説明

画像形成装置の保守システム、中央管理装置、画像形成装置およびサポート情報選出法

【課題】
画像形成装置に不具合が生じた際に、その機体内情報と利用者の感情状態を考慮した保守サービスを選出する中央管理装置を備えた保守システムを提供する。
【解決手段】
サポートセンター(中央管理装置)とネットワークまたは電話回線で接続された画像形成装置の保守システムであって、利用者からサポートセンターに画像形成装置の不具合の通知があった場合に、サポートセンターにおいて画像形成装置の機体内情報を分析した結果と画像形成装置の利用者の音声情報から推定した感情状態情報とに基づいて適切な保守サービスの選定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の保守システム、その管理を行う中央管理装置、保守システムを備えた画像形成装置及び保守システムにおけるサポート情報選出法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者が画像形成装置を操作して、障害が発生した時もしくは操作方法がわからない場合に、当該画像形成装置が接続されたネットワークまたは電話回線を用いてサポートセンター(中央管理装置)と自動接続してサポートを受けるシステムが提案されている。特許文献1に記載されてる保守システムは、画像形成装置に障害が発生した時、サポートセンター側に画像形成装置の機体内情報を送信し、送信された画像形成装置の機体内情報を元にして、当該画像形成装置が接続されたネットワークまたは電話回線を用いてサポートセンターの担当者が音声で利用者に対応することが可能な保守システムである。
【特許文献1】特開2004−364205号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の画像形成装置の保守システムでは、機器に不具合が生じた際に、サポートセンターに機器の機体内情報を送信し、その送られた機体内情報を基に、サポートセンターで保守サービスの選定を行っていた。しかしながら、このシステムでは、その時の機器の利用者の感情状態を考慮した保守サービスは行われていなかった。
【0004】
そこで、本発明は、保守サービスを選定する際に、利用者の感情状態を考慮に含めることにより、よりきめ細やかな保守サービスを提案することが可能な画像形成装置の保守システム、中央管理装置及び画像形成装置を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置の保守システムは、画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の故障状況等の機体内情報を出力する機体内情報出力部と、前記画像形成部の利用者の音声情報を入力する音声情報入力部と、前記機体内情報及び前記音声情報を通信回線を介して出力する送信手段とを有する画像形成装置と、前記通信回線に接続され、前記画像形成装置から出力された機体内情報及び音声情報を入力する受信手段と、前記受信手段で受信した音声情報から前記画像形成装置の利用者の感情状態を認識する感情状態認識手段と、前記画像形成装置の機体内情報と利用者の感情情報とに対応付けて推奨するサポート情報が予め記憶されているサポート情報記憶手段と、前記受信手段で受信した機体内情報と前記感情状態認識手段で認識した利用者の感情状態とに基づいて前記サポート情報記憶手段から対応するサポート情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出したサポート情報をオペレータに報知する報知手段とを有する中央管理装置とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、保守サービスを選定する際に、利用者の感情状態を考慮に含めることにより、よりきめ細やかな保守サービスを提案することが可能な画像形成装置の保守システム、中央管理装置及び画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(第一の実施形態)
【0008】
図1は、本発明に係る画像形成装置の画像形成部の構成を示す断面図である。
画像形成装置201は、制御部101、感光体ドラム102、帯電器103、走査露光部104、現像器105、転写チャージャ106、剥離チャージャ107、クリーナ108、給紙部109、用紙搬送部110、定着器111、排紙部112及び排紙トレイ114を備えている。
【0009】
感光体ドラム102は副走査方向(感光体ドラムの周方向)に回転する。感光体ドラム102の周辺近傍には、感光体ドラム102を均一に帯電する帯電器103が配置されている。走査露光部104は、走査露光部104内の半導体レーザを走査しながら画像信号に応じて発光/消灯する。この半導体レーザから出射されるレーザ光は、ポリゴンミラーなどの偏向器によって主走査方向(感光体ドラムの回転軸方向)に走査する光となる。そして、レンズ等の光学系によって、レーザ光は感光体ドラム102上に照射される。帯電した感光体ドラム102にレーザ光が照射されると、照射された部位の電位が下がり、静電潜像が形成される。
【0010】
現像器105は、現像剤を感光体ドラム102に塗布することで、感光体ドラム102上にトナー像を形成する。一方、画像形成装置201の底部には、用紙トレイ113が設けられている。給紙ローラ115は、用紙トレイ113内の用紙116を1枚ずつ分離して、給紙部109に送り出す。給紙部109は、感光体ドラム102の転写位置まで用紙116を供給する。転写チャージャ106は、供給される用紙116に回転ドラム102からトナー像を転写する。剥離チャージャ107は、感光体ドラム102から用紙130を剥離する。
【0011】
トナー像が転写された用紙116は、用紙搬送部110によって搬送され、定着器111によって、トナー像を用紙116に定着させる。排紙部112は、画像が形成された用紙116を排紙トレイ114に排出する。また、用紙116へトナー像の転写が終了した後、感光体ドラム102上の残留トナーはクリーナ108によって取り除かれ、感光体ドラム102は、初期状態に戻り、次の画像形成の待機状態となる。
【0012】
以上のプロセスを繰り返すことにより、画像形成装置における画像形成動作が連続して行われる。
【0013】
次に画像形成装置と中央管理装置の説明をする。
【0014】
図2は、画像形成装置の保守システムの一実施形態を示す構成図である。
【0015】
利用者の事務所等の使用場所に設置された多数の画像形成装置201は、各々データ通信装置301及び通信回線302を介して画像形成装置201を管轄するサポートセンター(中央管理装置)401に接続されている。
【0016】
データ通信装置301は、各画像形成装置201とサポートセンター401との通信を制御するものであり、利用者の既存の回線に挿入する形で設置が可能となっている。データ通信装置301には複数または単数の画像形成装置201が接続可能である。また、これらの画像形成装置は、同型のものである必要はなく、異なる機種でもかまわない。また、通信回線302としては、インターネット回線や電話回線等の公衆回線網(他の通信回線でもよい)を利用することができる。
【0017】
図3は、本実施形態における画像形成装置201の外観を示した概略図である。
【0018】
画像形成装置201には、マイク121、ランプ122、コールボタン123、コントロールパネル124及びスピーカ125を備えている。画像形成装置201に不具合が生じた場合に、利用者は、コールボタン123を押し、サービスセンタ401との接続要求を行う。そして、サポートセンター401に接続されると、利用者はスピーカ125よりサポートセンター401からの応答を聞きながら、マイク121から音声入力を行う。また、画像形成装置201がサポートセンター401に接続している間は、ランプ122が点灯することにより、利用者は、サポートセンター401と通信していることを確認することができ、安心して通信を行うことが可能となる。
【0019】
また、図4は、画像形成装置201の構成を示すブロック図である。
【0020】
画像形成装置201は、機体内情報の制御を行う機械制御部131、利用者の音声情報の入力やサポートセンター401からの応答を出力する入出力制御部132、サポートセンター401との通信を行う通信制御部133、そして画像形成装置201内の情報全般を制御する主制御部134を備えている。入出力制御部132には図3で示したマイク121、ランプ122、コールボタン123、コントロールパネル124及びスピーカ125が接続されている。
【0021】
このような構成により画像形成装置201は、機体内情報、利用者の音声情報、顧客情報をデータ通信装置301と通信回線302を介して、サポートセンター401に送信する。なお、機体内情報とは、画像形成装置に取り付けられた温湿度感知センサや紙検知センサ等のセンサ値、印刷条件、ジョブ履歴等のことを示す。また、顧客情報とは、顧客を識別する情報(名前、連絡先等)や画像形成装置201の累計プリント枚数(コピーボリューム)、カラー印刷の比率等の使用環境の情報のことを表す。
【0022】
次に、図5は、サポートセンター401における主な情報制御部の構成を示すブロック図である。
【0023】
通信回線を介して画像形成装置201と接続されたサポートセンター401は、画像形成装置201との通信を行う通信制御部411、情報の制御を行う主制御部412、利用者の音声情報から感情状態を認識する感情状態認識部413(後に後述する)、機体内情報と利用者の感情状態とに対応付けて推奨するサポート情報が予め記憶されている記憶部414、オペレータに推奨されるサポートサービスを提示する入出力部415を備えている。
【0024】
このような構成により、サポートセンター401では、画像形成装置201が送信した情報を受信し、その受信情報を主制御部において分析し、受信情報と分析結果より推奨する保守サービスを入出力部よりオペレータに提示することができる。また、入出力部を介して、オペレータは分析結果を参照しながら、利用者へ通話等の連絡をすることができる。
【0025】
次に、利用者が画像形成装置201からサポートセンター401へ通知する手順を説明する。
【0026】
図6は、利用者が画像形成装置201に異常事態が発生した際の処理動作を示すフローチャートである。まず、画像形成装置201では、コールボタン123を利用者が押したか否かをチェックする(動作101)。チェックの結果、コールボタンが押されている場合は、画像形成装置201からサポートセンター401へ機体内情報と顧客情報を送信する(動作102)。そして、画像形成装置201はサポートセンター401のオペレータに接続されたか否かをチェックし(動作103)、オペレータに接続された場合は、利用者は音声でエラー内容をオペレータに伝える(動作104)。なお、オペレータに接続された状態とは、通信回線302を介して画像形成装置の利用者がオペレータと通話可能な状態のことで、この通話可能な状態となったことが接続が確立できたということである。
【0027】
このとき、サポートセンター401では、詳細は後述するように、送信された機体内情報と顧客情報と利用者の音声情報を解析し、オペレータをサポートする(動作105)。まず、送信された機体内情報の分析からエラー要因等の推定を行う。そして利用者の音声情報の解析から利用者の感情状態の推定を行う。
【0028】
なお、感情状態認識部413において利用者の音声情報の解析を行い、感情状態を認識する技術は、感性制御技術(Sensibility Technology、以下STと称する)を用いて行う。STとは、人の心や感性を人の構造(発話構造など)や脳活動、身体反応、そして生体物質の変化などから定量可視化しようとする基礎技術のことを言う。このST技術の一つとして、音声の韻律情報からロバストな基本周波数を検出し、音声の情動と脳活動との整合性確認をしながら求めるパラメータより、人の情動を検知する手段が知られている(特開2002−91482参照)。このような技術を用いることにより、利用者の音声情報からの感情状態の推定を行うことが可能である。
【0029】
図7は、画像形成装置201の利用者からの通信がオペレータに接続された場合に、サポートセンター401において表示されるサポート画面の例を示している。図7に示すように、サポート画面には、推奨される保守サービス(推奨サポート)と機体内情報分析結果(診断結果)及び顧客情報と利用者の感情状態の推移図が表示されている。
【0030】
また、サポートセンター401においては、画像形成装置201の機体内情報の分析結果と利用者の感情状態とが対応付けて推奨される保守サービスの情報が予め記憶部414に記憶されている。図8は、サポートセンター401に記憶されている機体内情報分析結果と利用者の感情状態とに対応付けたサポート情報を表に表したものの一例である。この表では、一列目に機体内情報分析結果、一行目に利用者の感情状態を示し、それぞれが交差した箇所には、その条件に適合する場合に推奨される保守サービスが記憶されている。
【0031】
例えば、画像形成装置201に給紙ジャムが起こった際に、利用者の感情状態が“平常”と判断された場合は、それほど緊急度が高くない問題として判断され、対応は“保留”とされるが、利用者の感情状態が“怒り”と判断された場合は、緊急度が上がり、“電話対応”という措置が推奨サポートとなる。このようにして、サポートセンター401に予め記憶されていた機体内情報と利用者の感情状態とを対応付けたサポート情報から保守サービスの選出を行い、その結果をオペレータに提示し、オペレータをサポートする。
【0032】
また、このような保守サービスを選出する際、顧客情報(利用者の使用環境やコピーボリューム等)を考慮して選出することも可能である。この場合、図8に示したサポート情報の表を、コピーボリュームの段階に応じて複数記憶しておく等のことを行えばよい。
【0033】
次に、図6の動作103において画像形成装置の利用者の通信がオペレータに接続されなかった場合について説明する。利用者からの通信がオペレータに接続されなかったときは、画像形成装置201は未接続回数をカウントし(動作107)、サポートセンター401に未接続回数を送信する(動作108)。サポートセンター401は、画像形成装置201から送信された未接続回数を受信し、利用者にエラー内容を通知する音声メッセージを送信するように促す(動作109)。
【0034】
サポートセンター401では、画像形成装置201より送信された未接続回数を受信した後、利用者からエラー内容を通知する音声メッセージが送信されたか否かを判断し(動作110)、利用者が音声メッセージを送信した場合、受信した機体内情報と顧客情報、利用者の音声メッセージを保存し、機体内情報の分析、音声メッセージからの利用者の感情状態の推定を行う(動作111)。
【0035】
そして、サポートセンター401では、機体内情報分析結果と利用者の感情状態を組み合わせて判断することで適切な保守サービスを選出する。また、この場合においても、保守サービスを選出する際に、顧客情報も考慮して選出することもできる。
【0036】
推奨される保守サービスが選出されると、オペレータに機体内情報分析結果、感情状態推定結果、選出した保守サービスを通知する(動作112)。図9は、オペレータへの通知画面の一例である。その後、オペレータが通知画面上の確認ボタンを押したか否かにより、オペレータがエラーに対処したかが判断される(動作113)。オペレータによるエラーの確認が行われなかった場合には、画像形成装置201の利用者が再びコールボタン123を押したか否かを判断する(動作114)。利用者によりコールボタンが押された場合(動作114:YES)は動作102に戻り、コールボタンが押されない場合(動作114:NO)はオペレータへの通知が行われ続ける。
【0037】
なお、画像形成装置201の利用者がサポートセンター401に音声メッセージを送信した後、サポートセンター401における処理(動作111〜113)が行われている間に、利用者自身によりエラーが解消される場合が考えられる。この場合は、画像形成装置201が正常な動作に戻ったことを感知し、未接続回数を0にクリアし、エラーが解消された旨をサポートセンター401に送信し、サポートセンター401における処理を停止することも可能である。
【0038】
動作108で、画像形成装置201の利用者から音声メッセージが送信されなかった場合、サポートセンター401では、受信した機体内情報を分析し、保守サービスを選出する(動作115)。そして、選出された保守サービスの緊急度が予め定めておいた閾値よりも高いか否かを判断する(動作116)。選出された保守サービスの緊急度が閾値よりも高い場合には、オペレータに通知する。
【0039】
例えば、図8の表中に示された保守サービスの例として、“緊急派遣”、“電話対応”、“CE(Customer Engineer)通知”、“保留”が挙げられている。“緊急派遣”は、CEを直ちに派遣する必要がある場合に示される。“電話対応”は、CEを直ちに派遣する必要はないが、画像形成装置201の利用者に連絡を取り、エラーの解決策を提示する必要がある場合に示される。“サービスマンへ通知”は、サービスマンによりエラーの解決策を判断してもらう必要があるが、画像形成装置201の利用者と直ちに連絡をとる必要はない場合に示される。“保留”は、直ちにエラーの解決に対する処置が必要でないとみなされた場合に示される。
【0040】
すなわち、緊急度の高い保守サービスから順に並べると、“緊急派遣”、“電話対応”、“CE通知”、“保留”となる。このとき、緊急度の閾値を“CE通知”と定めると、“緊急派遣”、“電話対応”、“CE通知”が推奨される保守サービスとしてオペレータに提示された場合に、保守サービスの緊急度は、予め定めておいた緊急度の閾値よりも高いとみなされ、オペレータへの通知が行われることとなる。
【0041】
このように、選出された保守サービスの緊急度が閾値よりも高かった場合は、保守サービスを直ちに行う必要があるとみなされ、オペレータに通知する(動作112)。
【0042】
選出された保守サービスの緊急度が閾値よりも低かった場合は、未接続回数が予め定めた規定の回数を超えたか否かを判断し(動作117)、超えた場合は、画像形成装置201ならびに利用者の音声情報の解析結果をオペレータへ通知する(動作112)。これは、未接続回数が増えると利用者の心理も怒りが増加することになるので、緊急度の高い保守サービス(サポート)に切換えるものである。
【0043】
なお、未接続回数は、オペレータが通知を確認した場合に0回にクリアされる(動作106)。
【0044】
また、画像形成装置201の利用者からの通信がオペレータに接続されなかった場合、画像形成装置201のコントロールパネル124には問い合わせの処理状況が表示される。このコントロールパネル124に問い合わせ処理状態を表示する際に行われる処理動作のフローチャートを図10に示す。
【0045】
まず、画像形成装置201では、オペレータやサービスマンに送信データの解析結果が通知されたか否かを判断する(動作201)。オペレータやサービスマンへの通知が行われた場合、コントロールパネル124に通知中である旨を表示する制御信号を、サポートセンター401から画像形成装置201へ送信する(動作202)。そして、サポートセンター401において、オペレータやサービスマンが通知内容を確認したか否かを判断し(動作203)、オペレータやサービスマンが通知内容を確認した場合には、画像形成装置201のコントロールパネルに「通知内容、トラブルを通知しました」と表示されるようにサポートセンター401から指示を送る(動作204)。
【0046】
なお、本実施形態において、画像形成装置201の機体内情報および顧客情報は、利用者がコールボタンを押した後に、サポートセンター401へ送信されるようにしているが、画像形成装置201の異常を検知すると自動的にサポートセンター401へ機体内情報と顧客情報が送信されるようにしてもよい。この場合、画像形成装置201に異常事態が発生した直後に、サポートセンター401に自動的に機体内情報と顧客情報が送られるため、利用者からサポートセンター401に問い合わせがある前に、予め機体内情報の分析からエラー結果の推定を行うことができる。そのため、サポートセンター401は、より迅速に画像形成装置201の異常事態に対処することが可能となる。
(第二の実施形態)
【0047】
図11乃至図13は第二の実施形態を示すもので、図11は、本実施形態における画像形成装置201の構成を示すブロック図である。
【0048】
画像形成装置201は、画像形成装置201の機体内のセンサ値やログ情報、印刷条件などといった機体内情報の制御を行う機械制御部131、利用者の音声情報の入力やサポートセンター401からの応答を出力する入出力制御部132、そして、利用者の音声情報を解析し、利用者の感情状態の推定を行う感情状態認識部135、サポートセンター401との通信を行う通信制御部133、そして画像形成装置内の情報全般を制御する主制御部134を備えている。なお画像形成装置201内の感情状態認識部135で行う音声情報からの感情状態の推定は、第一の実施形態と同様にSTを用いて行う。
【0049】
図12は、本実施形態におけるサポートセンター401の構成を示すブロック図である。
【0050】
通信回線を介して画像形成装置201と接続されたサポートセンター401は、画像形成装置201との通信を行う通信制御部411、情報の制御を行う主制御部412、機体内情報と利用者の感情状態とに対応付けて推奨するサポート情報が予め記憶されている記憶部414、オペレータやサービスマンに推奨されるサポートサービスを提示する入出力部415を備えている。
【0051】
このような構成により、サポートセンター401では、画像形成装置201が送信した情報を受信し、その受信情報を主制御部において分析し、受信情報と分析結果より推量するサポート情報を入出力部よりオペレータやサービスマンに提示することができる。また、入出力部を介して、オペレータやサービスマンは分析結果を参照しながら、利用者へ通話等の連絡をすることができる。
【0052】
図13は、画像形成装置201に異常事態が発生した際の処理動作を示すフローチャートを示している。画像形成装置201での異常事態発生から、オペレータに接続されたか否かのチェック(動作303)の段階までは、第一の実施形態と同様の流れである。オペレータに接続された場合は、利用者はオペレータに画像形成装置201のエラーの情報を通知する(動作304)。その際マイク121から入力された利用者の音声情報は、画像形成装置201内の感情状態認識部135で解析され、利用者の感情状態が推定される(動作305)。
【0053】
その後、画像形成装置201内における利用者の感情状態の推定結果は、サポートセンター401に通知される(動作306)。サポートセンター401では、画像形成装置201より送られた機体内情報を分析し、エラー要因を推定する。また、サポートセンター401では、機体内情報の分析結果と利用者の感情状態とを対応させた保守サポートの情報を記憶部414に予め記憶している(図8参照)。この情報を用いて、機体内情報の分析結果より得られたエラー要因と画像形成装置201より送られた利用者の感情状態推定結果から適切な保守サービスを選出し、オペレータへ選出し、その結果をオペレータに提示し、オペレータをサポートする。(動作308)。
【0054】
動作306から動作308は、画像形成装置201の利用者とオペレータとの通話が終了するまで、繰り返され、随時適切な保守サービスが提示される。また、保守サービスを選出する際、顧客情報(利用者の使用環境やコピーボリューム等)も考慮して選出することも可能である。
【0055】
次に、動作304で画像形成装置201の利用者からの通信がオペレータに接続されなかった場合には、画像形成装置201にて未接続回数をカウントし(動作308)、サポートセンター401に未接続回数を送信する(動作309)。サポートセンター401では、未接続回数を受信した後、利用者に音声メッセージを送信するように促す(動作310)。次に、音声メッセージが入力されたか否かを判断し(動作311)、利用者が音声メッセージを入力した場合、感情状態認識部135で音声メッセージより利用者の感情状態の推定を行い(動作312)、この音声情報解析結果をサポートセンター401に通知する(動作313)。
【0056】
サポートセンター401では、受信した機体内情報と顧客情報、利用者の感情状態情報を保存・解析し(動作314)、機体内情報分析結果と利用者の感情状態を組み合わせて判断することでオペレータへ適切な保守サービスを提示する(動作315)。また、この場合においても、保守サービスを選出する際に、顧客情報を考慮に含め、選出することができる。
【0057】
その後、オペレータが通知画面上の確認ボタンを押したか否かにより、オペレータがエラーに対処したかが判断される(動作316)。オペレータによるエラーの確認が行われなかった場合(動作316:NO)は、画像形成装置201の利用者が再びコールボタン123を押したか否かを判断する(動作317)。利用者によりコールボタンが押された場合(動作317:YES)は動作102に戻り、コールボタンが押されない場合(動作317:NO)はオペレータへの通知が行われ続ける。
【0058】
音声メッセージが送信されなかった場合は、それ以降、第一の実施形態のフローチャート(図4)と同様の動作を行う。
(第三の実施形態)
【0059】
第一の実施形態もしくは第二の実施形態により画像形成装置201の利用者に対するサポートサービスが行われた後、サポートセンター401が受信した画像形成装置201の機体内情報や利用者の感情状態情報をサポートセンター401において履歴情報として記憶しておくことが可能である。この記憶した履歴情報を蓄積し、発生エラーの種類と利用者の感情状態やエラーの発生状況等との相関を調べ、サポートセンター401における保守サービス選定のアルゴリズムにフィードバックさせる。
【0060】
図14は本実施形態におけるサポートセンター401の構成を示すブロック図である。
【0061】
第一の実施形態と同様に、通信制御部411、主制御部412、感情状態認識部413、記憶部414、入出力部415を備えるとともに、履歴情報を蓄積する履歴情報蓄積部416、履歴情報の解析を行う履歴情報解析部417、履歴情報の解析結果より記憶部414に記憶されている機体内情報分析結果と利用者の感情状態とに対応付けたサポート情報の表を更新するサポート情報書き換え部418を備えている。
【0062】
このような構成により、サポートセンター401では、第一の実施形態と同様に推奨する保守サービスを選出し、オペレータをサポートする。その後、画像形成装置201から受信した情報および利用者の感情状態情報を履歴情報として、履歴情報蓄積部416に記憶する。図11は、履歴情報蓄積部416に蓄積される履歴情報の一例である。そして、履歴情報解析部417において、履歴情報を解析し、どの種のエラーに対してどの種の感情を持つユーザーが多いのかという傾向等を調べる。
【0063】
その解析結果より、サポート情報書き換え部418において、図8に示したような機体内情報分析結果と利用者の感情状態とに対応付けたサポート情報の表の更新を行う。例えば、履歴情報の解析により給紙ジャムが起こった場合には、感情状態が“怒り”と判断されるユーザーが多いという結果が得られた場合、サポートセンターが定めていた給紙ジャムに対するサポート情報をより緊急度の高いものへと変更する必要があるため、サポート情報の表の更新を行う。
【0064】
そして、画像形成装置201の利用者の次回からのサポートセンター401への問い合わせについては、更新されたサポート情報の表を用いて、適切な保守サービスの選定を行う。
【0065】
このように、サポートセンター401で記憶された履歴情報から発生エラーの種類と利用者の感情状態やエラーの発生状況等との相関を調べ、その結果からオペレータへ提示するサポート情報を随時更新することにより、より画像形成装置201の利用者の満足度の高い適切な保守サービスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】中央管理装置と通信回線を通して接続される画像形成装置の内部構造を示す断面図。
【図2】画像形成装置の管理システムの構成図。
【図3】中央管理装置と通信回線を通して接続される画像形成装置の外観を示した概略図。
【図4】本発明の第一の実施形態における画像形成装置に異常事態が発生した場合の処理動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第一の実施形態における画像形成装置の制御部を表したブロック図。
【図6】本発明の第一の実施形態におけるサポートセンターの制御部を表したブロック図。
【図7】サポートセンターにおいて、推奨される保守サービスや利用者の感情状態の推移図等を表示する画面の一例。
【図8】機体内情報分析結果と利用者の感情状態情報を対応付けたサポート情報を示した表。
【図9】オペレータに未接続の場合に、利用者の音声メッセージの解析から選出した保守サポートをオペレータ又はサービスマンに通知する画面の一例。
【図10】オペレータに未接続の場合に、画像形成装置のコントロールパネルに問い合わせ処理状況を表示する際に行われる処理動作を示すフローチャート。
【図11】本発明の第二の実施形態における画像形成装置の制御部を表したブロック図。
【図12】本発明の第二の実施形態におけるサポートセンターの制御部を表したブロック図。
【図13】本発明の第二の実施形態における画像形成装置に異常事態が発生した場合の処理動作を示すフローチャート。
【図14】本発明の第三の実施形態におけるサポートセンターの制御部を表したブロック図。
【図15】サポートセンターに記録される履歴情報の記録例。
【符号の説明】
【0067】
201 画像形成装置
101 制御部
102 感光体ドラム
103 帯電器
104 走査露光部
105 現像器
106 転写チャージャ
107 剥離チャージャ
108 クリーナ
109 給紙部
110 用紙搬送部
111 定着器
112 排紙部
113 用紙トレイ
114 排紙トレイ
115 給紙ローラ
116 用紙
301 データ通信装置
302 通信回線
401 サポートセンター(中央管理装置)
121 マイク
122 ランプ
123 コールボタン
124 コントロールパネル
125 スピーカ
131 機械制御部
132 入出力制御部
133 通信制御部
134 画像形成装置の主制御部
135 感情状態認識部
411 通信制御部
412 サポートセンター(中央管理装置)の主制御部
413 感情状態認識部
414 サポート情報記憶部
415 入出力部
416 履歴情報蓄積部
417 履歴情報解析部
418 サポート情報書き換え部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の機体内情報を出力する機体内情報出力部と、前記画像形成部の利用者の音声情報を入力する音声情報入力部と、前記機体内情報及び前記音声情報を通信回線を介して出力する送信手段とを有する画像形成装置と、
前記通信回線に接続され、前記画像形成装置から出力される機体内情報及び音声情報を入力する受信手段と、前記受信手段で受信する音声情報に基づいて前記画像形成装置の利用者の感情状態を認識する感情状態認識手段と、前記機体内情報と前記感情状態とに対応するサポート情報が予め記憶されているサポート情報記憶手段と、前記受信手段で受信した前記機体内情報と前記感情状態認識手段で認識する利用者の感情状態とに基づいて前記サポート情報記憶手段から対応するサポート情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出したサポート情報をオペレータに報知する報知手段とを有する中央管理装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置の保守システム。
【請求項2】
前記画像形成装置には、
前記画像形成装置から前記オペレータへの接続を試みる際、接続が確立できない場合、前記画像形成装置と前記オペレータとの接続が確立されるまでに接続を試みる回数を未接続回数として記憶する手段と、
前記送信手段を介して前記未接続回数を前記中央管理装置に送信する手段とを有し、
前記中央管理装置には、
前記画像形成装置より送信される前記未接続回数を受信する手段と受信した未接続回数が予め定めた規定の回数を超えるとき、緊急度の高いサポートに切り換える手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の保守システム。
【請求項3】
画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部の機体内情報を出力する機体内情報出力部と、前記画像形成部の利用者の音声情報を入力する音声情報入力部と、前記音声情報入力部で入力される音声情報から画像形成装置の利用者の感情状態を認識する感情状態認識手段と、前記機体内情報及び前記感情状態の情報を通信回線を介して出力する送信手段とを有する画像形成装置と、
前記通信回線に接続され、前記画像形成装置から出力される機体内情報及び感情状態情報を入力する受信手段と、前記機体内情報と前記感情状態報とに対応するサポート情報が予め記憶されているサポート情報記憶手段と、前記受信手段で受信する機体内情報と利用者の感情状態とに基づいて前記サポート情報記憶手段により記憶されているサポート情報から対応するサポート情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段で抽出したサポート情報をオペレータに報知する報知手段とを有する中央管理装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置の保守システム。
【請求項4】
通信回線で接続される画像形成装置より受信した前記画像形成装置の機体内情報と前記画像形成装置の利用者の音声情報とを入力する入力手段と、
前記入力手段で入力する音声情報から前記画像形成装置の利用者の感情状態を認識する感情状態認識手段と、
前記画像形成装置の機体内情報と利用者の感情状態情報とに対応するサポート情報が予め記憶されているサポート情報記憶手段と、
前記受信手段で受信した機体内情報と前記感情状態とに基づいて前記サポート情報記憶手段から対応するサポート情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段で抽出したサポート情報をオペレータに報知する報知手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置の保守システムに用いられる中央管理装置。
【請求項5】
前記画像形成装置より受信した機体内情報と前記感情状態認識手段を用いて認識した前記感情状態を履歴情報として記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報より前記機体内情報と前記感情状態の相関を解析する履歴情報解析手段と、
前記履歴情報解析手段より得られる結果に基づいて前記サポート情報記憶手段により記憶されているサポート情報を更新するサポート情報更新手段と、
を具備したことを特徴とする請求項4記載の中央管理装置。
【請求項6】
通信回線に接続され、画像形成装置から出力された機体内情報及び音声情報を入力する受信手段と、画像形成装置の機体内情報と利用者の感情状態情報とに対応付けて推奨するサポート情報が予め記憶され、機体内情報と利用者の感情状態とに基づいて対応するサポート情報をオペレータに報知する中央管理装置を有する画像形成装置の保守システムに用いられるものであって、
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部の故障状況等の機体内情報を出力する機体内情報出力部と、
前記画像形成装置の利用者の音声情報を入力する音声情報入力部と、
前記音声情報入力部で入力された音声情報から前記画像形成装置の利用者の感情状態を認識する感情状態認識手段と、
前記機体内情報及び前記感情状態の情報を通信回線を介して中央管理装置に出力する送信手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置の機体内情報と前記画像形成装置の利用者の音声情報を取り込み、
感情状態認識部により前記音声情報から前記利用者の感情状態を認識し、
記憶部に記憶されている、オペレータが前記利用者に対して実施するサポート情報の中から、前記感情状態と前記機体内情報に対応するサポート情報を抽出することを特徴とする前記画像形成装置の保守システムにおけるサポート情報選出法。
【請求項8】
前記サポート情報は前記機体内情報と前記感情状態とを対応付けて記憶部に記憶されていることを特徴とする請求項7記載のサポート情報選出法。
【請求項9】
履歴情報蓄積部により前記機体内情報と前記感情状態を履歴情報として記憶し、
履歴情報解析部により前記履歴情報を解析し、
サポート情報書き換え部において、前記履歴情報の解析結果に基づき、前記サポート情報を更新することを特徴とする請求項8記載のサポート情報選出法。
【請求項10】
中央管理装置のオペレータと前記画像形成装置とを通信回線を介して接続し、
前記画像形成装置と前記オペレータとの接続が確立されているか否かを判断し、
前記画像形成装置と前記オペレータとの接続が確立されていないと判断される場合、接続が確立されるまでに接続を試みる回数を未接続回数として記憶し、
前記未接続回数が予め定めた規定の回数を超えるか否かを判断し、
前記未接続回数が前記規定の回数を超えるとき、緊急度の高いサポートに切り換えることを特徴とする請求項8記載のサポート情報選出法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−11434(P2010−11434A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−299922(P2008−299922)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】