説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】トナーの消費量が少ない印字率の小さい画像を多数枚連続印字する際にも、画像濃度の低下が生じない画像形成装置および画像形成方法を提供すること。
【解決手段】感光体16を有しかつ感光体16の表面にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、感光体表面のトナー画像を転写材に転写し定着させて画像を印刷する転写定着手段と、トナー画像形成手段および転写定着手段を制御する制御装置34と備え、制御装置34は、現像装置19内の二成分現像剤の嵩高さが所定値以上に上昇した際に、現像動作で印加する現像バイアス電圧よりも低い現像バイアス電圧を現像ローラ24に印加しながら感光体16および現像ローラ24を所定時間動作させることによって、二成分現像剤中のトナーを感光体16上に移動させるトナー排出動作と、トナー排出動作が終了した時点で、トナー補給装置40から現像装置19内へトナーを所定濃度となるまで補給するトナー補給動作とが行われるように、トナー画像形成手段を制御することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分現像剤を用いる電子写真方式の画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用した画像形成装置は、一般に帯電、露光、現像、転写、剥離、クリーニング、除電および定着の各工程を経ることにより、転写材に画像を形成する。
画像を形成する工程では、例えば、回転駆動される感光体の表面を帯電装置によって均一に帯電し、露光装置によって帯電した感光体表面にレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。続いて、現像装置によって感光体上の静電潜像が現像されて感光体表面上にトナー像が形成される。次いで、転写装置によって感光体上のトナー像は転写材上に転写され、その後、定着装置によって加熱されることによってトナー像は転写材上に固定される。また、感光体表面上に残った転写残留トナーは、クリーニング装置により除去されて所定の回収部に回収される。また、クリーニングされた後の感光体表面は、次の画像形成に備えるために、除電装置により残留電荷が除去される。
【0003】
感光体上の静電潜像を現像する現像剤としては、トナーのみからなる一成分現像剤またはトナーとキャリアからなる二成分現像剤が一般に用いられる。
一成分現像剤はキャリアを使用しないことから、二成分現像剤のようにトナーとキャリアを均一に混合するための攪拌機構等を必要としない。そのため、現像装置がシンプルになるといった利点を有する。しかし、トナーの帯電量が安定しにくい等の欠点がある。
二成分現像剤は、トナーとキャリアを均一に混合するための攪拌機構等を必要とすることから、現像装置が複雑になるといった欠点を有する。しかし、帯電安定性や高速機への適合性に優れている。そのため、高速画像形成装置やカラー画像形成装置によく使用されている。
【0004】
二成分現像剤に使用されるトナーとしては、粒子径が5〜8μmの着色剤(顔料)を分散含有する樹脂粒子の表面に流動性を付与する外添剤が添加されたものが使用される。
また、二成分現像剤に使用されるキャリアとしては、粒子径が20〜100μmのフェライトからなる磁性粒子が一般に使用される。また、その他のキャリアとしては、前記磁性粒子からなるコア粒子と、その表面にカーボンブラックのような導電材を含有するアクリル系樹脂またはシリコーン系樹脂からなる被覆層とを備えたコーティングキャリアが知られている。このコーティングキャリアは、湿度依存性やトナー成分の融着を防止する機能を有している。
【0005】
さらに、キャリアが現像槽中で攪拌されて被覆層が磨耗することによって、キャリアの抵抗や帯電付与能力が経時的に変化しないように、被覆層を2層にしたコーティングキャリアが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、2層の被覆層を有するコーティングキャリアを用いた二成分現像剤であっても、長期間の使用により、二成分現像剤の流動性が低下し、画像濃度が低下する問題があった。
このような流動性低下に起因する問題を解決する方法として、二成分現像剤の流動性低下を検知し、現像ローラの周速を上げることによって、画像濃度の低下を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−92190号公報
【特許文献2】特開2003−98772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、トナーの消費量が少ない印字率の小さい画像を多数枚連続印字すると、トナーにおける外添剤が樹脂粒子内部に強固に付着する(埋没する)ことによって、外添剤による転がり効果(所謂コロ効果)が失われ、トナーの流動性が極端に低下すること、および、その結果、特許文献2に記載のように現像ローラの周速を上げても、感光体ドラム表面に十分な量のトナーを供給することが困難になり、十分な画像濃度が得られないという問題が発生することが、本発明者らが研究を進めることによって明らかとなった。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、トナーの消費量が少ない印字率の小さい画像を多数枚連続印字する際にも、画像濃度の低下が生じない画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明によれば、感光体を有しかつ該感光体の表面にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、感光体表面のトナー画像を転写材に転写し定着させて画像を印刷する転写定着手段と、前記トナー画像形成手段および前記転写定着手段を制御する制御装置と備え、前記トナー画像形成手段は、感光体表面を規定電位に帯電させる帯電装置と、この帯電装置により帯電された前記感光体に静電潜像を形成する露光装置と、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤と、該二成分現像剤および現像ローラを収容しかつ二成分現像剤を前記現像ローラにて感光体へ移送して前記静電潜像をトナー画像に現像する現像装置と、該現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを検知して検知信号を前記制御装置へ出力する嵩高さ検知センサと、現像装置内にトナーを補給するトナー補給装置と、前記現像ローラに現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加装置とを具備し、前記制御装置は、現像装置内の二成分現像剤の嵩高さが所定値以上に上昇した際に、現像動作で印加する現像バイアス電圧よりも低い現像バイアス電圧を現像ローラに印加しながら感光体および現像ローラを所定時間動作させることによって、二成分現像剤中のトナーを感光体上に移動させるトナー排出動作と、前記トナー排出動作が終了した時点で、前記トナー補給装置から現像装置内へトナーを所定濃度となるまで補給するトナー補給動作とが行われるように、前記トナー画像形成手段を制御する画像形成装置が提供される。
【0009】
また、本発明の別の観点によれば、前記画像形成装置を用いる画像形成方法であって、前記嵩高さ検知センサによって前記現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを検知するステップS1と、前記ステップS1において検知した嵩高さが所定高さ以上であるか否かを前記制御装置にて判定するステップS2と、前記ステップS2において嵩高さが所定高さ以上であると判定した場合、前記トナー排出動作を所定時間行って現像装置内のトナーを感光体へ移送するステップS3と、前記ステップS3の後、前記トナー補給動作を行って前記トナー補給装置から現像装置内へトナーを所定濃度となるまで補給するステップS4とを含む画像形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トナー排出動作を行うことで、外添剤のコロ効果が低下したトナーを多く含む現像装置内のトナーが強制的に感光体側のクリーニング装置内へ排出され、かつトナー補給動作を行うことで、外添剤のコロ効果が良好なトナーが現像装置内へ補給される。
つまり、本発明によれば、トナーの消費量が少ない印字率の小さい画像を多数枚連続印字したことによって、現像装置内に収容されているトナー中に外添剤によるコロ効果が低下したトナーが多量に発生した場合でも、次の転写材への画像印刷を行う前に現像装置内のトナーを新しいトナーに入れ替えることができるため、極端に流動性が低下したトナーによる画像濃度の低下を抑えることができ、適正な画像濃度で次の画像印刷を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の画像形成装置は、感光体を有しかつ該感光体の表面にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、感光体表面のトナー画像を転写材に転写し定着させて画像を印刷する転写定着手段と、前記トナー画像形成手段および前記転写定着手段を制御する制御装置と備え、前記トナー画像形成手段は、感光体表面を規定電位に帯電させる帯電装置と、この帯電装置により帯電された前記感光体に静電潜像を形成する露光装置と、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤と、該二成分現像剤および現像ローラを収容しかつ二成分現像剤を前記現像ローラにて感光体へ移送して前記静電潜像をトナー画像に現像する現像装置と、該現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを検知して検知信号を前記制御装置へ出力する嵩高さ検知センサと、現像装置内にトナーを補給するトナー補給装置と、前記現像ローラに現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加装置とを具備し、前記制御装置は、現像装置内の二成分現像剤の嵩高さが所定値以上に上昇した際に、現像動作で印加する現像バイアス電圧よりも低い現像バイアス電圧を現像ローラに印加しながら感光体および現像ローラを所定時間動作させることによって、二成分現像剤中のトナーを感光体上に移動させるトナー排出動作と、前記トナー排出動作が終了した時点で、前記トナー補給装置から現像装置内へトナーを所定濃度となるまで補給するトナー補給動作とが行われるように、前記トナー画像形成手段を制御することを特徴とする。
【0012】
つまり、本発明の画像形成装置は、上述したように、トナーの消費量が少ない印字率の小さい画像を多数枚連続印字したことによって、現像装置内に収容されているトナー中に、外添剤によるコロ効果が低下したトナーが多量に発生した状態となっても、次の転写材への画像印刷を行う前に現像装置内のトナーを新しいトナーに入れ替えることにより、極端に流動性が低下したトナーによる画像濃度の低下を抑え、適正な画像濃度で次の画像印刷を行うことができるように構成されたものである。なお、本発明の画像形成装置は、二成分現像剤も画像形成装置の一構成要素として含まれている。
【0013】
ここで、前記「コロ効果が低下したトナーが多量に発生した状態」とは、画像濃度IDが適正な範囲よりも低下した画像が印刷されてしまうまで現像装置内のトナーの流動性が低下した状態を意味する。したがって、本発明では、この状態のときに現像装置内の全トナー(以下、古いトナーと称する場合がある)中どれだけの割合でコロ効果が低下したトナーが含まれているかを特定する必要はない。
本発明において、画像濃度IDは、転写材に印刷した画像を光反射法で測定した画像濃度であり、画像から反射される光量をX、バックグラウンドから反射される光量をXmとしたとき、ID=−log(X/Xm)で表される。
【0014】
本発明では、画像濃度IDが1.2以下のとき、現像装置内のトナーの流動性が低下した状態であると定義する。
本発明において、ある時点での画像形成装置による印刷画像が画像濃度ID1.2以下で印刷されること、すなわち現像装置内のトナーの流動性が低下したことを判断する基準として、現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを用いる。
トナー排出量が少なく印字率の小さい画像を多数枚連続印字した後は、現像装置内で二成分現像剤が長時間攪拌され、外添剤がトナー表面に埋没することによって、上述のようにコロ効果が低下したトナーが増加することに加え、二成分現像剤中に豊富に空気が取り込まれて嵩高さが上昇するため、二成分現像剤の嵩高さをトナーの流動性低下の判断基準とすることができる。
【0015】
よって、本発明では、二成分現像剤の嵩高さが所定高さ(しきい値)に達した時点が、トナー排出動作の開始時点であると判断することができる。また、トナー排出動作を開始する前記しきい値の設定は、画像濃度IDが1.2以下で印刷されたときの二成分現像剤の嵩高さを予め実験により測定することで決定することができる。
現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを検知する嵩高さ検知センサとしては、特に限定されず、例えば、圧電センサ、透磁率センサ等を用いることができる。

前記制御装置には、二成分現像剤の嵩高さのしきい値が設定入力され、嵩高さ検知センサによって検知された二成分現像剤の嵩高さの検知信号がしきい値に達したか否かが制御装置によって判定され、しきい値に達したと判断されればトナー排出動作が行われるよう制御装置が現像装置、感光体等の各装置の駆動を制御する。なお、これについて詳しくは後述する。
【0016】
本発明において、トナー排出動作およびトナー補給動作では、所定時間現像装置内の古いトナーが新しいトナーに入れ替えられるが、この「入れ替え」は現像装置内から完全に古いトナーを排出することを意味するものではなく、画像濃度IDが1.4超となるように現像装置内のトナーの流動性が回復しさえすれば、新しいトナーに古いトナーが混じっていてもよい。
【0017】
また、本発明において、現像装置が、内部のトナー濃度を検知して検知信号を前記制御装置へ出力するトナー濃度検知センサをさらに有していてもよい。このようにすれば、二成分現像剤の好ましいトナー濃度を予め制御装置に設定入力することにより、トナー濃度検知センサからの検知信号が設定トナー濃度を示すものであるか否かを制御装置にて判定させることができるため、制御装置によって現像装置内のトナー濃度が所定濃度となるまでトナー補給動作を継続させるよう制御可能となる。つまり、古いトナーを含む二成分現像剤に新しいトナーを規定濃度まで補給することができる。
トナー濃度検知センサとしては、二成分現像剤の透磁率を計測することによりトナー濃度を検知する透磁率センサが用いられる。
【0018】
ところで、トナー入れ替え直前の現像装置内の古いトナー中には、コロ効果が失われていないトナーも含まれている。そのため、入れ替え時にはコロ効果が失われていないトナーも排出されてしまう。
そこで、本発明は、できるだけコロ効果が失われていないトナーは残し、コロ効果が失われたトナーを優先的に排出できるよう、次の(1)〜(6)のように画像形成装置を構成してもよい。
【0019】
(1)制御装置は、トナー排出動作において、転写材に印刷された画像の画像濃度IDが0.5以下となるような電位差に現像ローラの電位と感光体の電位を制御可能に構成されたものである。
外添剤によるコロ効果が失われた劣化トナーは、帯電性が低く、低い電位差で感光体に移動するためカブリを生じ易い。したがって、画像濃度IDが0.5以下となるような低い電位差でトナー排出動作を行うことによって、現像装置内において、帯電性の低い劣化トナーから優先的に除去され、劣化の小さいトナーおよび劣化していないトナーが残り易くなるため、少ないトナー排出量およびトナー補給量でトナーの流動性を回復することができる。なお、トナー排出動作における前記画像濃度IDが0.5を超えると、帯電性が劣化していないトナーまで排出されやすくなる。
【0020】
(2)制御装置は、トナー排出動作における現像ローラの電位と感光体の電位の電位差を±100V未満に制御可能に構成されたものである。
このようにすれば、現像装置内において、正常に帯電している劣化の小さいトナーおよび劣化していないトナーの排出量を抑えながら、効果的に二成分現像剤から帯電不良トナーを除去することができる。なお、トナー排出動作における前記電位差が−100V以上である(マイナス側に大きい)と、帯電不良トナーのみならず、帯電性が劣化していないトナーまで排出されやすくなる。一方、前記電位差が+100V以上である(プラス側に大きい)と、帯電不良トナーがトナー排出動作によって除去されにくくなる。
【0021】
(3)制御装置は、前記トナー排出動作の時間を5〜60秒間に制御可能に構成されたものである。
このようにすれば、現像装置内において、不必要な攪拌を防ぎつつ、効果的に二成分現像剤から帯電不良トナーを除去することができる。なお、トナー排出動作における前記トナー排出時間が5秒より短いと、二成分現像剤から帯電不良トナーを十分に除去することができず、トナー排出時間が60秒より長いと、帯電性が劣化していないトナーまで排出されていくことになる。
【0022】
(4)トナーは、個数平均粒径80〜300nmの外添剤を含むものである。
このようにすれば、外添剤のトナー(着色樹脂粒子)表面への埋没を遅らせてトナーの流動性低下を遅らせることができるので、現像装置内において、トナー排出動作によって排出されるトナー量を少なくすることができる。なお、外添剤の前記個数平均粒径が80nmよりも小さいと、外添剤がトナー表面へ埋没しやすくなるためトナーの流動性低下を遅らせる効果が得られにくくなり、個数平均粒径が300nmより大きくなると、トナーとの結着性が十分に得られないことにより、外添効果が不十分となるため好ましくない。
【0023】
(5)キャリアは、コア粒子の表面が熱硬化性シリコーン樹脂で被覆されたコーティングキャリアである。
このようにすれば、キャリア表面が固い樹脂で被覆され、外添剤がキャリア表面に埋没する(固着する)ことを防止できるので、キャリアが長期にわたって安定した帯電性を保持でき、帯電不良トナーの発生を抑えることができる。
【0024】
(6)コア粒子が、フェライト系粒子である。
このようにすれば、比重の軽いキャリアが得られ、二成分現像剤を攪拌する際の攪拌トルクを小さくすることができる。その結果、トナー粒子表面への外添剤の埋没が遅くなり、帯電不良トナーの発生を少なくすることができる。
以下、図面を参照しながら画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0025】
(画像形成装置の構成の説明)
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、この画像形成装置100は、横一列に併設された画像形成ユニット1〜4および制御装置34を備えるトナー画像形成手段と、第1〜第4画像形成ユニット1〜4の上方に配置された転写定着手段とを備えるタンデム方式のカラー画像形成装置である。
【0026】
トナー画像形成手段において、第1画像形成ユニット1は黒トナー画像を形成するユニットであり、第2画像形成ユニット2はシアントナー画像を形成するユニットであり、第3画像形成ユニット1はマゼンタトナー画像を形成するユニットであり、第4画像形成ユニット4はイエロートナー画像を形成するユニットである。
【0027】
転写定着手段は、第1画像形成ユニット1および第4画像形成ユニット4の上方に配置された2つの支持ロール6a、6bと、これらの支持ロール6a、6bに掛け渡されて矢符R方向に回動する中間転写ベルト(無端ベルト)5と、無端状の中間転写ベルト5の内側であって第1〜第4画像形成ユニット1〜4のそれぞれに対向するように配置された4つの1次転写ローラ7と、一方の支持ローラ6bに近接して配置された2次転写ローラ8と、定着ユニット15とを備える。
以下、中間転写ベルト5の回動方向Rに対し、2次転写ローラ8が配置されている2次転写位置を基準として、回動方向上流、下流を規定する。
【0028】
中間転写ベルト5の材料としては、ポリイミドまたはポリアミド等の樹脂に電子伝導性導電材を適当量含有させたものが使用できる。
4つの画像形成ユニットは、中間転写ベルト5の回動方向Rの上流側から、第1画像形成ユニット1(ブラック)、第2画像形成ユニット2(シアン)、第3画像形成ユニット3(マゼンタ)、第4画像形成ユニット4(イエロー)の順に配置されている。
各1次転写ローラ7は、第1〜第4画像形成ユニット1〜4で形成された単色トナー画像を中間転写ベルト5上に転写するものであり、第1〜第4画像形成ユニット1〜4で形成された単色トナー画像は、中間転写ベルト5上に重ね合うように転写され、一つのカラートナー像を形成する。
【0029】
第4画像形成ユニット4(イエロー)よりも中間転写ベルト5の回動方向Rの下流側に、中間転写ベルト5上に形成されたカラートナー像を記録媒体である転写材(以下、用紙と称する)に転写する前記2次転写ローラ8が配設されている。
また、2次転写ローラ8よりも中間転写ベルト5の回動方向Rの下流側(支持ロール6a近傍)には、転写後の中間転写ベルト5の表面をクリーニングするためのベルトクリーニングユニット10が設けられている。ベルトクリーニングユニット10は、中間転写ベルト5に接触配置されるベルトクリーニングブラシ11と、ベルトクリーニングブレード12とを有している。ベルトクリーニングブレード12は、ベルトクリーニングブラシ11より中間転写ベルト5の回転方向Rの下流側に配置される。
【0030】
また、第1〜第4画像形成ユニット1〜4の下方には、用紙を収容するトレー14が配設されている。トレー14内の用紙は、複数の給紙ローラ13にて、2次転写ローラ8が中間転写ベルト5と対向する2次転写位置まで搬送される。矢符Pは、トレー14から2次転写ローラ8への用紙の搬送方向を示す。
2次転写ローラ8の用紙搬送方向下流側には、用紙に転写されたカラートナー像を用紙上に定着するための前記定着ユニット15が設けられている。そして、定着ユニット15のさらに搬送方向P下流側には、定着ユニット15でカラートナー像が定着された用紙を画像形成装置100から排出する排紙ローラ13aが設けられている。
【0031】
このような構成において、第1〜第4画像形成ユニット1〜4で形成された各単色トナー画像は、中間転写ベルト5上へ順次転写されて、中間転写ベルト5上にカラートナー像が形成される。中間転写ベルト5上のカラートナー像は、2次転写位置において、給紙ローラ13で搬送される用紙へと2次転写され、その後、定着ユニット15にて用紙に定着される。カラー画像が定着された用紙は、排紙ローラ13aにて画像形成装置から排出される。一方、2次転写後、用紙に転写さないまま中間転写ベルト5上に残ったトナーは、ベルトクリーニングユニット10にて取り除かれる。
【0032】
図2は、図1のトナー画像形成手段における第1画像形成ユニット1を示す概略構成図である。なお、第2画像形成ユニット2、第3画像形成ユニット3および第4画像形成ユニット4の構成は、実質的に第1画像形成ユニット1と同じ構成であるので、第2〜第4画像形成ユニット2〜4についての説明は省略する。
図2に示すように、第1画像形成ユニット1は、ドラム形の感光体16と、帯電装置17と、露光装置18と、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤(図示省略)と、現像装置19と、カブリ濃度センサ26と、クリーニング装置20と、除電装置25と、トナー補給装置40と、現像バイアス印加装置35とを備え、感光体ドラム16の周囲には、帯電装置17、露光装置18、現像装置19、カブリ濃度センサ26、クリーニング装置20、除電ランプ25がこの順序で感光体ドラム16の回転方向Rdに沿って配置されている。
【0033】
帯電装置17は、感光体16の表面を規定電位に帯電させる装置であり、例えばスコロトロン帯電装置からなる。このスコロトロン帯電装置は、ノコ歯電極(放電電極)17aから感光体ドラム16の表面に到達するコロナイオンの量を制御可能な制御グリッド17bを備えている。
ノコ歯電極17aには数kVの高電圧を出力する高電圧電源(図示せず)が接続されている。また、制御グリッド17bには、切替えスイッチ31を介して、高電圧用トランス(TH)を有する高電圧電源32と、低電圧用トランス(TL )を有する定電圧電源としての低電圧電源33とが接続されている。本実施の形態において、低電圧電源33の出力電圧は約200Vであり、高電圧電源32の出力電圧は約650Vである。但し、電圧の極性は何れもマイナスである。前記切替えスイッチ31の切換動作は、制御装置34によって制御される。
【0034】
露光器18は、帯電装置17により帯電された感光体16に静電潜像を形成する装置であり、例えばレーザ露光器、LDEアレイ装置等からなる。露光装置18は、入力された画像信号に応じたレーザ走査による露光を行い、帯電装置17によって帯電された感光体ドラム16の表面電位を変化させることで、画像情報に応じた静電潜像を形成する。
【0035】
現像装置19は、キャリアとトナーからなる二成分現像剤を収容する現像槽(ケーシング)、現像槽内に設けられた現像ローラ24および攪拌移送ローラ27等を備える。攪拌移送ローラ27は、二成分現像剤を攪拌することによりトナーを均一に分散させ、かつトナーをキャリアと逆極性に摩擦帯電させると共に、二成分現像剤を現像ローラ側へ移送する。現像ローラ24は磁気ローラであり、その表面に磁力により二成分現像剤の磁気ブラシを形成し、感光体16の回転方向と同じ方向に回転しながら磁気ブラシを感光体16の表面に接触させることにより、磁気ブラシからトナーを感光体ドラム16の表面に供給して静電潜像を現像する。なお、二成分現像剤について詳しくは後述する。
【0036】
また、現像装置19には、二成分現像剤の嵩高さを検知し、その検知信号(嵩高さデータ)を制御装置34に出力する嵩高さ検知センサ36が備えられている。この嵩高さ検知センサ36としては、例えば圧電センサが用いられる。
さらに、現像装置19には、内部のトナー濃度を検知して検知信号を前記制御装置へ出力するトナー濃度検知センサ28が備えられている。このトナー濃度検知センサ28としては、例えば透磁率センサが用いられ、現像槽の底部に配置される。
【0037】
カブリ濃度センサ26は、感光体ドラム16の表面の非トナー画像形成領域におけるトナーを検知し、その検知信号(トナー付着量データ)を制御装置34に出力するセンサであり、例えば発光素子と受光素子からなるフォトセンサが用いられる。
クリーニング装置20は、転写後の感光体16の表面に残留する転写残トナーを除去し回収する装置であり、感光体16の表面から転写残トナーをケーシング内に掻き取るクリーニングブレードと、掬い取った転写残トナーを廃トナー回収ボックスへ搬送する搬送機構部とを備える。
【0038】
除電装置25は、転写後の感光体16の表面に残留する電荷を除去する除電ランプであり、例えばネオンランプが用いられる。
現像バイアス印加装置35は、現像ローラ24に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス電源である。
トナー補給装置40は、その内部に収容した補給用の新しいトナーを現像装置19内に供給する装置であり、現像装置19のトナー導入口と接続するトナー排出口と、トナー排出口の内側に配置されたトナー補給ローラ41とを有し、トナー補給ローラ41の回転量に応じたトナー量のトナーが現像装置19内に補給される。
【0039】
制御装置34は、CPU、ROM、RAM等を備えてなり、各センサからの検知信号が入力され、かつ各検知信号に基いてトナー画像形成手段および転写定着手段等の各駆動部および各電源等を制御する。
【0040】
(二成分現像剤の説明)
次に、本発明の画像形成装置に使用できる二成分現像剤について説明する。
二成分現像剤は、トナーとキャリアをナウターミキサ等の混合機で攪拌混合することによって作製でき、一般に、キャリア100重量部に対してトナー3〜15重量部の割合で混合される。
【0041】
<トナー>
トナーとしては、特に限定されず、公知のトナーをいずれも使用できる。例えば、以下で説明するトナーを使用することができる。
トナーは、着色樹脂粒子(トナー粒子)と、必要に応じて着色樹脂粒子の表面に付着され外添剤とを含んでなる。
外添剤は、トナーの凝集を防ぎ、感光体ドラムから転写材(記録媒体)へ転写する際の転写効率低下を防ぐ観点から、着色樹脂粒子に外添されていることが好ましい。
トナーは、例えば、外添剤を着色樹脂粒子とヘンシェルミキサのような気流混合機を用いて混合する(すなわち、外添処理する)ことによって作製できる。着色樹脂粒子の体積平均粒径は、4〜7μmの範囲内のものが好ましい。この範囲内であれば、ドット再現性に優れ、カブリやトナー飛散の少ない、高画質画像が得られる。
【0042】
着色樹脂粒子は、混練粉砕法や重合法等の公知の方法によって作製できる。具体的には、混練粉砕法を採用した場合、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤ならびにその他の添加剤を、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、Q型ミキサ等の混合機により混合する。得られた原料混合物を、2軸混練機、1軸混練機等の混練機により、100〜180℃程度の温度で溶融混練する。得られた混練物を冷却固化し、固化物をジェットミルのようなエア式粉砕機により粉砕する。得られた粉砕物を、必要に応じて分級等の粒度調整を行うことにより着色樹脂粒子を作製できる。
【0043】
前記バインダー樹脂としては、公知の各種スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が使用できる。特に線形または非線形のポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂は、機械的強度(微粉が発生しにくい)、定着性(定着後に紙から剥離しにくい)および耐ホットオフセット性等に優れている。
前記着色剤としては、特に限定されず、トナーに一般に用いられている公知の顔料や染料を使用できる。
【0044】
前記帯電制御剤としては、公知の帯電制御剤が使用できる。
具体的には、負帯電性を付与する帯電制御剤としては、クロムアゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルトアゾ錯体染料、サリチル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、ナフトール酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、ベンジル酸もしくはその誘導体のクロム・亜鉛・アルミニウム・ホウ素錯体もしくは塩化合物、長鎖アルキル・カルボン酸塩、長鎖アルキル・スルフォン酸塩等が挙げられる。
正帯電性を付与する帯電制御剤としては、ニグロシン染料、及びその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩等の誘導体等が挙げられる。
これらの帯電制御剤の含有量としては、バインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部〜20重量部の範囲内が好ましく、0.5重量部〜10重量部の範囲内がさらに好ましい。
【0045】
前記離型剤としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成ワックスやパラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体等の石油系ワックス及びその変成ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス等が挙げられる。これら離型剤をトナー中に含有させることにより、定着ローラまたは定着ベルトに対するトナーの離型性を高めることができ、定着時の高温・低温オフセットを防止できる。離型剤の添加量は特に制限されないが、一般的には、バインダー樹脂100重量部に対して1〜5重量部である。
【0046】
前記外添剤としては、平均粒径が7〜100nmのシリカ、酸化チタン、アルミナ等からなる無機粒子が用いられる。また、無機粒子をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理することによって疎水性を付与してもよい。疎水性を付与した無機粒子は、高湿下において電気抵抗や帯電量の低下を抑制できる上で好ましい。特に、シランカップリング剤としてヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSと称する場合がある)を用いて、表面にトリメチルシリル基を導入したシリカ粒子は、疎水性や絶縁性に優れている。このシリカ粒子を外添したトナーは、高湿環境下においても、優れた帯電性を有する。
【0047】
さらに、外添剤は、粒径が小さくなるとトナーを構成するバインダー樹脂粒子内に埋没しやすいため、上記平均粒径7〜100nmの外添剤に加えて、個数平均粒径が80〜300nmの外添剤も併用することが望ましい。なお、個数平均粒径が300nmを超えた外添剤は、バインダー樹脂粒子表面から離脱して現像槽内の底に蓄積しやすくなる。
外添剤全体の添加量は、着色樹脂粒子100重量部に対して0.2〜3重量部が好ましく、0.2重量部未満ではトナーに十分な流動性を付与しにくくなる傾向にあり、3重量部を超えるとトナーの定着性が低下する傾向にある。
特に、個数平均粒径80〜300nmの外添剤の添加量は、着色樹脂粒子100重量部に対して0.2〜2.0重量部が好ましく、0.2重量部未満であると十分な外添効果が得られなくなり、2.0重量部を超えると定着性が悪化するため好ましくない。
【0048】
<キャリア>
本発明に使用できるキャリアとしては、特に制限されるものはないが、体積平均粒径が20〜100μmであることが好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。キャリアの体積平均粒径が20μmより小さくなると、現像時に現像ローラから感光体にキャリアが移動し、それによって転写材に形成された画像に白抜けが発生する傾向にある。また、キャリアの体積平均粒径が100μmより大きくなると、ドット再現性が悪くなり、画像が粗くなる傾向にある。
キャリアの飽和磁化は、30〜100emu/gの範囲内が好ましく、50〜80emu/gの範囲内がより好ましい。キャリアの飽和磁化は、低いほど感光体と接する磁気ブラシが柔らかくなるので、静電潜像に忠実なトナー画像が得られる。しかし、飽和磁化が30emu/gよりも低くなると、感光体表面にキャリアが付着して画像の白抜け現象が発生しやすくなる。一方、飽和磁化が100emu/gよりも高くなると、磁気ブラシの剛直化により、静電潜像に忠実な画像が得られにくくなる。
本発明において、二成分現像剤のキャリアとしては特に限定されないが、コア粒子に樹脂被覆層が形成されたコーティングキャリアが好ましい。以下、本発明において好ましいコーティングキャリアについて説明する。
【0049】
〔コア粒子〕
コア粒子としては、公知の磁性粒子を使用することができるが、フェライト成分を含む粒子(フェライト系粒子)が好ましい。フェライト系粒子は、飽和磁化が高く、密度の小さいキャリアを得ることができる。そのため、感光体へのキャリア付着が起こりにくく、ソフトな穂立形成によるドット再現性の高い画像が得られる。
フェライト系粒子としては公知のものを使用でき、例えば、亜鉛系フェライト、ニッケル系フェライト、銅系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、銅−マグネシウム系フェライト、マンガン−亜鉛系フェライト、マンガン−銅−亜鉛系フェライト等の粒子が挙げられる。
フェライト系粒子は、公知の方法で作製することができる。例えば、Fe23やMg(OH)2等のフェライト原料を混合し、この混合粉を加熱炉で加熱して仮焼する。得られた仮焼品を冷却した後、振動ミルでほぼ1μm程度の粒子となるように粉砕し、粉砕粉に分散剤と水を加えてスラリーを作製する。このスラリーを湿式ボールミルで湿式粉砕し、得られた懸濁液をスプレードライヤーで造粒乾燥することによって、フェライト系粒子が得られる。
【0050】
〔樹脂被覆層〕
樹脂被覆層の材料としては、特に限定されず、樹脂被覆層として用いられている公知の樹脂をいずれも使用することができ、例えば、アクリル樹脂やシリコーン樹脂等が挙げられる。また、樹脂被服層は、1種の樹脂または2種以上の樹脂混合物からなる1層または2層以上の構造とすることができる。
【0051】
アクリル樹脂としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ含フッ素アクリレート、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−ブチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリ ル酸エチル共重合体等が挙げられる。市販の商品名では、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールSE−5437、SE−5102、SE−5377、SE−5649、SE−5466、SE−5482、HR−169、HR−124、HR−1127、HR−116、HR−113、HR−148、HR−131、HR−470、HR−634、HR−606、HR−607、LR−1065、LR−574、LR−143、LR−396、LR−637、LR−162、LR−469、LR−216、BR−50、BR−52、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、積水化学工業製エスレックPSE−0020、SE−0040、SE−0070、SE−0100、SE−1010、SE−1035、三洋化成工業ハイマーST95、ST120、三井化学製FM601等が挙げられる。
【0052】
シリコーン樹脂としては、例えば、シリコーンワニス(東芝社製:TSR115、TSR114、TSR102、TSR103、YR3061、TSR110、TSR116、TSR117、TSR108、TSR109、TSR180、TSR181、TSR187、TSR144、TSR165、信越化学社製:KR271、KR272、KR275、KR280、KR282、KR267、KR269、KR211、KR212)、アルキッド変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR184、TSR185)、エポキシ変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR194、YS54)、ポリエステル変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR187)、アクリル変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR170、TSR171)、ウレタン変性シリコーンワニス(東芝社製:TSR175)、反応性シリコーン樹脂(信越化学社製:KA1008、KBE1003、KBC1003、KBM303、KBM403、KBM503、KBM602、KBM603等が挙げられる。
特に、ストレートシリコーン樹脂(アルキル置換シリコーン樹脂)の層を備えたキャリアは、その表面にトナー成分のバインダー樹脂が付着(フィルミング)しにくく、長期に渡ってトナーの帯電付与能力を維持できる上で好ましい。
【0053】
ストレートシリコーン樹脂としては特に制限されず、当該分野で使用されるシリコーン樹脂を使用でき、特に架橋型シリコーン樹脂が好ましい。架橋型シリコーン樹脂は、次式に示すように、Si原子に結合する水酸基同士または水酸基と−OX基とが加熱脱水反応、常温硬化反応などによって架橋して硬化する公知のシリコーン樹脂である。
【0054】
【化1】

【0055】
前記式中、複数のRは同一または異なって1価の有機基を示す。−OX基はアセトキシ基、アミノキシ基、アルコキシ基、オキシム基などである。
架橋型シリコーン樹脂としては、加熱硬化型シリコーン樹脂、常温硬化型シリコーン樹脂のいずれをも使用することができる。加熱硬化型シリコーン樹脂を架橋させるには、該樹脂を200〜250℃程度に加熱する必要がある。常温硬化型シリコーン樹脂を硬化させるには加熱の必要はないが、硬化時間の短縮のために150〜280℃で加熱するのが好ましい。
架橋型シリコーン樹脂の中でも、Rで示される1価の有機基がメチル基であるものが好ましい。Rがメチル基である架橋型シリコーン樹脂は架橋構造が緻密であることから、該架橋型シリコーン樹脂を用いてキャリア芯材であるコア粒子を被覆する樹脂被覆層を形成すると、撥水性、耐湿性などが良好なキャリアが得られる。ただし、架橋構造が緻密になりすぎると、樹脂被覆層が脆くなる傾向があるので、架橋型シリコーン樹脂の分子量の選択が重要である。
【0056】
また、架橋型シリコーン樹脂中の珪素と炭素の重量比(Si/C)が0.3〜2.2であることが好ましい。Si/Cが0.3未満では、樹脂被覆層の硬度が低下し、キャリア寿命などが低下するおそれがある。一方、Si/Cが2.2を超えると、キャリアのトナーに対する電荷付与性が温度変化による影響を受けやすくなり、樹脂被覆層が脆化するおそれがある。
本発明では市販の架橋型シリコーン樹脂を使用でき、たとえば、SR2400、SR2410、SR2411、SR2510、SR2405、840RESIN、804RESIN(いずれも商品名、東レダウコーニング株式会社製)、KR271、KR272、KR274、KR216、KR280、KR282、KR261、KR260、KR255、KR266、KR251、KR155、KR152、KR214、KR220、X−4040−171、KR201、KR5202、KR3093(いずれも商品名、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。架橋型シリコーン樹脂は1種を単独で使用することができ、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0057】
樹脂被覆層には、導電材が添加されていてもよい。導電材としては、キャリアの体積抵抗率を制御できるものであれば特に制限はない。例えば、酸化ケイ素、アルミナ、カーボンブラック、グラファイト、酸化亜鉛、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の導電材が挙げられる。
これらの導電材の中でも、作製安定性、コスト、電気抵抗の低さという観点からカーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックの種類は特に限定されないが、DBP(ジブチルフタレート)吸油量が90〜170ml/100gの範囲にあるものが、作製安定性に優れる点で好ましい。
また、導電材は一次粒径として50nm以下のものが分散性に優れるため特に好ましく、1種を単独で使用することができ、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0058】
導電材の含有率は、樹脂被覆層を構成する樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。0.1重量部未満では、導電性を得られない場合がある。一方、20重量部を超えると導電性が高すぎてチャージリークしてしまう場合がある。
また、樹脂被覆層が2層構造である場合、コア粒子と接触する第1被覆層に含まれる導電材の含有率は、3.0〜10.0重量部であることが好ましく、3.0〜7.0重量部であることがより好ましい。含有率がこの範囲であることで、キャリアが感光体に付着したキャリア付着現象を抑制することができる。一方、第1被覆層上の第2被覆層に含まれる導電材の含有率は、7.0〜25.0重量部であることが好ましく、15.0〜25.0重量部であることがより好ましい。含有率がこの範囲であることで、キャリアの帯電量上昇を防止することができる。
【0059】
樹脂被覆層には帯電向上剤が添加されていてもよい。帯電向上剤としては、トナーの帯電性を高めるものであれば特に制限はない。例えば、負帯電トナー用としてはメラミン樹脂等の窒素含有樹脂を使用することができ、正帯電トナー用としてはフッ素系樹脂を使用することができる。
樹脂被覆層の形成方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、原料樹脂を溶媒(例えば、トルエン、アセトン等の有機溶媒)に溶解し、得られた原料溶液中にコア粒子を浸漬させる浸漬法、原料溶液をコア粒子に噴霧するスプレー法、コア粒子を流動エアにより浮遊させた状態で原料溶液を噴霧する流動床法等、ニーダーコーター中でコア粒子と原料溶液とを混合し、溶媒を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。導電材は、原料溶液中に添加することができる。
【0060】
(画像形成装置の画像形成動作について)
次に、本発明の画像形成装置の画像形成動作の一例について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0061】
<通常の画像形成動作>
図1および図2に示すように、画像形成装置100における通常の画像形成動作は、まず、感光体16がドラムモータにより回転駆動され、感光体16の表面が帯電装置17によって均一な電位に帯電される。次に、感光体16の表面に、露光装置18からレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。感光体16での静電潜像の形成は、感光体16の基体をなすアルミニウム素管(図示せず)がドラムフランジからドラムシャフトを介してグランドに接続されており、前記レーザ光による露光部の電位が未露光部分よりも低下することにより行われる。
形成された静電潜像は、現像装置19から供給される帯電されたトナーによって現像され、トナー像となる。このとき、現像装置19の現像ローラ24には、トナーを感光体16の表面に供給するために、現像バイアス電源35から現像バイアスが印加されている。本実施形態において、プラス側の出力電圧は150Vで、マイナス側の出力電圧は100Vと500Vであり、出力電圧はマイクロコンピュータを備えた制御装置34によって制御される。
【0062】
図3は、通常画像形成時のドラムモータ、制御グリッド電圧および現像バイアスの動作タイミングおよび印加タイミングを示すタイミングチャートである。
ドラムモータの回転開始から感光体16の表面電位が規定電位に立ち上がるまでの間に、図3に示すタイミングにて各部が動作する。
時刻t1において、ドラムモータが回転を開始すると同時に、帯電装置17ではノコ歯電極17aに高電圧が供給されるとともに、切替えスイッチ31が低電圧電源33側に切り替えられることにより、制御グリッド17bに低電圧電源33から所定の低グリッド電圧(−200V)が供給される。なお、図3には記載されていないが、同時に除電ランプ25がONとなる。
また、時刻t1において、現像装置19では現像ローラ24に現像バイアス供給手段35から所定のプラス側現像バイアス電圧(+150V)が供給される。
【0063】
次に、時刻t2において、帯電装置17では切替えスイッチ31が高電圧電源32側に切り替えられ、制御グリッド17bに所定の高グリッド電圧(−650V)が供給される。このとき、印加するグリッド電圧は、低電圧(−200V)から高電圧(−650V)までを8段階に分けて、約−40Vづつ上昇させている。複数段階でグリッド電圧を上昇させることで、感光体16の表面電位の立ち上がり時における電位の不安定部分の発生を防止し、感光体16の表面電位を規定電位まで直線的に立ち上げることができる。この結果、キャリアの飛散による感光体16の劣化、トナーリサイクル時の飛散キャリアを核としたトナーの凝集による画質の劣化、並びに感光体16への逆帯電トナーの付着による現像装置19から感光体16へのトナー供給量の増大を防止して、安定した画質の画像を得ることができる。
一方、時刻t1から所定時間a後の時刻t3において、現像装置19では現像ローラ24にマイナス側低現像バイアス電圧(−100V)が供給され、時刻t3から所定時間b後の時刻t4に、マイナス側高現像バイアス電圧(−500V)が供給される。
【0064】
感光体16が回転を開始し、制御グリッド17bへのグリッド電圧の印加により感光体16の表面電位の上昇した部分が現像ローラ24に到達するまでの間、現像バイアスが0Vのままであると、感光体16の表面における現像ローラ24を通過する部分の表面電位が0Vであるために、感光体表面における現像ローラ24を通過する部分にトナーが付着することになる。また、このときにグリッド電圧と同極性の電圧を現像バイアスとして現像ローラ24に印加すると、トナーの帯電量の大小にかかわらず、感光体16の表面へのトナーの付着が生じるが、表面電位上昇部分が現像ローラ24に到達するまでの間、グリッド電圧とは逆極性の現像バイアスを現像ローラ24に印加することで、感光体表面へのトナーの付着を防止することができる。この結果、現像装置19から感光体16へのトナー供給量の増大を防止し得るとともに、安定した画質の画像を得ることができる。
【0065】
切り替えスイッチ31による低電圧電源33側から高電圧電源32側への切り替えタイミングは、制御グリッド17bへの低電圧電源33の印加後に、感光体16の表面電位が立ち上がった直後(約0.2秒後)に設定される。このようにして帯電装置17から電位が供給されることにより感光体16の表面電位は上昇していき、最終的に規定電位となる。このとき、帯電装置17の制御グリッド17bには、まず低電圧電源33から低電圧バイアスを印加し、次に高電圧電源32から高電圧を印加するようにしているので、感光体16の表面電位の立ち上がりは、図4に示すようになる。
図4は、感光体16の表面電位の立ち上がりを示すグラフであり、横軸は経過時間(sec)を示し、縦軸は電位(V)を示す。
【0066】
図4において、経過時間は、図3に示した時刻t1、すなわちドラムモータの回転開始時刻を0としている。感光体16の表面電位は、0Vから制御グリッド電圧の出力に伴って段階的に上昇し、規定電位(−600V)に到達する。
本発明の画像形成装置では、電源投入後において、上述の通常の画像形成動作に先立って、後述のトナー排出動作およびトナー補給動作が行われる。
【0067】
<トナー排出動作およびトナー補給動作>
図5は、トナー排出動作実施時のドラムモータ、制御グリッド電圧および現像バイアスの動作タイミングおよび印加タイミングを示すタイミングチャートである。また、図6は、トナー排出動作およびトナー補給動作を示すフローチャートである。
上述の構成の画像形成装置による画像形成方法は、嵩高さ検知センサ36によって現像装置19内の二成分現像剤の嵩高さを検知するステップS1と、ステップS1において検知した嵩高さが所定高さ(所定しきい値)以上であるか否かを制御装置34にて判定するステップS2と、ステップS2において嵩高さが所定高さ以上であると判定した場合、トナー排出動作を所定時間行って現像装置19内のトナーを感光体16へ移送するステップS3と、ステップS3の後、トナー補給動作を行ってトナー補給装置40から現像装置19内へトナーを所定濃度となるまで補給するステップS4とを含む。
また、ステップ4は、トナー補給装置40を駆動させるステップ4aと、トナー濃度検知センサ28によって現像装置19内の二成分現像剤のトナー濃度を検知するステップ4bと、ステップ4bにて検知したトナー濃度が所定濃度(所定しきい値)以上であるか否かを制御装置34にて判定するステップ4cとを含み、ステップS4cにおいてトナー濃度が所定濃度以上であると判定した場合、トナー補給動作が停止する。
【0068】
本発明において、トナー排出動作とは、静電潜像が未形成の状態で、感光体16の表面電位と現像バイアス電位との電位差が±100V未満であって、感光体16と現像ローラ24を回転動作させることで、所定の画像濃度ID以下で転写材に画像が形成されるように感光体16の表面にトナーを付着させる動作のことであり、帯電量の低下したトナー、逆極性の帯電トナーなどカブリの原因となる帯電不良トナーを予め感光体16に付着させ、クリーニング装置20にて除去する動作である。このトナー排出動作での前記所定の画像濃度IDは0.5以下が好ましい。
【0069】
上述のように、トナー排出量が少なく印字率の小さい画像を多数枚連続印字した後は、現像装置19内で二成分現像剤が長時間攪拌され、コロ効果が低下したトナーが増加することに加え、二成分現像剤中に豊富に空気が取り込まれて嵩高さが上昇する。
嵩高さ検知センサ36によって、現像装置19内の二成分現像剤の嵩高さが所定高さ(所定しきい値)以上に上昇したことが検知されると、時刻txにてドラムモータの回転を開始し、時刻txから所定時間経過(例えば30秒経過)した後の時刻tyまで、−10Vの現像バイアス電位が現像ローラ24に印加される。ここで、時刻tx、時刻tyはともに時刻t1より前の時刻である。なお、時刻txから時刻tyまでの間、ノコ歯電極17aおよび制御グリッド17bには制御グリッド電圧が印加されない。
【0070】
時刻tyの後、ノコ歯電極17aおよび制御グリッド17bに制御グリッド電圧が印加される。
制御グリッド電圧を印加する際、感光体16の表面電位と現像バイアス電位との電位差が±100V未満、好ましくは−50V〜+50Vとなるように現像バイアス電位が印加される。現像ローラ24に−10Vの現像バイアス電位が印加された場合、制御グリッド17bに印加される制御グリッド電圧は−60V〜+40Vが好ましい。印加時間としては、5秒間〜60秒間が好ましく、5秒間〜30秒間が特に好ましい。
印加時間が5秒間より短いと、カブリの原因となる帯電不良トナーをトナー排出動作によって十分に除去されず、一方、印加時間が60秒間を超えると、帯電量不良トナー以外の余分なトナーまでが現像されてしまう。また、前記電位差が−100V以上である(マイナス側に大きい)と、帯電不良トナーのみならず、正常な帯電量を有するトナーまでもがトナー排出動作により除去されやすくなり、余分なトナーが消費される。逆に、前記電位差が+100V以上である(プラス側に大きい)と、帯電不良トナーがトナー排出動作によって除去されない。
【0071】
トナー排出動作が終了した後、感光体16および現像ローラ24の回転が停止すると共に、トナー補給装置40によるトナー補給動作およびトナー濃度検知センサ28による二成分現像剤のトナー濃度検知が開始される。
トナー補給動作では、トナー補給装置40のトナー補給ローラ41が図示しないモータにて回転することにより、トナー補給装置40内の新しいトナーが現像装置19内へ補給されていき、二成分現像剤のトナー濃度が上昇していく。この間、現像装置19内の攪拌移送ローラ27が回転して二成分現像剤が攪拌されてキャリア中にトナーが均一に分散されると共に、トナー濃度検知センサ28によって二成分現像剤のトナー濃度が検知され、その検知信号が制御装置34に向かって出力されている。
そして、トナー濃度が所定濃度(所定しきい値)以上であると制御装置34が判定したところで、トナー補給ローラ41および攪拌移送ローラ27の回転が停止して、トナー補給動作が完了する。
【0072】
このように、通常画像形成に先立って、トナー排出動作およびトナー補給動作が連続的に行われることにより、現像装置19内の古いトナーが新しいトナーに入れ替えられるため、その後、通常の画像形成を行えば適正な画像濃度ID(1.4〜1.6)の形成画像を転写材に印刷することができる。
なお、トナー排出動作およびトナー補給動作における各駆動部の動作と動作時間、印加電圧と印加時間等の制御は、各センサからの検出信号に基く制御装置34によって行われている。
本実施形態では、第1〜第4画像形成ユニット1〜4のうち、第1画像形成ユニット1を代表に挙げて構成および動作を説明をしたが、第2〜第4画像形成ユニット2〜4の構成および動作も第1画像形成ユニット1と同様であり、画像形成装置の実使用時では、各画像形成ユニットは独立してトナー排出動作およびトナー補給動作が二成分現像剤の状態に応じて制御される。
【実施例】
【0073】
<キャリア>
実施例及び比較例で用いるキャリアを、以下に示す方法により作製した。
フェライト原料(KDK社製)をボールミルにて混合した後、ロータリーキルンにて900℃で仮焼し、得られた仮焼粉を、湿式粉砕機(粉砕媒体としてスチールボール使用)により平均粒径2μm以下にまで微粉砕した。得られたフェライト粉末をスプレードライ方式により造粒し、造粒物を1300℃で焼成した。焼成後、クラッシャを用いて解砕することで、体積平均粒子径が43μm、体積抵抗率が1×109Ω・cmのフェライト成分からなるコア粒子を得た。
【0074】
次に、コア粒子を被覆する熱硬化性シリコーン樹脂層を形成するための被覆用塗液として、ジメチルシリコーン樹脂(東芝シリコン社製)100重量部と、カーボンブラック(三菱化学社製)5重量部とをトルエン1000重量部に溶解し調製した。調製した被覆用塗液中にコア粒子を浸漬させる浸漬法被覆装置を用いて、前記被覆用塗液でコア粒子を被覆した。この後、コア粒子を被覆した被覆用塗液の層中から溶剤を完全に蒸発させて除去した後、230℃で30分間、熱硬化を行い、コア粒子の表面が熱硬化性シリコーン樹脂層にて被覆されたキャリアC1を作製した。
得られたキャリアC1は、体積平均粒子径が40μm、体積抵抗率が2×1011Ω・cm、飽和磁化60emu/gであった。
【0075】
<トナー>
実施例及び比較例で用いるトナーを、以下に示す方法で作製した。
トナー材料を下記する。
・バインダー樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド、テレフタル酸又は無水トリメリット酸を単量体として重縮合して得られるポリエステル樹脂:ガラス転移温度60℃、軟化温度115℃:藤倉化成工業社製) 100重量部
・着色剤(C.I.ピグメント・ブルー15:3) 5重量部
・帯電制御剤(ホウ素化合物:日本カーリット社製LR−147) 2重量部
・離型剤(マイクロクリスタリンワックス:日本精鑞社製HNP−9) 3重量部
上記トナー材料をヘンシェルミキサにて10分間混合した後、混練分散処理装置(三井鉱山社製:ニーディックスMOS140−800)で溶融混練分散処理した。その混練物をカッティングミルで粗粉砕した後、ジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製:IDS−2型)によって微粉砕した。微粉砕物を、風力分級機(日本ニューマチック工業社製:MP−250型)を用いて分級することによって、体積平均粒径が6.0μmの着色樹脂粒子を得た。
得られた着色樹脂粒子100重量部に、ヘキサメチルジシラザンで表面を疎水処理した個数平均粒径が7nmのシリカ粒子(デグサ社製)1重量部を加えて、攪拌羽根の先端速度を15m/秒に設定した気流混合機(三井鉱山社製:ヘンシェルミキサ)で2分間攪拌することによって負帯電性のトナーT1を作製した。
【0076】
<二成分現像剤>
キャリアC1とトナーT1とを混合することによって、実施例及び比較例で用いる二成分現像剤G1を作製した。二成分現像剤G1は、トナーT1の6重量部とキャリアC1の94重量部とをナウターミキサ(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)に投入し、20分間攪拌混合することによって作製した。
【0077】
<画像形成装置>
実施例および比較例に用いた画像形成装置として図1および図2で示した構成の画像形成装置と同様の画像形成装置を使用し、画像形成は、第1〜第4画像形成ユニット1〜4のうち、第1画像形成ユニット1のみを用いて行った。なお、画像形成装置の現像条件として、感光体16の周速を400mm/秒、現像ローラ24の周速560mm/秒、感光体16と現像ローラ24のギャップを0.40mm、現像ローラ24と規制ブレードのギャップを0.4mmとなるように設定し、感光体16の表面電位を−600V、現像ローラ24の現像バイアスを−450Vにそれぞれ調整した。試験紙(転写材)として、A4サイズの電子写真用紙(マルチレシーバー:シャープドキュメントシステム社製)を使用した。
【0078】
<画像評価方法>
〔カブリ濃度〕
5枚の白画像サンプルをプリントし、カブリ濃度の測定を行った。カブリ濃度については、非画像部(0%濃度)の濃度を次の手順により算出した。
白度計(日本電色工業社製:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)を用いて、予めプリント前の紙の白色度を測定した。次に、プリント後の紙の非画像部における白色度を、白度計を用いて測定し、プリント前の白色度との差を求め、この差をカブリ濃度とした。カブリ濃度が0.6未満(肉眼ではカブリがほとんど見えない状態)を良好、0.6以上1.0未満をやや不良、1.0以上(肉眼ではカブリが明確に見える状態)を不良と判定した。
【0079】
〔画像濃度〕
画像濃度については、一辺が2.4cmのベタ画像(100%濃度)をプリントし、反射濃度計(マクベス社製:RD918)を用いて測定し、画像濃度が1.3以上(紙の繊維がトナーで完全に覆われた状態)を良好とし、1.2以上1.3未満をやや不良、1.2未満(紙の繊維がトナーで不完全に覆われた状態)を不良とした。
【0080】
(実施例1)
二成分現像剤G1を画像形成装置の現像装置19にセットすると共に、トナーT1をトナー補給装置40にセットし、印字率3%(トナーカバレージ)のテキスト画像の50K枚(1K枚=1000枚)連続印刷テストを行った。
50K枚の連続印刷テストの最中、トナー排出動作とトナー補給動作との一連の動作が計10回実施された。この際、トナー排出動作は、現像バイアス+10V、感光体表面電位0V(帯電装置OFF)の条件で60秒間行われ、トナー補給動作は、トナー排出動作を行う直前のトナー濃度センサの出力値になるまで新トナーを補給した。なお、10回のトナー排出動作において、画像濃度IDを測定するために各トナー排出動作中に30枚の試験紙にトナーを定着させ、それらの画像濃度を測定したところ、0.1〜0.2の範囲であった。
10K枚毎に印刷した画像サンプルは、画像濃度IDが1.4〜1.6であり、カブリ濃度が0.3〜0.4であり、ともに良好な結果が得られた。
【0081】
(実施例2)
トナー排出動作において、現像バイアスを−120V、排出時間を60秒間に設定したこと以外は、実施例1と同様の条件で50K枚の連続印刷テストを行った。50K枚の連続印刷テストの最中、トナー排出動作とトナー補給動作との一連の動作が計12回実施された。
なお、12回のトナー排出動作において、画像濃度IDを測定するために各トナー排出動作中に30枚の試験紙にトナーを定着させ、それらの画像濃度を測定したところ、0.3〜0.4の範囲であった。
10K枚毎に印刷した画像サンプルは、画像濃度IDが1.4〜1.6であり、カブリ濃度が0.2〜0.3であり、ともに良好な結果が得られた。
【0082】
(実施例3)
トナー排出動作において、現像バイアスを−150V、排出時間を3秒間に設定したこと以外は、実施例1と同様の条件で50K枚の連続印刷テストを行った。50K枚の連続印刷テストの最中、トナー排出動作とトナー補給動作との一連の動作が計11回実施された。
なお、11回のトナー排出動作において、画像濃度IDを測定するために各トナー排出動作中に2枚の試験紙にトナーを定着させ、それらの画像濃度を測定したところ、0.4〜0.5の範囲であった。
10K枚毎に印刷した画像サンプルは、画像濃度IDが1.4〜1.6であり、カブリ濃度が0.3〜0.5であり、ともに良好な結果が得られた。
【0083】
(実施例4)
トナー排出動作において、現像バイアスを−300V、排出時間を2秒間に設定したこと以外は、実施例1と同様の条件で50K枚の連続印刷テストを行った。50K枚の連続印刷テストの最中、トナー排出動作とトナー補給動作との一連の動作が計12回実施された。
なお、12回のトナー排出動作において、画像濃度IDを測定するために各トナー排出動作中に1枚の試験紙にトナーを定着させ、それらの画像濃度を測定したところ、0.8〜1.0の範囲であった。
10K枚毎に印刷した画像サンプルは、画像濃度IDが1.4〜1.6であり、カブリ濃度が0.4〜0.5であり、ともに良好な結果が得られた。
【0084】
(比較例1)
トナー排出動作を行わずにトナー補給動作を行ったこと以外は、実施例1と同様の条件で50K枚の連続印刷テストを行った。50K枚の連続印刷テストの最中、トナー補給動作は計50回実施された。
50K枚連続印刷テストの結果、10K枚時に印刷した画像サンプルにおいては、画像濃度IDが1.5、カブリ濃度が0.2であってともに良好な結果が得られたが、20K枚時および50K枚時に印刷した画像サンプルにおいては、画像濃度IDが0.9〜1.2に低下し、カブリ濃度が0.7〜1.2に上昇し、不良が見られた。また、30Kおよび40K枚時の画像濃度IDおよびカブリ濃度の結果は、30K:ID=1.5、かぶり濃度=0.5、40K:ID=1.4、かぶり濃度=0.5であった。
【0085】
実施例1〜4および比較例1の結果から、トナー排出動作およびトナー補給動作を行った実施例1〜4は、トナー排出動作を行わなかった比較例1に比べて、画像濃度IDおよびカブリ濃度が良好であることが確認できた。
また、実施例1〜4の中では、実施例2の結果が最も良好であり、これは排出動作によるトナー排出量(入れ替え量)が最も多いことが原因であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の一実施形態である画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1のトナー画像形成手段における第1画像形成ユニットを示す概略構成図である。
【図3】第1画像形成ユニットでの通常画像形成時のドラムモータ、制御グリッド電圧および現像バイアスの動作タイミングおよび印加タイミングを示すタイミングチャートである。
【図4】第1画像形成ユニットにおける感光体の表面電位の立ち上がりを示すグラフである。
【図5】第1画像形成ユニットにおけるトナー排出動作時のドラムモータ、制御グリッド電圧および現像バイアスの動作タイミングおよび印加タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】第1画像形成ユニットにおけるトナー排出動作およびトナー補給動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0087】
1〜4 第1〜第4画像形成ユニット
16 感光体
17 帯電装置
18 露光装置
19 現像装置
20 クリーニング装置
24 現像ローラ
25 除電ランプ
26 カブリ濃度センサ
28 トナー濃度センサ
31 切替スイッチ
32 高電圧電源
33 低電圧電源
34 制御装置
35 現像バイアス電源
36 嵩高さ検知センサ
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を有しかつ該感光体の表面にトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、感光体表面のトナー画像を転写材に転写し定着させて画像を印刷する転写定着手段と、前記トナー画像形成手段および前記転写定着手段を制御する制御装置と備え、
前記トナー画像形成手段は、感光体表面を規定電位に帯電させる帯電装置と、この帯電装置により帯電された前記感光体に静電潜像を形成する露光装置と、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤と、該二成分現像剤および現像ローラを収容しかつ二成分現像剤を前記現像ローラにて感光体へ移送して前記静電潜像をトナー画像に現像する現像装置と、該現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを検知して検知信号を前記制御装置へ出力する嵩高さ検知センサと、現像装置内にトナーを補給するトナー補給装置と、前記現像ローラに現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加装置とを具備し、
前記制御装置は、現像装置内の二成分現像剤の嵩高さが所定値以上に上昇した際に、現像動作で印加する現像バイアス電圧よりも低い現像バイアス電圧を現像ローラに印加しながら感光体および現像ローラを所定時間動作させることによって、二成分現像剤中のトナーを感光体上に移動させるトナー排出動作と、前記トナー排出動作が終了した時点で、前記トナー補給装置から現像装置内へトナーを所定濃度となるまで補給するトナー補給動作とが行われるように、前記トナー画像形成手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記現像装置が、内部のトナー濃度を検知して検知信号を前記制御装置へ出力するトナー濃度検知センサをさらに有し、
前記制御装置は、前記トナー濃度検知センサからの検知信号に基いて前記トナー補給動作を停止させるよう制御可能である請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記トナー排出動作において、転写材に印刷された画像の画像濃度IDが0.5以下となるような電位差に前記現像ローラの電位と前記感光体の電位を制御可能である請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記電位差を±100V未満に制御可能である請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記トナー排出動作の時間を5〜60秒間に制御可能である請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナーは、個数平均粒径80〜300nmの外添剤を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記キャリアは、コア粒子と、該コア粒子の表面を覆う熱硬化性シリコーン樹脂からなる樹脂被覆層とを有してなるコーティングキャリアである請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コア粒子が、フェライト系粒子である請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置を用いる画像形成方法であって、
前記嵩高さ検知センサによって前記現像装置内の二成分現像剤の嵩高さを検知するステップS1と、
前記ステップS1において検知した嵩高さが所定高さ以上であるか否かを前記制御装置にて判定するステップS2と、
前記ステップS2において嵩高さが所定高さ以上であると判定した場合、前記トナー排出動作を所定時間行って現像装置内のトナーを感光体へ移送するステップS3と、
前記ステップS3の後、前記トナー補給動作を行って前記トナー補給装置から現像装置内へトナーを所定濃度となるまで補給するステップS4とを含む画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−222918(P2009−222918A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66529(P2008−66529)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】