説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム、および画像処理プログラムを記録した記録媒体

【課題】 レンズの種類に限定されない横色収差補正を行う。
【解決手段】 写真フィルムから取り込んだデジタル画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するようなx軸を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定する。そして、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記x軸との離隔率を行ごとに算出する。さらに、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出する。そして、補正対象画像の各行に含まれる画素を上記移動量に基づいて移動させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色収差が生じるレンズを備えたカメラで画像を撮影しても、撮像画像より得られたデジタル画像データを補正することにより、色収差補正を行うことができる画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的にカメラの構成要素であるレンズは、透過する光の波長に応じて屈折率が異なるものである。よって、図11に示すように、レンズに対して白色光が入射したとしても、出射する際には、白色光を構成する各色成分の光がそれぞれ若干異なる方向に進むことになる。このように、各色成分の光の焦点位置が光軸と直交する方向にずれることにより、色ごとに画像の倍率が異なり、像に色ずれが生じる現象を横色収差という。このような横色収差は、屈折率と分散の比率の異なったレンズを複数構成することにより補正される。
【0003】しかし、レンズ付きフィルムユニット(使い捨てカメラ)や安価なカメラでは、光学系を構成するレンズが1枚若しくは2枚と少ないため、横色収差を補正したレンズ設計が困難であり、レンズに上記横色収差が残留したまま市販されている。従って、被写体によっては、横色収差が目立つ画像が印画紙にプリントされることがあった。
【0004】一方、近年、撮影後のフィルムからCCD(charge coupled device)等によりデジタル画像データを取得し、上記デジタル画像データに基づいて印画紙に画像をプリントするいわゆるデジタル露光方式のプリンタが実用化されている。ここで、上記デジタル画像データに画像処理を施すことにより、上記横色収差を補正することが可能である。このような画像処理方法は、例えば、特開平10-319518号公報(公開日:平成10年12月4日(1998.12.4))、特開平11-225270号公報(公開日:平成11年8月17日(1999.8.17))、特開平11-239270号公報(公開日:平成11年8月31日(1999.8.31))、特開平11-261832号公報(公開日:平成11年9月24日(1999.9.24))、特開平11-313214号公報(公開日:平成11年11月9日(1999.11.9))、特開2000-3437号公報(公開日:平成12年1月7日(2000.1.7))、特開2000-4351号公報(公開日:平成12年1月7日(2000.1.7))などに開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、レンズは、中心から周囲に向けて湾曲角が大きくなるように形成されているので、同一方向からレンズに入射した光の屈折角度は、光軸中心が最も小さく、光軸中心から離れるにつれ大きくなる。よって、横色収差が残留しているレンズを介してフィルムに記録される画像において、上記横色収差は、画像の中央部では目立たないものの、画像の隅部にいくほど大きくなる。
【0006】したがって、上述したデジタル画像データに画像処理を施すことにより、上記横色収差を補正する場合、上述した色収差の特性を考慮して、画素ごとに異なる補正強度で補正しなければならない。ここで、上記公報のうち、特開2000-4351号公報によれば、レンズの特性に関する情報から上記補正強度を画素ごとに異ならせる点に触れられている。しかし、レンズが異なれば上述した色収差も異なるものとなるので、この公報記載の画像処理装置によれば、予め取得されている上記情報に含まれないレンズから得られた画像を処理するには適していない。
【0007】本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、補正対象となる画像の各画素に、上記横色収差の特性を考慮した補正強度を与えることにより、レンズの種類に限定されない横色収差補正を行える画像処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の画像処理装置は、上記課題を解決するために、写真フィルムから取り込んだ複数の色成分からなるデジタル画像データを補正する画像処理装置であって、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定する設定手段と、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出し、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出する演算手段と、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめることで、補正対象画像の上記各行に含まれる各画素を移動させる補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】本発明の画像処理方法は、上記課題を解決するために、写真フィルムから取り込んだ複数の色成分からなるデジタル画像データを補正する画像処理方法であって、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定するステップと、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出し、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出するステップと、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめることで、補正対象画像の上記各行に含まれる各画素を移動させるステップとを備えたことを特徴とする。
【0010】上記構成または手順によれば、写真フィルムに記録されている画像が横色収差により色ずれを生じているものであっても精度良く上記色ずれを補正することができる。この理由について以下に説明する。
【0011】まず、設定手段が、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定する。これにより画像の中央を通過し、かつ画像の各行と平行な中央行を定めることができる。
【0012】さらに、設定手段は、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定している。すなわち、上記デジタル画像データから色収差補正を行うための補正量を定めている。
【0013】つぎに、演算手段が、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出する。さらに、演算手段は、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を行ごとに算出している。この演算によれば、基準画像の各行に与えられる移動量は、行ごとに固有であり、各行と上記中央行との距離に比例している。
【0014】そして、補正手段は、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求めている。さらに、補正手段は、補間処理により補正対象画像の上記座標位置における画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめる処理を行っている。すなわち、補正対象画像の各行に含まれる画素を、その画素値を補正した上で、基準画素の位置に移動させることにより、補正対象画像を基準画像のサイズに合わせる処理を行うこととしたものである。ここで、基準画像の各行には、行ごとに上記移動量が与えられていて、その移動量は、基準画像の各行が補正対象画像の中央行から離れるに従って大きくなっている。
【0015】一方、横色収差が残留するレンズより得られた画像には、画像中央から画像周囲に向けて色収差が段階的に大きくなっているという特性がある。よって、上記補正手段においてなされている処理は、補正対象画像の各行に対して、上記横色収差の特性を考慮した補正強度(移動量)を与えている処理であるといえる。
【0016】さらに、上記構成または手順によれば、画像処理の対象となるデジタル画像データから、上記横色収差の特性に関する情報(すなわち、行ごとに与えられる移動量)を取得しているので、レンズの種類に限定されない横色収差補正を行うことができる。
【0017】なお、上記基準画像中の着目行および色収差の生じない補正対象画像は、例えば、オペレータにより特定されてもよい。この場合、設定手段はPC(PersonalComputer)、モニターおよびポインティングデバイスから構成され、オペレータが、上記ポインティングデバイスを操作して、モニターに表示された基準画像上に対して、補正対象画像を移動させることにより、基準画像の着目行と色収差の生じない補正対象画像の行を特定することで、上記設定手段が上記補正量を算出できる。
【0018】また、中央点とは、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する領域をいう。離隔率とは、中央行から任意の行の距離に対する、中央行から各行の距離の割合をいう。また、上記構成では、「中央行」および「行」と、「中央列」および「列」を入れ替えても構わない。
【0019】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記中央点は、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する画素に設定されることを特徴としてもよい。
【0020】横色収差は、光軸中心においては色ずれが生じていないものの、光軸中心から周囲に離れるに従って、色ずれが強くなるという特性を有している。
【0021】上記構成では、上記基準画像において、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する画素を上記中央点とし、上記中央点を通過するような中央行を設定している。さらに、上記各行の移動量は、上記各行と中央行との距離に比例しているので、補正対象画像において、上述した横色収差の特性を考慮した移動量(補正強度)を与えることが可能となる。
【0022】なお、基準画像において、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する位置を特定する手段として、PC、モニターおよびポインティングデバイスが考えられる。すなわち、設定手段は上記PC、モニターおよびポインティングデバイスから構成されていてもよく、この場合、オペレータが、上記ポインティングデバイスを操作することにより、端行に対し、横色収差が生じていない補正対象画像の行を設定する。
【0023】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記基準画像は、複数の色成分のうち、最も波長が短い色成分の画像であることを特徴としてもよい。
【0024】一般的に写真フィルムから取り込んだ画像において、波長の短い色成分ほど、色収差が大きくなる傾向にある。
【0025】したがって、上述した各画素を移動させる処理では、基準画像の各画素位置が補正後の画素位置となるように処理がなされるので、取りえる範囲が最も広い画像を基準画像として設定するのが好ましい。すなわち、このように基準画像を設定することで、上記画像処理によって、画像が圧縮されるのを防ぐことができる。
【0026】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記設定手段は、基準画像および補正対象画像上に、上記中央点を原点として、基準画像の列方向と平行になるようなy軸および行方向と平行になるようなx軸を備えたxy座標系を設定することを特徴としてもよい。
【0027】上記構成によれば、上記中央点を原点として、基準画像の列方向と平行になるようなy軸および行方向と平行になるようなx軸を備えたxy座標系を設定することにより、基準画像の中央列をy軸とし、中央行をx軸とすることができる。これにより、補正対象画像の各行または各列と、中央行または中央列との離隔率の演算が容易になる。
【0028】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記設定手段は、y>0の領域とy<0の領域とを分け、領域ごとに、基準画像の端行を上記着目行として、基準画像の端行に対し横色収差が生じていない補正対象画像の行を特定し、この行を特定行として設定し、上記演算手段は、補正量=基準画像の端行のy値−補正対象画像の特定行のy値離隔率=基準画像の各行のy値/基準画像の端行のy値各行の移動量=補正量×離隔率により上記各行について与えられる移動量を算出することを特徴としてもよい。
【0029】上記構成によれば、設定手段が、y>0の領域とy<0の領域とを分け、領域ごとに、着目行を基準画像の端行として、この端行、すなわち着目行に対し、横色収差が生じない補正対象画像の行を特定し(以下、この行を特定行とする)、演算手段が補正量を算出している。この補正量は、上述した式からも明らかであるが、基準画像の端行と補正対象画像の特定行との距離(列方向に沿った)を表したものである。
【0030】一方、上記構成によれば、x軸(中央行)から基準画像の端行の距離に対しての、x軸からの補正対象画像における各行の距離の割合を、上記離隔率としている。すなわち、上記離隔率は、中央行と上記端行との距離を1としたときの、中央行と補正画像の各行との距離の割合を表したものである。したがって、演算手段は、各行について、上記補正量に上記離隔率をかけることにより、補正対象画像の各行について、中央行からの距離に応じて比例かつ色収差を解消できる移動量を算出することができる。
【0031】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、さらに、上記設定手段は、x>0の領域とx<0の領域とを分け、領域ごとに、基準画像の端列を上記着目列として、基準画像の端列に対し横色収差が生じない補正対象画像の列を特定し、この行を特定列として設定し、上記演算手段は、補正率=基準画像の端列のx値−補正対象画像の特定列のx値離隔率=基準画像の各行のx値/基準画像の端列のx値各列の移動量=補正量×離隔率により上記各列の移動量を算出することを特徴としてもよい。
【0032】上記構成は、x>0の領域とx<0の領域とを分け、基準画像および補正対象画像の各列について、請求項5に記載した手段と同様の手段により、補正対象画像の各列について、中央列からの距離に応じて比例した移動量を与えている。
【0033】これにより、同一行の画素であっても中央列からの距離に比例して異なる移動量を与えることができる。すなわち、上記構成によれば、各行に対して、中央行からの距離に比例して異なる移動量を与えていると同時に、各列に対しても、中央列からの距離に比例して異なる移動量を与えている。これにより、各画素に与えられる移動量を、画像中央から半径方向に向けて大きくさせることができ、横色収差の特性に応じた補正処理が可能となる。
【0034】なお、上記記載の画像処理方法は、コンピュータに実行させるための画像処理プログラムとしても構わない。
【0035】また、上記記載の画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録してなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体に記録させても構わない。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明は、写真フィルムから取り込んだデジタル画像データ(以下、「画像データ」とする)について、カメラに構成されるレンズによる横色収差の影響を除去するための画像処理に関するものである。したがって、本実施の形態では、上記画像データの処理および本発明が実行されるシステムについて説明したうえで、上記横色収差による影響を除去する処理を説明する。
【0037】本発明の実施の一形態について図に基づいて説明すれば、以下のとおりである。図2は、本実施形態の画像出力システムの概略構成を示すブロック図である。上記画像出力システムは、フィルムスキャナ1と、画像処理装置2と、写真焼付装置3、モニター4とを備えた構成となっている。
【0038】フィルムスキャナ1は、例えば、光源からの光を、写真フィルムに照射し、その透過光をCCDなどで受光することにより、写真フィルムに記録されたコマごとの画像を読み取るブロックである。フィルムスキャナ1は、読み取った画像データを赤色成分、緑色成分、および青色成分ごとに画像処理装置2に出力する。
【0039】画像処理装置2は、PC(Personal Computer)などによって構成されており、フィルムスキャナ1から送られた画像データに、種々の画像処理を施し、良質な画像データを写真焼付装置3に供給するブロックである。なお、本実施の形態に係る横色収差による影響を除去する処理は、画像処理装置2に構成されている設定手段、演算手段、判断手段によって実行されるものであるが、この処理の手順は後に詳述する。
【0040】プリンタとしての写真焼付装置3は、画像処理装置2によって処理がなされた画像データに基づいて感光材料である印画紙を露光することにより、印画紙上に画像を焼き付けるためのブロックである。画像データに応じた光を印画紙に照射するヘッドとしては、画像データに応じて画素ごとに印画紙への照射光を変調できる光変調素子が用いられる。このような光変調素子としては、例えばPLZT露光ヘッド、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)、LCD(液晶表示装置)、LED(Light Emitting Diode)パネル、レーザー、FOCRT(FiberOptic Cathode Ray Tube)、CRT(Cathode Ray Tube)等が挙げられる。
【0041】なお、写真焼付装置3は、写真フィルムのスキャニングと印画紙の露光とを両方行うことができるオートプリンタとして構成してもよい。この場合、画像出力システムを、画像の読み取りから焼付けまでを行うオートプリンタと、画像処理装置2とを接続した構成とすることにより、システムの簡素化を図ることができる。
【0042】モニター4は、フィルムスキャナ1から読み取られた画像、画像処理中の画像、画像処理がなされた画像、システムの動作状況等をオペレータに表示するためのものであり、オペレータが操作するためのポインティングデバイス(図示せず)が構成されていてもよい。
【0043】つぎに、画像処理装置2によって実行される本実施の形態の画像処理について図に基づいて説明する。まず、処理手順の概略について簡単に説明する。図3に示すように、横色収差が生じている画像データから再現される原画像を構成する各色の画像は、互いにずれている。本実施の形態では、最もずれの大きい画像を基準となる画像(以下、「基準画像」とする)にすると共に、他色の画像を補正対象の画像(以下、「補正対象画像」とする)として、基準画像の画素に対応する補正対象画像の画素の座標位置を求める。そして、求めた座標位置から線形補間により画素値を求め、補正対象画像の各座標位置の画素値を、対応する基準画像の座標に移動させることで、補正対象画像のサイズを基準画像に一致させる処理を行うものである。すなわち、座標変換により、補正対象画像の各画素の移動を行う。また、本実施の形態の特徴は、単に座標変換を実行するのではなく、光軸中心から離れるに従い色ずれが強くなるという横色収差の特質に着目して、補正対象画像の端行または/および端列について画素の移動量(補正強度)を最も大きく(強く)すると共に、画像の中央点に向かうに従い小さく(弱く)する点にある。
【0044】以下、この処理について具体的に説明する。なお、以下では、写真フィルムの1コマから得られた画像データから再現される原画像において、赤色画像データから再現される画像を赤色画像とし、緑色画像データから再現される画像を緑色画像とし、青色画像データから再現される画像を青色画像とする。
【0045】まず、設定手段2aは、スキャナ1から送られてきたR,G,Bごとの画像データに基づいて、モニター4に画像を表示させる。つぎに、設定手段2aは、各色の画像のうち、青色画像を基準画像として設定すると共に、緑色画像または赤色画像を補正対象画像として設定する。なお、以下では、赤色画像を補正対象画像として設定した場合について説明する。
【0046】ここで、青色画像を基準画像としている理由を説明する。各色画像における色収差の大きさは、青色画像>緑色画像>赤色画像となる傾向にある。また、上述した座標変換では、基準画像の各座標が補正対象画像における移動後の画素位置となるように処理がなされるので、取りえる範囲が最も広い画像を基準画像として設定するのが好ましい。すなわち、図4(a)に示すように、最も色収差の大きい青色画像を基準画像と設定することで、上記画像処理によって、画像が圧縮されるのを防ぐことができ、適正な画像変換を行うことができる。一方、図4(b)に示すように、赤色画像を基準画像として設定すると、画像が圧縮されてしまうので基準画像より外側の画像の画素を移動させることができないという不都合が生じる。なお、基準画像は、上記青色画像に限定されるものでない。
【0047】さらに、図5に示すように、モニター4に表示された原画像に従って、オペレータが、ポインティングデバイスを介して、基準画像上に光軸中心に対応する位置(中央点)を指定すると共に、xy座標系を設定する。なお、上記xy座標系では、上記光軸中心に対応する位置を原点〔0,0〕とし、基準画像の行方向と平行になるようにx軸(中央行)が設定され、基準画像の列方向と平行になるようにy軸(中央列)が設定され、各座標の値は原点からの画素数で表される。このように光軸中心をxy座標系の原点とした理由は、横色収差の特性として、光軸中心では色ずれが生じていない一方、光軸中心から離れるにしたがって色ずれが強くなるので、光軸中心を基準として補正強度を段階的に調整する必要があるからである。なお、本実施の形態においては、オペレータが、基準画像に、光軸中心に対応する位置を指定し、xy座標系を設定する手順としているが、設定手段2aが演算により,光軸中心に対応する位置を指定し、xy座標系を設定する手順としても構わない。
【0048】つぎに、図6に示すように、設定手段2aは、上記xy座標上に補正対象画像を設定する。その後、本実施の形態の画像処理が実行されることになるが、まず、y>0の領域についてのみ上記画像処理を行い、その後にy<0の領域,x>0の領域,x<0の領域について順次行うものとする。なお、以下では、同図に示すように、n行×m列の画素から構成される基準画像(青色画像)と、p行×o列の画素から構成される補正対象画像(赤色画像)とが上記xy座標上に設定されているものとする。
【0049】以下に示す処理は、y>0の領域について、補正対象画像を行ごとに区分して、行ごとに画素を一体として、x軸と直交する方向に移動させるものである。ここで、同一の行を構成する各画素には同一の移動量が与えられる。一方で、x軸から最も離れた行には最大の移動量が与えられ、x軸に近い行ほど設定される移動量が減少する。すなわち、補正対象画像の各画素の座標は、移動により、x座標は同一を維持しつつy座標のみ変化する。以下では、補正対象画像の各行におけるy座標の変化量(移動量)を算出する手順を図7に基づいて説明する。
【0050】まず、設定手段2aが、補正対象画像の各行に共通して定められる補正量を算出する(S1)。この算出手順を説明すると以下のとおりである。オペレータがポインティングデバイスを操作し、モニター4に表示された補正対象画像を移動させることで、基準画像の端行(基準画像の|y|が最大となる行,基準画像中の着目行)に対して色収差の生じない補正対象画像の行を特定する(以下、この行を「特定行」とする)。そして、設定手段2aが、特定した補正対象画像の行のy値(移動前)を読み出すことによって、以下の演算により補正量を算出する。
補正量=基準画像の端行のy値−補正対象画像の特定行のy値…■ここで、y>0における「基準画像の端行y値」は、n/2となる。なお、上記補正量は、基準画像の端行のy値と補正対象画像の特定行のy値との差としているが、基準画像上の着目行と、この着目行に対しての収差の生じない補正対象画像の行との差であれば上記補正量に限定されない。
【0051】つぎに、演算手段2bが、基準画像の各行の画素と収差が生じない、補正対象画像の各行のy座標を行ごとに算出する。これは、演算手段2bが、基準画像の各行の座標を予め定めておき、予め定められた座標に移動される補正対象画像の各行の座標位置および画素値を求め、補正手段2cが、いわゆる線形補間および座標変換を行うことで、補正対象画像の各画素の画素値を行ごとに移動することとしたものである。
【0052】まず、演算手段2bが、移動先である基準画像における任意の行の各画素(基準画素)を指定する。ここでは、まず基準画像の端行を指定することとする(S2)。そして、演算手段2bが、基準画像の指定された行に対応する、補正対象画像の行のy座標を、行ごとに以下の演算式に基づいて算出する(S3)。
離隔率=基準画像の指定された行のy値/基準画像の端行のy値…■移動量=補正量×離隔率…■補正対象画像のy座標=基準画像の指定された行のy値−移動量…■ここで、基準画像の端行が指定されているから、「基準画像の指定された行のy値」はn/2となる。
【0053】さらに、補正手段2cが、補間処理および座標変換により、S3で算出した補正対象画像のy座標に該当する行に属する各座標位置から画素値を算出し、上記画素値を基準画像の上記指定された行の各画素に、列方向に沿って移動させる(S4)。ここで、補間処理は、線形補間法により行われる。なお、y>0の領域についての線形補間法による処理および座標変換の具体例を説明すると以下の通りである。例えば、基準画像の上記指定された行に属する任意の画素(基準画素)の座標〔0,n/2〕に対して、S3の手順で算出された補正対象画像の画素の座標を〔0,7.7〕とする。この場合の基準画像の座標〔0,n/2〕に対応する補正対象画像の座標〔0,7.7〕の画素値は、補正対象画像の座標〔0,7〕の画素の画素値に0.3を乗じた値と、補正対象画像の座標〔0,7〕に0.7を乗じた値とを和算することにより求めることができる(線形補間)。そして、求めた画素値(補正対象画像、すなわち赤色画像の画素値)を基準画像の〔0,n/2〕の位置に当てはめることで、S4の処理が完了する。すなわち、基準画像の中で、指定された行に属する任意の画素を定めて、予めS3の演算により、任意の画素に対する補正対象画像における座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を任意の画素の位置に当てはめることで補正対象画像の各行に含まれる各画素を移動させることとしたものである。
【0054】つぎに、設定手段2aは、基準画像において、指定する行をx軸側へ1段ずらす(S5)。ここで、指定された行がx軸に該当しない場合は、S3〜S5の手順が繰り返される(S6,NO)。なお、y>0の領域について、基準画像の端行に直近する行が指定された場合、上記■の演算式において、「指定された行のy値」は(n/2)-1となる。さらに直近する行が指定された場合、「指定された行のy値」は、(n/2)-2となる。すなわち、「指定された行のy値」とは、基準画像の各行のy値をいう。このような演算を基準画像の各行で繰り返すことによって、基準画像の各行に与える移動量(補正強度)を、画像中心の行から外側の行へ向けて段階的に大きく(強く)することができる。これは、基準画像の各行に与えられる移動量を、各行に共通である補正量(一定値)に、その行について画像中心からの離隔率をかけることにより算出しているからである。また、本実施の形態においては、■の式より、基準画像の端行と中央行との距離(上記補正量)を1とした場合の、基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出される。そして、上記補正量に上記各行について算出された離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を算出するものである。つまり、基準画像の各行に与えられる移動量は、画像中心からの距離に比例する。
【0055】さらに、S5において指定された行がx軸である場合は(S6,YES)、y>0の領域に対する処理は完了する。
【0056】つぎに、上述したS1〜S6の処理を、y<0、x>0、x<0の領域についても同様におこなう。ただし、x>0およびx<0の領域の処理については、上述した「行」は「列」になると共に、「x」を「y」として、「y」を「x」とする。すなわち、x>0およびx<0の領域の処理は、補正対象画像を列ごとに区分して、列ごとに画素を一体として、y軸と直交する方向に移動させるものである。ここで、同一の列を構成する各画素には同一の移動量が与えられる。一方で、y軸から最も離れた列には最大の移動量が与えられ、y軸に近い列ほど設定される移動量が減少する。
【0057】但し、y>0、y<0、x>0、x<0の領域すべてについて処理を行う必要はなく、y>0およびy<0の処理、またはx>0およびx<0の処理のいずれか1の処理であればよい。この場合、図1に示すように、画像の列方向について、画像の中心線であるx軸から上端部または/および下端部に向けて、各行の移動量(補正強度)を段階的に増加(強く)させることができる。
【0058】ところが、同図に示すように、光軸中心からの距離が互いに異なる画素であっても(参照付AおよびB)、同一行の画素であれば全て移動量が等しくなってしまい(5ピクセル)、厳密に色収差を解消することができないこともある。
【0059】そこで、y>0、y<0の領域に対して補正処理を実行した後で、さらにx>0およびx<0の領域についても補正処理を実行することで、同一行の画素であっても移動量(補正強度)に強弱を与えることができる。つまり、さらにx>0およびx<0の領域について補正処理を実行すると、画像の行方向について、画像の中心線であるy軸から右端部および左端部に向けて、各列の移動量(補正強)を段階的に増加(強く)させることができる。すなわち、同一行の画素であっても、光軸中心からの距離の増加に応じて、移動量(補正強度)を増加(強く)させることができる。したがって、このような処理を行うと、補正対象画像の各画素について、光軸中心から半径方向に向けて段階的に移動量(補正強度)を強めていくことが可能になり、原画像に生じている色収差を精度良く解消することができる。
【0060】このような手順を実行することにより、レンズ付きフィルム等の比較的性能の劣るカメラで撮影しても、中級以上の性能のカメラから取り込んだ画像と同様の画質を得ることができる。なお、上述した処理を実行する前の、色収差が生じている原画像を図9(a)、この拡大図を図9(b)に示し、この原画像に上述した処理を施すことにより色収差の解消した処理後の画像を図10(a)、この拡大図を図10(b)に示す。
【0061】なお、y>0、y<0、x>0、x<0の領域に対しての処理の順序は、特に限定されるものではない。
【0062】また、上記した手順では、赤色画像を補正対象画像として処理を行ったが、赤色画像の処理後に緑色画像も処理することが好ましい。これにより、各色画像で互いに生じている色収差を完全に解消することができる。なお、赤色画像と緑色画像の処理順序を逆にしても構わない。
【0063】なお、図8に示すように、原画像の一部分をトリミング処理によって切り出し、切り出した画像に対してのみ、上述の補正処理を実行することが可能である。この場合、原画像の任意の一部分に対してのみ、上述した横色収差の補正を精度良く実行することができる。
【0064】ところで、以上の実施の形態で説明した処理は、プログラムで実現することが可能である。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。本発明では、この記録媒体として、画像処理装置2で処理が行われるために必要な図示していないメモリ(例えばROMそのもの)であってもよいし、また図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても構わない。
【0065】上記いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサ(図示せず)のアクセスにより実行される構成であってもよいし、格納されているプログラムを読み出し、読み出したプログラムを図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードすることにより、そのプログラムが実行される構成であってもよい。この場合、ダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0066】ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリーカードを含む)/光カードのカード系、あるいはマスクROM、EPROM、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0067】最後に、上述した実施の形態は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0068】
【発明の効果】本発明の画像処理装置は、以上のように、写真フィルムから取り込んだ複数の色成分からなるデジタル画像データを補正する画像処理装置であって、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定する設定手段と、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出し、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出する演算手段と、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめることで、補正対象画像の上記各行に含まれる各画素を移動させる補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0069】本発明の画像処理方法は、以上のように、写真フィルムから取り込んだ複数の色成分からなるデジタル画像データを補正する画像処理装置であって、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定するステップと、上記中央行と、着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出し、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出するステップと、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめることで、補正対象画像の上記各行に含まれる各画素を移動させるステップとを備えたことを特徴とする。
【0070】これにより、画像処理の対象となるデジタル画像データから、上記横色収差の特性に関する情報(すなわち、行ごとに与えられる移動量)を取得しているので、レンズの種類に限定されない横色収差補正を行うことができる。
【0071】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記中央点は、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する画素に設定されることを特徴としてもよい。
【0072】これにより、補正対象画像において、上述した横色収差の特性を考慮した移動量(補正強度)を与えることが可能となるという効果を奏する。
【0073】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記基準画像は、複数の色成分のうち、最も波長が短い色成分の画像であることを特徴としてもよい。
【0074】これにより、画像が圧縮されるのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0075】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記設定手段は、基準画像および補正対象画像上に、上記中央点を原点として、基準画像の列方向と平行になるようなy軸および行方向と平行になるようなx軸を備えたxy座標系を設定することを特徴としてもよい。
【0076】これにより、補正対象画像の各行または各列と、中央行または中央列との離隔率の演算が容易になるという効果を奏する。
【0077】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、上記設定手段は、y>0の領域とy<0の領域とを分け、領域ごとに、基準画像の端行を上記着目行として、基準画像の端行に対し横色収差が生じていない補正対象画像の行を特定し、この行を特定行として設定し、上記演算手段は、補正量=基準画像の端行のy値−補正対象画像の特定行のy値離隔率=基準画像の各行のy値/基準画像の端行のy値各行の移動量=補正量×離隔率により上記各行について与えられる移動量を算出することを特徴としてもよい。
【0078】これにより、補正対象画像の各行について、中央行からの距離に応じて比例かつ色収差を解消できる移動量を算出することができるという効果を奏する。
【0079】本発明の画像処理装置は、上記の構成に加えて、さらに、上記設定手段は、x>0の領域とx<0の領域とを分け、領域ごとに、基準画像の端列を上記着目列として、基準画像の端列に対し横色収差が生じない補正対象画像の列を特定し、この行を特定列として設定し、上記演算手段は、補正率=基準画像の端列のx値−補正対象画像の特定列のx値離隔率=基準画像の各行のx値/基準画像の端列のx値各列の移動量=補正量×離隔率により上記各列の移動量を算出することを特徴としてもよい。
【0080】これにより、各画素に与えられる移動量を、画像中央から半径方向に向けて大きくさせることができ、横色収差の特性に応じた補正処理が可能となるという効果を奏する。
【0081】なお、上記記載の画像処理方法は、コンピュータに実行させるための画像処理プログラムとしても構わない。
【0082】また、上記記載の画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録してなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体に記録させても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における画像処理装置で実行される、横色収差を解消するための処理態様を示した模式図である。
【図2】上記画像処理装置の各構成を示したブロック図である。
【図3】上記横色収差が生じるレンズから取り込んだ画像を示す模式図である。
【図4】(a)は、本発明の画像処理において青色画像を基準画像にした場合を示し、(b)は、赤色画像を基準画像にした場合の説明図である。
【図5】基準画像において、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する画素を原点としたxy座標系を設定する処理を示した説明図である。
【図6】基準画像に設定されたxy座標系に補正対象画像を設定する処理を示した説明図である。
【図7】本発明の画像処理の手順を示したフローチャートである。
【図8】原画像の一部を切り出すトリミング処理を示した説明図である。
【図9】(a)は、横色収差の生じている原画像を示し、(b)は、(a)を拡大した画像を示す。
【図10】(a)は、上記画像に対し本発明の画像処理を実行することにより横色収差の解消した画像を示し、(b)は、(a)を拡大した画像を示す。
【図11】横色収差を示した説明図である。
【符号の説明】
1 フィルムスキャナ
2 画像処理装置
2a 設定手段
2b 演算手段
2c 補正手段
3 写真焼付装置
4 モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】写真フィルムから取り込んだ複数の色成分からなるデジタル画像データを補正する画像処理装置であって、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定する設定手段と、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出し、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出する演算手段と、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめることで、補正対象画像の上記各行に含まれる各画素を移動させる補正手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】上記中央点は、写真フィルムに記録されている画像における光軸中心に対応する画素に設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】上記基準画像は、複数の色成分のうち、最も波長が短い色成分の画像であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】上記設定手段は、基準画像および補正対象画像上に、上記中央点を原点として、基準画像の列方向と平行になるようなy軸および行方向と平行になるようなx軸を備えたxy座標系を設定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】上記設定手段は、y>0の領域とy<0の領域とを分け、領域ごとに、基準画像の端行を上記着目行として、基準画像の端行に対し横色収差が生じていない補正対象画像の行を特定し、この行を特定行として設定し、上記演算手段は、補正量=基準画像の端行のy値−補正対象画像の特定行のy値離隔率=基準画像の各行のy値/基準画像の端行のy値各行の移動量=補正量×離隔率により上記各行について与えられる移動量を算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】さらに、上記設定手段は、x>0の領域とx<0の領域とを分け、領域ごとに、基準画像の端行を上記着目列として、基準画像の端列に対し横色収差が生じない補正対象画像の列を特定し、この列を特定列として設定し、上記演算手段は、補正量=基準画像の端列のx値−補正対象画像の特定列のx値離隔率=基準画像の各列のx値/基準画像の端列のx値各列の移動量=補正量×離隔率により上記各列の移動量を算出することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】写真フィルムから取り込んだ複数の色成分からなるデジタル画像データを補正する画像処理方法であって、上記デジタル画像データから再現される画像を構成する各色の画像のうち、いずれか1色の画像から基準画像と、少なくとも1色の補正対象画像とを定め、上記基準画像の中央点および上記中央点を通過するような中央行を設定すると共に、上記基準画像中の着目行と、上記着目行と色収差の生じない補正対象画像の行との距離を補正量と設定するステップと、上記中央行と着目行との距離を1としたときの基準画像の各行と上記中央行との離隔率を行ごとに算出し、上記補正量に、上記各行について算出された上記離隔率を乗じることにより、列方向かつ補正対象画像の端行から基準画像の端行へ向かう方向への移動量を上記各行について算出するステップと、上記基準画像の中で、基準画素を定めて、上記基準画素から上記移動量だけ離隔した補正対象画像中の座標位置を求め、上記座標位置から補間処理により補正対象画像の画素値を算出し、上記画素値を上記基準画素の位置に当てはめることで、補正対象画像の上記各行に含まれる各画素を移動させるステップとを備えたことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】請求項7に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項9】請求項8に記載の画像処理プログラムをコンピュータに読み取り可能に記録してなることを特徴とする画像処理プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図8】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【公開番号】特開2003−348367(P2003−348367A)
【公開日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−154306(P2002−154306)
【出願日】平成14年5月28日(2002.5.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】