説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】不正目的での複写による被害の拡大を従来よりも抑制または防止する。
【解決手段】画像形成装置2に、原稿を読み取って画像データGDを生成するスキャナ20gと、地紋パターンZPからなる第1セキュリティ情報およびバーコードBCからなる第2セキュリティ情報を生成する生成部22と、生成部22によって生成された上記2つのセキュリティ情報と画像データGDとを合成することによって形成データKDを生成する合成部24と、合成部24によって生成された形成データKDに基づく画像を用紙に印刷する印刷装置20hと、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP等の画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の視覚特性を利用して原稿の画像に電子透かしを入れる技術が画像形成の分野で利用されている。電子透かしを入れることによって、原稿の原本性の確認、複写禁止の警告表示、種々の付属情報の付加、または機器の制御などを行うことが可能である。
【0003】
従来より、複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)と呼称される多機能コピー機において、サイズの異なる複数種類のドットを用いて付加情報を作成し、この付加情報を原稿の画像に合成して埋め込むことが行われている。例えば、サイズの異なる2種類のドットを用い、小さいドットによって背景を形成し、大きいドットによって埋め込み文字を形成する。これら2種類のドットによる背景および埋め込み文字は、原稿の画像に対する地紋として合成される。
【0004】
近年、機密文書が不正に複製されることを防止するために、当該機密文書に上記のような地紋や所定の付加情報を付加することが行われている。
【0005】
例えば、判断手段により原稿の付加情報が読み取られ、当該原稿が機密文書であると判断された場合に、制御手段が白紙を出力する等の原稿のコピー動作を制御することによって、機密文書の不正流出を防止することが可能な画像処理装置が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また、原稿を識別するためのデジタルの付加情報を当該原稿の画像部に埋め込み、これを読み出して、当該付加情報に含まれる所定の付加情報に基づいて新しい第2付加情報を作成し、当該第2付加情報を原稿に埋め込む方法が提案されている(特許文献2)。例えば、原稿に埋め込まれたコピー日時等の付加情報を読み出し、これを変更した第2付加情報を新たに原稿に埋め込み、印字出力する。
【0007】
また、複写機によるコピー時に消失する基本セキュリティ地紋と、コピー時に明瞭に複写される、「無効」等の文字列を再現する隠しセキュリティ地紋とによって構成されるセキュリティ地紋を埋め込んだ帳票の作成方法が提案されている(特許文献3)。作成された帳票を複写機でコピーすると、得られる複写物には、基本セキュリティ地紋が複写されず、隠しセキュリティ地紋が明瞭に複写されるので、一見して当該複写物は原本である帳票とは異なるものであることを認識することができる。
【0008】
さらに、複写による再現が困難な画像と複写による再現が容易な画像とを印字出力して、原稿と複写物とを外見上異なるものにし、不正目的での複写を制限する方法が提案されている(特許文献4)。
【0009】
また、不正コピーを防止するために、バーコードまたはQRコード(登録商標)等を原稿に付加し、コピーの際にこれらが検出されないと印字出力できないようにする方法もある。
【特許文献1】特開平6−20027号公報
【特許文献2】特開平6−22119号公報
【特許文献3】特開2001−324898号公報
【特許文献4】特開2007−104062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1〜4の方法では、以下の理由で不正コピーが横行してしまう可能性が高い。
【0011】
すなわち、地紋は解析することが困難であるので、機密文書に用いることには利点があるものの、当該地紋を変更することは難しいので、パスワード等が一度口頭で漏洩してしまうと、不正コピーが横行してしまう可能性が高い。
【0012】
また、繰り返しのコピーにより地紋が解読できなくなることによって、当該地紋に含まれるパスワードを検出することができず、コピーを許可してしまい、不正コピーが横行してしまう。
【0013】
一方、不正コピー防止のためにバーコード等を用いる場合、当該バーコード等の変更を容易に行うことができる反面、コード化された情報が目視可能な状態で印刷されてしまう。そのため、バーコード等が印刷されていることが第三者に容易に認識されるとともに、当該バーコード等が解読される可能性が非常に高くなってしまう。
【0014】
さらに、バーコード等の部分を原稿から切り取ってしまえば、当該原稿がセキュリティ情報を含んでいるものであると判別されないので、不正コピーが可能となってしまう。
【0015】
本発明は、このような問題点に鑑み、不正目的での複写による被害の拡大を従来よりも抑制または防止することが可能となるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、原稿を読み取って画像データを生成する読み取り手段と、異なる形態の2つのセキュリティ情報を生成する生成手段と、前記生成手段によって生成された前記2つのセキュリティ情報と前記画像データとを合成することによって形成データを生成する合成手段と、前記合成手段によって生成された前記形成データに基づく画像を用紙に印刷する印刷手段と、を有する。
【0017】
好ましくは、前記異なる形態の2つのセキュリティ情報は、地紋パターンによって構成される第1セキュリティ情報およびバーコードによって構成される第2セキュリティ情報を含む。
【0018】
または、前記第1セキュリティ情報は、1つのパスワードを2つに分割した情報の一方を含み、前記第2セキュリティ情報は、前記1つのパスワードを2つに分割した情報の他方を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、不正目的での複写による被害の拡大を従来よりも抑制または防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は画像形成システム1の全体的な構成の例を示す図、図2は画像形成装置2のハードウェア構成の例を示す図、図3は画像形成装置2の機能的構成の例を示す図、図4は画像形成システム1における複写の流れの例を示す図である。
【0021】
画像形成システム1は、図1に示すように、複数の画像形成装置2(2A、2B、…)、端末装置3、管理装置4、および通信回線TC等によって構成される。通信回線TCとして、LAN、インターネット、公衆回線、または専用線等が用いられる。このような画像形成システム1においては、各画像形成装置2、端末装置3および管理装置4がそれぞれ通信回線TCを介して接続されている。
【0022】
画像形成装置2は、コピー、スキャナ、ファックス、ネットワークプリンティング、およびドキュメントサーバ等の様々な機能を集約した処理装置である。画像形成装置2は複合機またはMFP(Multi Function Peripherals)等と呼ばれることもある。
【0023】
「ドキュメントサーバ」とは、ユーザごとに「個人ボックス」または「ボックス」等と呼ばれる、パーソナルコンピュータにおけるフォルダまたはディレクトリ等に相当する記憶領域を設け、管理する機能である。「ボックス機能」と呼ばれることもある。ユーザは、自分の個人ボックスに画像データ等をファイル単位で保存しておくことができる。
【0024】
端末装置3は、画像形成装置2のクライアントであって、画像形成装置2のスキャナ、ファックス、ボックス、およびPCプリント等の機能を利用するための装置である。
【0025】
画像形成装置2は、公共団体(政府、地方自治体)または企業等のオフィス、学校または図書館等の公共施設、その他種々の場所に設置され、複数のユーザによって共用することができる。
【0026】
画像形成装置2は、原稿を読み取って画像データを生成すると、当該画像データから読み取ったセキュリティ情報を管理装置4に送信するとともに、管理装置4から当該画像データに関する情報があれば呼び出して取得する。管理装置4は、画像形成装置2から受信した画像データを記憶する。
【0027】
画像形成装置2は、画像データから読み取った上記のセキュリティ情報と管理装置4から取得した情報とが一致する場合に、印刷処理を行うとともに、印刷の際に埋め込んだセキュリティ情報を管理装置4に送信する。
【0028】
管理装置4は、画像形成装置2から受信した画像データを上書き保存する。なお、画像形成装置2に画像データを送信して印刷処理を行ってもよい。この場合、画像データは他の画像形成装置2から送信される場合や、端末装置3から送信される場合がある。
【0029】
画像形成装置2は、図2に示すように、CPU20a、RAM20b、ROM20c、ハードディスク20d、制御用回路20e、操作パネル20f、スキャナ20g、印刷装置(エンジン)20h、LANインタフェース20j、およびFAXモデム20k等によって構成される。
【0030】
制御用回路20eは、ハードディスク20d、操作パネル20f、スキャナ20g、印刷装置20h、LANインタフェース20j、およびFAXモデム20k等を制御するための回路である。
【0031】
スキャナ20gは、原稿に描かれている文章、数式、記号、写真、図表、またはイラスト等のコンテンツの画像を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0032】
印刷装置20hは、スキャナ20gによって得られた画像データに基づく画像を用紙に印刷する。
【0033】
LANインタフェース20jは、他の画像形成装置2等と通信を行うためのNIC(Network Interface Card)であって、画像形成装置2とハブまたはルータとを接続するために用いられる。
【0034】
FAXモデム20kは、他の画像形成装置2またはFAX端末等とファックスプロトコルによる通信を行う装置である。
【0035】
操作パネル20fは、タッチパネル式の液晶ディスプレイから構成される表示部およびテンキー等から構成される操作部によって構成される。表示部には、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU20a等で実行された処理の結果を示す画面等が表示される。
【0036】
ユーザは、上記の画面を見ながら表示部または操作部を操作することによって、画像形成装置2に対して、処理の実行開始または中断等の指令を与え、データの宛先、印刷条件、またはスキャン条件等の処理条件を指定し、その他種々の事項を指定することができる。つまり、操作パネル20fは、画像形成装置2を操作するユーザのためのユーザインタフェースの役割を果たしている。なお、操作パネル20fの詳細な構成については後述する。
【0037】
画像形成装置2は、図3に示すように、設定情報記憶部21aおよび画像データ記憶部21bから構成される記憶部21、生成部22、判別部23、合成部24、通信部25、および検出解析部26等によって構成される。これらの各構成部は、上で述べたCPU20a、RAM20b、ROM20c、その他の回路素子等によって構成される。RAM20bやROM20cには、これら各構成部の種々の機能を実現するためのコンピュータプログラムが組み込まれている。
【0038】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置2によって、文字等の画像が形成された図4(A)の原稿GEを複写すると、その複写物には、パスワード等のセキュリティ情報が形成される。
【0039】
上記のパスワードは不正コピーを防止するために用いられる。つまり、セキュリティ情報が形成された複写物を原稿として画像形成装置2によって複写する際に、当該セキュリティ情報が検出されることによって、当該原稿がセキュリティ情報を含む原稿(以下、「セキュリティ原稿」と呼ぶことがある)として認識される。この場合、ユーザはパスワードを入力する必要がある。そして、複写物に形成されたパスワードとユーザにより入力されたパスワードとが一致しない場合には、複写が禁止される。
【0040】
図4(B)に示すように、原稿GEの複写物HS1には、第1セキュリティ情報SJ1が暗号化されて地紋パターンZPとして埋め込まれ、第2セキュリティ情報SJ2が暗号化されてバーコードBCとして形成される。なお、バーコードBCの代わりに、QRコード(登録商標)等の他の2次元バーコード(2次元コード)を用いてもよいし、バーコードBCとQRコード(登録商標)等の他の2次元バーコードとを組み合わせて用いてもよい。
【0041】
地紋パターンZPは、不正コピーを防止するために設けられるパターンであり、不正コピーコードと呼ばれることもある。地紋パターンZPを有する原稿を複写すると、その複写物には、例えば「複写禁止」等の文字や「×」等の潜像が形成される。
【0042】
本実施形態では、1つのパスワードについて、その前半部が第1セキュリティ情報SJ1として埋め込まれ、当該パスワードの後半部が第2セキュリティ情報SJ2として埋め込まれる。すなわち、第1セキュリティ情報SJ1は1つのパスワードの前半部を構成し、第2セキュリティ情報SJ2は当該パスワードの後半部と所定の機密情報(所定の管理情報)とを組み合わせた情報を構成する。
【0043】
第1セキュリティ情報SJ1の他の例として、原稿作成者コード、原稿枚数などが挙げられる。
【0044】
第2セキュリティ情報SJ2の上記所定の機密情報は、例えばファイル名、世代数、複写許可部数、複写許可回数(複写許可世代数)、原本証明、印刷者コードなどの情報や、現在の複写枚数などのコピーを実施する度に更新する情報である。
【0045】
第2セキュリティ情報SJ2の機密情報が現在の複写総部数を示す情報である場合には、複写物HS1をコピーすると、図4(B)のバーコードBCが消去され、図4(C)に示すように、複写物HS2には、更新後の新たなバーコードBChが第2セキュリティ情報SJ2として形成される。なお、第1セキュリティ情報SJ1は、図4(B)と同様に、地紋パターンZPとして複写物HS2に形成される。
【0046】
このように、画像形成装置2によれば、上で述べたように、不正コピーを防止するためのパスワードを2つに分割し、当該分割後のパスワードの前半部を地紋パターンZPとして埋め込み、後半部をバーコードBCとして埋め込むことによって、正規のユーザでない第三者にバーコードBCが解読された場合でも、地紋パターンZPは解読される可能性は低い。したがって、第三者が複写の際に正しいパスワードを入力することは難しいので、不正コピーを従来よりも抑制することができる。
【0047】
また、コピーの繰り返しによりバーコードBCは劣化し難いが、地紋パターンZPは劣化し易い。このように、地紋パターンZPが劣化することによってパスワードの前半部が検出されない場合には、原稿がセキュリティ原稿でないと判別し、ジョブを破棄する。それにより、不正コピーの拡大を従来よりも抑制できる。
【0048】
また、パスワードが漏洩した場合に、地紋パターンZPのみの構成では新たなパスワードに変更することは容易ではないが、バーコードBCを変更することによって新たなパスワードを設定することができ、不正コピーの拡大を従来よりも抑制できる。
【0049】
さらに、第三者によってバーコードBCの部分が原稿から切り取られてしまった場合、従来では、原稿がセキュリティ原稿であると判別されず、不正コピーが横行することがある。これに対して、画像形成装置2によれば、地紋パターンZPからパスワードの前半部を検出できても、バーコードBCのパスワードの後半部を検出できない場合には、原稿がセキュリティ原稿でないと判別し、ジョブを破棄する。これにより、不正コピーの拡大を従来よりも抑制できる。
【0050】
以下、図3の各構成部の機能について詳細に説明する。最初に、地紋パターンZPやバーコードBCが埋め込まれていない原稿のコピーを行って複写物を得る際に、その複写物に地紋パターンZPおよびバーコードBCを埋め込む動作について述べる。
【0051】
まず、ユーザは、操作パネル20fを用いてセキュリティ設定をオンに設定する。セキュリティ設定とは、地紋パターンZPやバーコードBC等のセキュリティ情報を原稿に埋め込む処理、または、地紋パターンZPやバーコードBC等のセキュリティ情報が埋め込まれた原稿の複写の制限を行う処理(複写制限処理)を実行するよう設定することである。
【0052】
スキャナ20gによって原稿が読み取られ生成された画像データGDは記憶部21の画像データ記憶部21bに記憶される。
【0053】
判別部23は、記憶部21の設定情報記憶部21aに記憶されている、ユーザが操作パネル20fで設定した設定情報に基づいて、セキュリティ設定がオンに設定されているか否かを判別する。
【0054】
生成部22は、セキュリティ設定がオンに設定されていると判別部23によって判別された場合に、ユーザが操作パネル20fで設定した設定情報に基づいて、地紋パターンZPおよびバーコードBCを生成する。
【0055】
合成部24は、画像データ記憶部21bに記憶されている画像データGDと、生成部22によって生成された地紋パターンZPおよびバーコードBCとを合成することによって形成データKDを生成する。
【0056】
印刷装置20hは、合成部24によって生成された形成データKDに基づく画像を用紙に印刷する。これにより、地紋パターンZPおよびバーコードBCが埋め込まれた原稿が作成される。
【0057】
続いて、地紋パターンZPおよびバーコードBC等のセキュリティ情報が埋め込まれた原稿のコピーを行う動作について述べる。
【0058】
スキャナ20gによって原稿が読み取られ生成された画像データGDは、上記と同様に、画像データ記憶部21bに記憶される。
【0059】
判別部23は、セキュリティ設定がオンに設定されているか否かを判別する。セキュリティ設定がオフに設定されている場合、黒く塗り潰された用紙を出力する。
【0060】
なお、画像形成装置2は、セキュリティ保護モードと解除モードとを有する。これらのモードを認識して切り換えることができるのは、例えば正規のユーザおよび管理装置4を使用する管理者である。
【0061】
セキュリティ保護モードは、上記のセキュリティ設定のオンまたはオフを設定する場合のモードである。これに対して、解除モードは、通常のコピーを可能にするモードである。本実施形態では、上記のセキュリティ設定をオフに設定しても、黒く塗り潰された用紙を出力するので、これを回避して通常コピーを可能にするために、解除モードが設けられている。なお、以下では、画像形成装置2のモードがセキュリティ保護モードに設定されている場合を前提として説明する。
【0062】
検出解析部26は、セキュリティ設定がオンに設定されていると判別部23によって判別された場合、画像データGDに含まれる地紋パターンZPおよびバーコードBCのセキュリティ情報を検出し、これらを解析する。
【0063】
そして、検出解析部26は、解析の結果、検出された地紋パターンZPの第1セキュリティ情報SJ1とバーコードBCの第2セキュリティ情報SJ2との組み合わせで構成されるパスワードと、ユーザが操作パネル20fから入力したパスワードとが一致した場合、パスワードを変更するか否かについて問うための画面を操作パネル20fの表示部に表示させる。
【0064】
ユーザが操作パネル20fでパスワードの変更を望まない旨の入力を行った場合、印刷装置20hは、画像データ記憶部21bに記憶された画像データGDに基づく画像を用紙に印刷する。
【0065】
一方、ユーザが操作パネル20fでパスワードを変更する旨の入力を行った場合、生成部22は、画像データGDから現在のバーコードBCに係る情報を消去し、新たなバーコードBChを生成する。
【0066】
また、検出解析部26は、検出したバーコードBCで表わされる所定の機密情報(例えば現在の複写枚数)と、予め設定され設定情報記憶部21aに記憶された複写許可部数とを比較し、現在の複写枚数が複写許可部数を超えている場合には、コピーを許可しないとして、操作パネル20fの表示部にエラーメッセージを表示させる。なお、検出解析部26が現在の複写枚数の情報を管理装置4に送信し、管理装置4が上記の比較を実施してもよい。
【0067】
さらに、検出解析部26は、画像データGDから地紋パターンZPのみを検出することができ、バーコードBCを検出することができなかった場合には、第三者によってバーコードBCの部分が原稿から切り取られた可能性が高いので、操作パネル20fの表示部にエラーメッセージを表示させる。
【0068】
合成部24は、画像データGDと、地紋パターンZPおよび上記の新たなバーコードBChとを合成し、形成データKDを生成する。印刷装置20hは、合成部24によって生成された形成データKDに基づく画像を用紙に印刷する。通信部25は、管理装置4との間で画像データGDに関する情報の送受信を行う。
【0069】
なお、上述のように、ユーザはパスワードの変更を操作パネル20fで行ってもよいし、他の画像形成装置2、端末装置3または管理装置4を介して行ってもよい。
【0070】
また、セキュリティ情報を原稿に埋め込む際に、ユーザが所望のパスワードを入力するのではなく、無作為(ランダム)なパスワードを自動的に生成してもよい。
【0071】
また、セキュリティ設定がオフに設定されている場合、黒く塗り潰された用紙を出力する代わりに、ジョブを破棄してもよい。
【0072】
また、セキュリティ設定がオンに設定されている場合、セキュリティ情報が埋め込まれた原稿のコピーを行うか否かについても判別し、当該コピーを行わない場合には、操作パネル20fの表示部にエラーメッセージを表示してもよい。
【0073】
また、画像データGDから地紋パターンZPやバーコードBCが検出されなかった場合や、これらの組み合わせによって構成されるパスワードと、コピーを行おうとするユーザが入力したパスワードとが一致しなかった場合には、ジョブを破棄してもよいし、ジョブの破棄とともに、管理装置4に通知したり、エラーメッセージを表示してもよい。
【0074】
図5は原稿にセキュリティ情報を埋め込む処理の流れの例を説明するフローチャート、図6はセキュリティ情報が埋め込まれた原稿の複写処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0075】
図5に示すように、最初に、原稿が読み取られて画像データGDが生成される(#1)。そして、設定情報記憶部21aに記憶されている設定情報からセキュリティ設定がオンに設定されているか否かが判別される(#2)。
【0076】
セキュリティ設定がオンに設定されている場合(#2でYes)、地紋パターンZPの生成(#3)およびバーコードBCの生成(#4)が行われる。
【0077】
そして、生成された地紋パターンZPおよびバーコードBCと画像データGDとが合成されることによって形成データKDが生成される(#5)。すると、形成データKDに基づく画像を用紙に印刷する印刷処理が実施される(#6)。
【0078】
一方、セキュリティ設定がオフに設定されている場合には(#2でNo)、黒く塗り潰された用紙を出力する印刷処理が実施される(#6)。
【0079】
図6に示すように、最初に、原稿が読み取られて画像データGDが生成される(#11)。
【0080】
次に、地紋パターンZPおよびバーコードBCが原稿に埋め込まれているか否かが判別される(#12)。これらが埋め込まれていると判別された場合(#12でYes)、地紋パターンZPから第1セキュリティ情報SJ1が検出され(#13)、バーコードBCから第2セキュリティ情報SJ2が検出される(#14)。
【0081】
そして、第1セキュリティ情報SJ1と第2セキュリティ情報SJ2との組み合わせからなるパスワードと、コピーを行おうとするユーザが操作パネル20fで入力したパスワードとが一致する場合で(#15でYes)、バーコードBC、つまり、第2セキュリティ情報SJ2を変更する場合(#16でYes)、検出された第2セキュリティ情報SJ2が消去される(#17)。
【0082】
次に、新たな第2セキュリティ情報SJ2が生成され(#18)、当該新たな第2セキュリティ情報SJ2および第1セキュリティ情報SJ1と画像データGDとの合成処理が行われる(#19)。
【0083】
そして、合成処理によって生成された形成データKDに基づく画像が用紙に印刷される(#20)。
【0084】
一方、地紋パターンZPおよびバーコードBCのどちらか一方が原稿に埋め込まれていない場合(#12でNo)、および検出された上記のパスワードと、コピーを行おうとするユーザが入力したパスワードとが一致しない場合には(#15でNo)、ジョブが破棄される(#21)。
【0085】
また、第2セキュリティ情報SJ2(パスワードの後半部)を変更しない場合(#16でNo)、検出された第2セキュリティ情報SJ2および第1セキュリティ情報SJ1と画像データGDとの合成によって形成データKDが生成され(#19)、当該形成データKDに基づく画像が用紙に印刷される(#20)。なお、#16の処理で第2セキュリティ情報SJ2においてパスワードの後半部を変更しない場合でも、所定の機密情報は変更される。
【0086】
図7、図8および図9はセキュリティ設定を行う場合の操作パネル20fの表示部41の例を示す図である。なお、以下では、地紋パターンZPやバーコードBCを有さない原稿にこれらを埋め込む例について説明する。
【0087】
ユーザが、図7の操作パネル20fの表示部41においてセキュリティ設定オンボタン42を選択すると、表示部41の画面が図8の画面に切り替わる。なお、ユーザがセキュリティ原稿作成ボタン42aを押下した場合でも、図7の画面が図8の画面に切り替わる。
【0088】
図8に示すように、表示部41のメッセージ表示領域41aには、複写制限のためのセキュリティ情報を原稿に埋め込む旨および所定情報の入力を促す旨のメッセージが表示される。
【0089】
ユーザは、原本作成者入力領域43に原稿作成者の氏名を入力し、ファイル名入力領域44に所望のファイル名を入力し、複写許可部数入力領域45に複写可能な所望の部数を入力する。
【0090】
また、ユーザは、原本であることを証明する紋様を背景に印刷することを望む場合には、原本証明印刷ボタン46を選択する。ユーザは、本処理によって地紋パターンZPおよびバーコードBCが埋め込まれた原稿の複写を禁止したい場合に、上記の紋様を用紙に印刷することができる。これにより、紋様が印刷された原稿を複写しようとしても、当該複写の際に紋様が読み取られて、複写が禁止される。
【0091】
その後、ユーザが次設定ボタン47を押下すると、図8の画面が図9の画面に切り替わる。なお、確定ボタン48を押下すると、設定内容が保存されて処理が終了する。この場合、パスワードは自動的に無作為に生成され、生成後のパスワードを確認するための画面が表示部41に表示される。また、中止ボタン49を押下すると、設定内容が破棄されて処理が終了する。
【0092】
図9に示すように、表示部41のメッセージ表示領域41aには、複写制限のためのセキュリティ情報を原稿に埋め込む旨およびパスワードの入力を促す旨のメッセージが表示される。
【0093】
ユーザは、パスワード入力領域50に所望のパスワードを入力することができる。パスワードの桁数は例えば8桁である。図9においては、8桁のパスワードとして、「12345678」が入力された例が示されている。
【0094】
また、ユーザは、上記8桁のパスワードのうち、第1セキュリティ情報SJ1としての地紋パターンZPに割り当てる桁数を、地紋桁数入力領域51に入力することができる。
【0095】
さらに、ユーザは、上記8桁のパスワードのうち、第2セキュリティ情報SJ2としてのバーコードBCに割り当てる桁数を、コード桁数入力領域52に入力することができる。なお、地紋桁数入力領域51に所望の桁数を入力すれば、バーコードBCに割り当てる桁数は必然的に決まるので、コード桁数入力領域52を省略してもよい。図9においては、地紋パターンZPに割り当てる桁数およびバーコードBCに割り当てる桁数が共に4桁である例が示されている。
【0096】
その後、ユーザが確定ボタン54を押下すると、設定内容が保存されて処理が終了する。なお、前設定ボタン53を押下すると、図8の画面に戻る。また、中止ボタン55を押下すると、設定内容が破棄されて処理が終了する。
【0097】
このような設定が行われると、パスワードの前半部である「1234」が暗号化されて地紋パターンZPとして埋め込まれ、当該パスワードの後半部である「5678」と図8において設定された所定の機密情報とが組み合わされた情報が暗号化されてバーコードBCとして埋め込まれる。
【0098】
続いて、地紋パターンZPおよびバーコードBCが埋め込まれた原稿を複写する場合について説明する。
【0099】
すなわち、ユーザが、図7の操作パネル20fの表示部41においてセキュリティ設定オンボタン42を選択すると、表示部41の画面が図9の画面に切り替わる。なお、図8の画面は表示されないので、前設定ボタン53は表示されない。
【0100】
そして、表示部41のメッセージ表示領域41aには、本原稿が複写制限されている原稿である旨、つまり、セキュリティ情報が埋め込まれた原稿である旨およびパスワードの入力を促す旨のメッセージが表示される。
【0101】
セキュリティ情報が埋め込まれた原稿を複写する際には、地紋パターンZPに割り当てるパスワードの桁数は変更できないため、地紋桁数入力領域51はグレー色に表示される。また、ユーザはパスワード入力領域50にパスワードを入力することはできるが、桁数が間違っている場合等にはエラーメッセージが表示される。なお、図8または図9に示す表示部41においてセキュリティ設定のオンまたはオフを設定するようにしてもよい。
【0102】
(本実施形態における効果)
本実施形態に係る画像形成装置2によれば、不正コピーを防止するためのパスワードを2つに分割し、当該分割後のパスワードの前半部を地紋パターンZPとして埋め込み、後半部をバーコードBCとして埋め込むことによって、正規のユーザでない第三者にバーコードBCが解読された場合でも、地紋パターンZPは解読される可能性は低い。したがって、第三者は複写の際に正しいパスワードを入力することができないので、不正コピーを従来よりも抑制することができる。
【0103】
また、コピーの繰り返しによりバーコードBCは劣化し難いが、地紋パターンZPは劣化し易い。このように、地紋パターンZPが劣化することによってパスワードの前半部が検出されない場合には、原稿がセキュリティ原稿でないと判別し、ジョブを破棄する。それにより、不正コピーの拡大を従来よりも抑制できる。
【0104】
また、パスワードが漏洩した場合に、地紋パターンZPのみの構成では新たなパスワードに変更することは容易ではないが、バーコードBCを変更することによって新たなパスワードを設定することができ、不正コピーの拡大を従来よりも抑制できる。
【0105】
また、第三者によってバーコードBCの部分が原稿から切り取られてしまった場合、従来では、原稿がセキュリティ原稿であると判別されず、不正コピーを行うことができた。これに対して、画像形成装置2によれば、地紋パターンZPからパスワードの前半部を検出できても、バーコードBCのパスワードの後半部を検出できない場合には、原稿がセキュリティ原稿でないと判別し、ジョブを破棄する。これにより、不正コピーの拡大を従来よりも抑制できる。
【0106】
以上により、不正目的での複写による被害の拡大を従来よりも抑制または防止することを可能となる。
【0107】
さらに、上で述べたように、画像形成装置2は解除モードを有するので、通常のコピーをも行うことができる。
【0108】
(他の実施形態)
地紋パターンZPが劣化することによって、原稿の複写時にパスワードの前半部が検出されない場合に、バーコードBCが表わすパスワードの後半部のみの入力を、複写を行おうとするユーザに要求してもよい。この場合、ユーザが入力したパスワードの後半部とバーコードBCが表わすパスワードの後半部とが一致すれば、複写が許可される。したがって、原稿が地紋パターンのみを有する従来の構成のように、当該地紋パターンが劣化によって検出できない場合にセキュリティ原稿であると判別されずに複写が許可されてしまうことが防止される。
【0109】
また、上記実施形態では、1つのパスワードを前半部と後半部とに分割し、当該前半部を第1セキュリティ情報SJ1に割り当て、当該後半部を第2セキュリティ情報SJ2に割り当てることとしたが、2つのパスワードを用意し、各パスワードを第1セキュリティ情報SJ1および第2セキュリティ情報SJ2にそれぞれ割り当ててもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、原稿を画像形成装置2にセットして複写することとしたが、端末装置3等の他の装置から画像データGDを送信し、印刷処理を行ってもよい。この場合、パスワード等の機密情報をドライバ(アプリケーション)によって入力させてもよいし、画像形成装置2によって入力させてもよい。
【0111】
その他、画像形成装置2の全体または各部の構成、処理内容、処理順序等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが可能であり、この場合にも上記の特有かつ格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】画像形成システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】画像形成システムにおける複写の流れの例を示す図である。
【図5】原稿にセキュリティ情報を埋め込む処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図6】セキュリティ情報が埋め込まれた原稿の複写処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図7】セキュリティ設定を行う場合の操作パネルの表示部の例を示す図である。
【図8】セキュリティ設定を行う場合の操作パネルの表示部の例を示す図である。
【図9】セキュリティ設定を行う場合の操作パネルの表示部の例を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
20f 操作パネル(設定手段)
20g スキャナ(読み取り手段)
20h 印刷装置(印刷手段)
22 生成部(生成手段、変更手段)
24 合成部(合成手段)
26 検出解析部(解析手段)
42 セキュリティ設定オンボタン(セキュリティ処理実行手段)
BC、BCh バーコード
GD 画像データ
GE 原稿
SJ1 第1セキュリティ情報
SJ2 第2セキュリティ情報
ZP 地紋パターン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像データを生成する読み取り手段と、
異なる形態の2つのセキュリティ情報を生成する生成手段と、
前記生成手段によって生成された前記2つのセキュリティ情報と前記画像データとを合成することによって形成データを生成する合成手段と、
前記合成手段によって生成された前記形成データに基づく画像を用紙に印刷する印刷手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記異なる形態の2つのセキュリティ情報は、地紋パターンによって構成される第1セキュリティ情報およびバーコードによって構成される第2セキュリティ情報を含む、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1セキュリティ情報は、1つのパスワードを2つに分割した情報の一方を含み、
前記第2セキュリティ情報は、前記1つのパスワードを2つに分割した情報の他方を含む、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2セキュリティ情報は、書き換え可能な所定の管理情報を含む、
請求項2または3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記セキュリティ情報を設定するための設定手段を有し、
前記生成手段は、前記設定手段によって設定された前記セキュリティ情報を生成する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記セキュリティ情報を無作為に生成する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の管理情報は、複写回数が所定数に達した場合に複写を禁止するための基準として用いられる複写許可回数情報を含む、
請求項4ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記所定の管理情報は、複写部数が所定数に達した場合に複写を禁止するための基準として用いられる複写許可部数情報を含む、
請求項4ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
セキュリティ情報が埋め込まれた原稿の複写を制限する複写制限処理を行うセキュリティ処理実行手段と、
前記セキュリティ処理実行手段によって前記複写制限処理が実行されている場合に、前記セキュリティ情報が埋め込まれた原稿が前記読み取り手段により読み取られることによって生成される画像データに含まれる前記セキュリティ情報と、ユーザによる複写時の入力に基づいて決定される前記セキュリティ情報とが一致するか否かを解析して判別する解析手段と、
前記解析手段によって2つの前記セキュリティ情報が一致すると判別された場合に、ユーザの指示に基づいて前記画像データに含まれる前記セキュリティ情報を変更する変更手段と、を有する、
請求項5ないし8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
複写を禁止する旨を示す紋様を生成する紋様生成手段を有し、
前記合成手段は、前記紋様生成手段によって生成された前記紋様を前記形成データに基づく画像に合成し、
前記印刷手段は、前記紋様と前記形成データに基づく画像とが合成された画像を用紙に印刷する、
請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
原稿を読み取って画像データを生成するステップと、
異なる形態の2つのセキュリティ情報を生成するステップと、
生成された前記2つのセキュリティ情報と前記画像データとを合成することによって形成データを生成するステップと、
生成された前記形成データに基づく画像を用紙に印刷するステップと、
を有することを特徴とする画像形成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−232125(P2009−232125A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74622(P2008−74622)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】