画像処理装置、画像記録装置、及びプログラム
【課題】画像を記録する有彩色ドットと墨色ドットとの置換率が均一な場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制する。
【解決手段】第2の色変換処理が未だ行なわれていないブロックを選択し(ステップ200)、選択されたブロックに含まれる、第2の色変換処理が未だ行なわれていない画素を選択する(ステップ202)。選択された画素の、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を選択して置換基準値とし(ステップ204)、置換基準値に、選択された画素に対応する置換率マトリックスの要素を掛けて置換値とする(ステップ206)。Y,M,C色の各々の階調値を、ステップ206で演算した置換値だけ減らす(ステップ208)と共に、K色の階調値を置換値だけ増やす(ステップ210)。
【解決手段】第2の色変換処理が未だ行なわれていないブロックを選択し(ステップ200)、選択されたブロックに含まれる、第2の色変換処理が未だ行なわれていない画素を選択する(ステップ202)。選択された画素の、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を選択して置換基準値とし(ステップ204)、置換基準値に、選択された画素に対応する置換率マトリックスの要素を掛けて置換値とする(ステップ206)。Y,M,C色の各々の階調値を、ステップ206で演算した置換値だけ減らす(ステップ208)と共に、K色の階調値を置換値だけ増やす(ステップ210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像記録装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェット記録装置などの画像記録装置においては、液滴吐出の均一性やヘッド駆動機構、用紙搬送機構の精度には限界があり、記録紙面上へのドットの着弾状態にバラツキが生じてしまう。図13に示されるインクジェット記録装置400のように、インクジェットヘッド102を主走査方向へ移動させながら、n個のノズルN1〜Nnからインク滴を吐出させて画像を記録する場合、ノズルN2から吐出されたインクの着弾位置にズレが生じるとき、ノズルN2で形成される着弾列L0によって、バンディングと呼ばれる筋状の濃淡ムラ404,406が形成されてしまうという不都合があった。
【0003】
バンディングを軽減させるために、例えば特許文献1〜特許文献4の技術が提案されている。
【0004】
特許文献1には、プリンタにて印刷される印刷物におけるバンディングの生じやすさに関する印刷条件に応じて、有彩色インクと墨色インクとの使用割合を均一に変更する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2及び特許文献3には、濃度の異なる複数の墨色インクで無彩色を印刷することにより、バンディングの発生を防止する技術が開示されている。
【0006】
特許文献4には、特定のグリーン色をイエロー色とシアン色とで置換することにより、バンディングが目立つことを防ぐ技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−237115公報
【特許文献2】特開2003−296087公報
【特許文献3】特開2005−094528公報
【特許文献4】特開2006−088402公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像を記録する有彩色ドットと墨色ドットとを均一に置換する場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の画像処理装置は、混色したときに黒色になる複数の色の各々から黒色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値で表される色が変化しないように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値を変更する変更手段を含んでいる。
【0009】
請求項2の発明は請求項1に記載の画像処理装置において、前記複数の色の各々を表す各々の値を前記複数の色の各々の階調値とすると共に、前記黒色を表す値を黒色の階調値としたものである。
【0010】
請求項3の発明は請求項2に記載の画像処理装置において、前記変更手段は、混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求める第1の手段と、前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更する第2の手段とを含んでいる。
【0011】
請求項4の発明は請求項3に記載の画像処理装置において、前記第1の置換を行う画素及び前記第2の置換を行う画素を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めたものである。
【0012】
請求項5の発明は請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置において、前記第1の手段は、前記第1の置換を行う画素に対しては、前記複数の色の各々の階調値の最小値、又は当該最小値及び所定数以上の画素で大きさが異なるように定められた置換率に基づいて前記置換値を求め、前記第2の置換を行う画素に対しては、黒色の階調値、又は当該黒色の階調値及び前記置換率に基づいて前記置換値を求めるものである。
【0013】
請求項6の発明は請求項5に記載の画像処理装置において、前記置換率を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めたものである。
【0014】
請求項7の発明の画像記録装置は、前記請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置と、前記画像データに基づいて媒体に画像を記録する手段と、を備えている。
【0015】
請求項8の発明は請求項7に記載の画像記録装置において、前記第1の手段が、前記置換値を前記媒体の種類に応じて求めるようにしたものである。
【0016】
請求項9の発明は、コンピュータに、混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求めるステップと、前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、黒色の生成を均一に行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制できる、という効果が得られる。
【0018】
請求項2の発明によれば、黒色の階調値の変更を均一に行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制できる、という効果が得られる。
【0019】
請求項3及び請求項9の発明によれば、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を均一に行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制された画像データを得ることができる、という効果が得られる。
【0020】
請求項4の発明によれば、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルを用いない場合と比較して、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を容易に行なうことができる、という効果が得られる。
【0021】
請求項5の発明によれば、複数の色の各々の階調値のうちの最小値、当該最小値及び所定数以上の画素で異なるように定められた置換率、黒色の階調値、並びに当該黒色の階調値及び前記置換率の何れかに基づいて求められる置換値を用いずに置換を行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制された画像データを得ることができる、という効果が得られる。
【0022】
請求項6の発明によれば、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルを用いない場合と比較して、置換率を容易に定めることができる、という効果が得られる。
【0023】
請求項7の発明によれば、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を均一に行う場合と比較して、媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる、という効果が得られる。
【0024】
請求項8の発明によれば、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を媒体に応じて変更しない場合と比較して、媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、インクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10は、記録媒体Pにインク滴を吐出するインクジェットヘッドアレイ14を備えている。インクジェットヘッドアレイ14内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)の4色の各々に対応した4つの長尺型のインクジェット記録ヘッド12が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像の記録が可能になっている。このインクジェット記録ヘッド12は、有効な記録領域が記録媒体Pの幅(搬送方向に直交する方向の長さ)以上とされた長尺上で、所謂1パスで記録を行う構成となっている。なお、それぞれのインクジェット記録ヘッド12においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、所謂サーマル方式や圧電方式等、公知のものを適用できる。
【0027】
インクジェット記録装置10の最下部には、給紙トレイ16が挿抜可能に設けられいる。給紙トレイ16には、記録媒体Pが積載されており、最上位の記録媒体Pにはピックアップロール18が当接している。記録媒体Pは、ピックアップロール18によって1枚ずつ給紙トレイ16から搬送方向下流側へ給紙され、搬送経路に沿って順に配設された搬送ロール20,22によってインクジェットヘッドアレイ14の下方へ給紙される。
【0028】
インクジェットヘッドアレイ14の下方には、無端状の搬送ベルト24が配設されている。搬送ベルト24は、駆動ロール26及び接地された従動ロール28に張架されており、搬送ベルト24の平坦部分のインクジェットヘッドアレイ14に対向している領域が、インクジェットヘッドアレイ14からインク滴が吐出される吐出領域となっている。搬送経路を搬送された記録媒体Pは、搬送ベルト24で保持されて吐出領域に至り、インクジェットヘッドアレイ14に対向した状態で、インクジェットヘッドアレイ14から画像情報に応じたインク滴が付着され、一定の領域に画像が記録される。記録媒体Pは副走査方向に搬送されることにより次の領域に画像が記録され、このような動作が繰り返されることにより、記録媒体Pの全面にわたって画像の記録が行われる。
【0029】
記録媒体Pが搬送ベルト24に接触する位置の上流側には、直流電源を供給する直流電源装置30が接続された帯電ロール32が配置されている。帯電ロール32は、従動ロール28との間で搬送ベルト24を挟みつつ従動し、搬送ベルト24に接触する接触位置と、搬送ベルト24から離間した離間位置との間を移動可能とされている。接触位置では、接地された従動ロール28との間に所定の電位差が生じるため、搬送ベルト24に対して放電し、電荷を与えるようになっている。また、帯電ロール32より上流側には、搬送ベルト24に帯電された電荷を除電するための除電ロール34が設けられている。
【0030】
また、インクジェットヘッドアレイ14の下流側には、記録媒体Pの排出経路を構成する複数の排出ロール対36が設けられ、排出ロール対36で構成された排出経路の先には、排紙トレイ38が設けられている。
【0031】
また、図2に示されるように、インクジェット記録装置10には、CPU40,ROM42,RAM44等がバス46によって接続されたシステムコントローラ48が設けられている。さらに、インクジェット記録装置10には、操作パネル及びディスプレイを含み各種の入力操作やインクジェット記録装置10の動作状態の表示等が行われるユーザーインターフェース装置(U/I装置)50、並びにHDD52を含んで構成されている。U/I装置50、HDD52、及びインクジェットヘッドアレイ14、各種ロールを駆動する複数のモータ(図示省略)を含むプリントエンジン54は、システムコントローラ48のバス46に接続されており、システムコントローラ48によって、インクジェット記録装置10の全体が制御されている。例えば、インクジェット記録ヘッド12による画像情報に応じたインク滴の吐出のタイミングや使用するインク吐出口(ノズル)は、システムコントローラ48によって制御される。
【0032】
また、システムコントローラ48は、ネットワークインターフェース(図示省略)を介してパーソナルコンピュータ等にネットワーク接続可能になっている。
【0033】
次に、システムコントローラ48による画像処理の説明を行なう。
(第1の実施の形態)
図3のフローチャートは、システムコントローラ48で行われる画像処理ルーチンを示している。この画像処理ルーチンのプログラムは、システムコントローラ48のROM44に記憶されている。
【0034】
ステップ100では、記録する画像のオリジナルデータが入力される。オリジナルデータは、例えば、各画素のR,G,B色の各々の階調値を、0から255までの256階調で表されている。
【0035】
ステップ102では、解像度の変換、及び第1の色変換処理を行なう。この第1の色変換処理は、R,G,B色の各々で表される画像データをY,M,C色の各々で表される画像データに変換する処理である。
【0036】
ここで、Y,M,C色の各々の混色は、K色に置き換えることができる。以下、K色に置き換える計算をする際に、Y,M,C色の最小値に掛ける割合を置換率とよぶ。ステップ104では、後述する置換率マトリックスを用いて、各画素に対して、Y,M,C色の各々をK色に置き換える第2の色変換処理を行なう。
【0037】
ここで、置換率マトリックスは、予めシステムコントローラ48のROM44に記憶されていてもよいし、処理毎に作成されてもよい。
【0038】
置換率マトリックスの作成処理を、図4,5を用いて説明する。
【0039】
置換率マトリックスは、図4(A)に示されるような0〜15の異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列された閾値テーブルを用いて作成するとよい。ここではベイヤー型のディザマトリックスを例に挙げて説明する。置換率マトリックスは、閾値テーブルの各要素を、記録媒体Pの種類に応じて設定される閾値T1,T2,T3と比較して、比較結果に基づいて各要素に対応する位置の置換率を設定することにより作成される。
【0040】
置換率マトリックスは、図5に示される比較・設定処理を各要素に施すことによって作成する。まず、要素が閾値T2以上、かつ閾値T3以下か否かを判定して(ステップ150)、肯定された場合はR0未満の値の置換率を設定して(ステップ152)、否定された場合は要素が閾値T1以上か否かを判定する(ステップ154)。肯定された場合はR0を超える値の置換率を設定して(ステップ156)、否定された場合は置換率にR0を設定する(ステップ158)。
【0041】
例えば閾値T1を「9」、閾値T2を「10」、閾値T3を「11」に定めた場合、図4(A)に示される閾値テーブルの各要素は、図4(B)に示されるように分類される。なお、本実施の形態では3種類の閾値を用いる場合を説明したが、閾値は3種類に限らない。また、各閾値の値は上述の値に限らない。さらに、閾値との比較方法は図4,5を用いて説明した方法に限らない。
【0042】
例えばR0が「0.7」に定められている場合には、図4(C)に例示される置換率マトリックスを作成することができる。ここでR0は、インクジェット記録装置10の設計者により予め設定されているインクジェット記録装置10に最適な置換率である。なお、図4(C)に示される置換率マトリックスは、R0未満のランダムな値、又はR0を超えるランダムな値を置換率として設定したものであるが、設定する値は、R0未満の値、又はR0を超える値であれば固定値でもよい。
【0043】
置換率マトリックスは、記録媒体Pの種類に応じて異なったものを用意する。例えば、同じインク量であっても形成されるドットが相対的に大きくなる種類の記録媒体Pに対しては、高い置換率を設定した置換率マトリックスを用意するとよい。
【0044】
このように、所定数以上の要素の設定内容が異なる置換率マトリックスを作成する。この所定数は、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数に設定される。
【0045】
なお、閾値テーブルは、例えばブルーノイズマスク等を用いてもよい。また、閾値テーブルを用いることなく、ランダムに置換率を設定して置換率マトリックスを作成してもよい。
【0046】
次に、ステップ104で行われる処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
ステップ200では、第2の色変換処理が未だ行なわれていないブロックを選択する。ここで、図4(C)に示されているような4×4の置換率マトリックスを用いる場合は、4×4画素を1ブロックとし、全ての画素をブロックに分割する。
【0048】
ステップ202では、選択されたブロックに含まれる、第2の色変換処理が未だ行なわれていない画素を選択する。
【0049】
ステップ204では、選択された画素の、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を選択して置換基準値とする。
【0050】
ステップ206では、置換基準値に、選択された画素に対応する置換率マトリックスの要素を掛けて置換値とする。これにより、所定数以上の画素において値が異なるように置換値を求めることができる。ここで所定数とは、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数である。
【0051】
ステップ208では、Y,M,C色の各々の階調値を、ステップ206で演算した置換値だけ減らす。
【0052】
ステップ210では、K色の階調値を置換値だけ増やす。
【0053】
ステップ212では、選択されたブロックに含まれる全ての画素に第2の色変換処理を施したか否かを判定し、肯定された場合はステップ214へ移行し、否定された場合はステップ202へ移行する。
【0054】
ステップ214では、全てのブロックが選択済か否かを判定し、肯定された場合は第2の色変換処理は終了し、否定された場合はステップ200へ移行する。
【0055】
図7は、第2の色変換処理の概念図である。同図(A)は、第2の色変換処理前のブロックを示し、同図(B)は第2の色変換処理後のブロックを示している。
【0056】
例えば、画素P1の各色の階調値は、Y色が「156」、M色が「122」、C色が「52」である。まず、画素P1の各々の階調値のうちの最小の階調値(=52)を選択して置換基準値とし(ステップ204)、置換基準値(=52)に、選択された画素に対応する置換率マトリックスの要素E1(=0.7)を掛けて置換値(=36)とする(ステップ206)。次に、Y,M,C色の各々の階調値を、置換値だけ減らす(ステップ208)と共に、K色の階調値を置換値だけ増やす(ステップ210)。この処理により、Y色の階調値は「156」から「120」になり、M色の階調値は「122」から「86」になり、C色の階調値が「52」から「16」になり、K色の階調値が「0」から「36」になる。他の画素も同様に演算されている。
【0057】
次に、図3のステップ106へ移行する。ステップ106では、第2の色変換処理が施された画像データに対して量子化処理を施す。本実施の形態にかかるインクジェット記録装置10は、「ドット非形成(階調値は「0」)」、「小滴形成(階調値は「1」)」、「中滴形成(階調値は「2」)」、及び「大滴形成(階調値は「3」)」の4種類の階調を表現するものとする。なお、階調数は4種類に限るものではない。
【0058】
ステップ108では、量子化処理を施した画像データをさらにインクジェット記録装置10で処理可能なデータ形式に変換する。
【0059】
ステップ110では、上記の画像処理が施された画像データをプリントエンジン54に転送する。
【0060】
プリントエンジン54は、ステップ110で転送された画像データに基づいて記録媒体Pに画像を記録する。
【0061】
このように、本第1の実施の形態では、2次元的に不均一になるように定められた置換率によって、画素毎にY,M,C色の各々の階調値をK色の階調値に置換する。これにより、記録媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、Y,M,C色の各々の階調値を予め定められた置換率に基づいてK色の階調値に置き換える場合を説明したが、K色の階調値を予め定められた置換率に基づいてY,M,C色の各々の階調値に置き換える形態を実施してもよい。
【0063】
また、上記では、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値に、予め定められた置換率を掛けて置換値を求める場合について説明したが、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を、予め定められた置換率で割って置換値を求めてもよい。
(第2の実施の形態)
図8のフローチャートは、システムコントローラ48で行われる画像処理ルーチンを示している。この画像処理ルーチンのプログラムは、システムコントローラ48のROM44に記憶されている。
【0064】
ステップ250では、記録する画像のオリジナルデータが入力される。オリジナルデータは、例えば、各画素のR,G,B色の各々の階調値を、0から255までの256階調で表されている。
【0065】
ステップ252では、画像データの解像度の変換処理、及びR,G,B色の各々で表される画像データをY,M,C色の各々で表される画像データに変換する処理を行なう。
【0066】
ステップ254では、全ての画素に対して置換率「0.7」を適用して、画像データにY,M,C色の各々を混色をK色に置き換える置換処理を施す。
【0067】
ステップ256では、画像データに量子化処理を施す。本実施の形態にかかるインクジェット記録装置10は、「ドット非形成(階調値は「0」)」、「小滴形成(階調値は「1」)」、「中滴形成(階調値は「2」)」、及び「大滴形成(階調値は「3」)」の4種類の階調を表現するものとする。なお、階調数は4種類に限るものではない。
【0068】
ステップ258では、置換マトリックスを用いて各画素の階調値の変更処理を行なう。
【0069】
ここで、置換マトリックスは、予めシステムコントローラ48のROM44に記憶されていてもよいし、処理毎に作成されてもよい。
【0070】
置換マトリックスの作成処理を、図9,10を用いて説明する。
【0071】
置換マトリックスは、図9(A)に示されるような0〜15の異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列された閾値テーブルを用いて作成するとよい。置換マトリックスは、閾値テーブルの各要素を、記録媒体Pの種類に応じて設定される閾値T1,T2,T3と比較して、比較結果に基づいて各要素に対応する位置の置換内容を設定することにより作成される。
【0072】
置換マトリックスの作成は、図10に示される比較・設定処理を各要素に施すことで行なう。まず、要素が閾値T2以上、かつ閾値T3以下か否かを判定して(ステップ300)、肯定された場合はY,M,C色の各々のドットがK色のドットに置換される第1の置換を行なう位置に設定して(ステップ302)、否定された場合は要素が閾値T1以上か否かを判定する(ステップ304)。肯定された場合はのK色のドットがY,M,C色の各々のドットに置換される第2の置換を行なう位置に設定して(ステップ306)、否定された場合は置換を行わない位置に設定する(ステップ308)。なお、置換を行なわない位置に設定された位置は、置換値が「0」に設定された位置と考えてもよい。
【0073】
例えば閾値T1を「9」、閾値T2を「10」、閾値T3を「11」に定めた場合、図9(A)に示される閾値テーブルの各要素は、図9(B)に示されるように分類され、図9(C)に例示される置換マトリックスを作成することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では3種類の閾値を用いる場合を説明したが、閾値は3種類に限らない。また、各閾値の値は上述の値に限らない。さらに、閾値との比較方法は図10を用いて説明した方法に限らない。
【0075】
この置換マトリックスは、記録媒体Pの種類に応じて異なったものを用意する。例えば、同じインク量であっても形成されるドットが相対的に大きくなる記録媒体Pに対しては、第2の置換を行なう位置が多く設定された置換マトリックスを用意するとよい。
【0076】
このように、所定数以上の要素の設定内容が異なる置換マトリックスを作成する。この所定数は、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数に設定される。
【0077】
なお、閾値テーブルは、例えばブルーノイズマスク等を用いてもよい。また、閾値テーブルを用いることなく、ランダムに置換画素を設定して置換マトリックスを作成してもよい。
【0078】
次に、ステップ258で行われる処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
ステップ350では、変更処理が未だ行なわれていないブロックを選択する。ここで、図9(C)に示されているような4×4の置換マトリックスを用いる場合は、4×4画素を1ブロックとし、全ての画素をブロックに分割する。
【0080】
ステップ352では、選択されたブロックに含まれる、変更処理が未だ行なわれていない画素を選択する。
【0081】
ステップ354では、選択された画素に対応する置換マトリックスの要素の設定内容を判定する。第1の置換を行なう位置を示している場合はステップ356へ移行し、第2の置換を行なう位置を示している場合はステップ362へ移行し、置換を行わない位置を示している場合はステップ366へ移行する。
【0082】
ステップ356では、選択された画素の、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を選択して置換値とする。
【0083】
ステップ358では、Y,M,C色の各々の階調値を、ステップ356で選択した置換値だけ減らす。
【0084】
ステップ360では、K色の階調値を置換値だけ増やす。
【0085】
ステップ362では、K色の階調値を置換値とする。
【0086】
ステップ364では、K色の階調値を置換値だけ減らしてゼロにする。
【0087】
ステップ366では、Y,M,C色の各々の階調値を、K色の階調値だけ増やす。
【0088】
ステップ368では、選択されたブロックに含まれる全ての画素に変更処理を施したか否かを判定し、肯定された場合はステップ368へ移行し、否定された場合はステップ352へ移行する。
【0089】
ステップ368では、全てのブロックが選択済か否かを判定し、肯定された場合はステップ258の処理は終了し、否定された場合はステップ350へ移行する。
【0090】
上記ステップ356又は,362の処理により、所定数以上の画素において値が異なるように置換値を求めることができる。ここで、所定数とは、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数である。
【0091】
図12は、ステップ258の処理の概念図である。同図(A)は、ステップ258の処理前のブロックを示し、同図(B)はステップ258の処理後のブロックを示している。
【0092】
例えば、画素P2の各色の階調値は、Y色が「1」、M色が「1」、C色が「1」、K色が「0」であるり、対応する置換マトリックスの要素は、Y,M,C色のドットがK色のドットに置換される画素であることを示している。まず、画素P2のY,M,C色の階調値のうちの最小の階調値(=1)を選択して置換値とする(ステップ354)。次に、Y,M,C色の各々の階調値を、置換値だけ減らす(ステップ356)と共に、K色の階調値を置換値だけ増やす(ステップ358)。この処理により、Y色の階調値は「1」から「0」になり、M色の階調値は「1」から「0」になり、C色の階調値が「1」から「0」になり、K色の階調値が「0」から「1」になる。また、画素P3の各色の階調値は、Y色が「1」、M色が「2」、C色が「1」、K色が「1」であり、対応する置換マトリックスの要素は、K色のドットがY,M,C色のドットに置換される画素であることを示している。まず、画素P3のK色の階調値(=1)を選択して置換値とする(ステップ354)。次に、画素P3のK色の階調値を置換値だけ減らす(ステップ364)と共に、Y,M,C色の各々の階調値を、置換値だけ増やす(ステップ366)。この処理により、Y色の階調値は「1」から「2」になり、M色の階調値は「2」から「3」になり、C色の階調値が「1」から「2」になり、K色の階調値が「1」から「0」になる。他の画素も同様に演算されている。
【0093】
また、図12(A)に基づいて形成されるドットのイメージを同図(C)に示し、図12(B)に基づいて形成されるドットのイメージを同図(D)に示している。
【0094】
次に、図8のステップ260へ移行する。ステップ260では、量子化処理を施した画像データをさらにインクジェット記録装置10で処理可能なデータ形式に変換する。
【0095】
ステップ262では、上記の画像処理が施された画像データをプリントエンジン54に転送する。
【0096】
プリントエンジン54は、ステップ262で転送された画像データに基づいて記録媒体Pに画像を記録する。
【0097】
このように、本第2の実施の形態では、Y,M,C色のドットのK色のドットへの置換、及びK色のドットのY,M,C色のドットへの置換を、行方向及び列方向に同じ置換が連続しないように行う。これにより、記録媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる。
【0098】
なお、上記の実施の形態では、画素の色が変化しないように、Y,M,C,K色の各々の階調値を加減算することにより、Y,M,C,K色の各々の階調値を変更して、各画素の混色したときにK色になるY,M,C色の各々からK色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるようにしたが、Y,M,C,K色の各々の階調値の変更の方法は加法及び減法に限らず、画素の色が変化しない方法であれば、乗法又は除法であってもよい。また、Y,M,C,K色の各々の階調値を変更することにより、各画素の混色したときにK色になるY,M,C色の各々からK色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるようにしたが、階調値に限らず、画素の色が変化しないように、Y,M,C,K色の各々を表す値を変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図3】第1実施の形態に係る画像処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図4】(A)は閾値テーブルを示し、(B)は分類されたの閾値テーブルを示し、(C)は置換率マトリックスの一例を示す。
【図5】置換率マトリックス作成のルーチンを示すフローチャートである。
【図6】第2の色変換処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図7】第2の色変換処理の概念図である。
【図8】第2実施の形態に係る画像処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図9】(A)は閾値テーブルを示し、(B)は分類された閾値テーブルを示し、(C)は置換マトリックスの一例を示す。
【図10】置換マトリックス作成のルーチンを示すフローチャートである。
【図11】階調値の置換処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図12】階調値の置換処理の概念図であり、(A)に基づいて形成されるドットのイメージを(C)に示し、(B)に基づいて形成されるドットのイメージを(D)に示している。
【図13】従来のインクジェット記録装置において形成されるバンディングを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10 インクジェット記録装置
12 インクジェット記録ヘッド
14 インクジェットヘッドアレイ
40 CPU
42 ROM
44 RAM
46 バス
48 システムコントローラ
54 プリントエンジン
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像記録装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、インクジェット記録装置などの画像記録装置においては、液滴吐出の均一性やヘッド駆動機構、用紙搬送機構の精度には限界があり、記録紙面上へのドットの着弾状態にバラツキが生じてしまう。図13に示されるインクジェット記録装置400のように、インクジェットヘッド102を主走査方向へ移動させながら、n個のノズルN1〜Nnからインク滴を吐出させて画像を記録する場合、ノズルN2から吐出されたインクの着弾位置にズレが生じるとき、ノズルN2で形成される着弾列L0によって、バンディングと呼ばれる筋状の濃淡ムラ404,406が形成されてしまうという不都合があった。
【0003】
バンディングを軽減させるために、例えば特許文献1〜特許文献4の技術が提案されている。
【0004】
特許文献1には、プリンタにて印刷される印刷物におけるバンディングの生じやすさに関する印刷条件に応じて、有彩色インクと墨色インクとの使用割合を均一に変更する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2及び特許文献3には、濃度の異なる複数の墨色インクで無彩色を印刷することにより、バンディングの発生を防止する技術が開示されている。
【0006】
特許文献4には、特定のグリーン色をイエロー色とシアン色とで置換することにより、バンディングが目立つことを防ぐ技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−237115公報
【特許文献2】特開2003−296087公報
【特許文献3】特開2005−094528公報
【特許文献4】特開2006−088402公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像を記録する有彩色ドットと墨色ドットとを均一に置換する場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の画像処理装置は、混色したときに黒色になる複数の色の各々から黒色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値で表される色が変化しないように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値を変更する変更手段を含んでいる。
【0009】
請求項2の発明は請求項1に記載の画像処理装置において、前記複数の色の各々を表す各々の値を前記複数の色の各々の階調値とすると共に、前記黒色を表す値を黒色の階調値としたものである。
【0010】
請求項3の発明は請求項2に記載の画像処理装置において、前記変更手段は、混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求める第1の手段と、前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更する第2の手段とを含んでいる。
【0011】
請求項4の発明は請求項3に記載の画像処理装置において、前記第1の置換を行う画素及び前記第2の置換を行う画素を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めたものである。
【0012】
請求項5の発明は請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置において、前記第1の手段は、前記第1の置換を行う画素に対しては、前記複数の色の各々の階調値の最小値、又は当該最小値及び所定数以上の画素で大きさが異なるように定められた置換率に基づいて前記置換値を求め、前記第2の置換を行う画素に対しては、黒色の階調値、又は当該黒色の階調値及び前記置換率に基づいて前記置換値を求めるものである。
【0013】
請求項6の発明は請求項5に記載の画像処理装置において、前記置換率を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めたものである。
【0014】
請求項7の発明の画像記録装置は、前記請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置と、前記画像データに基づいて媒体に画像を記録する手段と、を備えている。
【0015】
請求項8の発明は請求項7に記載の画像記録装置において、前記第1の手段が、前記置換値を前記媒体の種類に応じて求めるようにしたものである。
【0016】
請求項9の発明は、コンピュータに、混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求めるステップと、前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、黒色の生成を均一に行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制できる、という効果が得られる。
【0018】
請求項2の発明によれば、黒色の階調値の変更を均一に行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制できる、という効果が得られる。
【0019】
請求項3及び請求項9の発明によれば、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を均一に行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制された画像データを得ることができる、という効果が得られる。
【0020】
請求項4の発明によれば、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルを用いない場合と比較して、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を容易に行なうことができる、という効果が得られる。
【0021】
請求項5の発明によれば、複数の色の各々の階調値のうちの最小値、当該最小値及び所定数以上の画素で異なるように定められた置換率、黒色の階調値、並びに当該黒色の階調値及び前記置換率の何れかに基づいて求められる置換値を用いずに置換を行う場合と比較して、画像に発生する筋状の濃淡ムラが抑制された画像データを得ることができる、という効果が得られる。
【0022】
請求項6の発明によれば、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルを用いない場合と比較して、置換率を容易に定めることができる、という効果が得られる。
【0023】
請求項7の発明によれば、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を均一に行う場合と比較して、媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる、という効果が得られる。
【0024】
請求項8の発明によれば、混色したときに黒色になる複数の色の各々と黒色との置換を媒体に応じて変更しない場合と比較して、媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、インクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10は、記録媒体Pにインク滴を吐出するインクジェットヘッドアレイ14を備えている。インクジェットヘッドアレイ14内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、および黒(K)の4色の各々に対応した4つの長尺型のインクジェット記録ヘッド12が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像の記録が可能になっている。このインクジェット記録ヘッド12は、有効な記録領域が記録媒体Pの幅(搬送方向に直交する方向の長さ)以上とされた長尺上で、所謂1パスで記録を行う構成となっている。なお、それぞれのインクジェット記録ヘッド12においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、所謂サーマル方式や圧電方式等、公知のものを適用できる。
【0027】
インクジェット記録装置10の最下部には、給紙トレイ16が挿抜可能に設けられいる。給紙トレイ16には、記録媒体Pが積載されており、最上位の記録媒体Pにはピックアップロール18が当接している。記録媒体Pは、ピックアップロール18によって1枚ずつ給紙トレイ16から搬送方向下流側へ給紙され、搬送経路に沿って順に配設された搬送ロール20,22によってインクジェットヘッドアレイ14の下方へ給紙される。
【0028】
インクジェットヘッドアレイ14の下方には、無端状の搬送ベルト24が配設されている。搬送ベルト24は、駆動ロール26及び接地された従動ロール28に張架されており、搬送ベルト24の平坦部分のインクジェットヘッドアレイ14に対向している領域が、インクジェットヘッドアレイ14からインク滴が吐出される吐出領域となっている。搬送経路を搬送された記録媒体Pは、搬送ベルト24で保持されて吐出領域に至り、インクジェットヘッドアレイ14に対向した状態で、インクジェットヘッドアレイ14から画像情報に応じたインク滴が付着され、一定の領域に画像が記録される。記録媒体Pは副走査方向に搬送されることにより次の領域に画像が記録され、このような動作が繰り返されることにより、記録媒体Pの全面にわたって画像の記録が行われる。
【0029】
記録媒体Pが搬送ベルト24に接触する位置の上流側には、直流電源を供給する直流電源装置30が接続された帯電ロール32が配置されている。帯電ロール32は、従動ロール28との間で搬送ベルト24を挟みつつ従動し、搬送ベルト24に接触する接触位置と、搬送ベルト24から離間した離間位置との間を移動可能とされている。接触位置では、接地された従動ロール28との間に所定の電位差が生じるため、搬送ベルト24に対して放電し、電荷を与えるようになっている。また、帯電ロール32より上流側には、搬送ベルト24に帯電された電荷を除電するための除電ロール34が設けられている。
【0030】
また、インクジェットヘッドアレイ14の下流側には、記録媒体Pの排出経路を構成する複数の排出ロール対36が設けられ、排出ロール対36で構成された排出経路の先には、排紙トレイ38が設けられている。
【0031】
また、図2に示されるように、インクジェット記録装置10には、CPU40,ROM42,RAM44等がバス46によって接続されたシステムコントローラ48が設けられている。さらに、インクジェット記録装置10には、操作パネル及びディスプレイを含み各種の入力操作やインクジェット記録装置10の動作状態の表示等が行われるユーザーインターフェース装置(U/I装置)50、並びにHDD52を含んで構成されている。U/I装置50、HDD52、及びインクジェットヘッドアレイ14、各種ロールを駆動する複数のモータ(図示省略)を含むプリントエンジン54は、システムコントローラ48のバス46に接続されており、システムコントローラ48によって、インクジェット記録装置10の全体が制御されている。例えば、インクジェット記録ヘッド12による画像情報に応じたインク滴の吐出のタイミングや使用するインク吐出口(ノズル)は、システムコントローラ48によって制御される。
【0032】
また、システムコントローラ48は、ネットワークインターフェース(図示省略)を介してパーソナルコンピュータ等にネットワーク接続可能になっている。
【0033】
次に、システムコントローラ48による画像処理の説明を行なう。
(第1の実施の形態)
図3のフローチャートは、システムコントローラ48で行われる画像処理ルーチンを示している。この画像処理ルーチンのプログラムは、システムコントローラ48のROM44に記憶されている。
【0034】
ステップ100では、記録する画像のオリジナルデータが入力される。オリジナルデータは、例えば、各画素のR,G,B色の各々の階調値を、0から255までの256階調で表されている。
【0035】
ステップ102では、解像度の変換、及び第1の色変換処理を行なう。この第1の色変換処理は、R,G,B色の各々で表される画像データをY,M,C色の各々で表される画像データに変換する処理である。
【0036】
ここで、Y,M,C色の各々の混色は、K色に置き換えることができる。以下、K色に置き換える計算をする際に、Y,M,C色の最小値に掛ける割合を置換率とよぶ。ステップ104では、後述する置換率マトリックスを用いて、各画素に対して、Y,M,C色の各々をK色に置き換える第2の色変換処理を行なう。
【0037】
ここで、置換率マトリックスは、予めシステムコントローラ48のROM44に記憶されていてもよいし、処理毎に作成されてもよい。
【0038】
置換率マトリックスの作成処理を、図4,5を用いて説明する。
【0039】
置換率マトリックスは、図4(A)に示されるような0〜15の異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列された閾値テーブルを用いて作成するとよい。ここではベイヤー型のディザマトリックスを例に挙げて説明する。置換率マトリックスは、閾値テーブルの各要素を、記録媒体Pの種類に応じて設定される閾値T1,T2,T3と比較して、比較結果に基づいて各要素に対応する位置の置換率を設定することにより作成される。
【0040】
置換率マトリックスは、図5に示される比較・設定処理を各要素に施すことによって作成する。まず、要素が閾値T2以上、かつ閾値T3以下か否かを判定して(ステップ150)、肯定された場合はR0未満の値の置換率を設定して(ステップ152)、否定された場合は要素が閾値T1以上か否かを判定する(ステップ154)。肯定された場合はR0を超える値の置換率を設定して(ステップ156)、否定された場合は置換率にR0を設定する(ステップ158)。
【0041】
例えば閾値T1を「9」、閾値T2を「10」、閾値T3を「11」に定めた場合、図4(A)に示される閾値テーブルの各要素は、図4(B)に示されるように分類される。なお、本実施の形態では3種類の閾値を用いる場合を説明したが、閾値は3種類に限らない。また、各閾値の値は上述の値に限らない。さらに、閾値との比較方法は図4,5を用いて説明した方法に限らない。
【0042】
例えばR0が「0.7」に定められている場合には、図4(C)に例示される置換率マトリックスを作成することができる。ここでR0は、インクジェット記録装置10の設計者により予め設定されているインクジェット記録装置10に最適な置換率である。なお、図4(C)に示される置換率マトリックスは、R0未満のランダムな値、又はR0を超えるランダムな値を置換率として設定したものであるが、設定する値は、R0未満の値、又はR0を超える値であれば固定値でもよい。
【0043】
置換率マトリックスは、記録媒体Pの種類に応じて異なったものを用意する。例えば、同じインク量であっても形成されるドットが相対的に大きくなる種類の記録媒体Pに対しては、高い置換率を設定した置換率マトリックスを用意するとよい。
【0044】
このように、所定数以上の要素の設定内容が異なる置換率マトリックスを作成する。この所定数は、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数に設定される。
【0045】
なお、閾値テーブルは、例えばブルーノイズマスク等を用いてもよい。また、閾値テーブルを用いることなく、ランダムに置換率を設定して置換率マトリックスを作成してもよい。
【0046】
次に、ステップ104で行われる処理について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
ステップ200では、第2の色変換処理が未だ行なわれていないブロックを選択する。ここで、図4(C)に示されているような4×4の置換率マトリックスを用いる場合は、4×4画素を1ブロックとし、全ての画素をブロックに分割する。
【0048】
ステップ202では、選択されたブロックに含まれる、第2の色変換処理が未だ行なわれていない画素を選択する。
【0049】
ステップ204では、選択された画素の、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を選択して置換基準値とする。
【0050】
ステップ206では、置換基準値に、選択された画素に対応する置換率マトリックスの要素を掛けて置換値とする。これにより、所定数以上の画素において値が異なるように置換値を求めることができる。ここで所定数とは、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数である。
【0051】
ステップ208では、Y,M,C色の各々の階調値を、ステップ206で演算した置換値だけ減らす。
【0052】
ステップ210では、K色の階調値を置換値だけ増やす。
【0053】
ステップ212では、選択されたブロックに含まれる全ての画素に第2の色変換処理を施したか否かを判定し、肯定された場合はステップ214へ移行し、否定された場合はステップ202へ移行する。
【0054】
ステップ214では、全てのブロックが選択済か否かを判定し、肯定された場合は第2の色変換処理は終了し、否定された場合はステップ200へ移行する。
【0055】
図7は、第2の色変換処理の概念図である。同図(A)は、第2の色変換処理前のブロックを示し、同図(B)は第2の色変換処理後のブロックを示している。
【0056】
例えば、画素P1の各色の階調値は、Y色が「156」、M色が「122」、C色が「52」である。まず、画素P1の各々の階調値のうちの最小の階調値(=52)を選択して置換基準値とし(ステップ204)、置換基準値(=52)に、選択された画素に対応する置換率マトリックスの要素E1(=0.7)を掛けて置換値(=36)とする(ステップ206)。次に、Y,M,C色の各々の階調値を、置換値だけ減らす(ステップ208)と共に、K色の階調値を置換値だけ増やす(ステップ210)。この処理により、Y色の階調値は「156」から「120」になり、M色の階調値は「122」から「86」になり、C色の階調値が「52」から「16」になり、K色の階調値が「0」から「36」になる。他の画素も同様に演算されている。
【0057】
次に、図3のステップ106へ移行する。ステップ106では、第2の色変換処理が施された画像データに対して量子化処理を施す。本実施の形態にかかるインクジェット記録装置10は、「ドット非形成(階調値は「0」)」、「小滴形成(階調値は「1」)」、「中滴形成(階調値は「2」)」、及び「大滴形成(階調値は「3」)」の4種類の階調を表現するものとする。なお、階調数は4種類に限るものではない。
【0058】
ステップ108では、量子化処理を施した画像データをさらにインクジェット記録装置10で処理可能なデータ形式に変換する。
【0059】
ステップ110では、上記の画像処理が施された画像データをプリントエンジン54に転送する。
【0060】
プリントエンジン54は、ステップ110で転送された画像データに基づいて記録媒体Pに画像を記録する。
【0061】
このように、本第1の実施の形態では、2次元的に不均一になるように定められた置換率によって、画素毎にY,M,C色の各々の階調値をK色の階調値に置換する。これにより、記録媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、Y,M,C色の各々の階調値を予め定められた置換率に基づいてK色の階調値に置き換える場合を説明したが、K色の階調値を予め定められた置換率に基づいてY,M,C色の各々の階調値に置き換える形態を実施してもよい。
【0063】
また、上記では、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値に、予め定められた置換率を掛けて置換値を求める場合について説明したが、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を、予め定められた置換率で割って置換値を求めてもよい。
(第2の実施の形態)
図8のフローチャートは、システムコントローラ48で行われる画像処理ルーチンを示している。この画像処理ルーチンのプログラムは、システムコントローラ48のROM44に記憶されている。
【0064】
ステップ250では、記録する画像のオリジナルデータが入力される。オリジナルデータは、例えば、各画素のR,G,B色の各々の階調値を、0から255までの256階調で表されている。
【0065】
ステップ252では、画像データの解像度の変換処理、及びR,G,B色の各々で表される画像データをY,M,C色の各々で表される画像データに変換する処理を行なう。
【0066】
ステップ254では、全ての画素に対して置換率「0.7」を適用して、画像データにY,M,C色の各々を混色をK色に置き換える置換処理を施す。
【0067】
ステップ256では、画像データに量子化処理を施す。本実施の形態にかかるインクジェット記録装置10は、「ドット非形成(階調値は「0」)」、「小滴形成(階調値は「1」)」、「中滴形成(階調値は「2」)」、及び「大滴形成(階調値は「3」)」の4種類の階調を表現するものとする。なお、階調数は4種類に限るものではない。
【0068】
ステップ258では、置換マトリックスを用いて各画素の階調値の変更処理を行なう。
【0069】
ここで、置換マトリックスは、予めシステムコントローラ48のROM44に記憶されていてもよいし、処理毎に作成されてもよい。
【0070】
置換マトリックスの作成処理を、図9,10を用いて説明する。
【0071】
置換マトリックスは、図9(A)に示されるような0〜15の異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列された閾値テーブルを用いて作成するとよい。置換マトリックスは、閾値テーブルの各要素を、記録媒体Pの種類に応じて設定される閾値T1,T2,T3と比較して、比較結果に基づいて各要素に対応する位置の置換内容を設定することにより作成される。
【0072】
置換マトリックスの作成は、図10に示される比較・設定処理を各要素に施すことで行なう。まず、要素が閾値T2以上、かつ閾値T3以下か否かを判定して(ステップ300)、肯定された場合はY,M,C色の各々のドットがK色のドットに置換される第1の置換を行なう位置に設定して(ステップ302)、否定された場合は要素が閾値T1以上か否かを判定する(ステップ304)。肯定された場合はのK色のドットがY,M,C色の各々のドットに置換される第2の置換を行なう位置に設定して(ステップ306)、否定された場合は置換を行わない位置に設定する(ステップ308)。なお、置換を行なわない位置に設定された位置は、置換値が「0」に設定された位置と考えてもよい。
【0073】
例えば閾値T1を「9」、閾値T2を「10」、閾値T3を「11」に定めた場合、図9(A)に示される閾値テーブルの各要素は、図9(B)に示されるように分類され、図9(C)に例示される置換マトリックスを作成することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では3種類の閾値を用いる場合を説明したが、閾値は3種類に限らない。また、各閾値の値は上述の値に限らない。さらに、閾値との比較方法は図10を用いて説明した方法に限らない。
【0075】
この置換マトリックスは、記録媒体Pの種類に応じて異なったものを用意する。例えば、同じインク量であっても形成されるドットが相対的に大きくなる記録媒体Pに対しては、第2の置換を行なう位置が多く設定された置換マトリックスを用意するとよい。
【0076】
このように、所定数以上の要素の設定内容が異なる置換マトリックスを作成する。この所定数は、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数に設定される。
【0077】
なお、閾値テーブルは、例えばブルーノイズマスク等を用いてもよい。また、閾値テーブルを用いることなく、ランダムに置換画素を設定して置換マトリックスを作成してもよい。
【0078】
次に、ステップ258で行われる処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。
【0079】
ステップ350では、変更処理が未だ行なわれていないブロックを選択する。ここで、図9(C)に示されているような4×4の置換マトリックスを用いる場合は、4×4画素を1ブロックとし、全ての画素をブロックに分割する。
【0080】
ステップ352では、選択されたブロックに含まれる、変更処理が未だ行なわれていない画素を選択する。
【0081】
ステップ354では、選択された画素に対応する置換マトリックスの要素の設定内容を判定する。第1の置換を行なう位置を示している場合はステップ356へ移行し、第2の置換を行なう位置を示している場合はステップ362へ移行し、置換を行わない位置を示している場合はステップ366へ移行する。
【0082】
ステップ356では、選択された画素の、Y,M,C色の各々の階調値のうちの最小の階調値を選択して置換値とする。
【0083】
ステップ358では、Y,M,C色の各々の階調値を、ステップ356で選択した置換値だけ減らす。
【0084】
ステップ360では、K色の階調値を置換値だけ増やす。
【0085】
ステップ362では、K色の階調値を置換値とする。
【0086】
ステップ364では、K色の階調値を置換値だけ減らしてゼロにする。
【0087】
ステップ366では、Y,M,C色の各々の階調値を、K色の階調値だけ増やす。
【0088】
ステップ368では、選択されたブロックに含まれる全ての画素に変更処理を施したか否かを判定し、肯定された場合はステップ368へ移行し、否定された場合はステップ352へ移行する。
【0089】
ステップ368では、全てのブロックが選択済か否かを判定し、肯定された場合はステップ258の処理は終了し、否定された場合はステップ350へ移行する。
【0090】
上記ステップ356又は,362の処理により、所定数以上の画素において値が異なるように置換値を求めることができる。ここで、所定数とは、記録される画像に目視可能な濃淡ムラが発生しない数である。
【0091】
図12は、ステップ258の処理の概念図である。同図(A)は、ステップ258の処理前のブロックを示し、同図(B)はステップ258の処理後のブロックを示している。
【0092】
例えば、画素P2の各色の階調値は、Y色が「1」、M色が「1」、C色が「1」、K色が「0」であるり、対応する置換マトリックスの要素は、Y,M,C色のドットがK色のドットに置換される画素であることを示している。まず、画素P2のY,M,C色の階調値のうちの最小の階調値(=1)を選択して置換値とする(ステップ354)。次に、Y,M,C色の各々の階調値を、置換値だけ減らす(ステップ356)と共に、K色の階調値を置換値だけ増やす(ステップ358)。この処理により、Y色の階調値は「1」から「0」になり、M色の階調値は「1」から「0」になり、C色の階調値が「1」から「0」になり、K色の階調値が「0」から「1」になる。また、画素P3の各色の階調値は、Y色が「1」、M色が「2」、C色が「1」、K色が「1」であり、対応する置換マトリックスの要素は、K色のドットがY,M,C色のドットに置換される画素であることを示している。まず、画素P3のK色の階調値(=1)を選択して置換値とする(ステップ354)。次に、画素P3のK色の階調値を置換値だけ減らす(ステップ364)と共に、Y,M,C色の各々の階調値を、置換値だけ増やす(ステップ366)。この処理により、Y色の階調値は「1」から「2」になり、M色の階調値は「2」から「3」になり、C色の階調値が「1」から「2」になり、K色の階調値が「1」から「0」になる。他の画素も同様に演算されている。
【0093】
また、図12(A)に基づいて形成されるドットのイメージを同図(C)に示し、図12(B)に基づいて形成されるドットのイメージを同図(D)に示している。
【0094】
次に、図8のステップ260へ移行する。ステップ260では、量子化処理を施した画像データをさらにインクジェット記録装置10で処理可能なデータ形式に変換する。
【0095】
ステップ262では、上記の画像処理が施された画像データをプリントエンジン54に転送する。
【0096】
プリントエンジン54は、ステップ262で転送された画像データに基づいて記録媒体Pに画像を記録する。
【0097】
このように、本第2の実施の形態では、Y,M,C色のドットのK色のドットへの置換、及びK色のドットのY,M,C色のドットへの置換を、行方向及び列方向に同じ置換が連続しないように行う。これにより、記録媒体に記録される画像に発生する筋状の濃淡ムラを抑制することができる。
【0098】
なお、上記の実施の形態では、画素の色が変化しないように、Y,M,C,K色の各々の階調値を加減算することにより、Y,M,C,K色の各々の階調値を変更して、各画素の混色したときにK色になるY,M,C色の各々からK色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるようにしたが、Y,M,C,K色の各々の階調値の変更の方法は加法及び減法に限らず、画素の色が変化しない方法であれば、乗法又は除法であってもよい。また、Y,M,C,K色の各々の階調値を変更することにより、各画素の混色したときにK色になるY,M,C色の各々からK色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるようにしたが、階調値に限らず、画素の色が変化しないように、Y,M,C,K色の各々を表す値を変更すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図3】第1実施の形態に係る画像処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図4】(A)は閾値テーブルを示し、(B)は分類されたの閾値テーブルを示し、(C)は置換率マトリックスの一例を示す。
【図5】置換率マトリックス作成のルーチンを示すフローチャートである。
【図6】第2の色変換処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図7】第2の色変換処理の概念図である。
【図8】第2実施の形態に係る画像処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図9】(A)は閾値テーブルを示し、(B)は分類された閾値テーブルを示し、(C)は置換マトリックスの一例を示す。
【図10】置換マトリックス作成のルーチンを示すフローチャートである。
【図11】階調値の置換処理のルーチンを示すフローチャートである。
【図12】階調値の置換処理の概念図であり、(A)に基づいて形成されるドットのイメージを(C)に示し、(B)に基づいて形成されるドットのイメージを(D)に示している。
【図13】従来のインクジェット記録装置において形成されるバンディングを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10 インクジェット記録装置
12 インクジェット記録ヘッド
14 インクジェットヘッドアレイ
40 CPU
42 ROM
44 RAM
46 バス
48 システムコントローラ
54 プリントエンジン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混色したときに黒色になる複数の色の各々から黒色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値で表される色が変化しないように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値を変更する変更手段を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の色の各々を表す各々の値を前記複数の色の各々の階調値とすると共に、前記黒色を表す値を黒色の階調値とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変更手段は、混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求める第1の手段と、前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更する第2の手段とを含む請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の置換を行う画素及び前記第2の置換を行う画素を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めた請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の手段は、前記第1の置換を行う画素に対しては、前記複数の色の各々の階調値の最小値、又は当該最小値及び所定数以上の画素で大きさが異なるように定められた置換率に基づいて前記置換値を求め、前記第2の置換を行う画素に対しては、黒色の階調値、又は当該黒色の階調値及び前記置換率に基づいて前記置換値を求める請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記置換率を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めた請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像データに基づいて媒体に画像を記録する手段と、
を備えた画像記録装置。
【請求項8】
前記第1の手段が、前記置換値を前記媒体の種類に応じて求めるようにした請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
コンピュータに、
混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求めるステップと、
前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
混色したときに黒色になる複数の色の各々から黒色を生成する比率を表す墨生成率がランダムに異なるように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値で表される色が変化しないように、前記複数の色の各々を表す各々の値及び黒色を表す値を変更する変更手段を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の色の各々を表す各々の値を前記複数の色の各々の階調値とすると共に、前記黒色を表す値を黒色の階調値とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変更手段は、混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求める第1の手段と、前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更する第2の手段とを含む請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の置換を行う画素及び前記第2の置換を行う画素を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めた請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の手段は、前記第1の置換を行う画素に対しては、前記複数の色の各々の階調値の最小値、又は当該最小値及び所定数以上の画素で大きさが異なるように定められた置換率に基づいて前記置換値を求め、前記第2の置換を行う画素に対しては、黒色の階調値、又は当該黒色の階調値及び前記置換率に基づいて前記置換値を求める請求項3又は請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記置換率を、異なる値が定められた要素が行方向及び列方向に連続する値が並ばないように配列されたテーブルに基づいて定めた請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記請求項3〜請求項6の何れか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像データに基づいて媒体に画像を記録する手段と、
を備えた画像記録装置。
【請求項8】
前記第1の手段が、前記置換値を前記媒体の種類に応じて求めるようにした請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
コンピュータに、
混色したときに黒色になる複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値で各画素を表わす画像データを用いて、前記複数の色の各々の階調値及び黒色の階調値を変更するための置換値であって、所定数以上の画素で大きさが異なる置換値を画素毎に求めるステップと、
前記複数の色の各々の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、黒色の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第1の置換、及び黒色の階調値から前記置換値に応じた値を減算した値を新たな階調値とすると共に、前記複数の色の各々の階調値に前記置換値に応じた値を加算した値を新たな階調値とする第2の置換の何れか一方を各画素に対して行うことで前記画像データを変更するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−89167(P2009−89167A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257912(P2007−257912)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]