説明

画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置

【課題】被検知部が突出する場合に比して、位置検知精度を維持することができる画像形成装置用ベルトを提供すること。
【解決手段】ベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の側縁に沿って該ベルト本体に固定されたガイド部材と、該ガイド部材の切れ目に設けられた位置検出用被検知部と、を有することを特徴とする画像形成装置用ベルト、前記ベルトと該ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えるベルト張架装置、及び、前記ベルトを備えた画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用ベルト、ベルト張架装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置としては、例えば、中間転写ベルトを使用した中間転写方式のカラー画像形成装置がある。これは、電子写真プロセス等によりトナー像が形成される像保持体(例えば感光体ドラム)の転写部で接触して回転するような中間転写ベルトを複数のベルト支持ロール間に張架して配設したものであり、その像保持体上に形成される複数のトナー像を一旦中間転写ベルトの同じ位置に重ねあわせるように一次転写した後、その中間転写ベルト上に転写されたトナー像を用紙に一括して二次転写するものである。そして、用紙上に二次転写された多色のトナー像は、その後定着装置により定着されてカラー画像となる。
【0003】
この他、別のベルトを備えた画像形成装置として、用紙を保持して複数の画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送する用紙搬送ベルトを使用した、いわゆるタンデムタイプのカラー画像形成装置もある。これは、各色成分のトナー像を個々に形成するため画像形成ユニットを複数並べて配置し、その各画像形成ユニットの転写部で接触して回転するように用紙搬送ベルトを複数のベルト支持ロール間に張架して配設したものであり、その用紙搬送ベルトに吸着して保持した用紙を各画像形成ユニットの転写部を通過させるように搬送することにより、各画像形成ユニットで形成される各トナー像を同じ用紙に順次重ねあわせるように転写し、最後に定着させてカラー画像とするものである。
【0004】
このような中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトを備えた画像形成装置においては、画像を正確に重ね合わせるために、高精度な位置制御が不可欠である。従来から、ベルトの位置制御は、ベルトの特定の位置をセンサにより検知することにより行われている。
特許文献1では、中間転写ベルトを有する画像形成装置を開示し、この中間転写ベルトの長さ方向に沿った非画像部に1次転写位置を決める複数の基準マークを一定間隔をおいて設け、基準マークの検知に基づき、感光体に形成されたトナー像を中間転写ベルトに1次転写している。
【0005】
【特許文献1】特開平11−15297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粘着剤や接着剤を用いて被検知部がベルト本体から突出するように設けられる場合、被検知部と他の部材とが接触するため、トナーの付着や他の部材との接触により汚れたり、摩耗により検出精度が低下する。被検知部を覆う保護層を設けた場合も同様である。
本発明は、被検知部が突出する場合に比して、位置検知精度を維持することができる画像形成装置用ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は、以下の<1>、<3>及び<4>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>と共に列記する。
<1> ベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の側縁に沿って該ベルト本体に固定されたガイド部材と、該ガイド部材の切れ目に設けられた位置検出用被検知部と、を有することを特徴とする画像形成装置用ベルト、
<2> 該ガイド部材表面の反射率と該被検知部表面の反射率とが異なる、<1>に記載の画像形成装置用ベルト、
<3> <1>又は<2>に記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置、
<4> <1>又は<2>に記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0008】
上記<1>に記載の発明によれば、被検知部が突出する場合に比して、位置検知精度を維持することができる画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、簡便な方式により被検出部を検出することができる画像形成装置用ベルトを提供することができた。
上記<3>に記載の発明によれば、被検知部が突出する画像形成装置用ベルトを用いる場合に比して、位置検知精度を維持することができるベルト張架装置を提供することができた。
上記<4>に記載の発明によれば、被検知部が突出する画像形成装置用ベルトを用いる場合に比して、ずれの少ない画像を形成することができる画像形成装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本実施態様の画像形成装置用ベルトは、ベルト本体と、該ベルト本体の少なくとも片側の側縁に沿って該ベルト本体に接着されたガイド部材と、該ガイド部材の切れ目に設けられた位置検出用の被検知部と、を有することを特徴とする。
以下、本実施形態の画像形成装置用ベルトについて説明する。
【0010】
(画像形成装置用ベルト)
本実施態様の画像形成装置用ベルト(以下、単に「ベルト」ともいう。)は、画像形成のために用いられる環状の無端状ベルトであれば特に限定されず、感光用、中間転写用、転写分離用、用紙搬送用、帯電用、定着用、現像用等のいずれの用途に用いられるベルトであってもよい。これらの中でも、高い位置精度が要求される中間転写用ベルト又は用紙搬送用ベルトとして特に好適に使用できる。
【0011】
図面を参照して本実施形態の画像形成装置用ベルトを以下に説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置用ベルトの一実施形態を示す斜視図であり、その一部を断面図で表している。図2は、図1において矢印Aの方向からみた、画像形成装置用ベルトの部分拡大斜視図であり、被検知部の詳細を示している。図3は、画像形成装置用ベルトに設けた被検知部を光学的に検出する一例の概念的な断面図である。
【0012】
図1において、画像形成装置用ベルト1は、無端状のベルト本体2と、このベルト本体2の片側の側縁に沿って該ベルト本体に固定されたガイド部材3とを有している。このガイド部材3には、少なくとも一つの切れ目4が設けられ、この切れ目4自身を位置検出用の被検知部とするか、又はこの切れ目に被検知部としての部材を有している。
ベルト本体の外周面(外側面)は、その幅方向の中央領域が画像形成のために使用される。ベルト本体外周面の幅方向両側に位置する画像形成のために使用されない領域及び対向する内周面(内側面)の領域は、ベルト本体の側縁の領域であり、ガイド部材が、ベルト本体の蛇行防止のために固定される。
ガイド部材は、ベルト本体の外側面と内側面のいずれに設けてもよい。図1に示すように、ベルト本体2の内側面にガイド部材3が設けられていることが好ましいが、ベルト1の適用される用途に応じて、ガイド部材3がベルト本体2の外側面に設けられていてもよい。また、ガイド部材は、ベルト本体幅方向の片側又は両側に周方向に延設して固定される。ガイド部材3は、ベルト本体2の幅方向端部に沿って設けることが好ましい。
このガイド部材3は、接着部を介してベルト本体2に固定されていることが好ましいが、接着部を介さずに直接固定されていてもよい。
ベルト本体2の周方向の回転位置を検知するために位置検出用の被検知部(以下、単に「被検知部」ともいう。)が、ガイド部材3の切れ目4に少なくとも1つ配置されている。その具体な態様について以下に説明する。
【0013】
<ガイド部材と切れ目>
ガイド部材の形状を、以下、ベルト本体がA3サイズの画像を再現する画像領域を有する場合について説明する。ガイド部材の幅は、特に制限されないが、蛇行防止効果、耐久性等の点から、1〜10mmが好ましく、4〜7mmがより好ましい。ガイド部材の厚みも、特に制限されないが、蛇行防止効果や耐久性等の観点から、0.5〜5mmが好ましく、特に1〜2mmが好ましい。ガイド部材は、切れ目部分を除いて、ベルト本体の周方向全長に設けられる。
本実施態様の画像形成装置用ベルトにおいて、ガイド部材3は少なくとも1つの切れ目4を有する。この切れ目は、ガイド部材の対向する端面間の間隙として形成される。ガイド部材の端面はガイド部材の長さ方向に垂直であることが好ましい。この切れ目は、ガイド部材の周方向に1つ以上設ければよく、複数の切れ目を設けることもできるが、一つの切れ目を設けることが好ましい。また、2個以上の切れ目をガイド部材に設ける場合は、これらを等間隔に設けることが好ましい。
【0014】
切れ目の大きさは、ベルトの大きさに合わせて適宜選択することができる。例えば、ベルト本体がA3サイズの画像を再現する画像領域を有する場合には、被検知部の周方向の長さは、0.1〜6mmであることが好ましく、0.3〜3mmであることがより好ましい。切れ目の幅は、ガイド部材の幅と同じである。
切れ目はガイド部材が完全に切れた部分であることが好ましく、連続したガイド部材に設けられた凹状の部分を意味しない。切れ目の領域において、ガイド部材端部の断面形状は、ベルト本体に対して垂直に切れている場合が好ましいが、ベルト本体との間に傾斜を有していてもよい。この場合、ガイド部材の端面がベルト本体と45°以上90°未満の角度を有していることが好ましい。
【0015】
ガイド部材の切れ目に被検知部としての部材を固定する場合、その厚みは、ガイド部材の厚みと同等以下であることが好ましく、ガイド部材よりも小さい厚みを有することがより好ましく、ガイド部材の厚さの1/10〜2/3であることが、他の部材との非接触な状態を維持するために特に好ましい。なお、被検知部の厚みとは、粘着剤及び/又は接着剤を介して切れ目に固定される場合には、該粘着剤及び/又は接着剤の厚みも含むものとする。また、被検知部が光透過性樹脂で覆われている場合には、この光透過性樹脂の厚みをも含む厚さを意味する。
【0016】
<被検知部>
被検知部は、ガイド部材の1以上の切れ目のすべての箇所に設けることができる。
ベルト本体とガイド部材の物理的特性が異なる場合には、ベルト本体が露出した切れ目部分自身が被検知部となることができ、表面反射率が異なる場合が例示できる。
ガイド部材の切れ目部分に、ガイド部材とは異なる物理的性質を有する部材を被検知部としてベルト本体に固定してもよい。被検知部に別部材を固定する場合、その形状は特に限定されず、正方形、長方形等の矩形の他に円、楕円等の形状を適宜選択することができる。
【0017】
被検知部は、検出センサが検知可能である限り、検知する物理的特性は特に限定されない。本実施形態の画像形成装置用ベルトでは、切れ目の両端位置又は被検出部を非接触で検出することが好ましく、被検知部を光学的に検知することがより好ましい。また、被検知部として固定されたICチップを非接触で電子的に検出することも好ましい。
本実施形態において、被検知部をレーザー光線等により非接触で検知する態様としては、被検知部を反射率の差異、又は、屈折率の差異に基づき、光学的に検知することが含まれる。
【0018】
本実施形態の画像形成装置用ベルトの一実施態様において、ガイド部材表面の反射率と被検知部表面の反射率とが異なる場合が挙げられる。具体的には、ガイド部材表面の反射率が該被検知部表面の反射率よりも大きい場合と、ガイド部材表面の反射率が該被検知部表面の反射率よりも小さい場合とに大別することができる。いずれも被検知部とガイド部材の境界の位置を検知することができる。
【0019】
図2に示す光学的な被検知部の2態様について説明する。
図2(A)を参照すれば、ベルト本体12には例えばカーボンブラックが配合され黒色を呈しており、ベルト本体12の内側面に接着されたガイド部材13には例えば白色顔料であるチタンホワイトが配合され白色を呈している。ガイド部材の切れ目14の両端位置を、ガイド部材の位置において周方向の反射率の相違に基づき検出することができる。
また、図2(B)では、ベルト本体12は例えばカーボンブラックが配合され黒色を呈し、ベルト本体12の内側面の側縁に固定されたガイド部材15にも例えばカーボンブラックが配合され黒色を呈している。ガイド部材の切れ目には、矩形の白色板又は光反射部材が被検知部17として固定されており、ガイド部材の位置で周方向に反射率を検出すると、被検知部の位置を光学的に検出することができる。
【0020】
ガイド部材の切れ目に設ける被検知部として、光反射部材を使用することが好ましい。光反射部材としては、銀、金、アルミニウム等の金属板、又はこれらの金属をプラスチックフィルム等の支持体上に蒸着又はラミネートした板、これらの金属を金属粉としてプラスチックフィルム中に含有する板等が例示でき、アルミニウム(蒸着)プラスチック板が好ましい。
光反射性の被検知部は、ガイド部材の切れ目においてベルト本体に上記の光反射部材を固定することにより形成することができる。
【0021】
光反射部材を使用する場合、その反射率は高いほど好ましく、検出部で使用する光線に対して50%以上の光反射率を有することが好ましく、80%以上の光反射率を有することがより好ましい。反射率が上記範囲内であると、高い検出感度を得ることができる。
【0022】
ガイド部材の切れ目に被検知部を配置する方法は任意であり、被検知部を粘着剤及び/又は接着剤を介してベルト本体に固定してもよく、また、金属板等の被検知部を直接ベルト本体に固定してもよい。粘着剤及び/又は接着剤を介することなく配置されていると、被検知部の剥がれが生じにくく、耐久性が向上するので好ましい。
被検知部を粘着剤及び/又は接着剤を介することなく直接ベルト本体に固定してもよい。
【0023】
本発明の画像形成用ベルトにおいて、ガイド部材の屈折率が被検知部部材の屈折率と異なることも、他の好ましい態様である。具体的には、ガイド部材の屈折率が該被検知部の屈折率よりも大きい場合と、ガイド部材の屈折率が被検知部の屈折率よりも小さい場合とに大別することができる。また、透明なガイド部材の切れ目にこのガイド部材の屈折率よりも大きい屈折率を有する被検知部を設けて光学的に検出することも好ましい。
【0024】
被検知部を、保護層で覆うことも好ましい。光学的な検出方法を採用する場合には、光透過性樹脂よりなる保護層で覆うことにより、被検知部に表面傷の発生や汚れの付着を防止することができ、耐久性が向上するので好ましい。
光透過性樹脂の材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、アクリル樹脂、透明セラミックなどを例示することができる。
また、光透過性樹脂を被覆する方法としては、スプレーコーティング、塗布法、テープ状の光透過性樹脂を貼り付ける方法等が例示でき、特に限定されない。
光透過性樹脂よりなる保護層の厚さは、任意に選択できるが、3〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
【0025】
<ベルト本体>
ベルト本体の材質としては、ヤング率2,000MPa以上の樹脂材料が好ましく用いられる。ヤング率2,000MPa以上の合成樹脂材料を用いることにより、外部からの応力による変形が抑制される。なお、ベルト本体のヤング率は大きければ大きい程良いが、実用上は8,000MPa以下であり、6,000MPa以下であることが好ましい。ベルト本体のヤング率は、使用する合成樹脂材料の化学構造を選択することで上記範囲に制御することができ、芳香環構造を含む樹脂ほどヤング率が高くなる。
なお、ヤング率は、JIS K7127に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求める。
ベルト本体10の材質としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。なお、ベルト本体は環状であれば、つなぎ目があってもなくてもよい。ベルト本体の厚さは、通常、0.02〜0.2mm程度が好ましい。
本実施形態のベルトが、特に中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトとして用いられる場合、ベルト本体としては、カーボンブラック等の導電剤を添加したポリイミド系樹脂や同じく導電剤を含有するポリアミドイミド系樹脂を用いた半導電性ベルトが好ましく使用される。ここで、「半導電性」とは、後述する表面抵抗率及び体積抵抗率が下記の特定数値範囲を有することを意味する。
導電剤を含有する、ポリイミド系樹脂又はポリアミドイミド系樹脂を用いたベルト本体の作製は、例えば、円筒体の外面に導電剤を含有するポリアミドイミド溶液を塗布して乾燥・焼成し、ポリアミドイミド樹脂皮膜を円筒体から剥離する等、公知の方法によって行うことができる。
【0026】
本実施形態のベルトを中間転写ベルトや用紙搬送ベルトとして用いる場合、1×109Ω/□〜1×1014Ω/□の範囲に表面抵抗率を、1×108Ωcm〜1×1013Ωcmの範囲に体積抵抗率を制御することが好ましく、そのために必要に応じて導電剤(導電性フィラー)を添加することができる。このような導電剤として、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属又は合金、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ−酸化インジウム又は酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、又はポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーなどが好適に使用できる。これら導電性フィラーは単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。中でも、導電性フィラーとしては、コストの点でカーボンブラックが好適である。また、必要に応じて分散剤、滑剤などの加工助剤を添加することができる。
ここで、表面抵抗率は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で測定し、JIS K 6911に従い測定する。ベルトの24点(幅方向3箇所×周方向8箇所)を測定して、その平均値をベルトの表面抵抗率とする。
【0027】
ベルト本体は、既述のような柔軟性のある材料で構成されている必要があり、弾性を有する熱可塑性樹脂や合成ゴムが好ましく使用される。またベルト本体の耐久性という観点から劣化や変質しにくいポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂を主成分とすることが好ましい。
ベルト本体の製造例を例示すると、溶剤可溶型のポリアミドイミド樹脂(東洋紡(株)製:バイロマックスHR16NNなど)又はポリイミド樹脂(宇部興産製ユーワニスSなど)に、導電剤としてカーボンブラックを樹脂成分100重量部あたり、15〜35重量部添加し、混合物を分散して得られる塗液を、金属製金型の外面に塗布した後、焼成を行ってポリアミドイミド樹脂又はポリイミド樹脂のベルト本体を製造する。次にこのベルト本体を、円筒型金型に挿入して巻き付けた状態で、又は、一旦成形パイプから取り外して別の2軸ロールに張架した状態で、所定の幅に設定した一対の刃を差し込み、ベルトを1回転させることで、所望の幅を有するベルト本体を製造することができる。
【0028】
<ガイド部材>
本実施形態において、画像形成装置用ベルトには、ベルト本体に蛇行防止用のガイド部材が固定されている。
ベルト本体がロールに張架されて、ロール軸方向へ移動しようとする寄り力が発生すると、その寄り力に抗して発生する同じ強度の反力(応力)がガイド部材に直接かかることとなる。この応力をガイド部材自身である程度分散吸収することができるという観点から、ガイド部材は、デュロメータ硬さがA60〜A90の範囲内の弾性部材であることが好ましく、デュロメータ硬さがA70〜A90の範囲内の弾性部材であることが特に好ましい。デュロメータ硬さが上記の範囲内であると、ガイド部材が支持ロールに乗り上げたり、ベルト本体がベルト支持ロールに追従しなくなってしまうことがない。デュロメータ硬さは、JIS K6253(1997)に準拠して、ガイド部材を6mmの厚みとして、切れ目のない部分で、タイプAデュロメーターを用いて測定する。
【0029】
上記のようなデュロメータ硬さを有する弾性部材の材質としては、ポリウレタン樹脂、ネオプレンゴム、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、ポリエステルエラストマー、クロロプレンゴム、ニトリルゴム等の適度な硬度を有する弾性体等が使用できる。これらの中でも、電気絶縁性、耐湿、耐溶剤、耐オゾン及び耐熱性、耐磨耗性を考慮すると、特にポリウレタンゴムやシリコンゴムが好適に用いられる。
【0030】
前記ガイド部材の断面形状は、ベルトの使用条件等により適宜定めることができるが、蛇行防止効果を十分に得るためには、断面形状を略矩形とすることが好ましく、矩形とすることがより好ましい。既述のように、ガイド部材の幅は蛇行防止効果、耐久性等の点から、通常1〜10mmが好ましく、特に4〜7mmが好ましい。厚みは、特に制限されないが、蛇行防止効果や耐久性等の観点から、通常0.5〜5mmが好ましく、特に1〜2mmが好ましい。
【0031】
<画像形成用のベルトの作製>
本実施形態のベルトの作製方法について説明する。
ベルト本体の作製は、上述したように、例えば、円筒体の外面に、溶剤と、溶剤可溶型樹脂と、必要に応じて導電剤等とを混合した合成樹脂塗布液を塗布して乾燥し、加熱焼成した後、樹脂被膜を円筒体から剥離する等、公知の方法により作製することができる。
【0032】
ベルトの作製は、シート状のベルト本体とガイド部材とを接着し、その後ベルト本体の端部間を接着して環状のベルトを作製してもよいし、ベルト本体を環状に形成した後にガイド部材を接着してベルトを作製してもよい。ガイド部材は、ベルト本体の片方の側縁に沿って設けるのみでもよいが、さらなる蛇行防止効果、耐久性及び補強効果等の点から、広幅のベルト本体の場合には、その両方の側縁に沿って設けることがより好ましい。ガイド部材のベルト本体への接着位置(側縁からの距離)は、ベルトの用途、機能、ベルトを用いる装置等に応じて適宜設定される。ガイド部材は、ベルト本体の端部に沿って接着してもよく、端部からベルト本体の中央側に適宜入った位置に固定してもよい。
【0033】
図1では、ベルト1は、ベルト本体2の内側面にガイド部材3が接着されており、ガイド部材3には、切れ目4が設けられている。
ベルト本体にガイド部材を接着するためには、弾性接着剤を含有する感熱性接着シートを使用することができる。
図2(a)に示すように、ガイド部材13,13の切れ目14はそのままの状態でもよく、図2(b)に示すように、ガイド部材15,15の切れ目に別の被検知部17を固定してもよい。
【0034】
(ベルト張架装置)
本実施態様のベルト張架装置は、画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えることを特徴とする。各ロールにはベルトのガイド部材を案内する溝を設けてもよい。また、各ロールの両側端面が中心軸に対して垂直な平面であり、このロール両側の端面外周でガイド部材を規制してもよい。
本実施形態の画像形成用ベルトは、後述する画像形成装置において、複数のロールにより周回可能に支持して使用することができる。ロールの数は2以上であり、2〜4であることが好ましい。
画像形成装置用ベルトの外周面は、トナー像が転写される用紙を保持する用紙保持面、トナー像を転写する中間転写面、被接触部材を帯電させる帯電面、現像剤を保持する現像剤保持面等として機能することができる。画像形成装置用ベルトは、好ましくは合成樹脂製のベルト本体を有し、電子写真式複写機、レーザープリンター等における感光装置、中間転写装置、転写分離装置、用紙搬送装置、帯電装置、定着装置、現像装置等に好適に使用することができる。ここで、ベルト本体は、ベルトの用途、機能等に応じて、材質、形状、大きさ等を適宜設定することができる。
【0035】
(画像形成装置)
本実施形態の画像形成装置は、本実施形態のベルトを用いた画像形成装置であれば特に限定されるものではなく、該ベルトは、例えば、感光用、中間転写用、転写分離用、用紙搬送用、帯電用、定着用、現像用のいずれの用途にも使用することができる。該画像形成装置の態様としては、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置や、感光体ドラム等の像保持体上に保持されたトナー像を中間転写ベルトの同じ位置に順次1次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた保持体を中間転写体上に直列に配置し、複数のトナー像を同じ用紙に順次重ね合わせるように転写する、タンデム型カラー画像形成装置等が挙げられる。
【0036】
以下に、本実施態様の画像形成装置の一例として、一次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。図4は、本実施態様のベルトを中間転写ベルトとして備えた画像形成装置を示す概略図である。
図4に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスロール103、被転写体である用紙を供給するトレイ104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、バックアップロール122、導電性ロール125、電極ロール126、クリーニングブレード131、用紙141、ピックアップロール142、並びにフィードロール143を備えてなり、中間転写ベルト102として本実施形態のベルトが用いられる。
中間転写ベルト102の内側面に備えられたガイド部材は、ベルト支持ロール121、123及び124の側縁部に当接するように位置するため、ベルト走行時、中間転写ベルト102はガイド部材に案内され、中間転写ベルト102はベルト走行時の蛇行を起こさない。
【0037】
図4に示す画像形成装置において、感光体ドラム101は矢印F方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム101にレーザー書込み装置などの画像書き込み手段により第一色(例えば、BK)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置105によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転で導電性ロール125が配置された一次転写部に到り、導電性ロール125からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写ベルト102に吸着させつつ中間転写ベルト102の矢印G方向の回転で一次転写される。導電性ロール125は、図4に示したように感光体ドラム101の直下に配置していても、感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置させてもよい。
【0038】
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、ベルトに設けられた被検知部を図3に例示するような検出部で検出することにより、中間転写ベルト102の同じ位置に重ね合わせて、多重トナー像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0039】
多重トナー像を中間転写ベルト102の同じ位置に重ね合わせるために、中間転写ベルトのガイド部材の切れ目に配置したアルミニウム製反射板等の被検知部を基準マークとして光学的に検出することができる。図3に示したように、この光学的な検出部30には、発光手段33である発光素子と、この発光素子から発光された光の反射量に応じて電圧を出力する受光手段35である受光素子とを組み合わせた検出装置をベルトの周方向に垂直に設けることができる。
カーボンブラックを配合したベルト本体又はガイド部材に光反射部材を組み合わせた場合、光反射量は被検知部の表面で急激に増大し、受光素子の検出電圧を階段状に増加させ、ベルト本体又はガイド部材に戻ると、また階段状に低下する。
光反射量に応じた電圧変化は制御部(不図示)に出力され、この被検知部の検出タイミングに同期させて中間転写ベルトの位置を検知して多重トナー像の位置あわせを行うことができる。
【0040】
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の回転でバイアスロール103が設置された二次転写部に至る。二次転写部は、中間転写ベルト102のトナー像が保持された表面側に設置されたバイアスロール103と該中間転写ベルト102の裏側からバイアスロール103に対向するごとく配置されたバックアップロール122及びこのバックアップロール122に圧接して回転する電極ロール126から構成される。
【0041】
用紙141は、トレイ104に収容された用紙束からピックアップロール142で一枚ずつ取り出され、フィードロール143で二次転写部の中間転写ベルト102とバイアスロール103との間に所定のタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスロール103及びバックアップロール122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に保持されたトナー像が転写される。
【0042】
トナー像が転写された用紙は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙への転写の終了した中間転写ベルト102は、二次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール103は、ポリウレタン等からなるクリーニングブレード131が常時当接するごとく取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0043】
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して用紙141を定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記二次転写部では、バイアスロール103と中間転写ベルト102を介して対向配置したバックアップロール122に圧接した電極ロール126にトナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで該トナー像を用紙に静電反発で転写する。
以上のようにして、単色又は多色の画像を形成することができる。
【0044】
次に、本実施形態の画像形成装置の他の一例を示す。図5は、本実施形態のベルトを用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置を示す概略図である。
図5に示す画像形成装置は、ユニットY、M、C、BKと、用紙搬送ベルト206と、転写ロール207Y、207M、207C、207BKと、用紙搬送ロール208と、定着器209とを備えており、用紙搬送ベルト206として、本実施形態のベルトを用いたものである。
用紙搬送ベルト206の内周側に備えられたガイド部材(不図示)は、ベルト支持ロール210、211、212及び213の側縁部に当接するように位置するため、ベルト走行時、用紙搬送ベルト206はベルト部材により案内される。用紙搬送ベルト206は、ガイド部材が、ベルト支持ロール210等に形成された案内溝に嵌合して走行することにより、ベルト走行時に蛇行する問題を起こさない。
【0045】
ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能にそれぞれ感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、帯電ロール202Y、202M、202C、202BKと、露光器203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラムクリーナー205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
【0046】
ユニットY、M、C、BKは、用紙搬送ベルト206に対して4つ並列に、ユニットBK、C、M、Yの順に配置されているが、ユニットBK、Y、C、Mの配列順等は、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定することができる。
【0047】
用紙搬送ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転可能になっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。用紙搬送ベルト206には、ベルト用クリーニング装置214が備えられている。
【0048】
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206の内側であって、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、用紙搬送ベルト206を介してトナー画像を用紙(被転写体)216に転写する転写領域(ニップ部)を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、図6のように感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、直下からずれた位置に配置してもよい。
【0049】
定着器209は、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域(ニップ部)を通過した後に搬送できるように配置されている。
【0050】
用紙搬送ロール208により、用紙216は用紙搬送ベルト206に搬送される。
【0051】
図5に示す画像形成装置において、ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動して帯電ロール202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を所定の極性と電位に一様に帯電させる。表面が一様に帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
【0052】
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
【0053】
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと用紙搬送ベルト206との転写領域(ニップ部)を通過すると同時に、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着して転写領域(ニップ部)まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写バイアスによって形成される電界により、用紙216の表面に順次転写される。
【0054】
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラムクリーナー205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の転写サイクルに供される。
【0055】
以上の転写サイクルは、ユニットC、M及びYでも同様に行われる。この際に各ユニットで形成される各トナー像を、同じ用紙に順次重ね合わせる。用紙搬送ベルト206に固定されたガイド部材の切れ目に固定された被検知部を光学的に検出することにより、各ユニットの転写部を通過させる搬送ベルトに吸着させた用紙の位置制御を行うことができる。
【0056】
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された用紙216は、さらに定着器209に搬送され、定着が行われる。
以上により用紙上に所望の画像が形成される。
【0057】
さらに、本実施形態の画像形成装置の他の一例を示す。図6は、本実施形態のベルトを中間転写ベルトとして備えたタンデム式の画像形成装置の要部を説明する模試図である。
具体的には、感光体79表面を均一に帯電する帯電ロール83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する一次転写ロール80、感光体79に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリ−ナー84(クリーニング装置)、被転写材上のトナー像を定着する定着ロール72等必要に応じて公知の方法で任意に備えることができる。感光体79と一次転写ロール80は、図7のように感光体直上に配置していても、感光体直上からずれた位置に配置していてもよい。そして、この中間転写ベルト86として本実施形態のベルトを備えることで、上述の構成のようなタンデム式の画像形成装置においても、高品質の転写画質を安定して得ることができる。
【0058】
さらに、図6に示す画像形成装置の構成について説明する。図6に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、バックアップロール73、テンションロール74、二次転写ロール75、用紙経路76、用紙トレイ77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの一次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86等を主用な構成部材として含んでなる。
【0059】
まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された一次転写ロール80、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射することができるレーザー発生装置78が設けられている。
【0060】
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内においてほぼ水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と一次転写ロール80とのニップ部を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、バックアップロール73、テンションロール74、及び駆動ロール81により張架されている。なお、4つの一次転写ロールはバックアップロール73とテンションロール74との間に位置する。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナー82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
【0061】
また、中間転写ベルト86を介してバックアップロール73の反対側には用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための二次転写ロール75が、バックアップロール73に対して圧接するように設けられている。
【0062】
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする用紙トレイ77が設けられ、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して二次転写部を構成するバックアップロール73と二次転写ロール75との圧接部を通過するように用紙を供給することができる。この圧接部を通過した記録用紙はさらに1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送可能であり、最終的に画像形成装置外へと排出することができる。
【0063】
次に図6の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行われ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を一様に帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、一次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印C方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
【0064】
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、二次転写部に運ばれ二次転写ロール75により、用紙トレイ77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。同じ記録用紙上に各色のトナー像を順次重ね合わせるために、同じ用紙をバックアップロール73と二次転写ロール75との圧接部を往復させる。ベルト位置の制御は、ガイド部材に設けた被検知部の検出により行う。
各色のトナー像が転写された記録用紙は、さらに定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
【実施例】
【0065】
以下、実施例により本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれら実施例における形態に限定されるものではない。
(ベルト本体の作製)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のN-メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行い、分散液(A)を得た。
得られた分散液(A)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが27.8質量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
【0066】
予め離型剤を焼き付けた外径366mm、長さ600mm、肉厚6mmの円筒形のアルミ製円筒状基材を成形用芯体とし、この芯体を100rpmで回転させながら、前記ポリイミド前駆体溶液を芯体外周面にディスペンサーとスクレイパーを速度150min/minで移動させながら、塗布長400mm、厚み0.5mmで塗布した後、5rpmで回転させながら、140℃で30分間加熱乾燥し、常温に冷却後、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。その後、円筒成型管の温度が室温(25℃)にまで冷えたところで、円筒成型管よりポリイミド皮膜を剥離した。得られたポリイミド皮膜を369mmの幅で切断し外径366mm、厚さベルト本体1を得た。
【0067】
(ガイド部材1の作製)
ガイド部材1として、JIS硬度70度の透明な熱硬化性ポリウレタンシート(タイガースポリマー(株)タイプレンTR−100−70)を短冊状に切断した。断面形状は、厚さ2.0mm、幅3.0mmであった。
【0068】
(ガイド部材2の作製)
また、別途白色顔料としてチタンホワイトを練り込んだ熱硬化性ポリウレタンシートを製作して、同形状の短冊状に切断した。
【0069】
(ガイド部材3の作製)
また、別途黒色顔料としてカーボンブラックを配合した熱硬化性ポリウレタンシートを製作して、同形状の短冊状に切断した。
【0070】
(ガイド部材のベルト本体への接着と切れ目の形成)
前記のガイド部材に弾性接着剤としてセメダイン(株)製のアクリル変性シリコンポリマーを主成分とするスーパ−XNo.8008を20μmの厚さで塗布して、ついで、前記ポリアミドイミド樹脂ベルト本体1の内側面の片側の側縁に沿って配置して、0.03Mpaの圧力で加圧して、図1に示すような矩形の切れ目を有するガイド部材を備えたベルトを製作した。切れ目の周方向の長さは、2.0mmであった。
【0071】
(光反射部材の作製)
<光反射部材A>
PETフィルム表面にAlを蒸着し、PETフィルム他方の面にシリコン系粘着剤を塗布した総厚5μm、50mm四方のシートを光反射部材Aとした。この光反射部材Aから幅3.0mmで長さが2.0ミリの被検知部を切り出した。
【0072】
(評価)
ベルト本体に固定したガイド部材の切れ目に被検知部材を設けた画像形成装置用ベルトを富士ゼロックス(株)Docu Centre−II C6500の改造機を用いて試験して、被検知部材の汚れと摩耗を目視で判定した。なお、被検知部の初期検出電圧は、被検知部で4.5Vであった。経時試験後に、3.0V以上を可、4.0V以上を良とした。またベルト1回転を1サイクルとし、最長500K(500×103)サイクルまで実施した。
【0073】
(実施例1)
<ベルト1の作製>
上記の環状のベルト本体1の内側面の片方の側縁に沿って、上記の白色のガイド部材2を接着して、画像形成装置用ベルト1を作製した。図2(a)の部分拡大図に示したように、2mmの長さの切れ目14では、ベルト本体が露出して黒色であった。
【0074】
(実施例2)
<ベルト2の作製>
上記のベルト本体1の内側面の片方の側縁に沿って、上記の黒色のガイド部材3を接着して、画像形成装置用ベルト2を作製した。切れ目には、光反射部材Aを貼り付けた。図2(b)の部分拡大図に示したように、2mmの長さの切れ目に、光反射部材17が固定された。なお、ベルト本体1の内側面に先に光反射部材Aを貼り付けた後に、ガイド部材を接着してもよい。
【0075】
(実施例3)
<ベルト3の作製>
上記のベルト本体1の内側面の片方の側縁に沿って、上記の透明のガイド部材1を接着して、画像形成装置用ベルト3を作製した。切れ目には、光反射部材Aを貼り付けた。図2(b)の部分拡大図に示したように、2mmの長さの切れ目に、光反射部材17が固定された。
【0076】
<評価結果>
上記の画像形成装置用ベルト1〜3を500Kまで評価したところ、いずれも被検知部の摩耗や汚れは認められなかった。ベルトの運転にはなんら問題なく、検出部の検出電圧も4.45Vで良であった。
【0077】
<評価結果>
この画像形成用ベルトを評価したところ、500,000サイクルまで被検知部及びベルト本体に摩耗や汚れは発生しなかった。また検出器による被検知部の検出電圧は初期の3.80Vに対し、3.78Vで良であった。
【0078】
(比較例1)
<比較ベルト1の作製>
画像形成装置用ベルト1においてガイド部材に切れ目を設けない以外は全く同様にしてベルトを作製し、ベルト本体の外周面の片方の周縁部に、1つの光反射部材Aを貼り付けた。
【0079】
(比較例2)
<比較ベルト2の作製>
比較ベルト1で得られた画像形成装置用ベルトのベルト本体の内側面であって、ガイド部材よりも中心側寄りに、光反射部材Aを貼り付けた。
【0080】
(比較例3)
<比較ベルト3の作製>
比較ベルト1と同じく画像形成装置用ベルトにおいて、ガイド部材に切れ目を設けない以外は全く同様にしてベルトを作製し、得られたベルトのガイド部材の表面に、光反射部材Aを貼り付けた。
【0081】
<評価結果>
同じく500,000サイクルまで、比較ベルト1〜3について試験を行いその評価をした。比較ベルト1では、摩耗と汚れが認められた。比較ベルト2でも、比較ベルト3でも、やはり摩耗と汚れが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本実施形態の画像形成装置用ベルトの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1において矢印Aの方向からみた画像形成装置用ベルトの部分拡大斜視図である。
【図3】ベルトに設けた被検知部を光学的に検出する一例の概念的な断面図である。
【図4】本実施形態の画像形成用ベルトを中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図5】本実施形態の画像形成用ベルトを用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【図6】本実施形態の画像形成装置用のベルトを中間転写ベルトとして備えたタンデム式の画像形成装置の一例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0083】
1,10 画像形成装置用ベルト
2,12 ベルト本体
3,13,15 ガイド部材
4,14 切れ目
17 被検知部
30 検出部
33 発光手段
35 受光手段
71 トナーカートリッジ
72 定着ロール
73 バックアップロール
74 テンションロール
75 二次転写ロール
76 用紙経路
77 用紙トレイ
78 レーザー発生装置(露光装置)
79 感光体
80 一次転写ロール
81 駆動ロール
82 転写クリーナー
83 帯電ロール(帯電装置)
84 感光体クリーナー(クリーニング装置)
85 現像器(現像装置)
86 中間転写ベルト
101 感光体ドラム
102 中間転写ベルト
103 バイアスロール
104 トレイ
105 BK(ブラック)トナーによる現像装置
106 Y(イエロー)トナーによる現像装置
107 M(マゼンタ)トナーによる現像装置
108 C(シアン)トナーによる現像装置
109 ベルトクリーナー
113 剥離爪
121、123、124 ベルト支持ロール
122 バックアップロール
125 導電性ロール
126 電極ロール
131 クリーニングブレード
141 用紙
142 ピックアップロール
143 フィールドロール
201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム
202Y、202M、202C、202BK 帯電ロール
203Y、203M、203C、203BK 露光器
204Y、204M、204C、204BK 現像装置
205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラムクリーナー
206 用紙搬送ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール
208 用紙搬送ロール
209 定着器
210、211、212、213 ベルト支持ロール
214 ベルト用クリーニング装置
216 用紙(被転写体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト本体と、
該ベルト本体の少なくとも片側の側縁に沿って該ベルト本体に固定されたガイド部材と、
該ガイド部材の切れ目に設けられた位置検出用の被検知部と、を有することを特徴とする
画像形成装置用ベルト。
【請求項2】
該ガイド部材表面の反射率と該被検知部表面の反射率とが異なることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルトと、該画像形成装置用ベルトを内側から張架して支持する複数のロールとを備えることを特徴とするベルト張架装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルトを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−244743(P2009−244743A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93325(P2008−93325)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】