説明

画像出力システム及び画像出力装置

【課題】 出力処理の開始タイミングを制御することができる画像出力システム及び画像出力装置の提供。
【解決手段】 画像出力装置100との通信の接続状態を確立させた後(S15)、通信装置200は画像出力装置100に対してデータを送信する(S16)。画像出力装置100にてデータを受信した場合(S17)、モードが変更されたか否かを判断し(S18)、モードが変更されていない場合(S18:NO)、出力用の画像データを生成して(S19)、出力処理を実行する(S20)。一方、モードが変更されたと判断した場合(S18:YES)、確認画面を表示すると共に、その確認画面を通じて出力要求があるか否かを判断する。出力要求がある場合、出力用の画像データを生成して、出力処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力処理の開始タイミングを制御することができる画像出力システム及び画像出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ装置、プリンタ装置、コピー装置、ファクシミリ装置等の単機能機、又は、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能若しくはファクシミリ機能等を組み合わせた複合機に該当するものとして画像出力装置が存在している。このような画像出力装置は、1台の装置を複数の利用者で利用することが多く、各利用者からの処理依頼等が重複した場合に対応するため種々の手段を講じている。また、このような画像出力装置には、利便性の向上のため、通信ネットワークに接続されていることが一般的である。この通信ネットワークへの接続には、通信方式に有線方式を適用する以外にも、配線作業の容易化等のため無線LAN等の無線方式を適用することもある。
【0003】
画像出力装置のネットワーク接続に関して、複数の印刷装置を接続したネットワークシステムを構築し、各利用者からの印刷に関する問い合わせに対して、条件に適した印刷装置を抽出して表示し、複数の利用者による使用及び複数のジョブの受付に対応する印刷処理システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、通信ネットワークを有線及び無線の回線で構築したものとしては複数路通信端末が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この複数路通信端末は、有線回線と接続可能な有線回線通信制御部、及び無線回線と接続可能な無線回線通信制御部を有し、予め設定した条件又は回線使用状態に応じて有線又は無線のいずれの回線に自動切替して通信を行うことにより、種々の通信状況及び使用状況に対応するものである。なお、複数路通信端末自体は画像形成機能を有していないが、複数路通信端末のような通信装置を、通信手段を具備しない画像形成装置と接続することで、当該画像形成装置は外部との通信を実現できる。
【特許文献1】特開平11−353140号公報
【特許文献2】特開平9−247037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有線にて画像形成装置に接続された情報処理装置から印刷データを送信する場合、その情報処理装置にインストールされたプリントドライバにて各種設定を行った後、印刷データの送信を行う。また、印刷データを送信する前に出力イメージを確認することも可能である。しかしながら、携帯電話機のような通信装置から無線通信にてデータを送信し、画像形成装置に出力処理を実行させる場合には、まず、通信装置にて出力しよとするデータを選択し、選択したデータを画像形成装置に送信する。そして、画像形成装置がデータを受信した場合、そのデータから出力イメージを作成して出力処理を開始する。
【0006】
このように、通信装置からデータを送信して出力処理を行う場合には、画像形成装置がデータを受信した段階で処理が開始される構成となるため、出力するデータの内容を確認する機会がなくなり、目的のデータが出力されているか否かを利用者が判断することが困難になるという問題点を有している。通信装置の表示部に事前に表示して、出力するデータを確認した上で送信することも考えられるが、一般に、携帯電話機が備えている表示部はその表示範囲が狭いためデータの全体を一度に表示できない場合があり、また、全体を表示する場合には画像が縮小されるため細部を確認することが困難であるという問題点を依然として有している。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、画像データを受信した場合に出力処理を開始する第1のタイミング、又は実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択する構成とすることにより、データを受信した時点で出力処理を開始する従来の処理の流れを確保しつつ、出力要求を受付けるまで待機することによって利用者による確認を行わせることも可能とした画像出力システム及び画像出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像出力システムは、画像データを送信する送信装置と、該送信装置から送信された画像データを受信し、受信した画像データに基づいて出力処理を実行する画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、前記画像出力装置は、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記送信装置から送信された画像データを受信した場合に該画像データに基づく出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に前記画像データに基づく出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、画像データを受信した場合に出力処理を開始する第1のタイミング、又は実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしているため、第1のタイミングにて出力処理を開始する場合にはデータを受信した段階で開始され、第2のタイミングで出力を開始する場合には実行要求があるまで待機される。
【0010】
本発明に係る画像出力システムは、データを送信する送信装置と、該送信装置から送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて出力用の画像データを生成し、生成した画像データに基づいて出力処理を行う画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、前記画像出力装置は、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記送信装置から送信されたデータを受信した場合に該データから画像データを生成して出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、画像データを受信した場合に出力処理を開始する第1のタイミング、又は実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしているため、第1のタイミングにて出力処理を開始する場合にはデータを受信した段階で開始され、第2のタイミングで出力を開始する場合には実行要求があるまで待機される。
【0012】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、前記実行要求を受付ける際、前記画像データを表示する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、実行要求を受付ける際には画像データを表示するようにしているため、出力しようとしている画像の内容の確認機会を利用者に与える。
【0014】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、前記開始タイミングの変更要求を受付ける手段を備え、該手段にて前記変更要求を受付けた場合、前記制御手段は、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、出力処理の開始タイミングに関して変更要求を受付けた場合、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしているため、例えば、データを受信した時点で出力処理を開始する第1のタイミングで処理することを優先させつつ、データの確認が必要となる場合にのみ、第2のタイミングに切替えるような操作が可能となる。
【0016】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、前記画像データに基づく出力処理を前記第1のタイミングにて開始するようにしてあり、前記変更要求を受付けた場合、前記制御手段は、前記第2のタイミングに切替えるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、受信したデータを第1のタイミングにより出力するようにしてあり、変更要求を受付けた場合に第2のタイミングに切替えるようにしているため、データを受信した時点で出力処理を開始する第1のタイミングで処理することを優先させつつ、データの確認が必要となる場合にのみ、第2のタイミングに切替えるような操作が可能となる。
【0018】
本発明に係る画像出力システムは、前記送信装置は、無線通信によりデータを送信するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、送信装置は、無線通信によりデータを送信するようにしてあるため、送信装置として携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)を用いることが可能となる。
【0020】
本発明に係る画像出力システムは、前記送信装置は、携帯電話機であることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、送信装置として携帯電話機を用いているため、携帯電話機を含んだ画像出力システムを構築することができ、利用範囲を広げることができる。
【0022】
本発明に係る画像出力装置は、外部から送信された画像データを受信し、受信した画像データに基づいて出力処理を実行する画像出力装置において、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、画像データを受信した場合に該画像データに基づく出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に前記画像データに基づく出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、画像データを受信した場合に出力処理を開始する第1のタイミング、又は実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしているため、第1のタイミングにて出力処理を開始する場合にはデータを受信した段階で開始され、第2のタイミングで出力を開始する場合には実行要求があるまで待機される。
【0024】
本発明に係る画像出力装置は、外部から送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて出力用の画像データを生成し、生成した画像データに基づいて出力処理を行う画像出力装置において、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、データを受信した場合に該データから画像データを生成して出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
本発明にあっては、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、画像データを受信した場合に出力処理を開始する第1のタイミング、又は実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしているため、第1のタイミングにて出力処理を開始する場合にはデータを受信した段階で開始され、第2のタイミングで出力を開始する場合には実行要求があるまで待機される。
【0026】
本発明に係る画像出力装置は、前記実行要求を受付ける際、前記画像データを表示する手段を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明にあっては、実行要求を受付ける際には画像データを表示するようにしているため、出力しようとしている画像の内容の確認機会を利用者に与える。
【0028】
本発明に係る画像出力装置は、前記開始タイミングの変更要求を受付ける手段を備え、該手段にて前記変更要求を受付けた場合、前記制御手段は、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしてあることを特徴とする。
【0029】
本発明にあっては、出力処理の開始タイミングに関して変更要求を受付けた場合、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしているため、例えば、データを受信した時点で出力処理を開始する第1のタイミングで処理することを優先させつつ、データの確認が必要となる場合にのみ、第2のタイミングに切替えるような操作が可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明による場合は、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、画像データを受信した場合に出力処理を開始する第1のタイミング、又は実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしている。したがって、第1のタイミングにて出力処理を開始する場合にはデータを受信した時点で処理を開始することができ、一方、第2のタイミングで出力を開始する場合には実行要求があるまで待機するため、出力するデータの確認機会を利用者に与えることができる。
【0031】
本発明による場合は、実行要求を受付ける際には画像データを表示するようにしている。したがって、出力しようとしているデータの確認機会を利用者に与えることができる。
【0032】
本発明による場合は、出力処理の開始タイミングに関して変更要求を受付けた場合、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしている。したがって、例えば、データを受信した時点で出力処理を開始する第1のタイミングで処理することを優先させつつ、データの確認が必要となる場合にのみ、第2のタイミングに切替えるような操作を受付けることができる。
【0033】
本発明による場合は、受信したデータを第1のタイミングにより出力するようにしてあり、変更要求を受付けた場合に第2のタイミングに切替えるようにしている。したがって、データを受信した時点で出力処理を開始する第1のタイミングで処理することを優先させつつ、データの確認が必要となる場合にのみ、第2のタイミングに切替えるような操作を受付けることができる。
【0034】
本発明による場合は、送信装置は、無線通信によりデータを送信するようにしている。したがって、送信装置として携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)を用いることが可能となる。
【0035】
本発明による場合は、送信装置として携帯電話機を用いているため、携帯電話機を含んだ画像出力システムを構築することができ、利用範囲を広げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係る画像出力システムの全体構成を示す模式図である。図中100は、原稿の画像を読取って用紙上に画像形成を行うコピー機能、外部から受信したデータに基づいて用紙上に画像形成を行うプリンタ機能を有する画像出力装置であり、図に示していないパーソナルコンピュータから送信された印刷ジョブを受信して印刷処理を行うと共に、携帯電話機のような携帯型の通信装置200から送信されたデータを受信して印刷処理を行えるようにしている。
【0037】
通信装置200が画像出力装置100に対して送信するデータは、デジタルスチルカメラ等で撮像された画像データ、及び商用アプリケーションで作成された文書データ等である。これらのデータは、例えば、メモリカードのような記録媒体M(図2参照)を通じて通信装置200の内部に取込まれるか、又は利用者の操作指示により通信装置200の内部にて作成される。通信装置200の内部に取込まれたデータ、及び内部にて作成されたデータに基づいて出力処理を行う場合には、通信装置200は当該データを無線通信により画像出力装置100へ送信する。
【0038】
画像出力装置100は、受信したデータに基づく出力処理の開始タイミングに関して2つのモードを有している。1つは、データを受信した時点で出力処理を開始するモード(以下、第1モードと称する)であり、他の1つは、受信したデータを表示パネル113に表示することにより利用者に確認を促し、利用者による確認がとれた段階で出力処理を開始するモード(以下、第2モードと称する)である。本実施の形態では、第1モードによる処理を優先して行い、出力処理を実行する前にモードの変更要求を受付けた場合にのみ第2モードによる処理を行うように構成されている。
【0039】
図2は画像出力装置100及び通信装置200の内部構成を示すブロック図である。本画像出力装置100は、出力処理に関する制御を行う制御部101と外部から入力されたデータに基づいて制御を行う制御部111とを備えている。制御部101,111は、各種の演算処理を実行するCPU、制御プログラムを予め格納したROM、CPUによる演算処理の際に生成されるデータを一時的に記憶するRAMを備えている。CPUが制御プログラムをRAMにロードして実行することにより、制御部101,111に接続された各種ハードウェアを制御し、本発明に係る画像出力装置として機能するように構成されている。
【0040】
制御部101に接続されているハードウェアとしては、画像読取部102、通信部103、記憶部104、画像形成部105が挙げられる。
【0041】
画像読取部102は、読取用の原稿に光を照射する光源、CCD(Charge Coupled Device)のようなイメージセンサ、AD変換器等を備えており(不図示)、所定の読取り位置にセットされた原稿の画像を当該イメージセンサに結像させてアナログ電気信号に変換し、得られたアナログ電気信号をAD変換器によりAD変換する。そして、AD変換して得られたデジタル信号に対して、原稿読取時の光源の配光特性、イメージセンサの感度ムラ等の補正を施すことによりデジタル形式の画像データを生成する。
【0042】
通信部103は、外部にパーソナルコンピュータのような情報処理装置を接続するための通信インタフェースを備えており、接続された情報処理装置から送信された印刷ジョブを受信するとともに、情報処理装置へ通知すべき情報を送信する。通信部103ではこのような各種データの送受信の制御を行う。
【0043】
記憶部104は、例えば、半導体メモリである。この記憶部104には、画像読取部102にて原稿の画像を読取って取得した画像データ、通信部103にて受信した印刷ジョブ、後述するユーザインタフェース部110か出力される画像データ等が一時的に記憶される。
【0044】
画像読取部102及びユーザインタフェース部110を通じて入力された画像データは画像形成部105へ送出され、画像形成部105にて出力処理が行われる。また、通信部103を通じて入力された印刷ジョブは、制御部101によって画像データに展開された後、画像形成部105へ送出され、出力処理が行われる。
【0045】
画像形成部105は、例えば、感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙上に転写する転写器等(不図示)を備えており、電子写真方式にて利用者が所望する画像をシート上に形成する。
なお、電子写真方式の画像形成部105を備える構成としたが、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式の画像形成部を備える構成であっても良いことは勿論である。
【0046】
また、前述したハードウェアに加えて、利用者による操作を受付けると共に、通信装置200からのデータを受信するために、制御部111、操作パネル112、表示パネル113、無線通信部114、記憶部115、管理部116を備えたユーザインタフェース部110を備えている。
【0047】
操作パネル112は、利用者からの操作指示を受付けるための各種操作キーを備えた操作部と、利用者に対して報知すべき情報を表示する表示部とからなる。操作部では、出力枚数、出力濃度等の設定値、機能の切替操作、又は出力開始指示等の利用者の指示を受付ける。また、表示部では、操作部を通じて入力された各種の設定値、画像出力装置の動作状況等を表示する。
【0048】
無線通信部114は、通信装置200と無線通信を行うために所定の通信方式に準拠した通信インタフェースを備えており、当該通信方式にて接続状態を確立した通信装置200との間にて各種情報の送受信を行えるようにしている。無線通信部114にて受信する情報には、通信装置200から送信される画像データ、文書データ等のデータが含まれる。
【0049】
無線通信部114にて受信したデータは、揮発性のメモリである記憶部115にて一時的に記憶される。無線通信部114にて受信したデータが記憶部115に一時的に記憶された場合、制御部111はそのデータから出力用の画像データを生成する。例えば、記憶したデータが文書データである場合、制御部111は、その文書をPDL(Page Description Language)で記述したデータ、すなわち、画像形成部105にて解釈できる画像データに変換する。記憶したデータが画像データである場合も同様である。
【0050】
管理部116では、書換え可能な不揮発性のメモリにより構成されており、その記憶容量の一部は、出力処理の開始タイミングに関するモードを管理するモード管理テーブルとして利用されている。図3はモード管理テーブルの一例を示す概念図である。前述したように、本実施の形態では、出力処理の開始タイミングに関するモードとして、データを受信した時点で出力処理を開始する第1モードと、受信したデータを表示パネル113に表示することにより利用者に確認を促し、利用者による確認がとれた段階で出力処理を開始する第2モードとが存在する。モード管理テーブルでは、第1モード及び第2モードの夫々に対してフラグを立てることにより、設定されているモードの状況を管理できるようにしている。制御部111は、これらのフラグを排他的に切替えることによって第1モード又は第2モードの何れか一方を選択できるようにしている。
【0051】
以下、通信装置200の内部構成について説明する。通信装置200は、制御部201、操作部202、表示部203、無線通信部204、記憶部205、メモリカードIF206を備えている。制御部201は、各種の演算処理を実行するCPU、制御部プログラムを格納したROM、CPUによる演算中に生成される各種データを記憶するRAMからなる。
【0052】
操作部202は、利用者からの指示を受付けるための各種操作キーを備えており、各種情報の入力、データの送信先の設定等を受付けるようにしている。表示部203は、液晶ディスプレイを備えており、通信装置200の動作状況、操作部202を通じて入力された各種の設定値、利用者に対して通知すべき情報等を表示する。
【0053】
無線通信部204は、画像出力装置100と無線通信を行うために所定の通信方式に準拠した通信インタフェースを備えており、当該通信方式にて接続状態を確立した後に各種情報の送受信を行えるようにしている。無線通信部204から送信する情報には、画像出力装置100により出力処理を行わせるためのデータが含まれる。
【0054】
メモリカードIF206は、メモリカードのような可搬型の記録媒体Mを装着するためのカードスロット、記録媒体Mの装着の有無を検出する検出回路、装着された記録媒体Mに対してデータの読込処理及び書込処理を実行するインタフェース回路を備えており、パーソナルコンピュータ等を利用して外部で作成されたデータを記録媒体Mを介して通信装置200の内部に取込めるようにしている。メモリカードIF206を通じて取込んだデータは、半導体メモリにより構成された記憶部205に記憶される。
【0055】
以下、通信装置200から画像出力装置100へデータを送信して出力処理を実行させる際の処理について説明する。図4及び図5は本画像出力システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。通信装置200の制御部201は、データを画像出力装置100へ送信して出力処理を実行させる際に、まず、画像出力装置100に対して接続要求を送信する(ステップS11)。
【0056】
画像出力装置100の制御部111は、適宜の時間間隔にて無線通信部114を監視することにより、通信装置200からの接続要求があるか否かを判断しており(ステップS12)、接続要求がないと判断した場合(S12:NO)、接続要求があるまで待機する。また、通信装置200からの接続要求があると判断した場合(S12:YES)、その接続要求に対して応答信号を通信装置200へ送信する(ステップS13)。
【0057】
通信装置200の制御部201は、画像出力装置100に対して接続要求を送信した後、適宜の時間間隔にて無線通信部204を監視することにより、応答信号を受信したか否かを判断する(ステップS14)。画像出力装置100からの応答信号を受信していないと判断した場合(S14:NO)、制御部201は処理をステップS11に戻す。また、応答信号を受信した場合(S14:YES)、通信装置200と画像出力装置100との間の接続状態が確立される(ステップS15)。そして、通信装置200の制御部201は、無線通信部204を通じてデータを画像出力装置100へ送信する(ステップS16)。
【0058】
画像出力装置100の制御部111は、通信装置200から送信されたデータを受信した場合(ステップS17)、モードが変更されたか否かを判断する(ステップS18)。モードの変更は、操作パネル112にて所定の操作を受付けることによって実行される構成であってもよく、通信装置200を通じてモードの変更要求を受付けた場合に変更される構成であってもよい。また、通信装置200からの接続要求を受信した場合、又は通信装置200からのデータを受信した場合、モードの変更が可能である旨を利用者に対して報知し、モード変更の要否を確認するようにしてもよい。
【0059】
モードが変更されていないと判断した場合(S18:NO)、第1モードにて処理を行うため、出力用の画像データを生成し(ステップS19)、生成した画像データを記憶部104経由で画像形成部105へ転送することによって出力処理を実行する(ステップS20)。
【0060】
一方、モードが変更されたと判断した場合(S18:YES)、出力しようとしているデータの確認を利用者に促すために確認画面を表示パネル113に表示する(ステップS21)。図6は確認画面の一例を示す模式図である。確認画面には受信したデータから生成された出力イメージ113cが表示される。利用者はこの確認画面の表示内容によって、出力しようとしている画像が目的のものであるか否かを確認することができる。また、確認画面の上側部分には出力要求を受付けるための実行ボタン113aと、出力処理をキャンセするためのキャンセルボタン113bとが配置されており、利用者による選択を受付けることができるようにしている。
【0061】
次いで、制御部111は出力要求を受付けたか否かを判断する(ステップS22)。前述した確認画面において実行ボタン113aが押下操作された場合、すなわち、出力要求を受付けた場合(S22:YES)、出力用の画像データを生成し(ステップS23)生成した画像データを記憶部104経由で画像形成部105へ転送することによって出力処理を実行する(ステップS24)。そして、制御部111はモードを第1モードに変更して(ステップS25)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0062】
また、出力要求を受付けていない場合(S22:NO)、制御部111は、処理のキャンセルを行うか否かを判断する(ステップS26)。キャンセルを行わないと判断した場合(S26:NO)、処理をステップS22へ戻す。前述した確認画面においてキャンセルボタン113bが押下操作された場合、すなわち、処理のキャンセルを行うと判断した場合(S26:YES)、制御部111はキャンセル処理を実行する(ステップS27)。キャンセル処理では、記憶部115にて一時的に保持されているデータを無効化する処理等を行う。キャンセル処理の実行後、制御部111は、モードを第1モードに変更して(S25)、本フローチャートによる処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施の形態に係る画像出力システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】画像出力装置及び通信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】モード管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図4】本画像出力システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【図5】本画像出力システムにて実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【図6】確認画面の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0064】
100 画像出力装置
101 制御部
102 画像読取部
105 画像形成部
110 ユーザインタフェース部
111 制御部
112 操作パネル
113 表示パネル
114 無線通信部
115 記憶部
116 管理部
200 通信装置
201 制御部
202 操作部
203 表示部
204 無線通信部
205 記憶部
206 メモリカードIF
M 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを送信する送信装置と、該送信装置から送信された画像データを受信し、受信した画像データに基づいて出力処理を実行する画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、
前記画像出力装置は、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記送信装置から送信された画像データを受信した場合に該画像データに基づく出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に前記画像データに基づく出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする画像出力システム。
【請求項2】
データを送信する送信装置と、該送信装置から送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて出力用の画像データを生成し、生成した画像データに基づいて出力処理を行う画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、
前記画像出力装置は、出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、前記送信装置から送信されたデータを受信した場合に該データから画像データを生成して出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする画像出力システム。
【請求項3】
前記画像出力装置は、前記実行要求を受付ける際、前記画像データを表示する手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像出力システム。
【請求項4】
前記画像出力装置は、前記開始タイミングの変更要求を受付ける手段を備え、該手段にて前記変更要求を受付けた場合、前記制御手段は、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の画像出力システム。
【請求項5】
前記画像出力装置は、前記画像データに基づく出力処理を前記第1のタイミングにて開始するようにしてあり、前記変更要求を受付けた場合、前記制御手段は、前記第2のタイミングに切替えるようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の画像出力システム。
【請求項6】
前記送信装置は、無線通信によりデータを送信するようにしてあることを特徴とする請求項2乃至請求項5の何れか1つに記載の画像出力システム。
【請求項7】
前記送信装置は、携帯電話機であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の画像出力システム。
【請求項8】
外部から送信された画像データを受信し、受信した画像データに基づいて出力処理を実行する画像出力装置において、
出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、画像データを受信した場合に該画像データに基づく出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に前記画像データに基づく出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする画像出力装置。
【請求項9】
外部から送信されたデータを受信し、受信したデータに基づいて出力用の画像データを生成し、生成した画像データに基づいて出力処理を行う画像出力装置において、
出力処理の実行要求を受付ける受付手段と、出力処理の開始タイミングを制御する制御手段とを備え、該制御手段は、データを受信した場合に該データから画像データを生成して出力処理を開始する第1のタイミング、又は前記受付手段にて実行要求を受付けるまで待機した後に出力処理を開始する第2のタイミングの何れか一方を選択するようにしてあることを特徴とする画像出力装置。
【請求項10】
前記実行要求を受付ける際、前記画像データを表示する手段を備えることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の画像出力装置。
【請求項11】
前記開始タイミングの変更要求を受付ける手段を備え、該手段にて前記変更要求を受付けた場合、前記制御手段は、一方のタイミングから他方のタイミングに切替えるようにしてあることを特徴とする請求項8乃至請求項10の何れか1つに記載の画像出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−74237(P2006−74237A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−253038(P2004−253038)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】