説明

画像形成装置

【課題】 ログ記憶手段に記憶されたログ情報から各ジョブのキー操作情報を分離する手間を軽減して障害解析を効率良く進めることができるようにする。
【解決手段】 システムモニタ/マネージャ22のログ情報書込処理部221では、操作パネル121でキー操作がなされた場合、該キー操作に対応してパネルコントローラ21から入力するキーコード(キー情報)、該キー操作に基づき実行されるジョブの動作状態、該実行されたジョブ固有のジョブ識別タグ、及びTS付与部222により付与されるタイムスタンプをひとまとめにしてキー操作情報としてログ記憶部24に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブ及び装置各部の動作状態を検知し、該検知された動作状態をログ情報として記憶するログ記憶手段を有する画像形成装置に係わり、詳しくは、ログ記憶手段に記憶されたログ情報から障害を解析する際の作業効率向上、並びにログ記憶手段の限られた記録容量の有効活用に適したログ情報書込処理方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置等の電子機器の保守運用方法として、当該電子機器において、キー操作やジョブのログなどの履歴をログ情報としてメモリ(ログ記憶手段)に保持しておき、例えば、障害発生時に該ログ情報を読み出して障害原因の解析を行う手法が普及している。
【0003】
この種の電子機器の保守運用に係わる従来例として、下記特許文献1には、画像出力装置の操作パネルから入力された一連の手続き(キー押下情報)を外部制御システムに記録、あるいは内部ログ保持機能に保持させ、ソフトウェアに対する不具合解析の効率化を図る方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複写機等の操作情報・動作中の表示内容・各動作部の状態情報を取得して逐次更新しながら保存し、異常が発生したと判断された時に、保存情報の記録更新を禁止して、異常状態になった時の状態を把握し、異常原因を把握してその対処を行う方法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−207399号公報
【特許文献2】特開2001−290396号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、外部制御システムに記録、あるいは内部ログ保持機能に保持させるキー押下情報は、ジョブとの関連付けが明確でなく、該キー押下情報を元に不具合解析を行う際、どのジョブのキー操作なのかを分離するために手間がかかり、不具合発生原因の特定に多大な時間を要するという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2記載の技術では、障害の発生後、異常と判断された時に記録更新を禁止することにより異常時の記録の保護を図ることはできるが、それ以前の記録まで保護できるかどうかはログ記憶手段の記憶容量に依存することになる。
【0007】
周知のように、画像形成装置等の機器では、ログ記憶手段は大きな記憶容量のものを搭載できないため、リングバッファなどを用い、限られた記憶容量で繰り返し記録を保持する方法がとられる。
【0008】
このように限られた記憶容量しか持たないログ保持手段を登載した機器において、特許文献2に記載されるように、障害の発生後、異常と判断された時に記録更新を禁止するだけでは、該異常時の記録を保護することはできたとしても、それ以前の異常状態に至らないが保守上どうしても必要とされる状態の記録まで保護できる確証はなく、保守上必要な状態の解析が不充分となり、保守運用に支障を来たすという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解消し、ログ記憶手段に記憶されたログ情報から各ジョブのキー操作情報を分離する手間を軽減して障害解析を効率良く進めることができると共に、ログ記憶手段の記録容量が限られるという制約の中で、保守上必要な状態のログ情報を確実に保持でき、該ログ情報を解析して保守上必要な状態を確実に特定することにより効率の良い保守運用を実現可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数のキーを備える操作パネルと、前記操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブ及び装置各部の動作状態を検知する検知手段と、前記動作状態をログ情報として記憶するログ記憶手段とを有する画像形成装置において、時刻を計時する計時手段と、前記操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブの種別を特定して該ジョブ種別に対応する固有のジョブ識別タグを生成するタグ生成手段と、前記操作パネルで操作されたキーの種別、該キー操作時の計時時刻及び前記タグ生成手段により生成された前記ジョブ識別タグを当該キー操作に対応するキー押下情報として前記ログ記憶手段に書き込むキー押下情報書込手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、外部処理装置から前記ジョブ識別タグを含む検索要求を受付ける受付手段と、前記検索要求に基づき、該検索要求に含まれる前記ジョブ識別タグに一致する識別タグを有するキー操作情報を前記ログ記憶手段から抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記キー操作情報を前記検索要求に対する検索結果として前記外部処理装置に送信する検索結果送信手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記ログ記憶手段は、複数のジョブ種別に各々対応するログ保持領域を有し、前記キー操作情報書込手段は、前記キー種別、計時時刻及び前記ジョブ識別タグから成る前記キー押下情報を、当該ジョブ種別に対応するログ保持領域に書き込む手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記請求項3記載の発明において、外部処理装置から前記ジョブ識別タグを含む検索要求を受付ける受付手段と、前記検索要求に基づき、該検索要求に含まれる前記ジョブ識別タグによって識別されるジョブ種別に対応する前記ログ保持領域を特定し、該ログ保持領域からキー操作情報を読み出す読出手段と、前記読出手段により読み出された前記キー操作情報を前記検索要求に対する検索結果として前記外部処理装置に送信する検索結果送信手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、複数のキーを備える操作パネルと、前記操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブ及び装置各部の動作状態を検知する検知手段と、前記動作状態をログ情報として記憶するログ記憶手段とを有する画像形成装置において、前記ログ情報の記録開始条件を設定する記録開始条件設定手段と、前記記録開始条件設定手段により設定された記録開始条件に従って前記ログ記憶手段に対するログ情報の記録を開始するログ情報書込手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、原稿を読み取る読取手段と、前記読取手段により前記原稿から読み取られた画像情報を処理する修理手段とを更に具備し、前記記録開始条件設定手段は、前記記録開始条件として、ログ情報の記録開始時が前記読取手段に対する前記原稿のセット時であることを設定し、前記ログ情報書込手段は、前記原稿のセット時から前記ログ情報の記録を開始することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、前記記録開始条件設定手段は、前記記録開始条件として、ログ情報の記録開始時がジョブの正常終了時であることを設定し、前記ログ情報書込手段は、実行中のジョブの正常終了時から前記ログ情報の記録を開始することを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、前記記録開始条件設定手段は、前記記録開始条件として、ログ情報を記憶する期間または記憶を除外する期間を設定し、前記ログ情報書込手段は、前記ログ情報記憶期間中またはログ情報記憶除外期間中、前記ログ情報の記録を実行または停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、操作パネルで操作されたキーの種別、該キー操作時の計時時刻及びタグ生成手段により生成されたジョブ識別タグを当該キー操作に対応するキー押下情報としてログ記憶手段に書き込むキー押下情報書込手段を備えるため、外部処理装置から、所望のジョブのジョブ識別タグを検索キーとしてログ記憶手段を検索することにより、容易にジョブ毎のキー操作履歴を分離して解析することができ、ログ記憶手段に保持されたキー押下情報から各ジョブのキー操作を分離する手間を軽減して障害解析を効率良く進めることができる。
【0019】
望ましくは、本発明において、ログ記憶手段は、複数のジョブ種別に各々対応するログ保持領域を有し、キー操作情報書込手段は、キー種別、計時時刻及びジョブ識別タグから成るキー押下情報を、当該ジョブ種別に対応するログ保持領域に書き込む構成とすれば良く、かかる構成によれば、外部処理装置から所望のジョブのジョブ識別タグを検索キーとしてログ記憶手段を検索する際、当該ジョブのキー操作情報を当該ジョブに対応する保持領域から直接抽出できるため、読出し後のキー操作情報のジョブ種別毎のソートが不要となり、外部処理装置からログ記憶手段にアクセスして該ログ記憶手段からキー操作情報を抽出しジョブ単位に不具合発生原因を特定する際、ログ記憶手段に対するアクセス量がより少なくて済み、不具合発生原因を特定する作業を更に効率良く進めることが可能になる。
【0020】
また、本発明によれば、ログ情報の記録開始条件を記録開始条件設定手段で設定し、ログ情報書込手段が、設定されている上記記録開始条件に従ってログ記憶手段に対するログ情報の記録を開始するため、どのような条件の保守が必要かに応じて該保守にマッチした記憶開始条件を設定しておくことで、ログ記憶手段の記録容量が限られるという制約の中で、保守上必要な状態のログ情報を確実に保持でき、該ログ情報を解析して保守上必要な状態を確実に特定することにより効率の良い保守運用を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【0023】
図1に示すように、画像形成装置10は、外部システムと接続される通信回線とのインタフェース機能を有する通信インタフェース(I/F)部11、複数のキーを有する操作パネルと液晶表示部等から成り、操作パネルのキー押下により後述する各種機能〔コピー、プリンタ、スキャナ、FAX〕の実行指示等を入力すると共に、操作ガイダンスや実行機能の動作状態等の各種情報を液晶表示部に表示する操作表示部12、原稿上の画像を読み取る読取部(スキャナ)13、読取部13により読み取られた画像データ、PC等から入力される画像データ、FAX受信した画像データ等を記録媒体に印刷する画像形成処理を行う画像形成部14、印刷する前の画像データ等の各種情報を記憶する記憶部15、読取部13で原稿から読み取られた画像データを画像形成部14で印刷する複写(コピー)機能、通信I/F部11を介して外部のPC等から入力される画像データを画像形成部14で印刷する印刷(プリンタ)機能、読取部13で原稿から読み取られた画像データを通信I/F部11を介して相手ファクシミリ装置に送信すると共に、相手ファクシミリ装置から通信I/F部11を介して受信される画像データを画像形成部14で印刷するファクシミリ(FAX)伝送機能機能等の各種機能に係わる制御を行なう他、装置全体の制御を行なう制御部16を備えて構成される。
【0024】
制御部16には、状態検知部161と状態解析部162が備わる。
【0025】
状態検知部161は、例えば、上述したコピー、プリンタ、スキャナ、FAX等の各機能の動作時に、通信I/F部11、操作表示部12、読取部13、画像形成部14等の動作状態を検知する処理を行う。
【0026】
この状態検知部161の検知処理には、上述した各機能(コピー、プリンタ、スキャナ、FAX)を制御するソフトウェアジョブの動作状態の検知や、例えば、画像形成部14内の各部に設置されるセンサ等を介して種々の消耗品例えばトナーカードリッジ、感光体、定着器、中間転写ベルト等の状態を検知する処理も含まれる。
【0027】
状態解析部162は、状態検知部161により検知された装置各部の動作状態、各機能毎のソフトウェアジョブの動作状態を元に装置にどのジョブの実行中にどのような異常が発生したか等の解析を行う。
【0028】
このように、画像形成装置10は、コピー、プリンタ、スキャナ、FAX等の各機能を1台に集約した複合機で実現され、操作表示部12の操作パネル上に配置される複数のキーのうちの各機能に対応したキーを押下すると、制御部16では、該押下したキーに対応する機能のソフトウェアジョブが起動されて該当する各ハードウェアの駆動制御がなされることによって上記複合機能が達成される。
【0029】
上記複合機能を有する画像形成装置10の運用中、制御部16は、状態検知部161により検知される、操作パネル上の押下キー、該押下キーに対応して起動されるソフトウェアジョブ、該起動後のソフトウェアジョブにより駆動制御されるハードウェア各部の駆動状態等を取得し、これら取得した各情報を障害解析用のログ情報として後述するログ記憶部に記憶するログ情報記憶処理を行う。
【0030】
以下、本発明の画像形成装置10におけるログ情報記憶処理について、各実施例を挙げて詳しく説明する。
【実施例1】
【0031】
図2は、実施例1に係わる画像形成装置10の制御部16の機能構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、本実施例の画像形成装置10の制御部16は、上述したコピー、プリンタ、スキャナ、FAXの各機能に対応する機能キーを含む複数のキーを有する操作パネル121(操作表示部16を構成している)でのキー操作入力取込み等の制御を行なうパネルコントローラ21、状態検知部161での検知結果等を含むシステム全体の動作をモニタしつつ、各機能に対応するソフトウェアジョブあるいはハードウェアの統合管理を行なうシステムモニタ/マネージャ22、該システムモニタ/マネージャ22のモニタ対象(状態検知部161を通じてモニタされる)であるコピー、プリンタ、スキャナ、FAXの各機能にそれぞれ対応するソフトウェアジョブ(コピージョブ231、プリンタジョブ232、スキャナジョブ233、FAXジョブ234)群から成るアプリケーションジョブ23、リングバッファ等から成るログ情報保持媒体としてのログ記憶部24、ログ記憶部24に保持されるログ情報を外部システム30に伝送するための通信インタフェース機能を司るI/F部25を備えて構成される。
【0033】
また、システムモニタ/マネージャ22には、状態検知部161を通じてモニタされる、操作パネル121上で押下されたキー、該押下キーに対応して起動されるソフトウェアジョブ(231,232,233,234)及び該起動後のソフトウェアジョブ(231,232,233,234)により駆動されるハードウェアの動作状態等をログ情報としてログ記憶部24に書き込むログ情報書込処理部221、時刻を計時する装置内共通の計時回路(タイマ)17から計時時刻を取得してログ記憶部24に保持するログ情報に該計時時刻を示すタイムスタンプ(TS)を付与するTS付与部222が設けられる。
【0034】
図3は、システムモニタ/マネージャ22のログ情報書込処理部221によるキー操作情報書込処理動作を示すフローチャートである。
【0035】
図3において、ユーザが操作パネル121上でキーを操作すると(ステップS101)、パネルコントローラ21が該操作キーに対応するキーコードをシステムモニタ/マネージャ22に渡し、システムモニタ/マネージャ22が、パネルコントローラ22から受取ったキーコードに対応するアプリケーションジョブ23(コピージョブ231、プリンタジョブ232、スキャナジョブ233、FAXジョブ234のいずれか)にキーコードを送出し、これにより当該アプリケーションジョブ23が当該キーコードに対応するジョブを実行する。
【0036】
この処理と同時に、ログ情報書込処理部221は、上記キー操作に対応してパネルコントローラ21から渡されるキーコードを取得し(ステップS102)、次いで、該キーコードに対応するアプリケーションジョブ23の動作状態を該アプリケーションジョブ23から取得する(ステップS103)と共に、当該アプリケーションジョブ23のジョブの種別を特定して該ジョブ種別に対応する固有のジョブ識別タグを生成する(ステップS104)。
【0037】
このジョブ識別タグの生成は、例えば、ジョブの種別に応じて予め装置内に登録されているジョブ識別タグを上記ステップS102でキーコードから認識したジョブの種別に対応して読み出すといった方法で生成することができる。
【0038】
更に、ログ情報書込処理部221は、時刻を計時するタイマ17から当該キー操作発生時点の計時時刻を取得(ステップS105)してTS付与部222によりタイムスタンプ(TS)を生成する。
【0039】
引き続き、ログ情報書込処理部221は、ステップS102で取得したキーコード(キー情報)、ステップS103で取得したジョブの動作状態、ステップS104で生成したジョブ識別タグ、及びステップS105で生成したタイムスタンプをひとまとめにしてキー操作情報としてログ記憶部24に書き込む処理を行う(ステップS106)。
【0040】
ログ情報書込処理部221は、操作パネル121でキーが押下される毎に上述した一連の書込み処理を実施し、キー操作が発生した時間順に当該操作キーに対応するキー操作情報(キー情報、ジョブ識別タグ、タイムスタンプ、状態情報等から成る)をログ記録部24に書き込む処理を繰り返し実施する。
【0041】
図4は、実施例1に係わるログ情報書込処理部221によりログ記憶部24に書き込まれるキー操作情報240の記憶形態を示す図である。
【0042】
図4に示すように、本実施例において、ログ記憶部24には、ジョブ固有のジョブ識別タグ(JOB)と、タイムスタンプ(TS)と、キー種別及び動作状態とが1つのキー操作に対応するキー操作情報として1行毎にかつ各キーの押下順(キー操作発生順)に記憶されている。
【0043】
ここで、ジョブ識別タグに関しては、「CP」がコピージョブに、「PR」がプリンタジョブに、「SC」がスキャナジョブに、「FX」がFAXジョブに、各々対応している。
【0044】
従って、この例のログ情報記憶部24には、1行目のログ情報としては、コピー(=CP)に関する処理が2004年2月3日15時00分10秒に、どういう状態でなされたが記憶され、以下同様に、2,3,4,5の各行のログ情報についても、それぞれ、コピー(=CP),FAX(=FX),プリンタ(=PR),スキャナ(=SC)が、どの日時にどういう状態で行われたが記憶されている。
【0045】
さて、ログ情報書込処理部221でのログ情報書込み処理中(図3参照)、状態検知部161の検知結果に基づき状態解析部162によってシステムの不具合が発生したことが認識されると、システムモニタ/マネージャ22は、該ログ情報書込処理部221によるログ情報の書き込みを停止させる。
【0046】
システムの不具合が発生した場合、外部システム30では、I/F部25を通じてログ記憶部24にアクセスすることにより、当該不具合発生時点までにログ記憶部24に保持されたログ情報を取得することができる。
【0047】
この時、外部システム30では、ログ記憶部24に保持されたログ情報に対して、ジョブの種類を表すジョブ識別タグ(CP,PR,SC,FX)を検索キーとして入力することにより、該検索キーに対応するジョブ単位にログ情報(キー操作情報)を抽出し、時系列にソートすることによって、どのジョブのどういうキー操作の時にシステムの不具合が起こったかをトレースする(たどる)ことができる。
【0048】
例えば、ログ記憶部24に図4に例示するタグ情報241が保持されている場合、検索キーとして「CP」を入力すると、該「CP」という識別タグを有する1行目及び2行目のログ情報(キー操作情報)のみが抽出された時系列に並べられて表示され、他の識別タグ「PR」、「SC」及び「FX」を有する各行のキー操作情報は表示されないことにある。
【0049】
これにより、外部システム30における保守担当者は、今回の例では、検索キー「CP」に対応するジョブ(=コピー)に限定して不具合特定に専念できる。
【0050】
同様に、他のジョブについても当該各ジョブのジョブ識別タグ(「PR」、「SC」及び「FX」)を検索キーとして該当するジョブのキー操作情報を抽出し、かつ解析できる。
【0051】
なお、上述した、外部システム30におけるジョブ識別タグを検索キーとするログ記憶部24の検索処理を実現するためには、画像形成装置10側に、外部システム(外部処理装置)30からジョブ識別タグを含む検索要求を受付ける受付手段と、この検索要求に基づき、該検索要求に含まれるジョブ識別タグに一致する識別タグを有するキー操作情報をログ記憶部24から抽出する抽出手段と、該抽出手段により抽出されたキー操作情報を上記検索要求に対する検索結果として外部システム30に送信する検索結果送信手段を設ける必要がある。
【0052】
このように、本実施例では、ログ記憶部24に対して、操作されたキー情報、該キー操作時に実行されたジョブのジョブ識別タグ、及び操作時刻を示すタイムスタンプから成るログ情報(キー操作情報)が保持されるのに対応して、外部システム30から、所望のジョブのジョブ識別タグを検索キーとして当該ジョブに関するキー操作情報のみを抽出してソートすることにより極めて容易にジョブ毎のキー操作履歴を分離して解析することができ、ログ記憶部24に保持されたキー操作情報から各ジョブのキー操作情報を分離する手間を軽減して障害解析を効率良く進めることができる。
【実施例2】
【0053】
図5は、実施例2に係わる画像形成装置10の制御部16Aの機能構成を示すブロック図である。
【0054】
図5においては、実施例1に係わる制御部16の各部と実質的に同じ機能部には同一の符号を付している。
【0055】
実施例2に係わる画像形成装置10の制御部16Aは、実施例1における制御部16にはない構成として、ログ記憶部24Aが、各ジョブ種別(コピー、プリンタ、スキャナ、FAX)に各々対応するログ保持領域(CP用記憶領域241、PR用記憶領域242、SC用記憶領域243、FX用記憶領域244)に分割された構成を有する。
【0056】
また、本実施例では、上記構成のログ記憶部24Aに対して、ログ情報書込処理部221Aが、実施例1で述べた構成条件から成るログ情報(キー押下情報)をジョブの種類に応じて該当する各ジョブ毎のログ保持領域(241,242,243,244)に書き込むように処理する機能構成を有する。
【0057】
制御部16Aにおける上記以外の構成は、実施例1における制御部16と同等である。
【0058】
図6は、本実施例に係わる制御部16Aのログ情報書込処理部221Aによるキー操作情報書込処理動作を示すフローチャートである。
【0059】
なお、図3において、ステップS101〜S104までの処理動作は、実施例1におけるログ情報書込処理部221によるログ情報書込処理動作(図3参照)と同じである。
【0060】
すなわち、本実施例においても、ログ情報書込処理部221Aは、操作パネル121でキーが操作される(ステップS101YES)毎に、ステップS102で該操作されたキーのキーコード(キー情報)を取得し、ステップS103で上記操作キーに対応するジョブの動作状態を取得し、ステップS104で当該動作中のジョブのジョブ識別タグを生成し、更に、ステップS105で当該キー操作発生時点のタイムスタンプを生成する。
【0061】
次いで、ログ情報書込処理部221Aは、それまでに取得もしくは生成したキー情報、ジョブの動作状態、ジョブ識別タグ及びタイムスタンプを、ログ記憶部24Aの今回のキー操作により実行されたジョブに対応するログ記憶領域(241,242,243,244)に送出することにより、これら各情報を今回のキー操作に対応するキー操作情報として当該ログ記憶領域に書き込む(ステップS106a)。
【0062】
例えば、操作パネル121での操作キーが、コピージョブ231に対応するものであればこの時のキー操作情報をCP用記憶領域241に、プリンタジョブ232に対応するものであればこの時のキー操作情報をPR用記憶領域242に、スキャナジョブ233に対応するものであればこの時のキー操作情報をSC用記憶領域243に、FAXジョブ234に対応するものであればこの時のキー操作情報をFX用記憶領域244に、それぞれ、キー操作発生順に書き込む処理を繰り返し実施する。
【0063】
図7は、実施例2に係わるログ情報書込処理部221Aによりログ記憶部24Aに書き込まれるログ情報240Aの保持形態を示す図である。
【0064】
図7に示すように、本実施例においても、ログ記憶部24Aに対して、ジョブ固有の識別タグ(JOB)と、タイムスタンプ(TS)と、キー種別及び動作状態とが1つのキー操作に対応するキー操作情報として1行毎にかつ各キーの押下順(キー操作発生順)に書き込まれるのが基本であるが、特に、ジョブ識別タグ=「CP」を有するコピージョブ231に関連するキー操作情報はCP用記憶領域241にのみ書き込まれ、以下、同様に、ジョブ識別タグ=「PR」を有するプリンタジョブ232に関連するキー操作情報はPR用記憶領域242にのみ書き込まれ、ジョブ識別タグ=「SC」を有するスキャナジョブ233に関連するキー操作情報はSC用記憶領域243にのみ書き込まれ、ジョブ識別タグ=「FX」を有するFAXジョブ234に関連するキー操作情報はFX用記憶領域244にのみ書き込まれる。
【0065】
さて、ログ情報書込処理部221Aでのログ情報書込み処理中(図6参照)、状態検知部161の検知結果に基づき状態解析部162によってシステムの不具合が発生したことが認識されると、システムモニタ/マネージャ22Aは、該ログ情報書込処理部221Aによるログ情報の書き込みを停止させる。
【0066】
システムの不具合が発生した場合、外部システム30では、I/F部25を通じてログ記憶部24Aにアクセスすることにより、当該不具合発生時点までにログ記憶部24Aに保持されたログ情報を取得することができる。
【0067】
この時、外部システム30では、ログ記憶部24Aに保持されたログ情報に対して、ジョブの種類を表すジョブ識別タグ(CP,PR,SC,FX)を検索キーとして入力することにより、ログ記憶部24Aにおける各ジョブ用記憶領域241,242,243,244のうちの当該検索キーに対応する記憶領域からジョブ単位にログ情報(キー操作情報)を抽出し、どのジョブのどういうキー操作の時にシステムの不具合が起こったかをトレースする(たどる)ことができる。
【0068】
すなわち、本実施例では、ログ記憶部24Aは各ジョブ用の記憶領域に分かれていて該領域に該当するジョブのみのキー操作情報が時系列に書き込まれていくため、外部システム30では、不具合を解析しようとするジョブに対応するジョブ識別タグを検索キーとして入力することにより、該検索キー(ジョブ識別タグ)に対応するジョブ用記憶領域から該領域に時系列に書き込まれているジョブ単位のキー操作情報を直に抽出でき、実施例1のように、検索キーで抽出したキー操作情報を時系列にソートする処理が不要になる。
【0069】
つまり、本実施例の構成によれば、外部システム30からログ記憶部24にアクセスして該ログ記憶部24からキー操作情報を抽出しジョブ単位に不具合発生原因を特定する際に、ログ情報記憶部24に対するアクセス量がより少なくて済み、不具合発生原因を特定する作業を更に効率良く進めることが可能になる。
【0070】
なお、本実施例において、外部システム30におけるジョブ識別タグを検索キーとするログ記憶部24Aの検索処理を実現するためには、画像形成装置10側に、外部システム30(外部処理装置)からジョブ識別タグを含む検索要求を受付ける受付手段と、この検索要求に基づき、該検索要求に含まれるジョブ識別タグによって識別されるジョブ種別に対応するログ保持領域(241,242,243,244)を特定し、該ログ保持領域からキー操作情報を読み出す読出手段と、該読出手段により読み出されたキー操作情報を上記検索要求に対する検索結果として外部システム30に送信する検索結果送信手段とを設ける必要がある。
【実施例3】
【0071】
図8は、実施例3に係わる画像形成装置10の制御部16Bの機能構成を示すブロック図である。
【0072】
図8においては、実施例1に係わる制御部16の各部と実質的に同じ機能部には同一の符号を付している。
【0073】
実施例3に係わる画像形成装置10の制御部16Bと、実施例1における制御部16とは、システムモニタ/マネージャの構成が異なる。
【0074】
図8に示すように、実施例3に係わる画像形成装置10の制御部16Bにおいて、システムモニタ/マネージャ22Bには、ログ情報書込処理部221B、TS付与部222の他、ログ記憶部24に対するログ情報の書き込み(記憶)を開始する条件である開始トリガを任意に設定する開始トリガ設定部225が設けられる。
【0075】
開始トリガ設定部225での開始トリガの設定は、例えば、操作表部12からキー操作等によりログ情報の書込み開始条件を入力し、該条件を開始トリガとして所定のメモリ領域に記憶させることにより実現できる。
【0076】
ログ情報書込処理部221Bは、開始トリガ設定部225により設定された開始トリガに従ってログ記憶部24に対するログ情報の書込処理を開始させる処理機能を有する。
【0077】
実施例3において、開始トリガ設定部225では、読取部13の原稿読取位置に原稿がセットされた時点からログ情報を記録開始するという条件の開始トリガ(=原稿セット時)を設定する。
【0078】
図9は、実施例3に係わる画像形成装置10のログ情報書込み処理動作を示すフローチャートである。
【0079】
図9に示すように、本実施例の画像形成装置10では、例えば、電源投入後、制御部16B(図8参照)内のシステムモニタ/マネージャ22Bが、装置各部の初期化を行い(ステップS131)、所定の機能動作の実行待ち状態(アイドル状態)に移行させる(ステップS132)。
【0080】
アイドル状態において、システムモニタ/マネージャ22Bは、開始トリガ設定部225により設定されている開始トリガ(=原稿セット時)を認識したうえで、該開始トリガに合致する装置状態であるかどうかを確認するために、読取部13の所定位置に配置されている原稿検知センサの検知信号を状態検知部161を通じて監視することにより、読取部13に原稿がセットされたか否かをチェックする(ステップS133)。
【0081】
ここで、読取部13に原稿がセットされたことが検知された場合(ステップS133YES)、システムモニタ/マネージャ22Bは、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み開始の指示を送出する。
【0082】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み開始指示を受取ることにより、原稿セット時点からログ記憶部24に対するログ情報の書込みを開始する(ステップS134)。
【0083】
一方、システムモニタ/マネージャ22は、読取部13に原稿がセットされた後、操作パネル121でコピーキー、FAX送信キー等が操作されるのを受けて該当するジョブ(スキャナジョブ232、コピージョブ231、FAXジョブ234等)を起動してコピー動作、FAX送信動作等のジョブ動作を実行させる(ステップS135)。
【0084】
これにより、ログ情報書込処理部221Bは、ステップS134でのログ情報の書込み開始以降、ステップS135で実行されるジョブ動作に関連する各部(読取部13、画像形成部14等)の動作状態や該当する各ジョブの動作状態あるいは各ジョブからのメッセージ等を受け取り、受取った当該各情報をログ情報としてログ記憶部24に書き込む処理(ログ情報の発生順に時系列に)を続ける。
【0085】
当該ジョブが実行されている間、システムモニタ/マネージャ22Bは、状態解析部162からの通知情報に基づき障害が発生したかどうかをチェックする(ステップS136)。
【0086】
ここで、障害が発生していない場合(ステップS136NO)、次いで、システムモニタ/マネージャ22は、実行中の各ジョブの動作状態等に基づき当該ジョブが終了したか否かをチェックし(ステップS137)、ここで、ジョブが終了していない場合(ステップS137NO)は、ステップS135以降の処理を続行する。
【0087】
この間、障害が発生するか(ステップS136YES)、あるいは、ジョブが終了すると(ステップS137YES)、システムモニタ/マネージャ22Bは、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報の書込停止を指示し、ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込停止指示を受けることにより、ログ記憶部24に対するログ情報の書き込む処理を停止する(ステップS138)。
【0088】
上記一連の処理において、障害を検知(ステップS136YES)してログ情報の書込みを停止した後、それまでに書き込んだログ情報をI/F部25を介して外部システム30に送信する。これにより、外部システム30では、画像形成装置10のログ記憶部24から送られたログ情報を元に障害発生原因を特定する解析処理を行う。
【0089】
また、原稿の読取りを通じてコピーやFAXのジョブが正常に終了した場合、次に原稿がセットされたことをトリガとして、ログ記憶部24にログ情報を書き込む。その際、ログ情報は以前の原稿セット時に書き込んだログ情報に上書きされる。
【0090】
このように、本実施例では、開始トリガ設定部225により設定された“原稿セット時”をログ情報書込処理部221Bによるログ情報記憶開始トリガとしたため、原稿セットが必ず必要であるコピーや、FAXなどのジョブの一連の操作の開始時から正確に機器状態のログの記憶が行え、障害発生時の原因解析が迅速に行える。
【実施例4】
【0091】
実施例4に係わる画像形成装置10は、実施例3に係わる画像形成装置10と同等の制御部16B(図8参照)を有する。
【0092】
但し、実施例4において、開始トリガ設定部225では、ジョブが正常終了した時点からログ情報を記録開始するという条件の開始トリガ(=ジョブ正常終了時)を設定する。
【0093】
図10は、実施例4に係わる画像形成装置10のログ情報書込み処理動作を示すフローチャートである。
【0094】
図10に示すように、本実施例の画像形成装置10では、例えば、電源投入後、制御部16B(図8参照)内のシステムモニタ/マネージャ22Bが、装置各部の初期化を行い(ステップS151)、所定の機能動作の実行待ち状態(アイドル状態)に移行させる(ステップS152)。
【0095】
アイドル状態において、システムモニタ/マネージャ22Bは、開始トリガ設定部225により設定されている開始トリガ(=ジョブ正常終了時)を認識したうえで、当該開始トリガである「最初のジョブの正常終了」を検知する準備を行う。
【0096】
この間、操作パネル121上でキー操作があると、システムモニタ/マネージャ22Bは、該操作キーに対応するジョブ(例えば、プリンタジョブ232)を実行し(ステップS153)、該ジョブ(最初のジョブ)の実行経過を監視する(ステップS154)。
【0097】
そして、当該最初のジョブが終了すると(ステップS154YES)、開始トリガ(=ジョブ正常終了時)に合致する条件が整ったものと認識して、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み開始の指示を送出する。
【0098】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み開始指示を受取ることにより、最初のジョブの正常終了時点からログ記憶部24に対するログ情報の書込みを開始する(ステップS155)。
【0099】
この間、システムモニタ/マネージャ22Bは、操作パネル121で何等かのキーが操作されるのを受けて該操作キーに対応するジョブ(例えば、コピージョブ231)を実行する(ステップS156)。
【0100】
これにより、ログ情報書込処理部221Bは、ステップS155でのログ情報の書込み開始以降、ステップS156で実行されるジョブ(次のジョブ:ここでは、コピージョブ231)に関連する各部(読取部13、画像形成部14等)の動作状態や該当する各ジョブの動作状態あるいは各ジョブからのメッセージ等を受け取り、受取った当該各情報をログ情報としてログ記憶部24に書き込む処理(ログ情報の発生順に時系列に)を続ける。
【0101】
このジョブ(次のジョブ)の実行中、システムモニタ/マネージャ22Bは、状態解析部162からの通知情報に基づき障害が発生したかどうかをチェックする(ステップS157)。
【0102】
ここで、障害が発生していない場合(ステップS157NO)、次いで、システムモニタ/マネージャ22Bは、実行中のジョブの動作状態等に基づき当該ジョブが終了したか否かをチェックし(ステップS158)、ここで、ジョブが終了していない場合(ステップS158NO)は、ステップS156以降の処理を続行する。
【0103】
この間、障害が発生しないまま(ステップS157NO)、当該次のジョブが正常に終了すると(ステップS158YES)、システムモニタ/マネージャ22Bは、開始トリガ(=ジョブ正常終了時)に合致する条件が整ったものと認識して、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み開始の指示を送出する。
【0104】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み開始指示を受取ることにより、当該ジョブ(次のジョブ)の正常終了時点からログ記憶部24に対するログ情報(更に次のジョブのログ情報)の書込み(前のジョブのログ情報に対して上書き)を開始する(ステップS159)。
【0105】
以後、ログ情報書込処理部221Bは、ステップS156に戻り、システムモニタ/マネージャ22Bによって更に次のジョブが実行され、該ジョブが正常終了した時点でログ記憶部24に対するログ情報の記録を開始する(前のジョブのログ情報に対する上書き)という処理(ステップS156〜S159)を繰り返し実施する。
【0106】
これに対して、最初のジョブ以降のいずれかのジョブ実行中に障害が発生すると(ステップS157YES)、システムモニタ/マネージャ22Bは、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報の書込停止を指示し、ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込停止指示を受けることにより、ログ記憶部24に対するログ情報の書き込む処理を停止する(ステップS160)。
【0107】
ステップS160でログ情報の書込みを停止した後、システムモニタ/マネージャ22Bは、それまでにログ記憶部24に書き込んだログ情報をI/F部25を介して外部システム30に送信する。これにより、外部システム30では、画像形成装置10のログ記憶部24から送られたログ情報を元に障害発生原因を特定する解析処理を行う。
【0108】
なお、図10に示す処理によれば、最初のジョブについては、ログ情報を記録することができないが、これを回避するために、例えば、初期化(ステップS151)の前にもログ情報の記録開始動作を実施するように変形することも可能である。
【0109】
このように、本実施例では、開始トリガ設定部225により設定された“ジョブ正常終了時”をログ情報書込処理部221Bによるログ情報記憶開始トリガとしたため、正常終了したジョブの終わりから次に実行するジョブの障害情報を漏れなくログ記憶部24に記憶でき、ログ記憶部24の限られた記憶容量を利用して、障害が発生して中断したジョブに関する不具合解析を確実にこなすことができる。
【実施例5】
【0110】
実施例5に係わる画像形成装置10は、実施例3に係わる画像形成装置10と同等の制御部16B(図8参照)を有する。
【0111】
但し、実施例5において、開始トリガ設定部225では、ログ情報を記録開始する条件として、ログ情報を記憶する日時(期間)あるいは記憶しない(記憶を除外する)日時(期間)を開始トリガとして設定する。
【0112】
図11は、実施例5に係わる画像形成装置10のログ情報書込み処理動作を示すフローチャートであり、特に、開始トリガとして、ログ情報記憶期間〔例えば、2004年2月3日15時00分(起点日時)〜18時00分(終点日時)〕を設定した場合におけるログ情報書込み処理動作を示している。
【0113】
図11に示すように、本実施例の画像形成装置10では、例えば、電源投入後に装置各部の初期化を行い(ステップS171)、所定の機能動作の実行待ち状態(アイドル状態)に移行(ステップS172)した後、システムモニタ/マネージャ22Bは、開始トリガ設定部225により設定されている開始トリガ(=ログ情報記憶期間)を認識したうえで、当該開始トリガであるログ情報記憶期間のチェックに移る。
【0114】
ここで、システムモニタ/マネージャ22Bは、タイマ17からの計時時刻を元にTS付与部222で生成されるタイムスタンプと、開始トリガとして設定されているログ情報記憶期間の起点日時とを常時比較照合し(ステップS173)、タイムスタンプが起点日時と一致した場合(ステップS173YES)に、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み開始の指示を送出する。
【0115】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み開始指示を受取ることにより、当該ログ情報記憶期間の起点日時後からログ記憶部24に対するログ情報の書込みを開始する(ステップS174)。
【0116】
引き続き、システムモニタ/マネージャ22Bは、上記タイムスタンプと、開始トリガとして設定されているログ情報記憶期間の終点日時とを常時比較照合し(ステップS175)、タイムスタンプが終点日時と一致した場合(ステップS175YES)に、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み停止の指示を送出する。
【0117】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み停止指示を受取ることにより、当該ログ情報記憶期間の終点日時後からログ記憶部24に対するログ情報の書込みを停止する(ステップS174)。
【0118】
上記一連の処理によって、ログ情報書込処理部221Bは、ログ情報記録開始日時の起点日時から終点日時までの期間だけ、システムモニタ/マネージャ22Bによって実行されるジョブに関連する各部の動作状態や該当する各ジョブの動作状態あるいは各ジョブからのメッセージ等を受け取り、ログ情報としてログ記憶部24に書き込む処理を行う。
【0119】
図12は、実施例5に係わる画像形成装置10の別の例のログ情報書込み処理動作を示すフローチャートであり、特に、開始トリガとして、ログ情報記憶除外期間〔例えば、2004年2月3日15時00分(起点日時)〜18時00分(終点日時)〕を設定した場合におけるログ情報書込み処理動作を示している。
【0120】
図12に示すように、本実施例の画像形成装置10では、例えば、電源投入後に装置各部の初期化を行い(ステップS191)、所定の機能動作の実行待ち状態(アイドル状態)に移行(ステップS192)した後、システムモニタ/マネージャ22Bは、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み開始の指示を送出し、ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み開始指示を受取ることにより、ログ記憶部24に対するログ情報の書込みを開始する(ステップS193)。
【0121】
引き続き、システムモニタ/マネージャ22Bは、開始トリガ設定部225により設定されている開始トリガ(=ログ情報記憶除外期間)を認識したうえで、当該開始トリガであるログ情報記憶除外期間のチェックに移る。
【0122】
ここで、システムモニタ/マネージャ22Bは、タイマ17からの計時時刻を元にTS付与部222で生成されるタイムスタンプと、開始トリガとして設定されているログ情報記憶除外期間の起点日時とを常時比較照合し(ステップS194)、タイムスタンプが起点日時と一致した場合(ステップS194YES)に、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み停止の指示を送出する。
【0123】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み停止指示を受取ることにより、当該ログ情報記憶除外期間の起点日時後からログ記憶部24に対するログ情報の書込みを停止する(ステップS195)。
【0124】
引き続き、システムモニタ/マネージャ22Bは、上記タイムスタンプと、開始トリガとして設定されているログ情報記憶除外期間の終点日時とを常時比較照合し(ステップS196)、タイムスタンプが終点日時と一致した場合(ステップS196YES)に、ログ情報書込処理部221Bに対してログ情報書込み開始の指示を送出する。
【0125】
ログ情報書込処理部221Bは、システムモニタ/マネージャ22Bからログ情報書込み開始指示を受取ることにより、当該ログ情報記憶除外期間の終点日時後からログ記憶部24に対するログ情報の書込みを開始し(ステップS197)、以後、ログ情報の記憶を続行する通常動作に戻る。
【0126】
上記一連の処理によって、ログ情報書込処理部221Bは、ログ情報記録除外期間の間だけ、システムモニタ/マネージャ22Bによって実行されるジョブに関連する各部の動作状態や該当する各ジョブの動作状態あるいは各ジョブからのメッセージ等をログ情報としてログ記憶部24に書き込む処理を停止する。
【0127】
このように、本実施例では、開始トリガ設定部225により、特定の日時期間をログ情報の記憶期間あるいは記憶除外期間として設定する機能を設けたため、ログ情報を必要とする期間あるいは必要としない期間を踏まえて上記記憶期間あるいは記憶除外期間を設定することで、ログ情報が不必要な期間にはログ情報を記憶しないようにして、ログ記憶部24の限られた記憶容量を有効に利用できる。
【0128】
なお、本実施例では、ログ情報記憶期間あるいは記憶除外期間として、時間だけの指定(年、月、日を指定しない)も可能であり、また、期間の数も1つに限らず、複数の期間を設定することも可能である。
【0129】
この他、本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0130】
例えば、本発明では、実施例1,2で例示した、操作パネル121でのキー操作によって実行されたジョブのジョブ識別タグを含むキー操作情報をログ記憶部24に書き込む処理方法を実施例3〜5に適用したり、あるいは、実施例3〜5に例示した記憶開始フラグを設定して該記憶開始フラグに従ってログ記憶部24にログ情報を書き込む処理方法を実施例1,2に適用することも可能である。
【0131】
また、上記実施例では、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能を1台に集約した画像形成装置(複合機)の例を挙げているが、本発明は、個々の機能のみを単独で備えた画像形成装置(複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等)にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、ログ記憶手段を有する画像形成装置に適用でき、操作パネルでのキー操作時に該キーの種別、タイムスタンプ及びジョブ識別タグをキー押下情報としてログ記憶手段に記憶することにより、障害解析に際して該キー操作情報から各ジョブ毎のキー操作情報を分離する手間を軽減でき、また、ログ情報の記録開始条件を設定し、該設定された記録開始条件に従ってログ記憶手段に対するログ情報の記録を開始するため、必要最小限のログ情報を記憶して障害を確実に解析できると共に、ログ記憶手段の限られた記録容量の有効活用が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明に係る画像形成装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】実施例1に係わる画像形成装置の制御部の機能構成を示すブロック図。
【図3】実施例1に係わるキー操作情報書込処理動作を示すフローチャート。
【図4】実施例1に係わるログ記憶部のキー操作情報記憶形態を示す図。
【図5】実施例2に係わる画像形成装置の制御部の機能構成を示すブロック図。
【図6】実施例2に係わるキー操作情報書込処理動作を示すフローチャート。
【図7】実施例2に係わるログ記憶部のキー操作情報記憶形態を示す図。
【図8】実施例3に係わる画像形成装置の制御部の機能構成を示すブロック図。
【図9】実施例3に係わるログ情報書込み処理動作を示すフローチャート。
【図10】実施例4に係わるログ情報書込み処理動作を示すフローチャート。
【図11】実施例5に係わる記憶期間設定時のログ情報書込み処理動作を示すフローチャート。
【図12】実施例5に係わる記憶除外期間設定時のログ情報書込み処理動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0134】
10…画像形成装置、11…通信インタフェース(I/F)部、12…操作表示部、121…操作パネル、13…読取部(スキャナ)、14…画像形成部、15…記憶部、16,16A,16B…制御部、161…状態検知部、162…状態解析部、17…計時回路(タイマ)、21…パネルコントローラ、22,22A,22B…システムモニタ/マネージャ、221,221A,221B…ログ情報書込処理部、222…タイムスタンプ(TS)付与部、225…開始トリガ設定部、23…アプリケーションジョブ、231…コピージョブ、232…プリンタジョブ、233…スキャナジョブ、234…FAX(ファクシミリ)ジョブ、24,24A…ログ記憶部、240,240A…キー操作情報、241…CP用記憶領域、242…PR用記憶領域、243…SC用記憶領域、244…FX用記憶領域、25…インタフェース(I/F)部、30…外部システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキーを備える操作パネルと、前記操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブ及び装置各部の動作状態を検知する検知手段と、前記動作状態をログ情報として記憶するログ記憶手段とを有する画像形成装置において、
時刻を計時する計時手段と、
前記操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブの種別を特定して該ジョブ種別に対応する固有のジョブ識別タグを生成するタグ生成手段と、
前記操作パネルで操作されたキーの種別、該キー操作時の計時時刻及び前記タグ生成手段により生成された前記ジョブ識別タグを当該キー操作に対応するキー押下情報として前記ログ記憶手段に書き込むキー押下情報書込手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
外部処理装置から前記ジョブ識別タグを含む検索要求を受付ける受付手段と、
前記検索要求に基づき、該検索要求に含まれる前記ジョブ識別タグに一致する識別タグを有するキー操作情報を前記ログ記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記キー操作情報を前記検索要求に対する検索結果として前記外部処理装置に送信する検索結果送信手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ログ記憶手段は、
複数のジョブ種別に各々対応するログ保持領域
を有し、
前記キー操作情報書込手段は、
前記キー種別、計時時刻及び前記ジョブ識別タグから成る前記キー押下情報を、当該ジョブ種別に対応するログ保持領域に書き込む手段
を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
外部処理装置から前記ジョブ識別タグを含む検索要求を受付ける受付手段と、
前記検索要求に基づき、該検索要求に含まれる前記ジョブ識別タグによって識別されるジョブ種別に対応する前記ログ保持領域を特定し、該ログ保持領域からキー操作情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段により読み出された前記キー操作情報を前記検索要求に対する検索結果として前記外部処理装置に送信する検索結果送信手段と
を具備することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
複数のキーを備える操作パネルと、前記操作パネルでのキー操作に基づき実行されるジョブ及び装置各部の動作状態を検知する検知手段と、前記動作状態をログ情報として記憶するログ記憶手段とを有する画像形成装置において、
前記ログ情報の記録開始条件を設定する記録開始条件設定手段と、
前記記録開始条件設定手段により設定された記録開始条件に従って前記ログ記憶手段に対するログ情報の記録を開始するログ情報書込手段と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段により前記原稿から読み取られた画像情報を処理する修理手段と
を更に具備し、
前記記録開始条件設定手段は、
前記記録開始条件として、ログ情報の記録開始時が前記読取手段に対する前記原稿のセット時であることを設定し、
前記ログ情報書込手段は、
前記原稿のセット時から前記ログ情報の記録を開始する
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記録開始条件設定手段は、
前記記録開始条件として、ログ情報の記録開始時がジョブの正常終了時であることを設定し、
前記ログ情報書込手段は、
実行中のジョブの正常終了時から前記ログ情報の記録を開始する
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記録開始条件設定手段は、
前記記録開始条件として、ログ情報を記憶する期間または記憶を除外する期間を設定し、
前記ログ情報書込手段は、
前記ログ情報記憶期間中またはログ情報記憶除外期間中、前記ログ情報の記録を実行または停止する
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−93824(P2006−93824A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273453(P2004−273453)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】