説明

画像圧縮装置、および画像圧縮方法

【課題】直交変換演算において使用されるメモリ(直交変換演算の中間結果を保持するメモリのサイズ)を低減することができる画像圧縮装置を提供する。
【解決手段】本発明の画像圧縮装置では、垂直重複直交変換処理部31により、8×16のハーフブロック0,1,2のサイズで分割されたデータに対し、垂直方向に直交変換演算処理を行い、8×8のデータとして中間メモリ部32内の中間メモリ0,1,2にそれぞれ格納する。次に、水平重複直交変換処理部33により、中間メモリ0,1,2から隣接する2つのデータ(16×8)を読み出して、水平方向に直交変換演算処理を行い、8×8の圧縮データを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサから入力された画像を非可逆圧縮する、画像圧縮装置、および画像圧縮方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像の圧縮方式としてはJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が一般的に知られている。
【0003】
図5は、JPEG方式の画像圧縮装置の概略構成を示すブロック図である。JPEGでは、まず、画像データメモリ11に保存されたフレーム画像を、ブロック化部20Aにより、8×8(横8画素×縦8ライン)等の所定のブロックサイズの画像入力データを画像データメモリ等から読み出しブロック化する。
【0004】
図6は、画像データのブロック化の例を示す図である。図に示すように、画像入力データの最初の8ライン(ライン0〜ライン7)の開始8画素(画素0〜画素7)をブロック0として処理し、次に画素8から画素15のブロックをブロック1として処理を行う。ここで、この例では1ラインがn×8画素(nは整数)から構成されているとする。このとき、次の8ライン(ライン8〜ライン15)の開始8画素をブロックnとして処理する。
【0005】
次にブロック化されたデータを、図5に示す二次元直交変換部30Aにより空間周波数データに変換する。直交変換としてはJPEGでは二次元DCT(Discrete Cosine Transfer)を使用する。さらにこの空間周波数データを量子化部40Aにより所望の量子化パラメータで除算を行い有効数字を削減する。そして、量子化部40Aにより削減された量子化結果に対し、エントロピー符号化部50Aでは発生頻度の高いデータを短い符号長に割り当てる変換を行っている。
【0006】
以上の構成により、画像入力データの非可逆圧縮を行っている。この場合に、前述の量子化パラメータを変更し、除算量を多くすることにより、より有効数字を削減し、高い圧縮率を実現することができる。しかし、JPEGでは圧縮率を高くする場合、伸張時にブロック間の画像の差異が大きくなるブロック歪みが発生する。この様な課題に対し、従来技術の符号化データ処理装置に示されるように、二次元直交変換部30Aに重複直交変換(LOT)を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0007】
重複直交変換を用いた圧縮方式においても、装置の基本構成はJPEGの場合と同様に図5に示す構成となる。重複直交変換方式では、隣接するブロックがそれぞれ重複した領域を持つ様にブロック化し圧縮を行う。
【0008】
図7は、重複直交変換におけるブロック化の例を示す図である。図7(A)が水平方向(ラスタスキャン方向に平行な方向)に重複する例である。この場合、ブロック0では最初の16ラインの16画素(画素0〜画素15)のデータがブロック化される。次に隣接するブロック1では8画素分ずらし画素8から画素23のデータがブロック化される。すなわち、8画素分(画素8〜画素15)が重複している。同様にブロック1と隣接するブロック2(図示せず)についても8画素ずつ重複する。
【0009】
次に、図7(B)は、垂直方向に重複する例を示している。この場合、ブロック0に隣接するブロックnは、8ライン分ずらしたライン8からライン23のデータがブロック化される。水平方向と同様に、8ライン分(ライン8〜ライン15)が重複する。
【0010】
次に、図8に、水平および垂直の重複直交変換処理の例を示す。図8(A)に水平方向の重複直交変換処理の例を示す。前述の様にブロック0とブロックnは重複して処理が行われる。これらのそれぞれのブロックに対し直交変換処理を行う。この時、16×16(16画素×16ライン)に対し水平方向直交変換を行った結果は16×8のブロックとなる。
【0011】
図8(B)に垂直方向の重複直交変換の処理を示す。水平方向と同様にブロック0とブロック1は重複して処理が行われる。それぞれのブロックの16×8の画素データに対し直交変換処理を行い、8×8サイズの結果データが得られる。なお、伸張時にはそれぞれのブロックが16×16画素の画像となり、重複部分を重畳することによりブロックノイズの無い画像を出力することができる。
【0012】
図9に、前述の特許文献1において開示されている重複直交変換を用いる二次元直交変換部30Aのブロック図を示す。この二次元直交変換部30Aにおける処理動作を、図10に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0013】
この例では、重複直交変換のブロックサイズ(16ライン)のライン数を1ブロックラインとして、重複直交変換はブロックライン単位で処理する構成となっている。
【0014】
まず、前段のブロック化部20Aから二次元DCT部31Aに対し、ブロックライン0のデータが入力され、二次元DCT部31Aでは、ブロックライン0について、DCT処理を行い、処理結果を一次元重複直交変換部32Aに入力する(ステップS101)。一次元重複直交変換部32Aでは、水平方向の圧縮処理を行い(ステップS102)、その結果をバッファメモリAに書き込む(ステップS103)。
【0015】
次に、二次元DCT部31Aにブロックライン1のデータが入力され、二次元DCT部31Aでは、ブロックライン1について、DCT処理を行い、処理結果を一次元重複直交変換部32Aに入力する(ステップS111)。一次元重複直交変換部32Aでは、水平方向の圧縮処理を行い(ステップS112)、その結果をバッファメモリBに書き込む(ステップS113)。
【0016】
次に、一次元重複直交変換部32Aは、バッファメモリAに保存されたブロックライン0の水平処理結果のデータを読み出し(ステップS121)、また、バッファメモリBに保存されたブロックライン1の水平処理結果のデータを読み出し(ステップS122)、これらのデータに対し垂直方向の直交変換処理を行い(ステップS123)、その処理結果を量子化部40Aに出力する。
【0017】
続いて、二次元DCT部31Aにブロックライン2のデータが入力され、二次元DCT部31Aでは、ブロックライン2について、DCT処理を行い、処理結果を一次元重複直交変換部32Aに入力する(ステップS131)。一次元重複直交変換部32Aでは、水平方向の圧縮処理を行い(ステップS132)、その結果をバッファメモリAに書き込む(ステップS133)。
【0018】
次に、一次元重複直交変換部32Aは、バッファメモリAに保存されたブロックライン2の水平処理結果のデータを読み出し(ステップS141)、また、バッファメモリBに保存されたブロックライン1の水平処理結果のデータを読み出し(ステップS142)、これらのデータに対し垂直方向の直交変換処理を行い(ステップS143)、その処理結果を量子化部40Aに出力する。
【0019】
以上の処理動作を繰り返すことにより、図8に示す従来の二次元直交変換部30Aでは、入力画像データに対して、二次元重複直交変換を実行している。
【特許文献1】特開平04−227163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ところで、前述した特許文献1の従来技術の装置では、水平と垂直の重複直交変換処理を行うにあたり、ライン長をnとするとブロックラインサイズ(16ライン)のバッファメモリ2面(16×n×2)を使用している。このため、バッファメモリサイズが大きくなるという問題があり、また、バッファメモリサイズが大きいため、画像圧縮装置における消費電力が増大するという問題があった。
【0021】
また、一次元重複直交変換部においては、水平処理(横方向の圧縮処理)と、垂直処理(縦方向の圧縮処理)とを交互に、1ラインごと、または1列ごとに行っており、その分演算速度が低下するという問題があった。
【0022】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、本発明の第1の目的は、直交変換演算において使用されるバッファメモリ(直交変換演算の中間結果を保持するメモリのサイズ)を低減することができる、画像圧縮装置および画像圧縮方法を提供することにある。
【0023】
また、本発明の第2の目的は、重複直交変換部における垂直処理(縦方向の圧縮処理)と、水平処理(横方向の圧縮処理)とを並行に行うことにより、直交変換演算の速度を向上させることができる画像圧縮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の画像圧縮装置は、ラスタスキャンされた画像入力データをラスタスキャンの方向に対して垂直方向と水平方向の2段階に分けて重複直交変換を行うために、前記画像入力データを所定のブロック単位に分割するブロック化部と、前記ブロック単位の画像入力データに対し、ラスタスキャンの方向に対して垂直な方向に重複直交変換演算を行い、演算結果を記憶部に保存する第1の直交変換部と、前記第1の直交変換部による演算結果を前記記憶部から読み出し、ラスタスキャンの方向に対して水平な方向に重複直交変換演算を行う第2の直交変換部と、を有することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の画像圧縮装置は、前記ブロック化部は、重複直交変換を行うブロックサイズに対し、その水平方向が重複量である1/2のブロックサイズとなるように画像データのブロック化を行い、前記記憶部は、水平方向および垂直方向のサイズが前記重複量のサイズとなる複数の分割記憶部から構成されること、を特徴とする。
【0026】
また、本発明の画像圧縮装置は、前記第2の直交変換部は、水平方向の重複直交変換を行う際に、前記分割記憶部から同一データを複数回読み出して直交変換演算を行うこと、を特徴とする。
【0027】
また、本発明の画像圧縮装置は、前記第1の直交変換部における重複直交変換演算処理と、前記第2の直交変換部における重複直交変換演算処理と、が並行して行われることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の画像圧縮方法は、ラスタスキャンされた画像入力データをラスタスキャンの方向に対して垂直方向と水平方向の2段階で重複直交変換を行うために、前記画像入力データを所定のブロック単位に分割するブロック化手順と、前記ブロック単位の画像入力データに対し、ラスタスキャンの方向に対して垂直な方向に重複直交変換演算を行い、演算結果を記憶部に保存する第1の直交変換手順と、前記第1の直交変換手順による演算結果を前記記憶部から読み出し、ラスタスキャンの方向に対して水平な方向に重複直交変換演算を行う第2の直交変換手順と、が画像圧縮装置内の制御部により行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明の画像圧縮装置においては、ラスタスキャンされた画像入力データを、所定のブロック単位の画像データに分割する。そして、第1の直交変換部は、ラスタスキャンの方向と垂直な方向に、画像データに対しブロック単位で重複直交変換演算を行い、それぞれの演算結果を記憶部に保存する。第2の直交変換部は、第1の直交変換部における演算結果を記憶部から読み出し、ラスタスキャンの方向に対して水平方向に重複直交変換演算を行う。
これにより、直交変換演算において使用されるバッファメモリ(直交変換演算の中間結果を保持するメモリのサイズ)を低減することができる。このため、より小規模な構成の画像圧縮装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像圧縮装置の構成を示すブロック図である。
図1に示す画像圧縮装置1においては、ラスタスキャンによる画像入力データを、以後のブロック単位の処理を行うために、一旦ブロックラインメモリ10に蓄えている。その他の基本構成は前述した図5に示す従来技術の画像圧縮装置1Aと同様である。
【0032】
すなわち、図1に示す本発明の画像圧縮装置1においては、ブロック化部20は、ラスタスキャンによる画像データを、所定の単位で水平および垂直方向に区切り、所定のブロック単位でブロック化する。
【0033】
二次元直交変換部30は、ブロック単位の画像データを周波数領域のデータに変換するする。この二次元直交変換部30の詳細については後述する。量子化部40は、二次元直交変換部30における直交変換の結果を所定の量子化パラメータにより有効数字を削減する処理を行う。エントロピー符号化部50は、量子化部40により算出した量子化結果を発生頻度の高いデータを短い符号長に割り当てる変換を行っている。
【0034】
また、制御部60は、CPU等を含み、画像圧縮装置1内の各部の処理動作を統括して所望の処理動作を行わせるための制御部である。
【0035】
図2は、二次元直交変換部30の構成例を示す図である。図2に示すように、二次元直交変換部30は、垂直重複直交変換処理部31と、中間メモリ部32と、水平重複直交変換処理部33とで構成される。
【0036】
この二次元直交変換部30おいては、ブロック化部20から入力されるブロック化された画像データに対し、初段の垂直重複直交変換処理部31により垂直方向(ラスタースキャン方向と垂直の方向)に重複直交変換処理を行い、この結果を中間メモリ部32内の中間メモリ0,1,2に蓄える。そして、水平重複直交変換処理部33では、中間メモリ部32上に保存された垂直方向の重複直交変換結果のデータ(中間メモリ0,1,2に保存されたデータ)に対して水平方向の重複直交変換処理を行う。そして、重複直交変換演算結果を、次段の量子化部40に出力する。
【0037】
この画像圧縮装置1では、画像入力データとして1ブロック(16画素×16ライン)に対し、重複直交変換を行うことにより、8×8データの変換結果を得ている。
【0038】
このために、画像圧縮装置1内のブロック化部20では、重複直交変換を行うブロックサイズに対し、その水平方向の重複量である1/2のブロックサイズ(8画素×16ライン)の単位で処理を行うようにブロック化する。以下、1/2サイズのブロック(8画素×16ライン)をハーフブロックと呼ぶ。図2では、3つのハーフブロック0,1,2を例示している。
【0039】
図3は、二次元直交変換部30における処理動作を説明するためのタイミングチャートである。以下、図2のブロック図と、図3のタイミングチャートを参照して二次元直交変換部30における処理動作について説明する。
【0040】
図3に示すタイミングチャートにおいて、二次元直交変換部30は、前段のブロック化部20からハーフブロック0(8画素×16ライン)の画像を入力する(ステップS11)。垂直重複直交変換処理部31はハーフブロック0の画像データに対し、直交変換処理を行い(ステップS12)、8×8データとして中間メモリ0に格納する(ステップS13)。
【0041】
次に、前段のブロック化部20はハーフブロック1(8画素×16ライン)の画像データを入力する(ステップS21)。垂直重複直交変換処理部31は、ハーフブロック0と同様に、ハーフブロック1の画像データに対して直交変換処理を行い(ステップS22)、8×8データとして中間メモリ1に格納する(ステップS23)。
【0042】
更に前段のブロック化部20は、ハーフブロック2の画像を入力する(ステップS31)。垂直重複直交変換処理部は、ハーフブロック2(8画素×16ライン)の画像データに対して直交変換処理を行い(ステップS32)、8×8データとして中間メモリ2(ステップS35)に格納する。
【0043】
一方、垂直重複直交変換処理部31がハーフブロック2の処理(ステップS31,S32,S35)を行うのと並行して、水平重複直交変換処理部33は中間メモリ0からハーフブロック0の処理結果のデータを読み出し(ステップS33)、中間メモリ1からハーフブロック1の処理結果のデータを読み出し(ステップS34)、水平重複直交変換処理部33は1ブロック(ハーフブロック0+ハーフブロック1)のデータ(16画素×8ライン)として直交変換処理を行う(ステップS36)。これにより、16×8のデータが8×8のデータに圧縮される。
【0044】
次に、垂直重複直交変換処理部31は、ハーフブロック3の画像データを入力し(ステップS41)、ハーフブロック3の画像データに対して直交変換処理を行い(ステップS42)、8×8データとして中間メモリ0に格納する(ステップS43)。
【0045】
そして、垂直重複直交変換処理部31がハーフブロック3の直交変換処理(ステップS41,S42,S43)を行うのと並行して、水平重複直交変換処理部33は中間メモリ1から再びハーフブロック1を読み出し(ステップS44)、中間メモリ2からハーフブロック2のデータを読み出し(ステップS45)、1ブロック(ハーフブロック1+ハーフブロック2)のデータ(16画素×8ライン)として直交変換処理を行う(ステップS46)。これにより、16×8のデータが8×8のデータに圧縮される。
【0046】
上記処理を繰り返すことにより、1画像分の画像データに対して、1ブロック(16画素×16ライン)に対し、重複直交変換を行うことにより、8×8データの変換結果を得ている。
【0047】
また、図4は、二次元直交変換部30におけるデータ処理の流れを示す図である。
図4に示すように、垂直重複直交変換処理部31では、ラスタ方向と水平な方向(図上で横方向)にハーフブロック(8画素×16ライン)のサイズで分割されたデータに対し、垂直方向に直交変換演算処理を行い(ステップS51)、8×8のデータとして中間メモリに格納する(ステップS52)。
【0048】
次に、水平重複直交変換処理部33では、中間メモリ0,1,2上の隣接する2つのデータ(16×8のデータ)を読み出して、水平方向に直交変換演算処理を行う(ステップS53)。この場合に、図に示すように、8×8のデータが順次に重複されるように2つのデータが読み出され、水平方向に直交変換演算処理が行われる。そして、この水平重複直交変換演算処理においては、オーバラップ部の垂直重複直交変換結果を再利用することができる。このため、重複直交変換処理における演算量を低減することができる。
【0049】
この水平重複直交変換演算処理により、水平重複直交変換演算処理の結果(8×8のデータ)が得られ(ステップS54)、この演算結果が量子化部40に出力される。
【0050】
このように、本実施の形態の画像圧縮装置1では、中間メモリ部32に保存されるデータは、ブロックライン単位(16×8)ではなく、ハーフブロック単位(8×8)となる。このため、前述した図8に示す従来装置のメモリ容量(バッファメモリの容量、16×8×2面)に対して、本実施の形態の場合はメモリ容量(中間メモリの容量、8×8×3面)を低減することができる。
【0051】
また、水平方向のブロック間の重複部については、一旦算出した垂直重複直交変換処理の結果を用いる。すなわち、水平方向の重複直交変換を行う際に、中間メモリ部32から同一データを複数回読み出して直交変換演算を行うため、この部分については新たに演算する必要がなく、演算量の削減が可能となる。また、さらに、垂直重複直交変換処理と水平重複直交変換処理とを並行して行うことができるため、演算速度を向上させることができる。
【0052】
なお、図2に示す中間メモリ部32では、3つの中間メモリを使用した例を示しているが、図9に示す従来技術の二次元直交変換部と同様に、2つの中間メモリ0,1のみとし、さらにメモリ容量を削減することもできる。
【0053】
この場合は、まず、垂直重複直交変換処理部31により、ハーフブロック0,1のそれぞれに対して垂直方向に重複直交変換演算処理を行い、2つの中間メモリ0,1に処理結果を保存した後に、この垂直重複直交変換処理部31は一旦処理を中断する。そして、水平重複直交変換処理部33により、2つの中間メモリ0,1に保存された垂直方向の処理結果を利用して水平方向に重複直交変換演算処理を行う。
【0054】
この後に、水平重複直交変換処理部33は一旦処理を中断し、垂直重複直交変換処理部31では、ハーフブロック2に対して垂直方向に重複直交変換演算処理を行い、中間メモリ0に処理結果を保存した後に、この垂直重複直交変換処理部31は一旦処理を中断する。そして、水平重複直交変換処理部33により、2つの中間メモリ0,1に保存された垂直方向の処理結果(ハーフブロック1とハーフブロック2の処理結果)を利用して水平方向(横方向)に水平重複直交変換演算処理を行う。
【0055】
上記処理手順を繰り返し、1画像分の画像データの圧縮処理を行うことができる。この場合は、従来技術の場合と比較して中間メモリ部のメモリサイズを大幅に低減することができるが、中間メモリを2つとするため、垂直重複直交変換処理部31と水平重複直交変換処理部33とに休止期間が生じ、中間メモリを3つ使用する場合に比べて演算処理速度が低下する。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態の各構成は、当然、各種の変形、変更が可能である。例えば、ブロックサイズや重複サイズは16画素および8画素に限定されるものではない。
【0057】
なお、上述した実施の形態において、前述の第1の直交変換部は、図2に示す垂直重複直交変換処理部31が相当する。また、前述の記憶部は中間メモリ部(中間メモリ0,1,2)32が相当する。また、前述の第2の直交変換部は水平重複直交変換処理部33が相当する。
【0058】
そして、本実施の形態の画像圧縮装置1は、ラスタスキャンされた画像データを、所定のブロック単位の画像データに分割するブロック化部20と、ラスタスキャンされた画像データを、ラスタスキャンの方向に対して垂直な方向に所定のブロック単位で重複直交変換演算を行い、演算結果を中間メモリ部32に保存する垂直重複直交変換処理部31と、垂直重複直交変換処理部31による演算結果を中間メモリ部32から読み出し、ラスタスキャンの方向に対して水平方向に重複直交変換演算を行う水平重複直交変換処理部33と、を有して構成される。
【0059】
これにより、図9に示す従来の装置と比較して、より小規模のバッファメモリにより直交変換処理を行うことができる。このため、画像圧縮装置の回路の規模を低減できると共に、画像圧縮装置における消費電力を低減することができる。また、垂直重複直交変換処理部31と水平重複直交変換処理部33とは同時に並行して処理を行うことができるため、演算速度を向上させることができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述の画像圧縮装置1は内部にコンピュータシステムを有している。そして、画像圧縮装置1を構成する各処理部は専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、各処理部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0061】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の画像圧縮装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像圧縮装置の構成を示す図である。
【図2】二次元直交変換部の構成例を示す図である。
【図3】二次元直交変換部における処理動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図4】二次元直交変換部におけるデータ処理の流れを示す図である。
【図5】JPEG方式の画像圧縮装置の概略構成を示す図である。
【図6】画像データのブロック化の例を示す図である。
【図7】重複直交変換におけるブロック化の例を示す図である。
【図8】水平および垂直の重複直交変換処理について説明するための図である。
【図9】従来技術の重複直交変換を用いる二次元直交変換部の構成を示す図である。
【図10】図9に示す二次元直交変換部における処理動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1,1A・・・画像圧縮装置、10・・・ブロックラインメモリ、11・・・画像データメモリ、20、20A・・・ブロック化部、30,30A・・・二次元直交変換部、31・・・垂直重複直交変換処理部、31A・・・二次元DCT部、32・・・中間メモリ部、32A・・・一次元重複直交変換部、33・・・水平重複直交変換処理部、40,40A・・・量子化部、50,50A・・・エントロピー符号化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスタスキャンされた画像入力データをラスタスキャンの方向に対して垂直方向と水平方向の2段階に分けて重複直交変換を行うために、前記画像入力データを所定のブロック単位に分割するブロック化部と、
前記ブロック単位の画像入力データに対し、ラスタスキャンの方向に対して垂直な方向に重複直交変換演算を行い、演算結果を記憶部に保存する第1の直交変換部と、
前記第1の直交変換部による演算結果を前記記憶部から読み出し、ラスタスキャンの方向に対して水平な方向に重複直交変換演算を行う第2の直交変換部と、
を有することを特徴とする画像圧縮装置。
【請求項2】
前記ブロック化部は、重複直交変換を行うブロックサイズに対し、その水平方向が重複量である1/2のブロックサイズとなるように画像データのブロック化を行い、
前記記憶部は、水平方向および垂直方向のサイズが前記重複量のサイズとなる複数の分割記憶部から構成されること、
を特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
【請求項3】
前記第2の直交変換部は、水平方向の重複直交変換を行う際に、前記分割記憶部から同一データを複数回読み出して直交変換演算を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
【請求項4】
前記第1の直交変換部における重複直交変換演算処理と、
前記第2の直交変換部における重複直交変換演算処理と、
が並行して行われることを特徴とする請求項1に記載の画像圧縮装置。
【請求項5】
ラスタスキャンされた画像入力データをラスタスキャンの方向に対して垂直方向と水平方向の2段階で重複直交変換を行うために、前記画像入力データを所定のブロック単位に分割するブロック化手順と、
前記ブロック単位の画像入力データに対し、ラスタスキャンの方向に対して垂直な方向に重複直交変換演算を行い、演算結果を記憶部に保存する第1の直交変換手順と、
前記第1の直交変換手順による演算結果を前記記憶部から読み出し、ラスタスキャンの方向に対して水平な方向に重複直交変換演算を行う第2の直交変換手順と、
が画像圧縮装置内の制御部により行われることを特徴とする画像圧縮方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−154074(P2010−154074A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328176(P2008−328176)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(502402685)株式会社情報システム総合研究所 (7)
【Fターム(参考)】