説明

画像取得装置、画像取得システム、および対物光学系

【課題】 高い解像力を有し、かつ、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる対物光学系を提供すること。
【解決手段】 対物光学系400は、物体を結像する結像光学系40と、物体の像を再結像する再結像光学系70と、結像光学系40と再結像光学系70との間の光路上に配置されている反射手段60と、を有しており、反射手段60の光軸方向(Z方向)の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対物光学系に関し、例えば、病理標本の画像データを取得する画像取得装置に用いられる対物光学系に好適である。
【背景技術】
【0002】
近年の病理検査において、画像取得装置により病理標本(試料)を撮像して画像データを取得し、それをディスプレイ上に表示して観察する画像取得システムが注目されている。画像取得システムによれば、試料の画像データを複数人で同時に観察することや、それを遠方の病理医と共有することなどが可能となる。
【0003】
画像取得装置において、対物レンズの視野内に収まらない大きな試料を観察する場合、試料を水平方向に移動させて複数回撮像、もしくはスキャンしながら撮像して取得した画像データをつなぎ合わせることで、試料全体の画像データを取得する必要がある。そのため、撮像回数を減らして画像データを取得する時間を短縮するために、広い視野(撮像領域)を持った対物光学系が求められている。さらに、試料を観察する上では、広い撮像領域を持つだけでなく、可視光領域において高い解像力を持った対物光学系が必要となる。
【0004】
高い解像力を得るためには、対物光学系の開口数(NA)を大きくする必要があるが、NAを大きくすると焦点深度は浅くなってしまう。また、試料の表面に深さ方向の凸凹がある場合、対物光学系により形成される試料の像も凸凹形状になってしまう。よって、特に高い解像力を持ち、かつ広い撮像領域を持った対物光学系では、撮像領域内の一部でフォーカスの合わない部分が生じてしまうことになる。
【0005】
ここで、特許文献1では、撮像面を変形させることにより、撮影レンズの像面湾曲を補正することができる撮像装置が提案されている。この撮像装置では、複数個の光電変換素子の各々を駆動することにより、像面湾曲に応じて撮像面を変形させている。また、特許文献2においては、変形可能な鏡により、波面の歪みを補正することが可能な装置が開示されている。この装置では、眼の波動収差の測定値に基づいて鏡を変形させることにより、その収差を補正している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−208775号公報
【特許文献2】特表2001−507258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の撮像装置においては、光電変換素子に対する読み出し用の電気回路や、撮像面の変形のための駆動回路が必要となる。さらに、画像データのノイズを低減するために光電変換素子の冷却を行う場合は、温調用の素子や電気回路等の冷却機構も備える必要がある。そのため、特に光電変換素子の各々に駆動回路を設ける構成の場合、それに加えて冷却機構を各々に配置することは空間的に難しくなる。また、試料の凸凹に対するフォーカス調整のためには撮像面をより大きく変形する必要があるが、このような構成において十分な変形を可能にする駆動回路を設けるには、さらに広い空間を要する。よって、特許文献1における撮像装置のような構成では、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができ、かつ高画質(低ノイズ)の画像データを得るには十分ではない。
【0008】
また、特許文献2の装置は波面を調整する機構を備えているが、その調整は光学系の瞳位置で行われているため、このような機構をそのまま画像取得装置に適用して、試料の凸凹による撮像領域内のフォーカスのずれの分布を補正することはできない。また、試料の像面位置におけるフォーカス調整のためには、収差補正に対する鏡の駆動時よりも大きな駆動量が必要となる。よって、特許文献2における装置のような構成では、広い撮像領域の全域で良好にフォーカスを合わせるには十分ではない。
【0009】
そこで本発明は、高い解像力を有し、かつ、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる対物光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための、本発明の一側面としての対物光学系は、物体を結像する結像光学系と、前記物体の像を再結像する再結像光学系と、前記結像光学系と前記再結像光学系との間の光路上に配置されている反射手段と、を有しており、前記反射手段の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更可能であることを特徴とする。
【0011】
本発明の更なる目的またはその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い解像力を有し、かつ、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる対物光学系を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る画像取得システムの要部概略図である。
【図2】本発明の反射手段によるフォーカス調整方法の説明図である。
【図3】実施例1の対物光学系の要部概略図である。
【図4】実施例2の対物光学系の要部概略図である。
【図5】実施例3の対物光学系の要部概略図である。
【図6】実施例4の対物光学系の要部概略図である。
【図7】実施例5の対物光学系の要部概略図である。
【図8】実施例6の対物光学系の要部概略図である。
【図9】実施例7の対物光学系の要部概略図である。
【図10】実施例8の対物光学系の要部概略図である。
【図11】本発明の反射手段のチルトによるフォーカス調整方法の説明図である。
【図12】本発明の実施形態に係る反射手段の駆動機構の要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明するが、本発明は以下に限られるものではない。
【0015】
図1は、画像取得システム1000の要部概要図である。画像取得システム1000は、試料の画像を取得する画像取得装置3000と、取得した画像を表示する画像表示部2000とを備えている。画像取得装置3000は、試料を含むプレパラート30の予備計測を行う予備計測部200と、プレパラート30を撮像する本撮像部300と、予備計測部と本撮像部の制御および撮像画像の処理を行う画像処理・制御部500とを有する。
【0016】
以下、本実施形態に係る画像取得装置3000における画像取得の手順について説明する。
【0017】
まず、試料を含むプレパラート30が撮像ステージ20に保持され、予備計測部200に配置される。そして、予備計測光源110からの光束がビームスプリッター120によって偏向させられ、プレパラート30を照射する。プレパラート30を透過した光束はXY位置計測センサ100に入射し、そこで計測されたプレパラート30における試料の大きさや、XY方向の位置などのデータが画像処理・制御部500に送信される。XY位置計測センサ100としては、市販のCCDカメラなどを用いることができる。一方、プレパラート30で反射した光束は、ビームスプリッター120を透過してZ形状計測センサ130に入射する。このZ形状計測センサ130により、プレパラート30内の試料の各XY位置におけるZ方向の位置データ(Z形状)を計測し、それを画像処理・制御部500に送信する。なお、Z形状計測センサ130としては市販のシャック・ハルトマンセンサなどを用いることができる。画像処理・制御部500は、送信されたプレパラート30の予備計測データ(試料のXY位置、大きさ、Z形状)をメモリに保持しておく。なお、予備計測部200はこのような構成に限るものではなく、例えば、XY方向の位置とZ形状の計測を、別の位置で別の光源を用いて行ってもよい。予備計測が終了したら、プレパラート30を保持した撮像ステージ20は、予備計測部200から本撮像部300へと移動する。
【0018】
本撮像部300においは、光源手段(不図示)からの光が照明光学系10に入射し、この照明光学系10によってプレパラート30が均一に照明される。この時、光源手段の光としては、例えば、波長400nm〜波長700nmの可視光を用いることができる。そして、プレパラート30における試料からの光束は、対物光学系400に入射する。ここで、本実施形態における対物光学系400は、結像光学系40、ビームスプリッター50、反射手段(反射ミラー)60、および再結像光学系70を有している。試料からの光束はビームスプリッター50を介して、結像光学系40により反射手段60の近傍に試料の像を形成する。そして、この試料の像を成す光束が反射手段60によって反射され、再びビームスプリッター50を通って結像光学系40の光路外へ偏向させられる。この偏向させられた光束が再結像光学系70に入射し、試料の像が撮像素子80の撮像面上に再結像される。ここで、反射手段60の局所的な位置や傾きは変更可能となっており、それが予備計測データに応じて画像処理・制御部500により制御されることで、撮像領域全域で撮像素子80の撮像面上に像面位置が合わせられる(詳細は後述)。
【0019】
なお、結像光学系40は1回のみ結像するものとは限らず、複数回結像することによって試料の像を形成する構成としてもよい。例えば、反射屈折光学系のように、反射手段60近傍に試料を結像する過程で、中間像を形成するものなどを用いることができる。すなわち、本発明に係る対物光学系400においては、結像光学系40による最終的な結像位置近傍において反射手段60により光束を反射させ、その光束が再結像光学系70を介して再結像する構成であればよく、その結像回数は問わないものとする。また、再結像光学系70は、結像光学系40により形成された試料の像を、所定の横倍率で拡大して再結像する拡大系であることが好ましい。
【0020】
そして、撮像素子80の撮像面上に再結像された試料を撮像し、取得した撮像情報を画像処理・制御部500で処理することで画像データが生成され、その画像データを画像表示部2000に表示することができる。また、画像処理・制御部500では、対物光学系400で補正しきれなかった収差の補正や、複数の画像データをつなぎ合わせて一枚の画像データを生成する処理など、用途に応じた処理が行われる。
【0021】
次に、反射手段60によって結像光学系40の像面位置を変更することにより、フォーカスを調整する方法について説明する。
【0022】
図2は、結像光学系40によって形成される試料の一部分に対する結像点の位置と、反射手段60においてその光束を反射する部分の反射面との位置関係を模式的に示した図である。図2(a)のように、結像光学系40の結像点の後方(+Z方向)L1の位置に反射手段を配置した場合、その反射面で反射された光束により、反射手段位置の後方L1の位置に見掛け上の像点が形成される。一方、図2(b)のように、結像光学系40の結像点の前方(−Z方向)L2の位置に反射手段を配置した場合、光束は反射面で反射されてから、反射手段位置の前方L2の位置に見掛け上の像点を形成する。このように、光路上に反射手段を配置することにより、結像光学系40により形成される像の結像位置(像面位置)を変えることができる。
【0023】
ここで、試料の形状にZ方向の凸凹があった場合、結像光学系40の結像点の位置は、試料の撮像領域内のXY位置によって変わってしまうため、結像光学系40のみでは平坦な試料の像を形成することができない。すなわち、結像光学系40の像面位置に撮像素子80を配置したとしても、撮像領域全域でフォーカスの合った画像を得ることはできないことになる。そのため、撮像素子80の撮像面の位置を再結像光学系70の像面位置として配置し、それと共役になる位置(再結像光学系70の物体位置)と結像光学系40の見掛け上の像面位置とを一致させる必要がある。言い換えれば、再結像光学系70により再結像される試料の像の再結像位置が、撮像素子80の撮像面上に一致するように調整する必要がある。そこで、図2で説明したように、反射手段60を駆動して、その反射面の各領域が、結像光学系40の各結像点の位置と、再結像光学系70の各物点の位置との中間位置に一致するように調整する。具体的には、反射手段60を変形させるか、または反射手段60を複数の反射部材で構成して各反射部材の位置や傾きを変更するかによって、反射手段60の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に調整する。このような方法により、再結像光学系70の物体位置と結像光学系40の見掛け上の像面位置を一致させることができ、再結像された試料の像を撮像素子の撮像面上に形成するようにフォーカスを調整することができる。
【0024】
上述したように、本実施形態に係る対物光学系400は、反射手段60を結像光学系40と再結像光学系70との間の光路上に配置し、結像光学系40で結像される光束が反射手段60で反射して、再結像光学系70を介して再結像される構成になっている。ここで、再結像光学系70を、所定の横倍率を有する拡大系であるとした場合、結像光学系40で形成された試料の像は、その横倍率で拡大されて再結像される。また、再結像光学系70に対してある物点を光軸方向に移動させた時、対応する像点の移動量は縦倍率(横倍率の2乗)に従って拡大されることになる。よって、結像光学系40の結像位置を反射手段60の駆動により変更した場合は、再結像光学系70の縦倍率でその変位量が拡大されて、より大きい変位量で再結像位置が変更される。すなわち、再結像光学系70として拡大系を用いることで、従来技術のように撮像面を大きく変位させるための機構が不要となり、反射手段60の変位量を小さくしても良好にフォーカス合わせを行うことができる。
【0025】
以上より、本実施形態に係る対物光学系400によれば、試料の凸凹形状に合わせて反射手段60の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更することで、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる。
【0026】
次に、反射手段60に対する駆動機構について、図12を用いて説明する。本実施形態においては、反射手段60の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更する方法として、反射手段の変形、または、複数の反射部材を有する反射手段の位置や傾きの変更を想定している。
【0027】
まず、反射手段60の変形を行うための駆動機構について説明する。図12(a)は、反射手段60および、その形状を変化させるための駆動機構の構成を示す断面図である。反射手段60は、反射作用を奏する反射面60aと、反射面60aに対向する裏面としての背面60bとを有する。この反射手段60は、その形状が物理的に変化可能であるように構成されるが、熱変形を防止するために低熱膨張材料を使用することが望ましい。ベース610は、画像取得装置3000内で位置が固定されている基板である。反射手段60の変形のための駆動機構は、複数対の駆動棒612およびアクチュエータ611から構成される。駆動棒612は、その一端が反射手段60の背面60bに固定され、または接触しており、アクチュエータ611によってZ方向に駆動することができる。このアクチュエータ611によって、駆動棒612を介して反射手段60に変形力を加えることができるため、各アクチュエータを駆動することにより反射手段60を所望の形状に変化させることができる。ここで、駆動棒612についても、低熱膨張特性を持つ高剛性材料を用いることが望ましい。また、アクチュエータ611としては、リニアモータ、電磁石、圧電素子等を用いることができる。なお、駆動機構の配置は、撮像素子の配置や反射手段60の目標表面形状等に応じて適宜決定される。このような駆動機構を用いることで、反射手段60の形状を変化させ、その光軸方向(Z方向)の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更することができる。よって、予備計測部200で計測した試料のZ方向の凸凹形状に合わせて、反射手段60の形状を変化させることで、撮像素子の撮像面上に物体の像を形成し、その撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる。
【0028】
次に、複数の反射部材を有する反射手段の位置や傾きの変更を行うための駆動機構について説明する。図12(b)は、反射手段60が複数の反射部材620を有する場合の上面図である。複数の反射部材620は、撮像素子が複数配置されている場合、夫々が各撮像素子と対応するように配置され、その数も撮像素子と対応するように適宜決定される。本実施形態では、説明を分かり易くするために、3×3個の反射部材620がXY方向に並んでいるものを想定する。図12(c)は、図12(b)のB−B断面矢視図である。反射部材620の夫々には、駆動機構としての接続部材621および駆動部材(シリンダ)622が設けられている。また、各反射部材620における駆動部材622は、定盤623上に設けられている。なお、本実施形態における接続部材621および駆動部材は、各反射部材620に3つずつ設けられているとする(図12(c)では、そのうちの手前の2つのみを図示している)。このような駆動機構を設けることで、各駆動部材622の制御によって各反射部材620の光軸方向(Z方向)の位置を変更できるとともに、夫々の傾きを変更することも可能となる。すなわち、反射手段60の光軸方向(Z方向)の位置および傾きの少なくとも一方を局所的に変更することができることになる。したがって、反射手段60における複数の反射部材620の夫々を駆動することにより、それに対応する各撮像素子の撮像面上に物体の像を形成し、その撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる。
【0029】
上述したように、対物光学系400における反射手段60の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更することにより、試料の結像位置を調整することができる。また、本実施形態に係る画像取得装置3000では、反射手段60と撮像素子80が空間的に異なる位置に配置されているため、反射手段60の駆動機構や、撮像素子80における電気回路や温調機構などの配置を好適に行うことができる。
【0030】
以上より、本実施形態に係る対物光学系400によれば、広い撮像領域の全域でフォーカスが合った高画質(低ノイズ)の画像データを得ることができる。
【0031】
以下、本発明における対物光学系400の構成について、各実施例で詳細に説明する。
【0032】
[実施例1]
図3は、実施例1における対物光学系400の要部概略図である。図3(a)は、対物光学系400を−Y方向から+Y方向へ見た概略図であり、図3(b)は、対物光学系400を−Z方向から+Z方向へ見た概略図(結像光学系401は不図示)である。
【0033】
図3において、401は結像光学系、501はビームスプリッター、601は反射手段、701は再結像光学系、801は撮像素子である。また、図3(b)において、801’(破線)は、撮像素子801の撮像領域に対応する反射手段601上での範囲を示している。
【0034】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、ビームスプリッター501を介して、反射手段601の近傍に試料の像を形成する。そして、試料の像を成す光束が反射手段601で反射され、再びビームスプリッター501を通り、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた光束は再結像光学系701により、撮像素子801の撮像面上に試料の像を再結像する。ここで、反射手段601は、再結像光学系701によって再結像される試料の像が撮像素子801の撮像面上に一致するように、試料のZ方向の凸凹形状に合わせて変形させられる。これにより、撮像領域全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。
【0035】
[実施例2]
図4は、実施例2における対物光学系400の要部概略図である。なお、図4において図3と同じ部材には同符号を付している。図4(b)において、801’〜809’(破線)は、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域に対応する反射手段601上での範囲である。実施例2の構成は実施例1と略同じであるが、複数の撮像素子801〜809を配置している点で実施例1と異なっている。
【0036】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、ビームスプリッター501を介して、反射手段601の近傍に試料の像を形成する。そして、試料の像を成す光束が反射手段601で反射され、再びビームスプリッター501を通り、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた光束は、再結像光学系701により各撮像素子801〜809の撮像面上に試料の像を再結像する。ここで、反射手段601は、再結像光学系701によって再結像される試料の像が撮像素子801〜809の撮像面上に一致するように、試料のZ方向の凸凹形状に合わせて変形させられる。これにより、撮像素子801〜809で撮像される領域の全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。
【0037】
実施例2では、複数の撮像素子801〜809を配置したことにより、より広い撮像領域全域でフォーカスが合った画像データを得ることができる。しかし、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域間に撮像できない領域が生じる場合、取得した画像データにも隙間が生じてしまう。そこで、その撮像できない領域を埋めるように、試料の位置をXY方向に移動してステップしながら撮像する。そのとき、反射手段601の形状を、各撮像位置における試料のZ方向の凸凹形状に合わせて、1ステップごとに異なる形状に変化させる。そして、各ステップで取得した画像データを、画像処理・制御部500でつなぎ合わせることで、隙間のない1枚の画像データを生成することができる。
【0038】
[実施例3]
図5は、実施例3における対物光学系400の要部概略図である。なお、図5において図3または図4と同じ部材には同符号を付している。501〜504(実線)はビームスプリッター、701〜704は再結像光学系、801’〜804’(破線)は、撮像素子801〜804の夫々の撮像領域に対応する反射手段601上での範囲である。実施例3の構成は、実施例2と比較すると、複数のビームスプリッター501〜504、および複数の再結像光学系701〜704を有しており、その夫々が複数の撮像素子801〜804の夫々と対応するように配置されている点で異なる。
【0039】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、ビームスプリッター501〜504の夫々を介して、反射手段601の近傍に試料の像を形成する。そして、試料の像を成す光束が反射手段601で反射され、再びビームスプリッター501〜504の夫々を通り、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた各光束は、再結像光学系701〜704の夫々により、各撮像素子801〜804の撮像面上に試料の像を再結像する。
【0040】
ここで、反射手段601は、再結像光学系701〜704によって再結像される試料の像が撮像素子801〜804の撮像面上に一致するように、試料のZ方向の凸凹形状に合わせて変形させられる。これにより、撮像素子801〜804で撮像される領域の全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。なお、撮像素子801〜804の夫々の撮像領域間の撮像できない領域については、実施例2と同様に、試料の位置をXY方向に移動してステップしながら撮像し、取得した画像データをつなぎ合わせることで、隙間のない1枚の画像データを生成することができる。
【0041】
以上、実施例3では複数のビームスプリッター501〜504を配置したことにより、より小型のビームスプリッターで広い撮像領域を撮像することができる。これはビームスプリッターの製造難易度が下がる点で有利である。また、結像光学系401と反射手段601の間の距離(結像光学系401のバックフォーカス)を小さくでき、かつ、撮像領域の1つ1つが小さくなるので、再結像光学系も小型化することができるため、対物光学系400の設計難易度が下がる点で有利である。
【0042】
[実施例4]
図6は、実施例4における対物光学系400の要部概略図である。なお、図6において図3〜図5のいずれかと同じ部材には同符号を付している。501〜508(実線)はビームスプリッター、509および510は平行平板ガラス、701〜709は再結像光学系、801’〜809’(破線)は、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域に対応する反射手段601上での範囲である。実施例4の構成は、実施例3と比較して、複数のビームスプリッター、再結像光学系、および撮像素子の夫々の数が増加している。さらに、撮像素子809の撮像領域に対応する反射手段上の範囲809’においては開口が設けられており、平行平板ガラス509、510を備えている点で実施例3とは異なっている。
【0043】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、そのうち撮像素子801〜808の撮像領域内の各光束は、ビームスプリッター501〜508の夫々を介して、反射手段601の近傍に試料の像を形成する。そして、試料の像を成す光束が反射手段601で反射され、再びビームスプリッター501〜508の夫々を通り、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた各光束は再結像光学系701〜708の夫々により、各撮像素子801〜808の撮像面上に試料の像を再結像する。
【0044】
また、試料からの光束のうち撮像素子809の撮像領域内の光束は、平行平板ガラス509を通り、反射手段601上の範囲809’に設けられた開口の近傍に試料の像を形成する。そして、開口を通過した光束は平行平板ガラス510を通り、再結像光学系709により撮像素子809の撮像面上に試料の像を再結像する。ここで、平行平板ガラス509および510を配置しているのは、開口を通過する光束と、ビームスプリッター501〜508を通過する光束との光路長を合わせるためである。このように、撮像素子809の撮像領域内である反射手段601の中央における光束のみ開口を通過させることで、各撮像領域に対して好適に光束を入射させることができる。なお、平行平板ガラスを設けずに、撮像素子809の撮像面上に試料の像を再結像させるために、再結像光学系709として、再結像光学系701〜708とは異なる光学系を用いる構成としてもよい。
【0045】
実施例4におけるフォーカス合わせの手順は、まず撮像素子809の撮像領域内の光束が撮像素子809の撮像面上に結像されるように、試料の光軸方向の位置(Z位置)および光軸に対する傾き(XYチルト位置)を合わせる。ここで、その最適なXYチルト位置は、予備計測で取得した試料の撮像素子809の撮像領域内の形状より、最小二乗法などによって求められ、試料を保持する不図示のステージによって調節することができる。そして、この位置を基準として、反射手段601の変形を行う。具体的には、試料におけるZ方向の凸凹形状に合わせて、再結像光学系701〜708によって再結像される試料の像が撮像素子801〜808の撮像面上に一致するように変形させる。これにより、撮像素子801〜809で撮像される領域の全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。
【0046】
なお、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域間の撮像できない領域については、実施例2と同様に、試料の位置をXY方向に移動してステップしながら撮像する。そのとき、試料の位置・傾き、および反射手段601の形状は、各撮像位置における試料のZ方向の凸凹形状に合わせて、1ステップごとに変更される。そして、各ステップで取得した画像データは、画像処理・制御部500でつなぎ合わせることで、隙間のない1枚の画像データを生成することができる。
【0047】
以上、実施例4では複数のビームスプリッター501〜508を配置したことにより、実施例3と比較して、より小型のビームスプリッターで広い撮像領域を撮像することができる。これにより、ビームスプリッターの製造難易度をより下げることができる。また、結像光学系401のバックフォーカスをより小さくすることができ、かつ、撮像領域の1つ1つがより小さくなるので、再結像光学系もより小型化することができるため、対物光学系400の設計難易度が下がる点で有利である。
【0048】
[実施例5]
図7は、実施例5における対物光学系400の要部概略図である。図7において図6と同じ部材には同符号を付している。501〜504(実線)はビームスプリッターである。実施例5の構成は、実施例4と比較すると、隣り合う複数のビームスプリッター501〜508の夫々を、直方体のビームスプリッター501〜504としてまとめている点で異なっている。
【0049】
実施例5における試料からの光束の光路、フォーカス合わせおよび画像データ生成の方法・手順は、実施例4と略同じである。しかし、実施例5では、複数の撮像領域に対応する複数のビームスプリッターが、直方体のビームスプリッター501〜504としてまとめられている。このことにより、ビームスプリッターの保持機構、および位置調整をより簡単にすることができ、対物光学系400の組立製造難易度が下がる点で有利である。
【0050】
[実施例6]
図8は、実施例6における対物光学系400の要部概略図である。図8において図6と同じ部材には同符号を付している。実施例6の構成は、実施例4と比較すると、反射手段601における開口および平行平板ガラス509〜510を無くし、新たにビームスプリッター511(実線)を設けた点で異なっている。このビームスプリッター511は、撮像素子809の撮像領域に対する光束の光路を好適に偏向するために、ビームスプリッター501〜508とは結像光学系401の光軸方向(Z方向)において異なる位置に配置されている。
【0051】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、撮像素子801〜808および809の撮像領域内の各光束は、ビームスプリッター501〜508および511の夫々を介して、反射手段601の近傍に試料の像を形成する。そして、試料の像を成す光束が反射手段601で反射され、再びビームスプリッター501〜508および511の夫々を通り、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた各光束は再結像光学系701〜709の夫々により、各撮像素子801〜809の撮像面上に試料の像を再結像する。このように、撮像素子809の撮像領域内である反射手段601の中央における光束のみ、Z方向の異なる位置に配置したビームスプリッターで偏向させることで、各撮像領域に対して好適に光束を入射させることができる。
【0052】
ここで、反射手段601は、再結像光学系701〜709によって再結像される試料の像が撮像素子801〜809の撮像面上に一致するように、試料のZ方向の凸凹形状に合わせて変形させられる。これにより、撮像素子801〜809で撮像される領域の全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。なお、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域間の撮像できない領域については、実施例2と同様に、試料の位置をXY方向に移動してステップしながら撮像し、取得した画像データをつなぎ合わせることで、隙間のない1枚の画像データを生成することができる。
【0053】
以上、実施例6では、ビームスプリッター501〜508とはZ方向に異なる位置に配置したビームスプリッター511により、撮像素子809の撮像領域における光束の光路を偏向させている。このことにより、撮像素子809の撮像領域においても、試料のZ位置やXYチルト位置の調整だけではなく、反射手段601の変形による、より細かいフォーカス合わせが可能となる点で有利である。
【0054】
[実施例7]
図9は、実施例7における対物光学系400の要部概略図である。図9において図6と同じ部材には同符号を付している。実施例7の構成は、実施例4と比較すると、反射手段が複数の反射部材601〜608を有している点で異なっている。
【0055】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、そのうち撮像素子801〜808の撮像領域内各の光束は、ビームスプリッター501〜508の夫々を介して、各反射部材601〜608の近傍に試料の像を形成する。そして、試料の像を成す光束が反射部材601〜608の夫々で反射され、再びビームスプリッター501〜508の夫々を通り、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた各光束は再結像光学系701〜708の夫々により、各撮像素子801〜808の撮像面上に試料の像を再結像する。試料からの光束のうち、撮像素子809の撮像領域内の光束は実施例4と同様の光路を通り、撮像素子809の撮像面上に再結像する。
【0056】
実施例7におけるフォーカス合わせの手順は、まず撮像素子809の撮像領域内の光束が撮像素子809の撮像面上に結像されるように、実施例4と同じように試料の光軸方向の位置(Z位置)および光軸に対する傾き(XYチルト位置)を合わせる。そして、この位置を基準として、反射部材601〜608の夫々のZ位置およびXYチルト位置の変更を行う。具体的には、試料におけるZ方向の凸凹形状に合わせて、再結像光学系701〜708によって再結像される試料の像が撮像素子801〜808の撮像面上に一致するように変更する。これにより、撮像素子801〜809で撮像される領域の全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。なお、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域間の撮像できない領域については、実施例2と同様に、試料の位置をXY方向に移動してステップしながら撮像し、取得した画像データをつなぎ合わせることで、隙間のない1枚の画像データを生成することができる。
【0057】
以上、実施例7では反射手段として複数の反射部材601〜608を配置したことにより、反射手段を変形させることなく、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせることができる。これは反射手段の形状制御機構が不要になり、空間的な配置が容易になる点で有利である。
【0058】
[実施例8]
図10は、実施例8における対物光学系400の要部概略図である。図10において図9と同じ部材には同符号を付している。実施例8の構成は、実施例7と比較すると、ビームスプリッターを配置せずに、反射手段である複数の反射部材601〜608の夫々を45°ミラーとし、この反射部材601〜608によって結像光学系の光路外へ光束を偏向させている点で異なっている。
【0059】
プレパラート30における試料からの光束は結像光学系401に入射し、そのうち撮像素子801〜808の撮像領域内の各光束は、各反射部材601〜608の近傍に試料の像を結像する。そして、試料の像を成す光束が反射部材601〜608の夫々で反射され、結像光学系401の光路外へと偏向させられる。偏向させられた各光束は再結像光学系701〜708の夫々により、各撮像素子801〜808の撮像面上に試料の像を再結像する。
【0060】
ここで、反射手段における各反射部材601〜608をチルトさせて、フォーカスを調整する方法を説明する。図11は、結像光学系401の結像点の位置と、1つの反射部材における反射面との位置関係を模式的に示した図である。図11(a)のように、反射部材の角度が結像光学系401の光軸(Z軸)に対して45°の場合、結像光学系401の像面は反射部材によって90°回転される。一方、図11(b)のように、反射部材の角度が45°に対して+δだけチルトすると、それに応じて見掛け上の像面位置もチルトする。よって、この関係を利用して、反射部材601〜608の夫々をチルトさせることにより、再結像光学系701〜708の物体位置と結像光学系401の見掛け上の像面位置のチルト成分を一致させることができる。これにより、再結像光学系701〜708の像面位置のチルト成分を撮像素子801〜808の撮像面上に合わせることができる。なお、この時、反射部材のチルトにより光束の進行方向も変化するが、これに対しては再結像光学系701〜708の光路内におさまるように、再結像光学系701〜708のNAを十分に確保することが望ましい。
【0061】
また、試料からの光束のうち撮像素子809の撮像領域内の光束は、反射部材601〜608に囲まれた範囲809’の近傍に像を結像し、さらに再結像光学系709により撮像素子809の撮像面上に試料の像を再結像する。
【0062】
実施例8におけるフォーカス合わせの手順は、実施例7と同じように、まず撮像素子809に対するフォーカス合わせを行い、その位置を基準として他の反射部材601〜608の夫々のZ位置およびXYチルト位置の調整を行う。これにより、撮像素子801〜809で撮像される領域の全域でフォーカスが合った画像データを取得することができる。なお、撮像素子801〜809の夫々の撮像領域間の撮像できない領域については、実施例2と同様に、試料の位置をXY方向に移動してステップしながら撮像し、取得した画像データをつなぎ合わせることで、隙間のない1枚の画像データを生成することができる。
【0063】
以上、実施例8では、ビームスプリッターを配置することなく、広い撮像領域の全域でフォーカスを合わせている。これは光量の確保が容易になる点で有利である。
【0064】
[その他の実施例]
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0065】
まず、上述したいずれの実施例においても、反射手段の駆動によって撮像領域全域のフォーカスを合わせているが、さらに撮像素子の駆動を組み合わせてもよい。すなわち、撮像領域内におけるフォーカスずれの分布は、反射手段の駆動によって調整し、撮像領域内で一律のフォーカスずれについては、撮像素子を光軸方向に駆動して合わせるようにしてもよい。
【0066】
実施例2では、1つのビームスプリッターに対して1つの再結像光学系を有しているが、ビームスプリッターからの光束が各撮像素子に再結像すればよく、例えば再結像光学系を複数備えた構成としてもよい。また、複数の撮像素子に対して、1枚の反射手段の変形によりフォーカス合わせを行っているが、実施例7のように複数の反射部材を設けて、夫々の光軸方向の位置や傾きを変更する構成としてもよい。
【0067】
実施例5では、2つの撮像素子領域に対して1つの直方体のビームスプリッターを用いているが、各再結像光学系を通して試料からの光束を各撮像素子の撮像面上に結像することができれば、この構成に限られない。すなわち、各部材を好適に配置し、3つ以上の撮像領域に対応する直方体のビームスプリッターを用いた構成としてもよい。また、実施例5のような直方体のビームスプリッターを、実施例3、実施例6または、実施例7に適用してもよい。すなわち、本実施形態においては、複数のビームスプリッターの夫々により偏向させられた光束の夫々は、複数の再結像光学系のうち少なくとも1つ(1つ以上)の再結像光学系に入射する構成となる。
【0068】
実施例7では、撮像素子809に対応する範囲809’においても反射部材を配置し、かつ実施例6のように、結像光学系の光軸方向(Z方向)の異なる位置にビームスプリッターを配置して撮像する構成としてもよい。さらに、実施例7および8では、各反射部材の位置や傾きの変更に加え、夫々の形状を変化させてより細かいフォーカス合わせを行ってもよい。
【0069】
また、いずれの実施例においても、配置する撮像素子の数を1〜9個としているが、それ以上の数を配置してもよい。その場合、撮像素子の数に合わせてビームスプリッターおよび再結像光学系の数や、反射手段における反射部材の数を増やすことで、上述した実施例と同様にフォーカス合わせをすることができる。この時、実施例6のように、各ビームスプリッターをZ方向の異なる位置に配置することにより、夫々の撮像領域に対して光束が入射するように、好適に偏向させることができる。なお、実施例8に関しては、ビームスプリッターの代わりに各反射部材をZ方向の異なる位置に配置することで、好適に光束を偏向させることができる。
【0070】
ここで、撮像素子を奇数個配置した場合は、実施例4または5のように、反射手段の中央に開口を設けた構成としてもよく、これにより各撮像領域に対して好適に光束を入射させることができる。この構成では、開口を通過して反射手段およびビームスプリッターを介さない光束を受光する、1つの撮像素子を設けている。すなわち、この1つの撮像素子の撮像面上にフォーカスが合う位置を基準とした上で、反射手段の形状または位置・姿勢を変更させることにより、他の撮像領域においても好適にフォーカス合わせをすることができる。なお、実施例7および8のように複数の反射部材を奇数個配置する場合も、中央部分には反射部材を配置せずに、この開口を通過して反射部材を介さない光束を受光する1つの撮像素子を設けることができる。すなわち、この1つの撮像素子の撮像面上にフォーカスが合う位置を基準とした上で、各反射部材の位置や傾きを変更することにより、各撮像領域において好適にフォーカス合わせをすることができる。
【0071】
上述したように、実施例4、5および実施例7、8では、反射手段に設けられた開口を光束が通過し、さらに平行平板ガラスを介して再結像光学系に入射し、撮像素子の撮像面上に試料の像を再結像している。これに対して、この開口を通過する光束を受光する撮像素子を、反射手段の開口部分に配置する構成としてもよい。このような配置をすることにより、前述したような平行平板ガラスおよび再結像光学系を設けずに、この撮像素子に試料を結像することができる。また、上記で説明したような、各ビームスプリッターや各反射部材をZ方向の異なる位置に配置する構成と、反射手段に開口を設けた構成とを組み合わせてもよい。
【0072】
なお、実施例2〜8においては、大画面をステップ撮像しているが、本発明は大画面をスキャンする画像取得装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
30 プレパラート
40 結像光学系
50 ビームスプリッター
60 反射手段
70 再結像光学系
80 撮像素子
400 対物光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を結像する結像光学系と、
前記物体の像を再結像する再結像光学系と、
前記結像光学系と前記再結像光学系との間の光路上に配置されている反射手段と、を有しており、
前記反射手段の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更可能であることを特徴とする対物光学系。
【請求項2】
前記反射手段の形状を変化させることにより、前記反射手段の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の対物光学系。
【請求項3】
前記反射手段は複数の反射部材を有しており、
該複数の反射部材の夫々の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の対物光学系。
【請求項4】
前記再結像光学系は所定の横倍率を有する拡大系であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の対物光学系。
【請求項5】
前記結像光学系と前記反射手段との間に配置され、前記反射手段により反射された光束を前記結像光学系の光路外へ偏向させるビームスプリッターを有しており、
前記再結像光学系は、該ビームスプリッターにより偏向させられた光束によって前記物体の像を再結像するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の対物光学系。
【請求項6】
前記再結像光学系を複数有していることを特徴とする請求項5に記載の対物光学系。
【請求項7】
前記ビームスプリッターを複数有しており、
該複数のビームスプリッターの夫々により偏向させられた光束の夫々は、前記複数の再結像光学系のうち少なくとも1つの再結像光学系に入射することを特徴とする請求項6に記載の対物光学系。
【請求項8】
前記複数のビームスプリッターは、前記結像光学系の光軸方向の異なる位置に配置されているビームスプリッターを有することを特徴とする請求項7に記載の対物光学系。
【請求項9】
前記反射手段には開口が設けられ、
前記複数のビームスプリッターは、該開口を通過する光束の光路上以外に配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載の対物光学系。
【請求項10】
前記再結像光学系を複数有しており、
前記反射手段には開口が設けられ、前記複数の反射部材は該開口を通過する光束の光路上以外に配置されており、
前記複数の再結像光学系の夫々は、前記複数の反射部材の夫々により反射された光束によって前記物体の像を再結像することを特徴とする請求項3に記載の対物光学系。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の対物光学系と、
前記対物光学系により結像された前記物体を撮像する撮像素子と、を備えており、
前記物体の形状に応じて前記反射手段の光軸方向の位置および光軸に対する傾きの少なくとも一方を局所的に変更することにより、前記物体の像を前記撮像素子の撮像面上に形成することを特徴とする画像取得装置。
【請求項12】
前記撮像素子を複数有することを特徴とする請求項11に記載の画像取得装置。
【請求項13】
請求項11または12に記載の画像取得装置と、
前記画像取得装置で取得した前記物体の画像データを表示する画像表示部と、を備えることを特徴とする画像取得システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−44781(P2013−44781A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180362(P2011−180362)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】