説明

画像形成装置及び画像形成システム

【課題】1つの処理単位の画像形成の途中で行われる濃度測定により画像の色合いの変化が生じるのを防止する。
【解決手段】モノクロとカラーのページが混在する1つの印刷ジョブの画像形成を行う途中であって、最初のカラーページの形成よりも前に、画像形成を中断して濃度測定を行う際に、当該印刷ジョブに含まれるカラーページについては、中断時の濃度測定によって得られた新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、当該印刷ジョブに含まれるモノクロページについては、中断時の濃度測定よりも前に得られた旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う。モノクロページについては、濃度測定の前後で同じ旧濃度調整データを用いて濃度を調整することで、色合い(濃度)の変化が生じることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成システムに関し、特に、形成される画像の濃度を測定し、それを調整する機能を備えた画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より画像形成装置として、形成される画像の濃度測定を行い、それに基づいて画像を調整する、キャリブレーション等と呼ばれる機能を備えたものが知られている。この濃度測定では、例えば、濃度が異なる複数の濃度パッチから構成される濃度パターンを形成し、そのパターンをセンサにより測定し、その結果から濃度調整データを取得する。そして、画像を形成する際には、この濃度調整データを用いて画像の濃度を最適な濃度に調整する。
【0003】
こうした濃度測定は、例えば、前回の濃度測定からの印刷枚数や経過時間が基準を超えた場合など、所定の測定実行条件が満たされたときに実行される。濃度測定が適切な時期を行われることで画像品質を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−90561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の濃度測定は、例えば、複数のページからなる1つのジョブ(1つの処理単位)の実行中に画像形成動作を中断して行われることがある。しかしながら、そのような場合、中断したジョブに含まれるページのうち測定前に形成したページと測定後に形成したページとで、異なった濃度調整データを用いて濃度を調整するために、画像の色合い(濃淡)が変化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、1つの処理単位の画像形成の途中で行われる濃度測定により画像の色合いの変化が生じるのを防止することが可能な画像形成装置及び画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、第1の発明に係る画像形成装置は、1つまたは複数のページからなる処理単位で画像形成を行う画像形成部と、前記画像形成部により濃度パターンを形成し、前記濃度パターンを測定することで濃度調整データを得る濃度測定を行う測定手段と、前記濃度調整データに基づいて前記画像形成部が形成する画像の濃度調整を行う調整手段と、を備え、モノクロページとカラーページとを含んだ1つの処理単位の画像形成を行う途中であって、当該処理単位の最初のカラーページの形成よりも前に、前記画像形成部が画像形成を中断して前記測定手段が濃度測定を行う際に、前記調整手段は、当該処理単位に含まれるカラーページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定により得た新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、モノクロページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定よりも前に得た旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う。
【0008】
第1の発明によれば、モノクロとカラーのページが混在する1処理単位の画像形成を行う途中であって、最初のカラーページの形成よりも前に、画像形成を中断して濃度測定を行う際に、当該処理単位に含まれるカラーページについては、中断時の濃度測定によって得られた新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、当該処理単位に含まれるモノクロページについては、中断時の濃度測定よりも前に得られた旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う。
【0009】
これにより、当該処理単位に含まれるカラーページについては、新濃度調整データを用いて濃度を調整することで画像品質を確保することができる。一方、モノクロページについては、濃度測定の前後で同じ旧濃度調整データを用いて濃度を調整することで、色合い(濃度)の変化が生じることを防止できる。また、複数色を混合させて画像を形成するカラーページは、各色の濃度変化が色バランスの崩れを招きやすいのに対し、一色のみで画像を形成するモノクロページでは色バランスの崩れは生じない。従って、モノクロページは、カラーページに比べて濃度測定が画像品質に与える影響が低いと考えられるため、旧濃度調整データを用いた調整でもある程度の画像品質が維持できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記調整手段は、前記中断された処理単位以降に画像形成が行われる処理単位のうちの1つに含まれる最初のモノクロページの画像形成時から、モノクロページの濃度調整に用いる濃度調整データを前記旧濃度調整データから前記新濃度調整データに切り替える。
【0011】
第2の発明によれば、モノクロページの濃度調整に用いる濃度調整データを、処理単位間の切れ間で旧濃度調整データから新濃度調整データに切り替えるため、それぞれの処理単位に含まれるモノクロページ間で色合いの変化が生じることを防止できる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記測定手段は、カラーページを含む1つの処理単位の画像形成の途中に測定実行条件が満たされた場合に、最初のカラーページの形成前であれば濃度測定を行い 、最初のカラーページの形成後であれば当該処理単位の画像形成の途中に濃度測定を行わない。
【0013】
第3の発明によれば、最初のカラーページの形成後には濃度測定を行わないため、1つの処理単位のカラーページ間で色合いの変化が生じることを回避できる。
【0014】
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明において、前記測定手段は、1つの処理単位の画像形成の実行前に当該処理単位の画像形成の途中に測定実行条件が満たされるかを判断し、前記測定実行条件が満たされると判断された場合であって、当該処理単位がモノクロページとカラーページとを含み、かつ前記処理単位の最初のカラーページよりも前にモノクロページが存在する場合には、当該処理単位の画像形成の途中であって前記最初のカラーページの形成よりも前に濃度測定を行う。
【0015】
第4の発明によれば、濃度測定を当該処理単位の画像形成の実行開始前に行う場合に比べて、濃度測定を行う時期を遅らせることができ、ひいては濃度測定の実行頻度を低減することができる。また、最初のカラーページの形成より前に濃度測定を行うことで、本発明を適用することにより処理単位内で色合いの変化が生じるのを防ぐことができる。
【0016】
第5の発明は、第1から第4のいずれか一つの発明において、前記1つの処理単位とは、1つのジョブに対応する。
【0017】
第5の発明によれば、1つのジョブにおいて画像形成されるページ間で色合いの変化が生じることを防止できるため、ユーザにとって好都合である。
【0018】
第6の発明は、第1から第5のいずれか一つの発明において、前記画像形成部は、現像剤を用いて静電潜像を可視像化する複数の現像手段を備え、前記調整手段は、濃度調整時に前記現像手段に印加する電圧を濃度調整データに基づいて調整する。
【0019】
第7の発明に係る画像形成システムは、1つまたは複数のページからなる処理単位で画像形成を行う画像形成部を有する画像形成装置、及び前記画像形成装置と通信可能な情報処理装置を備えた画像形成システムであって、前記画像形成部により濃度パターンを形成し、前記濃度パターンを測定することで濃度調整データを得る濃度測定を行う測定手段と、前記濃度調整データに基づいて前記画像形成部が形成する画像の濃度調整を行う調整手段と、を備え、モノクロページとカラーページとを含んだ1つの処理単位の画像形成を行う途中であって、当該処理単位の最初のカラーページの形成よりも前に、前記画像形成部が画像形成を中断して前記測定手段が濃度測定を行う際に、前記調整手段は、当該処理単位に含まれるカラーページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定により得た新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、モノクロページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定よりも前に得た旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う。
【0020】
第7の発明によれば、第1の発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モノクロとカラーのページが混在する1処理単位の画像形成を行う途中であって、最初のカラーページの形成よりも前に、画像形成を中断して濃度測定を行う際に、当該処理単位に含まれるカラーページについては、中断時の濃度測定によって得られた新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、当該処理単位に含まれるモノクロページについては、中断時の濃度測定よりも前に得られた旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う。
【0022】
これにより、当該処理単位に含まれるカラーページについては、新濃度調整データを用いて濃度を調整することで画像品質を確保することができる。一方、モノクロページについては、濃度測定の前後で同じ旧濃度調整データを用いて濃度を調整することで、色合い(濃度)の変化が生じることを防止できる。また、複数色を混合させて画像を形成するカラーページは、各色の濃度変化が色バランスの崩れを招きやすいのに対し、一色のみで画像を形成するモノクロページでは色バランスの崩れは生じない。従って、モノクロページは、カラーページに比べて濃度測定が画像品質に与える影響が低いと考えられるため、旧濃度調整データを用いた調整でもある程度の画像品質が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態1におけるプリンタの概略構成を示す側断面図
【図2】プリンタの電気的構成を簡略に示すブロック図
【図3】ジョブ実行処理を示すフローチャート
【図4】印刷処理を示すフローチャート
【図5】濃度パターンを示す図
【図6】ジョブ実行処理における濃度測定及び濃度調整の実行例を示す図
【図7】実施形態2におけるジョブ実行処理を示すフローチャート
【図8】実施形態3における画像形成システムの電気的構成を簡略に示すブロック図
【図9】他の実施形態における濃度測定及び濃度調整の実行例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施形態1>
次に本発明の実施形態1について図1から図6を参照して説明する。
【0025】
(プリンタの全体構成)
図1は、本実施形態のプリンタ1(画像形成装置の一例)の概略構成を示す側断面図である。このプリンタ1は、電子写真方式のカラーLEDプリンタである。なお、以下の説明では、同図における左側を前方とする。また、図1においては、各色間で同一の構成部品については一部符号を省略している。
【0026】
プリンタ1は、本体ケーシング2を備えており、この本体ケーシング2の底部には、複数の用紙3(被記録媒体の一例)を積載可能な供給トレイ4が装着されている。供給トレイ4に積載された用紙3は、供給トレイ4の前端部上方に設けられた供給ローラ5によって上方のレジストローラ6へ送り出される。レジストローラ6は、用紙3を画像形成部10のベルトユニット11上に搬送する。
【0027】
画像形成部10は、ベルトユニット11、露光部17K〜17C、プロセス部19K〜19C、定着器31を備えている。
【0028】
ベルトユニット11は、前後一対のベルト支持ローラ12A,12B間に環状のベルト13を張架した構成となっており、ベルト13が駆動されることによりベルト13上面に静電吸着された用紙3が後方に向けて搬送される。また、ベルト13の内側には、後述する各プロセス部19K〜19Cの感光ドラム28とベルト13を挟んで対向する位置にそれぞれ転写ローラ14が設けられている。
【0029】
露光部17K,17Y,17M,17Cは、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応しており、その下端部に複数のLEDが一列に並んで設けられたLEDヘッド18を備えている。露光部17K〜17Cは、それぞれに供給される印刷データに基づいてLEDヘッド18の各LEDを発光させ、対応する感光ドラム28の表面に一ライン毎に光を走査する。
【0030】
ベルト13の下方には、ベルト13表面に形成されるパターンの検出等に用いられるパターンセンサ15が設けられている。パターンセンサ15は、ベルト13表面に光を照射して、その反射光をフォトトランジスタ等で受光し、その受光量に応じたレベルの信号を出力する。さらに、ベルトユニット11の下方には、ベルト13表面に付着したトナーや紙粉等を回収するクリーナ16が設けられている。
【0031】
プロセス部19K,19Y,19M,19Cは、それぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応しており、フレーム21と現像カートリッジ22とを備えている。各現像カートリッジ22は、トナー収容室23、供給ローラ24、現像ローラ25(現像手段の一例)を備えている。トナー収容室23には、対応する色のトナーが収容されている。トナー収容室23から放出されたトナーは、供給ローラ24の回転により現像ローラ25に供給され、供給ローラ24と現像ローラ25との間で正に摩擦帯電される。
【0032】
また、フレーム21の下部には、感光ドラム28と、スコロトロン型の帯電器29とが設けられている。感光ドラム28は、接地された円筒状のドラム本体の表面に正帯電性の感光層を形成してなる。感光ドラム28の表面は、その回転に伴い、帯電器29からの放電によって一様に正帯電(例えば+900V)される。そして、露光部17K〜17Cからの走査により露光されて、表面電位が照射された光の強度に応じて部分的に低くなる(例えば+100V)ことで用紙3に形成する画像に対応した静電潜像が形成される。
【0033】
そして、現像ローラ25上に正帯電した状態で担持されているトナーが、現像ローラ25に印加される現像バイアス電圧(例えば+450V)によって、感光ドラム28上の静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム28上の静電潜像がトナー像として可視像化される。
【0034】
感光ドラム28上に担持されたトナー像は、ベルト13上の用紙3が感光ドラム28と転写ローラ14との間の各転写位置を通る間に、転写ローラ14に印加される転写バイアス電圧(例えば−700V)によって用紙3に順次重ねて転写される。トナー像が転写された用紙3は、本体ケーシング2内の後部に設けられた定着器31に送り込まれ、そこでトナー像が用紙3に対して熱定着される。用紙3はその後、上方に搬送され、排出ローラ32によって本体ケーシング2の上面に排出される。
【0035】
(プリンタの電気的構成)
図2は、プリンタ1の電気的構成を簡略に示すブロック図である。
【0036】
プリンタ1は、図2に示すように、CPU40、ROM41、RAM42、NVRAM(不揮発性メモリ)43、ネットワークインターフェイス44を備えている。ROM41には、後述するジョブ実行処理など、このプリンタ1の各種の動作を実行するためのプログラムが記憶されている。CPU40(測定手段、調整手段の一例)は、ROM41から読み出したプログラムに従って、その処理結果をRAM42またはNVRAM43に記憶させながら各部の制御を行う。ネットワークインターフェイス44は、LAN等の通信回線を介して外部のコンピュータ(図示せず)等に接続され、相互にデータ通信が可能となっている。
【0037】
また、プリンタ1は、既述の画像形成部10、パターンセンサ15に加え、表示部47及び操作部48を備えている。表示部47は、ディスプレイやランプ等を備え、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。操作部48は、複数のボタンを備え、ユーザが各種の指示を入力することが可能である。
【0038】
さらに、プリンタ1は、既述の転写ローラ14、現像ローラ25、帯電器29等に電圧を印加する高電圧印加回路49を備えている。CPU40は、高電圧印加回路49を制御して、各部に印加する電圧の大きさを調整することができる。
【0039】
(ジョブ実行処理)
図3は、ジョブ実行処理を示すフローチャートであり、図4は、印刷処理を示すフローチャートである。
【0040】
CPU40は、外部のコンピュータ等から送信された印刷ジョブ(印刷要求、処理単位の一例)をネットワークインターフェイス44を介して受信すると、その印刷ジョブを印刷キューに登録する。印刷キューには複数の印刷ジョブを登録することができ、CPU40は、印刷キューに登録された各印刷ジョブに対して、順次、図3に示すジョブ実行処理を実行する。
【0041】
CPU40は、ジョブ実行処理において、まず所定の測定実行条件が成立するかを判断する(S101)。この測定実行条件とは、画像品質を確保するために濃度測定の実行が必要な状態(若しくは実行が望ましい状態)であるかを判断するための条件であって、具体的には、例えば、前回の濃度測定の実行からの経過時間、印刷枚数若しくは温度変化が基準以上であること等である。
【0042】
CPU40は、測定実行条件が成立する場合(S101:Yes)には、次に印刷するページがカラーページであるかを判断する(S102)。次に印刷するページがカラーページである場合(S102:Yes)には、さらに、そのページが本ジョブ実行処理の実行対象の印刷ジョブ(以下、対象ジョブともいう)における最初のカラーページであるかを判断する(S103)。CPU40は、次に印刷するページがカラーページである場合(S103:Yes)には、以下に述べる濃度測定を行う(S104)。
【0043】
濃度測定では、まず画像形成部10によりベルト13上に、例えば図5に示すような濃度パターンPを形成する。この濃度パターンPは、ベルト13の移動方向に沿って並んだ複数のパッチから構成されている。より詳細には、濃度パターンPは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色について濃度が異なる5つのパッチを備えている(ブラックのパッチK1〜K5、シアンのパッチC1〜C5、マゼンタのパッチM1〜M5、及びイエローのパッチY1〜Y5、一部図示を省略)。
【0044】
次に、パターンセンサ15により各パッチの濃度を測定する。そして、その測定結果に基づいて、濃度0%から100%までを256等分した各階調において、画像形成部10により用紙3上に画像を形成した時の濃度が理想濃度となるような濃度調整データを各色毎に算出する。ここで得られる濃度調整データには、LEDの発光強度を階調毎に調整するための調整値と、現像バイアス電圧を調整する(即ち全階調の濃度を調整する)ための調整値とが含まれる。
【0045】
ここで、NVRAM43には、最新の濃度測定によって得られた濃度調整データである新データ(新濃度調整データ)と、前回の濃度測定によって得られた濃度調整データである旧データ(旧濃度調整データ)とが記憶されている。CPU40は、S104の濃度測定によって最新の濃度調整データを得た後、NVRAM43に新データとして記憶されている前回の濃度調整データを旧データとして記憶し直し、最新の濃度調整データを新データとして新たに記憶する(S105)。これら新旧のデータは、次に述べる印刷処理において用いられる。
【0046】
CPU40は、最新の濃度調整データを記憶した後、印刷処理を実行する(S106)。また、CPU40は、S101にて測定実行条件が成立しない場合(S101:No)、S102にて次に印刷するページがカラーページでない場合(S102:No)、若しくは、S103にて次に印刷するページが最初のカラーページでない場合(S103:No)には、濃度測定を行うことなく、S106に進んで印刷処理を行う。
【0047】
CPU40は、図4に示す印刷処理を開始すると、まず対象ジョブの実行途中に濃度測定が実行されたかを判断する(S201)。対象ジョブの実行途中に濃度測定が実行された場合、即ち、対象ジョブの最初のページの印刷より後に印刷動作が一時中断され図3のS104にて濃度測定が実行された場合(S201:Yes)には、次に印刷するページがカラーページであるかを判断する(S202)。ここで、カラーページとは、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナーのうち複数色を用いて印刷されるページをいい、いずれか一色を用いて印刷されるページをモノクロページという。なお、ブラック以外の1色のトナーで形成されるページをモノクロページでなくカラーページとしても良い。
【0048】
CPU40は、対象ジョブの実行途中で濃度測定が実行されていない場合(S201:No)、若しくは次に印刷するページがカラーページである場合(S202:Yes)には、NVRAM43に記憶された新データを用いて次ページの印刷のための濃度調整を行う(S203)。即ち、ここでCPU40は、各色の露光部17K〜17Cに供給する印刷データを生成するとともに、その印刷データ中において、LEDの発光強度を新データ(最新の濃度調整データ)に基づき階調毎に調整する。また、CPU40は、新データに基づいて、高電圧印加回路49に対し各現像ローラ25に印加する現像バイアス電圧の設定を行う。そして、画像形成部10により1枚の用紙3に1ページ分の印刷を行う(S204)。
【0049】
また、CPU40は、S202において、次に印刷するページがカラーページでない場合、即ちモノクロページである場合(S202:No)には、旧データを用いて次ページの印刷のための濃度調整を行う(S205)。ここでCPU40は、印刷データ中においてLEDの発光強度を旧データ(前回の濃度調整データ)に基づき階調毎に調整し、また、旧データに基づいて現像バイアス電圧の設定を行う。そして、S204にて1ページ分の印刷を行う。
【0050】
CPU40は、1ページを印刷した後、図3のS106の印刷処理を抜け、対象ジョブが終了したかを判断する(S107)。そして、対象ジョブの残りのページが存在する場合(S107:No)には、S101に戻り、同様の処理を繰り返す。そして、対象ジョブの全てのページの印刷が完了した場合(S107:Yes)には、このジョブ実行処理を終了する。なお、全てのページの印刷が完了した印刷ジョブは、印刷キューから削除される。
【0051】
図6は、ジョブ実行処理における濃度測定及び濃度調整の実行例を示している。この例では、印刷ジョブ1,2,3の各ページを同図の左から右へ順に実行する(印刷ジョブ1,3は一部のページのみを示す)。印刷ジョブ2は、1ページ目から7ページ目までを7枚の用紙3にページ順に印刷するものであり、1〜3ページ目がモノクロ、4,5ページ目がカラー、6,7ページ目がモノクロのページである(同図ではモノクロページをM、カラーページをCで示す)。
【0052】
ここで、印刷ジョブ1の最後の2ページと印刷ジョブ2の1ページ目(モノクロページ)とについて、新データである濃度調整データ1を用いて濃度調整を行い、1ページ目を印刷後に測定実行条件が成立したとする。この場合、CPU40は、モノクロページである2,3ページ目については、濃度測定を実行することなく、そのまま濃度調整データ1を用いて濃度調整を行う。
【0053】
続いて、CPU40は、最初のカラーページである4ページ目を印刷する前に濃度測定を実行する。そして、この濃度測定の実行により古い濃度調整データとなった濃度調整データ1を旧データとして記憶し、新しく得られた濃度調整データ2を新データとして記憶する。その後、CPU40は、カラーページである4,5ページ目については、新データである濃度調整データ2を用いて濃度調整を行い、モノクロページである6,7ページ目については、旧データである濃度調整データ1を用いて濃度調整を行う。
【0054】
そして、印刷ジョブ2の次に実行される印刷ジョブ3(若しくはそれ以降の印刷ジョブ)については、少なくとも測定実行条件が再度成立するまでは、カラーページ、モノクロページともに新データである濃度調整データ2を用いて濃度調整を行う。言い換えれば、モノクロページ濃度調整に用いられる濃度調整データが印刷ジョブ2の終了後、最初のモノクロページが印刷されるときに旧データから新データに切り替えられる。
【0055】
(本実施形態の効果)
以上のように本実施形態によれば、モノクロとカラーのページが混在する1つの印刷ジョブの画像形成を行う途中であって、最初のカラーページの形成よりも前に、画像形成を中断して濃度測定を行う際に、当該印刷ジョブに含まれるカラーページについては、中断時の濃度測定によって得られた新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、当該印刷ジョブに含まれるモノクロページについては、中断時の濃度測定よりも前に得られた旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う。
【0056】
これにより、当該印刷ジョブに含まれるカラーページについては、新濃度調整データを用いて濃度を調整することで画像品質を確保することができる。一方、モノクロページについては、濃度測定の前後で同じ旧濃度調整データを用いて濃度を調整することで、色合い(濃度)の変化が生じることを防止できる。また、複数色を混合させて画像を形成するカラーページは、各色の濃度変化が色バランスの崩れを招きやすいのに対し、一色のみで画像を形成するモノクロページでは色バランスの崩れは生じない。従って、モノクロページは、カラーページに比べて濃度測定が画像品質に与える影響が低いと考えられるため、旧濃度調整データを用いた調整でもある程度の画像品質が維持できる。
【0057】
また、中断された印刷ジョブ(実行途中で濃度測定が行われた印刷ジョブ)以降に画像形成が行われる印刷ジョブのうちの1つに含まれる最初のモノクロページの画像形成時から、モノクロページの濃度調整に用いる濃度調整データを旧濃度調整データから新濃度調整データに切り替える。従って、モノクロページの濃度調整に用いる濃度調整データを、印刷ジョブ間の切れ間で旧濃度調整データから新濃度調整データに切り替えるため、それぞれの印刷ジョブに含まれるモノクロページ間で色合いの変化が生じることを防止できる。
【0058】
また、カラーページを含む1つの印刷ジョブの実行途中に測定実行条件が満たされた場合に、最初のカラーページの形成前であれば濃度測定を行い、最初のカラーページの形成後であれば当該印刷ジョブの実行途中に濃度測定を行わない。従って、最初のカラーページの形成後には濃度測定を行わないため、1つの印刷ジョブのカラーページ間で色合いの変化が生じることを回避できる。
【0059】
さらに、本実施形態では、測定実行条件が満たされた場合であっても、モノクロページの前では濃度測定を実行しないため、濃度測定を実行する時期を遅らせることができ、ひいては、濃度測定の実行頻度を抑制することができる。
【0060】
<実施形態2>
次に本発明の実施形態2について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態のジョブ実行処理を示すフローチャートである。
【0061】
実施形態1では、ジョブ実行処理において、測定実行条件が成立するか否かを印刷ジョブの実行途中に判断するものを示したが、本実施形態では、印刷ジョブの実行前に判断するものを示す。なお、プリンタ1の構成は実施形態1と同様であり、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
CPU40は、図7に示すジョブ実行処理を開始すると、測定実行条件が既に成立しているかを判断する(S301)。測定実行条件が成立していない場合(S301:No)には、対象ジョブの実行途中に測定実行条件が成立するかを判断する(S302)。即ち、ここでは、濃度測定を実行しない状態で対象ジョブを実行したと仮定した場合に、その対象ジョブの実行途中で測定実行条件が成立するかを現在の装置の状態などの情報(印刷枚数等)に基づいて予測する。そして、対象ジョブの実行途中に測定実行条件が成立しないと判断した場合(S302:No)には、図4の印刷処理を実行する(S303)。
【0063】
この場合には濃度測定が実行されないため、図4のS201にてNoに進み、S203にて新データを用いて濃度調整を行い、S204にて1ページ分の印刷を行う。印刷処理の後、CPU40は、対象ジョブが完了したかを判断し(S304)、完了していない場合(S304:No)には、S303に戻って次のページの印刷を行う。そして、対象ジョブが完了した場合(S304:Yes)には、このジョブ実行処理を終了する。
【0064】
また、CPU40は、S301にて、測定実行条件が既に成立している場合(S301:Yes)、若しくはS302にて、対象ジョブの実行途中で測定実行条件が成立する場合(S302:Yes)には、対象ジョブがカラーページを含むかを判断する(S305)。そして、カラーページを含まない場合(S305:No)には、S303に進み、濃度測定を行うことなく印刷処理を実行する。
【0065】
また、CPU40は、対象ジョブがカラーページを含む場合(S305:Yes)には、次に印刷するページが最初のカラーページであるかを判断する(S306)。そして、次に印刷するのが最初のカラーページである場合(S306:Yes)には、濃度測定を実行し(S307)、NVRAM43に記憶されている新データ(即ち前回の濃度調整データ)を旧データとして、新たに得られた濃度調整データを新データとして記憶する(S308)。続いて、1ページの印刷処理を行い(S309)、ジョブが完了していない場合(S310:No)には、S306に戻る。
【0066】
また、次に印刷するページが最初のカラーページでない場合(S306:No)には、S309に進んで、濃度測定を行わずに1ページ分の印刷を行う。その後、対象ジョブが完了した場合(S310:Yes)には、このジョブ実行処理を終了する。
【0067】
本実施形態のジョブ実行処理では、例えば図6において、測定実行条件が印刷ジョブ2の実行開始時に既に成立している場合、及び印刷ジョブ2の実行途中に成立する場合のいずれでも、最初のカラーページである4ページ目の印刷前に濃度測定が実行されることになる。先の実施形態のジョブ実行処理(図3)では、最初のカラーページの印刷後、例えば6ページ目の印刷後に測定実行条件が成立した場合には、濃度測定をそのジョブの実行途中には行わない。これに対し、本実施形態のジョブ実行処理(図6)では、同様の場合であっても最初のカラーページの前に濃度測定を行うため、画像品質を確保することができる。
【0068】
本実施形態においても、印刷ジョブに含まれるカラーページについては、新濃度調整データを用いて濃度を調整することで画像品質を確保することができる。また、モノクロページについては、濃度測定の前後で同じ旧濃度調整データを用いて濃度を調整することで、色合い(濃度)の変化が生じることを防止できる。
また、測定実行条件が成立する場合であっても、1つの印刷ジョブがモノクロページのみの場合はそのジョブの実行途中では濃度測定を実行しないため、濃度測定の実行時期を遅らせ、濃度測定の実行頻度を抑制することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、1つの印刷ジョブの実行前にその印刷ジョブの実行途中で測定実行条件が満たされるかを判断し、測定実行条件が満たされると判断された場合であって、その印刷ジョブがモノクロページとカラーページとを含み、かつ印刷ジョブの最初のカラーページよりも前にモノクロページが存在する場合には、その印刷ジョブの途中であって最初のカラーページの形成よりも前に濃度測定を行う。
【0070】
これにより、濃度測定を当該印刷ジョブの実行開始前に行う場合に比べて、濃度測定を行う時期を遅らせることができ、ひいては濃度測定の実行頻度を低減することができる。また、最初のカラーページの形成より前に濃度測定を行うことで、本発明を適用することによりジョブ内で色合いの変化が生じるのを防ぐことができる。
【0071】
<実施形態3>
次に本発明の実施形態3について図8及び既述の図3,4を参照して説明する。本実施形態では、本発明をプリンタ1及びコンピュータ60を備えた画像形成システムに適用した例を示す。図8は、画像形成システムの電気的構成を簡略に示すブロック図である。なお、プリンタ1の構成は実施形態1と同様であり、実施形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
コンピュータ60(情報処理装置の一例)は、CPU61(測定手段、調整手段の一例)、ROM62、RAM63、ハードディスクドライブ64、ネットワークインターフェイス65、キーボードやポインティングデバイスからなる操作部66、ディスプレイ等からなる表示部67等を備えている。ハードディスクドライブ64には、印刷用の画像データを作成するためのアプリケーションソフトや、プリンタ1を制御するためのプリンタドライバなどの各種プログラムが記憶されている。ネットワークインターフェイス65は、通信回線70を介してプリンタ1に接続されている。
【0073】
コンピュータ60上でユーザがプリンタ1に対応するプリンタドライバを起動させ、印刷条件の設定等を行った後、操作部66から印刷ジョブの実行指示を入力すると、CPU61は、プリンタドライバによって図3,図4に示す既述のジョブ実行処理とほぼ同等の処理を実行する。
【0074】
即ち、コンピュータ60のCPU61は、S101にてネットワークインターフェイス65を介してプリンタ1から装置の状態などの情報を取得し、測定実行条件が成立するかを判断する。そして、S101,S102,S103を全てYesと判断した場合には、S104にて濃度測定の実行指令をプリンタ1に送信する。
【0075】
プリンタ1のCPU40は、濃度測定の実行指令を受信すると、ベルト13上に濃度パターンPを形成し、パターンセンサ15の検出信号をネットワークインターフェイス44を介してコンピュータ60に送信する。コンピュータ60のCPU61は、この検出信号に基づいて各パッチの濃度を測定し、その測定結果に基づいて濃度調整データを算出する。なお、ここでは、プリンタ1のCPU40が各パッチの濃度を測定し、その測定結果をコンピュータ60に送信するようにしても良い。
【0076】
ここで、プリンタ1のNVRAM43には、濃度調整データとして旧データと新データとが記憶されている。コンピュータ60のCPU61は、算出した濃度調整データをS105にてプリンタ1に送信することで、NVRAM43の新データを旧データとして記憶させ、送信した濃度調整データを新データとして記憶させる。
【0077】
そして、CPU61は、図4の印刷処理では、S201,S202の判断に従って、プリンタ1のNVRAM43から取得した旧データまたは新データに基づいて、LEDの発光強度を階調毎に調整した1ページ分の印刷データを生成する(S203またはS205)。なお、印刷データには、旧データまたは新データに基づいて、高電圧印加回路49に対し各現像ローラ25に印加する現像バイアス電圧の設定するための調整値を付加しても良い。
【0078】
そして、CPU61は、生成した1ページ分の印刷データをS204にてプリンタ1に送信する。プリンタ1では、その印刷データに基づいて1ページ分の印刷を行う。このときプリンタ1のCPU40は、印刷データに現像バイアス電圧の調整値が含まれる場合には、その調整値に従って現像バイアス電圧を設定する。
【0079】
このように本実施形態においても、印刷ジョブに含まれるカラーページについては、新濃度調整データを用いて濃度を調整することで画像品質を確保することができる。また、モノクロページについては、濃度測定の前後で同じ旧濃度調整データを用いて濃度を調整することで、色合い(濃度)の変化が生じることを防止できる。
【0080】
また、濃度測定や濃度調整などの処理をコンピュータ60側で実行することができるために、プリンタ1側の負荷を抑えることができる。特にコンピュータ60側でプリンタ1に比べて性能の良いCPUを用いることにより、濃度測定や濃度調整を高速に処理できる、あるいは精度良く行うことができる。
【0081】
なお、新旧の濃度調整データは、コンピュータ60のハードディスクドライブ64に記憶させ、CPU61が濃度調整を行う際にハードディスクドライブ64からそれらのデータを読み出しても良い。
【0082】
また、ジョブ実行処理の一部をプリンタ1側で行い、残りをコンピュータ60側で行って良い。例えば、濃度測定をプリンタ1側だけで行い、コンピュータ60のCPU61がプリンタ1側から濃度調整データを取得して濃度調整を行うようにしても良い。逆に、コンピュータ60のCPU61により濃度測定を行い、プリンタ1のCPU40がコンピュータ60から濃度調整データを取得してそれに基づいて濃度調整を行うようにしても良い。
【0083】
また、コンピュータ60のCPU61により、図7相当のジョブ実行処理若しくはその一部を実行させても良い。
また、上記実施形態では、プリンタ1とコンピュータ60とをネットワーク接続するものを示したが、例えば、両者をUSBインターフェイスを介して接続するなど、他の方式で接続しても良い。
【0084】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、画像形成を行う際の処理単位を1つの印刷ジョブとしたものを示したが、本発明は、1つの印刷ジョブ以外の処理単位を用いることもできる。
【0085】
例えば、画像形成部により複数枚の用紙を滞留させつつ両面に印刷する高速両面印刷を行う画像形成装置において、高速両面印刷を行う際の単位である両面印刷シーケンスを本発明の処理単位としても良い。例えば、図9に示す例では、最初の2枚の用紙3に対し「2ページ目(1枚目裏面),4ページ目(2枚目裏面),1ページ目(1枚目表面),3ページ目(2枚目表面)」の順で印刷を行ったところで1回の両面印刷シーケンスが終了する。続いて、次の両面印刷シーケンスにより、「6ページ目,8ページ目,5ページ目,7ページ目」を同様に印刷する。即ち、この両面印刷シーケンスでは、1枚の用紙の一面に印刷した後、その用紙を反転して他面に印刷を行うまでの間に、他の用紙への印刷を行うために高速で印刷を行うことができる。
【0086】
この両面印刷シーケンスを処理単位とする場合、例えば、図3,図4や図7のジョブ実行処理における1つのジョブを1回の両面印刷シーケンスに置き換えることができる。
例えば、図9に示すように、両面印刷シーケンス1において、最初に印刷されるモノクロのページ(2ページ目)については、直前のページと同じく新データ(濃度調整データ1)を用いて濃度調整を行う。
【0087】
そして、そのページの印刷後に測定実行条件が成立したとすると、1枚目の用紙3が反転経路上にある状態で印刷動作を中断し、濃度測定を行う。濃度測定により新しい濃度調整データ2を得た後、印刷動作を再開し、続く2つのカラーページ(4ページ目、1ページ目)には、新データである濃度調整データ2を用いて濃度調整を行う。その次のモノクロページ(3ページ目)については、旧データ(濃度調整データ1)を用いて濃度調整を行う。続く両面印刷シーケンス2以降では、少なくとも測定実行条件が再度成立するまでは、新データ(濃度調整データ2)を用いて濃度調整を行う。
【0088】
これにより、濃度測定が途中で実行された両面印刷シーケンスに含まれるカラーページについては、新しく得られた濃度調整データ2、モノクロページについては、古い濃度調整データ1を用いて濃度調整を行うことになる。従って、1つの両面印刷シーケンスに含まれるカラーページ間、モノクロページ間で、それぞれ色合いの相違が生じることを防止できる。また、例えば、1回の両面印刷シーケンスにより印刷される1枚の用紙の表裏がモノクロページであって、両ページを印刷する途中に濃度測定が行われた場合であっても、表裏で色合いの変化が生じるのを防止することができる。
なお、両面印刷シーケンスは、1回のシーケンスを3枚以上の用紙に対して行うこともできる。
【0089】
また、複数のジョブを1つの処理単位とすることもできる。例えば、互いに関連する一連のジョブ、例えば、同一のコンピュータ(若しくはユーザ)から送信されたジョブ同士、あるいは共通の属性(印刷設定など)を有するジョブ同士を1つの処理単位として、本発明を適用することにより、それらのジョブにおけるページ間で色合いの変化が生じることを防止できる。
また、1つの処理単位で、例えば数百枚といった印刷を行う場合にも本発明を適用することができる。
【0090】
(2)上記実施形態では、測定実行条件が成立した場合(若しくは処理単位内において成立する場合)に最初のカラーページを印刷する直前に濃度測定を行うものを示したが、必ずしも直前でなくても良く、処理単位の実行途中であれば、例えば、最初のカラーページの数ページ前などに濃度測定を実行しても良い。
【0091】
(3)上記実施形態では、電子写真方式で画像を形成するプリンタを示したが、本発明は、例えば、インクジェット方式など他の方式の画像形成装置にも適用できる。また、画像形成として、例えば、ファクシミリで受信したデータの印刷、スキャナで取り込んだデータの印刷(コピー)、外部の記憶媒体から取得したデータの印刷(ダイレクトプリント)を実行する場合などにも本発明を適用することができる。
【0092】
(4)上記実施形態では、濃度測定によって得られた濃度調整データに基づいて、露光部の発光強度及び現像バイアス電圧を調整するものを示したが、本発明によれば、これらのうちいずれか一方のみを調整しても良く、あるいは、帯電器に印加する電圧や転写ローラに印加する電圧などを調整してもよい。また、インクジェット方式の画像形成装置の場合には、濃度測定によって得られた濃度調整データに基づいて、ヘッドからのインクの吐出量を調整しても良い。
【符号の説明】
【0093】
1…プリンタ
10…画像形成部
25…現像ローラ
40…CPU
60…コンピュータ
61…CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数のページからなる処理単位で画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成部により濃度パターンを形成し、前記濃度パターンを測定することで濃度調整データを得る濃度測定を行う測定手段と、
前記濃度調整データに基づいて前記画像形成部が形成する画像の濃度調整を行う調整手段と、
を備え、
モノクロページとカラーページとを含んだ1つの処理単位の画像形成を行う途中であって、当該処理単位の最初のカラーページの形成よりも前に、前記画像形成部が画像形成を中断して前記測定手段が濃度測定を行う際に、
前記調整手段は、当該処理単位に含まれるカラーページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定により得た新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、モノクロページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定よりも前に得た旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う、画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記調整手段は、前記中断された処理単位以降に画像形成が行われる処理単位のうちの1つに含まれる最初のモノクロページの画像形成時から、モノクロページの濃度調整に用いる濃度調整データを前記旧濃度調整データから前記新濃度調整データに切り替える、画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記測定手段は、カラーページを含む1つの処理単位の画像形成の途中に測定実行条件が満たされた場合に、最初のカラーページの形成前であれば濃度測定を行い、最初のカラーページの形成後であれば当該処理単位の画像形成の途中に濃度測定を行わない、画像形成装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記測定手段は、1つの処理単位の画像形成の実行前に当該処理単位の画像形成の途中に測定実行条件が満たされるかを判断し、前記測定実行条件が満たされると判断された場合であって、当該処理単位がモノクロページとカラーページとを含み、かつ前記処理単位の最初のカラーページよりも前にモノクロページが存在する場合には、当該処理単位の画像形成の途中であって前記最初のカラーページの形成よりも前に濃度測定を行う、画像形成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記1つの処理単位とは、1つの印刷ジョブに対応する、画像形成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像形成部は、現像剤を用いて静電潜像を可視像化する複数の現像手段を備え、
前記調整手段は、濃度調整時に前記現像手段に印加する電圧を濃度調整データに基づいて調整する、画像形成装置。
【請求項7】
1つまたは複数のページからなる処理単位で画像形成を行う画像形成部を有する画像形成装置、及び前記画像形成装置と通信可能な情報処理装置を備えた画像形成システムであって、
前記画像形成部により濃度パターンを形成し、前記濃度パターンを測定することで濃度調整データを得る濃度測定を行う測定手段と、
前記濃度調整データに基づいて前記画像形成部が形成する画像の濃度調整を行う調整手段と、
を備え、
モノクロページとカラーページとを含んだ1つの処理単位の画像形成を行う途中であって、当該処理単位の最初のカラーページの形成よりも前に、前記画像形成部が画像形成を中断して前記測定手段が濃度測定を行う際に、
前記調整手段は、当該処理単位に含まれるカラーページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定により得た新濃度調整データを用いて濃度調整を行い、モノクロページについては、前記測定手段が前記中断時の濃度測定よりも前に得た旧濃度調整データを用いて濃度調整を行う、画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−75892(P2011−75892A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−228056(P2009−228056)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】