説明

画像処理装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】入力デバイスで視認される色の印象と、出力デバイスで視認される色の印象とを合わせることができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置10の画像処理部20は、第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得する色情報取得部30と、前記取得された結果が第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であることを示す場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が小さくなるように、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定する色変換方法決定部34と、前記決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行う色変換部36とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、入力デバイスと出力デバイスで、色の見え方が異なる場合がある。色の見え方の違いは、ディスプレイ出力とプリンタ出力との関係だけでなく、ディスプレイ間においても見られる。ディスプレイには、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、高色域ディスプレイ、ノートPC(Personal Computer)ディスプレイ等が存在する。このため、使用している入力デバイスが異なることによって同じ色信号値であっても色の見え方の違うと、入力デバイスで表示している色信号値を出力デバイスで出力したときに、入力デバイスの色の見え方と大きく異なってしまうデバイスも存在する。しかしながら、同一の色ならば同一の色として見えるようにとの要求が高まっている。
【0003】
特許文献1では、複数のデバイスと接続可能な画像処理装置であって、該デバイス毎の特性を考慮した適切な色補正を簡易な構成で実現する画像処理装置が開示されている。
特許文献2では、高品質な色変換定義を容易に作成することができる色変換定義作成方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−144980号公報
【特許文献2】特開2002−314829号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、入力デバイスで視認される色の印象と、出力デバイスで視認される色の印象とを合わせることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る画像処理装置は、第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得する取得手段と、前記取得手段により第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であることを示す結果が取得された場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が小さくなるように、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定する色変換方法決定手段と、前記色変換方法決定手段により決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行う色変換手段とを有する。
【0007】
請求項2に係る画像処理装置においては、前記色変換方法決定手段は、前記取得手段により第1の色情報と第2の色情報とは異なる色であることを示す結果が取得された場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が大きくなる方向に第2の色情報が色変換されるように色変換方法を変更する。
【0008】
請求項3に係る画像処理装置においては、前記色変換方法決定手段は、第1の色情報及び第2の色情報のうち、彩度がより低い色の色変換方法を変更する。
【0009】
請求項4に係る画像処理装置においては、前記色変換方法決定手段は、第1の色情報及び第2の色情報のうち、色域においてより内側の色の色変換方法を変更する。
【0010】
請求項5に係る画像処理装置においては、前記第2の色情報は、前記第1の色情報と前記第1の色空間上の任意の色情報とを結んだ線上に存在する色である。
【0011】
請求項6に係る画像処理装置においては、前記第2の色情報は、黒又は白のいずれかから前記第1の色情報までのベクトルと前記第1の色空間上の任意の色情報までのベクトルとの和で表される領域上に存在する色である。
【0012】
請求項7に係る画像処理装置においては、前記第2の色情報は、前記第1の色情報と前記第1の色情報のうち1の色成分が変更された色情報とを結んだ線上に存在する色である。
【0013】
請求項8に係る画像処理装置においては、前記第2の色情報は、前記第1の色情報のいずれかの色成分に所定値が演算された色である。
【0014】
請求項9に係る画像形成装置は、第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得し、前記取得された結果に基づいて、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定し、前記決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行って生成された色変換定義情報と、前記色変換定義情報を用いて色変換を行う色変換手段とを有する。
【0015】
請求項10に係るプログラムは、コンピュータを含む画像処理装置において、第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得する取得ステップと、前記取得された結果が第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であることを示す場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が小さくなるように、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定する色変換方法決定ステップと、前記決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行う色変換ステップとを前記画像処理装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る本発明によれば、同じ色として見えるべき色が異なる色として見えることが防止され、入力デバイスで視認される色の印象と、出力デバイスで視認される色の印象とを合わせることができる。
【0017】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、異なる色として見えるべき色が同じ色として見えることが防止されることができる。
【0018】
請求項3に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、彩やかな色から灰色に近い色にかけての階調特性の印象を合わせることができる。
【0019】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、部分的な色再現を最適化することができる。
【0020】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、入力デバイスで視認される色の印象を、より簡易に再現することができる。
【0021】
請求項6に係る本発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、入力デバイスで視認される色の印象を、より簡易に再現することができる。
【0022】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1乃至4のいずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、入力デバイスで視認される色の印象を、より簡易に再現することができる。
【0023】
請求項8に係る本発明によれば、請求項1乃至5のいずれかに係る本発明の効果に加えて、本構成を有していない場合と比較して、入力デバイスで視認される色の印象を、より簡易に再現することができる。
【0024】
請求項9に係る本発明によれば、入力デバイスで視認された色の印象で印刷された画像を出力することができる。
【0025】
請求項10に係る本発明によれば、同じ色として見えるべき色が異なる色として見えることが防止され、入力デバイスで視認される色の印象と、出力デバイスで視認される色の印象とを合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
まず、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置10を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成を示す図である。
図1に示すように、画像処理装置10は、CPU12、メモリ14、ハードディスク駆動装置等の記憶装置16、ネットワークを介して外部のコンピュータ(不図示)とデータの通信を行う通信装置18、画像処理を行う画像処理部20、タッチパネル又はキーボード及びマウス等を含む操作部22、入力デバイス24及び出力デバイス26を有する。これらの構成要素は、バス28を介して互いに接続されている。
【0027】
入力デバイス24は、例えば、液晶ディスプレイ、高色域ディスプレイ等である。出力デバイス26は、例えば、CRTディスプレイ、プリンタ等である。なお、入力デバイス24及び出力デバイス26は本例に限定されず、いかなる表示装置及び印刷装置であってもよい。
【0028】
図2は、本実施形態に係る画像処理装置10の画像処理部20の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、画像処理部20は、色情報取得部30、色情報記憶部32、色変換方法決定部34及び色変換部36を有する。なお、これらの構成要素は、ハードウェアにより実現されてもよいし、プログラムがハードウェア上で動作することにより実現されてもよい。プログラムは、例えば、図示しないネットワークに接続された外部のコンピュータから通信装置18を介して供給され、メモリ14にロードされて、CPU12により実行される。また、プログラムは、FD、CD又はDVDなどの記憶媒体に格納されて画像処理装置10に提供されてもよい。
【0029】
画像処理部20において、色情報取得部30は、色情報記憶部32に記憶されている色情報を読み出し、入力デバイス24に表示する。具体的には、色情報取得部30は、基準色(第1の色情報)とこの基準色に対応する基準周辺色(第2の色情報)とを表示する。色情報取得部30は、ユーザにより操作部22を介して入力される、基準色と基準周辺色とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得して色変換方法決定部34に対して出力する。なお、基準色及び基準周辺色については、後で詳述する。
【0030】
色情報記憶部32は、複数の色の色情報を記憶する。本実施形態では、複数の色の中で、基準色及び基準周辺色は、予め設定されている。色情報記憶部32は、メモリ14及び記憶装置16の少なくともいずれかにより実現される。
【0031】
色変換方法決定部34は、色情報取得部30により取得された結果に基づいて、基準色及び基準周辺色の少なくともいずれかの色変換方法を決定する。具体的には、色変換方法決定部34は、基準色及び基準周辺色が入力デバイス24の色域から出力デバイス26の色域にどのように色変換されるかを決定する。決定された色変換方法は、例えば、色変換プロファイル、色変換LUT(Look-Up-Table)として実現される。なお、色変換方法の決定方法は、後で詳述する。
【0032】
色変換部36は、色変換方法決定部34により決定された色変換方法を用いて、画像データの各画素値を、入力デバイス24に対応する色空間(第1の色空間)から出力デバイス26に対応する色空間(第2の色空間)に色変換する。例えば、第1の色空間はsRGB色空間であり、第2の色空間はCMYK色空間である。なお、色空間は本例に限定されず、色変換部36は、例えば、RGB表色系、CMYK表色系、Lab表色系、XYZ表色系などの色域の間の色変換を行う。このようにして、色変換部36は、色変換手段を構成する。
【0033】
画像処理部20は、これらの構成要素により、入力デバイス24(第1の出力装置)に出力された基準色と基準周辺色とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得し、前記取得された結果に基づいて、基準色及び基準周辺色の少なくともいずれかの色変換方法を決定し、前記決定された色変換方法を用いて、入力デバイス24に対応する第1の色空間から出力デバイス26(第2の出力装置)に対応する第2の色空間への色変換を行う。
【0034】
次に、図3及び図4を用いて、基準色、基準周辺色及び当該色の表示方法を説明する。
図3は、画像処理部20の色情報取得部30による入力デバイス24への基準色及び基準周辺色の表示方法を示す図である。
図3に示すように、色情報取得部30は、基準色及び基準周辺色を入力デバイス24に表示する。基準色及び基準周辺色は、入力デバイス24の所定の大きさ、形状の図形を埋める色として表示される。例えば、基準色及び基準周辺色は、矩形、円、その他の形状で表示される。したがって、使用者は、表示された基準色及び基準周辺色を目視し、これらの色が同一の色であるか否かを判定し、判定結果を操作部22を用いて入力する。
【0035】
図4は、画像処理部20の色情報取得部30による基準色及び基準周辺色の選定方法の実施例を示す図である。
図4に示すように、本実施例では、基準色は、入力デバイス24の色域の外郭上に存在する色であり、白から飽和色を通って黒に至るまでの間の色である。例えば、基準色がRGB色空間に含まれ、基準色の色情報がRGBの256階調で表される場合、基準色の色情報の1つは、(R,G,B)=(255,0,0)である。なお、白は、(R,G,B)=(255,255,255)で表され、黒は、(R,G,B)=(0,0,0)で表される。
【0036】
本実施例では、基準周辺色は、基準色の色情報を構成する色成分(R,G,B)のうち、1の色成分が変更された色である。即ち、基準周辺色は、基準色と、基準色の色情報のうち1の色成分が変更された色情報とを結んだ線上に存在する色である。例えば、基準色が、(R,G,B)=(255,0,0)である場合、基準周辺色は、図4において太線で示される領域から選ばれる。
このようにして、色情報取得部30は、取得手段を構成する。
【0037】
次に、図5及び図6を用いて、色変換方法の決定方法を説明する。
図5は、画像処理部20の色変換方法決定部34による色変換方法の決定方法を示す図であって、図5(A)は、Lab表色系の色相方向における入力デバイス24の色域(入力色再現域)と出力デバイス26の色域(出力色再現域)との関係を示し、図5(B)は、図5(A)の円で囲まれた範囲の拡大図を示す。なお、図中においては、R,G,B,C,M及びYは、それぞれ赤、緑、青、シアン、マゼンタ及びイエローを示す。
【0038】
図5(A)及び図5(B)に示すように、入力色再現域に含まれる色は、使用者の判定結果に基づいて、出力色再現域に含まれるように変換される。本実施例では、基準色及び基準周辺色のうち、基準周辺色の色変換方法が変更される。
【0039】
図中の矢印aは、色変換方法が変更されない場合における基本的な変換方向を示す。この場合、基準周辺色は、例えば、色差が最小となるように色変換される。なお、基本的な色変換方法は、本例に限定されず、例えば、基準周辺色は、明度が保存されるように色変換されてもよいし、彩度が保存されるように色変換されてもよい。
【0040】
矢印bは、使用者が、表示された基準色と基準周辺色との間に識別性や階調性があると判定した場合における色変換の方向を示す。即ち、使用者により基準色と基準周辺色とは異なる色であると判定された場合、矢印aの場合と比較して、基準色が色変換された色と基準周辺色が色変換された色との色差が大きくなる方向に基準周辺色が色変換されるように、色変換方法が変更される。
【0041】
矢印cは、使用者が、表示された基準色と基準周辺色との間に識別性や階調性がないと判定した場合における色変換の方向を示す。即ち、使用者により基準色と基準周辺色とは同一の色であると判定された場合、矢印aの場合と比較して、基準色が色変換された色と基準周辺色が色変換された色との色差が小さくなる方向に基準周辺色が色変換されるように、色変換方法が変更される。
【0042】
図6は、Lab表色系の明度方向における色変換方法の決定方法を示す図であって、図6(A)は、基準色及び基準周辺色が色域の外郭上に存在する場合を示し、図6(B)は、基準周辺色が色域の内側に存在する場合を示す。
図6(A)及び図6(B)に示すように、入力色再現域に含まれる色は、使用者の判定結果に基づいて、明度方向においても色変換される。なお、図中の矢印a,b及びcは、図5に示されるものと同様である。
このようにして、色変換方法決定部34は、色変換方法決定手段を構成する。
【0043】
図7は、本実施形態に係る画像処理装置10による色変換方法決定処理(S10)を示すフローチャートである。
図7に示すように、ステップ100(S100)において、画像処理部20の色情報取得部30は、予め設定されている基準色の色情報を色情報記憶部32から取得する。例えば、基準色として、(R,G,B)=(255,0,0)の色情報が取得される。
ステップ102(S102)において、色情報取得部30は、予め設定されている基準周辺色の色情報を色情報記憶部32から取得する。例えば、基準周辺色として、(R,G,B)=(255,64、0)の色情報が取得される。
【0044】
ステップ104(S104)において、色情報取得部30は、基準色及び基準周辺色を入力デバイス24に表示する。使用者は、表示された基準色及び基準周辺色を見て、これらの色が同一であるか否かを判定し、判定結果を入力する。
ステップ106(S106)において、色情報取得部30は、入力された判定結果を取得して、色変換方法決定部34に対して出力する。
【0045】
ステップ108(S108)において、色変換方法決定部34は、判定結果に基づいて、基準周辺色の色変換方法を決定する。
【0046】
ステップ110(S110)において、色情報取得部30は、全ての基準周辺色の表示が終了したか否かを判定する。色情報取得部30は、全ての基準周辺色の表示が終了した場合にはS112の処理に進み、そうでない場合にはS102の処理に戻る。
【0047】
全ての基準周辺色の表示が終了していない場合、色情報取得部30は、以下のようにして、次に表示される基準周辺色を決定する。即ち、色情報取得部30は、S106の処理で基準色及び基準周辺色が同一の色である旨の入力を取得した場合には、基準周辺色のいずれかの色成分(例えば、G成分)に所定値(例えば、32)を加えた値を次の基準周辺色とし、当該色が異なる色と判定されるまで、基準色及び基準周辺色の表示を行う。また、色情報取得部30は、基準色及び基準周辺色が異なる色である旨の入力を取得した場合には、基準周辺色のいずれかの色成分から所定値(例えば、16)を減じた値を次の基準周辺色とし、当該色が同一の色と判定されるまで、基準色及び基準周辺色の表示を行う。
【0048】
ステップ112(S112)において、色情報取得部30は、全ての基準色の表示を終了したか否かを判定する。色情報取得部30は、全ての基準色の表示が終了した場合にはS114の処理に進み、そうでない場合にはS100の処理に戻る。
【0049】
全ての基準色の表示が終了していない場合、色情報取得部30は、以下のようにして、次に表示される基準色を決定する。即ち、色情報取得部30は、白−赤及び赤−黒の間の色情報のうち、基準色として予め設定されている色情報を基準色として選択する。さらに、色情報取得部30は、赤(R)に関する表示の終了後、緑(G)、青(B)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)についても同様に、基準色を選択する。
【0050】
ステップ114(S114)において、色変換方法決定部34は、上記のようにして変更された色変換方法を反映した色変換パラメータを保持するプロファイル又は色変換LUTを作成する。
【0051】
作成されたプロファイル等は、色変換部36による色変換処理において用いられる。即ち、色変換部36は、当該プロファイルを用いて、入力デバイス24に対応する色域から出力デバイス26に対応する色域への色変換を行う。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、このようにして作成された色変換プロファイル、色変換LUT等の色変換定義情報と、この色変換定義情報を用いて色変換を行う色変換部36と、この色変換部36により色変換された画像を印刷するプリントエンジン等の画像形成部とを有する。画像形成装置は、図1に示されるハードウェア構成と同等の制御部を有する。なお、画像形成部は、図1に示される出力デバイス26として実現される。
【0053】
次に、本実施形態における基準色及び基準周辺色の選定方法の異なる実施例を説明する。
図8は、画像処理部20の色情報取得部30による基準色及び基準周辺色の選定方法の第2の実施例〜第7の実施例を示す図である。
図8(A)は、基準周辺色の選定方法の第2の実施例であって、基準周辺色が、基準色と第1の色空間における飽和色とを結ぶ直線状に存在する色である場合を示す。図8(A)に示すように、例えば、基準色が、(R,G,B)=(255,0,0)である場合、基準周辺色は、基準色と、(R,G,B)=(0,0,255)で示される色情報とを結ぶ領域から選ばれる。なお、図8(B)〜図8(C)及び図8(E)では、図8(A)と同様に、基準色が(R,G,B)=(255,0,0)である場合を示す。
【0054】
図8(B)は、基準周辺色の選定方法の第3の実施例であって、基準周辺色が、RGBの色情報のうち1の色成分が所定値に固定された領域に存在する色である場合を示す。図8(B)に示すように、例えば、基準周辺色は、G成分が0である領域から選ばれる。
【0055】
図8(C)は、基準周辺色の選定方法の第4の実施例であって、基準周辺色が、基準色と第1の色空間における任意の色情報とを結んだ線上に存在する色であることを示す。本例は、図8(A)に示される例において、基準色と結ばれる色情報が任意の色情報である場合に該当する。
【0056】
図8(D)は、基準周辺色の選定方法の第5の実施例であって、基準周辺色が、黒及び白のいずれかから基準色までのベクトルと、黒及び白のいずれかから第1の色空間における任意の色情報までのベクトルとの和で表現される領域上に存在する色である場合を示す。図8(D)に示すように、基準色が、黒と赤とを結ぶ直線状に存在する場合、基準周辺色は、黒から基準色までのベクトルと、黒から任意の色情報までのベクトルとの和で表現される領域から選ばれる。
【0057】
図8(E)は、基準周辺色の選定方法の第6の実施例であって、基準周辺色が、基準色の少なくともいずれかの色成分に所定値が演算された色である場合を示す。例えば、基準色が、(R,G,B)=(255,0,0)である場合、基準周辺色は、基準色の色成分に51を加算又は減算した色であり、(R,G,B)=(255,51,0),(255,0,51),(204,0,0),(204,51,0)等である。
【0058】
図8(F)は、基準周辺色の選定方法の第7の実施例であって、基準周辺色が、基準色の明度、彩度及び色相の値の少なくともいずれかの値が変更された色である場合を示す。図8(F)に示すように、基準色が、図中の黒点で示される場合、基準周辺色は、太線で示される領域から選ばれる。
【0059】
次に、基準色及び基準周辺色の表示方法の異なる実施例を説明する。
図9は、画像処理部20の色情報取得部30による入力デバイス24への基準色及び基準周辺色の表示方法の第2の実施例〜第5の実施例を示す図である。
図9(A)は、基準色及び基準周辺色の表示方法の第2の実施例であって、基準色が中心に表示され、基準周辺色が基準色の上下左右に表示される場合を示す。図9(A)に示すように、複数の基準周辺色が、1の基準色に対して同時に表示されてもよい。この場合、使用者は、複数の基準周辺色のそれぞれについて判定結果を入力する。
【0060】
図9(B)は、基準色及び基準周辺色の表示方法の第3の実施例であって、基準色がグラデーションの中心に表示され、基準周辺色が周辺に表示される場合を示す。図9(B)に示すように、複数の基準周辺色が、グラデーションで表示されてもよい。この場合、使用者は、基準色との識別性を有する基準周辺色はどこからか、基準色と階調が異なる基準周辺色はどこからか等を示すことにより、判定結果を入力する。
【0061】
図9(C)及び図9(D)は、基準色及び基準周辺色の表示方法の第4の実施例及び第5の実施例であって、基準色及び基準周辺色が使用者により設定される際に表示される態様を示す。なお、基準色及び基準周辺色が使用者により設定される実施形態については、後で詳述する。
【0062】
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置10を説明する。
本実施形態に係る画像処理装置10は、使用者により基準色が設定される点で、第1の実施形態に係る画像処理装置10とは異なる。
図10は、本実施形態に係る画像処理装置10による色変換方法決定処理(S20)を示すフローチャートである。なお、図10に示された各処理のうち、図7に示された処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0063】
図10に示すように、ステップ100(S100)において、画像処理部20の色情報取得部30は、色情報記憶部32に記憶されている複数の色情報を取得し、例えば図9(C)又は図9(D)に示される色群を表示し、使用者によりこの色群から設定される基準色の色情報を受け付ける。基準色が設定されると、S100〜S106の処理で、画像処理部20は、基準色及び基準周辺色を入力デバイス24に表示し、これらの色が同一であるか否かの判定結果を受け付ける。
【0064】
ステップ202(S202)において、画像処理部20の色変換方法決定部34は、基準色及び基準周辺色のどちらの色変換方法を変更するかを受け付ける。具体的には、使用者は、色変換方法が変更される対象が基準色及び基準周辺色のどちらであるかを操作部22を介して入力し、色変換方法決定部34が、この入力を受け付ける。
【0065】
ステップ204(S204)において、色変換方法決定部34は、色変換方法が変更されることに決定された色の色変換方法を、判定結果に基づいて決定する。さらに、S110〜S114の処理で、所定数の基準色、基準周辺色についての判定結果が受け付けられ、色変換プロファイル又は色変換LUTが作成される。
【0066】
次に、本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置10を説明する。
本実施形態に係る画像処理装置10は、使用者により基準色及び基準周辺色が設定される点で、第1の実施形態に係る画像処理装置10とは異なる。
図11は、本実施形態に係る画像処理装置10による色変換方法決定処理(S30)を示すフローチャートである。なお、図11に示された各処理のうち、図7に示された処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
【0067】
図11に示すように、ステップ300(S300)において、画像処理部20の色情報取得部30は、色情報記憶部32に記憶されている複数の色情報を取得し、例えば図9(C)又は図9(D)に示される色群を表示し、使用者によりこの色群から設定される2つの色情報を受け付ける。
【0068】
ステップ302(S302)において、色情報取得部30は、受け付けた2つの色情報のどちらが基準色であるか又は基準周辺色であるかを決定する。より具体的には、色情報取得部30は、以下のように決定する。
【0069】
即ち、色情報取得部30は、2つの色情報が入力デバイス24に対応する色域の外郭上に存在するか否かを判定し、両方の色が外郭上に存在する場合、より彩度が低い色を基準周辺色とし、どちらか一方が色域の内側に存在する場合、当該内側の色を基準周辺色とする。また、両方の色が色域の内側に存在する場合、色情報取得部30は、より彩度が低い色を基準周辺色とする。なお、両方の色が同彩度である場合、色情報取得部30は、より色域の内側に存在する色を基準周辺色とする。
【0070】
ステップ304(S304)において、色情報取得部30は、例えば図9(B)に示されるように、RGB色空間において基準色と基準周辺色とを結ぶ直線上に存在する色をグラデーションで表示する。使用者は、表示されたグラデーションを見て、基準色とは異なる色であると識別できる範囲を判定し、判定結果を入力する。
【0071】
ステップ306(S306)において、色情報取得部30は、入力された判定結果を取得して、色変換方法決定部34に対して出力する。
ステップ308(S308)において、色変換方法決定部34は、判定結果に基づいて、基準周辺色の色変換方法を決定する。
【0072】
ステップ310(S310)において、色情報取得部30は、変換プロファイル等を作成するために必要な所定数の判定結果を取得したか否かを判定する。色情報取得部30は、作成に必要な全ての色について終了した場合にはS114の処理に進み、そうでない場合にはS300の処理に戻る。S114の処理では、判定結果に基づいて、色変換プロファイル又は色変換LUTが作成される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置10の画像処理部20の機能構成を示すブロック図である。
【図3】画像処理部20の色情報取得部30による入力デバイス24への基準色及び基準周辺色の表示方法を示す図である。
【図4】画像処理部20の色情報取得部30による基準色及び基準周辺色の選定方法の実施例を示す図である。
【図5】画像処理部20の色変換方法決定部34による色変換方法の決定方法を示す図であって、図5(A)は、Lab表色系の色相方向における入力デバイス24の色域(入力色再現域)と出力デバイス26の色域(出力色再現域)との関係を示し、図5(B)は、図5(A)の円で囲まれた範囲の拡大図を示す。
【図6】Lab表色系の明度方向における色変換方法の決定方法を示す図であって、図6(A)は、基準色及び基準周辺色が色域の外郭上に存在する場合を示し、図6(B)は、基準周辺色が色域の内側に存在する場合を示す。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置10による色変換方法決定処理(S10)を示すフローチャートである。
【図8】画像処理部20の色情報取得部30による基準色及び基準周辺色の選定方法の第2の実施例〜第7の実施例を示す図である。
【図9】画像処理部20の色情報取得部30による入力デバイス24への基準色及び基準周辺色の表示方法の第2の実施例〜第5の実施例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置10による色変換方法決定処理(S20)を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る画像処理装置10による色変換方法決定処理(S30)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
10 画像処理装置
12 CPU
14 メモリ
16 記憶装置
18 通信装置
20 画像処理部
22 操作部
24 入力デバイス
26 出力デバイス
30 色情報取得部
32 色情報記憶部
34 色変換方法決定部
36 色変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得する取得手段と、
前記取得手段により第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であることを示す結果が取得された場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が小さくなるように、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定する色変換方法決定手段と、
前記色変換方法決定手段により決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行う色変換手段と
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記色変換方法決定手段は、前記取得手段により第1の色情報と第2の色情報とは異なる色であることを示す結果が取得された場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が大きくなる方向に第2の色情報が色変換されるように色変換方法を変更する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記色変換方法決定手段は、第1の色情報及び第2の色情報のうち、彩度がより低い色の色変換方法を変更する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記色変換方法決定手段は、第1の色情報及び第2の色情報のうち、色域においてより内側の色の色変換方法を変更する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の色情報は、前記第1の色情報と前記第1の色空間上の任意の色情報とを結んだ線上に存在する色である
請求項1乃至4のいずれに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第2の色情報は、黒又は白のいずれかから前記第1の色情報までのベクトルと前記第1の色空間上の任意の色情報までのベクトルとの和で表される領域上に存在する色である
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第2の色情報は、前記第1の色情報と前記第1の色情報のうち1の色成分が変更された色情報とを結んだ線上に存在する色である
請求項1乃至4のいずれに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第2の色情報は、前記第1の色情報のいずれかの色成分に所定値が演算された色である
請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得し、前記取得された結果に基づいて、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定し、前記決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行って生成された色変換定義情報と、
前記色変換定義情報を用いて色変換を行う色変換手段と
を有する画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータを含む画像処理装置において、
第1の出力装置に出力された第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であるか否かが判定された結果を取得する取得ステップと、
前記取得された結果が第1の色情報と第2の色情報とは同一の色であることを示す場合、第1の色情報が色変換された色と第2の色情報が色変換された色との色差が小さくなるように、第1の色情報及び第2の色情報の少なくともいずれかの色変換方法を決定する色変換方法決定ステップと、
前記決定された色変換方法を用いて、第1の出力装置に対応する第1の色空間から第2の出力装置に対応する第2の色空間への色変換を行う色変換ステップと
を前記画像処理装置のコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−81621(P2009−81621A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248855(P2007−248855)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】