説明

画像処理装置、データ設定装置、画像処理装置のデータ設定方法およびプログラム

【課題】設定データをピア接続を使用して取得し、画像処理装置の設定を行う、画像処理装置、データ設定装置、画像処理装置のデータ設定方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】画像処理装置150は、パラメータ設定モードと複数機能を提供する通常モードの間のモード遷移を管理するモード遷移管理部162と、モード遷移管理部162によりパラメータ設定モードに設定された場合、パラメータ設定期間中に使用するネットワークアドレスおよびリソースアドレスを設定するネットワーク情報設定部156と、データ設定装置110との間で排他的接続を生成し、送信されたパラメータ値をリソースアドレスに渡すネットワーク通信部160と、リソースアドレスに送付されたパラメータ値を読み込んで画像処理装置150の複数機能を提供するための制御値として設定するパラメータ設定部166とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置のデータ設定技術に関し、より詳細には、設定データをピア接続を使用して取得し、画像処理装置の設定を行う、画像処理装置、データ設定装置、画像処理装置のデータ設定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像処理装置は高機能化しており、画像処理装置は、画像形成や画像処理のために必要な、転写電流設定パラメータ、定着温度設定パラメータ、主走査レジスト調整データ、副走査レジスト調整データ、色間レジスト設定データ、温度センサ設定値などのデータを設定する必要がある。またこれらの画像形成や画像処理に関連するデータ以外にも、ネットワーク通信やメール転送を行うため、ネットワークデータなどを設定する必要がある。これらのデータは、通常、製造ラインで設定される。画像処理装置がユーザに設置された段階で、適切な複数機能を提供するため、上述した各種のパラメータに関連する設定データを、出荷前に設定する必要がある。
【0003】
これらのパラメータについての設定データは、画像処理装置の機能提供上重要なものなので、不測の修正や改変を受けないように、パラメータ設定モードを含む工程モードで行われる。工程モードは、画像処理装置を工程モードに遷移させるための専用のログインアカウントを使用してアクセス認証が行われ、工程モード内でのみ許可される、アドミニストレータ権原での設定操作が行われる。
【0004】
従来の工程モードでは、パラメータ設定操作は、検査ラインのオペレータがマニュアルで行っていた。設定しなければならないパラメータの種類が増加し、またその設定内容も画像処理装置に機能の多様化に対応して変更される場合もあり、オペレータによるパラメータ設定の長時間化問題が発生するようになっている。また、パラメータ設定の正確さもパラメータの増加および多様化により、オペレータの入力負担を増加させてしまい、オペレータによるにパラメータの設定漏れという問題も生じる場合も想定される。
【0005】
このような各種のデータを設定は、従来からもネットワークを使用して行われている。例えば、特開2008−176789号公報(特許文献1)には、ウェブページに処理関数機能を含ませ、複数の機能に対応させることが可能な画像形成装置が開示されている。特許文献1に記載された画像形成装置は、外部からHTTPリクエストに対応し、ファイルアップロードや、各種関数を呼出して処理を実行させる。
【特許文献1】特開2008−176789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された画像形成装置は、画像形成装置がオープンなネットワーク環境に接続された状態下で、データ転送処理を行うものである。製造ライン上で設定を行っている途上の画像処理装置は、セキュリティ的な観点からオープンなネットワーク環境に接続することは適切ではない。このため、データ転送プロトコルを使用するに際し、画像処理装置に対してオープンな環境から分離された排他的なネットワーク接続を生成する必要があった。
【0007】
そして、パラメータ設定の効率化を行うためには、生成した排他的なネットワーク接続の環境下であっても、ファイル転送プロトコルを使用してデータ転送を行い、RPC(Remote Procedure Call)などの遠隔呼出しを使用してデータ設定を自動化することが必要とされていた。
【0008】
また、画像処理装置は、検査プロセスでの停電などプロセス異常時のシーケンス確保などの観点から、一旦、工程モードに設定されると、オペレータによる明示的な指示を受けない限り、電源切断を経て再度起動される場合でも、アドミニストレータ権原でのアクセスが許可されてしまう。この結果、正常な検査プロセスの終了時には、オペレータが確実に工程モードから通常モードに遷移させた状態とする必要がある。さらに、工程管理の点から言えば、パラメータの設定ログを残しておくことも必要であった。
【0009】
すなわち、これまで複数のパラメータを一括で自動設定し、その確認を可能とすることで、検査ラインの効率の改善、オペレータの負担軽減とともに、画像処理装置の初期作動確実性を向上させる技術が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点は、パーソナルコンピュータをデータ設定装置として利用し、複数のパラメータを一括で自動設定し、その確認を可能とすることで、上述した検査ラインの効率を改善し、画像処理装置の動作確実性も向上させることができる、という点に着目してなされたものである。
【0011】
本発明では、画像処理装置のパラメータ設定を、画像処理装置とデータ設定装置との間に、画像処理装置と、データ設定装置との間でのみトランザクションが可能な排他的接続を生成する。排他的接続としては、クロスケーブルを使用したP2P接続を使用することができる。排他的接続の他の形態としては、ワイヤレス通信を使用するアドホック接続を挙げることができる。
【0012】
上述した排他的接続を生成するために、画像処理装置は、工程モード内で実行されるパラメータ設定期間中に使用されるネットワークアドレスおよびリソースアドレスを、工程モードに遷移した段階で記憶領域から呼び出して、ネットワークデータとして設定する。データ設定装置は、当該ネットワークアドレスやリソースアドレスを前記画像処理装置から取得して、P2P接続またはアドホック接続を確立する。
【0013】
データ設定装置は、設定するべきパラメータ値をXMLに設定した後、画像処理装置のリソースアドレスを指定して送付する。画像処理装置は、リソースアドレスにパラメータ値が通知されるとパラメータ設定部を呼出して、受領したパラメータ値を設定値として画像処理装置の適切な不揮発性記憶装置に登録する。
【0014】
画像処理装置は、パラメータ設定処理のログを記録し、パラメータ設定モードの終了時に、ハードコピーとして操作ログを出力する。一方、データ設定装置は、画像処理装置におけるパラメータ設定の漏れやモード状態を確認し、データ設定装置のオペレータに対してアラーム表示を提供し、パラメータ設定および画像処理装置のモード設定を管理する。
【0015】
本発明によれば、画像処理装置に対するパラメータ設定および確認を短時間化および高精度化でき、加えて画像処理装置の初期作動確実性を改善することにより、画像処理装置の生産性を改善することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるわけではない。図1は、本実施形態のデータ設定装置110および画像処理装置150を接続し、パラメータ設定を行う場合の排他的接続100の実施形態を示す。図1のデータ設定装置110は、パーソナルコンピュータとして実装されている。データ設定装置110は、中央処理装置(CPU)を制御部140として実装しており、CPUとしては、これまで知られたいかなるプロセッサを使用することができる。また、データ設定装置110は、RAM、ROMなどの記憶装置を備えており、BIOS(Basic Input Output System)を使用して初期設定を実行し、WINDOWS(登録商標)、UNIX(登録商標)、LINUX(登録商標)、MAC OSなどのオペレーティング・システムにより制御されている。
【0017】
また、データ設定装置110は、C、C++、VisualBasic、Java(登録商標)などのプログラミング言語で記述されたアプリケーションプログラムを、ハードディスク装置などからRAM内に読み込んで実行させることで、後述する画像処理装置150のパラメータの設定を行うための機能手段を、パーソナルコンピュータ上に実現させている。さらに、データ設定装置110は、本実施形態では、Internet Explorer(登録商標)、FireFox(登録商標)、Mozilla(登録商標)、Opera(登録商標)などのブラウザ・ソフトウェアを使用して、画像処理装置150が提供するパラメータ設定のためのURIにアクセスし、画像処理装置150のパラメータ設定を行う。
【0018】
さらに、データ処理装置110は、XMLを作成するためのXMLエディタ、XSLT(XSL Transformations)などの機能を実装し、パラメータ値をXMLに設定し、後述する画像処理装置に送付する。
【0019】
以下、データ設定装置110の機能処理手段を説明する。データ設定装置110は、出力インタフェース部112と、入力インタフェース部114と、ネットワーク通信部130とを含んでいる。出力インタフェース部112は、VGAまたはXGAなどの規格を使用して、データ設定装置110の処理結果をオペレータに表示させており、グラフィックアクセラレータ、RAMDACなどのハードウェアおよび各種ドライバを含んで実装される。また、入力インタフェース114は、キーボード、マウスなどからの入力を受領して、当該イベントを処理し、制御部140に対して入力に対応した処理への分岐を可能とする。
【0020】
ネットワーク通信部130は、ネットワークインタフェースカード(NIC)を含んで構成され、物理層、データリンク層の機能を提供することにより、ETHERNET(登録商標)を使用するP2P接続を可能とする。また、データ設定装置110は、ネットワーク通信部130として、IrDA、Bluetoothなどのワイヤレス通信プロトコルを使用して、画像処理装置150との間でP2P接続を確立することもできる。
【0021】
データ設定装置110は、本実施形態のパラメータ設定を行うため、パラメータ設定部116と、画像パラメータ設定部118と、モード確認部122とを含んで構成されている。パラメータ設定部116は、パラメータ設定を行うオペレータによるパラメータ設定指示を受領して、処理選択ファイル126に登録したパラメータをXMLに設定する処理を実行する。画像パラメータ設定部118は、画像処理装置150が取得したテストパターンの画像を受領して、画像のレジストレーションズレ、階調特性の不具合などを検出し、レジストレーションズレおよび階調特性を補正するための校正値を計算する。その後、画像パラメータ設定部118は、計算した校正値をパラメータ値としてXMLに設定する。パラメータ設定部116および画像パラメータ設定部118は、パラメータの設定後、ネットワーク通信部130を介して、XMLを画像処理装置に設定されているリソースアドレス、説明する実施形態ではURL(Uniform Resource Locator)に宛てて送付する。
【0022】
設定漏れ確認部120は、画像処理装置150からの工程モード終了通知を受領した場合に、設定するべきパラメータ設定漏れなく完了しているかを、処理選択ファイル126に登録した設定パラメータおよび処理実行結果ログを比較して確認する。モード確認部122は、画像処理装置150のモード状態をモニタしており、工程モードから通常モードに遷移した通知を受領する直前の画像処理装置150の動作モードを示すフラグなどの状態データを参照し、画像処理装置150に対し電源オフ指令がなされた段階で、工程モードのままである場合。データ設定装置110のオペレータにアラームを表示する。
【0023】
不揮発性メモリ124は、EEPROM、フラッシュメモリなどの適切な不揮発性メモリとして構成することができる。処理選択ファイル126は、画像処理装置150に対して設定するべきパラメータを格納する。また、処理実行結果ログ128は、パラメータ設定の実行結果のログを登録し、パラメータ設定の漏れを次工程に移る前にオペレータに対して通知することを可能とする。
【0024】
以下、画像処理装置150の構成について説明する。画像処理装置150は、本実施形態では、多機能機(Multi-Function Peripheral:MFP)として参照される、画像取得機能、複写機能、ファクシミリ機能、ネットワーク通信機能、およびウェブアプリケーション機能を有する画像処理装置として実装される。画像処理装置150は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置などを実装し、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、FreeBSDなどのOSの制御下で、組み込みプログラムなどを実行させ、画像処理およびネットワーク機能を提供する。
【0025】
また、画像処理装置150は、USB(Universal Serial Buss)ドライバおよびコネクタを含んで構成されていて、パラメータ設定を行うためのネットワーク構成情報やパラメータ設定ログを、USBメモリなどの外付けメモリから読み込み、または格納させることができる。後述する画像処理装置150の各機能処理部は、CPUがアプリケーションプログラムをRAMといった実行空間内に読込んでプログラムを実行することにより、画像処理装置150に実現される。
【0026】
画像処理装置150は、その処理機能部として、出力インタフェース部152と、入力インタフェース部154とを含んで構成されている。出力インタフェース152および入力インタフェース部154は、タッチパネル、操作ボタンなどを含んで構成され、画像処理装置150のユーザに対して各種メッセージを通知するとともに、ユーザからの指示を受領し、制御部174を介して指示に対応した処理を開始させる。
【0027】
さらに画像処理装置150は、ネットワーク情報設定部156と、URL振り分け部158と、ネットワーク通信部160とを含んで構成される。ネットワーク情報設定部156は、パラメータ設定の期間中にだけ使用され、P2P接続やアドホック接続を行うためのネットワーク構成情報、具体的には、IPアドレス、ポート番号、URLの設定データを管理し、工程モードにおいてパラメータ設定モードが開始されるまでに各値の設定を完了させる。ネットワーク構成情報は、画像処理装置150の内部メモリに格納することもできるし、ログなどを記録するためのUSBメモリなど、外付けメモリに登録しておくこともできる。
【0028】
URL振り分け部158は、受領したパラメータ設定要求で指定されたURLにリクエストの内容を渡す処理を実行する。なお、本実施形態では、パラメータ設定処理の期間中にだけ利用されるURLを専用に登録しており、パラメータ設定要求を受領すると、当該パラメータ設定要求が含むパラメータ値を取得し、当該URLに関連付けて登録した各種のアプリケーションを呼出して処理を実行させる。本実施形態では、パラメータ設定要求は、HTTPプロトコルを使用し転送される。
【0029】
また、ネットワーク通信部160は、データ設定装置110が実装する通信プロトコルをサポートする物理媒体の通信制御を実行することができる限り、特に限定されるものではない。例えば、本体に内蔵できるネットワークインタフェースカードとすることもできるし、USBコネクタを介して本体に接続できるワイヤレス通信デバイスであってもよい。
【0030】
画像処理装置150は、さらにモード遷移管理部162と、認証処理部164と、パラメータ設定部166とを含んでいる。モード遷移管理部162は、画像処理装置150に対するモード遷移指令を受領した後、認証処理部164の認証結果に対応して、通常モードおよび工程モードの間におけるモード遷移を管理するとともに、データ設定装置110に対して画像処理装置150のモード状態を通知する。認証処理部164は、パスワード、ユーザIDなどを管理し、工程モードへの遷移を可能とするアドミニストレータ権原でのパスワード、ユーザIDなどの認証情報を取得して、通常モードおよび工程モードの値の遷移を管理する。
【0031】
パラメータ設定部166は、URL振り分け部158が指定するURLにおいて、パラメータ設定を実際に実行するアプリケーションプログラムとして実装される。また、操作ログ記録部168は、データ設定装置110により設定されたパラメータ設定処理の結果を、外付けメモリなどに記録し、またおよび操作ログ出力部170は、操作ログを画像形成エンジン(図示せず)を起動して出力させている。その他、画像処理装置150は、SMTPなどのプロトコルを使用してメール送信を行うメール送信部172を含んでいる。メール送受信部172については、本実施形態の要旨ではないので、さらなる説明を省略する。
【0032】
本実施形態のデータ設定装置110と、画像処理装置150とは、好ましい実施形態では、クロスケーブルを使用したP2P接続または近距離のアドホック接続により相互接続される。P2P接続の確立は、以下のプロセスにより実行することができる。
(1)画像処理装置を工程モードに設定する:
(2)工程モードのみで呼出されるIPアドレスまたはURLを設定する:
(3)クロスケーブルにより、データ設定装置110と画像処理装置150とを接続する:
(4)データ設定装置110から、問い合わせコマンドを発行する。問い合わせコマンドとしては、PINGコマンドや、ARPコマンドを使用することができ、各コマンドを、(2)で設定したIPアドレスに宛てて送付し、そのICMP応答を受領し、データ設定装置110に(2)のIPアドレスを登録し、P2P接続を設定する。
【0033】
また、本実施形態の他の実施形態で、IrDAまたはBluetoothなどのワイヤレス通信を使用するアドホック接続を使用することもできる。IrDAまたはBluetoothなどのワイヤレス通信を使用する場合には、データ設定装置110と画像処理装置150との間に物理的なケーブルの張設が不要となり、作業効率が向上する。IrDAおよびBluetoothなどのワイヤレス通信を使用する場合、ビーコン/ビーコン応答により接続を相手を相互認識した後、MACアドレスの登録およびPINGコマンドを使用して上記(2)のIPアドレスの登録を行うことで、データ設定装置110と画像処理装置150との間でのアドホック型ネットワークでのP2P接続が確立できる。
【0034】
なお、ワイヤレス接続でアドホック型接続を確立する場合に複数の画像処理装置150に対する接続を確立してしまう可能性を排除するため、上記(2)のプロセスを、パラメータ設定モードを開始する直前まで待機させておくか、または画像処理装置150の本体からの明示的な入力を契機として上記(2)の処理を開始させることができる。さらに他の実施形態では、出力レベルを調整(Bluetoothでは、クラス3などを使用するなど)し、データ設定装置110空の通信範囲を、画像処理装置150が特定できる範囲のみに限定してデータ通信を可能とすることもできる。
【0035】
図2は、本実施形態のデータ設定装置110と、画像処理装置150との間のトランザクションで使用する機能リストである。カラム210には、本実施形態で使用するアプリケーション機能、データ転送プロトコル、データフォーマットが項目としてリストされている。また、カラム220には、画像処理装置150が工程モードで使用する機能をリストし、カラム230には、データ設定装置110側で使用する機能をリストしている。
【0036】
データ設定装置110および画像処理装置150は、XMLで記述されたデータを、HTTPプロトコルを使用して相互転送する。画像処理装置150は、その機能としてXML:ATOMプロトコルを実装しており、XMLを使用したファイルの管理およびアプリケーション実行を可能とする。その際、画像処理装置150は、データ設定装置110が実装するウェブブラウザから送付されるパラメータ設定要求を、RESTプロトコルの下、HTTPプロトコルのメソッドである、GET、POST、PUT、DELETEなどを使用してRPCを実行させ、各種パラメータの設定を行う。
【0037】
XML:ATOMの詳細についてはRFC4287、RFC5023および、URL:http://www.ricoh.co.jp/src/rd/webtech/rfc5023_JA.htmlを参照されたい。また、RESTアーキテクチャのより詳細については、「スケーラブルWebサイト」2007年8月23日、初版第3刷発行、株式会社オライリー・ジャパンを参照されたい。
【0038】
図3は、本実施形態のパラメータ設定工程を含む検査工程の工程図を、当該工程図にしたがってデータ設定装置110が接続されるライン上の形態とともに示す。検査工程は、ステップS300から開始し、ステップS301で、画像形成装置の電源をオンし、外付けメモリを装着する。外付けメモリは、USBメモリなどを使用することができる。外付けメモリは、条件設定ログを登録する他、認証情報などを格納し、アドミニストレータ権原での画像処理装置150へのアクセスを制限する認証情報を登録することができる。この段階で、画像処理装置150には、USBメモリ320が装着される。
【0039】
ステップS302では、アドミニストレータとしてのユーザID、パスワードを入力し、画像処理装置を工程モードに遷移させる。ステップS303では、画像処理装置150のドア、現行カバーなどの可動部などの検査が行われた後、ステップS304では、データ設定装置110を画像処理装置150に対して排他的環境下でP2P接続またはアドホック接続し、画像形成装置のURLに対して、パラメータ設定を指令する。例えば、このためのHTTPリクエストは、下記スクリプトとして記述することができる。
【0040】
【数1】

【0041】
ステップS305で、画像処理装置150は、クロスケーブル330を使用したP2P通信により、上記式(1)のXMLを受領し、ATOMを起動し、図1のパラメータ設定部166をRPCで呼びだし、対応する記録領域に登録する。ステップS306では、パラメータの設定が成功した後、不要データのクリアおよび外付けメモリの除去などを実行し、この段階で画像処理装置150から、USBメモリ320およびデータ設定装置110が取り外される。ステップS307では、画像処理装置150の操作パネルなどから工程モードからの遷移を指令するコマンドの入力を受領し、工程モードから通常モードへと状態を遷移させる。ステップS308では、画像処理装置の電源オフ動作が行われ、ステップS309で処理を終了する。
【0042】
図4は、本実施形態のステップS307でデータ設定装置110が実行する工程モードから通常モードへのモード遷移処理の実施形態のフローチャートである。図4の処理は、ステップS400で画像処理装置150がモード遷移の指令を検出して発行する、工程モード終了の通知を受領して開始する。ステップS401では、データ設定装置110は、処理選択ファイル126と、処理結果ログ128とを取得し、比較を実行する。データ設定装置110は、ステップS402で比較の結果を参照し、工程モードで実施するべき検査・調整動作が全部終了しているかを判断し、全部終了している場合(yes)ステップS404で、予定している検査・調整動作が全部終了したことを、データ設定装置110のオペレータに通知する。通知後、ポイントAから図5の処理に制御を渡す。
【0043】
一方、ステップS402で検査・調整動作が全部終了していないと判断された場合(no)、ステップS403で、未実施項目があること、および当該未実施項目の内容をオペレータの通知し、未実施項目の実行を促すアラーム表示をデータ設定装置110に設定し、ポイントBから図4のステップ302まで処理を戻し、以後の入力を待機する。
【0044】
図5は、本実施形態で、パラメータ設定が行われないまま、工程モードから通常モードに遷移した場合にデータ設定装置110に表示されるアラーム表示500の実施形態である。図5に示すように、パラメータ設定を実行することなく工程モードを終了した場合、モード遷移管理部162は、全部の設定を終了することなく、工程モードから通常モードへと遷移したことを通知するため、アラーム表示500を表示させる。この段階では画像処理装置150は、すでに通常モードに遷移しているので、オペレータは、再度画像処理装置150に対してアドミニストレータレベルでのアクセスを行い、工程モードを復帰させる。
【0045】
一方、工程モードに復帰した場合、データ設定装置110は、図4のステップS403で、未実施項目を実行するためのプログラムのプログラム名や、開始ポイントを例えば、キューメモリに格納させておき、画像処理装置150の工程モードへの復帰後、パラメータ設定プログラムの再開時、キューメモリから再開ポイントを取得して効率的な設定再開を実行することができる。
【0046】
図6は、ステップS308で、データ設定装置110が実行する終了処理のフローチャートである。図6の処理は、図4のポイントAから制御を渡されて開始し、ステップS600で画像処理装置150の電源オフ操作を検出する。ステップS601では、モード遷移管理部162が、画像処理装置150の直前のモード状態を読出し、ステップS602で、直前のモードが工程モードであるか否かを判断する。ステップS602で、直前に登録されているモード状態が工程モードであると判断された場合(yes)ステップS603で、工程モードのままで電源オフされたことをオペレータに対してパラメータ設定工程が工程モードのまま終了したことをアラームし、処理をポイントBから、ステップS309に分岐させ、処理を終了する。
【0047】
一方、ステップS603で、直前の画像処理装置150のモードが通常モードであると判断された場合(no)、通常モードで電源オフ通知を受領したことをオペレータに通知しポイントCから、ステップS309の処理に分岐させる。
【0048】
図7は、本実施形態の画像処理装置150が工程モード終了後の適切なタイミングで出力する工程設定ログレポート700の実施形態を示す。工程設定ログレポート700は、設定を行ったパラメータ名をリストするカラム710と、データ設定装置110により設定されたパラメータ値である設定値をリストするカラム720と、画像処理装置150の初期設定値をリストするカラム730とを含んで構成される。
【0049】
初期値は、各種組み立ての際の動作確認処理などの都合に応じて設定されている可能性があり、常時一定とされているわけではない。このため最終的な画像処理装置150のスペックに適合するように、または特定の装置固有の状態に適合するようにパラメータ値を設定する。図7の工程設定ログレポート700を作成し、出力することにより、工程管理の資料とすることができる。
【0050】
図8は、データ設定装置110が、パラメータ設定を実行した際の工程ログレポートを、ネットワーク介して接続された管理サーバに送付する場合の、工程ログレポートの実施形態である。図8の実施形態では、サーバは、オープン環境のネットワークに接続されており、データ設定装置110は、例えば、ネットワークルートを、クロスケーブルからストレートケーブルに接続を切換えてから、サーバに接続することによって、画像処理装置150がオープン環境にデータ設定装置110を介して接続されないようにすることができる。
【0051】
また、サーバへの工程ログレポート800の送信は、画像処理装置150の電源オフが正常に完了した後に、データ設定装置110が別途備えるストレートケーブルでの接続を行うネットワークルートを介して工程ログレポートをサーバに送付することができる。また、サーバへの工程ログレポートの送付を行う場合、画像処理装置150との間のP2P接続を、ワイヤレス接続を使用するアドホック型接続で構成することで、画像処理装置150とデータ設定装置110との間でP2P接続のためのケーブル設置を行うことを排除でき、工程上の手順も著しく簡略化することができる。
【0052】
以上説明した本実施形態の上記機能は、C++、Java(登録商標)、Java(登録商標)Beans、Java(登録商標)Applet、Java(登録商標)Script、Perl、Rubyなどのオブジェクト指向プログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、当該プログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0053】
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態のデータ設定装置110および画像処理装置150を接続し、パラメータ設定を行う場合の排他的接続100の実施形態を示した図。
【図2】本実施形態のデータ設定装置110と、画像処理装置150との間のトランザクションで使用する機能リスト。
【図3】本実施形態のパラメータ設定工程を含む検査工程の工程図を、当該工程図にしたがってデータ設定装置110が接続されるライン上の形態とともに示した図。
【図4】本実施形態のステップS307でデータ設定装置110が実行する工程モードから通常モードへのモード遷移処理の実施形態のフローチャート。
【図5】本実施形態で、パラメータ設定が行われないまま、工程モードから通常モードに遷移した場合にデータ設定装置110に表示されるアラーム表示500の実施形態を示した図。
【図6】ステップS308で、データ設定装置110が実行する終了処理のフローチャート。
【図7】本実施形態の画像処理装置150が工程モード終了後の適切なタイミングで出力する工程設定ログレポート700の実施形態を示した図。
【図8】データ設定装置110が、パラメータ設定を実行した際の工程ログレポートを、ネットワーク介して接続された管理サーバに送付する場合の、工程ログレポートの実施形態を示した図。
【符号の説明】
【0055】
100…排他接続の実施形態、110…データ設定装置、112…出力インタフェース部、114…入力インタフェース部、116…パラメータ設定部、118…画像パラメータ設定部、120…設定漏れ確認部、122…モード確認部、124…不揮発性メモリ、130…ネットワーク通信部、140…制御部、150…画像処理装置、152…出力インタフェース部、154…入力インタフェース部、156…ネットワーク情報設定部、158…URL振り分け部、160…ネットワーク通信部、162…モード遷移管理部、164…認証処理部、166…パラメータ設定部、168…操作ログ記録部、170…操作ログ出力部、172…メール送信部、174…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷出力に関連する複数機能を提供する画像処理装置であって、前記画像処理装置は、
前記画像処理装置の機能を提供するためのパラメータ設定モードと前記複数機能を提供する通常モードの間のモード遷移を管理するモード遷移管理手段と、
前記モード遷移管理手段により前記パラメータ設定モードに設定された場合、パラメータ設定期間中に使用するネットワークアドレスおよびリソースアドレスを設定するネットワーク情報設定手段と、
データ設定装置との間で排他的接続を生成し、前記データ設定装置から送信されるパラメータ値を前記リソースアドレスに渡すネットワーク通信手段と、
前記ネットワーク通信手段から前記リソースアドレスに送付された前記パラメータ値を読み込んで前記画像処理装置の前記複数機能を提供するための制御値として設定するパラメータ設定手段と
を含む、画像処理装置。
【請求項2】
前記排他的接続は、前記画像処理装置と前記データ設定装置とを排他的に接続するP2P接続またはアドホック接続である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記パラメータ値は、XMLで記述され、前記パラメータ設定手段は、前記リソースアドレスに関連付けられた前記パラメータ設定手段を呼出しする、請求項1または請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、さらに前記パラメータ設定の履歴を登録する操作ログを記録し、前記操作ログを出力するログ管理手段を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、さらに前記パラメータ設定モードへの遷移を許可する識別情報を使用して前記モード遷移管理手段を制御する認証処理手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
印刷出力に関連する複数機能を提供する画像処理装置に対して前記複数機能の設定値となるパラメータ値を前記画像処理装置に対して設定させるデータ設定装置であって、前記データ設定装置は、
前記パラメータ値を画像パラメータおよび画像以外のパラメータとして、XMLに設定するパラメータ設定手段と、
前記パラメータ設定手段により設定された前記パラメータ値を、前記画像処理装置との間で生成した排他的接続を使用して前記画像処理装置がパラメータ設定期間中に使用するリソースアドレスに宛てて前記画像処理装置に送信するネットワーク通信手段と
を含む、データ設定装置。
【請求項7】
前記排他的接続は、前記画像処理装置と前記データ設定装置とを排他的に接続するP2P接続またはアドホック接続である、請求項6に記載のデータ設定装置。
【請求項8】
前記データ設定装置は、前記画像処理装置が前記パラメータ設定期間中に使用するネットワークアドレスを使用して前記画像処理装置に問合わせを発行し、前記パラメータ値を送付する前記画像処理装置を特定し前記排他的接続を生成する、請求項6または7に記載のデータ設定装置。
【請求項9】
前記データ設定装置は、パラメータ設定の処理内容と処理結果とを比較して前記パラメータ設定の漏れを検査する設定漏れ確認手段を含み、前記設定漏れ確認手段は、前記パラメータ設定の漏れを検知した場合、前記パラメータ設定に漏れが有ることを通知するアラーム表示を前記データ設定装置に表示させる、請求項6〜8のいずれか1項に記載のデータ設定装置。
【請求項10】
印刷出力に関連する複数機能を提供する画像処理装置の前記機能を提供するためのパラメータを設定するパラメータ設定方法であって、前記パラメータ設定方法は、前記画像処理装置が、
前記画像処理装置を、前記画像処理装置の機能を提供するためのパラメータ設定モードに遷移させるステップと
前記パラメータ設定モードへの遷移に対応して、パラメータ設定期間中に使用するネットワークアドレスおよびリソースアドレスを設定するステップと、
データ設定装置との間で排他的接続を生成し、前記データ設定装置から送信されるXMLで記述されたパラメータ値を前記リソースアドレスに渡すステップと、
前記リソースアドレスに送付された前記パラメータ値を読み込んで、前記リソースアドレスに関連付けてパラメータ設定手段を呼出すステップと、
前記パラメータ設定の履歴を登録する操作ログを記録し、前記操作ログを出力するステップと
を実行し、
前記排他的接続は、前記画像処理装置と前記データ設定装置とを排他的に接続するP2P接続またはアドホック接続である、パラメータ設定方法。
【請求項11】
画像処理装置を、請求項1〜5のいずれか1項に記載の各手段として機能させるための装置実行可能なプログラム。
【請求項12】
コンピュータを請求項6〜9のいずれか1項に記載の各手段として機能させるためのコンピュータ実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−143111(P2010−143111A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323580(P2008−323580)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】