説明

画像位置決め測定方法

【課題】 本発明は、画像処理による位置決め測定方法の安全かつ簡便化と操作容易化を図り、画像位置決め測定装置の小型化・高精度化を図ったものである。
【解決手段】 顕微鏡、オートフォーカスユニット、門型のステージ計測ユニット6、パソコン、防振台、直動基準スケール、直動基準スケール治具、回転用基準スケール、回転用基準スケール治具で構成される画像位置決め測定装置を用いて、計測したい製品を門型のステージ計測ユニットに載置し、基準スケールと基準スケール治具をステージの上に置き、ステージを動かしながら基準スケール治具で基準スケールとステージの平行出しを行ない、基準スケールに記載されている目盛線のメモリーのピッチ間を画像処理により計測して基準寸法を決め、それに基づきステージの「位置決め精度」、「繰り返し位置決め精度」、「バックラッシュ」、「XY直交度」、「平行度」などの測定をし、測定項目ごとに画像処理により連動もしくは手動操作で計測を行なう画像位置決め測定方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の画像位置決め測定方法は、自動ステージの「位置決め精度」、「繰り返し位置決め精度」、「バックラッシュ」、「XY直交度」、「平行度」などの測定に特化し、レーザ測長のように屈折率の影響を受けず、簡単かつ安全に計測できるというコンセプトから生まれた画像位置決め測定方法である。
【背景技術】
【0002】
従来の位置決め測定技術は、レーザの特性を評価してレーザ応用計測が登場しており、普通の光に比べて空間的、時間的な規則性が格段と高く、コヒーレンシーがよく、輝度が高く、単色性がよく、光の周波数変調、位相変調、光高調波発生などの特性が活用されて実用化が進んできているが、レーザ測長機はレーザを使用しているので、測定前には数分間の暖機運転が必要となっていた。
【0003】
暖機運転は、精度の誤差が生じてしまう為レーザ測長機の場合、必ずやらなければならない項目である。また、画像位置決め測定装置は画像による計測であるので基本的には照明の安定性において精度誤差が出るのでこれもまた安定が求められるが、実験の結果、μm単位での照明による位置決め測定の変動は見られなかった。
したがって、μm単位の計測をする画像位置決め測定装置は暖機運転は不要となっている。
【0004】
また、レーザ応用測距技術として、レーザ干渉測距装置、光学結晶による光変調測距装置、半導体レーザの直接変調測距装置などもあるが、いずれも装置が大型化し、操作が複雑で、コストも高くなっていた。
【0005】
そのほか、オートコリメータで計測されているが、オートコリメータは望遠鏡とコリメータの機能を組み合わせ、それ自身の視準光によって反射鏡の小さな角度偏移を検出するが、分解能はレーザ測長機とともにあることが明らかであり、位置決め精度などを測定するのに、μm単位で計測できれば十分であると考えられている。
【0006】
その根拠としては、実際ボールねじ及び摩擦がある移動機構に関しては、実際に測定するのに、測定値はμm単位以下になることはなく、膨張係数に関してもガイドやボールねじは鉄が使用されており、ステージ本体は他の素材を使っているので、係数として値を導くことは難しいと考えられ、温度に関しても、上記の事柄から膨張係数が異なった製品の組み合わせで形成されている自動ステージにはある程度の誤差が生じている。
【0007】
これらのことから、画像位置決め測定方法が自動ステージの測定には最適という結論に達し、本発明の画像位置決め測定方法を開発したものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、前記した従来技術の欠点を解消し、改善しようとしたものであり、画像処理技術を駆使して、装置もコンパクトにまとめており、操作が簡単で、コストも大きく低減されるようになっている。
【0009】
また、画像処理技術の採用により、従来使用されていたレーザ測長機やオートコリメータと同様の測定ができ、直動用基準スケール用治具7と回転用基準スケール16を用いることにより、簡単に操作・測定できるようになった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像位置決め測定方法に用いる画像位置決め測定装置1を図1に従って概略説明すると、顕微鏡(照明、CCDカメラを含む。)2、オートフォーカスユニット(自動Z軸ステージ用コントローラを含む。)4、門型のステージ計測ユニット6、防振台3、直動用基準スケール9、直動用基準スケール治具7やその他パソコンなどで構成されている。
【0011】
具体的に画像位置決め測定装置1を用い、計測したい製品を門型ステージ計測ユニット6に載置し、直動用基準スケール9と直動用基準スケール治具7をステージの上に置き、ステージを動かしながら直動用基準スケール治具7で直動用基準スケール9とステージの平行出しを行ない、直動用基準スケール9に記載されている目盛線5のメモリーのピッチ間を画像処理により計測して基準寸法を決め、それに基づきステージの「位置決め精度」、「繰り返し位置決め精度」、「バックラッシュ」、「XY直交度」、「平行度」などの測定をし、測定項目ごとに連動もしくは手動操作で計測を行なう測定方法である。
【0012】
第2の画像位置決め測定方法について述べると、顕微鏡2、オートフォーカス(AF)ユニット4、門型ステージ計測ユニット6、防振台3、直動用基準スケール9、直動用基準スケール治具7やその他パソコンなどで構成される画像位置決め測定装置1を用い、計測したい製品を門型ステージ計測ユニット6に載置し、回転用基準スケール16と回転用基準スケール治具13をステージの上に置き、回転ステージと連動しながら回転方向調整用つまみ11とXY方向調整回転つまみ12を動かし、回転用基準スケール治具13で回転用基準スケール16と平行出しを行い回転中心ターゲット14に合わせている。ついで、回転用基準スケール16に記載されている目盛線5のメモリーのピッチ間を画像処理により計測して基準寸法を決め、それに基づき、角度ごとの座標求めて角度を計算し、ステージの「位置決め精度」、「繰り返し位置決め精度」、「バックラッシュ」、「XY直交度」、「平行度」などの測定をし、測定項目ごとに連動もしくは手動操作で計測を行なう画像位置決め測定方法である。
【0013】
本発明に用いている顕微鏡(照明、CCDカメラを含む。)2は、装置組み込み型AF(オートフォーカス)顕微鏡が用いられ、AFユニット(自動Z軸ステージ用コントローラを含む。)・照明・CCDカメラ・フォーカスステージすべてが一体化されており、照明はライトガイドアダプタ付きとなっている。
【0014】
顕微鏡2による画像計測のため製品により近い位置での計測が出来るので、累積誤差が少ないという利点があり、画像処理を利用して計測しているので、画像処理による面積測定、粒子測定、エッジ検出、寸法計測などの用途でも合わせた展開も可能となっている。
【0015】
ステージ面に置いた直動用基準スケール9と回転用基準スケール16を測定するものであって、ステージ本来の精度測定が出来るようになり、位置決め精度の範囲を設定しておけば、合否判定・場所の特定が出来るようになっている。直動用基準スケール9と回転用基準スケール16は、各種測定機器の構成、また上位の校正装置、基準器とのトレーサビリティ確認に使われている。
【0016】
AF(オートフォーカス・自動焦点調節機構)ユニット4については、2方向に移動しながら、各画面でコントラストを計算一番、コントラストが高いところを合焦点位置とするもので、コントラスト計算に当たっては、点線位置において、X座標での輝度をXiとし、隣の位置の輝度との差を計算し、これを1ライン積算し、コントラスト値としている。
【0017】
本発明の画像位置決め測定方法を図1、図2、図3、図4、図5、図6に従って詳細に説明すると、お客様の測定ステージ8など計測したい製品を門型ステージ計測ユニット6に載置し、顕微鏡2を用いて、直動用基準スケール9とお客様の測定ステージ8が平行になるように平行出しを行い、直動用基準スケール9に記載されている目盛線5のメモリーのピッチ間の寸法を画像処理により簡単かつ安全に計測するものである。
【0018】
つぎに、直動用基準スケール9(校正されたもの)を画像処理により計測して、1画素の基準寸法を計測して、それに基づき自動ステージの測定項目(「繰り返し位置決め精度」、「位置決め精度」、「バックラッシュ(Backlash・部品間の緩みによる機械のがたつき)」、「X−Y直交度(回転用治具を使用する。)」、「平行度」)ごとに連動もしくは手動操作で計測を行なうものである。バックラッシュでは、部品間の隙間による駆動と駆動素子との間の無駄な動きを計測している。
【0019】
本測定は、日本規格協会発行のJISB6190−2(ISO−230−2)に準じた測定を行なっている。
【0020】
同じ製品を複数台測定する場合、一度の初期計測でよいので測定作業が短時間で済むようになっている。計測したデータはエクセルのグラフに即時表示できるようになっている。
【0021】
測定ステージは、直動ステージ、回転ステージなどがあり、ステージをそれぞれ組み付けた型での計測も可能となっている。
【0022】
防振台3は、精密検査に最適な防振ゴム式防振台が用いられるが、剛性の高いスチールハニカム定盤を使用しており、そのほか、空気ばね式の除振装置が用いられるが、需要者が保持している場合にはオプションとされることもある。
【0023】
門型ステージ計測ユニット6がなくても、設置可能な場所があれば計測可能となっている。
【0024】
画像処理による独自のアルゴリズム(コンピュータがどのように処理するかを示し、性格に定義づけられた一連のステップ)によるオートフォーカスを使っているので機械もコンパクトになっている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像位置決め測定方法に用いる画像位置決め測定装置1は、レーザ測長機やオートコリメータと同様の測定が可能ばかりか、直動用基準スケール用治具7を用いることにより簡単に測定できるようになり、また、構造が単純であるため、安価であることが特徴である。
【0026】
一度初期計測した自動ステージは、同じ製品を何台も計測する場合には、初期計測は必要でなくなり、短時間で同じ製品を何台も計測するのに時間が短縮できるようになった。
【0027】
直動用基準スケール9と回転用基準スケール16の2個を用意すれば、レーザ測長機やオートコリメータと両方の機能をもたせることができるようになった。
【0028】
本発明の画像位置決め測定方法は、レーザを用いた測長機と違い、画像処理による計測のため、測定前の数分間の暖機運転は不要になったばかりか、画像計測のためレーザ波長に対する空気の屈折率の影響がなく、安全であり、環境にやさしい商品となっている。
【0029】
また、直動用基準スケール用治具7と回転用基準スケール16を使用しているので、測定準備に時間がかからず、誰にでも簡単に操作できるようになった。さらに、顕微鏡2による画像計測のため製品により近い位置での計測が出来るので、累積誤差が少ないという利点があり、画像処理を利用して計測しているので、画像処理による面積測定、粒子測定、エッジ検出、寸法計測などの用途でも合わせた展開も可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】画像位置決め測定装置での実施例側面図。
【図2】門型ステージ測定ユニットの正面図。
【図3】直動用基準スケール治具平面図。
【図4】回転用基準スケールAの正面図。
【図5】回転用基準スケールAの側面図。
【図6】回転用基準スケールAの平面図。
【図7】回転用基準スケールBの正面図。
【符号の説明】
【0031】
1:画像位置決め測定装置
2:顕微鏡
3:防振台
4:オートフォーカスユニット
5:目盛線
6:門型ステージ測定ユニット
7:直動用基準スケール用治具
8:お客様の測定ステージ
9:直動用基準スケール
10:直動用調整つまみ
11:回転方向調整用のつまみ
12:XY方向調整用回転つまみ
13:回転用基準スケール治具
14:回転中心ターゲット
15:直線方向目盛
16:回転用基準スケール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡、オートフォーカス(AF)ユニット、門型のステージ計測ユニット、パソコン、画像位置決め、防振台、基準スケール、基準スケール用治具などで構成される画像位置決め測定装置を用い、計測したい製品を門型ステージ計測ユニット6に載置し、直動用基準スケール9と直動用基準スケール治具7をステージの上に置き、ステージを動かしながら直動用基準スケール治具7で直動用基準スケール9とステージの平行出しを行ない、直動用基準スケール9に記載されている目盛線5のメモリーのピッチ間を画像処理により計測して基準寸法を決め、それに基づきステージの「位置決め精度」、「繰り返し位置決め精度」、「バックラッシュ」などの測定をし、測定項目ごとに画像処理により連動もしくは手動操作で計測を行なう画像位置決め測定方法。
【請求項2】
顕微鏡、オートフォーカス(AF)ユニット、門型のステージ計測ユニット、パソコン、画像位置決め、防振台、基準スケール、基準スケール用治具などで構成される画像位置決め測定装置を用い、計測したい製品を門型ステージ計測ユニット6に載置し、回転用基準スケール16と回転用基準スケール治具13をステージの上に置き、回転ステージと連動しながら回転方向調整用つまみ11とXY方向調整用回転つまみ12を動かし、回転基準スケール治具13で回転用基準スケール16と平行出しを行い回転中心ターゲット14に合わせている。ついで、回転用基準スケール16に記載されている目盛線5のメモリーのピッチ間を画像処理により計測して基準寸法を決め、それに基づき、角度ごとの座標求めて角度を計算し、ステージの「位置決め精度」、「繰り返し位置決め精度」、「バックラッシュ」、「XY直交度」、「平行度」などの測定をし、測定項目ごとに画像処理により連動もしくは手動操作で計測を行なう画像位置決め測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8110(P2012−8110A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157254(P2010−157254)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(508068504)ワイヤード株式会社 (2)
【Fターム(参考)】