繍する、または埋め込み、腹部および肋膜郭部の膨脹および収縮について、センサ20および21にそれぞれをモニタさせる。一緒に用いられるセンサ20および21を合わせて呼吸用誘導プレチスモグラフと呼び、呼吸パターンの記録に用いられるものである。
【0121】
胸部用誘導プレチスモグラフ・センサ22を、例えば剣状突起領域の周囲で衣服31または31aに、縫付ける、刺繍する、または埋め込む。センサ22を、1つまたは複数のプレチスモグラフ・コイル型センサとして形成することができ、このセンサは、息こらえ時および通常より遅い呼吸時における拍動毎の心室容積を作動的にモニタする。マイクロプロセッサ・ユニットの記録/警報ユニット40から得られる波形を分析すると、心臓出力および拍出量の変化と、収縮期および拡張期機能に関連するパラメータとを計算することができる。心室波形の微分を分析すると、僧帽弁のエコー・ドップラー測定値に類似したパラメータが得られる。僧帽弁の流速パラメータの減速時間から、左心室機能の弱まった個体における肺毛細管楔入圧を推定することができる。減速時間が長いほど、正常の状態であり、短いほど、肺毛細管楔入圧が高くなっている。
【0122】
2つの半胸部用誘導プレチスモグラフ・センサ23を、例えば衣服31や31aの上方胸部の右側および左側に、縫付ける、刺繍する、または埋め込む。これらのセンサ23を設けることにより、呼吸に伴う局部膨脹の不均衡と、2つの半胸部間の奇異運動とを測定することができる。不均衡があると、滲出性肋膜炎、横隔膜片側不全麻痺や気胸が疑われ、具体的な臨床事実の診断を下し易くなる。
【0123】
股用誘導プレチスモグラフ・センサ25を、例えば衣服31の肘および手首領域に、縫付ける、刺繍する、または埋め込む。このセンサ25は、これが近傍に配置されている肢や腕の脈管に関する血管脈を記録する。センサ25により、標準プレチスモグラフ閉塞技法を利用して末梢血流を記録することができ、肢上で間隔をあけて位置する一対のセンサ25を利用して脈波伝搬時間を、または、頸部の動脈波から肢への脈波伝搬時間を記録することができる。また、センサ25により、カフ圧下降時の体系的血圧に対する広帯域外部脈波記録法(wideband external pulse recording)が得られる。
【0124】
モニタ用衣服30の好適実施形態はさらに、心電図(ECG)電極用センサ26(図3)を含む。上述したように、ECG電極用センサを、モニタ用衣服30に取付けても、別法として、個体身体に直接適用してもよい。そこからワイヤによりPDA33に接続する。
【0125】
センサ26からのECG測定におけるRR間隔と上述した呼吸用誘導プレチスモグラフ・センサ20および21からの換気息波形との組み合わせを利用して、自律神経系機能の一尺度である呼吸性洞不整脈を決定することができる。この測定値が高いと、副交感神経系活動が優勢であり、この値が低いと交感神経系活動が優勢であることを示している。
【0126】
個体の姿勢を示す身体位置センサ27を、例えば衣服31や31aに、縫付ける、刺繍する、または埋め込む。身体位置センサ27は、1つまたは複数の標準利用可能な加速度計を含むことができる。
【0127】
最後に、モニタ用衣服30または30aと合わせてパルス・オキシメータ・センサ28(図3)も利用可能である。パルス・オキシメータ・センサ28は一般に、個体あるいは被検者の末端指先に配置されて、動脈内酸素飽和度および身体移動を測定する。パルス・オキシメータ28をモニタ用衣服30上に保持する、またはモニタ用衣服30の直接の構成要素とする必要はないが、オキシメータ28が検出した情報を、センサ20〜26からのデータと同様の方法でマイクロプロセッサ・ユニット33により処理してよい。これにより、動脈内酸素飽和度の真の値を、適当なソフトウェア・アルゴリズムを利用して、モーション・アーチファクトに影響された値から区別することができる。
【0128】
マイクロプロセッサ・ユニット33の記録/警報機能は、代表例として以下の機能を作動的に提供する。
【0129】
(1)「システムは正常に動作しています。」などのモニタが正常に機能していることを確認するメッセージ。
【0130】
(2)例えば「システムが正常に動作していません。ディスクが正しく挿入されていることを確認してください。」あるいは「システムが誤動作しています。
製造元に連絡を取ってください。」(製造元の名前および住所を提示してもよい)など、誤動作時に取るべき行動に関するメッセージ。
【0131】
(3)センサ20〜26およびそのリード線の正常あるいは異常な配置および取外しに関するメッセージ。
【0132】
(4)生命徴候情報、危険度、およびそれに対応して個体が取るべき行動に関するメッセージ。
【0133】
(5)例えば「午前10時です。生命徴候に変化はありません。」など、確認を目的として、所定の間隔で、あるいは個体や医療関係者の要請に応じて出される、生命徴候の安定度に関する周期的メッセージ。
【0134】
(6)特定の生理学的パラメータ情報、危険度、およびそれに対応して推奨される行動に関連するメッセージ。
【0135】
(7)看視している医療関係者が入力する指示を含む指示。
【0136】
(8)服薬するように個体に思い出させる注意メッセージ(記録ユニットは、薬が経口投与型であれば、個体がそれを飲み込んだことをモニタすることにより、または、噴霧剤として服薬する場合は、呼吸パターンをモニタすることにより、服薬したことをログすることができる)。
【0137】
このようなメッセージに加えて、記録/警報機能は、換気および持続陽圧呼吸(CPAP)補助装置の有効性および適切な機能について、個体をモニタすることができる。記録/警報機能はまた、データを、自動的に、あるいは、遠隔受信ユニット34にてプロバイダーからの見直し要求を受け取った時点で、遠隔受信ユニット34に伝送することができる1分間の数値傾向に対する生理学的波型としてデータベースにログする。
【0138】
モニタ用衣服30または30aが具備するすべてのセンサおよび検出器から同時にデータを収集するのではなく、個体の具体的な体調に対する機能として、モニタすべき生理学的パラメータの種類を限定してもよい。さらに、衣服31は、個体の具体的な体調による要求に応じて、袖、タートルネック、ズボンを自由に組み合わせて含むことができる。例えば、個体に喘息があれば、呼吸動力/換気量(最大呼気流量/換気量および/または最大吸気加速度/換気量)などの妥当なパラメータを、気管支痙攣を所定の閾値より高く悪化させる非侵襲的パラメータとして綿密にモニタしなければならない。この測定値を利用して、モニタされている個体に出力装置45により、「気管支痙攣の徴候が見られます。直ちに噴霧剤投与を行ってください。」などの指示を与えることができる。噴霧剤投与が正しく行われ、適切な息こらえパターンがマイクロプロセッサ・ユニット33で見られるようになると、次に出力装置は「噴霧剤が投与されました。」などを出力することができる。30分しても、改善が見られない、あるいは特定測定値および/または生存徴候が悪化した場合、マイクロプロセッサ・ユニット33は「直ちに医者を呼んでください。」あるいは「救急車で直ちに病院に行ってください。」などを出力することができる。
【0139】
もう1つの具体的な例として、個体に慢性心不全がある場合、胸部心拍記録器で得られる左心室容積曲線の微分から減速時間を見ながら、中心静脈圧および呼吸性洞不整脈を綿密にモニタしなければならない。減速時間は、慢性心不全の治療に入院が必要であることを最もよく予示するパラメータであることがわかっている。ある研究では、125ミリ秒を下回る値が、入院が必要となる閾値であった。125ミリ秒レベルに到達する前に指示がモニタ対象の個体に届くように、閾値をマイクロプロセッサ・ユニット33内でプログラム化することができる。
例えば、160ミリ秒の減速時間の基底線が140ミリ秒に落ちると、マイクロプロセッサ・ユニット33は「利尿促進用錠剤を午後5時に1つ飲んでください。」と出力することができる。減速時間が120ミリ秒に落ちると、マイクロプロセッサ・ユニットは「直ちに医者を呼んでください。」と出力することができる。中心静脈圧は、身体内の流体平衡を反映するものである。この値が低いと、利尿剤の過剰投与による循環血液量減少が起きており、この値が高いと、心不全が重症になっている可能性がある。このように、その日のCVPが8cmH2Oであり、次の日が4cmH2Oとなったら、マイクロプロセッサ・ユニットは「投薬について、直ちに医者に相談してください。」と出力することができる。
【0140】
服薬をモニタすることに関して、1日の投薬時間をマイクロプロセッサ・ユニット33にプログラム化する。その時間になったら、ユニットは「番号1のカプセル1錠、またはベラパミル1カプセルを飲む時間です。」と出力することができる。マイクロプロセッサ・ユニット33はまた、個体がバーコードの付いた薬瓶を取出したときに、バーコードからの情報を任意のバーコードリーダーに通すことができるように、バーコードリーダーまたは他のリーダーなどの入力デバイスを含むことができる。別法として、個体は、上述したように、例えばキーボードや単なるボタン配列などの手動入力デバイスを利用して、投薬に関する情報を入力することができる。モニタ対象の個体がボタンの1つをクリックする、あるいは押すと、スケジュール機械と共に服薬厳守を指示する記録/警報デバイスが手動で更新される。上述したように、個体が服薬すると、その嚥下運動を頸部誘導プレチスモグラフによる波形からログすることができる。これを利用して、服薬指示を出すことができる。服薬後、個体はその瓶を光学リーダーに通す、あるいはスイッチを作動させて、マイクロプロセッサ・ユニット33および/または受信ユニット34が解析および格納するウィンドウ・タイミング・マークをデータ・ストリーム内に作成する。
【0141】
CPAPまたはBiPAP換気要件に基づいて、効果をモニタするように、生理学的パラメータをプログラム化してもよい。終夜検査用CPAPおよびBiPAPはしばしば、無呼吸と上気道吸気抵抗の増加が特徴である閉鎖性睡眠時無呼吸症候群の治療に使用される。呼吸誘導プレチスモグラフ20および21による一回換気量波形から誘導される、平均吸気流量に対する最大呼気流量の割合(PIF/MIF)から、吸気流量曲線の形状を表す数値が得られる。吸気流量に問題がなければ、その曲線は正弦形状であり、このパラメータ、PIF/MIFの値は、/2=1.57となる。吸気が閉塞されてくると、吸気流量波形は平坦に変化し、PIF/MIF値は1.0に近づく。閾値が1.3以下になると深刻な平坦化が始まる。吸息開始時に短時間の急激に突出した波形の尖頭が現れて、吸気閉塞を示す場合がある。このときのPIF/MIF値はおよそ1.85以上である。したがって、最適なCPAP値は1.3〜1.85となるはずである。所定時間にわたりPIF/MIF値が1.2に匹敵することがわかると、記録/警報ユニットは個体や医療關係者にメッセージを出力し、その問題が収束するまで、「直ちにCPAP圧力を3cmH2O上げてください。」が音量を上げて出力される。吸気流量曲線の形状に関連する指数に基づいて、CPAPの圧力レベルを自動的に調整するアルゴリズムについては既に記載されている。
【0142】
CPAPは一般に、鼻マスクを用いて行われるため、マスクと皮膚との界面で特に、漏れを生じ易い。CPAP装置が送出する値と個体が受け取った値との間で1回換気量を比較することにより、記録/警報ユニット34でこの漏れを見出すことができる。個体が受け取った値は、センサ20および21を用いる呼吸誘導プレチスモグラフで得る。例えば、呼吸誘導プレチスモグラフ・センサ20および21から得る一息毎の吸気量が200mlであることがわかり、CPAPデバイスから送出される量が500mlであれば、CPAPシステム300mlの漏れがあることが示されるため、記録/警報ユニットは、「漏れています。起きて、マスクを調節してください。」と出力することができる。マスクの漏れは、呼吸障害を持つ個体や呼吸筋肉の弱い個体に対する換気サポートを行う上でも問題である。送出量と受取量との関係をモニタすることは、このような漏れの原因を突き止めるのに有効である。
【0143】
4.他の電子装置の実施形態
本発明は、衣服1に具備する複数のセンサに関わる電子モジュールとユニット3との間に、いくつか可能な電子回路を配線して含む。図5に、この回路、主に誘導プレチスモグラフ信号を処理するための回路の物理的配線として選択可能な例を示す。ここでは、前の場合と同様に、衣服1は、主要信号ケーブル2によりマイクロプロセッサ・ユニット3に接続された誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト4、5および6を含む。ECGにはリード10および11が具備され、第3のリード47も衣服1の下に配置されている。これらのリードが一緒に、標準3リード式ECGの代表的な信号を収集する。
【0144】
図5は主に、45の位置などでセンサ・ベルト内の可撓性導体に接続され、センサに物理的に近接している電子モジュール42、43および44を図示するものである。衣服をジッパーで締める、または他の方法で締めると、これらのモジュールは、導電性ルーフを衣服の区切れの両側にまたがせるようにコネクタを支持する。これらのモジュールは、この図では開口しているが、例えば、着用(脱衣)時にモニタ対象の個体が「配線」する過程では、フラップ18の下に配置される。このフラップを、例えばベルクロ(商標登録)ストリップにより、普段は閉じておくことができる。図示しているのは、ジッパーなどのファスナ41であり(部分的に信号ケーブル2の延在部分下に隠れている)、これで衣服を開いて着用することができる。やはり着衣を可能とする可撓性誘導プレチスモグラフ導体を、ローカル・モジュールに差し込み、これから抜き取ることができる。別法として、簡単にするために、ECGリードを常に装着しておいても、または、モジュールに差し込み、これから抜き取きとってもよい。
【0145】
ローカル電子モジュールは、任意に、誘導プレチスモグラフ信号に対する初期処理用回路を具備する。最終工程用回路はユニット3に保持されている。これらのモジュールはまた、他のセンサ用の初期処理用回路を含むことができる。例えば、モジュール42および43に、ECG回路、単にアナログの前置増幅および濾波、またはおそらくA/D変換用回路も含めることができる。
【0146】
好ましくは、これらの電子モジュールを信号ケーブルに常時装着して、配線時に取扱う部品数を最小限に抑える。別法として、これらのモジュールをモニタ用衣服のポケット内に入れておき、配線時に信号ケーブルに差す、またはこれから抜くこともできる。
【0147】
次に、図6および図7は、プレチスモグラフ信号を処理するための電子回路として可能な機能上の配線を図示するものである。図6A〜図6Cにおいて、「発振器」ブロック(1つまたは複数)、「復調器」ブロック(1つまたは複数)、および「マイクロプロセッサ」ブロックの機能は実質的に同じであるため、図6Aで1度だけ説明する。最初に図示されているのは、1つまたはそれぞれの発振器に連結されている3本の導電性ループである。発振器は、周波数がループ・インダクタンスの変動に応答するLC発振器であり、この発振器として、従来技術で周知のいずれも利用可能である。この発振器のドリフトは、温度および他の補償の関係から低いものが好ましい。
【0148】
好ましくは、ループを、妥当な容量C(例えば、1,000pfを超える容量)を利用して安定した発振器機能を得られるようにループのインピーダンスを昇圧させるインピーダンス昇圧変圧器を介して、発振器(1つあるいは複数)に接続する。インピーダンスを昇圧させると、ループ・インダクタンス変化も大きくなるため、信号の範囲が拡大する。さらに、変圧器により、電力供給型電子回路から隔離された無停電ループを設ける。このように隔離すると、個体の安全性が改善される。各ループの共鳴周波数を、例えば10〜50kHzにより、わずかにオフセットすることによってもループの隔離を改善することができる。最後に、高いQファクタを実現するためには、合計ループ抵抗がおよそ1Ω以下と低いことが重要であるとわかっている。
【0149】
復調器ブロックでは、可変周波数発振器信号を、周波数を測定して「マイクロプロセッサ」ブロックにデジタル・データを提供するという意味で復調する。この機能について、図7を参照しながらさらに説明する。
【0150】
「マイクロプロセッサ」ブロックは、基本的なデータ入力、記憶および通信機能を含めて、特に上述した機能を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサを含む。このブロックを、市販のPDAに似たデバイスを基本にしても、注文設計にしてもよい。いずれの場合も、このブロックには通常、RAMおよびROM記憶装置、表示用インターフェース、ユーザ用入出力インターフェース、通信インターフェース、または取外し可能媒体用インターフェースなどを含めて、マイクロプロセッサおよび支援構成要素を含むことを理解されたい。この記憶装置には、何らかの好都合なプログラム言語から翻訳されたプログラムをロードする。
【0151】
こうした概要を鑑みて、図6Aに、すべての機能ブロックが3本の誘導プレチスモグラフ・ループ間で切り換えられ、共有される唯一の場合の実施形態を図示する。ここでは、ローカル・モジュール42、43および44は、衣服の区切れをつなぐための導電性ループからユニット3に収容されている電子機能ブロックに対する信号リードまでのコネクタにすぎない。上述したように、発振器ブロック内の導電性ループと昇圧変圧器を含めて、この全経路の抵抗を好ましくは1Ω未満とする。したがって、スイッチSWを、好ましくはアナログ無線周波数信号用低抵抗調節自在スイッチとする。このスイッチは現在、Dallas Semiconductor/Maximから市販されている。こうしたスイッチが安価で利用可能であれば、F6Aはより好適な実施形態である。さらに、導電性ループからユニット3への導体のインダクタンスを実質的に小さく固定して、対象インダクタンス信号へのアーティファクトを増加させないようにしなければならない。好ましくは、これらの導体を、ゲージの小さい同軸ケーブルからのものとする。
【0152】
次に、図6Bは、それぞれに専用発振器を備えた3本の誘導プレチスモグラフ・ループの間で1つの「復調器」ブロックおよび「マイクロプロセッサ」ブロックを共有する実施形態を図示するものである。好ましくは、発振器が、デジタル化された可変周波数出力(可変周波数方形波など)を有し、スイッチSWは標準型制御可能なデジタルスイッチでよい。ここでは、ローカル・モジュールが発振器ブロックを含む。図6Bが一好適実施形態である。
【0153】
最後に、図6Cは、「マイクロプロセッサ」ブロックのみが共有され、ローカル・モジュールが発振器ブロックと復調器ブロックとを有する、第3の実施形態を示すものである。これは現在、あまり好適ではない実施形態であるが、発振器ブロックおよび復調器ブロックを単一混合型集積回路(IC)上で実施可能な場合にはより有利になり得る。
【0154】
図7は図6Bの実施形態の一部をより詳しく図示するものであるため、復調器ブロックの操作についてのより詳しい説明は、図7では省略する。一般に、復調器ブロックは、200〜400kHzのデジタル化された可変周波数入力をサンプリングして、少なくとも10ppmまで(より好ましくは5ppm、さらにより好ましくは1ppm)正確なデジタル周波数出力を生成する周波数計数器である。この出力は、好ましくは24ビット以上である。本発明ではいずれの周波数計数器を用いてもよいが、図7には、1つのプログラム化されたロジック・アレイICとして経済的に実行できる種類の計数器である。
【0155】
図7は、それぞれ専門発振器ブロックである「発振器1」および「発振器2」を備えた、2本だけの誘導プレチスモグラフ・ループを図示するものである。デジタル化された発振器出力は、制御自在なスイッチSWによりサンプリングされ、復調器ブロック構成要素へと向けられる。また、復調器ブロックへは、96MHzのクロック信号が入力される。これ以外の、好ましくはさらに高いクロック周波数を利用することもでき、96MHzは好都合な周波数にすぎず、現在の実装において80ns論理が可能である約120MHzには劣る。このクロック信号は、「周波数分割」ブロックにより2kHzクロックに分割され、まず「発振器選択」ブロックを介して「スイッチ」に印可されて、切り換えられた発振器ブロックを0.5ミリ秒間(=1/2kHz)順次サンプリングさせるように、スイッチSWを制御する。2kHzクロックは好都合なサンプリング周期となるが、他のサンプリング・クロック速度も利用可能である。「マイクロプロセッサ」は、2kHzのクロック速度で割り込まれて(リード「割込要求」)、バス・バッファおよびマルチプレクサ(「バス多重化バッファ」)を介して出力されたデジタル・データを受け付け、受け付けたデータから周波数を算出し、任意に、2つ以上の連続する周波数測定値を平均して、2.5ミリ秒など、0.5ミリ秒の倍数であるサンプリング周期内の周波数を決定する。最後に、2kHzクロックを「復調器」ブロックのカウンタ、アキュムレータ、およびラッチ構成要素に印可して(ラッチにて、リセットRを入力)、この回路を次の周波数測定周期に向けてリセットする。
【0156】
概して、図7の回路は、特定の0.5ミリ秒サンプリング間隔(あるいはこれ以外の時間のサンプリング間隔)内に発生する発振周期数内に発生する96MHzクロック・パルスの数をカウントすることにより動作する。楕円60内の構成要素が、1サンプリング間隔内の発振周期をカウントする。「発振カウンタ」ブロックは、そのサンプリング間隔内の200〜400kHzにおける発振周期をカウントする8ビット・デジタル・カウンタであり、このカウント数は、「発振カウント・ラッチ」内でラッチされ、そのカウンタは0.5ミリ秒毎にリセットされる。この8ビット・カウントは、「バス多重化バッファ」を介してマイクロプロセッサに供給される。次に、楕円61内の構成要素が、カウントされた発振周期数内に発生する96MHzクロック周期数をカウントする。「タイマ・カウンタ」ブロックは、クロック周期をカウントする16ビット・デジタル・カウンタである。このカウント数が「タイマ・カウンタ・アキュムレータ」ブロック内にラッチされるのは、リード62によりこのブロックに発振器パルスが印可されたときだけであるため、この「アキュムレータ」ブロックは、完了した発振周期内のクロック・パルス数だけを含む。サンプリング周期の終わりに、16ビット・カウントは、「タイマ・ラッチ」ブロック内でラッチされ、このカウンタはリセットされ、16ビット・カウントが「バス多重化バッファ」ブロックを介してマイクロプロセッサに到達する。
【0157】
当業者であれば、これらのカウントを得られる他の同等回路構造が理解できるであろう。具体的に言えば、図7には図示していないが、第1のいくつか(2〜4)発振周期の間、あらゆる活動を防止するホールド回路が挙げられる。これにより、クロック・カウントの正確な開始、ならびに回路の安定が得られる。
【0158】
最後に、マイクロプロセッサは、8ビット発振周期カウントを16ビットクロック周期カウントで分割して、24ビット測定発振器周波数を得る。誘導性ループにより測定する断面積の変化と共に直接変化するのは発振周期(周波数の逆)であることに留意されたい。
【0159】
したがって、図7の復調器ブロックにおけるランダム誤差は、0.5ミリ秒サンプリング間隔中、96MHzクロック周期または5.2ナノ秒の半分である。
これは、平均すれば縮小可能な、10ppm誤差を下回る数値である。例えば、2.5ミリ秒について平均すると、およそ2ppm未満の誤差となる。したがって、図7の復調器ブロックでは、誘導プレチスモグラフに必要な正確さを実現している。一方、復調器ブロックが単に0.5ミリ秒サンプリング間隔内で発振器サイクル数をカウントすると、そのランダム誤差は、約3300ppmに対して、0.5ミリ秒毎におよそ300kHz周期または1.67ピコ秒の半分となる。このように不正確になると、最大でも1000ppmの振幅である呼吸および心臓誘導プレチスモグラフの信号は完全に隠れてしまう。
【0160】
5.システムおよび方法
図10は、本発明によるモニタ装置を組み入れた、本発明によるシステムの操作方法全体を示すものである。ここでは、モニタ対象である個体80を、モニタ用衣服を着用し、本発明の好適実施形態による(データ入力のために)マイクロプロセッサ・ユニット(総称してモニタ装置とする)を保持しているものとして図示している。
【0161】
マイクロプロセッサ・ユニットは、モニタ対象である個体に直接、情報および警報を生成することができる。好ましくは、モニタ装置が収集するデータすべてが、あらゆる未加工データも含めて、リポジトリに格納される。通常はモニタ対象の個体から遠隔に位置している中央のリポジトリ91は、数多くのモニタ対象個体からのデータを、データ機能を備えたサーバ型コンピュータ・システム86内に記録することができる。モニタ対象である個体は、データの品質および種類に応じて、取外し可能な記憶媒体81a(フラッシュ・メモリ・モジュールなど)により、無線伝送81bにより、またはこれら双方の手段により、データを伝送することができる。
【0162】
別法として、または上記方法に追加して、データを局所的無線伝送82により伝送した後ローカル・リポジトリ92に格納することができる。取外し可能媒体をローカルに使用してもよい。この場合、モニタ対象である個体の活動は通常制約されるため、1日の大部分を、ローカル・リポジトリから数百〜数千フィート内で過ごすことになる。ローカル・リポジトリとしては、少なくとも10GB容量の適当な記憶装置、好ましくはハードディスクを備えたPCコンピュータを利用可能である。さらに、ローカル・リポジトリは、格納したデータを周期的に中央リポジトリ91(中央リポジトリがあれば)に伝送することができる(83)。
【0163】
このシステムのユーザには、活動および症状などのデータをマイクロプロセッサ・ユニットに入力し、注意の必要な状態を警報する医療上の助言や警報を受け取る可能性のあるモニタ対象個体80が含まれる。もう1種類のユーザとして、ローカルの医療専門家85が挙げられる。このユーザが、ローカル・リポジトリ・システム84を介して、患者の情報を受信(および患者に情報と指示とを伝送)することができる。ローカルの医療専門家はまた、中央の医療専門家90から、電話、Eメール、ポケットベルなどのいくつかの手段により情報を受信することができる(93)。この情報が、ローカルの専門家にとって、患者の状況を要約したもの、具体的な診察および治療ガイドとなる可能性がある。
【0164】
中央リポジトリに関連するシステム・ユーザには、有利なことに、サーバ・システム86と通信状態にあるローカル・コンピュータまたは端末89を介してこのシステムにアクセスする1人以上の中央にいる専門家90が含まれる。中央の専門家は、データが中央リポジトリに格納されているモニタ対象である個体全員について医療状況を監督する。この専門家を補助するために、モニタ対象の母集団を適宜調査するように設計した表示プログラムと、おそらく人工知能技術を用いて特定の医療ガイダンスを提供する診察または治療用プログラムとをサーバ・システムに具備することができる。
【0165】
また、モニタしているユーザ88は、ローカル・コンピュータまたは端末87によりアクセスして、中央リポジトリ91に関わっている。このユーザは、モニタ対象の母集団が持っているモニタ装置の技術的動作、システム・コンピュータの動作および通信状態、および処理プログラムを監督し、問題があればそれを解決する。モニタしているユーザはまた、電話、Eメールまたは他の手段でメッセージに応答することにより、他のシステム・ユーザをサポートすることができる。さらに、モニタしているユーザは、本発明のシステムが有する大部分の機能を監督することにより、重要な品質管理機能を果たすことができる。品質管理内容の例として、システムが生理学的パラメータを正確にモニタしている、モニタされたパラメータを様々なシステム・ユーザに対して正確に表示し、翻訳している、およびあらゆる取締り要件および指導に準拠していることを確認することが挙げられる。
【0166】
最後に、すべてのシステム構成要素に、委任要件および好ましくは機密要件を十分に満たす安全対策を施す。これらの対策の例として、従来技術で周知であるように、ユーザ認証およびデータの暗号化が挙げられる。
【0167】
6.他の実施形態
当業者であれば、本明細書内の記載から様々な実施形態を追加できることが明らかであろう。
【0168】
他の誘導プレチスモグラフ・センサ
他のプレチスモグラフ・センサを、本発明のモニタ装置に組み入れることができる。まず、既存のセンサが収集したデータを他のセンサで増補することができる。例えば、1つまたは複数の胸部センサ・ベルトを、剣状突起の高さに配置された上述の心臓用ベルト上に追加することにより、心臓機能についてさらなる情報が得られる。
【0169】
さらに、ベルトを追加すると、新たな種類の情報が得られる場合もある。下腹部断面積のセンサを用いると、妊娠女性の分娩開始を示す子宮収縮を検出することができる。また、このような下腹部センサは、腸内ガスおよび鼓腸を検出することができる。
【0170】
中腹部断面用誘導プレチスモグラフ・センサは、全体的な腸の活動をモニタすることができる。例えば、断面積の変動がなければ、これは、しばしば外科的緊急事態である「沈黙腹部」を示している。このようなモニタは、腹部手術から回復しつつある患者に有用となり得る。
【0171】
さらに、特定のモニタ作業では、さらに上の正確度や速度が求められる、または、それより低レベルの正確度や速度でよしとされる場合がある。当業者は、そのモニタ作業を見れば適当な正確度および速度を容易に決定でき、それに関連する回路を変更できるであろう。例えば、復調器回路のクロック周波数を高める、またはサンプリング間隔を長くすると、正確度を高めることができる。
【0172】
一般に、個体の医療上の状況に応じて、その個体用に衣服を「処方」することができる。このような処方を施した衣服では、対象生理学的パラメータを担持する信号のみを獲得して格納するように、センサの数が増減されている。
【0173】
複数本のベルトを具備する衣服
誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルトの数を、例えば10本、20本または30本以上に増やし、胴部の鉛直軸方向に実質的に均等に配置して、シャツのような衣服を作製することができる。これらのベルトからの信号は、データ速度の上昇にも十分に対応可能なマイクロプロセッサ・ユニット(またはコンピュータ・システム)と通信状態にある、ベルトより少ない数のローカル電子モジュールに多重送信される。
【0174】
信号の数を増加すると、いくつかの使用方法が得られる。第1に、これらを他の生理学的パラメータを検出するセンサ・ベルトの開発研究に利用する、または、活動や体型上の理由からモニタが難しい個体について、より高い信頼性で現時点のパラメータを検出することができる。第2に、これらを、特定の個体について、モニタ用衣服の形状および構造を選択するために利用できる。個体に、複数本のベルトを備えた衣服を短時間着用してもらい、所望の生理学的パラメータを検出するにはどのベルトが最適であるか、関連処理装置により決定することができる。こうすることにより、最終的な衣服を、その個体に最適な形状、フィット感、およびセンサ・ベルト位置で仕立てることができる。これにより、衣服を、ほとんどの個体、またはどの個体にも理想的とはならないが一定範囲の個体には適当な衣服にすることができる。第3に、定期的なモニタ用に複数本のベルトを備えた衣服を着用してもらい、つながっているマイクロプロセッサ・ユニットに、その時点でデータが格納され、通信状態にある数本のベルトを、最適信号を有するベルトとしてリアルタイムで選択させることができる。
【0175】
単一モニタ装置内の無線伝送
無線周波数(RF)回路およびプロトコルが進出しているため、少なくとも主信号ケーブルを、誘導プレチスモグラフ・センサとマイクロプロセッサ・ユニットとの間の無線伝送に置き換えると有利になる可能性がある。任意に、すべてのデータ・ケーブルをなくすことができる。これは、モニタ対象の個体にとって、モニタ装置のモニタ用衣服との併用方法が簡略化される点で有利である。
【0176】
図8A〜図8Bは、このようなローカル無線伝送に関する2つの重要(かつ代表的)な実施形態を示すものである。これらの図面における発振器ブロック、復調器ブロック、および「マイクロプロセッサ」ブロックは、図6A〜図6Cのブロックと同様の意味である。送信器ブロックはRF送信器、受信器ブロックはRF受信器、矢印70は、送信器および受信器とモニタ用衣服およびそのマイクロプロセッサ・ユニットとの間の無線伝送を表す。好ましくは、これらの伝送は、900MHzまたは2.4Ghzなどの抑制のない帯域で極めて低い電力で行われる。実際の実装では、他のICに高レベル集積形態として埋込まれていなければ、送信器および受信器ブロックを少なくとも1つのICに実装することが好ましい。
【0177】
図8Aの実施形態において、発振器のデジタル化された200〜400kHzの出力は、プレチスモグラフ・センサに関連するモジュールからマイクロプロセッサ・ユニットに伝送される。様々な周波数を適切に復調するには、送信器および受信器を位相同期させるように、搬送波型タイミング信号を伝送すると有利である。
【0178】
図8Bの実施形態では、8および16ビットのデジタル語が、センサから伝送される。このようなデジタル伝送は、有利なことに、ブルートゥース・コンソーシアムにより開発された標準などの、ローカル・デジタル伝送用の標準および製品を用いるものである。この実施形態において、マイクロプロセッサ・ユニット内において、マイクロプロセッサ機能を、各センサに関わる単純なマイクロプロセッサ1と、「中央」マイクロプロセッサ2とに分けると有利な場合がある。マイクロプロセッサ1は、デジタル・データを損失することなく圧縮して、無線データ速度要件および電力要件を低減することができる。マイクロプロセッサ2は、受信したデータを解凍する。圧縮は、発振器の基底周波数200〜400kHzを減算し、逐次差分を伝送するという単純なものでよい。他の圧縮技術も利用可能である。
【0179】
RF伝送の多重送信は、周波数分割、時分割、またはこれ以外の従来技術で周知である多重送信手段により実施可能である。
【0180】
電子機能の他の分割方法も、ローカルな無線伝送と組み合わせ可能である。
【0181】
以上、要約すれば、本発明の基本的で新規な特徴を、その好適実施形態に当てはめながら図示、説明および指摘してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく、当業者であれば、図示したデバイスおよびその操作の形態および詳細について様々な省略、置き換えおよび変更を加えられることを理解されたい。例えば、同じ結果を得るための実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を実施する構成要素および/または方法ステップはすべて、本発明の範囲のものである。さらに、本発明の開示形態または実施形態のいずれかと併せて図示および/または説明した構造および/または構成要素および/または方法を、設計上の選択肢として、他の開示、説明または提案した形態や実施形態のいずれとも組み合わせられることを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書に添付した請求の範囲に記載した内容によってのみ制限されるものである。
【0182】
以上の実施形態は本発明のいくつかの態様を例示する目的で記載したものであるため、本明細書に記載され、請求されている発明の範囲は、本明細書で開示した好適実施形態により制限されるものではない。等価の実施形態であればいずれも本発明の範囲内とする。無論、当業者であれば、上述から、本明細書に示し、記載した内容について本発明に対する様々な変更を加えられることが明白であろう。こうした変更も、添付した請求の範囲に含まれるものである。
【0183】
本明細書においていくつかの引例を用いた。その開示内容全体を本明細書内に引用したものとする。さらに、これらの引例のいずれも、それがいかに上述で論じられていようとも、本明細書で請求している本発明の論述内容に対する先行技術として認められるものではない。
【符号の説明】
【0184】
1 モニタ用衣服
3 ユニット
2,16 信号ケーブル
4 プレチスモグラフ・センサ・ベルト
5 胸部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト
6 腹部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト
7 頸部誘導プレチスモグラフ・センサ・ベルト
8 個体締め具
10,11 ECGリード 14 二次的ケーブル
15 コネクタ
20〜25 センサ(電極)
26 心電図記録用電極センサ
28 パルス・オキシメータ・センサ
30,30a モニタ用衣服
31 タートルネック型長袖衣服
31a 袖なしシャツ
33 マイクロプロセッサ・ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体の生理学的パラメータを非侵襲的にモニタするモニタ装置であって、
モニタ対象である個体の胴部用シャツを含むモニタ用衣服と、
1つまたは複数の誘導プレチスモグラフ(IP)センサであって、それぞれのIPセンサが少なくとも1本の導電性ループを含むインダクタンス・センサを有し、前記導電性ループのインダクタスが前記ループで囲まれる前記胴部の一部の断面積に応答する、IPセンサと、
少なくとも1つのIPセンサからの信号であって、IPセンサの導電性ループのインダクタンスに応答する可変周波数を有する信号を生成する回路と、
前記生成された可変周波数信号からデジタル周波数データを導出する回路であって、前記デジタル周波数データは、定められた期間のサンプリング期間内に発生する前記可変周波数信号の完結した信号期間の数と、前記完結した信号期間内に発生するクロック信号のクロックパルス数を含む、回路と、
前記デジタル周波数データを受信し、前記サンプリング期間内に発生する前記完結した信号期間の数を、前記完結した信号期間内で発生する前記クロックパルス数でデジタル的に除算することにより周波数を決定し、前記デジタル・データのいくつか或いは全てを取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体内に記録するためのマイクロプロセッサを含むマイクロプロセッサ・ユニットと、
前記マイクロプロセッサ・ユニットにデータを伝送し、及び/又は、前記信号を生成する回路及び前記デジタル周波数データを導出する回路に信号を伝送する信号ケーブルと、
を含むモニタ装置。
【請求項2】
さらに、心臓の心室収縮の発生に応答する信号を生成する心臓周期センサを含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項3】
前記心周期センサが、前記モニタ対象である個体に装着された少なくとも1つの心電図(ECG)電極を含む、請求項2に記載のモニタ装置。
【請求項4】
前記コンピュータ可読記憶媒体は、64MB以上の容量を有するフラッシュ・メモリ・モジュールを含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項5】
前記IPセンサが、さらに、患者の呼吸パターンを測定するように作動的に配置された、1本または複数本の導電性ループを具備する少なくとも1つの腹部IPセンサと、1本または複数本の導電性ループを具備する少なくとも1つの肋骨郭部IPセンサとを含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項6】
前記IPセンサが、さらに、心室拍出量を測定するように作動的に配置された、1本または複数本の導電性ループを具備する少なくとも1つの胸部IPセンサを含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項7】
個体の姿勢を示す身体位置センサと、動脈血酸素飽和度を示すパルス・オキシメータと、発声およびいびきを示す喉当てマイクフォンとを含む群から選択され、前記マイクロプロセッサ・ユニットにデータを入力する1つまたは複数の他のセンサをさらに含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサ・ユニットが、モニタ対象の個体が前記マイクロプロセッサ・ユニットに対して情報またはコマンドを入力できる入力装置をさらに含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項9】
前記マイクロプロセッサ・ユニットが、前記マイクロプロセッサに、モニタ対象である個体内に発生している重大な生理学的事象を決定させ、決定された重大な事象をその個体に音声で通知させるための符号化されたソフトウェア命令を格納する記憶装置を含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項10】
さらに、胴部に沿って前記IPセンサが長手方向に移動することを実質的に防止するように前記IPセンサの周方向の締め具合を調節する締め具を含む、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項11】
前記信号ケーブルは、さらに少なくとも1つのモジュールを含み、前記モジュールが、前記IPセンサの前記導電性ループに接続され、かつ電気的に当該ループを完成させ、前記導電性ループの両端部がモジュールから取外し自在であり、前記モジュールがIPセンサに応答して信号を生成する回路を含む請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項12】
前記導出されたデジタル周波数データが、10ppm以下の周波数誤差を有する、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項13】
さらに、IPセンサすべてが具備する導電性ループを前記可変周波数信号生成回路に、前記可変周波数信号生成回路を前記デジタル周波数データを生成する回路に、前記デジタル周波数データを前記マイクロプロセッサ・ユニットに、周期的に接続する多重化スイッチを含む請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項14】
IPセンサが具備する導電性ループから前記可変周波数信号生成回路までのパスの抵抗が、およそ1Ω未満である、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項15】
サンプリング周期が1ミリ秒以下である、請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項16】
少なくとも1つのIPセンサが、前記IPセンサにより生成された信号を前記生理学的モニタ装置周辺内に無線で伝送するための送信器を含み、
前記マイクロプロセッサ・ユニットが、さらに、前記IPセンサから無線で伝送された信号を受信する受信器を含む請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項17】
さらに、少なくとも1つの取外し可能なコンピュータ可読記憶媒体から前記生理学的モニタ装置により記録されたデータを読み取り、読み取ったデータをデータ・アーカイブ内に格納するデータ・リポジトリであって、前記生理学的モニタ装置から遠隔に位置するデータ・リポジトリを含む請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項18】
前記IPセンサは、さらに、心拍ごとの心室容量をモニタするように、前記胴体部の周りに配置された1または複数の導電性ループを含む請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項19】
前記IPセンサは、さらに、1または複数の導電性ループを有する少なくとも1つのネックIPセンサ、または、血管の脈動を測定するように動作的に配置された1または複数の導電性ループを有する手足IPセンサ、または、半胸部を取り囲むように動作的に配置された1または複数の導電性ループ、を含む請求項1に記載のモニタ装置。
【請求項20】
前記クロック信号は、96MHzの周波数を有する、請求項1乃至19の何れか1項に記載のモニタ装置。
【請求項21】
前記クロック信号は、約120MHzと論理的回路を実装する可能性を有するまでの周波数との間の周波数を有する、請求項1乃至19の何れか1項に記載のモニタ装置。
【請求項22】
さらに、前記クロック信号から、前記サンプリング期間の間隔を決定する回路を含む、請求項1乃至21の何れか1項に記載のモニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−279715(P2010−279715A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165409(P2010−165409)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2001−575884(P2001−575884)の分割
【原出願日】平成13年4月17日(2001.4.17)
【出願人】(501333847)ビボメトリックス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】