説明

画像処理装置及び方法、遊技機

【課題】1つの画像に含まれる複数の画像オブジェクトの間に、他の画像に含まれる画像オブジェクトが挟まれるような重なり方の合成画像を作成することができる新しい枠組みを提供する。
【解決手段】画像オブジェクトA及びCを含み、画像オブジェクトAとCのアルファ値が異なるように設定された画像Xのデータと、画像オブジェクトBを含む画像Yのデータとを記憶する合成対象記憶手段と、前記合成対象記憶手段を参照して画像X及び画像Yのデータを読み出し、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBを含む画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画して、合成画像を作成する合成手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像(静止画像、動画像)を合成して表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば3つ画像オブジェクトA、B、Cを個別に描画して合成する状況(画像オブジェクトA、B、Cが、異なるスプライトや動画像に含まれる場合など)において、A(奥)→B(中)→C(手前)の順に重なる合成画像を作成する場合、画像オブジェクトAを含む画像X(図14(a))、画像オブジェクトBを含む画像Y(図14(b))、画像オブジェクトCを含む画像Z(図14(c))を、X、Y、Zの順に描画して、合成画像を作成していた(図14(d))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の方法では、1つの画像に含まれる複数の画像オブジェクトの間に、他の画像に含まれる画像オブジェクトが挟まれるような重なり方の合成画像を作成することはできない。
【0004】
例えば、画像オブジェクトとしてキャラクターA及びCが登場する動画像Pと、キャラクターBが登場する動画像Qとをフレームごとに合成して表示する状況を考える。
【0005】
この場合、キャラクターA及びCを含む動画像Pのフレーム画像X(図15(a))と、キャラクターBを含む動画像Qのフレーム画像Y(図15(b))とをどのように合成しても、キャラクターAとCの間にキャラクターBが挟まれるような重なり方の合成画像、すなわち、A(奥)→B(中)→C(手前)の順に重なる合成画像(図15(c))を作成することはできない。
【0006】
フレーム画像X、フレーム画像Yの順に描画すると、A(奥)→C(中)→B(手前)の順に重なる合成画像となってしまい(図15(d))、フレーム画像Y、フレーム画像Xの順に描画すると、B(奥)→A(中)→C(手前)の順に重なる合成画像となってしまうからである(図15(e))。
【0007】
そこで、本発明は、1つの画像に含まれる複数の画像オブジェクトの間に、他の画像に含まれる画像オブジェクトが挟まれるような重なり方の合成画像を作成することができる新しい枠組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、画像オブジェクトA及びCを含み、画像オブジェクトAとCのアルファ値が異なるように設定された画像Xのデータと、画像オブジェクトBを含む画像Yのデータとを記憶する合成対象記憶手段と、前記合成対象記憶手段を参照して画像X及び画像Yのデータを読み出し、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBを含む画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画して、合成画像を作成する合成手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好適には、画像Yは、画像オブジェクトDを含み、画像オブジェクトBとDのアルファ値が異なるように設定されており、前記合成手段は、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBのアルファ値を含まずかつオブジェクトDのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Yを描画して、合成画像を作成することを特徴とする。
【0010】
また好適には、動画像P及びQのデータを記憶する手段と、動画像Pのフレーム画像として画像Xを生成し、動画像Qのフレーム画像として画像Yを生成し、前記生成した画像X及び画像Yのデータを前記合成対象記憶手段に書き込む手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の遊技機は、本発明の画像処理装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで「遊技機」に限定は無いが、例えば回動式遊技機(以下、「スロットマシン」という。)、ぱちんこ機(第一種ぱちんこ機、第二種ぱちんこ機を含む)等を含む。
【0013】
本発明の画像処理方法は、画像オブジェクトA及びCを含み、画像オブジェクトAとCのアルファ値が異なるように設定された画像Xのデータと、画像オブジェクトBを含む画像Yのデータとを記憶する合成対象記憶手段を参照して、画像X及び画像Yのデータを読み出す工程と、前記読み出したデータに基づき、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBを含む画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画して、合成画像を作成する合成工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の画像処理方法は、コンピュータにより実施することができるが、そのためのコンピュータプログラムは、CD−ROM、磁気ディスク、半導体メモリ及び通信ネットワークなどの各種の媒体を通じて、例えば、業務用又は家庭用のテレビゲーム機や、パーソナルコンピュータなど情報処理装置内のメモリにインストールまたはロードすることができる。この場合、これらテレビゲーム機やパーソナルコンピュータは、本発明の遊技機をシミュレートする遊戯装置として機能する。なおこの場合、遊技機の各構成要素(リールやスイッチなど)や、遊技機の表示画面に表示されるキャラクター等は、遊技装置によってディスプレイ等に表示された画像オブジェクト/画像領域として把握することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1つの画像に含まれる複数の画像オブジェクトの間に、他の画像に含まれる画像オブジェクトが挟まれるような重なり方の合成画像を作成することができる新しい枠組みを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態として、民生用のエンターテイメント装置に記録媒体からシミュレーションプログラムを読み込むことにより、遊技場等に設置される遊技機(スロットマシン、スロットゲーム)(以下「実機」ともいう。)の動作をシミュレーションする場合を例示する。ただし、以下の実施形態は本発明の適応例に過ぎず、本発明は実施形態に限定されず種々に変更して適用することが可能である。
【0017】
(エンターテイメント装置の構成)
図1は、民生用エンターテイメント装置(例えば家庭用ゲーム機)1の外観概略構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、このエンターテイメント装置1は、大きく分けて、装置本体10、操作入力装置20、表示装置30から構成される。
【0019】
装置本体10は、シミュレーションプログラムを記録したDVD−ROMなどの第1の外部記録媒体44aを後述の第1の外部記録媒体ドライブ44がデータ読み取り可能な位置にセットするためのディスクホルダー部11、プログラムの経過情報(セーブデータ)を記録するメモリーカードなどの第2の外部記録媒体45aを後述の第2の外部記録媒体ドライブ45がデータ読み取り/書き込み可能な位置にセットするための差込口12、操作入力装置20のケーブルを後述の操作入力処理部48に接続するためのコントローラ端子13、装置本体10の電源投入を行うためのPOWERボタン14、ディスクホルダー部11を開閉するための開閉スイッチ15、表示装置30と接続するためのAVケーブル16、および外部商用電源部に接続するための電源ケーブル17を備えている。
【0020】
操作入力装置20は、操作者が各種ゲーム操作を行うためのSTARTボタン21、方向キー22、○ボタン23a、×ボタン23b、□ボタン23c、△ボタン23d、R1ボタン24a、R2ボタン24b、L1ボタン25a、L2ボタン25b等を備えている。これらの操作ボタンは、エンターテイメント装置1がシミュレーションプログラムを実行することにより、シミュレートする遊技機の操作スイッチに割り当てられる。
【0021】
表示装置(モニタ装置、TV装置)30は、装置本体10で生成された画像を表示するためのCRT型やフラットパネル型等の表示画面31、およびム装置本体10で生成された演出音声を外部に出力するための左右のスピーカ32a、32bを備えている。
【0022】
図2は、図1に示したエンターテイメント装置1、特に装置本体10の内部のハードウェア構成を示す図である。図2に示すように、装置本体10は、CPU41、ROM42、メインメモリ(RAM)43を含む制御系CNTL、第1、第2の外部記録媒体ドライブ44、45、画像処理部46、音声処理部47、操作入力処理部48、および電源供給インターフェース部49などから構成される。
【0023】
CPU41は、エンターテイメント装置1の制御動作の中枢となり、システムバスSBを介してI/Oアドレスを出力して特定の構成要素を選択し、データの入出力を行って装置全体を統括的に制御する。特にCPU41は、第1の外部記録媒体ドライブ44を介して第1の外部記録媒体44aのシミュレーションプログラムをメインメモリ43のゲームプログラム記録領域43aに転送し、そのシミュレーションプログラムを実行することにより、例えば画像の描画に必要なデータやコマンドを画像処理部46に送信することにより、エンターテイメント装置1を本発明のシミュレーション装置として機能させるものである。
【0024】
ROM42は、エンターテイメント装置1の起動時に使用する起動用プログラムや装置を動かすための基本的なシステムプログラム等を格納する不揮発性メモリである。電源投入直後は、CPU41はこのROM42の起動用プログラムを実行し、第1の外部記録媒体44aがディスクホルダー部11に装着されていることを確認したらその外部記録媒体44aのデータをメインメモリ43に転送するように動作する。
【0025】
RAM43は、メインメモリであり、第1の外部記録媒体44aから転送されたシミュレーションプログラムや各種データ(ビデオ画像ファイル、演出音声ファイル、テキストファイル等)の一部若しくは全部をゲームプログラム記録領域43aに一時記録保持するとともに、第2の外部記録媒体45aから読み出したセーブデータ或いはゲーム進行中の作業データをゲーム進行データ記録領域43bに一時記録保持する。なお、プログラムデータはバイナリデータとして、ビデオ画像ファイルは必要に応じて所定の動画像圧縮フォーマット(MPEG等)により圧縮されたデータとして記録されている。
【0026】
なお、図中鎖線で示される制御系CNTLには、図示省略のDMACが含まれており、このDMACが、システムバスSBに接続されている周辺機器を対象として割り込み制御やダイレクトメモリアクセス(DMA)転送制御を行うことにより、CPU41を介さずに各種周辺機器とRAM43間でシステムバスSBを介して直接データのやりとりを行うことができ、これにより、CPU41のオーバーヘッドを伴わずに、高速・大容量のデータ転送を実現している。
【0027】
第1の外部記録媒体ドライブ44は、DVD−ROMなどの第1の外部記録媒体44aに記録されたシミュレーションプログラムや各種情報を読み取る。第2の外部記録媒体ドライブ45は、メモリーカードなどの第2の外部記録媒体45aに対してセーブデータ等の読み取りおよび書き込みを行う。
【0028】
画像処理部46は、画像デコーダ46a、フレームバッファ(VRAM)46cを有するGPU46b、ディスプレイコントローラ46d等の半導体デバイスを備え、3次元CG画像およびビデオ画像(動画像)の双方の生成・再生が可能に構成されている。
【0029】
画像処理部46の画像デコーダ46aは、第1の外部記録媒体44aに格納されているビデオ画像ファイルから任意のチャプターの演出動画像データを読み取って動画像圧縮フォーマットに対応した復号化処理によりビデオフレーム画像を生成する。
【0030】
画像処理部46のGPU46bは、CPU41からのコマンドに応じて、3DCG画像データを生成するための所定の画像生成アルゴリズムを実行し、ジオメトリ処理やレンダリング処理等を行って遊技機の3次元CG画像を生成して、例えばビットマップ形式でフレームバッファ46cに描画する。また、画像デコーダ46aが生成した複数のビデオフレーム画像を必要に応じて合成し、遊技機の3次元CG画像の一部に展開されるよう、例えばビットマップ形式でフレームバッファ46cに描画する。
【0031】
ディスプレイコントローラ46dは、フレームバッファ46cに描画された画像データ(出力フレーム画像)をフレームレートに従って読み出し、該読み出した画像データに対応した輝度信号(明るさの情報)と色信号(色の情報)を含む映像信号を生成して表示装置30に出力する。
【0032】
音声処理部47は、表示装置30の左右のスピーカ32a、32bで出力する効果音やBGM等のゲーム音声を生成処理する半導体デバイスであって、具体的には、図示省略のサウンドバッファおよびSPU等を備え、SPUがサウンドバッファから読み出した音データを合成して音声信号を生成して表示装置30に出力する。
【0033】
操作入力処理部48は、CPU41と操作入力装置20との間で種々の信号のやり取りを行うI/Oポートであり、例えば、操作入力装置20において所定の停止操作が行われた場合、該停止操作に対応した停止信号をシステムバスSBを介してCPU41に送信する。
【0034】
電源供給インターフェース部49は、ACアダプタ機能を有しており、外部商用電源からの電力を装置本体10の内部に供給する。
【0035】
以下、エンターテイメント装置1がシミュレーションプログラムを実行することにより動作する装置を「シミュレーション装置」と称する。本実施形態におけるシミュレーション装置は、現実の回胴式遊技機であるスロットマシンSMの機能・外観をシミュレートするものである。
【0036】
図3は、シミュレーション装置の表示画面31に表示される画像表示例であり、図3(a)はトップ画面50の例であり、図3(b)は、シミュレーション画面60の例である。
【0037】
トップ画面50は、本発明に係るシミュレーションプログラムを実行することにより最初に表示される初期画面であり、当該シミュレーションプログラムが格納された第1の外部記録媒体44aがディスクホルダー部11に挿入された状態でゲーム装置1の電源が投入された場合に表示されるものである。初期画面50では、シミュレーションゲームの開始を指示するための「ゲームスタート」アイコン51、および、シミュレーションゲームを終了させるための「終了」アイコン52が表示される。「ゲームスタート」アイコン51を操作入力装置20の方向キー22で選択し、○ボタン23a等を操作することで、シミュレーション動作が開始される。
【0038】
図3(b)は、トップ画面50の「ゲームスタート」アイコン51が選択された場合に実行されるシミュレーション画面60の例である。シミュレーション画面60では、実機の筐体正面の一部の画像が表示される。図3(b)では、筐体正面の一部の画像として、複数の図柄が配列された複数のリール61L、61C、および61Rを表示するリール表示エリア63と、種々の演出を表示するための表示画面エリア64とが示されている。
【0039】
(実機の構成・動作)
本実施形態のシミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMの動作を忠実に再現するものであるため、まず、実機のスロットマシンSMの構成について説明する。なお、シミュレーション画面60に表示されるものに対応する要素については同じ符号で示すものとする。
【0040】
図4に、実機のスロットマシンSMの筐体の正面図を示す。
【0041】
図4に示すように、実機のスロットマシンSMの筐体には、装飾部品が設けられ、正面上部に表示画面エリア64が設けられている。表示画面エリア64の下部にリール表示エリア63が設けられている。
【0042】
上述したように、リール表示エリア63には、リール群61が表示されている。リール群61は、実機では中空の回胴構造をしたリール3つで構成されるもので、左リール61L、中リール31C、右リール31Rの順番で表示されている。各リールの外周には、複数種類の図柄が表示される。図柄は、「赤セブン」、「白セブン」、「BAR」、「チェリー」、「カバン」、「ベル」、「リプレイ」等の種類がある。
【0043】
実機では、各リール61L、61Cおよび61Rはステッピングモータ等で回転制御されるもので、各リールが回転する場合には、リール61L、61Cおよび61Rの図柄が上下にスクロール移動しているように表示される。
【0044】
図4において、リール表示エリア63に示された破線は、有効ライン62a、62bおよび62cからなる有効ライン群62を示すものである。有効ライン群62は、水平方向の中段の有効ライン62aと、水平方向の上段および下段の2本の有効ライン62bと、右下がりおよび左下がりの斜め方向の2本の有効ライン62cとから構成されている。そして、リール61L、61Cおよび61Rに付された図柄は、リール61L、61Cおよび61Rが停止した時に、表示窓21から見える9個の図柄が全てこれらの有効ライン群62上に位置するような間隔で配置されている。
【0045】
表示画面エリア64の右下側に当たる位置には、メダル投入口65が設けられている。実機では、メダル投入口65からメダルが投入されると、掛け金として徴収され、投入されたメダル枚数に応じて有効ライン62a、62bおよび62cの1ライン乃至5ラインが有効になるように構成されている。すなわち、投入されたメダルが1枚の場合には1つの有効ライン62aが有効になり、2枚のときは水平方向の3つの有効ライン62aおよび62bが有効になり、3枚のときはさらに加えて斜め方向の2つの有効ライン62cを含む総計で5つの有効ライン62a〜62cが有効になる。例えば、3枚のメダルが投入されている場合には、リール61L、61Cおよび61Rが停止した時に、少なくとも1つの有効ライン62a〜62cに特定の図柄の組み合わせが停止していれば、その組み合わせに応じた役に入賞したこととなる。
【0046】
筐体の正面中央部には、各種の操作スイッチが設けられている。例えば、スタートスイッチ66、ストップスイッチ群67およびベットスイッチ群68が設けられている。
【0047】
スタートスイッチ66は、リール61L、61Cおよび61Rの回転をスタートさせるときに操作されるスイッチ、例えばボタンやレバーである。ストップスイッチ群67は、左リール61Lを停止させるときに操作する左ストップスイッチ67Lと、中リール61Cを停止させるときに操作する中ストップスイッチ67Cと、右リール61Rを停止させるときに操作する右ストップスイッチ67Rとから構成されている。
【0048】
ベットスイッチ群68は、クレジット内のメダルを投入する際にベット数(賭数)を指定するスイッチ群であり、1ベット・2ベットスイッチ68aおよびMAXベットスイッチ(3ベットスイッチ)68bから構成されている。実機では、1ベット・2ベットスイッチ68aが操作されると、1枚又は2枚のメダルがベットされ、MAXベットスイッチ68bが操作されると、最大ベット数である3枚のメダルがベットされる。そして、ベットスイッチ群68の操作で指定されるベット数だけ、クレジットからメダル数が徴収される(減算される)。
【0049】
実機のスロットマシンSMにおいて実施される通常遊技の概要を簡単に説明する。
【0050】
スロットマシンSMにおいて、メダルが投入されるか、ベットスイッチ群68が操作されるかすると、有効ライン62a〜62cがベット数に応じて有効化される。
【0051】
次いでスタートスイッチ66を操作されると、ベット数に応じた役の抽選が行われると共に、リール61L、61Cおよび61Rが回転し始める。リール群61が回転している間にストップスイッチ67L、67Cおよび67Rのいずれかが操作されると、操作されたボタンに対応したリール61L、61Cまたは61Rの回転が停止する。ストップスイッチが最初に操作されて対応するリールが停止すると「第1停止」となり、ストップスイッチが二番目に操作されて対応するリールが停止すると「第2停止」となり、ストップスイッチが最後に操作されて総てのリールが停止すると「第3停止」となる。このとき、スタートスイッチ66の操作を契機に実行される役の抽選結果が当選であった場合には、ユーザのストップスイッチの操作タイミングに応じて、有効化されている有効ライン群62上に並ぶ図柄の組み合わせが、予め定められた何らかの役の図柄の組み合わせに一致するようにリールが停止制御され、その入賞役に応じたメダルの払い出し等が行われる。なお、役の抽選結果が当選であった場合でも、ユーザのストップスイッチの操作タイミングによっては、有効化されている有効ライン群62上に並ぶ図柄の組み合わせが、役の図柄の組み合わせに一致しない場合もありうる。また、役の抽選結果が外れであった場合は、ユーザのストップスイッチの操作タイミングに関わらず、有効化されている有効ライン群62上に並ぶ図柄の組み合わせが、役の図柄の組み合わせに一致しないようにリールが停止制御される。
【0052】
またスタートスイッチ66の操作とともに、表示画面エリア64には、当該スロットマシンSMのテーマとなるストーリーに沿った演出パターンが表示される。この演出パターンは、キャラクタオブジェクトや背景オブジェクトのモデリング変換、座標変換、透視投影変換、色展開等によって生成される3次元CG画像とすることができる。演出パターンは、スタートスイッチ66、ストップスイッチ67L、67C、および67Rの操作を契機に切り替えられる。これら一連のスイッチ操作に応じた演出パターンの組み合わせ(演出シーケンス)は、スタートスイッチ66の操作を契機に実行される抽選結果に応じて、複数の演出シーケンスの中から一つが選択される。
【0053】
(シミュレーション装置における基本動作)
次に、本実施形態のシミュレーション装置の動作を説明する。
【0054】
シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMのシミュレーション画像を生成して、シミュレーション画面60に表示する。
【0055】
例えば、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMをモデリングしたオブジェクトデータに基づき、座標変換、透視投影変換、テクスチャマッピング等の処理を実施して、実機のスロットマシンSMの3次元CG画像を生成し、シミュレーション画面60に表示する。図4に示す例では、シミュレーション画面60は、実機のスロットマシンSMの一部に相当する3次元CG画像を表示するように構成されている。シミュレーション画面60に実機のどの部分を表示するかは、操作入力装置20を操作することにより選択することが可能になっている。
【0056】
また例えば、シミュレーション装置は、第1の外部記録媒体44aに記憶されるビデオ画像ファイルに基づきビデオフレーム画像を生成・合成し、テクスチャマッピングを利用してシミュレーション画面60の表示画面エリア64に時系列順に表示する。
【0057】
シミュレーション装置は、このようにシミュレーション画面60に表示されるシミュレーション画像を用いて、メダルの投入および各スイッチの操作を操作入力装置20に対する操作者の操作で代用して、実機のスロットマシンSMの動作をシミュレートする。
【0058】
例えば、操作者がMAXベットスイッチ68bの押下に割り当てられた操作(例えば、R1ボタン24aの押下)をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてメダルを3枚投入し、さらにMAXベットスイッチ68bを押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMのメダル投入数をMAXに設定する。すなわち、操作者がメダル3枚を1度に掛けたことになる。
【0059】
また、操作者が1ベット・2ベットスイッチ68aの押下に割り当てられた操作(例えば、L1ボタン25aの押下)を一回すると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてメダルを1枚投入し、さらに1ベット・2ベットスイッチ68aを一回押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMのメダル投入数を1ベットに設定する。すなわち、操作者がメダル1枚を掛けたことになる。もう一度操作者が1ベット・2ベットスイッチ68aの押下に割り当てられた操作をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてメダルを2枚投入し、さらに1ベット・2ベットスイッチ68aを二回押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMのメダル投入数を2ベットに設定する。すなわち、操作者がメダル2枚を掛けたことになる。1ベット・2ベットスイッチ68aはトグル動作するように設定されているので、シミュレーション装置においても操作入力装置20の操作が繰り返される度に、1ベット・2ベットスイッチ68aが繰り返し押下されたような動作・表示をする。
【0060】
ベット後、操作者がスタートスイッチ66の押下に割り当てられた操作(例えば、方向キー22の下方向への操作)をすると、シミュレーション装置は、実機のスロットマシンSMにおいてスタートスイッチ66を押下したかのように動作し、シミュレーション画面60に表示しているスロットマシンSMの各リール61L、61C、および61Rの図柄を変動させる表示(以下「変動表示」という。)を実行する。
【0061】
変動開始後、操作者がストップスイッチ群67のそれぞれのストップスイッチの押下に割り当てられた操作(例えば、□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aの押下)をすると、シミュレーション装置は、それが第1停止か第2停止か第3停止かに応じて、実機のスロットマシンSMにおいて対応するストップスイッチ67L、67C、または67Rを押下したかのように動作し、シミュレーション画面60において変動表示されているリール61L、61C、および61Rの図柄の変動を停止させる表示をする。
【0062】
以上、ベット→リール回転開始→各リール停止という一連の操作により1プレイの遊技が行われ、全てのリール61L、61C、および61Rが停止したときに有効ライン62a〜62cに特定の図柄の組み合わせが停止しているか否かに応じた結果(入賞役の成立、不成立)の告知がなされる。
【0063】
このようにして、操作者は、シミュレーション装置において、タイミングよく、□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aを押下(すなわち実機でいうストップスイッチ67L、67C、および67Rのそれぞれを押下)して、所望の図柄(「ベル」や「カバン」等の小役図柄や、「BAR」などのRB図柄や、「7」などのBB図柄等)を揃えるスロットゲームを行うことができる。
【0064】
(ビデオ画像ファイルの構成)
第1の外部記録媒体44aに記憶されるビデオ画像ファイルは、実機において表示画面エリア64に表示される演出パターンを動画像として記録したデータを含むファイルであり、上記シミュレーションプログラムに関連付けて記憶されている。ビデオ画像ファイルは、画像データを多量に含むファイルであるため、シミュレーション装置のメモリに転送することなく、必要となった時に直接第1の外部記録媒体44aから読み取って再生するように処理することが好ましい。
【0065】
実機では、複数の操作スイッチのそれぞれが操作される度に演出パターンが変わるようになっている。具体的には、スタートスイッチ66が操作された場合に、リール表示エリア63において図柄の変動が開始されるとともに、図柄の変動期間中、表示画面エリア64において演出パターンが表示され、そして、ストップスイッチが一つ操作される度に演出パターンが変更されるようになっている。このような一連のスイッチ操作に応じて変わっていく演出パターンの組み合わせ(演出シーケンス)は、スタートスイッチ66の押下を契機に実行される抽選の結果に基づいて、変動開始直後に決定される。すなわち、実機では、スタートスイッチ66が操作された時の抽選結果に基づいて、変動開始時点で、最初に表示する演出パターン、第1停止から表示する演出パターン、第2停止から表示する演出パターン、第3停止から表示する演出パターンが決定され、その後、ストップスイッチが押されたタイミングで、前記決定された演出パターンが切り換えられて表示されていく。
【0066】
本発明のビデオ画像ファイルは、このような実機の表示画面エリア64に表示される演出パターンを動画像化した演出動画像データを含んでおり、かかる演出動画像データを再生する(ビデオフレーム画像を生成し、時系列順に表示する)ことで、演出パターンの表示をシミュレートすることができる。
【0067】
各演出パターンに対応する演出動画像データにはチャプター番号が割り振られており、演出パターンの組み合わせ(演出シーケンス)は、チャプター番号の組合せとして表される。そして、スタートスイッチ66の押下を契機に実行される抽選の結果に応じて一つの演出シーケンスが特定され、その演出シーケンスとして記録されている一連のチャプター番号の演出動画像データを順番に再生していくことにより、スタートスイッチ押下直後の演出パターン、第1停止後の演出パターン、第2停止後の演出パターン、第3停止後の演出パターンからなる一連の演出パターンの表示をシミュレートすることができる。
【0068】
図9に本実施形態におけるビデオ画像ファイルのフォーマット図を示す。当該フォーマットは一例に過ぎず種々に変形することが可能である。
【0069】
図9に示すように、ビデオ画像ファイル200は、インデックス情報201を冒頭に含み、その後に、チャプター番号202および演出動画像データ203からなるチャプタデータを所定数(ここではN個とする)含むように構成されている。
【0070】
チャプター番号202は各演出動画像データ203のヘッダとなっており、第1の外部記録媒体ドライブ44が各チャプターの頭出しをするために設けられている。演出動画像データ203は、演出パターンに対応する動画像の本体であり、上述のように、好ましくは所定の動画像圧縮フォーマット(MPEG等)に従って符号化された圧縮ファイルとして記録されている。演出動画像データは、その動画像圧縮形式に対応するデコーダで復号化され、連続したビデオフレーム画像、すなわち動画像として再生される。
【0071】
なお、後述するように、本実施形態では、演出動画像データは、該演出動画像データに基づいてアルファチャンネルを有するビデオフレーム画像が生成されるように、作成される。
【0072】
インデックス情報201は、抽選結果の結果に対応した演出シーケンスを特定する情報(演出シーケンス情報)を、所定数(ここではM個)格納するものである。一つの演出シーケンス情報は、演出シーケンス番号210と、スタート時チャプター番号211、第1停止時チャプター番号212、第2停止時チャプター番号213、第3停止時チャプター番号214で構成されている。演出シーケンス番号は、シミュレーション装置の抽選実行部(すなわち実機における抽選実行部に相当する)が乱数に基づいて決定する抽選結果に対応しており、一つの演出シーケンス番号によって、一つの役と当該役の内容に応じた演出シーケンスとが一義的に特定される。各チャプター番号211〜214は、スイッチ操作毎に変更される演出パターン(演出動画像データ203)を特定する情報である。例えば、抽選の結果、演出シーケンス番号が図9に示す「m」に決定したとすれば、スタートスイッチ66に対応する操作と同時にチャプター番号「10」の演出動画像データ203が読み込まれ、第1停止に対応する操作と同時にチャプター番号「1」の演出動画像データ203が、第2停止に対応する操作と同時にチャプター番号「8」の演出動画像データ203が、第3停止に対応する操作と同時にチャプター番号「3」の演出動画像データ203がそれぞれ読み込まれ、再生されるようになっている。
【0073】
ここで、後述するように、本実施形態のシミュレーション装置は、複数の演出動画像データ203に基づき生成した複数のビデオフレーム画像を合成して表示することができる。従って、例えばスタート時に複数の演出動画像データ203に基づいて合成表示を行う場合であれば、演出シーケンス情報は、スタート時チャプター番号211として、複数のチャプター番号を含むことになる。
【0074】
なお、処理を迅速にするために、ゲーム開示前にインデックス情報201をシミュレーション装置のメインメモリ43に読み込んでおき、シミュレーション動作中はメインメモリ43中のインデックス情報を参照するようにすることが好ましい。
【0075】
(シミュレーション装置の機能ブロック)
次に本実施形態におけるシミュレーション装置の機能ブロックを説明する。
【0076】
図5および図6は、シミュレーション装置の機能ブロック図である。
【0077】
図5に示すように、本発明のシミュレーション装置は、割当スイッチ認識部101、スイッチ割当テーブル102、シミュレーション実行部103、抽選実行部104、演出画像特定部105、画像生成部106、モデリング部107、座標変換部108、マッピング部109、画像再生部110、メモリ111、および表示制御部112を備えて構成されている。
【0078】
これらの構成のうち、スイッチ割当テーブル102はシミュレーションプログラムの一部として提供される。また、画像生成部106はCPU41の制御に基づいて動作するGPU46bによって実現され、画像再生部110はCPU41の制御に基づいて動作する画像デコーダ46a及びGPU46bによって実現され、表示制御部112はCPU41の制御に基づいて動作するディスプレイコントローラ46dによって実現される。また、メモリ111はフレームバッファ46c等に相当し、ビデオ画像ファイル200が記憶されるビデオ画像記憶部100は、第1の外部記憶媒体44aに相当している。その他の機能ブロックは、CPU41がシミュレーションプログラムを実行することにより実現される。
【0079】
(割当スイッチ認識部101)
割当スイッチ認識部101は、操作入力装置20の操作情報(スイッチコード)を実機のスロットマシンSMにおける操作情報(スイッチコード)に置き換える機能ブロックである。このように置き換える理由は、シミュレーション実行部103で実行される処理の多くが、実機のスロットマシンSMと同じ実行モジュールにより実現されているため、実機と同じ実行モジュールに対し操作情報を渡す場合に、エンターテイメント装置において利用されるスイッチコードを実機用の実行モジュールで認識されるスイッチコードに翻訳する必要があるからである。
【0080】
実機の操作スイッチと操作入力装置20の割当スイッチの対応関係は、スイッチ割当テーブル102に格納されている。例えば、前述したように、実機のMAXベットスイッチ68bには、操作入力装置20のR1ボタン24aが割り当てられ、実機の1ベット・2ベットスイッチ68aには、操作入力装置20のL1ボタン25aが割り当てられ、実機のスタートスイッチ66には、操作入力装置20の方向キー22の下方向への操作が割り当てられ、実機のストップスイッチ67L、67C、および67Rには、操作入力装置20の□ボタン23c、×ボタン23b、○ボタン23aがそれぞれ割り当てられている。
【0081】
(シミュレーション実行部103)
シミュレーション実行部103は、スロットゲームに関する各種処理を実行する機能ブロックである。図5には、シミュレーション実行部103が備える機能ブロックのうち、抽選実行部104、演出画像特定部105のみを示している。
【0082】
抽選実行部104は、ユーザによる操作入力装置20の操作が実機のスタートスイッチ66に対応した操作であった場合(例えば、方向キー22の下方向への操作)に抽選処理を実行する機能ブロックである。
【0083】
演出画像特定部105は、上記抽選処理の結果に対応した演出シーケンス番号を特定する機能ブロックである。
【0084】
上述したように、第1の外部記録媒体44aに記憶されたビデオ画像ファイル200は、インデックス情報201中に複数の演出シーケンス情報(演出シーケンス番号210、各スイッチ操作に対応する演出動画像データ203のチャプター番号211〜214)を含んでおり、演出シーケンス番号を特定することで、スタートスイッチ押下時に表示させる演出動画像データ203、第1〜第3停止時にそれぞれ表示させる演出動画像データ203が一意に決定されるようになっている。
【0085】
演出画像特定部105は、抽選結果に対応する演出シーケンス番号210を特定し、ビデオ画像ファイル200のインデックス情報201を参照して、前記特定した演出シーケンス番号210に対応付けられているチャプター番号211〜214を取得する。そして、第1の外部記録媒体ドライブ44に、これら一連のチャプター番号を指定して、対応する演出動画像データ203を順に読み込ませる。
【0086】
シミュレーション実行部103が備える他の機能ブロックについては、図6を参照して後述する。
【0087】
(画像生成部106)
画像生成部106は、スロットマシンSMの3次元CG画像を生成するための機能ブロックである。
【0088】
画像生成部106は、シミュレーション画面60に表示する画像のうち、表示画面エリア64以外の画像を総て3次元CG画像として生成する。
【0089】
具体的には、画像生成部106は、モデリング部107、座標変換部108、およびマッピング部109などの各機能ブロックを備えている。
【0090】
モデリング部107は、第1の外部記録媒体44aからRAM43に転送されたオブジェクトデータを用いて、スロットマシンオブジェクトの姿勢・配置を定めるモデリング変換を実行する。具体的には、スロットマシンSMの各部のパーツ形状を定義するポリゴンからなるオブジェクトデータに基づき、スロットマシンオブジェクトの仮想三次元空間(ワールド座標系)における姿勢と配置を定める。
【0091】
座標変換部108は、仮想三次元空間に設定された視点を基準として、モデリング変換後のスロットマシンオブジェクトに対してビューイング変換を実行し、視点を中心とする座標系に置き換える。さらに座標変換部108は、正規化座標系に変換する正規化変換を実行する。そして視点から見た画像とするために、座標変換部108は、正規化されたスロットマシンオブジェクトを所定の投影面に投影するために透視投影変換を行い、表示画面31に投影された場合のスロットマシンオブジェクトの二次元平面上の座標位置を定める。
【0092】
マッピング部109は、視点からの距離(z値)に基づいて隠線処理、隠面処理をしてから、第1の外部記録媒体44aからRAM43に転送されたテクスチャデータを参照してスロットマシンオブジェクト表面にテクスチャをマッピングし、スロットマシンSMの3次元CG画像を描画する(メモリ111上に出力フレーム画像として書き込む)。なお、必要に応じてシェーディング処理やシャドウイング処理を実行してもよい。
【0093】
例えば、リール表示エリア63に表示されるリール61L、61C、および61Rは、複数のポリゴンにより形成される3つの3次元円筒(リール)のリールオブジェクトとしてモデリングされる。該リールオブジェクトは、座標変換された後、その外周表面上に図柄列記録部78によって特定される複数種類の図柄のテクスチャ(図柄画像)がマッピングされ、その結果、リールの軸を中心とした所定角度αの範囲における表示部位を予め指定された所定の視点から仮想的に撮影した3次元CG画像として、リール61L、61C、および61Rを描画するための画像データが生成される。
【0094】
(画像再生部110)
画像再生部110は、後述する演出画像特定部105により特定され、第1の外部記録媒体44aから読み出された一連の演出動画像データ203を再生する機能ブロックである。 画像再生部110は、例えば基準フレームと差分情報とからフレームの予測を行うなど、MPEG等の動画像圧縮形式画像デコーダの標準的な機能を備えており、動画像圧縮形式の規格に準じて演出動画像データ203を復号化することができる。
【0095】
すなわち、演出画像特定部105によって抽選番号210が特定されると、画像再生部110は、インデックス情報201に含まれる演出シーケンス情報のうち、特定された抽選番号210に対応する演出シーケンス情報を参照して、その時のスイッチ操作状態に応じて、チャプター番号211〜214のいずれかに対応する演出動画像データ203を読み出す。そして、画像更新タイミング毎に演出動画像データ203を復号化してビデオフレーム画像を生成し、メモリ111に書き込む(描画する)。スイッチ操作状態は、スタートスイッチ66に相当する操作がされたのか、第1停止、第2停止、第3停止のいずれの操作がされたのかに応ずるものである。
【0096】
なお、画像再生部110によって生成されたビデオフレーム画像は、メモリ111上の出力フレーム画像が格納されるエリアとは別のエリアMに、テクスチャデータとして格納される。そして、マッピング部109は、スロットマシンオブジェクトの表示画面エリア64を構成するポリゴン表面に、テクスチャデータとしてに格納されたビデオフレーム画像をテクスチャマッピングする。これにより、表示画面エリア64に演出動画像データ203を再生した動画像がマッピングされ、表示画面エリア164以外について描画されたスロットマシンの3次元CG画像と併せて、シミュレーション画面60として表示する出力フレーム画像が完成する。
【0097】
ここで、画像再生部110は、複数の演出動画像データ203に基づく複数のビデオフレーム画像を合成表示できるように構成されている。かかる合成表示機能を利用することで、以下のような柔軟な演出を実現できる。
【0098】
例えば、図柄の変動期間中、ストップスイッチ67L、67C、67Rにそれぞれ対応するキャラクターA〜C(画像オブジェクトA〜C)を表示し、ユーザがいずれかのストップスイッチを操作した場合、対応するキャラクターを画面から消去する、といった演出を考える。
【0099】
この場合、ユーザがどのような順序でストップスイッチを操作するかは予測できないため、単一の演出動画像データ203を表示することで上記演出を実現しようとすると、起こりうる全てのパターンに対応する演出動画像データ203を用意しなければならない。
【0100】
一方、複数の演出動画像データ203の合成表示機能を利用できる場合、キャラクターごとの演出動画像データ203を組み合わせることで、上記演出を実現することができる。
【0101】
すなわち、背景を同一とする3つの演出動画像データとして、キャラクターAのみが登場する演出動画像データP、キャラクターBのみが登場する演出動画像データQ、キャラクターCのみが登場する演出動画像データRを用意する。
【0102】
そして、いずれかのストップスイッチが押下されるまでは、演出動画像データP、Q、Rの各ビデオフレーム画像を合成して表示し、例えばストップスイッチ67Lが押下された場合は、演出動画像データQ、Rの各ビデオフレーム画像を合成して表示し、また例えばストップスイッチ67Cが押下された場合は、演出動画像データP、Rの各ビデオフレーム画像を合成して表示する。
【0103】
このように複数の演出動画像データ203の各ビデオフレーム画像を組み合わせて合成表示を行うことで、任意のストップスイッチ操作に応じた動画像を柔軟に表示することができる。
【0104】
しかし、演出に登場するキャラクターを重なるように表示させたい場合、上記のように単純に複数の演出動画像データ203に基づいて合成表示したのでは、以下のような問題が生じる。
【0105】
例えば、図柄の変動期間中、キャラクターA〜Fを表示し、キャラクターA及びD、キャラクターB及びE、キャラクターC及びFがそれぞれストップスイッチ67L、67C、67Rに対応しているものとして、ユーザがストップスイッチを操作した場合、対応する2人のキャラクターを画面から消去する、といった演出を考える。
【0106】
ここで、キャラクターA〜Cは後衛キャラクター、D〜Fは前衛キャラクターであるとし、図11(a)に示すように、前衛キャラクターが後衛キャラクターの手前に重なるように表示させることを考える。図に示す例では、各キャラクターは、A、B、D、Eの並び順、及びC、B、F、Eの並び順で、奥から手前に重なるように表示されている。
【0107】
しかし、背景を同一とする3つの演出動画像データとして、キャラクターA及びDが登場する演出動画像データP、キャラクターB及びEが登場する演出動画像データQ、キャラクターC及びFが登場する演出動画像データRを用意し、これらの各ビデオフレーム画像を単純に合成表示する場合、後衛キャラクターが前衛キャラクターよりも手前に重なるような、不正確な重なり方の合成画像が生成されてしまうという問題が生じる。
【0108】
例えば、演出動画像データP、R、Qの順で各ビデオフレーム画像を描画した場合、後衛キャラクターBは、前衛キャラクターDやFよりも後に描画されるので、図11(b)に示すように、前衛キャラクターDやFよりも手前に重なるように描画されてしまう。また例えば、演出動画像データQ、R、Pの順で各ビデオフレーム画像を描画した場合、後衛キャラクターAやCは前衛キャラクターEよりも後に描画されるので、図11(c)に示すように、前衛キャラクターEよりも手前に重なるように描画されてしまう。
【0109】
そこで、本実施形態では、次のような構成を採ることにより、上記問題を解決している。
【0110】
まず、前処理として、各ビデオフレーム画像がアルファチャンネルを有するように各演出動画像データを作成し、第1の外部記録媒体44aに記憶しておく。この際、1つの演出動画像データに基づき動画表示される異なるキャラクターには、それぞれ異なるアルファ値(0以上1以下)を設定しておく。例えば、キャラクターA及びDの演出動画像データPについては、各ビデオフレーム画像においてキャラクターAとDのアルファ値が異なるように作成する。なお、このような演出動画像データを作成するのには、従来のオーサリングツール等を使用することができる。
【0111】
以下では、図10に示すフローチャートを参照して、後衛キャラクターA〜Cにはアルファ値0.5を設定し、前衛キャラクターD〜Fにはアルファ値1.0を設定して各演出動画像データを作成した場合を例として、合成画像の生成方法を説明する。なお、本明細書において、フローチャート等に示す各工程(符号が付与されていない部分的な工程を含む)は処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。
【0112】
画像再生部110は、ビデオ画像記録部44aに記憶されるビデオ画像ファイルから、合成対象の演出動画像データP、Q、Rを読み出す(S200)。
【0113】
次に、画像生成部110は、演出動画像データPに基づき、キャラクターA及びDが含まれるビデオフレーム画像ptを復号し、演出動画像データQに基づき、キャラクターB及びEが含まれるビデオフレーム画像qtを復号し、演出動画像データRに基づき、キャラクターC及びFが含まれるビデオフレーム画像rtを復号し、それぞれメモリ111の合成対象画像を格納するエリアに書き込む(S201)。図12に、各ビデオフレーム画像の例を示す。なお、添字tは、ビデオフレーム番号を表す。
【0114】
次に、画像生成部110は、ビデオフレーム画像ptのアルファチャンネルを参照して、キャラクターAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように、ビデオフレーム画像ptを描画する(メモリ111のビデオフレーム画像を格納するエリアMに書き込む)(S202)。
【0115】
図13(a)は、キャラクターAのアルファ値を含む範囲として、アルファ値が0.0を超える範囲を採用し、該範囲のアルファ値を持つ画素が不透明となるように描画した場合の例である。アルファ値が0.0を超える範囲には、キャラクターAのアルファ値のみならず、キャラクターDのアルファ値も含まれるため、キャラクターA及びDが不透明となるように(すなわち、そのまま)描画される。
【0116】
次に、画像生成部110は、ビデオフレーム画像rtのアルファチャンネルを参照して、キャラクターCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように、ビデオフレーム画像rtを描画する(メモリ111のエリアMに上書きする)(S203)。
【0117】
図13(b)は、キャラクターCのアルファ値を含む範囲として、アルファ値が0.0を超える範囲を採用し、該範囲のアルファ値を持つ画素が不透明となるように描画した場合の例である。アルファ値が0.0を超える範囲には、キャラクターCのアルファ値のみならず、キャラクターFのアルファ値も含まれるため、キャラクターC及びFが不透明となるように(すなわち、そのまま)描画される。
【0118】
次に、画像生成部110は、ビデオフレーム画像qtのアルファチャンネルを参照して、キャラクターBのアルファ値を含む範囲が不透明となるように、ビデオフレーム画像qtを描画する(メモリ111のエリアMに上書きする)(S204)。
【0119】
図13(c)は、キャラクターBのアルファ値を含む範囲として、アルファ値が0.0を超える範囲を採用し、該範囲のアルファ値を持つ画素が不透明となるように描画した場合の例である。アルファ値が0.0を超える範囲には、キャラクターBのアルファ値のみならず、キャラクターEのアルファ値も含まれるため、キャラクターB及びEが不透明となるように(すなわち、そのまま)描画される。
【0120】
次に、画像生成部110は、ビデオフレーム画像ptのアルファチャンネルを参照して、キャラクターAのアルファ値を含まずかつキャラクターDのアルファ値を含む範囲が不透明となるように、ビデオフレーム画像ptを描画する(メモリ111のエリアMに上書きする)(S205)。
【0121】
図13(d)は、キャラクターAのアルファ値を含まずかつキャラクターDのアルファ値を含む範囲として、アルファ値が0.5を超える範囲を採用し、該範囲のアルファ値を持つ画素が不透明となるように描画した場合の例である。アルファ値が0.5を超える範囲に含まれないキャラクターAは描画されず(透明となる)、一方、アルファ値が0.5を超える範囲に含まれるキャラクターDは不透明となるように(すなわち、そのまま)描画される。
【0122】
次に、画像生成部110は、ビデオフレーム画像rtのアルファチャンネルを参照して、キャラクターCのアルファ値を含まずかつキャラクターFのアルファ値を含む範囲が不透明となるように、ビデオフレーム画像rtを描画する(メモリ111のエリアMに上書きする)(S206)。
【0123】
図13(e)は、キャラクターCのアルファ値を含まずかつキャラクターFのアルファ値を含む範囲として、アルファ値が0.5を超える範囲を採用し、該範囲のアルファ値を持つ画素が不透明となるように描画した場合の例である。アルファ値が0.5を超える範囲に含まれないキャラクターCは描画されず(透明となる)、一方、アルファ値が0.5を超える範囲に含まれるキャラクターFは不透明となるように(すなわち、そのまま)描画される。
【0124】
次に、画像生成部110は、ビデオフレーム画像qtのアルファチャンネルを参照して、キャラクターBのアルファ値を含まずかつキャラクターEのアルファ値を含む範囲が不透明となるように、ビデオフレーム画像qtを描画する(メモリ111のエリアMに上書きする)(S207)。
【0125】
図13(f)は、キャラクターBのアルファ値を含まずかつキャラクターEのアルファ値を含む範囲として、アルファ値が0.5を超える範囲を採用し、該範囲のアルファ値を持つ画素が不透明となるように描画した場合の例である。アルファ値が0.5を超える範囲に含まれないキャラクターBは描画されず(透明となる)、一方、アルファ値が0.5を超える範囲に含まれるキャラクターEは不透明となるように(すなわち、そのまま)描画される。
【0126】
なお、本実施形態では、3つの演出動画像データP、Q、Rの各ビデオフレーム画像の背景が同一であるとしているので、背景の描画は、S202〜S207のいずれかの工程で少なくとも一度、行えば足りる。例えば、演出動画像データPの各ビデオフレーム画像の背景について、キャラクターAのアルファ値を含む範囲として採用した範囲(上記例では、アルファ値が0.0を超える範囲)内にアルファ値を設定しておけば(例えば、キャラクターAと同じアルファ値を設定しておけば)、S202において背景が描画されることになる。又は、背景用の演出動画像データを別途、用意し、これに基づくビデオフレーム画像を最初に描画するように構成してもよい。
【0127】
以上により、演出動画像データP、Q、Rに基づく合成画像が完成する。図13(f)に示すように、最終的に生成された合成画像において、前衛キャラクターD〜Fはいずれも、後衛キャラクターA〜Cの手前に重なるように描画されており、所望の重なり方、例えば1つのビデオフレーム画像ptに含まれるキャラクターA及びDの間に、他のビデオフレーム画像qtに含まれるキャラクターBが挟まれるような重なり方を実現することができている。
【0128】
(表示制御部112)
表示制御部112は、メモリ111に展開されている出力フレーム画像からコンポジット形式の映像信号を生成し出力することで、表示装置30の表示画面31にシミュレーション画面60を表示させる。
【0129】
以上の処理によって、表示画面エリア64にビデオ画像ファイルから再生された動画像が子画面のようにして表示されたスロットマシンのシミュレーション画面60が表示されることになる。
【0130】
(シミュレーション実行部103の機能ブロック)
図6を参照して、シミュレーション実行部103の機能ブロックを説明する。
【0131】
シミュレーション実行部103は、コイン処理部71、遊技情報記録部72、フラグ記録部73、抽選実行部104、抽選テーブル75、演出画像特定部105、停止位置決定部77a、過去位置記録部77b、および滑り制御テーブル77cを有するリール画像処理部77、図柄列記録部78、遊技結果判定部79、および特別遊技処理実行部80などを備えて構成される。
【0132】
割当スイッチ認識部101を経由して操作入力装置20から「コイン投入」に割り当てられた操作信号を受信すると、その信号はコイン処理部71に送信され、コイン処理部71は、遊技情報記録部72に記録される獲得コイン数を投入されたコイン数だけ減算して更新するとともに、投入されたコイン数が所定の値(例えば3枚)に達している場合には、フラグ記録部73におけるスタートフラグをオンにセットする。
【0133】
抽選実行部104は、上記スタートフラグがオンにセットされている状態で、操作入力装置20から「リールの回転開始」に割り当てられた操作信号(回転信号)をシミュレーション実行部103が受信したことを条件に、所定範囲(例えば0〜65535)の乱数を発生させ、抽選テーブル75に規定される乱数の数値と入賞役との対応関係に従って抽選結果(当選の有無および当選の場合の入賞役の種類)を決定する。
【0134】
そして、抽選実行部104により決定された抽選結果がいずれかの入賞役の当選である場合には、フラグ記録部73において当選した入賞役に対応する入賞役フラグがオンにセットされ、当選した入賞役に応じた演出パターンやリールの停止操作順序についてのインストラクションなどをシミュレーション画面60において表示させるために、所定の信号が演出画像特定部105に送信される。
【0135】
リール画像処理部77は、停止位置決定部77a、過去位置記録部77b、および滑り制御テーブル77cを備え、リールの変動表示のシミュレーションを実行するようになっている。このリール画像処理部77で特定されるリールの変動表示状況に応じ、リールオブジェクトが画像生成部106によりレンダリング処理される。
【0136】
図柄列記録部78には、リール61L、61C、および61R上において表示される複数種類(「赤セブン」、「白セブン」、「BAR」、「チェリー」、「カバン」、「ベル」、「リプレイ」等)の図柄のテクスチャデータと、各リールオブジェクト上における上記各テクスチャの貼り付け位置(複数位置への貼り付けを含む)を規定するテーブル形式のデータが記録されており、これらのデータに基づき、上記により生成されるリールオブジェクトの外周表面上に図柄列が配列されることになる。
【0137】
遊技結果判定部79は、リール61L、61C、および61Rについての停止動作が完了したことを条件に動作し、停止表示された9つの停止図柄の配列に基づいていずれかの入賞役が成立したか否かを判断し、成立している場合には、遊技情報記録部72に記録される獲得コイン数を成立した入賞役に応じたコイン数だけ増分して更新する処理を行う。また、成立した入賞役に応じた演出パターンを表示画面エリア64に表示させるために、所定の信号を演出画像特定部105に送信する。成立した入賞役が「BB」(有効ライン上に「赤セブン」又は「白セブン」が並んだときに成立する入賞役)や「RB」(有効ライン上に「BAR」が並んだときに成立する入賞役)などの特別役である場合には、次回以降の所定回数の遊技処理において入賞役の種類や当選確率或いは入賞役の成立時に増分される獲得コイン数が変更された特別遊技処理を実行するために、所定の信号を特別遊技処理実行部80に送信する。
【0138】
(動作の説明)
次に、本実施形態におけるシミュレーション処理を図7および8のフローチャートに基づいて説明する。
【0139】
図7は、シミュレーション装置において操作入力装置20が操作された場合のスイッチ取込ルーチンを示している。
【0140】
操作入力装置20のスイッチが押下されると、操作入力装置20は、スイッチに対応した一つのスイッチコードを出力する。装置本体10の操作入力処理部48は、操作入力装置20が出力したスイッチコードを受信すると、スイッチが押下された旨を示す割り込みリクエスト信号をCPU41に出力する。
【0141】
図7のフローチャートに示されるルーチンは、この割り込みリクエスト信号が出力された場合にコールされるプログラムであり、CPU41は、割り込みリクエスト信号が出力されると、ステップS10にジャンプし、操作入力処理部48が受信したスイッチコードを取り込み、スイッチバッファに格納して、当該ルーチンから復帰する。
【0142】
図8は、シミュレーションプログラムのメイン制御ルーチンを示している。当該メイン制御ルーチンは、妥当なタイミング(例えばフレーム期間毎)で繰り返し実行される。
【0143】
図8のステップS100において、割当スイッチ認識部101は、スイッチバッファを参照する。次いでステップS101に移行し、割当スイッチ認識部101は、何らかのスイッチコードが操作入力装置20によって出力されていたか否か(装置本体10に何らかのスイッチコードが入力されていたか否か)を判定する。スイッチコードが入力されていなかった場合(NO)、割当スイッチ認識部101は、引き続きステップS100のスイッチバッファの監視を継続する。
【0144】
一方、スイッチコードが入力されていた場合(YES)、割当スイッチ認識部101は、ステップS102に移行し、入力されたスイッチコードに対応して割り付けられている実機のスロットマシンSMにおける操作スイッチが何であるかを参照する。すなわち、割当スイッチ認識部101は、スイッチ割当テーブル102を参照して押下された操作入力装置20のスイッチに対応付けられている実機スロットマシンSMの操作スイッチが何であるかを判定する。
【0145】
次いでステップS103に移行し、シミュレーション実行部103の抽選実行部104は、割り当てられた実機スロットマシンSMの操作スイッチが抽選実行のための操作スイッチであるか否かを判定する。すなわち入力されたスイッチコードが、実機スロットマシンSMのスタートスイッチ66に対応しているか否かを判定する。スタートスイッチ66に対応していた場合(YES)、ステップS104に移行し、抽選実行部104は抽選処理を実行する。すなわち、実機スロットマシンSMにおいてスタートスイッチ66が実際に操作された場合に行うのと同じ抽選処理を実行する。
【0146】
そしてステップS105に移行し、演出画像特定部105は、抽選結果に応じて表示画面エリア64に表示すべき演出シーケンスに対応する演出シーケンス番号210を特定する。
【0147】
次いで、画像生成部110は、第1の外部記憶媒体44aに記録されたビデオ画像ファイル200のインデックス情報201を参照し、前記特定した演出シーケンス番号210に対応するチャプター番号211を取得する。そして、ビデオ画像ファイル200から、前記取得したチャプター番号211に対応する演出動画像データ203(スタートスイッチ押下時に表示される演出動画像データ203)を読み出し、再生する。
【0148】
なお、ステップS103において、抽選実行のための操作スイッチでないと判断された場合には(NO)、ステップS106に移行する。
【0149】
次いで、ステップS106において、割当スイッチ認識部101は、スイッチコードが有効停止であるか、すなわち実機スロットマシンSMのストップスイッチ61L、61C、および61Rのいずれかに対応するスイッチ操作であって、リールの変動表示期間に押下された有効な操作であるか否かが判定される。
【0150】
その結果、有効な操作であると判定される場合(YES)、すなわち第1停止、第2停止、第3停止のいずれかであると判断された場合、ステップS107に移行し、画像再生部110は、前記特定した演出シーケンス番号に対応するチャプター番号212〜214のうち、対応するものを所得する。そして、ビデオ画像ファイル200から、前記取得したチャプター番号に対応する演出動画像データ203を読み出し、再生する。すなわち、有効な操作が第1停止である場合(1回めのストップスイッチ操作がされた場合)には、第1停止に対応するチャプター番号212が参照され、対応する演出動画像データ203が読み込まれ再生される。また、有効な操作が第2停止である場合(2回めのストップスイッチ操作がされた場合)には、第2停止に対応するチャプター番号213が参照され、対応する演出動画像データ203が読み込まれ再生される。さらに、有効な操作が第3停止である場合(3回めのストップスイッチ操作がされた場合)には、第3停止に対応するチャプター番号214が参照され、対応する演出動画像データ203が読み込まれ再生される。
【0151】
なお、ステップS106において有効な操作でないと判断した場合には(NO)、演出動画像データ203を変更せずに、ステップS108に移行する。
【0152】
次いで、ステップS108において、モデリング部107は、スロットマシンオブジェクトを仮想三次元空間にモデリング変換する。このスロットマシンオブジェクトには、リールオブジェクトや表示画面エリア64も含まれる。
【0153】
次いでステップS109において、座標変換部109は、モデリング変換されたスロットマシンオブジェクトに対してビューイング変換、正規化変換、透視投影変換を実行する。
【0154】
そしてステップS110において、マッピング部109は、透視投影変換されたスロットマシンオブジェクトにテクスチャをマッピングする。このとき、リールオブジェクトのポリゴン表面には図柄テクスチャがマッピングされ、表示画面エリア64のポリゴン表面には、画像再生部110が生成・合成してテクスチャデータ化したビデオフレーム画像がマッピングされる。
【0155】
以上の処理により、スロットマシンSMの3次元CG画像のなかの表示画面エリア64に、ビデオ画像ファイルから生成・合成されたビデオフレーム画像がマッピングされたシミュレーション画面60が表示される。
【0156】
(本実施形態の利点)
本実施形態によれば、次のような利点がある。
【0157】
(1)本実施形態によれば、実機の表示画面エリアに表示される演出パターンと同じ表示内容を、該演出パターンを動画化した演出動画像データを再生することによってシミュレーション画像の表示画面エリアに表示するので、比較的処理能力が低いエンターテイメント装置であっても、実機筐体を3次元CG画像で表示することに加えて、実機の表示画面エリアの表示内容をシミュレートすることが可能となる。
【0158】
(2)本実施形態によれば、実機における抽選結果と演出シーケンスとの関係を、抽選結果に応じて定まる演出シーケンス番号と、各スイッチ操作に対応する演出動画像データのチャプター番号の組み合わせとを含む演出シーケンス情報によって表わし、かかる演出シーケンス情報をビデオ画像ファイルに格納しているので、実機と同様の関係で抽選結果に対して演出シーケンスを表示することができる。
【0159】
(3)本実施形態によれば、合成対象となる複数のキャラクターを含むビデオフレーム画像について、該ビデオフレーム画像のアルファ値に基づき該フレーム画像内の複数のキャラクターのうちマスクするキャラクターを変えて複数回、描画しているので、1つのビデオフレーム画像に含まれる2つのキャラクターの間に、他のビデオフレーム画像に含まれるキャラクターが挟まれるような重なり方を実現することができる。
【0160】
(変形例)
本発明は、上記に限定されることなく種々に変形して実施することが可能である。
【0161】
本発明の基本的な考え方は、A、Cを含む画像X、Bを含む画像Yを合成して、A、B、Cの順に重ならせたい場合に、アルファ値を利用してAがマスクされないように画像Xを描画し、次にBを含む画像Yを描画し、次にアルファ値を利用してAがマスクされかつCがマスクされないように画像Xを描画する、というものである。かかる基本的な考えに基づく態様であれば、合成表示において、1つのビデオフレーム画像に含まれるキャラクター(画像オブジェクト)の数、合成するビデオフレーム画像の数、キャラクターの重なり方などは、設計に応じて変更することができる。
【0162】
例えば、A、C、Eを含む画像Xと、B、Dを含む画像Yとを合成して、A、B、C、D、Eの順に重ならせたいのであれば、画像XにおいてA、C、Eのアルファ値が異なるようにし、画像YにおいてB、Dのアルファ値が異なるようにし、そして、アルファ値を利用してAがマスクされないように画像Xを描画し、次にアルファ値を利用してBがマスクされないように画像Yを描画し、次にアルファ値を利用してAがマスクされかつCがマスクされないように画像Xを描画し、次にアルファ値を利用してBがマスクされかつDがマスクされないように画像Yを描画し、次にアルファ値を利用してA及びCがマスクされかつEがマスクされないように画像Xを描画すればよい。
【0163】
また上記実施形態では、表示画面エリア64以外を3次元CG画像として表示する構成としているが、表示画面エリア64以外を静止画像やビデオ画像によって表示する構成としてもよい。
【0164】
また上記実施形態では、画像再生部110が生成・合成したビデオフレーム画像を表示画面エリア64のポリゴン表面にテクスチャマッピングする構成としているが、画像再生部110が生成・合成したビデオフレーム画像をそのまま動画像として表示画面エリア64に表示する構成としてもよい。
【0165】
また、上記実施形態では、演出動画像データに基づき生成したビデオフレーム画像どうしを合成する構成としているが、ビデオフレーム画像と静止画像や、静止画像どうしを合成する際に本発明を適用してもよい。
【0166】
また、上記実施形態では、エンターテイメント装置をスロットゲームのシミュレーション装置として使用する場合に本発明を適用したが、これに限定されず、パチンコ機等の他の遊技機のシミュレーション装置や、通常のゲーム装置として使用する場合に、本発明を適用してもよい。また、エンターテイメント装置以外の情報処理装置において画像を表示する際に、本発明を適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の実施形態に係るエンターテイメント装置(シミュレーション装置)の外観概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るエンターテイメント装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】シミュレーション装置の画像表示例であり、(a)はトップ画面、(b)はシミュレーション画面の表示例である。
【図4】実機のスロットマシンSMの筐体の正面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るシミュレーション装置の機能ブロック図である。
【図6】シミュレーション実行部の詳細な機能ブロック図である。
【図7】操作スイッチ取込処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係るメイン制御プログラムの処理を示すフローチャートである。
【図9】実施形態におけるビデオ画像ファイルのフォーマット例を示す図である。
【図10】ビデオフレーム画像の合成処理を示すフローチャートである。
【図11】ビデオフレーム画像を合成した場合の表示例を示す図であり、(a)は目的とする合成画像、(b)及び(c)は従来方法で合成した場合の合成画像の表示例である。
【図12】合成対象となる各ビデオフレーム画像の例を示す図である。
【図13】本発明に基づくビデオフレーム画像の合成過程を説明するための図である。
【図14】従来の画像合成方法を説明するための図であり、(a)は目的とする合成画像、(b)〜(d)は合成対象となる各画像の表示例である。
【図15】従来の画像合成方法を説明するための図であり、(a)は目的とする合成画像、(b)〜(c)は合成対象となる各画像、(d)〜(e)は従来方法で合成した場合の合成画像の表示例である。
【符号の説明】
【0168】
SM スロットマシン
1 エンターテイメント装置(シミュレーション装置)
10 装置本体
20 操作入力装置
30 表示装置
41 CPU
42 ROM
43 RAM
43a ゲームプログラム記録領域
43b ゲーム進行データ記録領域
44 第1の外部記録媒体ドライブ
44a 第1の外部記録媒体(DVD−ROM等)
45 第2の外部記録媒体ドライブ
45a 第2の外部記録媒体
46 画像処理部
46a 画像デコーダ
46b GPU
46c フレームバッファ
46d ディスプレイコントローラ
47 音声処理部
48 操作入力処理部
49 電源供給インターフェース部
60 シミュレーション画面
61 リール群
61L 左リール
61C 中リール
61R 右リール
63 リール表示エリア
64 表示画面エリア
65 メダル投入口
66 スタートスイッチ
67 ストップスイッチ群
67L 左ストップスイッチ
67C 中ストップスイッチ
67R 右ストップスイッチ
68 ベットスイッチ群
68a 1ベット・2ベットスイッチ
68b MAXベットスイッチ
100 ビデオ画像記憶部
101 割当スイッチ認識部
102 スイッチ割当テーブル
103 シミュレーション実行部
104 抽選実行部
105 演出画像特定部
106 画像生成部
107 モデリング部
108 画像変換部
109 マッピング部
110 画像再生部
111 メモリ
112 表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像オブジェクトA及びCを含み、画像オブジェクトAとCのアルファ値が異なるように設定された画像Xのデータと、画像オブジェクトBを含む画像Yのデータとを記憶する合成対象記憶手段と、
前記合成対象記憶手段を参照して画像X及び画像Yのデータを読み出し、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBを含む画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画して、合成画像を作成する合成手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画像Yは、画像オブジェクトDを含み、画像オブジェクトBとDのアルファ値が異なるように設定されており、
前記合成手段は、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBのアルファ値を含まずかつオブジェクトDのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Yを描画して、合成画像を作成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
動画像P及びQのデータを記憶する手段と、
動画像Pのフレーム画像として画像Xを生成し、動画像Qのフレーム画像として画像Yを生成し、前記生成した画像X及び画像Yのデータを前記合成対象記憶手段に書き込む手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項5】
画像オブジェクトA及びCを含み、画像オブジェクトAとCのアルファ値が異なるように設定された画像Xのデータと、画像オブジェクトBを含む画像Yのデータとを記憶する合成対象記憶手段を参照して、画像X及び画像Yのデータを読み出す工程と、
前記読み出したデータに基づき、画像オブジェクトAのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画し、次に画像オブジェクトBを含む画像Yを描画し、次に画像オブジェクトAのアルファ値を含まずかつオブジェクトCのアルファ値を含む範囲が不透明となるように画像Xを描画して、合成画像を作成する合成工程と、を備えることを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−77087(P2009−77087A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243126(P2007−243126)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】