説明

画像センサのチルトを求めるための方法

【課題】カメラに取り付けられた画像センサのチルトを求めるための、改善された方法を提供する。
【解決手段】カメラ12における画像センサ10表面の、カメラ12のレンズ基準面26に対するチルトを求めるための方法であり、画像センサ10に光を送るステップと、画像センサ10から反射した光を受けるステップと、反射光における干渉パターンを特定するステップと、干渉パターンの特徴を特定するステップと、干渉パターンにおいて特定された特徴の位置に基づいて画像センサ10表面のチルトを求めるステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラにおける画像センサのチルトを求めるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ、特にモニタカメラおよび監視カメラからの画像の品質が向上しており、また、より高品質な画像への要求が高まっている。特に、これらの要求は、ピクセル数が増え、またピクセルピッチが小さくなった画像センサがカメラに実装されることをもたらしている。しかし、より高品質の画像を実現するためには、ピクセル数およびピクセルピッチ以外の他の特徴が考慮される必要がある。
【0003】
例えば、画像センサにおけるピクセル数の増加と、ピクセルピッチの低下とによって、撮像デバイスは、画像センサと、景色を表す光を画像センサに提供する光学部品類との間の位置合わせ不良にますます影響されやすくなる。したがって、画像センサが高精度に取り付けられていないと、増加した数のピクセルによる品質は、劣化する恐れがある。
【0004】
カメラの光軸、すなわち、カメラに取り付けられたレンズの光軸に対する画像センサのチルトを測定するために、今日では様々な異なる方法が用いられている。
【0005】
方法の1つには、「ゴールデンオプティクス(golden optics)」、すなわち、実質的に欠点のない光学部品類を用いることが含まれる。特定の対象における画像は、「ゴールデンオプティクス」を用いて取り込まれ、次に、取り込まれた画像を分析することによって、センサのチルトを求めることができる。別の方法では、チルトは、極めて浅い被写界深度を利用する顕微鏡を用いて測定される。さらに別の方法では、カメラの光軸に沿ってレーザービームが画像センサに送られ、反射光が、光軸からの偏りについてチェックされる。この方法における課題の1つは、画像センサからの反射光を特定することであるが、これは、レーザーを光軸に沿って画像センサに向けて照らす際に複数の反射光が生じ、反射光のうちのどれが画像センサから生じたものかを特定することが困難であるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明における目的の1つは、カメラに取り付けられた画像センサのチルトを求めるための、改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に従う、カメラにおける画像センサ表面のチルトを求めるための方法によって達成される。本発明におけるさらなる実施形態は、従属請求項で提供されている。
【0008】
より具体的な一実施形態によれば、カメラにおける画像センサ表面の、カメラのレンズ基準面に対するチルトを求めるための方法は、画像センサに光を送るステップと、画像センサから反射した光を受けるステップと、反射光における干渉パターンを特定するステップと、上記干渉パターンの特徴を特定するステップと、上記干渉パターンにおいて特定された特徴の位置に基づいて画像センサ表面のチルトを求めるステップとを含む。
【0009】
干渉パターンの特徴に基づいて画像センサのチルトを求めることの利点は、その決定がより確実となる点である。信頼性の向上は、画像センサに向かう光路に配置され得る任意の他の反射面から生じる干渉パターンではなく、画像センサ自体の反射から生じる干渉パターンの結果である。したがって、画像センサ以外の他の面、または他の手段から生じる特徴に対して測定を行なうリスクは最小となる。
【0010】
一実施形態によれば、上記特徴は、干渉パターンの干渉位置である。
【0011】
別の実施形態によれば、上記特徴は、干渉パターンにおける零次干渉である。
【0012】
一実施形態では、零次干渉を特定する上記ステップは、画像センサに送られる光の経路における反射面からの鏡面反射光の近傍に基づいている。それにより、干渉パターン内における零次干渉の特定が容易となる。
【0013】
別の実施形態では、零次干渉を特定する上記ステップは、傾斜していない画像センサからの零次干渉における予想位置の近傍に基づいている。この実施形態における利点の1つは、干渉パターン内における零次干渉の特定が容易となる点である。
【0014】
さらなる実施形態では、画像センサ表面のチルトは、干渉における特徴の位置と、傾斜していない画像センサ表面に対する干渉における特徴の予想位置との間の距離を測定することによって求められる。
【0015】
別の実施形態によれば、画像センサ表面のチルトは、干渉における特徴の位置と、通常動作中のカメラに取り付けられているレンズの光軸が分析面と交わる点である所定の中心点との間の距離を測定することによって求められる。
【0016】
一実施形態によれば、画像センサ表面のチルトを求めるステップは、特定された干渉の特徴における第1の位置を求めるステップと、カメラを、レンズ基準面に垂直な軸の周りに実質的に180度回転するステップと、カメラを回転する上記ステップの後に、上記干渉の特徴における第2の位置を求めるステップと、干渉の特徴における第1の位置と第2の位置との間の距離に基づいて画像センサ表面のチルトを求めるステップとを含む。この実施形態の利点は、チルトを求めるための、干渉の特徴における位置を関係づける正確な中心点を特定することを必要とせずにチルトが求められる点である。それによって、このような中心点の精度に関係する不確かさを回避することができ、結果はより確実となり得る。
【0017】
さらなる実施形態では、レンズ基準面は、通常動作中のカメラに取り付けられているレンズの光軸に垂直な面である。
【0018】
一実施形態では、本方法は、レンズ基準面を分析面に実質的に平行に配置している試験装置にカメラを取り付けるステップをさらに含む。
【0019】
別の実施形態によれば、干渉の特徴における位置は、分析面上で求められる。
【0020】
一実施形態では、分析面は、カメラから反射した光の、目に見える提示を可能にする面を含む。目に見える提示における利点は、その面を見ている人間によって分析が行なわれ、かなり単純なデバイスで分析が実現され得る点である。したがって、このようなデバイスのコストは下がり得る。
【0021】
別の実施形態では、分析面は、カメラから反射した光を検出するように配置された画像センサを含む。この実施形態は、人間がモニタする必要がなく、また人間が結果を分析する必要のない点で有利である。
【0022】
一実施形態によれば、画像センサに送られる光は単色光である。
【0023】
別の実施形態によれば、画像センサに送られる光はレーザー光である。
【0024】
本発明の適用性におけるさらなる範囲は、以下で与えられる詳細な説明より明らかとなろう。しかし、本発明の範囲内における様々な変更および改変が、この詳細な説明より当業者には明白となることから、この詳細な説明および具体的な例は、本発明における好ましい実施形態を示しつつ、例示のみによって与えられることを理解されたい。したがって、本発明は、説明されるデバイスにおける特定の構成部分、または、説明される方法における特定のステップに限定されないが、これは、このようなデバイスおよび方法が異なり得るためであることを理解されたい。さらに、本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態だけを説明するためのものであり、限定するようには考えられていない点を理解されたい。冠詞「a」、「an」、「the」、および「said」は、本明細書、および添付の特許請求の範囲で用いられる場合、明確にことわらない限り、1つまたは複数の要素があることを意味するように考えられている点に留意されたい。したがって、例えば、「センサ(a sensor)」または「センサ(the sensor)」に対する言及には、いくつかのセンサが含まれ得る。さらに、「含む(comprising)」という語は、他の要素または他のステップを排除しない。
【0025】
本発明における他の特徴および利点は、添付図面に関連した、現在のところ好ましい実施形態における以下の詳細な説明より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態による構造および光路を示す概略図である。
【図2】画像センサなどの傾斜面から反射した光ビームに対する影響を示す概略図である。
【図3】干渉パターンの中央部分を示す概略図である。
【図4】干渉パターンの中央部分と、画像センサに向けて送られる光の経路における他の面からの反射光とを示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態によって測定される距離を示す概略図である。
【図6】本発明の別の実施形態によって測定される距離を示す概略図である。
【図7】一実施形態による、本発明を実施するための装置の概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に従って用いられる試験パターンを示す概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態に従って用いられる試験パターンを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
さらに図では、同じ参照符号は、いくつかの図にわたって、同じ部分、または対応する部分を示す。
【0028】
本発明は、カメラの検査に関し、特に、カメラにおける画像センサのチルトをチェックするプロセスに関する。ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態によってカメラ12における画像センサ10のチルトをチェックすることは、カメラ本体18の撮像開口部16を通して光14を画像センサ10に送ることを含む。光14は、カメラの設計に応じて、1つもしくは複数の透明プレートまたは透明物体20を通って伝わり得る。次に、撮像開口部の中に送られた光14は、画像センサ10および透明プレート20によって反射することになり、反射光22は、画像センサ10および透明プレート20から戻る矢印で図に示されている。次に、反射光は分析面24に取り込まれ、分析面24では、結果として生じる反射光のパターンを分析することができる。
【0029】
カメラ12の中に送られ、また画像センサ10に送られる光14は、狭帯域光源、単色光源、またはレーザーによって画像センサに伝えられてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、光14は、レンズ基準面26に垂直な方向を有する軸に沿ってカメラに送られる。本発明の場合、レンズ基準面26は、通常動作中のカメラに取り付けられているレンズの光軸に垂直な面である。したがって、レンズ基準面は、多くの場合、カメラに取り付けられているレンズの光軸の方向を定める、カメラのレンズマウントに関連し得る。
【0031】
本発明の基本的な考えは、カメラ12の品質を確実なものとするために、レンズ基準面26に対する画像センサ10のチルトをチェックすることである。画像センサ10のチルトが大きすぎると、その画像センサによって取り込まれた画像は、品質の低すぎるものとなる。低品質画像をもたらすと考えられるチルトの量は、主観的である。しかし、多くの監視用途では、画像センサを0.5〜1度傾けることは、多くの場合、実際の用途では低すぎる品質をまねく。本発明によって、チルト角を0.1度のオーダーで検出することが可能となる。このタイプのチェックは、あらゆる単一カメラに対して連続的に行なうことができ、または、ランダムなサンプルに対して行なうことができる。
【0032】
一実施形態によれば、画像センサ10のチルトをチェックすることは、画像センサ10に光14を送ることと、画像センサ10からの光の反射22から画像センサ10のチルトを求めることとによって行なわれる(図2参照)。画像センサ10は、画像センサの光検出面がレンズ基準面と平行でない場合に、傾いていると判定される。センサにおけるこのチルトは、画像センサ10に送られた光14と、この光の反射22との間の偏りを検出することによって求めることができる。図2において、画像センサから反射する光は、画像センサに向けて送られる光14に対して角度2αで反射する。画像センサ10に送られる光14と反射光22との間のこの角度を検出することによって、レンズ基準面26に対する画像センサ10のチルト角を求めることができる。画像センサに送られる光14が、レンズ基準面に垂直な方向に送られると、レンズ基準面に対する画像センサのチルト角αは、画像センサ10に向けて送られる光14と反射光22との間の角度2αの半分となる。傾斜角α、画像センサ10と分析面との間の距離l、および、画像センサ10から反射した光の理想的な位置28と画像センサ10から反射した光の実際の位置30との間の距離rの関係は、

によって表すことができる。したがって、画像センサのチルト角αは、

として表すことができる。
【0033】
しかし、画像センサ10に送られる光は複数の反射光をもたらし、すべてが画像センサ10からの反射光であるわけではないことから、画像センサからのこの反射光は、特定することが困難である場合がある。これらの反射光のうちの少なくとも一部は、光が伝わる経路にある透明材料からの光の反射に起因する可能性がある。一部のカメラでは、光学経路にはガラスディスクまたはガラスプレートがあり、このようなディスクの1つは、光がガラスディスクに入る面の所で反射光の1つを発生させ、また光がそのガラスディスクを出る面の所で反射光の1つを発生させる可能性が多分にある。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、干渉パターンが特定される。この干渉パターンは、高密度に詰められた複数の光検出セルを含む画像センサから反射する光の結果である。そのため、これらのセルによって、画像センサは、干渉パターンを生み出す反射格子(reflection grating)として働く。画像センサの場合、結果として生じる干渉パターンは、干渉パッチ(interference patch)のマトリックスを形成する(図3参照)。いくつかの画像センサでは、さらなる反射光、および、さらなるパターンが、画像センサから反射され得る。干渉パターンでは、干渉パターンにおけるパッチの1つは、直接反射、または言い換えると、鏡面反射に対応しており、図3では「0th」と呼ばれる。この直接反射0thは、しばしば零次干渉と呼ばれる。零次干渉0thの隣のパッチは、1次干渉1stと呼ばれ、1次干渉1stの隣であるが、零次干渉0thからさらに離れているパッチは、2次干渉2ndと呼ばれる。
【0035】
したがって、干渉パターンは、画像センサによってもたらされる反射光であり、それにより、干渉パターンにおけるいずれか1つのパッチは、画像センサのチルトを求めるために用いることができる可能性がある。しかし、本発明の一実施形態によれば、画像センサのチルトを求めるために零次干渉が用いられ、それは、零次干渉が、例えば鏡面からの直接反射と同様である、画像センサ面における直接反射に対応しており、それによって、上記で表されているチルトを計算するための式に零次干渉を用いることができるためである。ここで図4を参照すると、光路における他の面からのすべての反射光32a〜32dから、画像センサからの反射光を区別する課題は、画像センサからの零次干渉30が干渉パターンの一部であり、それによって他の反射光から零次干渉30が識別され得る点を利用することによって解決することができる。これは、これらの反射光のそれぞれを、画像センサによって生み出された、干渉パターンの一部である光のパッチに関連づけ、その干渉パターンの一部を形成する可能性が最も高い反射光を特定することによって実現され得る。これらの反射光のそれぞれを光のパッチに関連づける作業は、ライン34および列36における干渉パターンの干渉位置をつなぐ仮想ライン34、36を特定し、次に複数の反射光の中から画像センサによってもたらされた反射光を特定するのと同程度に簡単であり得る。
【0036】
さらに、画像センサのチルト角を求めるために零次干渉を特定する方法の1つは、反射光のクラスターを見つけることであるが、これは、任意の他の次数の干渉よりも零次干渉の方がこれらの他の反射光に近い可能性があるためである。可能性のある候補が見つかると、干渉パターンに属するクラスターの反射光のうちのどれか1つを特定することだけが必要となる。零次干渉が他の反射光に近い理由は、画像センサのチルト角と、反射光をもたらす他の面のチルト角とが非常に小さく、干渉パターンにおける干渉位置どうしの間の距離が、反射光と、これらの面の傾斜に起因する零次干渉との間の距離より実質的に大きいことである。
【0037】
零次干渉を特定するためのさらに別の方法は、中央マーカー40に最も近い光のパッチを特定することであり、中央マーカーは、傾いていない面、すなわち傾いていない画像センサからの理想的な反射光が分析面を照らすことになる位置を示している(図5参照)。これは有効な仮定であるが、それは画像センサの傾斜角が、反射干渉のうちの零次干渉以外の反射干渉の位置が零次干渉に比べて中央マーカーに近くなるような大きさになるという可能性が低いためである。
【0038】
画像センサから生じる反射光、すなわち反射干渉が特定されると、次に、画像センサに光を照らすことによって生じるこれらの特徴のうちの1つまたは複数に基づいて、画像センサの傾斜を求めることができる。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、画像センサの傾斜角は、中央マーカー40から零次干渉30までの距離rによって示すことができる(図5参照)。この距離rは、傾斜角を計算するために用いることができ、あるいは、rに対する値が、超過することのない許容可能な傾斜角を表してもよい。
【0040】
別の実施形態によれば(図6参照)、零次干渉の位置30が特定および登録され、次にカメラは、例えば光の焦点を画像センサに合わせるためにカメラに取り付けられたレンズの光軸である、上記レンズ基準面に垂直な軸の周りで180度回転する。それによって、干渉パターンも180度回転することになり(図6における破線のパッチを参照)、カメラが180度回転したときの零次干渉の位置42が登録される。それぞれの零次干渉である2つの位置30、42の間の距離dは、上記の実施形態における式で用いられる距離rを2倍にすることに相当する。したがって、この実施形態では、距離d=2rであり、傾斜していない画像センサからの反射光に対する理想的な点は、登録された零次干渉である2つの点30、42の間の距離の半分となるはずである。したがって、このタイプの測定からの結果は、チルト角を求めるために、または、チルト角が何らかの所定値を超えているかどうかを判定するために、上記の方法で用いることができる。
【0041】
次に図7を参照すると、カメラにおける画像センサのチルトの決定を行なうための試験装置46に関する一実施形態は、分析面24と、試験装置46にカメラを取り付けるためのカメラインタフェース48と、光源50と、光14を光源50からカメラ12に、またカメラ12における画像センサ10に反射させ、カメラ12からの反射光22をミラー52を通して分析面24に通過させる半透明ミラー52とを含む。カメラ12は、カメラ12のレンズ基準面26が分析面24に実質的に平行になるように試験装置に取り付けられる。分析スクリーンに平行なレンズ基準面を実現する方法の1つは、レンズマウント、または、カメラにおける他のレンズ固定手段を用いて、カメラを試験装置に取り付けることである。
【0042】
この試験装置は、手動で操作されてもよい。手動操作では、分析スクリーンがオペレータによってモニタされて、画像センサ10のチルトを求める際に用いられる特徴が測定されてもよい。あるいは、分析スクリーン24は、零次干渉を干渉パターンの残りの少なくとも一部分に関連づけることによってその零次干渉を見つけるために、零次干渉の許容可能な位置と、1つの他の次数の干渉に関する位置パッチ(position patch)とを示す試験パターンを提供することができる。
【0043】
図8には、このような試験パターンの1つが示されている。このパターンは、中央のチルト表示ゾーン70、および、位置合わせポイント72:1〜72:8を含む。中央のチルト表示ゾーン70は、この中央のチルト表示ゾーン70の中に零次干渉の位置がある場合に許容可能なチルトが示されるような形状と大きさのものでもよい。中央のチルト表示ゾーン70が円形である場合、この円の半径は、分析面とセンサ面との間の距離に等しい長さlを設定し、チルト角αを最大許容チルトの角度に設定して、上記の式1を用いて求めることができる。調べられている光のパッチが零次干渉であることを確認するために、一次干渉パターンを位置合わせポイント72:1〜72:8にそろえることができる。
【0044】
別の実施形態によれば、図7の分析面は湾曲していてもよく、特定の一実施形態によれば、分析面は球状に湾曲していてもよい。
【0045】
さらに別の実施形態によれば、図7の分析面は、反射光を検出して試験分析の自動的な実行を可能にするように構成された画像センサを含む。
【0046】
さらに、図7における試験装置の光源は、分析面の背後に代替的に配置され、分析面における小さい孔を通してその光源の光を送ってもよい。このような実施形態では、半透明ミラーに対する必要性がなくなる。
【0047】
以下では、カメラにおける画像センサのチルトを求めるための方法に関する具体的な一実施形態が説明される。まず、カメラに取り付けられている任意のレンズが取り外される。試験されるカメラは、試験装置のねじに接触するレンズねじによって位置決めされる。試験装置のねじは、試験されるカメラを誘導するための円筒状の面を有する。カメラは、ねじに対してねじ留めされる。あるいは、上記のレンズねじは、いかなる他のレンズ取り付け構造体でもよい。分析面には、例えば図9の試験パターンである、ターゲットが配置されている。中央の円80は、カメラからの中心点が表示される場所を示すためのものである。左下隅にある(許容円とも呼ばれる)円84は、この特定の実施形態では許容基準を示す。円84の内部にある陰影の付けられた小さい円86は、許容基準である角度の半分を示すためのものである。正方形である82:1、82:3、82:5は、測定ドットのうちのコーナードットが位置決めされることになる場所を示し、三角形である82:2、82:4、82:6、82:7は、サイドドットが位置決めされることになる場所を示す。一実施形態では、試験パターン上のマーク82:1〜82:7に関係するこれらのドットは、一次干渉に属する。しかし、より高い次数の干渉ドットが用いられてもよい。カメラのシルエット88は、どの方向に誤差があるかを判断できるようにターゲットに向けるためのものである。分析面にはいくつかのドットが生じることになる。絞りカバー(図示せず)はドットの数を減らすが、依然としていくつかの関係のないドットが存在する。中央のドットは、装置の内部ミラーにおける孔のために、欠いているか、または部分的に欠いている場合がある。
【0048】
正確なドットが測定に用いられる可能性を高める方法の1つは、以下のステップを追うことである。測定されているカメラの向きに合うようにカメラのシルエット88を向ける。中央の円80を、おおよそで、中央のドットの周りに配置する。円84の中心を、最も近いコーナードットに配置する。円84の中のコーナードットから斜めに向かい合っているコーナードットが、ライン上にあり、また正方形82:3に入るようにターゲットを調整する。他のコーナードットが正方形82:1、82:5の中にあり、サイドドットが三角形82:2、82:4、82:6、82:7の中にあることをチェックする。円84の中にあるコーナードットが円84の中心に正確に入っていることを再度チェックする。次に、カメラは、カメラの光軸、すなわち、レンズ基準面に垂直であり、それによって分析面に対しても垂直である軸の周りで180度回転する。このユニットは、ねじから緩むことは許可されていない。新たなドットの位置に留意されたい。現在のドットを通して引かれた2本の仮想ラインは、ターゲットにおける長いライン90、92と平行であるはずである。仮想ラインが、長いライン90、92と平行でない場合は、ユニットが180度回転していないか、または、ターゲットが動いたか、もしくは、ターゲットが正確に配置されていない。このことが起こると、測定は有効でなくなり、測定が再度行なわれる必要がある。
【0049】
仮想ラインが、長いライン90、92と平行である場合には、コーナードットの位置が円84に最も近いことに留意されたい。このドットが円84の内側にある場合、カメラは、画像センサのチルトに関して認可される。このドットが円84の外側にある場合には、カメラは認可されない。
【符号の説明】
【0050】
10 画像センサ
12 カメラ
14 光
16 撮像開口部
18 カメラ本体
20 透明プレート
22 反射光
24 分析面
26 レンズ基準面
28 反射光の理想的な位置
30 零次干渉の位置
32a 他の面からの反射光
32b 他の面からの反射光
32c 他の面からの反射光
32d 他の面からの反射光
34 仮想ライン
36 仮想ライン
40 中央マーカー
42 カメラが180度回転したときの零次干渉の位置
46 試験装置
48 カメラインタフェース
50 光源
52 半透明ミラー
70 中央のチルト表示ゾーン
72:1 位置合わせポイント
72:2 位置合わせポイント
72:3 位置合わせポイント
72:4 位置合わせポイント
72:5 位置合わせポイント
72:6 位置合わせポイント
72:7 位置合わせポイント
72:8 位置合わせポイント
80 円
82:1 マーク
82:2 マーク
82:3 マーク
82:4 マーク
82:5 マーク
82:6 マーク
82:7 マーク
84 円
86 円84の内部にある陰影の付けられた小さい円
88 カメラのシルエット
90 長いライン
92 長いライン
th 零次干渉
st 1次干渉
nd 2次干渉
α 傾斜角
d 距離
l 距離
r 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラにおける画像センサ表面の、カメラのレンズ基準面に対するチルトを求めるための方法であって、
画像センサに光を送るステップと、
画像センサから反射した光を受けるステップと、
反射光における干渉パターンを特定するステップと、
干渉パターンの特徴を特定するステップと、
干渉パターンにおいて特定された特徴の位置に基づいて画像センサ表面のチルトを求めるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記特徴が干渉パターンの位置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記特徴が干渉パターンにおける零次干渉である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
零次干渉を特定する前記ステップが、画像センサに送られる光の経路における反射面からの鏡面反射光の近傍に基づいている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
零次干渉を特定する前記ステップが、傾斜していない画像センサからの零次干渉における予想位置の近傍に基づいている、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
画像センサ表面のチルトが、干渉における特徴の位置と、傾斜していない画像センサ表面に対する干渉における特徴の予想位置との間の距離を測定することによって求められる、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
画像センサ表面のチルトが、干渉における特徴の位置と、通常動作中のカメラに取り付けられているレンズの光軸が分析面と交わる点である所定の中心点との間の距離を測定することによって求められる、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
画像センサ表面のチルトを求めるステップが、
特定された干渉の特徴における第1の位置を求めるステップと、
カメラを、レンズ基準面に垂直な軸の周りに実質的に180度回転させるステップと、
カメラを回転させる前記ステップの後に、前記干渉の特徴における第2の位置を求めるステップと、
干渉の特徴における第1の位置と第2の位置との間の距離に基づいて画像センサ表面のチルトを求めるステップと
を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レンズ基準面が、通常動作中のカメラに取り付けられているレンズの光軸に垂直な面である、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
レンズ基準面を分析面に実質的に平行に配置している試験装置にカメラを取り付けるステップをさらに含む、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
干渉の特徴における位置が分析面上で求められる、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
分析面が、カメラから反射した光の、目に見える提示を可能にする面を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
分析面が、カメラから反射した光を検出するように配置された画像センサを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
画像センサに送られる光が単色光である、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
画像センサに送られる光がレーザー光である、請求項1ないし14のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−29494(P2013−29494A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−126735(P2012−126735)
【出願日】平成24年6月4日(2012.6.4)
【出願人】(502208205)アクシス アーベー (39)
【Fターム(参考)】