説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】ラインセンサの読取り時に発生する位置ずれを主走査および副走査のどちらの方向に対しても補正する画像処理装置および画像処理方法を提供する。
【解決手段】カラー用のラインセンサR、G、B、およびモノクロ用のラインセンサKから構成されるラインセンサ部と、ラインセンサ部で読み取られたカラーR、G、B信号とモノクロK信号を画素単位で保存する画像メモリと、保存されたカラーR、G、B信号とモノクロK信号に対し同サイズの画素配列R、G、B、および画素配列Kを画像処理単位として生成する画素配列生成部と、前記画素配列R、G、Bから基準色となる画素配列Sを生成する基準色算出部と、画素配列Sの画素値と前記画素配列R、G、Bの画素値からカラーR、G、B信号の回帰直線関係を算出する回帰直線算出部と、回帰直線に従って前記画素配列Kの画素値を用いて前記画素配列R、G、Bの位置ずれを補正する位置ずれ補正部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スキャナなどの画像読み取りを行う画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RGBカラーセンサで原稿を読み取る際に、印刷動作による機械的振動、外部から受ける衝撃、または自動給紙装置での紙搬送時のローラ接触やローラの引っ張りによる振動などが影響し、各カラーラインセンサが正しい位置で原稿を読み取れないことがある。この読み取り時に発生するRGBラインセンサ間の位置ずれは、黒線などの読み取りにおいては色ずれを生じることとなる。
【0003】
読み取った画像データをもとに、この位置ずれに対して補正を行う画像処理装置について種々提案されている。例えばRGB色データのいずれか1色を基準色として注目画素の同一画素位置における基準色と基準色以外の色の濃度差と、基準色以外について仮想的に1画素以下を含む位置をずらして注目画素の同一画素位置における基準色との濃度差を算出し、この算出された複数の濃度差から適宜最適なものを選択して画像データを補正する画像補正手段が開示されている。(特許文献1参照)
しかしながら、補正する位置ずれは読み取り方向に対して主走査方向のみであって、副走査方向に対する位置ずれを補正することができないという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−341417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題を解決し、ラインセンサの読み取り時に発生する位置ずれを主走査および副走査のどちらの方向に対しても補正する画像処理装置および画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するために、実施形態の画像処理装置は、カラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサB、およびモノクロ用のラインセンサKから構成されるラインセンサ部と、前記ラインセンサ部で読み取られたカラーR信号、カラーG信号、カラーB信号、およびモノクロK信号のそれぞれを画素単位で保存する画像メモリ部と、前記画像メモリ部から、前記カラーR、G、B信号とモノクロK信号に対し、処理対象とする注目画素を含む同サイズの画素配列R、画素配列G、画素配列B、および画素配列Kを画像処理単位として生成する画素配列生成部と、前記画素配列R、画素配列G、画素配列Bから基準色となる画素配列Sを生成する基準色算出部と、画素配列Sを構成する画素の画素値と、前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bを構成する画素の画素値から各カラーR、G、B信号の回帰直線を算出する回帰直線算出部と、前記カラーR、G、B信号の回帰直線に従って、前記画素配列Kの画素値を用いて前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの位置ずれを補正する位置ずれ補正部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態における画像処理装置の全体図である。
【図2】同実施形態におけるハイブリッドセンサの概念図である。
【図3】同実施形態における画像処理部のブロック図である。
【図4】同実施形態における画素配列を説明する図。(a)はカラーRGB信号の画素配列の例、(b)はモノクロ信号の画素配列の例である。
【図5】同実施形態における基準信号の画素配列を説明する図である。
【図6】同実施形態における各カラー画素配列の回帰直線を算出する図である。
【図7】同実施形態におけるスキャナ部の感度特性例である。
【図8】同実施形態における位置ずれ補正の説明図である。
【図9】同実施形態における位置ずれ補正および解像度変換処理の説明図である。
【図10】同実施形態における位置ずれ補正前のカラーRGB信号例である。
【図11】同実施形態における位置ずれ補正後のカラーRGB信号例である。
【図12】同実施形態における位置ずれ補正処理のフローチャート図である。
【図13】第2の実施形態における位置ずれ補正処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図1から図13を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
<第1の実施形態>
本実施形態は、スキャナ等の画像読取装置において、3つの低解像度カラーラインセンサと1つの高解像度モノクロラインセンサを併せ持つハイブリッドセンサで同時読取された低解像度カラーR、G、B信号の位置ずれを高解像度のモノクロ信号で補正し、同時に解像度変換を行うものである。
【0010】
本実施形態に係る画像処理装置の画像処理装置の全体図を図1に示す。この画像処理装置は、大きく分けてスキャナ部11と、スキャナ部で読み取られた原稿のラインセンサ出力に対して画像処理を施す画像処理部12と、複写用紙にプリントして出力するプリンタ部13からなる。スキャナ部11は、原稿を読み取る原稿台111と、原稿を照明する光源112、原稿の反射光を導くミラー113a、113b、113c、反射光を集光するレンズ114およびラインセンサ部115を有する。矢印で示すように、スキャナ部11の原稿台111より読取られる原稿パターンは、光源112により照射され、この反射光がミラー113a、113b、113cからレンズ114を介してラインセンサ部115に入射する。ラインセンサ部115では、これをカラー別に配置されたラインセンサによって光電変換し画像信号を出力する。
【0011】
画像処理部12では、ラインセンサ部115で読み取られた画像信号にディジタル処理を施し、プリンタ部へ出力する。
【0012】
プリンタ部13は、給紙カセット131、現像ドラム132および搬送ローラ133、排紙口134などを有し、画像処理部12でから出力される信号に基づき、給紙装置131内の複写用紙に潜像・現像処理を行い、排紙口134から排紙する。
【0013】
図2は、本実施形態に使用するラインセンサ部115の概念図である。本実施形態で使用するラインセンサ部115は、通常ハイブリッドセンサと呼ばれるものである。ラインセンサ部115を構成するハイブリッドセンサは、カラー用のラインセンサR(赤)、ラインセンサG(緑)、ラインセンサB(青)、およびラインセンサK(黒)から構成される。
【0014】
カラー用のラインセンサR、ラインセンサGおよび、ラインセンサBは、画素ピッチおよび画素数としての受光素子の数が同じである。
【0015】
またモノクロ用のラインセンサKは、画素ピッチおよび画素数が上記カラー用ラインセンサR、G、Bと異なる。例えば、図2の例では受光素子のピッチがカラー用ラインセンサR、G、Bの画素ピッチの半分であることから、画素数は2倍となる。例えばカラーR、G、B信号に関しては300dpi、モノクロ信号に関しては600dpiの解像度を持つ。
【0016】
図3は、画像処理部12のブロック図である。画像処理部12は、スキャナ部11で行われる2次元原稿の読み取り走査に従い、カラー信号を読み取るラインセンサR、ラインセンサG、およびラインセンサBと、カラー信号より高解像度でモノクロ信号を読み取るラインセンサKから出力される信号をA/D(Analog to Digital)変換し、シェーディング補正および各ラインセンサ間の読み取り位相差を補正するライン間補正などの処理を行った後、カラーR、G、B信号およびモノクロ信号を画素単位で保存する画像メモリ部121と、画像メモリ部121に保存された画素を、M×Nの画素配列(M、Nは整数)を処理単位とする画素配列を生成する画素配列生成部122と、カラーR、G、B信号から基準色S信号を算出する基準色算出部123と、この処理単位の画素配列毎に、基準色S信号とカラーR、G、B信号との回帰直線を生成する回帰直線算出部124と、回帰直線算出部124で算出された回帰直線を用いてモノクロ信号から各カラーR、G、B信号を生成することにより位置ずれを補正し、さらに高解像度変換を同時に行う位置ずれ補正部125を有する。
【0017】
図4は、画素配列生成部122で生成される画像処理単位の画素配列を説明する図である。図4(a)はカラーR、G、B信号のうち、カラーR信号の画素配列Rの例、図4(b)はモノクロ信号の画素配列Kの例を示す。
【0018】
この位置ずれ処理単位となる画素配列は、上述したように主走査方向にM画素、副走査方向にN画素と任意の整数を設定することが可能であるが、ここでは説明のためカラーR、G、B信号に対して3×3の画素配列について説明する。図4(a)に示すように、カラーR信号の画素配列Rは、斜線で示す注目画素(処理対象の画素)R[1][1]に対して1画素ずつ主走査、副走査方向それぞれに対して周辺画素を含む画素配列を設定する。また、カラーG、B信号についても同様な画素配列G、画素配列Bを設定する。
【0019】
一方ラインセンサKの解像度(例えば600dpi)はラインセンサR、G、Bの解像度(例えば300dpi)より大きく、本実施形態では2倍の解像度を持つと仮定する。図4(b)に示すように、モノクロ信号の画素配列Kは、対応するカラーR信号の画素配列Rより4倍の画素数を持つことになる。例えば注目画素R[1][1]に対し、K[1][1]内の4画素が対応する。
【0020】
なお、処理対象の画素配列は、注目画素を中心とすることが対称性の観点から好ましいため、通常MとNは奇数が選択される。また、MとNの大きさは実験等によって最適な値が決定される。5×5程度の配列サイズを持つ画素配列が好ましいが、必ずしもMとNは同じである必要がない。すなわち、振動の影響が大きい走査方向の画素数を大きくするなどが考えられる。
【0021】
次に基準色算出部123の処理を説明する。基準色Sの作成方法について図5を用いて説明する。基準色の画素配列Sは、(1)式に示すように、画素配列R、画素配列G、画素配列Bの対応する各画素の画素値についての加算平均を求め、画素配列Sの各画素に格納する。
【0022】
S=(R+G+B)/3 (1)
このようにR、G、Bの加重平均を用いた基準色を用いて後述する回帰直線を求めた場合、色調の変化を生じることがなく、色ずれのみを効果的に補正することが可能である。
【0023】
また、基準色の画素配列Sの算出方法は各カラーの画素値の加算平均値を用いるだけでなく、画素配列Gを基準色にしてもよい。この場合は、画素配列Gについて、後述する位置ずれ補正を行わなくてよいため、処理の簡便化がなされる。また、さらには画素配列R、画素配列G、画素配列Bの線形結合により基準色の画素配列Sを算出してよい。線形結合の割合は、ラインセンサR、G、Bの感度特性および波長帯域などによって決めても良い。
【0024】
回帰直線算出部124では、基準色の画素配列S内の画素値と画素配列R、G、B内の画素値とをプロットしてカラーR、G、B色毎の回帰直線を算出する。図6に原稿のパターンを赤、下地色を白とした時の回帰直線関係の例を示す。図中に示す菱形のマーカ61Rは基準色SとカラーRの対応する画素値のプロット点を表し、三角形のマーカ61Gは基準色SとカラーGの対応する画素値のプロット点を表し、四角のマーカ61Bは基準色SとカラーGの対応する画素値のプロット点を表している。こでは画素配列画素数=3×3=9個としているので各カラーについて9点がプロットされている。
【0025】
これらのプロット点を最小2乗法などの手法によってカラーR、G、B毎に回帰直線を求める。印刷時および走査時に、振動などの位置ずれを生じる原因が全くない場合は、各カラーの画素値を示すマーカ61R、61G、61Bは、基準色Sに対して1次直線上に並ぶことがわかる。ここで、カラーRに対する回帰直線を62R,カラーGに対する回帰直線を62G、カラーBに対す回帰直線を62Bとする。
【0026】
図7にスキャナ部11の波長特性を示す。スキャナ部12の波長特性は、原稿の下地色が持つ反射特性と、光源112、レンズ114、ラインセンサR、G、Bに使用される色フィルタの分光特性などを加算した特性となる。したがって原稿下地色や原稿パターンによりラインセンサR、G、Bから出力される分光分布71R、71G、71Bの形は変化する。また、実際にラインセンサから出力される画像データは波長特性の積分した値となる。
【0027】
このため、図6に示す回帰直線の傾きと長さは、下地色と原稿パターンによる原稿反射率の変化によって変化するが、回帰直線上に並ぶという関係は変わらないという特徴がある。スキャン部11の読み取り走査に従い、位置ずれ補正対象の注目画素が変われば、新たに画素配列を生成し、その画像配列に対して回帰直線を算出する。
【0028】
位置ずれ補正部125での処理について説明する。図8は、振動やノイズがある場合のカラー画素配列Gの画素値と基準色の画素配列Sの画素値との回帰直線関係を示している。振動やノイズがある場合には、読み取り時に発生するラインセンサの位置ずれから、算出する回帰直線62Gから外れる画素値が存在する。今、円形で示す注目画素(G[1][1])も回帰直線から離れているため、振動による位置ずれの影響を受けている。
【0029】
したがって矢印で示すように、注目画素をこの回帰直線62G上に移動する処理を行う。このために回帰直線62Gを求める。回帰直線62Gは、1次関数であるので直線傾きと縦軸との切片にて求められる。図6に示すように、回帰直線62Gから外れた注目画素を回帰直線62G上に移動することにより、振動やノイズのない理想状態に信号を補正することができる。また、カラーR、Gについても同様の処理を行う。
【0030】
図9は、位置ずれ補正処理の説明図である。図6に示したように画像処理対象となっている画像配列R、B、Gの画素値と画素配列Sの画素値とをプロット点の回帰直線を(2)式のように求める。
【0031】
R=ar・S+br
G=ag・S+bg (2)
B=ab・S+bb
ar、ag、abは、それぞれカラーR、G、Bの回帰直線の傾きである。また、br、bg、bbは切片の値である。
【0032】
ここで、図9に示すように注目画素のみに位置ずれ補正を行う。この時(2)式の画像配列Sの画素値の代わりに画像配列Kの画素値を代入し、位置ずれ補正されたR、G、Bを求める。すなわち(3)式のようになる。
【0033】
R=ar・K+br
G=ag・K+bg (3)
B=ab・K+bb
この時、画素配列Kの注目画素K[1][1]は、カラー画素配列R、G、Bの画素に比べて高解像度のため(図ではa、b、c、d)カラー画素配列R、G、Bに対しても画素配列Kと同じ画素数を持つ画素配列RN、GN、GBを用意して変換を行う。この変換によって位置ずれ補正とともにカラー信号に対して高解像度変換が達成される。
【0034】
図10は、位置ずれ補正前のカラーRGB信号例であり、図11は位置ずれ補正後のカラーRGB信号例である。横軸は画素位置(主走査または副走査方向)で縦軸は画素値である。図10の矢印に示すように、補正前は色ずれが大きく観測されているが、図11に示すように、補正処理を行うことで色ずれが低減されていることがわかる。
【0035】
上述した位置ずれ補正についてフローチャートを用いて説明する。まず、ステップST121では、画像メモリ部121に保存されている画素単位のデジタルデータから位置ずれ補正処理単位である画素配列R、G、B、Kを生成する。ステップST122では、画素配列R、G、Bの画素値を取得し、例えば、R、G、Bの加算平均を基準色とする画素配列Sを作成する(ST123)。
【0036】
画素配列R、G、B内の画素値と基準色の画素配列Sの画素値をプロットすることにより、各R、G、B色の回帰直線を算出する(ST124)。
【0037】
算出した回帰直線式に、画素配列Kの注目画素の画素値を代入し、新たなカラーR、G、Bの画素配列RN、GN、BNを生成する(ST125)。
【0038】
ステップST126では、画素配列R、G、Bの注目画素に対して位置ずれ補正がなされているかどうかを判断し、各カラー色R、G、Bすべての注目画素に対する位置ずれ補正がなされている場合には(ステップST126:Yes)、ステップST127に進む。各カラー色R、G、Bすべてにおいて位置ずれ補正がなされていない場合には、(ステップST126:No)、各カラー色R、G、Bについて行われるまでステップST122に戻り、位置ずれ処理を行う。
【0039】
ステップST127では、画像メモリ部121に保存されているすべての画素を注目画素とする画素配列を順番に生成し、位置ずれ補正がなされているかどうかを判断する。すべての画素配列について位置ずれ補正がなされている場合には(ステップST126:Yes)、ステップST128に進む。すべての画素配列について位置ずれ補正がなされていない場合には、(ステップST126:No)、ステップST122に戻り、次の画素位置に移動し画素配列を生成して位置ずれ処理を行う。
【0040】
ステップST128では、以上のステップST121〜ST127に示す位置ずれ補正が完了後、位置ずれ補正出力を次段のプリンタ部13に出力する。
【0041】
以上述べた第1の実施形態によれば、スキャナ等の画像読取装置において、3つのカラーラインセンサから出力されるカラーR、G、B信号の読み取り時の位置ずれを、カラーR、G、B信号から生成した基準信号をもとに回帰直線を求め、この回帰直線により位置ずれ補正を行うものである。特にR、G、Bの加重平均を用いた基準色を用いて回帰直線を求めた場合、色調の変化を生じることがなく、色ずれのみを効果的に補正することが可能である。
【0042】
しかも画像処理範囲を示す画素配列は、注目画素に対して主走査、および副走査方向の周辺画素を含むため、どちらの走査方向にも位置ずれ補正が行える。
【0043】
また、高解像度のモノクロ用ラインセンサを併せ持つハイブリッドセンサの場合は、位置ずれ補正の際に解像度変換が同時に行えるという効果を奏する。
【0044】
<第2の実施形態>
本実施形態は、モノクロ用ラインセンサKの解像度がカラー用ラインセンサR、G、Bの解像度と同じである場合について説明する。画像処理部12のブロック図は、第1の実施形態と同じであり、位置ずれ補正のためのフローチャートも同様である、ただしステップST128において位置ずれ補正時に解像度変換がなされないことが異なる。
【0045】
図13は本実施形態の位置ずれ補正処理の説明図である。図6に示したように画像処理対象となっている画像配列R、B、Gと基準色の画素配列Sとの回帰直線を(2)式のように求める。そして画素配列の注目画素に対し、(3)式を用いて位置ずれ補正を行う。この時、画素配列Kの注目画素K[1][1]は、カラー画素配列R、G、Bの画素と同じ解像度である。また、この時、(3)式を使用せず、画素配列Sの注目画素S[1][1]を用い、(2)式により位置ずれ補正をしてもよい。
【0046】
以上述べた第2の実施形態によれば、高解像度変換されないものの、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
以上述べた本実施形態によれば、スキャナ等の画像読取装置において、3つのカラーラインセンサから出力されるカラーR、G、B信号の読み取り時の位置ずれを、カラーR、G、B信号から生成した基準信号ももとに回帰直線を求め、この回帰直線により位置ずれ補正を行うものである。回帰直線という簡便な変換式により効果的に位置ずれ補正が可能である。特にR、G、Bの加重平均を用いた基準色を用いて回帰直線を求めた場合、色調の変化を生じることがなく、色ずれのみを補正することが可能である。
【0048】
しかも画像処理範囲を示す画素配列は、注目画素に対して主走査、および副走査方向の周辺画素を含むため、どちらの走査方向にも位置ずれ補正が行える。
【0049】
また、高解像度のモノクロラインセンサを併せ持つハイブリッドセンサの場合は、位置ずれ補正の際に解像度変換が同時に行えるという効果を奏する。
【0050】
したがって、RGBカラーセンサで原稿を読み取る際に、印刷動作による機械的振動、外部から受ける衝撃、または自動給紙装置での紙搬送時のローラ接触やローラの引っ張りによる振動などが生じても上記位置ずれ補正によって色ずれのない画像出力が得られる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。たとえば、ハイブリッドセンサのモノクロ用ラインセンサの解像度をカラー用ラインセンサの解像度の2倍としたが、これに限らない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
11…スキャナ部
12…画像処理部
13…プリンタ部
121…画像メモリ部
122…画素配列生成部
123…基準色算出部
124…回帰直線算出部
125…位置ずれ補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー用のラインセンサR、ラインセンサG、ラインセンサB、およびモノクロ用のラインセンサKから構成されるラインセンサ部と、
前記ラインセンサ部で読み取られたカラーR信号、カラーG信号、カラーB信号、およびモノクロK信号のそれぞれを画素単位で保存する画像メモリ部と、
前記画像メモリ部から、前記カラーR、G、B信号とモノクロK信号に対し、処理対象とする注目画素を含む同サイズの画素配列R、画素配列G、画素配列B、および画素配列Kを画像処理単位として生成する画素配列生成部と、
前記画素配列R、画素配列G、画素配列Bから基準色となる画素配列Sを生成する基準色算出部と、
画素配列Sを構成する画素の画素値と、前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bを構成する画素の画素値から各カラーR、G、B信号の回帰直線を算出する回帰直線算出部と、
前記カラーR、G、B信号の回帰直線に従って、前記画素配列Kの画素値を用いて前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの位置ずれを補正する位置ずれ補正部と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記モノクロ用ラインセンサKの解像度は、前記カラー用ラインセンサR、ラインセンサG、およびラインセンサBの解像度より大きい請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記モノクロ用ラインセンサKの解像度は、前記カラー用ラインセンサR、ラインセンサG、およびラインセンサBの解像度に等しい請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記基準色の画素配列Sは、前記画素配列R、画素配列G、画素配列Bの各対応する画素値の加算平均値である請求項2または3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bは、処理対象の注目画素に対して、主走査および副走査方向それぞれに1画素以上の周辺画素を含むM行N列(M、Nは3以上の奇数)の配列である請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
ラインセンサ部で読み取られたカラーR信号、カラーG信号、カラーB信号、およびモノクロK信号のそれぞれを画素単位で保存する画像保存ステップと、
前記カラーR、G、B信号とモノクロK信号に対し、処理対象とする注目画素を含む同サイズの画素配列R、画素配列G、画素配列B、および画素配列Kを画像処理単位として生成する画素配列生成ステップと、
前記画素配列R、画素配列G、画素配列Bから基準色となる画素配列Sを生成する基準色算出ステップと、
画素配列Sを構成する画素の画素値と、前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bを構成する画素の画素値から各カラーR、G、B信号の回帰直線を算出する回帰直線算出ステップと、
前記カラーR、G、B信号の回帰直線に従って、前記画素配列Kの画素値を用いて前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの位置ずれを補正する位置ずれ補正ステップと、
を有する画像処理方法。
【請求項7】
前記位置ずれ補正ステップは、前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの解像度より大きい解像度を有する画素配列Kを用いて前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの位置ずれを補正する請求項6記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記位置ずれ補正ステップは、前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの解像度と等しい解像度を有する画素配列Kを用いて前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bの位置ずれを補正する請求項6記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記基準色算出ステップは、前記画素配列R、画素配列G、画素配列Bの各対応する画素値の加算平均値を前記画素配列Sとする請求項7または8記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記画素配列生成ステップは、前記画素配列R、画素配列G、および画素配列Bは、処理対象の注目画素に対して、主走査および副走査方向それぞれに1画素以上の周辺画素を含むM行N列(M、Nは3以上の奇数)の配列を生成する請求項9記載の画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−259416(P2011−259416A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103546(P2011−103546)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】