説明

画像形成装置、後処理警告方法および後処理設定方法

【課題】 用紙に画像を形成する前の段階で用紙の加工により削られる画像を確認する。
【解決手段】 デジタル複写機は、複数ページ分の画像データを入力するための画像読取部と、入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成する出力画像処理部とを備えており、ステープルまたはパンチ穴加工処理等の後処理指定があると(S03)、複数頁それぞれについて、画像位置と加工位置との重なりを判定し(S06)、両位置が重なると判定されたページの加工状態画像を表示する(S08)。このため、用紙に画像を形成する前の段階で用紙の加工により削られる画像を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、後処理警告方法および後処理設定方法に関し、特にパンチまたはステープル等の後処理機能を有する画像形成装置、後処理警告方法および後処理設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像が形成された用紙に、パンチまたはステープル等の後処理を実行する機能を備えた画像処理装置が知られている。後処理では、用紙を加工するため、その加工される位置に画像が形成されている場合には、用紙の加工により画像が削られてしまう。この不都合を回避するために、特開2003−296090号公報(特許文献1)には、印刷データに基づいて記録紙上に画像を形成し、画像形成後の記録紙に後処理を行う画像形成装置において、上記記録紙の後処理後の完成予想イメージを示す複数の後処理イメージデータを格納する記憶手段と、上記印刷データのプレビュー表示及び/又は上記記録紙に係る後処理モードを設定する設定手段と、上記設定手段で設定された後処理モードに対応した後処理イメージデータを上記記憶手段から読出し、当該後処理イメージデータと上記プレビュー表示に基づく印刷データとを合成して表示制御をする制御手段と、上記制御手段により合成された上記記録紙の後処理後の完成予想イメージをプレビュー表示する表示手段とを備えることを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、特開2003−296090号公報に記載の画像形成装置は、後処理により画像が削られない場合でも後処理イメージデータと印刷データとを合成して表示するため、重なるか否かを人が判断しなければならない。また、重なる場合に、重なりを回避するための設定をユーザがしなければならない。
【特許文献1】特開2003−296090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、用紙に画像を形成する前の段階で用紙の加工により削られる画像を確認することが可能な画像処理装置および後処理警告方法を提供することである。
【0005】
この発明の他の目的は、用紙の加工により画像が削られるのを防止した画像形成装置および後処理設定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像処理装置は、複数ページ分の画像データを入力するための入力手段と、入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するプリントデータ生成手段と、用紙を加工する指示を受付ける加工指示受付手段と、複数ページそれぞれについて、プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定する判定手段と、判定手段により両位置が重なると判定されたページの画像が形成された用紙であって、加工位置が加工された用紙の加工状態画像を表示する表示手段とを備える。
【0007】
この発明に従えば、画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータが生成され、用紙を加工する指示が受付けられると、複数ページそれぞれについて、プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりが判定される。そして、両位置が重なると判定されたページのみの画像が形成された用紙であって、加工位置が加工された用紙の加工状態画像が表示される。このため、用紙に画像を形成する前の段階で、用紙の加工位置と画像の位置との重なり具合を視覚的に確認することができる。また、両位置が重なると判定されたページの画像が形成された用紙の加工状態画像が表示されるので、重ならないページの加工状態画像は表示されない。このため、不要な画像が表示されることがない。その結果、用紙に画像を形成する前の段階で用紙の加工により削られる画像を確認することが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0008】
好ましくは、表示手段は、加工状態画像の加工位置近傍を拡大して表示する拡大表示手段を含む。
【0009】
この発明に従えば、加工位置近傍が拡大されて表示されるので、用紙の加工により削られる画像を詳細に確認することができる。
【0010】
好ましくは、表示手段は、判定手段により両位置が重なると判定されたページが複数あるときは、該複数のページを順に表示する個別表示手段を含む。
【0011】
この発明に従えば、両位置が重なると判定された複数のページが順に表示されるので、個別に確認することができる。表示領域の面積が小さい場合であっても、画像を表示することができる。
【0012】
好ましくは、表示手段は、判定手段により両位置が重なると判定されたページが複数あるときは、該複数のページを一度に表示する一覧表示手段を含む。
【0013】
この発明に従えば、両位置が重なると判定された複数のページが一度に表示されるので、複数のページで重なりの程度を一度に確認することができる。このため、重なりを回避するために複数のページで共通する処理を見つけ出すのに便利である。
【0014】
好ましくは、判定手段により両位置が重なると判定された場合に、画像位置と加工位置とを相対的に移動させる位置変更手段をさらに備え、表示手段は、位置変更手段を能動化させるための指示を受付ける回避操作キーを表示する回避操作キー表示手段を含む。
【0015】
この発明に従えば、回避操作キーが表示され、回避操作キーが指示されると、画像位置と加工位置とを相対的に移動させるので、用紙の画像と加工位置との重なりをなくすことができる。
【0016】
好ましくは、位置変更手段は、プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段とを含む。
【0017】
この発明に従えば、用紙に形成する画像の位置を変更させる処理、画像データの解像度を低くする処理、または加工位置を変更させる処理の少なくとも1つを選択することができるので、ユーザの所望する画像を用紙に形成させることができる。
【0018】
好ましくは、位置変更手段は、プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段とを含み、回避操作キー表示手段は、画像データに応じて、画像形成位置変更手段、解像度変換手段および加工位置変更手段のうちから少なくとも1つを抽出する抽出手段を含み、抽出された手段を能動化させるための指示を受付ける回避操作キーを選択可能に表示する。
【0019】
この発明に従えば、用紙に形成する画像の位置を変更させる処理、画像データの解像度を低くする処理、または加工位置を変更させる処理の少なくとも1つを画像データに応じて選択して提示するので、ユーザが細かな設定をする必要がない。このため、重なりを回避するための設定を簡単にすることができる。
【0020】
好ましくは、判定手段は、画像位置と加工位置との重なり量を検出する検出手段をさらに備え、位置変更手段は、プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段とを含み、回避操作キー表示手段は、検出された重なり量に応じて、画像形成位置変更手段、解像度変換手段および加工位置変更手段のうちから少なくとも1つを抽出する抽出手段を含み、抽出された手段を能動化させるための指示を受付ける回避操作キーを選択可能に表示する。
【0021】
この発明に従えば、用紙に形成する画像の位置を変更させる処理、画像データの解像度を低くする処理、または加工位置を変更させる処理の少なくとも1つを重なり量に応じて選択して提示するので、ユーザが細かな設定をする必要がない。このため、重なりを回避するための設定を簡単にすることができる。
【0022】
この発明の他の局面によれば、画像処理装置は、画像データを入力するための入力手段と、入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するプリントデータ生成手段と、用紙を加工する指示を受付ける加工指示受付手段と、プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定する判定手段と、判定手段により両位置が重なると判定された場合に、画像位置と加工位置とを相対的に移動させる位置変更手段とを備える。
【0023】
この発明に従えば、画像の画像位置と用紙の加工位置との重なりが判定され、両位置が重なると判定された場合に、画像位置と加工位置とを相対的に移動させる。このため、用紙の加工により画像が削られるのを防止した画像形成装置を提供することができる。
【0024】
この発明のさらに他の局面によれば、後処理警告方法は、複数ページ分の画像データを入力するステップと、入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するステップと、用紙を加工する指示を受付けるステップと、複数ページそれぞれについて、プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定するステップと、判定ステップにより両位置が重なると判定されたページのみの画像が形成された用紙であって、加工位置が加工された用紙の加工状態画像を表示するステップとを含む。
【0025】
この発明に従えば、用紙に画像を形成する前の段階で用紙の加工により削られる画像を確認することが可能な後処理警告方法を提供することができる。
【0026】
この発明のさらに他の局面によれば、後処理設定方法は、画像データを入力するステップと、入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するステップと、用紙を加工する指示を受付けるステップと、プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定するステップと、判定ステップにより両位置が重なると判定された場合に、画像位置と加工位置とを相対的に移動させるステップとを含む。
【0027】
この発明に従えば、用紙の加工により画像が削られるのを防止した後処理設定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるデジタル複写機の概略構成を示す模式的断面図である。図を参照して、デジタル複写機1は、原稿から画像データを読取るための画像読取部10と、画像読取部10が出力する画像データを処理するための制御部100と、用紙上に画像を形成するための画像形成部20と、画像形成された用紙に後処理を施す後処理部50とを含む。
【0030】
画像読取部10は、原稿ガラス11上にセットされた原稿の画像が、その下方を移動するスキャナ12に取付けられた露光ランプ13により露光される。原稿からの反射光は、ミラー14と2枚の反射ミラー15,15Aによりレンズ16に導かれ、CCDセンサ18に結像する。露光ランプ13とミラー14とは、スキャナ12に取付けられており、スキャナ12は、スキャナモータ17により、図中に示す矢印方向(副走査方向)へ複写倍率に応じた速度Vで移動する。これにより、原稿ガラス11上にセットされた原稿を全面にわたって走査することができる。また、露光ランプ13とミラー14の移動に伴い、2枚の反射ミラー15,15Aは、速度V/2で図中矢印方向へ移動する。これにより、露光ランプ13で原稿に照射された光が、原稿で反射してからCCDセンサ18に結像するまでの光路長が常に一定となる。
【0031】
CCDセンサ18に結像した反射光は、CCDセンサ18内で電気信号としての画像データに変換され、制御部100に送られる。制御部100では、受取ったアナログの画像データにアナログ処理、A/D変換処理、デジタル画像処理等を行なった後、画像形成部20に出力する。制御部100で行うデジタル画像処理には、画像の用紙上の位置(画像位置)を変更する処理、画像を縮小する処理を含む。CCDセンサ18から入力される画像データは、原稿を読み取って得られるため、画像データにおいて用紙上に形成される画像の位置が原稿に形成されていた画像の位置と基本的に同じであり、画像サイズは等倍複写の場合には原稿に形成されていた画像サイズと同じである。制御部100が実行する画像位置を変更する処理は、用紙上の画像の位置を変更する処理であり、画像を縮小する処理は、等倍複写の場合に画像サイズ(解像度)を小さくする処理である。制御部100は、画像処理後の画像データを、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の印字用データに変換し、画像形成部20へ出力する。
【0032】
画像形成部20の露光部21は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの印字用データが入力される露光ヘッドを備える。露光部21の各露光ヘッドでは、受取った印字用データ(電気信号)に応じてレーザ光を発光する。発光されたレーザ光は露光部21のポリゴンミラーにより1次元走査され、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックそれぞれの画像形成ユニット内の感光体ドラム23C,23M,23Y,23Kを露光する。露光部21が感光体ドラムを1次元走査する方向は、主走査方向である。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像形成ユニットそれぞれは、感光体ドラム23C,23M,23Y,23Kと、帯電チャージャ22C,22M,22Y,22Kと、現像機24C,24M,24Y,24Kと、転写チャージャ25C,25M,25Y,25Kとを備える。
【0033】
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像形成ユニットは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなのでシアンの画像を形成するための画像形成ユニットについてその動作を説明する。感光体ドラム23Cは、帯電チャージャ22Cによって帯電された後、シアン用の露光ヘッドが発光するレーザ光が照射される。これにより、感光体ドラム23C上には静電潜像が形成される。続いて、現像機24Cにより、静電潜像上にトナーが載せられてトナー像が形成される。感光体ドラム23C上に形成されたトナー像は、無端ベルト30上に担持された記録媒体に、転写チャージャ25Cにより転写される。なお、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの画像形成ユニットは、それぞれ一体的に構成され、デジタル複写機1に着脱可能となっている。
【0034】
給紙カセット35,35A,35Bには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。所望のサイズの用紙が、給紙カセット35,35A,35Bに取付けられている給紙ローラ36,36A,36Bにより、搬送路へ供給される。搬送路へ供給された用紙は、搬送ローラ対37によりタイミングローラ31へ送られる。
【0035】
一方、無端ベルト30は、駆動ローラ33Aとローラ33B,33C,33Dとにより弛まないように懸架されている。無端ベルト30に用紙が供給される位置にタイミングセンサが設置されており、タイミングセンサが無端ベルト30の基準マークを検出すると、それに同期してタイミングローラ31が用紙を無端ベルト30に供給する。無端ベルト30に供給された用紙は、無端ベルト30上に担持され、図中で左方向に搬送される。用紙が搬送される方向は副走査方向であり、主走査方向に直交する。これにより、用紙がシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの順に画像形成ユニットの感光体ドラム23C,23M,23Y,23Kと接触する。用紙が感光体ドラム23C,23M,23Y,23Kそれぞれと接触したときに、感光体ドラム23C,23M,23Y,23Kと対をなす転写チャージャ25C,25M,25Y,25Kにより、感光体ドラム上のトナー像が用紙に転写される。
【0036】
トナー像が転写された用紙は、定着ローラ対32に搬送され、定着ローラ対32により加熱される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は後処理部50に搬送される。
【0037】
なお、ここでは、用紙に4色のトナーをそれぞれに設けられた感光体ドラム23C,23M,23Y,23Kで転写するいわゆるタンデム方式のデジタル複写機1について説明するが、1つの感光体ドラムで4色のトナーを順に用紙に転写する4サイクル方式のデジタル複写機であってもよい。また、デジタル複写機1をフルカラーとしたが、単色のトナーを用いて画像形成する画像形成装置であってもよい。
【0038】
後処理部50は、排紙トレイ56と、ビン61〜65と、用紙に綴じ穴を形成するためのパンチユニット52と、用紙にステープル針を打ち込むためのステープルユニット51とを備える。後処理部50は、画像形成部20から受け入れローラ対53に用紙が供給されると、切り換え爪54により搬送経路が、排紙トレイ56側またはビン61〜65側のいずれかに切り替えられる。切り換え爪54は、ソレノイドのオン、オフに基づいて支軸のまわりを回転することにより搬送経路を切り替える。ソレノイドがオフの際には、搬送経路を排紙トレイ56側に切り換え、オンの際には搬送経路をビン61〜65側に切り換える。
【0039】
排紙トレイ56側の搬送経路には搬送ローラ対55が備えられており、それにより搬送される用紙は排紙トレイ56に排紙される。ビン61側の搬送経路には、用紙の搬送方向先端部または後端部に綴じ穴を形成するためのパンチユニット52と、搬送ローラ対57,59,60、およびガイド板58が設置されている。パンチユニット52が用紙に綴じ穴を形成する際に、搬送ローラ対57が停止して用紙の綴じ穴を形成する位置が決められる。すなわち、パンチユニット52で用紙に綴じ穴を形成する位置を、搬送ローラ対57を制御することにより変更することができるようになっている。
【0040】
ビン61〜65は一定の間隔で傾斜して設置され、各ビン61〜65はその間隔を保ちながら昇降される。ビン61〜65は図1に示す位置をホームポジションとする。このホームポジションでは、第1ビン61は搬送ローラ対60に対向し、第2ビン62はステープルユニット51に対向している。以下、搬送ローラ対60に対向するビン61〜65の位置を位置X1とし、ステープルユニット51に対向するビン61〜65の位置を位置X2とする。すなわち、ビン61〜65のうち位置X1にあるものには搬送ローラ対60から用紙が排紙される。ビン61〜65のうち位置X2にあるものの上に排紙された用紙束は、ステープルユニット51により綴じることができる。
【0041】
ステープルユニット51は、電動式の周知の構造からなり、ステープル針を内蔵したカートリッジを着脱することのできるヘッド部と、ヘッド部から打ち出されたステープル針を受け止めて折り曲げるアンビル部とから構成されている。このステープルユニット51は位置X2にセットされるビン61〜65側に移動し、用紙束のコーナーの1ヶ所または用紙束の端部の2ヶ所にステープル針を打ち込む。なお、各ビン61〜65の下端部のステープル針の打ち込みに対応する位置には切り欠きが形成されており、ステープルユニット51の先端部がビン61〜65側に入り込めるようになっている。
【0042】
ステープルユニット51が、位置X2にセットされるビン61〜65側に移動する距離は、可変である。すなわち、用紙にステープル針を打ち込む位置を変更することができるようになっている。
【0043】
図2は、デジタル複写機の制御部の詳細なハード構成を示すブロック図である。図2を参照して、制御部100は、それぞれがバス111に接続されたCPU(Central Processing Unit)101と、記憶部102と、画像読取部10が出力する画像データを処理する入力画像処理部104と、画像データを画像形成部20に出力するのに適したデータに変換する処理を行う出力画像処理部105と、ネットワークインターフェイス(I/F)107と、モデム108と、操作パネル109と、カードI/F110と、後処理部50を制御する後処理制御部106とを含む。
【0044】
CPU101は、制御部100の全体を制御する。記憶部102は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びEEPROM(Electrically Erasable/Programable ROM)などの半導体メモリおよびハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶装置を含む。
【0045】
入力画像処理部104は、画像読取部10が出力する画像データが入力される。入力画像処理部104は、入力された画像データに対して、色補正処理、解像度変換処理などの画像処理を実行して、処理した画像データを記憶部102に記憶する。出力画像処理部105は、記憶部102から画像データを読み出して、色変換処理、スクリーン制御処理、スムージング処理、濃度補正処理、パルス幅変調(PWM)などの画像処理を実行して、処理後の画像データを画像形成部20に出力する。
【0046】
CPU101、入力画像処理部104および出力画像処理部105は、記憶部102に記憶された画像処理プログラムを実行する。記憶部102には、CPU101、入力画像処理部104および出力画像処理部105それぞれで実行するための画像処理プログラムが記憶されている。
【0047】
カードI/F110には、ICカード110Aが装着される。CPU101は、カードI/F110を介してICカード110Aにアクセスが可能である。ネットワークI/F107は、デジタル複写機1をネットワーク112と接続する。ネットワークI/F107は、データを所定の通信プロトコルに従ってネットワークに出力し、ネットワーク112から所定の通信プロトコルに従ってデータを受信する。CPU101は、ネットワークI/F107を介してネットワーク112に接続された他のコンピュータと通信することが可能となる。このため、たとえば、電子メールを用いて画像データの送受信が可能である。
【0048】
モデム108は、デジタル複写機1を電話回線113と接続する。モデム108は、データをファクシミリの通信プロトコルに従ってファクシミリ通信を可能とする。モデム108は、ファクシミリ受信されたデータを記憶部102のHDDに記憶する。また、モデム108は、電話回線113に接続されたコンピュータとの通信を可能とするためNCU(Network
Control Unit)を含む。モデム108により他のコンピュータから受信されたデータは、記憶部102のHDDに記憶される。
【0049】
操作パネル109は、入力部109Aと表示部109Bとを含む。入力部109Aは、デジタル複写機1のユーザによる操作の入力を受付けるためのタッチパネル、キーボードまたはマウス等の入力装置である。表示部109Bは、液晶表示装置または有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイパネルである。入力部109Aに透明な部材からなるタッチパネルを用いる場合には、表示部109B上にタッチパネルを重ねて設置することで、表示部109Bに表示されたボタンの指示を検出することができる。これにより、種々の操作の入力が可能となる。
【0050】
図3は、本実施の形態におけるデジタル複写機で実行されるプリント処理の流れを示すフローチャートである。このプリント処理は、制御部100のCPU101で実行される処理である。図3を参照して、プリント処理では、プリント指示が検出されるまで待機状態となっており(ステップS01でNO)、プリント指示が検出されると(ステップS01でYES)、ステップS02に進む。すなわち、プリント処理は、プリント指示が検出されることを条件に実行される処理である。ここでのプリント指示は、操作パネル109の入力部109Aに備えられたスタートボタンが押下の検出である。スタートボタンが押下される前の段階では、プリント条件が設定されている。プリント条件には、パンチ穴の加工指示またはステープル針の加工指示等の後処理のための指示を含む場合がある。また、プリント指示は、ネットワーク112に接続されたパーソナルコンピュータから送信される画像データの受信の検出を含む。パーソナルコンピュータからネットワーク112を介して画像データが受信される場合には、画像データとともにプリント条件が受信される。プリント条件には後処理のための指示が含まれる場合がある。
【0051】
そして、画像データが入力される(ステップS02)。プリント指示がスタートボタンの押下による場合には、画像読取部10で原稿が読み取られて画像データが入力され、プリント指示がネットワーク112を介しての画像データの受信の場合には、ネットワークI/Fで画像データが受信されることにより画像データが入力される。
【0052】
ステップS03では、プリント条件に後処理の指定があるか否かが判断される。後処理の指定がされている場合にはステップS04に進み、そうでない場合にはステップS17に進む。ステップS17では、画像データが画像形成部20に出力されて画像データが用紙にプリントされる。その後、処理を終了する。
【0053】
ステップS04では、指定された後処理の後処理位置が取得される。後処理位置は、パンチ穴加工が指定されている場合には、用紙上のパンチ穴加工がされる位置であり、ステープル加工が指定されている場合には、用紙にステープル針が打ち込まれる位置である。この後処理位置は、予め定まられているデフォルトの位置であってもよいし、プリント条件に含まれている位置であってもよい。次のステップS05では、画像位置が算出される。画像位置は、画像が形成される用紙上の位置をいい、ステップS02で入力された画像データから算出される。
【0054】
次のステップS06では、画像位置と後処理位置とが重なっているか否かが判断される。両位置が重なっていればステップS07に進み、そうでなければステップS08に進む。ステップS07では、重なりのあるとされたページをエラーページに設定する。そして、加工状態画像が生成される(ステップS08)。加工状態画像は、用紙に画像を形成した状態の用紙の画像と、用紙に後処理した状態の用紙の画像とを合成した画像である。したがって、画像位置と後処理位置とが重なっているエラーページでは、画像の一部がパンチ穴またはステープル針で削除された画像となる。加工状態画像は、用紙全体を含むものであってもよいが、ここでは、用紙の後処理位置周辺の一部を拡大した画像としている。画像がパンチ穴またはステープル針で削られる状態を確認し易くするためである。ステップS09では、次のページが存在するか否かが判断され、存在すればステップS05に戻り、存在しなければステップS10に進む。これにより、ステップS02で入力された画像データに含まれる全ページの加工状態画像が生成される。
【0055】
ステップS10では、エラーページに設定されているページがあるか否かが判断され、エラーページがあればステップS11に進み、なければステップS15に進む。エラーページが存在しなければ、画像がパンチ穴またはステープル針で削られることがないからである。ステップS11では、加工状態画像を表示する処理が実行される。加工状態画像表示処理については後述する。エラーページのある場合に限って、ステップS11に進むため、エラーページがない場合にステップS11〜ステップS14が実行されることがない。このため、エラーページがない場合に不要な処理が実行されるのを避けることができる。
【0056】
ステップS12では、修正モードの設定がされたか否かが判断され、修正モードが設定されればステップS13に進むが、修正モードが設定され名ければステップS11に戻る。ステップS13では、操作パネル109の表示部109Bに修正条件指定画面が表示されて、修正条件が設定される。修正条件については後述するが、修正内容と、処理対象ページと、処理方法とを含む。そして、設定された修正条件に従って画像データまたは後処理条件を修正する修正処理が実行される(ステップS14)。修正条件および修正処理については後述する。そして、画像形成部20で用紙に画像をプリントさせるために画像データが画像形成部20に出力されてプリントされる(ステップS15)。そして、後処理部50に後処理させるために後処理条件が後処理制御部106に出力される(ステップS16)。
【0057】
図4は、デジタル複写機の上面に設けられる操作パネルの構成を説明するための平面図である。操作パネル109は、複写条件、デジタル複写機1内部の状態を表示する液晶表示装置と、その上に重畳されたタッチパネルとを含む表示入力部220と、複写部数や複写倍率等の数値を入力するためのテンキー210と、プリントの開始を指示するためのスタートボタン211とを含んでいる。表示入力部220の液晶表示装置が表示部109Bに相当し、表示入力部220のタッチパネルと、テンキー210とスタートボタン211とが入力部109Aに相当する。
【0058】
図4では、表示入力部220に加工状態画像201が表示されている例を示している。図4に示す加工状態画像201は、エラーページの加工位置近傍の用紙の一部を拡大した画像である。画像に「ABCDEFG」の文字を含むが、「A」の文字の一部がパンチ穴で削られているのがわかる。このため、画像形成する前の段階で、画像が形成されて後処理された用紙では、パンチ穴で削られた文字が「A」と認識できなくなってしまうのがわかる。
【0059】
表示入力部220には、加工状態画像201の横に、ボタン202〜208が表示される。ボタン204,205は、表示入力部220に表示する対象とするページを指定するためのボタンであり、ボタン204は全てのページを表示対象に指定するためのボタン、ボタン205はエラーページのみを表示対象に指定するためのボタンである。デフォルトでは、ボタン205が指示された状態となる。ボタン207,208は、表示モードを指定するためのボタンである。表示モードは、表示対象とされたページをページ単位で表示するページモードと、表示対象とされたページの全てを表示する一覧モードとがある。ボタン207はページモードを指定するためのボタンであり、ボタン208は一覧モードを指定するボタンである。デフォルトでは、ボタン207が指定された状態となる。ボタン206は、表示入力部220に表示する画面を、修正モードを選択するための修正モード指定画面への切り換えを指示するためのボタンである。ボタン202,203は、表示モードにページモード207が指定された場合に有効とされ、表示入力部220に表示する対照とするページを次ページまたは全ページへの切り換えを指示するためのボタンである。
【0060】
図5は、図3のステップS11で実行される加工状態画像表示処理の流れを示すフローチャートである。この加工状態画像表示処理は、図4に示した操作パネルの表示入力部220に表示される加工状態画像201の切り換えを制御する処理である。図5を参照して、加工状態画像表示処理では、まず、表示対象とされるページが判断される(ステップS21)。図4に示す表示入力部220に表示されたボタン204,205のいずれが指示されたかを判断する。ボタン204が指示されて全ページが表示対象に指定されている場合にはステップS29に進み、ボタン205が指示されてエラーページのみが指定されている場合にはステップS22に進む。デフォルトではエラーページのみが指定されるため、ステップS22に進むことになる。
【0061】
ステップS22では、表示モードが判断される。図4に示す表示入力部220に表示されたボタン207,208のいずれが指示されたかを判断する。ボタン207が指示されてページモードが指定されている場合にはステップS23に進み、ボタン208が指示されて一覧モードが指定されている場合にはステップS27に進む。デフォルトではページモードが指定されるため、ステップS23に進むことになる。ステップS23では、最初のエラーページの加工状態画像が表示される。
【0062】
次のステップS24では、ページ送り指示があったか否かが判断される。図4に示す表示入力部220に表示されたボタン202,203のいずれかが指示されたか否かが判断される。指示があればステップS25に進み、指示がなければステップS26に進む。ステップS25では、表示する加工状態画像のエラーページを切り換える。ボタン202が指示された場合には、次のエラーページの加工状態画像が表示され、ボタン203が指示された場合には、前のエラーページの加工状態画像が表示される。最初のエラーページの加工状態画像が表示されている段階で、ボタン203が指示された場合には最後のエラーページの画像状態画像が表示され、最後のエラーページの加工状態画像が表示されている段階で、ボタン202が指示された場合には最初のエラーページの画像状態画像が表示される。次のステップS26では、終了指示があったか否かが判断される。終了指示があれば処理をプリント処理に戻すが、終了指示がなければステップS21に戻る。終了指示は、表示入力部220に表示されているボタン206の指示を含む。
【0063】
ステップS22において表示モードが一覧モードに指定された場合、ステップS27では、全てのエラーページの加工状態画像が一覧表示される。そして、終了指示があったか否かが判断される。終了指示があれば処理をプリント処理に戻すが、終了指示がなければステップS21に戻る。
【0064】
ステップS29〜ステップS35の処理は、処理対象とするページが、エラーページとエラーページでないページを含む全てのページとなるのみで、ステップS22からステップS28の処理と同じである。したがって、ここでは説明を繰り返さない。
【0065】
図6は、修正条件指定画面の一例を示す図である。図6を参照して、修正条件指定画面230は、修正内容を指定する領域240と、処理対象ページを指定する領域250と、処理方法を指定する領域260と、ボタン231〜233とを含む。修正内容を指定する領域240は、画像処理条件および/または後処理条件を修正する指示を入力するための領域であり、用紙に画像を形成する位置を移動させる指示を入力するためのボタン241と、用紙を加工する位置を移動させる指示を入力するためのボタン242と、用紙に形成する画像を縮小する指示を入力するためのボタン244と、手動でプリント条件を設定する指示を入力するためのボタン243とを含む。ボタン241,244は、画像処理条件を修正する指示を入力するためのボタンであり、ボタン242は、後処理条件を修正する指示を入力するためのボタンである。ボタン243は、画像処理条件および後処理条件のいずれか、または双方を修正する指示を入力するためのボタンである。
【0066】
ボタン241が指示されると、画像位置と加工位置との重なりがなくなるまで画像を形成する位置を移動させる(以下「自動画像シフト」という)画像処理が実行される。ボタン242が指示されると、画像位置と加工位置との重なりがなくなるまで加工位置を移動させる(以下「自動フィニッシング位置シフト」という)ように後処理条件が修正される。ボタン244が指示されると、画像位置と加工位置との重なりがなくなるまで画像を縮小する(以下「自動画像縮小」という)画像処理が実行される。ボタン243が指示されると、画像処理条件または後処理条件を設定する画面が表示され、ユーザによる画像処理条件または後処理条件の入力が受付けられる。ここでは、ボタン241〜244のいずれかの指定を可能としている。
【0067】
なお、ボタン241、242、244の複数を同時に指定可能とするようにしてもよい。自動フィニッシング位置シフトは、ステープル針の打ち込み位置の移動、またはパンチ穴加工の位置の移動である。これらの加工位置の移動量には限界がある。また、自動画像シフトでは、用紙の余白分まで画像を移動させることが可能であり、移動量に限界がある。したがって、ボタン241、242、244の複数を同時に指定可能とする場合には、処理に優先度を設けて、優先度の高いものから順に限界量まで移動させる処理をし、限界量まで移動させてもなお重なりが解消できない場合に、次の優先度の処理を実行するようにすればよい。たとえば、自動フィニッシング位置シフトの優先度を最も高くし、自動画像シフトを次に高い優先度とし、自動画像縮小の優先度を最も低くする。
【0068】
処理ページを指定する領域250は、画像データに含まれるページのうち領域240で指定された修正内容を有効とする処理対象ページを指定するための領域であり、ボタン251,252を含む。ボタン251が指示されるとエラーページとエラーページでないページとを含む全ページに対して修正内容が有効とされ、ボタン252が指示されるとエラーページのみに対して修正内容が有効とされる。
【0069】
処理方法を指定する領域260は、領域240で指定された修正内容を、領域250で指定された処理ページにどのように反映させるかを指定するための領域であり、ボタン261,262を含む。ボタン261が指定されると、処理方法が「一括」に指定される。一括の処理方法では、領域250で指定された処理対象ページに対して、領域240で指定された修正内容で処理するが、その修正量は全て同じとされる。すなわち、処理対象ページそれぞれに修正内容を処理した場合の最大の修正量で、処理対象ページの全てが修正される。具体的には、領域240でボタン241が指定され、領域251でボタン252が指定された場合、処理内容は自動画像シフトとされ、処理対象ページはエラーページとなる。エラーページが第1〜第3エラーページまであるとし、自動画像シフトにおける画像の移動量(修正量)が第1〜第3エラーページそれぞれで、2mm、3mm、5mmとすれば、移動量は最大の5mmとされる。したがって、第1〜第3エラーページの全てに対して、画像が移動量5mmで移動されることになる。ボタン262が指定されると、処理法法が「個別」に指定される。個別の処理方法では、領域250で指定された処理ページに対して、領域240で指定された修正内容でそれぞれ処理される。したがって、各処理対象ページが修正される修正量は処理対象ページごとに算出されため、処理対象ページごとに異なることになる。上記の例で説明すると、第1エラーページは画像が移動量2mmで移動され、第2エラーページは画像が移動量3mmで移動され、第3エラーページは画像が移動量5mmで移動される。領域250でボタン251が指定された場合には、全ページが処理対象ページとされるため、エラーページでないページに対しても、領域240で指定された修正内容で処理されることになる。なお、領域250でボタン251が指定された場合には、ボタン261が自動的に指定され、ボタン262を指定することができない。
【0070】
ボタン231が指定されると、指定された処理条件で処理された後の加工状態画像が生成されて、操作パネルの表示部109Bに表示される。これにより、処理条件に従って処理された後のプリント結果を、画像形成する前の段階で確認することができる。たとえば、修正内容に自動画像縮小を指定した場合に、ユーザが意図していたよりも小さな解像度となってしまう場合がある。その場合には、再度修正条件を設定し直すことができる。
【0071】
ボタン232が指定されると、修正条件指定画面230で指定した修正条件が全てキャンセルされて、図4に示した修正前の加工状態画像を表示する画面に戻る。ボタン233が指定されると、修正条件指定画面230で指定した修正条件が有効とされ、その修正条件に従って処理が実行される。
【0072】
図7は、図3のステップS14で実行される修正処理の流れを示すフローチャートである。図7を参照して、修正条件の修正内容に自動フィニッシング位置シフトが指定されたか否かが判断される(ステップS31)。真であればステップS32に進み、偽であればステップS41に進む。ステップS32では、フィニッシング位置のシフト量が算出される。フィニッシング位置とは、加工位置である。具体的には、後処理にパンチ穴加工が指定されている場合には、パンチ穴加工される位置であり、後処理にステープルが指定されている場合には、ステープル針の打ち込まれる位置である。エラーページのフィニッシング位置のシフト量が算出される。このシフト量は、加工位置を、画像位置との重なりがなくなるまで移動させることにより算出される。加工位置のシフト量には限界があるため、加工位置のシフト量が限界まで達した場合にはその限界値がシフト量とされる。そして、次のエラーページが存在するか否かが判断され(ステップS33)、存在すれば次のエラーページのフィニッシング位置のシフト量を算出するためにステップS32に戻り、存在しなければステップS34に進む。ステップS34に進む場合には、エラーページの全てについて、それぞれフィニッシング位置のシフト量が算出されることになる。
【0073】
ステップS34では、修正条件の処理方法が判断される。処理方法が一括に指定されていればステップS35に進み、個別に指定されていればステップS39に進む。ステップS35では、ステップS32で算出されたシフト量の最大値を最大シフト量に設定する。そして、処理条件の処理ページが判断される(ステップS36)。処理ページがエラーページに指定されていればステップS37に進み、処理ページが全ページに指定されていればステップS38に進む。ステップS37では、全エラーページのフィニッシング位置をステップS35で設定した最大シフト量にシフトさせる。ステップS38では、エラーページとエラーページでないページとを含む全ページのフィニッシング位置をステップS35で設定した最大シフト量でシフトさせる。一方、ステップS39では、各エラーページのフィニッシング位置を、ステップS32でエラーページごとに算出されたシフト量でシフトさせる。ステップS37〜S39のいずれかにより、後処理条件が修正される。
【0074】
次のステップS41では、修正条件の修正内容に自動画像シフトが指定されたか否かが判断される。真であればステップS42に進み、偽であればステップS51に進む。ステップS42では、画像位置のシフト量が算出される。このシフト量は、画像位置を、加工位置との重なりがなくなるまで移動させることにより算出される。画像位置のシフト量には限界があるため、画像位置のシフト量が限界まで達した場合にはその限界値がシフト量とされる。そして、次のエラーページが存在するか否かが判断され(ステップS43)、存在すれば次のエラーページの画像位置のシフト量を算出するためにステップS42に戻り、存在しなければステップS44に進む。ステップS44に進む場合には、エラーページの全てについて、それぞれ画像位置のシフト量が算出されることになる。
【0075】
ステップS44では、修正条件の処理方法が判断される。処理方法が一括に指定されていればステップS45に進み、個別に指定されていればステップS49に進む。ステップS45では、ステップS42で算出された画像位置のシフト量の最大値を最大シフト量に設定する。そして、処理条件の処理ページが判断される(ステップS46)。処理ページがエラーページに指定されていればステップS47に進み、処理ページが全ページに指定されていればステップS48に進む。ステップS47では、全エラーページの画像位置をステップS45で設定した最大シフト量にシフトさせる。ステップS48では、エラーページとエラーページでないページとを含む全ページの画像位置をステップS45で設定した最大シフト量でシフトさせる。一方、ステップS49では、各エラーページの画像位置を、ステップS42でエラーページごとに算出された画像位置のシフト量でシフトさせる。ステップS47〜S49のいずれかにより、画像処理条件が修正される。
【0076】
次のステップS51では、修正条件の修正内容に自動画像縮小が指定されたか否かが判断される。真であればステップS52に進み、偽であれば処理をプリント処理に戻す。ステップS52では、画像の縮小率が算出される。この縮小率は、画像を、加工位置との重なりがなくなるまで縮小することにより算出される。そして、次のエラーページが存在するか否かが判断され(ステップS53)、存在すれば次のエラーページの画像の縮小率を算出するためにステップS52に戻り、存在しなければステップS54に進む。ステップS54に進む場合には、エラーページの全てについて、それぞれ画像の縮小率が算出されることになる。
【0077】
ステップS54では、修正条件の処理方法が判断される。処理方法が一括に指定されていればステップS55に進み、個別に指定されていればステップS59に進む。ステップS55では、ステップS52で算出された画像の縮小率の最大値を最大縮小率に設定する。そして、処理条件の処理ページが判断される(ステップS56)。処理ページがエラーページに指定されていればステップS57に進み、処理ページが全ページに指定されていればステップS58に進む。ステップS57では、全エラーページの画像をステップS55で設定した最大縮小率で縮小する。ステップS58では、エラーページとエラーページでないページとを含む全ページの画像をステップS55で設定した最大縮小率で縮小する。一方、ステップS59では、各エラーページの画像を、ステップS52でエラーページごとに算出された縮小率で縮小する。ステップS57〜S59のいずれかにより、画像処理条件が修正される。
【0078】
なお、本実施の形態においては、デジタル複写機1では、修正条件をユーザが指定するようにしたが、エラーページがある場合には、修正条件を自動的に設定して、修正処理を実行するようにしてもよい。この場合、修正条件の処理内容は、3つの処理に優先度を設けて、優先度の高いものから順に限界量まで移動させる処理をし、限界量まで移動させてもなお重なりが解消できない場合に、次の優先度の処理を実行するようにすればよい。たとえば、自動フィニッシング位置シフトの優先度を最も高くし、自動画像シフトを次に高い優先度とし、自動画像縮小の優先度を最も低くする。処理ページおよび処理方法はデフォルト値を、たとえば、処理ページはエラーページ、処理方法は個別に予め設定しておけばよい。
【0079】
また、修正条件の処理内容は、画像データに応じて決定するようにしてもよい。たとえば、画像データに文字が多い場合などは、解像度を低くすると文字が読めなくなるので、自動画像シフトまたは自動フィニッシングシフトを優先して指定するようにしてもよい。また、画像データに写真の領域が多い場合などは、自動画像縮小を優先して指定するようにしてもよい。画像データに応じて自動的に修正条件の処理内容を決定するようにすれば、処理条件の指定が容易となる。
【0080】
また、修正条件の処理内容は、画像位置と加工位置との重なり量に応じて決定するようにしてもよい。たとえば、自動フィニッシング位置シフトのみで重なりを回避できる場合には、処理内容を自動フィニッシング位置シフトとする。また、自動画像シフトのみで重なりを回避できる場合には、処理内容を自動画像シフトとする。自動フィニッシング位置シフトと自動画像シフトとで重なりを回避できる場合には、処理内容を自動フィニッシング位置シフトおよび自動画像シフトとする。この場合、決定された処理内容を指定するためのボタンのみを表示入力部220に表示するようにすれば、修正条件の設定が容易となる。
【0081】
上述したプリント処理をコンピュータに実行させるようにしてもよい。図8は、プリントシステムの概略構成を示す図である。図8を参照して、プリントシステムは、それぞれがネットワーク112に接続されたコンピュータ2と、デジタル複写機1とを含む。ネットワーク112には、他のコンピュータを接続するようにしてもよい。このプリントシステムによれば、コンピュータ2で生成したデータを、ネットワーク112を介してデジタル複写機1に送信することにより、デジタル複写機1で受信したデータを用紙に可視化する。
【0082】
コンピュータ2は、データをデジタル複写機1に送信する際に、プリントに適したデータに変換するアプリケーションプログラムがインストールされている。この種のアプリケーションプログラムはプリンタドライバプログラムと呼ばれる。プリンタドライバプログラムは、一般的にCD−ROM(Compact Disc−ROM)3に記憶されて流通し、コンピュータ2が備えるCD−ROMドライブにより読み出されて、コンピュータ2が備えるハードディスクに記憶される。コンピュータ2が備えるCPUは、ハードディスクに記憶されたプリンタドライバプログラムをRAMに読み出して実行する。
【0083】
このプリンタドライバに、図3に示したプリント処理のステップS01〜ステップS14の処理を実行させる。したがって、デジタル複写機1のCPU101は、コンピュータ2から受信したデータを画像形成部20および後処理制御部106に出力することになる。ここでは、コンピュータ2とデジタル複写機1とを接続する例を示したが、デジタル複写機1に代えて、画像形成部20を備えた一般的なプリンタであってもよい。
【0084】
なお、ここではプリンタドライバプログラムを、CD−ROMに記録する例を示したが、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であれば、磁気テープやカセットテープ、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)や光ディスク(MO(Magneto−Optical Disc)/MD(MiniDisc)/DVD(Digital Versatile Disc))、光カード、あるいはマスクROM、EEPROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ等の固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。また、プリンタドライバプログラムをネットワーク112に接続された他のコンピュータからダウンロードするようにしてもよい。
【0085】
ここでいうプログラムは、コンピュータ2のCPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム形式のプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0086】
以上説明したように本実施の形態におけるデジタル複写機1は、複数ページ分の画像データを入力するための画像読取部10と、入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成する出力画像処理部105とを備えており、ステープルまたはパンチ穴加工処理等の後処理指定があると(S03)、複数ページそれぞれについて、画像位置と加工位置との重なりを判定し(S06)、両位置が重なると判定されたページの加工状態画像を表示する(S08)。このため、用紙に画像を形成する前の段階で用紙の加工により削られる画像を確認することができる。
【0087】
また、加工状態画像は、加工位置近傍を拡大した画像なので、用紙を加工することにより削られる画像を詳細に確認することができる。
【0088】
また、エラーページが複数あるときは、順に表示するので、エラーページごとに重なりの状態を確認することができる。このため、表示部109Bの表示面積が小さい場合であっても、重なりの状態を表示することができる。
【0089】
また、エラーページが複数あるときは、一覧で表示するので、エラーページで重なりの程度を一度に確認することができる。このため、重なりを回避するために複数のエラーページまたは全ページで共通する修正条件を見つけ出すのに便利である。
【0090】
また、エラーページがある場合に、自動画像シフト、自動フィニッシング位置シフト、または自動画像縮小の修正内容で修正が可能であり、表示入力部220には、修正条件を指定するためのボタン206が表示される。このため、ボタン206を指示して修正条件を指定すれは、自動画像シフト、自動フィニッシング位置シフト、または自動画像縮小の修正内容で用紙の画像が加工位置と重なるのを回避することができる。
【0091】
また、自動画像シフト、自動フィニッシング位置シフト、または自動画像縮小の修正内容で修正が可能なので、ユーザが細かな設定をする必要がない。このため、重なりを回避するための設定を簡単にすることができる。
【0092】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0093】
<付記>
(1) 前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段を含む、請求項9に記載の画像処理装置。
(2) 前記位置変更手段は、前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段を含む、請求項9に記載の画像処理装置。
(3) 前記位置変更手段は、前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段を含む、請求項9に記載の画像処理装置。
(4) 前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、
前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、
前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段と、
前記画像形成位置変更手段、前記解像度変換手段および前記加工位置変更手段の少なくとも1つの選択を受付ける変更指示受付手段とを含む、請求項9に記載の画像処理装置。
(5) 前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、
前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、
前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段と、
前記画像データに応じて、前記画像形成位置変更手段、前記解像度変換手段および前記加工位置変更手段の少なくとも1つを選択して提示する選択提示手段とを含む、請求項9に記載の画像処理装置。
(6) 前記判定手段は、前記画像位置と前記加工位置との重なり量を検出する検出手段を含み、
前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、
前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、
前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段と、
前記検出された重なり量に応じて、前記画像形成位置変更手段、前記解像度変換手段および前記加工位置変更手段の少なくとも1つを選択して提示する選択提示手段とを含む、請求項9に記載の画像処理装置。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態の1つにおけるデジタル複写機の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】デジタル複写機の制御部の詳細なハード構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態におけるデジタル複写機で実行されるプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】デジタル複写機の上面に設けられる操作パネルの構成を説明するための平面図である。
【図5】図3のステップS11で実行される加工状態画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】修正条件指定画面の一例を示す図である。
【図7】図3のステップS14で実行される修正処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】プリントシステムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 デジタル複写機、2 コンピュータ、10 画像読取部、20 画像形成部、50 後処理部、51 ステープルユニット、52 パンチユニット、61〜65 ビン、100 制御部、101 CPU、102 記憶部、104 入力画像処理部、105 出力画像処理部、106 後処理制御部、108 モデム、109 操作パネル、109A 入力部、109B 表示部、110A ICカード、201 加工状態画像、220 表示入力部、230 修正条件指定画面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ページ分の画像データを入力するための入力手段と、
前記入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するプリントデータ生成手段と、
用紙を加工する指示を受付ける加工指示受付手段と、
複数ページそれぞれについて、前記プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、前記加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定する判定手段と、
前記判定手段により両位置が重なると判定されたページの画像が形成された用紙であって、前記加工位置が加工された用紙の加工状態画像を表示する表示手段とを備えた、画像処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記加工状態画像の前記加工位置近傍を拡大して表示する拡大表示手段を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記判定手段により両位置が重なると判定されたページが複数あるときは、該複数のページを順に表示する個別表示手段を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記判定手段により両位置が重なると判定されたページが複数あるときは、該複数のページを一度に表示する一覧表示手段を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段により両位置が重なると判定された場合に、前記画像位置と前記加工位置とを相対的に移動させる位置変更手段をさらに備え、
前記表示手段は、前記位置変更手段を能動化させるための指示を受付ける回避操作キーを表示する回避操作キー表示手段を含む、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、
前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、
前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段とを含む、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、
前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、
前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段とを含み、
前記回避操作キー表示手段は、前記画像データに応じて、前記画像形成位置変更手段、前記解像度変換手段および前記加工位置変更手段のうちから少なくとも1つを抽出する抽出手段を含み、
前記抽出された手段を能動化させるための指示を受付ける回避操作キーを選択可能に表示する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記判定手段は、前記画像位置と前記加工位置との重なり量を検出する検出手段をさらに備え、
前記位置変更手段は、前記プリントデータ生成手段に用紙に形成する画像の位置を変更させる画像形成位置変更手段と、
前記画像データの解像度を低くする解像度変換手段と、
前記加工指示により定まる加工位置を変更させる加工位置変更手段とを含み、
前記回避操作キー表示手段は、前記検出された重なり量に応じて、前記画像形成位置変更手段、前記解像度変換手段および前記加工位置変更手段のうちから少なくとも1つを抽出する抽出手段を含み、
前記抽出された手段を能動化させるための指示を受付ける回避操作キーを選択可能に表示する、請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像データを入力するための入力手段と、
前記入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するプリントデータ生成手段と、
用紙を加工する指示を受付ける加工指示受付手段と、
前記プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、前記加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定する判定手段と、
前記判定手段により両位置が重なると判定された場合に、前記画像位置と前記加工位置とを相対的に移動させる位置変更手段とを備えた、画像処理装置。
【請求項10】
複数ページ分の画像データを入力するステップと、
前記入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するステップと、
用紙を加工する指示を受付けるステップと、
複数ページそれぞれについて、前記プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、前記加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定するステップと、
前記判定ステップにより両位置が重なると判定されたページのみの画像が形成された用紙であって、前記加工位置が加工された用紙の加工状態画像を表示するステップとを含む、後処理警告方法。
【請求項11】
画像データを入力するステップと、
前記入力された画像データに基づいて、用紙に画像を形成するためのプリントデータを生成するステップと、
用紙を加工する指示を受付けるステップと、
前記プリントデータにより定まる用紙に形成される画像の画像位置と、前記加工指示により定まる用紙の加工位置との重なりを判定するステップと、
前記判定ステップにより両位置が重なると判定された場合に、前記画像位置と前記加工位置とを相対的に移動させるステップとを含む、後処理設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−34444(P2007−34444A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213552(P2005−213552)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】