説明

画像形成装置及びずれ調整用パターン形成方法

【課題】 色ずれ調整の精度を落とすことなく、印刷の生産性が確保できる色ずれ調整処理を行うこと。
【解決手段】 複数ページの画像を形成する印刷要求に応じて、像担持体に連続して形成される各ページ画像に対し、図4のフローを適用する。通常の印刷で行う描画(S201,202)の後、ずれ調整用パターンを形成させ、像担持体に形成されたずれ調整用パターンを読み取らせる(S204〜206)。このフローを行うことで、通常印刷の動作を変更することなく、各ページ画像の画像間において、ずれ補正用のデータを得、得たデータを基に算出するずれ補正値を描画制御に反映させることができる(S208,209)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の送りが掛けられる像担持体に画像データで駆動が制御される画像形成手段によって所定周期の走査方式で画像を形成する画像形成装置、例えばプリンタ、デジタル複写機等の画像形成装置に関し、より詳しくは、像担持体にずれ調整用パターンを形成することにより実施する画像位置等の調整に必要な処理を行うための手段を有する画像形成装置及び画像形成装置におけるずれ調整用パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元の走査方式で像担持体上に画像を形成する装置として、例えば、レーザビーム走査により感光体への画像書込みを行い、像担持体間の2次転写を経て画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が広く用いられている。
この方式を採用するカラープリンタでは、各色ごとに画像を描画し、それを重ね合わせてフルカラー印刷を実現する。この方法によりフルカラー印刷をする際、描画する画像は解像度が非常に高いため、わずかであっても各色の画像間に生じる色ずれ等により意図したカラー画像とは違った画像になってしまう。
【0003】
そこで、各色の画像間に生じるずれ量を検知し、検知したずれ量に基づき、色ずれのない状態に調整(なお、この調整を「補正」ともいう)することによりこの問題を解決している。画像間に生じるずれ量の検知は、予め定量化された所定のパターン画像を描画するためのパターンデータを作成しておき、このパターンデータにより画像形成手段を実際に動作させてパターンを描画し、描画されたパターンを読み取ることで、予め定められたパターン画像からの量的な変化をずれ量として検知する。
従来から採用されるこの色ずれ検知法は、印刷要求に応じて印刷を行う通常印刷モードとは、別の色ずれ補正(調整)モードとして行われ、この補正モードの動作を行っている間、通常印刷モードの動作は実行できない。
【0004】
このため、色ずれ補正モードの実行を必要なタイミングで行うようにするための方法について、例えば、特許文献1(特開2010−217448号公報)に示す提案がなされている。
特許文献1には、色ずれ補正処理を最低限必要な回数だけ実施し、印刷の中断時間を減らす目的で、前回補正を行ってからの印刷枚数、印刷経過時間を条件に設定して、これらの条件を満たした時のみ補正処理を実行する方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の上記色ずれ補正処理は、不要な処理を減らすことができても印刷の中断は避けることができないので、色ずれの精度を上げるために頻繁にこの補正処理を実行すると、補正処理に時間が多く取られ、単位時間当たりの印刷にかけられる時間が減り、印刷の生産性が落ちるという問題自体は、解消されない。
本発明は、従来技術において生じる上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、色ずれ等の形成画像に生じるずれ調整の精度を落とすことなく、印刷の生産性が確保できるずれ調整処理を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、像担持体に形成されるずれ調整用パターンをパターン読取手段によって読取り、読取ったデータに基づいて画像形成手段を制御し、ずれ調整を行う制御手段を有する画像形成装置であって、前記制御手段は、複数用紙面の画像が像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間において、ずれ調整用パターン画像データを用いて前記画像形成手段を動作させ、当該パターンを形成することを特徴とする。
本発明は、像担持体に形成されるずれ調整用パターンをパターン読取手段によって読取り、読取ったデータに基づいて画像形成手段を制御し、ずれ調整を行う画像形成装置におけるずれ調整用パターン形成方法であって、複数用紙面の画像が像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間において、ずれ調整用パターン画像データを用いて前記画像形成手段を動作させ、当該パターンを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によってずれ調整処理を行うと、従来技術において生じた印刷の生産性低下がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の画像形成装置の実施形態に係る複写機の構成の概要を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の実施形態に係る複写機のソフトウェア構成を示す図である。
【図3】印刷中に色ずれ調整に係る処理を行う印刷動作の制御フローを示す図である。
【図4】図3の印刷動作の制御フローにおける印刷実行ステップの詳細フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、本発明の画像形成装置を電子写真方式の複写機に実施した例を示す。実施例の画像形成装置は、スキャナ入力された画像をもとに処理される出力用画像データを用いて画像形成手段のLD(レーザ ダイオード)ビーム露光器を駆動制御し、電子写真方式で像担持体に描画処理を行う装置である。
LDビーム露光器と像担持体とは、副走査方向への移動という形で所定の送りが掛けられる一次像担持体である感光体の像担持面にLDビーム露光器から射出するレーザビームによって主走査方向に所定周期で画像が描画される、という関係となり、この種の装置で従来から普通に採用されている構成によって描画が行われ、この構成が本実施形態においても前提となる。
【0010】
上記描画方法によると、LDビーム露光器と一次像担持体である感光体との位置関係や駆動制御タイミング等が正常に調整されていないと、所定の状態で描画されるべき画像に対してずれが生じ、特にカラー画像を色ごとに描画し重ね合わせる、所謂タンデムタイプを採用する場合、色ずれとなって表れる。色ずれ等を補正するには、所定の調整用パターンデータを用いて実際に画像形成手段を動作させてこのパターンを描画し、描画されたパターンを読み取ることで、予め定められたパターン画像からの量的な変化をずれ量として検知し、色ずれをなくす調整動作を行う。
従来、この調整動作は、印刷要求に応じて印刷を行う通常印刷モードとは、別の動作モードとして、従来、通常印刷を止めて行われており、このために印刷の生産性が低下してしまう。
【0011】
そこで、この実施形態の画像形成装置では、複写等の処理要求を受けて行う通常の印刷中においてもずれ調整に必要な動作を実行できるようにする制御機能を備えることで、従来技術の問題を解決する。
この制御機能は、後記で詳述するように、複数用紙面の画像を形成する印刷要求に応じて、像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間において、ずれ調整用パターンを形成させるとともに、像担持体に形成されたずれ調整用パターンをパターン読取手段によって読み取らせる制御を行うものである。
よって、複数用紙面の印刷処理に上記制御機能を適用することが可能な画像形成装置であれば、電子写真方式以外のどのような種類の画像形成手段を有するものに本発明を実施しても構わない。
また、本実施形態では、色ずれを例に、カラー画像の描画をする画像形成装置を示すが、意図する画像を出力するためのずれ調整用の基準パターン画像に対するずれを調整する目的で調整用パターンの描画処理を行うものであれば、例えば、スキュー或いは濃度ずれを調整するものでもよい。この場合、モノクロ印刷出力だけを行う画像形成装置でもよい。
【0012】
[画像形成装置の概要]
図1は、本発明の画像形成装置の実施形態に係る複写機の構成の概要を示す図である。
ここでは、図1を参照して、画像形成に係る動作部を主にその構成及び動作の概要を説明する。なお、同図には、タンデムタイプのカラー複写機を例示する。
なお、この実施形態に係る複写機1の制御システムの構成については、後記にて、詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、複写機1は、中間転写ベルト9に沿ってカラー成分の色数の記録手段としての画像形成部が並べられた構成を有する。
中間転写ベルト9は、駆動ローラ7とベルト転写ローラ8との間に掛け渡されたエンドレスのベルトで、反時計方向に(図1中、駆動方向を矢示する)回転し、回転方向の上流側から順に、各カラー成分色(イエロー:Y、マゼンダ:M、シアン:C、ブラック:K)の画像形成部が配列され、所謂、タンデムタイプの構成をなす。なお、各画像形成部は形成するトナー画像の色が異なるだけで同じ構成要素よりなる。
【0014】
イエローの画像形成部(Y色画像形成部)は、ドラム外周を感光面とした感光体2Y、感光体2Yの周囲に配置された帯電ローラ3Y、露光器としてのLDユニット4Y、現像器5Y等を構成要素とする。なお、Y以外のM、C、Kの画像形成部については、同じ構成要素よりなるので、感光体2M、2C、2Kのみを示し、他の構成要素の図示を省略している。なお、温度センサ18は、各LDユニットの環境温度を検知するもので、予測されるLDユニット等の機器の状態変化を知るために設けられている。本実施形態では、ずれ調整の要否を判断するためにこの検知温度が利用される。
各色のLDユニットは、各カラー成分色の画像データにより発光が制御されるLDから各色に対応する露光ビーム光を発し、走査光学系を介してそれぞれの感光体2Y、2M、2C、2Kの感光面に投射するように構成されている。
フルカラーの画像を形成する際、感光体2Y、2M、2C、2Kそれぞれに作成されたトナー画像は、各感光体に対応して設けられた1次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kによって中間転写ベルト9に重ね合わされた形で転写され、フルカラー画像として合成される。なお、1次転写ローラ6Y、6M、6C、6Kは感光体2Y、2M、2C、2Kに対し接離可能で、単色等で画像を形成するとき不用な色の1次転写ローラは感光体から離しておく。
【0015】
また、転写用紙(以下、単に「用紙」という)に係る構成要素として、トレイに積載する用紙を1枚ずつ給紙ローラ(不図示)等の搬送手段によって供給する給紙装置10、レジストローラ11、中間転写ベルト9に担持されるトナー画像を給紙される用紙に転写するための2次転写ローラ12、トナーが転写された用紙にトナーを定着させる定着器13を有する。
また、画像形成部の下流における2次転写ローラ12のある位置までの間に、読取センサ15を設ける。読取センサ15は、予め用意されたずれ調整用パターンデータを用いて画像形成部で作られ、中間転写ベルト9に転写された当該パターン画像を読み取り、あるべき基準からのずれを定量化するためのデータを得る。
さらに、読取センサ15の下流にある2次転写ローラ12には、用紙にずれ調整用パターンが転写されることがないので、このローラに付着するずれ調整用パターンのトナーを除去するクリーナ16を備える。
【0016】
上記のように構成された複写機1において、複写等の印刷要求に応じて行われる通常の印刷動作について説明する。
画像形成に際し、感光体2Yの外周面は、暗中にて帯電ローラ3Yにより一様に帯電された後、露光器としてのLDユニット4Yからのレーザ光により露光され、静電潜像が形成される。現像器5Yは、この静電潜像をトナーにより可視像化する過程を経て、感光体2Y上にトナー画像を形成する。感光体2Y上のトナー画像は、感光体2Yと中間転写ベルト9とが接する位置(1次転写位置)で、1次転写ローラ6Yの働きにより中間転写ベルト9上に転写される。この転写により、中間転写ベルト9上にトナー画像が担持される。トナー画像の転写が終了した感光体2Yは、外周面に残留した不要なトナーをクリーニングブレード(不図示)により払拭された後、次の画像形成のために待機する。
【0017】
以上のようにして、Y色画像形成部で形成されたトナー画像の転写を受けた中間転写ベルト9は、次のM色画像形成部に搬送される。M色画像形成部では、Y色画像形成部での画像形成プロセスと同様のプロセスにより形成されたM色画像が中間転写ベルト9上のY色画像に重畳して転写される。中間転写ベルト9はさらに次のC色画像形成部、さらに次のK色画像形成部に搬送され、同様の動作により中間転写ベルト9上に重畳されて転写される。こうして、中間転写ベルト9上にフルカラーで重ね合わされた画像が担持される。このフルカラーで形成された画像を担持する中間転写ベルト9は、2次転写ローラ12の位置まで搬送される。
印刷要求時、用紙は、収納された給紙トレイから送り出され、レジストローラ11の位置にて待機した後、中間転写ベルト9により搬送されるトナー画像と用紙の位置が重なり合うタイミングでレジストローラ11にて送り出される。
送り出された用紙は、2次転写ローラ12にて中間転写ベルト9上のトナー画像を用紙に転写した後、定着器13にてトナー画像を熱および圧力にて定着し、排紙ローラにて複写機1の外部に排紙される。
【0018】
本実施形態では、印刷要求に応じて上記の動作を行う際、所定のタイミングでずれ補正を実施する指示が発行されると、印刷動作に並行して、ずれ調整用パターンを画像形成部で作成し、中間転写ベルト9に転写された当該パターン画像を読取センサ15によって読み取るずれ補正動作を行う。
このずれ補正動作におけるずれ調整用パターンは、印刷要求に応じ像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間において、予め用意されたずれ調整用パターンデータを用いて形成される。このずれ調整用パターンは、補正しようとするずれによって異なり、フルカラー画像における色ずれを補正する場合、色ごとにずれ調整用パターンデータを用意し、各色間のずれ量を検知し得る形態で各色のずれ調整用パターンを形成する。なお、印刷動作に並行して、ずれ調整用パターンを形成する動作の手順等の詳細は、後述する。
【0019】
[画像形成装置のソフトウェア構成]
図2は、本発明の画像形成装置の実施形態に係る複写機のソフトウェア構成を示す図である。
ここでは、図2を参照して、図1に示した複写機1の制御システムを主にそのモジュール構成及び動作の概要を説明する。
図2に示すように、機器全体制御サブシステム21、印刷管理サブシステム22、光学制御サブシステム34、スキャナサブシステム41、作像サブシステム42、紙搬送サブシステム43、定着サブシステム44、デバイスサブシステム52、画質調整サブシステム53の各サブシステムは、相互にデータ交換が可能な関係に構成される。
機器全体制御サブシステム21は、複写機1全体の動作判定・指示を行うとともに、複写機全体の動作履歴を保持するための専用の印刷履歴蓄積制御部23を配下におく。
【0020】
スキャナサブシステム41は、受け取ったスキャン要求に応じ、スキャナによって原稿を読取るスキャン動作を実行する。
印刷管理サブシステム22は、機器全体制御サブシステム21を介して受け取った印刷要求を管理し、作像サブシステム42、紙搬送サブシステム43、定着サブシステム44の各サブシステムに印刷実行を依頼する。
作像サブシステム42は、色ごとに設けられた画像形成部の動作を指示する。フルカラー画像を作像する場合、各色の画像形成部を順番に駆動して印刷動作を行う。この印刷動作の際、本実施形態では、1ページ(本実施形態では、以下、用紙面を「ページ」という)ごとの印刷が完了したことを色ごとに画質調整サブシステム53に通知する。この通知を受ける画質調整サブシステム53は、色ずれ補正動作を実行するタイミングを得る。
光学制御サブシステム34は、LD、ポリゴン等よりなる露光器としてのLDユニットを駆動して感光体上に画像を描画する動作を行う。描画する画像は、複写等の処理要求を受けて行う通常の印刷画像と調整(ずれ補正)動作の際の調整用パターン画像の二種類がある。このため、光学制御サブシステム34は、配下に設けた描画制御部33を介して、パターン作成制御部31及び印刷画像作成制御部32を制御する。
【0021】
デバイスサブシステム52は、作像サブシステム42、紙搬送サブシステム43、定着サブシステム44の各サブシステムからの要求タイミングで、各々の動作に必要なモータ、各種センサ等の負荷の駆動を行う。特に、調整動作時は画質調整サブシステム53からの要求により、配下に設けたパターン検知制御部51を介して、中間転写ベルト9上の調整用パターンの検知を読取センサ15に行わせる。
紙搬送サブシステム43は、用紙を給紙トレイから転写位置に給紙し、転写及び定着を経て、排紙トレイに排出されるまでの用紙搬送動作を制御する。
定着サブシステム44は、トナーを用紙に定着する際、用紙種類や印刷モードに応じた加熱動作を実施する。
画質調整サブシステム53は、配下に設けた濃度制御部54及び色ずれ制御部55を介して、印刷に使用するトナーの濃度制御と、色ずれ補正等の制御を行う。これらの制御を行う際、調整(補正)時の具体的な負荷の制御は、光学制御サブシステム34もしくはデバイスサブシステム52に依頼し、制御動作を行わせる。また、調整用パターンを用いる補正等の場合、調整用パターンを作成する際に必要な制御動作を行い、得られるずれ量に基づいて補正値を求め、この結果を光学制御サブシステム34に通知する。光学制御サブシステムは、この結果を反映させた動作条件によって印刷画像を描画することで、色ずれ等を防止できる。
【0022】
[画像ずれ調整の制御]
上記した本実施形態の複写機が有するずれ調整に係る制御機能について、説明する。
この制御機能は、印刷画像に生じるずれ調整の精度を落とすことなく、印刷の生産性を確保するために、複写等の処理要求を受けて行う通常印刷中においても、ずれの調整に必要なずれ調整用パターンの形成、当該パターンの読取りを伴う調整動作を行うことを可能にする。
このための方法として、本実施形態では、複数ページ(用紙面)の画像を形成する印刷要求に応じて、像担持体に連続して形成される各ページ画像の画像間において、ずれ調整用パターンの形成、当該パターンの読取りを伴う調整動作を行うよう、制御をする方法を採用する。
【0023】
上記調整動作は、図2の制御システムにおいて、機器全体制御サブシステム21の指示に従い、画質調整サブシステム53が主となって行う。
機器全体制御サブシステム21は、印刷要求に応じて印刷を実行する際に、印刷の実行指示を印刷管理サブシステム22に行うとともに、予め定められたずれ調整の実施条件を満たすか否かを判定し、ずれ調整を実行する場合には、その指示を画質調整サブシステム53に行う。
ずれ調整の実行指示を受ける画質調整サブシステム53は、光学制御サブシステム34、作像サブシステム42、デバイスサブシステム52の各サブシステムと協働してずれ調整動作を行う。即ち、画質調整サブシステム53は、印刷ページ間で行うずれ調整用パターンの描画タイミングを作像サブシステム42から得、光学制御サブシステム34にずれ調整用パターンの描画を依頼し、描画したずれ調整用パターンの読取りをデバイスサブシステム52に依頼する。また、ずれ調整用パターンの読取り結果に基づいて、画質調整サブシステム53が求めた調整に必要な補正値は、光学制御サブシステム34における動作条件に反映される。
【0024】
以下、この実施形態の画像のずれ調整の制御を図3及び図4の制御フローにもとづいて説明する。なお、ここでは、色ずれを調整対象のずれとする例を示す。色ずれ以外の、例えば、スキュー或いは濃度ずれを調整対象とする場合には、対応するずれ調整用パターンを用いることにより、同様に実施することができる。
図3は、印刷中に色ずれ調整に係る処理を行う印刷動作の制御フロー、また、図4は、図3の印刷動作の制御フローにおける印刷実行ステップS104の詳細フローを示す図である。
図3に示す制御フローによると、電源オン後、複写機1が初期化されて、操作パネル(不図示)等を通してユーザーが行う処理要求の操作を受付けることができる待機状態に移行し(ステップS101)、その後、コピー等の印刷を指示する操作が行われたことを入力信号の受信により確認する(ステップS102)。
ステップS102で印刷の指示がなければ(ステップS102-NO)、印刷指示を受信するまで待機状態を保つ(ステップS101)。
【0025】
他方、印刷指示が受信されれば(ステップS102-YES)、指示を実行するために、画像形成部に印刷実行を指示し、露光器、現像器等よりなる作像装置を立ち上げる(ステップS103)。
この後、印刷を実行する(ステップS104)。本実施形態では印刷が1ページ完了するごとに未出力のページ、即ち残印刷ページがあるか否かを確認し(ステップS105)、残印刷ページがあれば(ステップS105-YES)、全ページの印刷が済むまで、ステップS104の印刷動作を繰り返す。
要求された全てのページの印刷が済めば(ステップS105-NO)、作像装置を立ち下げ、装置を停止し(ステップS106)、ステップS101の待機状態に戻す。
【0026】
ここで、図4の制御フローを参照して、印刷中に色ずれ調整に係る処理を行う手順を含む上記ステップS104の印刷動作の詳細を説明する。なお、図4の制御フローは、フルカラーの印刷要求に応じる動作の場合、4構成色それぞれでページ毎に行う。また、複数ページの印刷要求であれば、各ページ画像の印刷動作そのものは、従来技術と同様に、各ページ画像間に所定間隔を空けて像担持体上に連続して当該画像を形成する動作となる。
図4の制御フローに示すように、先ず、処理対象ページの印刷の実行指示に応じ、当該ページのプリント出力用データを用いて露光器を動作させて画像の描画を開始し(ステップS201)、感光体にトナー画像を形成する。
次いで、現行ページの描画が完了したことを確認する(ステップS202)。
【0027】
現行ページの描画完了を確認したら、直ちに、色ずれ調整を実施すべき条件を満たすか否かを判定する(ステップS203)。この実施条件の判定は、ずれの発生を予測可能な変量をチェックすることによる。ここでは、前回色ずれ調整を行いずれの補正を行ってからの印刷枚(ページ)数、経過時間を管理し、どちらかの変量が、許容量を越えるずれが発生する前の所定値に達したか否かによる。このほかの変量としては、画像形成部の環境温度を検知する温度センサ18の検知温度の変化を用いる。例えば、常温に対する温度の変化を温度センサ18によって検知し、この値が実施条件として定めた所定値に達したか否かによって判定をする。
ステップS203で実施条件を満たさないと判定された場合(ステップS203-NO)、ずれ調整を実施しないので、ページごとに実行する図4の印刷(図3のステップS104)の処理を抜ける。
【0028】
他方、ステップS203で実施条件を満たすと判定された場合(ステップS203-YES)、描画する色ずれ調整用パターンを指定する(ステップS204)。
色ずれの場合、色ずれ調整用パターン画像データとして用意された中から、現行ページ画像を描画した後の像担持体(感光体)に描画する当該パターンデータを指定する。図4のフローは、各色ごとに行われ、色ずれ調整用パターン画像データの指定も各色ごとに行う。
次いで、ステップS204で指定された色ずれ調整用パターン画像データを用いて感光体への色ずれ調整用パターン画像の描画を行う(ステップS205)。このとき、描画される色ずれ調整用パターン画像は、ステップS202で現行ページとして描画された画像と次ページとして描画が予定されている画像との画像間に描画される。
各色の感光体上に描画された色ずれ調整用パターンは、中間転写ベルト9上で重ね合わされ、重ね合わされた状態の当該パターン画像を読取センサ15で読取り、色間のずれを求めるための基礎となる画像データを得る(ステップS206)。
【0029】
ところで、色ずれ調整用パターンは、色ずれを求めるために、通常、複数のパターン群を必要とする。例えば、各色のパターンよりなるパターン群を単位として、この単位パターン群を複数作成し、調整に用いる。
本実施形態では、複数ページの印刷要求に応じて連続して各ページの画像が印刷されるときに、この制御フローで説明するように、現行ページと次ページの画像間にできる領域に上記複数のパターン群を描画する。なお、上記ページ画像間の領域は、印刷に関与しない領域として必ず像担持体(感光体)上に生じる。また、感光体におけるこの領域を描画することは、画像形成部が動作状態にあるので、露光部を駆動するだけでよく、現行ページ画像の描画後のタイミングで色ずれ調整用パターン画像データを用いて描画を行うことで、ページ画像間に当たる領域にこのパターン画像を形成することができ、形成された当該パターン画像は、読取り後、印刷に関与することなく廃棄される。
【0030】
このような方法で色ずれ調整用パターンを描画する際、使用する色ずれ調整用パターン画像データを変更し、描画タイミングを制御すれば、任意の領域に任意のパターン画像の描画が可能である。したがって、ページ画像間の一領域に色ずれ調整に必要な複数のパターン群を全部、描画することもできる。
ただ、この方法をとると、使用する色ずれ調整用パターン画像にもよるが、色ずれ調整の動作を行う間、印刷を停止し、待機させなければならなくなる、という状況になる場合がある。こうした印刷停止等の非常時の動作を回避し、通常通りの印刷と並行して、調整動作を行えば、望ましい動作が実現できる。
この調整動作を行うためには、通常の印刷動作において形成される各ページ画像の画像間に生じる間隔を変えず、つまり、通常の印刷動作でページ画像間に生じる間隔以上に間隔を空けずに、前記ずれ調整用パターンを形成するよう動作を制御することにより実施することができる。このような制御動作によれば、通常の印刷動作における生産性を低下させることがなく、また、ユーザーに異変を感じさせることもない。
【0031】
上記のように、通常通りの印刷と並行して、各ページ画像の画像間にずれ調整用パターンを形成する動作を行うと、画像形成部の機器条件やずれ調整に求められる精度等によっては、必要なずれ調整用パターン画像全部をページ画像間の一箇所に形成することが不可能になってしまう場合がある。この場合には、通常の印刷動作において形成される各ページ画像の画像間にできる複数の領域に分散して形成させるようにすることで、必要なずれ調整用パターン全部を描画することが可能になる。上記の分散描画は、当然、ずれ量の検知に支障が生じないよう、形成するずれ調整用パターン画像を分割する必要があり、例えば、複数のパターン群の一部を分割する、といった対応となる。
【0032】
また、通常の印刷動作において形成される各ページ画像の画像間にできる領域の大きさ、つまりページ画像間に生じる間隔は、印刷条件に示される画像サイズによって変わる。このため、ページ画像間に生じる領域に描画できるずれ調整用パターン画像のサイズも変わってくる。ずれ調整用パターン画像の描画に利用できる領域の大きさの変化に対応することで、ずれ調整を短時間で済まし、効率よく処理することができる。
そこで、印刷される画像サイズそれぞれについて、ページ画像間に生じることが予測される間隔(長さ)を求め、求められた長さに応じて、できるだけ短時間で調整を行えるよう、分割するずれ調整用パターン画像部分を定める。
上記の印刷される画像サイズに応じて分割するずれ調整用パターン画像部分を定める方法による動作の際、予測されるページ画像間に生じる間隔が分割されるずれ調整用パターン画像サイズよりも狭くなることがあり得る。このような場合、誤動作を起こす可能性があるので、ずれ調整用パターン画像を形成する処理は行わず、通常の印刷動作が支障なく行えるようにする。なお、この動作によって行わなかったずれ調整は、印刷される画像サイズが変わり、調整動作が可能になったときに直ちに行えるように管理する。
【0033】
図4のフローに戻ると、色間のずれを求めるためのステップS206のずれ調整用パターン画像の読取りを終えた後、色ずれ調整に必要な全色ずれ調整用パターン画像の描画・読取りを完了したか否かを確認し(ステップS207)、完了していない場合(ステップS207-NO)、未完了部分の描画・読取りを行うべく、次ページに移行するため、図4(図3のステップS104)のページごとに印刷を実行する処理フローを抜ける。
他方、ステップS207で全色ずれ調整用パターン画像の描画・読取りの完了が確認できた場合(ステップS207-YES)、次に色ずれの補正値を算出する(ステップS208)。色ずれの補正値は、ステップS206で色ずれ調整用パターン画像を読取り、得られた画像データに基づいて、所定の演算を行うことにより、色ずれ量を求め、色ずれをなくす描画制御に必要な設定データの補正値を算出する。なお、色ずれ調整用パターン画像を読取り、補正値を算出するまでの処理は、既存の処理方法を用いる。
色ずれの補正値を算出した後、算出した補正値を画像形成部における描画制御に反映させ(ステップS209)、この制御フローを終了する。
【0034】
ところで、印刷中に色ずれ調整に係る処理を行う図3及び図4を参照して説明した上記実施形態の印刷動作の制御フローにおいては、複数ページの印刷要求に応じて連続して各ページの画像が印刷されるときに、色ずれ調整用パターン画像が分割されても、ページ画像間に全ての色ずれ調整用パターン画像の描画が可能である、という前提を置き、動作が完結するとした。
ただ、実際には、分割したうちの一部の色ずれ調整用パターン画像が描画されずに、要求された印刷が済んでしまう場合があり、色ずれ調整にとって不都合が生じることになる。
【0035】
そこで、この不都合に対処するために、次に示す動作を行う。
この対処方法は、印刷が終了する時点で、分割した色ずれ調整用パターンの中に未処理、即ち描画ができずに残っている部分があれば、印刷を終了させる前に、未処理部分の描画及び読取りを行い、これらを完了させて、印刷を終了させる。このようにすると、全ての色ずれ調整用パターン画像の読取データを用いて、所期の色ずれ調整が可能となる。なお、このときの動作は、印刷要求されたページ画像の描画は終っているので、分割を予定していた色ずれ調整用パターンの複数部分が残っていた場合でも、残部をまとめて描画し、中間転写ベルト9上に形成された当該色ずれ調整用パターンを読み取らせて、印刷を終了させる。
この方法をとることで、色ずれ調整用パターン画像を無駄に描画することなく、色ずれ調整を完了することができる。
【符号の説明】
【0036】
1・・複写機、2Y,2M,2C,2K・・感光体、4Y・・LDユニット、5Y・・現像器、6Y,6M,6C,6K・・1次転写ローラ、9・・中間転写ベルト、10・・給紙装置、12・・2次転写ローラ、15・・読取センサ、21・・機器全体制御サブシステム、22・・印刷管理サブシステム、31・・パターン作成制御部、32・・印刷画像作成制御部、34・・光学制御サブシステム、41・・スキャナサブシステム、42・・作像サブシステム、43・・紙搬送サブシステム、51・・パターン検知制御部、52・・デバイスサブシステム、53・・画質調整サブシステム、54・・濃度制御部、55・・色ずれ制御部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2010−217448号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に形成されるずれ調整用パターンをパターン読取手段によって読取り、読取ったデータに基づいて画像形成手段を制御し、ずれ調整を行う制御手段を有する画像形成装置であって、
前記制御手段は、複数用紙面の画像が像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間において、ずれ調整用パターン画像データを用いて前記画像形成手段を動作させ、当該パターンを形成する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
通常の印刷動作において形成される各用紙面画像の画像間の間隔を変えることなく、前記ずれ調整用パターンを形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記ずれ調整用パターンを複数個に分割し、分割したずれ調整用パターンの各部分を前記像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間にて分散して形成させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載された画像形成装置において、
印刷条件に示された画像サイズから予測される前記像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間の間隔を求め、求めた画像間の間隔に応じて分割する調整用パターン部分を定めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
予測した前記各用紙面画像の画像間の間隔が分割されるずれ調整用パターン部分よりも狭いときはずれ調整用パターンを形成させないようにすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれかに記載された画像形成装置において、
印刷の終了時、分割した前記ずれ調整用パターン中に未形成部分があれば、画像形成手段の停止前に当該ずれ調整用パターン部分をまとめて形成させるとともに、形成されたずれ調整用パターンを読み取らせることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置において、
前記画像形成手段は、電子写真方式による手段であり、
前記像担持体は、中間転写ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載された画像形成装置において、
前記中間転写ベルトからの転写を受ける転写ローラに付着した不要なトナーを除去するクリーナを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
像担持体に形成されるずれ調整用パターンをパターン読取手段によって読取り、読取ったデータに基づいて画像形成手段を制御し、ずれ調整を行う画像形成装置におけるずれ調整用パターン形成方法であって、
複数用紙面の画像が像担持体に連続して形成される各用紙面画像の画像間において、ずれ調整用パターン画像データを用いて前記画像形成手段を動作させ、当該パターンを形成する
ことを特徴とするずれ調整用パターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−230216(P2012−230216A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97868(P2011−97868)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】